JPWO2017047275A1 - X線ct装置及びx線ct装置における焦点位置制御方法 - Google Patents

X線ct装置及びx線ct装置における焦点位置制御方法 Download PDF

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Abstract

熱に起因するX線焦点移動が生じた場合であっても、X線焦点位置を適切に検出するために、X線管装置101からのX線が通る細孔が形成されるスリット部材110と、X線の焦点の位置を検出する焦点位置計測用検出器111と、制御部108とを有し、焦点位置計測用検出器111は、複数の検出領域111a、111bに入射するX線量を前記検出領域ごとに検出し、制御部108は、複数の検出領域111a、111bの検出値を対比することで、X線の焦点の基準位置に対するX線の焦点位置の変位量を求め、スリット部材110と焦点位置計測用検出器111における検出領域111a、111bとの相対位置を変更する。

Description

本発明は、X線の焦点位置の変化を補正するX線CT(Computed Tomography)装置及びこれを用いた焦点位置制御方法に関する。
X線CT装置とは、被検体にX線を照射するX線源と、被検体を透過したX線量を投影データとして検出するX線検出器と、を被検体の周囲で回転させることにより得られる複数角度からの投影データを用いて被検体の断層画像を再構成し、再構成された断層画像を表示するものである。X線CT装置で表示される画像は、被検体の中の臓器の形状を描写するものであり、画像診断に使用される。特に近年、医療の現場において、回転駆動の高速化や、回転軸方向へのX線検出器の多段化が進んでいる。これにより心臓などの動く臓器全体にボケを生じさせることなく撮影できるようになってきた。
X線CT装置でX線源として使用されるX線管は、フィラメントで発生した熱電子を高圧にて加速すると共に、焦点に収束して回転陽極ターゲットに衝突させてX線を発生する。このとき熱電子のエネルギーの一部はX線に変換されるが、殆どは熱に変換されるため、焦点は高温になる。この熱により、X線ターゲットを支持する回転軸などは、温度が上昇して伸び縮み(以降、熱伸びと記す)を生じ、焦点位置が変化する。その後、発生した熱は放射や冷却器によって外部に導かれるために、X線ターゲットの回転軸などは温度が下がって縮みを生じ、再び焦点の位置が変化する。
多くのX線CT装置では、X線ターゲット回転軸などの熱伸びによる焦点位置移動が生じると、回転軸方向であるスライス方向にX線照射範囲が変化する。このような熱伸びは、再構成像におけるアーチファクトの発生や定量性の低下などの画質劣化の原因となる場合がある。
このような焦点移動によるX線照射範囲の変動による画像への影響を防ぐため、例えば特許文献1で提案されているように、焦点位置の変化を補正するX線撮像装置及びX線撮像装置のX線焦点位置変化量を推定し、この推定値に基づいてX線管装置やX線検出器を移動させる方法がある。この手法によれば、温度の伝わり方の異なる複数の熱伸び要因によってX線焦点移動が生じる場合にも、X線の照射領域とX線検出手段との相対位置を補正することができる。
国際公開第2012/043199号
しかしながら、特許文献1のようにX線管装置やX線検出器を移動させることは、これらの重量が重いことや、X線管装置が搭載される回転盤の回転速度を考慮すると、回転盤の遠心力に耐えられ、且つ位置を調整可能な機構を備え付ける必要があり、容易ではない。
また、特許文献1のような調整方法は、X線を実際に照射して焦点位置を確認し、X線管装置等の位置をずらすという手順を複数回繰り返して、任意の焦点位置を確保する必要があるが、作業回数が多く、作業時間がかかり、1回の調整に多くの手間がかかるといった問題もある。
さらに、特許文献1では、X線焦点位置を検出して、X線焦点位置を算出し、これをもとにX線管の照射口付近に備わるコリメータを移動制御しているが、これはX線照射範囲を調整することになるものの、X線焦点位置を調整するものではないため、特に、照射範囲の端部の画質が劣化してしまうという課題があった。
本発明の目的は、熱に起因するX線焦点移動が生じた場合であっても、X線焦点位置を精度よく検出しこの検出結果を用いることで、焦点移動に起因する画質劣化を防止できるX線CT装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明のX線撮像装置は、X線を照射するX線発生部と、X線発生部からのX線が通る細孔が形成される開口部材と、X線の焦点の位置を移動させるX線焦点偏向部と、並べて配置された複数の検出領域を備える焦点位置検出部と、焦点位置制御部と、を有する。焦点位置検出部は、開口部材を通過して複数の検出領域に入射するX線量を検出領域ごとに検出する。焦点位置制御部は、焦点位置検出部の複数の検出領域の検出値を対比することで基準位置に対する焦点の変位量を検出し、検出される変位量が打ち消されるように開口部材と検出領域との相対位置を変更する。
本発明によれば、熱に起因するX線焦点移動が生じた場合であっても、X線焦点位置を精度よく検出しこの検出結果を用いることで、焦点移動に起因する画質劣化を防止することができる。
第1実施形態のX線CT装置の概略構成を示す図 (a)第1の実施形態の焦点位置計測用検出器の上面図、(b)スリット部材の上面図、(c)焦点位置計測用検出器とスリット部材を組み合わせた構成の上面図 第1実施形態の焦点位置計測用検出器及びその周辺の構造を示す概略図 焦点が移動した場合の第1実施形態の焦点位置計測用検出器の検出状態を示す図 第1実施形態のX線CT装置でFFS技術を用いる場合の焦点位置を説明する図 第1実施形態における焦点位置計測制御を説明するフローチャート 第2実施形態のX線撮像装置の概略構成を示す図 第2実施形態の焦点位置計測用検出器及びその周辺の構造を示す概略図 焦点が移動した場合の第2実施形態の焦点位置計測用検出器の検出状態を示す図 第2実施形態のX線CT装置でFFS技術を用いる場合の第一焦点位置を説明する図 第2実施形態のX線CT装置でFFS技術を用いる場合の第二焦点位置を説明する図 第2実施形態における焦点位置計測制御を説明するフローチャート
本発明に係るX線CT装置は、X線を照射するX線発生部と、前記X線発生部からのX線が通る細孔が形成される開口部材と、前記X線の焦点の位置を移動させるX線焦点偏向部と、並べて配置された複数の検出領域を備える焦点位置検出部と、焦点位置制御部と、を有し、前記焦点位置検出部は、前記開口部材を通過して前記複数の検出領域に入射するX線量を前記検出領域ごとに検出し、前記焦点位置制御部は、前記焦点位置検出部の複数の前記検出領域の検出値を対比することで基準位置に対する前記焦点の変位量を検出し、検出される前記変位量が打ち消されるように前記開口部材と前記検出領域との相対位置を変更することを特徴とする。
また、前記開口部材は、前記開口部材を移動させるための開口部材駆動部が接続され、前記焦点位置制御部は、検出される前記変位量が打ち消されるように、前記開口部材駆動部を用いて、前記開口部材を前記検出領域に対して移動させることを特徴とする。
また、前記焦点位置検出部は、前記検出領域の数よりも多い、複数の検出素子を備え、前記焦点位置制御部は、前記検出領域毎に複数の前記検出素子を1以上選択することにより複数の前記検出領域を設定することを特徴とする。
また、前記焦点位置制御部は、設定した前記検出領域を構成する前記検出素子の出力を加算することにより、前記検出領域の前記検出値を求めることを特徴とする。
また、前記焦点位置制御部は、検出される前記変位量が打ち消されるように、選択する前記検出素子を変更して前記複数の検出領域間の境界部を移動させることにより、前記開口部材と前記検出領域との相対位置を変更することを特徴とする。
また、前記焦点位置制御部は、前記焦点位置の前記変位量を打ち消すように、前記X線焦点偏向部を用いて前記焦点を移動させることを特徴とする。
また、前記焦点位置制御部は、撮影の際、前記X線焦点偏向部を用いて複数の焦点位置から交互にX線を照射することを特徴とする。
また、前記複数の検出領域は、前記複数の焦点位置のうち第一焦点位置から照射されたX線を検出する位置に配置され、前記焦点位置制御部は、前記第一焦点位置の基準位置に対する前記焦点位置の変位量を検出し、前記開口部材と前記検出領域との相対位置を変更することを特徴とする。
また、前記焦点位置制御部は、前記第一焦点位置について検出した前記変位量に基づいて、前記複数の焦点位置を移動させることを特徴とする。
また、前記焦点位置制御部は、撮影の際、前記X線焦点偏向部を用いて複数の焦点位置から交互にX線を照射し、前記焦点位置制御部は、前記複数の焦点位置ごとに、それぞれ前記複数の検出領域をそれぞれ形成することにより、前記複数の焦点位置ごとに前記基準位置に対する前記変位量を検出することを特徴とする。
また、本発明に係るX線CT装置における焦点位置制御方法は、X線を照射するX線発生部と、前記X線発生部からのX線が通る細孔を備える開口部材と、前記X線の焦点の位置を移動させるX線焦点偏向部と、並べて配置された複数の検出領域を備える焦点位置検出部と、焦点位置制御部と、を有するX線CT装置における焦点位置制御方法であって、前記X線発生部によりX線を発生させるステップと、前記X線焦点偏向部によりX線の焦点を基準位置に移動するステップと、前記細孔を通過したX線を、前記複数の検出領域により検出するステップと、複数の前記検出領域の検出値を対比することで前記基準位置に対する前記焦点の変位量を検出するステップと、検出される前記変位量が打ち消されるように前記開口部材を前記検出領域に対して相対的に移動するステップと、を有することを特徴とする。
また、X線を照射するX線発生部と、前記X線発生部からのX線が通る細孔を備える開口部材と、前記X線の焦点の位置を移動させるX線焦点偏向部と、複数の検出素子を備える焦点位置検出部と、焦点位置制御部と、を有するX線CT装置における焦点位置制御方法であって、前記X線発生部によりX線を発生させるステップと、前記X線焦点偏向部によりX線の焦点を基準位置に移動するステップと、前記細孔を通過したX線を、前記複数の検出素子により検出するステップと、複数の前記検出素子を1以上選択することにより、複数の検出領域をそれぞれ設定し、複数の前記検出領域の検出値を対比することで前記基準位置に対する前記焦点の変位量を検出するステップと、検出される前記変位量が打ち消されるように、選択する前記検出素子を変更して前記複数の検出領域間の境界部を移動させるステップと、を有することを特徴とする。
以下、添付図面に従って本発明に係る本発明に係るX線CT装置及びX線CT装置における焦点位置制御方法の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
〔第1実施形態〕
以下、第1実施形態のX線CT装置1について図面を参照して説明する。まずは、X線CT装置1の概略構成を説明する。図1は、第1実施形態のX線撮像装置の概略構成を示す図である。図1に示すように、X線CT装置1は、スキャンガントリ部100と、スキャンガントリ部100を操作するための操作卓120とを有する。
スキャンガントリ部100には、回転円盤102を備え、回転円盤102の中央には開口部104が形成されている。開口部104内には、寝台105が配置され、被検体Hが載置される。回転円盤102は、被検体Hの周囲を回転する。回転円盤102には、被検体HにX線を照射する照射部と、被検体Hを通過したX線を検出する検出部とが、被検体Hを挟んで対向する位置に配置される。
被検体HにX線を照射する照射部は、X線を発生させるX線管装置101と、X線管装置101におけるX線発生源の焦点位置を偏向させるX線焦点偏向部112と、X線焦点偏向部112で偏向されたX線の放射範囲を制限するコリメータ103を有する。X線焦点偏向部112としては、磁界によってX線管装置101の電子ビームを偏向させる機構等、公知のX線焦点偏向機構を用いる。
また、X線管装置101のX線発生源の焦点位置を計測するための焦点計測部が、被検体HへのX線照射の妨げにならない位置に配置されている。焦点計測部は、X線管装置101から照射されるX線の照射範囲を制限する焦点位置計測用のスリット部材110(開口部材)と、スリット部材110を通過したX線を検出する焦点位置計測用検出器111(焦点位置検出部)と、を有する。第1実施形態のスリット部材110は、モータ等の駆動部110M(開口部材駆動部)を有する。スリット部材110は、駆動部110Mによって駆動されることで、X線管装置101に対する相対位置を変えることができる。
スキャンガントリ部100の制御は、制御部108にて行う。制御部108は、回転円盤102の回転を制御するとともに、X線管装置101に供給される電力を制御する。また、制御部108は、焦点位置計測部のスリット部材110のスリット位置の制御を行う。さらに、制御部108は、X線焦点偏向部112に対して、偏向量や周期などを設定する信号を出力する。
被検体Hを通過したX線を検出する検出部は、X線管装置101(X線発生部)と対向配置され被検体Hを透過したX線を検出するX線検出器106と、X線検出器106で検出されたX線量をデジタルデータとして収集する信号収集部107とを有する。X線検出器106は、図1では8個のみ示されているが、多数のX線検出素子が回転円盤102の回転方向(チャネル方向130)に配置されている。また、検出素子は、回転方向と回転軸方向(スライス方向131)に2次元に配列されていてもよい。
操作卓120は、入力部121と、中央処理部122と、表示部125と、を備える。
入力部121は、被検体氏名、検査日時、撮影条件などを入力するための装置であり、具体的にはキーボードやポインティングデバイスである。中央処理部122は、信号収集部107から送出される計測データを演算処理してCT画像の再構成を行うとともに、制御部108を制御する。表示部125は、中央処理部122で作成されたCT画像を表示する装置であり、具体的にはCRT(Cathode-Ray Tube)や液晶ディスプレイ等である。
図2(a)は、焦点位置計測用検出器111の上面図であり、図2(b)は、スリット部材110の上面図であり、図2(c)がこれらを組み合わせた場合の上面図である。なお、焦点位置計測用検出器111及びスリット部材110の構成は例示であってこれらに限られるものではない。
図2(a)に示すように、焦点位置計測用検出器111は、複数の検出領域、例えば2つの第一検出領域111a、第二検出領域111bを有する。複数の検出領域は、境界線DLによって分かれている。第一および第二検出領域111a,111bにそれぞれ入射したX線量に対応する電気信号は、コネクタ111cから出力される。出力された信号は、制御部108に受け渡される。
図2(b)に示すように、本実施形態のスリット部材110は、形成された細孔(スリット)を長方形状としているが、この形状に限るものではなく、ピンホールのようなごく微小な径を持つ細孔としてもよい。スリット部材110の材質としては、例えばタングステン、モリブデン、鉛、真鍮のように、X線の吸収量が大きい性質を持つ金属であることが好ましい。
スリット部材110と焦点位置計測用検出器111との位置関係は次のとおりである。
すなわち、X線の焦点位置から見ると、図2(c)に示すように、スリット部材110は、焦点位置計測用検出器111の検出領域である第一検出領域111a及び第二検出領域111bの一部に重なるように配置される。そして、スリット部材110の細孔の内側領域に、第一検出領域111a及び第二検出領域111bの一部が位置するように配置される。
図3は、第1実施形態の焦点位置計測用検出器111及びその周辺の構造を示す概略図である。焦点位置計測用検出器111は、スリット部材110に対して所定の間隔(m2)をあけて配設される。焦点位置計測用検出器111は、X線検出用の多数の検出素子の集合体である。検出素子としては、例えば、X線を光に変換する蛍光体層50と、蛍光体層50の発した光を検出して電気信号に変換する光検出素子51とを備えて構成されたものを用いる。
図3では、第一検出領域111a、第二検出領域111bのそれぞれにおいて、蛍光体層50が連続している例を図示しているが、光検出素子51ごとに蛍光体層50が分割されていてもよい。焦点位置計測検出器111には、検出ユニット300が接続されている。検出ユニット300は、光検出素子51に接続されたAD変換器dと、信号処理回路310とを備えている。光検出素子51は、図3においては説明のため、10個(d1〜d10)のみ表示しているが、実際には10以上であってもよい。
この構成により、焦点位置計測用検出器111がX線の焦点位置を計測する際には、図3に示すように、焦点位置から照射されたX線が、スリット部材110によって照射領域を制限された後、焦点位置計測用検出器111の第一検出領域111a及び第二検出領域111bの一部に入射する。第一検出領域111aの一部に入射したX線は、その領域の蛍光体層50により光に変換され、光検出素子51により電気信号に変換され、A/D変換器d1〜d5によりデジタル信号に変換されて、信号処理回路310に入力される。第二検出領域111bの一部に入射したX線も同様に、蛍光体層50により光に変換され、光検出素子51により電気信号に変換され、A/D変換器d6〜d10によりデジタル信号に変換されて、信号処理回路310に入力される。
ここで、信号処理回路310は、境界線DLによって隔てられた第一検出領域111aの検出値と第二検出領域111bの検出値との差分を算出する等して、両者を対比し、対比した結果を制御部108に出力する。信号処理回路の出力(例えば差分信号の大きさ)は、焦点位置が基準位置Pから変位している変位量に対応している。そのため、信号処理回路の出力に応じて、スリット部材110の位置を移動させ、変位量が打ち消されるように(すなわちゼロになるように)する。
これにより、現在の焦点位置が、境界線DLの真上の位置、すなわち、現在の焦点位置からのX線が、第一検出領域111aと第二検出領域111bとに均等に入射するようにする。このように、常にスリット部材110が、焦点位置の変位に追従するように、スリット部材110の位置を制御部108がフィードバック制御することにより、焦点位置が熱膨張により変位し続けた場合であっても、常に小さな変位量として第一検出領域111aと第二検出領域111bで検出することができる。よって、境界線DLによって隔てられた第一検出領域111aの検出値と第二検出領域111bの検出値によって、熱膨張による焦点位置の変位を精度よく検出することができる。
同時に、制御部108は、信号処理回路310の出力に応じて、X線焦点偏向部112を制御し、X線管装置101の焦点位置を基準位置へ移動させ、変位量が打ち消されるように(すなわちゼロになるように)する。これにより、現在の焦点位置が、基準位置Pに戻るようにフィードバック制御し、熱膨張による焦点位置の変位量を低減させる。
すなわち、第一検出領域111aの検出値と第二検出領域111bの検出値の差は、これらの第一検出領域111a,第二検出領域111bへのX線の入射量が異なることに起因し、入射量の差は、焦点位置計測用検出器111へのX線の入射角が異なるためである。よって、X線焦点偏向部112とスリット部材110との距離m1や、スリット部材110と焦点位置計測用検出器111との距離m2や、スリット部材110の細孔の開口幅W(図2(b)参照)等を考慮して、現在の焦点位置を推定することができる。
現在の焦点位置と基準位置Pとの変位量を打ち消すように、制御部108は、スリット部材110の位置を移動させるとともに、現在の焦点位置を基準位置Pに移動させるように、X線焦点偏向部112を制御する。なお、制御部108は、信号処理回路310の出力(例えば差分信号の大きさ)を用いて、スリット部材110の駆動部110MやX線焦点偏向部112を直接フィードバック制御してもよいし、信号処理回路310の出力(例えば差分信号の大きさ)と予め定めておいた数式を用いて、現在の焦点位置と基準位置Pとの変位量を計算により求め、求めた変位量に応じて、スリット部材110の駆動部110MやX線焦点偏向部112を制御してもよい。
次に、この構成により、スリット部材110と焦点位置計測用検出器111の検出領域との相対位置を変更する動作について具体例を示して説明する。図4は、焦点が移動した場合の第1実施形態の焦点位置計測用検出器111の検出状態を示す図である。例えば、図3に示すような中央の位置を基準位置Pとすると、X線ターゲット回転軸などの熱伸びに起因して、図4のX線の実際の焦点位置Paのように、基準位置Pから若干ずれた位置に焦点が移動する場合がある。基準位置PからX線の実際の焦点位置Paまでの変位量をΔPaとする。
このような場合、焦点位置計測用検出器111の検出ユニット300の検出領域の検出値が変化する。すなわち、図4において、X線の実際の焦点位置Paから出射したX線は、スリット部材110の開口を通過して、焦点位置計測用検出器111の第一検出領域111aと第二検出領域111bに入射する。この場合、第一検出領域111aにおいてX線を検知するのはA/D変換器d5に接続された光検出素子51のみであるのに対し、第二検出領域111bにおいてX線を検知するのはA/D変換器d6及びA/D変換器d7に接続された光検出素子51となる。
このような場合、制御部108が第一検出領域111aと第二検出領域111bの検出値を対比すると、第二検出領域111bにおける検出値の方が第一検出領域111aよりも大きくなっていることがわかる。すると、検知されるX線量の差から、基準位置Pよりも左にずれたX線の実際の焦点位置PaからX線が入射していると推定することができる。
この場合、制御部108は、所定時間(例えば、1ビュー)ごとの次の計測時も精度よくX線の入射量を検出するため、第一検出領域111aでのX線の検出値と第二検出領域111bでのX線の検出値が等しくなるように、スリット部材110と焦点位置計測用検出器111の検出領域との相対位置を補正する。具体的には、制御部108は、スリット部材110を移動させる駆動部110Mに指令を出し、スリット部材110を、第一および第二検出領域111a、111bの主平面に平行に、図4中左方(矢印A1方向)に変位量ΔPaだけ移動させる。
これにより、X線の実際の焦点位置Paから出射しスリット部材110を通過して入射するX線の照射範囲が、第一検出領域111aと第二検出領域111bとの間で均等になり、次の計測時(例えば、1ビュー後)も精度よくX線の入射量を検出することができる。
なお、X線の実際の焦点位置Paの基準位置Pからの変位量ΔPaを制御部108が認識した場合、スリット部材110の位置を移動させるのみならず、制御部108は、変位量ΔPaを打ち消すように、X線焦点偏向部112に指令を出して、X線の実際の焦点位置Paを基準位置Pに移動させる。これにより、熱伸びによって変位した焦点を基準位置等の所望の位置に戻すことができる。
以上の装置構成を基に、X線CT装置1を実際に動作させた例を説明する。以下の例では、第1実施形態のX線CT装置1にFFS技術を用いた場合の適用例を説明する。FFS(Flying Focal Spot)技術は、周知のとおり、X線管内で電界や磁界のエネルギーを用いてX線の焦点を高周波(例えば、1ビューごと)で偏向させる技術である。X線の焦点を短い周期で偏向しつつ撮影(画像取込)することで、1回の撮影で異なる焦点から照射したより高精細のX線画像を得ることができる。
図5は、第1実施形態のX線CT装置1でFFS技術を用いる場合の焦点位置を説明する図である。本例では、X線焦点の基準位置Pからスライス方向131に異なる2点の焦点位置に1ビューごとに切り替える例を示す。具体的には、図5に示すように、基準位置Pから距離h1だけ左方に隔たった第一焦点位置P1と、基準位置Pから距離h2だけ右方に隔たった第二焦点位置P2とを切り替える。
図6は、第1実施形態における焦点位置計測制御の一例を説明するフローチャートである。図5の構造図を参照しつつ、制御の流れを図6に沿って説明する。
X線CT装置1での撮像が開始されてX線の焦点位置を計測する場合、制御部108は、まず、駆動部110Mに指令を送り、スリット部材110を任意の初期位置に配置する(ステップS1)。当該初期位置は、スライス方向131方向において、第一焦点位置P1および第二焦点位置P2の一方からのX線がスリット部材110の細孔を通過するように設定する。なお、本例の場合は、第一焦点位置P1からのX線が通過する位置に配置する。
第一検出領域111aと第二検出領域111bの境界線DLは、第一焦点位置P1に焦点が位置するときに、初期位置のスリット部材110の細孔を通過したX線が、第一検出領域111aと第二検出領域111bに均等に照射されるように設定されている。
スリット部材110を配置した後、X線管装置101からX線の照射を開始する(ステップS2)。
次に、X線の焦点を第一焦点位置P1に配置する(ステップS3)。具体的には、制御部108がX線焦点偏向部112に焦点を偏向させる制御信号を出力し、焦点の位置を基準位置Pよりも左方に距離h1だけ移動させる。
そして、第一焦点位置P1から出射されスリット部材110の細孔を通過したX線を、焦点位置計測用検出器111を用いて検出する(ステップS4)。図5の例では、焦点位置計測用検出器111の検出ユニット300において、第一検出領域111aに照射されたX線を、A/D変換器d7に接続された光検出素子51が検出し、第二検出領域111bに照射されたX線を、A/D変換器d8に接続された光検出素子51が検出している。
ここで、信号処理回路310は、A/D変換器d7とd8の出力の差分を制御部108に出力する。制御部108は、受け取った差分信号により、X線の実際の第一焦点位置P1a(図5参照)と第一焦点位置P1との変位量(第一変位量ΔP1)を算出する(ステップS5)。
算出した第一変位量ΔP1に基づいて、スリット部材110を図5の矢印A1方向に移動する(ステップS6)。これにより、現在のX線の実際の第一焦点位置P1aに焦点が位置するときに、スリット部材110を通過したX線が第一検出領域111aと第二検出領域111bに均等に照射される配置となる。よって、次回のステップS4においてX線の検出を行う際に、制御部108による各検出領域に入射するX線量の対比が容易に行えるため、焦点がX線の実際の第一焦点位置P1aから変位している場合でも、その変位量の変化は微小であるため、焦点位置計測用検出器111によって精度よく検出できるようになる。
スリット部材110の移動後、制御部108は、中央処理部122からの画像取込同期信号を受け取っているか確認する(ステップS8)。ここで、画像取込同期信号を受け取っていない場合には、上記ステップS3に戻り、制御部108は、X線焦点偏向部112を用いて、ステップS5で検出したX線n実際の焦点位置P1aを基準位置である第一焦点位置P1の位置に移動させる制御を行う。この場合、算出した第一変位量ΔP1を用いてX線の実際の第一焦点位置P1aを適正な位置に移動させることができる。
ステップS8において、制御部108が中央処理部122から画像取込同期信号を受け取っていた場合、画像取込同期を行った後(ステップS9)、次のビューの画像取り込みのために、X線の焦点を第二焦点位置P2に移動する(ステップS10)。具体的には、制御部108がX線焦点偏向部112に焦点を偏向する指令を出し、焦点の位置を基準位置Pよりも右方に距離h2だけ移動させる。この際、熱伸びによる影響を考慮して、X線の実際の第二焦点位置P2aは、設定した第二焦点位置P2よりも左方に第二変位量ΔP2だけ変位していると推定することができるため、制御部108は、X線焦点偏向部112を用いて、第二変位量ΔP2を打ち消すように焦点の位置を補正してもよい。
その後、制御部108は、中央処理部122からの画像取込同期信号を受け取っているか確認する(ステップS11)。ここで、画像取込同期信号を受け取っていた場合には、画像取込同期を行った後(ステップS12)、上記ステップS3に戻り、第一焦点位置P1からのX線照射によって画像取込同期を行う。
一方、画像取込同期信号を受け取っていない場合には、中央処理部122からX線照射を完了する信号を受け取っているか否かを確認する(ステップS13)。X線照射を完了する信号を受け取っていた場合には、X線照射を完了し、受け取っていない場合には、上記ステップS3に戻る。
なお、本実施形態では、焦点位置計測用検出器111による焦点位置の計測やスリット部材110の移動を、画像取込同期時間の短縮のため、第一焦点位置P1側のみで実施している。しかしながら、第二焦点位置P2側においても実施することは可能である。この場合、X線焦点位置の精度向上を図ることができる。
以上の構成により、第1実施形態のX線CT装置1によれば、制御部108は、焦点位置計測用検出器111の複数の検出領域(第一検出領域111a、第二検出領域111b)の検出値を対比することで、基準位置Pに対する第一焦点位置P1の変位量ΔP1を推定し、スリット部材110と焦点位置計測用検出器111における検出領域との相対位置を変更する。
この構成により、スリット部材110の細孔を通過したX線を、焦点位置計測用検出器111の所望の領域で検出することができるため、焦点位置計測用検出器111の検知精度が高い領域でX線を検知することができる。よって、焦点位置計測用検出器111によりX線焦点位置を適切に検出し、この検出結果を用いることで、焦点移動に起因する画質劣化を防止することができる。
また、第1実施形態では、スリット部材110を移動可能な駆動部110Mを有し、上述の相対位置を変更する際には、制御部108が駆動部110Mを用いて、第一焦点位置P1の変位量ΔP1を打ち消すように、スリット部材110を移動させる。この構成により、熱伸びなどによりX線の焦点位置が連続的に変位したとしても、変位量を打ち消すようにスリット部材110が移動することで、常に精度よく焦点位置計測用検出器111の所望の領域に入射させることができ、焦点位置計測用検出器111の検知精度が高い領域でX線を検知することができる。
また、制御部108は、第一焦点位置P1の変位量ΔP1を打ち消すように、X線焦点偏向部112を用いて焦点を移動させる。これにより、熱伸びなどにより連続的にX線の焦点位置が変位したとしても、所望の位置に焦点を移動することができるため、焦点位置が異なることによる画像のばらつき等の影響を低減することができる。
また、制御部108は、撮影の際、X線焦点偏向部112を用いて複数の焦点位置からX線を照射する。このように、FFS技術を用いてX線の焦点を短い周期で偏向しつつ撮影(画像取込)することで、1回の撮影で異なる焦点から照射したことにより高精細のX線画像を得ることができる。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態のX線撮像装置(X線CT装置2)について図面を参照して説明する。前述と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。まず、X線撮像装置の概略構成を説明する。図7は、第2実施形態のX線撮像装置の概略構成を示す図である。図7に示すように、X線CT装置2は、スキャンガントリ部200と、スキャンガントリ部200を操作するための操作卓120とを有する。本実施形態のスキャンガントリ部200は、焦点位置計測用検出器211を備えており、焦点位置計測用検出器211以外の構成については前述と略同様である。
第2実施形態の焦点位置計測用検出器211の構成について、前述の実施形態と異なる構成を中心に説明する。図8は、第2実施形態の焦点位置計測用検出器211及びその周辺の構造を示す概略図である。焦点位置計測用検出器211は、複数の検出素子を配列した構成であり、検出素子は、蛍光体層50と光検出素子51により構成されている。本実施形態では、蛍光体層50は、光検出素子51ごとに分割されていることが好ましい。光検出素子51には、それぞれA/D変換器dが接続され、A/D変換器dの出力は、信号処理回路310に入力される。
ここで、第2実施形態の焦点位置計測用検出器211では、X線が入射する検出領域に、X線の入射を制限して検出領域を物理的に区切る第1実施形態のような境界線DLを設けない。第2実施形態では、制御部108が、信号処理回路310を制御して、複数のA/D変換器d(検出素子)の中からいくつかの検出素子を電気的にそれぞれ選択することにより、第一検出領域211aおよび第二検出領域211bを設定する。これにより、第一検出領域211aと第二検出領域211bの境界部DPを設定する。
例えば、図8の場合、制御部108が選択したA/D変換器(例えばd1〜d5)の出力を信号処理回路310が加算することにより、第一検出領域211aに照射されたX線の出力を算出し、制御部108が選択したA/D変換器(例えばd6〜d10)の出力を信号処理回路310が加算することにより、第二検出領域211bに照射されたX線の出力を算出することができる。信号処理回路310は、算出した第一検出領域211aの出力と、第二検出領域211bの出力の差分を出力することにより、焦点の変位量を出力することができる。
また、図9のように、第一検出領域211aと第二検出領域211bの境界部DPをA2方向に一つの光検出素子51だけずらす場合、制御部108は、選択するA/D変換器を変更し、A/D変換器d1〜d6の出力を信号処理回路310に加算させて、第一検出領域211aに照射されたX線の出力を算出させ、A/D変換器d7〜d10の出力を信号処理回路310に加算させて、第二検出領域211bに照射されたX線の出力を算出させればよい。同様に、図10のように、第一検出領域211aと第二検出領域211bの境界部DPをA2方向にさらに光検出素子51の一つ分ずらす場合、制御部108は、選択するA/D変換器を変更し、A/D変換器d1〜d7の出力を信号処理回路310に加算させて、第一検出領域211aに照射されたX線の出力を算出させ、A/D変換器d8〜d10の出力を信号処理回路310に加算させて、第二検出領域211bに照射されたX線の出力を算出させればよい。
このように、第2実施形態では、制御部108が、1以上の光検出素子51を検出領域毎に選択して出力を加算させることにより、所望の範囲に検出領域を設定することができるため、第一検出領域211aと第二検出領域211bの境界を所望の位置に移動させることができる。
以上の装置構成を基に、X線CT装置2の動作を説明する。以下の例では、第2実施形態のX線CT装置2にFFS技術を用いた場合の適用例を説明する。図10は、第2実施形態のX線CT装置2でFFS技術を用いる場合の第一焦点位置P1を説明する図である。図11は、第2実施形態のX線CT装置2でFFS技術を用いる場合の第二焦点位置P2を説明する図である。また、図12は、第2実施形態における焦点位置計測制御を説明するフローチャートである。図10及び図11の構造図を用いつつ、制御の流れを図12に沿って説明する。
X線CT装置2での撮像が開始されてX線の焦点位置を計測する場合、制御部108は、まず、X線管装置101からX線の照射を開始する(ステップS21)。次に、X線の焦点を第一焦点位置P1に移動する(ステップS22)。具体的には、制御部108がX線焦点偏向部112に焦点を偏向する指令を出し、焦点の位置を基準位置Pよりも左方に距離h1だけ移動させる。
そして、第一焦点位置P1から出射されスリット部材110の細孔を通過したX線を、焦点位置計測用検出器211を用いて検出する(ステップS23)。このとき、制御部108は、図10のように、第一焦点位置P1から照射されたX線が均等に入射する第一検出領域211aと第二検出領域211bを、内蔵するメモリに格納された境界部DPに基づいて設定する。メモリ内の境界部DPの初期値としては、焦点が第一焦点位置P1に位置するときに、スリット部材110を通過したX線が第一検出領域211aと第二検出領域211bに均等に入射する位置が、予め格納されている。
この境界部DPを読み出して、制御部108は、第一検出領域211aの出力として、A/D変換器d1〜d7の出力を信号処理回路310に加算させ、第二検出領域211bの出力として、A/D変換器d8〜d10の出力を信号処理回路310に加算させる。A/D変換器d1〜d7の出力を加算した出力と、A/D変換器d8〜d10の出力を加算した出力との差分を、信号処理回路310は算出して制御部108に出力する。制御部108は、受け取った差分から、第1の実施形態と同様に、X線の実際の第一焦点位置P1a(図10参照)の、第一焦点位置P1からの第一変位量ΔP1を算出する(ステップS24)。
算出した第一変位量ΔP1に基づいて、制御部108は、第一検出領域211aと第二検出領域211bの境界部DPを第一変位量ΔP1に対応した距離だけ移動させる。このとき、境界部DPを実際に移動させるのではなく、制御部108に内蔵するメモリに移動後の境界部DPの位置を格納する。これにより、次にステップS23を実行する際に、制御部108がメモリ内の境界部DPを読み出して第一検出領域211aと第二検出領域211bを設定することにより、境界部DPを移動させることができる。これにより、次にステップS23を実行する際に、焦点位置が熱膨張により継続して変位している場合でも、小さな変位量として精度よく検出することができる。
境界部DPの移動後、制御部108は、中央処理部122からの画像取込同期信号を受け取っているか確認する(ステップS26)。ここで、画像取込同期信号を受け取っていない場合には、上記ステップS22に戻り、制御部108は、X線焦点偏向部112を用いて、X線の実際の第一焦点位置P1aを第一焦点位置P1の位置に補正する。この場合、算出した第一変位量ΔP1を用いてX線に実際の第一焦点位置P1aを適正な位置に移動させることができる。
制御部108が中央処理部122から画像取込同期信号を受け取っていた場合、画像取込同期を行う(ステップS27)。
次に、X線の焦点を第二焦点位置P2に移動する(ステップS29)。具体的には、制御部108がX線焦点偏向部112に焦点を偏向する指令を出し、図11に示すように、焦点の位置を基準位置Pよりも左方に距離h2だけ移動させる。
そして、第二焦点位置P2から出射されスリット部材110の細孔を通過したX線を、焦点位置計測用検出器211を用いて検出する(ステップS30)。このとき、制御部108は、ステップS23と同様に、第二焦点位置P2から照射されたX線が均等に入射する第一検出領域211aと第二検出領域211bを、内蔵するメモリに格納された第二焦点位置用の境界部DPに基づいて設定する。
メモリ内の第二焦点位置用の境界部DPの初期値としては、焦点が第二焦点位置P2に位置するときに、スリット部材110を通過したX線が第一検出領域211aと第二検出領域211bに均等に入射する位置が、予め格納されている。この第二焦点位置用の境界部DPを読み出して、制御部108は、第一検出領域211aの出力として、A/D変換器d1〜d4の出力を信号処理回路310に加算させ、第二検出領域211bの出力として、A/D変換器d5〜d10の出力を信号処理回路310に加算させる。
A/D変換器d1〜d4の出力を加算した出力と、A/D変換器d5〜d10の出力を加算した出力との差分を、信号処理回路310は算出して制御部108に出力する。制御部108は、受け取った差分から、X線の実際の第二焦点位置P2a(図11参照)の、第二焦点位置P2からの第二変位量ΔP2を算出する(ステップS31)。
算出した第二変位量ΔP2に基づいて、制御部108は、第一検出領域211aと第二検出領域211bの境界部DPを第二変位量ΔP2に対応した距離だけ移動させる。このとき、境界部DPを実際に移動させるのではなく、制御部108に内蔵するメモリに移動後の第二焦点位置用の境界部DPの位置を格納する。これにより、次にステップS30を実行する際に、制御部108がメモリ内の第二焦点位置用の境界部DPを読み出して第一検出領域211aと第二検出領域211bを設定することにより、境界部DPを移動させることができる。これにより、次にステップS30を実行する際に、焦点位置が熱膨張により継続して変位している場合でも、小さな変位量として精度よく検出することができる。
境界部DPの移動後、制御部108は、中央処理部122からの画像取込同期信号を受け取っているか確認する(ステップS33)。ここで、画像取込同期信号を受け取っていない場合には、上記ステップS29に戻り、制御部108は、X線焦点偏向部112を用いて、第二焦点位置P1aを第二焦点位置P2の位置に補正する。この場合、算出した第二変位量ΔP2を用いてX線の実際の第二焦点位置P2aを適正な位置に移動させることができる。
制御部108が中央処理部122から画像取込同期信号を受け取っていた場合、画像取込同期を行った後(ステップS34)、中央処理部122からX線照射を完了する信号を受け取っているか否かを確認する(ステップS35)。中央処理部122からX線照射を完了する信号を受け取っていた場合は、X線照射を完了する。中央処理部122からX線照射を完了する信号を受け取っていない場合は、第一焦点位置P1の移動のため、ステップS22に戻る。
第2実施形態では、制御部108は、複数のA/D変換器dを選択することにより第一検出領域211aと第二検出領域211bを設定することができるため、スリット部材110を物理的に移動させることなく、検出領域を移動させることができる。よって、X線の焦点を高速で移動するFFSの場合であっても、二つの焦点位置のそれぞれで変位を迅速に検出し、焦点位置の補正や、検出領域の調整を行うことができる。
このように、第2実施形態のX線CT装置2では、焦点位置計測用検出器211の所望の領域でX線を検出することができるため、焦点位置計測用検出器211の検知精度が高い領域を設定してX線を検知することができる。よって、焦点位置計測用検出器211によりX線焦点位置を精度よく検出し、この検出結果を用いることで、焦点移動に起因する画質劣化を防止することができる。このため、FFS技術を用いてX線の焦点を短い周期で偏向しつつ撮影(画像取込)する場合の画質を向上させることができる。
1 X線CT装置、2 X線CT装置、100 スキャンガントリ部、101 X線管装置、102 回転円盤、103 コリメータ、104 開口部、105 寝台、106 X線検出器、107 信号収集部、108 制御部、110 スリット部材、110M 駆動部、111 焦点位置計測用検出器、111a 第一検出領域、111b 第二検出領域、111c コネクタ、112 X線焦点偏向部、120 操作卓、121 入力部、122 中央処理部、125 表示部、130 チャネル方向、131 スライス方向、200 スキャンガントリ部、211 焦点位置計測用検出器、211a 第一検出領域、211b 第二検出領域、300 検出ユニット、310 信号処理回路、DL 境界線、DP 境界部、H 被検体、P 基準位置、P1 第一焦点位置、P2 第二焦点位置、Pa X線の実際の焦点位置、d A/D変換器

Claims (12)

  1. X線を照射するX線発生部と、
    前記X線発生部からのX線が通る細孔が形成される開口部材と、
    前記X線の焦点の位置を移動させるX線焦点偏向部と、
    並べて配置された複数の検出領域を備える焦点位置検出部と、
    焦点位置制御部と、を有し、
    前記焦点位置検出部は、前記開口部材を通過して前記複数の検出領域に入射するX線量を前記検出領域ごとに検出し、
    前記焦点位置制御部は、前記焦点位置検出部の複数の前記検出領域の検出値を対比することで基準位置に対する前記焦点の変位量を検出し、検出される前記変位量が打ち消されるように前記開口部材と前記検出領域との相対位置を変更することを特徴とするX線CT装置。
  2. 請求項1に記載に記載のX線CT装置において、
    前記開口部材は、前記開口部材を移動させるための開口部材駆動部が接続され、
    前記焦点位置制御部は、検出される前記変位量が打ち消されるように、前記開口部材駆動部を用いて、前記開口部材を前記検出領域に対して移動させることを特徴とするX線CT装置。
  3. 請求項1に記載のX線CT装置において、
    前記焦点位置検出部は、前記検出領域の数よりも多い、複数の検出素子を備え、
    前記焦点位置制御部は、前記検出領域毎に複数の前記検出素子を1以上選択することにより複数の前記検出領域を設定することを特徴とするX線CT装置。
  4. 請求項3に記載のX線CT装置において、
    前記焦点位置制御部は、設定した前記検出領域を構成する前記検出素子の出力を加算することにより、前記検出領域の前記検出値を求めることを特徴とするX線CT装置。
  5. 請求項3に記載のX線CT装置において、
    前記焦点位置制御部は、検出される前記変位量が打ち消されるように、選択する前記検出素子を変更して前記複数の検出領域間の境界部を移動させることにより、前記開口部材と前記検出領域との相対位置を変更することを特徴とするX線CT装置。
  6. 請求項1に記載のX線CT装置において、
    前記焦点位置制御部は、前記焦点位置の前記変位量を打ち消すように、前記X線焦点偏向部を用いて前記焦点を移動させることを特徴とするX線CT装置。
  7. 請求項1に記載のX線CT装置において、
    前記焦点位置制御部は、撮影の際、前記X線焦点偏向部を用いて複数の焦点位置から交互にX線を照射することを特徴とするX線CT装置。
  8. 請求項7に記載のX線CT装置において、
    前記複数の検出領域は、前記複数の焦点位置のうち第一焦点位置から照射されたX線を検出する位置に配置され、
    前記焦点位置制御部は、前記第一焦点位置の基準位置に対する前記焦点位置の変位量を検出し、前記開口部材と前記検出領域との相対位置を変更することを特徴とするX線CT装置。
  9. 請求項8に記載のX線CT装置において、
    前記焦点位置制御部は、前記第一焦点位置について検出した前記変位量に基づいて、前記複数の焦点位置を移動させることを特徴とするX線CT装置。
  10. 請求項3に記載のX線CT装置において、
    前記焦点位置制御部は、撮影の際、前記X線焦点偏向部を用いて複数の焦点位置から交互にX線を照射し、
    前記焦点位置制御部は、前記複数の焦点位置ごとに、それぞれ前記複数の検出領域をそれぞれ形成することにより、前記複数の焦点位置ごとに前記基準位置に対する前記変位量を検出することを特徴とするX線CT装置。
  11. X線を照射するX線発生部と、前記X線発生部からのX線が通る細孔を備える開口部材と、前記X線の焦点の位置を移動させるX線焦点偏向部と、並べて配置された複数の検出領域を備える焦点位置検出部と、焦点位置制御部と、を有するX線CT装置における焦点位置制御方法であって、
    前記X線発生部によりX線を発生させるステップと、
    前記X線焦点偏向部によりX線の焦点を基準位置に移動するステップと、
    前記細孔を通過したX線を、前記複数の検出領域により検出するステップと、
    複数の前記検出領域の検出値を対比することで前記基準位置に対する前記焦点の変位量を検出するステップと、
    検出される前記変位量が打ち消されるように前記開口部材を前記検出領域に対して相対的に移動するステップと、
    を有することを特徴とするX線CT装置における焦点位置制御方法。
  12. X線を照射するX線発生部と、前記X線発生部からのX線が通る細孔を備える開口部材と、前記X線の焦点の位置を移動させるX線焦点偏向部と、複数の検出素子を備える焦点位置検出部と、焦点位置制御部と、を有するX線CT装置における焦点位置制御方法であって、
    前記X線発生部によりX線を発生させるステップと、
    前記X線焦点偏向部によりX線の焦点を基準位置に移動するステップと、
    前記細孔を通過したX線を、前記複数の検出素子により検出するステップと、
    複数の前記検出素子を1以上選択することにより、複数の検出領域をそれぞれ設定し、複数の前記検出領域の検出値を対比することで前記基準位置に対する前記焦点の変位量を検出するステップと、
    検出される前記変位量が打ち消されるように、選択する前記検出素子を変更して前記複数の検出領域間の境界部を移動させるステップと、
    を有することを特徴とするX線CT装置における焦点位置制御方法。
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