JPWO2018021121A1 - 不純物拡散組成物およびこれを用いた半導体素子の製造方法 - Google Patents

不純物拡散組成物およびこれを用いた半導体素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の一態様である不純物拡散組成物は、半導体基板中に所望の導電型の不純物拡散成分を拡散させるための組成物であり、ポリシロキサン(A)と、不純物拡散成分(B)と、を含有する。このポリシロキサン(A)は、カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造のうち少なくとも一つを含有するポリシロキサンである。この不純物拡散組成物は、半導体素子の製造方法に用いられる。特に、この不純物拡散組成物は、太陽電池の製造に好適に用いられる。

Description

本発明は、半導体基板中に不純物拡散成分を拡散させるための不純物拡散組成物、およびこれを用いた半導体素子の製造方法に関する。
現在、太陽電池等の半導体素子の製造において、半導体基板中にn型またはp型の不純物拡散層を形成する場合には、半導体基板上に不純物拡散源を形成して熱拡散により半導体基板中に不純物拡散成分を拡散させる方法が採られている。不純物拡散源は、CVD法や液状の不純物拡散組成物の溶液塗布法により形成される。
例えば、液状の不純物拡散組成物を使用する場合、まず半導体基板表面に熱酸化膜を形成し、続いて、フォトリソグラフィー法により所定のパターンを有するレジストを熱酸化膜上に積層する。そして、当該レジストをマスクとして、酸またはアルカリにより、当該レジストでマスクされていない熱酸化膜部分をエッチングし、その後、当該レジストを剥離して熱酸化膜によるマスクを形成する。続いて、n型またはp型の不純物拡散組成物を塗布して、マスクが開口している部分に不純物拡散組成物を付着させる。その後、この組成物中の不純物拡散成分を600℃〜1250℃で半導体基板中に熱拡散させて、n型またはp型の不純物拡散層を形成している。
このような太陽電池等の半導体素子の製造に関して、近年では、従来の高度で複雑なフォトリソグラフィー技術を用いず、簡易的に半導体基板の所望部分に対して不純物拡散層を形成する方法が強く望まれている。そのような方法としては、半導体基板上に不純物拡散組成物を塗布し、この塗布膜(すなわち不純物拡散組成物膜)に対して部分的にレーザー光を照射することによって加熱して、選択的に不純物拡散層を形成する方法が検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2012−114298号公報 特開2009−238824号公報
しかしながら、従来の不純物拡散組成物では、レーザー光等を用いて局所的に不純物拡散組成物膜から半導体基板中への不純物拡散成分の熱拡散を行う場合に、レーザー光が照射されていないことに起因して半導体基板に残存する不純物拡散組成物の乾燥膜の洗浄性に問題があった。上記「不純物拡散組成物の乾燥膜」は、半導体基板に塗布して形成した不純物拡散組成物膜のうち、レーザー光が照射されていない部分、すなわち、レーザー未照射部分である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、半導体基板への優れた不純物拡散性を有し、かつ半導体基板に残存する不純物拡散組成物の乾燥膜(レーザー未照射部分)の洗浄性に優れた不純物拡散組成物、およびこれを用いた半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る不純物拡散組成物は、ポリシロキサン(A)と、不純物拡散成分(B)と、を含有し、前記ポリシロキサン(A)は、カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造のうち少なくとも一つを含有することを特徴とする。
また、本発明に係る不純物拡散組成物は、上記の発明において、前記ポリシロキサン(A)は、下記一般式(1)で表されるポリシロキサンであることを特徴とする。
Figure 2018021121
(一般式(1)中、R1は、カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造のうち少なくとも一つを含有する置換基を表し、複数のR1は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。R2、R3およびR4は、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜6のアシル基または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR2、R3およびR4は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。nおよびmは、各括弧内の成分の構成比率(%)を示し、n+m=100であり、n:m=5:95〜30:70である。)
また、本発明に係る不純物拡散組成物は、上記の発明において、前記一般式(1)中のR1は、下記一般式(2)〜(6)のいずれかで表される基を含むことを特徴とする。
Figure 2018021121
(一般式(2)〜(6)中、R5、R7、R8およびR9は、炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R6は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。R10、R11およびR12は、単結合、または炭素数1〜10の鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜16の環状脂肪族炭化水素基、炭素数2〜6のアルキルカルボニルオキシ基、カルボニル基、エーテル基、エステル基、アミド基、炭素数6〜16の芳香族基、もしくはこれらのいずれかを有する2価の基を表す。これらの基の水素原子は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数2〜6のアルキルカルボニルオキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基またはチオール基で置換されていてもよい。h、j、kおよびlは、0〜3の整数を表す。)
また、本発明に係る不純物拡散組成物は、上記の発明において、前記不純物拡散成分(B)の含有量は、0.1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする。
また、本発明に係る不純物拡散組成物は、上記の発明において、前記不純物拡散成分(B)は、リン酸、五酸化二リン、ポリリン酸、リン酸エステル、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸エステル、ボロン酸、ボロン酸エステルから選ばれる1種類以上を含有することを特徴とする。
また、本発明に係る不純物拡散組成物は、上記の発明において、前記不純物拡散成分(B)は、ホウ酸、ボロン酸、ホウ酸エステル、ボロン酸エステルから選ばれる1種類以上を含有し、さらに、水および水溶性のバインダーを含有することを特徴とする。
また、本発明に係る不純物拡散組成物は、上記の発明において、前記水溶性のバインダーは、ポリビニルアルコールであることを特徴とする。
また、本発明に係る半導体素子の製造方法は、半導体基板上に、上記の発明のいずれかに記載の不純物拡散組成物を塗布して不純物拡散組成物膜を形成する膜形成工程と、前記不純物拡散組成物膜から前記半導体基板中に不純物拡散成分を拡散させて不純物拡散層を形成する層形成工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体素子の製造方法は、半導体基板上に、上記の発明のいずれかに記載の不純物拡散組成物を塗布して不純物拡散組成物膜を形成する膜形成工程と、前記不純物拡散組成物膜にレーザー光を照射して、前記不純物拡散組成物膜から前記半導体基板中に不純物拡散成分を拡散させて不純物拡散層を形成する層形成工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体素子の製造方法は、半導体基板上に、上記の発明のいずれかに記載の不純物拡散組成物を塗布して不純物拡散組成物膜を形成する膜形成工程と、前記不純物拡散組成物膜の一部分にレーザー光を照射して、前記不純物拡散組成物膜の一部分から前記半導体基板中に不純物拡散成分を拡散させて不純物拡散層を形成する層形成工程と、前記不純物拡散組成物膜のうち前記レーザー光が照射されていないレーザー未照射部分を酸またはアルカリによって除去する除去工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、半導体基板への優れた不純物拡散性を有し、かつ半導体基板に残存する不純物拡散組成物の乾燥膜の洗浄性に優れた不純物拡散組成物、およびこれを用いた半導体素子の製造方法を提供することができるという効果を奏する。
図1Aは、本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法の一例を示す図である。 図1Bは、本発明の実施形態に係る半導体素子を用いた太陽電池の製造方法の一例を示す図である。
以下、本発明に係る不純物拡散組成物およびこれを用いた半導体素子の製造方法の好適な実施形態を、必要に応じて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施形態により限定されるものではない。
本発明に係る不純物拡散組成物は、太陽電池などの半導体素子を製造する際に、所望の導電型(n型、p型)の不純物拡散層を半導体基板に形成するための組成物であり、ポリシロキサン(A)と、不純物拡散成分(B)と、を含有する。この不純物拡散組成物において、ポリシロキサン(A)は、カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造のうち少なくとも一つを含有する。以下、本発明に係る不純物拡散組成物に含まれる各成分について詳述する。
(ポリシロキサン(A))
本発明におけるポリシロキサン(A)は、カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造のうち少なくとも一つを含有するポリシロキサンである。ポリシロキサン(A)は、このような構成を有することにより、不純物拡散組成物に含有された場合、この不純物拡散組成物に、半導体基板への優れた不純物拡散性を持たせることができる。かつ、ポリシロキサン(A)は、半導体基板への不純物拡散成分の拡散後に当該半導体基板に残存する不純物拡散組成物の乾燥膜の、酸またはアルカリによる洗浄性を向上させることができる。
ポリシロキサン(A)がカルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造のうち少なくとも一つを含有することで、ポリシロキサン(A)中のカルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造のうち少なくとも一つと、酸性またはアルカリ性の洗浄液と、の親和性が向上する。つまり、本発明におけるポリシロキサン(A)を含有する不純物拡散組成物の乾燥膜を洗浄する際に、上記洗浄液に対する当該乾燥膜の溶解性がポリシロキサン(A)によって向上するので、酸またはアルカリによる当該乾燥膜の洗浄性を高めることができる。
上記のようにカルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造のうち少なくとも一つを含有するポリシロキサン(A)は、下記一般式(1)で表されるポリシロキサンであることが好ましい。
Figure 2018021121
上記一般式(1)中、R1は、カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造のうち少なくとも一つを含有する置換基を表す。複数のR1は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。R2、R3およびR4は、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜6のアシル基または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。複数のR2、R3およびR4は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。nおよびmは、各括弧内の成分の構成比率(%)を示す。これらのnおよびmは、n+m=100であり、n:m=5:95〜30:70である。
これらのnおよびmが「n:m=5:95〜30:70である」とは、ポリシロキサン(A)中のカルボキシル基を有するオルガノシランに由来する成分の含有比が、オルガノシランに由来するポリシロキサン(A)全体のSi原子モル数に対するSi原子モル比で、5モル%以上30モル%以下であること、を意味する。
nが5以上であることにより、酸またはアルカリによる不純物拡散組成物の乾燥膜の洗浄性を向上させることができる。この結果、不純物拡散組成物の乾燥膜を半導体基板から除去する洗浄処理を、より短い時間で行うことができる。また、nが30以下であることにより、不純物拡散組成物膜から半導体基板への不純物拡散性を向上させることができる。一般式(1)で表されるポリシロキサン(A)は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。
ポリシロキサン(A)中のカルボキシル基の含有量は、例えば、ポリシロキサン(A)の29Si−NMRスペクトルを測定し、カルボキシル基が結合したSi原子のピーク面積と、カルボキシル基が結合していないSi原子のピーク面積との比から求めることができる。また、Si原子とカルボキシル基とが直接結合していない場合、1H−NMRスペクトルを用いて、カルボキシル基由来のピークと、シラノール基を除くその他のピークとの積分比から、ポリシロキサン(A)全体におけるカルボキシル基の含有量を算出し、この算出結果と前述の29Si−NMRスペクトルの結果とを合わせることにより、Si原子と間接的に結合しているカルボキシル基の含有量を算出することができる。
ポリシロキサン(A)中のジカルボン酸無水物構造の含有量は、例えば、ポリシロキサン(A)の29Si−NMRスペクトルを測定し、ジカルボン酸無水物構造が結合したSi原子のピーク面積と、ジカルボン酸無水物構造が結合していないSi原子のピーク面積との比から求めることができる。また、Si原子とジカルボン酸無水物構造とが直接結合していない場合、1H−NMRスペクトルを用いて、ジカルボン酸無水物構造由来のピークと、シラノール基を除くその他のピークとの積分比から、ポリシロキサン(A)全体におけるジカルボン酸無水物構造の含有量を算出し、この算出結果と前述の29Si−NMRスペクトルの結果とを合わせることにより、Si原子と間接的に結合しているジカルボン酸無水物構造の含有量を算出することができる。
特に、一般式(1)中のR1は、下記一般式(2)〜(6)のいずれかで表される基を含むことが好ましい。これにより、上記不純物拡散組成物の乾燥膜の、酸またはアルカリによる一層良好な洗浄性が得られる。
Figure 2018021121
一般式(2)〜(6)中、R5、R7、R8およびR9は、炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R6は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。R10、R11およびR12は、単結合、または炭素数1〜10の鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜16の環状脂肪族炭化水素基、炭素数2〜6のアルキルカルボニルオキシ基、カルボニル基、エーテル基、エステル基、アミド基、炭素数6〜16の芳香族基、もしくはこれらのいずれかを有する2価の基を表す。これらの基の水素原子は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数2〜6のアルキルカルボニルオキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基またはチオール基で置換されていてもよい。h、j、kおよびlは、0〜3の整数を表す。
つぎに、カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造の少なくとも一つを含有するオルガノシラン化合物について、具体的に説明する。このオルガノシラン化合物は、カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造の少なくとも一つを含有するポリシロキサン(A)の原料である。一般式(1)で表されるポリシロキサン(A)は、以下に説明するオルガノシラン化合物を適宜選択して加水分解および縮合させることで得ることができる。
カルボキシル基を有するオルガノシラン化合物としては、例えば、下記一般式(7)で表されるウレア基含有のオルガノシラン化合物、または、下記一般式(8)で表されるウレタン基含有のオルガノシラン化合物が挙げられる。カルボキシル基を有するオルガノシラン化合物としては、これらを2種類以上用いたものであってもよい。
Figure 2018021121
一般式(7)、(8)中、R13、R15およびR19は、炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R14は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。R16、R17およびR18は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。これらのR16、R17およびR18は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただし、R16、R17およびR18の少なくとも一つは、炭素数1〜6のアルコキシ基である。
一般式(7)、(8)におけるR13およびR19の好ましい例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、フェニレン基、−CH2−C64−CH2−、−CH2−C64−などの炭化水素基が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の観点から、R13およびR19として、フェニレン基、−CH2−C64−CH2−、−CH2−C64−などの芳香族環を有する炭化水素基が好ましい。
一般式(7)におけるR14は、反応性の観点から、水素またはメチル基であることが好ましい。また、一般式(7)、(8)におけるR15の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基などの炭化水素基や、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシn−ブチレン基、オキシn−ペンチレン基などが挙げられる。これらの中でも、合成の容易性の観点から、R15として、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシn−ブチレン基が好ましい。
一般式(7)、(8)におけるR16、R17およびR18のうち、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。これらの中でも、合成の容易性の観点から、R16、R17およびR18のアルキル基として、メチル基またはエチル基が好ましい。また、これらのR16、R17およびR18のうち、アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基などが挙げられる。これらの中でも、合成の容易性の観点から、R16、R17およびR18のアルコキシ基として、メトキシ基またはエトキシ基が好ましい。また、R16、R17およびR18の置換体の置換基としては、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。具体的には、1−メトキシプロピル基、メトキシエトキシ基などが挙げられる。
一般式(7)で表されるウレア基含有のオルガノシラン化合物は、下記一般式(9)で表されるアミノカルボン酸化合物と、下記一般式(11)で表されるイソシアネート基含有のオルガノシラン化合物とから、公知のウレア化反応により得ることができる。また、一般式(8)で表されるウレタン基含有のオルガノシラン化合物は、下記一般式(10)で表されるヒドロキシカルボン酸化合物と、下記一般式(11)で表されるイソシアネート基含有のオルガノシラン化合物とから、公知のウレタン化反応により得ることができる。
Figure 2018021121
一般式(9)〜(11)中、R13、R15およびR19は、炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R14は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。R16、R17およびR18は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。これらのR13〜R19の好ましい例は、一般式(7)、(8)におけるR13〜R19について先に説明したとおりである。
カルボキシル基を有するオルガノシラン化合物のその他の具体例としては、一般式(12)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2018021121
一般式(12)中、R20は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。複数のR20は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。qは、1〜3の整数を表す。rは、2〜20の整数を表す。
ジカルボン酸無水物構造を有するオルガノシラン化合物の具体例としては、下記一般式(13)〜(15)のいずれかで表されるオルガノシラン化合物が挙げられる。ジカルボン酸無水物構造を有するオルガノシラン化合物としては、これらを2種類以上用いたものであってもよい。
Figure 2018021121
一般式(13)〜(15)中、R22、R23およびR24は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。ただし、R22、R23およびR24の少なくとも1つは、炭素数1〜6のアルコキシ基である。
21、R25およびR26は、単結合、または炭素数1〜10の鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜16の環状脂肪族炭化水素基、炭素数2〜6のアルキルカルボニルオキシ基、カルボニル基、エーテル基、エステル基、アミド基、炭素数6〜16の芳香族基、もしくはこれらのいずれかを有する2価の基を表す。これらの基の水素原子は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数2〜6のアルキルカルボニルオキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基またはチオール基で置換されていてもよい。h、j、kおよびlは、0〜3の整数を表す。
21、R25およびR26の具体例としては、−C24−、−C36−、−C48−、−O−、−C36OCH2CH(OH)CH22C−、−CO−、−CO2−、−CONH−、および以下にあげる有機基などが挙げられる。
Figure 2018021121
一般式(13)で表されるオルガノシラン化合物の具体例としては、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリフェノキシシリルプロピルコハク酸無水物などが挙げられる。一般式(14)で表されるオルガノシラン化合物の具体例としては、3−トリメトキシシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物などが挙げられる。一般式(15)で表されるオルガノシラン化合物の具体例としては、3−トリメトキシシシリルプロピルフタル酸無水物などが挙げられる。
カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造の少なくとも一つを含有するポリシロキサン(A)の原料として、カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造の少なくとも一つを含有するオルガノシラン化合物以外のオルガノシラン化合物を併用することも可能である。
このようなオルガノシラン化合物として、例えば、4官能性シラン、3官能性シラン、2官能性シラン、1官能性シランが挙げられる。4官能性シランとして、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラフェノキシシランなどが挙げられる。3官能性シランとして、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリメトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、1−ナフチルトリエトキシシラン、1−ナフチルトリ−n−プロポキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、1−アントラセニルトリメトキシシラン、9−アントラセニルトリメトキシシラン、9−フェナントレニルトリメトキシシラン、9−フルオレニルトリメトキシシラン、2−フルオレニルトリメトキシシラン、1−ピレニルトリメトキシシラン、2−インデニルトリメトキシシラン、5−アセナフテニルトリメトキシシランなどが挙げられる。2官能性シランとして、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジn−ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、ジ(1−ナフチル)ジメトキシシラン、ジ(1−ナフチル)ジエトキシシランなどが挙げられる。1官能性シランとして、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリn−ブチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランなどが挙げられる。これらのオルガノシランは、2種類以上用いてもよい。
カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造の少なくとも一つを含有するポリシロキサン(A)の製造方法は、特に限定されるものではなく、オルガノシラン化合物を部分縮合するなどの公知の方法を用いることができる。この製造方法として、例えば、オルガノシラン混合物に反応溶剤、水、必要に応じて触媒を添加し、50℃〜150℃で0.5時間〜100時間程度、加熱撹拌する方法などが挙げられる。この製造方法において、上記の加熱撹拌中、必要に応じて、加水分解副生物(メタノールなどのアルコール)や縮合副生物(水)を蒸留により留去してもよい。ここで、部分縮合とは、加水分解物のSi−OHを全て縮合させるのではなく、得られるポリシロキサン(A)の一部にSi−OHを残存させることを指す。後述する一般的な縮合条件であれば、Si−OHが部分的に残存することが一般的であり、本発明において、残存させるSi−OH量は制限されない。
上記の反応溶媒としては、特に制限は無いが、通常は後述の溶剤と同様のものを用いることができる。このような反応溶媒の添加量は、オルガノシランなどのモノマーの100重量部に対して10重量部以上1500重量部以下であることが好ましい。また、加水分解反応に用いる水の添加量は、加水分解性基の1モルに対して0.5モル以上5モル以下であることが好ましい。
必要に応じて添加される触媒としては、特に制限はないが、酸触媒が好ましく用いられる。この酸触媒の具体例としては、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、多価カルボン酸あるいはその無水物、イオン交換樹脂が挙げられる。このような触媒の添加量は、オルガノシランなどのモノマーの100重量部に対して0.01重量部以上10重量部以下であることが好ましい。
また、不純物拡散組成物の貯蔵安定性の観点から、加水分解、部分縮合後のポリシロキサン溶液から必要に応じて触媒の除去を行うことができる。この触媒の除去方法としては、特に制限は無いが、操作の簡便さと除去性の観点から、水洗浄およびイオン交換樹脂での処理の少なくとも一つを行うものが好ましい。水洗浄とは、ポリシロキサン溶液を適当な疎水性溶剤で希釈した後、水で数回洗浄して得られた有機層をエバポレーターなどで濃縮する、という方法である。イオン交換樹脂での処理とは、ポリシロキサン溶液を適当なイオン交換樹脂に接触させる、という方法である。
本発明における不純物拡散組成物中の、カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造の少なくとも一つを含有するポリシロキサン(A)の含有量は、不純物拡散組成物中において、0.1質量%以上90質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。ポリシロキサン(A)の含有量が上記範囲内のものであることにより、不純物拡散組成物の優れた不純物拡散性と洗浄性とを得ることができる。
本発明における「基」において、「炭素数」とは、当該基にさらに置換される基も含めた合計の炭素数を表す。例えば、炭素数1〜10のアルキル基は、当該アルキル基(置換基がある場合は、その置換基を含む)における合計の炭素数が1以上10以下であることを意味する。
(不純物拡散成分(B))
不純物拡散成分(B)は、半導体基板中に所望の導電型(n型、p型)の不純物拡散層を形成するための成分である。不純物拡散成分(B)としては、13族または15族の元素を含む化合物であることが好ましい。13族元素としては、ホウ素、アルミニウムおよびガリウムが好ましく、ホウ素が特に好ましい。15族元素としては、リン、ヒ素、アンチモンおよびビスマスが好ましく、リンが特に好ましい。
リン化合物としては、例えば、リン酸エステルや亜リン酸エステルなどが例示される。リン酸エステルとしては、例えば、五酸化二リン、リン酸、ポリリン酸、リン酸メチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル、リン酸エチル、リン酸ジエチル、リン酸トリエチル、リン酸プロピル、リン酸ジプロピル、リン酸トリプロピル、リン酸ブチル、リン酸ジブチル、リン酸トリブチル、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、リン酸トリフェニルなどが挙げられる。亜リン酸エステルとしては、例えば、亜リン酸メチル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸エチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸プロピル、亜リン酸ジプロピル、亜リン酸トリプロピル、亜リン酸ブチル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリフェニルなどが挙げられる。なかでも、ドーピング性の点から、リン酸、五酸化二リンまたはポリリン酸が好ましい。
ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸類、ホウ酸塩類、ハロゲン化物、ボロン酸類、ホウ酸エステル類、ボロン酸エステル類が挙げられる。具体的には、ホウ酸類として、ホウ酸、酸化ホウ素などを挙げることができる。ホウ酸塩類として、ホウ酸アンモニウムなどを挙げることができる。ハロゲン化物として、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三ヨウ化ホウ素などを挙げることができる。ボロン酸類として、メチルボロン酸、フェニルボロン酸などを挙げることができる。ホウ酸エステル類として、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリオクチル、ホウ酸トリフェニルなどを挙げることができる。ボロン酸エステル類として、2−フェニル−1,3,2−ジオキサボリナン、ジイソプロピルメチルボランなどを挙げることができる。これらの中でも、拡散性の観点から、ホウ酸類、ボロン酸類、ホウ酸エステル類、およびボロン酸エステル類が好ましい。
本発明に係る不純物拡散組成物中の不純物拡散成分(B)の含有量は、半導体基板に求められる抵抗値により任意に決めることができるが、0.01質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。不純物拡散成分(B)の含有量が上記範囲内のものであることにより、半導体基板に対する不純物拡散成分(B)の十分な拡散性が得られる。
また、不純物拡散成分(B)としてホウ素化合物を用いる場合、不純物拡散成分(B)は、バインダー樹脂を含有することが好ましい。特に、不純物拡散成分(B)は、ホウ酸、ボロン酸、ホウ酸エステルおよびボロン酸エステルの中から選ばれる1種類以上を含有し、さらに、水と水溶性のバインダーとを含有することが好ましい。ここで、水溶性のバインダーとは、25℃において水に対して10重量%以上の溶解度を示すものを言う。
具体的には、上記水溶性のバインダーなどのバインダー樹脂として、次のものが例示される。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、アクリルアミドアルキルスルホン樹脂、セルロース誘導体、ゼラチン、ゼラチン誘導体、澱粉、澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム化合物、キサンタン、グアーガム、グアーガム誘導体、スクレログルカン、スクレログルカン誘導体、トラガカント、トラガカント誘導体、デキストリン、デキストリン誘導体、水溶性(メタ)アクリル酸エステル樹脂、水溶性ポリブタジエン樹脂、水溶性スチレン樹脂、ブチラール樹脂、これらの共重合体などが挙げられる。しかし、不純物拡散成分(B)におけるバインダー樹脂は、これらに限定されるものではない。また、上記の「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸またはメタクリル酸」を意味する。
不純物拡散成分(B)において、バインダー樹脂は、単独でも2種類以上の組合せでも使用できる。中でも、不純物拡散成分(B)がホウ素化合物である場合、バインダー樹脂は、ホウ素化合物との錯体の形成性および形成した錯体の安定性の観点から、1,2−ジオール構造または1,3−ジオール構造をもつものが好ましく、特に、ポリビニルアルコールが好ましい。
また、不純物拡散成分(B)におけるバインダー樹脂の重合度については、特に制限はないが、好ましい重合度の範囲としては1000以下であり、特に、800以下であることが好ましい。これによって、ポリビニルアルコールなどの水酸基含有高分子の有機溶剤への優れた溶解性が示されるようになる。一方、この重合度の下限値は、特に制限されないが、バインダー樹脂の扱いやすさの観点から、100以上であることが好ましい。なお、本発明において、バインダー樹脂の重合度は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度として求められる。
(溶媒)
本発明に係る不純物拡散組成物は、溶媒を含むことが好ましい。この溶媒は、特に制限なく用いることができるが、スピンコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法やロールコート印刷法などの塗布方法により適宜選択される。このような溶媒として、例えば、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、エーテルアセテート系溶剤、非プロトン性極性溶剤、アルコール系溶剤、グリコールモノエーテル系溶剤、テルペン系溶剤、水などが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用されてもよいし、2種類以上を組み合わせて使用されてもよい。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−iso−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジ−iso−プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテルなどが挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミルなどが挙げられる。
エーテルアセテート系溶剤としては、例えば、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
非プロトン性極性溶剤としては、例えば、アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどが挙げられる。
グリコールモノエーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
テルペン系溶剤としては、例えば、α−テルピネン、α−テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、ターピネオール、カルボン、オシメン、フェランドレンなどが挙げられる。
本発明に係る不純物拡散組成物中の溶剤の含有量は、不純物拡散組成物の粘度により任意に決めることができるが、1質量%以上90質量%以下の範囲内であることが好ましい。
(界面活性剤)
本発明に係る不純物拡散組成物は、界面活性剤を含有してもよい。不純物拡散組成物が界面活性剤を含有することで、半導体基板に不純物拡散組成物を塗布した際の塗布ムラが改善し、この結果、不純物拡散組成膜の均一な塗布膜が得られる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤や、シリコーン系界面活性剤が好ましく用いられる。
フッ素系界面活性剤の具体的な例としては、末端、主鎖および側鎖の少なくとも何れかの部位にフルオロアルキルまたはフルオロアルキレン基を有する化合物からなるフッ素系界面活性剤を挙げることができる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、1,1,2,2−テトラフルオロオクチル(1,1,2,2−テトラフルオロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル、パーフルオロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフルオロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロデカン、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N′−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル−N−エチルスルホニルグリシン塩、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)、モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エステルなどが挙げられる。
また、市販品としては、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183、同F444、同F475、同F477(以上、大日本インキ化学工業社製)、エフトップEF301、同303、同352(新秋田化成社製)、フロラードFC−430、同FC−431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子社製)、BM−1000、BM−1100(裕商社製)、NBX−15、FTX−218、DFX−218(ネオス社製)などのフッ素系界面活性剤がある。
シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、SH28PA、SH7PA、SH21PA、SH30PA、ST94PA(いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、BYK067A、BYK310、BYK322、BYK331、BYK333、BYK355(ビックケミー・ジャパン社製)などが挙げられる。
不純物拡散組成物に界面活性剤を添加する場合、この不純物拡散組成物中における界面活性剤の含有量は、0.0001質量%以上1質量%以下とすることが好ましい。界面活性剤の含有量を上記範囲内とすることにより、半導体基板に対する不純物拡散組成物の優れた塗布性を得ることができる。
(増粘剤)
本発明に係る不純物拡散組成物は、粘度調整のために増粘剤を含有してもよい。増粘剤としては、有機系のものと無機系のものとが挙げられる。有機系の増粘剤としては、例えば、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、デンプン誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴム、ポリアクリル酸、各種アクリル系樹脂、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシド、シリコーンオイル、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム系多糖類、ジェランガム系多糖類、グァーガム系多糖類、カラギーナン系多糖類、ローカストビーンガム系多糖類、カルボキシビニルポリマー、水添ひまし油系、水添ひまし油系と脂肪酸アマイドワックス系との混合物、特殊脂肪酸系、酸化ポリエチレン系、酸化ポリエチレン系とアマイド系との混合物、脂肪酸系多価カルボン酸、リン酸エステル系界面活性剤、長鎖ポリアミノアマイドとリン酸との塩、特殊変性ポリアマイド系などが挙げられる。無機系の増粘剤としては、例えば、ベントナイト、モンモリロン石、マグネシアンモンモリロン石、テツモンモリロン石、テツマグネシアンモンモリロン石、バイデライト、アルミンバイデライト、サポー石、アルミニアンサポー石、ラポナイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、有機ヘクトライト、微粒子酸化ケイ素、コロイダルアルミナ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらは、複数種類のものを組み合わせて使用してもよい。
これらの増粘剤の中でチクソ性を付与するチクソ剤にあたるものとしては、セルロース、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム系多糖類、ジェランガム系多糖類、グァーガム系多糖類、カラギーナン系多糖類、ローカストビーンガム系多糖類、カルボキシビニルポリマー、水添ひまし油系、水添ひまし油系と脂肪酸アマイドワックス系との混合物、特殊脂肪酸系、酸化ポリエチレン系、酸化ポリエチレン系とアマイド系との混合物、脂肪酸系多価カルボン酸、リン酸エステル系界面活性剤、長鎖ポリアミノアマイドとリン酸との塩、特殊変性ポリアマイド系、ベントナイト、モンモリロン石、マグネシアンモンモリロン石、テツモンモリロン石、テツマグネシアンモンモリロン石、バイデライト、アルミンバイデライト、サポー石、アルミニアンサポー石、ラポナイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、有機ヘクトライト、微粒子酸化ケイ素、コロイダルアルミナ、炭酸カルシウムなどを例示できる。
また、セルロース系増粘剤の市販品としては、ダイセルファインケム社製の1110、1120、1130、1140、1150、1160、1170、1180、1190、2200、2260、2280、2450などがある。多糖類系増粘剤の市販品としては、エフエムシー・ケミカルズ社製のViscarinPC209、ViscarinPC389、SeaKemXP8012、三菱商事社製のCAM−H、GJ−182、SV−300、LS−20、LS−30、XGT、XGK−D、G−100、LG−10などがある。
水添ひまし油系増粘剤の市販品としては、楠本化成社製のディスパロン308、NAMLONT−206、伊藤製油社製のT−20SF、T−75Fなどがある。酸化ポリエチレン系増粘剤の市販品としては、伊藤製油社製のD−10A、D−120、D−120−10、D−1100、DS−525、DS−313、楠本化成社製のディスパロン4200−20、同PF−911、同PF−930、同4401−25X、同NS−30、同NS−5010、同NS−5025、同NS−5810、同NS−5210、同NS−5310、共栄社化学社製のフローノンSA−300、同SA−300Hなどがある。アマイド系増粘剤の市販品としては、伊藤製油社製のT−250F、T−550F、T−850F、T−1700、T−1800、T−2000、楠本化成社製のディスパロン6500、同6300、同6650、同6700、同3900EF、共栄社化学社製のターレン7200、同7500、同8200、同8300、同8700、同8900、同KY−2000、同KU−700、同M−1020、同VA−780、同VA−750B、同2450、フローノンSD−700、同SDR−80などがある。
ベントナイト系増粘剤の市販品としては、ホージュン社製のベンゲル、ベンゲルHV、同HVP、同F、同FW、同ブライト11、同A、同W−100、同W−100U、同W−300U、同SH、マルチベン、エスベン、エスベンC、同E、同W、同P、同WX、オルガナイト、オルガナイトDなどがある。微粒子酸化ケイ素系増粘剤の市販品としては、日本アエロジル社製のAEROSILR972、同R974、同NY50、同RY200S、同RY200、同RX50、同NAX50、同RX200、同RX300、同VPNKC130、同R805、同R104、同R711、同OX50、同50、同90G、同130、同200、同300、同380、旭化成社製のWACKER HDK S13、同V15、同N20、同N20P、同T30、同T40、同H15、同H18、同H20、同H30などがある。
増粘剤としては、その分解性の観点から、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシド、各種アクリル酸エステル系樹脂が好ましい。これらの中でも、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはアクリル酸エステル系樹脂がより好ましく、ポリエチレンオキシドが特に好ましい。
アクリル酸エステル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸プロピル、ポリアクリル酸ブチル、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリベンジルメタクリレート、ポリグリシジルメタクリレートなどのポリアクリル酸エステルおよびこれらの共重合体が挙げられる。アクリル酸エステル系樹脂が共重合体である場合、上記アクリル酸エステル成分は、重合比率として60モル%以上であればよく、他の共重合成分として、ポリアクリル酸、ポリスチレンなどのビニル重合可能な成分を共重合していても構わない。
また、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドについては、これら2種類の共重合体も好ましい。アクリル酸エステル系樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドのいずれも、重量平均分子量が10万以上であるものが、増粘効果が高いので、好ましい。不純物拡散組成物中における増粘剤の含有量は、1質量%以上20質量%以下の範囲内であることが好ましい。
本発明に係る不純物拡散組成物の粘度は、特に制限されず、不純物拡散組成物の塗布法または膜厚に応じて適宜変更することができる。例えば、不純物拡散組成物の塗布法がスピンコート法である場合、不純物拡散組成物の粘度は、100[mPa・s]以下であることが好ましい。また、不純物拡散組成物の塗布法がスクリーン印刷法である場合、不純物拡散組成物の粘度は、5,000[mPa・s]以上100,000[mPa・s]以下であることが好ましい。
ここで、粘度は、1,000[mPa・s]未満の場合、JIS Z8803(1991)「溶液粘度−測定方法」に基づきE型デジタル粘度計を用いて回転数20rpmで測定された値である。また、粘度は、1,000[mPa・s]以上の場合、JIS Z8803(1991)「溶液粘度−測定方法」に基づきB型デジタル粘度計を用いて回転数20rpmで測定された値である。
本発明に係る不純物拡散組成物の固形分濃度は、特に制限されないが、1質量%以上90質量%以下であることが好ましい。不純物拡散組成物の固形分濃度が上記範囲であれば、不純物拡散組成物の拡散性、保存安定性が良好となる。
(半導体素子の製造方法)
つぎに、本発明に係る不純物拡散組成物を用いた半導体素子の製造方法について説明する。本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法は、上述したポリシロキサン(A)と不純物拡散成分(B)とを含有する不純物拡散組成物を用いた不純物拡散層の形成方法を利用するものである。このような半導体素子の製造方法は、半導体基板上に、上述の不純物拡散組成物を塗布して不純物拡散組成物膜を形成する膜形成工程と、この不純物拡散組成物膜から当該半導体基板中に不純物拡散成分(B)を拡散させて不純物拡散層を形成する層形成工程と、を含む。
また、本発明の好適な一実施形態として、半導体素子の製造方法は、上記の膜形成工程と、半導体基板上の不純物拡散組成物膜にレーザー光を照射して、この不純物拡散組成物膜から当該半導体基板中に不純物拡散成分(B)を拡散させて不純物拡散層を形成する層形成工程と、を含む。特に、本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、上記の膜形成工程と、半導体基板上に形成した不純物拡散組成物膜の一部分にレーザー光を照射して、この不純物拡散組成物膜の一部分から当該半導体基板中に不純物拡散成分(B)を拡散させて不純物拡散層を形成する層形成工程と、この不純物拡散組成物膜のうちレーザー光が照射されていないレーザー未照射部分を酸またはアルカリによって除去する除去工程と、を含む。
図1Aは、本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法の一例を示す図である。本実施形態では、裏面接合型の太陽電池用の半導体素子を製造する場合に適用される製造方法が例示される。裏面接合型の太陽電池用の半導体素子においては、この太陽電池における受光面の反対側の面である裏面に、p型の不純物拡散層およびn型の不純物拡散層が形成される。
具体的には、図1Aに示すように、この半導体素子の製造方法では、まず、第一の膜形成工程(工程ST101)が行われる。この工程ST101では、半導体基板1の所定面(太陽電池における裏面)上に、本発明における第一導電型の不純物拡散組成物を塗布する。これにより、半導体基板1の所定面上に不純物拡散組成物膜2が形成される。不純物拡散組成物膜2は、所定の導電型(n型またはp型)を有する第一導電型の不純物拡散組成物膜である。
本実施形態において、第一導電型の不純物拡散組成物は、上述したポリシロキサン(A)と第一導電型の不純物拡散成分(B−1)とを含有する不純物拡散組成物である。第一導電型の不純物拡散成分(B−1)は、上述した不純物拡散成分(B)の一態様(例えば13族元素または15族元素を含む化合物)であり、後述する第二導電型の不純物拡散成分(B−2)とは異なる導電型を有する。
半導体基板1としては、例えば、不純物濃度が1015〜1016[atoms/cm3]であるn型単結晶シリコン、多結晶シリコン、およびゲルマニウム、炭素などのような他の元素が混合されている結晶シリコン基板が挙げられる。あるいは、p型結晶シリコンやシリコン以外の半導体基板を用いることも可能である。半導体基板1は、厚さが50[μm]〜300[μm]であり、外形が一辺100[μm]〜250[μm]の概略四角形であることが好ましい。また、半導体基板1の各面のスライスダメージや自然酸化膜を除去するために、フッ酸溶液やアルカリ溶液などで、半導体基板1の各面をエッチングしておくことが好ましい。
また、半導体基板1の受光面(不純物拡散組成物膜2が形成される面とは反対側の面)には、保護膜を形成してもよい。この保護膜は、CVD(化学気相成長)法やスピンオングラス(SOG)法などの手法によって製膜することができる。例えば、この保護膜として、酸化シリコンや窒化シリコンなどの公知の保護膜を適用することができる。
工程ST101に適用される第一導電型の不純物拡散組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、スリット塗布法、凸版印刷法、凹版印刷法などが挙げられる。工程ST101においては、これらの塗布方法のうちのいずれかによって不純物拡散組成物膜2を形成後、この不純物拡散組成物膜2をホットプレート、オーブン、IRヒーターなどで、50℃〜200℃の範囲で1秒〜30分間乾燥することが好ましい。乾燥後の不純物拡散組成物膜2の膜厚は、半導体基板1中への不純物拡散成分(B−1)の拡散性を考慮すると、200[nm]以上5[μm]以下であることが好ましい。
上述した工程ST101が完了した後、図1Aに示すように、第一の層形成工程(工程ST102)が行われる。この工程ST102では、不純物拡散組成物膜2から半導体基板1中に不純物拡散成分(B−1)を拡散させ、これにより、半導体基板1中に不純物拡散層3を形成する。不純物拡散層3は、不純物拡散組成物膜2と同じ導電型を有する第一導電型の不純物拡散層である。
本実施形態では、不純物拡散組成物膜2にレーザー光10を照射して、この不純物拡散組成物膜2から半導体基板1中に不純物拡散成分(B−1)を拡散させる。具体的には、不純物拡散組成物膜2のうち目的とする部分(例えば所望パターンをなす一部分)にレーザー光10を照射する。このレーザー光10の照射による加熱(以下、「レーザー加熱」という)により、不純物拡散組成物膜2中の不純物拡散成分(B−1)を半導体基板1中へ部分的(所望パターン状)に拡散させる。この結果、図1Aに示すように、半導体基板1中に不純物拡散層3が所望のパターン状に形成される。このとき、不純物拡散組成物膜2全体のうち、レーザー加熱によって不純物拡散層3が形成された部分(図1A中の破線部分)は、アブレーションにより消失させてもよいし、消失させずに残っていてもよい。
また、上記のレーザー加熱に用いるレーザー光10は、特に制限は無く、公知のものを使用することができる。例えば、レーザー光10として、Nd:YAGレーザーまたはNd:YVO4レーザーの基本波(1064[nm])や2倍波(532[nm])や3倍波(355[nm])、或いはXeClエキシマレーザー(308[nm])、KrFエキシマレーザー(248[nm])、ArFエキシマレーザー(198[nm])などのレーザー光を用いることができる。
レーザー光10のエネルギー密度は、0.25[J/cm2]以上25[J/cm2]以下であることが好ましい。レーザー加熱による不純物拡散成分(工程ST102では不純物拡散成分(B−1))の拡散時間は、対象とする不純物拡散成分の濃度、拡散深さなどの所望の拡散特性が得られるように適宜設定することができる。例えば、半導体基板面における不純物拡散成分の濃度は、1019〜1021[atoms/cm3]の不純物拡散層を形成し得る程度であることが好ましい。レーザー加熱による不純物拡散成分の拡散雰囲気は、特に限定されず、大気と同じ雰囲気であってもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガスを用いて雰囲気中の酸素量などが適宜コントロールされた雰囲気であってもよい。
上述した工程ST102が完了した後、図1Aに示すように、第一の除去工程(工程ST103)が行われる。この工程ST103では、半導体基板1上に残存する不純物拡散組成物膜2を、洗浄液を用いて除去する。本実施形態では、不純物拡散組成物膜2のうち、レーザー光10が照射されていないレーザー未照射部分が、半導体基板1上に残存している。工程ST103では、このようなレーザー未照射部分を洗浄液によって除去する。この洗浄液としては、例えば、塩酸、フッ酸、硝酸、硫酸、TMAHやKOHなど、公知の酸またはアルカリの洗浄液を用いることができる。中でも、半導体基板1に形成された保護膜へのダメージを抑制できるという観点から、TMAHやKOHなどのアルカリの洗浄液を用いることが好ましい。
上述した工程ST103が完了した後、図1Aに示すように、第二の膜形成工程(工程ST104)が行われる。この工程ST104では、半導体基板1の所定面上に、本発明における第二導電型の不純物拡散組成物を塗布する。これにより、半導体基板1の所定面上に不純物拡散組成物膜4が形成される。この第二導電型の不純物拡散組成物の塗布方法としては、特に限定されず、上述した工程ST101において第一導電型の不純物拡散組成物を塗布する方法と同様の公知の塗布方法を用いることができる。
本実施形態において、不純物拡散組成物膜4は、上述した不純物拡散組成物膜2の導電型(第一導電型)とは異なる導電型を有する第二導電型の不純物拡散組成物膜である。第二導電型の不純物拡散組成物は、上述したポリシロキサン(A)と第二導電型の不純物拡散成分(B−2)とを含有する不純物拡散組成物である。第二導電型の不純物拡散成分(B−2)は、上述した不純物拡散成分(B)の一態様(例えば13族元素または15族元素を含む化合物)であり、上述した第一導電型の不純物拡散成分(B−1)とは異なる導電型を有する。
また、工程ST104においても、上述した工程ST101と同様に、不純物拡散組成物膜4を形成後、この不純物拡散組成物膜4を乾燥することが好ましい。乾燥後の不純物拡散組成物膜4の膜厚は、例えば、半導体基板1中への不純物拡散成分(B−2)の拡散性を考慮して設定される。
上述した工程ST104が完了した後、図1Aに示すように、第二の層形成工程(工程ST105)が行われる。この工程ST105では、不純物拡散組成物膜4から半導体基板1中に不純物拡散成分(B−2)を拡散させ、これにより、半導体基板1中に不純物拡散層5を形成する。不純物拡散層5は、不純物拡散組成物膜4と同じ導電型を有する第二導電型の不純物拡散層である。すなわち、不純物拡散層5の導電型(第二導電型)は、既に形成されている不純物拡散層3の導電型(第一導電型)とは異なる。
本実施形態では、不純物拡散組成物膜4にレーザー光10を照射して、この不純物拡散組成物膜4から半導体基板1中に不純物拡散成分(B−2)を拡散させる。具体的には、不純物拡散組成物膜4のうち目的とする部分(例えば不純物拡散層3以外の部分であって所望パターンをなす一部分)にレーザー光10を照射して、この目的とする部分をレーザー加熱する。このレーザー加熱により、不純物拡散組成物膜4中の不純物拡散成分(B−2)を半導体基板1中へ部分的(所望パターン状)に拡散させる。この結果、図1Aに示すように、半導体基板1中に不純物拡散層5が所望のパターン状に形成される。このとき、不純物拡散組成物膜4全体のうち、レーザー加熱によって不純物拡散層5が形成された部分(図1A中の破線部分)は、アブレーションにより消失させてもよいし、消失させずに残っていてもよい。
また、上記のレーザー加熱に用いるレーザー光10は、特に制限は無く、上述した工程ST102において第一導電型の不純物拡散組成物(不純物拡散組成物膜2)をレーザー加熱する方法と同様の公知のものを使用することができる。レーザー加熱による不純物拡散成分(工程ST105では不純物拡散成分(B−2))の拡散時間は、対象とする不純物拡散成分の濃度、拡散深さなどの所望の拡散特性が得られるように適宜設定することができる。例えば、半導体基板面における不純物拡散成分の濃度は、1019〜1021[atoms/cm3]の不純物拡散層を形成し得る程度であることが好ましい。レーザー加熱による不純物拡散成分の拡散雰囲気は、特に限定されず、大気と同じ雰囲気であってもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガスを用いて雰囲気中の酸素量などが適宜コントロールされた雰囲気であってもよい。
上述した工程ST105が完了した後、図1Aに示すように、第二の除去工程(工程ST106)が行われる。この工程ST106では、半導体基板1上に残存する不純物拡散組成物膜4を、洗浄液を用いて除去する。本実施形態では、不純物拡散組成物膜4のうちのレーザー未照射部分が、半導体基板1上に残存している。工程ST106では、このようなレーザー未照射部分を洗浄液によって除去する。この洗浄液としては、例えば、塩酸、フッ酸、硝酸、硫酸、TMAHやKOHなど、公知の酸またはアルカリの洗浄液を用いることができる。中でも、半導体基板1に形成された保護膜へのダメージを抑制できるという観点から、TMAHやKOHなどのアルカリの洗浄液を用いることが好ましい。
上述した工程ST101〜ST106を順次行うことにより、本実施形態に係る半導体素子15が製造される。この半導体素子15は、裏面接合型の太陽電池用の半導体素子として適している。
つぎに、本発明の実施形態に係る半導体素子を用いた太陽電池の製造方法について説明する。図1Bは、本発明の実施形態に係る半導体素子を用いた太陽電池の製造方法の一例を示す図である。図1Bには、本実施形態に係る太陽電池の製造に用いられる半導体素子15の製造(図1A参照)が行われた後の工程が図示されている。
本実施形態に係る太陽電池の製造方法は、図1Aに示した半導体素子15の製造方法を含むものである。すなわち、上述したように半導体素子15を製造した後、公知の方法を用いて、本実施形態における太陽電池(裏面接合型の太陽電池)を製造することができる。
例えば、本実施形態に係る太陽電池の製造方法では、図1Aに示した半導体素子15の製造工程に続いて、図1Bに示すように、保護膜形成工程(工程ST201)が行われる。この工程ST201では、半導体基板1の裏面に、保護膜6を形成する。半導体基板1の裏面は、半導体素子15の受光面(図1Bでは紙面下側の面)とは反対側の面であり、導電型が互いに異なる不純物拡散層3、5が形成された側の面である。本実施形態では、このような半導体基板1の裏面上の全面に、保護膜6が形成される。保護膜6としては、例えば、熱酸化層、酸化アルミニウム層、SiNx層、アモルファスシリコン層を積層したものなどが挙げられる。また、保護膜6の形成方法としては、例えば、プラズマCVD法、ALD(原子層堆積)法などの蒸着法、または塗布法が挙げられる。
上述した工程ST201が完了した後、図1Bに示すように、パターン加工工程(工程ST202)が行われる。この工程ST202では、半導体基板1の裏面上の保護膜6を、エッチング法などにより、所望のパターン状に加工(パターン加工)する。これにより、保護膜6に複数の開口部6aが形成される。これら複数の開口部6aは、各々、半導体基板1に形成された状態の不純物拡散層3、5を離散的に露出させるものである。
上述した工程ST202が完了した後、図1Bに示すように、電極形成工程(工程ST203)が行われる。この工程ST203では、半導体基板1の裏面のうち保護膜6の開口部6aを含む各領域に、ストライプ塗布法やスクリーン印刷法などの手法によって電極ペーストをパターン状に塗布し、塗布した電極ペーストを焼成する。これにより、半導体基板1の上記各領域に、コンタクト電極7、8が各々形成される。これらのうち、一方のコンタクト電極7は、第一導電型の不純物拡散層3と接続される第一導電型のコンタクト電極である。他方のコンタクト電極8は、第二導電型の不純物拡散層5と接続される第二導電型のコンタクト電極である。以上の各工程により、本実施形態に係る裏面接合型の太陽電池9が製造される。
上述した半導体素子15および太陽電池9の各製造方法において、「第一導電型」および「第二導電型」は、互いに異なる導電型であって、一方がp型を表し、他方がn型を表す。例えば、第一導電型がp型であれば、第二導電型はn型である。
また、本発明に係る不純物拡散組成物を用いた半導体素子の製造方法の別の例については、両面発電型の太陽電池、PERC型の太陽電池、PERT型の太陽電池などの各種太陽電池の選択エミッタ層の形成に適用することもできる。
本発明に係る不純物拡散組成物およびこれを用いた半導体素子の製造方法は、上述の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などの変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範疇に含まれるものである。
また、本発明に係る不純物拡散組成物は、太陽電池などの光起電力素子や、半導体基板面に不純物拡散層をパターン形成する半導体デバイス、例えば、トランジスターアレイやダイオードアレイ、フォトダイオードアレイ、トランスデューサーなどにも展開することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されない。
(シート抵抗値評価)
シート抵抗値評価は、半導体基板における不純物拡散層のシート抵抗値(表面抵抗率ともいう)を評価するものである。シート抵抗値評価において、評価用の半導体基板は、3cm×3cmにカットしたn型シリコンウェハ(フェローテックシリコン社製、表面抵抗率410[Ω/□])とした。このシリコンウェハを、1%のフッ酸水溶液に5分間浸漬した後に水洗し、エアブローした後、ホットプレートにより100℃で5分間、熱処理した。
つぎに、測定対象の不純物拡散組成物を、プリベーク膜厚が400nm程度になるように、公知のスピンコート法で評価用のシリコンウェハに塗布して、このシリコンウェハ面上に測定対象の不純物拡散組成物の塗布膜(すなわち不純物拡散組成物膜)を形成した。ついで、このシリコンウェハを140℃で3分間プリベークした。その後、このシリコンウェハ面上の不純物拡散組成物膜のプリベーク膜厚(プリベーク後の膜厚)を、表面形状測定装置(サーフコム1400 東京精密社製)によって測定した。
続いて、上述の手法によって不純物拡散組成物膜を形成した各シリコンウェハに対し、所定のレーザー光を1cm×1cmの範囲に照射して、各シリコンウェハ中へ不純物拡散組成物膜内の不純物拡散成分(B)を熱拡散させた。この際、レーザー光は、Nd:YVO4レーザーとした。このレーザー光において、波長は355[nm]とし、パルス幅は25[ns]とし、周波数は20[kHz]とした。また、レーザー出力は1[W]とした。スポット形状は40[μm]の矩形とした。スキャンスピードは3000[mm/s]とした。
不純物拡散成分(B)の熱拡散後、各シリコンウェハを、1質量%のTMAH水溶液に23℃で10分間浸漬した。これにより、上記のレーザー光照射によって硬化した不純物拡散組成物膜(拡散剤)を剥離した。上記膜を剥離した後の各シリコンウェハに対して、p/n判定機を用いてp/n判定を行い、各シリコンウェハにおける不純物拡散成分(B)の拡散部分の表面抵抗を、四探針式表面抵抗測定装置(RT−70V ナプソン社製)を用いて測定し、得られた測定値をシート抵抗値とした。シート抵抗値は、半導体基板中に対する不純物拡散成分(B)の拡散性の指標となるものである。シート抵抗値が小さい方が、不純物拡散成分(B)の拡散量が大きいことを意味する。
(乾燥膜の洗浄性評価)
乾燥膜の洗浄性評価は、レーザー光の照射による不純物拡散成分(B)の熱拡散後に半導体基板面上に乾燥した状態で残存する不純物拡散組成物膜(乾燥膜)の洗浄性を評価するものである。乾燥膜の洗浄性評価において、評価用の半導体基板は、3cm×3cmにカットしたn型シリコンウェハ(フェローテックシリコン社製、表面抵抗率410[Ω/□])とした。このシリコンウェハを、1%のフッ酸水溶液に5分間浸漬した後に水洗し、エアブローした後、ホットプレートにより100℃で5分間、熱処理した。
つぎに、測定対象の不純物拡散組成物を、プリベーク膜厚が400nm程度になるように、公知のスピンコート法で評価用のシリコンウェハに塗布して、このシリコンウェハ面上に測定対象の不純物拡散組成物膜を形成した。ついで、このシリコンウェハを140℃で3分間プリベークした。これにより、測定対象の不純物拡散組成物膜を、その乾燥膜(プリベーク膜)とした。その後、このシリコンウェハを洗浄液に浸漬して、このシリコンウェハ面上のプリベーク膜が溶解するまでの時間を計測した。本洗浄性評価では、プリベーク膜が1分以内で溶解した場合をexcellentと判定し、プリベーク膜が3分以内で溶解した場合をgoodと判定し、プリベーク膜の溶解に5分以上かかった場合をbadと判定した。
(実施例1)
実施例1では、以下のようにしてポリシロキサン(A)を合成し、得られたポリシロキサン(A)を含有する不純物拡散組成物について、シート抵抗値評価および乾燥膜の洗浄性評価を行った。
実施例1のポリシロキサン(A)の合成では、500mLの三口フラスコに、15.73g(0.06mol)の3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸と、155.29g(1.14mol)のメチルトリメトキシシランと、192.29gのプロピレングリコールモノメチルエーテルとを仕込み、40℃で攪拌しながら、64.0gの水に0.5gのギ酸を溶かしたリン酸水溶液を、30分間かけて添加した。滴下終了後、得られた溶液を、40℃で1時間撹拌した後、70℃に昇温し、30分間撹拌した。その後、オイルバスを115℃まで昇温した。昇温開始の1時間後に、この溶液の内温が100℃に到達し、そこから1時間、この溶液を加熱攪拌した(内温は100℃〜110℃)。これによって得られた溶液を氷浴にて冷却し、ポリシロキサン溶液を得た。得られたポリシロキサン溶液の固形分濃度は42.0質量%であった。このポリシロキサン溶液から、実施例1のポリシロキサン(A)が得られた。
上記のように合成したポリシロキサン(A)を用いて、後述の表1に記載の各組成の構成比、モル比および含有量で実施例1の不純物拡散組成物を調整した。実施例1のシート抵抗値評価および乾燥膜の洗浄性評価は、実施例1の不純物拡散組成物について行った。この結果、後述の表2に示すとおり、シート抵抗値評価では良好な値(すなわち不純物拡散成分(B)の良好な拡散性(以下、「不純物拡散性」という))が得られ、洗浄性評価ではexcellentであった。
(実施例2〜8)
実施例2〜8では、上述した実施例1と同様に、表1に記載のオルガノシラン化合物の比率でポリシロキサン(A)を合成し、表1に記載の各組成の構成比、モル比および含有量で実施例2〜8の各不純物拡散組成物を調整した。実施例2〜8では、実施例毎に得られた不純物拡散組成物について、シート抵抗値評価および乾燥膜の洗浄性評価を行った。この結果、表2に示すとおり、実施例2〜8のいずれについても、シート抵抗値(不純物拡散性)および洗浄性評価の双方とも良好であった。特に、ポリシロキサン(A)中の、カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造の少なくとも一つを有するオルガノシランの含有比(モル比)が、オルガノシランに由来するポリシロキサン(A)全体のSi原子モル数に対するSi原子モル比で、5モル%以上30モル%以下である実施例2〜5、8は、不純物拡散性が良好であり且つ洗浄性評価がexcellentであった。
(実施例9)
実施例9では、カルボキシル基を有するポリシロキサン(A)として“X−22−3701E”(商品名、信越化学工業社製)を用いた。このポリシロキサン(A)(8g)と、リン酸(6g)と、BYK333(0.03g)と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(85.97g)とを混合して、実施例9の不純物拡散組成物を調整した。実施例9では、このように得られた不純物拡散組成物について、シート抵抗値評価および乾燥膜の洗浄性評価を行った。この結果、表2に示すとおり、シート抵抗値評価では良好な値(良好な不純物拡散性)が得られ、洗浄性評価ではgoodであった。
なお、表1には示していないが、実施例9のポリシロキサン“X−22−3701E”中の、カルボキシル基を有するオルガノシランに由来する成分の含有比は、オルガノシランに由来するポリシロキサン全体のSi原子モル数に対するSi原子モル比で、5モル%未満である。
(比較例1)
比較例1では、上述した実施例1と同様に、表1に記載のオルガノシラン化合物の比率でポリシロキサンを合成し、表1に記載の各組成の構成比、モル比および含有量で比較例1の不純物拡散組成物を調整した。比較例1のシート抵抗値評価および乾燥膜の洗浄性評価は、上記のようにして得られた比較例1の不純物拡散組成物について行った。この結果、表2に示すとおり、シート抵抗値(不純物拡散性)は良好であったが、洗浄性評価はbadであった。
Figure 2018021121
Figure 2018021121
以上のように、本発明に係る不純物拡散組成物およびこれを用いた半導体素子の製造方法は、半導体基板に対する不純物拡散性と、不純物拡散後の半導体基板に残存する不純物拡散組成物膜の洗浄性との双方を向上させることに適している。
1 半導体基板
2、4 不純物拡散組成物膜
3、5 不純物拡散層
6 保護膜
6a 開口部
7、8 コンタクト電極
9 太陽電池
10 レーザー光
15 半導体素子

Claims (10)

  1. ポリシロキサン(A)と、
    不純物拡散成分(B)と、
    を含有し、前記ポリシロキサン(A)は、カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造のうち少なくとも一つを含有することを特徴とする不純物拡散組成物。
  2. 前記ポリシロキサン(A)は、下記一般式(1)で表されるポリシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の不純物拡散組成物。
    Figure 2018021121
    (一般式(1)中、R1は、カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造のうち少なくとも一つを含有する置換基を表し、複数のR1は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。R2、R3およびR4は、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜6のアシル基または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR2、R3およびR4は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。nおよびmは、各括弧内の成分の構成比率(%)を示し、n+m=100であり、n:m=5:95〜30:70である。)
  3. 前記一般式(1)中のR1は、下記一般式(2)〜(6)のいずれかで表される基を含むことを特徴とする請求項2に記載の不純物拡散組成物。
    Figure 2018021121
    (一般式(2)〜(6)中、R5、R7、R8およびR9は、炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R6は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。R10、R11およびR12は、単結合、または炭素数1〜10の鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜16の環状脂肪族炭化水素基、炭素数2〜6のアルキルカルボニルオキシ基、カルボニル基、エーテル基、エステル基、アミド基、炭素数6〜16の芳香族基、もしくはこれらのいずれかを有する2価の基を表す。これらの基の水素原子は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数2〜6のアルキルカルボニルオキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基またはチオール基で置換されていてもよい。h、j、kおよびlは、0〜3の整数を表す。)
  4. 前記不純物拡散成分(B)の含有量は、0.1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の不純物拡散組成物。
  5. 前記不純物拡散成分(B)は、リン酸、五酸化二リン、ポリリン酸、リン酸エステル、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸エステル、ボロン酸、ボロン酸エステルから選ばれる1種類以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の不純物拡散組成物。
  6. 前記不純物拡散成分(B)は、ホウ酸、ボロン酸、ホウ酸エステル、ボロン酸エステルから選ばれる1種類以上を含有し、さらに、水および水溶性のバインダーを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の不純物拡散組成物。
  7. 前記水溶性のバインダーは、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項6に記載の不純物拡散組成物。
  8. 半導体基板上に、請求項1〜7のいずれか一つに記載の不純物拡散組成物を塗布して不純物拡散組成物膜を形成する膜形成工程と、
    前記不純物拡散組成物膜から前記半導体基板中に不純物拡散成分を拡散させて不純物拡散層を形成する層形成工程と、
    を含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
  9. 半導体基板上に、請求項1〜7のいずれか一つに記載の不純物拡散組成物を塗布して不純物拡散組成物膜を形成する膜形成工程と、
    前記不純物拡散組成物膜にレーザー光を照射して、前記不純物拡散組成物膜から前記半導体基板中に不純物拡散成分を拡散させて不純物拡散層を形成する層形成工程と、
    を含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
  10. 半導体基板上に、請求項1〜7のいずれか一つに記載の不純物拡散組成物を塗布して不純物拡散組成物膜を形成する膜形成工程と、
    前記不純物拡散組成物膜の一部分にレーザー光を照射して、前記不純物拡散組成物膜の一部分から前記半導体基板中に不純物拡散成分を拡散させて不純物拡散層を形成する層形成工程と、
    前記不純物拡散組成物膜のうち前記レーザー光が照射されていないレーザー未照射部分を酸またはアルカリによって除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
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