JPWO2018131580A1 - エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化物、プリプレグ、繊維強化複合材料、ブロック共重合体およびその製造方法 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化物、プリプレグ、繊維強化複合材料、ブロック共重合体およびその製造方法

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Abstract

本発明は、成形条件幅で微細な相分離構造を安定して形成し、優れた耐熱性、弾性率、靭性を有するエポキシ樹脂硬化物を安定して与えるエポキシ樹脂組成物を提供すること、さらには、接着性に優れた繊維強化複合材料を提供することを目的とする。また、耐熱性と靭性に優れた新規なブロック共重合体及びその製造方法を提供することを目的とする。かかる目的を達成するため本発明は以下の構成を有する。すなわち、少なくとも次の構成要素[A]〜[D]を含み、エポキシ樹脂組成物の総量100質量%に対して構成要素[B]を16〜50質量%含むエポキシ樹脂組成物である。[A]エポキシ樹脂[B]所定の構成単位を[B]中に80モル%以上含み、かつエポキシ樹脂に溶解し得る熱可塑性樹脂[C]所定の条件を満たす、ブロック[c1]とブロック[c2]からなるブロック共重合体[D]エポキシ樹脂硬化剤

Description

本発明は、航空宇宙用途に適した繊維強化複合材料、これを得るために好適に用いられるプリプレグ、さらにはそのマトリックス樹脂として好適に用いられるエポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂硬化物に関するものである。さらには、前記マトリックス樹脂の強化材、電子材料、塗料、接着剤等に適したブロック共重合体に関するものである。
近年、炭素繊維やアラミド繊維等の強化繊維を用いた繊維強化複合材料は、その高い比強度と比弾性率を利用して、航空機や自動車等の構造材料、テニスラケット、ゴルフシャフト、および釣り竿等のスポーツ・一般産業用途等に利用されてきた。
その繊維強化複合材料の製造方法には、強化繊維に未硬化のマトリックス樹脂が含浸されたシート状中間材料であるプリプレグを用い、それを複数枚積層した後、加熱硬化させる方法や、モールド中に配置した強化繊維に液状の樹脂を流し込み、それを加熱硬化させるレジン・トランスファー・モールディング法等が用いられている。これらの製造方法のうち、プリプレグを用いる方法は、強化繊維の配向を厳密に制御でき、また積層構成の設計自由度が高いことから、高性能な繊維強化複合材料を得やすい利点がある。このプリプレグに用いられるマトリックス樹脂としては、耐熱性やプロセス性等の生産性の面から、主に熱硬化性樹脂が用いられ、中でも樹脂と強化繊維との接着性や寸法安定性、および得られる複合材料の強度や剛性といった力学特性の観点からエポキシ樹脂が好適に用いられてきた。しかしながら、エポキシ樹脂は、熱可塑性樹脂に比べて弾性率が高いが、靭性に劣るため、繊維強化複合材料の層間靭性・耐衝撃性が不十分となる場合があった。また、繊維強化複合材料の使用時のみならず、塗装や焼き付けといった高温環境下に曝される加工工程において、割れやクラック等の欠陥が発生しやすいという問題もあった。
このような課題に対し、マトリックス樹脂の靱性を向上させることが重要かつ有効であるとされ、エポキシ樹脂の改質が試みられてきた。例えば、熱可塑性樹脂や靱性に優れるゴム成分などを配合し、それらをエポキシ樹脂と相分離させ、高靭性化を図る技術が提案されている。具体的には、エポキシ樹脂との相分離を誘発しやすい熱可塑性樹脂を多量に配合し、ミクロンサイズの連続相を形成させ、その相がエネルギー吸収を担うことでエポキシ樹脂の靭性を大きく向上させる方法が開示されている(特許文献1)。別の手法としては、アクリル系のポリマーからなるブロック共重合体を添加することにより、エポキシ樹脂の硬化過程でサブミクロンサイズのゴム相を形成させ、エポキシ樹脂の靭性を向上させる方法が開示されている(特許文献2)。その他には、熱可塑性樹脂とゴム成分とを同組成物中に配合し、ミクロンサイズの熱可塑性樹脂を由来とする連続相内にゴム相を分散させ、高靭性化を図る方法が開示されている(特許文献3)。さらに、近年では、芳香族系ポリマーからなるブロック共重合体の設計により、耐熱性を保持したまま靭性を向上させる方法が開示されている(特許文献4)。
特開昭61−228016号公報 国際公開第2006/077153号 特開平7−278412号公報 国際公開第2013/017843号
特許文献1のように熱可塑性樹脂を相分離させた場合、靭性や耐衝撃性の向上につながるものの、耐熱性の低下や基材と接着強度の低下、成形条件による相分離構造の変動を引き起こす場合があった。また、特許文献2の方法でも、エポキシ樹脂の増粘効果が大きく、プロセス性を悪化させることがある上、ゴム成分の配合に由来する弾性率の低下を招くことがあり、弾性率と靭性のバランスが十分には得られない場合があった。さらに、このようにゴム成分を配合した場合、エネルギー吸収を担うのはゴム相ではなくエポキシ樹脂相となるため、エポキシ樹脂相の塑性変形能力が低ければ、靭性向上の効果は不足する傾向があった。特許文献3の方法でも、耐熱性の低下や成形条件による相構造の安定化が困難となる場合や、複雑な相分離形態となり相分離界面の接着性が不十分となる傾向があった。特許文献4の方法でも、エポキシ樹脂のみからなるエポキシ樹脂相であるため一般的には脆く、靭性向上の効果は不足する傾向があった。
このように、十分な耐熱性、弾性率を兼ね備えつつ、高い靭性を安定して発現する樹脂組成物を得られておらず、繊維強化複合材料にした際も接着性が不足する等、各種特性も十分なものではなかった。さらに、航空機の主翼構造や風車ブレードのような大型構造部材に適用しようとした際に、炉内の温度ムラや材料の厚み方向の熱履歴の違いにより相分離構造の変動が生じ、これに起因する特性の変動が問題となる場合等があり、成形条件の依存性が低い安定した特性を発現する材料が強く求められていた。
そこで、本発明の目的は、成形条件による相分離構造の変動が小さく、優れた耐熱性、弾性率、靭性を有するエポキシ樹脂硬化物を安定して与えるエポキシ樹脂組成物、およびプリプレグ、繊維強化複合材料、かつ、かかるエポキシ樹脂組成物を用いることで、接着性に優れた繊維強化複合材料を提供することである。
なお、ブロック共重合体の適用は、繊維強化複合材料の分野に限らず、電子材料、塗料、接着剤等の幅広い分野でも進められており、様々なブロックを組み込むことにより、靭性や耐クラック性の改善が検討されている。さらに、近年では、高い耐熱性を併せ持つブロック共重合体が求められており、そのような材料として、芳香族系ポリマーを導入した材料が注目されている。ただし、ミクロ相分離が可能な低極性のエラストマーブロックを芳香族系ポリマーに組み込むことは、合成上の難しさがあり、十分な特性を発現できるものではなかった。
そこで、本発明の第二の目的は、耐熱性と靭性に優れた新規なブロック共重合体およびその製造方法を提供することである。
本発明は、上記目的を達成するために次のいずれかの構成を有するものである。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも次の構成要素[A]〜[D]を含み、エポキシ樹脂組成物の総量100質量%に対して構成要素[B]を16〜50質量%含むエポキシ樹脂組成物である。
[A]エポキシ樹脂
[B]式(1)で表す構成単位を80モル%以上含み、かつエポキシ樹脂に溶解し得る熱可塑性樹脂
Figure 2018131580
[C]次の条件(i)〜(iii)をすべて満たす、ブロック[c1]とブロック[c2]からなるブロック共重合体
(i)ブロック[c1]は上記式(1)で表す構成単位を80モル%以上含む
(ii)ブロック[c2]は溶解性パラメータ(SP値)が10(cal/cm1/2以下である
(iii)ブロック[c1]とブロック[c2]がエーテル結合で連結されてなる
[D]エポキシ樹脂硬化剤
また、本発明のプリプレグは、前記エポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸させてなるプリプレグである。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、前記エポキシ樹脂組成物を硬化させてなるエポキシ樹脂硬化物である。
さらに、本発明の繊維強化複合材料の第一の態様は、前記プリプレグを硬化させてなる繊維強化複合材料である。
また、本発明の繊維強化複合材料の第二の態様は、前記エポキシ樹脂硬化物と強化繊維を含んでなる繊維強化複合材料である。
また、本発明のブロック共重合体は、次の条件(i)〜(iii)をすべて満たす、ブロック[c1]とブロック[c2]からなるブロック共重合体である。
(i)ブロック[c1]は式(1)で表す構成単位を80モル%以上含む
Figure 2018131580
(ii)ブロック[c2]は溶解性パラメータ(SP値)が10(cal/cm1/2以下である
(iii)ブロック[c1]とブロック[c2]がエーテル結合で連結されてなる
本発明によれば、広い成形条件幅で微細な相分離構造を安定して形成し、優れた耐熱性、弾性率、靭性を有するエポキシ樹脂硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物、およびプリプレグ、繊維強化複合材料が得られる。さらには、かかるエポキシ樹脂硬化物が微細な相分離構造を形成することで、接着性に優れた繊維強化複合材料が得られる。
さらに、繊維強化複合材料用マトリックス樹脂の強化材の他、電子材料、塗料、接着剤等で優れた耐熱性と靭性を与えるブロック共重合体が得られる。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化物、プリプレグ、繊維強化複合材料、ブロック共重合体およびその製造方法について詳細に説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、構成要素[A]としてエポキシ樹脂、構成要素[B]として所定の構造を含む熱可塑性樹脂、構成要素[C]として所定の条件を満たすブロック共重合体、構成要素[D]としてエポキシ樹脂硬化剤を含むことを必須とする。
本発明における構成要素[A]はエポキシ樹脂である。構成要素[A]は、エポキシ樹脂硬化物の機械物性、取り扱い性の根幹をなす。本発明におけるエポキシ樹脂は、1分子内に1個以上のエポキシ分子を有する化合物を意味する。
本発明におけるエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、ウレタンおよびイソシアネート変性エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は1種類だけでなく、複数種組み合わせて添加しても良い。中でも、低粘度で強化繊維への含浸性に優れ、また繊維強化複合材料とした際の耐熱性と弾性率等の力学物性に優れることから、アミン型エポキシ樹脂を好適に使用できる。さらに好ましい態様によれば、構成要素[A]がアミン型エポキシ樹脂を含み、その含有量が構成要素[A]の総量100質量部に対して50質量部を超えることが望ましい。
本発明で好ましく用いられるアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルキシリレンジアミンや、これらのハロゲン、アルキル置換体、水素添加品などが挙げられる。
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンの市販品としては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(住友化学工業(株)製)、YH434L(新日鉄住金化学(株)製)、“jER(登録商標)”604(三菱化学(株)製)、“アラルダイド(登録商標)”MY720、“アラルダイド(登録商標)”MY721(以上、ハンツマン・アドバンズド・マテリアルズ社製)等を使用することができる。トリグリシジルアミノフェノール又はトリグリシジルアミノクレゾールの市販品としては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM100、“スミエポキシ(登録商標)”ELM120(以上、住友化学工業(株)製)、“アラルダイド(登録商標)”MY0500、“アラルダイド(登録商標)”MY0510、“アラルダイド(登録商標)”MY0600(以上、ハンツマン・アドバンズド・マテリアルズ社製)、“jER(登録商標)”630(三菱化学(株)製)等を使用することができる。ジグリシジルアニリンの市販品としては、GAN(日本化薬(株)製)などが挙げられる。ジグリシジルトルイジンの市販品としては、GOT(日本化薬(株)製)等を使用することができる。テトラグリシジルキシリレンジアミンおよびその水素添加品の市販品としては、“TETRAD(登録商標)”−X、“TETRAD(登録商標)”−C(以上、三菱ガス化学(株)製)等を使用することができる。
本発明における構成要素[B]は、式(1)で表す構成単位(主の構成単位という)を全ての構成単位に対して80モル%以上含み、かつエポキシ樹脂に溶解し得る熱可塑性樹脂である。かかる熱可塑性樹脂を構成要素[B]として用いることにより、構成要素[B]をエポキシ樹脂相に相溶させることができ、耐熱性と塑性変形能力に優れたエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。なお、構成要素[B]は、主の構成単位とは別の構成単位を20モル%未満含んでいてもよい。かかる構成単位の構造は特に限定されないが、エポキシ樹脂への相溶性と耐熱性の高い骨格を有することが望ましい。かかる構成単位として、例えば、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドの構成単位が好ましく用いられる。さらには、耐熱性の観点から、主の構成単位を構成要素[B]中に90モル%以上含むことが好ましく、100モル%含む、すなわち、構成要素[B]がポリエーテルスルホンであることがより好ましい。
かかる構成要素[B]は、エポキシ樹脂に溶解し得る熱可塑性樹脂であり、構成要素[B]が硬化過程でエポキシ樹脂相に均一に相溶する上で重要となる。ここでエポキシ樹脂に溶解し得る熱可塑性樹脂とは、構成要素[A]のエポキシ樹脂に熱可塑性樹脂を、構成要素[A]と熱可塑性樹脂との合計質量100質量%に対して5質量%加え、150℃まで昇温後、200rpmで1時間混練し、室温で1時間放置したときに、両者が分子レベルで均一に相溶することを意味する。分子レベルで均一に相溶しているか否かを確認する手段としては、位相差顕微鏡を用い、熱可塑性樹脂の不溶物または0.5μm以上の大きさの相分離構造の有無から判断する。
上記のように、エポキシ樹脂組成物の溶解状態を確認する際には、所定の領域の位相差顕微鏡写真を撮影する。熱可塑性樹脂が構成要素[A]のエポキシ樹脂に溶解しない場合、構成要素[A]に相溶することなく不溶物として存在するか、構成要素[A]と0.5μm以上の大きさの相分離構造を有する連続構造や海島構造を形成するのでそれぞれについて以下のように測定する。
熱可塑性樹脂が構成要素[A]と連続構造を形成する場合、倍率200倍で撮影した顕微鏡写真の上にランダムに3mmの長さ(サンプル上の1μmの長さ)の直線を引き、その直線のうち、熱可塑性樹脂を主成分とする相を通る部分の長さの数平均値を構造周期、すなわち相分離構造の大きさとする。そして、かかる相分離構造の大きさが0.5μm未満である場合、その熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂に溶解しうる熱可塑性樹脂とする。
また、熱可塑性樹脂が不溶物として存在する場合や構成要素[A]と海島構造を形成する場合、倍率200倍で撮影した顕微鏡写真の上でランダムに20mm四方の領域(サンプル上100μm四方の領域)3箇所を選出し、それらの領域内に存在する全ての不溶物または島相の長径を測定し、これらの数平均値を不溶物の径または島相の径(すなわち、相分離構造の大きさ)とする。そして、かかる不溶物の径、または相分離構造の大きさが0.5μm未満である場合、その熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂に溶解しうる熱可塑性樹脂とする。なお、不溶物または島相が領域内に存在するとは、その不溶物または島相の面積の半分以上が領域の内側にある場合をいう。
また、かかる構成要素[B]の重量平均分子量(Mw)は、4,000〜40,000g/モルの範囲にあることが好ましく、より好ましくは4,500〜25,000g/モルである。かかるMwが4,000g/モルより低いと、塑性変形能力を高めるには不十分となる場合がある。一方、Mwが40,000g/モルより高いと、エポキシ樹脂に熱可塑性樹脂を溶解した際、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり混練が難しく、プリプレグ化が困難となる場合がある。また、構成要素[B]が硬化過程でエポキシ樹脂相に均一に相溶することが困難となり、相分離構造を形成するため、成形条件の依存性が大きい材料となる場合がある。なお、ここで、Mwとは、ポリスチレン標準サンプルを用いて、GPC(Gel Permeation Chromatography)により求められる相対分子量を指す。
さらに、かかる構成要素[B]の末端は、エポキシ樹脂と反応しうる官能基を有することが好ましい。エポキシ樹脂と反応しうる官能基とは、エポキシ分子のオキシラン基またはエポキシ樹脂硬化剤の官能基と反応可能な官能基を意味する。例えば、アミノ基、水酸基またはカルボキシル基等の官能基を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。この官能基がエポキシ樹脂もしくは、エポキシ樹脂硬化剤と反応することにより、構成要素[B]がエポキシ樹脂相に均一に相溶したエポキシ樹脂硬化物が得られやすくなり、安定した特性を発現できる。中でも、水酸基を官能基とする構成要素[B]は、高い靱性を与えることから好ましく用いられる。
本発明における構成要素[B]においては、製造方法に特に制限はなく、例えば特公昭42−7799号公報、特公昭45−21318号公報、特開昭48−19700号公報に記載の方法で製造することが可能であり、当該文献によれば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属化合物存在下、N−メチルピロリドン、DMF、DMSO、スルホランなどの非プロトン性極性溶媒中で、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどの二価のフェノール化合物と4,4’−ジクロロジフェニルスルホンなどの二価のジハロゲノジフェニル化合物を重縮合することで得ることができる。また、別の手法として、まず通常公知の方法、すなわち二価フェノール化合物とジハロゲノジフェニル化合物の重縮合により得られる高分子量のポリエーテルスルホンを原料とし、引き続き得られた高分子量のポリエーテルスルホンと二価フェノール化合物を非プロトン性極性溶媒中で加熱することにより、末端にヒドロキシフェニル基を導入し製造する方法が挙げられる。
本発明における構成要素[B]の市販品としては、“スミカエクセル(登録商標)”PES3600P、“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P、“スミカエクセル(登録商標)”PES5200P、“スミカエクセル(登録商標)”PES7600P(以上、住友化学工業(株)製)、“Ultrason(登録商標)”E2020P SR、“Ultrason(登録商標)”E2021SR(以上、BASF社製)、“GAFONE(登録商標)”3600RP、“GAFONE(登録商標)”3000RP、“Virantage(登録商標)”VW−10700RP(以上、Solvay Advanced Polymers社製)などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂組成物の総量100質量%に対して構成要素[B]を16〜50質量%含むことが必要であり、20〜45質量%含むことが好ましい。16質量%に満たない場合、エポキシ樹脂相が脆くなる。かかるエポキシ樹脂相に構成要素[C]を導入しても、塑性変形によるエネルギー吸収は小さく、その結果、エポキシ樹脂硬化物の靭性の向上効果が小さくなる。一方、50質量%を上回る場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が上昇し、エポキシ樹脂組成物およびプリプレグの製造プロセス性や取り扱い性が不十分となる。また、構成要素[B]が粗大な相分離構造を形成したり、構成要素[C]が樹脂調製や成形硬化の際に二次凝集となる。
本発明における構成要素[C]は、次の条件(i)〜(iii)をすべて満たす、ブロック[c1]とブロック[c2]からなるブロック共重合体である。また、本発明のブロック共重合体は、次の条件(i)〜(iii)をすべて満たす、ブロック[c1]とブロック[c2]からなる。
(i)ブロック[c1]は上記式(1)で表す構成単位を80モル%以上含む
(ii)ブロック[c2]は溶解性パラメータ(SP値)が10(cal/cm1/2以下である
(iii)ブロック[c1]とブロック[c2]がエーテル結合で連結されてなる。
本発明におけるブロック[c1]とブロック[c2]からなるブロック共重合体は、前記(i)〜(iii)の条件を満たすことで、エポキシ樹脂に構成要素[B]が16〜50質量%相溶している場合においても、構成要素[C]を微分散させることができる。その結果、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性や弾性率を保持したまま、靭性を大きく向上させる。また、界面での接着性向上や成形条件による相分離構造の変動を抑制させることが可能である。
本発明におけるブロック共重合体の条件(i)としては、ブロック[c1]が式(1)で表す構成単位(主の構成単位)を全ての構成単位に対して80モル%以上含むことが必要である。これにより、エポキシ樹脂に相溶している構成要素[B]との相溶性が高まり、安定した相分離構造を形成することに繋がる。なお、ブロック[c1]は、別の構成単位を20モル%未満含んでいてもよく、それらの構成は特に問わないが、ブロック[c1]全体として耐熱性の高い骨格を有することが望ましい。例えば、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドの構成単位が好ましく用いられる。さらには、耐熱性の観点から、主の構成単位をブロック[c1]中に90モル%以上含むことが好ましく、100モル%含むことがより好ましい。ここでブロック[c1]は、構成要素[B]と構成単位の組成が同一であることが相溶性の観点から好ましい。
本発明におけるブロック共重合体の条件(ii)としては、ブロック[c2]のSP値が10(cal/cm1/2以下であることが必要である。これにより、ブロック[c2]は硬化後のエポキシ樹脂相内に微細な相を形成すると共に、耐熱性や弾性率を保持したまま、高靭性化を発現することができる。
ここで、SP値とは、一般に知られている溶解性パラメータのことであり、溶解性および相溶性の指標となる。蒸発熱等の物性からSP値を算出する方法と、分子構造からSP値を推算する方法がある。ここでは、Polym.Eng.Sci.,14(2),147−154(1974)に記載された、Fedorsの方法に基づき、分子構造から算出したSP値を用いるものとし、その単位は、(cal/cm1/2を用いることとする。
本発明におけるSP値が10(cal/cm1/2以下であるブロック[c2]としては、特に化学構造や分子量等を限定されるものではないが、エポキシ樹脂相の塑性変形を誘発し、大きなエネルギー吸収を引き起こすことができるエラストマーであることが好ましい。かかるエラストマーの例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン)、ポリ(1,3−ペンタジエン)、および、ポリ(2−フェニル−1,3−ブタジエン)等から選択されるポリジエン、ポリアクリル酸エチル、ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレートおよびポリ(2−エチルヘキシルメタアクリレート)等から選択されるポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。中でも、力学特性のバランスが良好なポリシロキサンが好ましく用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、構成要素[C]は、ブロック[c1]が構成要素[B]との良好な相溶性と耐熱性の観点からポリエーテルスルホンであり、ブロック[c2]が靭性の観点からポリシロキサンであるブロック共重合体であることが好ましい。
また、本発明のブロック共重合体において、ブロック[c1]が耐熱性の観点から、ポリエーテルスルホンであり、ブロック[c2]が靭性の観点からシロキサン結合を含むことが好ましい。
本発明におけるブロック共重合体の条件(iii)としては、ブロック[c1]とブロック[c2]がエーテル結合で連結されてなることが必要である。さらに、ブロック[c1]とブロック[c2]が式(2)または式(3)で表される構造で連結されてなることが好ましい。これにより、化学的に安定な直鎖状の連結構造となり、エポキシ樹脂相との相溶性が高まると共に、耐溶剤性や接着性にも優れたエポキシ樹脂硬化物が得られやすくなる。
Figure 2018131580
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本発明におけるブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、5,000〜70,000g/モルの範囲にあることが好ましく、より好ましくは7,000〜60,000g/モルである。Mwが5,000g/モルより低いと、靭性向上の効果が不足する場合がある。一方、Mwが70,000g/モルより高いと、耐熱性や弾性率の低下を招く場合がある。また、エポキシ樹脂組成物にブロック共重合体を溶解した際、エポキシ樹脂の粘度が高くなり混練が難しく、プリプレグ化が困難となる場合がある。
本発明におけるブロック共重合体に占めるブロック[c2]のブロック質量分率は、0.05〜0.60であることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.50の範囲である。ブロック質量分率が0.05に満たない場合、エポキシ樹脂硬化物の靭性が低下する場合がある。ブロック質量分率が0.60を超える場合、エポキシ樹脂硬化物の弾性率低下や、相分離の安定化が困難となる場合がある。
本発明におけるブロック共重合体の製造方法に特に制限はないが、フェノール性水酸基の求核置換反応で得ることが高効率な簡易手法であることから好ましい。当該手法によれば、末端にエポキシ分子のオキシラン基を有するSP値が10(cal/cm1/2以下である化合物に対する、末端にフェノール性水酸基を有するエポキシ樹脂に溶解し得る熱可塑性樹脂の求核置換反応によりブロック共重合体を得ることができる。また、二価のSP値が10(cal/cm1/2以下であるエラストマーからなるフェノール化合物と、エポキシ樹脂に溶解し得る熱可塑性樹脂とを非プロトン性極性溶媒中で加熱することにより、ブロック共重合体を得ることもできる。
かかる構成要素[C]のブロック共重合体の含有量は、力学特性やコンポジット作製プロセスへの適合性の観点から、構成要素[A]のエポキシ樹脂の総量100質量部に対して2〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは3〜20質量部の範囲である。構成要素[C]の含有量が2質量部に満たない場合、エポキシ樹脂硬化物の靭性および塑性変形能力が低下する場合がある。構成要素[C]の含有量が30質量部を超える場合、エポキシ硬化物の弾性率が顕著に低下し、得られる繊維強化複合材料の接着性が悪化することがある。
本発明における構成要素[D]は、エポキシ樹脂硬化剤である。ここでエポキシ樹脂硬化剤としては、エポキシ分子のオキシラン基と反応し得る活性基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、ジシアンジアミド、芳香族ポリアミン、アミノ安息香酸エステル類、各種酸無水物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリフェノール化合物、イミダゾール誘導体、脂肪族アミン、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリメルカプタンおよび三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体などが挙げられる。
中でも、芳香族ポリアミンを構成要素[D]のエポキシ樹脂硬化剤として用いることにより、耐熱性の良好なエポキシ樹脂硬化物が得られる。特に、ジアミノジフェニルスルホンもしくはその誘導体、またはその各種異性体は、耐熱性の良好なエポキシ樹脂硬化物を得るため最も適しているエポキシ樹脂硬化剤である。
また、ジシアンジアミドと尿素化合物、例えば、3,4−ジクロロフェニル−1,1−ジメチルウレアとの組合せ、あるいはイミダゾール類をエポキシ樹脂硬化剤として用いることにより、比較的低温で硬化しながら高い耐熱耐水性が得られる。酸無水物を用いてエポキシ樹脂を硬化することは、アミン化合物硬化に比べ吸水率の低いエポキシ樹脂硬化物を与える。その他、これらの硬化剤を潜在化したもの、例えば、マイクロカプセル化したものを用いることにより、プリプレグの保存安定性、特にタック性やドレープ性が室温放置しても変化しにくい。
構成要素[D]のエポキシ樹脂硬化剤の添加量の最適値は、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の種類により異なる。例えば、芳香族アミン硬化剤を用いる場合、その含有量は、耐熱性や力学特性の観点から、活性水素量を、エポキシ樹脂中のエポキシ分子量の0.6〜1.2倍とすることが好ましく、0.7〜1.1倍とすればより好ましい。0.6倍に満たない場合、エポキシ樹脂硬化物の架橋密度が十分でないため、弾性率、耐熱性が不足したり、繊維強化複合材料の静的強度特性が不足したりする場合がある。1.2倍を超える場合、エポキシ樹脂硬化物の架橋密度や吸水率が高くなりすぎ、変形能力が不足し、繊維複合材料の耐衝撃性に劣る場合がある。
芳香族ポリアミン硬化剤の市販品としては、セイカキュアS(和歌山精化工業(株)製)、MDA−220、3,3’−DAS(以上、三井化学(株)製)、“jERキュア(登録商標)”W(三菱化学(株)製)、“Lonzacure(登録商標)”M−DEA、“Lonzacure(登録商標)”M−DIPA、“Lonzacure(登録商標)”M−MIPA(以上、Lonza(株)製)および“Lonzacure(登録商標)”DETDA 80(Lonza(株)製)などが挙げられる。
また、これらエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤、あるいはそれらの一部を予備反応させた物を組成物中に含有させることもできる。この方法は、粘度調節や保存安定性向上に有効な場合がある。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる。
本発明のエポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度は、航空機材料に必要とされる耐熱性および湿熱下圧縮強度を十分に確保する観点から、好ましくは120〜250℃、より好ましくは140〜210℃である。このような比較的高い耐熱性を有するエポキシ樹脂組成物およびそれを用いたプリプレグの硬化成形には、比較的高い硬化温度が必要となる。現在航空機の機体構造材料に用いられているプリプレグは、硬化成形温度が180±10℃の範囲であることが一般的である。また、硬化成形させてなる繊維強化複合材料の強度を十分に発現させるため、プリプレグ積層体の硬化成形は1気圧以上の加圧条件下で行うことが一般的である。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、構成要素[C]を主成分とする相分離構造の大きさが0.01〜0.5μmの範囲にあることが好ましい。すなわち、本発明のエポキシ樹脂硬化物は、その中で、構成要素[A]、構成要素[B]、構成要素[D]が均一相構造、もしくは構成要素[B]を主成分とする0.5μm未満の微細な相分離構造を形成し、さらには、そこに構成要素[C]を主成分とする0.01μm〜0.5μmの微細な相分離構造を形成することが好ましい。中でも、構成要素[A]、構成要素[B]、構成要素[D]が均一相構造を形成し、そこに構成要素[C]を主成分とする0.01μm〜0.5μmの微細な相分離構造を形成することが、安定した特性を得られることからより好ましい。ここで、均一相構造を形成するとは、かかるエポキシ樹脂硬化物において、構成要素[A]、構成要素[B]、構成要素[D]が分子レベルで相溶している状態を指す。構成要素[B]や構成要素[C]が0.01μm未満の相を形成している場合は、透過型電子顕微鏡による観察が困難となるため均一相構造とみなす。また、かかる構成要素[C]を主成分とする相とは、連続構造や海島構造などの相分離構造を形成する相のうち、構成要素[C]の密度(単位面積当たりの含有量)が他の相よりも大きい相を表す。かかる構成要素[C]の密度が他の相より大きいか否かの判断は、組成コントラストで行う。組成コントラストによる判断が難しい場合には、電子顕微鏡による元素分析により判断する。
かかる構成要素[B]、構成要素[C]が、0.5μmを超えて相分離している場合、弾性率や耐熱性を低下させるとともに、相分離した界面での接着性が悪化する場合がある。また、成形条件による相構造の安定化が困難となる恐れがある。
かかる構成要素[C]が0.01μm未満の相を形成している場合、もしくは均一相構造を形成している場合、塑性変形によるエネルギー吸収は小さく、エポキシ樹脂硬化物の靭性の向上効果が小さくなる場合がある。
本発明において相分離構造とは、異なる構成要素の樹脂を主成分とする相が、0.01μm以上の相分離構造の大きさを有することをいう。これに対し、分子レベルで均一に混合している状態を、相溶状態といい、本発明においては異なる構成要素の樹脂を主成分とする相が0.01μm未満の相分離構造の大きさである場合は、相溶状態とみなすものとする。
本発明のエポキシ樹脂硬化物において、ある樹脂を主成分とする相の相分離構造の大きさは、次のように定義するものとする。なお、相分離構造には、連続構造と海島構造が有るのでそれぞれについて定義する。
連続構造の場合、顕微鏡写真の上に所定の長さの直線を引き、その直線のうち、当該樹脂を主成分とする相を通る部分の長さの数平均値を構造周期とする。連続構造においては、構造周期を相分離構造の大きさとする。かかる所定の長さとは、透過型電子顕微鏡写真を基に以下のようにして設定するものとする。構造周期が0.01μmオーダー(10nm以上100nm未満)と予想される場合、倍率を20,000倍で写真撮影し、写真上でランダムに20mmの長さ(サンプル上1μmの長さ)3本を選出したものをいう。同様にして、相分離構造周期が0.1μmオーダー(100nm以上1μm未満)と予想される場合、倍率を2,000倍で写真撮影し、写真上でランダムに20mmの長さ(サンプル上10μmの長さ)3本を選出したものをいう。相分離構造周期が1μmオーダー(1μm以上10μm未満)と予想される場合、倍率を200倍で写真撮影し、写真上でランダムに20mmの長さ(サンプル上100μmの長さ)3本を選出したものをいうものとする。もし、測定した相分離構造周期が予想したオーダーより外れていた場合、該当するオーダーに対応する倍率にて対応する長さを再度測定し、これを採用する。
海島構造の場合、所定の領域内に存在する島相の長径を測定し、これらの数平均値を島相の径とする。海島構造においては、島相の径を相分離構造の大きさとする。ここで、島相が楕円形のときは、長径をとり、不定形の場合は外接する円の直径を用いる。また、二層以上の円または楕円になっている場合には、最外層の円の直径または楕円の長径を用いるものとする。また、所定の領域とは、透過型電子顕微鏡写真を基に以下のようにして設定するものとする。島相の径が0.01μm未満または0.01μmオーダー(10nm以上100nm未満)と予想される場合、倍率を20,000倍で写真撮影し、写真上でランダムに20mm四方の領域(サンプル上1μm四方の領域)3箇所を選出する。同様にして、島相の径が0.1μmオーダー(100nm以上1μm未満)と予想される場合、倍率を2,000倍で写真撮影し、写真上でランダムに20mm四方の領域(サンプル上10μm四方の領域)3箇所を選出する。島相の径が1μmオーダー(1μm以上10μm未満)と予想される場合、倍率を200倍で写真撮影し、写真上でランダムに20mm四方の領域(サンプル上100μm四方の領域)3箇所を選出する。もし、測定した島相の径が予想したオーダーより外れていた場合、該当するオーダーに対応する倍率にて対応する領域を再度測定し、これを採用する。
このエポキシ樹脂硬化物の相分離構造の大きさは、エポキシ樹脂硬化物の断面を走査型電子顕微鏡もしくは透過型電子顕微鏡により観察することができる。必要に応じて、オスミウムなどで染色しても良い。染色は、通常の方法で行うことができる。
また、他の手法で、かかるエポキシ樹脂硬化物の相構造を確認するには、DMAやDSC等の熱力学特性分析の手法で検出されるTgが単一か否かで判断することも可能である。例えば、かかるエポキシ樹脂硬化物のDMA昇温測定により得られる損失正接(tanδ)と温度の散布図において、構成要素[A]等からなる架橋構造に由来するtanδピークに加えて、構成要素[C]に由来するtanδピークも現れた場合、相分離していると判断できる。
本発明のエポキシ樹脂硬化物の一例として、構成要素[A]のエポキシ樹脂を主成分とする相と構成要素[C]のブロック共重合体を主成分とする相を有する海島構造の相分離構造を有するエポキシ樹脂硬化物が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、カップリング剤や、熱硬化性樹脂粒子、あるいは構成要素[B]以外の熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂粒子、構成要素[C]以外のエラストマー、シリカゲル、カーボンブラック、クレー、カーボンナノチューブ、金属粉体といった無機フィラー等を含有させることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物においては、エポキシ樹脂硬化剤である構成要素[D]以外の構成要素を、まず150〜170℃程度の温度で均一に加熱混練し、次いで80℃程度の温度まで冷却した後に、構成要素[D]を加えて混練することが好ましいが、各構成要素の配合方法は特にこの方法に限定されるものではない。
本発明で用いられる強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維および炭化ケイ素繊維等が挙げられる。これらの強化繊維を2種以上混合して用いても構わないが、より軽量で、より耐久性の高い成形品を得るために、炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが好ましい。特に、材料の軽量化や高強度化の要求が高い用途においては、その優れた比弾性率と比強度のため、強化繊維が炭素繊維であることが好ましい。
本発明で好ましく用いられる炭素繊維は、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維を用いることが可能であるが、耐衝撃性の点から400GPa以下の引張弾性率を有する炭素繊維であることが好ましい。また、強度の観点からは、高い剛性および機械強度を有する複合材料が得られることから、引張強度が好ましくは4.4〜6.5GPaの炭素繊維が用いられる。また、引張伸度も重要な要素であり、1.7〜2.3%の高強度高伸度炭素繊維であることが好ましい。従って、引張弾性率が少なくとも230GPaであり、引張強度が少なくとも4.4GPaであり、引張伸度が少なくとも1.7%であるという特性を兼ね備えた炭素繊維が最も適している。
炭素繊維の市販品としては、“トレカ(登録商標)”T800G−24K、“トレカ(登録商標)”T800S−24K、“トレカ(登録商標)”T700G−24K、“トレカ(登録商標)”T300−3K、および“トレカ(登録商標)”T700S−12K(以上東レ(株)製)などが挙げられる。
炭素繊維の形態や配列については、一方向に引き揃えた長繊維や織物等から適宜選択できるが、軽量で耐久性がより高い水準にある炭素繊維強化複合材料を得るためには、炭素繊維が、一方向に引き揃えた長繊維(繊維束)や織物等連続繊維の形態であることが好ましい。
本発明のプリプレグは、本発明のエポキシ樹脂組成物を上記強化繊維に含浸させてなる。そのプリプレグの繊維質量分率は好ましくは40〜90質量%であり、より好ましくは50〜80質量%である。繊維質量分率が低すぎると、得られる複合材料の質量が過大となり、比強度および比弾性率に優れる繊維強化複合材料の利点が損なわれることがある。また、繊維質量分率が高すぎると、樹脂組成物の含浸不良が生じ、得られる複合材料がボイドの多いものとなり易く、その力学特性が大きく低下することがある。
強化繊維の形態は特に限定されるものではなく、例えば、一方向に引き揃えた長繊維、トウ、織物、マット、ニット、組み紐などが用いられる。また、特に、比強度と比弾性率が高いことを要求される用途には、強化繊維が単一方向に引き揃えられた配列が最も適しているが、取り扱いの容易なクロス(織物)状の配列も本発明には適している。
本発明のプリプレグは、マトリックス樹脂として用いられる前記エポキシ樹脂組成物を、メチルエチルケトンやメタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、強化繊維に含浸させる方法(ウェット法)や、マトリックス樹脂を加熱により低粘度化し、強化繊維に含浸させるホットメルト法(ドライ法)等により作製することができる。
ウェット法は、強化繊維をマトリックス樹脂であるエポキシ樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法である。ホットメルト法(ドライ法)は、加熱により低粘度化したエポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法、または一旦エポキシ樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングしたフィルムを作製しておき、次いで強化繊維の両側または片側から前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより強化繊維に樹脂を含浸させる方法である。ホットメルト法によれば、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上皆無となるため、本発明においては好ましい態様である。
本発明の繊維強化複合材料の第一の態様は、本発明のプリプレグを硬化させてなる。かかる繊維強化複合材料は、例えば、本発明のプリプレグを積層後、積層物に圧力を付与しながらマトリックス樹脂を加熱硬化させる方法等により作製することができる。
ここで熱および圧力を付与する方法には、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法等が採用される。
本発明の繊維強化複合材料の第二の態様は、本発明のエポキシ樹脂硬化物と強化繊維を含んでなる。かかる繊維強化複合材料は、プリプレグを介さず、エポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させた後、加熱硬化せしめる方法、例えば、ハンド・レイアップ法、フィラメント・ワインディング法、プルトルージョン法、レジン・インジェクション・モールディング法、レジン・トランスファー・モールディング法等の成形法によって作製することができる。これら方法では、エポキシ樹脂からなる主剤とエポキシ樹脂硬化剤との2液を使用直前に混合してエポキシ樹脂組成物を調製することが好ましい。
以下、実施例によって、本発明のエポキシ樹脂組成物について、より具体的に説明する。実施例で用いた樹脂原料の作製方法および評価法を次に示す。
<構成要素[A]:エポキシ樹脂>
(アミン型エポキシ樹脂)
・“jER(登録商標)”630(トリグリシジルアミノフェノール、三菱化学(株)製)
・“アラルダイト(登録商標)”MY0600(トリグリシジルアミノフェノール、ハンツマン・アドバンズド・マテリアルズ社製)
・“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、住友化学(株)製)。
(他のエポキシ樹脂)
・“jER(登録商標)”828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製))
・“エピクロン(登録商標)”830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DIC(株)製)
・“jER(登録商標)”152(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製))。
<熱可塑性樹脂>
(構成要素[B]:式(1)で表す構成単位を80モル%以上含み、かつエポキシ樹脂に溶解し得る熱可塑性樹脂)
・“Virantage(登録商標)”VW−10700RP(ポリエーテルスルホン、Solvay Advanced Polymers(株)製、構成要素[B]は式(1)で表す構成単位を100モル%以上含む、Mw=21,000g/モル)
・ポリエーテルスルホン P1(構成要素[B]は式(1)で表す構成単位を100モル%含む、Mw=5,000g/モル)
攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を取り付けた三口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン25.03g(0.1モル)、トルエン50ml、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン125.4g、そして40%水酸化カリウム水溶液28.0gをとり、攪拌しながら窒素ガスを通じ、反応系をすべて窒素で置換した。窒素ガスを通じながら130℃まで加熱した。反応系の温度が上昇すると共にトルエンの還流が開始された。反応系内の水をトルエンとの共沸で除去し、トルエンを反応系に戻す共沸脱水を130℃で4時間行った。この後、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン28.7gをトルエン20gと共に反応系に加え、反応系を150℃に加熱した。トルエンを留出させながら3時間反応させ、高粘度の茶褐色の溶液を得た。反応液の温度を室温まで冷却し、反応溶液をメタノール500gに排出し、ポリマー粉を析出させた。濾別によりポリマー粉を回収し、ビーカーに移した。これに水500gを加え、更に1N塩酸を加えた。濾別によりポリマー粉を回収した後、ポリマー粉を水500gで2回洗浄した。更にメタノール500gに洗浄し、150℃で12時間減圧乾燥を行った。得られた中間生成物5.0gに対し、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン2.5g、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)200ml、無水炭酸カリウム3.0gを秤量した。NMP反応溶液を攪拌しながら反応温度を150℃にまで上昇させ、反応時間10時間で反応を終了した。反応溶液を500mlのメタノールに投下し、析出固体を粉砕、500mlの水で2回洗浄した。130℃で真空乾燥を行い、白色粉末状5.8gを得た。
・ポリエーテルスルホン P2(構成要素[B]は式(1)で表す構成単位を100モル%含む、Mw=8,000g/モル)
攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を取り付けた三口フラスコに、P1と同様の方法で得た中間生成物5.0gに対し、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン1.5g、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)200ml、無水炭酸カリウム2.0gを秤量した。NMP反応溶液を攪拌しながら反応温度を150℃にまで上昇させ、反応時間6時間で反応を終了した。反応溶液を500mlのメタノールに投下し、析出固体を粉砕、500mlの水で2回洗浄した。130℃で真空乾燥を行い、白色粉末状6.4gを得た。
(構成要素[B]以外の熱可塑性樹脂)
・“Virantage(登録商標)”VW−30500RP(ポリスルホン、Solvay Advanced Polymers(株)製)。
・“ULTEM(登録商標)”1010(ポリエーテルイミド、Sabic(株)製)。
<ブロック共重合体>
(構成要素[C]:条件(i)〜(iii)を満たす、ブロック[c1]とブロック[c2]からなるブロック共重合体)
・ブロック共重合体 X1(式(2)で表される構造で連結されてなる、ブロック共重合体)
ブロック[c1]− ブロック[c2]=[PES]−[Si] {ポリ(エーテルスルホン)−block−ポリ(シロキサン)、(ブロック[c1]は式(1)で表す構成単位を100モル%含む、[Si]/[PES]−[Si]ブロック重量分率=0.35、Mw=7,500g/モル、[PES]と[Si]はエーテル結合で連結されてなるブロック共重合体、ブロック[c2]のSP=7.4)}。
攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を取り付けた300mLの三口フラスコに、“Virantage(登録商標)”VW−10700RP(ポリエーテルスルホン、Solvay Advanced Polymers(株)製)“5.0gに対し、KF−2201(フェノール変性シリコーン、信越化学工業(株)製)10.0g、脱水ジメチルスルホキシド(脱水DMSO)120ml、脱水トルエン30ml、無水炭酸カリウム2.3gを秤量した。脱水DMSO/脱水トルエン反応溶液を攪拌しながら反応温度を150℃にまで上昇させ、反応時間3時間でフェノール性水酸基の求核置換反応を終了した。反応溶液を500mlのメタノールに投下し、析出固体を粉砕、500mlの水で2回洗浄した。130℃で真空乾燥を行い、白色粉末状2.7gを得た。
・ブロック共重合体 X2(式(2)で表される構造で連結されてなる、ブロック共重合体)
ブロック[c1]− ブロック[c2]=[PES]−[Si] {ポリ(エーテルスルホン)−block−ポリ(シロキサン)、(ブロック[c1]は式(1)で表す構成単位を100モル%含む、[Si]/[PES]−[Si]ブロック重量分率=0.3、Mw=9,000g/モル、[PES]と[Si]はエーテル結合で連結されてなるブロック共重合体、ブロック[c2]のSP=7.4)}。
攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を取り付けた300mLの三口フラスコに、“Virantage(登録商標)”VW−10700RP(ポリエーテルスルホン、Solvay Advanced Polymers(株)製)“5.0gに対し、BY16−752A (フェノール変性シリコーン、東レ・ダウコーニング(株)製)8.2g、脱水ジメチルスルホキシド(脱水DMSO)120ml、脱水トルエン30ml、無水炭酸カリウム2.5gを秤量した。脱水DMSO/脱水トルエン反応溶液を攪拌しながら反応温度を150℃にまで上昇させ、反応時間4時間でフェノール性水酸基の求核置換反応を終了した。反応溶液を500mlのメタノールに投下し、析出固体を粉砕、500mlの水で2回洗浄した。130℃で真空乾燥を行い、白色粉末状2.5gを得た。
・ブロック共重合体 X3(式(3)で表される構造で連結されてなる、ブロック共重合体)
ブロック[c1]− ブロック[c2]=[PES]−[Si] {ポリ(エーテルスルホン)−block−ポリ(シロキサン)、(ブロック[c1]は式(1)で表す構成単位を100モル%含む、[Si]/[PES]−[Si]ブロック重量分率=0.2、Mw=10,000g/モル、[PES]と[Si]はエーテル結合で連結されてなるブロック共重合体、ブロック[c2]のSP=7.4)}。
30mLのオートクレーブの中に、P2(ポリエーテルスルホン)0.3gと、X−22−163B(エポキシ変性シリコーン、信越化学工業(株)製)1.4g、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)15mlを加えた。99体積%以上の窒素置換を行った後、攪拌しながら反応温度を150℃にまで上昇させ、反応時間12時間でフェノール性水酸基の求核置換反応を終了した。反応溶液を100mlのメタノールに投下し、析出固体を粉砕、100mlの水で2回洗浄した。130℃で真空乾燥を行い、白色粉末状0.26gを得た。
(構成要素[C]以外のブロック共重合体)
・ブロック共重合体 Y1
[MMA]−[BA]{ポリ(メタクリル酸メチル)−block−ポリ(ブチルアクリレート)、([MMA]はメタクリル酸メチルと極性アクリル系モノマーのランダム共重合鎖からなり、[MMA]と[BA]はC−C結合で連結されてなるブロック共重合体、[BA]のSP=10)}。
国際公開第2006/077153号によるMBuAM−2の記載に従って合成した。
・ブロック共重合体 Y2
[PEI]−[Si] {ポリ(エーテルイミド)−block−ポリ(シロキサン)、[PEI]と[Si]はイミド結合で連結されてなるブロック共重合体、[Si]のSP=7.4)}
特開平7−278412号公報による実施例1の記載に従って合成した。
・ブロック共重合体 Y3
[PSU]−[Si] {ポリ(スルホン)−block−ポリ(シロキサン)、([[PSU]と[Si]はC−N結合で連結されてなるブロック共重合体、[Si]のSP=7.4)}
“Journal of Applied Polymer Science ”、119巻、p.2933(2011年)の、Di Hu,Sixun Zhengによる“Morphology and Thermomechanical Properties of Epoxy Thermosets Modified with Polysulfone―Block−Polydimethylsiloxane Multiblock Copolymer” の記載に従って合成した。
<その他の成分>
・粒子1(“グリルアミド(登録商標)”TR55を原料として作製した熱可塑性樹脂粒子)
(粒子1の製造方法:国際公開第2009/142231号を参考とした。)
100mlの4口フラスコの中に、ポリマーAとして非晶ポリアミド(Mw=18,000g/モル、エムザベルケ社製“グリルアミド(登録商標)”TR55)2.5g、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン 42.5g、ポリマーBとしてポリビニルアルコール 5g(日本合成化学工業株式会社“ゴーセノール(登録商標)”GL−05)を加え、80℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで攪拌を行った。系の温度を室温に戻した後に、450rpmで攪拌しながら、貧溶媒として50gのイオン交換水を、送液ポンプを経由し、0.41g/分のスピードで滴下を行った。12gのイオン交換水を加えた時点で、系が白色に変化した。全量の水を入れ終わった後に、30分間攪拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水100gで洗浄し、80℃ 10時間真空乾燥を行い、白色固体2.2gを得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、平均粒子径16.1μmのポリアミド微粒子であった。
<構成要素[D]:エポキシ樹脂硬化剤>
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、三井化学ファイン(株)製)
・セイカキュア−S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、和歌山精化(株)製)
(1)エポキシ樹脂組成物の調製
ニーダー中に、エポキシ樹脂硬化剤および硬化促進剤以外の成分を所定量加え、混練しつつ、160℃まで昇温し、160℃、1時間混練することで、透明な粘調液を得た。混練しつつ80℃まで降温させた後、エポキシ樹脂硬化剤および硬化促進剤を所定量添加え、さらに混練し、エポキシ樹脂組成物を得た。
(2)エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率測定
上記(1)で調製したエポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中に注入した。180℃の温度で2時間硬化させ、厚さ2mmのエポキシ樹脂硬化物を得た。次に、得られたエポキシ樹脂硬化物の板から、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、スパン間32mmの3点曲げを測定し、JIS K7171−1994に従い、曲げ弾性率を求めた。
(3)エポキシ樹脂硬化物の靱性(KIC)測定
上記(1)で調製したエポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、6mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み6mmになるように設定したモールド中で、180℃の温度で2時間硬化させ、厚さ6mmのエポキシ樹脂硬化物を得た。このエポキシ樹脂硬化物を12.7×150mmのサイズにカットし、試験片を得た。インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、ASTM D5045(1999)に従って試験片の加工および実験をおこなった。試験片への初期の予亀裂の導入は、液体窒素温度まで冷やした剃刀の刃を試験片にあてハンマーで剃刀に衝撃を加えることで行った。ここでいう、エポキシ樹脂硬化物の靱性とは、変形モードI(開口型)の臨界応力拡大係数のことを指している。
(4)エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度測定
上記(2)で作製したエポキシ樹脂硬化物の板から、エポキシ樹脂硬化物を7mg取り出し、TAインスツルメンツ社製DSC2910(型番)を用いて、30℃〜350℃の温度範囲を昇温速度10℃/分にて、測定を行い、JIS K7121−1987に基づいて求めた中間点温度をガラス転移温度Tgとし、耐熱性を評価した。
(5)エポキシ樹脂硬化物の相分離構造の大きさ(構造周期または島相の径)の測定
上記(1)で調製したエポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡し、30℃〜180℃までの温度領域を1.5℃/分の速度で昇温させた後、180℃の温度で2時間硬化させたエポキシ樹脂硬化物を得た。エポキシ樹脂硬化物を染色後、薄切片化し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて下記の条件で透過電子像を取得した。染色剤は、モルホロジーに十分なコントラストが付くよう、OsOとRuOを樹脂組成に応じて使い分けた。
・装置:H−7100透過型電子顕微鏡(日立(株)製)
・加速電圧:100kV
・倍率:10,000倍。
これにより、構成要素[A]のエポキシ樹脂を主成分とする相と構成要素[C]のブロック共重合体を主成分とする相の相分離構造の大きさ(構造周期または島相の径)を観察した。構成要素[A]と構成要素[C]の種類や比率により、エポキシ樹脂硬化物の相分離構造は、連続構造や海島構造、あるいはその両方を形成するのでそれぞれについて以下のように測定した。以下、構成要素[C]を主成分とする相の相分離構造の大きさを測定する場合を例に説明するが、他の構成要素を主成分とする相について測定する場合も同様である。
構成要素[C]が連続構造を形成する場合、顕微鏡写真の上に所定の長さの直線を引き、その直線のうち、構成要素[C]を主成分とする相を通る部分の長さの数平均値を構造周期とした。所定の長さとは、顕微鏡写真を基に以下のようにして設定した。構造周期が0.01μmオーダー(10nm以上100nm未満)と予想される場合、倍率を20,000倍で写真撮影し、写真上でランダムに20mmの長さ(サンプル上1μmの長さ)3本を選出した。同様にして、構造周期が0.1μmオーダー(100nm以上1μm未満)と予想される場合、倍率を2,000倍で写真撮影し、写真上でランダムに20mmの長さ(サンプル上10μmの長さ)3本を選出した。構造周期が1μmオーダー(1μm以上10μm未満)と予想される場合、倍率を200倍で写真撮影し、写真上でランダムに20mmの長さ(サンプル上100μmの長さ)3本を選出した。もし、測定した構造周期が予想したオーダーより外れていた場合、該当するオーダーに対応する倍率にて対応する長さを再度測定し、これを採用した。
また、構成要素[C]が海島構造を形成する場合、所定の領域内に存在する全ての構成要素[C]を主成分とする島相の長径を測定し、これらの数平均値を島相の径とした。ここで所定の領域とは、得られた像から島相の径が0.01μm未満または0.01μmオーダー(10nm以上100nm未満)と予想される場合、倍率を20,000倍で写真撮影し、写真上でランダムに20mm四方の領域(サンプル上1μm四方の領域)3箇所を選出した。同様にして、島相の径が0.1μmオーダー(100nm以上1μm未満)と予想される場合、倍率を2,000倍で写真撮影し、写真上でランダムに20mm四方の領域(サンプル上10μm四方の領域)3箇所を選出した。島相の径が1μmオーダー(1μm以上10μm未満)と予想される場合、倍率を200倍で写真撮影し、写真上でランダムに20mm四方の領域(サンプル上100μm四方の領域)3箇所を選出した。もし、測定した島相の径が予想したオーダーより外れていた場合、該当するオーダーに対応する倍率にて対応する領域を再度測定し、これを採用した。
(6)エポキシ樹脂硬化物のモルホロジー変動
上記(1)で調製したエポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡し、30℃〜180℃までの温度領域を1.5℃/分、5℃/分の速度で各々昇温させた後、180℃の温度で2時間硬化させ、成形条件の異なるエポキシ樹脂硬化物を得た。上記(5)の方法で透過型電子像を取得し、相分離構造の大きさを求め、次式にて相分離構造の大きさの変動幅を算出した。なお、多成分が相分離した場合、相分離構造の大きさが大きい相を測定し、これを採用した。
変動幅(%)={(5℃/min.昇温成形時の相分離構造の大きさ)/(1.5℃/min.昇温成形時の相分離構造の大きさ)−1)}×100。
(7)プリプレグの作製
エポキシ樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。次に、シート状に一方向に配列させた東レ(株)製、炭素繊維“トレカ(登録商標)”T800G−24K−31Eに、樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧により樹脂を炭素繊維に含浸させ、炭素繊維の目付が190g/m、マトリックス樹脂の質量分率が35.5%の一方向プリプレグを得た。その際、熱可塑性樹脂粒子を配合したエポキシ樹脂組成物を使用する場合は以下の2段含浸法を適用し、熱可塑性樹脂粒子が表層に高度に局在化したプリプレグを作製した。
まず、熱可塑性樹脂粒子を含まない1次プリプレグを作製した。表1、2に記載の原料成分の内、エポキシ樹脂に不溶な熱可塑性樹脂粒子を含まないエポキシ樹脂組成物を上記(1)の手順で調製した。この1次プリプレグ用エポキシ樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して、通常の60質量%の目付となる30g/mの1次プリプレグ用樹脂フィルムを作製した。次に、シート状に一方向に配列させた東レ(株)製、炭素繊維“トレカ(登録商標)”T800G−24K−31Eに、この1次プリプレグ用樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね合せてヒートロールを用い、温度100℃、気圧1気圧で加熱加圧しながら、樹脂を炭素繊維に含浸させ、1次プリプレグを得た。
さらに、2段含浸用樹脂フィルムを作製するために、ニーダーを用いて、表1、2に記載の原料成分の内、エポキシ樹脂に不溶な熱可塑性樹脂粒子を記載量の2.5倍としたエポキシ樹脂組成物を上記(1)の手順で調製した。この2段含浸用エポキシ樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して、通常の40質量%の目付となる20g/mの2段含浸用樹脂フィルムを作製した。これを1次プリプレグの両面から重ね合せてヒートロールを用い、温度80℃、気圧1気圧で加熱加圧することで、熱可塑性樹脂粒子が表層に高度に局在化したプリプレグを得た。
(8)繊維強化複合材料の90°曲げ強度の評価方法
上記(7)の方法で作製した一方向積層板を、厚み2mm、幅15mm、長さ60mmとなるように切り出した。インストロン万能試験機(インストロン社製)を用いJIS K7074(1988)に従って3点曲げを実施した。スパンを40mm、クロスヘッドスピードを1.0mm/分、厚子径10mm、支点径4.0mmで測定を行い、90°曲げ強度を測定した。サンプル数n=6で測定した値の平均値を90°曲げ強度の値とした。
(実施例1)
混練装置で、60質量部の“jER(登録商標)”630(トリグリシジルアミノフェノール、三菱化学(株)製)、40質量部の“エピクロン(登録商標)”830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DIC(株)製)、55質量部の“Virantage(登録商標)”VW−10700RP(ポリエーテルスルホン、Solvay Advanced Polymers(株)製)、10質量部のブロック共重合体X1を混練した後、構成要素[D]のエポキシ樹脂硬化剤である3,3’−DASを55質量部混練して、エポキシ樹脂組成物を作製した。表1に、組成と割合を示す(表1中、数字は質量部を表す)。得られたエポキシ樹脂組成物について、上記の(2)エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率、(3)エポキシ樹脂硬化物の靱性(KIC)、(4)エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度、(5)エポキシ樹脂硬化物の相分離構造の大きさ、(6)エポキシ樹脂硬化物のモルホロジー変動、(8)繊維強化複合材料の90°曲げ強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2〜10)
エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂、ブロック共重合体、その他の成分、エポキシ樹脂硬化剤および配合量を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製した。得られたエポキシ樹脂組成物について、(2)エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率、(3)エポキシ樹脂硬化物の靱性(KIC)、(4)エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度、(5)エポキシ樹脂硬化物の相分離構造の大きさ、(6)エポキシ樹脂硬化物のモルホロジー変動、(8)繊維強化複合材料の90°曲げ強度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2018131580
実施例1〜10で得られたエポキシ樹脂硬化物は、構成要素[A]、構成要素[B]、構成要素[D]が相分離することなく均一相を形成し、そこに構成要素[C]を主成分とする相が0.01〜0.5μmの相分離構造を有するものであり、力学特性は良好であった。また、成形条件による相分離構造の変動は小さく、安定した力学特性を発現できる材料であることがわかった。さらに、繊維強化複合材料の曲げ強度を損なうことなく、優れた接着性が十分に確保できることが明らかとなった。
(比較例1)
構成要素[C]の要件を含まないこと以外は、実施例4と同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製した。得られたエポキシ樹脂組成物について、上記の(2)エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率、(3)エポキシ樹脂硬化物の靱性(KIC)、(4)エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度、(5)エポキシ樹脂硬化物の相分離構造の大きさ、(6)エポキシ樹脂硬化物のモルホロジー変動、(8)繊維強化複合材料の90°曲げ強度を測定した。表2に結果を示すとおり、得られたエポキシ樹脂硬化物はすべての成分がエポキシ樹脂相に均一に相溶しており、靭性は不十分なものとなった。
Figure 2018131580
(比較例2)
構成要素[B]の要件を満たさないこと以外は、実施例4と同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製した。比較例2では得られたエポキシ樹脂硬化物の靭性は不十分なものとなった。構成要素[B]含有量の範囲に満たない場合、エポキシ樹脂相の靭性が脆いままであり、構成要素[C]を含有させても靭性向上の効果は不足する傾向を示している。
(比較例3)
構成要素[B]の要件を満たさないこと以外は、実施例4と同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製したが、増粘によりプロセス性が悪化し、エポキシ樹脂硬化物を得ることができなかった。
(比較例4)
比較例4は特許文献1(特開昭61−228016号公報)の実施例7と同等の樹脂組成である。比較例4では、構成要素[B]の代わりにポリスルホンを用いたことで、ミクロンサイズの相分離が形成し高い靭性が発現したが、成形条件によるモルホロジー変動が見られた。さらに、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性が低下し、繊維強化複合材料の接着性が不十分なものとなった。
(比較例5)
比較例5は特許文献2(国際公開第2006/077153号)の実施例3と同等の樹脂組成である。比較例5では、ゴム成分の配合に由来し、エポキシ樹脂硬化物の弾性率が低下した。
(比較例6)
比較例6は特許文献3(特開平7−278412号公報)の実施例1と同等の樹脂組成である。比較例6では、ミクロンサイズの熱可塑性樹脂を由来とする連続相内にゴム相が分散した相分離構造が得られたが、該構造は成形条件の依存性が大きく、相構造の安定化は得られなかった。さらに、相分離した界面での接着性が悪化し、繊維強化複合材料の接着性が不十分なものとなった。
(比較例7)
比較例7は “Journal of Applied Polymer Science ”、119巻、p.2933(2011年)の、Di Hu,Sixun Zhengによる“Morphology and Thermomechanical Properties of Epoxy Thermosets Modified with Polysulfone―Block−Polydimethylsiloxane Multiblock Copolymer”に記載のある樹脂組成と同等のものである。比較例7では、得られたエポキシ樹脂硬化物の靭性は不十分なものとなった。また、エポキシ樹脂硬化物の弾性率や耐熱性は不足しており、繊維強化複合材料の接着性も不十分なものとなった。
本発明によれば、広い成形条件幅で微細な相分離構造を安定して形成し、優れた耐熱性、弾性率、靭性を有するエポキシ樹脂硬化物を安定して与えるエポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化物、およびプリプレグ、接着性に優れる繊維強化複合材料を得られるために、特に構造材料に好適に用いられる。例えば、航空宇宙用途では主翼、尾翼およびフロアビーム等の航空機一次構造材用途、フラップ、エルロン、カウル、フェアリングおよび内装材等の二次構造材用途、ロケットモーターケースおよび人工衛星構造材用途等に好適に用いられる。また一般産業用途では、自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、各種タービン、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、補強筋、および補修補強材料等の土木・建築材料用途等に好適に用いられる。さらにスポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニス、バトミントンおよびスカッシュ等のラケット用途、ホッケー等のスティック用途、およびスキーポール用途等に好適に用いられる。
また、本発明のブロック共重合体は、耐熱性と靭性に優れることから、各種用途で好適に用いられる。例えば、繊維強化複合材料用マトリックス樹脂の強化材、電子材料、塗料、接着剤等の用途に好適に用いられる。

Claims (14)

  1. 少なくとも次の構成要素[A]〜[D]を含み、エポキシ樹脂組成物の総量100質量%に対して構成要素[B]を16〜50質量%含むエポキシ樹脂組成物。
    [A]エポキシ樹脂
    [B]式(1)で表す構成単位を80モル%以上含み、かつエポキシ樹脂に溶解し得る熱可塑性樹脂
    Figure 2018131580
    [C]次の条件(i)〜(iii)をすべて満たす、ブロック[c1]とブロック[c2]からなるブロック共重合体
    (i)ブロック[c1]は上記式(1)で表す構成単位を80モル%以上含む
    (ii)ブロック[c2]は溶解性パラメータ(SP値)が10(cal/cm1/2以下である
    (iii)ブロック[c1]とブロック[c2]がエーテル結合で連結されてなる
    [D]エポキシ樹脂硬化剤
  2. 構成要素[B]がポリエーテルスルホンである、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 構成要素[C]は、ブロック[c1]がポリエーテルスルホンであり、ブロック[c2]がポリシロキサンであるブロック共重合体である、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 構成要素[A]がアミン型エポキシ樹脂を含み、その含有量が構成要素[A]の総量100質量部に対して50質量部を超える、請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸させてなる、プリプレグ。
  6. 強化繊維が炭素繊維である、請求項5に記載のプリプレグ。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる、エポキシ樹脂硬化物。
  8. 構成要素[C]を主成分とする相分離構造の大きさが0.01〜0.5μmの範囲にある、請求項7に記載のエポキシ樹脂硬化物。
  9. 請求項5または6に記載のプリプレグを硬化させてなる、繊維強化複合材料。
  10. 請求項7または8に記載のエポキシ樹脂硬化物と強化繊維を含んでなる、繊維強化複合材料。
  11. 次の条件(i)〜(iii)をすべて満たす、ブロック[c1]とブロック[c2]からなるブロック共重合体。
    (i)ブロック[c1]は式(1)で表す構成単位を80モル%以上含む
    Figure 2018131580
    (ii)ブロック[c2]は溶解性パラメータ(SP値)が10(cal/cm1/2以下である
    (iii)ブロック[c1]とブロック[c2]がエーテル結合で連結されてなる
  12. ブロック[c1]がポリエーテルスルホンであり、ブロック[c2]がシロキサン結合を含む、請求項11に記載のブロック共重合体 。
  13. ブロック[c1]とブロック[c2]が、式(2)または式(3)で表される構造で連結されてなる、請求項11または12に記載のブロック共重合体 。
    Figure 2018131580
    Figure 2018131580
  14. 請求項11〜13のいずれかに記載のブロック共重合体を製造する方法であって、フェノール性水酸基の求核置換反応でブロック共重合体を得る、ブロック共重合体の製造方法。
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