(1.スプライシング装置の概略構成)
以下本発明の実施の形態のスプライシング装置の概略構成を図面に基づいて説明する。なお、スプライシング装置の詳細構成については後述する。図1に示すように、スプライシング装置20は、箱状の装置本体21と、装置本体21にピボット23(図2参照)を中心にして回動可能に支持され、装置本体21の上面を開閉する蓋体22と、スプライシング動作中に蓋体22を閉止状態に保持する閉止保持装置24(図2参照)を備える。スプライシング装置20は、図略の台車等に載置されて電子部品装着機に装着されるテープフィーダ10(図3参照)間の移動が可能となる。
スプライシング装置20は、電子部品装着機においてテープフィーダ10に装着された現リール12(図3参照)に巻回されたキャリアテープT(図4、図5参照)の終端部を、交換する次リール12に巻回されたキャリアテープTの始端部に自動的に接続する装置である。
すなわち、スプライシング装置20は、装置本体21の両側からそれぞれ挿入される現リール12のキャリアテープTと次リール12のキャリアテープTとを、装置本体21の中央で突き合わせてスプライシングテープ供給部材TT(図6参照)によりスプライシングする。蓋体22は、スプライシング時には手動で閉止され、スプライシング後のキャリアテープTの取り出し時には自動で開放される。
図2に示すように、閉止保持装置24は、装置本体21に設置され、作動ロッド25aを上下方向に作動可能なソレノイド25と、装置本体21に支軸26を中心にして回動可能に支持され、ソレノイド25によって回動されるフック27と、蓋体22に下方に突出するように設けられ、フック27に係脱可能に係合する係合ピン28とによって、主に構成される。
装置本体21と蓋体22との間には、蓋体22を開放方向に付勢する開放用スプリング29が設けられ、フック27と係合ピン28との係合が解除されると、蓋体22は開放用スプリング29によって自動的に開放される。かかる開放用スプリング29によって、閉止保持装置24が解除された際に蓋体22を開放方向に作動する開放作動装置を構成している。
また、図示してないが、蓋体22にはドッグが設けられ、このドッグによって動作される閉止確認用センサが装置本体21に設けられる。閉止確認用センサは蓋体22の閉止時にドッグによって動作され、閉止確認用センサのオン信号に基づいて蓋体22が閉止されたことが確認される。
そして、作業者によって蓋体22が閉止され、ドッグによって閉止確認用センサがオンされると、そのオン信号に基づいて、ソレノイド25の作動ロッド25aが図2の上方向に作動され、フック27が回動されて係合ピン28に係合される。これにより、閉止保持装置24によって蓋体22が閉止状態に保持される。
なお、2つのキャリアテープT1,T2がスプライシングテープ30によって互いに接続され、制御装置59(図1参照)より接続完了信号が発せられると、ソレノイド25の作動ロッド25aが図2の下方向に作動される。これにより、フック27が回動されて係合ピン28との係合が解除され、蓋体22は開放作動装置(開放用スプリング)29の付勢力によって自動的に開放される。
(2.テープフィーダの概略構成)
図3に示すように、テープフィーダ10には、キャリアテープTを巻回したリール12が着脱可能に取付けられる。テープフィーダ10には、リール12に巻回されたキャリアテープTを定量ずつ送り出して、部品e(図4、図5参照)をテープフィーダ10の先端部に設けられる部品供給位置17に1個ずつ供給する定量送り機構18が内蔵される。定量送り機構18は、テープフィーダ10の本体に回転可能に支持され、キャリアテープTの送り穴Hc(図4、図5参照)に係合するスプロケット19と、スプロケット19を1ピッチ分ずつ回転させる図略のモータを備える。
(3.キャリアテープの概略構成)
図4及び図5に示すように、キャリアテープTは、所定の幅で細長く形成され、長手方向に多数のキャビティCtを一定のピッチ間隔Pcで配設しており、これらキャビティCtに、基板に装着される部品eがそれぞれ収納される。
キャビティCtの上部は開口されていて、キャリアテープTの表面に貼り付けられたカバーテープTtによって覆われる。キャリアテープTの幅方向の一端側には、送り穴HcがキャビティCtと同一のピッチ間隔Pc、あるいはキャビティCtの2倍のピッチ間隔2Pcで形成され、これら送り穴HcはキャビティCtと一定の位置関係に配置される。
なお、電子部品装着機に用いられるキャリアテープTは、キャビティCtのピッチ間隔が互いに異なる複数種類からなり、キャリアテープTの種類によって、キャビティCtのピッチ間隔及びキャビティCtと送り穴Hcの関係が定められる。従って、キャビティCtのピッチ間隔を画像処理等によって認識することにより、どの種類のキャリアテープTであるかを把握できる。そして、それに基づいて、キャリアテープTの送り穴Hcの位置を認識でき、後述するスプライシング時におけるキャリアテープTの切断位置を決定できるようになる。
(4.スプライシングテープ供給部材の概略構成)
図6に示すように、スプライシングテープ供給部材TTは、スプライシングテープ30とベーステープ31とトップフィルム32の3層構造体をなす。スプライシングテープ30は、連続したベーステープ31の上面に、2つのキャリアテープTに跨ってその両面に接着される表面用と裏面用で1組のスプライシングテープ30a、30bからなる。すなわち、スプライシングテープ30は、2つのキャリアテープTの表面側に接合される表面用スプライシングテープ30aと、2つのキャリアテープTの裏面側に接合される裏面用スプライシングテープ30bを1組としたものである。
表面用と裏面用で1組のスプライシングテープ30は、ベーステープ31の両サイドに一定のピッチ間隔で穿孔した送り穴31aと一定の位置関係を保ちながら、ベーステープ31の長手方向に一定のピッチ間隔Pdを有して貼付される。また、1組のスプライシングテープ30は、表面用スプライシングテープ30aを先行側にして所定の間隔Pd1を有して配置される。
そして、スプライシングテープ30の上面には、連続したトップフィルム32が接着される。スプライシングテープ30には、金属粉が埋設されており、スプライシング装置20は、金属を検知できる図略のテープ検知センサによってスプライシングテープ30を検知する。
なお、スプライシングテープ30の両面に接着されるトップフィルム32及びベーステープ31との接着力は、ベーステープ31に対する接着力の方が強く、スプライシングテープ30よりトップフィルム32を剥がしても、スプライシングテープ30がベーステープ31より剥がれることがないようにしている。しかしながら、トップフィルム32が剥がされたスプライシングテープ30の接着面に、キャリアテープTが接着されると、その粘着力は、ベーステープ31に対する粘着力よりも強く、スプライシングテープ30よりベーステープ31を剥がれ易くしている。
ベーステープ31の幅方向寸法は、トップフィルム32の幅方向寸法より大きく、ベーステープ31の幅方向の両端はトップフィルム32の幅方向の両端より突出される。一方、スプライシングテープ30の幅方向寸法は、トップフィルム32の幅方向寸法と等しく、スプライシングテープ30は、送り穴31aの内側でベーステープ31に貼付される。ベーステープ31には、表面用スプライシングテープ30aに近接した位置に、キャリアテープTに形成される送り穴Hcと同じピッチ間隔に位置決め穴31bがベーステープ31の幅方向に沿って複数形成される。
また、裏面用スプライシングテープ30bには、キャリアテープTに形成される送り穴Hcと同じピッチ間隔に位置決め穴30b1がベーステープ31を貫いてベーステープ31の幅方向に沿って複数形成される。なお、ベーステープ31に形成される送り穴31aや位置決め穴31bは、ベーステープ31にスプライシングテープ30が所定位置に貼り付けられた後に、裏面用スプライシングテープ30bに位置決め穴30b1を形成するのに合わせてパンチングプレス等によって形成される。
(5.スプライシング装置の詳細構成)
図7及び図8に示すように、スプライシング装置20は、第1、第2テープ送り装置50,51と、第1、第2部品検知装置52,53と、第1、第2切断装置54,55と、第1、第2取込装置56,57と、供給リール保持部38(本発明の「保持部」に相当)と、トップフィルム剥離装置35と、スプライシングテープ供給部材搬送装置36と、接合装置58と、制御装置59(図1参照)等とを備える。
第1、第2テープ送り装置50,51、第1、第2部品検知装置52,53、第1、第2切断装置54,55、第1、第2取込装置56,57、スプライシングテープ供給部材搬送装置36、接合装置58(一部を除く)、及び制御装置59は、装置本体21及び蓋体22の内部に収納され配置される。供給リール保持部38及びトップフィルム剥離装置35(一部を除く)は、装置本体21の背面外側に配置される。
すなわち、図9に示すように、装置本体21内及び蓋体22内の両側に、第1、第2テープ送り装置50,51がそれぞれ配置され、第1、第2テープ送り装置50,51の間に、第1、第2切断装置54,55がそれぞれ配置される。さらに、第1、第2切断装置54,55の間に、第1、第2取込装置56,57がそれぞれ配置され、第1、第2取込装置56,57の間に、接合装置58が配置される。
また、第1、第2部品検知装置52,53は、第1、第2テープ送り装置50,51の第1、第2搬送経路60a,60bの第1、第2検知位置Ld1,Ld2の上方に配置される。また、図8に示すように、スプライシング位置LSを横切る線上に、供給リール保持部38、トップフィルム剥離装置35及びスプライシングテープ供給部材搬送装置36が配置される。なお、以下の説明では、スプライシング対象の2つのキャリアテープTは、第1、第2キャリアテープT1,T2と称する。
図9に示すように、第1、第2テープ送り装置50,51は、第1、第2キャリアテープT1,T2を第1、第2搬送経路60a,60bに沿って搬送し、図10に示す第1、第2キャリアテープT1,T2の第1、第2切断箇所Q1,Q2を第1、第2切断位置Lc1,Lc2及びスプライシング位置LSに順次位置決めする。すなわち、第1、第2テープ送り装置50,51は、第1、第2位置決め装置として機能する。
第1、第2テープ送り装置50,51は、装置本体21両側面から中央に向かって水平方向に延在するように設けられる第1、第2搬送経路60a,60bと、第1、第2搬送経路60a,60bの下方に配置される第1、第2スプロケット61a,61bとを備える。
さらに、第1、第2スプロケット61a,61bに連接される第1、第2ステッピングモータ62a,62bと、第1、第2スプロケット61a,61bの近傍に配置される第1、第2スプロケット歯検知装置63a,63bと、第1、第2搬送経路60a,60bの上方に配置される第1、第2テープ検知装置64a、64b等とを備える。
第1、第2搬送経路60a,60bは、図10に示す第1、第2キャリアテープT1,T2の幅より若干広い幅を有し、装置本体21の両側面に設けられる第1、第2テープ入口84a,84bから第1、第2切断装置54,55の第1、第2切断刃68a,68bによる第1、第2キャリアテープT1,T2の第1、第2切断位置Lc1,Lc2まで一直線に延びる溝状に形成される。
第1、第2スプロケット61a,61bには、図10に示す第1、第2キャリアテープT1,T2に穿孔される第1、第2送り穴Hc1,Hc2のピッチPhと同一ピッチの複数の第1、第2歯67a,67bが円周方向に形成される。第1、第2スプロケット61a,61bは、第1、第2搬送経路60a,60bに沿って挿入されてくる第1、第2キャリアテープT1,T2の第1、第2送り穴Hc1,Hc2に噛合可能なように第1、第2搬送経路60a,60bの下方に配置される。
第1、第2スプロケット歯検知装置63a,63bは、第1、第2スプロケット61a,61bが原位置になったことを、第1、第2スプロケット61a,61bの側面に付された第1、第2マークM1,M2を読み取ることにより検知する。
第1、第2テープ検知装置64a,64bは、装置本体21の両側面に設けられる第1、第2テープ入口84a,84bから第1、第2キャリアテープT1,T2が挿入されたことを検知する。
第1、第2部品検知装置52,53は、第1、第2搬送経路60a,60bを搬送される図10に示す第1、第2キャリアテープT1,T2の第1、第2キャビティCt1、Ct2、第1、第2キャビティCt1,Ct2間のテープ部分及び第1、第2キャビティCt1,Ct2内の第1、第2部品e1,e2を検知する。
第1、第2切断装置54,55は、図10に示す第1、第2キャリアテープT1,T2の第1、第2切断箇所Q1,Q2において第1、第2不要部分Tf1,Tf2を切断する。第1切断箇所Q1(第2切断箇所Q2)としては、例えば、第1部品e1(第2部品e2)が有る第1キャビティCt1(第2キャビティCt2)と第1部品e1(第2部品e2)が無い空の第1キャビティCt1(第2キャビティCt2)との中間位置が選択される。
図11に示すように、第1、第2切断装置54,55は、第1、第2切断刃ユニット71a,71bと、第1、第2切断刃ユニット71a,71bを駆動する1つの駆動装置72とを備える。第1、第2切断装置54,55は、1つの駆動装置72で第1、第2切断刃ユニット71a,71bを駆動する構成となっているので、2つの駆動装置で第1、第2切断刃ユニット71a,71bをそれぞれ駆動する構成と比較して小型化が可能となり、エネルギ消費及び部品コストの増大を抑制できる。
第1、第2切断刃ユニット71a,71bは、第1、第2切断位置Lc1,Lc2に設けられる第1、第2切断刃68a,68bと、第1、第2切断刃68a,68bを保持する第1、第2保持部材69a,69bと、第1、第2保持部材69a,69bを支持する第1、第2支持部材70a,70bとを備える。
図12に示すように、第1、第2切断刃68a,68bは、同一形状に形成されたものが用いられる。これにより、第1、第2切断刃68a,68bの切れ刃68aa,68baの摩耗による第1、第2切断刃68a,68bの交換コストは、第1、第2切断刃68a,68bを左右対称形状に形成した場合と比較して低コストに抑えられる。
第1、第2切断刃68a,68bの切れ刃68aa,68baは、水平方向に対し図12の左端から右端にかけて下方に傾斜した形状に形成される。これにより、第1、第2切断刃68a,68bは、切込時の抵抗が小さくなるので第1、第2キャリアテープT1,T2を容易に切断できる。
図11に示すように、第1、第2保持部材69a,69bは、四角柱状に形成され、下面から下方に第1、第2切断刃68a,68bの切れ刃68aa,68baが突出するように第1、第2切断刃68a,68bを保持する。そして、第1、第2保持部材69a,69bは、両側面が上下方向に摺動可能に且つ上面が後述する第1、第2カム701a,701bと摺接可能に、第1、第2支持部材70a,70bに対し支持される。第1、第2保持部材69a,69bの下面側には、下端が第1、第2搬送経路60a,60bの両外側にそれぞれ取着される一対の第1、第2押圧バネ73a,73bの上端が取着される。
第1、第2支持部材70a,70bは、アーム状に形成され、一端部に設けられる軸穴70ha,70hbに蓋体22の開閉用の回転軸が嵌合されて回転可能に支持される。そして、第1支持部材70aと第2支持部材70bは、所定の間隔をあけて連結部材70で連結される。
連結部材70は、蓋体22に固定されており、第1、第2支持部材70a,70bは、開閉される蓋体22に伴って軸穴70ha,70hbを中心に回転する。第1、第2支持部材70a,70bは、他端部に設けられる上下に延びる溝70da,70db内に第1、第2保持部材69a,69bを摺動可能に支持する。
なお、第1、第2保持部材69a,69b及び第1、第2支持部材70a,70bは、第1、第2キャリアテープT1,T2の送り方向に直角でスプライシング位置LSを通る平面に対し対称形状の部材で構成される。これにより、第1、第2保持部材69a,69b及び第1、第2支持部材70a,70bをコンパクトに構成できる。
駆動装置72は、第1、第2保持部材69a,69bに摺接可能な第1、第2カム701a,701bと、第1、第2カム701a,701bに連接される1つのギヤモータ702と、第1、第2カム701a,701bの回転とともに回転可能なドッグ703(本発明の「検出装置」に相当)と、ドッグ703の回転状態を検知するドッグ検知装置704(本発明の「検出装置」に相当)とを備える。
第1、第2カム701a,701bは、円盤状に形成され、カム軸705の両端に偏心して嵌合される。カム軸705は、第1、第2カム701a,701bの周縁と第1、第2保持部材69a,69bの上面とが摺接可能なように、第1、第2支持部材70a,70bに固定されるカム軸支持部材706a,706bに回転可能に支持される。
詳細は後述するが、第1、第2カム701a,701bは、偏心中心CCを通る水平面と第1、第2保持部材69a,69bの上面に接触する周縁点との距離が最短となったとき、第1、第2切断刃68a,68bは上死点に位置し、偏心中心CCを通る水平面と第1、第2保持部材69a,69bの上面に接触する周縁点との距離が最長となったとき、第1、第2切断刃68a,68bは下死点に位置することになる。
第2カム701bは、第1カム701aに対しカム軸705に所定角度、例えば30度位相をずらして嵌合される。これにより、第1切断刃68aが最も切断抵抗を受ける第1キャリアテープT1を切断する時点と、第2切断刃68bが最も切断抵抗を受ける第2キャリアテープT2を切断する時点をずらすことができるので、カム軸705の回転力を低減でき、小出力のギヤモータ702で対応可能となる。ただし、ギヤモータ702の出力に余裕がある場合は、第1、第2カム701a,701bは、カム軸705に同位相で嵌合するようにしてもよい。
ギヤモータ702は、第1、第2カム701a,701bを回転させる共用のモータであり、蓋体22に固定されるモータ支持部材707に固定される。そして、ギヤモータ702のモータ軸とともに回転可能にモータ軸に嵌合されるギヤ708は、カム軸705とともに回転可能にカム軸705に嵌合されるギヤ709と噛み合わされる。これにより、ギヤモータ702の駆動力は、ギヤ708,709を介してカム軸705に伝達され、第1、第2カム701a,701bを回転させる。
ドッグ703は、円盤状に形成され、カム軸705とともにカム軸705に回転可能に嵌合される。ドッグ検知装置704は、ドッグ703の両側面を間隔をあけて挟み込むように蓋体22に固定される。ドッグ検知装置704は、ドッグ703の側面に付されている原点マークmを例えば反射光により検出する。原点マークmは、ドッグ検知装置704で検出されたとき、例えば第1切断刃68aが上死点に位置していることを示すように設定される。これにより、第1、第2キャリアテープT1,T2の切断を高精度に行える。
第1、第2取込装置56,57は、第1、第2キャリアテープT1,T2の切断される第1、第2不要部分Tf1,Tf2をそれぞれ取り込む。すなわち、切断後の空の第1キャビティCt1(第2キャビティCt2)が連なる第1キャリアテープT1(第2キャリアテープT2)が、第1不要部分Tf1(第2不要部分Tf2)として第1、第2取込装置56,57に取り込まれて廃棄される。
図9に示すように、第1、第2取込装置56,57は、第1、第2切断位置Lc1,Lc2とスプライシング位置LSとの間に設けられ、第1、第2固定部材78a,78bに回動可能に支持される第1、第2取込部材75a,75bと、第1、第2取込部材75a,75bを回動する第1、第2取込部材回動装置76a,76b等とを備える。
第1、第2取込部材75a,75bには、第1、第2搬送経路60a,60b上を搬送される第1、第2キャリアテープT1,T2の第1、第2不要部分Tf1,Tf2を取り込むための第1、第2開口80a,80bと、第1、第2不要部分Tf1,Tf2を図略の廃却箇所に案内する第1、第2ダクト82a,82bが形成される。
第1、第2取込部材75a,75bは、第1、第2不要部分Tf1,Tf2の取り込み時には、図20の一点鎖線で示す原位置に保持される。また、第1、第2キャリアテープT1,T2をスプライシング位置LSに搬送する場合には、図20の実線で示すように、第1、第2取込部材回動装置76a,76bにより所定角度回動され、第1、第2取込部材75a,75bに形成した第1、第2可動搬送経路79a,79bを第1、第2搬送経路60a,60bに整列させる。
図8に示すように、供給リール保持部38は、装置本体21に取付けられ、スプライシングテープ供給部材TTがロール状に巻回された供給リール33を回転可能に支持する。供給リール保持部38は、ばね力による所定の摩擦力で供給リール33に押圧され、この供給リール保持部38により、供給リール保持部38に対する供給リール33の回転を制限するようになっている。そして、摩擦力に打ち勝つ作用力でベーステープ31が引っ張られると、供給リール保持部38に対して供給リール33の回転が可能となる。
トップフィルム剥離装置35は、フィルム剥がし部材351とトップフィルム搬送装置352を備える。図13に示すように、フィルム剥がし部材351は、板状に形成され、スプライシングテープ供給部材TTの搬送方向においてスプライシング位置LSの手前に配置される。
すなわち、ベーステープ31からトップフィルム32を引き剥がしてフィルム剥がし部材351の先端部351a(図示右側の端部)に当接させたとき、スプライシング位置LSに位置決めされた1組のスプライシングテープ30のみが露出されるように、フィルム剥がし部材351は配置される。
フィルム剥がし部材351の後端部には、引き剥がされたトップフィルム32が架け渡されてトップフィルム32をフィルム剥がし部材351の後方へ誘導するローラ351bが設けられる。すなわち、引き剥がされたトップフィルム32は、フィルム剥がし部材351の先端部351aに当接されてスプライシングテープ供給部材TTの搬送方向とは逆方向に折り返され、ローラ351bを介してトップフィルム搬送装置352により送り出される。
図8に示すように、トップフィルム搬送装置352は、トップフィルム32を挟持して送り出すローラ352a及びローラ352aを回転させるモータ352bを備え、供給リール33の下方に配置される。トップフィルム搬送装置352は、作業者によりスプライシングテープ供給部材TTの搬送方向とは逆方向に折り返されたトップフィルム32を送り出し、フィルム剥がし部材351の端部にてベーステープ31からトップフィルム32を引き剥がす。
図14に示すように、スプライシングテープ供給部材搬送装置36は、送り用スプロケット46とステッピングモータ47を備え、スプライシングテープ30が剥がされたベーステープ31を送り出す。すなわち、送り用スプロケット46には、ベーステープ31に穿孔された送り穴31aのピッチと同一ピッチで複数の係合歯46aが円周方向に等角度間隔に形成される。
トップフィルム32が剥がされたベーステープ31、すなわち、スプライシングテープ30を接着面を上側にして多数貼付したベーステープ31は、スプライシング位置LSの中心を横切るようにして接合装置58を通り、ベーステープ31の送り穴31aが、送り用スプロケット46の係合歯46aに係合される。
ステッピングモータ47は、送り用スプロケット46に連結されており、1ピッチ駆動することにより係合歯46aに係合されたベーステープ31を単位量送り出す。ステッピングモータ47は、電源の投入により原点復帰され、送り用スプロケット46の係合歯46aを常に頂点に位置するように位置決めされる。
また、ステッピングモータ47は、例えば、サーボロック装置等の回転拘束手段47aにより、もしくは励磁を掛けることにより適宜回転を拘束できるようになっている。上記した供給リール保持部38による摩擦作用及び回転拘束手段47aにより、スプライシングが完了した第1、第2キャリアテープT1,T2をスプライシング装置20内より取り出す場合に、ベーステープ31の両端側の移動を制限して、ベーステープ31の浮き上がりを阻止する阻止装置を構成している。
図9に示すように、接合装置58は、第1切断装置54と第2切断装置55との間に設けられる。接合装置58は、供給リール33から送り込まれるベーステープ31の下方となるスプライシング位置LSの手前側に、スプライシング位置LSに対して一定の距離だけ離間した位置に設置されるスプライシングテープ30a,30bを検知するテープ検知センサを備える。
接合装置58は、第1、第2搬送経路60a,60bの中間のスプライシング位置LSにおいて、装置本体21の左右より送り込まれて第1、第2切断箇所Q1,Q2が突き合わされている第1、第2キャリアテープT1,T2を、それに直交する上方向より送り込まれてテープ検知センサの検知信号に基づいて位置決めされるスプライシングテープ30によって接続する。
詳述すると、図15から図19に示すように、接合装置58は、第1昇降台91、押さえプレート97、第2昇降台101、旋回台103等を備える。第1昇降台91は、その脚部92を装置本体21に昇降可能に案内支持される。第1昇降台91上には、第1、第2キャリアテープT1,T2の接合位置(突合せ位置)を中心にして両側に、スプライシングテープ30bに形成された位置決め穴30b1及び第1、第2キャリアテープT1,T2の各送り穴Hcに係合可能な各2つずつの第1位置決めピン93,94が第1、第2キャリアテープT1,T2の送り方向に沿って突設される。
これら2組の第1位置決めピン93,94の各ピッチは、第1、第2キャリアテープT1,T2の送り穴HcのピッチPhの2倍に定められる。また、第1昇降台91には、第1位置決めピン93,94の各間に、ピン穴95が形成されており、これらピン穴95に後述する旋回台103側の第2位置決めピン105が突入できる。
装置本体21には、第1、第2キャリアテープT1,T2の長手方向と直交する水平方向に、可動台96が移動可能に案内支持され、この可動台96に、第1位置決めピン93,94の上方位置において、押さえプレート97が取付けられる。押さえプレート97の先端には、第1位置決めピン93,94を収容できるU字形状の溝98が形成され、押さえプレート97は、溝98が第1位置決めピン93,94より離脱する後退端と、溝98が第1位置決めピン93,94を収容する前進端位置との間で進退できる。
さらに、装置本体21には、第2昇降台101の脚部102が昇降可能に案内支持される。第2昇降台101上には、旋回台103が第1、第2キャリアテープT1,T2の長手方向に平行なピボット軸104を旋回中心にして180度旋回可能に両端支持される。
旋回台103には、旋回中心よりオフセットした位置に押圧板103aが設けられ、この押圧板103aに複数の第2位置決めピン105とピン穴106が設けられる。第2位置決めピン105は、上記した第1昇降台91に設けた第1位置決めピン93,94の各間に対応する位置に配列され、第1昇降台91に設けたピン穴95に突入できる。
また、ピン穴106は、第2位置決めピン105の各間に対応する位置に配列され、第1昇降台91に設けた第1位置決めピン93,94が突入できる。第2位置決めピン105は、旋回台103の180度旋回によって、スプライシング位置LSに位置決めされた第1、第2キャリアテープT1,T2の送り穴Hc及びスプライシングテープ30bの位置決め穴30b1に係合され、第1、第2キャリアテープT1,T2とこれを接続するスプライシングテープ30の三者の位置関係を一定に保つ。
旋回台103のピボット軸104には、ピニオン107が取付けられ、このピニオン107に噛合うラック108が第1、第2キャリアテープT1,T2の搬送方向と直交する水平方向に移動可能な可動台109に取付けられる。これにより、可動台109が移動されると、ピニオン107とラック108からなるラックピニオン機構により、旋回台103が旋回される。かかる旋回台103の旋回により、押圧板103aと第1昇降台91との間で、第1、第2キャリアテープT1,T2及びスプライシングテープ30の三者が挟持され、互いに接続される。
装置本体21には、カムドラム110が旋回台103の旋回中心と平行な軸線の回りに回転可能に支持され、図略の駆動モータによって一定方向に低速回転される。カムドラム110の両面には、内外2つずつのカム溝110a,110b,110c,110dがそれぞれ円周方向に無端状に形成される。
第1カム溝110aには、第1昇降台91の脚部92に軸支された図略の第1フォロアローラが係合される。第2カム溝110bには、押さえプレート97に連結された可動台96に軸支された図略の第2フォロアローラが係合される。第3カム溝110cには、第2昇降台101の脚部102に軸支された図略の第3フォロアローラが係合される。第4カム溝110dには、可動台109に連結された連結部材に軸支された図略の第4フォロアローラが係合される。
これにより、カムドラム110が回転されると、第1、第2、第3、第4カム溝110a,110b,110c,110dにそれぞれ係合する第1、第2、第3、第4フォロアローラを介して、第1及び第2昇降台91,101の各昇降運動、押さえプレート97の進退運動、ならびに旋回台103の旋回運動が連動して行われ、カムドラム110の1回転で、第1及び第2昇降台91,101、押さえプレート97及び旋回台103は、原位置に復帰される。
(6.スプライシング装置の動作)
次に上記した実施の形態におけるスプライシング装置20の動作について説明する。テープフィーダ10に取付けたリール12に巻回された第1キャリアテープT1に保持された部品eの残量が少なくなると、第1キャリアテープT1の終端部に、同一種の部品eを収容した別のリールに巻回した第2キャリアテープT2の始端部をスプライシングテープ30によって接続するスプライシング処理が実施される。かかるスプライシングによって部品を補給し、テープフィーダ10からの部品の供給を継続して行えるようにしている。
かかるスプライシングにおいては、通常正しい部品を収容したキャリアテープが接続されたかどうかをチェックする、いわゆるスプライシングベリファイが実行される。スプライシングベリファイは、旧リールに貼られたバーコードをバーコードリーダにより読み取り、旧リールに収容された部品のシリアルIDを管理コンピュータに送信する。次いで、新リールに貼られたバーコードをバーコードリーダにより読み取り、新リールに収容された部品のシリアルIDを管理コンピュータに送信する。
管理コンピュータのデータベースには、シリアルID毎に部品に関するデータが保存されているので、読み取ったシリアルIDより、2つのキャリアテープT1、T2に収容された部品が同じ種類のものであるか否かを照合できる。間違った部品であれば、照合エラーが操作パネルに表示されてオペレータに報知され、これに基づいてオペレータはスプライシングをやり直す。
このようなスプライシングベリファイが終了すると、第1、第2キャリアテープT1,T2の各端部をハサミによって切断する。この際、各キャリアテープT1,T2の端部には、通常、部品が収納されていない空のキャビティ部分が数十mm程度設けられているため、この部分を作業者によって切断する。この場合、切断面は、後述する説明から明らかなように、第1、第2キャリアテープT1,T2の合わせ面となるものではないので、特に正確性は要求されない。
通常、スプライシング装置20の蓋体22は閉じられており、この状態で、作業者により電源がオンされると、制御装置59は、第1、第2スプロケット歯検知装置63a,63bからの検知信号に基づいて、ステッピングモータ62a,62bを原位置に復帰させる。また、図20に示すように、制御装置59は、ドッグ検知装置704からの検知信号に基づいて、第1切断刃68aを上死点に位置させる。
その状態で、制御装置59は、第1、第2テープ検知装置64a,64bからの検知信号に基づいて、第1、第2テープ入口84a,84bから第1、第2キャリアテープT1,T2の先端部が挿入されたか否かを検知する。第1、第2キャリアテープT1,T2の先端部が挿入されたことが検知されると、ステッピングモータ62a,62bが起動され、第1、第2スプロケット61a,61bを回転するとともに、第1、第2取込部材75a,75bの可動部材77a,77bを上方向に移動させる。
次いで、制御装置59は、第1、第2テープ検知装置64a,64bから検知信号に基づいて、第1、第2キャリアテープT1,T2の部品e1,e2が空の1番目のキャビティCt1,Ct2及び2番目のキャビティCt1,Ct2を順次検出し、これら1番目及び2番目のキャビティCt1,Ct2の検出に基づいて、キャビティCt1,Ct2間のピッチPcを演算する。
次いで、図21に示すように、制御装置59は、キャビティCt1,Ct2間のピッチPcと、既知の検知位置Ld1,Ld2と切断位置Lc1,Lc2との間の距離D1,D2とから、第1、第2キャリアテープT1,T2の切断箇所Q1,Q2を演算する。そして、第1、第2キャリアテープT1,T2を距離D1,D2移動させて不要部分Tf1,Tf2を第1、第2取込部材75a,75b内に取り込ませ、切断箇所Q1,Q2を切断位置Lc1,Lc2に搬送位置決めする。
このようにして、第1、第2キャリアテープT1,T2の搬送位置決めが完了すると、図22に示すように、制御装置59は、第1、第2切断刃68a,68bをそれぞれ下降させ、第1、第2キャリアテープT1,T2の第1、第2切断箇所Q1,Q2をそれぞれ切断する。
すなわち、図24A及び図24Bに示すように、切断開始前においては、カム軸705の回転角度を0度とすると、第1カム701aのカム周縁点Aが第1保持部材69aの上面に接触し、第2カム701bのカム周縁点Dが第2保持部材69bの上面に接触している。したがって、第1切断刃68aの下端部の高さは、上死点の高さhmaxに位置し、第2切断刃68bの下端部の高さは、上死点の高さhmaxよりも低い高さhoに位置している。
そして、第1切断刃68aは、第1カム701aの回転により下降開始し、第1切断刃68aがカム軸705の回転角度でθ度(<180度)(第1カム701aのカム周縁点Bが第1保持部材69aの上面に接触)の高さhcに至ったとき、第1キャリアテープT1の第1切断箇所Q1の切断を開始する。
そして、第1切断刃68aは、カム軸705の回転角度で180度(第1カム701aのカム周縁点Cが第1保持部材69aの上面に接触)の下死点の高さhminに至ったとき第1キャリアテープT1の第1切断箇所Q1の切断を完了して上昇に転じ、カム軸705の回転角度で360度(第1カム701aのカム周縁点Aが第1保持部材69aの上面に接触)の上死点の高さhmaxに達したとき上昇停止する。第1切断刃68aの上昇停止は、ドッグ検知装置704によるドッグ703の原点マークmの検出により行われる。
一方、第2切断刃68bは、第1カム701aと同時の第2カム701bの回転によりカム軸705の回転角度で30度(第2カム701bのカム周縁点Eが第2保持部材69bの上面に接触)の上死点の高さhmaxに一旦達してから下降し、第2切断刃68bがカム軸705の回転角度でθ+30度(第2カム701bのカム周縁点Fが第2保持部材69bの上面に接触)の高さhcに至ったとき、第2キャリアテープT2の第2切断箇所Q2の切断を開始する。
そして、第2切断刃68bは、カム軸705の回転角度で210度(第2カム701bのカム周縁点Gが第2保持部材69bの上面に接触)の下死点の高さhminに至ったとき第2キャリアテープT2の第2切断箇所Q2の切断を完了して上昇に転じ、カム軸705の回転角度で360度(第2カム701bのカム周縁点Dが第2保持部材69bの上面に接触)の高さhoに達したとき、すなわち第1切断刃68aの上昇停止と同時に上昇停止する。第1、第2キャリアテープT1,T2の切断された不要部分Tf1,Tf2は、取込部材75a、75bのダクト82a,82bに案内されて廃棄される。
切断刃68a,68bによって第1、第2キャリアテープT1,T2が切断されると、図23に示すように、制御装置59は、取込部材75a,75bを下方向に移動させる。しかる後、ステッピングモータ62a,62bによってスプロケット61a,61bをそれぞれ回転し、第1、第2キャリアテープT1,T2を、切断位置Lc1,Lc2とスプライシング位置LSとの間の既知の距離D3,D4だけそれぞれ移動させ、第1、第2キャリアテープT1,T2の切断箇所Q1,Q2をスプライシング位置LSに搬送位置決めする。
これにより、第1、第2キャリアテープT1,T2の送り穴Hc1,Hc2がスプライシング位置LSに設けられた接合装置58の第1位置決めピン93,94に係合可能な位置に位置決めされる。一方、供給リール33に巻回されたスプライシングテープ供給部材TTは、スプライシングテープ供給部材搬送装置36のステッピングモータ47によって供給リール33から送り出され、表面用と裏面用で1組のスプライシングテープ30が、スプライシング位置LSに搬送される。
そして、裏面用のスプライシングテープ30bが、テープ検知センサ48によって検知される位置まで一旦送られ、その位置からさらに一定距離送られることにより、表面用と裏面用で1組のスプライシングテープ30が、スプライシング位置LSに送り込まれる。そして、図25に示すように、裏面用スプライシングテープ30bに形成した位置決め穴30b1が、スプライシング位置LSに設けられた接合装置58の第1位置決めピン93、94に係合可能な位置に位置決めされる。
そして、図26A及び図26Bに示すように、トップフィルム32が、トップフィルム送り装置35によりスプライシングテープ供給部材TTの送り出し方向とは逆方向に折り返されて引き剥がされ、フィルム剥がし部材351の先端部351aに当接される。
トップフィルム搬送装置352は、トップフィルム32がフィルム剥がし部材351の先端部351aに当接するまでの距離だけトップフィルム32を送り出したら当該送り出しを停止する。これによれば、トップフィルム32は、フィルム剥がし部材351の板状の端部に当接した後は引き剥がされることはなく、スプライシング位置LSには、1組のスプライシングテープ30のみが露出され位置決めされる。
そして、スプライシング位置LSには、複数組のスプライシングテープ30のうち1組のスプライシングテープ30のみがトップフィルム32を剥がされて露出されるので、当該1組以外のスプライシングテープ30の粘着性の低下を抑制できる。また、トップフィルム32の剥離長さが短いので、当該剥離時にベーステープ31が強い力で引っ張られることはなく、スプライシング位置LSにおけるスプライシングテープ30の位置決め精度の低下を抑制できる。
第1、第2のキャリアテープT1,T2及びスプライシングテープ30がそれぞれスプライシング位置LSに位置決めされると、スプライシングテープ供給部材搬送装置36のステッピングモータ47には励磁が掛けられる。すなわち、スプライシングテープ供給部材搬送装置36は、スプライシングテープ30をスプライシング位置LSに位置決めして静止保持状態にする。
そして、供給リール保持部38は、供給リール33を回転方向とは逆方向の摩擦力を付加して保持するので、静止保持状態となっているスプライシングテープ供給部材搬送装置36と相俟ってスプライシングテープ30を第1キャリアテープT1及び第2キャリアテープT2に跨ってさらに高精度に接合できる。
そして、図略の駆動モータによってカムドラム110が回転される。カムドラム110の回転によって、まず、第1カム溝110aに係合する第1フォロアローラを介して、第1昇降台91が上昇される。第1昇降台91の上昇により、第1位置決めピン93,94が、裏面用スプライシングテープ30bの位置決め穴30b1及び第1、第2キャリアテープT1,T2の各送り穴Hcにそれぞれ係合される。
この際、裏面用スプライシングテープ30bと第1、第2キャリアテープT1,T2との間には、図27Aに示すように、押さえプレート97が介在されているため、裏面用スプライシングテープ30bに第1、第2キャリアテープT1,T2が接着することはない。これによって、第1、第2キャリアテープT1,T2とこれの裏面側に接着される裏面用スプライシングテープ30bの三者の位置関係が一定の関係に保たれる。
次いで、第2カム溝110bに係合する第2フォロアローラを介して、可動台96が水平方向に移動され、裏面用スプライシングテープ30bと第1、第2キャリアテープT1,T2との間に介在された押さえプレート97が、第1昇降台91に対して後退され、裏面用スプライシングテープ30bと第1、第2キャリアテープT1,T2とが接着可能な状態となる。
次いで、第3カム溝110cに係合する第3フォロアローラを介して、可動台109が水平移動され、この可動台109の水平移動により、ラックピニオン機構(107,108)によって旋回台103が図19の時計回りに旋回される。かかる旋回台103の旋回により、図27Bに示すように、第2位置決めピン105に係合されたベーステープ31が折り曲げられ、表面用スプライシングテープ30aが、第1、第2キャリアテープT1,T2の上方位置に接着面を下向きにして反転される。
すなわち、ベーステープ31は、第1、第2キャリアテープT1,T2を挟み込むように折り曲げされ、第1、第2キャリアテープT1,T2の裏面側に裏面用スプライシングテープ30bが、第1、第2キャリアテープT1,T2の表面側に表面用スプライシングテープ30aが位置される。この際、スプライシングテープ供給部材搬送装置36のモータが逆回転されて、ベーステープ31に弛みが与えられ、ベーステープ31の折り曲げが許容される。
続いて、第4カム溝110dに係合する第4フォロアローラを介して、第2昇降台101が下降される。第2昇降台101が下降されると、図27Cに示すように、第2位置決めピン105が、ベーステープ31の裏側からベーステープ31の位置決め穴31b、第1、第2キャリアテープT1,T2の送り穴Hc及び裏面用スプライシングテープ30bの位置決め穴30b1に係合される。
さらに、第2昇降台101の下降により、第1、第2キャリアテープT1,T2を挟持した状態で、折り曲げたベーステープ31が、旋回台103の押圧板103aと第1昇降台91との間で押付けられる。この押付けにより、ベーステープ31に貼付された裏面用スプライシングテープ30bが、第1、第2キャリアテープT1,T2の裏面に跨るように接着され、表面用スプライシングテープ30aが、第1、第2キャリアテープT1,T2の表面に貼付された各カバーテープTtに跨るように接着され、第1キャリアテープT1の終端部と第2キャリアテープT2の始端部が互いに接続される。かかる押付け状態は、一定時間(数秒間)持続される。
スプライシングテープ30による第1、第2キャリアテープT1,T2の接続は、第1、第2キャリアテープT1,T2とスプライシングテープ30を、第1位置決めピン93,94及び第2位置決めピン105によって相対的なずれを拘束した状態で行われるので、第1、第2キャリアテープT1,T2をピッチずれを生ずることなく正確に接合できる。
上記したスプライシングテープ30による第1、第2キャリアテープT1,T2の接合は、カムドラム110のほぼ180度の回転によって達成され、残りの180度の回転によって、上記したと逆の動作で各構成部材が原位置に復帰される。すなわち、まず、第2昇降台101が上昇されて、旋回台103が第1昇降台91に対して上昇され、折り曲げたベーステープ31の押付けが解除されるとともに、第2位置決めピン105が裏面用スプライシングテープ30bの位置決め穴30b1及び第1、第2キャリアテープT1,T2の各送り穴Hcより離脱される。
続いて、ラックピニオン機構(108,107)を介して旋回台103が図18の反時計回りに旋回されるとともに、スプライシングテープ供給部材搬送装置36のモータが正回転されて、ベーステープ31の弛みが除去される。その後、押さえプレート97が前進されるとともに、第1昇降台91が下降され、第1位置決めピン93,94が裏面用スプライシングテープ30bの位置決め穴30b1及び第1、第2キャリアテープT1,T2の各送り穴Hcより離脱される。
一方、トップフィルム送り装置35においてはモータが駆動されて、トップフィルム32にテンションが与えられ、トップフィルム32が必要な量だけ剥がされる。このようにして、第1キャリアテープT1の終端部と第2キャリアテープT2の始端部との接合が完了する。
このようにして、第1、第2キャリアテープT1,T2がスプライシングテープ30によって互いに接続されると、制御装置59より接続完了信号が発せられる。かかる接続完了信号に基づいて、スプライシング装置20のソレノイド25が作動されて作動ロッド25aが下方に移動され、フック27が支軸26を中心にして図2の時計回りに回動される。
これにより、フック27と係合ピン28との係合が解除され、蓋体22はスプリング29の付勢力よりピボット23を中心にして回動され、自動的に開放される。その後、第2キャリアテープT2を巻回したリール12をテープフィーダ10にセットし、スプライシング処理を完了する。これによって、テープフィーダ10に部品が補給され、電子部品装着機においては、機械を停止させることなく、部品装着作業を継続して行えるようになる。
(7.供給リールの支持体の別形態)
上述の実施形態では、供給リール33は、装置本体21に取付けられた供給リール保持部38に回転可能に支持される構成としたが、図28に示す別形態の供給リール保持部380のように、円板状のリールホルダ381の板面に取り付けた3つの板ばね382,383,384で、供給リール33の内周3か所を径方向に押圧して支持する構成としてもよい。
この場合、リールホルダ381は、完全に自由回転可能に装置本体21に取付けられると、供給リール33に巻回されたスプライシングテープ供給部材TTの送り慣性やトップフィルム32の巻取り力等によって、スプライシング位置LSにおけるスプライシングテープ30に位置ズレが発生するおそれがある。このため、リールホルダ381には、重みを持たせて上記位置ズレを防止するため、ウェーブワッシャ385が設けられる。
(8.効果)
上記した実施の形態のスプライシング装置20は、部品eを収納した第1キャリアテープT1及び第2キャリアテープT2を接続するスプライシング装置20であって、第1キャリアテープT1及び第2キャリアテープT2を互いに接近する方向に送って、第1キャリアテープT1の端部及び第2キャリアテープT2の端部をスプライシング位置LSに位置決めする位置決め装置50,51と、第1キャリアテープT1の端部と第2キャリアテープT2の端部を接続する複数組のスプライシングテープ30、複数組のスプライシングテープ30が配列されたベーステープ31、及び、複数組のスプライシングテープ30を覆うトップフィルム32で構成されたスプライシングテープ供給部材TTと、を備える。
さらに、スプライシングテープ供給部材TTを保持する保持部(供給リール保持部38)と、保持部38からスプライシングテープ供給部材TTを第1キャリアテープT1及び第2キャリアテープT2の送り方向と直角な方向に送るスプライシングテープ供給部材搬送装置36と、保持部38から搬送されるスプライシングテープ供給部材TTのベーステープ31からトップフィルム32を剥がして、複数組のスプライシングテープ30のうち1組のスプライシングテープ30のみをスプライシング位置LSにて露出させるトップフィルム剥離装置35と、スプライシング位置LSにて露出した状態で位置決めされる1組のスプライシングテープ30を第1キャリアテープT1及び第2キャリアテープT2に跨って接合する接合装置58と、を備える。
これによれば、スプライシング位置LSには、複数組のスプライシングテープ30のうち1組のスプライシングテープ30のみがトップフィルム32を剥がされて露出されるので、当該1組以外のスプライシングテープ30の粘着性の低下を抑制できる。また、トップフィルム32の剥離長さが短いので、当該剥離時にベーステープ31が強い力で引っ張られることはなく、スプライシング位置LSにおけるスプライシングテープ30の位置決め精度の低下を抑制できる。
また、トップフィルム剥離装置35は、板状に形成され、スプライシングテープ供給部材TTの搬送方向においてスプライシング位置LSの手前に配置され、板状の端部にてトップフィルム32をスプライシングテープ供給部材TTの搬送方向とは逆方向に折り返して、ベーステープ31からトップフィルム32を引き剥がすフィルム剥がし部材351と、フィルム剥がし部材351の端部にて折り返されたトップフィルム32をスプライシングテープ供給部材TTの搬送方向と逆方向に送るトップフィルム搬送装置352と、を備える。
トップフィルム搬送装置352は、トップフィルム32がフィルム剥がし部材351の先端部351aに当接するまでの距離だけトップフィルム32を送り出したら当該送り出しを停止する。これにより、トップフィルム32は、フィルム剥がし部材351の板状の端部に当接した後は引き剥がされることはなく、スプライシング位置LSには、1組のスプライシングテープ30のみが露出され位置決めされる。
また、スプライシングテープ供給部材搬送装置36は、スプライシングテープ30をスプライシング位置LSに位置決めして静止保持状態にするので、スプライシングテープ30を第1キャリアテープT1及び第2キャリアテープT2に跨って高精度に接合できる。
また、保持部38は、リール状に巻回されたスプライシングテープ供給部材TTを回転可能に且つ回転方向とは逆方向の摩擦力を付加して保持するので、静止保持状態となっているスプライシングテープ供給部材搬送装置36と相俟ってスプライシングテープ30を第1キャリアテープT1及び第2キャリアテープT2に跨ってさらに高精度に接合できる。