JPWO2017056653A1 - エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

弾性率と圧縮破壊時呼び歪みを向上させた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物を提供すること。さらには、かかるエポキシ樹脂組成物を用いることで、圧縮強度と層間靭性に優れた繊維強化複合材料を提供する。少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]を有してなる、エポキシ樹脂組成物である。[A]特定のオルト型エポキシ樹脂[B]エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[C]アミン硬化剤。

Description

本発明は、航空宇宙用途およびスポーツ用途、一般産業用途に適した繊維強化複合材料、これを得るためのエポキシ樹脂硬化物、プリプレグ、さらにはそのマトリックス樹脂として好適に用いられるエポキシ樹脂組成物に関するものである。
近年、炭素繊維やアラミド繊維などの強化繊維を用いた繊維強化複合材料は、その高い比強度・比弾性率を利用して、航空機や自動車の構造材料や、テニスラケット、ゴルフシャフト、釣り竿などのスポーツ用途・一般産業用途などに利用されてきた。繊推強化複合材料の製造方法としては、強化繊維に未硬化のマトリックス樹脂が含浸されたシート状中間材料であるプリプレグを用い、それを複数枚積層した後、加熱硬化させる方法や、モールド中に配置した強化繊維に液状の樹脂を流し込こんだ後、樹脂を加熱硬化させるレジン・トランスファー・モールディング法などが用いられている。
これらの製造方法のうち、プリプレグを用いる方法は、強化繊維の配向を厳密に制御でき、また積層構成の設計自由度が高いことから、高性能な繊維強化複合材料を得やすい利点がある。このプリプレグに用いられるマトリックス樹脂としては、耐熱性や生産性の観点から、主に熱硬化性樹脂が用いられ、中でも樹脂と強化繊維との接着性や寸法安定性、および得られる複合材料の強度や剛性といった力学特性の観点からエポキシ樹脂が好適に用いられる。ただし、エポキシ樹脂は、熱可塑性樹脂に比べて弾性率は高いが靭性に劣るため、繊維強化複合材料とした時に耐衝撃性が不十分であった。
エポキシ樹脂の靭性の低さを改善するために、靭性に優れるゴム成分や熱可塑性樹脂を配合する方法などが試されてきた。しかし、これらの方法では、弾性率あるいは耐熱性の低下や、増粘によるプロセス性の悪化、ボイド発生等の品位低下を招きやすいという問題があった。
このような課題に対し、汎用エポキシ樹脂の構造異性化などにより分子構造を改良した新たなエポキシ樹脂の配合が提案されている。例えば、特許文献1では、トリグリシジルパラアミノフェノールに代えてトリグリシジルメタアミノフェノールを用いることで、樹脂硬化物の弾性率が向上し、繊維強化複合材料とした際に良好な圧縮強度が発現することが開示されている。また、テトラグリシジル−2’−メチル−2,4’−ジアミノジフェニルメタンを配合した樹脂組成物などが開示されている。
また、特許文献2では、2,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホンを含むエポキシ樹脂を酸無水物で硬化させた場合に、良好な耐熱性と低吸水性を発現することが開示されている。
さらに、特許文献3では、半導体封止剤用途を想定し、シリカ粒子を多量に配合したエポキシ樹脂組成物に、2,2’−ビス(グリシジルオキシ)ビフェニルを最大5質量%配合することにより、樹脂硬化物の吸水率低減、耐熱性向上、線膨張係数の低減に繋がることが示唆されている。
特表平10−511426号公報 特開2008−255367号公報 米国特許第6,090,870号明細書
しかし、特許文献1の方法では、エポキシ樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪みが低下しやすく、大幅な靱性向上に繋がるものではなかった。
特許文献2の方法では、エポキシ樹脂硬化物の弾性率と圧縮破壊時呼び歪みがともに不十分であることが課題であった。
特許文献3の方法では、エポキシ樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪みが不十分であることが課題であった。また、エポキシ樹脂以外の成分との組合せについては何ら言及されておらず、それらを用いて得られるエポキシ樹脂組成物の物性については全く言及されていない。
このように、従来技術では、エポキシ樹脂硬化物の弾性率と圧縮破壊時呼び歪みを両立させることは困難であり、トレードオフの関係に陥るという問題があった。
そこで、本発明の目的は、弾性率と圧縮破壊時呼び歪みを向上させた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物を提供することにある。さらには、かかるエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ、繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記構成から成るエポキシ樹脂組成物を見いだし、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]を有してなる、エポキシ樹脂組成物。
[A]式(1)で表されるエポキシ樹脂、または、式(2)で表されるエポキシ樹脂
(ここで、[A]が式(1)で表されるエポキシ樹脂である場合は、エポキシ樹脂の総量を100質量部としたときに[A]の含有量は15〜70質量部である。)
Figure 2017056653
Figure 2017056653
[ただし、式(1)、式(2)中、Rは水素原子やメチル基を示す。複数あるRは必ずしも同一であるとは限らない。R〜R6は置換基を示し、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、または、水素原子やハロゲン原子である。置換数kは0〜4の整数であり、それらkは必ずしも同一であるとは限らない。繰り返し単位nは0以上の整数である。連結基Xは、−C(Y)(Z)−(YとZは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、または、水素原子やハロゲン原子であり、YとZは同じであっても異なっていても良い。)、−C(=O)NH−、−C(=O)O−、−S(=O)−、−C(=O)−、−O−、−S−、−(原子無し)からなる群から選ばれた一つを示す。]
[B]エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分
[C]アミン硬化剤。
さらに、本発明においては、前記エポキシ樹脂組成物が硬化されてなるエポキシ樹脂硬化物とすること、前記エポキシ樹脂組成物が強化繊維に含浸されてなるプリプレグとすること、前記エポキシ樹脂硬化物と強化繊維を含んでなる繊維強化複合材料とすること、さらには、かかるプリプレグが硬化されてなる繊維強化複合材料とすることができる。
本発明によれば、弾性率と圧縮破壊時呼び歪みをともに向上させた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物が得られる。さらには、かかるエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ、繊維強化複合材料が得られる。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料について詳細に説明する。
構成要素[A]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、[A]として、式(1)で表されるエポキシ樹脂、または、式(2)で表されるエポキシ樹脂、[B]としてエポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分、[C]としてアミン硬化剤を含むものである。
Figure 2017056653
Figure 2017056653
[ただし、式(1)、式(2)中、Rは水素原子やメチル基を示す。複数あるRは必ずしも同一であるとは限らない。R〜R6は置換基を示し、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、または、水素原子やハロゲン原子である。置換数kは0〜4の整数であり、それらkは必ずしも同一であるとは限らない。繰り返し単位nは0以上の整数である。連結基Xは、−C(Y)(Z)−(YとZは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、または、水素原子やハロゲン原子であり、YとZは同じであっても異なっていても良い。)、−C(=O)NH−、−C(=O)O−、−S(=O)−、−C(=O)−、−O−、−S−、−(原子無し)からなる群から選ばれた一つを示す。]
本発明のエポキシ樹脂組成物が、式(1)で表されるエポキシ樹脂、または、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]を含むことにより、エポキシ樹脂硬化物が極めて高い弾性率を保持できる。また、それにより、得られる繊維強化複合材料の高い圧縮強度を維持できる。
本発明で用いられる、式(1)で表されるエポキシ樹脂、または、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]の化学構造において、Rで表される置換基は、水素原子やメチル基であり、中でも水素原子であることが好ましい。なお、式(1)で表されるエポキシ樹脂、または、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]を構成するオキシラン環において、Rは、同じであっても異なっていても良い
本発明で用いられる、式(1)で表されるエポキシ樹脂、または、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]の化学構造において、R〜Rで表される置換基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、または、水素原子やハロゲン原子であり、中でも水素原子が好ましい。また、式(1)で表されるエポキシ樹脂、または、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]の芳香環に結合するR〜Rの結合位置は、特に限定されない。なお、kは置換数を表し、0〜4の整数である。kが2以上である場合、R〜Rは、同一芳香環内で同じであっても異なっていても良い。好ましいkは、0または1であり、特に好ましくは0である。なお、式(1)で表されるエポキシ樹脂、または、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]を構成するベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。 本発明で用いられる式(1)において、nは繰り返し単位数を表す。nは0以上の整数であればよく、好ましくは0〜20の範囲にあることが望ましく、さらに好ましくは0〜5の範囲にあることが望ましい。
本発明で用いられる式(1)において、連結基Xは、下記−C(Y)(Z)−、−C(=O)NH−、−C(=O)O−、−S(=O)−、−C(=O)−、−O−、−S−、−(原子無し)からなる群から選ばれた一つを表す。中でも、極めて高い弾性率を発現することから、連結基Xは−C(Y)(Z)−(YとZで表される置換基が、炭素数1〜10のアルキル基、または水素原子)、−S(=O)−、−O−、−(原子無し)からなる群から選ばれた一つを表すものが特に好ましく用いられる。なお、本発明で用いられる式(1)において、Xが−C(Y)(Z)−のときのYとZで表される置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、または、水素原子やハロゲン原子である。なお、式(1)で表されるエポキシ樹脂[A]において、YとZは、同じであっても異なっていても良い。
本発明において、構成要素[A]が式(1)で表されるエポキシ樹脂である場合において、式(1)で表されるエポキシ樹脂[A]は、エポキシ樹脂の総量100質量部中に15〜70質量部含まれることが必要であり、エポキシ樹脂の総量100質量部中に30〜60質量部含まれることが好ましい。15質量部に満たない場合、エポキシ樹脂硬化物の弾性率が不足する。一方、70質量部を上回る場合、エポキシ樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪みが低下し、繊維強化複合材料とした際に層間靭性が不足する。
また、本発明において、構成要素[A]が式(2)で表されるエポキシ樹脂である場合において、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]は、エポキシ樹脂の総量100質量部中に5質量部以上30質量部未満含むことが好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂の総量100質量部中に10質量部以上25質量部未満含むことが望ましい。5質量部に満たない場合、エポキシ樹脂硬化物の弾性率が不足し、繊維強化複合材料とした際に圧縮強度が低下する場合がある。一方、30質量部以上である場合、エポキシ樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪みが低下し、繊維強化複合材料とした際に層間靭性が不足する場合がある。
本発明における、式(1)で表されるエポキシ樹脂[A]は、特開昭58−140089号公報に開示されているような方法で合成することができる。以下、合成方法について説明する。
本発明における、式(1)で表されるエポキシ樹脂[A]は、例えば、下記式(3)で表される化合物(例えば、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、X=CH、R、Rは水素原子、k=0、n=0)に、下記式(4)で表される化合物(例えば、エピクロロヒドリン)を反応させることにより製造できる。
Figure 2017056653
[式中、X、R〜R、k、nは式(1)の場合と同じ。]
Figure 2017056653
[式中、Rは式(1)の場合と同じ。Wはハロゲン原子を示す。]
なお、式(4)で表される化合物において、Wで表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは塩素原子である。具体的な式(4)で表される化合物には、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、クロロメチルオキシラン、ブロモメチルオキシランが挙げられる。
前述した式(3)で表される化合物と過剰の式(4)を、ホスホニウム塩または第四級アンモニウム塩等の触媒の存在下で付加反応させ、次いでアルカリ金属水酸化物を添加して閉環反応を行って、式(1)で表されるエポキシ樹脂を製造する。
まず、付加反応は40〜150℃、好ましくは70〜140℃で行われ、続く閉環反応は20〜150℃、好ましくは40〜80℃で行われる。
式(4)で表される化合物の配合量は、式(3)で表される化合物に対して2〜20倍モル、好ましくは8〜12倍モルである。
ホスホニウム塩または第四級アンモニウム塩等の触媒の配合量は、式(3)で表される化合物に対して0.01〜0.1倍モルである。
アルカリ金属水酸化物の配合量は、式(3)で表される化合物のヒドロキシル基に対して少なくとも等モル、好ましくは1.05〜1.5倍モルである。
閉環反応は、常圧または50〜200mmHgの減圧下で行い、生成する水を式(4)で表される化合物とともに共沸させることにより、系外に除去しながら行っても良い。
閉環反応終了後、未反応の式(4)で表される化合物を減圧回収し、水に難溶性の有機溶媒、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン等に溶解し、この反応希釈溶液を水で水洗し、食塩等の無機不純物を水相に溶解させ、その後、有機溶媒を留去して精製を行う。
使用しうる触媒のホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウムハライドが挙げられる。テトラフェニルホスホミウムハライドの例としては、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムクロリドが挙げられる。
また、使用しうる触媒の第四級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、トリエチルメチルアンモニウムクロリド、トリエチルメチルアンモニウムブロミドが挙げられる。特に好ましい触媒は、テトラメチルアンモニウムクロリド、またはテトラエチルアンモニウムブロミドである。
使用しうるアルカリ金属水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが挙げられる。
本発明で用いられる式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]は、特開昭62−74918号公報に開示されているような方法で合成することができる。以下、合成方法について説明する。
本発明で用いられる式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]は、例えば、下記式(5)で表される化合物(例えば、2−アミノフェノール、Rは水素原子、k=0)に、前述した式(4)で表される化合物(例えば、エピクロロヒドリン)を反応させることにより製造できる。
Figure 2017056653
[式中、R、kは式(2)の場合と同じ。]
前述した式(5)で表される化合物と過剰の式(4)を加熱して付加反応させ、次いでアルカリ金属水酸化物を添加して閉環反応を行って、式(2)で表されるエポキシ樹脂を製造する。
まず、付加反応は100℃以下で行われ、続く閉環反応は40〜100℃で行われる。
式(4)で表される化合物の配合量は、式(5)で表される化合物に対して2〜20倍モル、好ましくは8〜15倍モルである。
アルカリ金属水酸化物の配合量は、式(4)で表される化合物のアミノ基とヒドロキシル基に対して少なくとも等モル、好ましくは1.05〜1.5倍モルである。
閉環反応は、常圧または50〜200mmHgの減圧下で行い、生成する水を式(4)で表される化合物とともに共沸させることにより系外に除去しながら行っても良い。
閉環反応終了後、未反応の式(4)で表される化合物を減圧回収し、水に難溶性の有機溶媒、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン等に溶解し、この反応希釈溶液を水で水洗し、食塩等の無機不純物を水相に溶解させ、その後、有機溶媒を留去して精製を行う。
使用しうるアルカリ金属水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが挙げられる。
構成要素[B]
本発明のエポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]を用いることが必須である。これにより、エポキシ樹脂の脆さを成分[B]の強靱さで、成分[B]の低弾性率をエポキシ樹脂で補填しあうことで、エポキシ樹脂硬化物の高い弾性率を維持しつつ、圧縮破壊時呼び歪みを著しく向上させることができる。かかるエポキシ樹脂組成物を用いて得られる繊維強化複合材料は圧縮強度と層間靭性の向上効果が顕著となる。
かかるエポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂[B]としては、本発明におけるエポキシ樹脂[A]に相溶するものであれば特に限定されるものではない。なお、かかるエポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑樹脂[B]が相溶していない場合、そのエポキシ樹脂硬化物は相溶していない熱可塑性樹脂により弾性率を低下させる恐れがあり、繊維強化複合材料にした際に圧縮強度が発現しない場合がある。
ここで説明される相溶するとは、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂[B]とエポキシ樹脂[A]を共存させた際に、両者が分子レベルで均一に相溶する条件が存在することを意味する。かかる条件には、両者の形態や含有比率の他、環境温度、剪断速度、処理時間などを含む。通常、両者が相溶しやすい条件下、すなわち、できるだけ微粉化した[B]をできるだけ多量の[A]に分散させ、両者が変性等の化学変化を起こさない程度の高温、高剪断速度、長時間で混練処理した後、相溶しているか否かを確認する。確認の手段としては、例えば透過型光学顕微鏡を用い、[B]の不溶物の有無から判断できる。なお、本発明において異なる成分を主成分とする相が、500nm未満の相分離構造である場合は、透過型光学顕微鏡による各相の同定が困難となるため相溶とみなす。
上記のように、エポキシ樹脂組成物の相溶状態を確認する際には、所定の領域の顕微鏡写真を撮影する。かかる所定の領域とは、顕微鏡写真を基に以下のようにして設定するものとする。[B]の不溶物が1μmオーダー(1μm以上10μm未満)と予想される場合、倍率を200倍で写真撮影する。
かかるコアシェルポリマー[B]としては、架橋されたゴム状ポリマーまたはエラストマーを主成分とする粒子状のコア成分の表面に、コア成分とは異種のシェル成分ポリマーをグラフト重合することで、粒子状コア成分の表面の一部あるいは全体をシェル成分で被覆したものであれば特に限定されるものではない。なお、ここで主成分とは、コア成分の総質量100質量%とした時に、50質量%以上100質量%以下含まれる成分を意味する。
コアシェルポリマーを構成するコア成分としては、共役ジエン系モノマー、アクリル酸 メタクリル酸エステル系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種から重合されたポリマーまたはシリコーン樹脂などがあるが、特に共役ジエン系モノマーであるブタジエンを重合した架橋ポリブタジエンをコア成分として適用したものが、極低温下における破壊靭性の向上に優れているため好適に用いることができる。
コアシェルポリマーを構成するシェル成分は、前記したコア成分にグラフト重合されており、コア成分を構成するポリマーと化学結合していることが好ましい。かかるシェル成分を構成する成分としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物等からなる群から選ばれた少なくとも1種から重合された重合体である。
また、該シェル成分には分散状態を安定化させるために、本発明のエポキシ樹脂組成物と反応する官能基が導入されていることが好ましい。かかる官能基としては、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基が挙げられる。
本発明に適用できるコアシェルポリマーとしては特に制限はなく、周知の方法で製造されたものを使用できる。しかしながら、通常コアシェルポリマーは塊状で取り出されたものを粉砕して粉体として取り扱われており、粉体状コアシェルポリマーを再度エポキシ樹脂中に分散させることが多いが、この方法では、一次粒子の状態で安定に分散させることが難しい。よって、コアシェルポリマーの製造過程から一度も塊状で取り出すことなく、最終的にはエポキシ樹脂中に一次粒子で分散したマスターバッチの状態で取り扱うことができるものが好ましい。例えば、特開2004−315572号公報に記載の方法、すなわち、コアシェルポリマーを乳化重合、分散重合、懸濁重合に代表される水媒体中で重合する方法で重合を行い、コアシェルポリマーが分散した懸濁液を得る。得られた懸濁液に水と部分溶解性を示す有機溶媒、例えばアセトンやメチルエチルケトンなどのエーテル系溶媒を混合後、水溶性電解質、例えば塩化ナトリウムや塩化カリウムを接触させ、有機溶媒層と水層を相分離させ、水層を分離除去して得られたコアシェルポリマー分散有機溶媒に適宜エポキシ樹脂を混合した後、有機溶媒を蒸発除去する方法などが使用できる。
コアシェルポリマーの市販品としては、例えば、ブタジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物からなる“パラロイド(登録商標)”EXL−2655((株)クレハ製)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体からなる“スタフィロイド(登録商標)”AC−3355、TR−2122(武田薬品工業(株)製)、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合物からなる“PARALOID(登録商標)”EXL−2611、EXL−3387(Rohm&Haas社製)、“カネエース(登録商標)”MXシリーズ(カネカ(株)製)等を使用することができる。
かかるコアシェルポリマー[B]の平均粒径は500nm以下が好ましい。500nmより大きいと、弾性率を低下させるおそれがあり、繊維強化複合材料にした際に圧縮強度が発現しない場合がある。より好ましくは、1nm以上300nm以下、さらに好ましくは、5nm以上100nm以下である。
コアシェルポリマー粒子の平均粒径は、樹脂硬化物の断面を走査型電子顕微鏡もしくは透過型電子顕微鏡により観察し、少なくとも50個以上の粒子の直径を測定して粒子の粒径として、それを数平均することにより平均粒径を求めることが出来る。前記観察において、粒子が真円状でない場合、即ち粒子が楕円状のような場合は、粒子の最大径をその粒子の粒径とする。
構成要素[C]
本発明のエポキシ樹脂組成物には、アミン硬化剤[C]を用いることが必須である。
かかるアミン硬化剤[C]は、エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂の硬化剤であり、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物である。アミン硬化剤[C]としては、例えば、芳香族ポリアミン、ジシアンジアミド、アミノ安息香酸エステル類、イミダゾール誘導体、脂肪族アミン、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、カルボン酸ヒドラジド、および三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体などが挙げられる。
通常、エポキシ樹脂硬化物の弾性率と圧縮破壊時呼び歪みの間には、トレードオフの関係にある。この中で、本発明のエポキシ樹脂組成物は、より弾性率を重視した態様1と、より歪みを重視した態様2に大別できる。
エポキシ樹脂組成物の態様1
以下、本発明の一つ目の好ましい態様における、エポキシ樹脂組成物について詳細に説明する。
本態様のエポキシ樹脂組成物は、式(1)で表されるエポキシ樹脂、または、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]、アミン硬化剤[C]として芳香族アミンであることが好ましい。
アミン硬化剤[C]の芳香族アミンとしては、具体的には、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジイソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジイソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。その中でも、耐熱性や力学特性の面から、芳香族アミンジアミノジフェニルスルホンもしくはその誘導体であることが好ましい。
ジアミノジフェニルスルホン、もしくはその誘導体、またはその異性体の市販品としては、セイカキュアS(和歌山精化工業(株)製)、3,3’−DAS(三井化学ファイン(株)製)、カヤハード(登録商標)A−A(日本化薬(株)製)、“ロンザキュア(登録商標)”M−DEA、“ロンザキュア(登録商標)”M−MIPA、“ロンザキュア(登録商標)”M−DIPA(以上、ロンザジャパン(株)製)などが挙げられる。
エポキシ樹脂[D]
また、本態様においては、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]以外の多官能アミン型エポキシ樹脂[D]を含むことが好ましい。本発明における多官能アミン型エポキシ樹脂[D]とは、グリシジル基を3つ以上含むものであれば特に限定されるものではない。かかる多官能アミン型エポキシ樹脂[D]を配合することにより、エポキシ樹脂組成物の粘度上昇を最小限に抑えつつ、エポキシ樹脂硬化物の弾性率と耐熱性を確保し、繊維強化複合材料としての圧縮強度を大幅に向上させることができる。
特に、多官能アミン型エポキシ樹脂[D]を、エポキシ樹脂[A]、熱可塑性樹脂[B]およびアミン硬化剤[C]としてジアミノジフェニルスルホンと併用した場合、架橋密度が適度に高いエポキシ樹脂組成物が得られる。これは、例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物が航空機材料として用いられ、その航空機材料が曝される高温高湿環境下においてもエポキシ樹脂硬化物の弾性率低下がなく、繊維強化複合材料としての高い圧縮強度を維持できることを意味する。
かかる多官能アミン型エポキシ樹脂[D]としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、テトラグリシジルキシリレンジアミン、または、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]以外のトリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾールや、これらのハロゲン置換体、アルキル置換体、水添体などが挙げられる。
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンの市販品としては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(住友化学工業(株)製)、YH434L(新日鐵住金化学(株)製)、“jER(登録商標)”604(三菱化学(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY720、“アラルダイト(登録商標)”MY721、“アラルダイト(登録商標)”MY9512(以上、ハンツマン・ジャパン(株)製)などが挙げられる。
テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホンの市販品としては、TG3DAS(三井化学ファイン(株)製)などが挙げられる。
テトラグリシジルキシリレンジアミンおよびその水添体の市販品としては、“TETRAD(登録商標)”−X、“TETRAD(登録商標)”−C(以上、三菱ガス化学(株)製)などが挙げられる。
式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]以外のトリグリシジルアミノフェノール、または、トリグリシジルアミノクレゾールの市販品としては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM100、“スミエポキシ(登録商標)”ELM120(以上、住友化学工業(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY0500、“アラルダイト(登録商標)”MY0510、“アラルダイト(登録商標)”MY0600(以上、ハンツマン・ジャパン(株)製)、“jER(登録商標)”630(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
本発明における多官能アミン型エポキシ樹脂[D]は、エポキシ樹脂の総量100質量部中に20〜70質量部含むことが好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂の総量100質量部中に30〜60質量部含むことが望ましい。20質量部に満たない場合、エポキシ樹脂硬化物の弾性率が不足し、繊維強化複合材料の圧縮強度も低下する場合がある。一方、70質量部を上回る場合、架橋密度の著しい上昇により、極めて伸度が低くなり、圧縮破壊時歪みが低い樹脂硬化物となってしまう場合がある。
また、本態様においては、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂[B]のガラス転移温度(Tgともいう)は、150℃以上であることが好ましく、より好ましくは180℃以上であることが望ましく、さらに好ましくは220℃以上であることが望ましい。かかる熱可塑性樹脂[B]のガラス転移温度が150℃に満たない場合、成形体が熱変形を起こしやすくなる場合がある。かかる熱可塑性樹脂[B]のガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量分析)を用いて、0℃〜350℃の温度範囲を昇温速度10℃/分にて測定を行い、JIS K7121−1987に基づいて求めた中間点温度を指す。
かかる熱可塑性樹脂[B]としては、ポリカーボネート(Tg:150℃)、ポリスルホン(Tg:190℃)、ポリエーテルイミド(Tg:215℃)、ポリエーテルスルホン(Tg:225℃)などが挙げられる。
具体的には、ポリカーボネートの市販品としては、“パンライト(登録商標)”K1300Y(帝人(株)製)などが挙げられる。
ポリスルホンの市販品としては、“UDEL(登録商標)”P−1700、“UDEL(登録商標)”P−3500、“Virantage(登録商標)”VW−30500RP(以上、Solvay Speciality Polymers社製)などが挙げられる。
ポリエーテルイミドの市販品としては、“ウルテム(登録商標)”1000、“ウルテム(登録商標)”1010(以上、SABIC社製)などが挙げられる。
ポリエーテルスルホンの市販品としては、“スミカエクセル(登録商標)”PES3600P、“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P、“スミカエクセル(登録商標)”PES5200P、“スミカエクセル(登録商標)”PES7600P(以上、住友化学工業(株)製)、“Ultrason(登録商標)”E2020P SR(BASF社製)、“GAFONE(登録商標)”3600R、“GAFONE(登録商標)”3000R、“Virantage(登録商標)”VW−10700RP(以上、Solvay Speciality Polymers社製)などが挙げられる。
本発明におけるエポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂[B]は、エポキシ樹脂の総量100質量部中に5〜35質量%含むことが好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂の総量100質量部中に10〜25質量%含むことが望ましい。また、本発明におけるコアシェルポリマー[B]は、エポキシ樹脂の総量100質量部中に0.1〜10質量%含むことが好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂の総量100質量部中に0.5〜8質量%含むことが望ましい。下限値に満たない場合、エポキシ樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪みが低下し、得られる繊維強化複合材料の層間靭性が不足する場合がある。一方、上限値を上回る場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が上昇し、エポキシ樹脂組成物およびプリプレグのプロセス性や取り扱い性が不十分となる場合がある。
熱可塑性樹脂粒子[E]
また、本態様においては、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボナート、ポリフェニレンスルフィドからなる群から選ばれる一つである、エポキシ樹脂[A]に不溶な熱可塑性樹脂粒子[E]を配合することも好ましい。かかる熱可塑性樹脂粒子[E]を配合することにより、エポキシ樹脂硬化物の圧縮破壊時歪みが向上し、繊維強化複合材料とした際に層間靭性が向上する。
ここで説明される不溶であるとは、かかる熱可塑性樹脂粒子[E]を分散したエポキシ樹脂[A]を加熱硬化した際に、熱可塑性樹脂粒子が[E]エポキシ樹脂[A]中に実質的に溶解しないことを意味する。例えば、エポキシ樹脂硬化物の中で、粒子が元のサイズから実質的に縮小することなく、粒子とマトリックス樹脂の間に明確な界面をもって観察できるものであることからわかる。
上記のように、エポキシ樹脂硬化物の相構造を確認する際には、例えば以下の手順で測定することができる。エポキシ樹脂硬化物の表面を研磨後、透過型電子顕微鏡を用いて200倍以上に拡大し写真撮影する。
かかる熱可塑性樹脂粒子[E]としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボナート、ポリフェニレンスルフィドからなる群から選ばれる一つであることが好ましい。中でも、ポリアミドが最も好ましく、ポリアミドの中でも、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン6/12共重合体や、“グリルアミド(登録商標)”TR−55、“グリルアミド(登録商標)”TR−90、“グリルアミド(登録商標)”TR−70LX(以上、エムザベルケ社製)等の透明耐熱ポリアミドが好ましい。このエポキシ樹脂[A]に不溶な熱可塑性樹脂粒子[E]の形状としては、球状粒子でも非球状粒子でも、また多孔質粒子でもよいが、球状の方が樹脂の流動特性を低下させないため粘弾性に優れ、また応力集中の起点がなく、高い層間靭性を与えるという点で好ましい態様である。
ポリアミド粒子の市販品としては、SP−500、SP−10(以上、東レ(株)製)、“オルガソール(登録商標)”1002D、“オルガソール(登録商標)”2002、“オルガソール(登録商標)”3202(以上、ARKEMA社製)、“トロガミド(登録商標)”T5000(ダイセル・エボニック(株)製)などが挙げられる。
エポキシ樹脂組成物の態様2
以下、本発明の二つ目の好ましい態様における、エポキシ樹脂組成物について詳細に説明する。
本態様のエポキシ樹脂組成物は、式(1)で表されるエポキシ樹脂、または、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]、アミン硬化剤[C]としてジシアンジアミドまたはその誘導体であることが好ましい。
アミン硬化剤[C]のジシアンジアミドまたはその誘導体は、ジアミノジフェニルスルホンもしくはその誘導体、またはその異性体を使用する場合よりも耐熱性は劣るものの、低温での硬化性、弾性率、伸度のバランスに優れ、また、樹脂組成物の保存安定性に優れるため有効である。
かかるジシアンジアミドの誘導体としては、ジシアンジアミドに各種化合物を結合させたものであり、エポキシ樹脂との反応物、ビニル化合物やアクリル化合物との反応物などが挙げられる。
ジシアンジアミドの市販品としては、DICY−7、DICY−15(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ジシアンジアミドは、単独で用いても良く、ジシアンジアミドの硬化触媒や、その他のエポキシ樹脂の硬化剤と組み合わせて用いても良い。組み合わせるジシアンジアミドの硬化触媒としては、ウレア類、イミダゾール類、ルイス酸触媒などが挙げられる。 ウレア類の市販品としては、DCMU99(保土ヶ谷化学(株)製)、Omicure24、Omicure52、Omicure94(以上、CVC Specialty Chemicals,Inc.製)などが挙げられる。
イミダゾール類の市販品としては、2MZ、2PZ、2E4MZ(以上、四国化成(株)製)などが挙げられる。
ルイス酸触媒としては、三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素・モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・トリエタノールアミン錯体、三フッ化ホウ素・オクチルアミン錯体などの、ハロゲン化ホウ素と塩基の錯体が挙げられる。
エポキシ樹脂[F]
また、本態様においては、エポキシ当量が300から5000の範囲にあるビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂[F]を含むことが好ましい。本発明におけるビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂[F]とは、エポキシ当量が規定の範囲にあり、ビスフェノール骨格を含むエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではない。かかるビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂[F]成分を配合することにより、エポキシ樹脂硬化物の高い弾性率を保持しつつ、伸度を発現し、繊維強化複合材料としての層間靭性を大幅に向上させることができる。
特に、かかる[F]成分を、エポキシ樹脂[A]、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]およびアミン硬化剤[C]としてジシアンジアミドと併用した場合、弾性率などの静的機械特性を犠牲にすることなく層間靱性を備えることが可能である。これは、より高い耐衝撃性を要求されるスポーツ材料の用途で特に有効である。
本発明におけるビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂[F]は、エポキシ当量が300〜5000の範囲にあるものが好ましく用いられ、より好ましくは800〜2500の範囲にあることが望ましい。エポキシ当量が300に満たない場合、エポキシ樹脂硬化物の架橋密度が高くなり、繊維強化複合材料にした際に層間靱性が低下し衝撃破損が起こりやすくなる場合がある。5000を超える場合、エポキシ樹脂硬化物の架橋密度の低下により、耐熱性が不十分となり、繊維強化複合材料の成形時や使用時に反りやゆがみが発生する場合がある。
かかるエポキシ当量は、JIS K7236(2001)に記載された滴定試験により求めることができるが、エポキシ当量が既知である複数のエポキシ樹脂を併用する場合、以下とおり概算可能である。3品種を併用する場合を考える。例えば、エポキシ当量がEx(g/eq)のエポキシ樹脂XをWx質量部、エポキシ当量がEy(g/eq)のエポキシ樹脂YをWy質量部、エポキシ当量がEz(g/eq)のエポキシ樹脂ZをWz質量部配合する場合、そのエポキシ当量は以下の計算式で求められる。
エポキシ当量=(Wx+Wy+Wz)/(Wx/Ex+Wy/Ey+Wz/Ez)。
本発明におけるビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂[F]は、エポキシ樹脂の総量100質量部中に20〜60質量部含むことが好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂の総量100質量部中に25〜50質量部含むことが望ましい。20質量部に満たない場合、エポキシ樹脂硬化物の塑性変形能力が不十分となり、繊維強化複合材料にした際に層間靭性が不足する場合がある。60質量部を上回る場合、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性が不十分となり、繊維強化複合材料の成形時や反りやゆがみが発生する。
かかるビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂[F]としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAD型、ウレタンおよびイソシアネート変性エポキシ、もしくはこれらビスフェノールのハロゲン、アルキル置換体、水添品等のビスフェノール骨格を含むエポキシ樹脂が用いられる。かかるエポキシ樹脂の具体例として以下のものが挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”1001 、“jER(登録商標)”1004、“jER(登録商標)”1007、“jER(登録商標)”1009、“jER(登録商標)”1010(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”4004P、“jER(登録商標)”4005P、“jER(登録商標)”4007P、“jER(登録商標)”4010P(以上、三菱化学(株)製)、“エポトート(登録商標)”YDF2001(新日鐵住金化学(株)製)などが挙げられる。
ウレタン変性エポキシ樹脂の市販品としては、オキサゾリドン環を有するAER4152(旭化成イーマテリアルズ(株)製)などが挙げられる。
また、本態様においては、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂[B]のガラス転移温度(Tgともいう)は、60〜150℃未満の範囲にあるものが好ましく用いられ、より好ましくは80〜140℃の範囲にあることが望ましい。ガラス転移温度が60℃に満たない場合、成形体が熱変形を起こしやすくなる恐れがある。一方、150℃以上である場合、粘弾性を制御することが困難となり、プリプレグのタックやドレープ特性を改良しにくくなる恐れがある。
かかる熱可塑性樹脂[B]としては、ポリビニルアセタール樹脂(Tg:100〜145℃)、ポリビニルアルコール(Tg:80〜100℃)、フェノキシ樹脂(Tg:60〜140℃)などが挙げられる。特に、ポリビニルホルマールは、エポキシ樹脂との相溶性に優れ、繊維強化複合材料の高い層間靱性を発現できることから好適に使用できる。
具体的には、ポリビニルアセタール樹脂の市販品として、“デンカホルマール(登録商標)”、“デンカブチラール(登録商標)”(以上、電気化学工業(株)製)、“ビニレック(登録商標)” K(JNC(株)製)などが挙げられる。
フェノキシ樹脂の市販品として、“UCAR(登録商標)”PKHP(ユニオンカーバイド社製)、“フェノトート(登録商標)”YP−50、“フェノトート(登録商標)”YP−50S(以上、新日鉄住金化学(株)製)などが挙げられる。
かかるエポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂[B]は、エポキシ樹脂の総量100質量部中に2〜20質量%含むことが好ましく、好ましくはエポキシ樹脂の総量100質量部中に3〜8質量%含むことが望ましい。また、本発明におけるコアシェルポリマー[B]は、エポキシ樹脂の総量100質量部中に0.1〜10質量%含むことが好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂の総量100質量部中に0.5〜8質量%含むことが望ましい。下限値に満たない場合、エポキシ樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪みが低下し、得られる繊維強化複合材料の層間靭性が不足する恐れがある。一方、上限値を上回る場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が上昇し、エポキシ樹脂組成物およびプリプレグのプロセス性や取り扱い性が不十分となる恐れがある。
他のエポキシ樹脂
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を失わない範囲において、エポキシ樹脂として、「式(1)で表されるエポキシ樹脂、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]、多官能アミン型エポキシ樹脂[D]、エポキシ当量が300〜5000の範囲にあるビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂[F]」以外に、他のエポキシ樹脂成分を含んでいても構わない。これらは1種類だけでなく、複数種組み合わせて添加しても良い。具体的には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、または、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、及び、[F]以外のビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂もしくはこれらビスフェノールのハロゲン置換体、アルキル置換体、水添体等などが挙げられる。かかるビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAD型、ウレタンおよびイソシアネート変性エポキシ樹脂、もしくはこれらビスフェノールのハロゲン置換体、アルキル置換体、水添体等が用いられる。かかるエポキシ樹脂の具体例として以下のものが挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”152、“jER(登録商標)”154(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”N−740、“エピクロン(登録商標)”N−770、“エピクロン(登録商標)”N−775(以上、DIC(株)製)などが挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”N−660、“エピクロン(登録商標)”N−665、“エピクロン(登録商標)”N−670、“エピクロン(登録商標)”N−673、“エピクロン(登録商標)”N−695(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−104S(以上、日本化薬(株)製)、“スミエポキシ(登録商標)”ESCN−195XF、195XL(以上、住友化学(株)製)などが挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の具体例としては、“デナコール(登録商標)”EX−201(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”HP7200、“エピクロン(登録商標)”HP7200L、“エピクロン(登録商標)”HP7200H(以上、DIC(株)製)、Tactix558(ハンツマン・ジャパン(株)製)、XD−1000−1L、XD−1000−2L(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”YX4000H、“jER(登録商標)”YX4000、“jER(登録商標)”YL6616(以上、三菱化学(株)製)、NC−3000(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂の市販品としては、“オンコート(登録商標)”EX−1010、“オンコート(登録商標)”EX−1011、“オンコート(登録商標)”EX−1012、“オンコート(登録商標)”EX−1020、“オンコート(登録商標)”EX−1030、“オンコート(登録商標)”EX−1040、“オンコート(登録商標)”EX−1050、“オンコート(登録商標)”EX−1051(以上、ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“エポトート(登録商標)”YD128(新日鐵住金化学(株)製)、“jER(登録商標)”825、“jER(登録商標)”828、“jER(登録商標)”834(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”830、“エピクロン(登録商標)”835(以上、DIC(株)製)、“jER(登録商標)”806、“jER(登録商標)”807(以上、三菱化学(株)製)、“エポトート(登録商標)”YDF170(新日鐵住金化学(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、“エピクロン(登録商標)”EXA−1514(DIC(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールAD型エポキシ樹脂としては、“EPOMIK(登録商標)”R710、“EPOMIK(登録商標)”R1710(以上、(株)プリンテック製)などが挙げられる。
ウレタンおよびイソシアネート変性エポキシ樹脂の市販品としては、“アデカレジン(登録商標)”EPU−7N((株)ADEKA製)などが挙げられる。
本発明において、アミン硬化剤[C]、あるいはそれらの一部を予備反応させた物を組成物中に配合することもできる。この方法は、粘度調節や保存安定性向上に有効な場合がある。
本発明のエポキシ樹脂組成物においては、アミン硬化剤[C]以外の構成要素(成分)を、まず160℃程度の温度で均一に加熱混練し、次いで80℃程度の温度まで冷却した後に、アミン硬化剤[C]を加えて混練することが好ましいが、各成分の配合方法は特にこの方法に限定されるものではない。
本発明で用いられる強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維および炭化ケイ素繊維等が挙げられる。これらの強化繊維を2種以上混合して用いても構わないが、より軽量で、より耐久性の高い成形品を得るために、炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが好ましい。特に、材料の軽量化や高強度化の要求が高い用途においては、その優れた比弾性率と比強度のため、炭素繊維を好適に用いられる。
本発明で好ましく用いられる炭素繊維は、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維を用いることが可能であるが、耐衝撃性の点から高くとも400GPaの引張弾性率を有する炭素繊維であることが好ましい。また、強度の観点からは、高い剛性および機械強度を有する複合材料が得られることから、引張強度が好ましくは4.4〜6.5GPaの炭素繊維が用いられる。また、引張伸度も重要な要素であり、1.7〜2.3%の高強度高伸度炭素繊維であることが好ましい。従って、引張弾性率が少なくとも230GPaであり、引張強度が少なくとも4.4GPaであり、引張伸度が少なくとも1.7%であるという特性を兼ね備えた炭素繊維が最も適している。
炭素繊維の市販品としては、“トレカ(登録商標)”T800G−24K、“トレカ(登録商標)”T800S−24K、“トレカ(登録商標)”T700G−24K、“トレカ(登録商標)”T300−3K、および“トレカ(登録商標)”T700S−12K(以上東レ(株)製)などが挙げられる。
炭素繊維の形態や配列については、一方向に引き揃えた長繊維や織物等から適宜選択できるが、軽量で耐久性がより高い水準にある炭素繊維強化複合材料を得るためには、炭素繊維が、一方向に引き揃えた長繊維(繊維束)や織物等連続繊維の形態であることが好ましい。
本発明のプリプレグは、上述のエポキシ樹脂組成物を上記強化繊維に含浸したものである。そのプリプレグの繊維質量分率は好ましくは40〜90質量%であり、より好ましくは50〜80質量%である。繊維質量分率が低すぎると、得られる複合材料の質量が過大となり、比強度および比弾性率に優れる繊維強化複合材料の利点が損なわれることがあり、また、繊維質量分率が高すぎると、樹脂組成物の含浸不良が生じ、得られる複合材料がボイドの多いものとなり易く、その力学特性が大きく低下することがある。
強化繊維の形態は特に限定されるものではなく、例えば、一方向に引き揃えた長繊維、トウ、織物、マット、ニット、組み紐などが用いられる。また、特に、比強度と比弾性率が高いことを要求される用途には、強化繊維が単一方向に引き揃えられた配列が最も適しているが、取り扱いの容易なクロス(織物)状の配列も本発明には適している。
本発明のプリプレグは、マトリックス樹脂として用いられる前記エポキシ樹脂組成物を、メチルエチルケトンやメタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、強化繊維に含浸させる方法(ウェット法)と、マトリックス樹脂を加熱により低粘度化し、強化繊維に含浸させるホットメルト法(ドライ法)等により作製することができる。
ウェット法は、強化繊維をマトリックス樹脂であるエポキシ樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法であり、ホットメルト法(ドライ法)は、加熱により低粘度化したエポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法、または一旦エポキシ樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングしたフィルムを作製しておき、次いで強化繊維の両側または片側から前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより強化繊維に樹脂を含浸させる方法である。ホットメルト法によれば、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上皆無となるため、本発明においては好ましい態様である。
得られたプリプレグを積層後、積層物に圧力を付与しながらマトリックス樹脂を加熱硬化させる方法等により、本発明による繊維強化複合材料が作製される。
ここで熱および圧力を付与する方法には、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法および内圧成形法等が採用される。
本発明の繊維強化複合材料は、プリプレグを介さず、エポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させた後、加熱硬化せしめる方法、例えば、ハンド・レイアップ法、フィラメント・ワインディング法、プルトルージョン法、レジン・インジェクション・モールディング法、およびレジン・トランスファー・モールディング法等の成形法によっても作製できる。これら方法では、構成要素[A]を含むエポキシ樹脂からなる主剤と構成要素[C]のアミン硬化剤を含むエポキシ樹脂硬化剤との2液を使用直前に混合してエポキシ樹脂組成物を調製することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いた繊維強化複合材料は、航空機用途、一般産業用途、およびスポーツ用途に好適に用いられる。より具体的には、航空宇宙用途では、主翼、尾翼およびフロアビーム等の航空機一次構造材用途、フラップ、エルロン、カウル、フェアリングおよび内装材等の二次構造材用途、ロケットモーターケースおよび人工衛星構造材用途等に好適に用いられる。このような航空宇宙用途の中でも、特に耐衝撃性が必要で、かつ、高度飛行中において低温にさらされるため、低温における引張強度が必要な航空機一次構造材用途、特に胴体スキンや主翼スキンにおいて、本発明の繊維強化複合材料が特に好適に用いられる。また、一般産業用途では、自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、各種タービン、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、補強筋、および補修補強材料等の土木・建築材料用途等に好適に用いられる。さらにスポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニス、バトミントンおよびスカッシュ等のラケット用途、ホッケー等のスティック用途、およびスキーポール用途等に好適に用いられる。
以下、実施例によって、本発明のエポキシ樹脂組成物について、より具体的に説明する。実施例で用いた樹脂原料の作製方法および評価法を次に示す。なお、実施例の評価は、特に断りのない限り、温度25℃±2℃、相対湿度50%の雰囲気下で行ったものである。
<エポキシ樹脂>
<式(1)で表されるエポキシ樹脂、または、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]>
・2,2’−ビフェノールのグリシジル化合物
(2,2’−ビフェノールのグリシジル化合物の製造方法:特開昭58−140089号公報を参考とした。)
2,2’−ビフェノール93.1g(0.5モル)、エピクロロヒドリン462.5g(5.0モル)、テトラメチルアンモニウムブロミド3.9g(0.025モル)を温度計、冷却器、攪拌装置のついた1lの三口フラスコ内に仕込み、還流下(117℃)で2時間反応を行った。
その後、反応溶液を60℃に冷却し、水分離器を取り付け、水酸化ナトリウム44.0g(1.1モル)を加え、減圧下(150〜100mmHg)で閉環反応を行った。生成する水はエピクロロヒドリンとの共沸により連続的に系外に除去しながら生成水が18mlに達した時点で反応を終了した。
未反応のエピクロロヒドリンを0.1〜50mmHg、60〜110℃で回収した後、メチルエチルケトン1Lを加えて生成物をスラリー状とし、次いで500mlの水で十分に水洗して副生した塩化ナトリウムを除去した。
水洗後の生成物溶液よりメチルエチルケトンを、ロータリーエバポレーターを用いて減圧留去し、淡黄色の粘性液体104.4gを得た。このもののエポキシ当量は177であった。
・2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタンのグリシジル化合物
[2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタンのグリシジル化合物の製造方法:特開昭58−140089号公報を参考とした。]
2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン100.1g(0.5モル)、エピクロロヒドリン462.5g(5.0モル)、テトラメチルアンモニウムブロミド3.9g(0.025モル)を温度計、冷却器、攪拌装置のついた1lの三口フラスコ内に仕込み、還流下(117℃)で2時間反応を行った。
その後、反応溶液を60℃に冷却し、水分離器を取り付け、水酸化ナトリウム44.0g(1.1モル)を加え、減圧下(150〜100mmHg)で閉環反応を行った。生成する水はエピクロロヒドリンとの共沸により連続的に系外に除去しながら生成水が18mlに達した時点で反応を終了した。
未反応のエピクロロヒドリンを0.1〜50mmHg、60〜110℃で回収した後、メチルエチルケトン1lを加えて生成物をスラリー状とし、次いで500mlの水で十分に水洗して副生した塩化ナトリウムを除去した。
水洗後の生成物溶液よりメチルエチルケトンを、ロータリーエバポレーターを用いて減圧留去し、白色の固体109.3gを得た。このもののエポキシ当量は169であった。
・2,2’−メチレンビス(4−メチルフェノール)のグリシジル化合物
[2,2’−メチレンビス(4−メチルフェノール)のグリシジル化合物の製造方法:特開昭58−140089号公報を参考とした。]
2,2’−メチレンビス(4−メチルフェノール)114.1g(0.5モル)、エピクロロヒドリン462.5g(5.0モル)、テトラメチルアンモニウムブロミド3.9g(0.025モル)を温度計、冷却器、攪拌装置のついた1lの三口フラスコ内に仕込み、還流下(117℃)で2時間反応を行った。
その後、反応溶液を60℃に冷却し、水分離器を取り付け、水酸化ナトリウム44.0g(1.1モル)を加え、減圧下(150〜100mmHg)で閉環反応を行った。生成する水はエピクロロヒドリンとの共沸により連続的に系外に除去しながら生成水が18mlに達した時点で反応を終了した。
未反応のエピクロロヒドリンを0.1〜50mmHg、60〜110℃で回収した後、メチルエチルケトン1lを加えて生成物をスラリー状とし、次いで500mlの水で十分に水洗して副生した塩化ナトリウムを除去した。
水洗後の生成物溶液よりメチルエチルケトンを、ロータリーエバポレーターを用いて減圧留去し、白色の固体119.1gを得た。このもののエポキシ当量は170であった。
・2,2’−イソプロピリデンジフェノールのグリシジル化合物
[2,2’−イソプロピリデンジフェノールのグリシジル化合物の製造方法:特開昭58−140089号公報を参考とした。]
2,2’−イソプロピリデンジフェノール114.0g(0.5モル)、エピクロロヒドリン462.5g(5.0モル)、テトラメチルアンモニウムブロミド3.9g(0.025モル)を温度計、冷却器、攪拌装置のついた1lの三口フラスコ内に仕込み、還流下(117℃)で2時間反応を行った。
その後、反応溶液を60℃に冷却し、水分離器を取り付け、水酸化ナトリウム44.0g(1.1モル)を加え、減圧下(150〜100mmHg)で閉環反応を行った。生成する水はエピクロロヒドリンとの共沸により連続的に系外に除去しながら生成水が18mlに達した時点で反応を終了した。
未反応のエピクロロヒドリンを0.1〜50mmHg、60〜110℃で回収した後、メチルエチルケトン1lを加えて生成物をスラリー状とし、次いで500mlの水で十分に水洗して副生した塩化ナトリウムを除去した。
水洗後の生成物溶液よりメチルエチルケトンを、ロータリーエバポレーターを用いて減圧留去し、白色の固体127.5gを得た。このもののエポキシ当量は170であった。
・2,2’−チオジフェノールのグリシジル化合物
[2,2’−チオジフェノールのグリシジル化合物の製造方法:特開昭58−140089号公報を参考とした。]
2,2’−チオジフェノール114.0g(0.5モル)、エピクロロヒドリン462.5g(5.0モル)、テトラメチルアンモニウムブロミド3.9g(0.025モル)を温度計、冷却器、攪拌装置のついた1lの三口フラスコ内に仕込み、還流下(117℃)で2時間反応を行った。
その後、反応溶液を60℃に冷却し、水分離器を取り付け、水酸化ナトリウム44.0g(1.1モル)を加え、減圧下(150〜100mmHg)で閉環反応を行った。生成する水はエピクロロヒドリンとの共沸により連続的に系外に除去しながら生成水が18mlに達した時点で反応を終了した。
未反応のエピクロロヒドリンを0.1〜50mmHg、60〜110℃で回収した後、メチルエチルケトン1lを加えて生成物をスラリー状とし、次いで500mlの水で十分に水洗して副生した塩化ナトリウムを除去した。
水洗後の生成物溶液よりメチルエチルケトンを、ロータリーエバポレーターを用いて減圧留去し、白色の固体131.2gを得た。このもののエポキシ当量は165であった。
・2,2’−オキシジフェノールのグリシジル化合物
[2,2’−オキシジフェノールのグリシジル化合物の製造方法:特開昭58−140089号公報を参考とした。]
2,2’−オキシジフェノール101.0g(0.5モル)、エピクロロヒドリン462.5g(5.0モル)、テトラメチルアンモニウムブロミド3.9g(0.025モル)を温度計、冷却器、攪拌装置のついた1lの三口フラスコ内に仕込み、還流下(117℃)で2時間反応を行った。
その後、反応溶液を60℃に冷却し、水分離器を取り付け、水酸化ナトリウム44.0g(1.1モル)を加え、減圧下(150〜100mmHg)で閉環反応を行った。生成する水はエピクロロヒドリンとの共沸により連続的に系外に除去しながら生成水が18mlに達した時点で反応を終了した。
未反応のエピクロロヒドリンを0.1〜50mmHg、60〜110℃で回収した後、メチルエチルケトン1lを加えて生成物をスラリー状とし、次いで500mlの水で十分に水洗して副生した塩化ナトリウムを除去した。
水洗後の生成物溶液よりメチルエチルケトンを、ロータリーエバポレーターを用いて減圧留去し、白色の固体117.8gを得た。このもののエポキシ当量は157であった。
・2−アミノフェノールのグリシジル化合物
[2−アミノフェノールのグリシジル化合物の製造方法:特開昭62−74918号公報を参考とした。)]
攪拌装置、温度計、冷却分液装置、滴下漏斗を装着した2lの四口フラスコに、2−アミノフェノール54.6g(0.5モル)、エピクロロヒドリン693.8g(7.5モル)を仕込み、溶解後、40℃で15時間保温した。
その後、反応溶液を65℃まで昇温し、減圧度150mmHgで系内の水をエピクロロヒドリンとの共沸で留去しながら、48%水酸化ナトリウム水溶液130.7g(1.7モル)を4時間かけて滴下した。続いて、過剰のエピクロロヒドリンを、70℃、5mmHgで留去した。エピクロロヒドリン留去後、メチルエチルケトン1lに溶解し、次いで500mlの水で十分に水洗して副生した塩化ナトリウムを除去した。
水洗後の生成物溶液よりメチルエチルケトンを、ロータリーエバポレーターを用いて減圧留去し、透明な粘性液体97.1gを得た。このもののエポキシ当量は100であった。
<多官能アミン型エポキシ樹脂[D]>
・“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、住友化学(株)製)
・“アラルダイト(登録商標)”MY721(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ハンツマン・ジャパン(株)製)
・“jER(登録商標)”630(トリグリシジル−パラ−アミノフェノール、三菱化学(株)製)
・“アラルダイト(登録商標)”MY0600(トリグリシジル−メタ−アミノフェノール、ハンツマン・ジャパン(株)製)
・トリグリシジル−4−アミノ−メタ−クレゾール
[4−アミノ−メタ−クレゾールを原料として、N,N-ジグリシジル-2-(グリシジルオキシ)アニリンと同様の方法で合成した。]。
<ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂[F]>
・AER4152(ウレタン変性エポキシ樹脂、旭化成イーマテリアルズ(株)製、エポキシ当量:340)
・“jER(登録商標)”4004P(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製、エポキシ当量:800)
・“jER(登録商標)”1007(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製、エポキシ当量:1975)。
<[A]、[D]、[F]以外のエポキシ樹脂>
・“エポトート(登録商標)”YD−128(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学(株)製、エポキシ当量:189)
・“EPICLON(登録商標)”830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DIC(株)製、エポキシ当量:170)
・“jER(登録商標)”YX4000(ビフェニル型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製エポキシ当量:186)
・RE−602S(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、日本化薬(株)製、エポキシ当量:165)
・“EPICLON(登録商標)”EXA1517(ビスフェノールS型エポキシ樹脂、DIC(株)製、エポキシ当量:165)
・“スミエポキシ(登録商標)”ESCN−195XF(オルトクレゾール型エポキシ樹脂、住友化学(株)製、エポキシ当量:190)。
<エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]>
・“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P(ポリエーテルスルホン、Tg:225℃、住友化学工業(株)製)
・“Virantage (登録商標)”VW−30500RP(ポリスルホン、Tg:190℃、Solvay Speciality Polymers(株)製)
・“ビニレック(登録商標)” PVF−K(ポリビニルホルマール、Tg:140℃、JNC(株)製)
・“カネエース(登録商標)”MX416((株)カネカ製)(アラルダイトMY721:75質量部/コアシェルポリマー粒子(平均粒径:100nm、コア成分:架橋ポリブタジエン、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25質量部のマスターバッチ)。
<アミン硬化剤[C]>
・セイカキュアS(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、和歌山精化工業(株)製)
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、三井化学ファイン(株)製)
・“ロンザキュア(登録商標)”M−MIPA(3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ロンザジャパン(株)製)
・DICY7(ジシアンジアミド、三菱化学(株)製)。
<アミン硬化剤[C]以外の硬化剤>
・メチルテトラヒドロ無水フタル酸(和光純薬工業(株)製)
・“PHENOLITE(登録商標)”TD−2131(ノボラック型フェノール樹脂、DIC(株)製)。
<エポキシ樹脂[A]に不溶な熱可塑性樹脂粒子[E]>
・“グリルアミド(登録商標)”TR−55粒子(“グリルアミド(登録商標)”−TR55を原料として作製した、平均粒子径13μmの粒子)
(“グリルアミド(登録商標)”TR−55粒子の製造方法)
透明ポリアミド(商品名“グリルアミド(登録商標)”−TR55、エムザベルケ社製)33gを、クロロホルム100gとメタノール35gの混合溶媒中に添加して均一溶液を得た。次に、得られた均一溶液を塗装用のスプレーガンを用いて霧状にして、良く撹拌して1000gのn−ヘキサンの液面に向かって吹き付けて溶質を析出させた。析出した固体を濾別し、n−ヘキサンで良く洗浄した後に、100℃の温度で24時間の真空乾燥を行い、白色固体を28g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、平均粒子径13μmの“グリルアミド(登録商標)”TR−55粒子であった。
・“オルガソール(登録商標)”1002D(Arkema社製、平均粒子径:21.0 μm)。
<その他の成分>
・DCMU99(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、硬化促進剤、保土ヶ谷化学工業(株)製)
・ベンジルジメチルアミン(東京化成工業(株)製)。
(1)エポキシ樹脂組成物の調製
ニーダー中に、式(1)で表されるエポキシ樹脂、または、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]、または多官能アミン型エポキシ[D]、ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂[F]、[A]、[D]、[F]以外のエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]を所定量加え、混練しつつ、160℃まで昇温し、160℃、1時間混練することで、透明な粘調液を得た。混練しつつ80℃まで降温させた後、アミン硬化剤[C]、またはアミン硬化剤[C]以外の硬化剤、エポキシ樹脂[A]に不溶な熱可塑性樹脂粒子[E]、およびエポキシ樹脂以外のその他の成分を所定量加え、さらに混練し、エポキシ樹脂組成物を得た。
(2)エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率測定
上記(1)で調製したエポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中に注入した。180℃の温度で2時間硬化させ、厚さ2mmのエポキシ樹脂硬化物を得た。次に、得られたエポキシ樹脂硬化物の板から、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、スパン間32mmの3点曲げを測定し、JIS K7171−1994に従って曲げ弾性率を測定した。
(3)エポキシ樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪み
上記(1)で調製したエポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、6mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み6mmになるように設定したモールド中で、180℃の温度で2時間硬化させ、厚さ6mmのエポキシ樹脂硬化物を得た。このエポキシ樹脂硬化物を6×6mmのサイズにカットし、試験片を得た。インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、厚さ6mmのエポキシ樹脂硬化物の板を作製した。ついで、エポキシ樹脂硬化物の板から一辺の長さが6mmの立方体の試験片を切り出し、試験速度1±0.2mm/分で、他の条件はJIS K7181に準じた条件により圧縮破壊時呼び歪みを測定した。
(実施例1)
混練装置で、45質量部の2,2’−ジグリシジルオキシビフェニル(式(1)で表されるエポキシ樹脂[A])、55質量部の“jER(登録商標)”630(多官能アミン型エポキシ樹脂[D])を混練した後、17質量部の“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P(エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B])を160℃で溶解混練した後、エポキシ樹脂組成物を80℃に降温して51質量部の3,3’−DAS(アミン硬化剤[C])を混練し、エポキシ樹脂組成物を作製した。表1に、組成と割合を示す(表1中、数字は質量部を表す)。得られたエポキシ樹脂組成物について、上記の(2)エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率測定、(3)エポキシ樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪み測定を実施した。結果を表1に示す。
(実施例2〜9、12〜29、比較例1〜19)
式(1)で表されるエポキシ樹脂または式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]、多官能アミン型エポキシ樹脂[D]、エポキシ樹脂[F]、「[A]、[D]、[F]」以外のエポキシ樹脂、「エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマー」からなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]、アミン硬化剤[C]、および、その他の成分の配合量を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製した。得られたエポキシ樹脂組成物について、上記の(2)エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率測定、(3)エポキシ樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪み測定を実施した。結果を、実施例2〜9、実施例12〜29、比較例1〜19について表1に示す。
(実施例10)
混練装置で、30質量部の2,2’−メチレンビス(1−グリシジルオキシベンゼン)(式(1)で表されるエポキシ樹脂[A])、60質量部の“jER(登録商標)”630(多官能アミン型エポキシ樹脂[D])、10質量部の“EPICLON(登録商標)”830([A]、[D]、[F]以外のエポキシ樹脂)を混練した後、17質量部の“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P(エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B])を160℃で溶解混練した後、エポキシ樹脂組成物を80℃に降温して47質量部の3,3’−DAS(アミン硬化剤[C])と26質量部の“グリルアミド(登録商標)”TR−55粒子(熱可塑性樹脂粒子[E])混練し、エポキシ樹脂組成物を作製した。表1に、組成と割合を示す。得られたエポキシ樹脂組成物について、上記の(2)エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率測定、(3)エポキシ樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪み測定を実施した。結果を表1に示す。
(実施例11)
式(1)で表されるエポキシ樹脂[A]、多官能アミン型エポキシ樹脂[D]と、[A]、[D]、[F]以外のエポキシ樹脂、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]、アミン硬化剤[C]および熱可塑性樹脂粒子[E]の配合量を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例10と同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製した。得られたエポキシ樹脂組成物について、上記の(2)エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率測定、(3)エポキシ樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪み測定を実施した。結果を表1に示す。
Figure 2017056653
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実施例1〜29と比較例1〜19の比較から、本発明のエポキシ樹脂硬化物は、高い弾性率と圧縮破壊時呼び歪みを有していることが判る。
実施例1、2と比較例1、2の比較から、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]とアミン硬化剤[C]が配合されていても、式(1)で表される[A]が配合されていない場合、エポキシ樹脂硬化物の弾性率と圧縮破壊時呼び歪みが低下することが判る。
実施例12〜15と比較例3〜6の比較から、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]とアミン硬化剤[C]が配合されていても、式(2)で表される[A]が配合されていない場合、エポキシ樹脂硬化物の弾性率が低下することが判る。
実施例9と比較例7、実施例16〜17と比較例11、実施例18〜19と比較例12、実施例20〜21と比較例13、実施例29と比較例19の比較から、式(1)で表されるエポキシ樹脂[A]とアミン硬化剤[C]が配合されていても、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]が配合されていない場合、エポキシ樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪みが低下することが判る。
実施例22〜23と比較例14の比較から、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]とアミン硬化剤[C]が配合されていても、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]が配合されていない場合、エポキシ樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪みが低下することが判る。
実施例1と比較例8、9の比較から、式(1)で表される[A]が配合されていても、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]とアミン硬化剤[C]が配合されていない場合、エポキシ樹脂硬化物の弾性率と圧縮破壊時呼び歪みが低下することが判る。
実施例1〜29と比較例10の比較から、式(1)で表されるエポキシ樹脂、または、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]とエポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]、アミン硬化剤[C]が配合されていない場合、エポキシ樹脂硬化物の弾性率と圧縮破壊時呼び歪みが不足することが判る。
実施例24〜25と比較例16〜18の比較から、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]とアミン硬化剤[C]が配合されていても、式(1)で表されるエポキシ樹脂、または、式(2)で表される[A]が配合されていない場合、エポキシ樹脂硬化物の弾性率が低下することが判る。
実施例22と比較例15の比較から、エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分[B]とアミン硬化剤[C]が配合されていても、式(2)で表される[A]が配合されていない場合、エポキシ樹脂硬化物の弾性率と圧縮破壊時呼び歪みが低下することが判る。
本発明によれば、弾性率と圧縮破壊時呼び歪みを兼ね備えたエポキシ樹脂組成物が得られる。さらには、かかるエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ、繊維強化複合材料は構造材料に好適に用いられる。例えば、航空宇宙用途では主翼、尾翼およびフロアビーム等の航空機一次構造材用途、フラップ、エルロン、カウル、フェアリングおよび内装材等の二次構造材用途、ロケットモーターケースおよび人工衛星構造材用途等に好適に用いられる。また、一般産業用途では、自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、各種タービン、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、補強筋、および補修補強材料等の土木・建築材料用途等に好適に用いられる。さらにスポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニス、バトミントンおよびスカッシュ等のラケット用途、ホッケー等のスティック用途、およびスキーポール用途等に好適に用いられる。

Claims (13)

  1. 少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]を有してなる、エポキシ樹脂組成物。
    [A]式(1)で表されるエポキシ樹脂、または、式(2)で表されるエポキシ樹脂
    (ここで、[A]が式(1)で表されるエポキシ樹脂である場合は、エポキシ樹脂の総量を100質量部としたときに[A]の含有量は15〜70質量部である。)
    Figure 2017056653
    Figure 2017056653
    [ただし、式(1)、式(2)中、Rは水素原子やメチル基を示す。複数あるRは必ずしも同一であるとは限らない。R〜Rは置換基を示し、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、または、水素原子やハロゲン原子である。置換数kは0〜4の整数であり、それらkは必ずしも同一であるとは限らない。繰り返し単位nは0以上の整数である。連結基Xは、−C(Y)(Z)−(YとZは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、または、水素原子やハロゲン原子であり、YとZは同じであっても異なっていても良い。)、−C(=O)NH−、−C(=O)O−、−S(=O)−、−C(=O)−、−O−、−S−、−(原子無し)からなる群から選ばれた一つを示す。]
    [B]エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂、および、コアシェルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分
    [C]アミン硬化剤。
  2. 構成要素[A]が式(2)で表されるエポキシ樹脂である場合において、エポキシ樹脂の総量100質量部中に、式(2)で表されるエポキシ樹脂を5質量部以上30質量部未満含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. アミン硬化剤[C]が、ジアミノジフェニルスルホンもしくはその誘導体、またはその異性体である、請求項1または2のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. エポキシ樹脂の総量100質量部中に、式(2)で表されるエポキシ樹脂[A]以外の多官能アミン型エポキシ[D]を20〜70質量部含む、請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂[B]のガラス転移温度が150℃以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボナート、ポリフェニレンスルフィドからなる群から選ばれる一つである、エポキシ樹脂[A]に不溶な熱可塑性樹脂粒子[E]を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. アミン硬化剤[C]がジシアンジアミドまたはその誘導体である、請求項1または2のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. エポキシ当量が300から5000の範囲にある、ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂[F]を含む、請求項1、2、7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. エポキシ樹脂[A]に相溶する熱可塑性樹脂[B]が主鎖中に活性水素を含有する官能基を有している、請求項1、2、7、8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物が硬化されてなる、エポキシ樹脂硬化物。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物が強化繊維に含浸されてなる、プリプレグ。
  12. 請求項10に記載のエポキシ樹脂硬化物と強化繊維を含んでなる、繊維強化複合材料。
  13. 請求項11に記載のプリプレグが硬化されてなる、繊維強化複合材料。
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