JPWO2017150624A1 - マルチビーム衛星通信システム - Google Patents
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Abstract
Description
このチャネライザの種別に関しては、アナログタイプとデジタルタイプの2つに大別される。
アナログタイプのチャネライザ(アナログチャネライザ)は、各ビームエリアに割り振る帯域可変をアナログ回路で実現する方式であり、例えば下記特許文献1、特許文献2において開示されている。
一方、デジタルタイプのチャネライザ(デジタルチャネライザ)は、各ビームエリアに割り振る帯域可変をデジタル回路で実現する方式であり、例えば下記特許文献3において開示されている。
よって、デジタルチャネライザを適用する場合、ガードバンドは、サブバンドにおける遷移域に応じて決定されるため、前記アナログチャネライザのガードバンドと比較すると、1/100未満等、はるかに小さな帯域幅で実現できるため、周波数利用効率は高くなる。
またデジタルチャネライザは、中継する信号のフィルタリングやルーティングの各処理を、全てデジタル信号処理で行うため、各ビームに割り振った周波数帯域幅を変更する際も、前記アナログチャネライザで生じるようなキャリアの周波数揺らぎは生じない。即ち、デジタルチャネライザでは、各ビームに割り振った周波数帯域幅を変更する際も、該当の周波数帯域を利用している各ユーザーの通信を中断させる必要はなく、各ユーザーの通信が流れている中で、動的に周波数帯域幅を変更することが可能となる。
更にデジタルチャネライザは、特開2014−187688号公報に記載の通り、複数のアップリンク信号中継時に、一部の信号の受信電力密度が、他の信号と比較して低い場合、中継時にサブバンド単位で増幅できる。このため、衛星の最終段の増幅器において加わる相互変調ひずみ干渉の影響を軽減でき、高い通信品質を保持することが出来る。また、特許第5430737号に記載の通り、デジタルチャネライザは、中継する信号帯域幅の中に不要な干渉波が混在する場合、干渉波が混在するサブバンドのみ減衰させることが出来るため、不要な信号の中継を阻止することが出来るため、中継時の無駄な消費電力を抑制することができる。
(B1)信号帯域幅の増加に伴い、A/D(Analog to Digital),D/A(Digital to Analog))のサンプリング速度や、デジタル回路を駆動させるクロック速度も増加するため、消費電力や発熱量が増加する。発熱量が高くなると、排熱が厳しくなり、実現性が損なわれていく。
(B2)A/D,D/Aの最大サンプリング速度によって、処理可能な信号帯域幅の上限が決定されるため、広帯域化が制限される。特に、放射線耐性を有する宇宙用のA/D,D/Aデバイスは、地上のA/D,D/Aデバイスと比較してサンプリング速度の上限は低く、信号帯域幅が1GHz近くなると、1つのA/Dデバイス、あるいは1つのD/Aデバイスでサンプリングすることが厳しくなってくる。
人工衛星に搭載され複数のビームエリアの各ビームエリアに存在する通信装置の通信を中継する中継装置と、前記中継装置を制御する管制装置とを備えるマルチビーム衛星通信システムにおいて、
前記中継装置は、
中継すべき中継信号を受信する中継側受信部と、
前記中継信号の周波数帯域幅を制御するアナログ回路を有し、周波数帯域幅の制御された前記中継信号を出力するアナログ中継部と、
前記中継信号の周波数帯域幅を制御するデジタル回路を有し、周波数帯域幅の制御された前記中継信号を出力するデジタル中継部と、
出力された前記中継信号を送信する中継側送信部と、
前記アナログ中継部が中継すべき前記中継信号の周波数帯域を指示するアナログ中継部制御信号と、前記デジタル中継部が中継すべき前記中継信号の周波数帯域を指示するデジタル中継部制御信号とに従って、前記中継信号を前記アナログ中継部と前記デジタル中継部とに出力させる中継側制御部と
を備え、
前記管制装置は、
管制側通信部と
前記アナログ中継部制御信号と前記デジタル中継部制御信号とを生成し、前記管制側通信部を介して前記中継装置に送信する管制側制御部と
を備えることを特徴とする。
(2)本発明にかかるマルチビーム衛星通信システム95では、管制局09がトラフィック要求や通信要求に応じて、各キャリア信号の中継を、アナログチャネライザ経由とするか、デジタルチャネライザ経由とするかを判断し、周波数アサインやチャネライザ制御を行う。これによって、「高い周波数利用効率」や「中継衛星の低消費電力化」を保持しながら、広帯域な信号中継や、運用中の動的な周波数変更を実現する。
(3)以下の実施の形態では、中継衛星の動作を説明する場合があるが、中継衛星の動作は実際には中継装置の動作である。同様に、中継衛星に対する制御は、中継装置に対する制御である。
(4)以下の実施の形態では、管制局の動作を説明する場合があるが、管制局の動作は、実際には管制側制御部の動作である。
以下に図面を用いて実施の形態を説明する。
<***構成の説明***>
図1は、実施の形態1におけるマルチビーム衛星通信システム95の構成を示す。図1に示す通り、実施の形態1におけるネットワーク構成はスター型である。図1のマルチビーム衛星通信システム95の場合は、地上網01と接続されるゲートウエイ(GW)局02が、サービスエリアに相当する8つのビームエリア08(♯A〜♯H)に存在する通信装置92である複数のユーザー端末に向けて、各信号を中継装置93を経由して送信する場合のシステム構成を示している。
管制局09は、地上網に存在する複数のユーザー端末やビームエリア08(♯A〜♯H)に存在する各ユーザー端末からの通信要求を、地上網を経由あるいはリターンリンクから{GW局,地上網}を経由して受信する。そして、管制局09は、それぞれの端末に対して、各キャリア信号の送信許可や、その際の周波数アサインを行い、通信リンクを確立していく。また管制局09は、コマンド/テレメトリ回線を用いて、適宜、中継装置93を制御する。中継装置93は、コマンド/テレメトリ用アンテナ10を介して受信される管制局09からのコマンド信号を元に、中継装置93内部の信号処理が決定されていく。本信号処理は、大きくアナログチャネライザ処理とデジタルチャネライザ処理の2つに大別され、前記コマンド信号によって、各キャリア信号を、アナログチャネライザ5A経由で中継するか、デジタルチャネライザ経由で中継するか、決定される。
図2は、管制装置94の機能ブロック図を示す。
図3は、管制装置94のハードウエア構成を示す。管制装置94は管制側制御部941、管制側通信部942を備えている。管制側制御部941は、後述するアナログ中継部制御信号941A、デジタル中継部制御信号941D、変更制御信号941C等を生成し、管制側通信部942を介してこれらの信号を中継装置93に送信する。管制側通信部942は、アナログ中継部制御信号941A、デジタル中継部制御信号941D、変更制御信号941C等を管制用アンテナ943から送信する。
後述する各周波数変換量(ΔFDA,ΔFDB,ΔFDC)(図6のステップS01)のもとになる信号、及び周波数変換量ΔFDD(図7のステップS011)のもとになる信号は、管制装置94から送信される。各周波数変換量(ΔFDA,ΔFDB,ΔFDC)の元になる信号はアナログ中継部制御信号941Aの例であり、周波数変換量ΔFDD(ステップS01)の元になる信号はデジタル中継部制御信号941Dの例である。また変更制御信号941Cは、後述の図11のステップS033において管制側制御部941が生成している。
アナログチャネライザ5Aは、前記課題(A1)で示した通り、アナログBPFの遷移帯域に相当する周波数帯域をガードバンドとして設ける必要があるが、このアナログチャネライザ5Aで必要となるガードバンド幅を、図4の中に“GB”として示している。
なお、ビームエリア#A,#B,#Cへの各信号中継も含めて、全てデジタルチャネライザが中継処理を行えば、ビームエリア#A,#B,#Cの各割当て帯域の間隔も狭めることが出来るため、フィーダリンクに必要な周波数帯域幅を更に少なくすることが可能である。一方、消費電力はデジタルチャネライザが処理する帯域幅に比例して増加するため、実現性の面で厳しくなる。
(1)中継側受信部931は、フィーダリンク用受信アンテナ04、BPF(アナログバンドパスフィルタ)051、LNA052(低雑音増幅器)で構成される。中継側受信部931は、中継すべき中継信号99を受信する。図5では、中継信号99はGW局02によりフォワードリンクで送信される。
(2)アナログ中継部932は、後述するアナログチャネライザ5Aである。アナログチャネライザ5Aは、中継信号99の周波数帯域幅を制御するアナログ回路932Aを有し、周波数帯域幅の制御された中継信号99を出力する。アナログ回路932AはV−BPF(アナログ帯域可変フィルタ)054a〜054cである。
(3)デジタル中継部933は、後述するデジタルチャネライザ5Dである。デジタルチャネライザ5Dは、中継信号99の周波数帯域幅を制御するデジタル回路933Dを有し、周波数帯域幅の制御された中継信号99を出力する。デジタル回路933Dは、複数のデジタル分波部552(DMX)、スイッチマトリックス553(SW)、複数の合波部554(MX)等である。
(4)中継側送信部934は、複数のパワーアンプ057(PA)、複数のユーザーリンク用送信アンテナ06で構成される。中継側送信部934は、アナログチャネライザ5Aあるいはデジタルチャネライザ5Dから出力された中継信号99を送信する。
(5)中継側制御部935は後述のチャネライザ制御部060である。
チャネライザ制御部060は、アナログ中継部制御信号941Aと、デジタル中継部制御信号941Dとに従って、中継信号99をアナログチャネライザ5Aとデジタルチャネライザ5Dとに出力させる。ここで、アナログ中継部制御信号941Aは、アナログチャネライザ5Aが中継すべき中継信号99の周波数帯域を指示する信号である。
デジタル中継部制御信号941Dは、デジタルチャネライザ5Dが中継すべき中継信号99の周波数帯域を指示する信号である。アナログ中継部制御信号941A及びデジタル中継部制御信号941Dは、後述する管制装置94の管制側制御部941が生成して、管制側通信部942から中継衛星05に搭載されている中継装置93に向けて送信される。
(1)BPF051(アナログバンドパスフィルタ)は、フィーダリンク用受信アンテナ04を経由して受信されるアップリンク信号(中継信号99)から、マルチビーム衛星通信システム95で使用される周波数帯域を抽出し、システム帯域外の不要な周波数成分を除去する。
(2)LNA052(低雑音増幅器)は、BPF051が抽出した信号を低雑音増幅後、後段の周波数可変ダウンコンバータ群053(V−D/C053a〜V−D/C053e)に、増幅した信号を入力する。
(1)アナログチャネライザ処理では、周波数可変ダウンコンバータ群053内の3つの周波数可変ダウンコンバータ053a,053b,053cが用いられる。
(2)デジタルチャネライザ処理では、2つの周波数可変ダウンコンバータ053d,053eが用いられる。
(3)同様に、アナログチャネライザ処理では、周波数可変アップコンバータ群056内の3つの周波数可変アップコンバータ056a,056b,056cが用いられる。
(4)デジタルチャネライザ処理では、8つの周波数可変アップコンバータ056d,056e,056f,056g,056h,056i,056j,056kが用いられる。(5)また、図5において、コマンドテレメトリ用トランスポンダ059は、コマンド/テレメトリ用アンテナ10を経由して受信される管制局09からの指令信号を復調・復号する。
(6)チャネライザ制御部060は、トランスポンダ059が復調・復号したコマンドデータ(管制局09からの指令)をもとに、以下の設定をする。つまりチャネライザ制御部060は各周波数可変ダウンコンバータ053a〜053eの周波数変換量、アナログ帯域可変部054の各アナログ帯域可変フィルタ054a〜054cの通過帯域幅、デジタル帯域可変部055のスイッチルーティング及び各周波数可変アップコンバータ056a〜056kの周波数変換量を設定する。
図5、図6、図7を用いて、図4の(B)を実現する中継装置93の動作詳細を説明する。
図6は、アナログチャネライザ5Aの動作を示すフローチャートである。
図7は、デジタルチャネライザ5Dの動作を示すフローチャートである。
ステップS01において、周波数可変ダウンコンバータ053aは、チャネライザ制御部060からの周波数変換量ΔFDAをもとに、図4の(B)に示すフィーダリンクにおける信号Aの信号帯域の中心(無線周波数FA)を、中間周波数FIFに変換する。
同様に、周波数可変ダウンコンバータ053bは、チャネライザ制御部060からの周波数変換量ΔFDBをもとに、図4の(B)に示すBの信号帯域の中心(無線周波数FB)を、中間周波数FIFに変化する。また、周波数可変ダウンコンバータ053cは、周波数変換量ΔFDCをもとにCの信号帯域の中心(無線周波数FC)を中間周波数FIFに変換する。
詳細には、図5に示す周波数可変アップコンバータ056aは、前段の帯域可変フィルタ054aで抽出したAの信号帯域を、任意の下り無線周波数に変換し、ステップS04において、パワーアンプ(PA)057aは、下り無線周波数に変換されたAの信号帯域を高出力増幅して、ビームエリア#A(08a)に送信する。
ステップS012において、デジタル帯域可変部055内のAD変換器551mは、この帯域信号{D,E,F,G,H}をサンプリングし、デジタルデータに変換する。
ステップS013において、デジタル分波部552mは、デジタルデータに変換された帯域信号{D,E,F,G,H}をベースバンド帯に変換後、複数のサブバンドに分波する。分波数は例えば100以上に設定されるため、{D,E,F,G,H}の帯域信号は、数十個のサブバンドに分解されることになる。
具体的には、スイッチマトリックス553は、デジタル分波部552mが分波したサブチャネルの内、帯域信号Dの一部を有するサブチャネルはデジタル合波部554dに振り分け、帯域信号Eの一部を有するサブチャネルはデジタル合波部554eに振り分ける。また、帯域信号Fの一部を有するサブチャネルはデジタル合波部554fに振り分け、帯域信号Gの一部を有するサブチャネルはデジタル合波部554gに振り分け、帯域信号Hの一部を有するサブチャネルはデジタル合波部554hに振り分ける。
ステップS016において、後段のD/A変換器555d〜555hは、これら信号D〜Hをそれぞれアナログ信号に変換して、デジタル帯域可変部055から出力する。このような、一連の処理により、デジタル帯域可変部055は、図4の(B)に示す1つの帯域信号{D,E,F,G,H}を、D〜Hの5つに分波して、抽出することが出来る。
ステップS017において、周波数可変アップコンバータ056d〜056hは、DA変換器555d〜555hから中間周波数として出力される各信号を、チャネライザ制御部060からの各周波数変換量(ΔFUD,ΔFUE,ΔFUF,ΔFUG,ΔFUH)をもとに、任意の下り側(ユーザーリンク)の無線周波数にそれぞれ変換する。
ステップS018において、最後に、各パワーアンプ057d〜057hは、無線周波数にそれぞれ変換された各信号D〜Hを高出力増幅後、送信アンテナ06d〜06hを介して、各ビームエリア#D〜♯Hに向けて送信する。
図9は、帯域信号A’,B’,C’を追加する動作のフローチャートである。
ステップS023において、デジタル分波部552nは、デジタルデータに変換された帯域信号{A’,B’,C’}をベースバンド帯に変換後、複数のサブバンドに分波する。{A’,B’,C’}の帯域信号は、{D,E,F,G,H}と同様、数十個のサブバンドに分解される。
同様に、加算器058bは帯域信号B’とBを、加算器058cは帯域信号C’とCをそれぞれ加算し、増幅された信号{B,B’}は送信アンテナ06bを介してビームエリア#Bに、増幅された信号{C,C’}は送信アンテナ06cを介してビームエリア#Cに、それぞれ送信される。
なお、図10に示す帯域信号A’,B’,C’の位置(各中心周波数)は一例であり、チャネライザ制御部060から前記周波数可変アップコンバータ056i〜056kへの各周波数変換量(ΔFUI,ΔFUJ,ΔFUK)を変更することで、各位置を自由に変更することが可能である。
図11は、アナログチャネライザ5Aの信号帯域を拡大する処理のフローチャートである。
同様に、ビームエリア#B、あるいは♯Cへの通信要求が発生したら、管制局09は、通信キャリアの周波数アサインを、図4の(C)に示すアナログチャネライザ5Aが処理する信号帯域B内、あるいは信号帯域C内にアサインするのではなくデジタルチャネライザ5Dが処理する信号帯域B’内、あるいは信号帯域C’内にアサインする制御を行う。通信トラフィックが大幅に減る時間帯において、各通信キャリアを信号帯域A’,B’,C’に配置する制御を管制局09が行うため、信号帯域A,B,Cと比較すると、帯域幅が狭いA’,B’,C’内でも、全ての通信キャリアを収容する事が出来る。また同時に、本制御を開始する前から信号帯域A,B,C内に存在していたキャリアは、徐々に終話によって消失していくため、信号帯域A,B,C内に存在するキャリアは時間の経過とともに減少し、例えば1時間後には、1つも存在しない状況になる。
詳細には管制局09は、周波数可変ダウンコンバータ群053、アナログ帯域可変部054、周波数可変アップコンバータ群056に対する各設定変更を指示する変更制御信号941Cを生成し中継装置93に送信する。さらに具体的にはアナログ帯域可変部054は、制御により通過帯域幅が変更する3つのバンドパスフィルタ(V−BPF054a〜054c)からなる。この場合、通信キャリアを中継していない状態で、アナログチャネライザ5Aが帯域幅変更を行うため、ユーザーの通信を中断させるような不都合は発生しないことになる。なお、管制側制御部941は中継装置93を監視しているので、管制側制御部941は信号帯域A,B,C内にキャリアが存在しなくなったことを検出できる。
なお図5では、加算器058aで帯域信号Aと帯域信号A’を加算し、高出力増幅器057aで増幅後、送信アンテナ06aで送信する動作を説明したが、別途、アンテナ指向が可変な「可動アンテナ06a’」を設け、帯域信号Aと帯域信号A’を、それぞれ独立した2つの送信アンテナ{06a,06a’}で送信し、可動アンテナ06a’をビームエリア#Aに向けることで、空間的に帯域信号Aと帯域信号A’を加算(=合成)しても良い。
この場合、図5の周波数可変アップコンバータ(V−U/C)056iから出力される帯域信号A’は、新たに設けた高出力増幅器で増幅後、可動アンテナ06a’で送信される処理となるため、加算器058aが不要となる反面、可動アンテナ06a’が必要となるため、ハードウエア規模が小さくなることは無い。
しかしながら、可動アンテナ06a’は、アンテナ指向が可変であるため、例えば帯域信号A’をビームエリア#Aだけでなく、ビームエリア#B〜#Hのいずれか、あるいはビームエリア#A〜#H以外の場所にも向けることが出来るため、いかなるエリアでトラフィック要求が一時的に増加したとしても、そのエリアに可動アンテナ06a’を向け、帯域信号A’を追加で割当てることが出来る。即ち、帯域追加割当ての空間的な自由度が高まる効果が得られる。
更に、図5の周波数可変アップコンバータ(V−U/C)056jから出力される帯域信号B’を、新たに設けた高出力増幅器で増幅後、新たに設けた可動アンテナ06b’で送信し、また図5の周波数可変アップコンバータ(V−U/C)056kから出力される帯域信号C’を、新たに設けた高出力増幅器で増幅後、新たに設けた可動アンテナ06c’で送信しても良い。この場合、加算器058a,058b,058cは不要となり、更に可動ビームが1つから3つに増えるため、これらの可動アンテナをビームエリア#A,♯B,♯Cだけでなく、その他のビームエリアにも同時に向けることが出来るため、更に帯域追加割当ての空間的な自由度が高まる効果が得られる。
実施の形態1で示した例は、アナログチャネライザが中継するビームエリア#A,♯B,♯Cに対する通信トラフィックが増加し、アナログチャネライザだけでは通信帯域が不足する場合に、デジタルチャネライザ5Dが不足した帯域分を補い、ビームエリア#A,♯B,♯Cに対する各帯域幅を増やすものであった。同様にデジタルチャネライザ5Dが中継するビームエリアに対する通信トラフィックが増加し、1つのD/A変換器で処理可能な帯域幅を超える通信帯域の要求が生じた場合も、同様の手法で、通信帯域幅を増やすことが出来る。
図13に示すように、図5の構成と異なる点として、新たにビームエリア#D〜♯H用の高出力増幅器057d〜057hの前段に加算器058d〜058hを設け、周波数可変アップコンバータ056iの出力を加算器058a、あるいは加算器058fのいずれかに接続する。そして、周波数可変アップコンバータ056jの出力を加算器058b、あるいは加算器058d,あるいは加算器058gのいずれかに接続し、周波数可変アップコンバータ056kの出力を加算器058c、あるいは加算器058e,あるいは加算器058hのいずれかに接続した点である。
なお、図13中では、スペースの都合上、周波数可変アップコンバータ056i,056j,056kの出力が2分岐、あるいは3分岐して各加算器に接続される表示になっているが、実際は、同時に複数の加算器に1つの信号が入力されることは無く、チャネライザ制御部060の指令にもとづき、いずれか1つの加算器に接続される動作となる。
図14は、デジタルチャネライザ5Dで中継する信号帯域G’,H’を追加する場合のフローチャートである。図14は図9に類似であり、図9の信号帯域A’,B’、C’を信号帯域G’,H’と読み替えればよい。
次にチャネライザ制御部060は、周波数可変アップコンバータ056jの出力信号G’を加算器058gに接続し、周波数可変アップコンバータ056kの出力信号H’を加算器058hに接続する指令を周波数可変アップコンバータ056j,056kに対して行う。
なお、上記例は、ビームエリア#G、#Hにおいて、通信トラフィックが急増した場合の追加帯域割当ての動作を示しているが、このような通信トラフィックの急増は、災害発生等により、ビームエリア#A〜♯Hのいずれかでも起こり得る。
そこで、実施の形態2の中継装置93は、図13に示す通り、全ての高出力増幅器057a〜057hの前段に、加算器058a〜058hを設ける構成とし、デジタルチャネライザ5D内部において、定常時では使わない別系統の回路の出力を、ビームエリア#G、#Hだけでなく、どのビームエリアに対しても加えられる構成としている。
なお図13では、各加算器058a〜058hを設けて、2つの帯域を加算する構成としているが、これら各加算器058a〜058hを無くし、図13の周波数可変アップコンバータ(V−U/C)056iから出力される帯域信号を、新たに設けた高出力増幅器で増幅後、新たに設けた可動アンテナ(指向が可変なアンテナ)06a’で送信し、周波数可変アップコンバータ(V−U/C)056jから出力される帯域信号を、新たに設けた高出力増幅器で増幅後、新たに設けた可動アンテナ06b’で送信し、周波数可変アップコンバータ(V−U/C)056kから出力される帯域信号を、新たに設けた高出力増幅器で増幅後、新たに設けた可動アンテナ06c’で送信する構成に変更しても良い。この場合、例えば、可動アンテナ06b’をビームエリア#Gに向けて帯域信号G’を送信し、可動アンテナ06c’をビームエリア#Hに向けて、帯域信号H’を送信することで、図12に示す追加の帯域割当てを同様に実現することが出来る。このように、各加算器058a〜058hを無くし、3つの可動アンテナ06a’,06b’,06c’を設けた構成にしても、前記各加算器058a〜058hを設けた場合と同様の効果を得ることが出来る。
更に、可動アンテナとしたことで、特定のビームエリアだけでなく、任意のビームエリア、あるいはビームエリア#A〜#H以外の場所にも向けることが出来るため、いかなるエリアでトラフィック要求が一時的に増加したとしても、そのエリアに可動アンテナ06a’,06b’,06c’のいずれか1つ以上を向けることが出来るため、帯域追加割当ての空間的な自由度が高まる効果も得られる。
更に、実施の形態1と同様、各高出力増幅器の内、アナログチャネライザで中継された信号を増幅する高出力増幅器057a,057b,057c以外は、低い飽和出力電力とし、中継装置93の小型・軽量化や低消費電力化を図った構成としても良い。
実施の形態1、実施の形態2では、いずれもゲートウエイ局から各ビームエリアに存在する各ユーザー端末に向けたフォワードリンクにおける本発明の実施例を示したが、実施の形態3では、各ユーザー端末からゲートウエイ局に向けたリターンリンクにおける実施例を示す。
図15は、マルチビーム衛星通信システム95のリターンリンク側の流れを示す。図15は図1と同一符号を付しており、中継装置93の受信アンテナ11は、ビームエリア#A〜♯Hに存在する複数のユーザーの通信キャリアを受信し、中継装置93は、各アップリンク信号の信号抽出や周波数変換を行った後、中継装置93の送信アンテナ12から、ゲートウエイ局02に送信する。
図16は、リターンリンク側の周波数配置例を示したものである。
図16において、通信トラフィックが平均的に多いビームエリア#A,♯B,♯Cからの各信号帯域(A,B,C)はアナログチャネライザが中継し、通信トラフィックが平均的に少ないビームエリア#D〜♯Hの各信号帯域(D〜H)は、デジタルチャネライザ5Dが中継する様子を示している。ビームエリア#Aからゲートウエイ局への通信トラフィックが一時的に増加したため、信号帯域Aの他に、信号帯域A’を追加で配置した例を示している。
図16の(B)に示す通り、アナログチャネライザで帯域信号Aを抽出する際に、主信号成分Aの他、図16に示される雑音成分13も合わせて抽出される。同様にデジタルチャネライザ5Dで帯域信号A’を抽出する際も、主信号成分A’の他、図16に示される雑音成分17も合わせて抽出される。ここで両者を比較して判るように、デジタルチャネライザ5Dは急峻なフィルタ特性を実現するため、抽出した主信号A’の帯域と、雑音成分17の帯域はほぼ同じとなるが、アナログチャネライザは、アナログBPFの遷移領域に依存する緩やかなフィルタ特性となるため、抽出した主信号Aの帯域より、雑音成分13の帯域幅が広くなる。
(1)周波数可変ダウンコンバータ群、
(2)アナログ帯域可変部、
(3)デジタル帯域可変部、
(4)周波数可変アップコンバータ群、
(5)チャネライザ制御部の5つを基本として構成される。
図17は、このリターンリンク側の中継装置93の構成を示す。図5と同様に、破線で囲んだ範囲がそれぞれアナログチャネライザ5A,デジタルチャネライザ5Dを構成する。
なお、中継衛星05の受信アンテナ11の内、ビームエリア#Aからの帯域信号A’を受信する中継衛星05の受信アンテナを、アンテナ指向が可変な「可動アンテナ」にしても良い。この場合、例えば、一時的なトラフィック要求が、ビームエリア#Aではなくビームエリア#Cで発生した場合でも、本可動アンテナをビームエリア#Cに向けることで、ビームエリア#Cからの追加の帯域信号C’を、前記したビームエリア#Aからの帯域信号A’の追加割当てと同様に、実現することが出来る。
このように、中継衛星05の受信アンテナ11の内、デジタルチャネライザ5Dに接続されるアンテナの1つを可動アンテナとすることで、特定のビームエリアだけでなく、任意のビームエリア、あるいはビームエリア#A〜#H以外の場所に一時的なトラフィック要求増加が発生しても、そのエリアにおける帯域の追加割当てを実現できるため、帯域追加割当ての空間的な自由度が高まる効果が得られる。
更に、このような「可動アンテナ」を1つではなく、中継衛星05の受信アンテナ11の内、デジタルチャネライザ5Dに接続されるものの中から、複数設けても良い。この場合、1箇所のエリアだけでなく、複数のエリアで同時に一時的なトラフィック要求増加が発生しても、その各エリアに可動アンテナをそれぞれ向けることが出来るため、更に帯域追加割当ての空間的な自由度が高まる効果が得られる。
実施の形態1,2,3では、スター型と称されるゲートウエイ局と、複数のビームエリアに存在するユーザー端末との衛星通信ネットワークを例に、本発明の内容と効果を説明した。実施の形態4では、メッシュ型と称される複数のビームエリア間の衛星通信ネットワークを例に説明し、本発明の内容と効果を説明していく。
同様にして、アナログチャネライザ#2は、ビームエリア#Rからのアップリンク信号の内、ビームエリア#Q向けの帯域信号、ビームエリア#R向けの帯域信号、ビームエリア#S向けの帯域信号のそれぞれ3つを同時に抽出し、ダウンリンクの無線周波数に変換して出力する。また同様にして、アナログチャネライザ#3は、ビームエリア#Sからのアップリンク信号の内、ビームエリア#Q向けの帯域信号、ビームエリア#R向けの帯域信号、ビームエリア#S向けの帯域信号のそれぞれ3つを同時に抽出し、ダウンリンクの無線周波数に変換して出力する。
同様にデジタルチャネライザ23は、ビームエリア#Q〜♯Tの各アップリンク信号を周波数可変ダウンコンバータ(V−D/C)232〜235で中間周波数に変換後、デジタル帯域可変部240内で、それぞれサブバンド単位にデジタル分波する。
この場合、管制局09からの指令を受けて、デジタルチャネライザ23は、ビームエリア♯Rからのアップリンク信号の内、ビームエリア#P,#T向けの帯域信号だけでなく、追加で割当てられたビームエリア#S向けの帯域信号RS’も以下のように処理する。デジタルチャネライザ23は、サブバンド単位にデジタル分波後、定常時では使わない周波数可変アップコンバータ254や、その前段のデジタル帯域可変部240内の各D/A変換器やデジタル合波部を用いて、追加で割当てた帯域信号RS’をビームエリア#S宛てに中継する動作を行う。
同様に、加算器403は、アナログチャネライザ(加算器303出力)からの各帯域信号と、上記デジタルチャネライザからの追加割当て帯域信号RS’を合成し、加算器403で合成された信号は、図20に示すPA(高出力増幅器)で増幅後、ビームエリア#Sに送信される。
この場合は、ビームエリア#Rからの受信信号を中間周波数に変換する周波数可変ダウンコンバータ233を、もう一つ設ける。そして、ビームエリア#P,#T向けの帯域信号を周波数変換するV−D/Cと、帯域信号RS’を周波数変換するV−D/C、及びこれら中間周波数に変換された信号をサンプリングするA/D変換器(計2個)、及びサンプリングした信号をデジタル分波する分波部(計2個)で構成して処理すれば良い。
このような一時的な通信トラフィックの増加が、ビームエリア#Sだけでなく、ビームエリア#R、ビームエリア#Qなど、1つ以上のエリアで発生する場合でも、デジタルチャネライザ23が、ビームエリア#S,♯Rに帯域信号を追加で割当てる場合と同様の動作を行う。これにより、アナログチャネライザだけでは不足する帯域を中継することができる。
また、実施の形態4の場合も、実施の形態1と同様、通信トラフィックが大幅に少なくなる深夜などにおいて、一旦デジタルチャネライザが全てのビームエリア間の信号中継を行い、その間にアナログチャネライザの通過帯域幅を変更する。この変更で、チャネライザで中継する各通信を中断させることなく、アナログチャネライザの帯域可変を実現することも可能である。
更に、実施の形態1と同様、図20の各高出力増幅器(PA)の内、デジタルチャネライザからの帯域信号を増幅する各PAを、アナログチャネライザからの帯域信号を増幅する各PAと比較して、その飽和出力電力を低くすることで、中継装置93の小型・軽量化や低消費電力化を図った構成としても良い。
同時に配信するビームエリア数をU個とすると、アナログチャネライザを用いて、このような同報通信を中継する場合、アップリンクで受信した信号を、U個に分配する際に、信号レベルが1/U倍に減少する分配損が発生する。そのためUの数が多くなると、アナログチャネライザは、分配損の影響を受けないよう、適宜増幅器の数を増やす設計とする等、アナログ回路の規模が増加し、アナログ回路設計が複雑化する。
なお、前記各実施の形態は、アナログチャネライザとデジタルチャネライザの組合せで説明したが、アナログチャネライザに帯域可変機能が無くても良い。これは、即ち帯域可変機能がないアナログ回路で構成されるベントパイプに相当するが、ベントパイプとデジタルチャネライザの組合せでも良い。
実施の形態1から実施の形態3は、スター型と称される方式を説明した。スター型とは、ゲートウエイ局と、複数のビームエリアに存在するユーザー端末装置との衛星通信ネットワークに関する。また、実施の形態4は、メッシュ型と称される方式を説明した。メッシュ型とは、複数のビームエリア間の衛星通信ネットワークに関する方式である。
図27を参照した場合、仮に2つのビームエリア間の通信をゲートウエイ局を介して行うと、以下のように伝搬されるため、ビーム間の通信はメッシュ型が望ましい。
つまり通信データは、ユーザー#A(第3の通信装置113)→衛星→GW局→インターネット網→第4の通信装置114→インターネット網→GW局→衛星→ユーザー#A(第3の通信装置113)と、伝搬される。図27では、GW局からインターネット網を介する第4の通信装置114への経路はステップS13であり、第4の通信装置114からインターネット網を介するGW局への経路はステップS14である。また、GW局から衛星への経路はステップS15であり、衛星からユーザー#A(第3の通信装置113)への経路はステップS16である。
よって、インターネット網にアクセスして動画を閲覧し、あるいはアップロードするような通信サービスは、ゲートウエイ(GW)局を介したスター型の通信網で行われ、ビーム間の通信サービスは、低遅延またはリアルタイム性も実現される、メッシュ型の通信網で行われることが望ましい。低遅延またはリアルタイム性が要求される通信サービスは、ユーザー間におけるテレビ会議または音声通信、あるいはユーザーと無人機との通信等である。
デジタルチャネライザは、これらの利点に加え、更に、メッシュ型の多ビーム間の中継を容易に実現する利点も有する。
一方、デジタルチャネライザでは、メモリの読み書き等、デジタル回路内部で、上述の100対100の接続が実施されればよい。よって、デジタルチャネライザは、100ビーム級のメッシュ型に対して、各ビーム間接続の実現性を有する。
(a)メッシュ型の接続はデジタルチャネライザが担当し、
(b)スター型の接続はアナログチャネライザが担当する。
このような担当配分により、実施の形態1から実施の形態5で述べた効果に加え、
実施の形態6は、多ビーム、例えば100ビーム級のメッシュ接続にも対応できる効果が得られる。具体的には、地上の管制局が、ゲートウエイ局とビームエリアとの通信要求が発生した場合、アナログチャネライザが担当するスター型の接続にこの通信要求を割当て、2つのビーム間の通信要求が発生した場合、デジタルチャネライザが担当するメッシュ型の接続にこの通信要求を割当てる。
Gは、ゲートウエイ(GW)局、
Rは、ビームエリア#R内の各衛星通信端末、
Qは、ビームエリア#Q内の各衛星通信端末、
Pは、ビームエリア#P内の各衛星通信端末、
Sは、ビームエリア#S内の各衛星通信端末、
Tは、ビームエリア#T内の各衛星通信端末
を示す。
例えば、
図22の801(RG)は、ビームエリア#R内の各衛星通信端末からゲートウエイ(GW)局への通信に割当てた周波数帯域を示している。図22の802(PR)は、ビームエリア#P内の各衛星通信端末からビームエリア#R内の各衛星通信端末への通信に割当てた周波数帯域を示している。図22及び図23から明らかなように、周波数プランは、アナログチャネライザが処理する周波数帯域と、デジタルチャネライザが処理する周波数帯域が、左右に分けられている。
図24は、上りの周波数プランを示し、図25は下りの周波数プランを示す。図24、図25に示すように、デジタルチャネライザは、必ずしも全てのビームエリア間の接続(接続数25本)を維持する必要は無く、優先度や緊急度が高いビームエリアへの帯域幅増加を目的に、接続本数を削減しても良い。図24、図25において、デジタルチャネライザはビームエリア#Sとの接続を優先し、それ以外のエリアとの接続を排除することで、ビームエリア#Sの通信トラフィック増加を図ることができる。
(2)また、ビームエリア#Sの要求トラフィック増加に対応した場合、アナログチャネライザは図24、図25に示すように、ビームエリア#Sの帯域幅を広げ、それ以外のビームエリアの帯域幅は狭める制御を行うことで、ビームエリア#SとGW局間の通信トラフィックを増加させることが出来る。
(3)上記の(1)及び(2)の制御は、上記のように、アナログ中継部制御信号941A及びデジタル中継部制御信号941Dに基づいて実行される。
中継装置93−6は、大きくは、デジタルチャネライザ23、フォワード側のアナログチャネライザ24、及びリターン側のアナログチャネライザ25の3つで構成される。なお、各チャネライザの内部構成や動作原理は、基本的に実施の形態4と変わらないため説明は省略する。
図29は、GW局02の有するゲートウエイ装置020の機能ブロック図を示す。図29は図3の管制装置94の構成と類似である。ゲートウエイ装置020は、ハードウエアとして、プロセッサ021、ゲートウエイ側通信装置022及び記憶装置023を備えている。プロセッサ021は、プログラムを実行することでゲートウエイ側制御部021Aの機能を実現する。ゲートウエイ側制御部021Aは、ゲートウエイ側通信装置022を制御することでGW装置020の機能を実現する。プロセッサ021は、記憶装置023に格納されているプログラムを読み出して実行することで、ゲートウエイ側制御部021Aを実現する。なお、ゲートウエイ側通信装置022は、アンテナ024に接続されている。
(1)実施の形態6のマルチビーム衛星通信システムは、スター型ネットワークで行われるGW局と各衛星通信端末との通信量が、メッシュ型ネットワークで行われる各衛星通信端末間との通信量よりも相対的に多い場合、即ち割当てられる周波数帯域幅が広い場合に、特に有効である。
実施の形態6のマルチビーム衛星通信システムでは、アナログチャネライザが、GW局と各衛星通信端末との広帯域な通信を中継するように制御することで、アナログチャネライザのデメリットである広いガードバンドを必要とする課題を回避しながら、アナログチャネライザのメリットである低消費電力化を実現できる。
(2)また、実施の形態6のマルチビーム衛星通信システムでは、デジタルチャネライザが、衛星通信端末間の各狭帯域信号の通信を中継するように制御する。この制御によって、デジタルチャネライザのデメリットである広帯域化に伴う消費電力の増加の課題を回避しながら、デジタルチャネライザのメリットである、狭いガードバンドによる周波数利用効率向上や、上述の多ビーム間の接続を実現できる。特に100ビーム級のメッシュ接続を上記スター型のネットワークと混在させる必要が有る場合に有効となる。
(3)上記(1)及び(2)のように、実施の形態6の中継装置によれば、アナログチャネライザとデジタルチャネライザとを、両方のメリットが活かされるように適切に使い分けることにより、数十ビーム級から100ビーム級のメッシュ接続と、GW局とのスター接続がと混在する、大規模な衛星通信システムにおいて、高い周波数利用効率と低消費電力化とを実現できる。
Claims (12)
- 人工衛星に搭載され複数のビームエリアの各ビームエリアに存在する通信装置の通信を中継する中継装置と、前記中継装置を制御する管制装置とを備えるマルチビーム衛星通信システムにおいて、
前記中継装置は、
中継すべき中継信号を受信する中継側受信部と、
前記中継信号の周波数帯域幅を制御するアナログ回路を有し、周波数帯域幅の制御された前記中継信号を出力するアナログ中継部と、
前記中継信号の周波数帯域幅を制御するデジタル回路を有し、周波数帯域幅の制御された前記中継信号を出力するデジタル中継部と、
出力された前記中継信号を送信する中継側送信部と、
前記アナログ中継部が中継すべき前記中継信号の周波数帯域を指示するアナログ中継部制御信号と、前記デジタル
中継部が中継すべき前記中継信号の周波数帯域を指示するデジタル中継部制御信号とに従って、前記中継信号を前記アナログ中継部と前記デジタル中継部とに出力させる中継側制御部と
を備え、
前記管制装置は、
管制側通信部と
前記アナログ中継部制御信号と前記デジタル中継部制御信号とを生成し、前記管制側通信部を介して前記中継装置に送信する管制側制御部と
を備えるマルチビーム衛星通信システム。 - 前記管制側制御部は、
いずれかのビームエリアの通信可能帯域を増加させる場合、前記デジタル中継部が中継すべき新たな周波数帯域を指示する信号を前記デジタル中継部制御信号として生成する請求項1に記載のマルチビーム衛星通信システム。 - 前記アナログ中継部は、
制御により通過帯域幅が変更するバンドパスフィルタを有し、
前記管制側制御部は、
前記通過帯域幅の変更を指示する変更制御信号を生成して前記管制側通信部を介して前記中継装置に送信する請求項1または請求項2に記載のマルチビーム衛星通信システム。 - 前記管制側制御部は、
前記アナログ中継部を介して前記中継信号が中継されているビームエリアが存在する場合に、前記デジタル中継部が中継すべき新たな周波数帯域を指示する信号を前記デジタル中継部制御信号として生成することにより前記ビームエリアの通信可能帯域を増加させると共に、通信可能帯域の増加した前記ビームエリアにおける前記アナログ中継部を介する前記中継信号がなくなった場合に、前記変更制御信号を生成し、前記変更制御信号を前記管制側通信部を介して前記中継装置に送信する請求項3に記載のマルチビーム衛星通信システム。 - 前記管制側制御部は、
前記中継装置の受信する前記中継信号の受信電力密度が低い場合、前記中継信号を前記デジタル中継部を介して中継するべき信号を前記デジタル中継部制御信号として生成し、
前記デジタル中継部は、
前記デジタル中継部制御信号に対応して、前記デジタル中継部制御信号によって指示されている前記中継信号の電力を増幅する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のマルチビーム衛星通信システム。 - 前記管制側制御部は、
前記中継装置の受信する前記中継信号の周波数帯域幅に干渉波が混在する場合、前記中継信号を前記デジタル中継部を介して中継するべき信号を前記デジタル中継部制御信号として生成し、
前記デジタル中継部は、
前記デジタル中継部制御信号に対応して、前記デジタル中継部制御信号によって指示されている前記中継信号において前記干渉波が混在するサブバンドを減衰させる請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のマルチビーム衛星通信システム。 - 前記管制側制御部は、
前記デジタル中継部を用いて同報通信の中継を行うべきことを指示する同報通信指示信号を生成して前記管制側通信部を介して前記中継装置に送信するする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のマルチビーム衛星通信システム。 - 前記デジタル中継部を介して前記中継信号が中継されるビームエリアの予め定められた測定期間の通信トラフィックは、
前記アナログ中継部を介して前記中継信号が中継されるビームエリアにおける前記測定期間と同一の測定期間における通信トラフィックよりも少ない請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のマルチビーム衛星通信システム。 - 人工衛星に搭載されて、複数のビームエリアの各ビームエリアに存在する通信装置の通信を中継する中継装置であって、
中継すべき中継信号を受信する中継側受信部と、
前記中継信号の周波数帯域幅を制御するアナログ回路を有し、周波数帯域幅の制御された前記中継信号を出力するアナログ中継部と、
前記中継信号の周波数帯域幅を制御するデジタル回路を有し、周波数帯域幅の制御された前記中継信号を出力するデジタル中継部と、
出力された前記中継信号を送信する中継側送信部と、
前記アナログ中継部が中継すべき前記中継信号の周波数帯域を指示するアナログ中継部制御信号と、前記デジタル中継部が中継すべき前記中継信号の周波数帯域を指示するデジタル中継部制御信号とに従って、前記中継信号を前記アナログ中継部と前記デジタル中継部とに出力させる中継側制御部と
を備える中継装置。 - 中継すべき中継信号を受信する中継側受信部と、
前記中継信号の周波数帯域幅を制御するアナログ回路を有し、周波数帯域幅の制御された前記中継信号を出力するアナログ中継部と、
前記中継信号の周波数帯域幅を制御するデジタル回路を有し、周波数帯域幅の制御された前記中継信号を出力するデジタル中継部と、
出力された前記中継信号を送信する中継側送信部と、
前記アナログ中継部が中継すべき前記中継信号の周波数帯域を指示するアナログ中継部制御信号と、前記デジタル中継部が中継すべき前記中継信号の周波数帯域を指示するデジタル中継部制御信号とに従って、前記中継信号を前記アナログ中継部と前記デジタル中継部とに出力させる中継側制御部と
を備える中継装置に対して、
前記アナログ中継部制御信号と前記デジタル中継部制御信号とを生成する管制側制御部と、
前記管制側制御部の生成した前記アナログ中継部制御信号と前記デジタル中継部制御信号とを、前記中継装置に送信する管制側通信部と
を備える管制装置。 - 前記デジタル中継部は、
いずれかのビームエリアに存在する第1の通信装置と、いずれかのビームエリアに存在する第2の通信装置との間の通信を直接中継し、
前記アナログ中継部は、
地上局と、いずれかのビームエリアに存在する第3の通信装置との間の通信を中継する、
請求項9に記載の中継装置。 - 前記デジタル中継部は、
いずれかのビームエリアに存在する第1の通信装置と、いずれかのビームエリアに存在する第2の通信装置との間の通信を直接中継し、
前記アナログ中継部は、
地上局と、いずれかのビームエリアに存在する第3の通信装置との間の通信を中継する、
請求項1に記載のマルチビーム衛星通信システム。
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