JPWO2016181814A1 - 燃料改質装置 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、特許文献1の技術では、ガソリンタンクとは別のタンクに予めメタノールを保有しておく必要がある。
本出願人による上記燃料改質システムは、上流側から順に、炭化水素を主体とする燃料と空気とを混合して改質器に供給する混合器と、空気を用いて燃料を改質してアルコールを生成させる改質器と、改質器で生成した生成ガスを凝縮相と気相とに分離する凝縮器とを備えたものである。
しかしながら、燃料の沸点以下の温度で混合させると、燃料が完全に気化しないため、その濃度が爆発限界以内に留まってしまうおそれがある。
今般、出願人は、上述の改質器の上流側に配置された混合器についても種々考究し、燃料と空気との混合気における燃料の濃度を常に理想的な範囲の値に維持することができる一層優れた技術の提案を行う準備が整った。
前記改質器の上流に設けられ、前記燃料と空気を混合して前記改質器に供給する混合器(例えば、後述の混合器14)と、
前記改質器の下流に設けられ、前記改質器で生成した生成ガスを、改質燃料を主体とする凝縮相と、気相とに分離する凝縮器(例えば、後述の凝縮器16)と、を備え、
前記混合器はその内部に粒子状物質又は多孔質物質が配され、且つ、当該粒子状物質又は多孔質物質における隙間の大きさが1mm以下であることを特徴とする燃料改質装置。
上記(1)の燃料改質装置では、混合器内における粒子状物質又は多孔質物質における隙間の大きさが1mm以下であるため、これらの隙間は消炎距離の領域に該当する。従って、過度に急な反応が起こることがなく、ガソリンをアルコールに変換する変換プロセスが安定したものとなる。
なお、ここに隙間の大きさとは、粒子状物質については粒子間の空隙の平均距離(平均寸法)であり、多孔質物質については孔径の平均距離(平均寸法)である。
前記燃料タンクに貯留された改質前の燃料を、内燃機関の気筒内又は吸気ポート内に供給する燃料供給手段(例えば、後述の燃料供給部17)と、
前記凝縮器で分離された気相物質を、前記吸気ポート内に供給する気相供給手段(例えば、後述の気相供給部20)と、
前記凝縮器で分離された凝縮相中の改質燃料を貯留する改質燃料タンク(例えば、後述の改質燃料タンク18)と、
前記改質燃料タンクに貯留された改質燃料を、前記気筒内又は前記吸気ポート内に供給する改質燃料供給手段(例えば、後述の改質燃料供給部19)と、をさらに備えた上記(1)又は(2)の燃料改質装置。
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料改質装置1の構成を示す図である。本実施形態の燃料改質装置1は、図示しない車両に搭載され、車両上で図示しないエンジンの要求に応じて、燃料中に含まれる炭化水素をアルコールに改質してエンジンに供給する。
空気導入部11は、空気導入管110の上流側から順に、空気フィルタ111と、空気ポンプ112と、空気流量計113と、空気バルブ114と、を備える。
空気導入部11は、空気ポンプ112を駆動することで、空気フィルタ111を介して外気から空気を取り込む。また、空気導入部11は、空気バルブ114を開弁することで、取り込んだ空気を混合器14内に導入する。
エンジンへのガソリン供給量は、ECUによりインジェクタの噴射量を調整することによって制御される。
燃料導入部13は、燃料導入管130の上流側から順に、改質ポンプ131と、燃料流量計132と、燃料バルブ133と、を備える。
燃料導入部13は、改質ポンプ131を駆動するとともに燃料バルブ133を開弁することで、燃料タンク12内に貯留されたガソリンを混合器14内に導入する。
供給装置10ではECUの管理下で空気導入部11及び燃料導入部13が連係して動作し、混合器14に供給される空気及び燃料について、空気及び燃料の合計量に対する当該燃料の割合が22質量パーセント以上になるように調節が行われる。
この混合器14は、供給される空気と燃料のガソリンとが均一に混合可能な構成となっている。
なお、上述における空気及び燃料の合計量に対する燃料(ガソリン)の割合の上限は略80質量パーセントである。この上限を超えると酸化改質が起こりにくくなる。
ここで特に、本実施形態では、この粒子状物質又は多孔質物質における隙間の大きさが1mm以下である。
なお、混合器14は、図示しないヒータを備えており、ガソリン及び空気を所定の温度まで昇温しながら混合することで、ガソリンと空気の混合気を生成する。
図2の(A)は混合器14の部分破断図、図2の(B)は図2の(A)の一つの部位Pを拡大して示す一の態様の模式図、図2の(C)は図2の(A)の一つの部位Pを拡大して示す他の態様の模式図である。
図2の(A)の混合器14には、空気導入部11の空気導入管110から空気が供給されると共に、燃料導入部13の燃料導入管130から燃料(ガソリン)が供給される。
図2の(A)において混合器14が一部破断して描かれている内部の部分141には、粒子状物質又は多孔質物質が配されている。
図2の(B)の態様の場合、粒子状物質としては、例えば、石英砂、二酸化ケイ素、ゼオライト等を適用可能である。
図2の(C)の態様の場合、多孔質物質としては、例えば、ステンレスの焼結体であるポーラスステンレスや、その他のポーラス金属を適用可能である。
即ち、本発明の一実施形態においては、燃料の割合は、22質量パーセント以上略80質量パーセント以下となり、これは爆発限界を超えて燃料過濃であるという第1の条件を充足する。
即ち、本発明の一実施形態の装置は、上述した第1の条件及び第2の条件の双方を充足する図3の領域S内で作動する。
従って、本発明の上述した実施形態に係る燃料改質装置では、過度に急な反応が起こることがなく、ガソリンをアルコールに変換する変換プロセスが安定したものとなる。
先ず、本実施形態の改質反応は、下記の反応式(1)に示すように、ガソリン中の炭化水素から水素原子が引き抜かれてアルキルラジカルが生成する水素引き抜き反応により開始される。この水素引き抜き反応は、主触媒、ラジカル及び酸素分子等の作用により進行する。
[化1]
RH → R・ ・・・反応式(1)
[反応式(1)中、RHは炭化水素を表し、R・はアルキルラジカルを表す。]
[化2]
R・ + O2 → ROO・ ・・・反応式(2)
[反応式(2)中、O2は酸素分子を表し、ROO・はアルキルペルオキシラジカルを表す。]
[化3]
ROO・ + RH → ROOH + R・ ・・・反応式(3)
[反応式(3)中、ROOHはアルキルヒドロペルオキシドを表す。]
[化4]
ROOH → ROH ・・・反応式(4)
[反応式(4)中、ROHはアルコールを表す。]
[化5]
ROOH → RO・ + ・OH ・・・反応式(5)
[反応式(5)中、RO・はアルコキシラジカルを表し、・OHはヒドロキシラジカルを表す。]
[化6]
RO・ + RH → ROH + R・ ・・・反応式(6)
先ず、エンジンの運転状態に応じて、ガソリンの改質が必要であると判断された場合には、エンジン冷却水の温度が所定温度以上であるか否かを判別する。エンジン始動直後でエンジン冷却水の温度が所定温度未満であるときには、前回改質時に改質燃料タンク18内に貯留された改質燃料を、改質燃料ポンプ191によりエンジンの吸気ポート内に供給する。
(1)本実施形態の燃料改質装置では、上流側から順に、炭化水素を主体とする燃料と空気を混合して改質器に供給する混合器14と、空気を用いて燃料を改質してアルコールを生成させる改質器15と、改質器15で生成した生成ガスを凝縮相と気相とに分離する凝縮器16とが設けられている。特に、混合器14はその内部に粒子状物質又は多孔質物質が配され、且つ、当該粒子状物質又は多孔質物質における隙間の大きさが1mm以下である。
このような燃料改質装置1では、混合器14内における粒子状物質又は多孔質物質における隙間の大きさが1mm以下であるため、これらの隙間は消炎距離の領域に該当する。従って、過度に急な反応が起こることがなく、ガソリンをアルコールに変換する変換プロセスが安定したものとなる。
なお、既述のとおり、隙間の大きさとは、粒子状物質については粒子間の空隙の平均距離(平均寸法)であり、多孔質物質については孔径の平均距離(平均寸法)である。
このような燃料改質装置1では、特に、混合器14に供給される空気及び燃料の合計量に対する当該燃料の割合が22質量パーセント以上となるため、この割合は爆発限界よりも燃料過濃な領域に該当する。従って、過度に急な反応が起こるおそれが極小となり、ガソリンをアルコールに変換する変換プロセスが安定したものとなる。
このような燃料改質装置1では、上記(1)又は(2)の場合において特に、燃料タンク12に貯留された改質前の燃料を内燃機関の気筒内又は吸気ポート内に供給する一方で、凝縮器16で分離された気相物質を吸気ポート内に供給するとともに、改質燃料タンク18に貯留された凝縮相中の改質燃料を気筒内又は吸気ポート内に供給する。これにより、車両上でエンジンの要求に応じて、高オクタン価のアルコールを供給することができるため、ノッキングを抑制しつつ高い熱効率が得られる。
上記実施形態では、燃料としてガソリンを用いがこれに限定されない。例えば、エタノール等のアルコールを含有するアルコール含有ガソリンを用いた場合であっても、上記実施形態と同様の効果が奏される。
10…供給装置
12…燃料タンク
14…混合器
15…改質器
16…凝縮器
17…燃料供給部(燃料供給手段)
18…改質燃料タンク
19…改質燃料供給部(改質燃料供給手段)
20…気相供給部(気相供給手段)
152…改質触媒
Claims (3)
- 炭化水素を主体とする燃料を、空気を用いて改質してアルコールを生成させる改質触媒を備える改質器と、
前記改質器の上流に設けられ、前記燃料と空気を混合して前記改質器に供給する混合器と、
前記改質器の下流に設けられ、前記改質器で生成した生成ガスを、改質燃料を主体とする凝縮相と、気相とに分離する凝縮器と、を備え、
前記混合器は、その内部に粒子状物質又は多孔質物質が配され、且つ、当該粒子状物質又は多孔質物質における隙間の大きさが1mm以下であることを特徴とする燃料改質装置。 - 前記混合器に空気及び燃料を供給する供給装置を更に備え、
前記供給装置は、空気及び燃料の合計量に対する当該燃料の割合が22質量パーセント以上になるように調節することを特徴とする請求項1に記載の燃料改質装置。 - 改質前の燃料を貯留する燃料タンクと、
前記燃料タンクに貯留された改質前の燃料を、内燃機関の気筒内又は吸気ポート内に供給する燃料供給手段と、
前記凝縮器で分離された気相物質を、前記吸気ポート内に供給する気相供給手段と、
前記凝縮器で分離された凝縮相中の改質燃料を貯留する改質燃料タンクと、
前記改質燃料タンクに貯留された改質燃料を、前記気筒内又は前記吸気ポート内に供給する改質燃料供給手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料改質装置。
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