JPWO2017098852A1 - 酸化物誘電体及びその製造方法、並びに固体電子装置及びその製造方法 - Google Patents

酸化物誘電体及びその製造方法、並びに固体電子装置及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の1つの酸化物誘電体からなる酸化物層30は、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有する、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物(不可避不純物を含み得る)を含み、該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該ニオブ(Nb)の原子数が、0.5以上1.7未満、かつ該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該チタン(Ti)の原子数が0超1.3未満である。

Description

本発明は、酸化物誘電体及びその製造方法、並びに固体電子装置及びその製造方法に関する。
従来から、機能性を備えた各種の組成からなる酸化物層が開発されている。また、その酸化物層を備える固体電子装置の一例として、高速動作を期待できる強誘電体薄膜を備えた装置が開発されている。また、固体電子装置に用いる誘電体材料として、鉛(Pb)を含まず、比較的低温で焼成可能な酸化物層として、BiNbOが開発されている。このBiNbOについては、固相成長法によって形成されたBiNbOの誘電特性が報告されている(非特許文献1)。また、特許文献の中には、1kHzにおける比誘電率が60以上という、比較的比誘電率の高いビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物層も開示されている(特許文献1〜3)。
国際公開第WO2013/069470号 国際公開第WO2013/069471号 特開2015−67475号公報
Effect of phase transition on the microwave dielectric properties of BiNbO4, Eung Soo Kim, Woong Choi, Journal of the European Ceramic Society 26 (2006) 1761−1766
産業界においては、キャパシタ又はコンデンサ(以下、総称して「キャパシタ」という)、半導体装置、あるいは微小電気機械システム等を含む固体電子装置の高性能化を実現するために、高い比誘電率のみならず、低い誘電損失(tanδ)の電気特性を備える酸化物誘電体及び酸化物誘電体層が求められている。加えて、そのような特性を有する酸化物誘電体の製造プロセスにおける、特に加熱温度に関する自由度が高ければ、より安定的に、かつ高い信頼性を実現し得る、酸化物誘電体の製造が可能となる。
なお、その他の固体電子装置の例である、高周波フィルタや、パッチアンテナ、半導体装置、微小電気機械システム、又はRCLのうち少なくとも2つを含む複合デバイスにおいても、より低い誘電損失(tanδ)の実現は、重要な技術課題の一つである。
また、従来技術では、真空プロセスやフォトリソグラフィー法を用いたプロセス等、比較的長時間、及び/又は高価な設備を要するプロセスが一般的であるため、原材料や製造エネルギーの使用効率が非常に悪くなる。上述のような製造方法が採用された場合、固体電子装置を製造するために多くの処理と長時間を要するため、工業性ないし量産性の観点から好ましくない。また、従来技術には、大面積化が比較的困難であるという問題も存在する。
本発明は、上述の諸問題の少なくとも1つを解決することにより、酸化物を少なくとも誘電体又は絶縁体(以下、総称して、「誘電体」という)として用いた固体電子装置の高性能化、又はそのような固体電子装置の製造プロセスの簡素化と省エネルギー化を実現する。その結果、本発明は、工業性ないし量産性に優れた酸化物誘電体、及びその酸化物誘電体を備える固体電子装置の提供に大きく貢献するものである。
本願発明者らは、これまで、比較的誘電率の高いビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物(以下、「BNO酸化物」ともいう)の諸特性の改善又は向上に向けて鋭意検討と分析を重ねてきた。しかしながら、発明者らは、BNO酸化物のみに着目するだけではなく、別の元素も考慮に加えた上で、酸化物誘電体のさらなる電気特性の向上(特に、非常に低い誘電損失)を実現することも重要であると考えた。
そこで、発明者らが試行錯誤に加えて、詳細な分析と発想の転換を繰り返した結果、多くの元素の組み合わせの中から、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物が、現時点においては極めて低い誘電損失の値を実現し得ることを見出した。さらに興味深いことに、前述の組成を有する酸化物は、BNO酸化物にとっては考えられないほどの高温での加熱処理が行われても、パイロクロア型結晶構造の結晶相が発現し得ることが分かった。その結果、高い比誘電率を保持しつつ、極めて低い誘電損失の値を実現し得る酸化物を製造することが可能となった。
また、発明者らは、その酸化物誘電体の製造方法において、高真空状態を要しない方法を採用することによって、廉価で、かつ簡便な製造工程を実現することを見出した。そのような製造工程のうち、代表的なものは、スクリーン印刷法又は「ナノインプリント」とも呼ばれる「型押し」加工法である。発明者らは、その酸化物誘電体からなる酸化物層を、安価で簡便な前述の各方法によってパターニングをすることが可能であることも併せて見出した。その結果、発明者らは、高性能の酸化物の実現とともに、従来と比較して大幅に簡素化又は省エネルギー化、並びに大面積化も容易なプロセスによって、その酸化物誘電体の形成、ひいてはそれらの酸化物誘電体を備えた固体電子装置の製造が可能であるとの知見を得た。本発明は上述の各視点に基づいて創出された。
本発明の1つの酸化物誘電体は、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有する、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物(不可避不純物を含み得る)を含み、該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該ニオブ(Nb)の原子数が、0.5以上1.7未満、かつ該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該チタン(Ti)の原子数が0超1.3未満である。
この酸化物誘電体は、比較的高い比誘電率を保持したままで、非常に低い誘電損失(tanδ)の値(代表的には、周波数が1kHzにおいて0.001未満)を実現し得る。ところで、この酸化物誘電体においては、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物(不可避不純物を含み得る。以下、本願における全ての酸化物について同じ。)が、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有している。加えて、上述の原子組成比の範囲を採用されることにより、前述の酸化物を、仮に高温(例えば、600℃以上800℃以下、代表的には620℃超800℃以下)で加熱したとしても、CuKα特性X線を用いたXRD測定においてβ−BiNbO型結晶構造の発現が抑制されることが明らかになった。なお、該酸化物誘電体中の少なくともチタン(Ti)の存在が、前述の結晶構造の特異性を創出する役割を担っていると考えられる。
ところで、上述のニオブ(Nb)の原子数と上述のチタン(Ti)の原子数との和が1以上2.6以下であることは、より確度高く、比較的高い比誘電率を保持しつつ、極めて低い誘電損失の値を実現し得る酸化物誘電体を実現し得るため、好適な一態様である。
また、本発明の1つの酸化物誘電体の製造方法は、ビスマス(Bi)を含む前駆体、ニオブ(Nb)を含む前駆体、及びチタン(Ti)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする前駆体層を、酸素含有雰囲気中において加熱する加熱処理により、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有する、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物(不可避不純物を含み得る)を含み、該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該ニオブ(Nb)の原子数が、0.5以上1.3未満、かつ該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該チタン(Ti)の原子数が0超1.3未満である酸化物誘電体の層を形成する工程を含む。
この酸化物誘電体の製造方法によれば、比較的高い比誘電率を保持したままで、非常に低い誘電損失(tanδ)の値(代表的には、周波数が1kHzにおいて0.001未満)を実現する酸化物誘電体を製造することができる。ところで、この製造方法によって製造される酸化物誘電体においては、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物(不可避不純物を含み得る。以下、本願における全ての酸化物について同じ。)が、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有している。加えて、上述の原子組成比の範囲を採用されることにより、前述の酸化物を、仮に高温(例えば600℃以上800℃以下、代表的には620℃超800℃以下)で加熱したとしても、CuKα特性X線を用いたXRD測定においてβ−BiNbO型結晶構造が抑制されることが明らかになった。なお、該酸化物誘電体中の少なくともチタン(Ti)の存在が、前述の結晶構造の特異性を創出する役割を担っていると考えられる。
ところで、上述のニオブ(Nb)の原子数と上述のチタン(Ti)の原子数との和が1以上2.6以下であることは、より確度高く、比較的高い比誘電率を保持しつつ、極めて低い誘電損失の値を実現し得る酸化物誘電体を製造し得るため、好適な一態様である。
また、上述の酸化物誘電体の製造方法は、フォトリソグラフィー法を用いない比較的簡素な処理(例えば、インクジェット法、スクリーン印刷法、凹版/凸版印刷法、又はナノインプリント法)によって酸化物層が形成され得る。これにより、真空プロセスを用いたプロセスのような、比較的長時間及び/又は高価な設備を必要とするプロセスが不要になる。その結果、上述の各酸化物層の製造方法は、工業性又は量産性に優れる。
具体的な一例においては、上述の製造方法の発明において、上述の酸化物誘電体の層を形成する前に、酸素含有雰囲気中において80℃以上250℃以下で上述の前駆体層を加熱した状態で型押し加工を施すことによって、該前駆体の型押し構造が形成されることは、真空プロセスを用いたプロセスのような、比較的長時間及び/又は高価な設備を必要とするプロセスを不要にする観点から、採用し得る好適な一態様である。
なお、本願において、「酸素含有雰囲気中」とは、酸素雰囲気中又は大気中を意味する。また、本願における「層」は、層のみならず膜をも含む概念である。逆に、本願における「膜」は、膜のみならず層をも含む概念である。
本発明の1つの酸化物誘電体は、比較的高い比誘電率を保持したままで、非常に低い誘電損失(tanδ)の値を実現し得る。
また、本発明の1つの酸化物誘電体の製造方法によれば、比較的高い比誘電率を保持したままで、非常に低い誘電損失(tanδ)の値を実現する酸化物誘電体を製造することができる。
本発明の第1の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの全体構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 参考例における、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)からなる酸化物の加熱温度の違い、及び焼成時間の違いによる、該酸化物の結晶構造を示すX線回析(XRD)の測定結果の変化を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態における酸化物の加熱温度の違い、及び焼成時間の違いによる、該酸化物の結晶構造を示すX線回析(XRD)の測定結果の変化を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態における酸化物の加熱温度の違い、及び焼成時間の違いによる、該酸化物の結晶構造を示すX線回析(XRD)の測定結果の変化を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態における酸化物、参考例、及び比較例の加熱温度と誘電損失(tanδ)との相関性を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態における酸化物、参考例、及び比較例の加熱温度と比誘電率との相関性を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態における他の酸化物の加熱温度と誘電損失(tanδ)との相関性を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態における他の酸化物の加熱温度と比誘電率との相関性を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態における固体電子装置の一例である積層キャパシタの全体構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態における固体電子装置の一例である積層キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第2の実施形態における固体電子装置の一例である積層キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第2の実施形態における固体電子装置の一例である積層キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第2の実施形態における固体電子装置の一例である積層キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第2の実施形態における固体電子装置の一例である積層キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第3の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの全体構成を示す図である。 本発明の第3の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第3の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第3の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第3の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第3の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第3の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第3の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第3の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第3の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第3の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の他の実施形態の薄膜トランジスタの全体構成を示す図である。
本発明の実施形態である固体電子装置を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。なお、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしも互いの縮尺を保って記載されるものではない。さらに、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略され得る。
<第1の実施形態>
1.本実施形態の薄膜キャパシタの全体構成
図1は、本実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタ100の全体構成を示す図である。図1に示すように、薄膜キャパシタ100は、基板10上に、基板10の側から下部電極層20、酸化物誘電体層(以下、略して「酸化物層」ともいう。以下、同じ。)30及び上部電極層40を備える。
基板10は、例えば、高耐熱ガラス、SiO/Si基板、アルミナ(Al)基板、STO(SrTiO)基板、Si基板の表面上にSiO層及びTi層を介してSTO(SrTiO)層を形成した絶縁性基板等、Si基板の表面上にSiO層及びTiO層をこの順序で積層した絶縁性基板、半導体基板(例えば、Si基板、SiC基板、Ge基板、樹脂製基板等)を含む、種々の絶縁性基材を用いることができる。
下部電極層20及び上部電極層40の材料としては、白金、金、銀、銅、アルミ、モリブデン、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、タングステン、などの高融点金属、あるいはその合金等の金属材料が用いられる。
本実施形態においては、酸化物誘電体の層(酸化物層30)が、ビスマス(Bi)を含む前駆体、ニオブ(Nb)を含む前駆体、及びチタン(Ti)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする前駆体を、酸素含有雰囲気中において加熱することにより形成される(以下、本工程による製造方法を「溶液法」ともいう)。なお、本実施形態における前駆体溶液中の溶質として、例えば、2−エチルヘキサン酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸ニオブ、及び2−エチルヘキサン酸チタンを採用することができる。
上述の前駆体溶液を出発材とする前駆体の層(単に、「前駆体層」ともいう)を採用することにより、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物30が得られる。より具体的には、後述するように、少なくとも800℃以下(より好ましくは、700℃以下)で加熱処理することによって得られる本実施形態の酸化物層30は、パイロクロア型結晶構造の結晶相からなる酸化物を含んでいる。これは、X線回析(XRD)測定によって、β−BiNbO型結晶構造に由来するピークが観測されないという興味深い分析結果に基づく知見である。なお、本実施形態の酸化物層30は、微結晶相を含み得る。
なお、これまでに知られている一般的なパイロクロア型結晶構造は、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)と亜鉛(Zn)とからなる酸化物において観察される構造であったが、発明者らは、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる本実施形態の酸化物層30がパイロクロア型結晶構造を有しているという分析結果を得ている。なぜ、酸化物層30がパイロクロア型結晶構造を発現させるのかについて、現時点では明らかではない。しかしながら、後述するように、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有することによって、薄膜キャパシタの誘電体層、積層キャパシタにおける誘電体層、あるいは他の各種の固体電子装置(例えば、半導体装置又は微小電気機械システム)の絶縁層としての良好な誘電特性(特に、非常に低い誘電損失)につながることが判明した。
また、本実施形態の酸化物層30は、組成比及び/又は加熱温度によっては、上述の第1結晶相及び/又は第2結晶相に加えて、アモルファス相、及びBiNbO型結晶構造の結晶相(第3結晶相)も有していることが確認された。(但し、Nbリッチの酸化物層の場合は、BiNbO型結晶は発現しない。)このように、各種の結晶相とアモルファス相とが存在していることは、不要な粒界形成による電気特性の劣化ないしバラつきを確度高く防止する観点から好適な一態様である。
なお、本実施形態は図1に示す構造に限定されない。また、図面を簡略化するため、各電極層からの引き出し電極層のパターニングについての記載は省略する。
2.薄膜キャパシタ100の製造方法
次に薄膜キャパシタ100の製造方法を説明する。なお、本出願における温度の表示は、ヒーターの設定温度を表している。図2乃至図5は、それぞれ、薄膜キャパシタ100の製造方法の一過程を示す断面模式図である。図2に示すように、まず、基板10上に下部電極層20が形成される。次に、下部電極層20上に酸化物層30が形成されて、その後、酸化物層30上に上部電極層40が形成される。
(1)下部電極層の形成
図2は、下部電極層20の形成過程を示す図である。本実施形態においては、薄膜キャパシタ100の下部電極層20が、白金(Pt)によって形成される例を説明する。下部電極層20は、公知のスパッタリング法により基板10上に白金(Pt)よりなる層(例えば、200nm厚)が形成される。
(2)絶縁層としての酸化物層の形成
次に、下部電極層20上に酸化物層30が形成される。酸化物層30は、(A)前駆体層の形成及び予備焼成の工程、(B)本焼成の工程、の順で形成される。図3及び図4は、酸化物層30の形成過程を示す図である。本実施形態においては、薄膜キャパシタ100の製造工程の酸化物層30が、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有する、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物によって形成される例を説明する。
(A)前駆体の層の形成及び予備焼成
図3に示すように、下部電極層20上に、公知のスピンコーティング法により、ビスマス(Bi)を含む前駆体(前駆体Aともいう)、ニオブ(Nb)を含む前駆体(前駆体Bともいう)、及びチタン(Ti)を含む前駆体(前駆体Cともいう)を溶質とする前駆体溶液(以下、単に「前駆体溶液」という。)を出発材とする前駆体の層(「前駆体層」ともいう)30aが形成される。
ここで、酸化物層30のための前駆体Aの例は、上述の2−エチルヘキサン酸ビスマス以外に、オクチル酸ビスマス、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、又は各種のビスマスアルコキシド(例えば、ビスマスイソプロポキシド、ビスマスブトキシド、ビスマスエトキシド、ビスマスメトキシエトキシド)が採用され得る。また、本実施形態における前駆体Bの例は、上述の2−エチルヘキサン酸ニオブ以外に、オクチル酸ニオブ、塩化ニオブ、硝酸ニオブ、又は各種のニオブアルコキシド(例えば、ニオブイソプロポキシド、ニオブブトキシド、ニオブエトキシド、ニオブメトキシエトキシド)が採用され得る。また、本実施形態における前駆体Cの例は、上述の2−エチルヘキサン酸チタン以外に、オクチル酸チタン、塩化チタン、硝酸チタン、又は各種のチタンアルコキシド(例えば、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシド、チタンエトキシド、チタンメトキシエトキシド)が採用され得る。
また、前駆体溶液の溶媒は、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、及び2−ブトキシエタノールの群から選択される少なくとも1種のアルコール溶媒、又は酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、及び2−エチルヘキサン酸の群から選択される少なくとも1種のカルボン酸である溶媒であることが好ましい。従って、前駆体溶液の溶媒においては、上述の2種以上のアルコール溶媒の混合溶媒や、上述の2種以上のカルボン酸の混合溶媒も、採用し得る一態様である。
なお、本実施形態の前駆体溶液は、下記の(1)に示す第1溶液と、下記の(2)に示す第2溶液と、下記の(3)に示す第3溶液とを混合することによって製造されている。
(1)2−エチルヘキサン酸ビスマスを1−ブタノールで希釈した溶液と、2−エチルヘキサン酸ビスマスを2−メトキシエタノールで希釈した溶液と、を混合した第1溶液、又は2−エチルヘキサン酸ビスマスを2エチルヘキサン酸で希釈した第1溶液
(2)2−エチルヘキサン酸ニオブを1−ブタノールで希釈した溶液と、2−エチルヘキサン酸ニオブを2−メトキシエタノールで希釈した溶液と、を混合した第2溶液、又はニオブエトキシドを2エチルヘキサン酸で希釈した第2溶液
(3)2−エチルヘキサン酸チタンを1−ブタノールで希釈した溶液と、2−エチルヘキサン酸チタンを2−メトキシエタノールで希釈した溶液と、を混合した第3溶液、又は2−エチルヘキサン酸チタンを2エチルヘキサン酸で希釈した第3溶液
また、本実施形態においては、ビスマス(Bi)の原子数を1.5としたときに、ニオブ(Nb)の原子数が1〜2、及びチタン(Ti)の原子数が0.5〜1.5となるように前駆体溶液が調製された。
その後、予備焼成として、酸素含有雰囲気中で所定の時間、80℃以上250℃以下の温度範囲で予備焼成を行う。予備焼成では、前駆体層30a中の溶媒(代表的には、主溶媒)を十分に蒸発させるとともに、将来的な塑性変形を可能にする特性を発現させるために好ましいゲル状態(熱分解前であって有機鎖が残存している状態と考えられる)が形成される。このような状態のゲル状態を形成することは、後述する成膜工程の一手法である型押し加工法又はスクリーン印刷法による成膜をより容易にする。また、前述の観点をより確度高く実現するために、予備焼成温度は、80℃以上250℃以下が好ましい。また、前述のスピンコーティング法による前駆体層30aの形成及び予備焼成を複数回繰り返すことによって、酸化物層30の所望の厚みを得ることができる。
(B)本焼成
その後、本実施形態においては、本焼成のための加熱工程として、前駆体層30aを、酸素雰囲気中(例えば100体積%であるが、これに限定されない)で、所定の時間(例えば、20分間)、550℃以上800℃以下の範囲の温度(第1温度)で加熱する加熱工程が行われる。その結果、図4に示すように、電極層上に、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物の層(酸化物層30)(例えば、170nm厚)が形成される。
なお、酸化物層30の膜厚の範囲は30nm以上が好ましい。酸化物層30の膜厚が30nm未満になると、膜厚の減少に伴うリーク電流及び誘電損失の増大により、固体電子装置に適用するには、実用的ではなくなるため好ましくない。
(3)上部電極層の形成
次に、酸化物層30上に上部電極層40が形成される。図5は、上部電極層40の形成過程を示す図である。本実施形態においては、薄膜キャパシタ100の上部電極層40が、白金(Pt)によって形成される例を説明する。上部電極層40は、下部電極層20と同様、公知のスパッタリング法により酸化物層30上に白金(Pt)よりなる層(例えば、150nm厚)が形成される。この上部電極層40の形成により、図1に示す薄膜キャパシタ100が製造される。
ところで、本実施形態では、酸化物層30を形成する際の本焼成の温度(第1温度)を550℃以上800℃以下に設定したが、第1温度は、前述の温度範囲に限定されない。一方、大変興味深いことに、発明者らは、550℃以上800℃以下の温度範囲、特に、600℃以上800℃以下(代表的には620℃超800℃以下、又は650℃以上800℃以下)の温度範囲において、本焼成の温度又は加熱温度を変化させることにより、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物の比誘電率の値の変化のみならず、その誘電損失の変化が生じ得ることを見出した。
また、本実施形態の酸化物層の製造方法を採用すれば、真空プロセスを用いることなく酸化物層の前駆体溶液を酸素含有雰囲気中で加熱すればよいため、従来のスパッタ法と比較して大面積化が容易になるとともに、工業性又は量産性を格段に高めることが可能となる。
3.薄膜キャパシタ100の電気特性
本発明者らの研究と分析によれば、上述の加熱工程において、前駆体層30aを酸化物層30にするために加熱する温度(本焼成の温度)が550℃から800℃に向かって上昇するほど、また、少なくとも所定時間帯の範囲において加熱時間が長いほど、パイロクロア型結晶構造の結晶相がよりハッキリと現れるようになることが明らかとなった。さらに、興味深いことに、590℃以上の加熱処理によって形成されたBNO酸化物の場合にはその存在が確認されていたβ−BiNbOの結晶構造が、600℃以上800℃以下、特に650℃以上800℃以下の加熱処理によって形成される本実施形態の酸化物層30には現れないことが分かった。
さらに、本実施形態の酸化物層30は、特に、後述する、(X1)及び(Y1)に示す条件のいずれか1つを満たす場合に、非常に低い誘電損失の値を実現し得ることが確認された。
以下に、本発明者らの分析の結果をより詳細に説明する。
<X線回析(XRD)の測定結果>
図6〜図8は、本実施形態における、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物(酸化物層30)の加熱温度の違い、及び焼成時間の違いによる、該酸化物の結晶構造を示す、CuKα特性X線を用いたX線回析(XRD)の測定結果の変化を示すグラフである。なお、図6〜図8の(a)は、本焼成として、第1温度で20分間の加熱後に測定された結果を示している。また、図6〜図8の(b)は、その本焼成後、さらにポスト・アニーリング(post−annealing)処理として、同じ温度で20分間の追加的に酸化物層30を加熱した後に測定された結果を示している。なお、図7及び図8は本実施形態の例として開示し、図6は参考例として開示している。
また、図6〜図8において採用された酸化物30(測定対象となる試料)のビスマス(Bi)、ニオブ(Nb)、及びチタン(Ti)の原子数比は、以下の(試料a)〜(試料c)に示すとおりである。
(試料a)図6について、ビスマス(Bi):ニオブ(Nb):チタン(Ti)=1.5:2:0.5
(試料b)図7について、ビスマス(Bi):ニオブ(Nb):チタン(Ti)=1.5:1.5:1
(試料c)図8について、ビスマス(Bi):ニオブ(Nb):チタン(Ti)=1.5:1:1.5
まず、図6〜図8に示すように、本焼成のみの加熱処理が行われた場合であっても、加熱温度が少なくとも600℃以上であれば、パイロクロア型結晶構造の結晶相に由来するX軸の2θの値が28°〜30°付近のピーク(図中のQが示すピーク)が現れることが明らかとなった。従って、公知の情報に基づいては、BNO酸化物にとって考えられないほどの高温(600℃以上800℃以下(代表的には620℃超800℃以下、又は650℃以上800℃以下))での加熱処理が行われても、パイロクロア型結晶構造の結晶相が発現し得ることが分かった。これは、比較的高い比誘電率を示すパイロクロア型結晶構造の結晶相を有する酸化物の製造工程に関して、加熱処理の温度範囲の自由度を格段に高めたことを意味する。
また、特に、試料b及び試料cが採用された場合の550℃で加熱する本焼成後と、同温度で追加的に加熱されるポスト・アニーリング処理後との関係において顕著に示されているが、加熱時間が長くなると、図中のQが示すピークが新たに現れる現象、あるいは該ピーク強度が大きくなる現象が見られた。従って、加熱温度を変化させない状態であっても、加熱時間を長くすることにより、より確度高く、酸化物30内にパイロクロア型結晶構造の結晶相を発現させることが可能となることが分かった。
一方、図6に示すように、試料aが採用された場合、550℃で加熱する本焼成後と、同温度で追加的に加熱されるポスト・アニーリング処理後とのいずれの場合であっても、パイロクロア型結晶構造の結晶相に由来するX軸の2θの値が28°〜30°付近のピークが現れなかった。
ところで、例えば、本願発明者の一部が過去の発明として開示する特許文献3の図9における600℃が示すグラフに示すように、X軸の2θの値が13°付近のピークが観察されると、β−BiNbOの結晶構造の結晶相が現れていることになる。しかしながら、興味深いことに、図6〜図8のいずれのグラフにおいても、β−BiNbOの結晶構造に由来するX軸の2θの値が13°付近のピークは現れなかった。従って、高温(600℃以上800℃以下(代表的には620℃超800℃以下、又は650℃以上800℃以下))での加熱処理が行われた場合であっても、β−BiNbO型結晶構造に由来するピークが観測されないことは、1つの特徴な事実である。これは、本焼成を含む酸化物30の製造工程において、比較的低い比誘電率を示すβ−BiNbO4の結晶構造の発現を抑制又は防止し、パイロクロア型結晶構造を発現する温度範囲を格段に拡張し得ることを意味する。
<誘電損失(tanδ)及び比誘電率の測定結果>
図9は、本焼成とポストアニール処理とが行われた後の上述の試料a、試料b、及び試料cに関する、誘電損失(tanδ)の値と加熱温度(℃)との相関性を示すグラフである。また、図10は、本焼成とポストアニール処理が行われた後の試料a、試料b、及び試料cに関する、比誘電率と加熱温度(℃)との相関性を示すグラフである。なお、比較例として、比較的比誘電率の高いBNO酸化物、具体的には、ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、ニオブ(Nb)の原子数が約1.7であるBNO酸化物を採用した。また、図9及び図10においては、試料aは参考例として表示され、試料bは実施例1として表示され、試料cは実施例2として表示されている。加えて、図9及び図10においては、本焼成及びポストアニール処理の加熱温度は同じである。
また、比誘電率は、下部電極層と上部電極層の間に0.1Vの電圧、1kHzの交流電圧を印加することにより測定した。この測定には東陽テクニカ社製、1260−SYS型広帯域誘電率測定システムを用いた。また、誘電損失(tanδ)は、室温において、下部電極層と上部電極層の間に0.1Vの電圧、1kHzの交流電圧を印加することにより測定した。この測定には、東陽テクニカ社製、1260−SYS型広帯域誘電率測定システムを用いた。
図9に示すように、実施例1及び実施例2の誘電損失(tanδ)の値は、加熱温度によらず、極めて低い値(代表的には、0.001以下)であることが明らかとなった。一方、比較例の誘電損失(tanδ)の値は、0.01を超える条件も確認された。上述の結果、及び本願発明者らの分析により、下記の(X1)及び(Y1)に示す条件の群から選択される少なくとも1つを満たすことができれば、極めて低い誘電損失(tanδ)を実現し得るとの知見が得られた。
(X1)ビスマス(Bi)の原子数を1.5としたときに、ニオブ(Nb)の原子数が1以上2未満、又はビスマス(Bi)の原子数を1.5としたときに、チタン(Ti)の原子数が0.5超1.5以下である。
また、X1の条件においては、上述の条件に加えて、該ニオブ(Nb)の原子数と該チタン(Ti)の原子数との和が、1.5以上3.9以下であることが、より好適な条件である。
(Y1)ビスマス(Bi)の原子数を1.5としたときに、ニオブ(Nb)の原子数が1以上2以下、及びチタン(Ti)の原子数が0.5以上1.5以下であり、且つチタン(Ti)を1としたときにニオブ(Nb)が4未満である。
なお、より高い比誘電率と低い誘電損失の値を同時に得る観点から言えば、上述の(X1)及び(Y1)の各数値範囲について、ビスマス(Bi)の原子数を1.5としたときに、ニオブ(Nb)の原子数が1以上1.9以下であるという条件、及び/又はビスマス(Bi)の原子数を1.5としたときに、チタン(Ti)の原子数が0.6以上1.4以下であるという条件を満たすことは、好適な一態様である。
ところで、参考例の誘電損失(tanδ)の値は実施例1及び実施例2の各値と比較すれば劣っているが、参考例の誘電損失(tanδ)の値が600℃以上において0.01未満であることから、この参考例の誘電損失(tanδ)の値も良好な数値であると言える。
また、図10に示すように、いずれの試料及び比較例についても、少なくとも600℃以上の加熱処理によって、比較的高い比誘電率が得られることが分かる。特に、実施例1及び実施例2については、550℃以上の加熱処理によって、比較的高い比誘電率が得られることが確認された。
従って、図6〜図10によれば、特に、上述の(X1)及び(Y1)に示す条件の群から選択されれる少なくとも1つを満たす場合に、比較的高い比誘電率を保持しつつ、非常に低い誘電損失の値を実現し得るとの知見が得られた。なお、上述の(X1)を、下記の(X2)のように書き換えることができる。
(X2)ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、ニオブ(Nb)の原子数が0.666以上1.333以下、又はビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、チタン(Ti)の原子数が0.334以上1以下である。
また、X2の条件においては、上述の条件に加えて、該ニオブ(Nb)の原子数と該チタン(Ti)の原子数との和が、1以上2.6以下であることが、より好適な条件である。
なお、上述以外の試料についての酸化物30(測定対象となる試料)についても、発明者らによる研究と分析の結果、誘電損失の値が非常に低いという効果が奏され得ることが確認された。
代表的に、ビスマス(Bi)、ニオブ(Nb)、及びチタン(Ti)の原子数比が、以下に示す条件である(試料d−1)及び(試料d−2)の例を示す。
(試料d−1)ビスマス(Bi):ニオブ(Nb):チタン(Ti)=1.5:1.5:0.5
(試料d−2)ビスマス(Bi):ニオブ(Nb):チタン(Ti)=1.5:1.5:0.12
特に、上述の試料d−2においては、該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該チタン(Ti)の原子数が0.08(つまり、0.1未満)という小さい値であっても、比較的高い比誘電率(例えば、190以上)を維持した上で低い誘電損失の値(例えば、周波数が1kHzにおいて0.002以下)を実現していることは、大変興味深い知見である。
図11は、本焼成とポストアニール処理とが行われた後の上述の試料dに関する、誘電損失(tanδ)の値と加熱温度(℃)との相関性を示すグラフである。また、図12は、本焼成とポストアニール処理が行われた後の試料dに関する、比誘電率と加熱温度(℃)との相関性を示すグラフである。なお、図11及び図12においては、試料d実施例3として表示されている。また、測定条件は、(試料a)〜(試料c)の条件と同じである。
図11に示すように、実施例3の誘電損失(tanδ)の値は、特に、700℃以上の加熱温度を採用することにより、極めて低い値(代表的には、0.002以下)であることが明らかとなった。従って、上述の(X1)及び(Y1)に示す条件の群から選択される少なくとも1つを満たす場合に、極めて低い誘電損失(tanδ)を実現することができる。
また、図12に示すように、実施例3についても、少なくとも600℃以上の加熱処理によって、比較的高い比誘電率が得られることが分かる。
また、その他の実施例として、ビスマス(Bi)、ニオブ(Nb)、及びチタン(Ti)の原子数比が、以下に示す条件である(試料e)の例を示す。
(試料e)ビスマス(Bi):ニオブ(Nb):チタン(Ti)=1.5:2:1.2
本焼成とポストアニール処理とが行われた後の上述の試料eに関する、誘電損失(tanδ)の値と加熱温度(℃)との相関性、並びに比誘電率と加熱温度(℃)との相関性を、(試料a)〜(試料c)の条件と同じ測定条件下において調査した結果、以下の(X3)及び(Y3)に示す知見が得られた。
(X3)少なくとも600℃〜800℃の加熱温度において、誘電損失(tanδ)の値は0.005以下である。(特に、約700℃においては、誘電損失(tanδ)の値が0.001以下である。)
(Y3)少なくとも600℃〜800℃の加熱温度において、比誘電率は120以上である。(特に、約700℃においては、比誘電率が160以上である。)
さらに発明者らによる検討と分析によれば、ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該ニオブ(Nb)の原子数が、0.5以上1.7未満、かつ該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該チタン(Ti)の原子数が0超1.3未満(より好ましくは、0.08以上1.3未満、さらに好ましくは0.3以上1.3未満)であれば、比較的高い比誘電率を保持しつつ、極めて低い誘電損失の値を実現し得る酸化物(又は、酸化物誘電体)を製造し得る。さらに好ましくは、該ニオブ(Nb)の原子数と該チタン(Ti)の原子数との和が、1以上2.6以下であれば、より確度高く、比較的高い比誘電率を保持しつつ、極めて低い誘電損失の値を実現し得る酸化物(又は、酸化物誘電体)を製造し得る。なお、特に、該ニオブ(Nb)の原子数と該チタン(Ti)の原子数との和の値が本実施形態の酸化物の物性(つまり、比誘電率及び誘電損失)に対して支配的ではないが、その和の値が1未満である場合、あるいは2.6超である場合は、確度高く比較的高い比誘電率を保持しつつ、極めて低い誘電損失の値を実現し得る酸化物(又は、酸化物誘電体)が得られにくいと考えられる。
なお、図6〜図12において、上述のとおり、ポスト・アニーリング処理が施された例を示しているが、本実施形態の効果を奏させるために、ポスト・アニーリング処理が必ずしも行われることを要しない。しかしながら、ポスト・アニーリング処理が行われることは、採用し得る好適な一態様である。例えば、型押し加工が行われ、パターニングが完了した後に、ポスト・アニーリング処理を行うことができる。
より具体的なポスト・アニーリングの一例においては、第1の実施形態の酸化物層30が第1温度(一例として、650℃)による本焼成の工程によって形成された後、さらに、約20分間、酸素含有雰囲気中において第1温度以下の第2温度(代表的には、350℃以上650℃以下)で加熱されることによって形成される。その結果、図6〜図8に示すように、より確度高く、薄膜キャパシタ100における酸化物30内のパイロクロア型結晶構造の結晶相を発現させることが可能となる。また、酸化物層30とその下地層(すなわち、下部電極層20)及び/又は上部電極層40との密着性をさらに高める効果が創出され得る。
ところで、ポスト・アニーリング処理における第2温度は、第1温度以下の温度であることが好ましい。これは、第2温度が第1温度よりも高温になれば、第2温度が酸化物層30aの物性に影響を与える可能性が高くなるためである。従って、第2温度が酸化物層30aの物性に対して支配的にならない温度を選択することが好ましい。他方、ポスト・アニーリング処理における第2温度の下限値は、上述のとおり、下地層(すなわち、下部電極層20)及び/又は上部電極層40との密着性をさらに高める観点から定められる。
<リーク電流の測定結果>
発明者らは、さらに、本焼成として700℃で加熱することによって得られた酸化物層30の、50kV/cm印加時のリーク電流値を調べた。その結果、リーク電流値は、キャパシタとして使用可能な特性を得ることができた。代表的な結果の一例として、上述の試料bのリーク電流値は、10−8A/cm〜10−7A/cmであった。なお、このリーク電流は、下部電極層と上部電極層の間に上述の電圧を印加して電流を測定した。また、この測定にはアジレントテクノロジー社製、4156C型を用いた。加えて、少なくとも本焼成の温度が600℃〜800℃の範囲内においては、前述の代表的なリーク電流値の結果と同程度の低いリーク電流値が得られた。また、リーク電流値については、少なくとも試料cについても、試料bと同程度の効果が奏され得る。
上述のとおり、本実施形態のビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物(酸化物層30)は、所定範囲の原子数比を採用することにより、比較的高い比誘電率を保持しつつ、低い誘電損失の値を実現し得る。従って、各種の固体電子装置(例えば、キャパシタ、半導体装置、又は微小電気機械システム、あるいは、高周波フィルタ、パッチアンテナ、及びRCLのうち少なくとも2つを含む複合デバイス)に適用することが特に好ましいことが確認された。
<第2の実施形態>
本実施形態においては、固体電子装置の一例である積層キャパシタ200について説明する。なお、積層キャパシタ200の少なくとも一部の層がスクリーン印刷法によって形成される。また、本実施形態における積層キャパシタ200を形成する材料のうち、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物は、第1の実施形態の酸化物層30と同じである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略され得る。
[積層キャパシタ200の構造]
図13は、本実施形態における積層キャパシタ200の構造を示す断面模式図である。図13に示すように、本実施形態の積層キャパシタ200は、計5層の電極層と計4層の誘電体層とが交互に積層された構造を一部に備えている。また、電極層と誘電体層とが交互に積層されていない部分では、下層側の電極層(例えば、第1段目の電極層220a)と上層側の電極層(例えば、第5段目の電極層220e)とが電気的に接続するように、各電極層が形成されている。なお、各電極層220a,220b,220c,220d,220eの材料ないし組成、及び各誘電体層である酸化物層230a,230b,230c,230dの材料ないし組成は、後述する本実施形態の積層キャパシタ200の製造方法の説明の中で開示される。
図14乃至図18は、積層キャパシタ200の製造方法の一過程を示す断面模式図である。なお、図14、図15、図16、図17、及び図18は、説明の便宜のため、図13に示す積層キャパシタ200の一部の構造を抜き出して表したものである。また、本出願における温度の表示は、ヒーターの設定温度を表している。
(1)第1段目の電極層220aの形成
本実施形態では、まず、図14に示すように、第1の実施形態と同様に、基板10上に、スクリーン印刷法により、ランタン(La)を含む前駆体及びニッケル(Ni)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液(電極層用前駆体溶液という。以下、第1段目乃至第5段目の電極層用前駆体の溶液に対して同じ。)を出発材とする電極層用前駆体層221aを形成する。その後、予備焼成として、約5分間、150℃以上250℃以下に加熱する。なお、この予備焼成は、酸素含有雰囲気で行われる。
なお、この予備焼成により、電極層用前駆体層221a中の溶媒(代表的には、主溶媒)を十分に蒸発させるとともに、将来的な塑性変形を可能にする特性を発現させるために好ましいゲル状態(熱分解前であって有機鎖が残存している状態と考えられる)を形成することができる。前述の観点をより確度高く実現する観点から言えば、予備焼成温度は、80℃以上250℃以下が好ましい。その結果、層厚が約2μm〜約3μmの第1段目の電極層用前駆体層221aが形成される。なお、第1段目の電極層220aに限らず、後述する各層のスクリーン印刷においても、公知の材料(エチルセルロース等)を用いることによってスクリーン印刷性(粘度等)を調整することも、適宜採用され得る。
その後、本焼成として、第1段目の電極層用前駆体層221aを、酸素雰囲気中、約15分間、580℃に加熱することにより、図15に示すように、基板10上に、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる第1段目の電極層用酸化物層(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。また、単に「第1段目の電極層」ともいう。)220aが形成される。また、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる電極用酸化物層(第1段目の電極用酸化物層のみならず、その他の電極用酸化物層を含む)は、LNO層とも呼ばれる。
また、本実施形態における第1段目の電極層220aのためのランタン(La)を含む前駆体の例は、酢酸ランタンである。その他の例として、硝酸ランタン、塩化ランタン、又は各種のランタンアルコキシド(例えば、ランタンイソプロポキシド、ランタンブトキシド、ランタンエトキシド、ランタンメトキシエトキシド)が採用され得る。また、本実施形態における第1段目の電極層220aのためのニッケル(Ni)を含む前駆体の例は、酢酸ニッケルである。その他の例として、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、又は各種のニッケルアルコキシド(例えば、ニッケルイソプロポキシド、ニッケルブトキシド、ニッケルエトキシド、ニッケルメトキシエトキシド)が採用され得る。
加えて、本実施形態では、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる第1段目の電極層220aが採用されているが、第1段目の電極層220aはこの組成に限定されない。例えば、アンチモン(Sb)と錫(Sn)とからなる第1段目の電極層(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)を採用することもできる。その場合、アンチモン(Sb)を含む前駆体の例として、酢酸アンチモン、硝酸アンチモン、塩化アンチモン、又は各種のアンチモンアルコキシド(例えば、アンチモンイソプロポキシド、アンチモンブトキシド、アンチモンエトキシド、アンチモンメトキシエトキシド)が採用され得る。また、錫(Sn)を含む前駆体の例として、酢酸錫、硝酸錫、塩化錫、又は各種の錫アルコキシド(例えば、錫イソプロポキシド、錫ブトキシド、錫エトキシド、錫メトキシエトキシド)が採用され得る。また、インジウム(In)と錫(Sn)とからなる酸化物(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)を採用することもできる。その場合、インジウム(In)を含む前駆体の例は、酢酸インジウム、硝酸インジウム、塩化インジウム、又は各種のインジウムアルコキシド(例えば、インジウムイソプロポキシド、インジウムブトキシド、インジウムエトキシド、インジウムメトキシエトキシド)が採用され得る。また、錫(Sn)を含む前駆体の例は、前述の例と同じである。
(2)第1段目の誘電体層(酸化物層)230aの形成
その後、図16に示すように、基板10及び第1段目の電極層220a上に、スクリーン印刷法により、ビスマス(Bi)を含む前駆体、ニオブ(Nb)を含む前駆体、及びチタン(Ti)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とするパターニングされた前駆体層を形成する。その後、予備焼成として、約5分間、250℃に加熱する。なお、この予備焼成は、酸素含有雰囲気で行われる。
また、この予備焼成により、前駆体層中の溶媒(代表的には、主溶媒)を十分に蒸発させるとともに、将来的な塑性変形を可能にする特性を発現させるために好ましいゲル状態(熱分解前であって有機鎖が残存している状態と考えられる)を形成することができる。前述の観点をより確度高く実現する観点から言えば、予備焼成温度は、80℃以上250℃以下が好ましい。本実施形態では、誘電体層である酸化物層230aの十分な厚み(例えば、約2μm〜約3μm)を得るために、前述のスクリーン印刷法による前駆体層の形成と予備焼成が行われる。
その後、本焼成のための加熱工程として、酸化物層230aの前駆体層を、酸素雰囲気中、所定時間(例えば、約20分間)、650℃で加熱することにより、図16に示すように、基板10及び第1段目の電極層220a上に、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなるパターニングされた酸化物の層(酸化物層230a)が形成される。ここで、前述の条件の下で本焼成を行うことにより、又は本焼成及び第1の実施形態に示されたポストアニール処理を行うことにより、比較的高い比誘電率を保持しつつ、極めて低い誘電損失の値を実現し得る酸化物層230aを製造することが可能となる。
(3)第2段目以降の電極層及び誘電体層の形成
その後は、これまでに説明した電極層(第1段目の電極層220a)及び誘電体層である酸化物層230aの製造工程を用いて、スクリーン印刷法によってパターニングされた電極層及び誘電体層が交互に積層される。
具体的には、第1段目の酸化物層230aがパターニングされた後、酸化物層230a及び第1段目の電極層220a上に、スクリーン印刷法によってパターニングされた第2段目の電極層用前駆体層が、第1段目の電極層用前駆体層221aと同様に形成される。その後、図17に示すように、パターニングされた第2段目の電極層220bが形成される。
さらにその後、図18に示すように、第2段目の電極層220b及び第1段目の誘電体層である酸化物層230a上に、スクリーン印刷法によって、パターニングされた第2段目の誘電体層である230bが形成される。
このように、スクリーン印刷法によって、交互にパターニングされた電極層及び誘電体層を積層することにより、最終的に、図13に示すような積層キャパシタ200が製造される。
上述のとおり、本実施形態の積層キャパシタ200は、各電極層及び各誘電体層(酸化物層)が、いずれも金属酸化物によって形成されている点は特筆すべきである。加えて、本実施形態では、各電極層及び各誘電体層(酸化物層)いずれも各種の前駆体溶液を酸素含有雰囲気中で加熱することによって形成されているため、従来の方法と比較して大面積化が容易になるとともに、工業性ないし量産性が格段に高められる。
なお、本出願の内容を知ることにより、上述の各電極層及び各誘電体層(酸化物層)の形成工程をさらに交互に繰り返し行うことによって上方に積み重ねることができることは、当業者であれば理解できるであろう。
<第3の実施形態>
1.本実施形態の薄膜キャパシタの全体構成
本実施形態においては、固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの全ての層の形成過程において型押し加工が施される。本実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタ300の全体構成は、図19に示されている。本実施形態では、下部電極層、酸化物層、及び上部電極層が、型押し加工を施されている以外は第1の実施形態と同じである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略する。
図19に示すように、本実施形態の薄膜キャパシタ300は、第1の実施形態と同様に、基板10上に形成されている。また、薄膜キャパシタ300は、基板10の側から下部電極層320、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物から構成される酸化物層330、及び上部電極層340を備える。
2.薄膜キャパシタ300の製造工程
次に、薄膜キャパシタ300の製造方法を説明する。図20乃至図29は、それぞれ、薄膜キャパシタ300の製造方法の一過程を示す断面模式図である。薄膜キャパシタ300の製造に際しては、まず、基板10上に型押し加工が施された下部電極層320が形成される。次に、下部電極層320上に型押し加工が施された酸化物層330が形成される。その後、酸化物層330上に型押し加工が施された上部電極層340が形成される。薄膜キャパシタ300の製造工程においても、第1の実施形態と重複する説明は省略する。
(1)下部電極層の形成
本実施形態においては、薄膜キャパシタ300の下部電極層320が、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる導電用酸化物層によって形成される例を説明する。下部電極層320は、(A)前駆体層の形成及び予備焼成の工程、(B)型押し加工の工程、(C)本焼成の工程の順で形成される。
(A)前駆体層の形成及び予備焼成の工程
初めに、基板10上に、公知のスピンコーティング法により、ランタン(La)を含む前駆体及びニッケル(Ni)を含む前駆体を溶質とする下部電極層用前駆体溶液を出発材とする下部電極層用前駆体層320aが形成される。
その後、予備焼成として、酸素含有雰囲気中で所定の時間、下部電極層用前駆体層320aを80℃以上250℃以下の温度範囲で加熱する。また、前述のスピンコーティング法による下部電極層用前駆体層320aの形成及び予備焼成を複数回繰り返すことによって、下部電極層320の所望の厚みを得ることができる。
(B)型押し加工
次に、下部電極層用前駆体層320aのパターニングを行うために、図20に示すように、80℃以上300℃以下の範囲内で加熱した状態で、下部電極層用型M1を用いて、0.1MPa以上20MPa以下の圧力で型押し加工が施される。型押し加工における加熱方法の例は、チャンバー、オーブン等により、所定の温度雰囲気の状態にする方法、基板を載置する基台を下部からヒーターにより加熱する方法、あるいは、予め80℃以上300℃以下に加熱した型を用いて型押し加工が施される方法等である。この場合、基台を下部からヒーターにより加熱する方法と、予め80℃以上300℃以下に加熱した型を用いる方法とを併用することが、加工性の面でより好ましい。
なお、上述の型の加熱温度を80℃以上300℃以下としたのは、以下の理由による。型押し加工時の加熱温度が80℃未満である場合には、下部電極層用前駆体層320aの温度が低下することに起因して下部電極層用前駆体層320aの塑性変形能力が低下することになるため、型押し構造の成型時の成型の実現性、又は成型後の信頼性又は安定性が乏しくなる。また、型押し加工時の加熱温度が300℃を超える場合には、塑性変形能の根源である有機鎖の分解(酸化熱分解)が進むため、塑性変形能力が低下するからである。さらに、前述の観点から言えば、下部電極層用前駆体層320aを、型押し加工の際、100℃以上250℃以下の範囲内で加熱することは、さらに好ましい一態様である。
また、型押し加工における圧力は、0.1MPa以上20MPa以下の範囲内の圧力であれば、下部電極層用前駆体層320aが型の表面形状に追随して変形するようになり、所望の型押し構造を高い精度で形成することが可能となる。また、型押し加工が施される際に印加する圧力を0.1MPa以上20MPa以下(特に、1MPa未満)という低い圧力範囲に設定する。その結果、型押し加工が施される際に型が損傷し難くなるとともに、大面積化にも有利となる。
その後、下部電極層用前駆体層320aを全面エッチングする。その結果、図21に示すように、下部電極層に対応する領域以外の領域から下部電極層用前駆体層320aを完全に除去する(下部電極層用前駆体層320aの全面に対するエッチング工程)。
また、上述の型押し加工において、予め、型押し面が接触することになる各前駆体層の表面に対する離型処理及び/又はその型の型押し面に対する離型処理を施しておき、その後、各前駆体層に対して型押し加工が施されることが好ましい。そのような処理を施すことにより、各前駆体層と型との間の摩擦力を低減することができるため、各前駆体層に対してより一層精度良く型押し加工が施されることが可能となる。なお、離型処理に用いることができる離型剤としては、界面活性剤(例えば、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等)、フッ素含有ダイヤモンドライクカーボン等を例示することができる。
(C)本焼成
次に、下部電極層用前駆体層320aに対して大気中で本焼成を行う。本焼成の際の加熱温度は、550℃以上650℃以下である。その結果、図22に示すように、基板10上に、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる下部電極層320(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)が形成される。
(2)誘電体層となる酸化物層の形成
次に、下部電極層320上に誘電体層となる酸化物層330を形成する。酸化物層330は、(A)前駆体層の形成及び予備焼成の工程、(B)型押し加工の工程、(C)本焼成の工程の順で形成される。図23乃至図26は、酸化物層330の形成過程を示す図である。
(A)ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)からなる酸化物の前駆体層の形成及び予備焼成
図23に示すように、基板10及びパターニングされた下部電極層320上に、第2の実施形態と同様に、ビスマス(Bi)を含む前駆体、ニオブ(Nb)を含む前駆体、及びチタン(Ti)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする前駆体層330aを形成する。その後、本実施形態においては、酸素含有雰囲気中で、80℃以上250℃以下に加熱した状態で予備焼成を行う。なお、発明者らの研究によれば、本実施形態においては、前駆体層330aを80℃以上250℃以下の範囲内で加熱することにより、前駆体層330aの塑性変形能力が高くなるとともに、溶媒(代表的には、主溶媒)を十分に除去できることが明らかとなった。
(B)型押し加工
本実施形態においては、図24に示すように、予備焼成のみを行った前駆体層330aに対して、型押し加工が施される。具体的には、酸化物層のパターニングを行うため、80℃以上250℃以下に加熱した状態で、誘電体層用型M2を用いて、0.1MPa以上20MPa以下の圧力で型押し加工が施される。
その後、前駆体層330aを全面エッチングする。その結果、図25に示すように、酸化物層330に対応する領域以外の領域から前駆体層330aを完全に除去する(前駆体層330aの全面に対するエッチング工程)。なお、本実施形態の前駆体層330aのエッチング工程は、真空プロセスを用いることのないウェットエッチング技術を用いて行われたが、プラズマを用いた、いわゆるドライエッチング技術によってエッチングされることを妨げない。
(C)本焼成
その後、第2の実施形態と同様に、前駆体層330aを本焼成する。そして、必要に応じて、追加的に、第1の実施形態に示されたポストアニール処理を行う。その結果、図26に示すように、下部電極層320上に、誘電体層となる酸化物層330(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)が形成される。本焼成のための加熱工程として、前駆体層330aを、酸素雰囲気中、所定時間(例えば、約20分間)、650℃で加熱する。
ここで、前述の条件の下で本焼成を行うことにより、又は本焼成及び第1の実施形態に示されたポストアニール処理を行うことにより、比較的高い比誘電率を保持しつつ、極めて低い誘電損失の値を実現し得る酸化物層230aを製造することが可能となる。
なお、前駆体層330aの全面に対するエッチング工程を本焼成後に行うことも可能であるが、前述のように、型押し工程と本焼成の工程との間に、前駆体層を全体的にエッチングする工程が含まれることは、より好ましい一態様である。これは、各前駆体層を本焼成した後にエッチングするよりも容易に、不要な領域の前駆体層を除去することが可能なためである。
(3)上部電極層の形成
その後、酸化物層330上に、下部電極層320と同様に、公知のスピンコーティング法により、ランタン(La)を含む前駆体及びニッケル(Ni)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする上部電極層用前駆体層340aが形成される。その後、上部電極層用前駆体層340aに対して酸素含有雰囲気中において80℃以上250℃以下の温度範囲で加熱して予備焼成を行う。
続いて、図27に示すように、予備焼成が行われた上部電極層用前駆体層340aのパターニングを行うため、上部電極層用前駆体層340aを80℃以上300℃以下に加熱した状態で、上部電極層用型M3を用いて、上部電極層用前駆体層340aに対して0.1MPa以上20MPa以下の圧力で型押し加工が施される。その後、上部電極層用前駆体層340aを全面エッチングすることにより、図28に示すように、上部電極層340に対応する領域以外の領域から上部電極層用前駆体層340aを完全に除去する。
さらにその後、図29に示すように、本焼成として、酸素雰囲気中で、上部電極層用前駆体層340aを、所定の時間、520℃乃至600℃に加熱することにより、酸化物層330上に、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる上部電極層340(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)が形成される。
ところで、本実施形態の薄膜キャパシタ300は、基板10上に、基板10の側から下部電極層320、絶縁層である酸化物層330、及び上部電極層340を備えている。また、前述の各層は、型押し加工を施すことによって型押し構造が形成される。その結果、真空プロセスやフォトリソグラフィー法を用いたプロセス、あるいは紫外線の照射プロセス等、比較的長時間、及び/又は高価な設備を必要とするプロセスが不要になる。加えて、電極層及び酸化物層が、いずれも簡便にパターニングされ得る。従って、本実施形態の薄膜キャパシタ300は、工業性又は量産性に極めて優れるものである。
なお、本実施形態の変形例として、基板10上に、下部電極層320の前駆体層である下部電極層用前駆体層320a、酸化物層330の前駆体層である前駆体層330a、及び上部電極層340の前駆体層である上部電極層用前駆体層340aの積層体が形成された後に、この積層体に対して型押し加工が施されることも採用し得る一態様である。その後、本焼成が行われることになる。このような方法を採用すれば、この態様においては、薄膜キャパシタ300とは異なり、各層単体に対する個別の型押し構造を形成することができないが、型押し加工工程の回数を低減することが可能となる。
<その他の実施形態(1)>
また、上述の各実施形態における酸化物層は、低い駆動電圧で大きな電流を制御する各種の固体電子装置に適したものである。上述の各実施形態における酸化物層を備えた固体電子装置として、上述した薄膜キャパシタ以外にも、数多くの装置に適用され得る。例えば、容量可変薄膜キャパシタ等の各種キャパシタ、金属酸化物半導体接合電界効果トランジスタ(MOSFET)、不揮発性メモリ等の半導体装置、あるいは、マイクロTAS(Total Analysis System)、マイクロ化学チップ、DNAチップ等のMEMS(microelectromechanical system)又はNEMS(nanoelectromechanical system)に代表される微小電気機械システムのデバイス、その他、高周波フィルタ、パッチアンテナ、又はRCLのうち少なくとも2つを含む複合デバイスに、上述の各実施形態における酸化物層を適用することもできる。
以下に、固体電子装置の一例である薄膜トランジスタ400の構造について説明する。
<本実施形態の薄膜トランジスタの全体構成>
図30は、薄膜トランジスタ400の全体構成を示す図である。図30に示すように、本実施形態における薄膜トランジスタ400においては、基板10上に、下層から、下部電極層(ゲート電極)320、酸化物層(ゲート絶縁層)330、チャネル444、ソース電極458及びドレイン電極456の順序で積層されている。下部電極層(ゲート電極)320及び酸化物層(ゲート絶縁層)330の製造方法は、第3の実施形態のそれらの製造方法と同じであるので省略する。
なお、薄膜トランジスタ400は、いわゆるボトムゲート構造を採用しているが、本実施形態はこの構造に限定されない。また、第1の実施形態と同様に、図面を簡略化するため、各電極からの引き出し電極のパターニングについての記載は省略する。
本実施形態のチャネル444は、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、及びジルコニウム(Zr)を含むチャネル用酸化物からなる。また、本実施形態においては、その他の公知のチャネル材料を採用することもできる。また、チャネル444の厚みが、5nm以上80nm以下である、チャネル444の厚みが5nm以上80nm以下である薄膜トランジスタは、確度高く酸化物層(ゲート絶縁層)等を覆う観点、及びチャネルの導電性の変調を容易にする観点から好適な一態様である。
また、本実施形態のソース電極458及びドレイン電極456は、ITO(Indium Tin Oxide)からなる。
また、固体電子装置の一例である薄膜トランジスタ400においては、酸化物層(ゲート絶縁層)330以外の役割を果たす絶縁層として、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)からなる酸化物を利用することもできる。
<その他の実施形態(2)>
また、上述の実施形態の内、型押し加工を施した態様において、型押し加工時の圧力を「0.1MPa以上20MPa以下」の範囲内としたのは、以下の理由による。まず、その圧力が1MPa未満の場合には、圧力が低すぎて各前駆体層を型押しすることができなくなる場合があるからである。他方、その圧力が20MPaもあれば、十分に前駆体層を型押しすることができるため、これ以上の圧力を印加する必要がないからである。前述の観点から言えば、型押し工程においては、0.1MPa以上10MPa以下の範囲内にある圧力で型押し加工を施すことが、より好ましい。
以上述べたとおり、上述の各実施形態の開示は、それらの実施形態の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、各実施形態の他の組み合わせを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
10 基板
20,320 下部電極層
220a,220b,220c,220d,220e 電極層
221a 電極層用前駆体層
320a 下部電極層用前駆体層
30,230a,330 酸化物層(酸化物誘電体層)
30a,330a 前駆体層
340a 上部電極層用前駆体層
40,340 上部電極層
100,300 固体電子装置の一例である薄膜キャパシタ
200 固体電子装置の一例である積層キャパシタ
400 固体電子装置の一例である薄膜トランジスタ
444 チャネル
456 ドレイン電極
458 ソース電極
M1 下部電極層用型
M2 誘電体層用型
M3 上部電極層用型

Claims (13)

  1. パイロクロア型結晶構造の結晶相を有する、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物(不可避不純物を含み得る)を含み、
    該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該ニオブ(Nb)の原子数が、0.5以上1.7未満、かつ該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該チタン(Ti)の原子数が0超1.3未満である、
    酸化物誘電体。
  2. 前記ニオブ(Nb)の原子数と前記チタン(Ti)の原子数との和が、1以上2.6以下である、
    請求項1に記載の酸化物誘電体。
  3. 25℃におけるX線回析(XRD)測定によって、β−BiNbO型結晶構造に由来するピークが現れない、
    請求項1又は請求項2に記載の酸化物誘電体。
  4. さらに、該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該ニオブ(Nb)の原子数が0.666以上1.334以下、又は該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該チタン(Ti)の原子数が0.333以上1以下である、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の酸化物誘電体。
  5. 700℃で加熱したときに、X線回析(XRD)測定によって、パイロクロア型結晶構造に由来するピークが現れ、かつ、β−BiNbO型結晶構造に由来するピークが現れない、
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の酸化物誘電体。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の前記酸化物誘電体を備える、
    固体電子装置。
  7. 前記固体電子装置が、キャパシタ、半導体装置、及び微小電気機械システムの群から選択される1種である、
    請求項6に記載の固体電子装置。
  8. ビスマス(Bi)を含む前駆体、ニオブ(Nb)を含む前駆体、及びチタン(Ti)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする前駆体層を、酸素含有雰囲気中において加熱する加熱処理により、
    パイロクロア型結晶構造の結晶相を有する、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とチタン(Ti)とからなる酸化物(不可避不純物を含み得る)を含み、該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該ニオブ(Nb)の原子数が、0.5以上1.7未満、かつ該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該チタン(Ti)の原子数が0超1.3未満である酸化物誘電体の層を形成する工程を含む、
    酸化物誘電体の製造方法。
  9. 前記酸化物誘電体の層を形成する工程は、さらに、前記ニオブ(Nb)の原子数と前記チタン(Ti)の原子数との和が、1以上2.6以下である前記酸化物誘電体の層を形成する工程である、
    請求項8に記載の酸化物誘電体の製造方法。
  10. 700℃で加熱する前記加熱処理により、X線回析(XRD)測定によって、パイロクロア型結晶構造に由来するピークが現れ、かつ、β−BiNbO型結晶構造に由来するピークが現れない前記酸化物誘電体の層が形成される、
    請求項8又は請求項9に記載の酸化物誘電体の製造方法。
  11. 前記酸化物誘電体の層を形成する工程は、さらに、該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該ニオブ(Nb)の原子数が0.666以上1.334以下、又は該ビスマス(Bi)の原子数を1としたときに、該チタン(Ti)の原子数が0.333以上1以下である前記酸化物誘電体の層を形成する工程である、
    請求項8乃至請求項10のいずれか1項に記載の酸化物誘電体の製造方法。
  12. 前記酸化物誘電体の層を形成する前に、酸素含有雰囲気中において80℃以上250℃以下で前記前駆体層を加熱した状態で型押し加工を施すことによって、前記前駆体層の型押し構造が形成される、
    請求項8乃至請求項11のいずれか1項に記載の酸化物誘電体の製造方法。
  13. 請求項8乃至請求項12のいずれか1項に記載の前記酸化物誘電体の製造方法によって形成された前記酸化物誘電体を備える固体電子装置を製造する工程を有する、
    固体電子装置の製造方法。
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