JPWO2016166849A1 - 内燃機関用点火コイル - Google Patents
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Abstract
Description
ただし、従来は点火コイルのピーク性能に関してのみを考慮し設計されていた。
このような車両においては、高回転域において、または低電圧域においても、圧縮比が高く設定されるものもあり、低電圧域から高回転域まで高出力な点火コイルが求められる。
従来の点火コイルにおいては、エネルギを増加させる場合にはセンタコア断面積を増加させ、高回転域において、または低電圧域においても、エネルギを向上させるためには一次コイル線径(一次コイルの巻線の線径)を大きくし抵抗値を下げる手法が用いられてきた。
しかし、上記のような手法を用いた場合においても、高回転数特性を改善するには大幅なコア断面積の増加や一次コイル等の線径を大きくすることが必要となっていた。
図14、15は点火コイルの基本的な磁気特性(磁束−起磁力特性)を表す磁気特性図である。点火コイルのエネルギは図14,15のハッチング部によって与えられる面積に比例する。
点火コイルに用いられるコアの磁束は、材料固有に決まる飽和磁束密度Bmaxとセンタコア断面積Scの積によって与えられる値にて飽和、磁気飽和する。
αd≧∫Ton 0(Vce×I1)dt (2)
αc:一次コイルの電力量規定値
αd:コイルドライバの電力量規定値
Vc:一次コイル両端の電圧
Vce:コイルドライバ(イグナイタ=スイッチング素子)両端電圧
V1:一次側に供給される電圧
R1:一次側に接続されている合成抵抗(一次コイル抵抗やハーネス抵抗など)
L1は一次インダクタンス
を表す。
上記式(3)よりTonを短くした場合、I1は低下する。磁気回路に注入される起磁力は一次電流I1と一次巻数n1の積で表されるため、Tonを短くした場合は起磁力が低下することとなる。
一方、高回転数域の注入磁束量(起磁力)は一次抵抗によって変化するものの、通常の点火コイルの一次抵抗0.3Ω〜0.7Ω程度であれば600AT〜800AT程度となる。このためこの起磁力帯(600AT〜1500AT)での磁気特性図で与えられる面積を増加させることができれば、実使用回転数域において点火コイルのエネルギを増加させることが可能となる。
点火コイルはエンジン要求(回転数に応じたエネルギの要求)に応じエネルギを確保する必要があり、この回転数毎の要求に対し、回転数毎に決まる起磁力によって与えられる磁気特性上の面積を確保できる仕様が必要となる。
コア断面積増加により磁気特性図は図16のように変化する。実線が破線に対して矢印Aで示すようにセンタコア断面積を大きくした特性を示す。センタコア断面積Scの増加によりBmax×Scが増加する。この時、センタコア断面積に対してサイドコアやマグネット、コアギャップの断面積比は一定としている。
一次線径を大きくすることにより、一次抵抗が減少するため、一次コイル両端電圧が低下し、一次コイル発熱は減少する。このため、上記式(1)の制約のみを考慮した場合、一次コイルへの通電時間Tonを増加させることができるため、これにより注入磁束を増加させることが可能となる。
ギャップが1つの場合は、ギャップの断面積Sgをギャップの厚さの平均値lgの200倍以上500倍とする。ギャップが複数ある場合には、各ギャップの断面積の総和Sgを、各ギャップの厚さの平均値lgの200倍以上500倍とする。
なお、各エネルギを示す面積は磁束φ軸を一辺とする三角形の面積である。
このため、200≦Sg/lg≦500とすることで、点火コイルで使用する回転数範囲の中の回転数にてエネルギ(面積)を最大とすることができる。
また、この時、飽和磁束量は増加していないことから分かるように、センタコア断面積Scを増加させる必要はないことから、一次抵抗増加を伴わないため、従来設計のセンタコア断面積増加時と比較して高回転域の注入起磁力を増加させることも可能となる。
以下、本発明の実施の形態1による内燃機関用点火コイルついて具体例を示す。
図1は本発明の実施の形態1による内燃機関用点火コイルを上から見た概略的な図である。実施の形態1では図1に示すように、一次コイル10、二次コイル20、これらの一次コイル10および二次コイル20を磁気的に結合させるために一次コイル10の内側に配置されたセンタコア30、およびセンタコア30と組み合わされて閉磁路を構成するサイドコア40、およびECU(図示省略)等からの駆動信号により一次コイル10の電流を通電、遮断制御するコイルドライバ(イグナイタ)80、これら各構成部品を収納する絶縁ケース50、を含み、サイドコア40の一端はセンタコア30の一端に当接し、サイドコア40の他端はセンタコア30の他端に対してギャップ60を介して対向し、ギャップ60にはギャップ60と同一サイズのマグネット70が挿入されている。
なおこの本発明における、ギャップの断面積(Sg)および後述するマグネットの断面積(Sm)はそれぞれの厚み方向と直交する面での断面積とする。センタコアおよびサイドコアの断面積(Sc,Ss)については、コアの長手方向またはコア中の磁束方向に直交する面に沿った断面積とする(以下同様)。
実施の形態2の発明ではマグネット70の断面積Smをセンタコア30の断面積Scの3倍以上としている。また、マグネット70の断面積Smと比較してギャップ60の断面積Sgを同じまたはより大きく、すなわちSm≦Sgとした。これにより十分な逆バイアスを印加することができる。図4はSm/Sc≧3の時(実線)とSm/Sc<3の時(破線)を比較した磁気特性図である。図4より、マグネットの断面積Smを大きくする(Sm/Sc≧3)ことで、起磁力ATが正の領域において、磁気特性の負の領域での磁束飽和点が高起磁力側へシフトすることになる。これにより、低起磁力域で面積が増加し性能を改善することができる。また同様に、高起磁力領域のエネルギ(面積)についてもセンタコア30を大型化することなく増加させることができる。高回転域のエネルギも増加するため、低回転域の要求性能に応じてセンタコア30を小型化することも可能になる。
なお、ギャップ60とマグネット70が1つの場合には、マグネットの断面積Smをセンタコア30の断面積Scの3倍以上とする。ギャップ60とマグネット70が複数ある場合には、マグネットの断面積の総和Smをセンタコア30の断面積Scの3倍以上とする。
なお、上記マグネットの断面積の総和Smの下限に対して上限を、マグネットの断面積の総和Smをセンタコア30の断面積Scの7倍未満(Sm/Sc<7)とする。7倍以上(Sm/Sc≧7)とした場合、図23に破線で示すように磁気特性カーブの屈曲位置が最低起磁力ATLを越えるため、最低起磁力付近でのエネルギが大幅に低下する。このため、上限値として実線で示すSm/Sc<7とする。
図5は本発明の実施の形態3による内燃機関用点火コイルを斜め上から見た概略的な斜視図である。図6には、図5の内燃機関用点火コイルの、一次コイル10および二次コイル20を取り除いた、図5の方向を基準にした場合に、斜め下からの概略的な斜視図(磁気回路図)を示す。実施の形態3では図5に示すように、ギャップ60およびマグネット70をサイドコア40内に配置している。さらに、ギャップ60およびマグネット70は図示のように斜めに配置してもよい。その他の構成については上述の実施の形態1と同様である。
なお、図示の点火コイルではギャップ60およびマグネット70がサイドコア40の両側の2箇所に設けられているため、例えば2×Sg/lg=Sc/lg=300のものである。
図7は本発明の実施の形態4による内燃機関用点火コイルの概略的な斜視図である。図8は図7の内燃機関用点火コイルの概略的な上面図(磁気回路図)である。実施の形態4では図7に示すように、サイドコア40の積厚を高くして幅を小さくしている。またギャップ60の断面積62(Sg)と比較して、マグネット70の断面積(Sm)を小さくしている。言い換えると、マグネット70の断面積(Sm)に対してギャップ60の断面積(Sg)が大きくなっている。さらにマグネット70と当接していない部分のギャップ60の厚み62aを小さくしており、センタコア30の断面積(Sc)と比較してサイドコア40の断面積(Ss)を大きくしている。
図10は本発明の実施の形態5による内燃機関用点火コイルの概略的な上面図(磁気回路図)である。また図11は図10の内燃機関用点火コイルにおけるマグネットからの磁束を示した図(磁気回路図)である。実施の形態5では図10に示すように、ギャップ60の断面積Sgに対してマグネット70の断面積Smを小さくし、ギャップ60はマグネット70非当接部の厚み62bを大きくしている。その他の構成については実施の形態4と同様である。
以上のように構成した点火コイルは、マグネット70からの磁束がセンタコア30を横切らずにループすることがなくなるため、効率よくマグネット70の磁束をセンタコア30に印加することができる。
ギャップ60の厚み62bの大きい部分は、センタコア30を横切らない磁束が発生するが、空間距離が長くなるため空間を通りにくくなり減少する。
なお上記構成は、ギャップ60とマグネット70がセンタコア30に設けられている場合にも適用可能である。
図12は本発明の実施の形態6による内燃機関用点火コイルの概略的な上面図(磁気回路図)である。実施の形態6では図12に示すように、サイドコア41,42の側面にコア緩衝材であるサイドコアカバー45を設けている。マグネット70の一方の主面はサイドコア41と当接し、他方の主面はサイドコアカバー45を介しサイドコア42と当接している。その他の構成については実施の形態3と同様である。
図13は本発明の実施の形態7による内燃機関用点火コイルの概略的な上面図(磁気回路図)である。実施の形態7では図13に示すように、サイドコア40を方向性電磁鋼板で構成し、センタコア30の軸方向(磁束方向)と直交する方向を磁化容易方向MDとし、サイドコア40のセンタコア30の軸方向と同一方向(平行)に延びる部分に、にギャップ60およびマグネット70を配置している。またサイドコア40の磁化容易方向MDに延びる部分の幅を細くしている。その他の構成については実施の形態3と同様である。
Bmax1>Bmax_c>Bmax2
なので
S1* Bmax≒S2* Bmax’’≧Sc*Bmax_c
このようにギャップの断面積の総和とギャップの厚さの平均値の比を調整することにより、センタコア断面積(一次コイルの巻径)を大型化することなく、磁気抵抗(磁気特性)を調整することができ、好適な起磁力(回転数)におけるエネルギを増加させることができる。
このように、マグネットにより十分な逆バイアスを印加することにより、低起磁力域のエネルギおよび、高起磁力領域のエネルギについても、センタコア(一次コイルの巻径)を大型化することなく増加させることができる。また低回転域(高起磁力)のエネルギも増加するため、要求性能に応じてセンタコアを小型化することも可能になる。
このように、サイドコア内にマグネットを配置することにより、容易に磁気抵抗の調整が可能となり、センタコア、一次コイル、二次コイルを変更することなく(共用化可能)、磁気特性を変更することも可能となる。
このようにサイドコアを積厚方向に高く積むことにより、サイドコア断面積を維持した場合、サイドコア幅を抑制(=点火コイルサイズ大型化抑制)し磁気抵抗を調整できる。
このように、サイドコアの断面積をセンタコアの断面積より大きくすることで、サイドコアの磁気飽和による磁気特性の低下(磁気抵抗増加)を抑制することができるため、低起磁力領域においてより性能を増加させることができる。
このようにマグネット断面積よりギャップ断面積を大きくし磁気特性の調整を行うことで、マグネットの大型化を抑えて性能改善を行うことができる。
このように、ギャップの一部の厚みを変更することで磁気抵抗を調整することで、マグネットの厚みを製作、組み付け可能な厚みとしたり、不要に厚くすることなく磁気抵抗の調整ができるため、マグネットの加工不良、組み付け不良や大型化を抑制することができる。
このように、ギャップの外側を大きくし磁気抵抗を調整することにより、マグネットから発生する磁束がギャップを介して短絡ループする(センタコアを横切らない)ことを抑制することができるため、マグネットによる逆バイアスを効率よく印加することができる。
このように、コアカバーを使用しギャップ厚みを確保することで、マグネットを不必要に厚くすることなく、また部品点数を増加させることなくギャップ厚みを設定できるため不要なコスト増加を避け磁気抵抗を調整することができる。
このように、サイドコアに方向性電磁鋼板を採用し、サイドコアのセンタコアの軸方向と垂直な方向を磁化容易方向とすることで、磁化容易方向のサイドコア幅を抑制(縮小)することが可能で、センタコアの軸方向と平行な方向については大きなギャップを確保するために断面積を大きくしているため、飽和磁束密度が低い方向となった場合にも磁気飽和が発生しないため、点火コイルのセンタコアの軸方向の寸法を小型化できる。
Claims (10)
- 1次コイルおよび2次コイルの内側に配置されたセンタコアと、
前記1次コイルおよび前記2次コイルの外側に配置され、前記センタコアと組み合わせて閉磁路を構成するサイドコアと、
前記センタコアと前記サイドコアとの間、または前記サイドコアに設けられた1つまたは複数のギャップと、
前記各ギャップに配置されたマグネット、
を備え、
前記各ギャップの断面積の総和を前記各ギャップの厚さの平均値の200倍以上500倍以下とし、前記マグネットにより前記センタコアの飽和磁束密度以上の逆バイアスを印加する内燃機関用点火コイル。 - 前記各マグネットの断面積の総和を前記センタコアの断面積の3倍以上7倍未満とし、また前記ギャップの断面積を前記マグネットの断面積以上とした、請求項1に記載の内燃機関用点火コイル。
- 前記ギャップおよび前記マグネットを前記サイドコア内に配置した、請求項1または2に記載の内燃機関用点火コイル。
- 前記サイドコアの高さを前記センタコアより高くした、請求項1から3までのいずれか1項に記載の内燃機関用点火コイル。
- 前記サイドコアの断面積を前記センタコアの断面積より大きくした、請求項1から4までのいずれか1項に記載の内燃機関用点火コイル。
- 前記マグネットの断面積に対して前記ギャップの断面積を大きくした、請求項3から5までのいずれか1項に記載の内燃機関用点火コイル。
- 前記マグネットのない前記ギャップの厚さを小さくした、請求項6に記載の内燃機関用点火コイル。
- 前記ギャップの前記点火コイルの外側部分の厚さを大きくした、請求項1から7までのいずれか1項に記載の内燃機関用点火コイル。
- 前記ギャップの厚さと比較して前記マグネットの厚さを薄くし、コア緩衝材により前記ギャップの厚さを確保した、請求項1から8までのいずれか1項に記載の内燃機関用点火コイル。
- 前記サイドコアに方向性電磁鋼板を用い、前記サイドコアは前記センタコアの軸方向と垂直な方向を磁化容易方向とした、請求項3から9までのいずれか1項に記載の内燃機関用点火コイル。
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