JPWO2017164202A1 - 光照射装置 - Google Patents

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Abstract

光照射装置において、血液または血液成分を流す流路と、前記血液または前記血液成分に含まれるウイルスを不活化するために、前記流路を流れる前記血液または前記血液成分に対して光を照射するLEDランプと、を有し、複数の前記流路が並列に配置される多層構造が形成されている。

Description

本発明は、血液または血液成分に含まれるウイルスの不活化を行うために、血液または血液成分に光を照射する光照射装置に関する。
血液を介して伝播するウイルスに対する十分な対策を講じるために、供血者から採血した血液をもとに製造される各種の血液製剤(全血、濃厚赤血球、血小板、血漿)について、当該血液製剤に含まれるウイルスを不活化する処理が行われている。
このような血液製剤に含まれるウイルスを不活化するための装置として、特許文献1には、血液を収納した血液バッグに光を照射する光照射装置が開示されている。
特許第4154191号公報
しかしながら、特許文献1に開示される光照射装置においては、血液バッグ内の血液を撹拌して薄層部に通過させながらウイルスを不活化するが、血液バッグ内の血液を十分に撹拌させてウイルスを不活化させるためには多くの時間を要してしまう。そのため、血液バッグ内の血液に含まれるウイルスを不活化するために要する時間が長くなってしまう。
また、それに起因して血液凝固が起こるおそれがある。
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、血液凝固が起こり難く、血液または血液成分に含まれるウイルスを短時間で不活化できる光照射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、光照射装置において、血液または血液成分を流す流路と、前記血液または前記血液成分に含まれるウイルスを不活化するために、前記流路を流れる前記血液または前記血液成分に対して光を照射するLEDランプと、を有し、複数の前記流路が並列に配置される多層構造が形成されていること、を特徴とする。
この態様によれば、複数の流路が並列に配置される多層構造を形成することにより、流路の全容積を大きくすることができる。そのため、単位時間当たりの血液または血液成分の処理量を多くすることができるので、血液または血液成分に含まれるウイルスを不活化する処理能力が向上する。また、流路に血液または血液成分を流しながら血液または血液成分に対して光を照射するので、血液凝固が起こり難い。したがって、血液凝固が起こり難く、血液または血液成分に含まれるウイルスを短時間で不活化することができる。
上記の態様においては、前記流路の軸方向と直交する第1方向、および、前記流路の軸方向と前記第1方向とに直交する第2方向について、各々、前記多層構造が形成されていること、が好ましい。
この態様によれば、単位時間当たりの血液または血液成分の処理量をさらに多くすることができる。そのため、血液または血液成分に含まれるウイルスを不活化する処理能力がさらに向上するので、血液または血液成分に含まれるウイルスをさらに短時間で不活化することができる。
上記の態様においては、前記LEDランプは、前記流路の軸方向と直交する方向について前記流路に対して両側の位置に配置されていること、が好ましい。
この態様によれば、流路を流れる血液または血液成分に対する光の照射量を多くすることができる。また、流路を流れる血液または血液成分の中まで光が透過し易くなる。そのため、血液または血液成分に含まれるウイルスを不活化する処理能力が向上する。
上記の態様においては、前記流路における当該流路の軸方向に垂直な断面が偏平形状に形成され、前記LEDランプは、前記流路に対して前記偏平形状の短手方向側の位置に配置されていること、が好ましい。
この態様によれば、流路を流れる血液または血液成分の中まで光が透過し易くなる。そのため、血液または血液成分に含まれるウイルスを不活化する処理能力が向上する。
上記の態様においては、前記LEDランプは、前記流路の軸方向について複数配置されていること、が好ましい。
この態様によれば、流路を流れる血液または血液成分に対する光の照射量を多くすることができる。そのため、血液または血液成分に含まれるウイルスを不活化する処理能力が向上する。
上記の態様においては、前記流路は、当該流路の軸方向について、直線形状に形成されていること、が好ましい。
この態様によれば、流路を流れる血液または血液成分は流路抵抗を受け難いので、単位時間当たりの血液または血液成分の処理量を多くすることができる。
上記の態様においては、前記流路は、当該流路の軸方向について、湾曲形状に形成されていること、が好ましい。
この態様によれば、限られたスペース内で、流路の容積を確保できるので、単位時間当たりの血液または血液成分の処理量を多くすることができる。
上記の態様においては、前記光は、紫外光であること、が好ましい。
この態様によれば、紫外光によりウイルスを効果的に不活化できるので、血液または血液成分に含まれるウイルスを不活化する処理能力が向上する。
本発明の光照射装置によれば、血液凝固が起こり難く、血液または血液成分に含まれるウイルスを短時間で不活化できる。
本実施形態のUV照射ユニットの構成図である。 流路と紫外線LEDランプの周辺部分におけるYZ断面を示す図である。 本実施形態のUV照射ユニットの分解図である。 本実施形態のUV照射ユニットを使用して、血液製剤に含まれるウイルスを不活化するときの構成図である。 変形例の流路を示す図である。
まず、本発明の光照射装置の一例であるUV照射ユニット1の構造について説明する。UV照射ユニット1は、図1に示すように、回路部11と照射部12と送液ポンプ13と制御部14などを有する。なお、説明の便宜上、図1等に示すように、互いに直交するXYZ軸を想定する。ここで、X軸方向は、分岐チューブ32の第2部位32b(流路41)の軸方向(軸線方向、中心軸方向)に平行な方向(図1の左右方向)であり、分岐チューブ32の第2部位32bにおける流路41を流れる血液または血液成分の流れ方向に相当する。
回路部11は、図1と図3に示すように、複数のチューブ21と取付補助部22などを備えている。
チューブ21は、血液または血液成分を流すための流路41を備えている。ここで、流路41は、チューブ21の内腔に相当する。また、血液または血液成分は、全血または濃厚赤血球または血小板または血漿であり、以下、総称して単に「血液」という。チューブ21は、使い捨て可能であって、UV吸収剤が配合されていない透明な樹脂により形成されている。これにより、紫外線LEDランプ52から照射されるUV光(紫外光)を、流路41を流れる血液に対してより多く当てることができる。
回路部11は、複数のチューブ21として、1つの入口側チューブ31と、複数の分岐チューブ32と、1つの出口側チューブ33を備えている。そして、入口側チューブ31と出口側チューブ33に対して、複数の分岐チューブ32が接続されている。すなわち、回路部11においては、1つの入口側チューブ31から分岐した複数の分岐チューブ32が1つの出口側チューブ33に接続している。このようにして、回路部11において、複数のチューブ21が一体化されている。
なお、分岐チューブ32は、その軸方向(血液の流れ方向)がZ軸方向に沿って形成される第1部位32aと、その軸方向がX軸方向に沿って形成される第2部位32bを備えている。
本実施形態では、図1〜図3に示すように、複数の分岐チューブ32が並列に配置されている。具体的には、Y軸方向(流路41の軸方向(血液の流れ方向)と直交する第1方向)およびZ軸方向(流路41の軸方向と第1方向とに直交する第2方向)について、各々、複数の分岐チューブ32の第2部位32bが並列に配置されている。これにより、UV照射ユニット1において、Y軸方向およびZ軸方向について、各々、複数の流路41が並列に配置される多層構造が形成されている。
また、図2に示すように、流路41における当該流路41の軸方向に垂直な流路断面(YZ断面(Y軸方向およびZ軸方向に形成される断面))は、偏平形状に形成されている。具体的には、流路41の流路断面は、Y軸方向を長手方向としZ軸方向を短手方向とする偏平形状に形成されている。本実施形態では、流路41の流路断面の外形は、例えば、長円形状(相対向する一対の直線部と、当該直線部の両端を結ぶ一対の円弧部とを有する形状)に形成されている。
また、分岐チューブ32の第2部位32bは、図1に示すように、X軸方向に沿って直線形状に形成されている。このようにして、分岐チューブ32の第2部位32bにおける流路41(以下、単に「分岐チューブ32の流路41」という。)は、その軸方向(X軸方向)について直線形状に形成されている。
取付補助部22は、図2と図3に示すように、その保持部22aにおいて、複数の分岐チューブ32の第2部位32bを保持している。このようにして、取付補助部22は、一体化された複数のチューブ21を保持している。また、取付補助部22は、持ち手23を備えている。そこで、作業者は、持ち手23を持ちながら、回路部11を照射部12に脱着させることができる。このように、取付補助部22は、回路部11を照射部12に取り付け易いようにする補助として機能する。
照射部12は、LED配置部51と紫外線LEDランプ52と溝部53を備えている。
LED配置部51は、複数形成されている。複数のLED配置部51として、例えば、図3に示すように、第1LED配置部51A〜第5LED配置部51Eからなる、5つのLED配置部51が形成されている。そして、Z軸方向について、第1LED配置部51A、第2LED配置部51B、第3LED配置部51C、第4LED配置部51D、第5LED配置部51Eの順に形成されている。
紫外線LEDランプ52は、複数設けられている。紫外線LEDランプ52は、第1LED配置部51A〜第5LED配置部51Eにおいて、X軸方向およびY軸方向に、各々複数配置されている。そして、第1LED配置部51Aと第5LED配置部51Eにおいては、紫外線LEDランプ52は、Z軸方向に、1列だけ配置されている。また、第2LED配置部51Bと第3LED配置部51Cと第4LED配置部51Dにおいては、紫外線LEDランプ52は、Z軸方向に、2列配置されている。この紫外線LEDランプ52は、血液に含まれるウイルスを不活化するために、分岐チューブ32の流路41を流れる血液にUV光を照射する。なお、紫外線LEDランプ52から照射されるUV光は、UV−A、UV−B、UV−Cのいずれでも構わないが、特には赤血球に反射または吸収されにくいUV−A、UV−Bが望ましい。
溝部53は、複数形成されており、隣り合うLED配置部51の間に形成されている。これにより、隣り合うLED配置部51の間に空間が形成されている。そして、この溝部53の内部に、回路部11における取付補助部22の保持部22a(分岐チューブ32の第2部位32b)が配置される(図2参照)。
複数の溝部53として、例えば、図3に示すように、溝部53A〜溝部53Dからなる、4つの溝部53が形成されている。そして、溝部53Aは第1LED配置部51Aと第2LED配置部51Bの間に、溝部53Bは第2LED配置部51Bと第3LED配置部51Cの間に、溝部53Cは第3LED配置部51Cと第4LED配置部51Dの間に、溝部53Dは第4LED配置部51Dと第5LED配置部51Eの間に形成されている。
そして、第1LED配置部51Aにおいて、紫外線LEDランプ52は、そのUV光の照射方向が第1溝部53A方向となる向きで配置されている。また、第2LED配置部51Bにおいて、Z軸方向に2列配置される紫外線LEDランプ52は、各々、そのUV光の照射方向が第1溝部53A方向と第2溝部53B方向となる向きで配置されている。また、第3LED配置部51Cにおいて、Z軸方向に2列配置される紫外線LEDランプ52は、各々、そのUV光の照射方向が第2溝部53B方向と第3溝部53C方向となる向きで配置されている。また、第4LED配置部51Dにおいて、Z軸方向に2列配置される紫外線LEDランプ52は、各々、そのUV光の照射方向が第3溝部53C方向と第4溝部53D方向となる向きで配置されている。さらに、第5LED配置部51Eにおいて、紫外線LEDランプ52は、そのUV光の照射方向が第4溝部53D方向となる向きで配置されている。
このようにして、図3に示す状態から回路部11を照射部12に取り付けたときに、紫外線LEDランプ52は、図1に示すように、分岐チューブ32の流路41に対してZ軸方向の両側の位置に配置される。さらに、紫外線LEDランプ52は、分岐チューブ32の流路41の軸方向(X軸方向)に沿って複数配置される。
なお、図1に示す例では、分岐チューブ32の流路41は、Y軸方向に2つ並列され、Z軸方向に4つ並列されているが、流路41を並列させる数は特に限定されない。例えば、分岐チューブ32の流路41は、Y軸方向およびZ軸方向に2つ以上並列されていたり、Y軸方向に1つだけ配置されZ軸方向に2つ以上並列されていたり、Y軸方向に2つ以上並列されZ軸方向に1つだけ配置されていてもよい。
また、UV照射ユニット1は、送液ポンプ13として、第1送液ポンプ13Aと第2送液ポンプ13Bを備えている。第1送液ポンプ13Aは、入口側チューブ31に接続している。第2送液ポンプ13Bは、出口側チューブ33に接続している。
制御部14は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、送液ポンプ13の駆動や紫外線LEDランプ52の照射など、UV照射ユニット1の各構成の動作を制御する。
次に、このような構造のUV照射ユニット1の作用として、UV照射ユニット1を使用して血液製剤に含まれるウイルスを不活化する方法について説明する。
まず、図4に示すように、UV照射ユニット1の入口側チューブ31に、ウイルスを不活化する前の血液製剤が収納された不活化前血液製剤バッグ61と、希釈溶液(保存液)が収納された希釈溶液バッグ62とを接続する。具体的には、UV照射ユニット1の入口側チューブ31に、第1送液ポンプ13Aを介して、チューブ71を接続する。ここで、チューブ71には、不活化前血液製剤バッグ61に接続するチューブ72と、希釈溶液バッグ62に接続するチューブ73が接続されている。
また、図4に示すように、UV照射ユニット1の出口側チューブ33に、ウイルスを不活化した後の血液製剤を収納するための不活化後血液製剤バッグ63を接続する。具体的には、UV照射ユニット1の出口側チューブ33に、第2送液ポンプ13Bを介して、不活化後血液製剤バッグ63に接続しているチューブ81を接続する。
そこで、制御部14は、第1送液ポンプ13Aと第2送液ポンプ13Bを駆動させて、不活化前血液製剤バッグ61から、チューブ72とチューブ71を介して、回路部11に、血液製剤を流す。なお、このとき、血液製剤は、希釈溶液バッグ62から、チューブ73とチューブ71を介して、回路部11に流れる希釈溶液により希釈される。
そして、さらに、制御部14は、分岐チューブ32の流路41を流れる血液製剤に対し、紫外線LEDランプ52によりUV光を照射させる。このようにして、血液製剤に含まれるウイルスを不活化する。そして、ウイルスを不活化した後の血液製剤を不活化後血液製剤バッグ63に収納する。なお、血液製剤は、希釈溶液により希釈されて濃度が低下しているので、UV光が赤血球に吸収または反射され難くなり、ウイルスを不活化する処理能力が向上する。以上が、UV照射ユニット1の作用についての説明である。
本実施形態のUV照射ユニット1においては、前記のように複数の流路41が並列に配置されている。具体的には、複数の分岐チューブ32の流路41は、Y軸方向およびZ軸方向について、各々並列に配置されている。このように、UV照射ユニット1においては、Y軸方向およびZ軸方向について、各々、複数の流路41が並列に配置される多層構造が形成されている。
ここで、UV照射ユニット1においては、UV光を照射する光源として発熱し難い紫外線LEDランプ52を使用するので、放熱対策を簡易に済ませることができることから、限られたスペース内であっても紫外線LEDランプ52と分岐チューブ32とを近づけて、それらを多層化させることができる。そこで、複数の分岐チューブ32を並列に配置して、複数の流路41が並列に配置される多層構造を形成することにより、回路部11における流路41の容積を大きくすることができる。そのため、UV照射ユニット1全体における単位時間当たりの血液の処理量を多くすることができる。
また、紫外線LEDランプ52は発熱し難いため、放熱対策を簡易に済ませることができることから、紫外線LEDランプ52同士を近づけることもできる。そこで、本実施形態のUV照射ユニット1においては、図2に示すように、紫外線LEDランプ52は、分岐チューブ32の流路41に対してZ軸方向の両側の位置に配置されている。このように、UV照射ユニット1においては、流路41を流れる血液に対して流路41の両面からUV光を照射する両面照射構造が形成されている。そのため、血液に対するUV光の照射量を多くすることができる。また、例えば流路41に対して一方側の位置に配置される紫外線LEDランプ52から照射されるUV光が血液中の赤血球に当たって吸収または反射されても、流路41に対して他方側の位置に配置される紫外線LEDランプ52から照射されるUV光が血液中の赤血球に当たらずに血液中に透過し得る。そのため、血液の中までUV光が透過し易くなる。
このように本実施形態のUV照射ユニット1においては、複数の流路41が並列に配置される多層構造と、流路41を流れる血液に対して流路41の両面からUV光を照射する両面照射構造とが形成されている。そのため、UV照射ユニット1においては、単位時間当たりの血液の処理量を多くしながら、血液に対するUV光の照射量を多くすることができるとともに、UV光が血液中に透過し易くなる。したがって、UV照射ユニット1によれば、血液に含まれるウイルスを不活化する処理能力が向上するので、血液に含まれるウイルスを短時間で不活化することができる。
また、本実施形態のUV照射ユニット1においては、流路41内において血液を上流側から下流側の一方向に流しながら血液に対してUV光を照射することにより、血液に含まれるウイルスを不活化する。そのため、UV照射ユニット1においては、従来のように血液バッグに収納した血液に対してUV光を照射する場合(バッチ式のウイルス不活化処理の場合)に比べて、血液の滞留が起こり難いので、血液凝固が起こり難い。特に、UV照射ユニット1においては、Y軸方向およびZ軸方向について、複数の流路41が並列に配置される多層構造が形成されており流路41の容積が確保されているので、分岐チューブ32の長さ、すなわち、X軸方向の分岐チューブ32の流路41の長さを出来るだけ短くすることができる。そのため、血液を流路41に流す距離を出来るだけ短くして、血液を流路41に流す時間を出来るだけ短くすることができるので、血液凝固が起こり難い。したがって、UV照射ユニット1によれば、血液凝固が起こり難く、血液に含まれるウイルスを短時間で不活化することができる。
また、本実施形態のUV照射ユニット1によれば、流路41の流路面積(前記の流路断面における面積)を大きくして回路部11における流路41の容積を確保するのではなく、流路面積の小さい複数の流路41を並列に配置させることにより回路部11における流路41の容積を確保している。ここで、流路41の流路面積を大きくした場合には、流路41内で血液が滞留する部分が生じて、血液凝固が起こるおそれがある。しかしながら、本実施形態のUV照射ユニット1では、流路41の流路面積を小さくできるので、流路41内で血液が滞留する部分が生じ難く、血液凝固が起こり難くなる。
また、本実施形態のUV照射ユニット1によれば、送液ポンプ13により、流路41に流す血液の流量を制御できるので、効率的にウイルスを不活化できるように血液の流量を制御することができる。また、送液ポンプ13により、流路41に流す血液の流量を、流路41内で血液凝固が起こり難い流量に制御することもできる。
また、本実施形態のUV照射ユニット1によれば、特に全血や濃厚赤血球の血液製剤を流路41に流す場合において、赤血球が流路41内で流動しながら流れるので、紫外線LEDランプ52から照射されるUV光が赤血球に吸収や反射され難くなる。そのため、全血や濃厚赤血球の血液製剤のように赤血球が含まれている場合であっても、UV光が血液製剤の中を透過し易くなるので、血液製剤に含まれるウイルスが不活化され易くなる。
また、流路41における流路断面は偏平形状に形成され、紫外線LEDランプ52は流路41に対して偏平形状の短手方向(Z軸方向)側の位置に配置されている。このようにして、流路41における流路断面の長手方向に沿って形成される面に対して、紫外線LEDランプ52からUV光を照射させることができる。そのため、流路41を流れる血液に対するUV光の照射量を多くすることができる。また、流路41を流れる血液の中までUV光が透過し易くなる。
また、本実施形態のUV照射ユニット1においては、紫外線LEDランプ52は、分岐チューブ32の流路41の軸方向(X軸方向)について複数配置されている。このように、UV照射ユニット1は、流路41を流れる血液に対して、その流れ方向に沿って連続して照射するように形成されている。そのため、血液に対するUV光の照射量をさらに多くすることができる。
また、紫外線LEDランプ52は、水銀UVランプなどの従前のUVランプに比べて発熱し難いので、放熱対策は簡易に行うことで足りる。そのため、紫外線LEDランプ52は、従前のUVランプに比べて、分岐チューブ32に密接可能である。したがって、照射部12における溝部53を出来るだけ小さくできるので、限られたスペース内で流路41を多層化できる。ゆえに、UV照射ユニット1を小型化できる。
また、紫外線LEDランプ52は、従前のUVランプに比べて寿命が飛躍的に長くなる。また、紫外線LEDランプ52は、照度低下も起こり難い。そのため、血液に含まれるウイルスを不活化する処理の性能にバラつきが出難い。
また、血液に対しリボフラビンなどの光活性ウイルス不活化剤を添加させれば、血液に含まれるウイルスを効率良く不活化できる。
以上のようなUV照射ユニット1の実施例として、例えば、紫外線LEDランプ52のUV光の照度を30Wとし、分岐チューブ32の流路41をY軸方向に6本、Z軸方向に5段配置し、分岐チューブ32の流路41の軸方向(X軸方向)の長さを300mmとする。これにより、例えば、400ccの血液について、23分間でウイルスを不活化できるという評価結果が得られた。なお、例えば、紫外線LEDランプ52の照度を60Wとすれば、400ccの血液について、約12分間でウイルスを不活化できるという評価結果が得られた。
また、変形例として、分岐チューブ32の流路41は、その軸方向について、湾曲形状に形成されていてもよい。例えば、図5に示すように、分岐チューブ32の流路41は、その軸線がX軸方向からY軸方向へ向かって湾曲し、また、Y軸方向からX軸方向へ向かって湾曲するように形成されている。これにより、流路41の容積を確保できる。なお、この変形例においても、Z軸方向について複数の流路41が並列に配置される多層構造が形成され、かつ、紫外線LEDランプ52がZ軸方向について流路41に対して両側の位置に配置されている。また、紫外線LEDランプ52は、流路41の軸方向について複数配置されている。
以上のように本実施形態のUV照射ユニット1は、血液を流す流路41と、血液に含まれるウイルスを不活化するために、流路41を流れる血液に対してUV光を照射する紫外線LEDランプ52と、を有し、複数の流路41が並列に配置される多層構造が形成されている。
このように、UV照射ユニット1においては、複数の流路41が並列に配置される多層構造を形成することにより、回路部11における流路41の全容積を大きくすることができる。そのため、単位時間当たりの血液の処理量を多くすることができるので、血液に含まれるウイルスを不活化する処理能力が向上する。また、UV光によりウイルスを効果的に不活化できるので、血液に含まれるウイルスを不活化する処理能力が向上する。また、流路41に血液を流しながら血液に対してUV光を照射するので、血液の滞留が起こり難くなることから、血液凝固が起こり難い。そのため、本実施形態のUV照射ユニット1によれば、血液凝固が起こり難く、血液に含まれるウイルスを短時間で不活化することができる。
また、本実施形態のUV照射ユニット1は、Y軸方向およびZ軸方向について、各々、複数の流路41が並列に配置される多層構造が形成されている。これにより、単位時間当たりの血液の処理量をさらに多くすることができる。そのため、血液に含まれるウイルスを不活化する処理能力がさらに向上するので、血液に含まれるウイルスをさらに短時間で不活化することができる。
また、紫外線LEDランプ52は、Z軸方向について流路41に対して両側の位置に配置されている。これにより、流路41を流れる血液に対するUV光の照射量を多くすることができる。また、流路41を流れる血液の中までUV光が透過し易くなる。そのため、血液に含まれるウイルスを不活化する処理能力が向上する。
また、本実施形態のUV照射ユニット1においては、流路41における流路断面が偏平形状に形成され、紫外線LEDランプ52は、流路41に対して偏平形状の短手方向(Z軸方向)側の位置に配置されている。これにより、流路41を流れる血液に対するUV光の照射量を多くすることができる。また、流路41を流れる血液の中までUV光が透過し易くなる。そのため、血液に含まれるウイルスを不活化する処理能力が向上する。
また、紫外線LEDランプ52は、流路41の軸方向について複数配置されている。これにより、流路41を流れる血液に対するUV光の照射量を多くすることができる。そのため、血液に含まれるウイルスを不活化する処理能力が向上する。
また、分岐チューブ32の流路41は、その軸方向について、直線形状に形成されている。これにより、流路41を流れる血液は流路抵抗を受け難いので、単位時間当たりの血液の処理量を多くすることができる。
また、分岐チューブ32の流路41は、その軸方向について、湾曲形状に形成されていてもよい。これにより、限られたスペース内で、流路41の容積を確保できるので、単位時間当たりの血液の処理量を多くすることができる。
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
1 UV照射ユニット
11 回路部
12 照射部
13 送液ポンプ
13A 第1送液ポンプ
13B 第2送液ポンプ
14 制御部
21 チューブ
23 持ち手
31 入口側チューブ
32 分岐チューブ
32b 第2部位
33 出口側チューブ
41 流路
52 紫外線LEDランプ
61 不活化前血液製剤バッグ
63 不活化後血液製剤バッグ

Claims (8)

  1. 血液または血液成分を流す流路と、
    前記血液または前記血液成分に含まれるウイルスを不活化するために、前記流路を流れる前記血液または前記血液成分に対して光を照射するLEDランプと、を有し、
    複数の前記流路が並列に配置される多層構造が形成されていること、
    を特徴とする光照射装置。
  2. 請求項1の光照射装置において、
    前記流路の軸方向と直交する第1方向、および、前記流路の軸方向と前記第1方向とに直交する第2方向について、各々、前記多層構造が形成されていること、
    を特徴とする光照射装置。
  3. 請求項1または2の光照射装置において、
    前記LEDランプは、前記流路の軸方向と直交する方向について前記流路に対して両側の位置に配置されていること、
    を特徴とする光照射装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つの光照射装置において、
    前記流路における当該流路の軸方向に垂直な断面が偏平形状に形成され、
    前記LEDランプは、前記流路に対して前記偏平形状の短手方向側の位置に配置されていること、
    を特徴とする光照射装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つの光照射装置において、
    前記LEDランプは、前記流路の軸方向について複数配置されていること、
    を特徴とする光照射装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1つの光照射装置において、
    前記流路は、当該流路の軸方向について、直線形状に形成されていること、
    を特徴とする光照射装置。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1つの光照射装置において、
    前記流路は、当該流路の軸方向について、湾曲形状に形成されていること、
    を特徴とする光照射装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1つの光照射装置において、
    前記光は、紫外光であること、
    を特徴とする光照射装置。
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