JPWO2017203595A1 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

アシストトルク指令信号の高周波成分を濾過しゲインを乗算した高周波補償信号を出力する高周波補償部を備え、高周波補償信号を操舵トルク信号に負帰還又は正帰還した補正後操舵トルク信号をアシストトルク指令演算部に入力し、アシストトルク指令演算部は、補正後操舵トルク信号に応じてアシストトルク指令信号を出力する。

Description

この発明は、操舵トルク信号に基づきアシストトルクを出力する電動パワーステアリング装置に関するものである。
周知のように、自動車等の車両の運転者が車両のステアリングホィールに加えた操舵トルクに応じて、モータによるアシストトルクを車両の操舵系に付与するようにした電動パワーステアリング装置においては、操舵トルクに実質的に比例するアシストトルクを定め、操舵トルクとアシストトルクの比例関係の増幅率であるトルク比例ゲイン(アシスト勾配とも言う)を大きく取ることにより運転者の操舵力を低減すると共に、トルク比例ゲインの増大に伴い発生する制御系の発振などの振動を抑制して、運転者のフィーリングの向上を図ることが行われている。
従来、車速と入力トルクすなわち操舵トルクに応じてアシストトルク指令を決定するアシスト曲線を備える電動パワーステアリング装置に於いて、車速と操舵トルクとアシスト曲線の出力から、操舵トルクに対するアシストトルク指令の瞬間的なアシスト勾配を計算する勾配検出回路を備え、瞬間的なアシスト勾配に概ね比例するよう位相補償器の極を変化させるようにした電動パワーステアリング装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示された従来の電動パワーステアリング装置によれば、アシスト勾配が大きいときは、位相遅れ補償で開ループ一巡伝達特性のゲイン交差周波数を下げて十分な安定性を確保し、アシスト勾配が小さいときには、不要なゲイン低下を抑え、応答性を確保することができる。
又、別の従来の装置の例として、アシスト勾配を演算することなく、アシスト勾配に代えて操舵トルクや車速を用い、操舵トルクの大きさや車速に応じて、位相補償器の周波数特性を可変にするようにした電動パワーステアリング装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に開示された従来の電動パワーステアリング装置によれば、アシストトルク指令生成部により生成したアシスト曲線のアシスト勾配がおおまかには操舵トルクが大きい方が大きいという傾向があることから、アシスト勾配に基づいて位相補償器の極を可変にするようにした前述の特許文献1に開示された従来の電動パワーステアリング装置に近い効果を得ることができる。
特開平7−309250号公報 特開2002−029433号公報
特許文献1に開示された従来の電動パワーステアリングの制御装置においては、アシストトルク指令生成部としてのアシスト曲線の勾配であるアシスト勾配を、操舵トルク、アシストトルク指令、及び車速に基づいて、常時、実時間で演算しているため、演算量が多くCPUに対する負荷が高いという課題があった。又、実時間で演算することを回避するために、操舵トルク、車速に対して、アシスト勾配を出力するテーブルを事前に用意することは可能であるが、そのテーブルは多次元であり膨大なデータ量になるため、メモリの使用量が過大になるという課題があった。
一方、特許文献2に開示された従来の電動パワーステアリングの制御装置に於いては、前述のような操舵トルクからアシスト勾配を参照する膨大なテーブルを用いず、アシスト勾配を操舵トルク信号で代用しているので、操舵トルクが大きい領域でアシスト勾配が小さくなる場合や、車速によって勾配が変化する場合などに、アシスト勾配を正確に捉えることができない。そのため、アシスト勾配が小さいのにアシストトルクが大きいときに適したフィルタ特性や位相補償器を適用したり、又は、アシスト勾配が大きいのにアシストトルクが小さいときに適したフィルタ特性や位相補償器を適用することになり、安定性や応答性を損ねるという課題があった。
この発明は、従来の電動パワーステアリング装置に於ける前述のような課題を解決するためになされたものであり、演算負荷や記憶容量を抑制しつつ、アシスト勾配に応じた安定性や応答性を備えた電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
この発明による電動パワーステアリング装置は、
操舵トルクを検出するトルクセンサからの操舵トルク信号に基づきアシストトルクを出力するモータと、前記モータの前記アシストトルクを制御する制御装置とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
前記制御装置は、
前記モータに前記アシストトルクを発生させるためのアシストトルク指令信号を演算して出力するアシストトルク指令演算部と、
前記アシストトルク指令信号の高周波数成分を濾過してゲインを乗算した高周波補償信号を出力する高周波補償部と、
を備え、
前記アシストトルク指令演算部は、
前記高周波補償信号が前記操舵トルク信号に負帰還、又は正帰還されて生成された補正後操舵トルク信号が入力され、
前記入力された前記補正操舵トルク信号に応じてアシストトルク指令信号を出力する、
ように構成されている、
ことを特徴とするものである。
この発明による電動パワーステアリング装置によれば、操舵トルクを検出するトルクセンサからの操舵トルク信号に基づきアシストトルクを出力するモータと、前記モータの前記アシストトルクを制御する制御装置とを備えた電動パワーステアリング装置であって、前記制御装置は、前記モータに前記アシストトルクを発生させるためのアシストトルク指令信号を演算して出力するアシストトルク指令演算部と、前記アシストトルク指令信号の高周波数成分を濾過してゲインを乗算した高周波補償信号を出力する高周波補償部とを備え、前記アシストトルク指令演算部は、前記高周波補償信号が前記操舵トルク信号に負帰還、又は正帰還されて生成された補正後操舵トルク信号が入力され、前記入力された前記補正操舵トルク信号に応じてアシストトルク指令信号を出力するように構成されているので、演算負荷や記憶容量を抑制しつつ、アシスト勾配に応じて安定性や応答性を向上させることができる。
この発明の実施の形態1から実施の形態5による電動パワーステアリング装置を含む、車両の操舵系の構成を示す構成図である。 この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置に於ける、制御装置の構成を示すブロック線図である。 この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置に於ける、位相補償器としての位相進み補償器の周波数特性を示すボード線図である。 この発明の実施の形態1から実施の形態5による電動パワーステアリング装置に於ける、高周波補償部の構成を示すブロック線図である。 この発明の実施の形態1から実施の形態5による電動パワーステアリング装置に於ける、アシストマップの特性を示す入出力特性図である。 この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置に於ける、補償後操舵トルク信号からアシストトルク指令信号までの伝達特性を示すボード線図である。 従来の電動パワーステアリング装置に於ける、制御装置の構成を示すブロック線図である。 従来の電動パワーステアリング装置に於ける、操舵トルク信号からアシストトルク指令信号までの伝達特性を示すボード線図である。 この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置と従来の電動パワーステアリング装置に於ける、夫々の開ループ一巡伝達関数を比較して示すボード線図である。 この発明の実施の形態2による電動パワーステアリング装置に於ける、制御装置の構成を示すブロック線図である。 この発明の実施の形態2による電動パワーステアリング装置に於ける、位相補償器を示すボード線図である。 この発明の実施の形態2による電動パワーステアリング装置に於ける、操舵トルク信号からアシストトルク指令信号までの伝達特性を示すボード線図である。 従来の電動パワーステアリング装置に於ける、操舵トルク信号からアシストトルク指令信号までの伝達特性を示すボード線図である。 この発明の実施の形態2による電動パワーステアリング装置と従来の電動パワーステアリング装置に於ける、夫々の開ループ一巡伝達関数を比較して示すボード線図である。 この発明の実施の形態3による電動パワーステアリング装置に於ける、制御装置の構成を示すブロック線図である。 この発明の実施の形態4による電動パワーステアリング装置に於ける、制御装置の構成を示すブロック線図である。 この発明の実施の形態4及び実施の形態5による電動パワーステアリング装置に於ける、モータ速度補償部の構成を示すブロック線図である。 この発明の実施の形態5による電動パワーステアリング装置に於ける、制御装置の構成を示すブロック線図である。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置について、図に基づいて説明する。図1は、この発明の実施の形態1から実施の形態5による電動パワーステアリング装置を含む、車両の操舵系の構成を示す構成図である。図1に於いて、車両の操舵系は、車両の運転者により操作されるステアリングホィール1と、ステアリングホィール1に連結されたステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2に連結されたラック・ピニオンギヤ12と、ステアリングホィール1とステアリングシャフト2及びラック・ピニオンギヤ12を介して運転者により操舵される車輪3、4とを備えている。
更に、車両の操舵系は、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置を備えている。電動パワーステアリング装置は、運転者による操舵をアシストするアシストトルクを発生するモータ5と、モータ5の出力をステアリングシャフト2に伝達する減速ギヤ7と、運転者の操舵トルクを検出するトルクセンサ8と、トルクセンサ8により検出された操舵トルクと車速センサ13により検出された車速とに基づいてモータ5を駆動する制御装置9と、モータ5の回転角度を検出するモータ回転角センサ6とを備えている。車両に搭載されたバッテリにより構成された電源11は、制御装置9とモータ5に電力を供給する。
図2は、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置に於ける、制御装置の構成を示すブロック線図である。図2に於いて、制御装置9は、構成要素として、アシストトルク指令演算部20としてのアシストマップと、電流制御部21と、第1の位相補償器としての位相補償器24と、高周波補償部22と、減算器23とを備えている。
制御装置9の構成要素は、マイクロコンピュータのソフトウェアとして構成されるものである。マイクロコンピュータは、周知の中央処理装置(以下、CPUと称する)、リードオンリーメモリ(以下、ROMと称する)、ランダムアクセスメモリ(以下、RAMと称する)、インターフェース(以下、IFと称する)等からなり、ROMに格納されたプログラムを順次抽出してCPUにより所望の演算を行うと共に、その演算結果をRAMに一時保存する等により、ソフトウエアのプログラムを実行して所定の制御動作が行われる。
次に、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置の動作について図面を参照しながら説明する。図1に於いて、図示していない運転者によりステアリングホィール1に加えられた操舵トルクは、トルクセンサ8のトーションバーからステアリングシャフト2を介してラック・ピニオンギヤ12のラックに伝達され、車輪3、4を転舵させる。
モータ5により発生された出力トルクは、減速ギヤ7を介してステアリングシャフト2に伝達され、操舵時に運転者が加える操舵トルクを軽減する。モータ5としては、例えば、永久磁石型同期モータや誘導モータのような交流モータ、或いは、直流モータが使用される。
トルクセンサ8は、トーションバーを備えており、このトーションバーの捩れ角度を電気信号に変換する機能を備えている。運転者がステアリングホィール1を操舵することにより、トルクセンサ8のトーションバーに操舵トルクが加えられると、トーションバーは操舵トルクにほぼ比例した角度で捩れる。トルクセンサ8は、トーションバーの捩れ角度を電気信号に変換し、操舵トルク信号τ0として出力する。車速センサ13は、車両の走行速度を検出し、車速信号Vxを出力する。尚、以下の説明では、操舵トルク信号τ0を、単に「操舵トルクτ0」と称し、車速信号Vxを、単に「車速Vx」と称することもある。
制御装置9は、トルクセンサ8により検出された操舵トルクτ0と、車速センサ13により検出された車速Vxに応じて、モータ5の出力トルクの方向と値に相当するモータ電流指令信号Irefを演算により生成し、生成した電流指令信号Irefに基づいてモータ5の電流を制御する。モータ5は、制御装置9により制御された電流に基づいて駆動され、減速ギヤ7を介してステアリングシャフト2にアシストトルクATを加える。
次に、制御装置9の動作を詳細に説明する。図2に於いて、位相補償器24は、トルクセンサにより検出された操舵トルクτ0に対して、高周波ゲインを低下或いは増加させる位相補償を実行し、位相補償された補償後操舵トルク信号Tscaを得る。位相補償器24は、位相補償器とも称される。ここでは、位相補償器24は、アシストトルクATに関する閉ループ系に於ける一巡伝達関数のゲイン交差周波数付近の周波数に於いて位相特性を増大させる機能を有する、例えば図3に示す周波数特性を持つ位相進み補償器により構成されているものとする。
即ち、図3は、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置に於ける、位相補償器としての位相進み補償器の周波数特性を示すボード線図であって、縦軸は位相[deg]とゲイン[dB]を夫々示し、横軸は周波数[Hz]を示している。図3に示すように、位相補償器24としての進み位相補償器は、ゲイン交差周波数付近の周波数10[HZ]〜10[Hz]に於いて位相特性を増大させる機能を有する、
次に、減算器23により、補償後操舵トルク信号Tscaから後述する高周波補償部22からの高周波補償信号Thcを減算することにより、補償後操舵トルク信号Tscaを補正し、補正後操舵トルク信号Tscbを得る。アシストトルク指令演算部20としてのアシストマップは、補正後操舵トルク信号Tscbに基づいてアシストトルクATに対応するアシストトルク指令信号Iaを演算する。アシストトルク指令信号Iaは、アシスト電流指令信号とも称される、ここではアシストトルク指令信号と称する。
この実施の形態1による電動パワーステアリング装置では、アシストトルク指令信号Iaは、そのまま、モータに対するモータ電流指令信号Irefとなるが、それ以外に、一般的に使用される補償制御、例えば、操舵周波数に於いてモータ慣性の増大の影響を補償する慣性補償制御による補正値や、粘性を高める粘性補償制御等による補正値を、アシストトルク指令信号Iaに対して加算若しくは減算してアシストトルク指令信号Iaを補正するようにしてもよい。
尚、アシストトルク指令演算部20としてのアシストマップには、車速信号Vxも入力され、車速によりアシストマップの入出力特性が変更されるように構成されている。
次に、高周波補償部22による高周波補償信号Thcの生成に関して説明する。アシストトルク指令信号Iaは、高周波補償部22に入力される。高周波補償部22は、入力されたアシストトルク指令信号Iaに基づいて高周波補償信号Thcを生成する。図4は、この発明の実施の形態1から5による電動パワーステアリング装置に於ける、高周波補償部の構成を示すブロック線図である。高周波補償部22は、図4に示すように、ハイパスフィルタ30とゲイン31により構成されている。
図4に於いて、ハイパスフィルタ30は、アシストトルク指令信号Iaの高周波成分を減衰させることなく濾過し、低周波成分を減衰させる。ここで、ハイパスフィルタ30としては、下記の式(1)で示す伝達関数を持つ1次フィルタHPF(s)を用いればよい。尚、ここで高周波成分とは、ハイパスフィルタ30のカットオフ周波数ωh以上の周波数を有する周波数成分をいう。

HPF(s)=s/(s+ωh) ・・・式(1)

ここで、sはラプラス演算子を示す。
ゲイン31は、ハイパスフィルタ30の出力に対しゲインkを乗算し、高周波補償信号Thcとして出力する。高周波補償信号Thcは、下記の式(2)で表される。

Thc=k・s/(s+ωh)・Ia ・・・式(2)
次に、アシストトルク指令演算部20により演算されたアシストトルク指令信号Iaが、そのままモータ電流指令信号Irefとして電流制御部21に入力される。電流制御部21は、入力されたモータ電流指令信号Irefに一致するようにモータ電流を制御する。具体的には、電流制御部21は、例えば半導体スイッチング素子により構成されたHブリッジ回路若しくはインバータ回路からなる駆動回路を備えており、入力されたモータ電流指令信号Irefと実際にモータに流れるモータ電流とを比較し、モータ電流指令信号Irefと実際にモータに流れるモータ電流との偏差が零になるように、駆動回路のスイッチング素子を制御する。駆動回路は、例えばモータ電流指令信号Irefに対応した電圧指令としてのPWM(Pulse Width Modulation)信号によりPWM制御され、駆動電流をモータ5に供給する。モータ5は、供給された駆動電流に対応した出力トルクとしてのアシストトルクATを発生する。
次に、アシスト勾配に感応する位相補償について説明する。前述のように、アシストトルク指令信号Iaの高周波成分にゲインkを乗じた信号である高周波補償信号Thcは、減算器23により補償後操舵トルク信号Tscaに負帰還されて補正後操舵トルク信号Tscbを生成する。補償後操舵トルク信号Tscaの高周波成分は、減算器23を介して生成された補正後操舵トルク信号Tscbの一部として補償後操舵トルク信号Tscaに付随し、アシストトルク指令演算部20としてのアシストマップに入力される。
アシストトルク指令演算部20としてのアシストマップは、通常、非線形的に構成されている。このアシストマップの動作点に於ける増幅率であるトルク比例ゲインは、ここではアシスト勾配と称される。アシストトルク指令演算部20に入力された補正後操舵トルク信号Tscbは、アシストマップのアシスト勾配に従って増幅され、アシストトルク指令信号Iaとしてアシストトルク指令演算部20から出力される。前述のように補正後操舵トルク信号Tscbの一部として補償後操舵トルク信号Tscaに付随してアシストトルク指令演算部20に入力された高周波成分は、アシストトルク指令演算部20から出力されるアシストトルク指令信号Iaに高周波成分として含まれ、再び高周波補償部22に入力される。
このように、制御装置9は、補償後操舵トルク信号Tscaを流力として、その高周波成分がアシストトルク指令演算部20に繰り返し処理されるループが構成されていることで、高周波成分のみアシストトルク指令演算部20の処理を反復的に受けるように構成されている。
一方、低周波成分は、高周波補償部22のハイパスフィルタ30を通過することにより減衰するので、高周波補償信号Thcの影響をほとんど受けない。従って、補償後操舵トルク信号Tscaの低周波成分は、反復的にアシストトルク指令演算部20としてのアシストマップの作用を受けることなく、単純に、アシストマップのアシスト勾配に基づいて増幅され、アシストトルク指令信号Iaの低周波成分となる。
このように、高周波成分と低周波成分に対するアシストトルク指令演算部20としてのアシストマップのアシスト勾配の作用が異なるため、アシスト勾配に感応して、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相補償特性の周波数応答を変化させることができる。
補償後操舵トルク信号Tscaの高周波成分は、アシストトルク指令演算部20としてのアシストマップと高周波補償部22を経て、補償後操舵トルク信号Tsca自身に負帰還され、補償後操舵トルク信号Tscaから高周波成分が減算されるので、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの特性は、基本的には、位相遅れ補償特性とアシストゲインを乗じた特性となる。その位相遅れ補償特性は、アシスト勾配に対して可変である。
図5は、この発明の実施の形態1から実施の形態5による電動パワーステアリング装置に於ける、アシストマップの特性を示す入出力特性図であって、或る車速に於けるアシストマップの入出力特性を示している。図5に於いて縦軸はアシストトルク指令信号Ia、横軸は補正後操舵トルク信号Tscbを示している。補正後操舵トルク信号Tscbが例えばTs1のとき、動作点P1が動作点になる。そのときの補正後操舵トルク信号Tscbに対するアシストトルク指令信号Iaの瞬間的な勾配が、動作点P1に於けるトルク比例ゲインとしてのアシスト勾配Ka1ということになる。別の動作点、例えば補正後操舵トルク信号Tscbが例えばTs2のときの動作点P2の場合、トルク比例ゲインとしてのアシスト勾配Ka2は、動作点P1に於けるトルク比例ゲインとしてのアシスト勾配Ka1よりも大きい値となっている。
補償後操舵トルク信号Tscaの低周波成分は、前述したように、反復的にアシストマップの作用を受けることなく、単純にアシスト勾配に基づいて増幅されてアシストトルク指令信号Iaの低周波成分となるので、アシストトルクマップの動作点P1の場合、アシストトルク指令信号Iaの低周波成分は、補償後操舵トルク信号Tscaの低周波成分にアシスト勾配Ka1を乗じた値となり、動作点P2の場合は動作点P1に於けるアシスト勾配Ka1より大きなアシスト勾配Ka2を乗じた値となる。
一方、補償後操舵トルク信号Tscaの高周波成分は、その低周波成分に依存してアシストマップの動作点が決まり、動作点P1の場合、アシストトルク指令信号Iaの高周波成分は、補正後操舵トルク信号Tscbにアシスト勾配Ka1を乗算した値となり、再び高周波補償信号Thcとして補償後操舵トルク信号Tscaに対し減算され、反復的に、アシスト勾配Ka1で乗算される。動作点P2の場合は、アシスト勾配Ka1より大きなアシスト勾配Ka2を乗じた値となる。従って、補償後操舵トルク信号Tscaの高周波成分は、アシスト勾配が大きい程、高周波補償信号Thcが大きくなり減算器23での減算量も大きくなるので、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相遅れ補償効果が大きくなる。
図6は、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置に於ける、補償後操舵トルク信号からアシストトルク指令信号までの伝達特性を示すボード線図であって、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの伝達特性の周波数応答性を示し、縦軸は、位相[deg]及びゲイン[dB]を示し、横軸は周波数[Hz]を示している。又、細い実線はアシスト勾配Kaが「5」、細い波線はアシスト勾配Kaが「10」、太い波線はアシスト勾配Kaが「20」、太い実線はアシスト勾配Kaが「30」の場合に於ける位相[deg]及びゲイン[dB]を夫々示している。
図6に示すように、1[Hz]以下の低周波数帯域に於いては、ゲイン特性の大きさは、アシスト勾配Kaと実質的に対応した値を示し、アシスト勾配Kaの増大と同じく増大している。一方、高周波数帯域に於いては、アシスト勾配Kaが大きい程、低位周波数帯域の場合と比較してゲインの低下量が大きく、位相遅れ量も大きくなっており、位相遅れ補償効果が、アシスト勾配に感応して変化していることが分かる。
図7は、従来の電動パワーステアリング装置に於ける、制御装置の構成を示すブロック線図であって、固定した特性を有する位相補償器40を用いた構成の例を示している。尚、図2と同一符号は、それと同一若しくは相当部分を示している。図8は、従来の電動パワーステアリング装置に於ける、操舵トルク信号からアシストトルク指令信号までの伝達特性を示すボード線図である。図7及び8に示す従来例では、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相遅れ補償効果を、固定した特性を有する位相補償器40を用いて得るようにしている。そのため、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置の場合とは異なり、図7に示す従来の装置では図8に示すように、低周波数と比較した高周波数のゲインの低下量や位相遅れ量は、アシスト勾配に依らず一定となる。
次に、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置に於ける、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの伝達関数を、アシストマップのアシスト勾配Kaに関連して、数式を用いて説明する。高周波補償信号Thcを補償後操舵トルク信号Tscaに負帰還して得た補正後操舵トルク信号Tscbは、次に示す式(3)で表すことができる。

Tscb = Tsca − Thc ・・・(式3)
アシストマップ上のある動作点を仮定し、そのときのアシスト勾配をKaとすると、その動作点からの微小な動作点の変動に対しては、補正後操舵トルク信号Tscbとアシストトルク指令信号Iaの関係を次に示す式(4)で表すことができる。

Ia = Ka・Tscb ・・・式(4)
前述の式(2)と式(4)を、式(3)に代入して変形すると、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの伝達関数Ga(s)は、次に示す式(5)で表すことができる。

Ga(s)= Ka・(s+ωh)/{(1+k・Ka)・s+ωh} ・・・式(5)

ここで、伝達関数Ga(s)の入出力関係式は次式で示される。

Ia =Ga(s)・Tsca ・・・式(6)
前述の図6に示した周波数特性は、まさに式(5)の値をプロットしたものであり、式(5)に示す補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの伝達関数Ga(s)の、式(5)の分母{(1+k・Ka)・s+ωh}に、アシスト勾配Kaを含み、その極は、次に示す式(7)で表すことができる。

ωh/(1+k・Ka) ・・・式(7)
補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相補償特性は、アシスト勾配Kaに依存して変化することが分かる。前述の式(5)の分子のゼロ点は、ハイパスフィルタ30のカットオフ周波数ωhで固定であるので、位相遅れ補償特性の高周波数側の折れ点周波数はアシスト勾配に対して一定である。極は、位相遅れ補償特性の低周波数側の折れ点周波数を示し、アシスト勾配Kaが大きいほど、その折れ点周波数は小さくなる。従って、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相補償特性は、アシスト勾配Kaが大きいほど、低周波数帯域に比べて高周波数帯域のゲインの低下量が増大し、且つ、位相遅れ量が増大する特徴を持つことになる。
次に、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置による効果を、アシストトルクに関する閉ループ系に於ける開ループ一巡伝達関数を用いて説明する。図9は、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置と従来の電動パワーステアリング装置に於ける、夫々の開ループ一巡伝達関数を比較して示すボード線図である。図9の縦軸は、位相[deg]とゲイン「dB」を示し、横軸は周波数[Hz]を示し、太い実線は、アシスト勾配Kaが30の時に於ける、この発明の実施の形態1の構成による一巡伝達関数と図7に示す従来の装置の構成による一巡伝達関数を示しており、実施の形態1の構成と襲来の装置の構成とでは同じ特性になるよう設計されている。
この発明の実施の形態1の構成に於ける位相補償器24は、位相進み補償として、前述の通り図3に示す特性となるように構成されており、図7に示す従来の装置の構成に於ける位相補償器24も同様に構成されている。アシスト勾配Kaが「30」の場合のゲインの交差周波数は図9に示されるように、ほぼ35[Hz]であり、この周波数に於いて最大の位相進み量が得られるように、位相補償器24が設計されている。
この発明の実施の形態1の構成に於ける補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相補償特性は、アシスト勾配Kaが「30」の場合に於いて、ゲイン交差周波数が高くなり過ぎないように、図6で示したように、ゲイン交差周波数付近の高周波数でゲインが十分に下がるよう設計されている。又、図8に示す従来の装置の構成に於ける補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相補償特性も、アシスト勾配Kaが「30」の場合に於いては、この発明の実施の形態の構成と同じ特性になるように構成されている。
このように、アシスト勾配Kaが「30」のように大きい場合の一巡伝達関数は、図9に示す通り、ゲイン交差周波数に於ける位相進み量が大きく、位相進み量の余裕が十分に確保できている。
先ず、アシスト勾配Kaが「5」のように小さい場合に於ける従来の装置による一巡伝達関数について説明する。従来の装置の構成では、位相補償特性はアシスト勾配Kaに対して一定であるので、制御装置の周波数特性は単純にアシスト勾配Kaに比例し、一巡伝達関数も同様に単純にアシスト勾配Kaに比例する。その結果、従来の装置の構成によるゲイン線図は、アシスト勾配Kaが低下する分だけ並行移動し、位相特性は、アシスト勾配Kaに依らず一定になる。
従って、アシスト勾配Kaが「5」のように小さい場合に於ける従来の装置の一巡伝達関数は、図9に細い破線で示すようになり、10[Hz]以下の低周波数帯域に置いては、位相遅れ補償が効き過ぎて、ゲインが低く、位相も遅れており、操舵応答性が低いことが分かる。又、位相遅れ補償が効き過ぎ、その結果、位相特性が極小となる周波数までゲイン交差周波数が低下し、アシスト勾配Kaが「30」の場合よりも位相余裕が低下している。
次に、アシスト勾配Kaが「5」のように小さい場合に於けるこの発明の実施の形態1の構成による一巡伝達関数について説明する。この発明の実施の形態1の構成に於いて、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相補償特性は、アシスト勾配Kaが小さい場合は、図6に示した通り、位相遅れ効果は小さく、高周波数帯域のゲイン低下は僅かであり、又、位相遅れ量も小さい。したがって、一巡伝達関数は、図9の濃い実線に示す通り、10[Hz]以下の低周波領域に於いて、ゲイン特性が、破線で示す従来の装置の場合よりも大きく、位相も大きくなっており、操舵応答性が高いことが分かる。又、アシスト勾配Kaが小さいときは制御装置の位相遅れ量を小さくできることから、一巡伝達関数の位相特性も遅れが小さく、その結果、ゲイン交差周波数における位相余裕は、従来の装置の場合よりも向上していることが分かる。
尚、操舵応答性とは、運転者がステアリングホィールに操舵トルクを入力したときに、実際の操舵角が応答する速さのことであり、操舵トルクに対して、アシストトルクの応答性が高い方が操舵応答性が高く、一巡伝達関数で言えば、およそ10[Hz]以下の低周波領域でゲインと位相が高い程、操舵応答性が高くなる。
このように、位相補償をアシスト勾配が大きいときの特性を最適になるよう設計した従来の装置と比較すると、この発明の実施の形態1の構成によれば、アシスト勾配が大きいときに、従来の装置と同様の位相余裕やゲイン余裕等の安定余裕を確保しながら、アシスト勾配が小さいときに於いては、従来の装置よりも、操舵応答性を向上でき、位相余裕を向上できるといった効果を得ることができる。
又、従来の装置に於いて、位相補償をアシスト勾配が小さいときの特性を最適になるよう設計した場合、アシスト勾配が大きいときに、高周波ゲインの低減が十分できず、ゲイン交差周波数が上昇し、位相余裕が低下するが、この発明の実施の形態1の構成によれば、アシスト勾配が大きくなる程、低周波数帯域に比べて高周波ゲインの低下量を大きくできるので、ゲイン交差周波数の上昇を抑えることができ、位相余裕を十分に確保できるという効果を得ることができる。
以上述べたように、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置は、アシストトルク指令信号を出力するアシストトルク指令演算部と、アシストトルク指令信号の高周波成分を濾過しゲインを乗算した高周波補償信号を出力する高周波補償部を備え、高周波補償信号を操舵トルク信号に負帰還した補正操舵トルク信号をアシストトルク指令演算部に入力し、アシストトルク指令演算部は、補正操舵トルク信号に応じてアシストトルク指令信号を出力するように構成したので、アシストトルク指令演算部のアシスト勾配に応じて、操舵トルク信号からアシストトルク指令信号までの位相補償特性の周波数特性を変化させることができ、その結果、アシスト勾配に応じて変化しない通常の位相補償器を用いた従来の装置に比べて、操舵応答性や安定性を向上させることができるという顕著な効果を得ることができる。
又、前述のような高周波補償部と負帰還という非常に簡素な構成は、従来のアシスト勾配に応じて変化しない通常の位相補償器と同等の演算量とすることができ、アシスト勾配を逐次演算するといった多量な演算を必要とする特許文献1に開示された従来の装置に比べて、演算量を大幅に低減することができるという顕著な効果も得ることができる。
更に、特許文献2に開示された従来の装置のようにアシスト勾配を操舵トルク信号で代用した場合には、アシスト勾配と操舵トルクの相関が低い動作点で、安定性や応答性を損ねるという課題があったが、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置によれば、アシスト勾配そのものに感応して位相補償特性を変化させることができるので、安定性や応答性を損ねることがないという効果を得ることができる。
又、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置は、操舵トルク信号の位相を補償した補償後操舵トルク信号を出力する位相補償器24を備え、高周波補償信号を位相補正した後に補償後操舵トルク信号に負帰還するように構成したので、高周波補償部により実現される操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相遅れ補償特性と、操舵トルク信号を位相補償する位相補償器による位相進み特性を組み合わせて、位相遅れを進み補償することができるので、ゲイン交差周波数を下げて位相余裕を向上することで安定性を向上できるといった従来にない顕著な効果を得ることができる。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2による電動パワーステアリング装置について説明する。図10は、この発明の実施の形態2による電動パワーステアリング装置に於ける、制御装置の構成を示すブロック線図であって、前述の実施の形態1の構成との相違点は、減算器23が加算器25に変更されていることと、位相補償器24と高周波補償部22の周波数特性の設定が変更されていることであり、それ以外については、実施の形態1の構成と同様である。以下の説明では実施の形態1の構成との相違点を中心に説明する。
位相補償器24は、トルクセンサ8により検出された操舵トルク信号τ0に対して、高周波ゲインを低下或いは増加させる位相補償を実行し、補償後操舵トルク信号Tscaを得る。位相補償器24は、位相補償器とも称され、アシストトルクATに関する閉ループ系に於ける一巡伝達関数のゲイン交差周波数を低減する位相遅れ補償の特性と、交差周波数付近に於いて位相特性を増大させる図11に示すような周波数特性を持つ位相遅れ進み補償機能を備えている。即ち、図11は、この発明の実施の形態2による電動パワーステアリング装置に於ける、位相補償器を示すボード線図であって、縦軸は位相[deg]とゲイン「dB」を示し、横軸は周波数[Hz]を示している。
図11に示すように、位相進み量は必要最小限に抑えることで、高周波数帯域側のゲインの増大を抑えており、具体的には、0.5[Hz]以下の低周波よりも低いゲインに抑えている。これによって、制御装置によって無駄に高周波のノイズを増幅することを防いでいる。
図10に於いて、実施の形態1で説明した高周波補償信号Thcを加算器25により補償後操舵トルク信号Tscaに加算することにより、補償後操舵トルク信号Tscaを補正して補正後操舵トルク信号Tscbを得る。
次に、前述のように構成されたこの発明の実施の形態2による電動パワーステアリング装置に於いて、アシスト勾配に感応する位相補償に関する特徴について説明する。アシストトルク指令信号Iaの高周波成分にゲインを乗じた信号である高周波補償信号Thcは、補償後操舵トルク信号Tscaに正帰還されて補正された補正後操舵トルク信号Tscbの一部として操舵トルク信号Tscaに付随して、アシストマップに入力されるので、通常、非線形的に構成されるアシストマップの動作点における増幅率であるアシスト勾配としてのトルク比例ゲインに従って増幅され、アシストトルク指令信号Iaに高周波成分として含まれ、再び高周波補償部22に入力される。
補償後操舵トルク信号Tscaの高周波成分は、アシストマップと高周波補償部22を経て、補償後操舵トルク信号Tsca自身に正帰還され、補償後操舵トルク信号Tscaに高周波成分が加算されるので、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの特性は、基本的には、位相進み補償特性とアシストゲインを乗じた特性とる。その位相進み補償特性がアシスト勾配に対して可変になるように構成されている。
補償後操舵トルク信号Tscaの高周波成分は、その低周波成分に依存してアシストマップの動作点が決まり、図5に示す動作点P1の場合、アシストトルク指令信号Iaの高周波成分は、補正後操舵トルク信号Tscbにアシスト勾配Ka1を乗算した値となり、再び高周波補償信号Thcとして補償後操舵トルク信号Tscaに対し加算され、反復的に、アシスト勾配Ka1で乗算される。動作点P2の場合はアシスト勾配Ka1より大きなアシスト勾配Ka2を乗じた値となる。従って、補償後操舵トルク信号Tscaの高周波成分は、アシスト勾配が大きい程、高周波補償信号Thcが大きくなり加算器25での加算量も大きくなるので、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相進み補償効果が大きくなる。
図12は、この発明の実施の形態2による電動パワーステアリング装置に於ける、操舵トルク信号からアシストトルク指令信号までの伝達特性を示すボード線図であって、縦軸は位相[deg]とゲイン「dB」を示し、横軸は周波数[Hz]を示している。図12に示すように、1[Hz]以下の低周波数帯域に於いては、ゲイン特性の大きさは、アシスト勾配と同じ値を示し、アシスト勾配の増大と同様に増大している。一方、高周波数帯域に於いては、アシスト勾配が大きい程、低位周波数帯域と比較してゲインの増大量が大きく、位相進み量も大きくなっており、位相進み補償効果が、アシスト勾配に感応して変化していることが分かる。又、アシスト勾配が小さいときは、低周波数帯域に対する高周波数帯域のゲインの増大量が小さく、高周波数のノイズを増幅することを防ぐことができる特性となっている。
これに対して、図7を用いて前述した従来の構成では、図13に示す固定した特性の位相補償器40を用いている。即ち、図13は、従来の電動パワーステアリング装置に於ける、操舵トルク信号からアシストトルク指令信号までの伝達特性を示すボード線図であって、縦軸は位相[deg]とゲイン「dB」を示し、横軸は周波数[Hz]を示している。この従来の装置の構成例では、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相進み補償効果を位相補償器40を用いて得ている。そのため、図13に示すように、低周波と比較した高周波のゲインの増大量や位相進み量は、アシスト勾配に依らず一定となる。
次に、この発明の実施の形態2による電動パワーステアリング装置に於ける、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの伝達関数を、アシストマップのアシスト勾配Kaのときについて、数式を用いて説明する。高周波補償信号Thcを補償後操舵トルク信号Tscaに正帰還した補正後操舵トルク信号Tscbは、次の式(8)により表すことができる。

Tscb=Tsca+Thc ・・・式(8)
前述した式(2)と式(4)を式(8)に代入して変形すると、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの伝達関数Ga(s)は次式で表すことができる。

Ga(s)=Ka・(s+ωh)/{(1−k・Ka)・s+ωh} ・・式(9)
図12に示した周波数特性は、まさに式(9)をプロットしたものであり、式(9)に於ける、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの伝達関数Ga(s)の分母{(1−k・Ka)・s+ωh}には、アシスト勾配Kaが含まれ、その極は、次の式(10)で表すことができる。

ωh/(1−k・Ka) ・・・式(10)
従って、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相補償特性がアシスト勾配Kaに依存して変化することが分かる。式(9)の分子がゼロとなる点は、図4に示すハイパスフィルタ30のカットオフ周波数ωhで固定であるので、位相進み補償特性の低周波数帯域側の折れ点周波数はアシスト勾配に対して一定である。
式(10)に示す極は、位相進み補償特性の高周波側の折れ点周波数を示し、アシスト勾配Kaが大きいほど、高くなる。従って、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相補償特性は、アシスト勾配Kaが大きいほど、低周波数帯域に比べた高周波数帯域のゲインの増大量が増大し、かつ、位相進み量が増大する特徴を持つことになる。
次に、この発明の実施の形態2による電動パワーステアリング装置による効果を、アシストトルクに関する閉ループ系に於ける開ループ一巡伝達関数を用いて説明する。図14は、この発明の実施の形態2による電動パワーステアリング装置と従来の電動パワーステアリング装置に於ける、夫々の開ループ一巡伝達関数を比較して示すボード線図であって、縦軸は位相[deg]とゲイン「dB」を示し、横軸は周波数[Hz]を示している。そして図14は、この発明の実施の形態2による構成に於ける一巡伝達関数と、前述の図7と図13に示した従来の装置の構成による一巡伝達関数を示している。
図14に於いて、太い実線は、アシスト勾配Kaが「5」の時に於ける、この発明の実施の形態2の構成による一巡伝達関数と従来の装置の構成による一巡伝達関数を示しており、これらは同じ特性になるように構成されている。位相補償器24は位相遅れ進み補償として、前述の通り図11の特性を備えている。図7に於ける従来の装置の構成に対しても同様である。アシスト勾配Kaが「5」の場合のゲイン交差周波数は、図9からおよそ16[Hz]と読み取れ、位相補償器24はこの周波数に於いて位相進み量が得られるように構成されている。
この発明の実施の形態2による電動パワーステアリング装置に於いて、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相補償特性は、図12で示したように、アシスト勾配Kaが「5」の場合に於いて、高周波のゲインを極力上げないようにし、位相を必要最小限に進ませるよう構成されている。又、図13に示す従来の装置の構成に於いて、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相補償特性も、アシスト勾配Kaが「5」の場合に於いては、この発明の実施の形態2の構成と同じ特性になるように設計構成されている。
このように、アシスト勾配Kaが「5」のように小さい場合の一巡伝達関数は、図14に示す通り、ゲイン交差周波数に於ける位相が大きく位相余裕が十分に確保できている。又、前述したとおり、制御装置9の低周波数帯域に対する高周波数帯域のゲインの増大量を小さく抑えているので、一巡伝達特性に於いても、低周波数帯域に対する高周波数帯域のゲインの増大量小さく抑えられ高周波のノイズを抑制することができる。
次に、アシスト勾配Kaが「30」のように大きい場合に於ける、従来の装置の構成例による一巡伝達関数を説明する。従来の装置の構成では、位相補償特性はアシスト勾配に対して一定であるので、制御装置9の周波数特性は単純にアシスト勾配に比例し、一巡伝達関数も同様に単純にアシスト勾配に比例するので、従来の装置の構成によるゲイン線図は、アシスト勾配が増大する分だけ並行移動し、位相特性は、アシスト勾配に依らず一定になる。従って、アシスト勾配Kaが「30」のように大きい場合に於ける従来の装置の構成例による一巡伝達関数は、図14の細い破線で示すようになり、ゲイン交差周波数に於ける位相余裕が小さくなっていることが分かる。
一方、アシスト勾配Kaが「30」のように大きい場合に於けるこの発明の実施の形態2による装置の一巡伝達関数について説明する。この発明の実施の形態2による装置に於いて、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相補償特性は、アシスト勾配が大きい場合は、図12に示した通り、位相進み量は大きい。従って、一巡伝達関数は、図14の濃い黒色の実線に示す通り、ゲイン交差周波数に於いて位相余裕が十分大きいことが分かる。
このように、従来の装置の構成による位相補償をアシスト勾配が小さいときの特性を最適になるように構成された場合と比較すると、この発明の実施の形態2による構成によれば、アシスト勾配が小さいときに、従来の装置と同様の位相余裕やゲイン余裕等の安定余裕を確保し、高周波のノイズを抑制しながら、アシスト勾配が大きいときに於いては、従来の装置の構成よりも、位相余裕を向上できるといった効果を得ることができる。
又、従来の装置の構成による位相補償を、アシスト勾配が大きいときの特性を最適になるよう設計した場合、従来の装置の構成では、アシスト勾配が小さいときに、高周波ゲインの低減が十分できず、高周波のノイズを無駄に増幅するが、この発明の実施の形態2の構成によれば、アシスト勾配が小さくなる程、低周波に比べた高周波ゲインの増大量を小さくできるので、高周波のノイズを抑制できるという効果を得ることができる。
この発明の実施の形態2による制御装置は、アシストトルク指令信号を出力するアシストトルク指令演算部と、アシストトルク指令信号の高周波成分を濾過しゲインを乗算した高周波補償信号を出力する高周波補償部を備え、 高周波補償信号を補償後操舵トルク信号に正帰還してえた補正後操舵トルク信号をアシストトルク指令演算部に入力し、アシストトルク指令演算部では、補正ご操舵トルク信号に応じてアシストトルク指令信号を出力するように構成したので、アシストトルク指令演算部のアシスト勾配に応じて、補償後操舵トルク信号からアシストトルク指令信号までの位相補償特性の周波数特性を変化させることができ、その結果、従来の装置のアシスト勾配に応じて変化しない通常の位相補償器に比べて、操舵応答性や安定性を向上でき、さらに、高周波ノイズも低減できるといった従来にない顕著な効果を得ることができる。
又、このような高周波補償部と正帰還という非常に簡素な構成は、従来の装置に於けるアシスト勾配に応じて変化しない通常の位相補償器と同等の演算量であり、特許文献1のような、アシスト勾配を逐次演算するといった多量な演算に比べて、かなり演算量を低減できるという顕著な効果も得ることができる。
更に、特許文献2のようにアシスト勾配を操舵トルク信号で代用した場合には、アシスト勾配と操舵トルクの相関が低い動作点で、安定性や応答性を損ねるという課題があったが、この発明の実施の形態2による電動パワーステアリング装置によれば、アシスト勾配そのものについて感応して位相補償特性を変化できるので、当然、安定性や応答性を損ねることはない。
又、この発明の実施の形態2による電動パワーステアリング装置は、操舵トルク信号の位相を補償し補償後操舵トルク信号を出力する位相補償器24を備え、高周波補償信号を位相補正後の操舵トルク信号に正帰還するように構成したので、高周波補償部により実現される操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相進み補償特性と、位相補償器24による位相遅れ進み特性を組み合わせて、位相遅れ進み補償を構成することができるので、高周波のノイズを抑制し、ゲイン交差周波数を下げつつアシスト勾配に応じて位相余裕を適切に確保することで安定性を向上できるといった従来の装置にはない顕著な効果を得ることができる。
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3による電動パワーステアリング装置について説明する。図15は、この発明の実施の形態3による電動パワーステアリング装置に於ける、制御装置の構成を示すブロック線図である。前述の実施の形態2の構成との相違点は、実施の形態2に於ける位相補償器24をアシストトルク指令演算部20の後段に配置換えして第2の位相補償器としての位相補償器27に変更したことである。加算器26は実施の形態2に於ける加算器26と同様である。それ以外については、実施の形態2と同様である。以下の説明では、実施の形態2との相違点を主体に説明する。
図15に於いて、位相補償器27の周波数特性は、実施の形態2の図11で示した位相補償器24の周波数特性と同じである。従って、実施の形態2に於いて周波数特性上で説明した性能は、この発明の実施の形態3に於いても同じことが言える。即ち、この発明の実施の形態3による電動パワーステアリング装置は、アシストトルク指令信号Iaを出力するアシストトルク指令演算部20と、アシストトルク指令信号Iaの高周波成分を濾過しゲインを乗算した高周波補償信号Thcを出力する高周波補償部22を備え、 高周波補償信号Thcを操舵トルク信号τ0に正帰還した補正後操舵トルク信号Tscbをアシストトルク指令演算部20に入力し、アシストトルク指令演算部20は、補正後操舵トルク信号Tscbに応じてアシストトルク指令信号Iaを出力するように構成されている。
従って、アシストトルク指令演算部20のアシスト勾配に応じて、操舵トルク信号τ0からアシストトルク指令信号Iaまでの位相補償特性の周波数特性を変化させることができ、その結果、従来のア層二に於けるシスト勾配に応じて変化しない通常の位相補償器に比べて、操舵応答性や安定性を向上でき、更に、高周波ノイズも低減できるといった従来の装置にない顕著な効果を得ることができる。
この発明の実施の形態3による電動パワーステアリング装置は、図11のような概略的に低周波数帯域より高周波ゲインが低く、低周波数帯域で位相遅れの大きな位相補償器を、アシストマップとしてのアシストトルク指令演算部20の後段に置いたことが特徴である。操舵トルク信号τ0には、このようなゲイン低下や位相遅れが作用しないので、アシストマップに対して入力される補正後操舵トルク信号Tscbもゲイン低下や位相遅れが小さくでき、その結果、アシストトルク指令信号Iaがアシストマップのゼロ付近から増大する際の立ち上りを速くすることができるという効果がある。
又、この発明の実施の形態3による電動パワーステアリング装置では、加算器26によって高周波補償信号Thcを操舵トルク信号τ0に加算したが、減算器26を実施の形態1の場合のように変更して、高周波補償信号Thcを操舵トルク信号τ0から減算するようにしてもよく、この場合、周波数特性は、実施の形態1と同様な効果が得られる。このとき、この発明の実施の形態3によれば、前述の実施の形態1の場合とは異なり、位相進み補償を位相補償器27により実現するので、操舵トルク信号τ0は、位相進みより先に、高周波補償部22と減算器26によって位相遅れによる高周波ゲインを低減する効果が得られるので、高周波ノイズを1ビット以下にしてゼロにできる効果があり、微小なノイズを低減する効果が高くできる。
このように、この発明の実施の形態3による電動パワーステアリング装置は、アシストトルク指令信号Iaの位相を補償し、電流指令信号Irefを出力する位相補償器27を備えているので、高周波補償部22により実現される補正後操舵トルク信号Tscbからアシストトルク指令信号Iaまでの位相進み補償特性又は位相遅れ補償特性と、位相補償器27による位相遅れ特性又は位相進み特性を組み合わせて、位相遅れ進み補償を構成することができるので、高周波のノイズを抑制し、ゲイン交差周波数を下げつつアシスト勾配に応じて位相余裕を適切に確保することで安定性を向上でき、アシストトルク指令信号Iaの立ち上りを速くし操舵応答性を向上できるといった従来にない顕著な効果を得ることができる。
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態3による電動パワーステアリング装置について説明する。図16は、この発明の実施の形態4による電動パワーステアリング装置に於ける、制御装置の構成を示すブロック線図である。この実施の形態4による電動パワーステアリング装置と前述の実施の形態1による電動パワーステアリング装置との相違点は、実施の形態1に場合に於ける位相補償器24を廃止し、その代わりに、モータ速度検出部51で検出されたモータの速度信号を補正するモータ速度補償部52と減算器28を備えたことであり、この部分以外については、実施の形態1の場合同様である。以下の説明では、実施の形態1の場合と異なる部分を主体に説明する。
図16に於いて、モータ速度補償部52は、モータ速度検出部51で検出されたモータの回転速度であるモータ速度信号ωmが入力され、後述するようにハイパスフィルタ61とローパスフィルタ62とゲイン63によって補正されたモータ速度補正信号Tvcを出力する。モータ速度補正信号Tvcは、減算器28に於いて、操舵トルク信号τ0に対してモータ速度補償すべく減算され、補償後操舵トルク信号Tscaとなる。補償後操舵トルク信号Tscaは、減算器23に於いて高周波補償信号Thcにより減算されて補正され、補正後操舵トルク信号Tscbとなる。
図17は、この発明の実施の形態4及び実施の形態5による電動パワーステアリング装置に於ける、モータ速度補償部の構成を示すブロック線図である。図16に示すモータ速度補償部52は、図17に示すように、ハイパスフィルタ61と、ローパスフィルタ62と、ゲイン63とから構成される。ハイパスフィルタ61は、低い周波数帯域の遮断処理を実行することにより、モータ速度信号ωmの操舵周波数の成分を低減して、モータ速度信号を補償して出力する。ハイパスフィルタ61は、運転者が操舵をする周波数に於ける成分を低減するように構成されており、そのカットオフ周波数は、運転者が操舵をする周波数以上であることが必要である。尚、運転者が操舵をする周波数は、一般的におよそ3〜5[Hz]以下の周波数帯域である。
又、制御装置9によるフィードバックを含めた固有振動数であるゲイン交差周波数の振動成分を抑制するため、ハイパスフィルタ61は、ゲイン交差周波数近傍の帯域ではモータ速度信号ωmを通過させる。従って、ハイパスフィルタ61のカットオフ周波数は、運転者が操舵をする周波数以上で且つアシストトルクに関する閉ループ系の一巡伝達関数のゲイン交差周波数以下とする。具体的には3[Hz]以上で40[Hz]以下であり、望ましくは5[Hz]以上で30[Hz]以下であることが望ましい。これにより、操舵に対する粘性感を抑制しつつ、アシストトルクに関する閉ループ系に起因する振動成分も抑制することが可能である。
ローパスフィルタ62は、ハイパスフィルタ61が出力するモータ速度信号に対して、高い周波数帯域の遮断処理を実行し、このモータ速度信号の高周波ノイズ成分を低減して、補償されたモータ速度信号Svcとして出力する。ハイパスフィルタ61は、モータ速度信号の高周波ノイズ成分を低減するものなので、そのカットオフ周波数は、高周波ノイズ成分以下であることが必要である。
モータ速度フィードバックのフィードバックゲインであるゲイン63は、補償されたモータ速度信号Svcに比例ゲインを乗算し、モータ速度補正信号Tvcを算出する。前述の実施の形態1に於いては、操舵トルク信号τ0の位相進み効果を得るために、図3に示した位相進み補償特性を持つ位相補償器24を用いて操舵トルク信号τ0を位相補償するようにした。この発明の実施の形態4による構成では、位相補償器24に代えて、モータ速度補償部52からのモータ速度補正信号Tvcを操舵トルク信号τ0に減算することで操舵トルク信号τ0に位相進み効果を与えて補償後操舵トルク信号Tscaとする。
ここで、モータ速度補正信号Tvcによって、位相補償器24と同様な効果が得られることを説明する。操舵トルクとモータの回転角度は当然、操舵周波数付近の低周波数帯域での応答性は異なるが、ハイパスフィルタ61によって、低周波数帯域は除去している。操舵トルクは、モータとトルクセンサの剛性で決まるおよそ10[Hz]付近の固有振動数以上では、モータの回転角度の逆符号と同様な位相特性を持ち、ゲイン特性は、モータの回転角度にトルクセンサの剛性を乗じたものと同等である。
従って、モータ速度信号ωmは、操舵トルクの微分に近い特性を有している。それ故、モータ速度信号ωmにゲインを乗じたモータ速度補正信号Tvcを操舵トルク信号τ0から減算することで、前述の位相補償器24に於ける35[Hz]付近の位相進み効果が得られる。又、ローパスフィルタ62のカットオフ周波数は、位相補償器24の高周波数帯域側の折れ点周波数と同様な値に設定すれば、まさに位相補償器24と同様な特性を得ることができる。
尚、モータ速度補正信号Tvcは、減算器28を介して操舵トルク信号τ0に付随してアシストトルク指令演算部20に入力されるので、位相補償器24の出力と同様にアシスト勾配の影響を受ける。この点に置いても、位相補償器24と同様な特性を得られることが分かる。
ここで、モータ速度補償部52は、アシストマップより後段側の信号をアシストマップに帰還しているが、高周波補償部22は制御装置9の内部の信号を帰還するのに対し、モータ速度補償部52は、モータの回転速度という制御対象の応答を帰還するものであるので、高周波補償部22の帰還のような、アシスト勾配に可変の位相補償効果を得ることはできないという点を補足しておく。
以上述べたこの発明の実施の形態4による電動パワーステアリング装置は、モータの回転軸の回転速度を検出するモータ速度検出部51からのモータ速度信号ωmを補正した補正信号Tvcを操舵トルク信号τ0に負帰還するように構成したので、高周波補償部22により実現される補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相遅れ補償特性と、モータ速度信号を補正した補正信号Tvcの負帰還による位相進み特性を組み合わせて、位相遅れ進み補償を構成することができるので、ゲイン交差周波数を下げて位相余裕を向上することで安定性を向上できる。
この発明の実施の形態4に於いては、位相補償器24は用いない構成としたが、実施形態1に於ける操舵トルクを位相補償する位相補償器24、又は、実施の形態3に於けるアシストトルクを位相補償する位相補償器27を、実施の形態4に於けるモータ速度信号を補正した補正信号の負帰還と組み合わせて構成してもよく、その場合、位相進み効果を、位相補償器とモータ速度補償部で分担して実現させるよう、ゲインなどを調整すればよく、それによって、操舵トルク信号の高周波成分とモータ速度の高周波成分の増幅量をそれぞれ低減できるので、高周波のノイズを分散でき、高周波の音、振動を低減できる。又、従来のアシスト勾配に応じて変化しない通常の位相補償器に比べて、操舵応答性や安定性を向上できるといった従来にない顕著な効果を得ることができる。
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態3による電動パワーステアリング装置について説明する。図18歯、この発明の実施の形態5による電動パワーステアリング装置に於ける、制御装置の構成を示すブロック線図である。この発明の実施の形態5による電動パワーステアリング装置と前述の実施の形態4の場合との相違点は、この発明の実施の形態5に場合は、モータ速度補償部52から出力されるモータ速度補償部52からのモータ速度補正信号Tvcを、アシストトルク指令信号Iaから減算する減算器29を備えたことであり、この部分以外については、実施の形態4と同様である。以下の説明では、その相違点を主体に説明する。
モータ速度補正信号Tvcは、減算器29に於いて、アシストトルク指令信号Iaから減算され、補正されたアシストトルク指令信号となり、これが即ちモータ電流指令信号Irefとなる。モータ速度補償部52の構成は、実施の形態4の場合と同様であり、ゲイン63の設定値が異なるだけである。この実施の形態5の構成に於いては、モータ速度補正信号Tvcは、アシストトルク指令演算部20を経由せず、アシスト勾配による増幅効果が無いので、ゲイン63は、実施の形態4よりも大きく設定する。それによって、アシスト勾配が大きいときにも、同様な位相進み効果を得ることができる。
以上述べたこの発明の実施の形態5による電動パワーステアリング装置は、モータの回転軸の回転速度を検出するモータ速度検出部51からのモータ速度信号ωmを補正したモータ速度補正信号Tvcをアシストトルク指令信号Iaに負帰還するように構成したので、高周波補償部22により実現される補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相遅れ補償特性と、モータ速度信号を補正したモータ速度補正信号Tvcの負帰還による位相進み特性を組み合わせて、位相遅れ進み補償を構成することができるので、ゲイン交差周波数を下げて位相余裕を向上することで安定性を向上できるといった従来の装置にない顕著な効果を得ることができる。又、アシスト勾配がゼロ付近でも、モータ速度補正信号による位相進み効果が期待できるので、外乱抑制や安定化効果を向上できる。
尚、この発明は前述の実施の形態1から実施の形態5による電動パワーステアリング装置に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態1から実施の形態5の構成を適宜組み合わせたり、その構成に一部変形を加えたり、構成を一部省略することが可能である。
この発明による電動パワーステアリング装置は、自動車等の車両の操舵系に適用することができ、ひいては自動車産業に利用することが出来る。
1 ステアリングホィール、2 ステアリングシャフト、3、4 車輪、12 ラック・ピニオンギヤ、5 モータ、7 減速ギヤ、8 トルクセンサ、9 制御装置、11 電源、13 車速センサ、20 アシストトルク指令演算部、21 電流制御部、22 高周波補償部、23 減算器、24 第1の位相補償器、27 第2の位相補償器、31、63 ゲイン、61 ハイパスフィルタ、62 ローパスフィルタ、τ0 操舵トルク信号、Vx 車速信号、Iref モータ電流指令信号、Ia アシストトルク指令信号、Tsca 補償後操舵トルク信号、Tscb 補正後操舵トルク信号、Thc 高周波補償信号、HPF(s) 1次フィルタ、ωh カットオフ周波数、s ラプラス変換子、AT アシストトルク、ωm モータ速度信号、Tvc モータ速度補正信号。
この発明による電動パワーステアリング装置は、
操舵トルクを検出するトルクセンサからの操舵トルク信号に基づきアシストトルクを出力するモータと、前記モータの前記アシストトルクを制御する制御装置とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
前記制御装置は、
前記モータに前記アシストトルクを発生させるためのアシストトルク指令信号を演算して出力するアシストトルク指令演算部と、
前記アシストトルク指令信号の高周波数成分を濾過してゲインを乗算した高周波補償信号を出力する高周波補償部と、
を備え、
前記アシストトルク指令演算部は、
前記高周波補償信号が前記操舵トルク信号に負帰還、又は正帰還されて生成された補正後操舵トルク信号が入力され、
前記入力された前記補正後操舵トルク信号に応じてアシストトルク指令信号を出力する、
ように構成されている、
ことを特徴とするものである。
この発明による電動パワーステアリング装置によれば、操舵トルクを検出するトルクセンサからの操舵トルク信号に基づきアシストトルクを出力するモータと、前記モータの前記アシストトルクを制御する制御装置とを備えた電動パワーステアリング装置であって、前記制御装置は、前記モータに前記アシストトルクを発生させるためのアシストトルク指令信号を演算して出力するアシストトルク指令演算部と、前記アシストトルク指令信号の高周波数成分を濾過してゲインを乗算した高周波補償信号を出力する高周波補償部とを備え、前記アシストトルク指令演算部は、前記高周波補償信号が前記操舵トルク信号に負帰還、又は正帰還されて生成された補正後操舵トルク信号が入力され、前記入力された前記補正後操舵トルク信号に応じてアシストトルク指令信号を出力するように構成されているので、演算負荷や記憶容量を抑制しつつ、アシスト勾配に応じて安定性や応答性を向上させることができる。
制御装置9は、トルクセンサ8により検出された操舵トルクτ0と、車速センサ13により検出された車速Vxに応じて、モータ5の出力トルクの方向と値に相当するモータ電流指令信号Irefを演算により生成し、生成したモータ電流指令信号Irefに基づいてモータ5の電流を制御する。モータ5は、制御装置9により制御された電流に基づいて駆動され、減速ギヤ7を介してステアリングシャフト2にアシストトルクATを加える。
このように、制御装置9は、補償後操舵トルク信号Tscaを入力として、その高周波成分がアシストトルク指令演算部20に繰り返し処理されるループが構成されていることで、高周波成分のみアシストトルク指令演算部20の処理を反復的に受けるように構成されている。
図6は、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置に於ける、補償後操舵トルク信号からアシストトルク指令信号までの伝達特性を示すボード線図であって、補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの伝達特性の周波数応答性を示し、縦軸は、位相[deg]及びゲイン[dB]を示し、横軸は周波数[Hz]を示している。又、細い実線はアシスト勾配Kaが「5」、細い破線はアシスト勾配Kaが「10」、太い破線はアシスト勾配Kaが「20」、太い実線はアシスト勾配Kaが「30」の場合に於ける位相[deg]及びゲイン[dB]を夫々示している。
以上述べたように、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置は、アシストトルク指令信号を出力するアシストトルク指令演算部と、アシストトルク指令信号の高周波成分を濾過しゲインを乗算した高周波補償信号を出力する高周波補償部を備え、高周波補償信号を操舵トルク信号に負帰還した補正後操舵トルク信号をアシストトルク指令演算部に入力し、アシストトルク指令演算部は、補正後操舵トルク信号に応じてアシストトルク指令信号を出力するように構成したので、アシストトルク指令演算部のアシスト勾配に応じて、操舵トルク信号からアシストトルク指令信号までの位相補償特性の周波数特性を変化させることができ、その結果、アシスト勾配に応じて変化しない通常の位相補償器を用いた従来の装置に比べて、操舵応答性や安定性を向上させることができるという顕著な効果を得ることができる。
又、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置は、操舵トルク信号の位相を補償した補償後操舵トルク信号を出力する位相補償器24を備え、高周波補償信号を位相補正した後に補償後操舵トルク信号に負帰還するように構成したので、高周波補償部により実現される補償後操舵トルク信号Tscaからアシストトルク指令信号Iaまでの位相遅れ補償特性と、操舵トルク信号を位相補償する位相補償器による位相進み特性を組み合わせて、位相遅れを進み補償することができるので、ゲイン交差周波数を下げて位相余裕を向上することで安定性を向上できるといった従来にない顕著な効果を得ることができる。
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3による電動パワーステアリング装置について説明する。図15は、この発明の実施の形態3による電動パワーステアリング装置に於ける、制御装置の構成を示すブロック線図である。前述の実施の形態2の構成との相違点は、実施の形態2に於ける位相補償器24をアシストトルク指令演算部20の後段に配置換えして第2の位相補償器としての位相補償器27に変更したことである。加算器26は実施の形態2に於ける加算器25と同様である。それ以外については、実施の形態2と同様である。以下の説明では、実施の形態2との相違点を主体に説明する。
従って、アシストトルク指令演算部20のアシスト勾配に応じて、操舵トルク信号τ0からアシストトルク指令信号Iaまでの位相補償特性の周波数特性を変化させることができ、その結果、従来の装置に於けるシスト勾配に応じて変化しない通常の位相補償器に比べて、操舵応答性や安定性を向上でき、更に、高周波ノイズも低減できるといった従来の装置にない顕著な効果を得ることができる。
又、この発明の実施の形態3による電動パワーステアリング装置では、加算器26によって高周波補償信号Thcを操舵トルク信号τ0に加算したが、加算器26を実施の形態1の場合のように変更して、高周波補償信号Thcを操舵トルク信号τ0から減算するようにしてもよく、この場合、周波数特性は、実施の形態1と同様な効果が得られる。このとき、この発明の実施の形態3によれば、前述の実施の形態1の場合とは異なり、位相進み補償を位相補償器27により実現するので、操舵トルク信号τ0は、位相進みより先に、高周波補償部22と減算器26によって位相遅れによる高周波ゲインを低減する効果が得られるので、高周波ノイズを1ビット以下にしてゼロにできる効果があり、微小なノイズを低減する効果が高くできる。
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4による電動パワーステアリング装置について説明する。図16は、この発明の実施の形態4による電動パワーステアリング装置に於ける、制御装置の構成を示すブロック線図である。この実施の形態4による電動パワーステアリング装置と前述の実施の形態1による電動パワーステアリング装置との相違点は、実施の形態1に場合に於ける位相補償器24を廃止し、その代わりに、モータ速度検出部51で検出されたモータの速度信号を補正するモータ速度補償部52と減算器28を備えたことであり、この部分以外については、実施の形態1の場合同様である。以下の説明では、実施の形態1の場合と異なる部分を主体に説明する。
この発明の実施の形態4に於いては、位相補償器24は用いない構成としたが、実施形態1に於ける操舵トルクを位相補償する位相補償器24、又は、実施の形態3に於けるアシストトルクを位相補償する位相補償器27を、実施の形態4に於けるモータ速度信号を補正した補正信号の負帰還と組み合わせて構成してもよく、その場合、位相進み効果を、位相補償器とモータ速度補償部で分担して実現させるよう、ゲインなどを調整すればよく、それによって、操舵トルク信号の高周波成分とモータ速度の高周波成分の増幅量をそれぞれ低減できるので、高周波のノイズを分散でき、高周波の音、振動を低減できる。又、従来のアシスト勾配に応じて変化しない通常の位相補償器に比べて、操舵応答性や安定性を向上できるといった従来にない顕著な効果を得ることができる。
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5による電動パワーステアリング装置について説明する。図18歯、この発明の実施の形態5による電動パワーステアリング装置に於ける、制御装置の構成を示すブロック線図である。この発明の実施の形態5による電動パワーステアリング装置と前述の実施の形態4の場合との相違点は、この発明の実施の形態5に場合は、モータ速度補償部52から出力されるモータ速度補償部52からのモータ速度補正信号Tvcを、アシストトルク指令信号Iaから減算する減算器29を備えたことであり、この部分以外については、実施の形態4と同様である。以下の説明では、その相違点を主体に説明する。
1 ステアリングホィール、2 ステアリングシャフト、3、4 車輪、12 ラック・ピニオンギヤ、5 モータ、7 減速ギヤ、8 トルクセンサ、9 制御装置、11 電源、13 車速センサ、20 アシストトルク指令演算部、21 電流制御部、22 高周波補償部、23 減算器、24 第1の位相補償器、27 第2の位相補償器、31、63 ゲイン、61 ハイパスフィルタ、62 ローパスフィルタ、τ0 操舵トルク信号、Vx 車速信号、Iref モータ電流指令信号、Ia アシストトルク指令信号、Tsca 補償後操舵トルク信号、Tscb 補正後操舵トルク信号、Thc 高周波補償信号、HPF(s) 1次フィルタ、ωh カットオフ周波数、s ラプラス演算子、AT アシストトルク、ωm モータ速度信号、Tvc モータ速度補正信号。








Claims (5)

  1. 操舵トルクを検出するトルクセンサからの操舵トルク信号に基づきアシストトルクを出力するモータと、前記モータの前記アシストトルクを制御する制御装置とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
    前記制御装置は、
    前記モータに前記アシストトルクを発生させるためのアシストトルク指令信号を演算して出力するアシストトルク指令演算部と、
    前記アシストトルク指令信号の高周波数成分を濾過してゲインを乗算した高周波補償信号を出力する高周波補償部と、
    を備え、
    前記アシストトルク指令演算部は、
    前記高周波補償信号が前記操舵トルク信号に負帰還、又は正帰還されて生成された補正後操舵トルク信号が入力され、
    前記入力された前記補正操舵トルク信号に応じてアシストトルク指令信号を出力する、
    ように構成されている、
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記操舵トルク信号の位相を補償して補償後操舵トルク信号を出力する第1の位相補償器を備え、
    高周波補償部から出力された前記高周波補償信号は、前記補償後操舵トルク信号に負帰還又は正帰還される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記アシストトルク指令演算部から出力された前記アシストトルク指令信号の位相を補償し補償後アシストトルク指令信号を出力する第2の位相補償器を備えた、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記モータの回転軸の回転速度を検出するモータ速度検出部を備え、
    前記モータ速度検出部からのモータ速度信号に基づいて生成したモータ速度補正信号を前記操舵トルク信号に負帰還するように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1から3のうちの何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記モータの回転軸の回転速度を検出するモータ速度検出部を備え、
    前記モータ速度検出部からのモータ速度信号に基づいて生成したモータ速度た補正信号を前記アシストトルク指令信号に負帰還するように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1から3のうちの何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
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