JPWO2017057339A1 - 樹脂組成物の製造方法、光学積層体の製造方法、及び、光学積層体 - Google Patents

樹脂組成物の製造方法、光学積層体の製造方法、及び、光学積層体 Download PDF

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Abstract

スクリューを備える二軸押出機によって、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を混練して、樹脂組成物を得ることを含む、樹脂組成物の製造方法であって、前記スクリューが、1つのニーディングゾーンの長さLnxと前記スクリューの直径Dとの比Lnx/Dが1.5以上である前記ニーディングゾーンを、3箇所以上有し、前記ニーディングゾーンの合計長さLnと前記スクリューの直径Dとの比Ln/Dが、6.1以上18以下であり、得られる樹脂組成物の温度280℃、荷重2.16kgにおけるメルティングフローレートMFR[g/10min]と、前記二軸押出機による混練でのせん断速度SR[sec−1]との比SR/MFRが、300以上620以下である、樹脂組成物の製造方法。

Description

本発明は、樹脂組成物の製造方法、光学積層体の製造方法、及び、光学積層体に関する。
液晶表示装置に設けられる偏光板は、通常、偏光子と、偏光子保護フィルムとを備える。この偏光子保護フィルムとして、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂からなる樹脂フィルムが知られている。
また、前記の樹脂フィルムとしては、紫外線吸収剤を含むフィルムが知られている。このように紫外線吸収剤を含むフィルムは、当該フィルムを透過する紫外線を弱める能力を有する一方で、紫外線吸収剤がブリードアウトを生じる可能性がある。そこで、出願人は、特許文献1において、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む中間層と、この中間層の両側に設けられた脂環式構造を含有する重合体を含む層とを備える積層体を提案した。このような積層体によれば、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することが可能である。
特許第4461795号公報
ところが、前記のような積層体には、フィッシュアイが多く生じることがあった。ここでフィッシュアイとは、積層体の内部に生じうる異物のことをいう。このようなフィッシュアイは、特に、厚みの薄い積層体において多く検出される傾向があった。
本発明は前記の課題に鑑みて創案されたもので、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂組成物を、異物の発生を抑制しながら製造できる、樹脂組成物の製造方法;前記の樹脂組成物を用いて、第一外側層、中間層及び第二外側層を備え且つ異物の少ない光学積層体を製造できる製造方法;並びに、第一外側層、中間層及び第二外側層を備え、厚みが薄く、紫外線を弱める能力に優れ、且つ、異物の少ない光学積層体;を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、所定の大きさのニーディングゾーンを3箇所以上有するスクリューを備えた二軸押出機によって脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を混練して樹脂組成物を得る製造方法において、得られる樹脂組成物のメルティングフローレートMFRに応じて混練時のせん断速度SRを設定することにより、異物の発生を抑制できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の通りである。
〔1〕 スクリューを備える二軸押出機によって、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を混練して、樹脂組成物を得ることを含む、樹脂組成物の製造方法であって、
前記スクリューが、1つのニーディングゾーンの長さLnxと前記スクリューの直径Dとの比Lnx/Dが1.5以上である前記ニーディングゾーンを、3箇所以上有し、
前記ニーディングゾーンの合計長さLnと前記スクリューの直径Dとの比Ln/Dが、6.1以上18以下であり、
得られる樹脂組成物の温度280℃、荷重2.16kgにおけるメルティングフローレートMFR[g/10min]と、前記二軸押出機による混練でのせん断速度SR[sec−1]との比SR/MFRが、300以上620以下である、樹脂組成物の製造方法。
〔2〕 前記樹脂組成物における前記紫外線吸収剤の量が、5重量%以上16重量%以下である、〔1〕記載の樹脂組成物の製造方法。
〔3〕 第一外側層と、〔1〕又は〔2〕記載の製造方法によって製造された樹脂組成物からなる中間層と、第二外側層とを、この順に備える光学積層体の製造方法であって、
〔1〕又は〔2〕記載の製造方法によって製造された樹脂組成物を成形して、前記中間層を得ることを含む、光学積層体の製造方法。
〔4〕 前記光学積層体の厚みが、20μm以上50μm以下であり、
前記光学積層体の波長380nmにおける光線透過率が、10%以下である、〔3〕記載の光学積層体の製造方法。
〔5〕 前記第一外側層が、樹脂(B)からなる層であり、
前記第二外側層が、樹脂(B’)からなる層であり、
前記製造方法が、前記樹脂組成物、前記樹脂(B)及び前記樹脂(B’)を共押出することを含む、〔3〕又は〔4〕記載の光学積層体の製造方法。
〔6〕 第一外側層と、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂組成物からなる中間層と、第二外側層とを、この順で備える光学積層体であって、
前記光学積層体の厚みが、20μm以上50μm以下であり、
前記光学積層体の波長380nmにおける光線透過率が、10%以下であり、
前記光学積層体における径100μm以上の異物の数が、5個/m以下であり、
前記光学積層体における径50μm以上100μm未満の異物の数が、20個/m以下である、光学積層体。
本発明によれば、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂組成物を、異物の発生を抑制しながら製造できる、樹脂組成物の製造方法;前記の樹脂組成物を用いて、第一外側層、中間層及び第二外側層を備え且つ異物の少ない光学積層体を製造できる製造方法;並びに、第一外側層、中間層及び第二外側層を備え、厚みが薄く、紫外線を弱める能力に優れ、且つ、異物の少ない光学積層体;を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物(A)の製造方法において用いる二軸押出機を模式的に示す正面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物(A)の製造方法において用いる二軸押出機の、スクリューが設置されたバレルの模式的な断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る光学積層体を模式的に示す断面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、レターデーションとは、別に断らない限り、面内レターデーションを表す。また、あるフィルムの面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。ここで、nxは、前記フィルムの厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、前記フィルムの面内方向であってnxの方向に垂直な方向の屈折率を表す。dは、前記フィルムの厚みを表す。測定波長は、別に断らない限り、550nmである。
以下の説明において、フィルムの遅相軸とは、別に断らない限り、当該フィルムの面内における遅相軸を表す。
以下の説明において、「1/4波長板」及び「偏光板」とは、別に断らない限り、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、通常5倍以上、好ましくは10倍以上の長さを有するフィルムをいい、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬されうる程度の長さを有するフィルムをいう。
[1.樹脂組成物の製造方法]
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、スクリューを備える二軸押出機によって、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を混練して、樹脂組成物を得ることを含む。また、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を混練する際には、必要に応じて、更に任意の成分を混練してもよい。これにより、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含み、更に必要に応じて任意の成分を含む樹脂組成物が得られる。以下の説明において、この製造方法によって製造される樹脂組成物を、他の一般的な樹脂組成物と区別するため、適宜「樹脂組成物(A)」と呼ぶことがある。また、以下の説明では、この製造方法において混練される脂環式構造を含有する重合体、紫外線吸収剤及び任意の成分を包括して、適宜「混練材料」ということがある。
〔1.1.脂環式構造を含有する重合体〕
脂環式構造を含有する重合体は、その重合体の構造単位が脂環式構造を含有する重合体である。脂環式構造を含有する重合体は、通常、耐湿熱性に優れる。そのため、脂環式構造を含有する重合体を用いることにより、光学積層体の耐湿熱性を良好にできる。
脂環式構造を含有する重合体は、主鎖に脂環式構造を有していてもよく、側鎖に脂環式構造を有していてもよい。中でも、機械的強度及び耐熱性の観点から、主鎖に脂環式構造を含有する重合体が好ましい。
脂環式構造としては、例えば、飽和脂環式炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環式炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数は、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下の範囲である。脂環式構造を構成する炭素原子数をこの範囲にすることにより、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物(A)の機械強度、耐熱性及び成形性が高度にバランスされる。
脂環式構造を含有する重合体において、脂環式構造を有する構造単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択しうる。脂環式構造を含有する重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を含有する重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合がこの範囲にあると、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物(A)の透明性及び耐熱性が良好となる。
脂環式構造を含有する重合体としては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。これらの中でも、透明性及び成形性が良好であるので、ノルボルネン系重合体がより好ましい。
ノルボルネン系重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びその水素添加物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びその水素添加物が挙げられる。また、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の開環単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の開環共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との開環共重合体が挙げられる。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の付加単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の付加共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との付加共重合体が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物は、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性の観点から、特に好適である。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。これらの置換基は、同一または相異なって、複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
極性基の種類としては、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン酸基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;などが挙げられる。ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体は、例えば、単量体を開環重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素原子数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。また、ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体は、例えば、単量体を付加重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
上述した開環重合体及び付加重合体の水素添加物は、例えば、開環重合体及び付加重合体の溶液において、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む水素添加触媒の存在下で、炭素−炭素不飽和結合を、好ましくは90%以上水素添加することによって製造しうる。
ノルボルネン系重合体の中でも、構造単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの構造単位の量が、ノルボルネン系重合体の構造単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、Xの割合とYの割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような重合体を用いることにより、当該ノルボルネン系重合体を含む層を、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れるものにできる。
脂環式構造を含有する重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、脂環式構造を含有する重合体を含む層の機械的強度および成型加工性が高度にバランスされる。
脂環式構造を含有する重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、特に好ましくは1.8以上であり、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.7以下である。ここで、Mnは、数平均分子量を表す。分子量分布を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合体の生産性を高め、製造コストを抑制できる。また、上限値以下にすることにより、低分子成分の量が小さくなるので、高温曝露時の緩和を抑制して、脂環式構造を含有する重合体を含む層の安定性を高めることができる。
前記の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、溶媒としてシクロヘキサンを用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量として測定しうる。但し、前記のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーでは、試料がシクロヘキサンに溶解しない場合には、溶媒としてトルエンを用いてもよい。
脂環式構造を含有する重合体のガラス転移温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下、特に好ましくは140℃以下である。脂環式構造を含有する重合体のガラス転移温度を、前記範囲の下限値以上にすることにより高温環境下における光学積層体の耐久性を高めることができ、前記範囲の上限値以下にすることにより光学積層体の延伸処理を容易に行える。
脂環式構造を含有する重合体の屈折率は、好ましくは1.45以上、より好ましくは1.48以上、特に好ましくは1.50以上であり、好ましくは1.60以下、より好ましくは1.58以下、特に好ましくは1.54以下である。脂環式構造を含有する重合体の屈折率を前記の範囲に収めることにより、光学積層体を偏光子保護フィルムとして用いた場合に、光学積層体と偏光子との屈折率差を小さくすることが容易になり、偏光板の透過率を高くすることができる。
脂環式構造を含有する重合体の飽和吸水率は、好ましくは0.03重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。飽和吸水率が前記範囲であると、脂環式構造を含有する重合体を含む層のレターデーション等の光学特性の経時変化を小さくすることができる。また、光学積層体を偏光子保護フィルムとして用いた場合に、偏光板及び液晶表示装置の劣化を抑制でき、長期的に画像表示装置の表示を安定で良好に保つことができる。
飽和吸水率は、試料を一定温度の水中に一定時間浸漬して増加した質量を、浸漬前の試験片の質量に対する百分率で表した値である。通常は、23℃の水中に24時間、浸漬して測定される。重合体の飽和吸水率は、例えば、重合体中の極性基の量を減少させることにより、前記の範囲に調節することができる。よって、飽和吸水率をより低くする観点から、脂環式構造を含有する重合体は、極性基を有さないことが好ましい。
樹脂組成物(A)における脂環式構造を含有する重合体の量は、好ましくは84.0重量%以上、より好ましくは90.0重量%以上であり、好ましくは95.0重量%以下、より好ましくは93.0重量%以下である。脂環式構造を含有する重合体の量を前記範囲に収めることにより、光学積層体の耐湿熱性を効果的に向上させることができる。よって、光学積層体を偏光子保護フィルムとして用いた場合に、偏光板の加湿条件下での耐久性を高めることができる。
〔1.2.紫外線吸収剤〕
紫外線吸収剤としては、紫外線を吸収しうる化合物を用いうる。紫外線吸収剤を用いることにより、光学積層体に紫外線の透過を妨げる能力を付与できる。紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤の有機紫外線吸収剤が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物が好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(へキシル)オキシ]−フェノール、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。このようなトリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、チバスペシャリティーケミカルズ社製「チヌビン1577」などが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖および側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール等が挙げられる。このようなトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、ADEKA社製「アデカスタブLA−31」などが挙げられる。
これらの中でも、380nm付近における紫外線吸収性能が優れているという点で、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
紫外線吸収剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物(A)における紫外線吸収剤の量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは7重量%以上であり、好ましくは16重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。紫外線吸収剤の量が、前記範囲の下限値以上であることにより、紫外線の透過を妨げる光学積層体の能力を特に高めることができ、前記範囲の上限値以下であることにより、光学積層体の可視光に対する透明性を高めることができる。
〔1.3.任意の成分〕
樹脂組成物(A)が脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤に組み合わせて含みうる任意の成分としては、例えば、顔料、染料等の着色剤;可塑剤;蛍光増白剤;分散剤;熱安定剤;光安定剤;帯電防止剤;酸化防止剤;界面活性剤等の配合剤が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
〔1.4.二軸押出機〕
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物(A)の製造方法において用いる二軸押出機100を模式的に示す正面図である。この図1においては、バレル150の一部を破断して示す。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物(A)の製造方法において用いる二軸押出機100は、モータ110、ブロワ120、ホッパー130、定量供給装置としてのフィーダー140、バレル150、及び、バレル150内に設置された2本のスクリュー200を備える。
図2は、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物(A)の製造方法において用いる二軸押出機100の、スクリュー200が設置されたバレル150の模式的な断面図である。
図2に示すように、バレル150内には、2本のスクリュー200が設けられている。スクリュー200としては、完全噛み合い型、不完全噛み合い型、非噛み合い型のいずれのスクリューを用いてもよく、中でも、混練性及び反応性が良好であるので、完全噛み合い型のスクリューが好ましい。また、2本のスクリュー200の回転方向は、同方向でもよく、異方向でもよいが、混練性及び反応性が良好であるので、同方向が好ましい。本実施形態では、2本のスクリュー200が完全に噛み合い、同方向に回転することによってバレル150内で混練材料(即ち、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤、並びに、必要に応じて任意の成分)を移動させうるように設けられた例を示して説明する。
各スクリュー200は、各スクリュー200の直径Dと長さLとの比L/Dが所定の範囲に収まるように設けられていることが好ましい。前記の比L/Dの具体的な範囲は、好ましくは30以上、より好ましくは40以上であり、好ましくは60以下、より好ましくは50以下である。各スクリュー200の直径Dと長さLとの比L/Dが、前記範囲の下限値以上であることにより、紫外線吸収剤を十分に分散させられるので紫外線吸収剤の塊りの残留による異物の発生を効果的に抑制でき、また、前記範囲の上限値以下であることにより、混練時に重合体に加えられる熱量を小さくできるので、重合体の熱劣化を抑制して、異物の発生を効果的に抑制できる。
各スクリュー200の具体的な直径Dは、好ましくは20mm以上であり、好ましくは80mm以下である。また、各スクリュー200の具体的な長さLは、好ましくは900mm以上であり、好ましくは2400mm以下である。
さらに、各スクリュー200は、3箇所以上のニーディングゾーン210、220及び230を有する。これらのニーディングゾーン210、220及び230は、バレル150内をスクリュー200によって移動させられる混練材料を混練するための部位であり、ニーディングディスク等のニーディングエレメントを備えて設けられる。各スクリュー200がニーディングゾーン210、220及び230を3箇所以上有することにより、紫外線吸収剤を十分に分散させられるので、紫外線吸収剤の塊りの残留による異物の発生を抑制できる。各スクリュー200が備えるニーディングゾーン210、220及び230の数の上限は、好ましくは5箇所以下である。ニーディングゾーン210、220及び230の数を5箇所以下にすることにより、混練時に混練材料に加えられる熱量を小さくできるので、重合体の熱劣化を抑制して、異物の発生を効果的に抑制できる。
各ニーディングゾーン210、220及び230の長さLnxと、スクリュー200の直径Dとの比Lnx/Dは、通常1.5以上、好ましくは2以上であり、好ましくは6以下、より好ましくは5.5以下である。前記の比Lnx/Dが、前記範囲の下限値以上であることにより、紫外線吸収剤を十分に分散させられるので、紫外線吸収剤の塊りの残留による異物の発生を抑制でき、また、前記範囲の上限値以下であることにより、混練時に混練材料に加えられる熱量を小さくできるので、重合体の熱劣化を抑制して、異物の発生を効果的に抑制できる。
各ニーディングゾーン210、220及び230の具体的な長さLnxは、好ましくは80mm以上であり、好ましくは250mm以下である。ここで、各ニーディングゾーン210、220及び230の長さLnxは、同じでもよく、異なっていてもよい。
各スクリュー200が有するニーディングゾーン210、220及び230の合計長さLnと、前記スクリュー200の直径Dとの比Ln/Dは、通常6.1以上、好ましくは6.5以上、より好ましくは7.0以上であり、好ましくは18以下、より好ましくは15以下である。前記の比Ln/Dが、前記範囲の下限値以上であることにより、紫外線吸収剤を十分に分散させられるので、紫外線吸収剤の塊りの残留による異物の発生を抑制でき、また、前記範囲の上限値以下であることにより、混練時に混練材料に加えられる熱量を小さくできるので、重合体の熱劣化を抑制して、異物の発生を効果的に抑制できる。
さらに、各スクリュー200の長さLに対する、そのスクリュー200が有するニーディングゾーン210、220及び230の合計長さLnの割合は、好ましくは15%以上、より好ましくは19%以上であり、好ましくは60%以下、より好ましくは38%以下である。前記の割合が、前記範囲の下限値以上であることにより、紫外線吸収剤を十分に分散させられるので、紫外線吸収剤の塊りの残留による異物の発生を効果的に抑制でき、また、前記範囲の上限値以下であることにより、混練時に混練材料に加えられる熱量を小さくできるので、重合体の熱劣化を抑制して、異物の発生を効果的に抑制できる。
ニーディングゾーン210、220及び230の具体的な合計長さLnは、好ましくは300mm以上であり、好ましくは800mm以下である。
〔1.5.混練方法〕
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物(A)の製造方法では、上述した二軸押出機100を用いて脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を混練して、樹脂組成物(A)を得る混練工程を行う。
具体的には、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤、並びに、必要に応じて用いる任意の成分を、二軸押出機100中に供給し、バレル150内に導入する。バレル150内に導入された脂環式構造を含有する重合体、紫外線吸収剤及び任意の成分を含む混練材料は、溶融状態となって、スクリュー200の回転によって下流に向けて移動させられる。また、移動の途中で、前記の混練材料は、ニーディングゾーン210、220及び230において混練される。そして、この混練により、脂環式構造を含有する重合体、紫外線吸収剤及び任意の成分が均一に分散した樹脂組成物(A)が得られる。
前記の混練工程における混練条件は、得られる樹脂組成物(A)のメルティングフローレートMFR[g/10min]と、二軸押出機による混練でのせん断速度SR[sec−1]との比SR/MFRが、所定範囲となるように調整する。具体的には、前記の比SR/MFRは、通常300以上、好ましくは310以上、特に好ましくは320以上であり、通常620以下、好ましくは610以下、特に好ましくは600以下である。ここで、前記のメルティングフローレートMFRは、温度280℃、荷重2.16kgにおけるメルティングフローレートを表す。また、前記のせん断速度SRは、この二軸押出機による混練の時に混練材料(即ち、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤、並びに、必要に応じて任意の成分)に加えられるせん断速度である。
メルティングフローレートMFRは、流動性を表す物性値であり、混練材料の粘度と相関を有する。具体的には、樹脂組成物(A)のメルティングフローレートMFRが小さいと、混練材料の流動性が低く、樹脂組成物(A)のメルティングフローレートMFRが大きいと、混練材料の流動性が高い傾向がある。そのため、このメルティングフローレートMFRに応じて、せん断速度SRを過小とならないように調整することで、混練材料の混練を効率的に進行させることができる。また、このメルティングフローレートMFRに応じて、せん断速度SRを過大とならないように調整することで、混練される混練材料における大きなせん断熱の発生を抑制でき、混練材料中の重合体の熱劣化によるゲル化の進行を抑制できる。
したがって、前記のメルティングフローレートMFR[g/10min]とせん断速度SR[sec−1]との比SR/MFRが、前記範囲の下限値以上であることにより、紫外線吸収剤を十分に分散させられるので、紫外線吸収剤の塊りの残留による異物の発生を抑制でき、また、前記範囲の上限値以下であることにより、混練時に混練材料に加えられる熱量を小さくできるので、重合体の熱劣化を抑制して、異物の発生を効果的に抑制できる。
また、混練温度は、好ましくはTg+127℃以上、より好ましくはTg+132℃以上、特に好ましくはTg+137℃以上であり、好ましくはTg+177℃以下、より好ましくはTg+172℃以下、特に好ましくはTg+167℃以下である。混練温度が、前記範囲の下限値以上であることにより、混練材料の粘度を低くできるので、製造される樹脂組成物(A)の押し出しを容易に行うことが可能になり、また、前記範囲の上限値以下であることにより、混練材料の粘度を高くできるので、押し出される樹脂組成物(A)のストランド搬送を安定化させることができる。ここで、混練温度とは、ニーディングゾーン210、220及び230における混練材料の温度を示す。
スクリュー200の回転速度は、前記のメルティングフローレートMFRとせん断速度SRとの比SR/MFRが前記の範囲に収まるように、適切に設定しうる。具体的な回転速度は、好ましくは150rpm以上、より好ましくは160rpm以上、特に好ましくは170rpm以上であり、好ましくは400rpm以下、より好ましくは380rpm以下、特に好ましくは360rpm以下である。
得られた樹脂組成物(A)は、二軸押出機100から押し出される。この際の押出量は、好ましくは50kg/時間以上、より好ましくは150kg/時間以上であり、好ましくは300kg/時間以下、より好ましくは200kg/時間以下である。ここで、前記の押出量は、二軸押出機100から吐出される樹脂組成物(A)の押出速度を示し、1時間当たりに押出される樹脂組成物(A)の重量(kg)を示す。
前記の押出量の範囲は、スクリュー200の直径Dが44mmである場合の押出量を示す。スクリュー200の直径Dが44mmとは異なる場合には、スクリュー200の直径Dが44mmである場合の前記の押出量の範囲を基準として、好ましい押出量の範囲を設定しうる。具体的には、樹脂組成物(A)の好ましい押出量の範囲は、基準となる前記の押出量の範囲に直径比「D/44mm」を乗じた範囲でありうる。
〔1.6.製造される樹脂組成物(A)〕
上述した製造方法により、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤、並びに、必要に応じて任意の成分を含む樹脂組成物(A)が得られる。この樹脂組成物(A)中には、脂環式構造を含有する重合体がゲル化した塊り、及び、不十分な分散によって残留した紫外線吸収剤の塊りが少ないので、異物の数は少ない。よって、この樹脂組成物(A)を用いることにより、異物の数が少ない光学積層体を得ることができる。
樹脂組成物(A)のメルティングフローレートMFRは、好ましくは20g/10min以上、より好ましくは24g/10min以上であり、好ましくは45g/10min以下、より好ましくは30g/10min以下である。樹脂組成物(A)のメルティングフローレートMFRが、前記範囲の下限値以上である場合、混練時に生じる混練材料のせん断熱を小さくできるので、重合体の熱劣化を抑制し易く、前記範囲の上限値以下である場合、紫外線吸収剤を分散させ易いので、紫外線吸収剤の塊りの残留を抑制し易い。メルティングフローレートMFRは、紫外線吸収剤の量によって調整しうる。
樹脂組成物(A)のメルティングフローレートMFRは、樹脂組成物(A)を80℃で12時間以上乾燥させた後、JIS K 7210:1999に規定のA法に準拠して、メルティングフローレート測定装置(東洋精機製作所社製「メルトインデックスサ F−F01型」)を用いて測定しうる。この際、測定条件は、下記のように設定する。
試験条件:
温度 280℃
荷重 2.16kg
予熱時間 4分
切り取り時間 5秒
ピストン移動距離 10mm
樹脂組成物(A)の光弾性係数の絶対値は、好ましくは10×10−12Pa−1以下、より好ましくは7×10−12Pa−1以下、特に好ましくは4×10−12Pa−1以下である。樹脂組成物(A)の光弾性係数の絶対値が前記範囲内であることにより、高性能な光学積層体を容易に製造することができる。また、光学積層体が延伸フィルムである場合、その面内レターデーションReのバラツキを小さくすることができる。
ここで、光弾性係数Cは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、C=Δn/σで表される値である。
[2.光学積層体]
上述した製造方法によって製造された樹脂組成物(A)を用いることにより、異物の少ない光学積層体を得ることができる。以下、この光学積層体を、実施形態を示して説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る光学積層体300を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、光学積層体300は、第一外側層310と、上述した製造方法によって製造された樹脂組成物(A)からなる中間層320と、第二外側層330とを、この順に備える。通常、第一外側層310と中間層320とは接しており、中間層320と第二外側層330とは接している。
このような光学積層体300は、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物(A)からなる中間層320を備えるので、優れた耐熱性及び耐湿性を発揮できる。また、光学積層体300は、紫外線吸収剤を含む樹脂組成物(A)からなる中間層320を備えるため、当該光学積層体300を透過する紫外線を弱めることができる。さらに、光学積層体300は、中間層320の両側に第一外側層310及び第二外側層320を備えるので、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できる。
さらに、光学積層体300は、異物の数が少ない。特に、従来は、厚みの薄いフィルムにおいては異物の数が多くなる傾向があったが、前記の光学積層体300は厚みが薄くても異物の数を少なくできる。このように異物を少なくできる理由を、本発明者は、以下の通りと推察する。ただし、本発明は、以下に説明される理由によって制限されるものでは無い。
重合体と紫外線吸収剤とを混練して樹脂組成物を製造する際、紫外線吸収剤の分散が不十分であると、樹脂組成物中に紫外線吸収剤の塊りが残留することがある。この塊りは、前記の樹脂組成物から製造されるフィルムにおいて、異物として検出されうる。
また、重合体と紫外線吸収剤との混練時には、通常、せん断熱が生じる。このせん断熱が大きいと、重合体が熱劣化によるゲル化を生じ、塊りを形成することがある。このゲル化した重合体の塊りがあると、前記の樹脂組成物を成形して得られるフィルムの表面が盛り上がって、凸部が形成されうる。さらに、このような凸部では、光の散乱及び屈折が生じるので、前記のフィルムを目視した場合、前記の塊りが異物として視認されうる。
そのため、従来の樹脂組成物を用いて製造されたフィルムには、異物が生じていた。特に、フィルムが延伸フィルムである場合、ゲル化した重合体によって形成される凸部の数が多くなり、そのため異物の数がより多くなる傾向があった。
これに対し、上述した樹脂組成物(A)の製造方法では、樹脂組成物(A)のメルティングフローレートMFRに応じて、比SR/MFRが前記範囲に収まるように、混練時に混練材料に加えるせん断速度SRを調整している。そのため、せん断速度SRを、混練材料に含まれる各成分を高度に分散させられる程度に大きくでき、且つ、重合体のゲル化を生じるほど大きなせん断熱の発生を抑制できる程度に小さくできる。したがって、製造される樹脂組成物(A)では、分散が不十分となることで残留した紫外線吸収剤の塊り、及び、せん断熱によってゲル化した重合体の塊りの数が少ない。よって、樹脂組成物(A)を用いて形成される中間層320での異物の数が少なくできるので、光学積層体300においても異物の数を少なくできる。
〔2.1.中間層〕
中間層は、樹脂組成物(A)からなる層である。したがって、中間層は、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含み、更に必要に応じて任意の成分を含む。通常、光学積層体において異物はこの中間層に多く含まれる傾向があるが、中間層を上述した製造方法で製造された樹脂組成物(A)によって形成することにより、異物の数を少なくできる。
中間層の厚みは、好ましくは7μm以上、より好ましくは8μm以上、特に好ましくは10μm以上であり、好ましくは35μm以下、より好ましくは32μm以下、特に好ましくは31μm以下である。中間層の厚みが、前記範囲の下限値以上であることにより、紫外線の透過を妨げる光学積層体の能力を特に高めることができ、前記範囲の上限値以下であることにより、光学積層体の厚みを薄くして、光学積層体の軽量化及び省スペース化を実現できる。
光学積層体に含まれる中間層、第一外側層及び第二外側層等の層の厚みは、次の方法で測定しうる。
光学積層体をエポキシ樹脂で包埋して、試料片を用意する。この試料片を、ミクロトームを用いて厚み0.05μmにスライスする。その後、スライスにより現れた断面を顕微鏡を用いて観察することで、光学積層体に含まれる各層の厚みを測定しうる。
〔2.2.第一外側層〕
第一外側層は、中間層の一側に設けられた層である。第一外側層が、中間層に含まれる紫外線吸収剤の移動を妨げるので、上述した光学積層体では、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できる。
第一外側層は、通常、樹脂からなる層となっている。以下、第一外側層に含まれる樹脂を、適宜、「樹脂(B)」という。樹脂(B)としては、通常、熱可塑性樹脂を用いる。中でも、樹脂(B)としては、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂を用いることが好ましい。
樹脂(B)に含まれる脂環式構造を含有する重合体としては、樹脂組成物(A)に含まれる脂環式構造を含有する重合体として説明した範囲から選択される任意の重合体を用いうる。これにより、樹脂組成物(A)の脂環式構造を含有する重合体の説明で記載したのと同様の利点を得ることができる。中でも、樹脂(B)に含まれる脂環式構造を含有する重合体としては、樹脂組成物(A)に含まれる脂環式構造を含有する重合体と同一の重合体を用いることが好ましい。これにより、中間層と第一外側層との接着強度を高めたり、中間層と第一外側層との界面での光の反射を抑制したりし易い。
樹脂(B)における脂環式構造を含有する重合体の量は、好ましくは90.0重量%〜100重量%、より好ましくは95.0重量%〜100重量%である。脂環式構造を含有する重合体の量を前記範囲にすることにより、光学積層体の耐湿熱性及び機械的強度を効果的に高めることができる。
樹脂(B)は、紫外線吸収剤を含みうるが、樹脂(B)における紫外線吸収剤の量は少ないことが好ましく、樹脂(B)は紫外線吸収剤を含まないことがより好ましい。樹脂(B)が紫外線吸収剤を含まないことにより、第一外側層は紫外線吸収剤を含まなくなるので、紫外線吸収剤のブリードアウトを効果的に抑制することができる。
樹脂(B)は、脂環式構造を含有する重合体に組み合わせて、更に任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、樹脂組成物(A)が含みうる任意の成分として挙げたのと同様の成分が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
樹脂(B)の光弾性係数の絶対値は、樹脂組成物(A)の光弾性係数の絶対値の説明に記載した範囲から選択される任意の値にしうる。これにより、樹脂組成物(A)の光弾性係数の説明で記載したのと同様の利点が得られる。中でも、樹脂(B)の光弾性係数は、樹脂組成物(A)の光弾性係数と同一であることが好ましい。
第一外側層の厚みは、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上、特に好ましくは5μm以上であり、好ましくは21μm以下、より好ましくは20μm以下、特に好ましくは19μm以下である。第一外側層の厚みが、前記範囲の下限値以上であることにより、中間層に含有される紫外線吸収剤のフィルム外へのブリードアウトを効果的に抑制できるとともに、目視により検出される異物の数を効果的に小さくでき、前記範囲の上限値以下であることにより、光学積層体の厚みを薄くして、光学積層体の軽量化及び省スペース化を実現できる。
〔2.3.第二外側層〕
第二外側層は、中間層の第一外側層とは反対側に設けられた層である。第二外側層が、中間層に含まれる紫外線吸収剤の移動を妨げるので、上述した光学積層体では、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できる。
第二外側層は、通常、樹脂からなる層となっている。以下、第二外側層に含まれる樹脂を、適宜、「樹脂(B’)」という。樹脂(B’)としては、樹脂(B)として説明した樹脂の範囲から選択される任意の樹脂を用いうる。したがって、樹脂(B’)の含有成分及び特性は、樹脂(B)の含有成分及び特性として説明した範囲から選択して適用しうる。これにより、第一外側層の樹脂(B)の説明に記載したのと同様の利点を得ることができる。
樹脂(B’)は、樹脂(B)と異なる樹脂であってもよく、樹脂(B)と同一の樹脂であってもよい。中でも、樹脂(B)及び樹脂(B’)として同一の樹脂を用いることが好ましい。樹脂(B)及び樹脂(B’)として同一の樹脂を用いることにより、光学積層体の製造コストを抑制したり、光学積層体のカールを抑制したりできる。
第二外側層の厚みは、第一外側層の厚みの範囲として説明した範囲から選択される任意の厚みにしうる。これにより、第一外側層の厚みの説明で記載したのと同様の利点を得ることができる。中でも、光学積層体のカールを抑制するためには、第二外側層の厚みは、第一外側層と同一にすることが好ましい。
〔2.4.任意の層〕
光学積層体は、必要に応じて、上述した中間層、第一外側層及び第二外側層に組み合わせて、任意の層を備えうる。例えば、中間層と第一外側層との間、中間層と第二外側層との間、第一外側層の中間層とは反対側、第二外側層の中間層とは反対側、などに任意の樹脂層を備えていてもよい。ただし、光学積層体を薄くする観点から、光学積層体は任意の層を備えない3層構造のフィルムであることが好ましい。
〔2.5.光学積層体の厚み〕
光学積層体の厚みは、好ましくは20μm以上、より好ましくは21μm以上、特に好ましくは22μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは45μm以下、特に好ましくは40μm以下である。光学積層体の厚みが、前記範囲の下限値以上であることにより、光学積層体の機械的強度を高くでき、前記範囲の上限値以下であることにより、光学積層体の軽量化及び省スペース化を実現できる。さらに、一般に、厚みの薄いフィルムにおいて重合体のゲル化によって塊りが生じると、そのフィルム表面は大きく盛り上がり易いので、検出される異物の数が大きくなる傾向があった。ところが、上述した樹脂組成物(A)を用いた前記の光学積層体は、樹脂組成物(A)の製造時における異物の発生を抑制できるので、厚みが薄くても異物の数を小さくできるとの効果を奏する。よって、この効果を有効に活用する観点から、光学積層体の厚みは前記範囲に収まるように薄くすることが好ましい。
〔2.6.光学積層体の物性〕
光学積層体は、紫外線吸収剤を含む樹脂組成物(A)からなる中間層を備えるので、波長380nmにおける光線透過率が小さい。光学積層体の波長380nmにおける具体的な光線透過率は、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、特に好ましくは5%以下である。波長380nmにおいてこのように低い光線透過率を有する光学積層体は、紫外線を遮断する能力に優れる。そのため、この光学積層体を偏光子保護フィルムとして用いた場合に、偏光子の偏光度の低下を抑制したり、偏光子の着色を抑制したりできる。
さらに、光学積層体は、波長280nm〜370nmにおける光線透過率が小さいことが好ましい。光学積層体の波長280nm〜370nmにおける具体的な光線透過率は、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1%以下である。これにより、光学積層体が紫外線を遮断する能力を更に高めることができる。
光学積層体は、上述したように、異物の数が少ない。具体的には、光学積層体における径100μm以上の異物の数は、好ましくは5個/m以下、より好ましくは3個/m以下、特に好ましくは1個/m以下である。また、光学積層体における径50μm以上100μm未満の異物の数は、好ましくは20個/m以下、より好ましくは15個/m以下、特に好ましくは5個/m以下である。異物の数を前記のように少なくできるので、光学積層体を偏光子保護フィルムとして用いた場合、偏光板の不良箇所を少なくでき、偏光板の歩留まりを向上させることができる。
異物の検出は、次の検出方法によって行いうる。
光学積層体を、黒板上に設置し、蛍光灯で照らす。蛍光灯から発せられて、光学積層体で反射した反射光を目視で観察して、異物を検出しうる。この際、異物の径は、ルーペを用いて測定しうる。
光学積層体は、光学部材としての機能を安定して発揮させる観点から、高い全光線透過率を有することが好ましい。光学積層体の具体的な全光線透過率は、好ましくは85%〜100%、より好ましくは87%〜100%、特に好ましくは90%〜100%である。全光線透過率は、JIS K0115に準拠して、分光光度計を用いて測定しうる。
光学積層体は、光学積層体を組み込んだ表示装置の画像鮮明性を高める観点から、ヘイズが小さいことが好ましい。光学積層体の具体的なヘイズは、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、特に好ましくは0.5%以下である。ヘイズは、JIS K7361−1997に準拠して、濁度計を用いて測定しうる。
光学積層体は、面内レターデーションを実質的に有さない光学等方性のフィルムであってもよく、用途に応じた大きさの面内レターデーションを有する光学異方性のフィルムであってもよい。例えば、光学積層体が光学等方性のフィルムである場合、光学積層体の具体的な面内レターデーションは、好ましくは0nm〜20nm、より好ましくは0nm〜10nm、特に好ましくは0nm〜5nmとしうる。また、例えば、光学積層体が1/4波長板として機能しうる光学異方性のフィルムである場合、光学積層体の具体的な面内レターデーションは、好ましくは80nm以上、より好ましくは85nm以上、特に好ましくは90nm以上、且つ、好ましくは180nm以下、より好ましくは160nm以下、特に好ましくは150nm以下としうる。
光学積層体の遅相軸の方向は、任意である。例えば光学積層体が長尺のフィルムである場合、この光学積層体の遅相軸の方向は、光学積層体の幅方向に対して遅相軸がなす配向角θが、用途に応じた所望の角度となるように設定しうる。例えば、光学積層体が1/4波長板として機能しうる光学異方性のフィルムである場合、前記の配向角θは、好ましくは40°以上、より好ましくは43°以上、特に好ましくは44°以上であり、好ましくは50°以下、より好ましくは47°以下、特に好ましくは46°以下である。光学積層体を偏光子保護フィルムとして用いて偏光板を製造する場合には、通常、長尺状の偏光子と長尺状の光学積層体とを、長手方向を平行にして貼り合わせる。また、偏光子の透過軸は、通常、偏光子の長手方向に平行又は垂直である。したがって、前記のように光学積層体が前記の配向角θを有する場合には、偏光子の透過軸と光学積層体の遅相軸とが45°±5°の角度をなすように、容易に貼り合わせることができる。このようにして製造された偏光板では、偏光子を透過した直線偏光は、光学積層体によって円偏光に変換されうる。よって、この偏光板を液晶表示装置に設ければ、偏光サングラスを着用した場合でも画像の明るさを良好にできる液晶表示装置を容易に実現できる。
光学積層体が含む揮発性成分の量は、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下である。揮発性成分の量を前記範囲にすることにより、光学積層体の寸法安定性が向上し、レターデーション等の光学特性の経時変化を小さくすることができる。さらには、光学積層体を備える偏光板及び液晶表示装置の劣化を抑制でき、長期的に液晶表示装置の表示を安定で良好に保つことができる。ここで、揮発性成分は、分子量200以下の物質である。揮発性成分としては、例えば、残留単量体及び溶媒などが挙げられる。揮発性成分の量は、分子量200以下の物質の合計として、ガスクロマトグラフィーにより分析することにより定量しうる。
光学積層体の飽和吸水率は、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.03%以下、特に好ましくは0.01%以下であり、理想的にはゼロ%である。光学積層体の飽和吸水率をこのように低くすることにより、光学積層体の光学特性の継時的な変化を抑制することができる。
光学積層体の飽和吸水率は、JIS K7209に従い、下記の手順で測定しうる。
光学積層体を50℃で24時間乾燥し、デシケータ中で放冷する。次いで、乾燥した光学積層体の質量(M1)を測定する。
この光学積層体を、温度23℃、相対湿度50%の室内で24時間水に浸漬し光学積層体を水で飽和させる。その後、水から光学積層体を取り出し、24時間浸漬後の光学積層体の質量(M2)を測定する。
これらの質量の測定値から、次式により、光学積層体の飽和吸水率を求めうる。
飽和吸水率(%)=[(M2−M1)/M1]×100(%)
[3.光学積層体の製造方法]
光学積層体は、上述した樹脂組成物(A)を成形して中間層を得ることを含む製造方法によって、製造しうる。また、特に第一外側層及び第二外側層が樹脂(B)及び樹脂(B’)からなる場合には、光学積層体は、樹脂(B)、樹脂組成物(A)及び樹脂(B’)をフィルム状に成形する工程を含む製造方法により、製造しうる。樹脂(B)、樹脂組成物(A)及び樹脂(B’)の成形方法としては、例えば、共押出法及び共流延法などが挙げられる。これらの成形方法の中でも、共押出法は、製造効率に優れ、光学積層体中に揮発性成分を残留させ難いので、好ましい。
共押出法を用いた光学積層体の製造方法は、樹脂(B)、樹脂組成物(A)及び樹脂(B’)を共押し出しする工程を含む。共押出法においては、樹脂(B)、樹脂組成物(A)及び樹脂(B’)は、それぞれ溶融状態で層状に押し出され、第一外側層、中間層及び第二外側層を形成する。この際、樹脂の押出方法としては、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等が挙げられる。中でも、共押出Tダイ法が好ましい。共押出Tダイ法には、フィードブロック方式及びマルチマニホールド方式があり、厚みのばらつきを少なくできる点で、マルチマニホールド方式が特に好ましい。
共押出法において、押し出される樹脂(B)、樹脂組成物(A)及び樹脂(B’)の溶融温度は、好ましくはTg+80℃以上、より好ましくはTg+100℃以上であり、好ましくはTg+180℃以下、より好ましくはTg+150℃以下である。ここで「Tg」は、樹脂(B)、樹脂組成物(A)及び樹脂(B’)に含まれる重合体のガラス転移温度のうち、最も高い温度を表す。また、前記の溶融温度は、例えば共押出Tダイ法においては、Tダイを有する押出機における樹脂(B)、樹脂組成物(A)及び樹脂(B’)の溶融温度を表す。押し出される樹脂(B)、樹脂組成物(A)及び樹脂(B’)の溶融温度が、前記範囲の下限値以上であることより、樹脂の流動性を十分に高めて成形性を良好にでき、また、上限値以下であることにより、樹脂の劣化を抑制できる。
押出温度は、樹脂(B)、樹脂組成物(A)及び樹脂(B’)に応じて適切に選択しうる。例えば、押出機内における樹脂の温度は、樹脂投入口ではTg〜(Tg+100℃)、押出機出口では(Tg+50℃)〜(Tg+170℃)、ダイス温度は(Tg+50℃)〜(Tg+170℃)としうる。
さらに、ダイのダイスリップの算術平均粗さRaは、好ましくは0μm〜1.0μm、より好ましくは0μm〜0.7μm、特に好ましくは0μm〜0.5μmである。ダイスリップの算術平均粗さを前記範囲に収めることにより、光学積層体のスジ状の欠陥を抑制することが容易となる。ここで、算術平均粗さRaは、表面粗さ計を用い、JIS B 0601:1994に基づき測定しうる。
共押出法では、通常、ダイスリップから押し出されたフィルム状の溶融樹脂を冷却ロールに密着させて冷却し、硬化させる。この際、溶融樹脂を冷却ロールに密着させる方法としては、例えば、エアナイフ方式、バキュームボックス方式、静電密着方式などが挙げられる。
前記のように樹脂(B)、樹脂組成物(A)及び樹脂(B’)をフィルム状に成形することにより、樹脂(B)からなる第一外側層と、樹脂組成物(A)からなる中間層と、樹脂(B’)からなる第二外側層とをこの順に備える光学積層体が得られる。
また、光学積層体の製造方法は、延伸工程を含んでいてもよい。上述したように樹脂を成形して得られた光学積層体に延伸処理を施すことにより、この光学積層体に所望の光学特性を発現させることができる。以下の説明において、「延伸前積層体」とは、延伸処理を施される前の光学積層体をいい、「延伸積層体」とは、延伸処理を施された光学積層体をいう。
延伸は、一方向のみに延伸処理を行う一軸延伸処理を行ってもよく、異なる2方向に延伸処理を行う二軸延伸処理を行ってもよい。また、二軸延伸処理では、2方向に同時に延伸処理を行う同時二軸延伸処理を行ってもよく、ある方向に延伸処理を行った後で別の方向に延伸処理を行う逐次二軸延伸処理を行ってもよい。さらに、延伸は、延伸前積層体の長手方向に延伸処理を行う縦延伸処理、延伸前積層体の幅方向に延伸処理を行う横延伸処理、延伸前積層体の幅方向に平行でもなく垂直でもない斜め方向に延伸処理を行う斜め延伸処理のいずれを行ってもよく、これらを組み合わせて行ってもよい。これらの延伸処理の中でも、斜め延伸処理が好ましい。
延伸積層体を偏光子保護フィルムとして用いて偏光板を製造する場合、通常は、偏光子の透過軸と延伸積層体の遅相軸とが所定の角度で交差するように貼り合わせることが求められる。ところが、縦延伸処理及び横延伸処理によって得られる延伸積層体は、その遅相軸の向きが、当該延伸積層体の幅方向と平行又は垂直な方向となる。このように幅方向と平行又は垂直な遅相軸を有する延伸積層体は、通常、偏光子と所定の角度で貼り合わせるために、斜め方向に枚葉に裁断することが求められる。これに対し、斜め延伸処理によって得られる延伸積層体は、遅相軸の方向が、当該延伸積層体の幅方向に対して平行でも垂直でもない斜め方向となる。よって、斜め延伸処理によって得られる延伸積層体は、偏光子とロール・トゥ・ロールで貼りわせることによって偏光板を容易に製造することができる。
延伸温度及び延伸倍率は、延伸によって発現させたい光学特性に応じて任意に設定しうる。具体的な範囲を挙げると、延伸温度は、好ましくはTg−30℃以上、より好ましくはTg−10℃以上であり、好ましくはTg+60℃以下、より好ましくはTg+50℃以下である。また、延伸倍率は、好ましくは1.01倍〜30倍、好ましくは1.01倍〜10倍、より好ましくは1.01倍〜5倍である。
また、光学積層体の製造方法は、前述した工程に加えて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
[4.偏光子保護フィルム]
上述した光学積層体は、位相差フィルム、偏光子保護フィルム、偏光補償フィルム等の光学フィルムとして広範な用途に用いうる。中でも、光学積層体は、偏光子保護フィルムに用いることが好ましい。このような偏光子保護フィルムは、上述した光学積層体を備えるフィルムである。また、偏光子保護フィルムは、光学積層体に組み合わせて、ハードコート層等の任意の層を備えうる。
上述した偏光子保護フィルムを用いることにより、偏光板を得ることができる。この偏光板は、偏光子と、当該偏光子の少なくとも片側に設けられた偏光子保護フィルムとを備える。このような偏光板は、偏光子保護フィルムが備える光学積層体が紫外線を遮断して偏光子を保護できるので、耐久性に優れる。
偏光子としては、直角に交わる二つの直線偏光の一方を透過し、他方を吸収又は反射しうるフィルムを用いうる。偏光子の具体例を挙げると、ポリビニルアルコール、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等のビニルアルコール系重合体のフィルムに、ヨウ素、二色性染料等の二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適切な処理を適切な順序及び方式で施したものが挙げられる。特に、ポリビニルアルコールを含む偏光子が好ましい。また、偏光子の厚さは、通常、5μm〜80μmである。
さらに、光学積層体が1/4波長板として機能しうる場合には、偏光板において、偏光子の偏光透過軸と、偏光子保護フィルムが備える光学積層体の遅相軸とは、45°±5°の角度をなすことが好ましい。これにより、偏光子を透過した直線偏光を、光学積層体によって円偏光に変換できる。
偏光板は、偏光子の片側に偏光子保護フィルムを貼り合わせることにより、製造できる。貼り合わせに際しては、必要に応じて接着剤を用いてもよい。
偏光板は、上述した偏光子及び偏光子保護フィルムに組み合わせて、更に任意の層を備えていてもよい。例えば、偏光板は、光学積層体を備えた偏光子保護フィルム以外の任意の保護フィルム層を、偏光子の保護のために備えていてもよい。このような保護フィルム層は、通常、偏光子保護フィルムとは反対側の偏光子の面に設けられる。
[5.液晶表示装置]
上述した偏光板は、液晶表示装置に設けうる。通常、液晶表示装置は、光源、光源側偏光板、液晶セル及び視認側偏光板を、この順に備える。上述した偏光板は、液晶表示装置の光源側偏光板又は視認側偏光板として用いることができ、中でも視認側偏光板として用いることが好ましい。視認側偏光板として用いる場合、光学積層体を備える偏光子保護フィルムを用いた偏光板は、通常、偏光子及び光学積層体が光源側からこの順に並ぶように設けられる。
前記のような液晶表示装置は、光学積層体が紫外線を遮断できるので、液晶表示装置を製造するときに浴びる紫外線、及び、液晶表示装置を使用するときに浴びる外光中の紫外線から、液晶セル及び偏光子等の構成部材を保護できる。また、光学積層体において異物の数が少ないので、異物に起因した色ムラ及び着色を抑制でき、画質を向上させることができる。さらに、光学積層体が1/4波長板として機能しうる場合、前記のような液晶表示装置は、円偏光によって画像を表示できるので、偏光サングラスの着用時でも画像の明るさが良好となり、画像の視認性を向上させることができる。
液晶セルの駆動方式としては、例えば、インプレーンスイッチング(IPS)モード、バーチカルアラインメント(VA)モード、マルチドメインバーチカルアラインメント(MVA)モード、コンティニュアスピンホイールアラインメント(CPA)モード、ハイブリッドアラインメントネマチック(HAN)モード、ツイステッドネマチック(TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(STN)モード、オプチカルコンペンセイテッドベンド(OCB)モードなどが挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
[評価方法]
〔押出機中のせん断速度SRの測定方法〕
押出機中で混練される組成物のせん断速度SRは、SR=π×D×N/Hで計算した。ここで、Dはスクリュー径[mm]を示し、Nはスクリュー回転数[rpm]を示し、Hはスクリュー溝深さ[mm]を示す。
〔樹脂組成物のメルティングフローレートMFRの測定方法〕
樹脂組成物を、80℃で12時間以上乾燥させた。その後、JIS K 7210:1999に規定のA法に準拠して、メルティングフローレート測定装置(東洋精機製作所社製「メルトインデックスサ F−F01型」)を用いて、下記の試験条件で樹脂組成物のメルティングフローレートMFRを測定した。
試験条件:
温度 280℃
荷重 2.16kg
予熱時間 4分
切り取り時間 5秒
ピストン移動距離 10mm
〔面内レターデーションの測定方法〕
光学積層体の波長550nmにおける面内レターデーションReは、ポラリメーター(Axiometric社製「Axoscan」)を用いて測定した。
〔光線透過率の測定方法〕
光学積層体の波長380nmにおける光線透過率は、JIS K 0115(吸光光度分析通則)に準拠して、分光光度計(日本分光社製の紫外可視近赤外分光光度計「V−570」)を用いて測定した。
〔異物の評価方法〕
光学積層体を、黒板上に設置し、蛍光灯で照らした。蛍光灯から発せられて、光学積層体で反射した反射光を目視で観察し、異物を検出した。また、検出された異物の径をルーペを用いて測定し、径100μm以上の異物と、径50μm以上100μm未満の異物とに分類した。
[実施例1]
〔1−1.紫外線吸収剤及び脂環式構造を有する重合体を含む樹脂組成物の製造〕
全長1848mm、直径44mmのスクリューを備える二軸押出機(東芝社製、スクリュー長さLとスクリューの直径Dとの比L/D=42)を用意した。このスクリューは、当該スクリューの上流端部からの距離が685mm、920mm及び1190mmとなる位置に、合計3か所のニーディングゾーンを有していた。ここで、前記のスクリューの上流端部からニーディングゾーンの位置までの距離とは、スクリューの上流端部からニーディングゾーンの上流端部までの距離をいう。また、上流とは、樹脂の流れ方向における上流をいう。さらに、各ニーディングゾーンの長さLnxとスクリューの直径Dとの比Lnx/Dは、上流のニーディングゾーンから順に、Lnx/D=4、Lnx/D=2、Lnx/D=2であった。
この二軸押出機に、脂環式構造を含有する重合体(日本ゼオン社製、ガラス転移温度123℃)100部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ADEKA社製「LA−31])9.9部とを投入し、混練温度280℃、せん断速度SR=16118sec−1で混練して、紫外線吸収剤を含有率9.0%で含む樹脂組成物(a)を得た。得られた樹脂組成物(a)のメルティングフローレートMFRを測定したところ、28g/10minであった。
〔1−2.延伸前積層体の製造〕
目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを備える、ダブルフライト型単軸押出機(スクリューの直径D=50mm、スクリューの長さLとスクリューの直径Dとの比L/D=28)を用意した。この単軸押出機に前記樹脂組成物(a)を導入し、溶融させて、フィードブロックを介して単層ダイに供給した。単軸押出機への樹脂組成物(a)の導入は、単軸押出機に装填されたホッパーを介して行った。また、前記の単層ダイのダイスリップの表面粗さ(算術平均粗さRa)は、0.1μmであった。さらに、樹脂組成物(a)の押出機出口温度は、260℃であった。
他方、目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを備える単軸押出機(スクリューの直径D=50mm、スクリューの長さLとスクリューの直径Dとの比L/D=30)1台を用意した。この単軸押出機に、樹脂(b)として、樹脂組成物(a)に含まれるのと同様の脂環式構造を含有する重合体(日本ゼオン社製、ガラス転移温度123℃)を導入し、溶解させて、フィードブロックを介して前記の単層ダイに供給した。樹脂(b)の押出機出口温度は260℃であった。
その後、樹脂(b)の層、樹脂組成物(a)の層、及び、樹脂(b)の層の3層を含むフィルム状に吐出するように、前記の樹脂組成物(a)及び樹脂(b)を、260℃の溶融状態で単層ダイから吐出させ、100℃に温度調整された冷却ロールにキャストした(共押出工程)。そして、50℃に温度調整された冷却ロールに通して、長尺の延伸前積層体を得た。樹脂組成物(a)及び樹脂(b)を単層ダイから吐出させて冷却ロールにキャストする際、エアギャップ量は50mmに設定した。また、溶融状態のフィルム状の樹脂組成物(a)及び樹脂(b)を冷却ロールにキャストする方法としては、エッジピニングを採用した。
得られた延伸前積層体は、樹脂(b)からなる層(厚み9μm)、樹脂組成物(a)からなる層(厚み20μm)、及び、樹脂(b)からなる層(厚み9μm)をこの順に備える、2種3層のフィルムであった。
その後、この延伸前積層体の両端をトリミングして、幅を1230mmとした。
〔1−3.延伸前積層体の延伸〕
前記の延伸前積層体を、その長手方向に搬送して、テンター延伸機に連続的に供給した。そして、前記のテンター延伸機によって、延伸前積層体を連続的に延伸し、更に幅方向の両端をトリミングして、幅1290mm、総厚み26μmの長尺の延伸積層体を得た。前記の延伸は、延伸後に得られる延伸積層体の遅相軸が、当該延伸積層体の幅方向に対して45°の角度をなすように、斜め方向に行った。その後、製造された延伸積層体をロール状に巻き取って回収した。
得られた延伸積層体を、光学積層体として、上述した方法によって評価した。その結果、延伸積層体の面内レターデーションReは99nm、延伸積層体の波長380nmにおける光線透過率は0.5%、延伸積層体における径100μm以上の異物数は1個/m、径50μm以上100μm未満の異物数は5個/mであった。
[実施例2]
前記工程〔1−1〕において、樹脂組成物(a)における紫外線吸収剤の含有率が7.0%となるようにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の量を変更し、さらに、スクリューの回転数を調整してせん断速度SRを11512.5sec−1に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、延伸積層体の製造及び評価を行った。
[実施例3]
前記工程〔1−1〕において、スクリューの回転数を調整してせん断速度SRを11512.5sec−1に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、延伸積層体の製造及び評価を行った。
[比較例1]
前記工程〔1−1〕において、樹脂組成物(a)における紫外線吸収剤の含有率が7.0%となるようにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の量を変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、延伸積層体の製造及び評価を行った。
[比較例2]
前記工程〔1−1〕において、紫外線吸収剤を使用せずに、脂環式構造を含有する重合体だけを二軸押出機で混練し、混練した脂環式構造を含有する重合体を樹脂組成物(a)として得た。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、延伸積層体の製造及び評価を行った。
[比較例3]
スクリューの上流端部からの距離が920mm及び1190mmとなる位置のニーディングゾーンを有さないこと以外は実施例1で用いたのと同様の二軸押出機を用意した。この二軸押出機を、実施例1で用いた二軸押出機の代わりに使用した。さらに、前記工程〔1−1〕において、樹脂組成物(a)における紫外線吸収剤の含有率が7.0%となるようにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の量を変更し、さらに、スクリューの回転数を調整してせん断速度SRを13815sec−1に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、延伸積層体の製造及び評価を行った。
[比較例4]
前記工程〔1−1〕において、樹脂組成物(a)における紫外線吸収剤の含有率が16.0%となるようにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の量を変更し、さらに、スクリューの回転数を調整してせん断速度SRを11512.5sec−1に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、延伸積層体の製造及び評価を行った。
[結果]
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表1に示す。下記の表1において、Lnx/Dの値は、上から順に、それぞれ上流側から1番目、2番目及び3番目のニーディングゾーンにおける値を示す。また、下記の表1において、略称の意味は、下記の通りである。
Lnx/D:ニーディングゾーンの長さLnxとスクリューの直径Dとの比。
Ln/D:ニーディングゾーンの合計長さLnとスクリューの直径Dとの比。
UVA含有量:樹脂組成物(a)における紫外線吸収剤の量。
SR:二軸押出機中の組成物のせん断速度。
MFR:樹脂組成物(a)のメルティングフローレート。
Re:延伸積層体の面内レターデーション。
配向角:延伸積層体の遅相軸が、延伸積層体の幅方向に対してなす角。
UV透過率:延伸積層体の波長380nmにおける光線透過率。
大きい異物の数:延伸積層体における径100μm以上の異物数。
小さい異物の数:延伸積層体における径50μm以上100μm未満の異物数。
Figure 2017057339
[検討]
比較例1から分かるように、比SR/MFRが過大であると、混練の際に大きなせん断熱が発生し、このせん断熱によって重合体がゲル化して、異物を生じることが分かる。このようにゲル化した重合体が異物の原因となりうることは、比較例2のような紫外線吸収剤を用いない実験で異物が検出されていることから、裏付けられる。
また、比較例4から分かるように、比SR/MFRが過小であると、紫外線吸収剤が十分には分散しないので、紫外線吸収剤の塊りが残留し、異物を生じることが分かる。このように十分には分散しなかった紫外線吸収剤が異物の原因となりうることは、比較例3のようにニーディングゾーンが狭く混練が不十分となった実験で異物が検出されていることから、裏付けられる。
これに対し、実施例1〜3のように、比SR/MFRが所定の範囲に収まるように混練条件を設定した場合には、異物の数を少なくできる。したがって、前記の結果から、本発明の製造方法によれば異物の発生を抑制しながら樹脂組成物を製造でき、この樹脂組成物を用いれば異物の少ない光学積層体を実現できることが確認された。
100 二軸押出機
110 モータ
120 ブロワ
130 ホッパー
140 フィーダー
150 バレル
200 スクリュー
210.220及び230 ニーディングゾーン
300 光学積層体
310 第一外側層
320 中間層
330 第二外側層

Claims (6)

  1. スクリューを備える二軸押出機によって、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を混練して、樹脂組成物を得ることを含む、樹脂組成物の製造方法であって、
    前記スクリューが、1つのニーディングゾーンの長さLnxと前記スクリューの直径Dとの比Lnx/Dが1.5以上である前記ニーディングゾーンを、3箇所以上有し、
    前記ニーディングゾーンの合計長さLnと前記スクリューの直径Dとの比Ln/Dが、6.1以上18以下であり、
    得られる樹脂組成物の温度280℃、荷重2.16kgにおけるメルティングフローレートMFR[g/10min]と、前記二軸押出機による混練でのせん断速度SR[sec−1]との比SR/MFRが、300以上620以下である、樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記樹脂組成物における前記紫外線吸収剤の量が、5重量%以上16重量%以下である、請求項1記載の樹脂組成物の製造方法。
  3. 第一外側層と、請求項1又は2記載の製造方法によって製造された樹脂組成物からなる中間層と、第二外側層とを、この順に備える光学積層体の製造方法であって、
    請求項1又は2記載の製造方法によって製造された樹脂組成物を成形して、前記中間層を得ることを含む、光学積層体の製造方法。
  4. 前記光学積層体の厚みが、20μm以上50μm以下であり、
    前記光学積層体の波長380nmにおける光線透過率が、10%以下である、請求項3記載の光学積層体の製造方法。
  5. 前記第一外側層が、樹脂(B)からなる層であり、
    前記第二外側層が、樹脂(B’)からなる層であり、
    前記製造方法が、前記樹脂組成物、前記樹脂(B)及び前記樹脂(B’)を共押出することを含む、請求項3又は4記載の光学積層体の製造方法。
  6. 第一外側層と、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂組成物からなる中間層と、第二外側層とを、この順で備える光学積層体であって、
    前記光学積層体の厚みが、20μm以上50μm以下であり、
    前記光学積層体の波長380nmにおける光線透過率が、10%以下であり、
    前記光学積層体における径100μm以上の異物の数が、5個/m以下であり、
    前記光学積層体における径50μm以上100μm未満の異物の数が、20個/m以下である、光学積層体。
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