JPWO2017209187A1 - 人工光を利用したホウレンソウ栽培法 - Google Patents

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Abstract

[課題]人工光を利用したホウレンソウの栽培において、ホウレンソウに適した条件を提供することを目的とする。
[解決手段]赤色光をホウレンソウに照射する手順(赤ステージ)と、青色光をホウレンソウに照射する手順(青ステージ)とを任意順番で個別独立に行う工程を含み、前記赤ステージの日積算光量と前記青ステージの日積算光量の合計が、9〜22mol/m2・dayであり、かつ前記赤ステージと前記青ステージの合計照射時間が一日あたり16〜24時間であることを特徴とするホウレンソウの栽培法。

Description

本発明は、ホウレンソウに人工光を照射して成長を促進させる植物栽培方法に関する。
従来、ホウレンソウ栽培において、ホウレンソウに人工光を照射して成長を促す技術が取り入れられている。植物の生長を促進することで、栽培期間を短縮して、同一場所での収穫回数を増やすことができる。また、同じ栽培期間であっても、植物をより大きく生長させることができれば、収穫量を増やすことができる。
人工光の照射を利用したホウレンソウ栽培方法として、例えば特許文献1には半導体光源を利用した赤色光のみを照射するホウレンソウ栽培法が開示されているが、赤色光のみの照射ではホウレンソウが徒長する傾向が見られた、と記載されている。
また特許文献2では、赤色光に加え、赤色光を植物に照射する手順と青色光を植物に照射する手順を12時間同時に行うことで高品質のホウレンソウを栽培できる方法が開示されている。
さらに、非特許文献1には白色蛍光灯を利用し、夜間に昼間と同様に高い光を照射するホウレンソウ栽培法において、24時間連続照射により、ホウレンソウの成長促進効果が認められた、と記載されている。
また特許文献3では、太陽光を植物に照射する手順と、赤色光を植物に照射する手順と、青色光を植物に照射する手順とを一定期間内に別個独立に行う植物栽培方法が開示され、その中にホウレンソウは栽培可能な品種として挙げられた。この方法では生長を促進させることができるとともに、優れたエネルギー効率が得られる、と記載されている。
特開平9−37648号公報 特開2001−54320号公報 特開2014−166178号公報
植物工場学会誌J.Society of High Technology in Agriculture)13(3):174−182.2001
前述のとおり、従来の人工光を利用したホウレンソウの栽培には白色蛍光灯の24時間連続照射、赤色光と青色光の12時間混合照射、などがあった。
しかし、ホウレンソウは比較的低温を好む植物であり、白色蛍光灯を24時間連続して照射した場合、照射に伴う大量な発熱によってホウレンソウに成長阻害および葉の形態異常をもたらすことがある。また、植物生理学の観点からみると、光合成には赤色光および青色光が最も効率的であるが、通常の白色蛍光灯には赤色光および青色光以外の光も含まれているため、照射エネルギーの利用効率が低下すると考えられる。
赤色光と青色光の12時間混合照射法は、ホウレンソウの抽苔防止が目的であるが、人工光は太陽光に比べて光強度が低く、ホウレンソウの生育に十分とは言えなかった。
また、特許文献3にはホウレンソウは栽培可能の品種として挙げられたが、ホウレンソウに関する栽培法の詳細の記載はなく、また場合によっては徒長がみられるなど、不十分なものであった。
前記のとおり、従来の人工光を利用したホウレンソウの栽培には満足のいくものではないため、ホウレンソウに適した条件をさらに検討する必要があった。
本発明者らは、前記の課題を解決するために検討を行った。その結果、ホウレンソウの栽培において特定の照射時間範囲および照射量範囲内で、赤色光をホウレンソウに照射する手順と、青色光をホウレンソウに照射する手順を別個独立に行う場合に、従来の人工光照射法より早く通常の収穫サイズまで栽培することが可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のホウレンソウの栽培法に関する。
[1]赤色光をホウレンソウに照射する手順(赤ステージ)と、青色光をホウレンソウに照射する手順(青ステージ)とを任意順番で個別独立に行う工程を含み、前記赤ステージの日積算光量(以下、DLIと記す場合がある)と前記青ステージのDLIの合計(以下、合計DLIと記す場合がある)が9〜22mol/m2・dayであり、かつ前記赤ステージと前記青ステージの合計照射時間が一日あたり16〜24時間であることを特徴とするホウレンソウの栽培法。
[2]前記赤ステージのDLIが4.5〜18.3mol/m2・dayであり、前記青ステージのDLIが1.5〜11mol/m2・dayであることを特徴とする[1]に記載のホウレンソウの栽培法。
[3]前記赤ステージの合計照射時間が一日あたり3時間以上であり、かつ前記青ステージの合計照射時間が一日あたり1時間以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載のホウレンソウの栽培法。
[4]前記栽培法が水耕栽培であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のホウレンソウの栽培法。
[5]前記水耕栽培において、ホウレンソウに供給する養液の液温が10〜30℃であることを特徴とする[4]に記載のホウレンソウ栽培法。
[6]前記栽培法において、株密度を50〜250株/m2とすることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のホウレンソウの栽培法。
本発明によれば、赤色光をホウレンソウに照射する手順と、青色光をホウレンソウに照射する手順とを任意順番で特定照射時間、特定照射量範囲内に別個独立に行うことによりホウレンソウの生育を促進し、従来の人工光を用いる栽培法と比較して安定した品質のホウレンソウを短期間で栽培することができる。
以下、本発明を実施するための好適な形態について例を挙げて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲を何ら限定するものではない。
「植物栽培装置」
本発明の栽培法を実施できる栽培装置は、赤色光および青色光を照射する光照射部と、赤色光照射工程と青色光照射工程を特定の照射時間、特定の照射量で個別独立に制御する制御部を備えている。光照射部には、赤色光の光源と青色光の光源とが備えられている。赤色光および青色光の光源としては、従来公知のものを用いることができる。光源としては、具体的には、波長選択が容易で、有効波長域の光エネルギーの占める割合が大きい光を放射できる発光ダイオード(LED)や、レーザーダイオード(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)素子、直管形及びコンパクト形の蛍光ランプ、電球形蛍光ランプ、高圧放電ランプ、メタルハライドランプなどを用いることができる。光源としてEL素子を用いる場合、有機EL素子であってもよいし無機EL素子であってもよい。
上記の光源の中でも特に、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)などの光半導体素子は、小型で寿命が長く、材料によって特定の波長で発光し、不要な熱放射が少ないためエネルギー効率が良く、植物に近接照射しても葉焼け等の障害が起こりにくいものである。このため、光半導体素子を光源として用いた場合、他の光源と比較して、低電力で優れたエネルギー効率が得られるとともに、省スペースの光照射部となる。
赤色光の光源として用いられる発光ダイオードとしては、例えば昭和電工株式会社から製品番号HRP−350Fとして販売されているアルミニウム・ガリウム・インジウム・リン系発光ダイオード(ガリウム・リン系基板、赤色波長660nm)などがある。また、青色光の光源として用いられる発光ダイオードとしては、インジウム・ガリウム・ナイトライド系(波長450nm)として一般的に販売されているものなどがある。
光半導体素子を光源として用いた光照射部としては、例えば、赤色光半導体素子と青色光半導体素子とを組み合わせて実装したSMD(Surface Mount Device)を線状に複数配列してなるSMDライン光源や、赤色光半導体素子あるいは青色光半導体素子のどちらか一方のみを線状あるいは面状に配列した単色ライン光源あるいは単色パネル光源を赤色光用と青色光用のそれぞれ備えたものなどを用いることができる。
光照射部は、上記の光源と、赤色光および/または青色光を選択的に利用するための光学フィルタとを組み合わせたものであってもよい。
光照射部から出射される赤色光は、波長600〜730nmの光である。さらに、光照射部から出射される赤色光は、ピーク波長としては、600〜730nmの光が挙げられ、645〜670nmの波長をピーク波長とする赤色光が好ましい。
光照射部から出射される青色光は、波長が400〜515nmの光である。さらに、光照射部から出射される青色光としては、ピーク波長400〜515nmの光が挙げられ、ピーク波長を420〜480nmとする青色光が好ましく、ピーク波長を440〜460nmとする青色光がより好ましい。
赤色光と青色光の波長は、各照射工程の一つの照射サイクルにおいて上記波長域の範囲内で変化させてもよいし、ある照射サイクルと別のある照射サイクル間で変化させてもよい。
赤色光を照射する場合の照明光は、赤色光を含んでいればよく、上記赤色光と異なる波長の光を含んでいてもよいが、上記の青色光を実質的に含まない。ここで、実質的に含まないとは、青色光の強度が総光量に対して5%以下であることをいう。青色光を照射する場合の照明光は、青色光を含んでいればよく、上記青色光と異なる波長の光を含んでいてもよいが、上記の赤色光を実質的に含まない。実質的に含まないとは、赤色光の強度が総光量に対して5%以下であることをいう。
総光量を、全ての光の合計とし、各光の光量との割合で表すと、通常、赤色光を照射する場合の総光量に対する赤色光の割合は60%以上であり、より好ましくは80%以上、最も好ましくは100%である。通常、青色光を照射する場合の総光量に対する青色光の割合は60%以上であり、より好ましくは80%以上、最も好ましくは100%である。なお、それぞれの光のμmol/m2・sの合計を総光量とし、総光量に対する各光のμmol/m2・sを単位とした場合の%を割合とする。
本実施形態の植物栽培装置に備えられている制御部は、赤色光の光源または青色光の光源に所定の電流を供給することにより、赤色光の光源と青色光の光源とを別個独立に点灯・消灯させるものである。また、本実施形態においては、制御部によって、赤色光の光源または青色光の光源に供給する電流の大きさを調節することにより、光照射部からの赤色光及び青色光の発光強度を制御できるようになっていることが好ましい。
制御部は、汎用のコンピューターを用いて構成できる。具体的には、例えば、制御部は、メモリやハードディスクなどの記憶装置に予め保持、記憶された制御パターンに基づいて、光源の駆動電流の大きさを調整し、赤色光および/または青色光の発光強度及び照射時間を変化させるものとすることができる。また、制御部は、記憶装置に記憶された制御パターンに基づいて、異なる波長域の光を放射する複数の光源を切り替えて駆動し、出射する光の波長域を変化させるものであってもよい。
「ホウレンソウ栽培方法」
本実施形態の栽培法は、赤色光をホウレンソウに照射する手順(赤ステージ)と、青色光をホウレンソウに照射する手順(青ステージ)とを任意順番で個別独立に行う工程を含み、前記赤ステージのDLIと、前記青ステージのDLIとの合計のDLI(合計DLI)は、9〜22mol/m2・dayである。好ましい合計DLIは10〜20mol/m2・dayであり、より好ましくは14〜18mol/m2・dayである。実際の栽培環境に応じて合計DLIを上記の範囲内で調節することができる。合計DLIが9mol/m2・dayより低い場合はホウレンソウを通常の収穫サイズ(定植後16日前後で草丈25cm前後、地上部新鮮重15g〜30g)まで栽培することが困難であり、22mol/m2・dayを超えると光強度が光合成飽和点に近づき、消費する電力エネルギーに対する光合成効率が低下する。
また、本実施形態の栽培法は、赤色光をホウレンソウに照射する手順(赤ステージ)と、青色光をホウレンソウに照射する手順(青ステージ)とを任意順番で個別独立に行う工程を含み、赤ステージにおけるDLIが4.5〜18.3mol/m2・dayであり、青ステージにおけるDLIが1.5〜11mol/m2・dayであることが好ましい。赤ステージのより好ましいDLIは7.3〜16.6mol/m2・dayであり、さらに好ましくは9.3〜15mol/m2・dayである。青ステージのより好ましいDLIは1.8〜8.6mol/m2・dayであり、さらに好ましくは2.3〜6mol/m2・dayである。
ここで、「別個独立」とは、赤ステージと青ステージとが別々に存することを意味する。赤ステージと青ステージとは、1日のうちに少なくとも1つの工程がそれぞれ含まれていればよいが、2つ以上の工程がそれぞれ含まれていてもよい。
また、赤ステージと青ステージは交互に連続して行ってもよいし、両工程の間に、赤色光および青色光を同時照射する工程を挟んで不連続に繰り返して行うか、または光照射を休止する工程を挟んで不連続に繰り返して行ってもよい。赤色光照射工程および青色光照射工程のいずれを先に行なうかは任意である。
本実施形態の赤ステージにおけるDLIの青ステージにおけるDLIに対する比は、任意に設定され得るが、「赤:青」で1:1〜10:1程度の範囲が好ましい。DLI比は、具体的には、「赤:青」で例えば1:1、5:3、2:1、3:1、4:1、10:1、などのように設定され得る。DLI比のより好ましい値は「赤:青」で2.01:1〜7:1で、さらに好ましくは「赤:青」で3.01:1〜5:1である。かかる範囲の場合、ホウレンソウの徒長を抑制して正常な成長がより促進され得る。また、赤色光および青色光の光量は上記範囲内で変化されてもよく、例えばある照射サイクル内で光量を変化させてもよく、ある照射サイクルと別のある照射サイクル間で光量を変化させてもよい。
また、本実施形態の赤ステージと青ステージにおける合計光照射時間は、一日あたり16〜24時間が好ましく、より好ましくは20〜24時間である。合計光照射時間が16時間より少ないと生産性の観点から好ましくない。
また、極端に高強度の光を短時間照射した場合、DLIが規定の範囲にあっても、光強度が光合成飽和点に近づき、光合成効率が大幅に低下するため好ましくない。したがって、本実施形態における赤ステージの合計照射時間は一日あたり3時間以上となるように設定することが好ましく、3〜23時間となるように設定することがより好ましく、青ステージにおける合計照射時間は一日あたり1時間以上となるように設定することが好ましく、1〜21時間となるように設定することがより好ましい。また、ホウレンソウの徒長を抑制した正常な成長を図る観点から、赤ステージの合計照射時間の青ステージの合計照射時間に対する比は、赤合計時間/青合計時間で0.5〜2が好ましく、1〜1.4がより好ましい。
また、一日あたりの赤ステージ、および青ステージのサイクル数と、各ステージごとの連続照射時間は、前記の合計照射時間の範囲内であればそれぞれ任意に設定できる。例えば赤ステージの合計照射時間と青ステージの合計照射時間の比を1:1として交互照射する場合、赤ステージを12時間、青ステージを12時間とすることができる。また、赤ステージを6時間、青ステージを6時間とし、このサイクルを2回繰り返してもよい。一つの照射サイクルの時間は、ある照射サイクルと別の照射サイクルとの間で変化させてもよい。また、赤ステージの各サイクル照射時間および青ステージの各サイクル照射時間は同じであっても異なっていてもよく、一日当たりの照射時間を「12時間・12時間」、「16時間・8時間」、「7時間・5時間」+[6時間・6時間]、「3時間・2時間(+休止1時間)」×4回、などのように任意に設定し得る。赤ステージの各サイクルにおける連続照射時間は0.1〜23時間が好ましいが、高い成長効果を得るために3時間以上がより好ましい。青ステージの各サイクルにおける連続照射時間はお0.1〜21時間が好ましいが、高い成長効果を得るために1時間以上がより好ましい。
本発明はホウレンソウの品種全般に適用することが可能である。一般的な品種の場合、暗期を一定期間確保できなければ、収穫サイズに達する前にトウ立ちが発生し、商品価値が低下する可能性がある。一方で、明期が長いほど生長が促進されるため、本発明を用いて栽培する品種としては、トウ立ちが遅く、一日当たり16時間連続照射しても収穫サイズに達する前にトウ立ちが起こらない晩抽品種(播種時期4月〜8月でトウ立ちが遅い夏用品種である)が好ましい。より好ましくは極晩抽(トウ立ちが極めて遅い夏用品種である)かつ比較的に生長が早い品種である。それにより、24時間連続照射しても収穫サイズに達するまでに抽苔はせず、かつ生産性最大化が期待される。
発芽、育苗方法は任意の方法を用いることができる。発芽、育苗栽培条件として望ましくは温度15〜20℃、相対湿度65〜75%、炭酸ガス濃度1000〜1500ppmに調整する。発芽に関し、一般の種子については催芽処理(種子を低温高湿度下で休眠打破させること)を行うことが好ましい。それによって一斉に発芽ができ、高い発芽率も得られる。また、発芽率を高めるためには、硬い果皮を予め除去したネーキッド種子を使用することが好ましい。
本発明を適用する栽培形態も、特に限定されることなく、水耕栽培、土耕栽培、固形培地耕などであってよい。衛生面や施肥作業の面からは、管理の容易な水耕栽培が好ましい。水耕栽培において供給する養液の液温は10〜30℃が好ましい。より好ましくは15〜25℃、さらに好ましくは18〜22℃である。上記養液の液温が10℃より低い場合や、30℃を超えた場合、根部の栄養吸収に障害が起き、生育が大幅に悪くなることがある。栽培室温度は10〜30℃が好ましい。より好ましくは15〜25℃でさらに好ましくは20〜23℃である。
栽培室相対湿度は好ましくは65〜75%に調整する。栽培室の炭酸ガス濃度は好ましくは1000〜1500ppmに調整する。前記養液はホウレンソウに適応するものであれば任意であるが、育苗期間は養液のEC(電気伝導度、養液の濃度を示す指標である)は2.0dS/m前後が好ましい。前記養液のpHは好ましくは6.0〜6.5に維持する。
本発明を適用する栽培法においては、株間隔に関して株密度が50〜250株/m2になるように調整することが好ましい。株間隔の短縮につれ生産株数がアップする一方で株あたりの重さが減り、徒長する傾向になる。品質と生産性のバランスの観点から、98〜220株/m2がより好ましい。
上記の様に、本発明のホウレンソウの栽培法によれば、ホウレンソウの品質を維持しつつ、生産性の向上を実現することができ、人工光の植物工場のホウレンソウの栽培におけるコストの削減に繋がる。
以下に示す実施例においては、生育状態を観察する対象のホウレンソウのネーキッド種子を市販の水耕栽培用ウレタンスポンジに播種し、二日間の暗期処理後に光強度140μmol/m2・sの白色蛍光灯下において日照16時間で育苗を行った。養液は播種後三日目から大塚A処方(葉菜類用栽培養液、OATアグリオ株式会社)から調製したEC=1.0dS/m,pH=6.0で潅水し、七日目後はEC=1.5dS/m,pH=6.0で潅水した。
(実施例1)
実施例1は生育状態を観察する対象として品種:A法蓮草(中原採種場)を用い、一穴2粒で播種し、育苗後14日目に定植し、播種後30日まで栽培した。
また、実施例1は人工気象装置(チャンバー)で行い、温度は23℃に、相対湿度は70%、炭酸ガス濃度は1000ppmに設定し、養液は養液循環装置により制御し、EC=2.0dS/m,pH=6.0、養液温19℃に設定し、株間隔15cmで28株定植した。光源として赤色LED(ピーク波長:660nm、昭和電工製HRP−350F)、および青色LED(ピーク波長:450nm、昭和電工製GA2PT450G)を用いた。光条件は、赤ステージのDLIは8.3mol/m2・dayで連続照射時間12時間とし、青ステージのDLIは2mol/m2・dayで連続照射時間12時間照射となるように設定した。DLIは、LI−COR製光量子計LI−250Aを用いて測定した。
(実施例2)
実施例2は生育状態を観察する対象として品種:B法蓮草(中原採種場)を用い、播種後28日まで栽培した以外は実施例1と同様に実験を行った。
(実施例3)
実施例3は生育状態を観察する対象として品種:C法蓮草(中原採種場)を用いた以外は実施例1と同様に実験を行った。
(実施例4)
実施例4はチャンバーに代えて大型栽培棚で行い、株間隔15cm(株密度98株/m2)で80株を定植し、赤ステージのDLIが7.8mol/m2・day、青ステージのDLIが2.6mol/m2・dayである以外は実施例1と同様に実験を行った。
(実施例5)
実施例5は赤ステージのDLIが6.9mol/m2・day、青ステージのDLIが3.4mol/m2・dayである以外は実施例4と同様に実験を行った。
(実施例6)
実施例6は株間隔10cmの一穴2株(株密度208株/m2)で208株を定植し、赤ステージのDLIを13.8mol/m2・day、青ステージのDLIを3.5mol/m2・dayとし、栽培日数28日である以外は実施例4と同様に実験を行った。
(比較例1)
比較例1は白色蛍光灯を利用し、DLIを10.3mol/m2・dayとし、24時間連続照射とした以外は、実施例1と同様に実験を行った。
(比較例2)
比較例2は赤ステージでDLIが5.5mol/m2・day、青ステージでDLIが1.4mol/m2・dayとし、合計DLIは6.9mol/m2・dayである以外は実施例1と同様に実験を行った。
(比較例3)
比較例3は赤ステージでDLIが6.5mol/m2・day、青ステージでDLIが1.6mol/m2・dayとし、合計DLIは8.1mol/m2・dayである以外は実施例1と同様に実験を行った。
(比較例4)
比較例4は赤ステージの照射時間を連続7時間、青ステージの照射時間を連続7時間(合計照射時間が14時間、未照射時間が10時間)とした以外は実施例2と同様に実験を行った。
(比較例5)
比較例5は赤ステージの照射時間を連続7時間、青ステージの照射時間を連続7時間(合計照射時間が14時間、未照射時間が10時間)とした以外は実施例3と同様に実験を行った。
実施例1〜6,比較例1〜5について収穫時のホウレンソウ10株ずつに対して地上部新鮮重および草丈を測定し、平均した数値を表1にまとめた。
Figure 2017209187
表1に示すように、赤ステージと青ステージを個別独立に行った本栽培法の実施例1は、白色蛍光灯を用いて同じDLIで24時間照射した比較例1と比較し、地上新鮮重が大幅に上回ったことがわかる。
また、実施例2および実施例3に示すように、他品種のホウレンソウでも本栽培法により、正常に収穫サイズまで栽培することが可能であることを示した。
実施例4(DLI比3:1)と実施例5(DLI比2:1)では実施例1(DLI比4:1)と異なる赤、青DLI比で実際の植物工場施設で栽培を行った。定植株数の増加により周囲株との相互遮蔽が生じ、チャンバーと比較して一株当たりの受光量が減少したため、地上新鮮重はやや減少したが、収穫サイズまで栽培することが可能であることが確認できた。
実施例6では、実施例4および5に対して株密度を約2倍にしたが、赤ステージのDLIを13.8mol/m2・dayとし、青ステージのDLIを3.5mol/m2・dayとし、合計DLIが17.3mol/m2・dayとなるように増加したことによって収穫サイズに達することができた。1株あたりの新鮮重は15gとやや低いが、栽培面積あたりの収量は高くなり、実施例4の生産性110g/m2・day(=18g×98株/16日(定植後日数))に対し、223g/m2・dayの生産性を実現した。
一方で比較例2,比較例3では青ステージのDLIおよび合計DLIが所定範囲より低下した条件で栽培を行った結果、実施例1より生長速度が大幅に低下し、30日で収穫サイズに達することはできなかった。
また、実施例2と比較例4、実施例3と比較例5の比較で2品種とも所定範囲より短い合計照射時間で栽培を行った結果、生長速度が大幅に低下し、30日で収穫サイズに達することはできなかった。
本発明を利用することで、周年栽培が困難であるホウレンソウが、気候や環境の変化に左右されることなく、品質を維持しつつ安定して生産できるようになることが期待される。

Claims (6)

  1. 赤色光をホウレンソウに照射する手順(赤ステージ)と、青色光をホウレンソウに照射する手順(青ステージ)とを任意順番で個別独立に行う工程を含み、前記赤ステージの日積算光量(以下、DLIと記す場合がある)と前記青ステージのDLIの合計(以下、合計DLIと記す場合がある)が9〜22mol/m2・dayであり、かつ前記赤ステージと前記青ステージの合計照射時間が一日あたり16〜24時間であることを特徴とするホウレンソウの栽培法。
  2. 前記赤ステージのDLIが4.5〜18.3mol/m2・dayであり、前記青ステージのDLIが1.5〜11mol/m2・dayであることを特徴とする請求項1に記載のホウレンソウの栽培法。
  3. 前記赤ステージの合計照射時間が一日あたり3時間以上であり、かつ前記青ステージの合計照射時間が一日あたり1時間以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のホウレンソウの栽培法。
  4. 前記栽培法が水耕栽培であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のホウレンソウの栽培法。
  5. 前記水耕栽培において、ホウレンソウに供給する養液の液温が10〜30℃であることを特徴とする請求項4に記載のホウレンソウの栽培法。
  6. 前記栽培法において、株密度を50〜250株/m2とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のホウレンソウの栽培法。
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