JPWO2016190176A1 - 貫通穴付き積層断熱体および断熱構造 - Google Patents

貫通穴付き積層断熱体および断熱構造 Download PDF

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Abstract

断熱材と真空断熱材を組み合わせた断熱体において、被断熱面への施工が容易であり、かつ真空断熱材の有する高い断熱性を十分に発揮可能な断熱体および該断熱体を用いた高い断熱効果を有する断熱構造を提供する。芯材をガスバリア性の外被材で覆い減圧密封した真空断熱材層と、断熱材料からなる断熱材層とが互いに接するように積層された積層断熱体であって、前記積層断熱体は、前記真空断熱材層と前記断熱材層を積層方向に貫通する貫通穴を有することを特徴とする貫通穴付き積層断熱体、および被断熱面上に、該貫通穴付き積層断熱体を前記断熱材層が前記被断熱面と接するように配置され、前記貫通穴に固定具を通して、前記被断熱面と前記貫通穴付き積層断熱体とを一体化したことを特徴とする断熱構造。

Description

本発明は、貫通穴付き積層断熱体および断熱構造に関し、特には、高い断熱性と良好な施工性を有する貫通穴付き積層断熱体および該積層断熱体を用いた断熱構造に関する。
従来から、住宅、ビル、車輌、保温保冷容器、冷蔵庫、給湯器等においては、断熱によってエネルギー消費を低減するために樹脂フォーム等の断熱材が使用されてきた。また、近年では、このような断熱材に代わってより高い断熱性を有する真空断熱材が使用されるようになった。真空断熱材としては、例えば、粉体や繊維で構成される芯材を、内面に熱溶着層を有するガスバリア性の外被材中に装填し、減圧下で外被材の芯材が存在しない部分、すなわち芯材の外周の外側部分の熱溶着層同士を熱溶着することで熱シール等を施して減圧密封したものが知られている。
真空断熱材は、上記のとおり優れた断熱性を有するものの、一方で被断熱面への取り付け等の施工性の点で十分とは言えなかった。例えば、断熱材に対しては被断熱面への取り付けに際して穴開け加工を施すことがよく行われるが、真空断熱材は内部を減圧に保つ必要があるために、穴が開くとリーク(真空破壊)を起こし、高い断熱性能が失われるため穴開け加工を施すことができなかった。そこで、被断熱面への施工性を向上させることを目的として、真空断熱材を穴開け可能な構成とする技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1においては、貫通孔を有する真空断熱材の該貫通孔に固定用部材を通過させ真空断熱材を所定の空間内に固定した後に、真空断熱材を埋め込むように発泡断熱材を充填する技術が記載されている。
また、特許文献2には真空断熱材をウレタンフォーム等の断熱材で包んだ断熱パネルを積層して低温タンクの断熱を図る技術が記載されている。特許文献2には、低温タンクへの断熱パネル等の固定はスタッドボルト等で行う旨の記載があり、その固定部分は断熱パネル等における真空断熱材を内包しない部分と考えられる。すなわち、特許文献2に記載された断熱構造では真空断熱材の配置箇所が制限され、また被断熱面の全面を覆うためには、断熱パネルの継ぎ目の上部に追加の断熱パネルが必要とされている。
特開2010−065711号公報 特開2010−249174号公報
本発明は、断熱材と真空断熱材を組み合わせた断熱体において、被断熱面への施工が容易であり、かつ真空断熱材の有する高い断熱性を十分に発揮可能な断熱体および該断熱体を用いた高い断熱効果を有する断熱構造を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]芯材をガスバリア性の外被材で覆い減圧密封した真空断熱材層と、断熱材料からなる断熱材層とが互いに接するように積層された積層断熱体であって、前記積層断熱体は、前記真空断熱材層と前記断熱材層を積層方向に貫通する貫通穴を有することを特徴とする貫通穴付き積層断熱体。
[2]前記真空断熱材層は前記断熱材層に挟持された[1]の貫通穴付き積層断熱体。
[3]前記真空断熱材層と前記断熱材層とをそれぞれ2以上有する[1]または[2]の貫通穴付き積層断熱体。
[4]前記芯材を構成する材料が、グラスウール、樹脂繊維、無機粉体、有機粉体、および粉体と繊維の複合体から選ばれる1種以上である、[1]〜[3]のいずれかの貫通穴付き積層断熱体。
[5]被断熱面上に、[1]〜[4]のいずれかの貫通穴付き積層断熱体を前記断熱材層が前記被断熱面と接するように配置し、前記貫通穴に固定具を通して、前記被断熱面と前記貫通穴付き積層断熱体とを一体化したことを特徴とする断熱構造。
[6]前記貫通穴付き積層断熱体は前記被断熱面と反対側の最外層として保護層を有する[5]の断熱構造。
[7]前記被断熱面上に複数の前記貫通穴付き積層断熱体を互いの端面が隣接するように配置してなる[5]または[6]の断熱構造。
[8]前記複数の前記貫通穴付き積層断熱体の、前記隣接する端面において前記真空断熱材層の端面同士は面で接することがない[7]の断熱構造。
[9]前記断熱材層を構成する断熱材料が、樹脂フォームである[7]または[8]の断熱構造。
[10]前記樹脂フォームがフェノールフォーム、硬質ウレタンフォームおよびスチレンフォームから選ばれる1種以上である、[9]の断熱構造。
[11]前記複数の前記貫通穴付き積層断熱体の厚みが略同一である、[7]〜[10]のいずれかの断熱構造。
[12]前記断熱構造において、隣接する前記貫通穴付き積層断熱体の端面の間に応力吸収材が配置されてなる、[7]〜[11]のいずれかの断熱構造。
[13]前記被断熱面と前記断熱構造の最外層面との温度差が100℃以上となる、[5]〜[12]のいずれかの断熱構造。
本発明によれば、断熱材と真空断熱材を組み合わせた断熱体において、被断熱面への施工が容易であり、かつ真空断熱材の有する高い断熱性を十分に発揮可能な断熱体および該断熱体を用いた高い断熱効果を有する断熱構造が提供できる。
本発明の貫通穴付き積層断熱体の実施形態の一例を示す平面図である。 図1に示す貫通穴付き積層断熱体の平面図のA−A線における断面図である。 図2に示す貫通穴付き積層断熱体における真空断熱材層の断面図である。 本発明の断熱構造の実施形態の一例を示す断面図である。 本発明の断熱構造の実施形態の別の一例を示す平面図である。 図5Aに示す断熱構造の平面図のB−B線における断面図である。 本発明の断熱構造の実施形態のさらに別の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明はこれに限定されない。以下の説明において、「略同寸」等における略は目視で見た際にそう見える範囲を意味する。
図1は、本発明の貫通穴付き積層断熱体の実施形態の一例の平面図を示し、図2は、該貫通穴付き積層断熱体の平面図のA−A線における断面図である。以下、貫通穴付き積層断熱体を単に積層断熱体ともいう。
図1および図2に示す積層断熱体1は、芯材35をガスバリア性の外被材33で覆い減圧密封した真空断熱材層3と、断熱材料からなる断熱材層2とが互いに接するように積層されてなり、真空断熱材層3と断熱材層2を積層方向に貫通する貫通穴4を有する。
積層断熱体1において、真空断熱材層3の主面と断熱材層2の主面は、略同形、同寸であり、それぞれの外周が一致するように積層されている。貫通穴4は積層断熱体1の一方の主面の略中心部から他方の主面の略中心部までを貫くように、すなわち、積層された真空断熱材層3と断熱材層2の2層を貫くように形成された直方体形状の貫通穴である。本発明においては、真空断熱材層を構成する真空断熱材として以下に説明するような穴開け加工可能な真空断熱材を用いることで、真空断熱材層3と断熱材層2の2層を貫く貫通穴4の形成を可能としている。
本発明の積層断熱体は真空断熱材層と断熱材層を積層した構成とすることで、被断熱面に対して真空断熱材層の設置面積を自由に設定可能であり、例えば、主面が略同形、同寸の真空断熱材層3と断熱材層2が積層された積層断熱体1を用いれば、被断熱面に対する真空断熱材層の設置面積を最大限に確保することが可能となる。
なお、本発明の積層断熱体は2つの主面の大きさが異なっていてもよい。すなわち、図2に示した積層断熱体1の断面図が台形であってもよい。ただし真空断熱材層と断熱材層とが積層される主面どうしは略同形、同寸であり、それぞれの外周が一致するように積層されている。
また、貫通穴4を有することで、積層断熱体1を被断熱面に固定する際に貫通穴4に固定具、例えば、ネジや釘を配して、固定することが容易である。積層断熱体1を被断熱面に固定する際に、貫通穴4は配線および/または配管を通す用途に用いることも可能である。このように、本発明の積層断熱体は、真空断熱材層と断熱材層を積層方向に貫通する貫通穴を有することで、非常に良好な施工性を有する。
本発明において、積層断熱体が有する貫通穴の大きさ、形状、位置、個数は特に制限されず、積層断熱体が適用される被断熱面に応じて適宜選択される。図1、2に示す積層断熱体1に示す貫通穴4の形状は平面図において正方形であるが、例えば、これを三角形、四角形、多角形、略円形、略楕円形、L型等の形状や、これらの組み合わせからなる任意形状とすることができる。また、貫通穴4の側面、すなわち積層断熱体1の内側面は、積層断熱体1の主面に対して垂直となるように形成されているが、本発明の実施形態の積層断熱体において、必ずしも垂直である必要はなく、必要に応じてテーパー状、階段状等であってもよい。
貫通穴の開口部の形状は作業性の観点、例えば位置決めがしやすい等の観点からは、多角形が好ましく、四角形がより好ましい。また、貫通穴の側面は積層断熱体の主面部に対して垂直となるように形成されることが好ましい。貫通穴の開口部の大きさや個数は、断熱性を高く維持する観点から、その用途において必要最低限とする。例えば、積層断熱体の主面の貫通穴の開口部を含む全面積に対する貫通穴の開口部の面積の割合が5%以下となるように設計することが好ましい。
図1、2に示される積層断熱体1は、真空断熱材層と断熱材層の各1層が積層された、本発明の積層断熱体において積層数が最小の構成を有する積層断熱体である。本発明の積層断熱体においては、真空断熱材層と断熱材層が互いに接するように積層される限り、各層の積層数およびそれらの合計の積層数は特に制限されない。ここで、各断熱材層は、それぞれ単層で構成されても2層以上の多層で構成されてもよい。積層断熱体における断熱材層の層数をいう場合、断熱材層が断熱材からなる層のみの多層構成であれば、該断熱材層を1層とする。積層断熱体における真空断熱材層と断熱材層の積層数は、積層断熱体が適用される被断熱面に応じて適宜選択される。施工性の観点から、積層断熱体は断熱材層が真空断熱材層を挟持する構成であるのが好ましい。すなわち、真空断熱材層の層数をnとした場合、断熱材層の層数がn+1である構成が好ましい。
また、真空断熱材層の層数は2以上が好ましく、断熱材層の層数も同様に2以上が好ましい。ただし、断熱材層が真空断熱材層を挟持する構成の場合、断熱材層の層数は真空断熱材層の層数より1多い数となる。真空断熱材層および断熱材層のいずれも製造上の観点から厚さの好ましい範囲があるため、優れた断熱性を発揮するためにはどちらも複数層積層することが望ましい。
積層断熱体を構成する真空断熱材層および断熱材層の厚さは、真空断熱材層および断熱材層が有する断熱性能と、被断熱面に求められる断熱性能により適宜設定される。真空断熱材層の層厚は、用いる真空断熱材層の種類によるが、製造上の観点から、1層あたり、3〜50mmが好ましく、20〜40mmがより好ましい。また、断熱材層の厚さは、用いる断熱材層の種類によるが、製造上の観点から、1層あたり、100〜500mmが好ましく、150〜400mmがより好ましい。
積層断熱体の主面の形状および大きさは、積層断熱体が適用される被断熱面に応じて適宜選択される。積層断熱体は、通常、被断熱面に対してその主面が接するようにして設置される。したがって、積層断熱体の主面の大きさおよび形状は、被断熱面の大きさおよび形状と略一致するように製造される。また、被断熱面が大面積の場合には、施工性の観点から、複数の積層断熱体を準備し、積層断熱体をその端面同士が隣接するように配置することで、被断熱面全体を覆うように施工することが好ましい。
以下、積層断熱体を構成する断熱材層および真空断熱材層について説明する。積層断熱体が有する貫通穴は、積層される前に積層される断熱材層および真空断熱材層毎に形成されてもよく、積層後に形成されてもよい。貫通穴は、一部が積層される前に形成され、残りの部分が積層後に形成されてもよい。貫通穴の全部を積層後に形成する場合、断熱材層および真空断熱材層としては、それぞれ貫通穴のないものが準備される。一方、断熱材層および真空断熱材層への貫通穴の穴開け加工を異なる方法で行うことが好ましい場合は、真空断熱材層および断熱材層の両方が予め貫通穴を有するものとして準備される。あるいは、一方が貫通穴付きで、他方が貫通穴なしで準備され、積層後、貫通穴を有しない層について貫通穴付きの層に合わせて貫通穴が設けられてもよい。
(断熱材層)
断熱材層は断熱材料が層状に成形されたものである。断熱材料としては、層状に成形可能な公知の断熱材料が使用できる。具体的には、気相比率90%前後の多孔体を材料として、これを層状に加工した材料が挙げられる。工業的に利用できる多孔体として、発泡体、繊維体、繊維体と粉体の複合体等がある。これらは、その使用用途や必要特性に応じて公知の材料を使用することができる。
このうち、発泡体としては、樹脂フォーム、具体的には、硬質ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム等の連続気泡体が利用できる。
また、繊維体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物が利用できるが、コストと断熱性能の観点から無機繊維が有利である。無機繊維の一例としては、グラスウール、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール、カーボンウール等、公知の材料を使用することができる。
繊維体と粉体の複合体に用いる粉体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物を利用できるが、工業的には、乾式シリカ、湿式シリカ、パーライト等を主成分とする多孔質粉体が使用できる。多孔質粉体と繊維体の複合体としては、エアロゲルブランケットが挙げられる。
断熱材層は成形時に積層した際に貫通穴となる部分に貫通穴を有するように成形されてもよく、成形後に公知の方法で貫通穴を形成してもよい。あるいは、貫通穴を有しない状態で準備し、真空断熱材層と積層後、貫通穴を形成してもよい。
(真空断熱材層)
真空断熱材層は穴開け加工可能な真空断熱材を用いて形成される。穴開け加工可能な真空断熱材としては、例えば、特許文献1等に公知の真空断熱材や、特開2011−153715号公報に記載の以下の真空断熱材が使用できる。
すなわち、内面に熱溶着層を有する袋状のガスバリア性の外被材中に、所定の位置に貫通孔が形成された板状の芯材を充填し、芯材の外周の外側部分とともに貫通孔部分について外被材の熱溶着層同士を熱溶着させた真空断熱材が使用できる。この真空断熱材においては、芯材の貫通孔に対応する部分で外被材が熱溶着した部分に貫通穴が形成可能である。
また、さらに別の構成の穴開け加工可能な真空断熱材として、例えば、板状の芯材の所定の貫通部分を、ガスバリア性でありかつ外被材の熱溶着層と熱溶着可能な樹脂製置換材で置き換えて、芯材の外周の外側部分の外被材の熱溶着層同士を熱溶着させるとともに置換材の両表面と外被材の熱溶着層を熱溶着させた真空断熱材が使用できる。なお、置換材の表面とは、板状の芯材の置換された部分の主面に相当する面をいう。
すなわち、片面に熱溶着層を有するガスバリア性のフィルムを前記熱溶着層同士が対向するように配置してなる外被材と、板厚方向に貫通する貫通部を有する板状の芯材と、前記貫通部を閉塞するように前記貫通部に配設される、前記芯材の主面に略平行する一対の表面を有するガスバリア性の樹脂部材からなる置換材と、を備え、前記外被材の内部に前記置換材が配設された芯材が収納されており、前記芯材の外周よりも外側に位置し前記芯材の周囲全体に亘る領域が前記熱溶着層同士の熱溶着により密着された、前記外被材の内部が減圧状態である真空断熱材であって、前記樹脂部材はガスバリア性が保持されるように前記外被材と接合された真空断熱材が使用できる。この真空断熱材においては、芯材を置換材で置き換えた部分に貫通穴が形成可能である。
図1、2に示す貫通穴4付き積層断熱体1は、このような真空断熱材を真空断熱材層3として用いて貫通穴を形成した例であり、図3は該真空断熱材層3の断面図である。
図3に示す真空断熱材層3は、片面に熱溶着層31を有するガスバリア性のフィルム32を有し、フィルム32を熱溶着層31同士が対向するように配置してなる外被材33と、板厚方向に貫通する貫通部を有する板状の芯材35と、貫通部と嵌合するように貫通部に配設される、芯材35の貫通部内面に接する外周面36cおよび芯材35の両主面35a、35bに平行する一対の表面36a、36bを有するガスバリア性の樹脂部材からなる置換材36とを備え、置換材36の略中央部に相当する位置に貫通穴4が形成されている。以下、貫通穴4が形成される前の真空断熱材層3について説明する。
真空断熱材層3においては、熱溶着層31同士が対向する外被材33の内部に、置換材36が配設された芯材35が収納され、芯材35の外周よりも外側に位置し芯材35の周囲全体に亘る領域Yが熱溶着層31同士の熱溶着により密着され、外被材33の内部は減圧状態とされている。以下、熱溶着された上記の領域Yをシール領域Yともいう。図3においてYwで示すシール領域Yの幅は、外被材33内部を減圧状態に密封可能な幅であれば特に制限されない。シール領域Yの幅Ywは、具体的には5〜20mm程度が好ましい。
熱溶着層31と置換材36の表面36a、36bは公知の手法によって接合することができる。具体的には、接着剤による接合や熱溶着による接合が挙げられる。接合に接着剤を使用する場合には、熱溶着層と置換材の表面の間に接着剤層が介在し、接着剤の接着力により両者が接合される。したがって、この場合には、置換材の表面は必ずしも熱溶着層と熱溶着できる材料から構成されなくてもよい。また、熱溶着層と置換材の表面がガスバリア性をもって接合される限り接着剤の種類は特に制限されない。
熱溶着層31と置換材36の表面36a、36bは、作業性の観点から、熱溶着により接合されることが好ましい。熱溶着を行う場合、少なくとも置換材表面36a、36bは熱溶着層31と熱溶着できる材料から構成されていることが好ましい。接合が熱溶着により行われる場合、加熱の方法は特に制限されない。公知の加熱方法、例えば超音波溶着、高周波溶着、熱媒体の接触による熱溶着等が挙げられる。
ここで、図3に示す真空断熱材層3は、上記接合が熱溶着で行われた真空断熱材層の例である。真空断熱材層3においては、置換材36は熱溶着層31を構成する材料と熱溶着可能な樹脂で構成され、置換材36は一対の表面36a、36bにおいて外被材33の熱溶着層31と熱溶着されている。なお、置換材36と熱溶着層31との界面は、実際には熱溶着により明確に存在するものではない。図3では、置換材36と熱溶着層31との界面を熱溶着の前における界面として破線で示す。ここで、該界面は、置換材36が有する一対の表面36a、36bに相当する。
置換材36の厚みは芯材35の厚みと略同じである。したがって、芯材35の貫通部に置換材36が嵌め込まれた部材において主面は全体として平坦な面となる。なお、芯材35の厚みについては、特に制限されないが、通常の真空断熱材における芯材の厚みとして3〜50mm程度が挙げられる。
また、芯材35と置換材36の厚みについても必ずしも同じでなくてもよい。置換材36が有する一対の表面36a、36bにおいて外被材33が有する熱溶着層31との熱溶着が十分に行われる限りは、置換材の厚みは芯材の厚みよりも厚くても、薄くてもよい。置換材36の厚みは、上記熱溶着性の観点に加えて、真空断熱材に求められる平坦性を考慮に入れて適宜選択される。具体的には、置換材36の厚みは、芯材35の厚みの0.8〜1.2倍が好ましい。なお、置換材36の厚みが芯材35の厚みの1.0超1.2倍であると、芯材35を外被材33の中に減圧密封した後でも置換材36の位置が外被材33の外から確認しやすいため好ましい。
ここで、芯材35における置換材36の配置位置は、積層断熱体1における貫通穴4の形成位置とする。また、貫通穴4は置換材36内に形成されるため、置換材36の表面の大きさは設けられる貫通穴4の開口部の大きさより大きく設計される。すなわち、置換材36に貫通穴4を形成する場合、図3に示されるとおり、該貫通穴4は置換材36の周縁部を除く領域に設けられる。置換材36の周縁部領域に貫通穴4が存在すると、置換材36を構成する樹脂と外被材33の熱溶着層31との熱溶着部における密着性が確保できなくなるおそれがある。このような観点から、上記周縁部の幅w1は5mm以上とすることが好ましい。このようにして真空断熱材層3に貫通穴4を形成すれば、貫通穴4を有しているにも関わらずその内部を安定した減圧状態に維持できる。
なお、置換材36の表面の形状と設けられる貫通穴4の開口部の形状は上記周縁部の幅w1が5mm以上に確保されていれば必ずしも一致しなくてもよい。しかしながら、真空断熱材層3全体としての断熱性を高く確保する観点から、貫通穴4形成後の置換材の体積ができるだけ小さくなるように、置換材36を設定することが好ましい。また、貫通穴4の形成を考慮して、置換材36の貫通穴4に相当する部分をさらに取り外し可能な別の部材に置き換える設計としておけば、貫通穴4の形成が容易である。
置換材36を構成する樹脂部材の材質はガスバリア性を有する樹脂であれば特に制限されない。
図3に示す真空断熱材層3のように熱溶着層31と置換材36を熱溶着で接合する場合、具体的な樹脂としては、外被材33が有する熱溶着層31を構成する材料による。熱溶着層31を構成する材料としては、低密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、無延伸ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)等が挙げられる。これらの樹脂と熱溶着可能な樹脂としては、これらの樹脂と同様の樹脂が挙げられる。好ましくは、外被材33が有する熱溶着層31を構成する材料と、置換材36を構成する樹脂は同じ樹脂である。
外被材33は、例えば、片面に熱溶着層31を有する同形、同寸の2枚のガスバリア性のフィルム32を、各フィルム32が有する熱溶着層1を互いに対向させて重ね合わせた構成とすることができる。
外被材33の大きさおよび形状は、置換材36が嵌め込まれた芯材35を上記2枚のガスバリア性のフィルム32の間に収納し、かつ芯材35の外周よりも外側にシール領域Yが設けられる大きさおよび形状であれば特に限定されない。芯材35の大きさおよび形状に合わせて適宜選択可能である。外被材33のシール領域Yの内側における外被材33内部の真空度は、優れた断熱性能が得られ、また真空断熱材の寿命が長くなる点から、1×10Pa以下が好ましく、1×10Pa以下がより好ましい。
外被材33の材料としては、真空断熱材に使用される公知のものを制限なく使用できる。外被材33の材料として用いる熱溶着層31を有するガスバリア性のフィルム32としては、ガスバリア層と表面保護層を有するラミネートフィルムが挙げられる。前記ラミネートフィルムとしては、例えば、ガスバリア層としての金属箔または金属蒸着層を表面保護層の片面上に有するラミネートフィルムが適用できる。
この場合、外被材は、最も内側に熱溶着層を有し、中間層として金属箔または金属蒸着層を有し、最外層として表面保護層を有する構成となる。また、ラミネートフィルムは、金属箔を有するラミネートフィルムと金属蒸着層を有するラミネートフィルムの2種類のラミネートフィルムを組み合わせて適用してもよい。熱溶着層としては、上に説明した熱溶着層を構成する材料からなるフィルムやこれらのフィルムを組み合わせた複合体からなってもよい。表面保護層としては、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムの延伸加工品など、公知の材料が利用できる。
芯材としては、真空断熱材に用いられる公知の芯材を使用できる。具体的には、気相比率90%前後の多孔体を材料として、これを板状に加工した芯材が挙げられる。工業的に利用できる多孔体として、発泡体、粉体、および繊維体等がある。芯材としては、グラスウール、樹脂繊維、無機粉体、有機粉体、および粉体と繊維の複合体から選ばれる1種以上が好ましい。これらは、その使用用途や必要特性に応じて公知の材料を使用することができる。
このうち、発泡体としては、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム等の連続気泡体が利用できる。また、粉体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物を利用できるが、工業的には、乾式シリカ、湿式シリカ、パーライト等を主成分とするものが使用できる。
また、繊維体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物が利用できるが、コストと断熱性能の観点から無機繊維が有利である。無機繊維の一例としては、グラスウール、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール等、公知の材料を使用することができる。
さらに、これらの発泡体、粉体、および繊維体等の混合物や複合体も芯材に適用することができる。このような芯材として、具体的には、多孔質粉体と繊維体の複合体、例えば、エアロゲルブランケットが挙げられる。
これらのうち、粉体を含む断熱材材料が板状に成形された芯材について以下に説明する。粉体を含む芯材の断熱材材料としては、高強度な芯材を得やすい点から、粉体に加えて繊維およびバインダのいずれか一方もしくは両方が含まれていることが好ましい。
≪粉体≫
以下に粉体を含む芯材の場合を例にとって説明する。
粉体としては、真空断熱材の芯材に通常用いられる公知の粉体を使用できる。具体的には、ヒュームドシリカ、多孔質シリカ、輻射抑制材等が挙げられる。粉体としては、充分な強度を有する芯材が得られやすい点から、ヒュームドシリカを含むことが好ましい。粉体は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒュームドシリカは極めて微細な粉末であるため、粒の大きさを表す指標としては通常、比表面積が用いられる。比表面積は、窒素吸着法(BET法)により測定される。
ヒュームドシリカの比表面積は、50〜400m/gが好ましく、100〜350m/gがより好ましく、200〜300m/gが特に好ましい。ヒュームドシリカの比表面積が前記範囲の下限値以上であれば、優れた断熱性能が得られやすい。ヒュームドシリカの比表面積が前記範囲の上限値以下であれば、粒子の表面にバインダを付けやすい。
ヒュームドシリカの具体例としては、例えば、アエロジル200(比表面積200m/g、日本アエロジル株式会社製)、アエロジル300(比表面積300m/g、日本アエロジル株式会社製)、CAB−O−SIL M−5(比表面積200m/g、キャボットジャパン株式会社製)、CAB−O−SIL H−300(比表面積300m/g、キャボットジャパン株式会社製)、レオロシールQS30(比表面積300m/g、株式会社トクヤマ製)等が挙げられる。ヒュームドシリカは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
多孔質シリカを併用する場合、多孔質シリカの比表面積は、100〜800m/gが好ましく、200〜750m/gがより好ましく、300〜700m/gが特に好ましい。多孔質シリカの比表面積が前記範囲の下限値以上であれば、優れた断熱性能が得られやすい。多孔質シリカの比表面積が前記範囲の上限値以下であれば、バインダを用いた場合に多孔質シリカに吸収されるバインダ量を少なくできる。そのため、添加するバインダ量が少なくてもより低い圧力で芯材を成形できる。その結果、芯材の密度を低くでき、優れた断熱性能が得られやすくなる。
多孔質シリカの気孔率は、60〜90%が好ましく、65〜85%がより好ましく、70〜80%が特に好ましい。多孔質シリカの気孔率が前記範囲の下限値以上であれば、固体の熱伝導を少なくできるため、優れた断熱性能が得られやすい。多孔質シリカの気孔率が前記範囲の上限値以下であれば、成形時に多孔質シリカ粒子がつぶれにくく、多孔性が維持されるために優れた断熱性能が得られやすい。気孔率は、窒素吸着法(BJH法)により測定される。
多孔質シリカの平均粒子径は、コールターカウンター法により、体積基準で測定された場合において、1〜300μmが好ましく、2〜150μmがより好ましく、3〜100μmが特に好ましい。多孔質シリカの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、高い気孔率を有する多孔質シリカが得られやすく、優れた断熱性能が得られやすい。多孔質シリカの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、芯材の密度が高くなりすぎず、優れた断熱性能が得られやすい。
多孔質シリカの具体例としては、例えば、M.S.GELやサンスフェア(いずれもAGCエスアイテック株式会社製)等が挙げられる。
輻射抑制材としては、例えば、金属粒子(アルミニウム粒子、銀粒子、金粒子等)、無機粒子(グラファイト、カーボンブラック、炭化ケイ素、酸化チタン、酸化スズ、酸化鉄、チタン酸カリウム等)等が挙げられる。
≪バインダ≫
芯材を低密度にしても充分な強度が得られやすい点から、芯材の形状を維持するために断熱材材料はバインダを含むことができる。例えば粉体としてヒュームドシリカを使用し、予め該ヒュームドシリカの表面にバインダを付与してバインダ付きヒュームドシリカとすることができる。ヒュームドシリカの表面に付与されたバインダによって、成形時の圧力が低くても、バインダ付きヒュームドシリカ同士、またはバインダ付きヒュームドシリカと他の材料(多孔質シリカ、繊維等)が互いに接着される。多孔質シリカにバインダを付与しても、バインダが多孔質シリカに吸収されてしまうためにバインダによる効果は得られにくい。
バインダとしては、有機バインダであってもよく、無機バインダであってもよい。なかでも、バインダとしては、熱伝導性が低く、優れた断熱性能が得られやすい点から、無機バインダが好ましい。無機バインダとしては、例えば、ケイ酸ナトリウム、リン酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。なかでも、優れた断熱性能が得られやすい点から、ケイ酸ナトリウムが特に好ましい。
バインダは溶媒に溶解してバインダ液として用いることが好ましく、水溶液がより好ましい。
≪繊維≫
断熱材材料に繊維が含まれると、高強度な芯材が得られやすい。
繊維としては、真空断熱材に通常使用される繊維が使用でき、例えば、樹脂繊維、無機繊維が挙げられる。なかでも、真空下でのアウトガスが少なく、真空度の低下による断熱性能の低下を抑制しやすい点、および耐熱性に優れる点から、無機繊維が好ましい。
無機繊維としては、例えば、アルミナ繊維、ムライト繊維、シリカ繊維、グラスウール、ロックウール、スラグウール、炭化ケイ素繊維、カーボン繊維、シリカアルミナ繊維、シリカアルミナマグネシア繊維、シリカアルミナジルコニア繊維、シリカマグネシアカルシア繊維等が挙げられる。
使用する繊維の繊維長D30は、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましい。繊維長D30が前記下限値以上であれば、芯材に割れが生じることを抑制しやすい。使用する繊維の繊維長D90は、20mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましい。繊維長D90が前記上限値以下であれば、繊維同士が過度に絡まりにくいために粉体と均一に混合しやすく、繊維による効果が得られやすい。
繊維の太さ(直径)は、繊維による固体伝熱の増大を抑制できる点から、10μm以下が好ましい。また、繊維の太さ(直径)は、芯材に割れが生じることを抑制しやすい点から、1μm以上が好ましい。
なお、本明細書において「繊維長D30」とは、個数基準で求めた繊維長分布の全個数を100%とした累積個数分布曲線において30%となる点の繊維長を意味する。また、「繊維長D90」とは、個数基準で求めた繊維長分布の全個数を100%とした累積個数分布曲線において90%となる点の繊維長を意味する。繊維長分布は、光学顕微鏡で観察した写真において無作為に50本以上の繊維の長さを測定して得られる頻度分布および累積個数分布曲線で求められる。
≪粉体、バインダ、繊維の割合≫
粉体(100質量%)中のヒュームドシリカの割合は、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%が特に好ましい。ヒュームドシリカの割合が前記範囲の下限値以上であれば、強度の高い芯材が得られやすい。
粉体(100質量%)中の多孔質シリカの割合は、0〜50質量%が好ましく、0〜30質量%がより好ましく、0〜20質量%が特に好ましい。多孔質シリカの割合が多いほど、断熱性能に優れた真空断熱材が得られやすい。多孔質シリカの割合が前記範囲の上限値以下であれば、強度の高い芯材が得られやすい。
粉体が予め表面にバインダを付与したバインダ付きヒュームドシリカと多孔質シリカを含む場合、バインダ付与前のヒュームドシリカの質量Mと多孔質シリカの質量Mとの比M/Mは、50/50以上が好ましく、70/30以上がより好ましく、80/20以上が特に好ましい。前記比M/Mが前記下限値以上であれば、より低密度で優れた断熱性能を有し、かつ充分な強度を有する芯材が得られやすい。
粉体が輻射抑制材を含む場合、粉体(100質量%)中の輻射抑制材の割合は、3〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%が特に好ましい。輻射抑制材の割合が前記範囲の下限値以上であれば、輻射抑制材の効果が得られやすい。輻射抑制材の割合が前記範囲の上限値以下であれば、輻射抑制材による固体伝熱の増大を抑制できるため、優れた断熱性能が得られやすい。
バインダの割合は、予め表面にバインダを付与したバインダ付きヒュームドシリカを使用する場合、バインダ付与前のヒュームドシリカ100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、1〜4質量部が特に好ましい。前記バインダの割合が前記範囲の下限値以上であれば、より低密度で充分な強度を有する芯材が得られやすく、また優れた断熱性能が得られやすい。前記バインダの割合が前記範囲の上限値以下であれば、バインダによる固体伝熱の増大を抑制できるため、断熱性能の低下を抑制しやすい。芯材の形状維持性が確保できれば、より良い断熱性能を得るためバインダの割合は少ないことが好ましく、無添加でもよい。
また、ヒュームドシリカ、バインダおよびそれ以外の成分(多孔質シリカ、繊維等)を同時に混合する場合等、予め表面にバインダを付与したバインダ付きヒュームドシリカを使用しない場合のバインダの割合は、粉体100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、1〜4質量部が特に好ましい。バインダの割合が前記範囲の下限値以上であれば、より低密度で充分な強度を有する芯材が得られやすく、また優れた断熱性能が得られやすい。バインダの割合が前記範囲の上限値以下であれば、バインダによる固体伝熱の増大を抑制できるため、断熱性能の低下を抑制しやすい。
芯材の形状維持性が確保できれば、より良い断熱性能を得るためバインダの割合は少ないことが好ましく、無添加でもよい。芯材として粉体を用いる場合の、粉体の好ましい組成は質量比で、ヒュームドシリカ:多孔質シリカ:輻射抑制材が、70〜90:0〜20:10〜20であるのが好ましい。
繊維の割合は、粉体100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、2〜20質量部がより好ましく、4〜10質量部が特に好ましい。繊維の割合が前記範囲の下限値以上であれば、高強度な芯材が得られやすい。繊維の割合が前記範囲の上限値以下であれば、繊維による固体伝熱の増大を抑制できるため、断熱性能の低下を抑制しやすい。
なお、図3に示す真空断熱材層3を構成する真空断熱材(ただし、貫通穴4を有しない)は、例えば、(1)板状の芯材に、板厚方向に貫通する貫通部を形成し、(2)前記芯材の貫通部内面に接する外周面および前記芯材の両主面に平行する一対の表面を有するガスバリア性の樹脂部材からなる置換材を、前記貫通部と嵌合するように前記貫通部に配設し、(3)片面に熱溶着層を有するガスバリア性のフィルムを前記熱溶着層同士が対向するように配置してなる外被材の内部に、前記置換材が配設された芯材を収納し、(4)前記外被材の内部を減圧状態とするとともに、前記芯材の外周よりも外側に位置し前記芯材の周囲全体に亘る領域を前記熱溶着層同士の熱溶着により密着し、(5)前記樹脂部材を前記一対の表面において前記外被材の前記熱溶着層と熱溶着することで製造できる。
積層断熱体1における真空断熱材層3と断熱材層2の積層は、例えば、公知の接着剤を介して行うことができる。または、予め作製した真空断熱材層3の一方の主面上に断熱材層2を公知の方法で成形することで積層できる。このような方法によれば、積層断熱体1における真空断熱材層3と断熱材層2の積層面が全面において強固に接着できる。なお、積層断熱体1が適用される用途に応じて、例えば、被断熱面の温度変化が大きく、それにより被断熱面の膨張、収縮が生じるような用途においては、真空断熱材層3と断熱材層2は互いの積層面が全面において接着していない方がよい。その場合は、互いの積層面の少なくとも貫通穴4の周辺領域が接着されていればよい。
積層断熱体1における真空断熱材層3と断熱材層2の積層と貫通穴4の形成の順番については上記のとおりである。なお、積層に際して、図3に示す真空断熱材層3の芯材35が充填されていない外被材のみからなる外周部については、公知の方法により処理すればよい。例えば外周部を折り返してもよい。
以上、図1〜3を用いて、真空断熱材層と断熱材層の各1層が積層された、本発明の積層断熱体において積層数が最小の構成を有する積層断熱体について説明した。断熱材層に真空断熱材層が挟持された構成の積層断熱体や、断熱材層と真空断熱材層をそれぞれ複数有する積層断熱体の断熱材層および真空断熱材層についても、上記同様にできる。
本発明の積層断熱体は、真空断熱材層および断熱材層以外に必要に応じて任意の層を有してもよい。このような任意の層として積層断熱体の被断熱面に接する側と反対側の主面上に設けられる保護層が挙げられる。例えば、図1、2に示される積層断熱体1は、被断熱面に対して、真空断熱材層3側の主面または断熱材層2側の主面が接する形で使用される。密閉性を高める観点、およびヒートブリッジを回避する観点から断熱材層2側の主面が被断熱面に接するように用いられることが好ましい。したがって、この場合には保護層は真空断熱材層3側の主面に設けられることが好ましい。積層断熱体の表層が両側とも断熱材層で構成されている場合、保護層はいずれの主面に設けられてもよく、保護層が設けられていない断熱材層側の主面が被断熱面に接する形で使用される。このように積層断熱体が保護層を有する場合、積層断熱体は保護層が最外層となるように被断熱面に設けられる。
保護層は、通常、真空断熱材層または断熱材層と略同形、同寸の主面および貫通穴を有する。保護層を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリエステル等の樹脂が挙げられる。保護層の厚さは、真空断熱材層または断熱材層を保護できる厚さであれば特に制限されない。積層断熱体の用途にもよるが、例えば、50〜200μm程度の厚さが挙げられる。なお、積層断熱体における保護層の積層および貫通穴の形成については、真空断熱材層3と断熱材層2の積層および貫通穴の形成における断熱材層2の場合と同様にできる。保護層は樹脂シートと金属箔、例えばアルミニウムフォイルとの積層シートであってもよい。その場合、金属箔側が真空断熱材層の主面または断熱材層の主面と接するように配置される。
[断熱構造]
本発明の断熱構造は、上記本発明の貫通穴付き積層断熱体を用いて被断熱面を介して被断熱体の断熱を行う断熱構造に関する。本発明の断熱構造は、被断熱面上に、本発明の貫通穴付き積層断熱体を前記断熱材層が前記被断熱面と接するように配置し、前記貫通穴に固定具を通して、前記被断熱面と前記貫通穴付き積層断熱体とを一体化したことを特徴とする。
本発明の断熱構造は、省エネルギー化が求められる、保温や保冷、断熱が必要な被断熱体の被断熱面に特に制限なく適用できる。具体的には、例えば住宅およびビルの壁・屋根・床・配管、太陽光・熱設備等の住設分野;恒温槽、湯沸かし器、温水タンク、炊飯器、冷蔵庫、冷凍庫、保冷庫・保冷タンク、液化ガスタンク、自動販売機、クーラーボックス、保冷カバー、防寒服等の保温・保冷分野;ノートパソコン、液晶プロジェクター、コピー機、バッテリー、燃料電池等の電気・電子機器、半導体製造装置等の産業機器分野;自動車、バス、トラック、保冷車、列車、貨物車、船舶等の移動体分野;プラントの配管等に適用が可能である。
このような適用の中でも本発明の断熱構造は、特に、極低温用の断熱用途において十分な効果を発揮できる。具体的には、本発明の断熱構造によれば、被断熱面と断熱構造の最外層面との温度差を100℃以上とできる断熱性能を有する。例えば、極低温物を貯蔵、移送するための容器等ではその表面が被断熱面であり、該被断熱面は−100℃以下となる場合が多い。該容器の表面である被断熱面に本発明の断熱構造を適用すれば、断熱構造の最外層面の温度を、上記被断熱面の温度より100℃以上高い温度、すなわち大気温と近い温度とすることが可能である。なお、断熱構造の最外層面とは、断熱構造が有する貫通穴付き積層断熱体のうち最も被断熱面から離れて配置された貫通穴付き積層断熱体の被断熱面側と反対側の主面をいう。このような、被断熱面と断熱構造の最外層面との温度差が100℃以上となる断熱構造が求められる用途として、具体的には、極低温物を貯蔵、移送するための液化ガスタンク、液化ガス搬送用パイプ等の表面を被断熱面とする断熱構造が挙げられる。
以下、図面を参照しながら本発明の断熱構造を説明する。図4、図5A、5B、および図6は本発明の断熱構造の実施形態の一例、別の一例、およびさらに別の一例をそれぞれ示す平面図および断面図である。図4は被断熱体の被断熱面上に積層断熱体の1つが単独で配置された例であり、図5A、5Bは被断熱体の被断熱面上に複数の積層断熱体が互いの端面を隣接するように配置された例であり、図6は被断熱体の被断熱面上に複数の積層断熱体が互いの端面を隣接するように配置され、かつ積層された例である。
図4は、断熱材層2、真空断熱材層3および保護層5がその順に積層された積層断熱体1であって、その積層方向に貫通穴4を有する積層断熱体1が、被断熱体10の被断熱面10a上に断熱材層2側の主面が被断熱面10aと接するように配置され、貫通穴4に固定具6を通して積層断熱体1と被断熱面10aが一体化された断熱構造を示す。
なお、被断熱体10の被断熱面10aと積層断熱体1の断熱材層2側の主面は接着されていても、いなくともよい。本発明の断熱構造において積層断熱体1は、固定具6のみで被断熱体10に固定されていることが好ましい。また、それにより、被断熱体10の被断熱面10aと積層断熱体1の断熱材層2側の主面が十分に密着されていることが好ましい。そのような構成とすれば、例えば、被断熱体10の被断熱面10aが面方向に収縮または膨張した際に、被断熱体10と積層断熱体1の界面は固定具6で固定された箇所を除いて面方向に動きやすく、応力による積層断熱体1の破損等を抑制できる。
図4に示す断熱構造において、積層断熱体1の主面の大きさは、被断熱体10の被断熱面10aと略一致し、被断熱体10は被断熱面10aの全面が積層断熱体1で覆われた構成である。図4に示す断熱構造における積層断熱体1については、図1、2に示す積層断熱体1の真空断熱材層3側の主面に保護層5を有する構成であり、各層の構成およびその積層方法については上記に説明したとおりである。
図4に示す断熱構造において、積層断熱体1が有する貫通穴4の大きさと固定具6の大きさは略一致している。固定具6の大きさに対して貫通穴4の大きさが大きいと積層断熱体1の内側面と固定具6の間に空間が生じ、断熱性能を下げる可能性がある。よって、固定具6は積層断熱体1が有する貫通穴4を充填するように取り付けられることが好ましい。
ここで、固定具6としては、一般的に被断熱体の被断熱面に取り付けられる固定具が特に制限なく使用可能である。固定具6として、具体的には、スタッドボルトとナットの組み合わせ等が挙げられる。これら固定具6を構成する材質としては、樹脂、FRP等が挙げられる。ヒートブリッジを回避する観点および強度の観点からFRPが好ましい。
図5A、5Bに、被断熱体の被断熱面上に複数の貫通穴付き積層断熱体を互いの端面が隣接するように配置してなる断熱構造の一例を示す。図5Aはその一例の平面図であり、図5BはそのB−B線における断面図である。このような複数の貫通穴付き積層断熱体を互いの端面が隣接するように配置してなる断熱構造は、主として、被断熱体における被断熱面の面積が、比較的大きい場合に用いられる断熱構造である。本発明の積層断熱体は、必須の層として有する真空断熱材層の製造限界の大きさにより、その主面の大きさが規定される。特に、被断熱体における被断熱面の面積が、これより大きい場合には、複数の貫通穴付き積層断熱体を用いて、被断熱面の全体を覆うように断熱を行う。
図5A、5Bに示す断熱構造においては、主面の大きさおよび厚さは略同じであるが、積層構造の異なる2枚の積層断熱体1Aおよび積層断熱体1Bを用いて、被断熱体10の被断熱面10aの全面を断熱する断熱構造を示す。図5A、5Bに示すとおり、積層断熱体1Aおよび積層断熱体1Bは主面が正方形であり、互いの1辺において端面同士が接するようにして、被断熱体10の被断熱面10a上に配置することで被断熱面10aの全面を覆う構成である。すなわち、被断熱面10aの形状は、積層断熱体1Aの主面と積層断熱体1Bの主面を隣接させた長方形の形状である。
なお、積層断熱体1Aおよび積層断熱体1Bの主面の形状は、被断熱面10aの全面を断熱できるような形状であれば、長方形等の正方形以外の形状としてもよいが、被断熱面10aの寸法変化による収縮量を各積層断熱体においても同等とするため正方形であることが好ましい。
積層断熱体1Aは、断熱材層21a、断熱材層21bの2層からなる断熱材層21、真空断熱材層3、断熱材層22および保護層5がその順に積層され、その積層方向に貫通穴4を有する積層断熱体であり、断熱材層21a側の主面が被断熱面10aと接するように配置され、貫通穴4に固定具6Aを通して積層断熱体1Aが被断熱面10aに固定されている。
一方、積層断熱体1Bは、断熱材層21、真空断熱材層3、断熱材層22および保護層5がその順に積層され、その積層方向に貫通穴4を有する積層断熱体であり、断熱材層21側の主面が被断熱面10aと接するように配置され、貫通穴4に固定具6Bを通して積層断熱体1Bが被断熱面10aに固定されている。
ここで、図5Bに示すとおり、積層断熱体1Aと積層断熱体1Bは、隣接する端面において真空断熱材層3の端面同士が面で接することがないように、それぞれにおいて上記各層の厚さ、特には断熱材層の厚さが調整されて積層された積層断熱体である。このような構成とすることで、例えば、被断熱体10の被断熱面10aが面方向に収縮した際に、変形が困難な真空断熱材層3が、隣接する積層断熱体の断熱材層に押し込まれることが可能となり、応力による積層断熱体1A、1B、および真空断熱材層3の破損等を抑制できる。より、具体的には、積層断熱体1Aが有する真空断熱材層3は、積層断熱体1Bの断熱材層22側に押し込み可能であり、積層断熱体1Bが有する真空断熱材層3は、積層断熱体1Aの断熱材層21b側に押し込み可能である。
また積層断熱体1Aおよび積層断熱体1Bが有する真空断熱材層3がそれぞれ互いの断熱材層に押し込まれるので、積層断熱体1Aと積層断熱体1Bの隣接する端面において真空断熱材層3の重なりができ、被断熱面10aを真空断熱材層3で隙間なく断熱することができる。なお、真空断熱材層3に加わる押し込み応力を調節するため、積層断熱体1Aと積層断熱体1Bが互いに隣接する端面の間に軟質ポリウレタンフォーム等の応力吸収材を設置してもよい。ただし、応力吸収材の設置量は積層断熱体1Aと積層断熱体1Bの隣接する端面における真空断熱材層3の重なりを妨げない量とする。応力吸収材は断熱材層と同じ材料を用いることができる。
なお、積層断熱体1Aと積層断熱体1Bの厚さは略一致するように設計されているが、複数の積層断熱体を組み合わせる場合、必ずしも厚さが同一である必要はない。ただし、断熱性を均等にする、さらに別の加工、処理を施す際の作業性等の観点から、本発明の断熱構造において、複数の積層断熱体をその端面同士を隣接させて用いる場合には、用いる複数の積層断熱体の厚さは同一であることが好ましい。
図5A、5Bに示す断熱構造における被断熱面10aと積層断熱体1Aの断熱材層21a側の主面および積層断熱体1Bの断熱材層21側の主面との関係、固定具6A、固定具6Bおよび固定具6A、固定具6Bと貫通穴4との関係は、上記図4に示す断熱構造におけるのと同様にできる。
積層断熱体1Aおよび積層断熱体1Bがそれぞれ有する断熱材層21、22、真空断熱材層3、保護層5については、各層の構成およびその積層方法は上記に説明したとおりである。積層断熱体1Aおよび積層断熱体1Bにおける、真空断熱材層3および保護層5は互いに同じであっても異なってもよい。
図5A、5Bに示す断熱構造において、積層断熱体1Aおよび積層断熱体1Bの各積層断熱体が有する断熱材層は、いずれの断熱材層であっても、それを構成する断熱材料は樹脂フォームであることが好ましい。樹脂フォームとしては、フェノールフォーム、硬質ウレタンフォームおよびスチレンフォームから選ばれる1種以上であることが好ましい。断熱材層を構成する断熱材料を樹脂フォームとすることで、上に説明した積層断熱体1Aが有する真空断熱材層3の積層断熱体1Bの断熱材層22側への押し込みや、積層断熱体1Bが有する真空断熱材層3の積層断熱体1Aの断熱材層21b側への押し込みが容易に行えるようになる。
なお、図5A、5Bに示す断熱構造において、各積層断熱体が最も被断熱面10a側に位置する断熱材層、すなわち積層断熱体1Aにおいては断熱材層21a、積層断熱体1Bにおいて、断熱材層21は断熱特性、低温強度等の理由からフェノールフォームで構成されることが好ましい。
図6には、被断熱体の被断熱面上に複数の積層断熱体が互いの端面を隣接するように配置され、かつそれらの積層断熱体上にさらに別の複数の積層断熱体が互いの端面を隣接するように配置、積層された例を示す。
図6に示す断熱構造においては、図5A、5Bに示すのと同様の、被断熱体10の被断熱面10a上に、主面の形状が正方形であり大きさが略同じであるが、積層構造および厚さの異なる2枚の積層断熱体1Aおよび積層断熱体1Bが、互いの1辺において端面同士が接するようにして、被断熱体10の被断熱面10a上に配置されて被断熱面10aの全面を覆う構成がとられている。図6に示す断熱構造においては、積層断熱体1Aおよび積層断熱体1Bの上に、積層断熱体1Aおよび積層断熱体1Bと主面の形状、大きさが略同じであるが、積層構造および厚さの異なる2枚の積層断熱体1Cおよび積層断熱体1Dがさらに積層された構成である。図6に示す断熱構造においては、積層断熱体1A〜積層断熱体1Dが上記のように配置され、全体として同じ厚さに積層断熱体が積み重なっている。
積層断熱体1A、1B、1C、1Dは、いずれも断熱材層21、真空断熱材層3、断熱材層22および保護層5がその順に積層され、その積層方向に貫通穴を有する積層断熱体である。積層断熱体1A、1B、1C、1Dにおいて、特に、断熱材層21および断熱材層22の厚さがそれぞれ異なることで、積層断熱体1A、1B、1C、1Dはそれぞれ異なる積層断熱体である。
図6に示す断熱構造においては、積層断熱体1A、1Bは断熱材層21側の主面が被断熱面10aと接するように配置され、積層断熱体1A、1Bがそれぞれ有する貫通穴に固定具6A、6Bを通して被断熱面10aに固定されている。ここで、図6に示すとおり、積層断熱体1Aと積層断熱体1Bは、隣接する端面同士が接するように配置されるが、真空断熱材層3の端面同士が面で接することがないように、それぞれにおいて上記各層の厚さ、特には断熱材層21および断熱材層22の厚さが調整されて積層された積層断熱体である。
図6に示す断熱構造における積層断熱体1A、1Bは、図5A、5Bに示す断熱構造における積層断熱体1Bと断熱材層21および断熱材層22の厚さが異なる以外は、同様にできる。図6に示す断熱構造においてはこのような積層断熱体1A、1Bの上にそれぞれ積層断熱体1C、1Dが積層されている。なお、積層断熱体1Cと積層断熱体1Dは、隣接する端面同士が接するように配置されるが、真空断熱材層3の端面同士が面で接することがないように、それぞれにおいて上記各層の厚さ、特には断熱材層21および断熱材層22の厚さが調整されて積層された積層断熱体である。
また、図6に示す断熱構造においては、積層断熱体1C、1Dは断熱材層21側の主面がそれぞれ積層断熱体1A、1Bの保護層5と接するように配置され、積層断熱体1C、1Dがそれぞれ有する貫通穴に固定具6C、6Dを通して積層断熱体1A、1Bの保護層5に固定されている。固定具6C、6Dによる積層断熱体1A、1Bの保護層5上への積層断熱体1C、1Dの固定は、例えば、以下の方法で行うことができる。積層断熱体1A、1Bの被断熱面10aへの固定に際して、積層断熱体1A、1Bが有する保護層5の下に固定具6C、6Dを仕込み、積層断熱体1C、1Dの有する貫通穴に固定具6C、6Dを通して積層断熱体1A、1Bの保護層5上に積層断熱体1C、1Dを固定するなどのように行われるが、これに限定されない。
図6に示す断熱構造における被断熱面10aと積層断熱体1A、1Bの断熱材層21側の主面との関係、固定具6A、固定具6Bおよび固定具6A、固定具6Bと貫通穴4との関係は、上記図4に示す断熱構造におけるのと同様にできる。なお、積層断熱体1Aが固定される固定具6Aと、積層断熱体1A上に積層断熱体1Cが固定される固定具6Cとはヒートブリッジを回避する観点から接することがないように設けられる。同様に、積層断熱体1Bが固定される固定具6Bと、積層断熱体1B上に積層断熱体1Dが固定される固定具6Dとはヒートブリッジを回避する観点から接することがないように設けられる。
積層断熱体1A、1B、1C、1Dがそれぞれ有する断熱材層21、22、真空断熱材層3、保護層5については、各層の構成およびその積層方法は上記に説明したとおりである。積層断熱体1A、1B、1C、1Dにおける、真空断熱材層3および保護層5は互いに同じであっても異なってもよい。
図6に示す断熱構造は、上記の構成とすることで、例えば、被断熱体10の被断熱面10aが面方向に収縮または膨張した際に、変形が困難な真空断熱材層3が、隣接する積層断熱体の断熱材層に押し込まれることが可能となり、応力による積層断熱体1A、1B、1C、1Dの破損等を抑制できる。より、具体的には、積層断熱体1Aが有する真空断熱材層3は、積層断熱体1Bの断熱材層22側に押し込み可能であり、積層断熱体1Bが有する真空断熱材層3は、積層断熱体1Aの断熱材層21側に押し込み可能である。同様に、積層断熱体1Cが有する真空断熱材層3は、積層断熱体1Dの断熱材層22側に押し込み可能であり、積層断熱体1Dが有する真空断熱材層3は、積層断熱体1Cの断熱材層21側に押し込み可能である。
図5A、図5Bおよび図6に示す複数の積層断熱体が被断熱体の被断熱面に配置される断熱構造は、上記2枚または4枚の積層断熱体を上記のように配置した構成を単位として、この単位を隣接させながら2次元方向に繰り返して敷設することで、連続した広い面積の被断熱面の断熱にも適用できる。この場合、被断熱面は平面であっても、曲面であってもよく、液化ガスタンクの外壁面ように連続面であってもよい。
以上、図1〜図3に示す積層断熱体1を例にして本発明の実施の形態の積層断熱体を、図4〜図6に示す断熱構造を例にして本発明の実施の形態の断熱構造を説明したが、本発明の積層断熱体およびこれを用いた断熱構造においては、本発明の趣旨に反しない限度において各構成部材の形状や材料等の設計を適宜変更できる。また、必要に応じて上に説明した以外の構成部材を設けてもよい。
1,1A〜1D…積層断熱体、2…断熱材層、3…真空断熱材層、4…貫通穴、5…保護層、6…固定具、31…熱溶着層、32…ガスバリア性フィルム、33…外被材、35…芯材、36…置換材、Y…シール領域、10…被断熱体、10a…被断熱面。

Claims (13)

  1. 芯材をガスバリア性の外被材で覆い減圧密封した真空断熱材層と、断熱材料からなる断熱材層とが互いに接するように積層された積層断熱体であって、前記積層断熱体は、前記真空断熱材層と前記断熱材層を積層方向に貫通する貫通穴を有することを特徴とする貫通穴付き積層断熱体。
  2. 前記真空断熱材層は前記断熱材層に挟持された請求項1に記載の貫通穴付き積層断熱体。
  3. 前記真空断熱材層と前記断熱材層とをそれぞれ2以上有する請求項1または2に記載の貫通穴付き積層断熱体。
  4. 前記芯材を構成する材料が、グラスウール、樹脂繊維、無機粉体、有機粉体、および粉体と繊維の複合体から選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の貫通穴付き積層断熱体。
  5. 被断熱面上に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の貫通穴付き積層断熱体を前記断熱材層が前記被断熱面と接するように配置し、前記貫通穴に固定具を通して、前記被断熱面と前記貫通穴付き積層断熱体とを一体化したことを特徴とする断熱構造。
  6. 前記貫通穴付き積層断熱体は前記被断熱面と反対側の最外層として保護層を有する請求項5記載の断熱構造。
  7. 前記被断熱面上に複数の前記貫通穴付き積層断熱体を互いの端面が隣接するように配置してなる請求項5または6記載の断熱構造。
  8. 前記複数の前記貫通穴付き積層断熱体の、前記隣接する端面において前記真空断熱材層の端面同士は面で接することがない請求項7に記載の断熱構造。
  9. 前記断熱材層を構成する断熱材料が、樹脂フォームである請求項7または8に記載の断熱構造。
  10. 前記樹脂フォームがフェノールフォーム、硬質ウレタンフォームおよびスチレンフォームから選ばれる1種以上である、請求項9に記載の断熱構造。
  11. 前記複数の前記貫通穴付き積層断熱体の厚みが略同一である、請求項7〜10のいずれか一項に記載の断熱構造。
  12. 前記断熱構造において、隣接する前記貫通穴付き積層断熱体の端面の間に応力吸収材が配置されてなる、請求項7〜11のいずれか一項に記載の断熱構造。
  13. 前記被断熱面と前記断熱構造の最外層面との温度差が100℃以上となる、請求項5〜12のいずれか1項に記載の断熱構造。
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