JPWO2017057081A1 - 積層体、それを有する制振用シート及び遮音用シート - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、薄く、軽量であっても高い制振性が得られ、且つエネルギー変換層と硬質層間の密着性が良好な積層体を提供することである。本発明の積層体は、少なくとも一方の面に複数の凸部が設けられたエネルギー変換層と、その前記一方の面に接合され、エネルギー変換層よりも高いヤング率を有する硬質層とを有し、複数の凸部の中から任意に選ばれた凸部と、複数の凸部のうち前記任意に選ばれた凸部に最も近い位置に配置されている他の凸部とからなる2つの凸部について、2つの凸部の高さが異なる場合は高さが低い方を第1の凸部、高さが高い方を第2の凸部とし、2つの凸部の高さが同じ場合はいずれか一方を第1の凸部、他方を第2の凸部としたとき、複数の凸部のうち70%以上の凸部が、下記式(1)〜(3)を満たす。式(1): 0≦m/lT<1式(2): 0<lT/h≦2.5式(3): 0.2≦t/h<1

Description

本発明は、積層体、それを有する制振用シート及び遮音用シートに関する。
機械や音響機器、自動車等の乗り物、建築物等の様々な構造物において、振動が問題となっている。構造物の振動が激しくなると、使用する人間が不快感を抱たり、場合によっては、タコマナローズ橋の崩壊のように構造物の破損を招いたりすることがある。また、構造物の振動は、隣接した空気の振動を引き起こすため、振動の苦情は騒音の苦情を伴うことが多い。掃除機や洗濯機等の家電製品は、多かれ少なかれ騒音を引き起こすし、自動車や建築物の窓ガラスは、外部の騒音を完全には遮ることができず、窓ガラスが振動することによって騒音の一部を内部に伝えている。このように、振動やそれに伴う騒音は問題視されており、それらの低減が求められている。
構造物の振動現象の一つに、共振がある。共振とは、「強制振動している系において、励起振動数が減少或いは増加いずれの方向にわずかに変化しても、その応答が減少するときの系の状態または現象」である。共振は、外力の振動数と構造物の固有振動数とが一致すると生じる現象であり、小さな外力でも大きな振動を生じることから、構造物の破壊や騒音の増大を抑制する上で低減すべきものである。
また、コンクリートやガラス等の壁体において、特定の周波数において音響透過損失が質量則よりも大幅に低下する現象が知られており、この現象をコインシデンス効果と呼ぶ。コインシデンス効果は、入射する音波の振動と壁体の屈曲振動とが一致することにより生じ、一致する周波数において、壁体の屈曲波の振幅は、入射する音波の振幅と同じくらい激しく振動して、遮音能力が著しく低下する。
振動状態は、外力と、物体の変位によって発生する力との釣り合いの運動方程式で表すことができる。その運動方程式から、共振点(共振周波数)近傍における物体の変位の振幅は、減衰係数によって決定されることが知られている。従って、構造物の減衰係数を大きくすることで、共振を効果的に抑制することができる。コインシデンス効果は、厳密には共振とは異なるものの、共振に似た現象である。従って、共振と同様に、構造物の減衰係数cを大きくすることで、コインシデンス効果を効果的に抑制することができる。
このように、共振やコインシデンス効果は、大きな振動や騒音を引き起こす現象であるが、構造物の減衰係数を大きくすることによって効果的に抑制することができる。
構造物の減衰係数を大きくして制振性を付与する方法として、振動源や騒音源となる構造物に制振材を貼り付けることが検討されている。そのような制振材としては、「非拘束型制振材」と「拘束型制振材」に大別される。非拘束型制振材は、通常、粘弾性樹脂層からなり、制振性を付与したい構造物の表面に直接貼り付けて用いられる。拘束型制振材は、通常、粘弾性樹脂層と拘束層とを有し、制振性を付与したい構造物の表面に粘弾性樹脂層が接するように貼り付けて用いられる。これらの制振材は、振動によって粘弾性樹脂層の内部で変形が起こり、振動エネルギーが熱エネルギーとして消費されることによって制振機能を発揮する。
非拘束型制振材の場合、粘弾性樹脂層は、制振性を付与したい構造物の表面に発生する伸びに追従して変形する。しかしながら、当該構造物表面の伸びひずみは極めて小さいため、粘弾性樹脂層の変形も小さく、高い減衰効果を得ることが難しい。一方、拘束型制振材の場合、制振性を付与したい構造物と拘束層は、内部の粘弾性樹脂層に比べて剛性が高いため、制振性を付与したい構造物と拘束層とがそれぞれ独立に変形することによって、樹脂層に大きなせん断ひずみが発生し、高い減衰効果を得ることができる。
このように、拘束型制振材は、構造物の制振性を良好に向上させることができる。しかしながら、拘束型制振材は、ある程度の厚み及び重量を有しているため、狭い隙間に貼り付けることができなかったり、構造物全体の重量を増加させたりするという問題もある。通常、拘束型制振材の厚みを薄くすると、制振性は低下する。このため、薄くて且つ軽量であっても、高い制振性を付与できる制振材が求められている。
これに対して、粘弾性樹脂層と硬質層との界面を凹凸形状にすることによって、制振性を向上させる方法が検討されている。
特許文献1には、スピーカーフレーム又は支持部材の表面に凹凸構造を設け、当該凹部に制振部材(粘弾性樹脂層)が埋め込まれた振動減衰部を有する電気音響変換器が開示されている。そして、振動時(スピーカー鳴動時)に凹部に埋め込まれた制振部材に応力を集中させることにより、効率よく振動エネルギーを吸収することができるとされている。
特許文献2には、金属製基板の表面に所定方向に延びる凹凸部が形成され、該凹凸部を覆うように粘弾性材料からなる制振用板材が積層されたパネル体が開示されている。それにより、振動時に凹凸部での伸縮変形および凹凸部での接触面の増加に相俟って、基板に伝わる振動が低減されて制振効果が高められるとされている。
特許文献3には、縞状の凹凸を設けた2枚の鋼板をその縞方向が互いに直角になり、且つ凹凸が向かい合うように合わせ、それらが形成する間隙に損失係数0.1以上の高分子物質を介在させた制振鋼板が開示されている。そして、凹凸を有することにより、高分子物質と鋼板との接触面積が大きくなり、ずり変形が増加し、それだけ振動吸収能力が大きくなるとされている。
特開2014−158080号公報 特開2002−67217号公報 特開平1−171855号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載された構造では、制振性が未だ不十分であり、さらなる改善が必要であった。また、長期間の振動条件下においては、エネルギー変換層と硬質層とが剥離しやすいという問題もあった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、薄く、軽量であっても高い制振性が得られ、且つエネルギー変換層と硬質層間の密着性が良好な積層体を提供することを目的とする。また、該積層体を有する、制振性や遮音性に優れたシートを提供することを目的とする。
[1] 少なくとも一方の面に複数の凸部が設けられた、振動エネルギーを熱エネルギーに変換するためのエネルギー変換層と、前記エネルギー変換層の前記一方の面に接合された、前記エネルギー変換層よりも高いヤング率を有する硬質層と、を有し、前記複数の凸部の中から任意に選ばれた凸部と、前記複数の凸部のうち前記任意に選ばれた凸部に最も近い位置に配置されている他の凸部とからなる2つの凸部について、前記2つの凸部の高さが異なる場合は、高さが低い方の凸部を第1の凸部とし、高さが高い方の凸部を第2の凸部とし、前記2つの凸部の高さが同じ場合は、任意に選択される一方の凸部を第1の凸部とし、他方の凸部を第2の凸部としたとき、前記複数の凸部のうち70%以上の凸部が、下記式(1)〜(3)を満たす、積層体。
式(1): 0≦m/l<1
式(2): 0<l/h≦2.5
式(3): 0.2≦t/h<1
[上記式(1)〜(3)において、
は、前記第1の凸部の頂点及び前記第2の凸部の頂点を含み、且つ前記一方の面の延在方向に垂直な仮想断面における、前記第1の凸部の頂点の高さでの前記第1の凸部と前記第2の凸部との間隔であり、
mは、前記仮想断面における、前記第1の凸部の頂点を含む頂面の幅であり、
tは、前記仮想断面における、前記第1の凸部と前記第2の凸部の間の底部からの前記第1の凸部の高さであり、
hは、前記エネルギー変換層の前記硬質層とは反対側の面からの前記第1の凸部の高さである。]
[2] 前記仮想断面において、前記第1の凸部の底部と前記第2の凸部の底部との間隔をlとしたとき、前記式(1)〜(3)を満たす凸部は、下記式(4)をさらに満たす、[1]に記載の積層体。
式(4):l/l≦0.5
[3] 前記仮想断面において、前記第1の凸部の底部と前記第2の凸部の底部とが接している、[2]に記載の積層体。
[4] 前記複数の凸部の全てが、同じ大きさ及び形状を有し、周期的に配置されており、且つ前記複数の凸部の全てが、前記式(1)〜(3)を満たす、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 前記式(1)〜(3)を満たす凸部は、下記式(5)をさらに満たす、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
式(5): 0≦m/l<0.5
[6] 前記式(1)〜(3)を満たす凸部は、下記式(6)をさらに満たす、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
式(6): 0<l/h≦1.0
[7] 前記式(1)〜(3)を満たす凸部は、下記式(7)をさらに満たす、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
式(7): 0.5≦t/h<1
[8] 前記積層体の総厚みは、100〜1000μmである、[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の積層体を有する、制振用シート。
[10] [1]〜[8]のいずれかに記載の積層体を有する、遮音用シート。
本発明によれば、薄く、軽量であっても高い制振性が得られ、且つエネルギー変換層と硬質層間の密着性が良好な積層体を提供することができる。また、該積層体を有する、制振性や遮音性に優れたシートを提供することができる。
図1A及びBは、拘束型制振材のひずみの量を説明する図である。 図2A及びBは、本発明の積層体の一例を示す図である。 図3は、本発明の積層体の他の例を示す断面図である。 図4A及びBは、本発明の積層体の他の例を示す図である。 図5A〜Eは、凸部の断面形状の他の例を示す図である。 図6A〜Cは、凸部の分布状態の例を示す図である。
本発明者らは、制振性能の根幹は、振動エネルギーを熱エネルギーに変換するエネルギー減衰性能であることに着目した。エネルギー減衰性能は、「振動時にエネルギー変換層に発生するひずみの量」と「単位ひずみあたりのエネルギー変換層のエネルギー変換量」によって決定される。従って、エネルギー減衰性能を大きくするためには、「振動時にエネルギー変換層に発生するひずみの量」を大きくすればよい。
即ち、材料が変形した際に、どのくらいエネルギーを吸収するか(どのくらい振動エネルギーが熱エネルギーとして消費されるか)の指標として、損失係数ηが用いられる。材料の損失係数ηは、1サイクル当たりの材料の回復可能な弾性ひずみエネルギーをEr、消費エネルギーをEdとすると、下記式で表される。
η=1/2*π*Ed/Er・・・(I)
通常、硬質層の弾性率はエネルギー変換層よりも極めて大きいことから、弾性ひずみエネルギーErの大部分は「硬質層の歪みエネルギー」と考えることができる。一方、硬質層の損失係数は極めて小さいことから、消費エネルギーEdの大部分は「エネルギー変換層の消費エネルギー」と考えることができる。
エネルギー変換層の消費エネルギーEdは、伸びひずみをε、せん断ひずみγをγとしたとき、以下の式で表される。
Ed=∫1/2*E''*εdV・・・(II)
Ed=∫1/2*G''*γdV・・・(III)(E'':伸び変形の損失弾性率、G'':せん断変形の損失弾性率)
従って、式(I)〜(III)から、損失係数ηを大きくするためには、エネルギー変換層の消費エネルギーEdを大きくすればよく;エネルギー変換層の消費エネルギーEdを大きくするためには、エネルギー変換層に発生するひずみの量(伸びひずみεとせん断ひずみγ)を大きくすればよいことがわかる。
そして、「振動時にエネルギー変換層に発生するひずみの量(伸びひずみεとせん断ひずみγ)」を大きくするためには、エネルギー変換層と硬質層とを有する積層体において、エネルギー変換層の硬質層との接合面に複数の凸部を設け、これらの凸部の少なくとも一部が、下記式(1)〜(3)を満たせばよい。式(1)〜(3)の詳細については、後述する。
式(1):0≦m/l<1
式(2):0<l/h≦2.5
式(3):0.2≦t/h<1
図1は、拘束型制振材のひずみの量を説明する図である。このうち、図1Aは、エネルギー変換層2と硬質層3との界面が凸凹形状を有しない拘束型制振材の断面図であり、図1Bは、エネルギー変換層2と硬質層3との界面が凸凹形状を有する拘束型制振材の断面図である。
エネルギー変換層2と硬質層3との界面が凸凹形状を有しない場合(図1A参照)、エネルギー変換層2に発生するひずみは、「せん断ひずみγ」として表される。「せん断ひずみγ」は、変形時のエネルギー変換層の変位量xを、エネルギー変換層の厚みhで割った値(x/h)である(図1A参照)。
エネルギー変換層2と硬質層3との界面が凸凹形状を有する場合(図1B参照)、エネルギー変換層2に発生するひずみは、「凸部に発生する伸びひずみε」と「凸部の支持部分に発生するせん断ひずみγ」の和として表される。「凸部に発生する伸びひずみε」は、変形時のエネルギー変換層の変位量axを、エネルギー変換層2の凸部の中心から外縁までの距離nで割った値(ax/n)である(図1B参照)。「凸部の支持部分に発生するせん断ひずみγ」は、変形時のエネルギー変換層2の変位量xを、エネルギー変換層2の、凸部がない底部の厚み(h−t)で割った値(x/(h−t))である(図1B参照)。つまり、変形時の変位量xが一定であれば、エネルギー変換層2の凸部の中心から外縁までの距離nが小さいほど伸びひずみεは大きく、エネルギー変換層2の凸部の高さtが大きいほどせん断ひずみγは大きくなる。
一方で、エネルギー変換層2の最大厚みが同じである場合、凹凸構造を有する図1Bのエネルギー変換層2は、凹凸構造を有しない図1Aのエネルギー変換層2よりもエネルギー変換層2の体積は少ないため、その分、エネルギー変換量2も少なくなる可能性がある。従って、図1Bのエネルギー変換層2のエネルギー変換性能を、図1Aのエネルギー変換層2のエネルギー変換性能よりも大きくする(図1Aのエネルギー変換層2のひずみの合計量(せん断ひずみγ)<図1Bのエネルギー変換層2のひずみの合計量(伸びひずみε+せん断ひずみγ))ためには、「凸部に発生するひずみの増大によるエネルギー変換量の増加分」を「体積減少によるエネルギー変換量の減少分」よりも多くすればよい。
「凸部に発生するひずみの増大によるエネルギー変換量の増加分」を多くするためには、エネルギー変換層2の「凸部の中心から外縁までの距離nを小さく」し、且つ「凸部の高さtを大きく」した部位を「多く」形成すること(図1B参照);即ち、エネルギー変換層20の「凸部21の頂点を含む頂面の幅mを小さく」し、「凸部21の底部からの高さtを大きく」し、且つ「凸部21の間隔lを小さく」することが有効である(図2A参照)。具体的には、エネルギー変換層が有する凸部の少なくとも一部が、式(1)〜(3)を満たせばよい。
このように、エネルギー変換層が有する複数の凸部の少なくとも一部が、式(1)〜(3)を満たすことで、「エネルギー変換層に発生するひずみの量」を大きくすることができ、「振動エネルギーを熱エネルギーに変換するエネルギー減衰性能」を高めることができる。
通常、制振材の表面形状を凹凸にすることで損失係数が大きくなるとは限らない。そのため、振動時に物体がどのように変形し、どのようなひずみ発生するかを予測することは非常に難しい。このことは、制振材を積層したビードパネルの振動減衰特性では、凹凸構造のない平板に制振材を設けた方が、凹凸構造を有するビードパネルに制振材を設けた場合よりも損失係数が大きいという報告によっても示される(例えば、山口誉夫ら、「制振材を積層したビードパネルの振動減衰特性の有限要素解析」、Dynamics and Design Conference 2002 CD-ROM論文集、一般社団法人日本機械学会参照)。このように、本発明の式(1)〜(3)を満たすように凸部の形状を調整することによってエネルギー減衰性能を高めることは、従来からは予測できないものである。特許文献1〜3のエネルギー変換層は、少なくとも凸部の頂部の幅mが大きいため、少なくとも式(1)を満たしていない。従って、凸部に発生するひずみの大きさが十分ではなく、十分なエネルギー変換性能が得られないと考えられる。
さらに、エネルギー変換層が有する複数の凸部の少なくとも一部が式(1)〜(3)を満たすことで、エネルギー変換層と硬質層との界面の凹凸部分の表面積を十分大きくすることができ、エネルギー変換層と硬質層との密着性を高めることができる。本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
1.積層体
図2Aは、本発明の積層体の一例を示す断面図であり、図2Bは、図2Aの2B−2B線の断面図である。図3は、本発明の積層体の他の例を示す断面図である。図2Aに示されるように、本発明の積層体10は、エネルギー変換層20と、硬質層30とを有する。
1−1.エネルギー変換層20について
エネルギー変換層20は、硬質層30よりもヤング率が低い層であり、振動時に振動エネルギーを熱エネルギーに変換する役割を有する。エネルギー変換層20は、硬質層30側の面に設けられた複数の凸部21を有する。複数の凸部21の少なくとも一部は、下記式(1)〜(3)を満たす。
式(1): 0≦m/l<1
式(2): 0<l/h≦2.5
式(3): 0.2≦t/h<1
式(1)〜(3)のl、m、t及びhを、図2を参照して説明する。まず、複数の凸部21の中から任意に選択された凸部21と、当該凸部21に最も近い位置に配置されている他の凸部21とを特定する。特定した2つの凸部21及び21の高さが同じ場合は、任意に選択される一方の凸部21を第1の凸部21Aとし、他方の凸部21を第2の凸部21Bとする(図2A参照)。特定した2つの凸部21の高さが異なる場合は、高さが低い方の凸部21を第1の凸部21Aとし、高さが高い方の凸部21を第2の凸部21Bとする(図3参照)。
は、第1の凸部21Aの頂点及び第2の凸部21Bの頂点を含み、且つエネルギー変換層20の複数の凸部21を有する面(エネルギー変換層20と硬質層30との接合界面)の延在方向に垂直な仮想断面P(例えば図2A)における、第1の凸部21Aの頂点の高さでの第1の凸部21Aと第2の凸部21Bとの間隔である。「凸部の頂点」とは、凸部の頂部が平面である場合は、該平面の重心を頂点とする。
mは、仮想断面Pにおける、第1の凸部21Aの頂点を含む頂面(頂部の平面)の幅である。第1の凸部21Aに頂面が存在しない場合は、mは0である。
tは、仮想断面Pにおける、第1の凸部21Aと第2の凸部21Bの間の底部23Aからの第1の凸部21Aの高さである。底部23Aは、第1の凸部21Aと第2の凸部21Bの間で最も低い地点である。
hは、エネルギー変換層20の硬質層30とは反対側の面からの、第1の凸部21Aの高さ(エネルギー変換層20の厚みともいう)である。l、m、t及びhの単位は、同じである。
式(1)は、第1の凸部21Aの頂点を含む頂面の幅mが小さいことを示す。m/lが1未満であると、第1の凸部21Aの頂点を含む頂面の幅mが小さいので、エネルギー変換層20の複数の凸部21が設けられた領域に生じる伸びひずみを大きくすることができ、エネルギー変換性能を高めることができる。エネルギー変換性能及び層間密着性をより高めるためには、式(1)〜(3)を満たす凸部21は、0≦m/l<0.5をさらに満たすことが好ましく、0≦m/l<0.3を満たすことがより好ましく、0≦m/l<0.1を満たすことがさらに好ましい。
式(2)は、第1の凸部21Aと第2の凸部21Bの間隔lが小さいことを示す。l/hが2.5以下であると、第1の凸部21Aと第2の凸部21Bの間隔lが小さいので、エネルギー変換層20の複数の凸部21が設けられた領域に生じる伸びひずみを大きくすることができ、エネルギー変換性能を高めることができる。エネルギー変換性能及び層間密着性をより高めるためには、式(1)〜(3)を満たす凸部21は、0<l/h≦1.0を満たすことが好ましく、0<l/h≦0.8を満たすことがより好ましく、0<l/h≦0.5を満たすことがさらに好ましい。
式(3)は、第1の凸部21Aの底部からの高さtが大きいことを示す。t/hが0.2以上であると、第1の凸部21Aの底部からの高さtが大きいので、エネルギー変換層20の複数の凸部21が設けられた領域に生じる伸びひずみを大きくすることができ、エネルギー変換性能を高めることができる。エネルギー変換性能及び層間密着性をより高めるためには、式(1)〜(3)を満たす凸部21は、0.4≦t/h<1を満たすことが好ましく、0.5≦t/h<1を満たすことがより好ましく、0.7≦t/h<1を満たすことがさらに好ましい。
図4Aは、本発明の積層体の他の例を示す断面図であり、図4Bは、図4Aの4B−4B線の断面図である。図4Aに示されるように、第1の凸部21Aの底部23Aと第2の凸部21Bと底部23Bとは接していなくてもよい。但し、式(1)〜(3)を満たしやすい観点では、仮想断面P(例えば図4A)において、第1の凸部21Aの底部23Aと第2の凸部21Bと底部23Bとの間隔lは、下記式をさらに満たすことが好ましい。
式(4):l/l≦0.5
エネルギー変換性能及び層間密着性をより高めるためには、式(1)〜(4)を満たす凸部21は、l/l≦0.25を満たすことがより好ましく、l/l=0(l=0)を満たすことがさらに好ましい。
エネルギー変換層20が有する複数の凸部21のうち、式(1)〜(3)を満たす凸部21の割合は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。それにより、エネルギー変換性能と層間密着性を十分に高めることができる。
式(1)〜(3)を満たす凸部21の割合は、以下の手順で求めることができる。即ち、複数の凸部21の中から任意に選択された一の凸部21と、当該凸部21に最も近い位置に配置されている他の凸部21とからなる2つの凸部を特定し、l、m、t及びhを測定する。そして、m/l、l/h及びt/hを算出し、これらの値が式(1)〜(3)を満たすかどうかを確認する。一の凸部21を、他の残りの凸部21に変えて同様の操作を行うことで、式(1)〜(3)を満たす凸部21の割合を求めることができる。
凸部21の形状は、式(1)〜(3)を満たすものであれば、特に制限されず、例えば錐体状(三角錐状、四角錐状、円錐状)、錐台状(三角錐台状、四角錐台状、円錐台状)、半球状、柱状(三角柱状、四角柱状、円柱状)又はこれらを組み合わせた形状でありうる。図5Aは、錐体状の断面形状の一例であり;図5Bは、錐体と錐台とを組み合わせた形状の一例であり;図5C及び5Dは、柱状の断面形状の一例であり;図5Eは、半球状の断面形状の一例である。中でも、シンプルな形状で成形が容易であり、且つ式(1)〜(3)を満たす範囲に調整しやすい観点では、錐体状又は錐台状が好ましく、円錐状又は円錐台状がより好ましい。
凸部21の形状が、錐体状又は錐台状である場合、凸部21の側面の傾斜角θは、0<θ<120度の範囲をとりうるが、エネルギー変換性能を高めるためには、20<θ<90度であることが好ましく、40<θ<90度であることがより好ましい(図2A参照)。「凸部21の側面の傾斜角θ」とは、仮想断面P(例えば図2A)において、凸部21の側面と凸部21の底面とがなす角度のうち小さい方をいう。凸部21の側面の仮想断面Pは、直線であってもよいし、曲線であってもよい。凸部21の側面の仮想断面Pが曲線である場合、凸部21の側面の傾斜角θは、仮想断面P(例えば図2A)において、凸部21の側面の任意の点における接線と凸部21の底面とがなす角度のうち小さい方をいう。
複数の凸部21の形状や大きさは、互いに同じであっても、異なってもよい。製造効率を高める観点からは、複数の凸部21の形状や大きさは、互いに同じであることが好ましい。
図6A〜Cは、高さが同じ複数の凸部21の頂点を通る水平断面(図2Bに対応する断面)における、複数の凸部21の分布状態の例を示す図である。複数の凸部21は、エネルギー変換層20の面内方向に島状に点在していてもよいし(図6A及び図6B参照)、面内の任意の一方向に連続して存在していてもよい(図6C参照)。複数の凸部21の分布状態は、周期的であってもよいし(図6A参照)、ランダムであってもよい(図6B参照)。
本発明では、エネルギー変換層20が有する複数の凸部21の全てが式(1)〜(3)を満たし、且つ複数の凸部21の全てが同じ大きさと形状を有し、且つ周期的に配置されていることが好ましい。積層体の製造効率を高めうるだけでなく、十分なエネルギー減衰性能と層間密着性が得られるからである。
エネルギー変換層20が有する複数の凸部21の数は、例えば1mあたり40,000個以上、好ましくは4,000,000個以上、より好ましくは400,000,000個以上としうる。
エネルギー変換層20のヤング率は、制振性を高める観点から、1GPa以下であることが好ましく、100MPa以下であることがより好ましく、10MPa以下であることがさらに好ましく、1MPa以下であることが特に好ましい。エネルギー変換層20のヤング率は、引張り試験(JIS Z 2280)によって測定することができる。
エネルギー変換層20のヤング率は、以下の方法で測定することができる。即ち、エネルギー変換層用樹脂組成物を、該樹脂組成物のTg+50℃で射出成形して幅10mm×長さ100mm×厚さ0.1mmの試験片を得る。得られた試料片のヤング率を、引張り試験により測定する。具体的には、試料片を引張試験装置(テンシロンRTC−1225A、オリエンテック株式会社製)にセットし、チャック間距離50mm、引張り速度50mm/minの条件で引張試験を行ったときの引張弾性率を測定する。測定は、25℃55%RH下で行う。
エネルギー変換層20のtanδは、制振性を高める観点から、0.1以上であることが好ましく、0.5以上であることが好ましく、1.0以上であることが特に好ましい。
エネルギー変換層20のtanδは、以下の方法で測定することができる。即ち、ヤング率の測定に用いた試験片と同様の試験片を準備し、この試験片を、レオメトリックス社製固体粘弾性測定装置RSA−IIを用いて、ひずみ1%、周波数0.1Hz、引っ張りモードにて、室温における貯蔵弾性率E′(Pa)及び損失弾性率E″(Pa)を測定する。得られた貯蔵弾性率E′(Pa)及び損失弾性率E″(Pa)の比の値(E″/E′)を「tanδ」として求める。
エネルギー変換層20を構成する材料は、少なくとも前述のヤング率を満たしうる材料であればよく、例えば粘弾性樹脂、エラストマー又は発泡樹脂である。具体的には、ウレタンゴム、発泡ウレタン、ニトリルゴム、ブチルゴム、酢酸ビニル樹脂、塩化含有熱可塑性樹脂(塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)、及びアクリル樹脂等を使用することができる。
エネルギー変換層20は、必要に応じて他の成分をさらに含みうる。他の成分の例には、可塑剤、フィラー、圧電性化合物及び導電性化合物が含まれる。
可塑剤は、樹脂組成物のヤング率やtanδを適切な範囲に調整しやすくするために添加される。可塑剤の例には、塩素化パラフィンが含まれる。
フィラーは、球状、繊維状又は板状であり、強度を付与しやすい点から、球状又は繊維状であることが好ましい。フィラーの材質の例には、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、ガラス、タルク、クレー、マイカ、炭酸カルシウム及びカーボンが含まれる。エネルギー変換層がフィラーを含有することによって、マトリクス樹脂の分子間摩擦による熱失活に加え、樹脂とフィラーとの間の摩擦による熱失活により、制振性を高めることができる。
圧電性化合物の例には、チタン酸ジルコン酸鉛、ニオブ酸ナトリウムカリウム及びポリフッ化ビニリデンが含まれる。導電性化合物の例には、カーボンブラックが含まれる。圧電材料と導電性化合物を含有することによって、圧電効果による電気的エネルギーの損失が加わるため、制振性を高めることができる。
エネルギー変換層20の最大厚みは、特に制限なく、求められるエネルギー変換性能によって適宜設定しうる。前述の通り、エネルギー変換層20の凸部21の高さtが大きいほど、振動時に発生する伸びひずみは大きくなりやすい一方で;エネルギー変換層20の最大厚みが一定である場合、凹凸構造の形成により、エネルギー変換層の体積が減少するため、制振性を最大化する最大厚みには適切な点がある。また、硬質層30のヤング率や最大厚みとの関係によっても、制振性を最大化するエネルギー変換層20の最大厚みには適切な点がある。このため、エネルギー変換層20の最大厚みは、凸部21を高くすることによるひずみの増大量と、エネルギー変換層20の体積減少によるひずみの減少量とのバランスを考慮して設定されることが好ましく、例えば10μm以上1mm以下程度としうる。
1−2.硬質層30について
硬質層30は、エネルギー変換層20よりもヤング率が高い層であり、振動時にエネルギー変換層20を拘束することによって、エネルギー変換層20に発生するひずみを大きくする役割を有する。硬質層30は、エネルギー変換層20の複数の凸部21を有する面と接合されており、複数の凸部21のそれぞれに対応する複数の凹部を有する(図2A参照)。
硬質層30のヤング率は、制振性を高める観点から、1GPa以上であることが好ましく、10GPa以上であることがより好ましく、50GPa以上であることが特に好ましい。硬質層のヤング率とエネルギー変換層のヤング率の比(硬質層30のヤング率/エネルギー変換層20のヤング率)は、10以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、1000以上であることが特に好ましい。硬質層30のヤング率は、前述と同様にして測定されうる。
硬質層30を構成する材料は、前述のヤング率を満たしうるものであればよく、その例には、硬質樹脂(硬質塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、酢酸セルロース等)、繊維強化樹脂、ガラス、及び金属材料(アルミ、ステンレス等)が含まれる。
硬質層30の最大厚みは、特に制限なく、求められるエネルギー変換性能によって適宜設定しうる。一般的に、硬質層30の最大厚みが大きいほど制振性は高くなるが、積層体10の重量は大きくなる。このため、硬質層30の最大厚みは、制振性と重量のバランスを考慮して設定されることが好ましく、例えば100μm以上10mm以下程度としうる。
1−3.他の層について
本発明の積層体10は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(不図示)をさらに有してもよい。他の層の例には、ハードコート層や防汚層等が含まれる。
1−4.物性について
本発明の積層体10の総厚みは、求められるエネルギー変換性能にもよるが、100μm〜10mmであることが好ましく、100μm〜1mmであることがより好ましい。積層体10の総厚みが100μm以上であると、十分なエネルギー変換性能が得られやすく、10mm以下であると、積層体10の総重量が大きくなりすぎない。
2.積層体の製造方法
本発明の積層体は、任意の方法で製造することができ、例えば1)表面に凹部が形成された硬質層を得る工程と;2)硬質層の凹部が設けられた面上にエネルギー変換層を形成する工程とを経て製造されうる。
1)の工程について
表面に凹部が形成された硬質層は、例えば平板状の硬質層の表面を切削加工、エッチング加工、又は凹部を有する樹脂層を印刷(ナノプリント)して得ることもできる。また、表面に凹部が形成された硬質層は、凹凸形状を有する型に、硬質層の材料を流し込んだ後、冷却して固めたり、加熱下でプレス・圧着したりして得てもよい。
2)の工程について
エネルギー変換層は、例えば硬質層の凹部が形成された面に、シート状のエネルギー変換層をプレス・圧着(熱圧着)して形成してもよいし;エネルギー変換層用組成物を硬質層の凹部が形成された面に付与した後、硬化させて形成してもよい。
エネルギー変換層用組成物の硬化は、硬化性樹脂組成物の硬化(架橋)であってもよいし;加熱溶融した熱可塑性樹脂組成物の冷却固化であってもよい。
硬化性樹脂組成物の硬化は、光硬化であっても、熱硬化であってもよく、十分に硬化させうる観点から熱硬化であることが好ましい。硬化性樹脂組成物は、硬化性化合物と、硬化剤(架橋剤)とを含む。硬化性化合物の例には、ウレタンゴム、ニトリルゴム及びブチルゴム等が含まれる。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含み、必要に応じて溶剤をさらに含んでもよい。熱可塑性樹脂の例には、前述の酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、及びアクリル樹脂等のエラストマーや発泡樹脂が含まれる。
3.積層体の用途
本発明の積層体は、前述の通り、振動時に振動エネルギーを熱エネルギーに変換する能力に優れている。そのため、本発明の積層体は、振動を低減することが求められる様々な用途、例えば制振材や遮音材として好ましく用いることができる。制振材や遮音材の形態は、特に制限されないが、シート状であることが好ましい。
例えば、本発明の積層体のエネルギー変換層を、機械や音響機器、自動車、建築物等に貼り付けることで、これらの構造物の振動を低減することができる。また、本発明の積層体のエネルギー変換層を、窓ガラスや壁材に貼り付けることで、これらの構造物の遮音性を高めることができ、特にコインシデンス効果の抑制に有効である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.制振性の評価
<積層体101の作製>
1)硬質層の作製
厚み100μmのアルミニウム板(5052合金)の片面に、エンボス加工によって円錐状の凹部を周期的に形成し、硬質層101を得た。円錐状の凹部の形状、大きさ及び間隔は、いずれも同一とした。
2)積層体の作製
塩素化ポリエチレン(昭和電工株式会社製、「エラスレン402NA」)100重量部と、塩素化パラフィン(東ソー株式会社製、「トヨパラックス150」)250重量部と、塩素化パラフィン(味の素ファインテクノ株式会社製、「エンパラ70」)200重量部とを6インチロールに投入し、100℃で混練し、エネルギー変換層用樹脂組成物を得た。
得られたエネルギー変換層用樹脂組成物を120℃に加熱した状態で、硬質層101の凹部が形成された面上に流延した後、冷却して、硬質層とエネルギー変換層とが積層された積層体101を得た。
得られた積層体101において、硬質層の凹部内にはエネルギー変換層が充填されており、エネルギー変換層の硬質層側の面には硬質層の凹部に対応する凸部が形成されていた。得られた積層体101の総厚みは200μm、エネルギー変換層の最大厚みh(最も厚い部位の厚み)は100μm、凸部の底部からの高さt(最も厚い部位と最も薄い部位の厚みの差)は20μm、凸部の間隔lは250μm、凸部底部の間隔lは0μm、凸部の頂点を含む頂面の幅mは0μmであった。積層体110のエネルギー変換層の凸部全数に対して、式(1)〜(3)を満たす凸部の数の割合は100%であった。
<積層体102〜112、201〜203の作製>
積層体101の作製において、t、l、l及びmが表1の値になるようにした以外は同様にして、積層体102〜112及び201〜203を得た。
<積層体113の作製>
積層体107の作製において、硬質層の円錐状の凹部の間隔を非周期的に形成した以外は同様にして、積層体110を得た。円錐状の凹部の形状及び大きさは、いずれも同一とした。なお、積層体110のエネルギー変換層の凸部全数に対して、式(1)〜(3)を満たす凸部の数の割合は80%であった。
<積層体301の作製>
積層体101の作製において、硬質層として、表面に凹部を有しない厚み100μmのアルミニウム板(5052合金)を用いた以外は同様にして積層体301を得た。
得られた積層体の制振性及び密着性を、それぞれ以下の方法で評価した。
(制振性の評価)
得られた積層体を10mm×150mmにカットして試験片とし、厚み3mmのアルミニウム板(5052合金)に貼り付けて拘束型制振構造を作製した。
アルミニウム板への試験片の貼り付けは、試験片のエネルギー変換層面に、2液硬化型エポキシ系接着剤を塗布した後、該塗布面をアルミニウム板に温度25℃、圧力200kPaで30分間熱圧着して行った。
得られた拘束型制振構造の500Hz反共振点での損失係数を、損失係数測定装置を用いて、温度20℃にて中央加振法により測定した。そして、各試験片を用いたときの拘束型制振構造の損失係数と、積層体301を用いたときの拘束型制振構造の損失係数との比(各試験片を用いたときの拘束型制振構造の損失係数/積層体301を用いたときの拘束型制振構造の損失係数)を算出した。この損失係数の比が高いほど、一般的な平面界面の拘束型制振構造よりも制振性が高いことを意味する。
(密着性の評価)
制振性の評価用に作製した各拘束型制振構造の、厚み3mmのアルミニウム板側を加振台テーブルに固定し、各拘束型制振構造の長軸方向(150mmの方向)に、振幅1mm、周波数500Hzの条件で、1000時間振動させた。その後、得られた各拘束型制振構造における、エネルギー変換層と硬質層との密着性を、以下の基準にて評価した。
A:エネルギー変換層の剥離が生じていない
B:エネルギー変換層の一部に剥離が生じている
C:エネルギー変換層の大部分に剥離が生じている
D:エネルギー変換層が完全に剥離している
積層体101〜113、201〜203及び301の評価結果を表1に示す。
Figure 2017057081
表1に示されるように、エネルギー変換層が有する凸部の80%以上が式(1)〜(3)の全てを満たす積層体101〜113は、式(1)〜(3)のいずれかを満たさない積層体201〜203及び凹凸構造を有しない積層体301よりも、損失係数比が高く、且つ高い層間密着性を有することがわかる。
<積層体302の作製>
積層体301の作製において、硬質層を得るための原板を、厚み1mmのアルミニウム板(5052合金)に変更した以外は同様にして積層体302を得た。円錐状の凹部の形状、大きさ及び間隔は、いずれも同一とした。得られた積層体302の総厚みは1.1mmであった。
得られた積層体302の損失係数を前述と同様にして測定した。そして、積層体302を用いた拘束素型制振構造の損失係数の、積層体301を用いた拘束型制振構造の損失係数に対する比を算出した。その結果を表2に示す。
Figure 2017057081
表2に示されるように、積層体107(実施例)は、積層体302(比較例)と損失係数が同程度であるが、積層体302(比較例)よりも総厚みが小さいことがわかる。つまり、本発明の制振材は、硬質層とエネルギー変換層の界面が平面である一般的な制振材と同程度の制振性を得る場合に、厚みを薄くしたり、重量を減らしたりすることができることがわかる。
2.遮音性の評価
<合わせガラス401の作製>
1)硬質層の作製
フロートガラスの片面に、エンボス加工によって円錐状の凹部を周期的に形成し、硬質層を得た。円錐状の凹部の形状、大きさ及び間隔は、いずれも同一とした。
2)合わせガラスの作製
塩素化ポリエチレン(昭和電工株式会社製、「エラスレン402NA」)100重量部と、塩素化パラフィン(東ソー株式会社製、「トヨパラックス150」)250重量部と、塩素化パラフィン(味の素ファインテクノ株式会社製、「エンパラ70」)200重量部とを6インチロールに投入し、100℃で混練し、エネルギー変換層用樹脂組成物を得た。
一方、上記で作製した硬質層と、厚さ4mmのフロートガラス(日本板硝子社製)とを、硬質層の凹部が形成された面が内側となるように所定の隙間を介して固定した。そして、上記作製したエネルギー変換層用樹脂組成物を120℃に加熱した状態で、硬質層とフロートガラスとの隙間に供給した後、真空ラミネーターにて、90℃で30分間保持して真空プレスした。それにより、合わせガラス401を得た。
得られた合わせガラス401の総厚みは4.2mm、エネルギー変換層の最大厚みh(最も厚い部位の厚み)は100μm、凸部の底部からの高さt(エネルギー変換層の最も厚い部位と最も薄い部位の厚みの差)は50μm、凸部の間隔lは100μm、凸部底部の間隔lは0μm、凸部の頂点を含む頂面の幅mは0μmであった。
<合わせガラス501の作製>
合わせガラス401の作製において、硬質層として、表面に凹部が形成されていない厚さ100μmのフロートガラスを用いた以外は同様にして、合わせガラス501を得た。得られた合わせガラス501の総厚みは4.2mmであった。
得られた合わせガラスの遮音性を、以下の方法で評価した。
(遮音性の評価)
音波の周波数と音響透過損失の相関は、JIS A 1416:2000によって測定した。
遮音性は、3150Hz(厚さ4mmのフロートガラスで発生するコインシデンス領域)における各合わせガラスの音響透過損失と、厚さ4mmのフロートガラス単独の音響透過損失との差(dB)を算出し、これを「音響透過損失向上値」とした。
合わせガラス401及び501の評価結果を、表3に示す。
Figure 2017057081
表3に示されるように、本発明の積層体を含む合わせガラス401は、比較例の積層体を含む合わせガラス501に比べて、コインシデンス領域における遮音性に優れていることがわかる。
本出願は、2015年9月29日出願の特願2015−191384に基づく優先権を主張する。当該出願明細書及び図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明によれば、薄く、軽量であっても高い制振性が得られ、且つエネルギー変換層と硬質層間の密着性が良好な積層体を提供することができる。これらの積層体は、制振性や遮音性に優れたシートとして好ましく用いられる。
10 積層体
20 エネルギー変換層
21 凸部
21A 第1の凸部
21B 第2の凸部
23A、23B 底部
30 硬質層

Claims (10)

  1. 少なくとも一方の面に複数の凸部が設けられた、振動エネルギーを熱エネルギーに変換するためのエネルギー変換層と、
    前記エネルギー変換層の前記一方の面に接合された、前記エネルギー変換層よりも高いヤング率を有する硬質層と、
    を有し、
    前記複数の凸部の中から任意に選ばれた凸部と、前記複数の凸部のうち前記任意に選ばれた凸部に最も近い位置に配置されている他の凸部とからなる2つの凸部について、前記2つの凸部の高さが異なる場合は、高さが低い方の凸部を第1の凸部とし、高さが高い方の凸部を第2の凸部とし、前記2つの凸部の高さが同じ場合は、任意に選択される一方の凸部を第1の凸部とし、他方の凸部を第2の凸部としたとき、
    前記複数の凸部のうち70%以上の凸部が、下記式(1)〜(3)を満たす、
    積層体。
    式(1): 0≦m/l<1
    式(2): 0<l/h≦2.5
    式(3): 0.2≦t/h<1
    [上記式(1)〜(3)において、
    は、前記第1の凸部の頂点及び前記第2の凸部の頂点を含み、且つ前記一方の面の延在方向に垂直な仮想断面における、前記第1の凸部の頂点の高さでの前記第1の凸部と前記第2の凸部との間隔であり、
    mは、前記仮想断面における、前記第1の凸部の頂点を含む頂面の幅であり、
    tは、前記仮想断面における、前記第1の凸部と前記第2の凸部の間の底部からの前記第1の凸部の高さであり、
    hは、前記エネルギー変換層の前記硬質層とは反対側の面からの前記第1の凸部の高さである。]
  2. 前記仮想断面において、前記第1の凸部の底部と前記第2の凸部の底部との間隔をlとしたとき、前記式(1)〜(3)を満たす凸部は、下記式(4)をさらに満たす、請求項1に記載の積層体。
    式(4):l/l≦0.5
  3. 前記仮想断面において、前記第1の凸部の底部と前記第2の凸部の底部とが接している、請求項2に記載の積層体。
  4. 前記複数の凸部の全てが、同じ大きさ及び形状を有し、周期的に配置されており、且つ
    前記複数の凸部の全てが、前記式(1)〜(3)を満たす、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記式(1)〜(3)を満たす凸部は、下記式(5)をさらに満たす、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
    式(5):0≦m/l<0.5
  6. 前記式(1)〜(3)を満たす凸部は、下記式(6)をさらに満たす、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
    式(6):0<l/h≦1.0
  7. 前記式(1)〜(3)を満たす凸部は、下記式(7)をさらに満たす、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
    式(7):0.5≦t/h<1
  8. 前記積層体の総厚みは、100〜1000μmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層体を有する、制振用シート。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層体を有する、遮音用シート。
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