以下、構造物の外観に現れた欠陥を検出する欠陥検出システムを説明する。
図1に示すように、欠陥検出システムは、測量機1と、欠陥画像表示制御装置50とを備えている。一例として、測量機1は、測量対象物を測量する機器であり、測量対象物との角度と、測量対象物との距離とを計測する。一例として、測量機1は、距離を測る光波測距儀と、角度を測るセオドライトとを組み合わせた機器である。一例として、測量機1は、測量対象物との角度と、測量対象物との距離とを同時に計測する機器である。一例として、測量機1は、トータルステーションである。一例として、測量対象物は、プリズム方式を採用している場合、プリズム、ミラー、レフシート等の反射プリズムで構成された第1ターゲットである。なお、測量対象物は、測標、目標物と呼ぶ場合がある。
一例として、測量機1は、プリズム、ミラー、レフシート等の反射プリズムを使用しないノンプリズム方式を採用している。ノンプリズム方式では、測量対象物に直接レーザー等の測距光を照射し、測定面で反射した戻りの反射光を検出して測量対象物の測定面との距離を計測する。ノンプリズム方式の測量対象物として、例えば橋梁、ダム、ビル、トンネル、鉄骨、道路、電車、飛行機、送電線及び古墳等の構造物が挙げられる。プリズム方式ではなく、モータ駆動により鉛直角及び水平角の駆動が行われ、視準先をオートフォーカスにて視準可能とすれば、測量機1を現場に設置した後はユーザが現場に足を踏み入れることなく離れた場所から測量することが可能となる。一例として、測量機1は、カメラ等の撮像装置を有し、測量対象物である構造物の壁面を撮像する。一例として、測定面の画像は、構造物の外観画像である。測量機1は、撮像した測定面の位置データと、撮像した外観画像データとを出力する。
測量機1は、電源から電力が供給される。一例として、電源は、測量機1に内蔵された電源、測量機1に着脱可能に構成された電源、測量機1に対して外部から電力を供給する外部電源49である。一例として、電源は、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池、商用電源、発電機等である。
一例として、欠陥画像表示制御装置50は、デスクトップ型又はラップトップ型のコンピュータ、タブレット等の汎用の情報処理装置である。一例として、欠陥画像表示制御装置50は、有線(例えば接続ケーブル)又は無線で測量機1と接続される。一例として、欠陥画像表示制御装置50は、測量機1と数メートル離して設置される。欠陥画像表示制御装置50は、ソフトウェアがインストールされる。一例として、ソフトウェアは、画像から構造物の欠陥を検出する欠陥検出プログラムであり、検出した欠陥に関するデータを編集する欠陥編集プログラムである。欠陥画像表示制御装置50は、測量機1を制御する制御装置であり、欠陥検出プログラムを実行して、外観画像データを撮像するため測量機1を制御する。また、欠陥画像表示制御装置50は、欠陥編集プログラムを実行することにより、外観画像データを表示し、欠陥検出プログラムで検出することができなかった新たな欠陥を追加し、また、欠陥検出プログラムが検出した欠陥を修正することができる。
欠陥画像表示制御装置50は、外観画像データと外観画像データに含まれる観測点の位置データが測量機1から入力されると、外観画像データから構造物の外観に現れた欠陥を検出する。一例として、欠陥は、構造物の外観に現れたひびや窪みである。このような欠陥は、一例として、剥落、すり減り等の経年劣化を原因に形成される。欠陥は、一例として、地震や波浪等の外力によって形成される。欠陥は、一例として、撓みや振動等を原因とする構造的変状によって形成される。欠陥は、一例として、酸素や二酸化炭素の浸透、水分や塩化物の浸透等を原因とする化学的劣化により形成される。欠陥は、一例として、鉄筋の腐食等によって形成される。欠陥画像表示制御装置50は、外観画像データから構造物の欠陥を検出し、位置データを参照して欠陥に関連する欠陥データを算出する。欠陥データは、欠陥の位置を示すデータを含む。一例として、位置データ及び欠陥データは、好ましくは、グローバル座標系(ローカル座標系ではない座標系、世界測地系、日本測地系)に従った座標データである。
一例として、欠陥画像表示制御装置50は、測量機1の制御装置である。欠陥画像表示制御装置50は、測量機1に対して、構造物の外観を撮像するための指示を出力し、測量機1の動作を制御する。一例として、欠陥画像表示制御装置50は、測量機1を鉛直軸及び水平軸回りに回転させ、構造物の外観を撮像させる。
〔測量機の構成〕
図2に示すように、測量機1は、整準部2と、本体部6と、撮像部7とを備えている。整準部2は、例えば整準台である。整準部2は、底板3と、上板4と、整準ねじ5とを含んでいる。底板3は、三脚に固定される部材である。底板3は、例えば、ねじ等で三脚の脚頭に固定される。上板4は、整準ねじ5を用いることで、底板3に対する傾きが変更可能に構成されている。上板4には、本体部6が取り付けられている。測量機1の第1軸である鉛直軸O1の傾きは、整準ねじ5を用いることで変更可能である。
整準とは、測量機1の鉛直軸を鉛直にすることである。整準した測量機1は、鉛直軸O1が鉛直方向に沿った状態である。整準した測量機1は、鉛直軸O1が鉛直方向に沿った状態であり、且つ、測量機1の第2軸である水平軸O2が鉛直軸O1に対して直角の状態である。整準は、レベリング(leveling)と表現することがある。
求心とは、測量機1の鉛直中心を第2ターゲット(測標)の中心に一致させることである。求心とは、地上の測量基準位置(基準点)等の測点の鉛直線上に測量機1の機械中心を一致させることである。求心は、致心やセンタリング(centering)と表現することがある。求心した測量機1は、鉛直軸O1が第2ターゲットの中心を通過する状態である。第2ターゲットは、例えば器械高計測用ターゲットや測量鋲である。
図2及び図3に示すように、本体部6は、整準部2により鉛直軸周りに回転可能に支持されている。本体部6は、整準部2に対して鉛直軸周りに回転可能に構成されている。本体部6は、整準部2の上方に位置している。本体部6は、撮像部7を水平軸周りに回転可能に支持している。本体部6は、支柱部である。本体部6は、托架部である。本体部6は、第1表示部18と、第2表示部19と、水平角操作部23と、鉛直角操作部24と、把持部25と、第3撮像部14(図4参照)とを含んでいる。
第1表示部18及び第2表示部19は、画像やオブジェクトを表示する表示機能を有している。一例として、第1表示部18及び第2表示部19は、各表示部の表示面に、撮像部7が生成した画像データに基づく画像や観測データに基づく情報を表示する。一例として、第1表示部18及び第2表示部19は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイである。一例として、第1表示部18は、反側に配置されている。一例として、第1表示部18は、例えば反観測を行う場合に利用される。第2表示部19は、正側に配置されている。一例として、第2表示部19は、正観測を行う場合に利用される。一例として、第1表示部18及び第2表示部19は、ユーザによる操作を受け付ける操作部としての機能を有している。この場合、第1表示部18及び第2表示部19は、静電容量式のタッチパネルや感圧式のタッチパネル等により構成されている。一例として、第1表示部18は、水平軸周り又は鉛直軸周りに回転可能である。一例として、第2表示部19は、水平軸周り又は鉛直軸周りに回転可能である。一例として、第2表示部19は、鉛直方向の傾斜変更が可能である。
水平角操作部23は、本体部6を水平方向に回転するためにユーザにより操作される部材である。ユーザにより水平角操作部23が操作されると、本体部6及び撮像部7はともに水平方向に回転する。鉛直角操作部24は、撮像部7を鉛直方向に回転するためにユーザにより操作される部材である。水平角操作部23及び鉛直角操作部24は、例えばノブである。把持部25は、例えば測量機1を持ち運ぶ際にユーザが把持するための部材である。把持部25は、例えばキャリングハンドルである。把持部25は、例えば本体部6の上面に固定されている。
図4に示すように、第3撮像部14は、第3対物レンズ10を含む第3光学系と、第3撮像素子とを含んでいる。第3光学系は、第2ターゲットからの光を第3撮像素子に導く。第3撮像素子は、第2ターゲットを撮像して、画像データを生成する。第3撮像部14は、測量機1の下方を撮像して、画像データを生成する。第3撮像部14は、鉛直軸O1を含む下方を撮像して、画像データを生成する。一例として、第3撮像素子は、CCDやCMOSで構成されている。第3撮像部14で生成された画像データは、画像処理部33に出力される。一例として、第3撮像部14は、ユーザが測量機1を整準したり求心したりする場合に、測量機1の下方の画像を第1表示部18や第2表示部19に表示させるための画像データを生成する。第3撮像部14は、本体部6に固定されている。一例として、第3撮像部14は、求心カメラである。一例として、第3撮像部14は、求心望遠鏡である。
撮像部7は、本体部6によって水平軸周りに回転可能に支持されている。撮像部7は、水平軸O2周りに回転可能に構成されている。撮像部7は、整準部2に対して鉛直軸O1周りに回転可能に構成されている。撮像部7は、鉛直軸O1周りに回転可能であり、且つ、水平軸O2周りに回転可能である。撮像部7は、ユーザにより水平角操作部23が操作された操作量に応じて、水平方向に回転する。撮像部7は、ユーザにより鉛直角操作部24が操作された操作量に応じて、鉛直方向に回転する。
撮像部7は、第1撮像部11と、第2撮像部12とを備えている。一例として、第1撮像部11及び第2撮像部12は、CCDやCMOSで構成されている。第1撮像部11及び第2撮像部12で生成された画像データは、画像処理部33に出力される。一例として、第1撮像部11及び第2撮像部12は、視準する場合に、第1ターゲットを含む視野の画像を第1表示部18や第2表示部19に表示させるための画像データを生成する。一例として、プリズム方式の場合、第1撮像部11及び第2撮像部12は、測量対象物である第1ターゲットを撮像する。一例として、ノンプリズム方式の場合、第1撮像部11及び第2撮像部12は、構造物の外観を構成する測定面を測定する。第1撮像部11及び第2撮像部12が撮像する視野は、第3撮像部14が撮像する視野とは異なり、第3撮像部14が撮像する視野とは重複しない。
第1撮像部11は、第1対物レンズ8を含む第1光学系と、第1撮像素子とを含んでいる。第1光学系は、撮像視野内の光(例えば第1ターゲットからの光を含む)を第1撮像素子に導く。一例として、第1撮像部11は、望遠カメラである。一例として、第1撮像部11は、視準カメラである。一例として、第1撮像部11は、視準望遠鏡である。一例として、第1撮像部11は、望遠カメラである。一例として、第1撮像部11は、第1画角を有する。一例として、第1撮像部11は、第1視野を有する。
第2撮像部12は、第2対物レンズ9を含む第2光学系と、第2撮像素子とを含んでいる。第2光学系は、撮像視野内の光(例えば第1ターゲットからの光を含む)を第2撮像素子に導く。第2対物レンズ9は、第1対物レンズ8とは別個に備えている。一例として、第2対物レンズ9は、撮像部7において第1対物レンズ8が配置されている面と同じ面に配置されている。一例として、第2対物レンズ9は、第1対物レンズ8と鉛直方向に並んで配置されている。一例として、第2対物レンズ9の光軸は、第1対物レンズ8の光軸と平行である。第2撮像部12は、第1撮像部11の第1画角より広い第2画角を有する。第1撮像部11の第1画角は、第2撮像部12の第2画角より狭い。第2撮像部12の第2視野角は、第1撮像部11の第1視野角より広い。第1撮像部11の第1視野角は、第2撮像部12の第2視野角より狭い。一例として、第2撮像部12は、視準する場合に第1ターゲットを含み第1視野よりも広い第2視野の画像を第1表示部18や第2表示部19に表示させるための画像データを生成する。一例として、第2撮像部12は、広角カメラである。一例として、第2撮像部12は、広角望遠鏡である。
視準とは、対物レンズをターゲットに向けて、視準軸をターゲットの中心に一致させることである。視準軸は、対物レンズの光学的な中心点を通り、水平軸に垂直に交差する軸である。視準軸は、第1撮像部11の第1対物レンズ8の光学的な中心点を通り、水平軸O2に垂直に交差する軸である。視準軸は、セオドライトの対物レンズの中心を通り水平軸と直交する軸である。視準軸は、第1対物レンズ8の光軸と一致している。視準した測量機1は、第1対物レンズ8を第1ターゲットに向けて、測量機1の第3軸である視準軸O3が第1ターゲットの中心に一致した状態である。視準軸において測量機1内部から測量機1外部に向かう方向を視準方向と呼ぶ場合がある。
〔測量機のシステム構成〕
図5は、測量機1のシステム構成を示すブロック図である。
測量機1は、第1撮像部11及び第2撮像部12を含む撮像部7と第3撮像部14とを備えている。測量機1は、測距部13と、水平角駆動部15と、送光部16と、鉛直角駆動部17と、第1表示部18と、第2表示部19と、通信部20と、水平角操作部用エンコーダ21と、鉛直角操作部用エンコーダ22と、水平角操作部23と、鉛直角操作部24と、水平角測角部31と、鉛直角測角部32と、画像処理部33と、一時記憶部34と、記憶部35と、操作部36と、制御部40と、傾き検出部37とを備えている。
第1撮像部11及び第2撮像部12は、制御部40により設定された撮像条件(ゲイン、蓄積時間(シャッタ速度)等)に基づいて撮像して生成した画像データを画像処理部33に出力する。第1撮像部11及び第2撮像部12は、撮像して生成した画像データに基づく画像の明るさが適正となるよう制御部40により適正露出が自動的に設定される。第1撮像部11及び第2撮像部12は、制御部40により自動露出機能が実行される。第1撮像部11における第1光学系は、制御部40によるフォーカス調節指示に応じてフォーカスレンズ駆動部がフォーカスレンズの位置を光軸方向に沿って変更可能に構成されている。第3撮像部14は、制御部40により設定された撮像条件(ゲイン、蓄積時間(シャッタ速度)等)に基づいて撮像して生成した第3画像データを画像処理部33に出力する。第1撮像部11は、オートフォーカス部11aを備えている。
画像処理部33は、第1撮像部11、第2撮像部12及び第3撮像部14から出力された画像データに対して画像処理を施す。画像処理部33で画像処理が施された画像データは、一時記憶部34に記憶される。例えばライブビュー動作時において、第1撮像部11や第2撮像部12、第3撮像部14が連続して撮像した場合、順次出力される画像データは、一時記憶部34に順次記憶される。
一時記憶部34は、画像データを一時的に記憶する。一例として、一時記憶部34は、揮発性メモリである。一例として、一時記憶部34は、RAM(Random Access Memory)である。
画像処理部33で施される画像処理は、表示用画像データを生成する処理、圧縮した画像データを生成する処理、記録用画像データを生成する処理、画像データに基づく画像から一部切り出すことで電子的に画像を拡大する(デジタルズーム)処理等が挙げられる。画像処理部33により生成された表示用画像データは、制御部40の制御により第1表示部18や第2表示部19に表示される。
なお、測量機1は、視準用接眼光学系や求心用接眼光学系を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
画像処理部33により生成された記録用画像データは、通信部20を介して外部メモリに記録される。一例として、外部メモリは、不揮発性メモリである。一例として、外部メモリは、フラッシュメモリやハードディスクや光ディスクである。
測距部13は、測量部であり、一例として、発光素子とダイクロイックミラーと受光素子とを備える光波距離計として構成されている。一例として、発光素子は、パルスレーザダイオード(PLD)等のレーザダイオード、赤外発光ダイオード等の発光ダイオードである。一例として、測距部13は、発光素子が出射する測距光を、ダイクロイックミラーによって第1対物レンズ8と同軸の光線として測量対象物である第1ターゲット(例えば反射プリズムや構造物の外観を構成する測定面)に向けて送光する。測量対象物で反射された光は、再び第1対物レンズ8に戻り、ダイクロイックプリズムで測距光と分離され、受光素子へ入射する。測量対象物までの距離は、発光素子から測距部13内部で受光素子に入射する参照光と、測量対象物からの測距光との時間差から算出される。なお、測距部13は、位相差に基づいて測量対象物までの距離を算出する位相差測距方式であってもよい。
送光部16は、第1ターゲットに対して送光し第1ターゲットを照射する。一例として、送光部16は、測距部13の発光ダイオードである。一例として、送光部16と測距部13は、同一の発光ダイオードを兼用する。送光部16は、第1対物レンズ8と同軸の光線を第1ターゲットに向けて送光する。一例として、送光部16は、測距部13とは別に設けられた発光ダイオードである。
水平角測角部31は、視準軸O3の水平方向の回転角度(鉛直軸O1周りの角度)を検出する。水平角測角部31は、検出した回転角度に対応する信号を制御部40に出力する。水平角測角部31は、一例として、エンコーダにより構成されている。水平角測角部31は、一例として、光学式アブソリュート形ロータリエンコーダにより構成されている。水平角測角部31は、水平角を検出する角度検出部である。
鉛直角測角部32は、視準軸O3の鉛直(高低)方向の回転角度(水平軸O2周りの角度)を検出する。鉛直角測角部32は、検出した角度に対応する検出信号を制御部40に出力する。鉛直角測角部32は、一例として、エンコーダにより構成されている。鉛直角測角部32は、一例として、光学式アブソリュート形ロータリエンコーダにより構成されている。鉛直角測角部32は、鉛直角を検出する角度検出部である。
水平角操作部用エンコーダ21は、水平角操作部23の回転角度を検出する。水平角操作部用エンコーダ21は、検出した回転角度に対応する信号を制御部40に出力する。
水平角駆動部15は、整準部2に対して本体部6を鉛直軸O1周りに回転駆動する。水平角駆動部15が整準部2に対して本体部6を鉛直軸O1周りに回転駆動することで、撮像部7は、整準部2に対して鉛直軸O1周りに回転する。一例として、水平角駆動部15は、モータで構成されている。
一例として、水平角駆動部15は、ユーザにより第1表示部18や第2表示部19のタッチパネルがタッチされた位置に基づき制御部40が算出した駆動量に応じて、整準部2に対して本体部6を鉛直軸O1周りに回転駆動する。
一例として、水平角駆動部15は、欠陥画像表示制御装置50や遠隔操作装置等の外部機器から回転駆動指示を受け付けた場合、外部機器から受け付けた回転駆動指示に基づき制御部40が算出した駆動量に応じて、整準部2に対して本体部6を鉛直軸O1周りに回転駆動する。
一例として、水平角駆動部15は、水平角操作部23が操作された場合、整準部2に対して本体部6を測量機1の鉛直軸O1周りに回転駆動する。
鉛直角操作部用エンコーダ22は、鉛直角操作部24の回転角度を検出する。鉛直角操作部用エンコーダ22は、検出した回転角度に対応する信号を制御部40に出力する。
鉛直角駆動部17は、本体部6に対して撮像部7を水平軸O2周りに回転駆動する。鉛直角駆動部17は、例えばモータで構成されている。
一例として、鉛直角駆動部17は、ユーザにより第1表示部18や第2表示部19のタッチパネルがタッチされた位置に基づき制御部40が算出した駆動量に応じて、本体部6に対して撮像部7を水平軸O2周りに回転駆動する。
一例として、鉛直角駆動部17は、外部機器から回転駆動指示を受け付けた場合、外部機器から受け付けた回転駆動指示に基づき制御部40が算出した駆動量に応じて、本体部6に対して撮像部7を水平軸O2周りに回転駆動する。
一例として、鉛直角駆動部17は、鉛直角操作部24が操作された場合、本体部6に対して撮像部7を水平軸O2周りに回転駆動する。
通信部20は、外部機器である欠陥画像表示制御装置50との通信を行う。通信部20は、外部機器とのデータ入出力を行うインタフェースである。通信部20として、例えば、ActiveSync規格の通信用インタフェースや、USB(Universal Serial Bus)規格の通信用インタフェースや、Bluetooth(登録商標)規格の無線通信用インタフェースや、RS−232Cシリアル通信規格の通信用インタフェースが挙げられる。通信部20は、測量機1で撮像された画像データや位置データを欠陥画像表示制御装置50に対して送信し、また、欠陥画像表示制御装置50から送信された測量機1を制御する指示信号を受信する。
記憶部35は、測量機1の動作に必要なプログラムやパラメータ、工事の基礎となる設計データ等を記憶する。記憶部35は、プログラム、パラメータ及び設計データを測量機1の非動作時にも失われないように格納する。記憶部35は、一例として、不揮発性メモリやハードディスクである。一例として、記憶部35は、ROM (Read Only Memory)である。一例として、記憶部35は、測量機1が撮像した測定面の画像データを保存する。一例として、記憶部35は、グローバル座標系で作成された地図データを記憶する。一例として、記憶部35は、欠陥検出プログラムや欠陥編集プログラムを保存する。欠陥検出プログラムや欠陥編集プログラムは、測量機1で実行することもできる。記憶部35は、傾き検出部37により検出された測量機1の鉛直軸の傾き状態(傾斜データ)を記憶する。記憶部35に記憶されている傾斜データは、例えば欠陥画像表示制御装置50に送信され、測量機1で撮像して生成された画像データに対して欠陥画像表示制御装置50がオルソ補正処理を施す際に使用される。欠陥画像表示制御装置50は、測量機1で撮像して生成された画像データに対して、測量機1の鉛直軸の傾き状態に基づいてオルソ補正処理を施す。
操作部36は、一例として、筐体に配置された押ボタン、ボリュームスイッチ、スライドスイッチ等の機械的な操作部材である。操作部36は、一例として、第1表示部18や第2表示部19の表示部の表示面に配置されたタッチパネルである。機械的な操作部材は、ユーザにより操作されると、各操作部材に関連付けられた機能を実行する指示信号を制御部40に出力する。また、タッチパネルは、表示されたオブジェクトがタッチされたとき、オブジェクトに定義づけられた機能を実行する指示信号を制御部40に出力する。
制御部40は、測量機1の全体の動作を制御する。
一例として、制御部40は、操作部36や外部機器からの指示信号に従って、整準部2に対して本体部6を鉛直軸O1周りに回転駆動する。一例として、制御部40は、ユーザにより水平角操作部23が操作されたことに応じて、整準部2に対して本体部6を鉛直軸O1周りに回転駆動する。一例として、制御部40は、操作部36や外部機器からの指示に従って、本体部6に対して撮像部7を水平軸O2周りに回転駆動する。一例として、制御部40は、ユーザにより鉛直角操作部24が操作されたことに応じて、本体部6に対して撮像部7を水平軸O2周りに回転駆動する。
一例として、制御部40は、第1撮像部11及び第2撮像部12を動作して、設定された撮像条件に基づいて、第1ターゲットである反射プリズムや構造物の外観を構成する測定面を撮像し、撮像して生成した画像データを画像処理部33に出力する。
一例として、制御部40は、欠陥画像表示制御装置50から駆動指示信号が入力されると、指示信号に従って、第1撮像部11(オートフォーカス部11aを含む)、第2撮像部12、第3撮像部14、撮像部7、水平角駆動部15、鉛直角駆動部17等を駆動する。
一例として、制御部40は、欠陥画像表示制御装置50に対して撮像部7が生成した画像データや観測データを通信部20から出力する。
〔欠陥画像表示制御装置のシステム構成〕
図6は、欠陥画像表示制御装置50のシステム構成を示すブロック図である。
欠陥画像表示制御装置50は、制御部51と、表示部52と、操作部53と、記憶部54と、通信部55とを備えている。
制御部51は、コンピュータと同様な構成を有しており、CPU51a、ROM51b及びRAM51cがバスを介して相互に接続されている。一例として、制御部51は、記憶部54を構成するハードディスク等にインストールされた欠陥検出プログラム54aを実行する。また、一例として、制御部51は、表示部52に画像等を表示させる表示制御部として機能する。制御部51は、撮像部7が生成した画像データに基づく画像や観測データに基づく情報を表示部52に表示させる。一例として、制御部51は、構造物の外観を構成する測定面の画像を表示部52に表示させる。一例として、制御部51は、外観画像データに含まれる構造物の欠陥を検出する欠陥検出部として機能する。制御部51は、外観画像データに対応づけられた座標データを用いて、欠陥検出部により検出された欠陥に関する欠陥データを算出する算出部として機能する。また、欠陥編集プログラム54bを実行することにより、外観画像データを表示し、欠陥検出プログラム54aで検出された欠陥データに対して、新たに視認した欠陥データを追加し、また、検出された欠陥データを修正する。一例として、制御部51は、測量機1に対して、第1撮像部11、第2撮像部12、第3撮像部14、撮像部7、水平角駆動部15、鉛直角駆動部17等を駆動する指示信号を通信部55を介して出力する。
表示部52は、画像やオブジェクトを表示する表示機能を有している。一例として、表示部52は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTである。一例として、表示部52は、表示部の表示面に、第1撮像部11や第2撮像部12が生成した画像データに基づく画像や観測データに基づく情報を表示する。
操作部53は、一例として、キーボードであり、マウスであり、表示部52の表示面に配置されたタッチパネルである。操作部53は、表示部52に表示されたオブジェクトを選択することによって、オブジェクトに定義づけられた機能を実行する指示を制御部51に出力する。一例として、マウスは、右クリックボタンと、左クリックボタンと、ホイールとを備えている。一例として、左クリックボタンは、クリックすることで、マウスカーソルの位置を選択(又は確定)することができ、右クリックボタンは、クリックすることで、メニューボックスをマウスカーソルの位置にポップアップ表示することができる。一例として、ホイールは、回転させることによって、表示された画像を拡大し、縮小することができる。また、タッチパネルの場合、指やスタイラスペン等によって表示面をなぞることで、カーソルの位置を移動させたりすることができ、また、表示面に対してタッチすることで、カーソル位置を選択(又は確定)することができる。
一例として、欠陥編集プログラム54bを実行している場合において、表示された外観画像に含まれる欠陥の位置で左クリックボタンがクリックされると、制御部51は、当該位置を欠陥の位置として確定する。また、欠陥の位置で右クリックボタンがクリックされると、制御部51は、メニューボックスをポップアップ表示し、メニューボックス内に表示された複数の選択候補値の中から選択された1つの候補値を欠陥の欠陥幅データとする。さらに、ホイールが回転されたとき、制御部51は、回転方向と回転量に応じた拡大率又は縮小率で表示部52に表示されている外観画像を拡大又は縮小する。
記憶部54は、プログラムやパラメータ等を測量機1の非動作時にも失われないように格納する。一例として、記憶部54は、不揮発性メモリやハードディスクである。一例として、記憶部54は、欠陥検出プログラム54a、工事の基礎となる設計データ等を記憶する。一例として、記憶部54は、構造物の外観を構成する測定面の画像データを記憶する。一例として、記憶部54は、グローバル座標系で作成された地図データを記憶する。一例として、記憶部54には、欠陥検出プログラム54aに従って、記録フォルダが作成される。記録フォルダには、欠陥検出プログラム54aに従って測量機1で撮像された測定範囲の複数の外観画像データ等が保存される。
通信部55は、測量機1の通信部20と通信をする。一例として、通信部55は、測量機1で撮像され画像データや位置データを受信し、また、測量機1を制御する指示信号を出力する。一例として、通信部55は、ワイドエリアネットワークやローカルエリアネットワーク等のネットワークを介して外部機器と通信する。一例として、通信部55は、外部のサーバ装置と通信する。一例として、通信部55は、工事の基礎となる設計データを格納した管理サーバ装置から設計データを受信する。一例として、通信部55は、管理サーバ装置に対して、構造物の外観を構成する測定面の画像データを送信する。
〔構造物の欠陥検出の概要〕
図7(a)は、測定面と測定範囲の関係を示す図である。
欠陥検出では、測定対象となる構造物の外観が平面で構成された鉛直面の場合は少なくとも任意の2点を観測(視準、測距及び測角)して得られた観測データ(測距部13で測距して得られた測距データ、水平角測角部31で測角して得られた水平角データ及び鉛直角測角部32で測角して得られた鉛直角データ)から測定面61を定義する。測定対象となる構造物の外観が平面で構成された斜面の場合は少なくとも任意の3点を観測して得られた観測データから測定面61を定義する。測定面61を定義するとき、第2撮像部12で撮像して生成された画像データに基づく画像を第1表示部18及び第2表示部19に表示したり、送光部16から送光したりすることで、ユーザは測量機1が構造物のどこを観測しようとしているのかを把握することが可能となる。
測定範囲62は、構造物における少なくとも任意の2点について測角(水平角及び鉛直角を測定)することで設定される。測定面61の定義を行った後に測定範囲62の設定を行う場合、測定範囲62の設定は、測定面61を定義しているため、構造物の少なくとも任意の2点を測距することなく測角するだけでも可能となる。測定面61の定義を行った後に測定範囲62の設定を行う場合、測定範囲62の設定は、構造物の少なくとも任意の2点について、測距部13で測距して得られた測距データ、水平角測角部31で測角して得られた水平角データ及び鉛直角測角部32で測角して得られた鉛直角データのうち、測距部13で測距して得られた測距データを用いることなく、水平角測角部31で測角して得られた水平角データ及び鉛直角測角部32で測角して得られた鉛直角データを用いるだけで可能となる。
測定面61を定義するときに観測する2点と、測定範囲62を設定するときに測角する2点は、少なくとも一方が異なる観測点でもよいし、同じ観測点でもよい。
図7(b)は、測定面と測定範囲と撮像範囲の関係を示す図である。測量機1は、設定した測定範囲62すべての外観画像データを得るために、第1撮像部11による撮像を順次行い、第1画角の撮像範囲63の外観画像データを順次生成する。測定面61が既に定義されていることで、デジタル画像である外観画像データに基づく外観画像の任意の画素の位置は、撮像時に視準した観測点からの角度を変換することによって座標データで特定することができる。各外観画像データに対しては、欠陥の検出が行われる。検出された欠陥の位置は、欠陥データである座標データで特定される。一例として、外観画像データの位置データや欠陥の位置等を示す欠陥データは、グローバル座標データである。撮像された測定範囲62における各外観画像データは、オルソ補正処理が行われ、次いで、スティッチング処理が行われ、記憶部54等に保存される。また、オルソ補正処理が行われた各外観画像データが記憶部54等に保存される。
図8は、構造物の欠陥検出の手順を示すフローチャートである。
ステップS1において、欠陥画像表示制御装置50の制御部51は、測量機1のリモート制御を開始し、測量機1は、構造物の測定面61等を視準する。一例として、制御部51は、測量機1の制御部40を介して、第1撮像部11、及び、第2撮像部12の画角の切り替え、撮像、測距、オートフォーカス、マニュアル露出、ホワイトバランス、送光部16のオンオフ切り替え等を行うことができるようになる。一例として、制御部51は、測角値や整準状態を表示部52に表示させる。
ステップS2において、制御部51は、記憶部54に外観画像データを保存する記録フォルダを作成する。
ステップS3において、測量機1は、制御部51の制御に従って、トライアルメジャーを行う。一例として、トライアルメジャーでは、ユーザがこれから欠陥検出したいと考える構造物の外観に現れた欠陥を含むように測量機1の第1撮像部11又は第2撮像部12で撮像する。一例として、欠陥は、第1撮像部11又は第2撮像部12で撮像して生成された外観画像データを欠陥画像表示制御装置50で画像解析することによって検出される。制御部51は、第1撮像部11又は第2撮像部12で撮像して生成された外観画像データに基づく外観画像を表示部52に表示させる。ユーザは、表示部52に表示された外観画像を見て、操作部53を操作し、制御部51は、制御部40を介して、第1撮像部11の感度、露出等を調整し、第1撮像部11の設定を、外観画像の中から欠陥を検出できる設定とする。一例として、トライアルメジャーは、複数の場所で行う。一例として、測量機1は、トライアルメジャーの結果、発見された測定環境の良い場所で器械設置される。
ステップS4において、測量機1の器械設置が行われる。図9は、器械設置を説明する図である。一例として、器械設置では、第3撮像部14で第2ターゲットを撮像して測量機1の整準及び求心をする。一例として、測量機1は、制御部51の制御に従って、既知点2点A1(X1,Y1,Z1),A2(X2,Y2,Z2)それぞれを測角及び測距する。図9に示すように、器械設置により、測量機1は、グローバル座標64上の測量機1の位置を示す座標値((X,Y,Z)=(Xi,Yi,Zi))と、図示されない水平角の基準方向を決定する方向角とを算出することで、グローバル座標64上に設置される。
一例として、トライアルメジャーは、器械設置の前に行われる。一例として、トライアルメジャーは、器械設置の後に行われる。一例として、トライアルメジャーと器械設置の順番は、欠陥画像表示制御装置50を用いてユーザが設定する。ユーザがトライアルメジャーと器械設置の順番を設定する場合は、一例として、表示部52にトライアルメジャーと機器設置を選択するためのオブジェクトを表示させ、操作部53で選択させる。器械設置は、手間のかかる作業であるので、トライアルメジャーの後に行うことが好ましい。
ステップS5において、測量機1は、制御部51の制御に基づいて、測定面61を定義する。一例として、測量機1は、構造物の外観(例えば壁面)の少なくとも任意の2点について測角及び測距を行い、任意の2点を含む面を測定面61として定義する。測量機1は、器械設置によりグローバル座標64における測量機1の位置を特定し、測定面61を定義することで、測定面61のいずれの観測点もグローバル座標で特定することができる。
図10は、測定面61の定義により特定可能なデジタル画像上の任意の画素の位置データを説明する図である。
上述したように、測定面61の定義がされることで、測量機1が撮像した撮像範囲63における任意の画素(P)は、測量機1が十字形状を有したレチクルの中心が示す観測点Oの角度(HA,VA)を算出し、画素(P)の観測点Oからの角度をグローバル座標データに変換することができる。これにより、外観画像データにおける各画素の位置は、各画素に対して角度観測を行った場合と同じように、位置データであるグローバル座標データで特定することができる。一例として、第1撮像部11の第1撮像素子が1920画素×1080画素を有する場合、デジタル画像は、第1撮像素子が有する画素数に応じた精度で位置を特定することができる。
なお、測定面61の定義方法についての詳細は後述する。
ステップS6において、測量機1は、制御部51の制御に基づいて、定義された測定面61内において、構造物の欠陥検出を行う測定範囲62を指定する。
なお、測定範囲62の定義についての詳細は後述する。
ステップS7において、測量機1は、制御部51の制御に従って、水平角駆動部15を駆動して撮像部7を鉛直軸O1周りに回転駆動し、鉛直角駆動部17を駆動して撮像部7を水平軸O2周りに回転駆動する。測量機1は、制御部51の制御に従って、測定範囲62の自動測定を行う。測量機1は、撮像毎に視準方向を変えながら、測定範囲62を第1撮像部11で順次撮像する。欠陥画像表示制御装置50には、順次撮像された外観画像データが位置データと共に入力される。制御部51は、測量機1から入力された外観画像データについて、欠陥を検出する。
なお、第1撮像部11の自動測定についての詳細は後述する。
ステップS8において、欠陥画像表示制御装置50では、ステップS7で撮像された外観画像データを再度表示し、欠陥の編集を行うことができる。ユーザは、外観画像が表示部52に表示されることで、欠陥が正確に検出されているかを目視確認することができる。そして、欠陥が検出されていない箇所があるときは、欠陥を追加する処理を行い、検出した欠陥が画像中の欠陥とずれているときは、当該欠陥を修正し、一致させる変更処理を行う。
〔測定面の定義(ステップS5)〕
測定面の定義方法を、測定対象となる構造物の外観が平面で構成された鉛直面である場合を例に説明する。図11に示すように、鉛直面の測定面61の定義方法は、鉛直の測定面61上の測定面61内の任意の2つの観測点P1,P2を、第2撮像部12で撮像しながら、例えば送光部16を用いて指定し、観測点P1,P2の測角及び測距による観測を行う。測量機1は、制御部51の制御に従って、視準、測距を行った任意の観測点P1,P2を含む鉛直面を測定面61として定義する。
〔測定範囲の定義(ステップS6)〕
図12(a)に示すように、測定範囲62を含む測定面61が鉛直面の場合、測量機1は、制御部51の制御に従って、第2撮像部12で撮像しながら、送光部16を用いて、測定面61内の任意の2つの観測点P3,P4を指定し、各観測点P3,P4について、測角を行う。この測角位置は、測定面61が定義されていることで、グローバル座標データとして算出される(P3(X3,Y3,Z3)、P4(X4,Y4,Z4))。測定範囲62は、単に指定された観測点P3,P4によって指定された範囲ではなく、定義された測定面61に投影された範囲となる。測定範囲62が測量機1と正対している場合、測定範囲62は、観測点P3、P4を対角とした長方形となる。
図12(b)に示すように、測定範囲62が測量機1と正対していない場合には、測定した角度のみから単純にP3、P4の範囲の長方形65とすると、一部観測できない領域66aが発生する。長方形65には、測定範囲62に含まれない不要な領域66bも発生する。測量機1は、制御部51の制御に従って、定義した測定面61に投影した測定範囲62aを計算により求め設定する。この測定範囲62aは、測量機1に対して遠い側の辺が測量機1に対して近い側の辺に対して短い四角形となる。
一例では、測定面61を定義する際に指定した任意の観測点P1,P2をそのまま測定範囲を指定するための観測点P3,P4として用いることもできる。
測定範囲62は、長方形形状が1つだけの場合に限定されない。測定範囲62は、複数であってもよく、2つ以上に追加することも可能であり、また、指定した測定範囲の一部の範囲を除外することも可能である。
〔自動測定(ステップS7)〕
設定した測定範囲62の大きさによっては、第1撮像部11による1回の撮像では設定した測定範囲62をすべてカバーすることができないことがある。一例として、測量機1は、制御部51の制御に従って、撮像範囲が重複するように、且つ、重複する領域が不必要に大きくならないように、水平角駆動部15及び鉛直角駆動部17を駆動制御する。測量機1は、制御部51の制御に従って、測定範囲62の全体を撮像する。
図13は、測量機1の水平軸周りの回転駆動の範囲を説明する図である。測量機1の鉛直角駆動部17による水平軸O2周りの回転駆動は、次のように制御される。
一例として、測定面61が例えば鉛直面である場合は、概ね、鉛直角が45°以上、135°以下の範囲で撮像部7が水平軸O2周りに回転駆動される。また、測定面61が例えば鉛直面である場合は、概ね、鉛直角が225°以上、315°以下の範囲で撮像部7が水平軸O2周りに回転駆動される。
鉛直角とは、水平軸O2周りにおける撮像部7の回転角で、測量機1の視準方向が天頂を向いているときを0°、水平を向いているときを90°として示す角度である。
図14は、ステップS7で示した自動測定の詳細な手順を説明するフローチャートである。
ステップS11において、測量機1は、制御部51の制御に従って、測定範囲62内の撮像領域を順次撮像できるように、水平角駆動部15及び鉛直角駆動部17を制御し、撮像部7を回転する。そして、測量機1は、制御部51の制御に従って、測定範囲62内において、現在の撮像領域を撮像した後、隣接する撮像領域に順次移動し、第1撮像部11で測定範囲62の全ての領域を自動測定する。
なお、測量機1の自動測定についての詳細は後述する。
ステップS12において、測量機1は、制御部51の制御に従って、各撮像領域との距離を計算する。ステップS13において、測量機1は、制御部51の制御に従って、第1撮像部11のオートフォーカス制御を行う。オートフォーカス制御では、第1撮像部11における第1光学系を構成するフォーカスレンズを、制御部40によるフォーカス調節指示に応じて光軸方向に沿って変位し、光を第1撮像素子上に合焦させる。
一例として、オートフォーカス制御は、測定点のグローバル座標データと測量機1の位置を示すグローバル座標データから観測点と測量機1との距離を計算し、計算した距離に基づいてフォーカスレンズを光軸方向に沿って変位する。
一例として、オートフォーカス制御は、測距部13で、測量機1と観測点との距離を測距して、測距した距離に基づいてフォーカスレンズを光軸方向に沿って変位する。
一例として、オートフォーカス制御は、フォーカスレンズをコントラストが最大となる位置に変位させるコントラスト方式で行う。
測定面61は、コンクリート壁面であることが多く、コントラストを検出しにくい。オートフォーカス制御は、ステップS12で測距した距離に基づいて行う方式が好ましい。
ステップS14において、測量機1は、制御部51の制御に従って、測定範囲62における第1画角の各撮像範囲63を撮像する。測量機1は、制御部51の制御に従って、各撮像範囲63のレチクルの中心が示す観測点Oの角度(HA,VA)を算出する。測量機1は、制御部51の制御に従って、撮像した外観画像データの各画素のグローバル座標データを、観測中心の観測点Oからの角度を変換することによって算出する。これにより、撮像範囲63の全ての画素がグローバル座標データに変換される。
一例として、測量機1は、外観画像データの中に欠陥が検出されると、欠陥の始点と終点の画素を、位置データとしての観測中心の観測点Oからの角度を変換することによって算出する。
測量機1は、グローバル座標データにより画素の位置が特定された外観画像データを、欠陥画像表示制御装置50に送信する。制御部51は、表示部52に、順次、外観画像データに基づく外観画像を表示させる。
一例として、測量機1は、撮像した各外観画像データの位置データとして、全ての画素のグローバル座標データを算出し、欠陥画像表示制御装置50に出力する。
ステップS15において、測量機1は、制御部51の制御に従って、オルソ補正処理を行うため、撮像した外観画像の4隅の座標データを算出する。4隅の座標データは、各外観画像データにおける4隅の画素の座標データである。
ステップS16において、制御部51は、撮像した外観画像データのそれぞれについて、欠陥の検出を行い、欠陥の位置、長さ及び幅を測定する。
なお、欠陥の検出についての詳細は後述する。
ステップS17において、制御部51は、各外観画像データのオルソ補正処理を行う。一例として、制御部51は、外観画像データにオルソ補正処理を施すオルソ補正処理部として機能する。
ステップS18において、制御部51は、各外観画像データを繋ぎ合わせるスティッチング処理を行う。一例として、制御部51は、オルソ補正処理が施された第1外観画像データとオルソ補正処理が施された第2外観画像データとを繋ぎ合わせるスティッチング処理を施すスティッチング処理部として機能する。
なお、オルソ処理とスティッチング処理についての詳細は後述する。
測定面61である壁面が鉛直面である場合は、概ね、鉛直角が45°以上、135°以下の範囲で撮像部7が水平軸O2周りに回転駆動される。また、測定面61である壁面が鉛直面である場合は、概ね、鉛直角が225°以上、315°以下の範囲で撮像部7が水平軸O2周りに回転駆動される。
図15は、鉛直面の測定範囲62をタイル状に自動測定する状態を説明する図である。
一例として、測定範囲62は、長方形である。一例として、測定範囲62の内側には、測定の除外領域を有していない。測量機1は、制御部51の制御に従って、測定範囲62より広い長方形の全撮像範囲71を、第1撮像部11を用いて撮像する。自動測定では、第1画角の第1撮像部11を用いる。第1撮像部11は、全撮像範囲71内を、第1画角の撮像領域72の大部分が重ならないように撮像する。一例として、各撮像領域72は、外縁を含む外縁領域が隣接する撮像領域72と重複する重複領域70を有する。各撮像領域72は、一例として、同じ大きさの長方形である。各撮像領域72は、一例として、同じ大きさの正方形でもよい。測量機1は、撮像領域72がタイル状に並ぶように、全撮像範囲71を撮像する。一例として、測量機1は、全撮像範囲71内において、第1撮像部11をS字状に移動させて、全撮像範囲71を撮像する。撮像開始は、S字形状のルートの何れの端部であってもよい。一例として、測量機1は、全撮像範囲71を、連続して撮像できるルートで順次撮像する。一例として、測量機1は、全撮像範囲71を、水平角駆動部15及び鉛直角駆動部17による撮像部7の移動量が最少となるルートで順次撮像する。一例として、測量機1は、現在の撮像領域72に対して次に撮像する撮像領域72を、現在の撮像領域72に対して隣接する撮像領域72とする。
図16は、欠陥の検出及び測定をする手順を示すフローチャートである。
ステップS21において、測量機1は、制御部51の制御に従って、測定範囲62における各撮像領域72を撮像する。一例として、測量機1は、制御部51の制御に従って、各撮像領域72を撮像する際、測量機1が十字形状を有したレチクルの中心が示す観測点の角度(HA,VA)を算出し、中心の観測点からの角度(HA,VA)を変換することによって、各画素のグローバル座標データを算出する。測量機1は、位置データとして、撮像した外観画像データ、及び、画素に対応づけられたグローバル座標データを欠陥画像表示制御装置50に送信する。測量機1から送信された外観画像データやグローバル座標データ(位置データ)は、制御部51により記憶部54(例えばステップS2で作成された記録フォルダ)に保存される。
ステップS22において、欠陥画像表示制御装置50の制御部51は、表示部52に、外観画像データに基づく外観画像を順次表示させる。図17(a)は、欠陥81を有する外観画像の一例を示している。
制御部51は、欠陥検出部として機能する。ステップS23において、制御部51は、各外観画像データについて、欠陥の検出を行う。一例として、制御部51は、各外観画像データに対して画像処理(画像解析)を行うことで欠陥を検出する。一例として、欠陥の検出は、外観画像のコントラストを検出して行われる。制御部51は、欠陥を検出すると、欠陥の位置を示す欠陥位置データを測定する。一例として、欠陥位置データは、グローバル座標系で特定される座標データである。欠陥位置データは、位置データとしてのレチクルの示す観測点Oからの角度を変換することによって欠陥の位置を特定する座標データである。一例として、制御部51は、欠陥81の始点の画素に対応したグローバル座標データを特定する。また、制御部51は、欠陥81の終点の画素に対応したグローバル座標データを特定する。制御部51は、欠陥の始点と終点との間の距離を、欠陥長さデータとして測定する。制御部51は、欠陥位置データに基づく情報や欠陥長さデータに基づく情報を、外観画像データに基づく外観画像とともに表示部52に表示する。
一例として、検出する欠陥の幅は、特に限定されないが、一例として、0.2mm以上であり、また、0.1mm以上である。
一例として、欠陥81の検出は、測量機1が行ってもよい。
ステップS24において、制御部51は、外観画像において検出した欠陥81をユーザが識別できるように欠陥識別表示処理を行う。一例として、制御部51は、外観画像において検出した欠陥81に対して強調表示処理を行う。一例として、制御部51は、図17(b)に示すように、外観画像において検出した欠陥81に欠陥オブジェクト81aを重畳して表示する。欠陥オブジェクト81aの形状は、検出した欠陥に応じた形状で構成される。欠陥オブジェクト81aの形状は、検出したひびや窪みの形状に応じた形状で構成される。一例として、欠陥オブジェクト81aは、線形状で構成される。線形状の場合は、一例として、線の太さ、線種(実線、点線、鎖線、波線等)を異ならせて強調表示処理を行うことができる。一例として、欠陥オブジェクト81aは、矩形形状で構成される。一例として、欠陥オブジェクト81aは、円形状で構成される。一例として、欠陥オブジェクト81aは、重畳する欠陥周辺の色とは異なる色で表示される。
一例として、欠陥オブジェクト81aは、欠陥81の幅に応じて、強調表示処理を異ならせる。例えば、制御部51は、数値範囲が第1範囲の欠陥幅データと数値範囲が第2範囲の欠陥幅データとで異なる強調表示処理を行う。一例として、制御部51は、0.1mm以上0.2mm未満の幅を有する欠陥に対して第1強調表示処理を行い、0.2mm以上0.3mm未満の幅を有する欠陥に対して第1強調表示処理とは異なる第2強調表示処理を行い、0.3mm以上0.4mm未満の幅を有する欠陥に対して第1強調表示処理や第2強調表示処理とは異なる第3強調表示処理を行う。なお、各強調表示処理を定義づける数値範囲は、以上の例に限定されるものではない。また、強調表示処理の数も、3つに限定されるものではなく、2つでもよく、また、4つ以上であってもよい。
強調表示処理としては、一例として、欠陥81の欠陥幅に応じて、線形状(線種)や形状を異ならせる。また、欠陥81の欠陥幅に応じて、色を異ならせる。
一例として、ステップS24は、省略してもよい。
ステップS25において、制御部51は、検出した欠陥に関して欠陥幅データを測定する。一例として、欠陥81の検出のみを目的とする場合、ステップS24や以降の処理を省略してもよい。
ステップS26において、制御部51は、欠陥(ひび)が折れ曲がる箇所や幅が変化する箇所を変化点82として検出する。また、欠陥(ひび)の端部を端点84として検出する。制御部51は、隣接する変化点82の間のセグメント83を一単位として取り扱う。制御部51は、欠陥位置データとしての各セグメント83の始点と終点の画素に対応したグローバル座標データを特定する。制御部51は、各セグメント83の始点と終点との間の距離を、セグメント83の欠陥長さデータとして算出する。また、制御部51は、各セグメント83の欠陥幅データを算出する。図17(c)に示すように、一例として、制御部51は、セグメント83の欠陥幅に対応する欠陥幅識別表示処理をセグメント83毎に行う。一例として、制御部51は、セグメント83の欠陥幅に対応する強調表示処理を行う。
図17(c)に示すように、一例として、制御部51は、外観画像において検出したセグメント83に対して欠陥オブジェクト83aを重畳して強調表示処理を行う。欠陥オブジェクト83aの形状は、検出した欠陥に応じた形状で構成される。欠陥オブジェクト83aの形状は、検出したひびや窪みの形状に応じた形状で構成される。一例として、欠陥オブジェクト83aは、線形状で構成される。線形状の場合は、一例として、線の太さ、線種(実線、点線、鎖線、波線等)等を異ならせて強調表示処理を行うことができる。一例として、欠陥オブジェクト83aは、矩形形状で構成される。一例として、欠陥オブジェクト83aは、円形状で構成される。一例として、欠陥オブジェクト83aは、重畳する欠陥周辺の色とは異なる色で表示される。
一例として、欠陥オブジェクト83aは、欠陥の幅に応じて、強調表示処理を異ならせる。例えば、制御部51は、第1範囲の欠陥幅データと第2範囲の欠陥幅データとで異なる強調表示処理を行う。さらに具体的に、制御部51は、0.1mm以上0.2mm未満の幅に対して第1強調表示処理を行い、0.2mm以上0.3mm未満の幅に対して第1強調表示処理とは異なる第2強調表示処理を行い、0.3mm以上0.4mm未満の幅に対して第1強調表示処理や第2強調表示処理とは異なる第3強調表示処理を行う。なお、各強調表示処理を定義づける数値範囲は、以上の例に限定されるものではない。また、強調表示処理の数も、3つに限定されるものではなく、2つでもよく、また、4つ以上であってもよい。
強調表示処理としては、一例として、セグメント83の欠陥幅に応じて、線形状(線種)や形状を異ならせる。また、セグメント83の欠陥幅に応じて、色を異ならせる。
一例として、セグメント83の欠陥オブジェクト83aの識別表示処理(強調表示処理)は、隣接する変化点82間の欠陥オブジェクト83aに対するものだけでなく、端点84と端点84に隣接する変化点82との間の欠陥オブジェクト83aに対しても行う。
ステップS27において、制御部51は、外観画像データに関する欠陥データを格納したデータファイルを作成し、欠陥データのデータファイルを外観画像データのデータファイルと関連づけて記憶部54の記録フォルダに保存する。一例として、欠陥データは、欠陥位置データ、欠陥長さデータ及び欠陥幅データを含む。一例として、欠陥位置データ、欠陥長さデータ及び欠陥幅データを含む欠陥データは、上述したステップS24及びステップS25のような欠陥データでもよいし、上述したステップS26のようなセグメント毎の欠陥データでもよい。
図18及び図19は、欠陥画像表示制御装置50の表示部52に表示された画面の一例を示す。図18に示すように、表示部52に表示された画面は、スクロールバー85と、外観画像表示領域86と、スティッチ画像表示領域87と、一覧表示領域88とを有する。
外観画像表示領域86は、測量機1で撮像された外観画像データに基づく外観画像が表示される領域である。一例として、図8のステップS7で示した自動測定を測量機1が行っており、測量機1で撮像された外観画像データが欠陥画像表示制御装置50へ順次送信されている。このような場合、制御部51は、測量機1から送信された最新の外観画像データに基づく外観画像を外観画像表示領域86に表示する。制御部51は、測量機1から受信した最新の外観画像データに基づく外観画像で外観画像表示領域86に表示される外観画像を更新して表示する。外観画像表示領域86には、測量機1で撮像された順番で、外観画像データに基づく外観画像が切り替えて表示される。
図19に示すように、スティッチ画像表示領域87は、複数の外観画像データが繋ぎ合わされたスティッチング処理済み外観画像データに基づくスティッチング処理済み外観画像が表示される領域である。一例として、図8のステップS7で示した自動測定を測量機1が行っており、測量機1で撮像された外観画像データが欠陥画像表示制御装置50へ順次送信されている。このような場合、制御部51は、測量機1から外観画像データが送信される毎に、測量機1から送信された複数の外観画像データにスティッチング処理を施したスティッチング処理済み外観画像データに基づくスティッチング処理済み外観画像をスティッチ画像表示領域87に表示する。
なお、測量機1から送信された外観画像データが1つのときは、測量機1から送信された外観画像データに対してスティッチング処理を施すことなく、測量機1から送信された外観画像データに基づく外観画像をスティッチ画像表示領域87に表示する。
スクロールバー85は、スティッチ画像表示領域87の周囲に表示される。一例として、スクロールバー85は、スティッチ画像表示領域87に表示されるスティッチング処理済み外観画像の縦方向に沿ったスクロールバーと、スティッチ画像表示領域87に表示されるスティッチング処理済み外観画像の横方向に沿ったスクロールバーの2つを有する。
ユーザによりスクロールバー85が操作されると、制御部51は、スクロールバー85に対する操作内容に応じて、スティッチ画像表示領域87に表示されているスティッチング処理済み外観画像をスクロールする。スティッチング処理済み外観画像がスティッチ画像表示領域87より大きい場合、ユーザは、スクロールバー85を操作することでスティッチング処理済み外観画像の所望の領域を見ることができる。
一例として、制御部51は、スティッチング処理済み外観画像を構成する複数の外観画像のうち、測量機1から送信された最新の外観画像データ(測量機1で撮像された最新の外観画像データ)に基づく外観画像がスティッチ画像表示領域87に表示されるようにスティッチング処理済み外観画像を表示する。ユーザは、例えばスクロールバー85を操作することなく、測量機1から送信された最新の外観画像データ(測量機1で撮像された最新の外観画像データ)に基づく外観画像を順次確認することができる。
一例として、図8のステップS7で示した自動測定を測量機1が行っており、測量機1で撮像された外観画像データが欠陥画像表示制御装置50へ順次送信されている。このような場合、制御部51は、測量機1により自動測定で撮像される外観画像データの総数情報を測量機1から受信することで、測量機1による自動測定の進捗状況をスティッチング処理済み外観画像とともにスティッチ画像表示領域87に表示する。一例として、測量機1による自動測定の進捗状況としては、全撮像枚数中何枚目までの外観画像がスティッチ画像表示領域87に表示されたかを示す情報や、全撮像枚数までの残り枚数を示す情報が挙げられる。
一例として、測量機1で順次撮像して生成され且つ測量機1又は欠陥画像表示制御装置50でオルソ補正処理が施された第1外観画像データ及び第2外観画像データに対してスティッチング処理を施していない場合がある。又は、測量機1で順次撮像して生成され且つ測量機1又は欠陥画像表示制御装置50でオルソ補正処理が施された第1外観画像データ及び第2外観画像データに対してスティッチング処理が完了していない場合がある。これらの場合、制御部51は、オルソ補正処理が施された第1外観画像データに基づく第1外観画像を外観画像表示領域86に表示する。このとき、制御部51は、第1外観画像データに関する第1欠陥データに基づく第1欠陥情報を一覧表示領域88に表示する。
なお、このとき、制御部51は、オルソ補正処理が施された第1外観画像データに基づく第1外観画像をスティッチ画像表示領域87に表示してもよい。
一例として、測量機1で順次撮像して生成され且つ測量機1又は欠陥画像表示制御装置50でオルソ補正処理が施された第1外観画像データ及び第2外観画像データに対するスティッチング処理が施された場合、制御部51は、第1外観画像データと第2外観画像データとをスティッチングしたスティッチング処理済み外観画像データに基づくスティッチング処理済み外観画像をスティッチ画像表示領域87に表示する。このとき、制御部51は、第1外観画像データに関する第1欠陥データに基づく前記第1欠陥情報と、第2外観画像データに関する第2欠陥データに基づく第2欠陥情報とを一覧表示領域88に表示する。また、このとき、制御部51は、オルソ補正処理が施された第1外観画像データに基づく第1外観画像に代えて、オルソ補正処理が施された第2外観画像データに基づく第2外観画像を外観画像表示領域86に表示する。
一例として、スティッチ画像表示領域87に外観画像データが移動されるときには、既に、欠陥の検出処理が終了し、オルソ補正処理が完了している。欠陥81やセグメント83に対する強調表示処理は、外観画像表示領域86に表示されているときに行ってもよいし、スティッチ画像表示領域87に表示されてから行ってもよい。
一覧表示領域88は、制御部51により外観画像データから検出された欠陥81のセグメント83毎に、識別データとして付与された識別番号と、欠陥データとなる始点座標データのX座標データと、始点座標データのY座標データと、始点座標データのZ座標データと、終点座標データのX座標データと、終点座標データのY座標データと、終点座標データのZ座標データと、欠陥幅データと、欠陥長さデータとを表示する領域である。
外観画像表示領域86、及び、スティッチ画像表示領域87において、1つのセグメント83が操作部53によって選択されたとき、制御部51は、強調表示処理として、選択されたセグメント83を四角形状等の選択枠89で包囲する。また、制御部51は、一覧表示領域88において、選択されたセグメント83のデータに対して網掛け表示等の識別表示を行う。一覧表示領域88において、1つ又は複数のセグメント83が操作部53によって選択されたとき、制御部51は、選択されたセグメント83を四角形状の選択枠89で包囲する。一例として、選択枠89は、円形や三角形等である。一例として、選択枠89の形状は、セグメント83の長さや形状に応じて適宜変更される。一例として、制御部51は、連続する同じ幅のセグメント83を選択枠89で包囲する。
図20は、連続する複数のセグメント83を選択した状態の画面を示す図である。一例として、制御部51は、連続する複数のセグメント83が選択されたとき、選択されたセグメント83毎に選択枠89で包囲すると共に、一覧表示領域88において、選択されたセグメント83のデータに対して網掛け表示等の識別表示を行う。一例として、制御部51は、欠陥データとして、欠陥81の連続性を各セグメント83の始点座標データと終点座標データに基づいて自動検出する。一例として、始点を含むセグメント83と終点を含むセグメント83が選択されると、最初のセグメント83の始点と最後のセグメント83の終点のセグメントの間における連続するセグメント83を検出し選択する。
一例として、制御部51は、さらに、選択された複数のセグメント83で構成された欠陥81の始点座標データ、終点座標データ、欠陥長さデータ、欠陥幅データの最大値や最小値や平均値等を算出し表示する。一例として、制御部51は、選択したセグメント83の割合を表示する。例えば、制御部51は、欠陥幅データが0.1mm以上0.2mm未満はX%、0.2mm以上0.3mm未満はY%と表示する。一例として、複数のセグメント83が選択された後にも、新たなセグメント83を選択することができる。
図21は、非連続なセグメント83を選択した状態の画面を示す図である。一例として、制御部51は、欠陥データとして、選択されたセグメント83の数、選択したセグメント83の長さの合計、選択したセグメント83の欠陥幅データの平均値、選択したセグメント83の幅データの最大値、選択したセグメント83の欠陥幅データの最小値等を表示する。一例として、制御部51は、選択されたセグメント83の欠陥幅データの割合を表示する。例えば、制御部51は、欠陥幅データが0.1mm以上0.2mm未満はX%、0.2mm以上0.3mm未満はY%と表示する。
〔オルソ補正処理(ステップS17)〕
図22はオルソ補正処理を示す図であり、(a)は、オルソ補正前を示し、(b)は、オルソ補正処理(正射投影補正処理)後を示す。
図22(a)に示すように、測定面61と測量機1とは正対していない場合には、各外観画像データに基づく外観画像91aには歪みが発生する。撮像された各外観画像データは、各画素をグローバル座標で特定することができる。制御部51は、各画素をグローバル座標データを用いて外観画像データを測定面61に投影したオルソ補正処理を行う。一例として、制御部51は、各外観画像データの四隅のグローバル座標データを算出する。制御部51は、4隅の画素のグローバル座標データに基づいて測定面61に投影したオルソ補正を行う。オルソ補正処理の際には、記憶部54に格納されている第1撮像部11の第1撮像素子や第1光学系の傾斜に関する傾斜データも考慮に入れる。これにより、オルソ補正処理がされた外観画像91bは、全体が測量機1と正対した状態で撮像された画像と同じとなる。制御部51は、検出した欠陥81に対してもオルソ補正処理を行う。
一例として、オルソ補正処理を行うと外観画像が若干劣化するため、オルソ補正処理は、欠陥検出・測定後に行う。制御部51は、オルソ補正処理が施されていない外観画像データから欠陥を検出する。一例として、幅検出・測定の前にオルソ補正処理を行ってもよい。
〔スティッチング処理(ステップS18)〕
オルソ補正処理が施された各外観画像データにあっても、各画素について、グローバル座標データを有する。
一例として、互いに隣接する外観画像データを繋ぎ合わせる場合、制御部51は、互いに隣接する外観画像データの同じ座標値の画素が重なるように繋ぎ合わせる。
一例として、制御部51は、互いに隣接する外観画像データを繋ぎあわせなくても、座標上に、各外観画像データのグローバル座標データに基づいて、その外観画像データを当てはめる。この場合、制御部51は、各外観画像データの中心のグローバル座標データは任意の画素のグローバル座標データ等、複数の画素のグローバル座標データを用いて、座標上に、外観画像データを当てはめる。
一例として、隣接する外観画像データは、重複領域を有する。重複領域は、同じグローバル座標データが与えられている。スティッチング処理する際、制御部51は、グローバル座標データで特定される何れか一方の外観画像データの重複領域を削除する。
図23は、4枚の外観画像データに基づく外観画像92a〜92dのスティッチング処理部を施した全体外観画像92を示す図である。制御部51は、測定範囲62を撮像した個々の外観画像データを繋ぎ合わせ、測定範囲62の全体外観画像データに基づく全体外観画像92を構成する。
一例として、制御部51は、第1外観画像データに対応づけられた第1座標データと第2外観画像データに対応づけられた第2座標データとを用いて、オルソ補正処理が施された第1外観画像データとオルソ補正処理が施された第2外観画像データとを繋ぎ合わせるスティッチング処理を施す。
〔保存(ステップS27)〕
記憶部54の記録フォルダには、撮像した複数の外観画像データが所定のファイル形式の画像ファイルとして保存される。記録フォルダには、各外観画像データを関連付けて、位置データとしての各外観画像データを構成する画素のグローバル座標データも保存される。外観画像データの画像ファイルは、例えば、JPEG形式やビットマップ形式で保存され、座標データは、テキストファイルで保存される。また、外観画像データと座標データとは、EXIF形式で保存される。外観画像データの保存形式は、JPEG形式以外のデータであってもよい。
制御部51は、記憶部54の記録フォルダに、実際に撮像された測定範囲62における個々の外観画像データ等を画像データファイルとして保存する。一例として、記憶部54の記録フォルダに、測定範囲62におけるオルソ補正処理された個々の外観画像データを画像データファイルとして保存する。一例として、記憶部54の記録フォルダに、オルソ補正処理された外観画像データをスティッチング処理した全体外観画像データ等を1つの画像データファイルとして保存する。一例として、記憶部54の記録フォルダに、欠陥に対して強調表示処理が施された個々の外観画像データの画像データファイルや全体外観画像データの1つの画像データファイル等を保存する。
〔欠陥の編集〕
ところで、上述したひび等の欠陥の検出は、コントラストを測定する等、画像処理(画像解析)によって行われる。このため、外観画像データから全ての欠陥を正確に検出できないことも考えられる。例えば部分的に欠陥を検出したり、欠陥ではない箇所を欠陥として誤検出したりすることが考えられる。そこで、ユーザは、記憶部54に保存した外観画像データに基づく外観画像を目視検査し、欠陥画像表示制御装置50は、ユーザの指示に従って外観画像データに関する欠陥データを編集する構成とした。一例として、欠陥画像表示制御装置50は、ユーザは外観画像で欠陥を視認できるが欠陥画像表示制御装置50(制御部51)が欠陥として検出していない箇所について、ユーザ指示に基づいて外観画像データに関する欠陥データを追加することができる。一例として、欠陥画像表示制御装置50は、欠陥画像表示制御装置50(制御部51)により欠陥として検出されているもののユーザが外観画像で欠陥を視認できない箇所について、ユーザ指示に基づいて外観画像データに関する欠陥データを削除や切り取り、変更等、修正することができる。このように、制御部51は、欠陥編集部として機能する。
図24は、外観画像データに基づく外観画像の欠陥を編集する編集モードにおける編集画面が表示された表示部52の一例を示す。一例として、図24に示す編集画面は、外観画像表示領域103と、編集モード選択オブジェクト117と、入力オブジェクト106とを含む。
外観画像表示領域103は、記憶部54に保存されている外観画像データに基づく外観画像100が表示される領域である。一例として、記憶部54に保存されている外観画像データは、測量機1で撮像されて生成された後、測量機1から欠陥画像表示制御装置50へ送信された外観画像データである。
一例として、制御部51は、欠陥編集プログラム54bに従って、記憶部54に保存されている外観画像データに基づく外観画像100を表示部52に表示させる。一例として、制御部51は、記憶部54の記録フォルダに格納されているオルソ補正処理済みの外観画像データのデータファイルを1つ又は複数選択し、選択された外観画像データのデータファイルに格納された外観画像データを読み出して表示部52に表示する。一例として、制御部51により選択された外観画像データのデータファイルは、ユーザの操作によって選択されたデータファイルである。一例として、制御部51により選択された外観画像データのデータファイルは、測定範囲62を撮像した全外観画像データのデータファイルである。
一例として、選択した外観画像データが、測定範囲62の全域をカバーするために測量機1により撮像して生成された複数の外観画像データに含まれる場合、制御部51は、測定範囲62を撮像した個々の外観画像データをすべて選択する。制御部51は、選択したすべての外観画像データに対してスティッチング処理を施してスティッチング処理済み外観画像データを生成する。一例として、外観画像データのスティッチング処理は、互いに隣接する外観画像データの同じ座標値(例えばグローバル座標値)の画素が重なるように行う。一例として、制御部51は、スティッチング処理済み外観画像データに基づくスティッチング処理済み外観画像を外観画像表示領域103に表示する。
一例として、制御部51は、スティッチング処理済み外観画像を構成する個々の外観画像の撮像範囲63を示すオブジェクト101をスティッチング処理済み外観画像に重畳して表示する。一例として、図24の編集画面では、9つの外観画像データに対してスティッチング処理を施して生成されたスティッチング処理済み外観画像データに基づくスティッチング処理済み外観画像が外観画像表示領域103に表示されている。そのため、図24の編集画面では、スティッチング処理済み外観画像に重畳して、9つの外観画像データそれぞれに対応するオブジェクト101が9つ表示されている。オブジェクト101が図24に示したように表示されるのは、上述した図15と同様、個々の外観画像データが隣接する外観画像データと重複する領域である重複領域70を有しているためである。
外観画像表示領域103に表示される外観画像やスティッチング処理済み外観画像の位置(領域)が変更された場合において、変更後の位置(領域)に対応する外観画像データが存在するとき、制御部51は、変更後の位置(領域)に対応する外観画像データに基づく画像を表示する。又は、変更前に表示していたスティッチング処理済み外観画像データと変更後の位置(領域)に対応する外観画像データとをスティッチングした新たなスティッチング処理済み外観画像データに基づく新たなスティッチング処理済み外観画像を生成して変更後の位置(領域)に対応するように表示する。変更後の位置(領域)に対応する外観画像データが存在しないときは、外観画像表示領域103に表示されていた外観画像やスティッチング処理済み外観画像の位置(領域)を変更して表示する。
なお、図25に示すように、外観画像表示領域103に表示する外観画像やスティッチング処理済み外観画像に測定範囲62が含まれる場合、制御部51は、測定範囲62を示すオブジェクト102を外観画像やスティッチング処理済み外観画像に重畳して表示する。
なお、一例として、欠陥検出プログラム54aと欠陥編集プログラム54bとは、1つのソフトウェアで構成された単一プログラムあってもよい。また、一例として、欠陥検出プログラム54a及び欠陥編集プログラム54b、又は、単一プログラムは、同じ装置にインストールしてもよい。このような構成とすることで、ユーザは、欠陥を検出した後、その外観画像に対して欠陥の編集を効率的に行うことができる。また、欠陥検出プログラム54a及び欠陥編集プログラム54b、又は、単一プログラムは、外観画像の撮像と編集を別の場所で行うことができるように、異なる装置にインストールしてもよい。
編集モード選択オブジェクト117は、追加オブジェクト117aと、切り取りオブジェクト117bと、削除オブジェクト117cと、結合オブジェクト117dと、変更オブジェクト117eとを有する。
追加オブジェクト117aは、外観画像表示領域103に表示されている外観画像100に対応する外観画像データに関連づけられている欠陥データについて、外観画像表示領域103に表示されている外観画像100において変化点又は端点を追加する機能を実行するためのユーザ操作を受け付ける位置をユーザに示すオブジェクトである。
切り取りオブジェクト117bは、外観画像表示領域103に表示されている外観画像100に対応する外観画像データに関連づけられている欠陥データについて、外観画像表示領域103に表示されている外観画像100において指定した2つの変化点又は端点の間の欠陥データを切り取る機能を実行するためのユーザ操作を受け付ける位置をユーザに示すオブジェクトである。
削除オブジェクト117cは、外観画像表示領域103に表示されている外観画像100に対応する外観画像データに関連づけられている欠陥データについて、外観画像表示領域103に表示されている外観画像100において指定した範囲内にある変化点又は端点を削除し、削除により端点が2つ生成されたときはその間を新たな欠陥データとして追加する機能を実行するためのユーザ操作を受け付ける位置をユーザに示すオブジェクトである。
結合オブジェクト117dは、外観画像表示領域103に表示されている外観画像100に対応する外観画像データに関連づけられている欠陥データについて、外観画像表示領域103に表示されている外観画像100において指定した2つの欠陥オブジェクト83aを結合して1つの欠陥オブジェクト83aにする機能を実行するためのユーザ操作を受け付ける位置をユーザに示すオブジェクトである。
変更オブジェクト117eは、外観画像表示領域103に表示されている外観画像100に対応する外観画像データに関連づけられている欠陥データについて、外観画像表示領域103に表示されている外観画像100において変化点又は端点の位置を変更する機能を実行するためのユーザ操作を受け付ける位置をユーザに示すオブジェクトである。
一例として、追加オブジェクト117a、切り取りオブジェクト117b、削除オブジェクト117c、結合オブジェクト117d及び変更オブジェクト117eは、ラジオボタンで構成される。
入力オブジェクト106は、レイヤ入力部106aと、座標入力部106bと、高度入力部106cと、欠陥幅入力部106dと、色凡例表示部106eとを含む。
レイヤ入力部106aは、一例として、外観画像表示領域103に表示されている外観画像に対応する外観画像データに関連づけられている欠陥データが属するレイヤが表示されるオブジェクトである。また、一例として、レイヤ入力部106aは、欠陥データが追加や編集されたとき、追加や編集された欠陥データのレイヤを指定するオブジェクトである。欠陥データは、編集や追加する欠陥データの欠陥の幅に対応してレイヤが定義されている。レイヤ入力部106aでは、欠陥幅入力部106dに入力された欠陥幅に対応するレイヤが入力される。一例として、欠陥検出プログラム54aで検出された欠陥81の欠陥オブジェクト81a,83aは、1つのレイヤとして特定されている。また、一例として、欠陥オブジェクト81aは、欠陥の幅に応じてレイヤが特定されている。また、一例として、欠陥編集プログラム54bで追加変更された欠陥111の欠陥オブジェクト111aは、欠陥幅入力部106dに入力された欠陥幅に対応するレイヤが入力される。一例として、欠陥検出プログラム54aで検出されたセグメント83の欠陥オブジェクト83aは、欠陥の幅に応じてレイヤが特定されている。
座標入力部106b及び高度入力部106cは、ガイドオブジェクト110の示す位置の座標データが入力されるオブジェクトである。一例として、座標入力部106b及び高度入力部106cは、マウスカーソルの位置に表示されるガイドオブジェクト110の示す位置の座標データが入力されるオブジェクトである。表示されている外観画像データは、各画素のグローバル座標系の座標データを測定可能である。そこで、制御部51は、マウスカーソルの示す位置のグローバル座標系の座標データを算出し、算出した座標データに従った値を座標入力部106b及び高度入力部106cに入力する。
欠陥幅入力部106dは、欠陥の欠陥幅データ入力部であり、追加する欠陥の欠陥幅データが入力されるオブジェクトである。
一例として、欠陥の幅に応じて異なる識別表示処理を行う場合であって、色による強調表示処理を行うとき、色凡例表示部106eは、幅毎の色定義を表示するオブジェクトである。一例として、第1範囲の欠陥幅データと第2範囲の欠陥幅データとで異なる強調表示処理を行う。一例として、色凡例表示部106eは、青のレイヤの数値範囲は0.0mm以上0.1mm未満、緑のレイヤの数値範囲は0.1mm以上0.2mm未満、黄色のレイヤの数値範囲は0.2mm以上0.3mm未満といったように色凡例を表示する。なお、レイヤは、色の他、線種等によって区別されるようにしてもよい。なお、各レイヤを定義づける数値範囲は、以上の例に限定されるものではない。また、レイヤの数も、特に限定されるものではない。
図25は、欠陥の追加作業を行う編集画面を示す図である。図26は、欠陥の追加作業を行う編集画面を示す図であり、図25の外観画像を拡大した画面を示している。一例として、画面の右には、入力オブジェクト106が表示される。また、既に検出されている欠陥81を示す欠陥オブジェクト81aが表示されている。図17(c)に示すように、欠陥オブジェクト81aは、変化点82を表示し、変化点82間のセグメント83の欠陥オブジェクト83aを、周辺の色とは異なる色や線種で強調表示処理してもよい。
マウスカーソルの位置が表示している外観画像100と重なるとき、制御部51は、マウスカーソルの位置に、ガイドオブジェクト110を表示する。ガイドオブジェクト110は、外観画像100に現れた欠陥111の幅を測定するためのガイドであり、構造物が位置する実空間における物体の大きさの尺度を示す。ガイドオブジェクト110は、一例として、十字形状に複数の円形状を重ねた図形部110aと、図形部110aの大きさに対応付いた寸法値で構成される数値部110dとを備える。一例として、図形部110aにおける複数の円形状は、同心円である。一例として、図形部110aは、2つの円形状を有する。一例として、図形部110aは、十字形状の交点と複数の円形状の中心が一致している。図形部110aの画面上における大きさは、外観画像100に現れた欠陥111の実空間における大きさを測るための指標となる。一例として、図形部110aは、中心から等方的な形状を有する。これにより、ユーザは、欠陥111の幅を把握しやすくなる。数値部110dは、構造物が位置する実空間における物体の大きさの尺度を示す数値(実際の寸法)である。
ガイドオブジェクト110の色は、レイヤの色と同じ色であってもよいし、異なっていてもよい。一例として、ガイドオブジェクト110は、表示されているレイヤとの区別を容易にするため、表示されているレイヤの色とは異なる色で表示される。
一例として、多数のレイヤが外観画像100上に表示され、レイヤに多くの色が使用されているとき、ガイドオブジェクト110は、閾値より少ない複数のレイヤの色の中から1つ選択され、表示されているレイヤの色と容易に区別できるようにする。また、最も数の少ないレイヤの色が選択され、表示されているレイヤの色と容易に区別できるようにする。
一例として、表示部52に表示されている外観画像100を拡大又は縮小するときであっても、制御部51は、ガイドオブジェクト110の大きさを変更しない。図形部110aの外周円110bの直径及び内周円110cの直径は、外観画像が表示している実空間における構造物の大きさの尺度となっている。外周円110bの近くには、実空間における寸法値で構成される数値部110dが表示され、内周円110cの近くにも、実空間における寸法値で構成される数値部110dが表示される。数値部110dは、外周円110b及び内周円110cの直径に対応する実空間における寸法値で構成される。図25では、一例として、外周円110bの近くには「φ6.4mm」と表示され、内周円110cの近くには「φ3.2mm」と表示されている。一例として、内周円110cは、外周円110bの1/2である。勿論、外周円110bに対する内周円110cの大きさは、1/2に限定されるものではない。
一例として、マウスホイールが回転されると、制御部51は、回転方向と回転量に応じて、表示部52に表示されている外観画像100を拡大又は縮小する。外観画像100が拡大又は縮小されたときにおいても、一例として、制御部51は、図形部110aの大きさを変更しない。この場合、制御部51は、外周円110bの数値部110dの数値と内周円110cの数値部110dの数値を外観画像100の拡大率や縮小率に応じて変更する。一例として、図26は、図25の外観画像を拡大したものであり、外周円110bの近くには、数値部110dとして、「φ6.4mm」が「φ3.2mm」と変更表示され、内周円110cの近くには、数値部110dとして、「φ3.2mm」が「φ1.6mm」と変更表示される。
図26及び図27(a)に示すように、ユーザは、操作部53を構成するマウスを使用して、外観画像100上において、図形部110aを移動させて、例えば、図形部110aを、外観画像100に現れた欠陥111に重ねる。一例として、欠陥111は、欠陥検出プログラム54aで検出されなかった欠陥である。一例として、制御部51は、位置を選択する選択部である。欠陥111の一端に位置する端点に図形部110aの位置を合わせ、左クリックすると、制御部51は、ステップS31において、位置合わせされた端点108の位置を選択する。この際、マウスホイールを回転させて、外観画像100を拡大又は縮小させて、例えば、欠陥111の幅を外周円110bに合わせる。これにより、ユーザは、外周円110bの近くに表示された数値部110dによって欠陥111の幅を把握することができる。また、ユーザは、欠陥111の幅を内周円110cに合わせる。これにより、ユーザは、内周円110cの近くに表示された数値部110dによって欠陥111の幅を把握することができる。
外観画像100に現れた欠陥111に対して、例えば欠陥111の端の箇所を指定し、その後、図形部110aを用いながら欠陥111が折れ曲がる箇所や幅が変化する箇所まで欠陥111に沿ってなぞる。この間、一例として、ガイドオブジェクト110は、表示され続ける。そして、一端部から図形部110aの中心点との間には、一例として、ガイドオブジェクト110の移動軌跡を示す軌跡オブジェクトが表示されてもよい。一例として、図形部110aが欠陥(ひび)が折れ曲がる箇所や幅が変化する箇所に至り、ここで再度左クリックがされると、制御部51は、ステップS32において、左クリックされた当該箇所を選択し、端点109とする。
一例として、欠陥111対応する欠陥オブジェクト111aを追加するにあたっては、先ず、外観画像100に現れた欠陥111の一端部と欠陥111が折れ曲がる箇所や幅が変化する箇所(他端部)を指定する。これにより、欠陥データの追加作業が確定し、2つの箇所を結ぶ欠陥データが生成され、端点108から端点109までの間には、欠陥データに従って表示される欠陥オブジェクト111aが追加される。指定した2つの箇所は、生成された欠陥データにおいては端点や変化点となる。ここの説明では、最初に指定した箇所が端点108であり、次に指定した箇所が、欠陥111の途中であるため変化点となる端点109となる。そして、端点108と端点109の長さが、欠陥長さデータとなる。
欠陥データの追加作業が確定すると、ステップS33において、図形部110aを入力オブジェクト106まで移動し欠陥幅入力部106dを選択すると、欠陥幅入力部106dにおいて、欠陥幅データをキーボード等を使って直接入力可能となり、制御部51は、入力された値を欠陥幅データとする。この際、欠陥幅データは、外周円110b又は内周円110cの数値部110dの数値を参考に入力される。欠陥幅データが入力されると、追加された欠陥データの欠陥オブジェクト111aは、色凡例表示部106eの定義に従った色にされる。そして、幅に応じたレイヤに設定される。
図27(b)に示すように、一例として、外観画像100に現れた欠陥111の一端に位置する端点に図形部110aを合わせ、左クリックすると、制御部51は、ステップS41において、位置合わせされた端点108の位置を選択する。次いで、外観画像100を拡大又は縮小して図形部110aの大きさを欠陥111の幅に合わせる。そして、図形部110aを入力オブジェクト106まで移動し欠陥幅入力部106dを選択すると、欠陥幅入力部106dにおいて、欠陥幅データがキーボード等を使って直接入力可能となる。ステップS42において、制御部51は、入力された値を欠陥幅データとする。次いで、図形部110aを用いながら欠陥111が折れ曲がる箇所や幅が変化する箇所まで欠陥111に沿ってなぞる。そして、ここで再度左クリックすると、制御部51は、ステップS43において、左クリックされた当該箇所を選択し、端点109とする。
図27(c)に示すように、一例として、外観画像100に現れた欠陥111の一端に位置する端点に図形部110aの位置を合わせると共に、大きさを合わせる。そして、図形部110aを入力オブジェクト106まで移動し欠陥幅入力部106dを選択すると、欠陥幅入力部106dにおいて、欠陥幅データがキーボード等を使って直接入力可能となり、ステップS51において、制御部51は、入力された値を欠陥幅データとする。この後、図形部110aを欠陥111の一端に位置する端点に戻し、左クリックすると、制御部51は、ステップS52において、位置合わせされた端点108の位置を選択する。次いで、図形部110aを用いながら欠陥111が折れ曲がる箇所や幅が変化する箇所まで欠陥111に沿ってなぞる。そして、ここで再度左クリックすると、制御部51は、ステップS53において、左クリックされた当該箇所を選択し、端点109とする。
なお、ガイドオブジェクト110は、一例として、端点108を選択してから端点109を選択するまでの間は外観画像100上から消されていてもよい。
図28は、欠陥幅データの候補値が列挙されたメニューボックス107が表示された編集画面を示す図である。
一例として、端点108又は端点109が決定された後、右クリックがされると、制御部51は、メニューボックス107を表示する。メニューボックス107は、一例として、2つの表示部として、上表示部107aと下表示部107bとを備えている。上表示部107aには、前回入力された欠陥幅データが候補値として表示される。下表示部107bには、候補値として、外周円110bの数値部110dの寸法値と、内周円110cの数値部110dの寸法値と、外周円110bの数値部110dと内周円110cの数値部110dの中間の寸法値と、内周円110cの数値部110dの半分の寸法値とが表示される。メニューボックス107内に表示された複数の候補値の中の何れかが1つが選択されると、制御部51は、選択された候補値を欠陥幅入力部106dに入力する。このような方法によれば、キーボード等で入力する手間を省くことができる。なお、表示部の数は2つに限定されるものではなく、3つ以上であってもよい。
図29は、欠陥の幅の幅方向における二点を指定して幅を計測する編集画面を示す図である。
一例として、端点108又は端点109が決定された後、欠陥111の幅方向の一側縁の端点121で左クリックをして位置が選択されると、制御部51は、当該位置の選択処理をする。次いで、他側縁の端点122で左クリックをして位置が選択されると、制御部51は、当該位置を選択する。好ましくは、外観画像100に現れた欠陥111が延びる方向に対して交差するように二点を選択する。一例として、欠陥111の溝が延びる方向に対して直交するように二点を選択する。制御部51は、2点が選択されると、その位置に、2点のグローバル座標より測定した2点間距離を欠陥幅データとして表示すると共に、欠陥幅データを欠陥幅入力部106dに入力する。また、一例として、一側縁の端点121を選択してから他側縁の端点122を選択するまでの間は、一側縁の端点121からの移動距離を示す数値をマウスカーソルの位置の近くに表示することが好ましい。このような方法によっても、キーボード等で入力する手間を省くことができる。
1つ目の端点109を指定し、欠陥幅データの入力が完了し、引き続き、マウスカーソルが外観画像100上に移動されると、制御部51は、再度、ガイドオブジェクト110を表示し、次の端点(変化点又は端点)109を指定できるようにする。欠陥111に重なるように引かれた複数の端点や変化点を含む欠陥オブジェクト111aは、欠陥111を追加するモードが終了されたとき、最後の端点109の位置を終点とする。
以上のように欠陥111を追加したり、欠陥81,111を変更したときには、その変更履歴のデータを記憶部54の記録フォルダに保存する。図30は、欠陥が編集履歴が表示された編集画面を示す図である。この画面では、一覧表示領域88において、欠陥データの他に、変更日時データと変更者を表示する。これにより、何時誰が欠陥を編集したのかを把握することができる。これにより、一目で、自動検出された欠陥なのか編集された欠陥なのかを視認することができる。
一例として、欠陥データは、DXFやDWG形式のファイルで保存できるようにし、CAD等との互換性を高めるようにしてもよい。
以上のような欠陥画像表示制御装置50によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)実空間における物体の大きさの尺度を示すガイドオブジェクト110を指標とすることで、外観画像100に現れた欠陥111の幅を容易に把握することができる。
(2)欠陥画像表示制御装置50の表示部52される外観画像は、オルソ補正処理が施されていることで、全体が測量機1と正対した状態で撮像された画像と同じとすることができ、欠陥の幅等を容易に把握することができる。
(3)欠陥111の端点108から端点109まで移動する間、ガイドオブジェクト110が表示され続けるので、外観画像100に現れた欠陥111を容易になぞることができる。そして、欠陥111をなぞる間に、欠陥111の幅をガイドオブジェクト110によって把握することができる。例えば、欠陥が同じ幅で続いているか、幅が変化したか、欠陥が曲がったか等の状況の変化を容易に把握することができる。
(4)外観画像100の拡大又は縮小倍率に応じて、ガイドオブジェクト110の表示の大きさを変更することなく数値部110dの寸法値を変更する。これにより、外観画像100の縮尺に関係なく、欠陥111の幅を容易に把握することができる。また、編集する欠陥の始点と終点の何れか一方だけが表示部52に表示されている外観画像100に表示されている状態においては、外観画像を拡大することで、表示されている始点(端点)や終点(端点)の位置を正確に把握し選択することができる。
(5)ガイドオブジェクト110は、図形部110aを備えているので、欠陥111の幅を図形部110aの大きさを参照して容易に把握することができる、更に、ガイドオブジェクト110が数値部110dを備えているときには、欠陥111に図形部110aを合わせた際に数値部110dの数値を見ることで、欠陥111の幅を容易に把握することができる。
(6)図形部110aは、中心から等方的な形状を有する。これにより、ユーザは、欠陥111の幅を把握しやすくなる。
(7)ガイドオブジェクト110の位置を選択することで、外観画像100に現れた欠陥111の端点108及び端点109を選択することができ、追加した欠陥111に重畳された欠陥オブジェクト111aの位置や長さを座標上で容易に特定することができる。
(8)外観画像に対して、検出済みの欠陥データを修正(削除、結合、変更)したり、外観画像100から新たに視認できる欠陥111の欠陥データを容易に追加することができる。
(9)外観画像では欠陥を視認できるが欠陥として検出されていない箇所に欠陥データとしての欠陥オブジェクト111aを追加することができる。
(10)欠陥として検出されているものの、外観画像上の欠陥とずれている場合等は、欠陥データに対して、削除、切り取り等の処理を行ったり、変化点又は端点の位置を変更したりして容易に修正することができる。
(11)ガイドオブジェクト110をガイドとして把握した欠陥幅データを欠陥幅入力部106dに容易に入力することができる。
(12)欠陥幅データは、欠陥幅入力部106dに欠陥画像表示制御装置50の操作部53を構成するキーボード等の入力装置で容易に入力することができる。
(13)メニューボックス107の複数の選択候補値の中から選択された1つの候補値を選択することで、欠陥幅入力部106dに容易に外観画像100に現れた欠陥111の欠陥幅データを入力することができる。
(14)外観画像100に現れた欠陥111が延びる方向に沿った任意の一側縁の一点を選択すると共に他側縁の任意の一点を選択することで、欠陥の幅を容易で正確に測定することができる。
(15)外観画像データの欠陥オブジェクト111aは、外観画像データの各画素にグローバル座標データが対応付いていることから、正確な位置データとなる。
(16)表示部52には、表示される外観画像データのみがスティッチング処理されて表示されるので、欠陥の編集処理時におけるデータ処理量を減らすことができる。
なお、上記欠陥画像表示制御装置50は、以下のように変更してもよい。
〔ガイドオブジェクトの変形例〕
・上述の例において、ガイドオブジェクト110は、外観画像100を拡大又は縮小したときにおいても、図形部110aの大きさを変更せず、外観画像100の拡大率や縮小率に応じて数値部110dの数値を変更している(実施態様1)。図31に示すように、これに対して、外観画像100を拡大又は縮小したときにおいて、あわせて、外観画像100の拡大率や縮小率に応じて図形部110aの大きさを変更して、数値部110dの数値を変更しないようにしてもよい(実施態様2)。
・図32に示すように、外観画像100を拡大又は縮小しない場合であっても、ガイドオブジェクト110の図形部110aを拡大又は縮小するようにしてもよい(実施態様3)。これにより、例えば、現在表示されている外観画像100の欠陥111の幅に合わせて図形部110aの大きさを調整することができる。この場合、数値部110dは、図形部110aの拡大率や縮小率に応じて数値を変更する。追加する欠陥111の始点(端点)と終点(端点)が表示部52に表示されている外観画像100に表示されているときには、図形部110aの大きさを変えるだけで欠陥111の幅を容易に把握することができる。
・上述した実施態様1〜実施態様3は、ユーザの操作に応じて、制御部51が切り替えるようにしてもよい。
・一例として、ガイドオブジェクト110は、外観画像表示領域103の中で位置が固定され、固定されたガイドオブジェクト110に対して外観画像100をスクロールさせて、欠陥111と位置を合わせるようにしてもよい。例えば、図25に示すように、ガイドオブジェクト110を外観画像表示領域103の左上に固定して表示し、また、図26に示すようにガイドオブジェクト110を外観画像表示領域103の中心に固定して表示する。そして、外観画像表示領域103の中で外観画像100の位置を上下左右方向に移動(スクロール)することで、外観画像100の欠陥111をガイドオブジェクト110の位置に合わせる構成としてもよい。このような構成によっても、同様な効果を得ることができる。この場合におけるガイドオブジェクト110の固定位置は、外観画像表示領域103の中であれば特に限定されるものではない。
・一例として、例えばガイドオブジェクト110を外観画像表示領域103の基本位置の左上から外観画像表示領域103の中心に移動させる。次いで、制御部51は、外観画像表示領域103の中をガイドオブジェクト110が移動する状態から外観画像表示領域103の中で外観画像100の位置を上下左右方向に移動(スクロール)させるモードに切り替える。そして、外観画像100の欠陥111を、外観画像表示領域103の中で外観画像100の位置を上下左右方向に移動(スクロール)させる。これにより、外観画像100の欠陥111をガイドオブジェクト110の位置に合わせることができる。このような構成によっても、同様な効果を得ることができる。
なお、外観画像表示領域103の中で外観画像100の位置を上下左右方向に移動(スクロール)させてから外観画像表示領域103の中をガイドオブジェクト110が移動する状態に切り替えるようにしてもよい。
・一例として、操作部53がタッチパネルを備えるときには、上述した操作部53を構成するマウスを用いて欠陥を編集する操作を、表示面を指やスタイラスペンでなぞったりタッチすることによって行うことができる。例えば、ユーザは、ガイドオブジェクト110をタッチして移動させることもできるし、外観画像表示領域103の中で外観画像100の位置を上下左右方向に移動(スクロール)させることもできる。このような機能は、タッチパネル機能付きのタブレットで欠陥画像表示制御装置50を構成したときに特に有効である。
・測定範囲62が広範なときには、測定範囲全体を表示部52に表示しても欠陥81を目視で特定することはできない。そこで、ガイドオブジェクト110は、所定の拡大率以上になると外観画像100上に表示されるようにしてもよい。
〔欠陥幅データ入力の変形例〕
・欠陥幅データの入力は、ガイドオブジェクト110で欠陥111の始点、終点、又は、変化点を選択したときに、選択時における図形部110aの大きさに対応付けられた実空間における数値を欠陥幅入力部106dに自動的に入力するようにしてもよい。このような方法によっても、欠陥幅データの入力の手間を省くことができる。このような場合、欠陥の幅を合わせる際の基準を明確にするため、図形部110aの円は1つであることが好ましい。
図33(a)に示すように、一例として、欠陥111の一端に位置する端点に図形部110aの位置を合わせると共に、大きさを合わせる。そして、左クリックすると、制御部51は、ステップS61において、端点108の位置を選択するとともに、選択時の図形部110aに対応付けられた数値部110dの寸法値を欠陥幅データとする。この後、図形部110aを用いながら欠陥111が折れ曲がる箇所や幅が変化する箇所まで欠陥111に沿ってなぞる。そして、図形部110aが他端部に至りここで再度左クリックすると、制御部51は、ステップS62において、左クリックされた当該箇所を選択し、端点109とする。
図33(b)に示すように、一例として、欠陥111の一端にガイドオブジェクト110の位置を合わせる。そして、左クリックすると、制御部51は、ステップS71において、端点108の位置を選択する。この後、図形部110aを用いながら欠陥111が折れ曲がる箇所や幅が変化する箇所まで欠陥111に沿ってなぞる。図形部110aが他端部に至ると、ここでガイドオブジェクト110の位置を合わせると共に、大きさを合わせる。左クリックすると、制御部51は、ステップS72において、左クリックされた当該箇所を選択し、端点109とするとともに、選択時の図形部110aに対応付けられた数値部110dの値を欠陥幅データとする。
・以上のような欠陥幅データの自動入力時において、外観画像100を拡大又は縮小したとき、図形部110aの大きさを変更せず、外観画像100の拡大率や縮小率に応じて数値部110dの寸法値を変更するようにしてもよい。また、外観画像100の拡大率や縮小率に応じて図形部110aの大きさを変更して、数値部110dの寸法値を変更しないようにしてもよい。さらに、外観画像100を拡大又は縮小しない場合であっても、ガイドオブジェクト110の図形部110aを拡大又は縮小するようにしてもよい。何れの場合であっても、欠陥111をなぞる際の特異的な第1位置(一端部)や第2位置(一端部)を選択したとき、その時点の図形部110aに対応付けられた実空間における寸法値が欠陥幅データとして欠陥幅入力部106dに入力される。
〔図形部の変形例〕
上述したガイドオブジェクト110の図形部110aは、十字形状に複数の円形状を重ねた形状を有しているが、更に、図34(a)〜(j)に示す構成を有していてもよい。
図34(a)に示すように、図形部110aは、1つの円形で構成してもよい。上述したように、欠陥幅データを自動入力するときには、指標となる円が複数であると、ユーザがどちらの円を基準に欠陥の幅を測定してよいか困惑してしまうので、欠陥幅データを自動入力する場合は、1つの円であることが好ましい。
また、円の数は、拡大率に合わせて変更してもよい。一例として、外観画像100を拡大するほど、円の数を減らしていくようにしてもよい。また、一例として、外観画像100を拡大するほど、円の数を増やすようにしてもよい。
図34(b)に示すように、図形部110aは、一例として、四角形であってもよい。さらに、図形部110aは、三角形であってもよいし、正五角形、正六角形等の正多角形であってもよい。すなわち、中心から等方的な形状であることが好ましい。一例として、正多角形の場合には、正多角形の中心から各頂点までの距離の2倍の値を数値部110dの寸法値として表示する。さらに、図34(c)及び(d)に示すように、図形部110aは、点線などで構成された一重の円で構成されていてもよい。
図34(e)に示すように、図形部110aは、一例として、×字形状のスケールで構成されていてもよい。更に、×形状のスケールは、一例として、指標となる円と重畳してもよい。なお、図形部110aは、×字形状のスケールに代えて+字形状のスケールで構成されていてもよい。一例として、×字形状のスケールと+字形状のスケールとを重ねてもよい。
図34(f)に示すように、図形部110aは、一例として、正方格子形状を有していてもよい。更に、図34(g)に示すように、図形部110aは、一例として、三角格子形状を有していてもよい。
図34(h)に示すように、図形部110aは、一例として、同心円状に直径の異なる円を重畳して構成してもよい。同心円状に重畳する円の数は、3つであってもよいし、更に、4つ以上であってもよい。
図34(i)に示すように、図形部110aは、一例として、同心円状に直径の異なる円を重畳して構成してもよい。この場合、各円は、線色(線種)を変えることが好ましい、さらに、この際の線色(線種)は、色凡例表示部106eで定義されている幅の線色(線種)に関連付けることがより好ましい。
図34(j)に示すように、図形部110aは、同心円状に直径の異なる円を重畳して構成し、隣接する円の間の透過率を変えるようにしてもよい。
一例として、中心から外周に向かうに連れて順次透過率が高くなるようにする。この場合、中心部の透過率が最も低くなり、下層に位置する外観画像100が最も見えにくくなる。また、最外の領域の透過率が最も高くなり、下層に位置する外観画像100が最も見えやすくなる。
また、一例として、中心から外周に向かうに連れて順次透過率が低くなるようにする。この場合、中心部の透過率が最も高くなり、下層に位置する外観画像100が最も見やすくなる。また、最外の領域の透過率が最も低くなり、下層に位置する外観画像100が最も見えにくくなる。
なお、透過率を変える際に対象となる図形部110aの色は、特に限定されるものではない。
図34(i)や(j)に示すように、円の色や透過率を変えたときには、色や透過率によって、実際の欠陥の幅を把握することができることから、ガイドオブジェクト110から数値部110dを割愛し、図形部110aのみとしてもよい。
〔その他の変形例〕
・外観画像100の背景に方形格子や三角格子を表示して、欠陥の幅や長さを把握する目安としてもよい。
・ガイドオブジェクト110は、欠陥111の一端部と他端部を選択するときに限って表示されるようにしてもよい。
・欠陥編集プログラム54bで欠陥81,111が示す欠陥オブジェクト81a,83a,111aを変更した場合において、欠陥検出プログラム54aで検出した欠陥オブジェクト81a,83aと欠陥編集プログラム54bで編集した欠陥オブジェクト111aとが矛盾することがある。一例として、特定のレイヤの欠陥オブジェクト81a,83a,111aが表示されているときに、表示されていない他のレイヤの欠陥オブジェクト81a,83a,111aを未検出の欠陥と誤認してしまうおそれがある。そして、編集作業で入力した欠陥幅データが他のレイヤとして検出されている欠陥オブジェクト81a,83a,111aの欠陥幅データと食い違うおそれがある。このような場合、一例として、制御部51は、欠陥編集プログラム54bで編集した欠陥オブジェクト111aの欠陥データを欠陥検出プログラム54aで検出した欠陥オブジェクト81a,83aの欠陥データより優先する。また、一例として、制御部51は、欠陥検出プログラム54aで検出した欠陥オブジェクト81a,83aの欠陥データを欠陥編集プログラム54bで編集した欠陥オブジェクト111aの欠陥データより優先する。
・一例として、欠陥画像表示制御装置50は、表示部52や操作部53が接続される情報処理装置で構成されていてもよい。この場合、表示部52や操作部53は、欠陥画像表示制御装置に対して、外部機器とのデータ入出力を行うインタフェースを通じて接続される。
・一例として、欠陥画像表示制御装置50は、デスクトップ型又はラップトップ型のコンピュータ装置で構成することができる。コンピュータ装置で構成する場合、欠陥画像表示制御装置50は、制御部51、記憶部54等を備えるコンピュータ本体と、コンピュータ本体に接続される表示部52と、コンピュータ本体に接続される操作部53とで構成される。
・欠陥画像表示制御装置50は、一例として、測量機1を備えていてもよい。この場合、測量機1の制御部40が制御部51と同様な機能を実現してもよい。また、欠陥検出プログラム54aや欠陥編集プログラム54bの処理を制御部40と制御部51とに割り当てる並列処理を行うようにしてもよい。更に、外観画像を表示する表示部は、第1表示部18、第2表示部19、表示部52の中から選ばれる1つ以上の表示部で構成することができる。
・一例として、外観画像は、グローバル座標系の代わりにローカル座標系に従った座標データに対応付けられていてもよい。
・欠陥データは、測量機1のGNSSで算出したデータであってもよい。
・スティッチング処理の方法は、特に限定されるものではない。
・オルソ補正処理は、欠陥81の検出処理の後ではなく前に行ってもよい。
・オルソ補正処理は、互いに隣接する画像の共通する一部分を繋ぎ合わせるようにして行ってもよい。