JPWO2016194645A1 - 口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

水溶性縮合リン酸塩のステイン除去力が向上し、歯牙のステイン除去効果に優れる、(A)下記一般式(1)Mn+2PnO3n+1(1)(但し、式中、MはNa又はKを示し、nは2又は3の整数である。)で表される水溶性縮合リン酸塩と、(B)炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を有する脂肪酸及びエステルから選ばれる1種又は2種以上とを含有してなることを特徴とする口腔用組成物を提供する。

Description

本発明は、水溶性縮合リン酸塩によるステイン除去力が向上し、歯牙のステイン除去効果に優れる口腔用組成物に関する。
従来、口腔用組成物において、歯牙の着色汚れの一種であるステインの除去には、研磨剤の増量による物理的作用及び/又はポリリン酸ナトリウム等の縮合リン酸塩の化学的作用により、美白効果を付与している。
しかしながら、研磨剤の増量は、口腔粘膜刺激の増加及び象牙質磨耗を招き、縮合リン酸塩の増量は、その収斂性による口腔粘膜刺激の増加を招くという課題があり、使用感を低下させることなく高いステイン除去力を与えることはできなかった。
特許文献1(国際公開第2012/124533号)では、二層分離型液体口腔用組成物で油剤量、油剤/縮合リン酸又はその塩の比率を特定範囲内に設定することで、タバコヤニ、ステイン汚れ除去効果の向上、収斂感の低減を得ているが、ステイン除去力については未だ改善の余地があり、また、油剤を多量に配合している組成のため、安定性や使用感の面にも未だ課題があった。
国際公開第2012/124533号 特開2002−20251号公報 特開昭59−36882号公報 国際公開第2011/077847号
従って、口腔用組成物において、使用感を低下させることなく縮合リン酸塩のステイン除去力を増強する新たな技術の開発が望まれた。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、歯牙のステイン除去効果に優れ、かつ良好な使用感を有する口腔用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、水溶性縮合リン酸塩に、特定の分岐鎖状構造を有する脂肪酸及び/又は特定の分岐鎖状構造を有するエステルを配合することによって、水溶性縮合リン酸塩によるステイン除去力が大幅に向上し、また、使用感も良好となることを見出した。
即ち、本発明では、(A)下記一般式(1)
n+2n3n+1 (1)
(但し、式中、MはNa又はKを示し、nは2又は3の整数である。)
で表される水溶性縮合リン酸塩と、(B)炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を有する脂肪酸及びエステルから選ばれる1種又は2種以上とを含有することによって、歯牙のステイン除去効果が格段に優れ、かつ使用感も良い口腔用組成物を得ることができる。
この場合、(B)成分は、好ましくは下記の(B−1)成分及び(B−2)成分、
(B−1)炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を有する脂肪酸、
(B−2)炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を酸残基及び/又はアルコール残基に有するヒドロキシカルボン酸エステル、アシルアミノ酸エステル及び脂肪酸エステルから選ばれるエステル
から選ばれる1種又は2種以上である。
本発明では、(A)成分に(B)成分を組み合わせると、(A)成分の化学的作用によるステイン除去力が格段に向上し、使用感を低下させることなく優れたステイン除去効果を付与できる。
また、物理的な清掃作用を持つ研磨剤の増量に頼ることなく、その配合量が少なくても優れたステイン除去効果を与えるものであり、これにより、研磨剤の増量による口腔粘膜刺激を抑制し、更にまた、味やにおいも良好となり、歯茎等に炎症、痛みを持つ歯周疾患罹患者に対しても良好な使用感を与えることができる。
なお、特許文献1の二層分離型液体製剤は縮合リン酸又はその塩を含有するが、油層中の油剤に用いられているのは直鎖状の脂肪酸エステルである。また、特許文献2〜4(特開2002−20251号公報、特開昭59−36882号公報、国際公開第2011/077847号)には、分岐構造を有する脂肪酸や脂肪酸エステルを配合した歯磨剤等の口腔用組成物が開示されているが、縮合リン酸塩に併用することの具体的記載がなく、ステイン除去力に関する言及もない。かかる先行技術から、特定の分岐鎖状構造を有する脂肪酸又はエステルによって水溶性縮合リン酸塩のステイン除去力が特異的かつ格段に増強することは想起できない。
従って、本発明は、下記の口腔用組成物を提供する。
〔1〕
(A)下記一般式(1)
n+2n3n+1 (1)
(但し、式中、MはNa又はKを示し、nは2又は3の整数である。)
で表される水溶性縮合リン酸塩と、
(B)炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を有する脂肪酸及びエステルから選ばれる1種又は2種以上と
を含有してなることを特徴とする口腔用組成物。
〔2〕
(B)成分が、炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を有するエステル、又は炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を有する脂肪酸と炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を有するエステルとの混合物である〔1〕に記載の口腔用組成物。
〔3〕
エステルが、炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を酸残基及び/又はアルコール残基に有するヒドロキシカルボン酸エステル、アシルアミノ酸エステル及び脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上である〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔4〕
(B)成分が、炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を有する脂肪酸と、炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を酸残基及びアルコール残基に有する脂肪酸ステロールエステルとの混合物である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔5〕
(A)成分を0.1〜2質量%、(B)成分を0.01〜1質量%含有する〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔6〕
更に、(C)研磨剤を3〜20質量%含有する〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔7〕
歯磨剤である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
本発明によれば、水溶性縮合リン酸塩によるステイン除去力を向上させ、歯牙のステイン除去効果に優れ、かつ良好な使用感を有する口腔用組成物を提供できる。また、本発明では、物理的な清掃作用を持つ研磨剤の増量に頼らず、優れたステイン除去効果を与えるものであり、多量の研磨剤による口腔粘膜刺激の課題が生じず、歯茎等に炎症、痛みを持つ歯周疾患罹患者に対しても良好な使用感を与えることができる。
以下、本発明につき更に詳述する。本発明の口腔用組成物は、(A)水溶性縮合リン酸塩と、(B)炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を有する脂肪酸及びエステルから選ばれる1種又は2種以上とを含有する。
(A)成分の水溶性縮合リン酸塩は、歯のステイン除去を目的として使用され、下記一般式(1)
n+2n3n+1 (1)
(但し、式中、MはNa又はKを示し、nは2又は3の整数である。)
で表される。
上記一般式(1)で表される縮合リン酸塩としては、例えば、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム等の直鎖状のポリリン酸塩、トリメタリン酸ナトリウム、トリメタリン酸カリウム、テトラメタリン酸ナトリウム、テトラメタリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウム等の環状のポリリン酸塩が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用し得る。これらの中で、直鎖状のポリリン酸塩、特に重合度2〜4のポリリン酸塩がより好ましく、とりわけトリポリリン酸ナトリウムが好適である。
(A)成分の縮合リン酸塩の配合量は、組成物全体の0.1〜2%(質量%、以下同様。)が好ましく、より好ましくは0.3〜1.5%であり、更に好ましくは0.6〜1.5%である。0.1%以上であると、ステイン除去力が十分に得られる。2%以下であると口腔粘膜刺激が生じることがなく、使用感を良好に維持するにはより好適である。
(B)成分は、分岐鎖状構造を有する脂肪酸及び/又は分岐鎖状構造を有するエステルである。
分岐鎖状構造を有する脂肪酸としては、炭素数8〜22の分岐鎖状構造を有する脂肪酸が用いられる。例えば、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。中でも、口腔組織親和性の観点から、炭素数が12以上、特に12〜20の高級脂肪酸がより好ましく、イソステアリン酸が更に好ましい。
分岐鎖状構造を有するエステルは、分岐鎖の炭素数が8〜22であり、好ましくは12以上、より好ましくは12〜20であり、このような分岐鎖状構造を酸残基及び/又はアルコール残基に有するヒドロキシカルボン酸エステル、アシルアミノ酸エステル、脂肪酸エステルが好ましい。中でも、このような分岐鎖状構造を有するリンゴ酸エステル、乳酸エステル、脂肪酸エステル、特に脂肪酸エステルが好適である。なお、リンゴ酸エステル、乳酸エステルは、アルコール残基に分岐鎖状構造を有するものであり、脂肪酸エステルは、脂肪酸残基、アルコール残基のいずれかが分岐鎖状構造を有するものであり、この場合、分岐鎖状構造が脂肪酸残基又はアルコール残基にあっても、両方にあってもよい。
エステルの種類としては、特に、ステロール骨格を有するステロールエステルが好ましく、中でもフィトステロールエステル、コレステロールエステルが好ましく、フィトステロールエステルが更に好ましい。
分岐鎖状構造を有するエステルとして具体的に、ヒドロキシカルボン酸エステルとしては、リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸オクチルドデシル、アシルアミノ酸エステルとしては、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のN−アシルアミノ酸ステロールエステル、脂肪酸エステルとしては、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、酪酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル等の脂肪酸ステロールエステルが挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。これらの中でも、イソステアリン酸フィトステリル、リンゴ酸ジイソステアリル、特にイソステアリン酸フィトステリルが好ましい。
(B)成分としては、ステイン除去効果、味、においの点から、分岐鎖状構造を有するエステルが好ましく、特に、炭素数8〜22の分岐鎖状構造を有する脂肪酸と炭素数8〜22の分岐鎖状構造を有するエステルとを併用することが好ましく、イソステアリン酸とイソステアリン酸フィトステリルとを併用することが更に好ましい。
(B)成分の配合量としては、特段限定されるものではないが、組成物全体の0.01〜1%が好ましく、より好ましくは0.02〜0.5%、更に好ましくは0.05〜0.4%である。0.01%以上であると十分なステイン除去効果が得られる。1%以下であると味、におい、香味等へ悪影響を及ぼすことがなく、良好な使用感の維持には好適である。
更に、特に炭素数8〜22の分岐鎖状構造を有する脂肪酸と炭素数8〜22の分岐鎖状構造を有するエステルとを併用する場合、上記(B)成分の配合量の範囲内において、前記脂肪酸の配合量は好ましくは0.01〜1.0%、より好ましくは0.025〜0.5%であり、前記エステルの配合量は好ましくは0.01〜0.5%、より好ましくは0.025〜0.2%である。また、前記脂肪酸とエステルとの配合比率は、脂肪酸/エステルが質量比として1:5〜5:1が好ましい。この範囲内であると、ステイン除去効果がより優れ、また、味、においがより良くなる。
なお、本発明において、口腔用組成物中の各成分の含有量は、特に断らない限り、組成物を製造する際の各成分の仕込み量を基準とするものである。
本発明の口腔用組成物の剤形・形状は特に限定されず、例えば、液体(溶液、乳液、懸濁液等)、半固体(ゲル、クリーム、ペースト等)、固体(錠剤、粒子状剤、カプセル剤、フィルム剤、混練物、溶融固体、ロウ状固体、弾性固体等)等の任意の剤形に調製することができる。
また、前記調製された製剤は、例えば、歯磨剤(練歯磨、液体歯磨、液状歯磨、粉歯磨等)、洗口剤、塗布剤、貼付剤、口中清涼剤、食品(例えば、チューインガム、錠菓、キャンディ、グミ、フィルム、トローチ等)等の各種製品として利用することができるが、口腔用途の範囲で、前記に限定されないが歯磨剤であることが好ましい。
本発明の口腔用組成物には、上記各成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲において、口腔用組成物に使用し得る各種成分を配合することができる。かかる添加成分としては、例えば歯磨剤の場合は、研磨剤、粘稠剤、粘結剤、界面活性剤、甘味剤、防腐剤、香料、薬用成分、着色剤、pH調整剤、溶剤等が挙げられ、剤形に応じて適宜選択し得る。以下に添加成分の具体例を示すが、本発明の口腔用組成物に配合可能な成分はこれらに制限されるものではない。
研磨剤としては、例えば、無水ケイ酸、結晶性シリカ、非晶性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート等のシリカ系研磨剤、ゼオライト、リン酸水素カルシウム無水和物、リン酸水素カルシウム2水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、第4リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用し得るが、中でも、口腔粘膜刺激、使用性の観点から、無水ケイ酸等のシリカ系研磨剤、リン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系研磨剤などの無機研磨剤が好ましく、特に無水ケイ酸を用いることがより好ましい。
研磨剤の配合量は、組成物全体の0〜20%が好ましく、3〜20%がより好ましく、5〜15%が更に好ましい。3%以上とすると、ステイン等の着色物に対する清掃力が特に優れ、多く配合しすぎると口腔粘膜刺激性が生じるおそれがある。また、洗口剤においては、研磨剤の配合量が組成物全体の0〜10%であることが好ましく、0〜5%であることがより好ましい。
粘稠剤としては、例えば、ソルビトール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。粘稠剤を用いる場合、その配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で定めることができ、通常、組成物全体に対して1〜60%である。
粘結剤としては、例えば、プルラン、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等の有機系粘結剤、増粘性無水ケイ酸、ベントナイト等の無機系粘結剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。有機系粘結剤を用いる場合の配合量は、通常、組成物全体に対して0.1〜3%である。無機系粘結剤を用いる場合の配合量は、1〜10%であることが好ましい。無機系粘結剤が増粘性無水ケイ酸である場合には、その配合量が1〜7%であることが好ましく、2〜6%であることがより好ましい。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤を配合し得る。
アニオン界面活性剤としては、例えば、N−アシルアミノ酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、グリセリン脂肪酸エステルの硫酸塩などが挙げられる。これらのうち、汎用性の点で、N−アシルアミノ酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩が好ましく、発泡性・耐硬水性の点で、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキル鎖の炭素鎖長として炭素数が10〜16のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムが、より好ましい。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキロールアミド、グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらのうち、汎用性の点で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキロールアミド、ソルビタン脂肪酸エステルが好適に用いられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、アルキル鎖の炭素数が14〜30であることが好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、エチレンオキサイド平均付加モル数が3〜30であることが好ましい。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、エチレンオキサイド平均付加モル数(平均付加EO)が10〜100であることが好ましい。アルキロールアミドは、アルキル鎖の炭素鎖長が炭素数12〜14であることが好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が12〜18であることが好ましい。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が16〜18であることが好ましい。また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、エチレンオキサイド平均付加モル数が10〜40であることが好ましい。なお、上記エステルは、(B)成分のエステルとは相違する。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン系界面活性剤、アミンオキサイド系界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン系界面活性剤が挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやヤシ油脂肪酸アミドアルキルベタインが挙げられ、中でも、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが好ましい。
界面活性剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。界面活性剤を用いる場合の配合量は、通常、組成物全体に対して0〜10%、特に0.01〜10%であることが好ましい。
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、p−メトキシシンナミックアルデヒド、ソーマチン、パラチノース、マルチトール、キシリトール、アラビトール等が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。甘味剤を用いる場合、配合量は本発明の効果を損なわない範囲で適宜定めることができる。
防腐剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、エチレンジアミン四酢酸塩、塩化ベンザルコニウム等が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。防腐剤を用いる場合、配合量は本発明の効果を損なわない範囲で適宜定めることができる。
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料や、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができるが、実施例記載の香料に限定されるものではない。
また、配合量も特に限定されないが、上記の香料素材は、組成物中に0.000001〜1%使用するのが好ましく、また、上記香料素材を使用した賦香用香料としては、組成物中に0.1〜2%使用するのが好ましい。
着色剤としては、例えば、ベニバナ赤色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、シソ色素、紅麹色素、赤キャベツ色素、ニンジン色素、ハイビスカス色素、カカオ色素、スピルリナ青色素、クマリンド色素等の天然色素や、赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等の法定色素、リボフラビン、銅クロロフィンナトリウム、二酸化チタン等が挙げられる。着色剤を配合する場合、その配合量は、組成物全体に対して0.00001〜3%であることが好ましい。
本発明の口腔用組成物のpH(20℃)は、通常、6〜10であり、好ましくは6〜8である。pH調整剤としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタミン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の酸やアルカリ、緩衝剤が挙げられる。pH調整剤を配合する場合、その配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜定めることができる。
溶剤としては、例えば、水、及び、エタノール、プロパノールなどの炭素数3以下の低級アルコール等が挙げられる。溶剤は、液体系の口腔用組成物には通常配合される。溶剤として水を配合する場合、その配合量は、組成物全体に対して20〜95%であることが好ましい。更に、溶剤として低級アルコールを配合する場合、その配合量は、組成物全体に対して1〜20%であることが好ましい。
剤形が固体である場合、更に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、コーティング剤、光沢剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
また、本発明にかかわる水溶性縮合リン酸塩以外の任意の有効成分(他の有効成分)を、本発明の口腔用組成物に配合することもできる。前記他の有効成分としては、抗炎症剤、組織賦活剤、ビタミン、殺菌剤、収斂剤、フッ素等が挙げられる。
以下、本発明を、実施例、比較例を参照して更に詳細に説明するが、この実施例により本発明が限定されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
[実施例、比較例]
表1〜4に示す組成の歯磨剤組成物を以下の方法で調製し、容器(アルミラミネートチューブ)に充填し、下記方法で評価した。結果を表1〜4に示す。
<調製方法>
(1)精製水中に水溶性成分を常温で混合溶解させた(混合物X)。
(2)プロピレングリコール中に粘結剤を常温で分散させ(混合物Y)、撹拌中の混合物X中に、混合物Yを添加混合して、混合物Zを調製した。
(3)混合物Z中に、香料、界面活性剤、研磨剤等の水溶性成分以外の成分を、ニーダーを用いて常温で混合し、減圧(5.3kPa)による脱泡を行い、歯磨剤組成物を得た。
<評価方法>
(1)ステイン除去効果の評価方法
予め表面をサンドブラストで研磨したハイドロキシアパタイト板1(HOYA(株)、直径7.0mm×3.5mm、以下、ハイドロキシアパタイト板をHAP板と略記。)を0.5%アルブミン水溶液、タンニン溶液(日本茶(銘柄:老松)50g、紅茶ティーバッグ(リプトン社製、ブリスクティーバック)5個を熱水抽出し、冷却後12gの粉末コーヒー(ネスカフェ社製)を加え、精製水で1,200mLに調製。)、0.56%クエン酸鉄(III)アンモニウム水溶液の各溶液に順番に30分ずつ40℃の恒温槽中で浸漬した。この操作を1日に8〜9回繰り返し、ステインが十分にHAP板に付着するまで継続し(120サイクル)、ステインが付着したHAP板2を得た。
次に、HAP板2を人工唾液(50mM KCl,1mM CaCl2,0.1mM MgCl2,1mM KH2PO4,pH7.0)で3倍希釈した歯磨剤溶液に、37℃で2.5分間浸漬後、平板研磨機を用い、同試験溶液中でブラッシング処理を行った(使用ブラシ:ライオン(株)、システマハブラシ4列ヘッド)。ブラッシング処理は、200回行った。ブラッシングの後、水洗し、清掃後のHAP板3を得た。
ステイン除去効果の評価は、HAP板1,2,3の各L*値を測定し、それぞれL*1、L*2、L*3として、下記式によってステイン除去率を算出し、下記の基準により評価した。
*値は、分光色差計(日本電色(株)、SE−2000)を用いて測定した。
算出式:
ステイン除去率(%)={(L*2−L*1)−(L*3−L*1)}/(L*2−L*1)
ステイン除去効果の評価基準
◎:ステイン除去率が40%以上
○:ステイン除去率が30%以上40%未満
△:ステイン除去率が20%以上30%未満
×:ステイン除去率が20%未満
(2)使用感(口腔粘膜刺激、味、におい)の評価方法
10名のモニターが、歯磨剤組成物を歯ブラシに載せ、口腔内を洗浄した際の口腔粘膜刺激、味、においを下記の評点基準により判定した。10人の評価点の平均を求め、下記の評価基準により評価した。
口腔粘膜刺激の評点基準;
4点:口腔内で刺激を感じない。
3点:口腔内でやや刺激を感じる。
2点:口腔内で刺激を感じる。
1点:口腔内で非常に刺激を感じる。
口腔粘膜刺激の評価基準;
◎:平均点3.0点以上4.0点以下
○:平均点2.5点以上3.0点未満
△:平均点1.5点以上2.5点未満
×:平均点1.5点未満
味の評点基準;
4点:口腔内で異味を感じない。
3点:口腔内でやや異味を感じる。
2点:口腔内で異味を感じる。
1点:口腔内で非常に異味を感じる。
味の評価基準;
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
においの評点基準;
4点:口腔内で、不快なにおいを感じない。
3点:口腔内で、不快なにおいをやや感じる。
2点:口腔内で、不快なにおいを感じる。
1点:口腔内で、不快なにおいを非常に感じる。
においの評価基準;
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
Figure 2016194645
Figure 2016194645
Figure 2016194645
Figure 2016194645

Claims (7)

  1. (A)下記一般式(1)
    n+2n3n+1 (1)
    (但し、式中、MはNa又はKを示し、nは2又は3の整数である。)
    で表される水溶性縮合リン酸塩と、
    (B)炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を有する脂肪酸及びエステルから選ばれる1種又は2種以上と
    を含有してなることを特徴とする口腔用組成物。
  2. (B)成分が、炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を有するエステル、又は炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を有する脂肪酸と炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を有するエステルとの混合物である請求項1記載の口腔用組成物。
  3. エステルが、炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を酸残基及び/又はアルコール残基に有するヒドロキシカルボン酸エステル、アシルアミノ酸エステル及び脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2記載の口腔用組成物。
  4. (B)成分が、炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を有する脂肪酸と、炭素数が8〜22である分岐鎖状構造を酸残基及びアルコール残基に有する脂肪酸ステロールエステルとの混合物である請求項1〜3のいずれかに記載の口腔用組成物。
  5. (A)成分を0.1〜2質量%、(B)成分を0.01〜1質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の口腔用組成物。
  6. 更に、(C)研磨剤を3〜20質量%含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の口腔用組成物。
  7. 歯磨剤である請求項1〜6のいずれか1項記載の口腔用組成物。
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