JPWO2017146170A1 - 地質サンプル採取方法および採取装置 - Google Patents
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Abstract
海底地盤Aを掘削筒31で掘ることにより、円形の環状溝50を形成し、この環状溝50の径方向内側に円柱形状の地質サンプル予定部51を形成する。次に、円筒形状の筒本体41aとその下端部内周に設けられた突起41bとを有する採取筒41を、環状溝50に差し込む。次に、採取筒41の地盤Aから突出した部位を介して、採取筒41を傾かせるようなモーメントを付与する。これにより、突起41bを上記地質サンプル予定部51に押し当て、この地質サンプル予定部51を破断して、地質サンプル55を得る。次に、地質サンプル55を採取筒41内に保持したまま、採取筒41を引き上げる。
Description
本発明は、海底等での資源探査・調査等を目的として硬い地盤から円柱形状の地質サンプルを効率良く採取する方法および装置に関する。
日本近海には、多くの海底資源が存在することが知られているが、広大な海域に分布しているため、未だにその詳細な状況を把握するには至っていない。
このような背景のもと、海洋鉱物資源の詳細な分布や資源量を調査することが求められている。
このような背景のもと、海洋鉱物資源の詳細な分布や資源量を調査することが求められている。
特許文献1(特開2005−155109号公報)に開示された地質サンプル採取装置は、洋上の船からワイヤで吊り下げられ、海底に着座した状態でコアサンプリングを行なう。すなわち、海底を掘削して円柱形状の地質サンプル予定部を形成し、この地質サンプル予定部を上方に引っ張ることによりその根元を破断し、地質サンプル(いわゆるコアサンプル)を海底地盤から分離して取り出す。
特許文献2(特開昭60−141484号公報)、特許文献3(特開平5−293789号公報)、特許文献4(特開2010−274669号公報)に開示されている地質サンプル採取装置は、水中スラスタやクローラ等の移動手段とビデオカメラを備え、母船からの遠隔操作によって目的地まで移動できる。この装置は、数千mの海底の探査が可能であり、ロボットハンド等を装備していて、海底の鉱物を採取できる。
特許文献5(特開2010−242344号公報)には、地上において、コアサンプルを採取する装置の詳細な構造が開示されている。この装置は、掘削筒とその内側の採取筒の同軸二重筒構造を有している。掘削筒の先端には掘削ビットが取り付けられており、この掘削筒を回転駆動させながら下方を移動させて地盤を掘削することにより、この地盤に環状溝を形成し、この環状溝の内側に円柱形状の地質サンプル予定部を形成する。
上記採取筒の下端部内周には係止片が設けられている。この係止片は上方に向かうにしたがって内筒の中心軸線に近づくように傾斜しているが、弾性変形可能である。
上記採取筒は回転せずに掘削筒と一緒に下方に移動するようになっている。上記掘削筒による掘削が完了した時、上記地質サンプル予定部が上記採取筒に収容された状態になっている。この後、掘削筒と採取筒が引き上げられる過程で、上記地質サンプル予定部の根元に上記係止片が食い込み、この根元を破断して、地質サンプルを採取筒に収容したまま回収するようになっている。
上記採取筒は回転せずに掘削筒と一緒に下方に移動するようになっている。上記掘削筒による掘削が完了した時、上記地質サンプル予定部が上記採取筒に収容された状態になっている。この後、掘削筒と採取筒が引き上げられる過程で、上記地質サンプル予定部の根元に上記係止片が食い込み、この根元を破断して、地質サンプルを採取筒に収容したまま回収するようになっている。
特許文献6(特開2011−196140号公報)には、地上においてコアサンプルを採取する装置の詳細な構造が開示されている。この装置はクローラを装備しており、目的地まで移動できる。さらにこの装置は、下端に掘削ビットを有する掘削筒と、下端に切断刃を有する採取筒が独立して装備されている。掘削筒により環状溝を形成した後、採取筒を環状溝に差し込み、駆動機構で採取筒を打撃駆動、振動駆動または回転駆動することにより、コアサンプルを採取するようになっている。
特許文献1の地質サンプル採取装置では、海底地盤内の地質サンプル(コアサンプル)を採取できるが、大型かつ大重量であり、母船で目的地の上方まで装置運び目的地へ降ろす必要があるため、多くの地点を効率良く調査することができなかった。
特許文献2〜4の地質サンプル採取装置では、軽量・小型にすることができ、多数の地点で効率良く鉱物を採取できるが、海底上に露出した鉱物しか採取することができなかった。
特許文献5に開示された地上の地質サンプル採取装置では、採取筒の係止片を地質サンプル予定部の根元に係止した状態で採取筒及び掘削筒を引き上げることにより地質サンプル(コアサンプル)を採取できるが、地盤が硬い場合には、地質サンプル予定部の根元を破断できない場合があり、地質サンプルを採取するのが困難になる。
特許文献6では、下端に切断刃を有する採取筒を打撃駆動、振動駆動または回転駆動することにより地質サンプル予定部の根元を破断して地質サンプルを採取するが、切断刃は軸方向に延びているだけであり、地盤が硬い場合には確実にかつ効率良く破断することができない。
特許文献5,6の装置は、硬い地盤でも地質サンプルを採取しようとすると大きな引上げ力を必要とし、大型となってしまう。この大型な装置を海底探査に用いようとすると、特許文献1の方式を採用することになり、多数の地点を効率良く調査することができなくなる。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、地質サンプル採取方法において、
機体と、上記機体に装備された掘削筒および採取筒と、を備え、上記採取筒が、円筒形状の筒本体とその下端部内周に設けられた突起とを有する採取装置を用意する工程と、
地盤を上記掘削筒で掘ることにより、円形の環状溝を形成し、この環状溝の径方向内側に円柱形状の地質サンプル予定部を形成する掘削工程と、
上記採取筒を上記環状溝に差し込んだ状態で、上記採取筒の上記地盤から突出した部位を介して、上記採取筒にモーメントを付与することにより、上記突起を上記地質サンプル予定部に押し当て、上記地質サンプル予定部を破断して地質サンプルを得る破断工程と、
上記地質サンプルを上記採取筒内に保持したまま、上記採取筒を引き上げる回収工程と、
を備えたことを特徴とする。
機体と、上記機体に装備された掘削筒および採取筒と、を備え、上記採取筒が、円筒形状の筒本体とその下端部内周に設けられた突起とを有する採取装置を用意する工程と、
地盤を上記掘削筒で掘ることにより、円形の環状溝を形成し、この環状溝の径方向内側に円柱形状の地質サンプル予定部を形成する掘削工程と、
上記採取筒を上記環状溝に差し込んだ状態で、上記採取筒の上記地盤から突出した部位を介して、上記採取筒にモーメントを付与することにより、上記突起を上記地質サンプル予定部に押し当て、上記地質サンプル予定部を破断して地質サンプルを得る破断工程と、
上記地質サンプルを上記採取筒内に保持したまま、上記採取筒を引き上げる回収工程と、
を備えたことを特徴とする。
上記方法によれば、採取筒に付与されるモーメントにより、採取筒の突起を地質サンプルに押し当てるので、地盤が硬い場合でも地質サンプル予定部に亀裂を生じさせることができる。そのため、大きな力を要さずに地質サンプルを効率よく確実に採取することができ、ひいては、機体の小型、軽量化を図ることができる。
なお、上記方法において、採取筒は掘削筒の中に配置されていてもよいし、掘削筒から離れて掘削筒と平行に配置されていてもよい。
なお、上記方法において、採取筒は掘削筒の中に配置されていてもよいし、掘削筒から離れて掘削筒と平行に配置されていてもよい。
好ましくは、上記破断工程において、上記採取筒の筒本体の内周面が、上記地質サンプル予定部の上端部において上記突起と径方向反対側に位置する当接部位に当たり、上記モーメントがこの当接部位を支点として働くことにより、上記突起を上記地質サンプル予定部に押し当てる。
上記方法によれば、地質サンプル予定部に曲げ荷重を付与した状態で突起により地質サンプル予定部を押圧するため、亀裂を生じさせやすくなる。
上記方法によれば、地質サンプル予定部に曲げ荷重を付与した状態で突起により地質サンプル予定部を押圧するため、亀裂を生じさせやすくなる。
好ましくは、上記破断工程において、上記突起の上側エッジと下側エッジを上記地質サンプル予定部に当てた状態で、上記モーメントが、上記突起の上側エッジを支点としその下側エッジを作用点して働くことにより、上記突起の下側エッジからの押圧力で上記地質サンプル予定部を破断する。
上記方法によれば、てこの原理により突起の下側エッジに大きな押圧力を付与でき、地質サンプル予定部に亀裂を生じさせやすくなる。
上記方法によれば、てこの原理により突起の下側エッジに大きな押圧力を付与でき、地質サンプル予定部に亀裂を生じさせやすくなる。
好ましくは、上記採取筒の筒本体には、上記突起より上方の位置において係止片が設けられ、この係止片は上方に進むにしたがって上記筒本体の内周から中心軸線に近づくように傾斜するとともに弾性変形可能であり、
上記回収工程で、上記係止片が上記地質サンプルの周面に食い込んで、上記地質サンプルの上記採取筒からの脱落を防ぐ。
上記方法によれば、係止片により確実に地質サンプルの脱落を防止できる。
上記回収工程で、上記係止片が上記地質サンプルの周面に食い込んで、上記地質サンプルの上記採取筒からの脱落を防ぐ。
上記方法によれば、係止片により確実に地質サンプルの脱落を防止できる。
好ましくは、上記掘削工程に先立ち、機体を遠隔操作して目的地まで移動させる機体移動工程をさらに備えている。
上記方法によれば、機体が比較的軽量なので、機体を目的地点まで簡単に移動させることができ、硬い地盤を多点にわたり効率良く調査することができる。
上記方法によれば、機体が比較的軽量なので、機体を目的地点まで簡単に移動させることができ、硬い地盤を多点にわたり効率良く調査することができる。
本発明の一態様をなす地質サンプル採取装置は、機体と、上記機体に装備された掘削筒と、上記機体に装備され上記掘削筒に対して離間し平行をなす採取筒と、上記掘削筒を回転させる回転駆動機構と、上記掘削筒を上下移動させる第1移動機構と、上記採取筒を上下移動させる第2移動機構と、上記採取筒にモーメントを付与するモーメント付与機構とを備え、
上記掘削筒は、筒本体と、この筒本体の下端に取り付けられた複数の掘削ビットとを備え、
上記採取筒は、筒本体と、この筒本体の下端部内周に設けられた突起とを備え、
上記掘削筒は上記回転駆動機構により回転しながら上記第1移動機構により下方に移動することにより、地盤に円形の環状溝と、この環状溝の径方向内側の円柱形状の地質サンプル予定部を形成し、
上記採取筒は、上記第2移動機構により下方に移動して上記環状溝に差し込まれ、
上記モーメント付与機構は、上記環状溝に差し込まれた上記採取筒の地盤より上方に位置する部位を介して上記採取筒に上記モーメントを付与することにより、上記突起を上記地質サンプル予定部に押し当て、上記地質サンプル予定部を破断して地質サンプルを得ることを特徴とする。
上記掘削筒は、筒本体と、この筒本体の下端に取り付けられた複数の掘削ビットとを備え、
上記採取筒は、筒本体と、この筒本体の下端部内周に設けられた突起とを備え、
上記掘削筒は上記回転駆動機構により回転しながら上記第1移動機構により下方に移動することにより、地盤に円形の環状溝と、この環状溝の径方向内側の円柱形状の地質サンプル予定部を形成し、
上記採取筒は、上記第2移動機構により下方に移動して上記環状溝に差し込まれ、
上記モーメント付与機構は、上記環状溝に差し込まれた上記採取筒の地盤より上方に位置する部位を介して上記採取筒に上記モーメントを付与することにより、上記突起を上記地質サンプル予定部に押し当て、上記地質サンプル予定部を破断して地質サンプルを得ることを特徴とする。
上記構成によれば、採取筒に付与されるモーメントにより、採取筒の突起を地質サンプルの予定部に押し当てるので、地盤が硬い場合でも地質サンプル予定部に亀裂を生じさせることができる。そのため、大きな力を要さずに地質サンプルを効率よく確実に採取することができ、ひいては、機体の小型、軽量化を図ることができ、機体移動手段による移動を容易にすることができる。
好ましくは、さらに、上記機体に設けられた走行部を備え、この走行部により、上記機体を移動させて上記採取筒を上記環状溝に位置決めする。
上記構成によれば、環状溝を掘削した後に、採取筒を環状溝に位置決めすることができる。
上記構成によれば、環状溝を掘削した後に、採取筒を環状溝に位置決めすることができる。
好ましくは、上記機体に、水平移動可能に移動台が設けられるとともに、この移動台を駆動する移動台駆動機構が設けられ、
上記移動台に、上記掘削筒および上記採取筒がその軸線を垂直にして上記移動台の移動方向に離間して設けられ、
上記移動台駆動機構は、上記掘削筒により上記環状溝を形成した後で上記移動台を上記掘削筒の軸線と上記採取筒の軸線の離間距離だけ移動させることにより、上記採取筒を上記環状溝に位置決めする。
上記構成によれば、環状溝を掘削した後に、採取筒を容易かつ確実に環状溝に対して位置決めすることができる。
上記移動台に、上記掘削筒および上記採取筒がその軸線を垂直にして上記移動台の移動方向に離間して設けられ、
上記移動台駆動機構は、上記掘削筒により上記環状溝を形成した後で上記移動台を上記掘削筒の軸線と上記採取筒の軸線の離間距離だけ移動させることにより、上記採取筒を上記環状溝に位置決めする。
上記構成によれば、環状溝を掘削した後に、採取筒を容易かつ確実に環状溝に対して位置決めすることができる。
好ましくは、上記採取筒の筒本体は、その外径が上記掘削ビットの外接円の径より小さく、その内径が上記掘削ビットの内接円の径より大きく、
さらに、上記採取筒における上記突起を含む下端部の内接円の径が、上記掘削ビットの内接円の径と等しいか小さい。
上記構成によれば、採取筒を環状溝に差し込んだ状態で、突起と、筒本体の内周面において突起に対向する部位とが、地質サンプル予定部に遊びなく接するため、確実に突起から地質サンプル予定部に力を付与することができる。
さらに、上記採取筒における上記突起を含む下端部の内接円の径が、上記掘削ビットの内接円の径と等しいか小さい。
上記構成によれば、採取筒を環状溝に差し込んだ状態で、突起と、筒本体の内周面において突起に対向する部位とが、地質サンプル予定部に遊びなく接するため、確実に突起から地質サンプル予定部に力を付与することができる。
本発明の他の態様をなす地質サンプル採取装置は、
機体と、この機体に装備された掘削筒と、この掘削筒内に同軸をなして収容された採取筒と、上記採取筒を回転させずに掘削筒のみを回転させる回転駆動機構と、上記掘削筒および採取筒を一緒に上下移動させる移動機構と、上記採取筒にモーメントを付与するモーメント付与機構とを備え、
上記掘削筒は、筒本体と、この筒本体の下端に取り付けられた複数の掘削ビットとを備え、
上記採取筒は、下端が上記掘削ビットより上に位置する筒本体と、この筒本体の下端部内周に設けられた突起とを備え、
上記掘削筒は上記回転駆動機構により回転しながら上記移動機構により下方に移動することにより、地盤に円形の環状溝と、この環状溝の径方向内側の円柱形状の地質サンプル予定部を形成し、
上記モーメント付与機構は、上記環状溝に差し込まれた上記掘削筒および採取筒の地盤より上方に位置する部位を介して上記採取筒に上記モーメントを付与することにより、上記突起を上記地質サンプル予定部に押し当て、上記地質サンプル予定部を破断して地質サンプルを得ることを特徴とする。
機体と、この機体に装備された掘削筒と、この掘削筒内に同軸をなして収容された採取筒と、上記採取筒を回転させずに掘削筒のみを回転させる回転駆動機構と、上記掘削筒および採取筒を一緒に上下移動させる移動機構と、上記採取筒にモーメントを付与するモーメント付与機構とを備え、
上記掘削筒は、筒本体と、この筒本体の下端に取り付けられた複数の掘削ビットとを備え、
上記採取筒は、下端が上記掘削ビットより上に位置する筒本体と、この筒本体の下端部内周に設けられた突起とを備え、
上記掘削筒は上記回転駆動機構により回転しながら上記移動機構により下方に移動することにより、地盤に円形の環状溝と、この環状溝の径方向内側の円柱形状の地質サンプル予定部を形成し、
上記モーメント付与機構は、上記環状溝に差し込まれた上記掘削筒および採取筒の地盤より上方に位置する部位を介して上記採取筒に上記モーメントを付与することにより、上記突起を上記地質サンプル予定部に押し当て、上記地質サンプル予定部を破断して地質サンプルを得ることを特徴とする。
上記構成によれば、上述した一態様をなす地質サンプル採取装置と同等の作用効果が得られる。さらに、環状溝を形成した後に、掘削筒と採取筒を一緒に引き上げるので、採取筒単独での環状溝への位置決め・差し込みが不要となり、より一層効率良く地質サンプルを採取することができる。
好ましくは、上記採取筒の突起が、上記掘削筒の掘削ビットの内接円から径方向内方向に突出している。
上記構成によれば、突起が地質サンプル予定部に遊びなく接するため、確実に突起から地質サンプル予定部に力を付与することができる。
上記構成によれば、突起が地質サンプル予定部に遊びなく接するため、確実に突起から地質サンプル予定部に力を付与することができる。
好ましくは、上記モーメント付与機構は、上記機体の傾斜角度を変えることにより上記採取筒に上記モーメントを付与する。
上記構成によれば、機体を傾斜させることにより大きなモーメントを採取筒に付与することができる。
上記構成によれば、機体を傾斜させることにより大きなモーメントを採取筒に付与することができる。
好ましくは、上記突起が上記採取筒の下端部内周において、前後の少なくとも一方に設けられ、
上記モーメント付与機構は、上記機体の前部左右と後部左右に設けられた4つのフリッパを有し、少なくとも前後いずれかに位置する上記フリッパを回動させることにより、上記機体の傾斜角度を変えて、上記採取筒に上記モーメントを付与する。
上記構成によれば、簡単な制御で、機体を傾斜させることができる。
上記モーメント付与機構は、上記機体の前部左右と後部左右に設けられた4つのフリッパを有し、少なくとも前後いずれかに位置する上記フリッパを回動させることにより、上記機体の傾斜角度を変えて、上記採取筒に上記モーメントを付与する。
上記構成によれば、簡単な制御で、機体を傾斜させることができる。
好ましくは、上記突起が上記採取筒の下端部内周において、前後の少なくとも一方に設けられ、
上記モーメント付与機構は上記機体に装備された走行部を有し、この走行部により上記機体を前後いずれかの方向に移動させることにより、上記採取筒に上記モーメントを付与する。
上記構成によれば、機体を前後方向に移動させることにより大きなモーメントを採取筒に付与することができる。
上記モーメント付与機構は上記機体に装備された走行部を有し、この走行部により上記機体を前後いずれかの方向に移動させることにより、上記採取筒に上記モーメントを付与する。
上記構成によれば、機体を前後方向に移動させることにより大きなモーメントを採取筒に付与することができる。
好ましくは、上記突起は、その上下にエッジを有する。
上記構成によれば、突起の上側のエッジが支点となり下側のエッジが作用点となって、てこの原理により大きな押圧力を下側のエッジに付与することができる。
上記構成によれば、突起の上側のエッジが支点となり下側のエッジが作用点となって、てこの原理により大きな押圧力を下側のエッジに付与することができる。
好ましくは、上記採取筒の筒本体には、上記突起より上方の位置において係止片が設けられ、この係止片は上方に進むにしたがって上記筒本体の内周から中心軸線に近づくように傾斜するとともに弾性変形可能である。この構成によれば、採取筒を引き上げる際に採取筒に収容された地質サンプルの脱落を確実に防止することができる。
好ましくは、さらに、上記機体に設けられた水中スラスタを備えている。この構成によれば、水中スラスタにより機体を目的地まで簡単に移動させることができ、多点にわたり効率良く調査することができる。
好ましくは、さらに、上記機体に設けられた水中スラスタを備えている。この構成によれば、水中スラスタにより機体を目的地まで簡単に移動させることができ、多点にわたり効率良く調査することができる。
本発明によれば、硬い地盤の地質サンプルを効率良く採取することができる。
以下、本発明の第1実施形態をなす地質サンプル採取装置について図1〜図10を参照しながら説明する。理解を容易にするために、図1において前後方向を明示しておく。図1に示すように、海底地盤の地質サンプル採取装置(以下、装置と言う)は、機体1の前後左右の4か所にプロペラ等からなる水平スラスタ2(水中スラスタ)を有し、左右2カ所に垂直スラスタ3(水中スラスタ)を有しており、その前部にビデオカメラ5を有している。これらスラスタ2,3およびビデオカメラ5は、機体1に設置された送受信器およびケーブル(いずれも図示しない)を介して、海上に浮かぶ母船の遠隔操作装置に接続されている。
母船からの遠隔操作により、スラスタ2,3を駆動することにより、上記装置は深海であっても海中を遊泳して、目的地またはその近傍まで容易に到達することができる。
上記機体1の左右それぞれには、前後一対のクローラ構造のフリッパ10a,10b(走行部、モーメント付与機構)が装備されている。これらフリッパ10a、10bの各々は、前後一対のホイール11と、これらホイール11間に架け渡された無端ベルト12とを有している。
前側のフリッパ10aは、機体1の前端部を中心として回動可能であり、後側のフリッパ10bは、機体1の後端部を中心として回動可能である。これらフリッパ10a,10bの回動中心を図1において符号Ca、Cbで示す。
海中遊泳時には、図1に示すように前側のフリッパ10aを後側に倒し、後側のフリッパ10bを前側に倒しておく。走行の際には前側のフリッパ10aを図1の状態から略180°回して前側に倒し、後側のフリッパ10bを図1の状態から略180°回して後側に倒すことにより、安定した走行が可能である。
なお、前後左右のフリッパ10a、10bは独立して前進、後退が可能であり、その結果、機体1は前進、後退のみならず、旋回も可能である。
なお、前後左右のフリッパ10a、10bは独立して前進、後退が可能であり、その結果、機体1は前進、後退のみならず、旋回も可能である。
上記機体1の前端には支柱20が固定されており、この支柱20には、昇降台21が上下方向にスライド可能に支持されている。この昇降台21は、支柱20に設けられたボールねじ機構等の駆動機構22により上下移動される。
上記昇降台21は垂直に細長く形成されており、この昇降台21には掘削部30と採取部40が前後方向に並んで支持されている。
上記掘削部30は、掘削筒31と、この掘削筒31を回転および上下動させるための第1駆動部32とを有している。
上記採取部40は、採取筒41と、この採取筒41を上下動させるための第2駆動部42とを有している。
上記掘削部30は、掘削筒31と、この掘削筒31を回転および上下動させるための第1駆動部32とを有している。
上記採取部40は、採取筒41と、この採取筒41を上下動させるための第2駆動部42とを有している。
図2に示すように、上記第1駆動部32は、上下一対のサポート33a,33bと、これらサポート33a,33bに上下端が固定された垂直をなす複数のガイドロッド34を有している。これらサポート33a,33bは、固定ブロック25a,25bを介して昇降台21にそれぞれ固定されている。
上記第1駆動部32はさらに、上記ガイドロッド34に上下方向にスライド可能に支持されたスライダ35と、このスライダ35を上下方向に移動するボールねじ機構36(第1移動機構)を有している。このボールねじ機構36は、上側のサポート33aに支持されており、垂直に延びるねじロッド36aと、このねじロッド36aに螺合されたナット(図示しない)と、このナットを回転駆動させる油圧モータ36bとを有している。このねじロッド36aの下端が上記スライダ35に固定されている。油圧モータ36bによりナットを回転させると、ねじロッド36aが上下動し、これに伴い上記スライダ35が上下動するようになっている。
上記第1駆動部32はさらに、モータ37(回転駆動機構)を有している。このモータ37は上記スライダ35に設置されており、このモータ37の出力軸37aが下方に延びて、上記掘削筒31の上端に同軸をなして固定されている。
上記掘削筒31は、上記モータ37の駆動により回転され、上記ボールねじ機構36の駆動により上下動されるようになっている。
上記掘削筒31は、下側のサポート33bに形成されたガイド穴33cに挿通されている。
上記掘削筒31は、下側のサポート33bに形成されたガイド穴33cに挿通されている。
図2に示すように、上記第2駆動部42は、上下一対のサポート43a,43bと、これらサポート43a,43bに上下端が固定された垂直をなす複数のガイドロッド44を有している。これらサポート43a,43bは、ブラケット26a,26bを介して昇降台21に固定されている。
上記第2駆動部42はさらに、上記ガイドロッド44に上下方向にスライド可能に支持されたスライダ45と、垂直をなす油圧シリンダ46(第2移動機構)とを備えている。この油圧シリンダ46は上側のサポート43aに設置され、そのロッド46aの下端がスライダ45に連結されている。
上記スライダ45の下面には、支持ブロック47が固定されており、この支持ブロック47には上記採取筒41の上端部が嵌め込まれて固定されている。
上記スライダ45の下面には、支持ブロック47が固定されており、この支持ブロック47には上記採取筒41の上端部が嵌め込まれて固定されている。
上記油圧シリンダ46の駆動により、採取筒41が上下動される。採取筒41は下側のサポート43bに形成されたガイド穴43cに挿通されている。
図3に概略的に示すように、上記掘削筒31は、円筒形状の筒本体31aと、この筒本体31aの下端に固定された複数の掘削ビット31bとを有している。図3では図面を簡略化するために2つの掘削ビット31bを示すが、3つ以上とするのが好ましい。
上記掘削ビット31bの外接円の径Dxは、筒本体31aの外径Daより大きく、掘削ビット31bの内接円の径Dyは、筒本体31aの内径Dbより小さい。
図2では、上記掘削ビット31bを省略し掘削筒31を簡略化して示す。その代りに、掘削筒31の外径及び内径を掘削ビット31bの外接円、内接円とほぼ等しくして実際より厚肉で示す。
図2では、上記掘削ビット31bを省略し掘削筒31を簡略化して示す。その代りに、掘削筒31の外径及び内径を掘削ビット31bの外接円、内接円とほぼ等しくして実際より厚肉で示す。
図4に示すように、上記採取筒41は、円筒形状の筒本体41aと、この筒本体41aの下端部内周に配置された突起41bと、この突起41bの上方に配置された複数(例えば4つ)の係止片41cとを有している。
上記採取筒41の筒本体41aは、上記掘削筒31の筒本体31aと略同程度の内径および外径を有しており、その外径Da’は上記掘削ビット31bの外接円の径Dxより小さく、その内径Db’は上記掘削ビット31bの内接円の径Dyより大きい。
本実施形態では、上記突起41bは上記筒本体41aの内周のうち最も前方に位置する1箇所に配置され、筒本体41aの周壁にねじ込まれたねじの頭部により構成されている。
上記採取筒41において、上記突起41bを含む下端部の内接円の径Dcは、上記掘削ビット31bの内接円の径Dyと等しいか若干小さい。本実施形態では、1〜2mm程小さい。
上記採取筒41において、上記突起41bを含む下端部の内接円の径Dcは、上記掘削ビット31bの内接円の径Dyと等しいか若干小さい。本実施形態では、1〜2mm程小さい。
図10に示すように、上記突起41bは、その平坦な頂面を囲む環状のエッジを有している。以下の説明では、このエッジの上側部分を上側エッジ41xと称し、下側部分を下側エッジ41yと称す。
上記係止片41cは周方向に等間隔に配置されており、各係止片41cは、採取筒41の筒本体41aの周壁に逆U字形の切り込みを形成し、この切り込みで囲われた部分を径方向内側に折り曲げることにより構成されている。そのため、係止片41cは、上方に進むにしたがって中心軸線に近づくように傾斜している。係止片41cは径方向外方向に弾性変形可能である。
上記装置は深海の海底地盤Aの地質サンプルを採取するために用いられる。装置は母船からの遠隔操作でスラスタ2,3を制御することにより、海底の目的地に着地することができる。なお、本実施形態では走行可能なクローラ構造のフリッパ10a,10bを装備しているので、着地後に簡単に装置の位置を調整することができる。
装置はさらに遠隔操作により次の採取工程を実行する。採取工程前には、フリッパ10a,10bは、図1に示す格納位置にしておく。
図5〜図9を参照しながら採取工程を順を追って説明する。なお、図8は理解を容易にするために誇張して示している。
第1工程(機体移動工程)
図1に示すように、前後左右のフリッパ10a,10bを駆動して機体1を移動させ、上記掘削筒31を、地質サンプルを採取する場所の真上に位置決めする。
装置はさらに遠隔操作により次の採取工程を実行する。採取工程前には、フリッパ10a,10bは、図1に示す格納位置にしておく。
図5〜図9を参照しながら採取工程を順を追って説明する。なお、図8は理解を容易にするために誇張して示している。
第1工程(機体移動工程)
図1に示すように、前後左右のフリッパ10a,10bを駆動して機体1を移動させ、上記掘削筒31を、地質サンプルを採取する場所の真上に位置決めする。
第2工程
図5、図8Aに示すように、駆動機構22を駆動して昇降台21を下降させ、掘削筒31、採取筒41を地盤Aに近づける。
図5、図8Aに示すように、駆動機構22を駆動して昇降台21を下降させ、掘削筒31、採取筒41を地盤Aに近づける。
第3工程(掘削工程)
図6、図8Bに示すように、第1駆動部32のモータ37を駆動して掘削筒31を回転させながら、ボールねじ機構36のモータ36bを駆動して掘削筒31を下降させる。これにより、掘削筒31の掘削ビット31bが地盤Aを掘削し、円形の環状溝50を形成するとともに、この環状溝50の内側に円柱形状の地質サンプル予定部51を形成する。この地質サンプル予定部51はその根元で地盤Aに連なっている。
図6、図8Bに示すように、第1駆動部32のモータ37を駆動して掘削筒31を回転させながら、ボールねじ機構36のモータ36bを駆動して掘削筒31を下降させる。これにより、掘削筒31の掘削ビット31bが地盤Aを掘削し、円形の環状溝50を形成するとともに、この環状溝50の内側に円柱形状の地質サンプル予定部51を形成する。この地質サンプル予定部51はその根元で地盤Aに連なっている。
第4工程
上記掘削筒31の回転を停止し、ボールねじ機構36により掘削筒31を上昇させ、図8Aと同じ高さに戻す。
上記掘削筒31の回転を停止し、ボールねじ機構36により掘削筒31を上昇させ、図8Aと同じ高さに戻す。
第5工程
上記フリッパ10a,10bを駆動させて機体1を移動させ、図8Cに示すように、採取筒41を上記環状溝50の真上に位置させる。この移動は、機体1に設けたビデオカメラ5の映像に基づき、遠隔操作により行う。
上記フリッパ10a,10bを駆動させて機体1を移動させ、図8Cに示すように、採取筒41を上記環状溝50の真上に位置させる。この移動は、機体1に設けたビデオカメラ5の映像に基づき、遠隔操作により行う。
第6工程
上記第2駆動部42の油圧シリンダ46を駆動して、図8Dに示すように採取筒41を上記環状溝50に差し込み、下端を環状溝50の底に突き当てる。
図8Dでは採取筒41が環状溝50に遊びを有して差し込まれているように示されているが、実際には図9に示すように、採取筒41の筒本体41aの内周面において、突起41bと径方向反対側の部位は、地質サンプル予定部51の外周に接している。突起41bは地質サンプル予定部51の外周を若干量削りながら下降し、地質サンプル予定部51の外周に若干量食い込む。上記採取筒41において上記突起41cを含む部位の内接円の径Dcが、上記掘削ビット31bの内接円の径Dyより若干小さいからである。
上記第2駆動部42の油圧シリンダ46を駆動して、図8Dに示すように採取筒41を上記環状溝50に差し込み、下端を環状溝50の底に突き当てる。
図8Dでは採取筒41が環状溝50に遊びを有して差し込まれているように示されているが、実際には図9に示すように、採取筒41の筒本体41aの内周面において、突起41bと径方向反対側の部位は、地質サンプル予定部51の外周に接している。突起41bは地質サンプル予定部51の外周を若干量削りながら下降し、地質サンプル予定部51の外周に若干量食い込む。上記採取筒41において上記突起41cを含む部位の内接円の径Dcが、上記掘削ビット31bの内接円の径Dyより若干小さいからである。
図示しないが、本実施形態では、採取筒41が環状溝50の底に突き当たった後、さらに採取筒41を機体1に対して下降させることにより、機体1が若干後側に傾斜し、前側のフリッパ10aが地盤Aから浮き、後側のフリッパ10bだけが地盤Aに接地した状態になる。
第7工程(破断工程)
図7に示すように、上記後側のフリッパ10bを180°以上回動させて機体1の後端部を持ち上げる。これにより、機体1は浮いた状態で水平になり、さらに前側に傾こうとする。これにより、採取筒41には、採取筒41を前側に傾かせようとするモーメントが付与される。
なお、図8Eでは採取筒41を前側に大きく傾いた状態で示すが、実際には図7、図9に示すように採取筒41は地質サンプル予定部51の抵抗を受けて殆ど傾かない。
図7に示すように、上記後側のフリッパ10bを180°以上回動させて機体1の後端部を持ち上げる。これにより、機体1は浮いた状態で水平になり、さらに前側に傾こうとする。これにより、採取筒41には、採取筒41を前側に傾かせようとするモーメントが付与される。
なお、図8Eでは採取筒41を前側に大きく傾いた状態で示すが、実際には図7、図9に示すように採取筒41は地質サンプル予定部51の抵抗を受けて殆ど傾かない。
上記採取筒41に付与されるモーメントにより、採取筒41は地質サンプル予定部51の上端部において突起41bと径方向反対側の部位(当接部位)を押すため、地質サンプル予定部51の根元には曲げ応力が生じる。
また、図9に示すように、上記当接部位が支点Pとなり、上記モーメントにより、採取筒41の突起41b全体を地質サンプル予定部51の根元に向かって押す力F1が生じる。これにより、突起41bの上側エッジ41x、下側エッジ41yが確実に地質サンプル予定部51の外周に押し当たった状態が得られる。
また、図9に示すように、上記当接部位が支点Pとなり、上記モーメントにより、採取筒41の突起41b全体を地質サンプル予定部51の根元に向かって押す力F1が生じる。これにより、突起41bの上側エッジ41x、下側エッジ41yが確実に地質サンプル予定部51の外周に押し当たった状態が得られる。
上記採取筒41に付与されるモーメントは、図10のように突起41bの上側エッジ41xを支点とし、下側エッジ41yを作用点としても働く。この支点と作用点の距離は短いので、下側エッジ41yには非常に大きな力F2が付与される。その結果、図8Eに示すように、地質サンプル予定部51の根元に亀裂52が生じて破断し、地盤Aから独立した地質サンプル55が得られる。上述したように地質サンプル予定部51の根元に曲げ荷重が作用していることによっても、亀裂の発生を助ける。
後側のフリッパ10bを立てただけでは地質サンプル予定部51の根元に亀裂52が生じない場合には、図7、図8E、図9の状態で後側のフリッパ10bを駆動して、機体1を前進させることにより、より大きなモーメントを採取筒41に付与して亀裂52を生じさせる。
それでも亀裂52が生じない場合には、後側のフリッパ10bの駆動により機体1を後退させてから再び前進させることにより、その衝撃を利用して一層大きなモーメントを採取筒41に付与し、亀裂52を生じさせる。
上記機体1の前進後退を繰り返してもよい。
それでも亀裂52が生じない場合には、後側のフリッパ10bの駆動により機体1を後退させてから再び前進させることにより、その衝撃を利用して一層大きなモーメントを採取筒41に付与し、亀裂52を生じさせる。
上記機体1の前進後退を繰り返してもよい。
第8工程(回収工程)
後側のフリッパ10bを回動させて元の位置に戻し、上記第2駆動部42の油圧シリンダ46を駆動することにより、図8Fに示すように採取筒41を上昇させる。この際、突起41bが地質サンプル55に食い込んでいること、および係止片41cが地質サンプル55に食い込んでいることにより、地質サンプル55は採取筒41に収容されたまま脱落せずに環状溝50から引き上げることができる。
第9工程
最後に、昇降台21を上昇させる。
後側のフリッパ10bを回動させて元の位置に戻し、上記第2駆動部42の油圧シリンダ46を駆動することにより、図8Fに示すように採取筒41を上昇させる。この際、突起41bが地質サンプル55に食い込んでいること、および係止片41cが地質サンプル55に食い込んでいることにより、地質サンプル55は採取筒41に収容されたまま脱落せずに環状溝50から引き上げることができる。
第9工程
最後に、昇降台21を上昇させる。
上記実施形態において、フリッパ10a,10bの駆動により機体1を前進または後退させたり、前進・後退を繰り返すだけで、地質サンプル予定部51にモーメントを付与してもよい。
さらに、機体を水中で移動させるためのスラスタ2,3をモーメント付与機構として用いてもよい。すなわち、これらスラスタ2,3を駆動することにより、地質サンプル予定部51にモーメントを付与してもよい。
さらに、機体を水中で移動させるためのスラスタ2,3をモーメント付与機構として用いてもよい。すなわち、これらスラスタ2,3を駆動することにより、地質サンプル予定部51にモーメントを付与してもよい。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。これら実施形態において先行する実施形態に対応する構成部には同番号を付してその詳細な説明を省略する。
図11に示す第2実施形態では、機体1の昇降台22(図1参照)またはこの昇降台22に固定された支持台60の前面に左右に水平に延びる複数のガイドレール61が上下に離間して固定されている。このガイドレール61には、移動台62が左右方向にスライド可能に支持されている。この移動台62は、油圧シリンダ等の移動台駆動機構63により、図示の第1位置から、それより右側に所定距離離れた第2位置までの間で移動されるようになっている。
図11に示す第2実施形態では、機体1の昇降台22(図1参照)またはこの昇降台22に固定された支持台60の前面に左右に水平に延びる複数のガイドレール61が上下に離間して固定されている。このガイドレール61には、移動台62が左右方向にスライド可能に支持されている。この移動台62は、油圧シリンダ等の移動台駆動機構63により、図示の第1位置から、それより右側に所定距離離れた第2位置までの間で移動されるようになっている。
上記移動台62には、掘削部30と採取部40が左右に離れて設けられている。掘削部30の掘削筒31の中心軸線と採取部40の採取筒41の中心軸線との間の距離Dは、上記移動台62の第1位置と第2位置との間の移動ストロークと等しい。
上記第2実施形態では、上記移動台62が上記第1位置にある時に、掘削筒31で掘削を行うことにより環状溝50を形成し、掘削終了後に移動台62を第2位置まで移動させて採取筒41を環状溝50に対して位置決めする。これにより、機体1を移動させずに採取筒41の位置決めを行うことができる。
図12〜図14に本発明の第3実施形態を示す。この実施形態において、上記掘削筒31が、上記モータ37の駆動により回転され、上記ボールねじ機構36(移動機構)の駆動により上下動される点は、第1実施形態と同様である。
図13に示すように、採取筒41が掘削筒31に同軸をなして収容されている点が、第1実施形態と大きく異なる。この採取筒41の上端には軸部41dが形成され、この軸部41dが、軸受49を介してコネクタ39に回転可能に支持されている。このコネクタ39は、モータ37の出力軸37aを掘削筒31の上端に固定するものである。これにより、モータ37の回転は、掘削筒31にのみ伝達され採取筒41には伝達されない。
図14に示すように、採取筒41の下端は掘削筒31の下端に取り付けられた掘削ビット31bより上に位置している。採取筒41の内径は複数の掘削ビット31bの内接円の径より大きい。採取筒41の下端部内周に設けられた突起41bは、第1実施形態と同様に上記筒本体41aの内周のうち最も前方に位置する1箇所に配置され、掘削ビット31bの内接円から図中符号Tで示す量だけ径方向内側に突出している。
上記第3実施形態では、第1実施形態の第1工程〜第3工程と同様にして、掘削筒31の掘削ビット31bが地盤を掘削し、円形の環状溝を形成するとともに、この環状溝の内側に円柱形状の地質サンプル予定部51を形成する。第1実施形態と異なるのは、環状溝の形成過程で、採取筒41も掘削筒31と一緒に下降する点である。ただし、採取筒41は地質サンプル予定部51の外周に接しており回転しない。
環状溝を形成した後、掘削筒31を引き上げずに、掘削筒31と採取筒41の2重管に第1実施形態と同様にモーメントを付与する。これにより、地質サンプル予定部51の根元を破断して地質サンプルを得る。
その後で、ボールねじ機構36(移動機構)を駆動して、掘削筒31と採取筒41の2重管を引き上げ、地質サンプルを回収する。
その後で、ボールねじ機構36(移動機構)を駆動して、掘削筒31と採取筒41の2重管を引き上げ、地質サンプルを回収する。
上記第3実施形態では、第1実施形態における、環状溝を形成した後の掘削筒31の引き上げ、採取筒41の位置決めおよび下降工程が不要となり、作業効率をさらに向上させることができる。
図15に示す第4実施形態は、第1実施形態のクローラ構造のフリッパ10a.10bの代わりに、所定厚さのボードからなるフリッパ10a’,10b’(モーメント付与機構)を用いる。このフリッパ10a’,10b’は、第1実施形態と同様に回転中心Ca,Cbを中心に回動可能であり、クローラ構造のフリッパと同様の機体傾斜機能を果たすことができる。
なお、このフリッパ10a’,10b’を第3実施形態で用いてもよい。
なお、このフリッパ10a’,10b’を第3実施形態で用いてもよい。
図16A〜16Cに示す第5実施形態では、機体1の左右にクローラ70(走行部)が装備されている。さらに機体1の前面には、第1実施形態と同様に掘削部と採取部(図示しない)が設けられている。
さらに機体1には、各クローラ70の前方お呼び後方に油圧シリンダ71,72(モーメント付与機構)が装備されている。図16Aに示すように、これら油圧シリンダ71,72は垂直に配置され、そのロッド71a、72aはクローラ70による走行状態では後退位置にあり、クローラ70の接地面より高く、走行の支障とはならない。
第1実施形態と同様にして環状溝に採取筒を差し込んだ後、図16Bに示すように後側の油圧シリンダ72を駆動して機体1を前に傾けることにより、採取筒にモーメントを付与し、地質サンプル予定部の根元を破断する。破断しない場合には図16Cに示すように前側の油圧シリンダ71を駆動させて機体1を後に一旦傾けた後で、再び図16Bに示すように前側に傾ける。これを繰り返すことにより、地質サンプル予定部の根元を破断する。
本発明は上記実施形態に制約されず、種々採用可能である。
上記実施形態では突起は採取筒の下端部内周において最も前方の1か所に配置したが、この最前方位置及び/又はこの最前方位置から所定角度(90°未満)離れた複数箇所に配置してもよい。
上記実施形態では突起は採取筒の下端部内周において最も前方の1か所に配置したが、この最前方位置及び/又はこの最前方位置から所定角度(90°未満)離れた複数箇所に配置してもよい。
突起を採取筒の下端部内周において、最後方位置及び/又はこの最後方位置から所定角度(90°未満)離れた複数箇所に向けてもよい。この場合には、採取筒に付与するモーメントの方向は第1実施形態とは逆になる。
また、突起は採取筒の左右いずれかに配置してもよい。この場合には機体を左右に傾けることにより採取筒にモーメントを付与する。
また、突起は採取筒の左右いずれかに配置してもよい。この場合には機体を左右に傾けることにより採取筒にモーメントを付与する。
上記突起は種々の形状を採用可能である。例えば、1か所だけにエッジまたは尖点部を有していてもよい。この場合には、採取筒に付与されるモーメントにより、地質サンプル予定部の上端部を支点として突起に押圧力を付与する。採取筒は遊びをもって環状溝に差し込んでもよい。突起は全周にわたって複数箇所、あるいは採取筒内周に環状に形成してもよい。
モーメントが大きい場合には、突起はエッジや尖点部を有さなくてもよい。
モーメントが大きい場合には、突起はエッジや尖点部を有さなくてもよい。
採取筒へのモーメントの付与は、走行部による前進または後退だけで行ってもよい。また、機体に設けた揺動機構で採取筒を揺動させることにより、モーメントを付与してもよい。
第1、第2実施形態では、地質サンプル予定部の根元より浅い位置で地質サンプル予定部を破断してもよい。
採取筒の係止片は筒本体と別体であってもよい。
また、係止片を省いてもよい。この場合、突起のみで地質サンプルを保持する。
本発明は、陸上の地質サンプルを採取する場合にも用いることができる。また、地盤は廃棄部の堆積により構成された山であってもよい。
第1、第2実施形態では、地質サンプル予定部の根元より浅い位置で地質サンプル予定部を破断してもよい。
採取筒の係止片は筒本体と別体であってもよい。
また、係止片を省いてもよい。この場合、突起のみで地質サンプルを保持する。
本発明は、陸上の地質サンプルを採取する場合にも用いることができる。また、地盤は廃棄部の堆積により構成された山であってもよい。
本発明は、地質サンプルを採取するために用いることができる。
Claims (17)
- 機体(1)と、上記機体に装備された掘削筒(31)および採取筒(41)と、を備え、上記採取筒が、円筒形状の筒本体(41a)とその下端部内周に設けられた突起(41b)とを有する採取装置を用意する工程と、
地盤を上記掘削筒(31)で掘ることにより、円形の環状溝(50)を形成し、この環状溝の径方向内側に円柱形状の地質サンプル予定部(51)を形成する掘削工程と、
上記採取筒(41)を上記環状溝(50)に差し込んだ状態で、上記採取筒の上記地盤から突出した部位を介して、上記採取筒にモーメントを付与することにより、上記突起(41b)を上記地質サンプル予定部(51)に押し当て、上記地質サンプル予定部を破断して地質サンプル(55)を得る破断工程と、
上記地質サンプル(55)を上記採取筒(41)内に保持したまま、上記採取筒を引き上げる回収工程と、
を備えたことを特徴とする地質サンプル採取方法。 - 上記破断工程において、上記採取筒(41)の筒本体(41a)の内周面が、上記地質サンプル予定部(51)の上端部において上記突起(41b)と径方向反対側に位置する当接部位に当たり、上記モーメントがこの当接部位を支点として働くことにより、上記突起を上記地質サンプル予定部に押し当てることを特徴とする請求項1に記載の地質サンプル採取方法。
- 上記破断工程において、上記突起(41b)の上側エッジ(41x)と下側エッジ(41y)を上記地質サンプル予定部(51)に当てた状態で、上記モーメントが、上記突起の上側エッジを支点としその下側エッジを作用点して働くことにより、上記突起の下側エッジからの押圧力で上記地質サンプル予定部を破断することを特徴とする請求項2に記載の地質サンプル採取方法。
- 上記採取筒(41)の筒本体(41a)には、上記突起(41b)より上方の位置において係止片(41c)が設けられ、この係止片は上方に進むにしたがって上記筒本体の内周から中心軸線に近づくように傾斜するとともに弾性変形可能であり、
上記回収工程で、上記係止片(41c)が上記地質サンプル(55)の周面に食い込んで、上記地質サンプルの上記採取筒(41)からの脱落を防ぐことを特徴とする請求項1に記載の地質サンプル採取方法。 - 上記掘削工程に先立ち、機体(1)を遠隔操作して目的地まで移動させる機体移動工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の地質サンプル採取方法。
- 機体(1)と、この機体に装備された掘削筒(31)と、上記機体に装備され上記掘削筒に対して離間し平行をなす採取筒(41)と、上記掘削筒を回転させる回転駆動機構(37)と、上記掘削筒を上下移動させる第1移動機構(36)と、上記採取筒を上下移動させる第2移動機構(46)と、上記採取筒にモーメントを付与するモーメント付与機構(10a,10b;10a’,10b’;71,72)とを備え、
上記掘削筒(31)は、筒本体(31a)と、この筒本体の下端に取り付けられた複数の掘削ビット(31b)とを備え、
上記採取筒(41)は、筒本体(41a)と、この筒本体の下端部内周に設けられた突起(41b)とを備え、
上記掘削筒(31)は上記回転駆動機構(37)により回転しながら上記第1移動機構(36)により下方に移動することにより、地盤に円形の環状溝(50)と、この環状溝の径方向内側の円柱形状の地質サンプル予定部(51)を形成し、
上記採取筒(41)は、上記第2移動機構(46)により下方に移動して上記環状溝(50)に差し込まれ、
上記モーメント付与機構(10a,10b;10a’,10b’;71,72)は、上記環状溝(50)に差し込まれた上記採取筒(41)の地盤より上方に位置する部位を介して上記採取筒に上記モーメントを付与することにより、上記突起(41b)を上記地質サンプル予定部(51)に押し当て、上記地質サンプル予定部を破断して地質サンプル(55)を得ることを特徴とする地質サンプル採取装置。 - さらに、上記機体(1)に設けられた走行部(10a,10b)を備え、この走行部により、上記機体を移動させて上記採取筒(41)を上記環状溝(50)に位置決めすることを特徴とする請求項6に記載の地質サンプル採取装置。
- 上記機体(1)に、水平移動可能に移動台(62)が設けられるとともに、この移動台を駆動する移動台駆動機構(63)が設けられ、
上記移動台(62)に、上記掘削筒(31)および上記採取筒(41)がその軸線を垂直にして上記移動台の移動方向に離間して設けられ、
上記移動台駆動機構(63)は、上記掘削筒(31)により上記環状溝(50)を形成した後で上記移動台(62)を上記掘削筒の軸線と上記採取筒(41)の軸線の離間距離だけ移動させることにより、上記採取筒を上記環状溝に位置決めすることを特徴とする請求項6に記載の地質サンプル採取装置。 - 上記採取筒(41)の筒本体(41a)は、その外径が上記掘削ビット(31b)の外接円の径より小さく、その内径が上記掘削ビットの内接円の径より大きく、
さらに、上記採取筒(41)における上記突起(41b)を含む下端部の内接円の径が、上記掘削ビットの内接円の径と等しいか小さいことを特徴とする請求項6に記載の地質サンプル採取装置。 - 機体(1)と、この機体に装備された掘削筒(31)と、この掘削筒内に同軸をなして収容された採取筒(41)と、上記採取筒を回転させずに掘削筒のみを回転させる回転駆動機構(37)と、上記掘削筒および採取筒を一緒に上下移動させる移動機構(36)と、上記採取筒にモーメントを付与するモーメント付与機構(10a,10b;10a’,10b’;71,72)とを備え、
上記掘削筒(31)は、筒本体(31a)と、この筒本体の下端に取り付けられた複数の掘削ビット(31b)とを備え、
上記採取筒(41)は、下端が上記掘削ビットより上に位置する筒本体(41a)と、この筒本体の下端部内周に設けられた突起(41b)とを備え、
上記掘削筒(31)は上記回転駆動機構(37)により回転しながら上記移動機構(36)により下方に移動することにより、地盤に円形の環状溝(50)と、この環状溝の径方向内側の円柱形状の地質サンプル予定部(51)を形成し、
上記モーメント付与機構(10a,10b;10a’,10b’;71,72)は、上記環状溝(50)に差し込まれた上記掘削筒(31)および採取筒(41)の地盤より上方に位置する部位を介して上記採取筒に上記モーメントを付与することにより、上記突起(41b)を上記地質サンプル予定部(51)に押し当て、上記地質サンプル予定部を破断して地質サンプル(55)を得ることを特徴とする地質サンプル採取装置。 - 上記採取筒(41)の突起(41b)が、上記掘削筒(31)の掘削ビット(31b)の内接円から径方向内方向に突出していることを特徴とする請求項10に記載の地質サンプル採取装置。
- 上記モーメント付与機構(10a,10b;10a’,10b’;71,72)は、上記機体(1)の傾斜角度を変えることにより上記採取筒(41)に上記モーメントを付与することを特徴とする請求項6または10に記載の地質サンプル採取装置。
- 上記突起(41b)が上記採取筒(41)の下端部内周において、前後の少なくとも一方に設けられ、
上記モーメント付与機構は、上記機体(1)の前部左右と後部左右に設けられた4つのフリッパ(10a,10b;10a’,10b’)を有し、少なくとも前後いずれかに位置する上記フリッパを回動させることにより、上記機体の傾斜角度を変えて、上記採取筒(41)に上記モーメントを付与することを特徴とする請求項12に記載の地質サンプル採取装置。 - 上記突起(41b)が上記採取筒(41)の下端部内周において、前後の少なくとも一方に設けられ、
上記モーメント付与機構は上記機体(1)に装備された走行部(10a,10b)を有し、この走行部により上記機体を前後いずれかの方向に移動させることにより、上記採取筒(41)に上記モーメントを付与することを特徴とする請求項6または10に記載の地質サンプル採取装置。 - 上記突起(41b)は、その上下にエッジ(41x、41y)を有することを特徴とする請求項6または10に記載の地質サンプル採取装置。
- 上記採取筒(41)の筒本体(41a)には、上記突起(41b)より上方の位置において係止片(41c)が設けられ、この係止片は上方に進むにしたがって上記筒本体の内周から中心軸線に近づくように傾斜するとともに弾性変形可能であることを特徴とする請求項6または10に記載の地質サンプル採取装置。
- さらに、上記機体(1)に設けられた水中スラスタ(2,3)を備えたことを特徴とする請求項6または10に記載の地質サンプル採取装置。
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