JPWO2017183633A1 - 二次電池 - Google Patents

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Abstract

短絡防止のための無機粒子を含むセパレータであって、セパレータから無機粒子が脱離しにくいセパレータを含む電池を提供する。本発明の電池は、空孔を有し、基材である樹脂と、空孔に面した表面(A)および樹脂と接する表面(B)を有する無機粒子であって、セパレータの断面のSEM写真において、粒子外周における表面(A)の長さが、粒子外周の長さの50%以上である無機粒子と、を含むセパレータを含むことを特徴とする。

Description

本発明は、電池とその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は小型で大容量であるという特徴を有しており、携帯電話、ノート型パソコン等の電子機器の電源として広く用いられ、携帯用IT機器の利便性向上に貢献してきた。近年では、二輪や自動車などの駆動用電源や、スマートグリッドのための蓄電池といった、大型化した用途での利用も注目を集めている。リチウムイオン二次電池の需要が高まり、様々な分野で使用されるにつれて、電池の更なる高エネルギー密度化が求められている。
電池を高エネルギー密度化した場合、安全性の確保が課題となっている。特に、電池内で短絡が発生した場合に、電池内が高温になりやすいため危険性が高い。電池内部が高温になると、電池内で正極と負極を絶縁するセパレータが収縮や溶融して絶縁性を失い、さらに発熱が進む恐れがある。このため、高エネルギー密度の電池では、より高い性能のセパレータを用いることが求められている。
電池が発熱した時の短絡を防止するために、セパレータの基材として、ポリオレフィン系樹脂よりも溶融温度あるいは熱分解温度が高い樹脂を用いたセパレータが開発されている。例えば、特許文献1には、芳香族ポリアミドの多孔質膜によるセパレータが、特許文献2には、ポリイミドの多孔質膜によるセパレータが示されている。ポリオレフィン系のセパレータが200℃未満で収縮や溶融して絶縁保持性を失うのに対して、芳香族ポリアミドの多孔質膜やポリイミドの多孔質膜によるセパレータは、200℃以上でも絶縁性を保つことができる。
電池が発熱した時の短絡を防止するために、絶縁性の無機粒子を含むことで耐熱性が向上したセパレータも開発されている。その1つとして、樹脂を基材とする多孔質膜に無機粒子を塗布して作製される多層構造のセパレータが知られている。特許文献3には、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に、アルミナ等の無機粒子及び樹脂バインダを含有する被覆層を有するセパレータが記載されている。
特許第5509563号公報 特許第4075208号公報 特許第5344107号公報
特許文献1、特許文献2に記載されるような、溶融温度あるいは熱分解温度が高い樹脂によるセパレータは、ポリオレフィン系樹脂によるセパレータと比べて、高い温度領域まで正極と負極の間の短絡を防止できる。しかし、ガラス転移温度まで温度が上がると、樹脂が軟化するため、セパレータの厚さ方向に力が加わると圧縮されて厚さが減り、絶縁性が低下する恐れがある。正極の表面や負極の表面の凸部が、軟化したセパレータに押し込まれて、正極と負極が短絡することも懸念される。
特許文献3に記載されるような、無機粒子層を有するセパレータでは、樹脂層が絶縁性を失っても、無機粒子層によって絶縁が保たれることが期待される。しかし、セパレータを切断する際に、切断端面から無機粒子層が剥落しやすい。あるいは、電池の製造ラインにおいて、セパレータを搬送するときに、搬送ロールとの摺動によって無機粒子層が剥落することも懸念される。剥落物が電池内部に混入すると、電池の機能に支障をきたす異物となる恐れがある。電極とセパレータからなる積層構造が異物を挟み込んでいると、圧縮力を受けたときに無機粒子層が割れて、絶縁性能が低下する恐れがある。また、基材の片面にのみ無機粒子層を有するセパレータでは、水分を除去するために加熱乾燥されると、基材と塗布層との応力の違いによりセパレータが反り、以降の工程の支障となることがある。
本発明の目的は、短絡防止のための無機粒子を含むセパレータであって、無機粒子が脱離しにくいセパレータを含む電池を提供することにある。
本発明の電池は、空孔を有し、基材である樹脂と、空孔に面した表面(A)および樹脂と接する表面(B)を有する無機粒子であって、セパレータの断面のSEM写真において、表面(A)の長さが、粒子外周の長さの50%以上である無機粒子とを含むセパレータを含むことを特徴とする。
本発明によれば、短絡防止のための無機粒子を含むセパレータであって、無機粒子が脱離しにくいセパレータを含む電池を提供することができる。
フィルム外装電池の基本的構造を示す分解斜視図である。 図1の電池の断面を模式的に示す断面図である。 本発明の電池に使用するセパレータの断面を模式的に示す図である。 無機粒子の2種の表面を示すために、図3よりもさらに拡大した本発明の電池に使用するセパレータの断面を模式的に示す図である。
[セパレータ]
本発明の電池は、空孔を有し、基材である樹脂と、空孔に面した表面(A)および樹脂と接する表面(B)を有する無機粒子であって、セパレータの断面のSEM写真において、表面(A)の長さが、粒子外周の長さの50%以上である無機粒子とを含むセパレータを含む。以下では本発明の電池に使用するセパレータについて説明する。
セパレータの基材である樹脂としては、特に限定されないが、ポリプロピレンおよびポリエチレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、ならびにポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリパラフェニレンテレフタルアミドおよびコポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド(アラミド)等が挙げられる。高エネルギー密度の電池では、過大な充放電や電池内部での短絡、外力による破壊などの異常や事故が発生すると、電池内部の温度が上昇しやすいので、高温下でも熱収縮しない耐熱性の高い樹脂が好ましい。熱収縮しない、耐熱性の高い樹脂を使用することにより、正極と負極との間の接触を防止することができる。加えて、熱収縮しないので、高温下でも無機粒子をセパレータ中に保持することができる。従って、セパレータの基材である樹脂は、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上の溶融温度および/または分解温度を有する。このような耐熱性の高い樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、アラミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。
無機粒子は、樹脂を基材とするセパレータ内部に存在する。無機粒子の材料としては、例えば、金属の酸化物や窒化物、具体的には、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の絶縁性の高い無機材料を使用することが好ましい。絶縁性の高い無機粒子がセパレータに含まれることで、電池内部での短絡の発生を抑制できる。さらには、無機粒子が存在することで、基材である樹脂に問題が生じても、セパレータの機能を維持することができる。例えば、通常のセパレータでは、セパレータと電極間に異物を挟んだ状態で電池が圧縮されると、多孔質構造が壊れて短絡することがある。無機粒子を含むセパレータでは、こうした場合に多孔質構造が壊れても、無機粒子が絶縁スペーサーとなるため短絡を防止できる。樹脂が軟化する温度環境で圧縮力を受けても無機粒子が絶縁スペーサーとして短絡を防止する。さらに、基材である樹脂が分解する温度となっても、無機粒子が残存する限りは短絡を防止できる。
無機粒子は、セパレータ内部に存在するため、セパレータ切断時において、無機粒子がセパレータから脱離しにくい。仮に脱離した場合にも、無機粒子が互いに独立して存在しているため、塊状になり難い。セパレータ表面が摺動される場合にも、無機粒子が樹脂基材の表面よりも内側に存在しているため、無機粒子が脱落し難く、セパレータ基材の最表面が摩耗することがあっても、無機粒子が互いに独立しているため、無機粒子は塊として脱落し難い。
無機粒子は、空孔に面した表面(A)と樹脂と接する表面(B)を有する。表面(A)が存在することにより表面(B)を狭くし、無機粒子の樹脂と無機粒子の界面での剥離(界面剥離)によるセパレータの強度低下を抑制できる。表面(B)が広い場合、セパレータの柔軟性が低く、引張りや曲げなどの力が加わると界面剥離が生じやすい。界面剥離が生じると、樹脂部分だけでセパレータの構造を支えることになるが、無機粒子を含まないセパレータと比べると、無機粒子の分だけ樹脂の量が少なく、セパレータの機械的強度が低くなる。機械的強度の低いセパレータを使用する電池では、電極とセパレータの間に製造工程の不具合などで異物を挟み込んだり、電池の外部から想定以上の大きな力を受けたりした時に、セパレータが破れる恐れがある。通常使用時においても、充放電に伴う電極の膨張収縮による応力を受けてセパレータが劣化し、デンドライト発生時に短絡を防止する性能が低下する恐れがある。加えて、機械的強度が低いセパレータでは、電池の性能を上げるために、薄膜化や、空孔率を上げることが困難となる。樹脂中に無機粒子を混合して作製されるセパレータも知られてはいるが、これらの多くは、表面(A)が存在しない、または表面(A)が狭い。よって、このようなセパレータに比べて、本発明で使用するセパレータは、上述した機械的強度の低下に起因する問題を改善できる。
加えて、空孔に面した表面(A)が存在することにより、電解液と無機粒子が接触できる。電解液中には、活物質や電流端子から溶出したマンガン、ニッケル、コバルトなどの金属イオンが存在することがある。溶出した金属イオンは、セパレータや負極上に析出して、リチウムイオンの拡散の抵抗になったり、負極上の皮膜を破壊したりして、電池の特性を低下させる可能性がある。金属イオンを吸着する性能を有する無機粒子が、電解液と接することにより、こうした電解液中に溶出した金属を吸着し、電池特性の低下を防止することができる。
こうした効果を高めるために、無機粒子表面における表面(A)の比率が高い方が好ましい。表面(A)の比率は走査型電子顕微鏡(SEM)によりセパレータの断面を観察することによって確認することができる。セパレータの断面のSEM写真において、粒子外周における表面(A)の長さは、粒子外周の長さの好ましくは50%以上、より好ましくは65%以上、最も好ましくは80%以上である。図3および図4に、セパレータの断面における無機粒子を模式的に示す。図3および図4にも示される通り、セパレータの断面では、表面(A)のみを外周とする無機粒子が表示される場合がある。この場合は、表面(A)の長さは、粒子外周と同一である。ここで、以降の記載を簡潔にするため、表面(A)の比率に応じて無機粒子の略称を設定する。セパレータの断面のSEM写真において、粒子外周における表面(A)の長さが、粒子外周の長さの50%以上かつ65%未満である無機粒子を無機粒子(1)とする。セパレータの断面のSEM写真において、粒子外周における表面(A)の長さが、粒子外周の長さの65%以上かつ80%未満である無機粒子を無機粒子(2)とする。セパレータの断面のSEM写真において、粒子外周における表面(A)の長さが、粒子外周の長さの80%以上である無機粒子を無機粒子(3)とする。
セパレータは、表面(A)がない無機粒子(即ち、表面が表面(B)のみから成り、樹脂中に完全に埋め込まれている無機粒子)やセパレータの断面のSEM写真において、粒子外周における表面(A)の長さが、粒子外周の長さの50%未満の無機粒子を含んでいてもよい。第1の実施形態では、無機粒子(1)、無機粒子(2)、および無機粒子(3)の総数は、好ましくはセパレータに含まれる無機粒子の総数の50%以上であり、より好ましくは70%以上であり、最も好ましくは90%以上であり、100%でもよい。第2の実施形態では、無機粒子(2)、および無機粒子(3)の総数は、好ましくはセパレータに含まれる無機粒子の総数の50%以上であり、より好ましくは70%以上であり、最も好ましくは90%以上であり、100%でもよい。第3の実施形態では、無機粒子(3)の総数は、好ましくはセパレータに含まれる無機粒子の総数の50%以上であり、より好ましくは70%以上であり、最も好ましくは90%以上であり、100%でもよい。セパレータ断面のSEM写真において、ランダムに無機粒子を50個選択し、これを全ての無機粒子とみなして、無機粒子の比率の計算を簡略化してよい。
SEMによるセパレータの断面観察においては、ミクロトームなどで観察断面を形成する前に、適当な樹脂をセパレータに含浸して、無機粒子が脱落しないように固定しても良い。その他、凍結ミクロトーム法などを適宜用いることができる。
セパレータに含まれる無機粒子の総量は、セパレータの短絡防止機能を強化するため、セパレータの外形寸法の2体積%以上が好ましく、5体積%以上がより好ましく、10体積%以上が最も好ましい。また、無機粒子の総量は、電解液を保持するために必要な空孔の体積を確保するために、セパレータの外形寸法の40体積%以下が好ましく、20体積%以下がより好ましい。これらの体積%として表される値を、無機粒子材料の比重を用いて質量%に換算することができる。
無機粒子の粒径は、特に限定されない。ガーレー値および空孔率などのセパレータの特性が適切な値となるように、無機粒子の粒径を調整してよい。第1の実施形態では、無機粒子(1)、無機粒子(2)および無機粒子(3)のモード径は、上限として、2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、また下限として、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましい。第2の実施形態では、無機粒子(2)および無機粒子(3)のモード径は、上限として、2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、また下限として、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましい。第3の実施形態では、無機粒子(3)のモード径は、上限として、2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、また下限として、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましい。ここで、モード径は、粒径分布の最頻値に対応する粒径を言う。セパレータ断面のSEM写真において、ランダムに無機粒子を50個選択し、これを全ての無機粒子とみなして、無機粒子のモード径の計算を簡略化してよい。ここで、粒径は、SEM観察した時、粒子の外周上の2点を結ぶ最も長い線の距離である。
セパレータの空孔は、主に樹脂と無機粒子の表面によって囲まれた空間、あるいは樹脂のみで囲まれた空間として形成される。セパレータには、無機粒子と接していない空孔があっても良い。空孔に接する無機粒子が存在する確率が、空孔の体積が大きくなるに従って増える関係を持つことも好ましい。例えば、体積がある値以下の空孔では、その空孔に接する無機粒子が存在する確率が零または零に近く、空孔の体積がある値を超えると、その空孔に接する無機粒子が存在する確率が増加して100%に近づく分布も好ましい。
セパレータの空孔が、セパレータの厚さ方向と比べてセパレータの面内方向に長い形状、または面内に広がった形状の場合は、セパレータの厚さ方向から加わる力に対する機械的強度が下がる。そのため空孔は、厚さ方向の長さが、面内方向の長さと同程度の長さ、またはより長い長さを有する形状であることが好ましい。このような空孔として、厚さ方向の長さ/面内方向の長さが、例えば、0.3以上や0.5以上などの高い範囲である形状を有するものが挙げられる。ここで、長さは、各方向の中で最大の長さを意味する。なお、セパレータの表面に開口している空孔については、面内方向に広がった形状でも構わない。
少なくとも一部の空孔は、セパレータの表面に開口している。さらに、少なくとも一部の空孔は、近接する少なくとも一つの空孔とつながっている。空孔同士を結ぶ孔を連通孔と呼ぶこととする。空孔同士が連通孔を介してつながることによって、セパレータの一つの面に開口する空孔から、他方の面に開口する空孔へと通過する経路が存在する。このため、セパレータは、ガス透過性を有することができる。セパレータのガーレー値は、特に限定されない。ガーレー値は、通気度を表す指標であり、一定体積・圧力の空気が試験片を通気するのに要する秒数を意味する。ガーレー値は、JIS P 8117に準じて測定することができる。電池の充放電レート特性を向上させるために、ガーレー値は低い方が好ましい。本発明の一態様においては、セパレータのガーレー値は、好ましくは400秒以下、より好ましくは300秒以下、最も好ましくは200秒以下である。ガーレー値が低い、すなわち通気度が高いセパレータは、電池の充放電レート特性の観点からは好ましいが、電極表面に金属析出物が生じた場合には金属析出物がセパレータを貫通して成長しやすいことが懸念される。そのため、本発明の一態様においては、セパレータのガーレー値は、好ましくは1秒以上である。
セパレータの空孔率(%)は、セパレータ中の空孔の体積比率であり、下記式(I)で計算される。
空孔率(%)={1−(V1+V)/V}×100 ・・・(I)
ここで、Vはセパレータ中の樹脂の真の体積、Vはセパレータ中の無機粒子の体積、Vはセパレータの外形寸法による体積である。
セパレータから無機粒子を完全に溶出させたときの重量変化からセパレータに含有していた無機粒子の重量を決定し、この重量から無機粒子の比重を用いて、セパレータ中の無機粒子の体積Vを計算することができる。無機粒子を完全に溶出させた後のセパレータの重量から、樹脂の比重を用いて樹脂の体積Vを計算することができるので、式(I)によって無機粒子を含むセパレータの空孔率を計算することができる。
セパレータの空孔率は特に限定されない。一般に、空孔率が高いと通気度が高くなる。また、空孔率が高いセパレータは、内部に多くの電解液を保持することができる。一方、空孔率が高すぎると、セパレータの強度は低下する。本発明の一態様においては、空孔率は30%以上が好ましく、40%以上が特に好ましい。また、空孔率は85%以下が好ましく、75%以下が特に好ましい。
セパレータの厚さは、特に限定されない。本発明の一態様においては、セパレータの厚さは、その機械的強度を設けるために、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。本発明の一態様においては、二次電池のエネルギー密度の向上や内部抵抗の低減のため、セパレータの厚さは、好ましくは50μm以下、より好ましくは25μm以下である。
[セパレータの製造方法]
第1の製造方法では、本発明の電池に使用するセパレータを、基材である樹脂と無機粒子とを含む複合膜から、空孔を形成するために、無機粒子の一部を除去することで製造することができる。複合膜は、公知の方法により作製することができる。例えば、WO2015/020101号や特許第5745195号公報には、ポリイミド−無機粒子複合膜の製造方法が記載されている。これらの文献の開示の全てを引用によって本明細書に取り込む。無機粒子の除去は、樹脂および無機粒子の材質により適切な方法を選択することができる。樹脂は維持されるが、無機粒子を除去可能な方法を使用する。
無機粒子の一部を溶解除去する場合、まず、セパレータを除去溶液に接触させることで、セパレータ表面に露出する無機粒子を粒子外側から部分的に溶解除去する。これに伴い、除去溶液はセパレータ内部に侵入して、セパレータ表面の無機粒子と接触しており、よりセパレータ内部にある無機粒子を同様に、粒子外側から部分的に溶解除去する。溶液の濃度、処理温度、処理時間などの条件を調整することで、各無機粒子を完全に溶出させずに、その一部をセパレータ内に残すことができる。除去溶液として、例えば、シリカ粒子やジルコニア粒子にはフッ化水素酸(HF水溶液)を用いることができる。このように粒子外面部分を溶出させることにより、無機粒子の表面の凹凸がなだらかになるので、電池の製造においてセパレータに圧縮力が加わったときに、樹脂を傷つけにくくなる。また、電池が完成した後に、外部から圧縮力が加えられたときでも、樹脂に傷をつけにくい。
一部の無機粒子は、除去溶液で完全に除去されても良い。基材である樹脂と無機粒子とを含む複合膜において、表面を除去する前の無機粒子の粒径に分布を持たせると、体積の小さい粒子を完全に溶出させて、無機粒子の存在しない空孔を形成することができる。表面を除去する前の無機粒子の粒径分布は、一つのピークではなく、複数のピークを持つようにしてもよい。無機粒子の表面除去量を、粒径分布の小さいピークに対応する無機粒子の体積以上とすることで、通気度を確保するために有効な、無機粒子の存在しない空孔と、セパレータの樹脂部が損傷したときに絶縁性を確保する無機粒子を有する空孔とを、作り分けることができる。
無機粒子の表面を除去する前と除去した後での無機粒子の量の比率は、必要とする空孔率や投入した無機粒子の大きさなどにより、適切に決めることができる。例えば、残留する無機粒子の上限量は、投入した無機粒子の70体積%以下とすることができ、50体積%以下としてもよい。例えば、残留する無機粒子の下限量は、投入した無機粒子の5体積%以上とすることができ、30体積%以上としてもよい。
第2の製造方法では、本発明の電池に使用するセパレータを、基材である樹脂と、被覆層を有する無機粒子とを含む複合膜から、空孔を形成するために被覆層を除去することで製造することができる。樹脂および無機粒子が維持される条件で除去可能な材料を被覆層に使用する。従って、溶解度、溶融温度、沸点、分解点などの物性において、樹脂および無機粒子と差が大きい材料を被覆層に使用することが好ましい。また、無機粒子の被覆層には、セパレータを形成する際に使用する溶媒に不溶な材料を用いる。
被覆層を溶解除去する場合、まず、セパレータを除去溶液に接触させることで、セパレータ表面に露出する無機粒子の被覆層を溶解除去する。これに伴い、除去溶液はセパレータ内部に侵入して、セパレータ表面の無機粒子と接触しており、よりセパレータ内部にある無機粒子の被覆層を溶解除去する。このとき、被覆層を完全に除去してよい。
例えば、アルミナなどHF水溶液に対してエッチング耐性のある無機粒子には、シリカの被覆層を表面に形成する。HF水溶液によるエッチング速度の違いによって、シリカ被覆層を選択的に除去することができる。シリカ被覆層は、テトラエトキシシラン(TEOS)溶液中に無機粒子を分散し、TEOSを加水分解することや、シリカ微粒子を無機粒子表面に付着させること、などの既知の手法で形成することができる。
無機粒子の被覆層の量は、必要とする空孔率や投入する無機粒子の大きさなどにより、適切に決めることができる。例えば、被覆層の総量の上限は、被覆層を含む無機粒子の総量の95体積%以下とすることができ、70体積%以下としてもよい。例えば、被覆層の総量の下限は、被覆層を含む無機粒子の総量の30体積%以上とすることができ、50体積%以上としてもよい。
無機粒子を含む樹脂膜を樹脂の軟化点付近で延伸して空孔を形成する方法も知られている。しかしながら、こうした方法と比較して、無機粒子または被覆層を除去して空孔を形成する方法が有利になる場合がある。延伸によって形成した空孔は、セパレータの厚さ方向で、他の空孔と連通しにくいため、通気度を高くすることが難しい。連通孔が生じるように、セパレータの厚さ方向において空孔間に存在する樹脂を薄くするために、樹脂膜の延伸量を大きくすることが必要となる。しかし、延伸量が大きいと、空孔がセパレータの面内方向に沿って広がった形状となるので、厚さ方向の外力に対するセパレータの強度が低くなる。
加えて、延伸したフィルムによるセパレータは、延伸した温度まで温度が上がると、樹脂がもとの形状に戻ろうとして収縮する。そのため高温での形状維持が難しく、高耐熱性のセパレータとしては適さない。このため、本実施形態において、未延伸のセパレータを使用する方が好ましい場合もある。
[リチウムイオン二次電池]
本発明の電池は、セパレータ以外のその他の構成は特に限定されない。以下に本発明がリチウムイオン二次電池である場合における、正極、負極、電解液など、その他の構成について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
(正極)
正極活物質としては、リチウムを吸蔵放出し得る材料であれば特に限定されず、いくつかの観点から選ぶことができる。高エネルギー密度化の観点からは、高容量の化合物を含むことが好ましい。高容量の化合物としては、ニッケル酸リチウム(LiNiO)またはニッケル酸リチウムのNiの一部を他の金属元素で置換したリチウムニッケル複合酸化物が挙げられ、下式(II)で表される層状リチウムニッケル複合酸化物が好ましい。
LiNi(1−x) ・・・ (II)
(但し、0≦x<1、0<y≦1.2、MはCo、Al、Mn、Fe、Ti及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。)
高容量の観点では、Niの含有量が高いこと、即ち式(II)において、xが0.5未満が好ましく、さらに0.4以下が好ましい。このような化合物としては、例えば、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)、LiαNiβCoγAlδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.6好ましくはβ≧0.7、γ≦0.2)などが挙げられ、特に、LiNiβCoγMnδ(0.75≦β≦0.85、0.05≦γ≦0.15、0.10≦δ≦0.20)が挙げられる。より具体的には、例えば、LiNi0.8Co0.05Mn0.15、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.8Co0.1Al0.1等を好ましく用いることができる。
また、熱安定性の観点では、Niの含有量が0.5を超えないこと、即ち、式(II)において、xが0.5以上であることも好ましい。また特定の遷移金属が半数を超えないことも好ましい。このような化合物としては、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、0.2≦β≦0.5、0.1≦γ≦0.4、0.1≦δ≦0.4)が挙げられる。より具体的には、LiNi0.4Co0.3Mn0.3(NCM433と略記)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523と略記)、LiNi0.5Co0.3Mn0.2(NCM532と略記)など(但し、これらの化合物においてそれぞれの遷移金属の含有量が10%程度変動したものも含む)を挙げることができる。
また、式(II)で表される化合物を2種以上混合して使用してもよく、例えば、NCM532またはNCM523とNCM433とを9:1〜1:9の範囲(典型的な例として、2:1)で混合して使用することも好ましい。さらに、式(II)においてNiの含有量が高い材料(xが0.4以下)と、Niの含有量が0.5を超えない材料(xが0.5以上、例えばNCM433)とを混合することで、高容量で熱安定性の高い電池を構成することもできる。
上記以外にも正極活物質として、例えば、LiMnO、LiMn(0<x<2)、LiMnO、LiMn1.5Ni0.5(0<x<2)等の層状構造またはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoOまたはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの;及びLiFePOなどのオリビン構造を有するもの等が挙げられる。さらに、これらの金属酸化物をAl、Fe、P、Ti、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等により一部置換した材料も使用することができる。上記に記載した正極活物質はいずれも、1種を単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
正極は、正極集電体上に、正極活物質と正極用結着剤を含む正極活物質層を形成することで作製することができる。正極活物質層の形成方法としては、ドクターブレード法、ダイコーター法、CVD法、スパッタリング法等が挙げられる。予め正極活物質層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を形成して、正極集電体としてもよい。
(負極)
負極活物質としては、充放電に伴いリチウムイオンを可逆的に受容、放出可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、金属、金属酸化物、炭素などを挙げることができる。
金属としては、例えば、Li、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La、またはこれらの2種以上の合金等が挙げられる。また、これらの金属又は合金は2種以上混合して用いてもよい。また、これらの金属又は合金は1種以上の非金属元素を含んでもよい。
金属酸化物としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、またはこれらの複合物等が挙げられる。本実施形態では、金属酸化物の負極活物質として酸化スズもしくは酸化シリコンを含むことが好ましく、酸化シリコンを含むことがより好ましい。これは、酸化シリコンが、比較的安定で他の化合物との反応を引き起こしにくいからである。酸化シリコンとしては、組成式SiO(ただし、0<x≦2)で表されるものが好ましい。また、金属酸化物に、窒素、ホウ素および硫黄の中から選ばれる1種または2種以上の元素を、例えば0.1〜5質量%添加することもできる。こうすることで、金属酸化物の電気伝導性を向上させることができる。
炭素としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、グラフェン、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物等が挙げられる。ここで、結晶性の高い黒鉛は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる負極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。一方、結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。
負極は、負極集電体上に、負極活物質、導電材、および負極用結着剤を含む負極活物質層を形成することで作製することができる。負極活物質層の形成方法としては、ドクターブレード法、ダイコーター法、CVD法、スパッタリング法等が挙げられる。予め負極活物質層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を形成して、負極集電体としてもよい。
(電解液)
電解液としては特に限定されないが、電池の動作電位において安定な非水溶媒と支持塩を含む非水電解液が好ましい。
非水溶媒の例としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;プロピレンカーボネート誘導体、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル等のエーテル類、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類等の非プロトン性有機溶媒、及び、これらの化合物の水素原子の少なくとも一部をフッ素原子で置換したフッ素化非プロトン性有機溶媒等が挙げられる。
これらの中でも、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の環状または鎖状カーボネート類を含むことが好ましい。
非水溶媒は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
支持塩としては、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩が挙げられる。支持塩は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。低コスト化の観点からはLiPFが好ましい。
(二次電池の構造)
本実施形態の二次電池は、例えば、図1および図2のような構造を有する。この二次電池は、電池要素20と、それを電解質と一緒に収容するフィルム外装体10と、正極タブ51および負極タブ52(以下、これらを単に「電極タブ」ともいう)とを備えている。
電池要素20は、図2に示すように、複数の正極30と複数の負極40とがセパレータ25を間に挟んで交互に積層されたものである。正極30は、金属箔31の両面に電極材料32が塗布されており、負極40も、同様に、金属箔41の両面に電極材料42が塗布されている。なお、本発明は、必ずしも積層型の電池に限らず捲回型などの電池にも適用しうる。
本実施形態による二次電池は図1および図2のように電極タブが外装体の片側に引き出された構成であってもよいが、二次電池は電極タブが外装体の両側に引き出されたものであってもいい。詳細な図示は省略するが、正極および負極の金属箔は、それぞれ、外周の一部に延長部を有している。負極金属箔の延長部は一つに集められて負極タブ52と接続され、正極金属箔の延長部は一つに集められて正極タブ51と接続される(図2参照)。このように延長部どうし積層方向に1つに集めた部分は「集電部」などとも呼ばれる。
フィルム外装体10は、この例では、2枚のフィルム10−1、10−2で構成されている。フィルム10−1、10−2どうしは電池要素20の周辺部で互いに熱融着されて密閉される。図1では、このように密閉されたフィルム外装体10の1つの短辺から、正極タブ51および負極タブ52が同じ方向に引き出されている。
当然ながら、異なる2辺から電極タブがそれぞれ引き出されていてもよい。また、フィルムの構成に関し、図1、図2では、一方のフィルム10−1にカップ部が形成されるとともに他方のフィルム10−2にはカップ部が形成されていない例が示されているが、この他にも、両方のフィルムにカップ部を形成する構成(不図示)や、両方ともカップ部を形成しない構成(不図示)なども採用しうる。
(二次電池の製造方法)
本実施形態による二次電池は、通常の方法に従って作製することができる。積層ラミネート型の二次電池を例に、二次電池の製造方法の一例を説明する。まず、乾燥空気または不活性雰囲気において、正極および負極を、セパレータを介して対向配置して、電極素子を形成する。次に、この電極素子を外装体(容器)に収容し、電解液を注入して電極に電解液を含浸させる。その後、外装体の開口部を封止して二次電池を完成する。
(組電池)
本実施形態に係る二次電池を複数組み合わせて組電池とすることができる。組電池は、例えば、本実施形態に係る二次電池を2つ以上用い、直列、並列又はその両方で接続した構成とすることができる。直列および/または並列接続することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。組電池が備える二次電池の個数については、電池容量や出力に応じて適宜設定することができる。
(車両)
本実施形態に係る二次電池またはその組電池は、車両に用いることができる。本実施形態に係る車両としては、ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バス等の商用車、軽自動車等)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)が挙げられる。なお、本実施形態に係る車両は自動車に限定されるわけではなく、他の車両、例えば電車等の移動体の各種電源として用いることもできる。
本明細書の実施例では、シリカ粒子を空孔内に含む、ポリイミド樹脂によるセパレータを、[セパレータの製造方法]で説明した第1の製造方法で作製して用いた。具体的には、シリカ粒子をセパレータ内に残存させる点を除いてWO2015/020101号および特許第5745195号公報で公知の方法に従って製造した。
本発明の実施例では、電池に使用するセパレータの製造に際して、テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物、ジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをポリイミド原料に用い、有機溶剤としてN,N−ジメチルアセトアミド、分散剤としてポリオキシエチレン二級アルキルエーテル系分散剤を用いた。微粒子には、モード径が約0.7μmのシリカ粒子を用いた。
[ワニスの調製]
特許第5745195号公報に従って、ピロメリット酸二無水物と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミドを混合、撹拌して、ポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液に、シリカ微粒子と分散剤を添加して、ポリアミド酸と微粒子との体積比を28:72としたワニスを調製した。
[ポリイミド−微粒子複合膜の成膜]
上記のワニスを、剥離剤を塗布したガラス板にアプリケーターを用いて成膜した。70℃で5分間プリベークして、膜厚約23μmの未焼成複合膜を形成した。
基材から上記未焼成複合膜を剥離後、エタノールで剥離剤を除去し、320℃で15分間熱処理を施し、イミド化を完結させた。
[ポリイミド多孔質膜の形成]
上記のポリイミド−シリカ粒子複合膜を、HF水溶液中に浸漬することで、膜中に含まれるシリカ粒子をエッチングした。ポリイミド−シリカ粒子複合膜を浸漬するHF水溶液の濃度と浸漬時間を調整することで、シリカ粒子をポリイミド−微粒子複合膜内に残存させた。HF水溶液によるエッチングの後、ポリイミド−シリカ粒子複合膜を水洗及び乾燥して、シリカ粒子を内部に含む、ポリイミド多孔質膜を得た。
[ポリイミド多孔質セパレータの形成]
前記のポリイミド多孔質膜を、WO2015/020101号に記載の方法でケミカルエッチングして、ポリイミド多孔質セパレータを得た。ケミカルエッチングには、水酸化ナトリウムをメタノール50重量%水溶液で1.04%になるように希釈したエッチング液を用いた。これにより、ポリイミド多孔質膜の開口率を上げることや空孔どうしの通気性を上げることができる。
<実施例1>
実施例1の電池に使用するセパレータとして、セパレータの外形寸法による体積に対してシリカ粒子を5体積%含み、空孔率が75%、厚さ20μm、ガーレー値200秒のセパレータを作製した。セパレータの断面のSEM観察像からランダムにシリカ粒子を50個選んだ時、モード径は約0.4μmであり、前記の50個の無機粒子のうち、粒子外周における表面(A)の長さが、粒子外周の長さの80%以上の粒子は45個以上であった。以降、この実施例1のためのセパレータをセパレータ1と呼ぶことがある。
(無機粒子の耐脱落性評価)
セパレータ1が、無機粒子の塊を脱落させないことを、次のようにして確認した。まず、セパレータを50mm×50mmに切り出し、ステンレス板に両面テープで固定した。つぎに、セロハンテープ(ニチバン社製:製品名CT−18)をセパレータの表面に貼り付けた後、セロハンテープを引き剥がした。セロハンテープの粘着面を観察した結果、目視と倍率300倍の光学顕微鏡観察では、無機粒子の移行は認められなかった。この結果から、本実施例1の電池に使用するセパレータは、無機粒子の保持性が強く、電池の製造工程や電池内部で、外力によって無機粒子の塊を脱落させる可能性が低い。
また、ロータリーカッターでセパレータ1を切断し、切断端面を倍率300倍の光学顕微鏡で観察した結果、セパレータ1の切断面に、無機粒子は認められなかった。
(圧縮した時の絶縁性評価)
セパレータ1に、先端が丸いステンレス(SUS)釘を押し当てながら、絶縁性の維持性について調べた。アルミニウム板の上に厚さ0.3mmのガラスクロスのシート、厚さ25μmのアルミニウム箔の順に重ねて、その上にセパレータを置いた。先端角30°、先端半径0.9mmの、先端が丸いSUS釘をセパレータ表面に、垂直荷重10Nで押し当てた状態で1分間経過した時の、アルミニウム箔とSUS釘の間の直流抵抗を測定した。試験は環境温度25℃で行い、SUS釘の温度は25℃と400℃の2通りとした。
SUS釘の温度が25℃の場合は、アルミニウム箔とSUS釘の間の直流抵抗は、今回の測定上限である20MΩを超えていた。SUS釘の温度を400℃とした場合には、アルミニウム箔とSUS釘の間の直流抵抗は、10kΩであった。セパレータの樹脂が熱で軟化した状態で圧縮されたときも、無機粒子が短絡を防いでいると推測される。
実施例1の電池を以下のようにして作製した。
(正極)
ニッケル酸リチウムと、炭素導電剤と、結着材としてポリフッ化ビニリデンとを重量比92:4:4でN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリーを作製し、アルミニウムによる集電箔に塗布、乾燥して正極活物質層を形成した。同様にしてアルミニウムによる集電箔の裏面にも活物質層を形成したあと、プレスして正極電極板を得た。
(負極)
天然黒鉛と、増粘剤のカルボキシメチルセルロースナトリウムと、結着材のスチレンブタジエンゴムとを、重量比98:1:1で水溶液中に混合してスラリーを作製し、銅による集電箔に塗布、乾燥して負極活物質層を形成した。同様にして、銅による集電箔の裏面にも活物質層を形成したあと、プレスして負極電極板を得た。
(電極積層体の作製)
正極電極板は、電流取り出し部を除いた寸法として40mm×40mmに切断した。負極電極板は、電流取り出し部を除いた寸法として42mm×42mmに切断した。セパレータを44mm×44mmに切断した。正極2枚、負極3枚を、負極−セパレータ−正極−セパレータの順に、セパレータを介して積層し、電極積層体を作製した。
電極積層体の正極と負極の電流取り出し部に、正極と負極のタブを超音波溶接によってそれぞれ接続し、アルミニウムフィルムと樹脂フィルムで構成されたラミネートフィルムで形成したフィルム外装体に収納した。外装体内に電解液を注液した後、1.5kPaの減圧雰囲気下で外装体を封止した。電解液は、ECとDECを30:70の体積比で混合した非水溶媒を用い、支持塩として、LiPFを1Mの濃度になるように溶解した。外装体の封止後、25℃で12時間保管し、続いて、初回の充電と放電を行って電池とした。この電池を4.2Vから2.5Vまで20mAで定電流放電したときの容量は約100mAhであった。
(電池の耐短絡性試験)
実施例1の電池を、ポリエチレンシートで覆ったSUS板の上に置き、外装体表面に軸の直径3mm、先端角60°のSUS釘を電極面と垂直方向に荷重15Nで押し当てた。SUS釘を押し当てた状態で10分間経過した時点の、正極と負極のタブ間の電圧は、3.9Vであった。
短絡状態を確認するために、試験後の電池の外装体を開いて電極積層体を調べたところ、SUS釘の先端は、最も表側に位置する1枚目の負極と1枚目のセパレータを貫通して、1枚目の正極に達していたが、1枚目の正極は貫通していなかった。また、1枚目の正極の内側に配されたセパレータには、亀裂や穴は認められなかった。したがって、正極と負極の短絡は、最も表側に位置する1枚目の負極と1枚目の正極の間で生じている。
釘によって1枚目のセパレータに開いた穴の周囲を観察すると、セパレータには1枚目の正極と同じ形状で穴が開いており、セパレータに正極よりも大きな穴が開いていることは無かった。
<実施例2>
実施例2の電池が含むセパレータとして、セパレータの外形寸法による体積に対してシリカ粒子を30体積%含み、空孔率が50%、厚さ20μm、ガーレー値300秒のセパレータを作製した。セパレータの断面のSEM観察像からランダムにシリカ粒子を50個選んだ時、モード径が約0.4μmであり、前記の50個の無機粒子のうち、粒子外周における表面(A)の長さが、粒子外周の長さの80%以上の粒子は45個以上であった。以降、この実施例2の電池のためのセパレータを、セパレータ2と呼ぶことがある。
(無機粒子の耐脱落性評価)
セパレータ2が、無機粒子の塊を脱落させないことを、実施例1の電池が含むセパレータの場合と同様に、セロハンテープを用いて確認した。セロハンテープの粘着面を観察した結果、目視と倍率300倍の光学顕微鏡観察では、無機粒子の移行は認められなかった。この結果から、本実施例2の電池に使用するセパレータは無機粒子の保持性が強く、電池の製造工程や電池内部で、外力によって無機粒子の塊を脱落させる可能性が低い。
また、ロータリーカッターでセパレータ2を切断し、切断端面を倍率300倍の光学顕微鏡で観察した結果、セパレータ2の切断面に無機粒子は認められなかった。
(圧縮した時の絶縁性評価)
実施例1と同様に、セパレータ2に、先端が丸いステンレス(SUS)釘を押し当てながら、絶縁性の維持性について調べた。SUS釘の温度が25℃の場合は、アルミニウム箔とSUS釘の間の直流抵抗は、今回の測定上限である20MΩを超えていた。SUS釘の温度を400℃とした場合には、アルミニウム箔とSUS釘の間の直流抵抗は、100kΩであった。セパレータの樹脂が熱で軟化した状態で圧縮されたときも、無機粒子が短絡を防いでいると推測される。
(電池の作製)
実施例2の電池を、セパレータをセパレータ2とした他は、実施例1と同様にして作製した。この電池を4.2Vから2.5Vまで20mAで定電流放電したときの容量は約100mAhであった。
(電池の耐短絡性試験)
実施例1の電池と同様に、釘による耐短絡性試験を行った。SUS釘を押し当てた状態で10分間経過した時点の、正極と負極のタブ間の電圧は、3.9Vであった。
短絡状態を確認するために、試験後の電池の外装体を開いて電極積層体を調べたところ、SUS釘の先端は、最も表側に位置する1枚目の負極と1枚目のセパレータを貫通して、1枚目の正極に達していたが、1枚目の正極は貫通していなかった。また、1枚目の正極の内側に配されたセパレータには、亀裂や穴は認められなかった。したがって、正極と負極の短絡は、最も表側に位置する1枚目の負極と1枚目の正極の間で生じている。
釘によって1枚目のセパレータに開いた穴の周囲を観察すると、セパレータには1枚目の正極と同じ形状で穴が開いており、セパレータに正極よりも大きな穴が開いていることは無かった。
<比較例1>
比較例1の電池に使用するセパレータとして、セパレータ1をHF水溶液に浸してシリカ粒子を完全に除去し、厚さ20μm、ガーレー値100秒、空孔率80%のセパレータを作製した。以降、このセパレータをセパレータ3と呼ぶことがある。セパレータ3は、無機粒子を含まないので、無機粒子が脱落することは無い。
(圧縮した時の絶縁性評価)
実施例1と同様に、セパレータ3に、先端が丸いステンレス(SUS)釘を押し当てながら、絶縁性の維持性について調べた。SUS釘の温度が25℃の場合は、アルミニウム箔とSUS釘の間の直流抵抗は、今回の測定上限である20MΩを超えていた。SUS釘の温度を400℃とした場合には、アルミニウム箔とSUS釘の間の直流抵抗は、0.5kΩであった。セパレータの樹脂が熱で軟化した状態で圧縮されたことで、絶縁性が低下したと推測される。
(電池の作製)
比較例1の電池を、セパレータをセパレータ3とした他は、実施例1と同様にして作製した。この電池を4.2Vから2.5Vまで20mAで定電流放電したときの容量は約100mAhであった。
(電池の耐短絡性試験)
実施例1の電池と同様に、釘による耐短絡性試験を行った。SUS釘を押し当てた状態で10分間経過した時点の、正極と負極のタブ間の電圧は、3.7Vであった。実施例1、実施例2と比べて、電圧の低下が大きいことから、本比較例1の電池では、実施例1、実施例2よりも大きな短絡電流が流れている。
短絡状態を確認するために、試験後の電池の外装体を開いて電極積層体を調べたところ、SUS釘の先端は、最も表側に位置する1枚目の負極と1枚目のセパレータを貫通して、1枚目の正極に達していたが、1枚目の正極は貫通していなかった。また、1枚目の正極の内側に配されたセパレータには、亀裂や穴は認められなかった。したがって、正極と負極の短絡は、最も表側に位置する1枚目の負極と1枚目の正極の間で生じている。
釘によって1枚目のセパレータに開いた穴の周囲を観察すると、セパレータには1枚目の正極と同じ形状で穴が開いており、セパレータに正極よりも大きく穴が開いていることは無かった。
<比較例2>
比較例2の電池に使用するセパレータとして、セパレータ3の片側表面にシリカ粒子の層を設けたセパレータを作製した。シリカ粒子はモード径が約0.7μmのものを用い、結着材のポリフッ化ビニリデンと共にN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリーとした。スラリーの塗布には、ドクターブレード法を用いた。シリカ粒子層の厚さは、N−メチル−2−ピロリドンの乾燥処理後に、基材との合計でセパレータの厚さが25μmになるようにした。以降、このセパレータをセパレータ4と呼ぶことがある。
(無機粒子の耐脱落性評価)
セパレータ4の、無機粒子の保持性を、実施例1と同様にして、セロハンテープを用いて確認した。セロハンテープの粘着面を観察すると、シリカ粒子層が基材との界面から剥がされて、セロハンテープの粘着面に移行していることが目視と倍率300倍の光学顕微鏡観察で確認された。この結果から、本比較例2の電池に使用するセパレータは、外力によって無機粒子の塊を脱落させる可能性があると推測される。
また、ロータリーカッターでセパレータ4を切断し、セパレータの切断端面を倍率300倍の光学顕微鏡で観察した結果、切断端面付近で、セパレータの表面に設けられたシリカ粒子層の縁の一部が欠けていることが観察された。シリカ粒子層の一部が、摩耗、または割れて剥落したものと推測される。
(圧縮した時の絶縁性評価)
実施例1と同様に、セパレータ4に、先端が丸いステンレス(SUS)釘を押し当てながら、絶縁性の維持性について調べた。SUS釘の温度が25℃の場合は、アルミニウム箔とSUS釘の間の直流抵抗は、今回の測定上限である20MΩを超えていた。SUS釘の温度を400℃とした場合には、アルミニウム箔とSUS釘の間の直流抵抗は、100kΩであった。セパレータの基材の樹脂が熱で軟化した状態で圧縮されたときも、基材の表面に設けたシリカ粒子の層が、短絡を防いでいると推測される。
(電池の作製)
比較例2の電池を、セパレータをセパレータ4とした他は、実施例1と同様にして作製した。この電池を4.2Vから2.5Vまで20mAで定電流放電したときの容量は約100mAhであった。
(電池の耐短絡性試験)
実施例1の電池と同様に、釘による耐短絡性試験を行った。SUS釘を押し当てた状態で10分間経過した時点の、正極と負極のタブ間の電圧は、3.75Vであった。
短絡状態を確認するために、試験後の電池の外装体を開いて電極積層体を調べたところ、SUS釘の先端は、最も表側に位置する1枚目の負極と1枚目のセパレータを貫通して、1枚目の正極に達していたが、1枚目の正極は貫通していなかった。また、1枚目の正極の内側に配されたセパレータには、亀裂や穴は認められなかった。したがって、正極と負極の短絡は、最も表側に位置する1枚目の負極と1枚目の正極の間で生じている。
釘によって1枚目のセパレータに開いた穴の周囲を観察すると、セパレータには1枚目の正極と同じ形状で穴が開いており、セパレータに正極よりも大きく穴が開いていることは無かったが、基材の表面に設けたシリカ粒子の層の微細な破片が倍率300倍の光学顕微鏡による観察で見られ、基材の表面が露出している箇所も見られた。
実施例1および実施例2と比較例1から、本発明による電池は、外部から導電性の異物が刺さった場合にも、正極と負極の間の短絡抵抗を、無機粒子の作用によって、無機粒子を含まないセパレータを含む電池よりも高く保つことができるので、短絡電流を抑え、発熱量が小さいことが分かる。
さらに、本発明による電池は、製造工程においてセパレータから無機粒子が脱落することや、電池として使用時に外部から力が加わった際にセパレータから無機粒子が脱落することが、従来の、無機粒子層を基材表面に設けたセパレータを用いた電池よりも少ない。したがって、本発明の電池は、電池の内部にセパレータの無機粒子を起源とする異物を含むことが少なく、また、外部から導電性の異物が刺さった場合に、無機粒子がセパレータから剥落して短絡抵抗が低下することが、従来の無機粒子層を基材の表面に設けたセパレータを用いた電池よりも少ない。
<参考例1>
参考例1として、実施例1と同じ構成の積層体を用いた模擬電池を作製した。電解液を封入した電池は、電解液を通じて電気が流れるため、正極端子と負極端子間の抵抗を測定しても、電池内部の絶縁状態を正確に測定することが難しい。そのため、参考例1では、電解液を封入しない模擬電池を作製して、正極端子と負極端子の間の抵抗を測定した。
(模擬電池の作製)
電極積層体の正極と負極の電流取り出し部に、正極と負極のタブを超音波溶接によってそれぞれ接続し、アルミニウムフィルムと樹脂フィルムで構成されたラミネートフィルムで形成したフィルム外装体に収納した。つぎに、電極積層体を収納した外装体を、1.5kPaまで減圧した雰囲気下で封止して模擬電池とした。正極タブと負極タブの間の直流抵抗は、今回の試験における測定限界である20MΩを超えていた。
(釘を押し当てたときの絶縁維持性の評価)
参考例1の、外装体に電極積層体を収めて封止した模擬電池を、ポリエチレンテープで覆ったSUS板の上に置き、外装体表面に、軸の直径3mm、先端角60°のSUS釘を電極面と垂直方向に荷重15Nで押し当てた。釘の先端は模擬電池の外装体を貫通し、電極積層体に食い込んだ。SUS釘を押し当てた状態で10分間経過した時点の、正極タブと負極タブの間の直流抵抗は、90Ωであった。試験後に、外装体を開いて電極積層体を調べたところ、SUS釘の先端は、最も表側に位置する1枚目の負極とその内側の1枚目のセパレータを貫通して、1枚目の正極に達していたが、1枚目の正極は貫通していなかった。また、1枚目の正極の内側に配されたセパレータには、亀裂や穴は認められなかった。したがって、正極と負極の短絡は、最も表側に位置する1枚目の負極と1枚目の正極の間で生じている。
<参考例2>
参考例2として、積層体を比較例1と同じ構成にした他は、参考例1と同様にして、電極積層体を作製して外装体に収め、減圧雰囲気下で封止して模擬電池を作製した。正極タブと負極タブの間の直流抵抗は、今回の試験における測定限界である20MΩを超えていた。参考例1と同様にして短絡試験を行った結果、SUS釘を押し当てた状態で10分間経過した時点の、正極タブと負極タブの間の直流抵抗は、20Ωであった。試験後に、外装体を開いて電極積層体を調べたところ、参考例1と同じく、SUS釘の先端は、最も表側に位置する1枚目の負極と1枚目のセパレータを貫通して、1枚目の正極に達していたが、1枚目の正極は貫通していなかった。また、1枚目の正極の内側に配されたセパレータには、亀裂や穴は認められなかった。したがって、正極と負極の短絡は、最も表側に位置する1枚目の負極と1枚目の正極の間で生じている。
参考例1と参考例2の結果から、釘による耐短絡性試験で、実施例1、実施例2の電圧低下が、比較例1、比較例2の電圧低下よりも小さいのは、実施例1、実施例2と比較例1、比較例2での、正極と負極の間の短絡抵抗の違いを反映していると思われる。
この出願は、2016年4月20日に出願された日本出願特願2016−84564を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
以上、実施形態及び実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
本発明の電池は、例えば、電源を必要とするあらゆる産業分野、ならびに電気的エネルギーの輸送、貯蔵および供給に関する産業分野において利用することができる。具体的には、携帯電話、ノートパソコン等のモバイル機器の電源;電気自動車、ハイブリッドカー、電動バイク、電動アシスト自転車等を含む電動車両、電車、衛星、潜水艦等の移動・輸送用媒体の電源;UPS等のバックアップ電源;太陽光発電、風力発電等で発電した電力を貯める蓄電設備;等に、利用することができる。
10 フィルム外装体
20 電池要素
25 セパレータ
30 正極
40 負極

Claims (7)

  1. 空孔を有し、
    基材である樹脂と、
    空孔に面した表面(A)および樹脂と接する表面(B)を有する無機粒子であって、セパレータの断面のSEM写真において、粒子外周における表面(A)の長さが、粒子外周の長さの50%以上である無機粒子と、
    を含むセパレータを含む電池。
  2. 前記無機粒子の数がセパレータに含まれる無機粒子の総数の50%以上である、請求項1に記載の電池。
  3. セパレータに含まれる無機粒子の総量が、セパレータの5体積%以上である、請求項1または2に記載の電池。
  4. 前記無機粒子が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素から成る群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池。
  5. 前記樹脂の溶融温度および/または分解温度が200℃以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池。
  6. 前記樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、アラミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、およびポリフェニレンサルファイドから成る群より選択される少なくとも1種である、請求項5に記載の電池。
  7. 正極と負極とをセパレータを介して積層して電極素子を製造する工程と、
    前記電極素子と電解液とを外装体に封入する工程と、
    を含み、
    前記セパレータが、空孔を有し、基材である樹脂と、空孔に面した表面(A)および樹脂と接する表面(B)を有する無機粒子であって、セパレータの断面のSEM写真において、粒子外周における表面(A)の長さが、粒子外周の長さの50%以上である無機粒子と、を含むことを特徴とする電池の製造方法。
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