JPWO2017026494A1 - 電磁界測定方法、電磁界測定装置及び位相イメージング装置 - Google Patents

電磁界測定方法、電磁界測定装置及び位相イメージング装置 Download PDF

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Abstract

電磁界測定装置(10)は、電界を測定するために空間に配置される第1プローブ(21)及び第2プローブ(22)と、参照信号を生成する参照信号発生器(31)と、第1プローブ(21)で得られた信号に参照信号を乗じる第1乗算器(32)と、第1乗算器(32)から出力された信号に第2プローブ(22)で得られた信号を乗じる第2乗算器(34)と、第2乗算器(34)から出力された信号から、参照信号に同期する信号成分を抽出する同期検波器(35)とを備える。

Description

本発明は、電磁界測定方法及び電磁界測定装置に関し、特に、放射電界又は放射磁界の振幅及び位相の空間分布を安定かつ精密に測定するのに適した電磁界測定方法等に関する。
アンテナからの放射パターンの解析等には、放射電界又は放射磁界の振幅及び位相の空間分布を測定する必要がある。
従来、放射電界又は放射磁界の振幅及び位相の空間分布を測定する技術として、被測定系と測定系とを同期させる手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−134169号公報
しかしながら、被測定系と測定系とを同期させる手法では、信号発生源に対して外部から同期信号を注入できない場合、例えば、信号発生源とアンテナ等の放射体とが集積された回路(オンチップアンテナ)である場合には、位相測定のために測定系を被測定信号に同期させる必要がある。ところが、広いロッキングレンジを有する位相同期ループを構成することは一般に困難である。
そこで、本発明は、被測定系と測定系とを同期させることなく、安定かつ精密に電界又は磁界の空間分布を測定できる電磁界測定方法、電磁界測定装置及び位相イメージング装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一形態に係る電磁界測定方法は、電界又は磁界を測定するために空間に第1プローブ及び第2プローブを配置する配置ステップと、前記第1プローブで得られた信号に参照信号発生器で生成された参照信号を乗じる第1乗算ステップと、前記第1乗算ステップで得られた信号に、前記第2プローブで得られた信号を乗じる第2乗算ステップと、前記第2乗算ステップで得られた信号から、前記参照信号発生器で生成された参照信号に同期する信号成分を抽出する同期検波ステップとを含む。
これにより、被測定電磁界に配置された2本のプローブを用いることで、被測定電磁界における電界又は磁界の位相及び周波数ゆらぎがキャンセルされるので、被測定電磁界における電界又は磁界の周波数が変動する場合であっても、被測定系と測定系とを同期させることなく、安定かつ精密に電界又は磁界の空間分布が測定される。その結果、信号発生源とアンテナ等の放射体とが集積された回路(オンチップアンテナ)からの放射パターンを、被測定系と測定系とを同期させることなく測定できる。
ここで、前記配置ステップでは、前記第2プローブを前記空間において固定した状態で、前記第1プローブを前記空間における複数の測定点に順に移動させて配置し、前記第1乗算ステップ、前記第2乗算ステップ及び前記同期検波ステップは、前記配置ステップにおいて前記第1プローブが前記複数の測定点のそれぞれに配置される毎に、実行されてもよい。
これにより、第1プローブを空間における複数の測定点に順に移動させて計測を繰り返すことで、被測定電磁界における電界又は磁界の振幅及び位相の空間分布が測定される。
また、前記配置ステップでは、前記第1プローブと前記第2プローブとの間隔を固定した状態で、前記第1プローブ及び前記第2プローブを一体的に前記空間における複数の測定点に順に移動させて配置し、前記第1乗算ステップ、前記第2乗算ステップ及び前記同期検波ステップは、前記配置ステップにおいて前記第1プローブ及び前記第2プローブが前記複数の測定点のそれぞれに配置される毎に、実行されてもよい。
これにより、第1プローブ及び第2プローブの一方を固定しておいて他方を空間走査することが困難な状況においても、測定点間の位相関係が求められ、結果として、被測定電磁界における電界又は磁界の振幅及び位相の空間分布の測定が可能になる。
また、前記配置ステップでは、現在の測定点における前記第1プローブ及び前記第2プローブの一方の位置が、次の測定点における前記第1プローブ及び前記第2プローブの他方の位置に一致することとなるように、前記第1プローブ及び前記第2プローブを一体的に移動させてもよい。
これにより、複数の測定点における位相については、隣接する2つの測定点間での位相関係が求まるので、結果として、複数の測定点の全てにおける位相が求められる。
また、前記配置ステップでは、所定時点における前記第1プローブと前記第2プローブとの間隔を分割して得られる複数の位置のそれぞれに、前記第1プローブ及び前記第2プローブの一方が順に位置することとなるように、前記第1プローブ及び前記第2プローブを一体的に移動させてもよい。
これにより、第1プローブと第2プローブとの間隔よりも小さい間隔で、つまり、高い空間分解能で、測定点間の位相関係が求められ、結果として、被測定電磁界における電界又は磁界の振幅及び位相の空間分布が測定される。
またさらに、前記第1プローブで得られた信号に前記参照信号を乗じ、得られた信号に前記第1プローブで得られた信号を乗じ、得られた信号から、前記参照信号に同期する信号成分を抽出することで、前記参照信号のオフセット位相を算出するオフセット位相算出ステップを含んでもよい。
これにより、複数本のプローブを一体的に移動させる場合において、被測定電磁界の計測と同時に参照信号のオフセット位相が求まり、同期検波ステップで抽出される信号成分の位相からノイズとしてのオフセット位相φoffを差し引くことができるので、高い精度で位相差が求められる。
また、さらに、前記複数の測定点の一つについて、前記配置ステップにおける前記第1プローブ及び前記第2プローブの位置を入れ換えた状態で、前記第1乗算ステップ、前記第2乗算ステップ及び前記同期検波ステップを実行し、前記配置ステップにおいて前記同期検波ステップで抽出された信号成分の位相と、前記入れ換え後における前記同期検波ステップで抽出された信号成分の位相とを加算することで、前記参照信号のオフセット位相を算出するオフセット位相算出ステップを含んでもよい。
これにより、複数本のプローブを一体的に移動させる場合において、プローブを入れ換えることで参照信号のオフセット位相が求まり、同期検波ステップで抽出される信号成分の位相からノイズとしてのオフセット位相を差し引くことができるので、高い精度で位相差が求められる。
また、上記目的を達成するために、本発明の一形態に係る電磁界測定装置は、電界又は磁界を測定するために空間に配置される第1プローブ及び第2プローブと、参照信号を生成する参照信号発生器と、前記第1プローブで得られた信号に前記参照信号を乗じる第1乗算器と、前記第1乗算器から出力された信号に前記第2プローブで得られた信号を乗じる第2乗算器と、前記第2乗算器から出力された信号から、前記参照信号に同期する信号成分を抽出する同期検波器とを備える。
これにより、被測定電磁界に配置された2本のプローブを用いることで、被測定電磁界における電界又は磁界の位相及び周波数ゆらぎがキャンセルされるので、被測定電磁界における電界又は磁界の周波数が変動する場合であっても、被測定系と測定系とを同期させることなく、安定かつ精密に電界又は磁界の空間分布が測定される。その結果、信号発生源とアンテナ等の放射体とが集積された回路(オンチップアンテナ)からの放射パターンを、被測定系と測定系とを同期させることなく測定できる。
ここで、さらに、前記第1プローブから出力される信号の周波数をより低い中間周波数に変換する第1周波数変換器と、前記第2プローブから出力される信号の周波数を前記中間周波数に変換する第2周波数変換器とを備え、前記第1乗算器は、前記第1周波数変換器から出力された信号に前記参照信号を乗じ、前記第2乗算器は、前記第1乗算器から出力された信号に前記第2周波数変換器から出力された信号を乗じてもよい。
これにより、2本のプローブから出力される被測定電界又は被測定磁界の振幅及び位相に応じた信号(RF信号)の周波数がダウンコンバートされるので、周波数が比較的高い電磁界(例えば、マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波等の電磁界)についても測定が可能になる。
また、さらに、前記第1乗算器から出力された信号から、前記第1乗算器に入力された信号の周波数と前記参照信号の周波数との和又は差の周波数をもつ信号成分を選択するフィルタを備え、前記第2乗算器は、前記フィルタから出力された信号に前記第2プローブから出力される信号を乗じてもよい。
これにより、第1乗算器から出力された信号のうち、第1乗算器に入力された信号及び参照信号それぞれの周波数の差又は和の周波数をもつ不要な信号成分が除去され、和又は差の周波数をもつ必要な信号成分だけが選択されて出力されるので、続く信号処理が安定化される。
また、前記第1プローブ及び前記第2プローブは、検出した電界に応じた光信号を出力し、前記第1周波数変換器は、前記第1プローブから出力された光信号を、当該光信号の周波数よりも低い中間周波数の電気信号に変換し、前記第2周波数変換器は、前記第2プローブから出力された光信号を前記中間周波数の電気信号に変換し、前記第1乗算器は、前記第1周波数変換器から出力された電気信号に前記参照信号を乗じ、前記第2乗算器は、前記第1乗算器から出力された信号に前記第2周波数変換器から出力された電気信号を乗じもよい。
これにより、2本のプローブからは光信号で出力されて処理されるので、周波数が比較的高い電磁界(例えば、マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波等の電磁界)に対して安定した測定が可能になる。
また、上記目的を達成するために、本発明の別の一形態に係る電磁界測定装置は、電界又は磁界を測定するために空間に配置される第1プローブ及び第2プローブと、前記第1プローブで得られた信号をデジタル値に変換する第1A/D変換器と、前記第2プローブで得られた信号をデジタル値に変換する第2A/D変換器と、前記第1A/D変換器及び前記第2A/D変換器から出力された信号を処理するコンピュータ装置とを備え、前記コンピュータ装置は、前記第1A/D変換器から出力された信号に参照信号を乗じる第1乗算ステップと、前記第1乗算ステップで得られた信号に前記第2A/D変換器から出力された信号を乗じる第2乗算ステップと、前記第2乗算ステップで得られた信号から、前記参照信号に同期する信号成分を抽出する同期検波ステップとを実行してもよい。
これにより、雑音キャンセル処理がデジタル信号処理によって実現されるので、DSP(Digital Signal Processor)やデジタルフィルタ、FPGA(Field−Programmable Gate Array)等を含む論理回路又はプログラムによって高い精度で安定した信号処理が行われる。
また、上記目的を達成するために、本発明の別の一形態に係る位相イメージング装置は、電磁波が対象物を透過又は反射するときの前記電磁波の位相シフト量を測定して画像化する位相イメージング装置であって、電磁波を出射する電磁波源と、前記電磁波源から出射された電磁波を第1電磁波及び第2電磁波に分岐させる光学装置と、前記光学装置で分岐された前記第1電磁波及び前記第2電磁波のうち前記第1電磁波だけが前記対象物における2次元状の複数の測定点を順に走査しながら入射するように、前記対象物と前記第1電磁波との相対的位置関係を変化させる機構部と、前記対象物を透過又は反射した前記第1電磁波と前記対象物を透過及び反射していない前記第2電磁波との位相差を、前記複数の測定点のそれぞれについて、測定する上記電磁界測定装置と、前記電磁界測定装置で測定された位相差を、前記複数の測定点に対応させて画像化する画像化装置とを備え、前記電磁界測定装置は、当該電磁界測定装置が備える第1プローブ及び第2プローブを用いて、それぞれ、前記第1電磁波及び前記第2電磁波を検出し、前記画像化装置は、前記電磁界測定装置が備える同期検波器で抽出された信号成分の位相を前記位相差として画像化してもよい。
これにより、周波数ゆらぎを有する電磁波源を用いた場合であっても、周波数ゆらぎがキャンセルされた位相差による画像化が行われるので、安定して高精度な位相イメージングが可能になる。
なお、本発明は、上記のよう電磁界測定方法及び電磁界測定装置として実現できるだけでなく、上記電磁界測定装置が備えるコンピュータ装置が実行するステップを含むプログラムとして実現してもよいし、そのプログラムが記録されたCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現してもよい。
本発明により、被測定系と測定系とを同期させることなく、安定かつ精密に電界又は磁界の空間分布を測定できる電磁界測定方法及び電磁界測定装置が提供される。
よって、携帯電話やスマートフォン等の集積化された回路を備える無線通信装置が広く普及してきた今日において、アンテナからの放射パターンの解析等に好適な本発明の実用的価値は極めて高い。
図1は、本発明の実施の形態における電磁界測定装置の構成を示すブロック図である。 図2は、本発明の実施の形態における電磁界測定装置を用いた電磁界測定方法の手順を示すフローチャートである。 図3は、本発明の実施の形態における電磁界測定装置の動作確認のための実験系の構成を示すブロック図である。 図4Aは、図3に示された実験系で得られた検出信号の波形を示す図である。 図4Bは、従来技術の信号処理で得られた検出信号の波形を示す図である。 図5は、図3に示される実験系において2つの発振器の一方から出力される信号の位相を時間に対して線形に変化させた時に得られた検出信号の波形を示す図である。 図6は、本発明の実施の形態の第1変形例に係る電磁界測定装置の構成を示すブロック図である。 図7は、本発明の実施の形態の第1変形例に係る電磁界測定装置を用いた実験の結果を示す図である。 図8は、本発明の実施の形態の第2変形例に係る電磁界測定装置が備える雑音キャンセル部の構成を示すブロック図である。 図9は、本発明の実施の形態の第2変形例に係る電磁界測定装置を用いた実験の結果を示す図である。 図10は、2本のプローブを一体的に移動させて空間走査する電磁界測定方法を説明する図である。 図11は、図10に示される、2本のプローブを一体的に走査させる方法による実験によって得られた測定値とシミュレーション結果とを示す図である。 図12は、測定用プローブ及び参照用プローブを、プローブ間隔Δxよりも小さい距離だけ、一体的に、ずらしながら移動させて空間走査する電磁界測定方法を説明する図である。 図13は、図12に示される電磁界測定方法による実験によって得られた測定値とシミュレーション結果とを示す図である。 図14は、本発明の実施の形態の電磁界測定装置を用いた位相イメージング装置の構成を示すブロック図である。 図15は、図14に示される位相イメージング装置による実験を説明するための図である。 図16は、参照信号発生器から同期検波器に入力される参照信号に含まれるオフセット位相の算出方法を説明するための図である。 図17は、本発明に係る電磁界測定装置によって得られた被測定電磁界の位相の空間分布を可視化した例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
図1は、本発明の実施の形態における電磁界測定装置10の構成を示すブロック図である。電磁界測定装置10は、アンテナ等からの放射電界又は放射磁界の振幅及び位相の空間分布を測定する装置であり、大きく分けて、検出部20及び雑音キャンセル部30から構成される。
検出部20は、2つのプローブを用いて被測定電磁界における電界又は磁界を検出するための処理部であり、第1プローブ21、第2プローブ22、第1周波数変換器23及び第2周波数変換器24で構成される。
第1プローブ21は、被測定電磁界の空間における測定点に配置される測定用の電界プローブ又は磁界プローブであり、測定点における被測定電界又は被測定磁界の振幅及び位相に応じた信号(RF信号)を出力する。なお、測定点は、被測定電界又は被測定磁界の振幅及び位相の空間分布を計測するために予め定められた空間位置であり、例えば、一次元、二次元又は三次元のメッシュにおける格子点である。
第2プローブ22は、被測定電磁界の空間における基準点に固定して配置される参照用の電界プローブ又は磁界プローブであり、基準点における被測定電界又は被測定磁界の振幅及び位相に応じた信号(RF信号)を出力する。なお、基準点は、測定点における被測定電界又は被測定磁界の位相の基準となる位相を検出するための位置であり、被測定電磁界の空間内であれば、いずれの位置であってもよい。
なお、本実施の形態では、第1プローブ21及び第2プローブ22は、いずれも、電界測定用のプローブ(電界プローブ)であるとして、以下の説明をする。
第1周波数変換器23は、第1プローブ21から出力されるRF信号の周波数をより低い中間周波数(IF)に変換するダウンコンバータであり、例えば、第1プローブ21から出力されるRF信号と局部発振器(図示せず)から出力されたLO(Local oscillator)信号とを混合することでそれら両信号の周波数の差の周波数(中間周波数)をもつ第1IF信号に変換するミキサである。具体的には、第1プローブ21から出力されるRF信号の周波数をfRF、LO信号の周波数をfLOとすると、第1周波数変換器23は、中間周波数fIF(=|fRF−fLO|)の第1IF信号を生成する。
第2周波数変換器24は、第2プローブ22から出力されるRF信号の周波数を、第1周波数変換器23が出力する信号の周波数と同じ中間周波数(IF)に変換するダウンコンバータであり、例えば、第2プローブ22から出力されるRF信号と上記LO信号とを混合することでそれら両信号の周波数の差の周波数(中間周波数)をもつ第2IF信号に変換するミキサである。具体的には、第2プローブ22から出力されるRF信号の周波数をfRF、LO信号の周波数をfLOとすると、第2周波数変換器24は、中間周波数fIF(=|fRF−fLO|)の第2IF信号を生成する。
なお、第1周波数変換器23及び第2周波数変換器24は、第1プローブ21及び第2プローブ22から出力されるRF信号の周波数が比較的高い場合(例えば、マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波等)に設ければよく、RF信号の周波数が数十MHz以下程度の比較的低い場合には、設けなくてもよい。この場合には、第1プローブ21から出力されるRF信号は雑音キャンセル部30の第1乗算器32に直接入力され、第2プローブ22から出力されるRF信号は雑音キャンセル部30の第2乗算器34に直接入力される。
雑音キャンセル部30は、被測定電磁界における電界又は磁界の位相及び周波数ゆらぎ(RF信号とLO信号との相対的周波数ゆらぎも含む)をキャンセルするための処理部であり、参照信号発生器31、第1乗算器32、フィルタ33、第2乗算器34及び同期検波器35で構成される。なお、本実施の形態では、雑音キャンセル部30は、被測定電界の位相及び周波数ゆらぎをキャンセルするための処理部として機能する。
参照信号発生器31は、上述した位相及び周波数ゆらぎをキャンセルするのに用いられる参照信号を発生する回路であり、例えば、単一の周波数fsの信号を発生する。
第1乗算器32は、第1プローブ21で得られた信号に参照信号発生器31が発生した参照信号を乗じる乗算器であり、例えば、アナログ乗算器又はミキサである。本実施の形態では、第1プローブ21の後に第1周波数変換器23が接続されているので、第1乗算器32は、第1周波数変換器23から出力された第1IF信号に参照信号発生器31が発生した参照信号を乗じ、その結果、第1乗算器32に入力された信号の周波数(ここでは、中間周波数fIF)と参照信号の周波数fsとの和の周波数(fs+fIF)及び差の周波数(fs−fIF)をもつ信号成分を含む信号を出力する。
フィルタ33は、第1乗算器32から出力された信号から、第1乗算器32に入力された信号の周波数(ここでは、中間周波数fIF)と参照信号の周波数fsとの和又は差の周波数(本実施の形態では、差の周波数(fs−fIF))をもつ信号成分を選択する回路であり、例えば、バンドパスフィルタ又はローパスフィルタである。なお、RF信号の周波数とLO信号の周波数との関係によっては、このフィルタ33は、必ずしも必要ではない。
第2乗算器34は、第1乗算器32から出力された信号に第2プローブ22で得られた信号を乗じる乗算器であり、例えば、アナログ乗算器又はミキサである。本実施の形態では、第1乗算器32の後にフィルタ33が接続され、第2プローブ22の後に第2周波数変換器24が接続されているので、第2乗算器34は、フィルタ33から出力された信号に第2周波数変換器24から出力された第2IF信号を乗じ、その結果、フィルタ33から出力された信号の周波数(fs−fIF)と第2IF信号の周波数(fIF)との和の周波数fs(=fs−fIF+fIF)及び差の周波数(fs−2fIF)をもつ信号成分を含む信号を出力する。
同期検波器35は、第2乗算器34から出力された信号から、参照信号に同期する信号成分(周波数fsをもつ信号成分)を抽出する回路であり、例えば、第2乗算器34から出力された信号を入力とし、参照信号発生器31が発生した参照信号と同期する信号成分だけを抽出するロックインアンプである。同期検波器35から出力される検出信号は、第1プローブ21が配置された測定点における被測定電界の振幅及び位相(被測定電界において第2プローブ22が配置された基準点における被測定電界の位相を基準とする位相)を示している。このように、同期検波器35では、第2乗算器34から出力された信号のうち、被測定電界の位相及び周波数ゆらぎがキャンセルされ、かつ、中間周波数に依存する信号成分がキャンセルされた、参照信号の周波数fs(=f−fIF+fIF)をもつ信号成分だけが抽出され、被測定電界の振幅及び位相が特定される。
なお、第2乗算器34と同期検波器35との間に、第2乗算器34から出力された信号から周波数fsの信号成分だけを選択して出力するフィルタ(バンドパスフィルタ等)を設けてもよい。
次に、以上のように構成された本実施の形態における電磁界測定装置10の動作及び測定原理について、説明する。
第1プローブ21から出力されたRF信号は、第1周波数変換器23に入力され、第1周波数変換器23において、LO信号と混合され、両信号の周波数の差の周波数(中間周波数)をもつ信号に変換される。第1周波数変換器23から出力される信号Saは、以下の式1で表わされる。
Sa=Acos{2πfIFt+φ(t)+Δφ} 式1
ここで、Aは、第1プローブ21が配置された測定点における被測定電界の振幅に対応し、fIFは、中間周波数であり、φ(t)は、その被測定電界の位相ゆらぎであり、Δφは、測定点における被測定電界の位相(第2プローブ22が配置された基準点での被測定電界の位相を基準とする位相)である。なお、第1周波数変換器23を用いない場合には、上記式1は、第1プローブ21からの出力信号を表わす。そのときには、fIFは、被測定電界の周波数(RF信号の周波数)である。
一方、第2プローブ22から出力されたRF信号は、第2周波数変換器24に入力され、第2周波数変換器24において、LO信号と混合され、両信号の周波数の差の周波数(中間周波数)をもつ信号に変換される。第2周波数変換器24から出力される信号Sbは、以下の式2で表わされる。
Sb=Acos{2πfIFt+φ(t)} 式2
ここで、Aは、第2プローブ22が配置された基準点における被測定電界の振幅に対応し、fIFは、中間周波数であり、φ(t)は、その被測定電界の位相ゆらぎである。なお、第2周波数変換器24を用いない場合には、上記式2は、第2プローブ22からの出力信号を表わす。そのときには、fIFは、被測定電界の周波数(RF信号の周波数)である。
第1周波数変換器23から出力された信号は、第1乗算器32に入力され、第1乗算器32において、参照信号発生器31からの参照信号が乗じられることで、中間周波数と参照信号の周波数との和の周波数及び差の周波数をもつ信号成分を含む信号に変換される。そして、第1乗算器32から出力された信号は、フィルタ33に入力され、フィルタ33において、中間周波数と参照信号の周波数との和又は差の周波数(本実施の形態では、差の周波数)をもつ信号成分が選択される。フィルタ33から出力される信号Scは、以下の式3で表わされる。
Sc=(A/2)cos{2π(f−fIF)t+φ−φ(t)}式3
ここで、fは、参照信号の周波数であり、φは、被測定電界の位相に対する参照信号の位相である。
フィルタ33から出力された信号は、第2乗算器34に入力され、第2乗算器34において、第2プローブ22で得られた信号Sbが乗じられ、その結果、フィルタ33から出力された信号Scの周波数と第2プローブ22で得られた信号Sbの周波数との和の周波数及び差の周波数をもつ信号成分を含む信号が出力される。第2乗算器34から出力される信号のうち、フィルタ33から出力された信号Scの周波数と第2プローブ22で得られた信号Sbの周波数との和の周波数をもつ信号成分Sdは、以下の式4で表わされる。
Sd=(A/4)cos{2πft+φ+Δφ} 式4
この信号成分Sdは、フィルタ33から出力された信号Sc(式3)に存在した、被測定電界の位相ゆらぎφ(t)がキャンセルされ、かつ、中間周波数fIFに依存する周波数成分がキャンセル(f−fIF+fIF)された、参照信号の周波数fsをもつ信号成分である。なお、位相ゆらぎがキャンセルされることは、周波数ゆらぎもキャンセルされることを意味する。
第2乗算器34から出力された信号は、同期検波器35に入力され、同期検波器35において、参照信号発生器31からの参照信号と同期する信号成分Sdだけが抽出される。同期検波器35で抽出される信号成分の振幅A及び位相φは、それぞれ、以下の式5及び式6で表わされる。
A=A/4 式5
φ=Δφ 式6
同期検波器35で得られた振幅Aは、被測定電界における、測定点での振幅Aと基準点での振幅Aとの積に対応し、同期検波器35で得られた位相φは、基準点での位相を基準とする測定点での位相Δφを示す。このようにして、基準点を基準とする測定点における被測定電界の振幅及び位相が測定される。
なお、上記式1〜式6を用いた説明では、同一時刻tにおける第1プローブ21及び第2プローブ22からの出力信号が用いられたが、このような時間の同一性は、説明の便宜上であり、必須ではない。例えば、位相ゆらぎφ(t)に応じて許容される範囲内であれば、異なるタイミングで得られた第1プローブ21及び第2プローブ22からの出力信号が用いられてもよいし、電磁界発生源から第1プローブ21及び第2プローブ22までの距離(つまり、伝搬時間)に差があってもよい。
このように、被測定電界における第1の測定点での振幅及び位相の測定を終えると、続いて、第2プローブ22を基準点に固定したまま、第1プローブ21を第2の測定点に移動させ、再び、同様の信号処理によって、第2の測定点における被測定電界の振幅及び位相を測定する。このような測定を、予め定められた全ての測定点について、繰り返す。このような測定手順(電磁界測定方法)をまとめると、図2に示されるフローチャートとなる。
図2は、本実施の形態における電磁界測定装置10を用いた電磁界測定方法の手順を示すフローチャートである。ここでは、電界の空間分布を得るための主要なステップが示されている。
まず、被測定電界の空間における測定点に第1プローブ21を配置し、基準点に第2プローブ22を配置する(1回目の配置ステップS1)。
次に、第1乗算器32により、第1プローブ21で得られた信号に参照信号発生器31で生成された参照信号を乗じる(第1乗算ステップS2)。なお、第1プローブ21から出力される信号をより低い周波数(中間周波数)に変換する必要がある場合には、第1周波数変換器23により、第1プローブ21から出力される信号の周波数を中間周波数に変換した後に、第1乗算器32による乗算を行う。
続いて、第2乗算器34により、第1乗算ステップS2で得られた信号に、第2プローブ22で得られた信号を乗じる(第2乗算ステップS3)。なお、第2プローブ22から出力される信号をより低い周波数(中間周波数)に変換する必要がある場合には、第2周波数変換器24により、第2プローブ22から出力される信号の周波数を中間周波数に変換した後に、第2乗算器34による乗算を行う。さらに、必要に応じて、フィルタ33により、第1乗算器32から出力された信号から、中間周波数と参照信号の周波数との和又は差の周波数をもつ信号成分を選択した後に、第2乗算器34による乗算を行う。
次に、同期検波器35により、第2乗算ステップS3で得られた信号から、参照信号発生器31で生成された参照信号に同期する信号成分を抽出する(同期検波ステップS4)。これにより、測定点における被測定電界の振幅及び位相が得られる。
そして、予め定められた全ての測定点での測定が終了したか否かを判断し(S5)、終了していない場合には(S5でNo)、第2プローブ22を基準点に固定したまま、第1プローブ21を次の測定点に移動させて配置し(2回目以降の配置ステップS6)、同様の信号処理を繰り返す(S2〜S4)。一方、全ての測定点での測定が終了した場合には(S5でYes)、測定を終了する。
このように、配置ステップ(S1、S6)では、第2プローブ22を被測定電界の空間において固定した状態で、第1プローブ21を空間における複数の測定点に順に移動させて配置(空間走査)し、第1乗算ステップS2、第2乗算ステップS3及び同期検波ステップS4を、配置ステップS6において第1プローブ21が複数の測定点のそれぞれに配置される毎に、実行する。これにより、電磁界測定装置10による被測定電界の空間分布が得られる。
なお、第1プローブ21及び第2プローブ22として、磁界測定用のプローブ(磁界プローブ)を採用した場合には、同様の原理により、被測定磁界の空間分布が得られる。
以上のように、本実施の形態における電磁界測定装置10及び電磁界測定方法によれば、被測定電磁界に配置された2本のプローブを用いることで、雑音キャンセル部30において、被測定電磁界における電界又は磁界の位相及び周波数ゆらぎがキャンセルされる。よって、被測定電磁界における電界又は磁界の周波数が変動する場合であっても、被測定系と測定系とを同期させることなく、安定かつ精密に電界又は磁界の空間分布を測定できる。その結果、信号発生源とアンテナ等の放射体とが集積された回路(オンチップアンテナ)からの放射パターンを、被測定系と測定系とを同期させることなく測定できる。
(原理実証の実験)
次に、上記実施の形態における電磁界測定装置10の雑音キャンセル部30が検出部20によらずに動作することを確認する実験を行ったので、説明する。
図3は、実験系の構成を示すブロック図である。図3に示されるように、第1プローブ21及び第2プローブ22からの信号を、2chの発振器41及び42で模擬した。それぞれの周波数は、0.9MHzである。外部雑音源40を用いてそれぞれの信号の位相を変調している。つまり、雑音によって位相が変調された0.9MHzの信号を、雑音キャンセル部30(第1乗算器32及び第2乗算器34)に入力し、同期検波器35で得られた検出信号(0.9MHzの信号の振幅及び位相)を確認した。
図4Aは、本発明に係る雑音キャンセル部30で得られた検出信号の波形(検出された振幅と位相の時間変化)を示す図である。図4Bは、従来技術の信号処理で得られた検出信号の波形(検出された振幅と位相の時間変化)を示す図である。図4A及び図4Bともに、横軸は時間を示し、左の縦軸は振幅(mV)を示し、右の縦軸は位相(deg.)を示す。図4A及び図4Bを比較して分かるように、従来技術によれば、検出信号には位相雑音が重畳されているが(図4B)、本発明に係る雑音キャンセル部30によれば、雑音成分がキャンセルされている(図4A)。
図5は、図3に示される実験系において、発振器41及び42の一方から出力される信号の位相を時間に対して線形に変化させた時に得られた検出信号の波形を示す図である。図4A及び図4Bと同様に、横軸は時間を示し、左の縦軸は振幅(mV)を示し、右の縦軸は位相(deg.)を示す。この実験では、第1プローブ21及び第2プローブ22のうちの一方を空間の一点に固定し、他方を空間走査することで、被測定電界の位相の空間分布を測定することを模擬している。図5から分かるように、位相雑音を伴った信号源である発振器41及び42からの両信号間の相対位相が位相雑音を除去した状態で測定されている。
(その他の実施の形態)
上記実験で実証されたように、本発明に係る電磁界測定装置は、検出部の種類及び検出方法を問わない。
図6は、上記実施の形態の第1変形例に係る電磁界測定装置11の構成を示すブロック図である。この電磁界測定装置11は、上記実施の形態における電磁界測定装置10の検出部20をEO(Electro−Optic)型検出部50に置き換えたものに相当する。
EO型検出部50は、2つのプローブを用いて被測定電界を検出するための処理部であり、第1EOプローブ51、第2EOプローブ52、第1光サーキュレータ53、第2光サーキュレータ54、第1光フィルタ55、第2光フィルタ56、第1光検出器57及び第2光検出器58で構成される。第1EOプローブ51及び第2EOプローブ52は、被測定電界の振幅及び位相に応じた光信号(RF信号)を出力する電気光学プローブである。第1光サーキュレータ53及び第2光サーキュレータ54は、光の進行方向を変えるものであり、それぞれ、光源から入射される光LO信号を第1EOプローブ51及び第2EOプローブ52に出射し、第1EOプローブ51及び第2EOプローブ52から入射される光信号を第1光フィルタ55及び第2光フィルタ56に出射する。例えば、第1光サーキュレータ53には、周波数f1及びf2(ただし、fRF<f2−f1又はfRF>f2−f1を満たす)の光信号を含む光LO信号が入射し、第1EOプローブ51に出射される。第1EOプローブ51では、周波数fRFの光信号(被測定電界信号)と第1光サーキュレータ53からの光信号との相互作用により、周波数(f1+fRF)及び周波数(f1−fRF)のサイドバンド成分、及び、周波数(f2+fRF)及び周波数(f2−fRF)のサイドバンド成分が生じる。第2光サーキュレータ54及び第2EOプローブ52についても同様である。
第1光フィルタ55及び第2光フィルタ56は、それぞれ、第1EOプローブ51から第1光サーキュレータ53を介して出力された光信号、及び、第2EOプローブ52から第2光サーキュレータ54を介して出力された光信号から、一つのサイドバンドの光信号及び光LO信号に含まれる一方の光信号(例えば、周波数(f1+fRF)及び周波数f2の信号成分)を選択するバンドパスフィルタである。
第1光検出器57及び第2光検出器58は、それぞれ、第1光フィルタ55及び第2光フィルタ56から出力された光信号を電気信号(例えば、周波数(|f2−f1−fRF|)の信号成分)に変換し、第1IF信号及び第2IF信号として出力する受光素子である。
第1光サーキュレータ53、第1光フィルタ55及び第1光検出器57が、第1EOプローブ51から出力された光信号を、当該光信号の周波数よりも低い中間周波数の電気信号に変換する第1周波数変換器に相当する。同様に、第2光サーキュレータ54、第2光フィルタ56及び第2光検出器58が、第2EOプローブ52から出力された光信号を、当該光信号の周波数よりも低い中間周波数の電気信号に変換する第2周波数変換器に相当する。
以上のように構成される本変形例に係る電磁界測定装置11を用いて放射電界を測定する実験を行った。
第1EOプローブ51及び第2EOプローブ52が受けたRF信号の周波数fRFはおよそ75.598GHzであり、光LO信号に含まれる2つの光信号の周波数の差(f2−f1)はおよそ75.6GHzであるため、第1IF信号の周波数(f2−f1−fRF)はおよそ2MHzとなる。ただし、RF信号と光LO信号とは同期していないため、第1IF信号の周波数にはゆらぎが存在している。参照信号発生器31からの参照信号の周波数を1.8MHzに設定したため、第1乗算器32における周波数変換により、およそ3.8MHzの信号成分と、およそ0.2MHzの信号成分とが得られる。フィルタ33により0.2MHzの信号成分を選択し、選択した信号成分と、第2EOプローブ52により得られた第2IF信号(およそ2MHzの信号)とを第2乗算器34で混合することで、1.8MHzと2.2MHzの信号が得られる。同期検波器35により1.8MHzの信号の振幅と位相を計測すると、得られた振幅は第1EOプローブ51及び第2EOプローブ52で得られたRF信号の振幅の積に比例した値に相当し、得られた位相は第1EOプローブ51及び第2EOプローブ52で得られたRF信号の位相の差に相当することになる。
図7は、本変形例に係る電磁界測定装置11を用いた実験の結果を示す図である。ここでは、第1EOプローブ51の直前に普通紙を配置することで第1EOプローブ51と第2EOプローブ52で検出される両RF信号間に位相差を与えた時に同期検波器35から得られた検出信号が示されている。図4A及び図4Bと同様に、横軸は時間を示し、左の縦軸は振幅(mV)を示し、右の縦軸は位相(deg.)を示す。
図7に示されるように、普通紙を挿入した時に得られた位相変化量は、普通紙の屈折率とRF信号の周波数(およそ75GHz)から計算される値と一致しており、本変形例に係る電磁界測定装置11によって位相雑音がキャンセルされながら位相差が測定されていることが分かる。
以上のように、本変形例における電磁界測定装置11によれば、被測定電磁界に配置された2本のプローブを用いることで、雑音キャンセル部30において、被測定電界の位相及び周波数ゆらぎがキャンセルされる。よって、被測定電界の周波数が変動する場合であっても、被測定系と測定系とを同期させることなく、安定かつ精密に電界の空間分布を測定できる。
なお、上記実施の形態及び第1変形例における電磁界測定装置では、アナログ信号処理によって雑音がキャンセルされたが、デジタル信号処理によって雑音をキャンセルしてもよい。
図8は、上記実施の形態の第2変形例に係る電磁界測定装置が備える雑音キャンセル部60の構成を示すブロック図である。なお、本変形例に係る電磁界測定装置が備える検出部は、上記実施の形態又は第1変形例の検出部と同じである。
雑音キャンセル部60は、デジタル信号処理によって被測定電磁界における電界又は磁界の位相及び周波数ゆらぎをキャンセルするための処理部であり、第1A/D変換器61、第2A/D変換器62及びコンピュータ装置63を備える。
第1A/D変換器61は、上記実施の形態における第1プローブ21等で得られた第1IF信号をデジタル値に変換する。
第2A/D変換器62は、上記実施の形態における第2プローブ22等で得られた第2IF信号をデジタル値に変換する。
コンピュータ装置63は、第1A/D変換器61及び第2A/D変換器62から出力されたデジタル信号を処理する装置であり、内部に保持するプログラム64に従って、図2に示される電磁界測定方法を実行する。電磁界測定方法には、少なくとも、第1A/D変換器61から出力されたデジタル信号に参照信号を乗じる第1乗算ステップS2と、第1乗算ステップS2で得られた信号に第2A/D変換器62から出力された信号を乗じる第2乗算ステップS3と、第2乗算ステップS3で得られた信号から、参照信号に同期する信号成分を抽出する同期検波ステップS4とが含まれる。より詳しくは、コンピュータ装置63は、実施の形態における雑音キャンセル部30による信号処理と等価なデジタル信号処理を実行する。
図9は、本変形例に係る電磁界測定装置を用いた実験の結果を示す図である。ここでは、第1IF信号及び第2IF信号に対して共通の位相雑音を重畳させ、第2IF信号の位相を時間とともに線形にシフトさせた実験で得られた検出信号(被測定電界の振幅(図9の(a))及び位相(図9の(b))の波形が示されている。図4A及び図4Bと同様に、横軸は時間を示し、左の縦軸は振幅(mV)を示し、右の縦軸は位相(deg.)を示す。
図9から分かるように、デジタル信号処理によって雑音をキャンセルする本変形例に係る電磁界測定装置により、第1IF信号及び第2IF信号に共通の位相雑音はキャンセルされ、第1IF信号及び第2IF信号の相対位相差の時間変化が測定できている。
以上のように、本変形例における電磁界測定装置によれば、被測定電磁界に配置された2本のプローブを用いることで、デジタル信号処理を用いた雑音キャンセル部60において、被測定電磁界における電界又は磁界の位相及び周波数ゆらぎがキャンセルされる。よって、被測定電磁界における電界又は磁界の周波数が変動する場合であっても、被測定系と測定系とを同期させることなく、安定かつ精密に電界又は磁界の空間分布を測定できる。
なお、上記実施の形態では、第2プローブ(参照用プローブ)を空間の一点に固定し、第1プローブ(測定用プローブ)を空間走査した。しかしながら、この走査方法では、被測定対象の物理的形状や、被測定電磁波の放射パターン形状によっては、参照用プローブを空間の一点に固定した状態で測定用プローブを空間走査することが難しい状況が生じうる。そこで、このような問題を解決するために、プローブの走査方法として、2本のプローブを一体的に移動させてもよい。なお、「n本のプローブを一体的に移動させる」とは、n本のプローブの相対的な位置関係(相互の間隔)を固定したまま、n本のプローブを移動させることをいう。以下、2本のプローブを一体的に移動させる走査方法を説明する。
図10は、2本のプローブを一体的に移動させて空間走査する電磁界測定方法を説明する図である。ここでは、1次元(x軸方向)の位相分布測定の原理が示されている。なお、振幅分布については、それぞれのプローブで測定される信号から容易に求まるため、説明を省略する。
図10に示されるように、第1プローブ21及び第2プローブ22により、x軸上のΔx(第1プローブ21の座標をx2、第2プローブ22の座標をx1とした場合に、Δx=x2−x1)だけ座標が異なる場所での電磁界の位相を、位相差検出装置70を用いて、測定する。なお、位相差検出装置70は、2つの信号の位相差を検出する装置であり、例えば、上記実施の形態における雑音キャンセル部30である。
それぞれの位置での位相を決めるためには、基準が必要となるが、これについては、測定系のローカル信号を基準に取る。測定系のローカル信号と被測定信号とは位相同期が取れていないので、各プローブで測定される位相にはゆらぎが重畳されるが、そのゆらぎは第1プローブ21及び第2プローブ22においてコモンモードとなっている。そのため、両プローブの場所での位相差を取ると、これら共通の位相ゆらぎはキャンセルされて、本図に示すように、座標x2及び座標x1における被測定信号の位相差ΔΦ21(=Φ(x2)−Φ(x1))が検出されることになる。
ここで、第1プローブ21及び第2プローブ22を、位置決めステージにより、一体的にx軸方向にΔx移動させる。つまり、第1プローブ21の座標がx3(=x2+Δx)となり、第2プローブ22の座標がx2となる。移動後に測定される位相は、ΔΦ32(=Φ(x3)−Φ(x2))となる。移動前と移動後のこれら2つの測定値により、Φ(x1)とΦ(x2)とΦ(x3)との相対位相が求まる。これを繰り返すことで、1次元上での電磁界の相対位相の空間分布が明らかとなる。
なお、2次元用プローブは、例えば、図10に示される第2プローブ22に対してy軸上(紙面に垂直)に間隔Δyだけずれた位置に第3プローブを配置することで得られる。これら3本のプローブを、位置決めステージ(XYステージ)により、一体的にxy面上でΔxずつ及びΔyずつ走査することで、上述の原理に基づき電磁界のxy面内での分布が計測可能となる。さらに、3次元用プローブについても、同様に、2次元用プローブに対してxy面からΔzだけz軸上離れた場所に第4プローブを配置することで得られる。そして、これら4本のプローブを、位置決めステージ(XYZステージ)により、一体的にΔxずつ及びΔyずつ及びΔzずつ走査することで、上述の原理に基づき電磁界の3次元分布が計測可能となる。
このように、図10に示された2本のプローブの一体的な走査方法による電磁界測定方法では、図2に示された配置ステップS1において、第1プローブ21と第2プローブ22との間隔を固定した状態で、第1プローブ21及び第2プローブ22を一体的に空間における複数の測定点に順に移動させて配置し、図2に示された第1乗算ステップS2、第2乗算ステップS3及び同期検波ステップS4は、配置ステップS1において第1プローブ21及び第2プローブ22が複数の測定点のそれぞれに配置される毎に、実行される。より具体的には、配置ステップS1では、現在の測定点における第1プローブ21及び第2プローブ22の一方の位置が、次の測定点における第1プローブ21及び第2プローブ22の他方の位置に一致することとなるように、第1プローブ21及び第2プローブ22を一体的に移動させる。
このような複数のプローブの一体的な走査方法により、第2プローブ(参照用プローブ)を空間の一点に固定する走査方法における問題が解決される。つまり、空間の一点に参照用プローブを固定し、この位置における位相に対する相対的な位相分布を計測する手法では、被測定対象や放射場の分布によっては計測ができない状況が生じる問題があるが、この問題が解決される。よって、複数のプローブの一体的な走査方法により、自励発振デバイス等から放射される周波数ゆらぎを有する放射場の位相の空間分布計測が、任意の面上において可能となる。
なお、図10では、上記実施の形態における第1プローブ21及び第2プローブ22が用いられたが、プローブの種類はこれに限定されるものではなく、上記第1変形例におけるEOプローブ等の他の種類のプローブであってもよい。また、図10の位相差検出装置70についても、上記実施の形態における雑音キャンセル部30に限られず、2つの信号の位相差を検出する装置であれば、他の種類の装置であってもよい。
図11は、図10に示される、2本のプローブを一体的に走査させる方法による実験によって得られた測定値(点のプロット)とシミュレーション結果(実線)とを示す図である。横軸は、2本のプローブの移動距離(x軸上の位置)を示し、縦軸は、その移動距離における位相を示す。
本実験では、上記実施の形態の第1変形例での実験と同じ装置及び条件下で行った。つまり、位相差検出装置70として、図6に示されるEO型検出部50及び雑音キャンセル部30を用いた。また、RF光信号の周波数fRFはおよそ75.598GHzであり、光LO信号に含まれる2つの光信号の周波数の差はおよそ75.6GHzであり、参照信号の周波数を1.8MHzに設定し、雑音キャンセル部30から出力される1.8MHzの信号の位相を計測することにより、測定用の第1EOプローブ51と参照用の第2EOプローブ52の位置におけるRF信号の位相差を得た。
なお、測定用の第1EOプローブ51及び参照用の第2EOプローブ52の間隔Δxは5mmであり、それら2本のプローブを位置決めステージに固定してx軸上に移動させた。
図11から分かるように、本実験において5mm間隔で得られた位相分布の測定値は、シミュレーション結果とよい一致を示している。
なお、図11に示される実験では、測定用プローブと参照用プローブとを、一体的に、プローブ間隔Δxだけ移動させることで位相の空間分布を測定したが、測定開始点を少しだけ(Δxよりも小さい距離だけ)ずらしたNセットのデータを取得し、これらが滑らかに繋がる等の補間の条件を課すことで、より空間分解能の高い位相分布を測定してもよい。
図12は、測定用プローブ及び参照用プローブを、プローブ間隔Δxよりも小さい距離だけ、一体的に、ずらしながら移動させて空間走査する電磁界測定方法を説明する図である。ここでは、プローブ間隔Δxにおいて、Nセットのデータを取得して滑らかに繋ぐ(近似曲線に近い位置にプロットする)ことで得られる位相分布の一例が示されている。
図13は、図12に示される、プローブ間隔よりも小さい距離の刻みで2本のプローブを、位置決めステージを用いて、一体的に走査させる方法による実験によって得られた測定値(点のプロット)とシミュレーション結果(実線)とを示す図である。
プローブ間隔Δxが5mmの2本のプローブを一体的に動かした場合には、5mm間隔のデータセットがNセット取得できるが、本実験は、プローブを一体的に0.5mm間隔で移動させたため、N=100となる。それぞれのデータセットの間の位相関係は不定であるが、それぞれのデータセットは同じ位相分布を計測しているため、各データセットが作る位相の空間分布が滑らかに接続されるように、初期位相の不定量を決定することで、図13に示す空間分解能が向上した位相分布の計測が可能となる。なお、図13に示される実験データは、図11に示されるデータを取得したプローブ間隔Δxが5mmのEOプローブを使用した。図13から分かるように、本実験において0.5mm間隔で得られた位相分布の測定値は、シミュレーション結果とよい一致を示している。
このように、図12及び図13に示されるプローブの走査方法による電磁界測定方法では、図2に示される配置ステップS1において、所定時点における第1プローブと第2プローブとの間隔を分割して得られる複数の位置のそれぞれに、第1プローブ及び第2プローブの一方が順に位置することとなるように、第1プローブ及び第2プローブを一体的に移動させている。そして、複数の位置のそれぞれで得られた位相が滑らかに繋がる等の補間の条件を課すことで、より空間分解能の高い位相分布が測定される。
次に、上記実施の形態の電磁界測定装置の応用例として、ミリ波を用いて非破壊で対象物の中を可視化する位相イメージング装置を説明する。
図14は、上記実施の形態の電磁界測定装置を用いた位相イメージング装置80の構成を示すブロック図である。
位相イメージング装置80は、電磁波が対象物100を透過又は反射(本応用例では、透過)するときの電磁波の位相シフト量を測定して画像化する装置であり、電磁波源82、光学装置90、位置決めステージ110、電磁界測定装置10a(検出部20a及び雑音キャンセル部30a)、及び、画像化装置120で構成される。
電磁波源82は、電磁波を出射する装置である。
光学装置90は、電磁波源82から出射された電磁波を第1電磁波及び第2電磁波に分岐させる光学系であり、集光レンズ92a〜92c、ビームスプリッタ94、及び、放物面鏡96a〜96dで構成される。電磁波源82から出射された電磁波は、集光レンズ92aで平行光となり、ビームスプリッタ94で第1電磁波及び第2電磁波に分岐され、第1電磁波が放物面鏡96a〜96dを反射し、集光レンズ92cで集光される。本応用例では、放物面鏡96cと放物面鏡96dとの間の光路上に対象物100が置かれ、第1電磁波が対象物100を透過する。
位置決めステージ110は、光学装置90で分岐された第1電磁波及び第2電磁波のうち第1電磁波だけが対象物100における2次元状の複数の測定点を順に走査しながら入射するように、対象物100と第1電磁波との相対的位置関係を変化させる機構部の一例(本実施の形態では、XYステージ)である。本応用例では、画像化装置120によって、対象物100を移動するように、制御される。なお、ガルバノミラー等を用いて第1電磁波の対象物100への入射方向を変化させることで、対象物100と第1電磁波との相対的位置関係を変化させてもよい。
電磁界測定装置10aは、対象物100を透過又は反射した第1電磁波と対象物100を透過及び反射していない第2電磁波との位相差を、対象物100における複数の測定点のそれぞれについて、測定する装置である。本応用例では、電磁界測定装置10aは、機能的には、上記実施の形態に係る電磁界測定装置10と同じ装置であり、検出部20a及び雑音キャンセル部30aを備える。
検出部20aは、光学装置90で得られた第1電磁波及び第2電磁波を検出して電気信号に変換する装置であり、局部発振器150、ホーンアンテナ151及び152、高周波ミキサ153及び154、逓倍器155及び156で構成される。局部発振器150は、上記電磁界測定装置10の検出部20におけるLO信号を出力する発振器である。ホーンアンテナ151及び152、並びに、高周波ミキサ153及び154は、それぞれ、上記電磁界測定装置10の検出部20における第1プローブ21、第2プローブ22、第1周波数変換器23及び第2周波数変換器24に相当する。本応用例では、ホーンアンテナ151が装荷された高周波ミキサ153は、光学装置90から出力される、対象物100を透過又は反射(本応用例では、透過)した第1電磁波を検出する測定用の第1プローブ及び第1周波数変換器として機能し、一方、ホーンアンテナ152が装荷された高周波ミキサ154は、光学装置90から出力される、対象物100を透過及び反射していない(ビームスプリッタ94で生成された)第2電磁波を検出する参照用の第2プローブ及び第2周波数変換器として機能する。逓倍器155及び156は、局部発振器150から出力されたLO信号を逓倍し、それぞれ、高周波ミキサ153及び154に出力する。
雑音キャンセル部30aは、検出部20aの第1プローブ(ホーンアンテナ151が装荷された高周波ミキサ153)から出力される第1IF信号と、第2プローブ(ホーンアンテナ152が装荷された高周波ミキサ154)から出力される第2IF信号との位相差を検出する処理部であり、上記電磁界測定装置10の雑音キャンセル部30が備える構成(参照信号発生器31、第1乗算器32、フィルタ33、第2乗算器34及び同期検波器35)に、信号を増幅するためのアンプ130a〜130cが追加された構成を備える。
画像化装置120は、対象物100の複数の測定点のそれぞれについて電磁界測定装置10aで測定された位相差(雑音キャンセル部30aの同期検波器35で抽出された信号成分の位相)を、その測定点の座標に対応させて画像化する処理部であり、例えば、同期検波器35の出力端子及び位置決めステージ110の制御入力端子と接続されたパーソナルコンピュータである。より詳しくは、画像化装置120は、位置決めステージ110を制御することで、ビームスプリッタ94で生成された第1電磁波が対象物100における2次元状の複数の測定点の一つに入射するように対象物100を移動させ、その状態で、電磁界測定装置10aで測定された位相差を取得し、取得した位相差を測定点の座標と対応づけて記憶する、という処理を、複数の測定点のそれぞれについて繰り返す。そして、画像化装置120は、複数の測定点について得られた位相差を画素値に変換(例えば、位相差が大きいほど青色に近い色となるように位相差を色に変換)したうえで、測定点の座標に対応させて、画素値を表示することで、画像化する。
なお、電磁界測定装置10aで測定される位相差には、光学装置90における第1電磁波の伝搬長と第2電磁波の伝搬長との差に基づく位相差(オフセット位相差)が含まれるが、このオフセット位相差は測定点によらずに一定なので、測定された位相差からオフセット位相差を除くことによって、対象物100の透過に起因する正味の位相差が得られる。
図15は、図14に示される位相イメージング装置80による実験を説明するための図である。図15の(a)は、対象物100の外観を示し、図15の(b)は、対象物100に内蔵された物を示す。ここでは、対象物100は、M字(大きさが50mm×50mm)をかたどったアクリル板105(図15の(b))が差し込まれた本(厚さが25mm)である(図15の(a))。図15の(c)は、参考例としての画像例(図15の(b)における70mm×100mmの領域107における画像例)、つまり、振幅イメージングによる画像例(電磁界測定装置10aの第1プローブ及び第2プローブで得られた信号の振幅積に対応する画像例)を示す図であり、図15の(d)は、本応用例における位相イメージング装置80で得られた位相イメージングによる画像例(図15の(b)における70mm×100mmの領域107における画像例)を示す図である。
なお、本実験では、電磁波源82として、10mW程度の比較的高い出力のミリ波を出力するGunn発振器が用いられ、そのミリ波の周波数は、3MH程度変動する。また、局部発振器150から出力されるLO信号はおよそ9.7GHzであり、これが逓倍器155及び156で8逓倍されて高周波ミキサ153及び154に入力される。高周波ミキサ153及び154からは、およそ5MHzに周波数変換された第1IF信号及び第2IF信号が出力され、それぞれ、雑音キャンセル部30aのアンプ130a及び130bで増幅されて第1乗算器32及び第2乗算器34に入力される。雑音キャンセル部30aにおける参照信号発生器31から出力される参照信号の周波数fsは1.7MHzである。
図15の(c)に示される画像例から分かるように、アクリル板105はミリ波に対して吸収量が小さいために振幅イメージングの結果ではコントラストが低く不明瞭である。一方、図15の(d)に示される画像例から分かるように、位相イメージングによれば高いコントラストが得られる。
このように、本応用例における位相イメージング装置80によれば、被測定電磁界における電界又は磁界の位相及び周波数ゆらぎがキャンセルされるので、周波数が変動する電磁波源82を用いているにも拘わらず、高いコントラストで、対象物100の中が非破壊で可視化される。つまり、本応用例により、高出力であるが周波数ゆらぎを有し、外部から位相同期をすることが困難な光源(電磁波源82)を使った場合であっても、安定して高精度な位相イメージングが可能となる。
なお、本応用例の位相イメージング装置80では、透過型のイメージングが行われたが、反射型のイメージングが行われてもよい。
また、本応用例の位相イメージング装置80では、電磁界測定装置10aは、機能的には、上記実施の形態に係る電磁界測定装置10と同じ装置であったが、これに限られず、上記実施の形態の第1変形例に係る電磁界測定装置11、又は、上記実施の形態の第2変形例に係る雑音キャンセル部60を備える電磁界測定装置であってもよい。
なお、複数本のプローブを一体的に移動させる場合には、参照信号発生器31から同期検波器35に入力される参照信号に含まれるオフセット位相を知る必要がある。同期検波器35から出力される信号には、そのオフセット位相がノイズとして含まれることになるので、計測された位相差からそのオフセット位相を差し引くためである。以下、そのオフセット位相の算出方法を説明する。
図16は、参照信号発生器31から同期検波器35に入力される参照信号に含まれるオフセット位相φoffの算出方法を説明するための図である。図16の(a)は、オフセット位相φoffの雑音キャンセル部30における影響を説明する図であり、図16の(b)は、上述した雑音キャンセル部30に、オフセット位相φoffを算出する回路(オフセット位相算出部37)が付加された回路の構成を示すブロック図である。
図16の(a)に示されるように、いま、第1プローブから出力される信号がAcos(ωt+Δφ+φ)とし、第2プローブから出力される信号がAcos(ωt+φ)とする。ここで、ωは、被測定電磁界の角周波数であり、Δφは、第1プローブの位置と第2プローブの位置での被測定電磁界の位相差であり、φは、被測定電磁界の位相ゆらぎである。また、参照信号発生器31から第1乗算器32に入力される参照信号は、周波数fs(角周波数ω)の信号であり、参照信号発生器31から第2乗算器34に入力される参照信号は、cos(ωt+φoff)の信号であるとする。ここで、φoffは、参照信号のオフセット位相(第1乗算器32に入力される参照信号を基準としたオフセット位相)である。
この状態では、上記実施の形態で説明した原理により、第2乗算器34から出力される信号は、(A/4)cos(ωt+Δφ+φoff)となる。よって、同期検波器35で抽出される信号成分の位相は、(Δφ+φoff)となる。つまり、計測したい位相差Δφに、参照信号のオフセット位相φoffが加算された値となる。よって、参照信号のオフセット位相φoffを知る必要がある。
そこで、図16の(b)に示されるように、図16の(a)に示される雑音キャンセル部30に、参照信号のオフセット位相φoffを算出する回路(オフセット位相算出部37)を付加する。オフセット位相算出部37は、雑音キャンセル部30が備える第1乗算器32、フィルタ33、第2乗算器34及び同期検波器35のそれぞれと同じ機能の第1乗算器32a、フィルタ33a、第2乗算器34a及び同期検波器35aを備える。第1プローブから出力された信号は、第1乗算器32aだけでなく、第2乗算器34にも並列に入力される。また、第1乗算器32a及び同期検波器35aには、雑音キャンセル部30が備える参照信号発生器31から参照信号が入力される。
このようなオフセット位相算出部37によれば、第1乗算器32aにおいて第1プローブからの出力信号と参照信号とが乗算され、その出力信号に対して、さらに、第2乗算器34において第1プローブからの出力信号が乗算されるので、第2乗算器34から出力される信号は、(A /4)cos(ωt+φoff)となる。よって、この信号が入力された同期検波器35で抽出される信号成分の振幅は(A /4)となり、位相はφoffとなる。つまり、オフセット位相算出部37によって、参照信号のオフセット位相φoffが算出されることになる。よって、雑音キャンセル部30で算出された位相(Δφ+φoff)から、オフセット位相算出部37によって算出されたオフセット位相φoffを差し引くことで、第1プローブの位置と第2プローブの位置での被測定電磁界の位相差Δφが求まる。
なお、オフセット位相算出部37によれば、振幅(A /4)が得られることから分かるように、第1プローブからの出力信号の振幅Aも高感度で測定できるというメリットもある。ただし、振幅Aの検出については、IF信号のパワー検出や、整流回路を用いた検出等であってもよい。
このように、オフセット位相算出部37によれば、第1プローブで得られた信号に参照信号を乗じ、得られた信号に第1プローブで得られた信号を乗じ、得られた信号から、参照信号に同期する信号成分を抽出することで、参照信号のオフセット位相φoffが算出される(オフセット位相算出ステップ)。これにより、複数本のプローブを一体的に移動させる場合において、被測定電磁界の計測と同時に参照信号のオフセット位相φoffが求まり、同期検波器35で抽出される信号成分の位相からノイズとしてのオフセット位相φoffを差し引くことで、高い精度で位相差が求められる。
ここで、参照信号のオフセット位相φoffの算出方法としては、図16に示されたオフセット位相算出部37による方法だけに限られない。例えば、第1プローブと第2プローブとを入れ換えることで、φ−φ+φoffとφ−φ+φoffとを測定し、これらの和からφoffを算出してもよい。ここで、φは、第1プローブの位置における被測定電磁界の位相であり、φは、第2プローブの位置における被測定電磁界の位相である。
なお、第1プローブと第2プローブの入れ換えは、電子的スイッチによって切り替えてもよい。例えば、ある測定点において、電子的スイッチによって第1プローブと第2プローブとを入れ換えた測定、つまり、2回の測定を行い、その後に次の測定点に第1プローブ及び第2プローブを移動させるという処理を繰り返してもよい。
このように、複数の測定点の一つについて、上記配置ステップにおける第1プローブ及び第2プローブの位置を入れ換えた状態で、上記第1乗算ステップ、第2乗算ステップ及び同期検波ステップを実行し、上記配置ステップにおいて同期検波ステップで抽出された信号成分の位相(φ−φ+φoff)と、入れ換え後における同期検波ステップで抽出された信号成分の位相(φ−φ+φoff)とを加算することで参照信号のオフセット位相φoffを算出するオフセット位相算出ステップを実行してもよい。これにより、複数本のプローブを一体的に移動させる場合において、プローブを入れ換えることで参照信号のオフセット位相が求まり、同期検波器35で抽出される信号成分の位相からノイズとしてのオフセット位相φoffを差し引くことで、高い精度で位相差が求められる。
以上、本発明に係る電磁界測定装置、電磁界測定方法及び位相イメージング装置について、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態及び変形例に施したものや、実施の形態及び変形例における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、第1乗算器32から出力される2つの信号成分(2つの入力信号の周波数の和及び差の周波数をもつ信号成分)のうち、差の周波数をもつ信号成分が利用されたが、和の周波数をもつ信号成分が利用されてもよい。この場合には、第2乗算器34から出力される2つの信号成分(2つの入力信号の周波数の和及び差の周波数をもつ信号成分)のうち、差の周波数をもつ信号成分が参照信号に同期する信号成分として同期検波器35で検波される。これにより、実施の形態1と同様に、被測定電界の位相及び周波数ゆらぎがキャンセルされ、かつ、中間周波数に依存する信号成分がキャンセルされた、参照信号の周波数fs(=f+fIF−fIF)をもつ信号成分だけが抽出される。
また、上記実施の形態の第1変形例では、EO型検出部として、光フィルタ等が用いられたが、このような構成に限られず、例えば、特開2007−57324号公報(特許文献2)に開示された偏光処理装置と同様の構成であってもよい。
また、上記実施の形態等における電磁界測定装置によって得られた被測定電磁界の位相及び振幅の空間分布を可視化してもよい。図17は、上記実施の形態の変形例1に相当する電磁界測定装置によって得られた被測定電磁界の位相の空間分布を可視化した例を示す図である。この実験では、およそ77.7GHzで自励発振するGunn発振器で発生されたRF信号を図17の(a)に示されるようなホーンアンテナから放射した。Gunn diodeは±300kHz程度の周波数揺らぎを有していた。電磁界測定装置の一方のプローブを空間の一点に固定し、他方のプローブを空間内で動かすことで、被測定電磁界の位相の空間分布を取得し、コンピュータを用いて、図17に示される位相と色(ここでは、濃淡)との対応を示すカラー(ここでは、グレースケール)バーに従って、取得された位相を、対応する色(ここでは、濃淡)に変換し、測定位置に対応させて画像化(可視化)した。なお、図17では白黒による図示の都合上、色の変化が濃淡で表現されているが、カラーで表現されてもよい。図17の(b)に示される図のうち、空間分布の箇所は実験の結果を示す可視化データであり、ホーンアンテナの箇所はCADデータである。このような被測定電磁界の位相及び振幅の空間分布の可視化により、被測定電磁界の位相及び振幅の空間分布を直感的に知ることができる。
また、上記実施の形態の第2変形例では、雑音キャンセル部60は、プログラム64によって実現されたが、DSPやデジタルフィルタ、FPGA等を含む論理回路によって実現してもよい。
また、上記応用例における位相イメージング装置80では、2本のプローブによる1次元用プローブが用いられたが、3本のプローブによる2次元用プローブを用いてもよい。ミキサを2次元アレイ化したものでもよい。これにより、対象物100における2次元状の複数の測定点を走査するのに要する時間が短縮される。
また、上記実施の形態等における電磁界測定方法及び電磁界測定装置では、3本のプローブを移動させることに代えて、CCDカメラのように2次元アレイ状に配置されたプローブアレイを用いてもよい。これにより、プローブを移動させることなく、プローブアレイにおける各プローブ間の相対位相、あるいは、ある一点を参照点として、これとの相対位相を測定することで、電界又は磁界の空間分布を測定できる。同様に、2本のプローブを移動させることに代えて、1次元アレイ状に配置されたプローブアレイを用いてもよい。
また、上記実施の形態等では、アンテナ等から放射された放射電磁界を測定するために空間にプローブが配置されたが、回路上の電位を測定するためにプローブが配置されてもよい。いずれであっても、プローブによって得られた電圧信号を処理する点で共通するからである。よって、本明細書において、「電界又は磁界を測定するために空間にプローブを配置する」とは、放射電界又は放射磁界を測定するために空間にプローブを配置するケースだけではなく、電位を測定するために回路上にプローブを配置するケースも含まれる。
本発明は、電界又は磁界の空間分布を安定かつ精密に測定する電磁界測定方法、電磁界測定装置及び位相イメージング装置として、例えば、信号発生源とアンテナ等の放射体とが集積された回路(オンチップアンテナ)からの放射パターンを解析する装置、及び、非破壊で対象物の中を可視化する検査装置として、利用できる。
10、10a、11 電磁界測定装置
20、20a 検出部
21 第1プローブ
22 第2プローブ
23 第1周波数変換器
24 第2周波数変換器
30、30a、60 雑音キャンセル部
31 参照信号発生器
32、32a 第1乗算器
33、33a フィルタ
34、34a 第2乗算器
35、35a 同期検波器
37 オフセット位相算出部
40 外部雑音源
41、42 発振器
50 EO型検出部
51 第1EOプローブ
52 第2EOプローブ
53 第1光サーキュレータ
54 第2光サーキュレータ
55 第1光フィルタ
56 第2光フィルタ
57 第1光検出器(PD)
58 第2光検出器(PD)
61 第1A/D変換器
62 第2A/D変換器
63 コンピュータ装置
64 プログラム
70 位相差検出装置
80 位相イメージング装置
82 電磁波源
90 光学装置
92a、92b、92c 集光レンズ
94 ビームスプリッタ
96a、96b、96c、96d 放物面鏡
100 対象物
110 位置決めステージ
120 画像化装置
130a、130b、130c アンプ
150 局部発振器
151、152 ホーンアンテナ
153、154 高周波ミキサ
155、156 逓倍器

Claims (14)

  1. 電界又は磁界を測定するために空間に第1プローブ及び第2プローブを配置する配置ステップと、
    前記第1プローブで得られた信号に参照信号発生器で生成された参照信号を乗じる第1乗算ステップと、
    前記第1乗算ステップで得られた信号に、前記第2プローブで得られた信号を乗じる第2乗算ステップと、
    前記第2乗算ステップで得られた信号から、前記参照信号発生器で生成された参照信号に同期する信号成分を抽出する同期検波ステップと
    を含む電磁界測定方法。
  2. 前記配置ステップでは、前記第2プローブを前記空間において固定した状態で、前記第1プローブを前記空間における複数の測定点に順に移動させて配置し、
    前記第1乗算ステップ、前記第2乗算ステップ及び前記同期検波ステップは、前記配置ステップにおいて前記第1プローブが前記複数の測定点のそれぞれに配置される毎に、実行される
    請求項1記載の電磁界測定方法。
  3. 前記配置ステップでは、前記第1プローブと前記第2プローブとの間隔を固定した状態で、前記第1プローブ及び前記第2プローブを一体的に前記空間における複数の測定点に順に移動させて配置し、
    前記第1乗算ステップ、前記第2乗算ステップ及び前記同期検波ステップは、前記配置ステップにおいて前記第1プローブ及び前記第2プローブが前記複数の測定点のそれぞれに配置される毎に、実行される
    請求項1記載の電磁界測定方法。
  4. 前記配置ステップでは、現在の測定点における前記第1プローブ及び前記第2プローブの一方の位置が、次の測定点における前記第1プローブ及び前記第2プローブの他方の位置に一致することとなるように、前記第1プローブ及び前記第2プローブを一体的に移動させる
    請求項3記載の電磁界測定方法。
  5. 前記配置ステップでは、所定時点における前記第1プローブと前記第2プローブとの間隔を分割して得られる複数の位置のそれぞれに、前記第1プローブ及び前記第2プローブの一方が順に位置することとなるように、前記第1プローブ及び前記第2プローブを一体的に移動させる
    請求項3記載の電磁界測定方法。
  6. さらに、前記第1プローブで得られた信号に前記参照信号を乗じ、得られた信号に前記第1プローブで得られた信号を乗じ、得られた信号から、前記参照信号に同期する信号成分を抽出することで、前記参照信号のオフセット位相を算出するオフセット位相算出ステップを含む
    請求項3〜5のいずれか1項に記載の電磁界測定方法。
  7. さらに、前記複数の測定点の一つについて、前記配置ステップにおける前記第1プローブ及び前記第2プローブの位置を入れ換えた状態で、前記第1乗算ステップ、前記第2乗算ステップ及び前記同期検波ステップを実行し、前記配置ステップにおいて前記同期検波ステップで抽出された信号成分の位相と、前記入れ換え後における前記同期検波ステップで抽出された信号成分の位相とを加算することで、前記参照信号のオフセット位相を算出するオフセット位相算出ステップを含む
    請求項3〜5のいずれか1項に記載の電磁界測定方法。
  8. 電界又は磁界を測定するために空間に配置される第1プローブ及び第2プローブと、
    参照信号を生成する参照信号発生器と、
    前記第1プローブで得られた信号に前記参照信号を乗じる第1乗算器と、
    前記第1乗算器から出力された信号に前記第2プローブで得られた信号を乗じる第2乗算器と、
    前記第2乗算器から出力された信号から、前記参照信号に同期する信号成分を抽出する同期検波器と
    を備える電磁界測定装置。
  9. さらに、
    前記第1プローブから出力される信号の周波数をより低い中間周波数に変換する第1周波数変換器と、
    前記第2プローブから出力される信号の周波数を前記中間周波数に変換する第2周波数変換器とを備え、
    前記第1乗算器は、前記第1周波数変換器から出力された信号に前記参照信号を乗じ、
    前記第2乗算器は、前記第1乗算器から出力された信号に前記第2周波数変換器から出力された信号を乗じる
    請求項8記載の電磁界測定装置。
  10. さらに、前記第1乗算器から出力された信号から、前記第1乗算器に入力された信号の周波数と前記参照信号の周波数との和又は差の周波数をもつ信号成分を選択するフィルタを備え、
    前記第2乗算器は、前記フィルタから出力された信号に前記第2プローブから出力される信号を乗じる
    請求項8記載の電磁界測定装置。
  11. 前記第1プローブ及び前記第2プローブは、検出した電界に応じた光信号を出力し、
    前記第1周波数変換器は、前記第1プローブから出力された光信号を、当該光信号の周波数よりも低い中間周波数の電気信号に変換し、
    前記第2周波数変換器は、前記第2プローブから出力された光信号を前記中間周波数の電気信号に変換し、
    前記第1乗算器は、前記第1周波数変換器から出力された電気信号に前記参照信号を乗じ、
    前記第2乗算器は、前記第1乗算器から出力された信号に前記第2周波数変換器から出力された電気信号を乗じる
    請求項9記載の電磁界測定装置。
  12. 電界又は磁界を測定するために空間に配置される第1プローブ及び第2プローブと、
    前記第1プローブで得られた信号をデジタル値に変換する第1A/D変換器と、
    前記第2プローブで得られた信号をデジタル値に変換する第2A/D変換器と、
    前記第1A/D変換器及び前記第2A/D変換器から出力された信号を処理するコンピュータ装置とを備え、
    前記コンピュータ装置は、
    前記第1A/D変換器から出力された信号に参照信号を乗じる第1乗算ステップと、
    前記第1乗算ステップで得られた信号に前記第2A/D変換器から出力された信号を乗じる第2乗算ステップと、
    前記第2乗算ステップで得られた信号から、前記参照信号に同期する信号成分を抽出する同期検波ステップと
    を実行する電磁界測定装置。
  13. 請求項12記載のコンピュータ装置が実行するステップを含むプログラム。
  14. 電磁波が対象物を透過又は反射するときの前記電磁波の位相シフト量を測定して画像化する位相イメージング装置であって、
    電磁波を出射する電磁波源と、
    前記電磁波源から出射された電磁波を第1電磁波及び第2電磁波に分岐させる光学装置と、
    前記光学装置で分岐された前記第1電磁波及び前記第2電磁波のうち前記第1電磁波だけが前記対象物における2次元状の複数の測定点を順に走査しながら入射するように、前記対象物と前記第1電磁波との相対的位置関係を変化させる機構部と、
    前記対象物を透過又は反射した前記第1電磁波と前記対象物を透過及び反射していない前記第2電磁波との位相差を、前記複数の測定点のそれぞれについて、測定する請求項8〜12のいずれか1項に記載の電磁界測定装置と、
    前記電磁界測定装置で測定された位相差を、前記複数の測定点に対応させて画像化する画像化装置とを備え、
    前記電磁界測定装置は、当該電磁界測定装置が備える第1プローブ及び第2プローブを用いて、それぞれ、前記第1電磁波及び前記第2電磁波を検出し、
    前記画像化装置は、前記電磁界測定装置が備える同期検波器で抽出された信号成分の位相を前記位相差として画像化する
    位相イメージング装置。
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