JP2019089982A - 難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線、メタルケーブル、光ファイバケーブル及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な難燃性を有しながら、塑性変形を抑制でき、耐摩耗性を向上させることができる難燃性樹脂組成物等を提供すること。【解決手段】ベース樹脂と、炭酸カルシウム粒子と、シリコーン化合物と、脂肪酸含有化合物とを含み、ベース樹脂が、非酸変性ポリオレフィンと、酸変性ポリオレフィンとで構成され、ベース樹脂中の非酸変性ポリオレフィンの含有率が80〜95質量%であり、ベース樹脂中の酸変性ポリオレフィンの含有率が5〜20質量%であり、炭酸カルシウム粒子がベース樹脂100質量部に対して1〜80質量部の割合で配合され、シリコーン化合物がベース樹脂100質量部に対して1.5〜10質量部の割合で配合され、脂肪酸含有化合物がベース樹脂100質量部に対して3〜20質量部の割合で配合される、難燃性樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線、メタルケーブル、光ファイバケーブル及び成形品に関する。
ケーブルの被覆、ケーブルの外被、チューブ、テープ、包装材、建材等にはいわゆるエコマテリアルが広く使用されるようになっている。
このようなエコマテリアルとして、例えばポリオレフィン樹脂に、炭酸カルシウム粒子、シリコーン化合物及び脂肪酸含有化合物を配合した難燃性樹脂組成物が知られている(下記特許文献1参照)。
ところで、近年、難燃性樹脂組成物には、ケーブルをはじめとする種々の用途に適用できるようにするため、難燃性のみならず、塑性変形を抑制でき、耐摩耗性をも向上させることが要求されるようになってきている。特に、自動車用ケーブルにおいてこの要求が強くなってきている。
しかし、上記特許文献1に記載の難燃性樹脂組成物は優れた難燃性を有しているものの、塑性変形の抑制及び耐摩耗性の点では改善の余地を有していた。
このため、良好な難燃性を有しながら、塑性変形を抑制でき、耐摩耗性を向上させることができる難燃性樹脂組成物が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、良好な難燃性を有しながら、塑性変形を抑制でき、耐摩耗性を向上させることができる難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線、メタルケーブル、光ファイバケーブル及び成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため検討を重ねた。その結果、本発明者らは、非酸変性ポリオレフィン及び酸変性ポリオレフィンで構成されるベース樹脂に対し、炭酸カルシウム粒子、シリコーン化合物、及び脂肪酸含有化合物をそれぞれ所定の割合で配合するとともに、ベース樹脂中の非酸変性ポリオレフィン及び酸変性ポリオレフィンの含有率をそれぞれ所定の割合とすることで、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち本発明は、ベース樹脂と、炭酸カルシウム粒子と、シリコーン化合物と、脂肪酸含有化合物とを含み、前記ベース樹脂が、非酸変性ポリオレフィンと、酸変性ポリオレフィンとで構成され、前記ベース樹脂中の前記非酸変性ポリオレフィンの含有率が80〜95質量%であり、前記ベース樹脂中の前記酸変性ポリオレフィンの含有率が5〜20質量%であり、前記炭酸カルシウム粒子が前記ベース樹脂100質量部に対して1〜80質量部の割合で配合され、前記シリコーン化合物が前記ベース樹脂100質量部に対して1.5〜10質量部の割合で配合され、前記脂肪酸含有化合物が前記ベース樹脂100質量部に対して3〜20質量部の割合で配合される、難燃性樹脂組成物である。
本発明の難燃性樹脂組成物によれば、良好な難燃性を有しながら、塑性変形を抑制でき、耐摩耗性を向上させることができる。
なお、本発明者らは、本発明の難燃性樹脂組成物において、上記の効果が得られる理由については以下のように推察している。
すなわち、難燃性樹脂組成物中に炭酸カルシウム粒子、シリコーン化合物及び脂肪酸含有化合物が含まれていると、難燃性樹脂組成物の燃焼時に、ベース樹脂の表面に、主として炭酸カルシウム粒子、シリコーン化合物、脂肪酸含有化合物及びこれらの分解物からなるバリア層が形成され、ベース樹脂の燃焼が抑制される。そのため、良好な難燃性が確保されるものと考えられる。また、難燃性樹脂組成物がシリコーン化合物、脂肪酸含有化合物及び炭酸カルシウム粒子を難燃剤として含むと、難燃剤として金属水酸化物を含む場合に比べて、少量の添加量で同等の難燃性を発現できる。このため、シリコーン化合物、脂肪酸含有化合物及び炭酸カルシウム粒子の合計配合量を小さくすることで、難燃性樹脂組成物の耐摩耗性を向上させることができるものと考えられる。さらに、ベース樹脂中の酸変性ポリオレフィンの含有率を多くすることで、シリコーン化合物及び脂肪酸含有化合物と静電的相互作用する酸変性ポリオレフィンの量が増加する。このため、難燃性樹脂組成物に外部応力を加えても難燃性樹脂組成物の塑性変形を抑制できるものと考えられる。
上記難燃性樹脂組成物においては、前記非酸変性ポリオレフィンが、ポリプロピレンと、ポリエチレンとを含むことが好ましい。
この場合、ポリプロピレンとポリエチレンとの相溶性が良くないため、難燃性樹脂組成物の塑性変形をより十分に抑制できる。
ここで、前記非酸変性ポリオレフィン中の前記ポリプロピレンの含有率が70〜95質量%であり、前記非酸変性ポリオレフィン中の前記ポリエチレンの含有率が0質量%より大きく25質量%以下であることが好ましい。
この場合、難燃性樹脂組成物の塑性変形をより一層十分に抑制できる。
上記難燃性樹脂組成物においては、前記酸変性ポリオレフィンが無水マレイン酸変性ポリプロピレンであることが好ましい。
この場合、難燃性樹脂組成物の塑性変形をより十分に抑制しつつ、耐摩耗性を特に向上させることができる。
また本発明は、金属導体と、前記金属導体を被覆する絶縁層とを備え、前記絶縁層が、上述した難燃性樹脂組成物で構成される絶縁電線である。
本発明の絶縁電線によれば、絶縁層が、上述した難燃性樹脂組成物で構成されるため、良好な難燃性を有しながら、端末加工性及び耐摩耗性を向上させることができる。
また、本発明は、金属導体、及び、前記金属導体を被覆する絶縁層を有する絶縁電線と、前記絶縁電線を被覆する被覆層とを備え、前記絶縁層及び前記被覆層の少なくとも一方が、上記難燃性樹脂組成物で構成されるメタルケーブルである。
本発明のメタルケーブルによれば、絶縁層及び被覆層の少なくとも一方が、上記難燃性樹脂組成物で構成されるため、良好な難燃性を有しながら、端末加工性及び耐摩耗性を向上させることができる。
さらに本発明は、光ファイバと、前記光ファイバを被覆する被覆部とを備え、前記被覆部が、前記光ファイバを直接被覆する絶縁体を有し、前記絶縁体が、上述した難燃性樹脂組成物で構成される光ファイバケーブルである。
本発明の光ファイバケーブルによれば、絶縁体が上記難燃性樹脂組成物で構成されるため、良好な難燃性を有しながら、端末加工性及び耐摩耗性を向上させることができる。
また本発明は、上記難燃性樹脂組成物で構成される成形品である。
本発明の成形品によれば、良好な難燃性を有しながら、塑性変形を抑制でき、耐摩耗性を向上させることができる。
本発明によれば、良好な難燃性を有しながら、塑性変形を抑制でき、耐摩耗性を向上させることができる難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線、メタルケーブル、光ファイバケーブル及び成形品が提供される。
以下、本発明の実施形態について図1及び図2を用いて詳細に説明する。
[メタルケーブル]
図1は、本発明に係るメタルケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示すように、メタルケーブル10は、絶縁電線4と、絶縁電線4を被覆するチューブ状の被覆層3とを備えている。そして、絶縁電線4は、金属導体1と、金属導体1を被覆するチューブ状の絶縁層2とを有している。
図1は、本発明に係るメタルケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示すように、メタルケーブル10は、絶縁電線4と、絶縁電線4を被覆するチューブ状の被覆層3とを備えている。そして、絶縁電線4は、金属導体1と、金属導体1を被覆するチューブ状の絶縁層2とを有している。
ここで、チューブ状の絶縁層2及び被覆層3は難燃性樹脂組成物で構成されており、この難燃性樹脂組成物は、ベース樹脂と、炭酸カルシウム粒子と、シリコーン化合物と、脂肪酸含有化合物とを含み、ベース樹脂が、非酸変性ポリオレフィンと、酸変性ポリオレフィンとで構成されている。そして、ベース樹脂中の非酸変性ポリオレフィンの含有率が80〜95質量%であり、ベース樹脂中の酸変性ポリオレフィンの含有率が5〜20質量%であり、炭酸カルシウム粒子がベース樹脂100質量部に対して1〜80質量部の割合で配合され、シリコーン化合物がベース樹脂100質量部に対して1.5〜10質量部の割合で配合され、脂肪酸含有化合物がベース樹脂100質量部に対して3〜20質量部の割合で配合される。
上記難燃性樹脂組成物で構成される絶縁層2及び被覆層3は、良好な難燃性を有しながら、塑性変形を抑制でき、耐摩耗性を向上させることができる。従って、メタルケーブル10は、良好な難燃性を有しながら、端末加工性及び耐摩耗性を向上させることができる。
[メタルケーブルの製造方法]
次に、上述したメタルケーブル10の製造方法について説明する。
次に、上述したメタルケーブル10の製造方法について説明する。
<金属導体>
まず金属導体1を準備する。金属導体1は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、金属導体1は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。
まず金属導体1を準備する。金属導体1は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、金属導体1は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。
<難燃性樹脂組成物>
一方、上記難燃性樹脂組成物を準備する。難燃性樹脂組成物は、上述したように、ベース樹脂と、炭酸カルシウム粒子と、シリコーン化合物と、脂肪酸含有化合物とを含む。
一方、上記難燃性樹脂組成物を準備する。難燃性樹脂組成物は、上述したように、ベース樹脂と、炭酸カルシウム粒子と、シリコーン化合物と、脂肪酸含有化合物とを含む。
(1)ベース樹脂
上述したように、ベース樹脂は、非酸変性ポリオレフィンと、酸変性ポリオレフィンとで構成されている。すなわち、ベース樹脂中の非酸変性ポリオレフィン及び酸変性ポリオレフィンの合計含有率は100質量%である。
上述したように、ベース樹脂は、非酸変性ポリオレフィンと、酸変性ポリオレフィンとで構成されている。すなわち、ベース樹脂中の非酸変性ポリオレフィン及び酸変性ポリオレフィンの合計含有率は100質量%である。
(非酸変性ポリオレフィン)
非酸変性ポリオレフィンとは、酸又は酸無水物で変性されていないポリオレフィンを言う。このような非酸変性ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン-α-オレフィン共重合体が挙げられる。
非酸変性ポリオレフィンとは、酸又は酸無水物で変性されていないポリオレフィンを言う。このような非酸変性ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン-α-オレフィン共重合体が挙げられる。
ポリプロピレンとは、プロピレンに由来する構成単位を含む樹脂を言う。従って、このようなポリプロピレンには、プロピレンの単独重合により得られるホモポリプロピレン、プロピレン以外のオレフィンとプロピレンとの共重合体であるポリプロピレンコポリマー、これらの2種以上の混合物が含まれる。プロピレン以外のオレフィンとしては、例えばエチレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどが挙げられる。中でも、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンが、機械的特性に優れる点から好ましく用いられ、より好ましくはエチレンが用いられる。
ポリプロピレンがポリプロピレンコポリマーである場合、このポリプロピレンコポリマーは、ブロックポリプロピレンコポリマーでもランダムポリプロピレンコポリマーでもよいが、ランダムポリプロピレンコポリマーであることが好ましい。この場合、ポリプロピレンがランダムポリプロピレンでない場合に比べて、難燃性樹脂組成物の柔軟性をより向上させることができる。
ポリエチレンは、直鎖状ポリエチレン、分岐状ポリエチレン又はこれらの混合物であってもよい。但し、成形加工が容易となることから、ポリエチレンとしては、直鎖状ポリエチレンが好ましい。
ポリエチレンは、1種類のポリエチレンのみで構成されていてもよく、密度の異なる複数種類のポリエチレンの混合物で構成されていてもよい。
なお、非酸変性ポリオレフィンは、ポリプロピレン及びポリエチレンを含むことが好ましい。この場合、ポリプロピレンとポリエチレンとの相溶性が良くないため、難燃性樹脂組成物の塑性変形をより十分に抑制できる。ここで、非酸変性ポリオレフィン中のポリプロピレンの含有率が70〜95質量%であり、非酸変性ポリオレフィン中のポリエチレンの含有率は0質量%より大きく25質量%以下であることがより好ましい。この場合、難燃性樹脂組成物の塑性変形をより一層十分に抑制できる。
ここで、ポリエチレンの密度は、940kg/m3未満であっても940kg/m3以上であってもよいが、940kg/m3未満であることが好ましく、930kg/m3以下であることがより好ましい。この場合、ポリエチレンの密度が940kg/m3以上である場合と比べて、難燃性樹脂組成物の塑性変形をより十分に抑制できる。ポリエチレンの密度は900kg/m3以上であることがより好ましい。この場合、ポリエチレンの密度が900kg/m3未満である場合と比べて、難燃性樹脂組成物がより優れた機械的特性を有する。
ベース樹脂中の非酸変性ポリオレフィンの含有率は80〜95質量%である。この場合、ベース樹脂中の非酸変性ポリオレフィンの含有率が80質量%未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性及び耐摩耗性をより向上させることができる。また、ベース樹脂中の非酸変性ポリオレフィンの含有率が95質量%を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物の塑性変形をより十分に抑制でき、メタルケーブル100の端末加工性をより向上させることができる。
(酸変性ポリオレフィン)
酸変性ポリオレフィンは、ポリオレフィンを酸又は酸無水物で変性したものである。ポリオレフィンとしては、上述した非酸変性ポリオレフィンが用いられる。酸としては、例えば酢酸、アクリル酸、マレイン酸及びメタクリル酸などのカルボン酸が挙げられ、酸無水物としては、例えば無水マレイン酸などの無水カルボン酸が挙げられる。酸変性ポリオレフィンとしては、例えばカルボン酸変性ポリオレフィンが挙げられる。カルボン酸変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどの無水マレイン酸変性ポリオレフィン、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレンなどのマレイン酸変性ポリオレフィン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などが挙げられる。これらの中でも、酸変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが好ましい。この場合、難燃性樹脂組成物の塑性変形をより十分に抑制しつつ、耐摩耗性を特に向上させることができる。
酸変性ポリオレフィンは、ポリオレフィンを酸又は酸無水物で変性したものである。ポリオレフィンとしては、上述した非酸変性ポリオレフィンが用いられる。酸としては、例えば酢酸、アクリル酸、マレイン酸及びメタクリル酸などのカルボン酸が挙げられ、酸無水物としては、例えば無水マレイン酸などの無水カルボン酸が挙げられる。酸変性ポリオレフィンとしては、例えばカルボン酸変性ポリオレフィンが挙げられる。カルボン酸変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどの無水マレイン酸変性ポリオレフィン、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレンなどのマレイン酸変性ポリオレフィン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などが挙げられる。これらの中でも、酸変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが好ましい。この場合、難燃性樹脂組成物の塑性変形をより十分に抑制しつつ、耐摩耗性を特に向上させることができる。
ベース樹脂中の酸変性ポリオレフィンの含有率は5〜20質量%である。この場合、ベース樹脂中の酸変性ポリオレフィンの含有率が5質量%未満である場合と比べて、難燃性樹脂組成物の塑性変形をより十分に抑制でき、メタルケーブル100の端末加工性をより向上させることができる。またベース樹脂中の酸変性ポリオレフィンの含有率が20質量%より大きい場合と比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性及び耐摩耗性をより向上させることができる。
ベース樹脂中の酸変性ポリオレフィンの含有率は8〜15質量%であることが好ましい。この場合、ベース樹脂中の非酸変性ポリオレフィンの含有率が上記範囲を外れる場合に比べて、難燃性樹脂組成物の塑性変形をより十分に抑制でき、メタルケーブル100の端末加工性をより向上させることができる。
(2)炭酸カルシウム粒子
炭酸カルシウム粒子は、重質炭酸カルシウム又は軽質炭酸カルシウムのいずれでもよい。
炭酸カルシウム粒子は、重質炭酸カルシウム又は軽質炭酸カルシウムのいずれでもよい。
炭酸カルシウム粒子は、ベース樹脂100質量部に対して1〜80質量部の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対する炭酸カルシウム粒子の配合割合が1質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。また、外部応力による塑性変形をより十分に抑制できるので、メタルケーブル100に対する端末加工性をより向上させることができる。すなわち、塑性変形によるヒゲの発生をより十分に抑制することができ、メタルケーブル100の外観を良好とし、メタルケーブル100の電気特性の低下を抑制できるとともに、メタルケーブル100の品質のバラツキを十分に抑制できる。またベース樹脂100質量部に対する炭酸カルシウム粒子の配合割合が80質量部より大きい場合に比べて、難燃性樹脂組成物の耐摩耗性をより向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対する炭酸カルシウム粒子の配合割合は8質量部以上であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する炭酸カルシウム粒子の配合割合が8質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。ベース樹脂100質量部に対する炭酸カルシウム粒子の配合割合は12質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることが特に好ましい。
また、ベース樹脂100質量部に対する炭酸カルシウム粒子の配合割合は70質量部以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する炭酸カルシウム粒子の配合割合が70質量部を超える場合と比べて、難燃性樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。ベース樹脂100質量部に対する炭酸カルシウム粒子の配合割合は60質量部以下であることがより好ましい。
(3)シリコーン化合物
シリコーン化合物は、難燃剤として機能するものであり、シリコーン化合物としては、ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。ここで、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン結合を主鎖とし側鎖に有機基を有するものであり、有機基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;ビニル基;及びフェニル基などのアリール基などが挙げられる。具体的にはポリオルガノシロキサンとしては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルオクチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン及びメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサンなどが挙げられる。ポリオルガノシロキサンは、シリコーンオイル、シリコーンパウダー、シリコーンガム又はシリコーンレジンの形態で用いられる。中でも、ポリオルガノシロキサンは、シリコーンガムの形態で用いられることが好ましい。この場合、シリコーン化合物がシリコーンガム以外のシリコーン化合物である場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてブルームが起こりにくくなる。
シリコーン化合物は、難燃剤として機能するものであり、シリコーン化合物としては、ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。ここで、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン結合を主鎖とし側鎖に有機基を有するものであり、有機基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;ビニル基;及びフェニル基などのアリール基などが挙げられる。具体的にはポリオルガノシロキサンとしては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルオクチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン及びメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサンなどが挙げられる。ポリオルガノシロキサンは、シリコーンオイル、シリコーンパウダー、シリコーンガム又はシリコーンレジンの形態で用いられる。中でも、ポリオルガノシロキサンは、シリコーンガムの形態で用いられることが好ましい。この場合、シリコーン化合物がシリコーンガム以外のシリコーン化合物である場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてブルームが起こりにくくなる。
シリコーン化合物は、上述したようにベース樹脂100質量部に対して1.5〜10質量部の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合が1.5質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。またベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合が10質量部より大きい場合に比べて、難燃性樹脂組成物の耐摩耗性をより向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合は2質量部以上であることが好ましい。この場合、シリコーン化合物の配合割合が2質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。但し、シリコーン化合物の配合割合は5質量部以下であることが好ましい。
シリコーン化合物は、炭酸カルシウム粒子の表面に予め付着させておいてもよい。この場合、難燃性樹脂組成物中においてシリコーン化合物の偏析が起こりにくくなり、難燃性樹脂組成物における特性の均一性がより向上する。
炭酸カルシウム粒子の表面にシリコーン化合物を付着させる方法としては、例えば炭酸カルシウム粒子にシリコーン化合物を添加して混合し、混合物を得た後、この混合物を40〜75℃にて10〜40分乾燥し、乾燥した混合物をヘンシェルミキサ、アトマイザなどにより粉砕する方法が挙げられる。
(4)脂肪酸含有化合物
脂肪酸含有化合物は難燃剤として機能するものである。脂肪酸含有化合物とは、脂肪酸又はその金属塩を含有するものを言う。ここで、脂肪酸としては、例えば炭素原子数が12〜28である脂肪酸が用いられる。このような脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸及びモンタン酸が挙げられる。中でも、脂肪酸としては、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸が好ましく、ステアリン酸が特に好ましい。この場合、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸以外の脂肪酸を用いる場合に比べて、より優れた難燃性が得られる。
脂肪酸含有化合物は難燃剤として機能するものである。脂肪酸含有化合物とは、脂肪酸又はその金属塩を含有するものを言う。ここで、脂肪酸としては、例えば炭素原子数が12〜28である脂肪酸が用いられる。このような脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸及びモンタン酸が挙げられる。中でも、脂肪酸としては、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸が好ましく、ステアリン酸が特に好ましい。この場合、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸以外の脂肪酸を用いる場合に比べて、より優れた難燃性が得られる。
脂肪酸含有化合物は脂肪酸の金属塩であることが好ましい。この場合、脂肪酸含有化合物が脂肪酸である場合に比べて、難燃性樹脂組成物において、より優れた難燃性が得られる。脂肪酸の金属塩を構成する金属としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛及び鉛などが挙げられる。脂肪酸の金属塩としては、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。この場合、ステアリン酸マグネシウム以外の脂肪酸金属塩を用いる場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより少ない添加量でより優れた難燃性が得られる。
脂肪酸含有化合物は、上述したようにベース樹脂100質量部に対して3〜20質量部の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の割合が3質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。またベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合が20質量部より大きい場合に比べて、難燃性樹脂組成物の耐摩耗性をより向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合は10質量部以下であることが好ましく、7質量部以下であることがより好ましい。
脂肪酸含有化合物は炭酸カルシウム粒子の表面に予め付着させておいてもよい。この場合、難燃性樹脂組成物中において脂肪酸含有化合物の偏析がより起こりにくくなり、難燃性樹脂組成物における特性の均一性がより向上する。さらに脂肪酸含有化合物とシリコーン化合物とを、炭酸カルシウム粒子の表面に予め付着させておいてもよい。この場合、難燃性樹脂組成物中においてシリコーン化合物及び脂肪酸含有化合物の偏析がより起こりにくくなり、難燃性樹脂組成物における特性の均一性がさらに向上する。
炭酸カルシウム粒子の表面にシリコーン化合物及び脂肪酸含有化合物を付着させる方法としては、例え炭酸カルシウム粒子の表面にシリコーン化合物及び脂肪酸含有化合物を添加して混合し、混合物を得た後、この混合物を40〜75℃にて10〜40分乾燥し、乾燥した混合物をヘンシェルミキサ、アトマイザなどにより粉砕する方法が挙げられる。
上記難燃性樹脂組成物は、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、加工助剤、着色顔料、滑剤などの充填剤を必要に応じてさらに含んでもよい。
上記難燃性樹脂組成物は、非酸変性ポリオレフィン及び酸変性ポリオレフィンで構成されるベース樹脂、炭酸カルシウム粒子、シリコーン化合物及び脂肪酸含有化合物等を混練することにより得ることができる。混練は、例えばバンバリーミキサ、タンブラ、加圧ニーダ、混練押出機、二軸押出機、ミキシングロール等の混練機で行うことができる。このとき、シリコーン化合物の分散性を向上させる観点からは、非酸変性ポリオレフィンの一部とシリコーン化合物とを混練し、得られたマスターバッチ(MB)を、残りのベース樹脂、脂肪酸含有化合物及び炭酸カルシウム粒子等と混練してもよい。
次に、上記難燃性樹脂組成物で金属導体1を被覆する。具体的には、上記の難燃性樹脂組成物を、押出機を用いて溶融混練し、チューブ状の押出物を形成する。そして、このチューブ状押出物を金属導体1上に連続的に被覆する。こうして絶縁電線4が得られる。
<被覆層>
最後に、上記のようにして得られた絶縁電線4を1本用意し、この絶縁電線4を、上述した難燃性樹脂組成物を用いて作製した絶縁体としての被覆層3で被覆する。被覆層3は、いわゆるシースであり、絶縁層2を物理的又は化学的な損傷から保護するものである。
最後に、上記のようにして得られた絶縁電線4を1本用意し、この絶縁電線4を、上述した難燃性樹脂組成物を用いて作製した絶縁体としての被覆層3で被覆する。被覆層3は、いわゆるシースであり、絶縁層2を物理的又は化学的な損傷から保護するものである。
以上のようにしてメタルケーブル10が得られる。
[成形品]
本発明は、上述した難燃性樹脂組成物で構成される成形品である。
本発明は、上述した難燃性樹脂組成物で構成される成形品である。
この成形品は、良好な難燃性を有しながら、外部応力による塑性変形を抑制でき、耐摩耗性を向上させることができる。
上記成形品は、射出成形法、押出成形法などの一般的な成形法によって得ることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態ではメタルケーブルとして、1本の絶縁電線4を有するメタルケーブルが用いられているが、本発明のメタルケーブルは1本の絶縁電線4を有するメタルケーブルに限定されるものではなく、被覆層3の内側に絶縁電線4を2本以上有するメタルケーブルであってもよい。また被覆層3と絶縁電線4との間には、ポリプロピレン等からなる樹脂部が設けられていてもよい。
また上記実施形態では、絶縁電線4の絶縁層2及び被覆層3が上記の難燃性樹脂組成物で構成されているが、絶縁層2が通常の絶縁樹脂で構成され、被覆層3のみが、上記の難燃性樹脂組成物で構成されてもよく、被覆層3が通常の絶縁樹脂で構成され、絶縁層2のみが上記の難燃性樹脂組成物で構成されてもよい。さらに絶縁層2は必ずしも必要なものではなく、省略が可能である。
さらに、上記実施形態において絶縁電線4の絶縁層2及び被覆層3を構成する難燃性樹脂組成物は、光ファイバと、光ファイバを直接被覆する絶縁体を有する被覆部とを備える光ファイバケーブルの被覆部又は絶縁体としても適用可能である。例えば図3は、本発明の光ファイバケーブルの一実施形態としてのインドア型光ファイバケーブルを示す断面図である。図3に示すように、インドア型光ファイバケーブル20は、2本のテンションメンバ22,23と、光ファイバ24と、これらを被覆する被覆部25とを備えている。ここで、光ファイバ24は、被覆部25を貫通するように設けられている。ここで、被覆部25は、光ファイバ24を直接被覆する絶縁体で構成され、絶縁体は、上記実施形態において絶縁電線4の絶縁層2及び被覆層3を構成する難燃性樹脂組成物で構成される。
なお、光ファイバケーブル20においては、被覆部25が絶縁体で構成されているが、被覆部25は、絶縁体を被覆する被覆体をさらに有していてもよい。ここで、被覆体は、上記実施形態において絶縁電線4の絶縁層2及び被覆層3を構成する難燃性樹脂組成物で構成されてもよいし、構成されていなくてもよいが、上記実施形態において絶縁電線4の絶縁層2及び被覆層3を構成する難燃性樹脂組成物で構成されていることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜27及び比較例1〜8)
非酸変性ポリオレフィン(非酸変性PO)、酸変性ポリオレフィン(酸変性PO)、シリコーンマスターバッチ(シリコーンMB)、脂肪酸含有化合物及び炭酸カルシウム粒子を、表1〜5に示す配合量で配合し、バンバリーミキサによって160℃にて15分間混練し、難燃性樹脂組成物を得た。ここで、シリコーンMBはポリエチレン又はポリプロピレンとシリコーンガムとの混合物である。なお、表1〜5において、各配合成分の配合量の単位は質量部である。また表1〜5において、非酸変性PO及び酸変性POの配合量の合計が100質量部となっていないが、ベース樹脂は、非酸変性PO及び酸変性POと、シリコーンMB中のポリエチレン又はポリプロピレンとの混合物で構成されており、非酸変性PO及び酸変性POの合計配合量とシリコーンMB中のポリエチレン又はポリプロピレンの配合量とを合計すれば、その合計は100質量部となる。
非酸変性ポリオレフィン(非酸変性PO)、酸変性ポリオレフィン(酸変性PO)、シリコーンマスターバッチ(シリコーンMB)、脂肪酸含有化合物及び炭酸カルシウム粒子を、表1〜5に示す配合量で配合し、バンバリーミキサによって160℃にて15分間混練し、難燃性樹脂組成物を得た。ここで、シリコーンMBはポリエチレン又はポリプロピレンとシリコーンガムとの混合物である。なお、表1〜5において、各配合成分の配合量の単位は質量部である。また表1〜5において、非酸変性PO及び酸変性POの配合量の合計が100質量部となっていないが、ベース樹脂は、非酸変性PO及び酸変性POと、シリコーンMB中のポリエチレン又はポリプロピレンとの混合物で構成されており、非酸変性PO及び酸変性POの合計配合量とシリコーンMB中のポリエチレン又はポリプロピレンの配合量とを合計すれば、その合計は100質量部となる。
上記非酸変性PO、酸変性PO、シリコーンMB、脂肪酸含有化合物及び炭酸カルシウム粒子としては具体的には下記のものを用いた。
(1)非酸変性PO
(1−1)ポリプロピレン
ブロックポリプロピレンコポリマー(ブロックPP):プライムポリマー社製
ホモポリプロピレンコポリマー(ホモPP):サンアロマー製
ランダムポリプロピレンコポリマー(ランダムPP):日本ポリプロ社製
(1−2)ポリエチレンA
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE):住友化学社製 密度928kg/m3
(2)酸変性PO
酸変性PO1:無水マレイン酸変性ポリオレフィン(主鎖:LDPE)、三井化学社製
酸変性PO2:無水マレイン酸変性ポリオレフィン(主鎖:LLDPE)、デュポン社製
酸変性PO3:無水マレイン酸変性ポリオレフィン(主鎖:ランダムPP)、デュポン社製
酸変性PO4:エチレンブチルアクリレート(EBA)、デュポン社製
(3)シリコーンMB
シリコーンMB1:信越化学工業社製
(50質量%シリコーンガムと50質量%ポリエチレン(PE)とを含有、PEの密度:915kg/m3)
シリコーンMB2:信越化学工業社製
(50質量%シリコーンガムと50質量%ポリプロピレン(PP)とを含有、PPの密度:915kg/m3)
(4)脂肪酸含有化合物
ステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸Mg):ADEKA社製
ステアリン酸亜鉛(ステアリン酸Zn):日油社製
(5)炭酸カルシウム粒子
炭酸カルシウム粒子:平均粒径1.7μm、日東粉化社製
(1)非酸変性PO
(1−1)ポリプロピレン
ブロックポリプロピレンコポリマー(ブロックPP):プライムポリマー社製
ホモポリプロピレンコポリマー(ホモPP):サンアロマー製
ランダムポリプロピレンコポリマー(ランダムPP):日本ポリプロ社製
(1−2)ポリエチレンA
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE):住友化学社製 密度928kg/m3
(2)酸変性PO
酸変性PO1:無水マレイン酸変性ポリオレフィン(主鎖:LDPE)、三井化学社製
酸変性PO2:無水マレイン酸変性ポリオレフィン(主鎖:LLDPE)、デュポン社製
酸変性PO3:無水マレイン酸変性ポリオレフィン(主鎖:ランダムPP)、デュポン社製
酸変性PO4:エチレンブチルアクリレート(EBA)、デュポン社製
(3)シリコーンMB
シリコーンMB1:信越化学工業社製
(50質量%シリコーンガムと50質量%ポリエチレン(PE)とを含有、PEの密度:915kg/m3)
シリコーンMB2:信越化学工業社製
(50質量%シリコーンガムと50質量%ポリプロピレン(PP)とを含有、PPの密度:915kg/m3)
(4)脂肪酸含有化合物
ステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸Mg):ADEKA社製
ステアリン酸亜鉛(ステアリン酸Zn):日油社製
(5)炭酸カルシウム粒子
炭酸カルシウム粒子:平均粒径1.7μm、日東粉化社製
[特性評価]
上記のようにして得られた実施例1〜27及び比較例1〜8の難燃性樹脂組成物について、難燃性、耐摩耗性、及び塑性変形抑制性の評価を行った。
上記のようにして得られた実施例1〜27及び比較例1〜8の難燃性樹脂組成物について、難燃性、耐摩耗性、及び塑性変形抑制性の評価を行った。
なお、難燃性、塑性変形抑制性、及び耐摩耗性は、実施例1〜27及び比較例1〜8の難燃性樹脂組成物を用いて以下のようにして絶縁電線を作製し、この絶縁電線について評価した。
(絶縁電線の作製)
実施例1〜27及び比較例1〜8の難燃性樹脂組成物を、単軸押出機(L/D=20、スクリュー形状:フルフライトスクリュー、マース精機社製)に投入して混練し、その押出機からチューブ状の押出物を押し出し、断面積0.382mm2の導体上に、厚さが0.3mmとなるように被覆した。こうして絶縁電線を作製した。
実施例1〜27及び比較例1〜8の難燃性樹脂組成物を、単軸押出機(L/D=20、スクリュー形状:フルフライトスクリュー、マース精機社製)に投入して混練し、その押出機からチューブ状の押出物を押し出し、断面積0.382mm2の導体上に、厚さが0.3mmとなるように被覆した。こうして絶縁電線を作製した。
<難燃性>
上記のようにして得られた10本の絶縁電線について、JASO D618に準拠して水平燃焼試験を行った。そして、燃焼中にドリップせず、30秒以内に自己消火した絶縁電線を合格とし、10本の絶縁電線のうち自己消火した絶縁電線の割合を合格率(単位:%)として下記式に基づいて算出し、この合格率を難燃性の評価指標とした。
合格率(%)=100×自己消火した絶縁電線の本数/試験を行った絶縁電線の総数(10本)
結果を表1〜6に示す。なお、難燃性の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) 合格率が100%であること
上記のようにして得られた10本の絶縁電線について、JASO D618に準拠して水平燃焼試験を行った。そして、燃焼中にドリップせず、30秒以内に自己消火した絶縁電線を合格とし、10本の絶縁電線のうち自己消火した絶縁電線の割合を合格率(単位:%)として下記式に基づいて算出し、この合格率を難燃性の評価指標とした。
合格率(%)=100×自己消火した絶縁電線の本数/試験を行った絶縁電線の総数(10本)
結果を表1〜6に示す。なお、難燃性の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) 合格率が100%であること
<塑性変形抑制性>
上記のようにして得られた10本の絶縁電線について、ストリップ長を4mmに設定して端末ストリップを行った。そして、端末ストリップ後の絶縁電線端部をマイクロスコープで観察してヒゲの長さを測定し、このヒゲの長さを塑性変形抑制性の指標とした。結果を表1〜5に示す。塑性変形抑制性の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) ヒゲの長さが0.7mm以下であること
上記のようにして得られた10本の絶縁電線について、ストリップ長を4mmに設定して端末ストリップを行った。そして、端末ストリップ後の絶縁電線端部をマイクロスコープで観察してヒゲの長さを測定し、このヒゲの長さを塑性変形抑制性の指標とした。結果を表1〜5に示す。塑性変形抑制性の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) ヒゲの長さが0.7mm以下であること
<耐摩耗性>
上記のようにして得られた絶縁電線について、JASO D618に準拠してスクレープ試験を行い、スクレープ回数を測定した。結果を表1〜5に示す。耐摩耗性の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) スクレープ回数が100回以上であること
上記のようにして得られた絶縁電線について、JASO D618に準拠してスクレープ試験を行い、スクレープ回数を測定した。結果を表1〜5に示す。耐摩耗性の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) スクレープ回数が100回以上であること
表1〜5に示す結果より、実施例1〜27の難燃性樹脂組成物は、難燃性、塑性変形抑制性及び耐摩耗性について合格基準に達していた。これに対し、比較例1〜8の難燃性樹脂組成物は、難燃性、塑性変形抑制性及び耐摩耗性のうち少なくとも1つについて合格基準に達していなかった。
このことから、本発明の難燃性樹脂組成物が、良好な難燃性を有しながら、塑性変形を抑制でき、耐摩耗性を向上させることができることが確認された。
本発明の難燃性樹脂組成物が、良好な難燃性を有しながら、塑性変形を抑制でき、耐摩耗性を向上させることができるので、本発明のメタルケーブル、光ファイバケーブル及び成形品は自動車のメタルケーブル、光ファイバケーブル及び成形品として特に適している。
1…金属導体
2…絶縁層
3…被覆層
4…絶縁電線
10…メタルケーブル
20…光ファイバケーブル
24…光ファイバ
25…被覆部(絶縁体)
2…絶縁層
3…被覆層
4…絶縁電線
10…メタルケーブル
20…光ファイバケーブル
24…光ファイバ
25…被覆部(絶縁体)
Claims (8)
- ベース樹脂と、
炭酸カルシウム粒子と、
シリコーン化合物と、
脂肪酸含有化合物とを含み、
前記ベース樹脂が、非酸変性ポリオレフィンと、酸変性ポリオレフィンとで構成され、
前記ベース樹脂中の前記非酸変性ポリオレフィンの含有率が80〜95質量%であり、
前記ベース樹脂中の前記酸変性ポリオレフィンの含有率が5〜20質量%であり、
前記炭酸カルシウム粒子が前記ベース樹脂100質量部に対して1〜80質量部の割合で配合され、
前記シリコーン化合物が前記ベース樹脂100質量部に対して1.5〜10質量部の割合で配合され、
前記脂肪酸含有化合物が前記ベース樹脂100質量部に対して3〜20質量部の割合で配合される、難燃性樹脂組成物。 - 前記非酸変性ポリオレフィンが、ポリプロピレンと、ポリエチレンとを含む、請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記非酸変性ポリオレフィン中の前記ポリプロピレンの含有率が70〜95質量%であり、
前記非酸変性ポリオレフィン中の前記ポリエチレンの含有率が0質量%より大きく25質量%以下である、請求項2に記載の難燃性樹脂組成物。 - 前記酸変性ポリオレフィンが無水マレイン酸変性ポリプロピレンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 金属導体と、
前記金属導体を被覆する絶縁層とを備え、
前記絶縁層が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成される絶縁電線。 - 金属導体、及び、前記金属導体を被覆する絶縁層を有する絶縁電線と、
前記絶縁電線を被覆する被覆層とを備え、
前記絶縁層及び前記被覆層の少なくとも一方が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成されるメタルケーブル。 - 光ファイバと、
前記光ファイバを被覆する被覆部とを備え、
前記被覆部が、前記光ファイバを直接被覆する絶縁体を有し、
前記絶縁体が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成される光ファイバケーブル。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成される成形品。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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