JPWO2017038958A1 - 造血系細胞の作製方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血系細胞への分化誘導に適した条件で培養する、CD34陰性細胞が含まれる細胞群を得る第一工程と、前記第一工程で得た細胞群の少なくとも一部を前記霊長類動物とは異なる動物の胎仔に移植する第二工程と、前記胎仔が出生に至って得られた仔動物を育成させて得た動物の体内から前記霊長類動物の造血系細胞を得る第三工程と、を有することを特徴とする、霊長類動物の造血系細胞の作製方法に関する。

Description

本発明は、霊長類動物の造血系細胞の供給のための技術に関する。より詳しくは、本発明は、霊長類動物の多能性幹細胞から造血系細胞を作製する方法、並びに、前記造血系細胞を生産するキメラ非ヒト動物及びその作製方法に関する。
現在の再生医療の臨床現場において、再生不良性白血病等の疾患を有する患者に対して、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血幹細胞移植等に代表される造血幹細胞移植を行ない、患者の体内において、移植造血幹細胞から血液細胞を産生させることによる治療が行なわれている。しかしながら、造血幹細胞移植に必要な、移植対象の患者に適合する造血幹細胞の安定供給が難しい。そこで、造血幹細胞の安定供給を図るため、ブタ胎仔に経子宮的にヒト造血幹細胞を移植し、ブタ体内でヒトの造血前駆細胞を増幅させることが試みられたが、ブタ体内におけるヒト造血細胞の検出はきわめて微量であった(非特許文献1)。
造血幹細胞の安定的な供給のため、胚性幹細胞(以下、ES細胞ともいう)や人工多能性幹細胞(以下、iPS細胞という)などの多能性幹細胞から必要細胞をin vitroで分化させることについての研究が行なわれている。
in vitroでの多能性幹細胞から血液系細胞への分化の試みの例として、造血幹細胞の自己再生に関連するホメオティックセレクター遺伝子であるHoxB4を導入したマウスES細胞から、最終造血幹細胞の表現型を示す細胞へ分化させる技術(非特許文献2)、マウスES細胞から造血前駆細胞へ分化させる技術(非特許文献3〜5)、アカゲザルES細胞を、マウスS17ストロマ細胞上で培養して、造血幹細胞に分化させる技術(非特許文献6)などが挙げられる。しかしながら、ヒトiPS細胞からの造血幹細胞分化は未だに困難で、その実現は血液学の愁眉の課題である。
そこで、近年、霊長類動物の胚性幹細胞を、造血系細胞の分化誘導に適した条件で維持し、得られた細胞を妊娠ヒツジの子宮内の胎仔に移植し、該胎仔を生育させ、出生に至った仔ヒツジを生育させて得られたヒツジから霊長類動物の造血系細胞を得る、霊長類動物の造血系細胞の作製方法が検討されている(特許文献1、2)。そして、ヒトiPS細胞に最適化された、より効率のよい造血系細胞の作製方法が求められている。
国際公開第2005/019441号 特開2004−350601号公報
中内啓光、他1名、"3.ヒト血液キメラブタの樹立とその応用"、「第117回日本医学会シンポジウム記録集 幹細胞と細胞療法−[III]組織・器官幹細胞:臨床応用への基盤開発(2)2000年8月4日〜6日開催、p99−106[online]、インターネットURL:http://www.med.or.jp/jams/symposium/kiroku/117/pdf/117099.pdf Michael Kyba et al.,Cell,109,April 5,2002,p.29−37 Britt M.Johansson et al.,Molecular and Cellular Biology,15,No.1,January 1995,p.141−11 仲野徹著、"5.胚性幹細胞からの血液細胞への分化"、横田崇ら編、実験医学増刊「幹細胞研究の最前線と再生医療への応用発生・分化メカニズムの解明、そして臨床へ」2001年9月25日発行、第19巻、第15号、p1966−1971 Toru Nakano et al.,Science,265,August 19,1994,p.1098−1101 Fei Li et al.,Blood,98,July 15,2001,p.335−342
本発明は、ヒトをはじめとする霊長類動物の造血系細胞を効率的に供給することを課題とする。
本発明の一態様は、
霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血系細胞への分化誘導に適した条件で培養する、CD34陰性細胞が含まれる細胞群を得る第一工程と、
前記第一工程で得た細胞群の少なくとも一部を前記霊長類動物とは異なる動物の胎仔に移植する第二工程と、
前記胎仔が出生に至って得られた仔動物を育成させて得た動物の体内から前記霊長類動物の造血系細胞を得る第三工程と、
を有する、霊長類動物の造血系細胞の作製方法である。
本発明において、前記第一工程において、霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血系細胞への分化誘導に適した条件で2〜12日間培養してもよい。
本発明において、前記第一工程において、霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血系細胞への分化誘導に適した条件でBrachyury、PDGFRα、Etv2、又は、Sclの遺伝子又はタンパク質を発現する細胞が出現するまで培養してもよい。
本発明において、前記第一工程の前に多能性幹細胞に対して遺伝子改変処理する工程を有してもよい。
本発明において、前記霊長類動物とは異なる動物は、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ又は、ヤギから選択してもよい。
本発明において、前記第二工程において、前記第一工程で得た細胞群の少なくとも一部を前記霊長類動物とは異なる動物の胎仔の造血発生器官に移植してもよい。
本発明において、前記霊長類動物はヒトでもよい。
本発明において、前記多能性幹細胞はiPS細胞でもよい。
本発明において、前記胎仔が出生に至って得られた仔動物に対して、前記キメラ非ヒト動物とは異種の動物のリンパ球を投与してもよい。
本発明において、前記第二工程の前に、前記胎仔の内因性の造血系細胞の増殖を抑制する工程をさらに含んでもよい。
本発明において、前記胎仔の内因性の造血細胞の増殖を抑制する工程において、化学療法剤若しくは免疫抑制剤を前記胎仔に投与してもよく、または、放射線を前記胎仔に照射してもよい。
本発明において、前記胎仔の内因性の造血細胞の増殖を抑制する工程において、ブスルファンを前記胎仔に投与してもよい。
本発明の他の一態様は、
霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血系細胞への分化誘導に適した条件で培養する、CD34陰性細胞が含まれる細胞群を得る第一工程と、
前記第一工程で得た細胞群の少なくとも一部を前記霊長類動物とは異なる動物の胎仔に移植する第二工程と、
前記胎仔が出生に至って得られた仔動物を育成させて前記霊長類動物の造血系細胞を生産するキメラ動物を得る第三工程と、
を有する、霊長類動物の造血系細胞を生産するキメラ非ヒト動物の作製方法である。
本発明において、前記第一工程において、造血系細胞への分化誘導に適した条件で2〜12日間培養してもよい。
本発明において、前記第一工程の前に多能性幹細胞に対して遺伝子改変処理する工程を有してもよい。
本発明の他の一態様は、
霊長類動物の血液系細胞を生産する、前記霊長類動物とは異種の体細胞を有する、キメラ非ヒト動物である。
キメラ非ヒト動物は、上記の霊長類動物の造血系細胞を生産するキメラ非ヒト動物の作製方法により作製されてもよい。
本発明の他の一態様は、
上記のキメラ非ヒト動物から得られた造血系細胞である。
本発明の他の一態様は、
霊長類動物由来の造血系細胞を有するキメラ非ヒト動物に対して、前記キメラ非ヒト動物とは異種の動物のリンパ球を投与する工程を有する、キメラ非ヒト動物の体内の造血系細胞について前記霊長類動物由来の造血系細胞の比率を高める方法である。
前記リンパ球が、MHC非拘束性リンパ球であることが好ましい。
前記リンパ球が、NK細胞、γδT細胞、又はNKT細胞であることが好ましい。
前記キメラ非ヒト動物は、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ又はヤギに対してヒト、類人猿又はサル由来の造血幹細胞を移植して得たものであってもよい。
本発明において、前記キメラ動物から造血系細胞を得る工程をさらに有してもよい。
本発明の他の一態様は、
本発明の作製方法によって得られた造血系細胞を前記霊長類動物に投与する工程を有する、霊長類動物の造血系細胞を用いた治療方法である。
本発明の他の一態様は、
霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血系細胞への分化誘導に適した条件で培養する、CD34陰性細胞が含まれる細胞群を得る第一工程と、
前記第一工程で得た細胞群の少なくとも一部を前記霊長類動物とは異なる動物の胎仔に移植する第二工程と、
前記胎仔が出生に至って得られた仔動物を育成させて得た動物の体内から前記霊長類動物の造血系細胞を得る第三工程と、
前記造血系細胞を前記霊長類動物に投与する第四工程と、
を有することを特徴とする、霊長類動物の造血系細胞を用いた治療方法である。
前記第一工程の前に多能性幹細胞に対して遺伝子改変処理する工程を有してもよい。
本発明において、前記治療方法の治療疾患は、再生不良性貧血、白血病、免疫不全症(X−SCID、ZAP70欠損症、Jak3欠損症、ADA欠損症、慢性肉芽腫症、Bloom症候群、Wiscott−Aldrich症候群等)、心筋梗塞等の虚血性心疾患、閉塞性動脈硬化症、バージャー病、及びその他遺伝性疾患(免疫不全症、Fanconi貧血、血友病、サラセミア、鎌状赤血球貧血症、白質ジストロフィー,ムコ多糖症等)のいずれかであってもよい。
本発明の方法により、ヒトをはじめとする霊長類動物の多能性幹細胞から造血系細胞をより効率的に作製することができる。
図1は、試験管内で培養した場合の、ヒトiPS細胞における、PDGFRα(中胚葉系マーカー)、CD34(造血幹細胞マーカー)、CD43(汎血球マーカー)及びCD45(汎血球マーカー)のFACS解析の結果を示す図である。 図2は、試験管内で培養したヒトiPS細胞内では、Brachyury、Etv2、Scl、Runx、PDGFRα及びCD34が発現するのに対し、CD43及びCD45は発現しないことを説明する図である。 図3は、細胞群移植2ヶ月後のヒツジ胎仔の肝臓内及び骨髄内の、活性化NotchとCD45の存在を示す図である。 図4は、ヒト細胞群移植1ヶ月後のヒツジ胎仔の肝臓、及び細胞群移植2ヶ月後のヒツジ胎仔の骨髄の蛍光顕微鏡像である。 図5は、実施例1で、iPS細胞を分化用培地で培養した後のヒト細胞群をFACSで解析した結果(右図)と、iPS細胞を分化用培地で培養した後のヒト細胞群について、CD34に対する磁気ビーズ結合モノクローナル抗体を用いたCD34発現細胞の除去後にFACSにより解析した結果(左図)を示す図である。 図6は、ヒト細胞群を移植したヒツジに対してヒトリンパ球を静脈内投与した場合の、ヒツジ体内のヒト造血比率の変動を示すグラフである。
本願発明者らは、多能性幹細胞を造血系細胞の分化誘導に適した条件で短期間培養し、得られた細胞群を、前記霊長類動物とは異なる動物の胎仔体内に移植することにより、前記霊長類動物の多能性幹細胞から、移植医療に使用することができる造血系細胞を効率的に作製することができることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
I.霊長類動物の造血系細胞の作製方法
本発明は、1つの態様において、
霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血系細胞への分化誘導に適した条件で培養する、CD34陰性細胞が含まれる細胞群を得る第一工程と、前記第一工程で得た細胞群の少なくとも一部を前記霊長類動物とは異なる動物の胎仔に移植する第二工程と、前記胎仔が出生に至って得られた仔動物を育成させて得た動物の体内から前記霊長類動物の造血系細胞を得る第三工程と、を有することを特徴とする、霊長類動物の造血系細胞の作製方法を提供する。
本発明において「造血系細胞」とは、造血幹細胞や、該造血幹細胞から分化してできる細胞群を意図する。造血幹細胞から分化してできる細胞群とは、限定されるわけではないが、例えば、赤芽球、骨髄球、巨核球系、リンパ球等の性質を有する細胞等である。
本発明で得られた造血系細胞は、本質的に霊長類動物に由来する細胞であり、霊長類動物への移植等に好適である。本発明において、ヒト細胞を動物への移植に用いれば、ヒトに移植可能な血液細胞を作ることができる。iPS細胞を用いれば「自分の」血液細胞をもつ動物を作ることができる。
本発明の造血系細胞を、造血系の構築若しくは造血細胞の作用を必要とする疾患又は状態の部位に移植することにより、治療効果を発揮させることができる。したがって、本発明は、別の側面では、造血系の構築若しくは造血細胞の作用を必要とする疾患又は状態の部位に、本発明の造血系細胞を治療上有効量供給することを特徴とする、造血系の構築あるいは造血細胞の作用を必要とする疾患の治療方法に関する。さらに別の側面では、本発明は、造血系の構築若しくは造血細胞の作用を必要とする疾患の治療のための本発明の造血系細胞の使用に関する。
(1)第一工程「霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血系細胞への分化誘導に適した条件で培養する、CD34陰性細胞が含まれる細胞群を得る工程」
この方法において、まず、当該技術分野における従来からの知見に従って、霊長類動物の多能性幹細胞から、CD34陰性細胞を含む霊長類動物の細胞群を、in vitroにおいて形成させる。
本発明の造血系細胞の作製方法は、主としてヒトにおいて血液系の疾患を治療するために使用するヒトの造血系細胞を効率的に作製することを目的とした方法である。
造血系細胞を作製するための原料細胞は、霊長類動物の多能性幹細胞であれば生物種は特に限定されない。好ましくは、ヒト、類人猿(チンパンジー、ゴリラ又はオランウータン)、もしくはサル(ヒヒ、マカクサル、マーモセット等)などに由来する。より好ましくは、ヒトに由来する。
本発明において「多能性幹細胞」とは、あらゆる組織の細胞へと分化する能力(多分化能)を有する幹細胞の総称することを意図する。本明細書において後述する実施例ではiPS細胞を用いて検討を行っているが、本発明の方法に使用できる多能性幹細胞には、iPS細胞のみに限らず、哺乳動物の生体臓器や組織の細胞、骨髄細胞、血液細胞、更には胚や胎児の細胞等に由来する、胚性幹細胞に類似した形質を有する全ての多能性幹細胞が含まれる。この場合、胚性幹細胞と類似の形質とは、胚性幹細胞特異的な遺伝子の発現や内胚葉、中胚葉、外胚葉の全ての胚葉への分化能を有するといった、胚性幹細胞に特異的な細胞生物学的性質をもって定義することができる。
限定されるわけではないが、本発明の方法で増殖させることができる細胞の具体例としては、例えば、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性生殖幹細胞(EG細胞)、生殖幹細胞(GS細胞)等が挙げられる。なお本発明における多能性幹細胞として、ES細胞とiPS細胞が好ましい。iPS細胞は倫理的な問題もない等の理由により特に好ましい。多能性幹細胞としては公知の任意のものを使用可能であるが、例えば、国際公開WO2009/123349(PCT/JP2009/057041)に記載の方法により増殖させた多能性幹細胞を使用可能である。
本明細書における「人工多能性幹細胞」及び「iPS細胞」とは、体細胞へOct3/4、Sox2、Klf4、c−Mycなどの転写因子の遺伝子を導入することにより得られた、ES細胞に似た分化多能性を有する細胞を意味するものである。よって、iPS細胞もES細胞と同様に、分化多能性を保持したまま無制限に増やすことができる(Cell, 126, pp.663−676, 2006; Cell, 131, pp.861−872, 2007; Science, 318, pp.1917−1920, 2007)。樹立されたヒトiPS細胞株は、例えば、京都大学、理化学研究所より入手可能である。
あるいは、iPS細胞を以下の文献の記載を参考にして作製してもよい。例えば、人工多能性幹細胞は、京都大学中山伸弥教授のグループに係る文献(Cell, 131, pp.861−872, 2007; Nat,Biotechnol. 26, 101−106, 2008)や、Wisconsin大学のThomsonのグループに係る文献(Science 318, 1917−1920,2007)に記載された方法に従って作製することができる。
具体的には、任意の体細胞に対して、Oct3/4、Sox2、Klf4、c−Myc、Nanog、LIN28のうち、すくなくとも一つ以上の遺伝子を導入し、多能性幹細胞に特異的な遺伝子やタンパク質の発現を検出し、これらを選別することによって作製することができる。
この様にして作製したiPS細胞は、ES細胞と同様に、増殖不活性化したマウス繊維芽細胞やこれを代替できる細胞存在下で、塩基性線維芽細胞増殖因子と共に培養することができ、ES細胞と同様に多能性幹細胞として利用することができる。
当該技術分野において、多能性幹細胞から造血幹細胞への分化誘導に適した条件とは、例えば、IV型コラーゲンの存在下に培養する条件、α−最小必須培地(α−MEM)等の存在下に培養する条件、造血系分化に適したフィーダー細胞上で培養する条件、胚葉体作成後、ディッシュに接着させる条件等の種々の条件及びこれらのいずれかの組み合わせの条件等に対し、造血幹細胞に分化誘導するための添加するサイトカインの種類、濃度、期間等の条件が挙げられる。
霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群が、ヒトiPS細胞株やES細胞の場合、血液系細胞への分化誘導に適した条件に用いるサイトカインとして、例えば、BMP−4、SCF、IL−3、IL−6、VEGF、G−CSF、Flt−3リガンド、EPO、及びTPOを用いることができる。
造血幹細胞移植は、移植する造血幹細胞の由来により骨髄移植、臍帯血移植、末梢血幹細胞移植に分けられる。いずれも移植細胞中のわずかな造血幹細胞が生着し、長期にわたり造血を支持し続ける効果を期待するものである。造血幹細胞に特異的な表面抗原があれば、これを指標に造血幹細胞を濃縮することができる。この表面抗原としてCD34がよく知られている。すなわち、ヒトの造血幹細胞はCD34陽性ということである。ヒトiPS細胞から造血幹細胞を作り出す場合も、いかに効率よくCD34陽性細胞を分化誘導するかに焦点が当てられていた。一方、マウスの造血幹細胞はCD34陰性と言われる。もし、マウスの場合と同様にヒトの場合でもCD34陰性分画にも造血幹細胞が存在すれば、ヒトiPS細胞から造血幹細胞を作り出す場合、必ずしもCD34陽性細胞にだけ焦点を当てる必要はない。実施例で証明するとおり、ヒトにおいてもCD34陰性分画にも造血幹細胞は存在することが分かった。したがって、本発明では、ヒトCD34陰性細胞が含まれる細胞群を動物体内に移植する。すなわち、本発明において「CD34陰性細胞が含まれる細胞群」が、後述する第二工程で霊長類動物とは異なる動物の胎仔に移植される。この細胞群に含まれる「CD34陰性細胞」は、細胞表面にCD34が存在しない細胞である。この細胞群は、限定されるわけではないが、例えば、霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血細胞への分化誘導に適した条件において、CD34陽性細胞が細胞群の一部に出現するまで培養して得ることができる。
CD34陽性細胞の存在比率はとくに限定されないが、霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血系への分化誘導に適した条件のもと、例えば、細胞群の50%以下、30%以下、10%以下、7%以下又は6%以下の細胞がCD34陽性細胞に分化するまで培養することが好ましい。
本発明において、CD34陽性細胞の割合の決定方法は、特に限定されないが、例えば、抗CD34抗体を用いて細胞群を染色し、フローサイトメトリーを用いて細胞群中のCD34陽性細胞数及びCD34陰性細胞数を測定し、その測定数に基づいて決定することができる。
霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群は、造血幹細胞への分化誘導に適した条件のもと、非限定的に、最短で、2日培養することが好ましく、4日培養することがより好ましく、6日培養することがさらに好ましく、最長で、12日培養することが好ましく、10日培養することがより好ましく、8日培養することがさらに好ましい。上記の最短の培養日数のうち任意の日数と、上記の最長の培養日数のうち任意の培養日数とを組み合わせた範囲内の日数で培養することができる。また、6日間培養することが最も好ましい。
また、霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群は、造血幹細胞への分化誘導に適した条件のもと、初期中胚葉マーカーのBrachyuryの遺伝子又はタンパク質を発現する細胞が出現するまで培養することが好ましく、中胚葉系マーカーであるPDGFRαの遺伝子又はタンパク質を発現する細胞が出現するまで培養することがより好ましく、血管内皮細胞遺伝子の発現を誘導するEtv2の遺伝子又はタンパク質を発現する細胞が出現するまで培養することがさらに好ましく、造血因子であるSclの遺伝子又はタンパク質を発現する細胞が出現するまで培養することがさらに好ましい。
胚の発生において、中胚葉では、Brachyury、PDGFRα、Etv2、Sclの順に発現することが知られている。Brachyuryは、Tボックスファミリーに属する転写因子であり、中胚葉の形成と、中胚葉系への細胞分化には不可欠であるタンパク質である(YH Edwards et al,,Genome Res.1996.6:226−233)。ヒトのBrachyury は、アクセッション番号NM_003181.3又はNM_001270484.1により検索可能である。
PDGFR(Platelet−Derived Growth Factor receptor)は、種々の間葉系細胞の細胞表面に発現しているタンパク質であり、チロシンキナーゼ活性を有する。アミノ酸配列が類似したα及びβ受容体が存在する。原腸陥入時には沿軸中胚葉において発現していることが知られている(Takakura N et al.,J Histochem Cytochem.1997 Jun;45(6):883−93.)。ヒトのPDGFRαは、アクセッション番号NM_006206.4により検索可能である。
Etv2(ets variant 2)は、血液および内皮細胞の発生に必須の因子であり、発生において一時的に発現することが知られている(Misato Hayashi et al.,Exp Hematol.Volume 40,Issue 9,September 2012,Pages 738−750.e11)。Etv2は、アクセッション番号NM_014209.3、 NM_001300974.1又はNM_001304549.1により検索可能である。
Scl(Stem cell leukemia)は、初期の中胚葉において、造血細胞の分化に必須の役割を担うことが知られている(Ismailoglu I et al.,Exp Hematol.2008 Dec;36(12):1593−603.doi:10.1016/j.exphem.2008.07.005.Epub 2008Sep21.)。Sclは、アクセッション番号NM_001287347.2、NM_001290403.1、NM_001290404.1 NM_001290405.1、NM_001290406.1、又はNM_003189.5により検索可能である。
動物の体内に移植する前に、好ましくは、第一工程の前に、霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群に対して遺伝子改変処理する工程を有してもよい。遺伝子改変処理は、特に限定されないが、例えば、レンチウイルスベクター等のウイルスベクターを用いた遺伝子導入技術、アデノ随伴ウイルス(AAV)やヘルペスウイルス由来のプラスミドベクターを用いた遺伝子導入技術、ZFN(Zinc Finger Nuclease)、TALEN(Transcription activator−like effector nuclease)、CRISPR/Cas法等のゲノム編集技術により行うことができる。本工程を有することにより、遺伝子変異に起因する疾患を有する個体を治療するために用いることのできる血液系細胞を作製することができる。遺伝子変異に起因する疾患とは、特に限定されないが、例えば、X−SCID、ZAP70欠損症、Jak3欠損症、Bloom症候群、Wiscott−Aldrich症候群、ADA欠損症、慢性肉芽腫症、Fanconi貧血、サラセミア、鎌状赤血球貧血症、白質ジストロフィー、血友病,ムコ多糖症等を意図する。
(2)第二工程「第一工程で得た細胞群の少なくとも一部を霊長類動物とは異なる動物の胎仔に移植する工程」
本発明において、前記霊長類動物の多能性幹細胞由来のCD34陰性細胞が含まれる細胞群をさらに造血系に分化・誘導することを目的として、CD34陰性細胞が含まれる霊長類動物の細胞群を、前記霊長類動物とは異なる動物の胎仔に移植する。
本発明において、前記霊長類動物の多能性幹細胞由来のCD34陰性細胞を多く含む細胞群を移植する動物は、多能性幹細胞の由来動物種である霊長類動物と異なっていればどのような動物種であってもよく、例えば多能性幹細胞の由来動物種がヒトである場合、ヒト以外の霊長類動物の他、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等の産業動物を使用することができる。動物の供給の容易性を考慮すると、産業動物を使用することが好ましく、本発明においてはヒツジやブタを使用することがより好ましい。
前記霊長類動物の多能性幹細胞由来のCD34陰性細胞が含まれる細胞群を移植する動物の胎仔への移植は、当該動物の妊娠母体の体外から、胎仔体内における移植部位として、造血発生器官、例えば、肝臓内(または、より厳密には肝実質内)が望ましいが、それに限定されるものではなく、腹腔内、心臓内、臍帯内等に移植用細胞を穿刺注入すること等により行われうる。
移植手術は、例えば、動物がヒツジの場合、
− 妊娠約40〜85日目(満期147日)の妊娠ヒツジを、予め移植の1週間〜10日前に、移植時における飼育環境に慣れさせ、
− 母体を麻酔し、
− ヒツジを施術するに適切な体位に固定し、
− 清潔操作で、移植箇所への移植用細胞の移植を容易にするように、種々の手術、例えば、腹腔内又は肝実質内に細胞を移植する場合、下腹部正中切開で開腹後、子宮母体腹腔外に翻転させること
等により行なわれうる。
細胞を子宮内胎仔へ移植する方法には、例えば、動物の子宮筋層を切開し、温存したまま露出させた卵膜内に胎仔を追い込み、透明な卵膜を通して直視下に胎仔移植部位に移植用細胞を穿刺注入し、子宮筋層、腹膜筋層、皮膚を層々に縫合閉腹すればよい。または、子宮を切開せずに,子宮壁上から超音波ガイド下、胎仔の移植部位に、移植用細胞を穿刺注入し、腹膜筋層、皮膚を層々に縫合閉腹すればよい。
本発明においては、このようにして前記霊長類動物の多能性幹細胞由来のCD34陰性細胞が含まれる細胞群を移植した動物の胎仔を出生させ、その仔動物を成長させて、当該動物の体内において前記霊長類動物由来の細胞群を分化・増殖させ、結果として前記霊長類動物の造血系細胞を得る。動物の個体体内に前記霊長類動物由来のCD34陰性細胞を含む細胞群を移植することにより、当該動物の体内において、前記霊長類動物の多能性幹細胞由来のCD34陰性細胞が含まれる細胞群に対して、血液系細胞への更なる分化・誘導が引き起こされ、結果として霊長類動物の多能性幹細胞から造血系細胞を作製する工程の後半が実現される。
このようにして動物の体内において誘導・増殖された前記霊長類動物由来の造血幹細胞は、細胞群を移植した動物の胎仔が出生した後、仔動物より、適切な組織、例えば、肝臓、骨髄等の組織を採取し、初代培養用の細胞を得、得られた細胞について、(1) 造血コロニーアッセイを行なうこと、(2) 前記(1)で形成された造血コロニーについて、霊長類動物に特異的なマーカー遺伝子の発現を調べることにより、評価されうる。
前記(1)の造血コロニーアッセイは、例えば、
i) 仔動物より、肝臓の組織生検、骨髄等の組織を得、
ii) 得られた組織について、トリプシン処理、DNaseI処理、溶解処理等の組織に応じた適切な処理を行ない、細胞を得、
iii) 得られた細胞を、10% FBS(ウシ胎仔血清)−IMDMに懸濁して、細胞浮遊液を得、
iv) 得られた細胞浮遊液と、メチルセルロース培地{例えば、商品名:MethoCult GF+〔ステムセルテクノロジーズ(StemCell Technologies)社製、カタログ番号:ST−04435〕等}とを混合して、攪拌し、
v) ついで、得られた細胞を含む培地を、ディッシュに注入し、37℃、5体積% COの条件下で14日間培養する
ことにより行なわれる。
また、前記(2)の霊長類動物に特異的なマーカー遺伝子の発現は、造血コロニーアッセイで形成されたコロニーから、慣用の方法でDNAを抽出し、得られたDNAについて、例えば、霊長類動物に特異的なマーカー遺伝子に特異的なプローブを用いたハイブリダイゼーション、特異的なプライマー対を用いたPCR等により、該遺伝子を検出することにより、評価されうる。または、造血コロニーを、霊長類動物に特異的な抗原に対する抗体で免疫染色することによって評価してもよい。
本発明の方法において、動物の胎仔に前記霊長類動物の多能性幹細胞由来のCD34陰性細胞を含む細胞群を移植する工程を行う前に、動物の胎仔の内因性の造血を抑制する工程をさらに含めることができる。動物の体内で生じる内在性の造血を抑制しつつ、その後移植する外来性の前記霊長類動物の多能性幹細胞由来のCD34陰性細胞が含まれる細胞群からの造血系細胞の生成を促進することができる。仔動物の体内における内因性の造血は、限定されないが、例えば、化学療法剤若しくは免疫抑制剤を胎仔に投与することにより、または、放射線を胎仔に照射することにより、抑制でき、例えば、胎仔に対してブスルファン、フルダラビン、メルファラン、またはシクロホスファミド等の抗腫瘍剤を投与して造血幹細胞に細胞死を生じさせることにより行うことができる。化学療法剤若しくは免疫抑制剤は、移植前の胎仔に母体静脈経由で投与することが好ましい。化学療法剤若しくは免疫抑制剤の投与量や、放射線の照射量は、胎仔の感受性により決定すればよく、特に限定されるものではない。ブスルファンの投与量は、特に限定されないが、例えば日本で一般的に飼養されているヒツジであれば、3〜5 mg/kgとしてもよい。
動物の胎仔に前記霊長類動物の多能性幹細胞由来のCD34陰性細胞を含む細胞群を移植する工程において、出生後の仔動物に対して、霊長類動物のリンパ球を移植してもよい。前記霊長類動物のリンパ球を移植すると、仔動物の体内に移植された前記霊長類動物の造血幹細胞の誘導・増殖を亢進させることができる。
リンパ球としては、MHC(主要組織適合遺伝子複合体、major histocompatibility complex)非拘束性リンパ球であればよいが、NK細胞、γδT細胞、又は、NKT細胞を用いることが好ましい。
リンパ球は、移植する細胞群が由来する個体から採取したものに限られない。例えば、細胞群の移植を受ける動物種以外の種から採取したリンパ球であれば用いることができる。
リンパ球の投与条件は特に限定されないが、例えば、仔動物が出生する前に母体静脈経由で投与してもよいが、仔動物が出生した直後に静脈内投与することが好ましく、出生後、任意の時期に繰り返し輸注してもよい。
(3)第三工程「胎仔が出生に至って得られた仔動物を育成させて得た動物の体内から霊長類動物の造血系細胞を得る工程」
霊長類動物の造血系細胞の分離は、例えば、
1)上記のようにして得られた動物から、肝臓、骨髄、血液(末梢血、臍帯血)、胸腺、脾臓等を採取し、
2)得られた器官から、適切な手法により、細胞群を得、
3)得られた細胞群から、霊長類動物に由来する造血系細胞を分離すること等により得られうる。
前記ステップ3)においては、例えば、霊長類動物に特異的なマーカー又は該マーカーに対する抗体等を用いたフローサイトメトリー、免疫ビーズを用いる方法等が行なわれる。
前記「霊長類動物に特異的なマーカー」としては、例えば、霊長類に交叉し、レシピエント動物には交叉しないマーカーであればよく、HLA−ABC、β2−ミクログロブリン、CD45等が挙げられる。
本発明の作製方法により得られる霊長類動物の造血系細胞の評価は、例えば、CD45、TER119、α4−インテグリン、VE−カドヘリン、c−kit、Sca−1、CD34、CD13、CD14、GPIIb/IIIa、CD3、CD4、CD8、sIgM、CD19等の発現の有無を指標とすることにより行なわれうる。
II.キメラ動物
本発明の方法により、霊長類動物の造血系細胞を生産するキメラ非ヒト動物を作製することができる。したがって、本発明は、一態様において、霊長類動物の造血系細胞を生産するキメラ非ヒト動物及びその作製方法に関する。
本発明の霊長類動物の造血系細胞を生産するキメラ非ヒト動物は、
霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血系細胞への分化誘導に適した条件で培養する、CD34陰性細胞が含まれる細胞群を得る第一工程と、
前記第一工程で得た細胞群の少なくとも一部を前記霊長類動物とは異なる動物の胎仔に移植する第二工程と、
前記胎仔が出生に至って得られた仔動物を育成させて前記霊長類動物の造血系細胞を生産するキメラ動物を得る第三工程と、
を有することを特徴とする、霊長類動物の造血系細胞を生産するキメラ非ヒト動物の作製方法により作製できる。
別の一態様において、本発明のキメラ非ヒト動物は、霊長類動物の血液系細胞を生産することができる、前記霊長類動物とは異種の体細胞を有する動物である。
第一工程の前に多能性幹細胞に対して、既述の方法によって遺伝子改変処理する工程を有してもよい。遺伝子変異に起因する疾患の治療に使用できる血液系細胞を生産するキメラ非ヒト動物を作成できる。
本発明のキメラ非ヒト動物は、免疫学的に寛容な状態で、霊長類動物に由来する細胞を有することとなるため、該キメラ非ヒト動物には、造血系細胞の分化誘導に適した条件でその体内に任意の期間にわたって維持することができる。したがって、得られた血液系細胞を、ドナー動物に対して、任意の時期に移植することができる。
本発明のキメラ非ヒト動物によれば、特定の個体に由来する血液系細胞を動物体内で容易に増幅させることができる。また、移植日まで血液系細胞をキメラ非ヒト動物内で培養することができるため、血液系細胞を簡便に維持できる。
III.キメラ非ヒト動物から得られた造血系細胞
本発明の他の態様は、本発明のキメラ非ヒト動物から得られた造血系細胞である。
本発明のキメラ非ヒト動物から得られた血液系細胞は、キメラ非ヒト動物に移植した多能性幹細胞が由来する霊長類動物の細胞であり、MHCが合致すれば当該霊長類動物に移植した場合に拒絶反応がない。従って、キメラ非ヒト動物に移植した多能性幹細胞が由来する霊長類動物に移植するなど、霊長類動物の治療に用いることができる。
IV.治療方法
本発明の他の態様は、本発明の作製方法によって得られた造血系細胞を前記霊長類動物に投与する工程を有する、霊長類動物の造血系細胞を用いた治療方法である。
本発明の他の態様は、霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血系細胞への分化誘導に適した条件で培養する、CD34陰性細胞が含まれる細胞群を得る第一工程と、前記第一工程で得た細胞群の少なくとも一部を前記霊長類動物とは異なる動物の胎仔に移植する第二工程と、前記胎仔が出生に至って得られた仔動物を育成させて得た動物の体内から前記霊長類動物の造血系細胞を得る第三工程と、前記造血系細胞を前記霊長類動物に投与する第四工程と、を有することを特徴とする、霊長類動物の造血系細胞を用いた治療方法である。
本発明における、投与する工程における投与方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
治療方法は、造血系細胞の移植を必要とする疾患の治療に用いることができ、その疾患としては、例えば、再生不良性貧血、白血病、免疫不全症(X−SCID、ZAP70欠損症、Jak3欠損症、ADA欠損症、慢性肉芽腫症、Bloom症候群、Wiscott−Aldrich症候群等)、心筋梗塞等の虚血性心疾患、閉塞性動脈硬化症、バージャー病、及びその他遺伝性疾患(Fanconi貧血、血友病、サラセミア、鎌状赤血球貧血症、白質ジストロフィー,ムコ多糖症等)が挙げられる。
本明細書においては、以上において説明してきた発明のより具体的な態様を、実施例の形式で、以下においてさらに詳細に説明する。
実施例1:工程1(試験管内培養)によってヒトiPS細胞から造血幹細胞に向けてある段階まで分化させることができるが、工程1だけでは十分な分化は得られないことを示す。
(1)フィーダー細胞の作製
マクロファージコロニー刺激因子の機能不全マウスである(C57BL/6×C3H)F2−op/opマウスの新生仔頭蓋冠より作製されたストロマ細胞株で、前脂肪細胞株であるOP9細胞を、OP9細胞用培地{1250mlあたりの組成:α−MEM〔ギブコ(Gibco)社製、カタログ番号:12000−022〕 980ml、ウシ胎仔血清 250ml(最終濃度20%)、ペニシリン(100U/ml)−ストレプトマイシン(100μg/ml) 10ml、200mM L−グルタミン溶液 10ml}で、37℃、5% CO条件下で培養した。
その後、培養液内で接着してコンフルエント又はその直前まで生育した細胞を、リン酸緩衝化生理食塩水で2回洗浄した。ついで、洗浄後のディッシュ上の細胞に、0.1% トリプシン−EDTA(2ml/10cmディッシュ)を添加し、インキュベーターで5 分間保温した。
前記ディッシュに、前記O P 9 細胞用培地を添加し、細胞を含む培地を50mlコニカルチューブに回収した。回収された細胞を含む培地を1500rpmで5分間遠心分離した。得られた細胞を、前記OP9細胞用培地に、1:4〜1:5(約2.5×10細胞〜4×10細胞で播種し、37℃、5% CO条件下に、コンフルエントになるまで培養した。
得られた細胞を、10cmディッシュ〔ファルコン(FALCON))上、最終濃度10μg/mlのマイトマイシンCを含む前記OP9細胞用培地 10mlで2〜4時間培養することにより、細胞の分裂増殖を停止させて、不活化させた。ついで、マイトマイシンCを含む培地を除去した。処理後の細胞をリン酸緩衝化生理食塩水で洗浄した。洗浄後の細胞をトリプシン・EDTA処理(0.05% トリプシン、1mM EDTA)して、細胞浮遊液を得、ついで、細胞浮遊液を遠心分離して細胞を得た。
得られた細胞を、ゼラチンコートした6cm培養ディッシュ〔ファルコン(FALCON)社製、商品名:Tissue Culture Dish〕上、前記OP9細胞用培地 に、1:2( 培地あたり約1×10 細胞/ml)で播種した。以上のように準備したOP9細胞を、造血系分化誘導培養におけるフィーダー細胞として用いた。
(2)iPS細胞の造血系分化培養
成人末梢血からFicoll−Hypaque(GEヘルスケア社製)液を用いて回収した単核球に、ヒトOct3/4、ヒトSox2、ヒトKlf4及びヒトc−Mycを搭載したセンダイウイルスベクター(IDファーマ社製)を用いて遺伝子導入し、ヒトiPS細胞を作製した。ヒトiPS細胞は、マイトマイシンCによる不活化処理をしたマウス胚線維芽細胞上で、霊長類ES細胞用培地〔Primate ES Cell Medium(リプロセル社製)500mlにbFGF(和光純薬工業社製)を2.5μg(終濃度5ng/ml)添加〕中で維持した。剥離液 1mlに回収されたヒトiPS細胞を、分化用培地〔100mlあたりの組成:IMDM(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium) 84ml、8% ウマ血清 8ml、8% ウシ胎仔血清 8ml、5×10−6M ヒドロコルチゾン 0.18μg、BMP−4 2μg(最終濃度20ng/ml)、SCF 2μg(最終濃度20ng/ml)、IL−3 2μg(最終濃度20ng/ml)、IL−6 1μg(最終濃度10ng/ml)、VEGF 2μg(最終濃度20ng/ml)、G−CSF 2μg(最終濃度20ng/ml)、Flt−3リガンド2μg(最終濃度10ng/ml)、EPO 200U(2U/ml)、TPO4μg(最終濃度40ng/ml)〕 5mlに懸濁した。得られた細胞懸濁液を、前記造血系分化誘導培養におけるフィーダー細胞上に播種した。なお、培養は、37℃、5% CO条件のインキュベーター内で行なった。また、分化用培地は、2日に1回交換した。
6日間培養後、古い培地を吸引して、除去し、細胞を、リン酸緩衝化生理食塩水で洗浄した。ついで、ディッシュ上の細胞に、0.1% トリプシンEDTA/PBS(−) 1mlを添加し、該細胞を37℃で3〜4分間培養した。その後、常温下でディッシュの底を軽く叩き、細胞のコロニーを剥離させた。得られた細胞群を、ヒツジ胎仔への移植に用いた。
<遺伝子の相対発現量解析>
前述の通りに調整した造血分化細胞のRNAをサンプルとして、brachyury, Etv2, Gata2, Scl, Runx1A, 及びRunx1B遺伝子の検出を試みた。まずRNA PCR kit(TaKaRa社製)をプロトコールどおりに用いて、total RNAよりcDNAを合成した。各遺伝子検出用プライマーの配列は、Brachyuryのプライマーセットは5’−ACAAAGAGATGATGGAGGAACCCG−3’と5’−AGGATGAGGATTTGCAGGTGGACA−3’、Etv2のプライマーセットは5’−CAGAAGGCCTTCATCGCATCCA−3’と5’−GCTTGCCAGGGATGAGCTTGTA−3’、GATA2のプライマーセットは5’−AAGGACTTGGAGACTTGGTGGTC−3’と5’−GGCTATTTCAGAGAGGGAAGCCA−3’、Sclのプライマーセットは5’−ATGCCTTCCCTATGTTCACCACCA−3’と5’−TGAAGATACGCCGCACAACTTTGG−3’、Runx1aのプライマーセットは5’−CCGAGAACCTCGAAGACATC−3’と5’−GCTGTGTCTTCCTCCTGCAT−3’、Runx1bのプライマーセットは5’−CGACTCTCAACGGCACCCGA−3’と5’−ATGGCCGACATGCCGATGCC−3’とした。RT反応後のPCR増幅条件は、95℃で5分間の後、95℃を30秒間、60℃を30秒間、72℃を30秒間の組み合わせを45サイクルとした。結果を下表に示す。
本発明の工程1によって、ヒトiPS細胞からまず中胚葉系分化に必要なbrachyuryが発現し、それから血管・血液系分化に必要なEtv2が発現し、それから造血系に必要な遺伝子群、すなわち、Gata2, Scl, Runx1A, Runx1Bが波状に発現した。
<FACS解析>
前述の通り分化させた細胞に対し、抗ヒトPDGFRα(中胚葉系マーカー)、CD34 (造血幹細胞マーカー)、CD43 (汎血球マーカー)、CD45(汎血球マーカー)抗体を用いてFACS解析を行なった。細胞浮遊液に抗体溶液を添加し、4℃ で20−60分間反応させた後、蛍光標識した細胞をFACS Accuri flow cytometer (Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いて解析した。結果を図1に示す。
観察した表面マーカーは、PDGFRα(中胚葉系マーカー)、CD34 (造血幹細胞マーカー)、CD43 (汎血球マーカー)、及びCD45 (汎血球マーカー)である。発生上、PDGFRα、CD34, CD43, そして、CD45の順に発現すると言われている。図1から明らかなように、CD34の発現は day 4から確かに見られた。しかし、CD43及びCD45の発現はほとんど見られなかった。すなわち、試験管内の培養では、造血系分化のために必要な何らかの要素が欠けているために、試験管内の培養ではiPS細胞は造血幹細胞には分化しないことがわかる(図1)。
図2は、以上のデータを図示したものである。Brachyury, Etv2, Scl, 及びRunxが波状に発現し、また、PDGFRα及びCD34も順を追って発現する。ここまでは、造血系細胞への発生の過程を忠実に再現している。しかし、その後に汎血球マーカーであるCD43やCD45が発現していない。試験管内では複数の因子が不足していると考えられる。そこで、実施例2では、Day 6の細胞を動物胎仔の肝臓に移植した。胎仔の肝臓は本来の造血組織であり、ここには、造血系細胞に分化するために必要な因子が全て揃っていると考えられる。
実施例2:工程1(試験管内培養)に加え、工程2(動物胎仔肝臓内への移植)を加えることによって、ヒトiPS細胞から造血幹細胞への分化が誘導され、さらに肝臓から骨髄への移行「引越し」が起こることを示す。
<iPS細胞の造血系分化培養と移植細胞の準備>
前記実施例1(2)で得られた、培養6日目の造血系ヒトiPS細胞を移植細胞とした。
<細胞群の移植後のヒツジ胎仔の肝臓及び骨髄の解析>
細胞群移植1ヶ月後のヒツジ胎仔の肝臓及び細胞群移植2ヶ月後のヒツジ胎仔の骨髄を採取し、抗活性化Notch抗体、ヒトCD34抗体及び抗ヒトCD45抗体を用いて染色して観察した。蛍光顕微鏡像を図3及び4に示す。
図4は、ヒトiPS由来細胞をヒツジ胎仔肝臓に移植して1ヶ月後に、CD45陽性細胞が認められたことを示す。細胞群は、移植前にCD45陰性であった(図4の左図)から、ヒツジ胎仔肝臓内においてCD45陽性になったことがわかる。
造血幹細胞の維持にはNotchシグナルの活性化が必須と考えられているが、移植後2ヶ月のヒツジ胎仔肝臓で、ヒトのNotchの活性化を確認した。ヒトの活性化されたNotchだけを認識する抗体で染色すると、図3の通り、移植前は染まった細胞は検出されなかったが、移植2ヶ月後のヒツジ胎仔肝臓内では、この抗体で染色される細胞があることがわかる。すなわち、ヒツジ胎仔肝臓内で初めてヒトNotchシグナルが活性化されたことを示す。
移植後2ヶ月のヒツジ胎仔骨髄においても、ヒトCD34陽性細胞の生着、ヒトCD45陽性細胞の生着及び活性化したヒトNotchシグナルが認められた。すなわち、ヒトの造血幹細胞は、ヒツジ胎仔肝臓から骨髄へと移動した。この時期、造血組織が肝臓から骨髄に移動するのは、哺乳類に特徴的に見られる造血発生過程であり、本工程はそれを忠実になぞっていることを示す(図3、4)。
以上をまとめると、ヒツジ胎仔肝臓内でヒト細胞のCD45が陽転し、Notchシグナルが活性化され、さらに、それが骨髄に移動することがわかった。ヒト造血幹細胞はヒツジ体内で育つと言える。
実施例3:CD34陰性細胞を含む細胞群を移植した場合には、生後のヒツジ体内で効率よくヒト造血幹細胞ができることを示す。
<iPS細胞の造血系分化培養と移植細胞の準備>
前記実施例1(2)で得られた、培養6日目の造血系ヒトiPS細胞を移植用細胞とした。
<臍帯中のCD34陽性細胞群の調製>
凍結ヒト臍帯血細胞は、理研セルバンクより購入したものを用いた。Ficoll−Hypaque(GEヘルスケア)液上に重層して単核球分画を得て、磁気標識した抗ヒトCD34抗体(Miltenyi Biotech)をプロトコールどおりに反応させてCD34陽性細胞を分離回収した。得られた細胞群を、ヒツジ胎仔への移植に用い、対照とした。
<ヒツジの胎仔への細胞の移植>
実験用ヒツジ取り扱い業者ジャパンラムから購入した妊娠ヒツジを使用した。妊娠約60日目に移植を予定し、移植の1週間〜10日前に、移植時における飼育環境に慣れさせた。また、腹部超音波検査による胎仔の確認を行なった。移植6日前には、ブスルファンを母体重量換算で3 mg/kg、母体静脈内から投与した。
ヒツジ母体を、キシラジン静脈注射(0.03mg/kg体重)で麻酔した。ヒツジを、手術台上に仰向けに寝かせ、四肢を固定後、自発呼吸のもとO/空気/セボフルレンで全身麻酔下に手術を行なった。手術は、清潔操作で行なった。下腹部正中切開で開腹後、子宮を腹腔内に翻転させた。移植用細胞の注入場所は、胎仔の肝実質内とした。
細胞移植法は、I)子宮切開法、II)超音波ガイド法の二通りとした。子宮切開法の場合、ヒツジの子宮筋層を切開し、温存したまま露出させた卵膜内にヒツジ胎仔を追い込み、透明な卵膜を通して直視下に胎仔腹腔内に23G針で、移植用細胞(1×10〜1×10細胞)を穿刺注入し、子宮筋層、腹膜筋層、皮膚を層々に縫合閉腹した。また、超音波ガイド法の場合、子宮を切開せず、子宮壁上から超音波ガイド下、ヒツジ胎仔肝実質内に23GPTC針で、細胞(1×10〜1×10細胞)を穿刺注入し、腹膜筋層、皮膚を層々に縫合閉腹した。手術終了後、抗生物質(マイシリン・ゾル)を筋肉内注射した。ついで、抜管し、ヒツジの麻酔覚醒を確認した。
<サンプルの取得>
ヒトiPS細胞由来の細胞群を移植したヒツジから、出生後よりおよそ2週間に1回のペースで末梢血と骨髄を採取した。対照として、臍帯中の細胞群を移植したヒツジから、出生後よりおよそ2週間に1回のペースで末梢血と骨髄を採取した。採取した試料を、無菌コニカルチューブに入れて、室温で振とう保管し、一日以内に凍結保存した。
<ヒト造血比率の算出方法>
供試体からの造血系前駆細胞のコロニー培養には、前述のヒト細胞用メチルセルロース培地MethoCultTMGFを使用した。採取および分離した骨髄細胞を35mm培養ディッシュ(Cat No.1008, FALCON)中で1mlメチルセルロース培地中に5−10x10の濃度で培養した(37℃、5%CO in air)。10−14日後、ディッシュ上の骨髄球・マクロファージコロニー(CFU−GM)、赤芽球コロニー(CFU−E)及び混合コロニー(CFU−Mix)の形成を観察した。個々のコロニーは96ウェルプレート中の50μlの蒸留水(ニッポンジーン社製)中に移し、99.0℃で5分間処理した後に55.0℃で1時間20μg/ml Proteinase K(タカラ社製)で除蛋白し、DNAを溶出した。それぞれのサンプルの5μlをPCR分析に用いた。96ウェルプレートのそれぞれのウェルについて、250ngのDNAをテンプレートとして用い、ヒトに特異的な ND5遺伝子配列(ヒツジND5は検出できない)をターゲットとしてnested PCRを行った。ND5配列に対する外側のプライマーセットは5’−ACTGAGCCACAACCCAAACA−3’と5’−CTGCTCGGGCGTATCATCAA−3’、そして内側のプライマーセットは5’−TTCATCCCTGTAGCATTGTTCG−3’と5’−GTTGGAATAGGTTGTTAGCGGTA−3’である。PCR反応には、MasterCycler(エッペンドルフ)を用い、各PCRサイクルは変性、アニーリングおよび伸長の3ステップからなり、外側のPCR増幅条件は、95℃を30秒間、60℃を30秒間、72℃を30秒間の組み合わせを25サイクルとした。内側のPCR増幅条件は、95℃を30秒間、58℃を30秒間、72℃の組み合わせを30サイクルとした。反応液はTakara Taq DNA ポリメラーゼ(RR001B, タカラ)のTaq入りのバッファーにDNAとプライマーをプロトコールどおりに混合して作製した。陰性コントロールには反応液の作製に用いた蒸留水(ニッポンジーン社製)、コロニー分析で使用したメチルセルロースおよび通常のヒツジの血液サンプルDNA、そして陽性コントロールにはヒトDNAを用いた。増幅された生成物(135bp)はLoading Buffer(Wako社製)と10:1で混合し、エチジウムブロマイド(15585−011, GIBCO社製)を加えた2%アガロースゲルで電気泳動した。分子量マーカーには100b Plus DNA Ladder(Invtrogen社製)を使用した。電気泳動後のゲルは、紫外線照射下で可視化した。個体のキメラ率の算出は、β−actinの検出されたウェル数に対するヒトND5の検出されたウェル数の比によって算出した。
<結果>
各条件における移植した細胞の総数、CD34陽性細胞数、CD34陰性細胞数、CD34陰性細胞の割合、ヒト造血比率、及びヒト造血比率1%を得るのに必要なCD34陽性細胞数(CD34陽性細胞数÷ヒト造血比率)を調べた。結果を下表に示す。
ヒトiPS由来細胞は7頭のヒツジ胎仔に移植した。その結果、4頭が生まれ、そのヒト造血キメラ率は、2.3〜6.3%だった。一方、陽性コントロールとして、ヒト臍帯血CD34細胞を6頭のヒツジ胎仔に移植したが、生後のヒト造血キメラ率は1.1〜2.3%だった。ヒトiPS細胞の方が、臍帯血に存在する本来の造血幹細胞より高いキメラ率が得られた。しかし、移植した細胞数をたとえばCD34陽性細胞数で見ると、両グループ間で異なるので、このキメラ率を単純に比較することはできない。両者を定量比較するために、ヒト造血比率1%を達成するために必要なCD34細胞数を算出したところ、ヒトiPS細胞は臍帯血と比べて、ほぼ同等の造血再構築能をもつことが分かった。
以上のように、多能性幹細胞を、血液系細胞への分化誘導に適した条件のもと培養して得られたCD34陰性細胞を含む細胞群をヒツジ胎仔に移植することにより、より少量のCD34陽性細胞数を用いて、より多くのヒト造血系細胞が得られることがわかった。
この結果から、多能性幹細胞を、血液系細胞への分化誘導に適した条件のもと培養して得られた細胞群には、造血幹細胞よりも分化段階が未成熟の血液系細胞や、造血幹細胞への分化を誘導する細胞が含まれていると考えられる。
多能性幹細胞を、血液系細胞への分化誘導に適した条件のもと培養して得られた細胞群を移植したヒツジには、移植16ヶ月後もヒト造血細胞が検出された。
以下のポイントにより、ヒト臍帯血幹細胞という本来の造血幹細胞に匹敵する、きわめて高い効率でヒツジ体内におけるヒト造血が再現できると考えられる。
(1)培養法
Brachyury、Etv2、Scl、 Runxが波状に発現しながら、PDGFRα、CD34も順を追って発現するような培養法を工夫し、汎血球マーカーのCD43、CD45が出現すべきポイントより前となる、培養6日目に移植した。培養12日目よりも後のような、汎血球マーカーのCD43、CD45が出現すべきポイントから遅れると、造血分化のタイミングを逸すると思われる。培養17日目で移植した例があったが(Blood.2006 Mar 1;107(5):2180−2183.doi:10.1182/blood−2005−05−1922)、これでは移植するタイミングが遅いと考えられる。
(2)移植細胞
CD34陰性分画を含む細胞を移植した。従来、ヒト造血幹細胞はCD34陽性分画にあると考えられており、実際、臨床でもCD34陽性細胞移植が行われている。しかし、マウスでも同様に、CD34陰性分画に造血幹細胞が存在する。このことは次の実施例で証明する。
(3)胎仔の前処理
前処置としてブスルファンを投与した上でヒトiPS由来細胞を移植したことも理由の一つである。
(4)移植部位
胎仔の肝臓内、すなわち造血組織の中に細胞を移植したことである。
実施例4:ヒトiPS細胞由来のCD34陰性細胞のみの移植実施例
従来、マウスの造血幹細胞はCD34陰性と言われ、一方、ヒトの造血幹細胞はCD34陽性と言われていた。本実施例では、ヒトにおいてもCD34陰性分画にも造血幹細胞は存在することを示す。
<ヒツジの胎仔への細胞の移植及びヒツジからの試料採取>
<実施例1の<iPS細胞の造血系分化培養>で得られた細胞群中のCD34陽性細胞の除去>
細胞分離用磁気ビーズ試薬及び精製カラム(CD34に対する磁気ビーズ結合モノクローナル抗体(ミルテニーバイオテク社製)と純化カラム(ミルテニーバイオテク社製)を用いて、実施例3の<iPS細胞の造血系分化培養>で得られた細胞群から細胞表面CD34発現細胞を除去した。
これにより得られた細胞群をFACSで解析した。結果を図5の左図に示す。FACS上、細胞群中のCD34陽性細胞は0.0%であった。このことから、得られた細胞群にはCD34陰性細胞のみが含まれていたことがわかる。
このCD34陰性細胞のみが含まれている細胞群を、実施例3と同様に、ヒツジの胎仔に移植し、実施例3と同様にヒト造血比率を解析した。移植した細胞の総数、CD34陽性細胞数、CD34陰性細胞数、ヒト造血比率、及びヒト造血比率1%を得るのに必要なCD34陽性細胞数を下表に示す。
この結果から、多能性幹細胞を、血液系細胞への分化誘導に適した条件のもと培養して得られた細胞群には、造血系細胞よりも分化段階が未成熟の細胞が含まれていると考えられる。
多能性幹細胞を、血液系細胞への分化誘導に適した条件のもと培養して得られた細胞群中の細胞のうち、CD34陰性細胞群のみを含む細胞群を移植したヒツジには、移植3ヶ月後にヒト造血細胞が検出された。このことは、CD34陰性分画に造血幹細胞が存在することを意味する。
実施例5:臍帯血由来の細胞群を移植したヒツジへのリンパ球の輸注
本実施例では、リンパ球をヒツジに移植した場合に、ヒツジ体内のヒト造血が亢進することを示す。
<臍帯中のリンパ球の調製>
臍帯血幹細胞を移植する際、通常リンパ球は不要成分として取り除くが、本実施例ではそのリンパ球を捨てずに用いた。具体的には、ヒト臍帯血からCD34陽性細胞を分離したあと、残りの細胞を凍結保存した。CD34陽性細胞を移植したヒツジが出生した後、凍結保存した細胞を融解し、CD3/28磁気ビーズ(Dynal)を添加したリンパ球培養培地(ヒト組換えIL−2を30U/ml添加したRPMI−1640(インビトロジェン社製))で14日間培養後、得られた細胞群を生後のヒツジへの注入に用いた。注入に用いたリンパ球には、NK細胞、γδT細胞及びNKT細胞が含まれている。
<臍帯血由来の細胞群を移植したヒツジへのヒトリンパ球の輸注効果>
臍帯由来の細胞群を移植したヒツジが出生後、4.8×10/kg又は10.2×10/kgのヒトリンパ球を静脈内投与した。そして、このヒツジから2週間に1回のペースで末梢血と骨髄を採取した。採取した試料について、ヒト造血比率(ヒトCFU率(%))を調べた。結果を図6及び表5に示す。
投与から8週間後にヒト造血比率が上昇した。ヒト造血比率が上昇するのにヒトリンパ球の投与から8週間もの期間がかかったことなどから、リンパ球が免疫学的機序等に影響を及ぼした結果、ヒト造血幹細胞が増大したものと考えられた。
実施例6:ヒトiPS細胞由来細胞群を移植したヒツジへのリンパ球の輸注
本実施例では、実施例3で得られたヒトiPS細胞由来細胞群を移植したヒツジに対してリンパ球を輸注すると、ヒツジ体内のヒト造血が亢進することを示す。
<ヒトリンパ球の調製>
ヒトiPS細胞由来細胞を移植したヒツジが出生した後、iPS細胞が由来した同一人物からの末梢血単核球を、CD3/28磁気ビーズ(Dynal)を添加したリンパ球培養培地(ヒト組換えIL−2を30U/ml添加したRPMI−1640[インビトロジェン社製])で14日間培養後、得られた細胞群を生後のヒツジへの注入に用いた。注入に用いたリンパ球には、NK細胞、γδT細胞及びNKT細胞が含まれる。
<ヒトiPS細胞由来細胞群を移植したヒツジへのヒトリンパ球の輸注効果>
ヒトiPS細胞由来細胞群を移植したヒツジが出生後、9.3×10/kgのヒトリンパ球を静脈内投与した。そして、ヒトリンパ球の注入8週間後に、このヒツジから骨髄を採取した。採取した試料について、ヒト造血比率(ヒトCFU率[%])を調べた。結果を表6に示す。実施例5と同様に、ヒト造血比率が上昇した。
[配列表]

Claims (23)

  1. 霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血系細胞への分化誘導に適した条件で培養する、CD34陰性細胞が含まれる細胞群を得る第一工程と、
    前記第一工程で得た細胞群の少なくとも一部を前記霊長類動物とは異なる動物の胎仔に移植する第二工程と、
    前記胎仔が出生に至って得られた仔動物を育成させて得た動物の体内から前記霊長類動物の造血系細胞を得る第三工程と、
    を有する、霊長類動物の造血系細胞の作製方法。
  2. 前記第一工程において、霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血系細胞への分化誘導に適した条件で2〜12日間培養する、請求項1に記載の霊長類動物の造血系細胞の作製方法。
  3. 前記第一工程において、霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血系細胞への分化誘導に適した条件でBrachyury、PDGFRα、Etv2、又は、Sclの遺伝子又はタンパク質を発現する細胞が出現するまで培養する、請求項1又は2に記載の霊長類動物の造血系細胞の作製方法。
  4. 前記第一工程の前に多能性幹細胞に対して遺伝子改変処理する工程を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の霊長類動物の造血系細胞の作製方法。
  5. 前記霊長類動物とは異なる動物が、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ又は、ヤギから選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の霊長類動物の造血系細胞の作製方法。
  6. 前記第二工程において、前記第一工程で得た細胞群の少なくとも一部を前記霊長類動物とは異なる動物の胎仔の造血発生器官に移植する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の霊長類動物の造血系細胞の作製方法。
  7. 前記霊長類動物がヒトである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の霊長類動物の造血系細胞の作製方法。
  8. 前記多能性幹細胞がiPS細胞である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の霊長類動物の造血系細胞の作製方法。
  9. 前記胎仔が出生に至って得られた仔動物に対して、前記キメラ非ヒト動物とは異種の動物のリンパ球を投与する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の霊長類動物の造血系細胞の作製方法。
  10. 前記第二工程の前に、前記胎仔の内因性の造血系細胞の増殖を抑制する工程をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の霊長類動物の造血系細胞の作製方法。
  11. 前記胎仔の内因性の造血細胞の増殖を抑制する工程において、化学療法剤若しくは免疫抑制剤を前記胎仔に投与する、または、放射線を前記胎仔に照射する、請求項10に記載の霊長類動物の造血系細胞の作製方法。
  12. 前記胎仔の内因性の造血細胞の増殖を抑制する工程において、ブスルファンを前記胎仔に投与する、請求項11に記載の霊長類動物の造血系細胞の作製方法。
  13. 霊長類動物の多能性幹細胞の細胞群を、造血系細胞への分化誘導に適した条件で培養する、CD34陰性細胞が含まれる細胞群を得る第一工程と、
    前記第一工程で得た細胞群の少なくとも一部を前記霊長類動物とは異なる動物の胎仔に移植する第二工程と、
    前記胎仔が出生に至って得られた仔動物を育成させて前記霊長類動物の造血系細胞を生産するキメラ動物を得る第三工程と、
    を有する、霊長類動物の造血系細胞を生産するキメラ非ヒト動物の作製方法。
  14. 前記第一工程において、造血系細胞への分化誘導に適した条件で2〜12日間培養する、請求項13に記載のキメラ非ヒト動物の作製方法。
  15. 前記第一工程の前に多能性幹細胞に対して遺伝子改変処理する工程を有する、請求項13又は14に記載のキメラ非ヒト動物の作製方法。
  16. 霊長類動物の血液系細胞を生産する、前記霊長類動物とは異種の体細胞を有する、キメラ非ヒト動物。
  17. 請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法により作製された、請求項16に記載のキメラ非ヒト動物。
  18. 請求項16又は17に記載のキメラ非ヒト動物から得られた造血系細胞。
  19. 霊長類動物由来の造血系細胞を有するキメラ非ヒト動物に対して、前記キメラ非ヒト動物とは異種の動物のリンパ球を投与する工程を有する、キメラ非ヒト動物の体内の造血系細胞について前記霊長類動物由来の造血系細胞の比率を高める方法。
  20. 前記リンパ球が、MHC非拘束性リンパ球である、請求項19に記載の方法。
  21. 前記リンパ球が、NK細胞、γδT細胞、又はNKT細胞である、請求項20に記載の方法。
  22. 前記キメラ非ヒト動物は、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ又はヤギに対してヒト、類人猿又はサル由来の造血幹細胞を移植して得たものである、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 請求項19〜22のいずれか1項に記載の方法に対し、前記キメラ動物から造血系細胞を得る工程をさらに有する、造血系細胞の作製方法。
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