JPWO2016159009A1 - 癌検出キット、および、癌診断のためのデータの取得方法 - Google Patents

癌検出キット、および、癌診断のためのデータの取得方法 Download PDF

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Abstract

癌検出キット、および、癌診断のためのデータの取得方法を提供し、これらでは、特定のプライマーセットを用いて、Oct4遺伝子の転写産物を特異的に検出する。

Description

本発明は、癌検出キット、および、癌診断のためのデータの取得方法に関する。
Oct4遺伝子(Octamer-binding transcription factor 4(別名:POU5F1、Oct3、Oct3/4))がコードするタンパク質は、未分化全能性維持に関わる転写調節因子であり、当該タンパク質は、初期胚における全能性細胞やES細胞、出生後の生体における生殖幹細胞の中に観察される。また、Oct4A遺伝子がコードするタンパク質は、体細胞の初期化に不可欠な因子の一つとしても知られ、iPS細胞(induced pluripotent stem cells)の樹立に用いられている。
近年、Oct4遺伝子の発現が癌細胞の指標になるのではないかと考えられ、多くの研究が展開されている。そして、胚性癌腫細胞や生殖癌細胞においては、Oct4遺伝子の発現が、未分化性や悪性度に関係することが示唆されている(例えば、非特許文献1〜3参照)。
上述した状況にあって、Oct4遺伝子の発現を正確に検出することは重要であって、従来から、Oct4遺伝子の発現を、リアルタイムRT−PCR法、コンベンショナルRT−PCR法、または、抗体染色法などによって検出している(例えば、非特許文献4〜13参照)。
例えば、「Suo」、「Liedtke−1」、「Liedtke−2」、「Atlasi」と呼ばれるプライマーセットを用いて、PCR法によってOct4遺伝子の発現を検出する方法が従来から知られている(例えば、非特許文献14〜16参照)。
Gidekel S et al., Cancer Cell, 2003, 5, 361-70 Rijlaarsdam MA et al., Br J Cancer, 2011 Sep, 6, 105(6), 854-63 Bustamante-Marin X et al., Int J Dev Biol, 2013, 57(2-4), 201-10 Sotomayor P et al., Prostate, 2009, 69, 401-410 Schoenhals M et al., Biochem Biophys Res Commun, 2009, 383, 157-162 Atlasi Y et al., Stem Cells, 2008, 26, 3068-3074 Monsef N et al., Prostate, 2009, 69, 909-916 Looijenga LH et al., Cancer Res, 2003, 63, 2244-2250 Chen Z et al., J Surg Oncol, 2009, 99, 414-419 Cheng L et al., J Pathol, 2007, 211, 1-9 Atlasi Y et al., Int J Cancer, 2007, 120, 1598-1602 Du Z et al., Glia, 2009, 57, 724-733 Tai MK et al., Carcinogenesis, 2005, 26, 495-502 Suo G et al., Biochem Biophys Res Commun. 2005 Dec 2; 337(4):1047-51 Liedtke S., Cell Stem Cell. 2007 Oct11; 1(4):364-6 Atlasi Y et al., Stem Cells. 2008 Dec; 26(12):3068-74
近年の研究によって、ヒトゲノム上には、(i)Oct4遺伝子と酷似した配列を有するOct4偽遺伝子(pseudogene)が少なくとも6つ存在すること、(ii)Oct4偽遺伝子(pseudogene)の中にはOct4遺伝子と、塩基配列の相同性が極めて高いものが存在すること(例えば、Oct4偽遺伝子であるPG1、PG3およびPG4の塩基配列と、Oct4遺伝子の塩基配列との相同性は、略97〜98%である)、(iii)Oct4偽遺伝子も転写され、その後、転写産物が翻訳される可能性があること、が示唆されている。
そして、研究が進むにつれて、Oct4遺伝子の発現を検出するための従来の方法は、Oct4偽遺伝子の発現をも検出しており、正確にOct4遺伝子の発現を検出できていないという大きな問題点を抱えていることが明らかになった。
例えば、従来の抗体染色法は、検出に用いている抗体がOct4遺伝子由来のタンパク質およびOct4偽遺伝子由来のタンパク質の両方に結合するので、両方のタンパク質を検出しており、両者を区別できないという問題点を抱えている。また、従来のリアルタイムRT−PCR法、および、コンベンショナルRT−PCR法は、検出に用いているプライマーがOct4遺伝子由来のcDNAおよびOct4偽遺伝子由来のcDNAの両方にアニーリングするので、両方の遺伝子の発現を検出しており、両者を区別できないという問題点を抱えている。
なお、従来のリアルタイムRT−PCR法、および、コンベンショナルRT−PCR法でも、何れの遺伝子が発現しているか確認することは可能ではあるが、この場合、PCRの増幅産物をクローニングし、その後、当該増幅産物の塩基配列をシークエンサーにて解読するという膨大な作業を必要とするという、大きな問題点を抱えている。
更に、PCRの増幅効率には、PCR反応に供するサンプル中のテンプレート(換言すれば、遺伝子の転写産物)の量が反映されるため、サンプル中にOct4偽遺伝子に由来する転写産物が存在すると、Oct4遺伝子に由来する転写産物が検出できない可能性があるという、大きな問題点を抱えている。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、Oct4遺伝子の発現を正確に検出できるプライマーセットを見出し、当該プライマーセットを癌(例えば、癌源細胞、癌幹細胞)の検出キット、および、癌診断(例えば、悪性度の診断、予後の判断、転移の早期診断)のためのデータの取得方法に利用することにある。
本発明者は、Oct4遺伝子のA型の転写産物に関連して、Oct4遺伝子のmRNAの非翻訳領域の塩基配列に注目し、まず、Oct4遺伝子のmRNAの5’末端側の非翻訳領域の塩基配列をできるだけ長く同定することを試みた。そして、本発明者は、Oct4遺伝子のmRNAの転写開始点を決定するとともに、Oct4遺伝子のmRNAの5’末端側の非翻訳領域を決定した。そして、Oct4遺伝子の非翻訳領域とOct4偽遺伝子の非翻訳領域とを比較した結果、Oct4遺伝子の非翻訳領域にのみ存在する特異的な領域を決定した。
また、本発明者は、Oct4遺伝子のA型およびB型の転写産物に関連して、未知のスプライシングバリアントを見出し、当該スプライシングバリアントの塩基配列を決定した。
そして、本発明者は、以下の(a)〜(d)を見出し、本発明を完成させるに至った。つまり、
(a)Oct4遺伝子のmRNAの、新たに同定された5’末端側の非翻訳領域には、Oct4偽遺伝子のmRNAの5’末端側の非翻訳領域に対して、塩基配列の相同性がない領域が存在すること;
(b)新たに同定された5’末端側の非翻訳領域内にフォワードプライマーを設定すれば、任意のリバースプライマー(例えば、Oct4偽遺伝子のmRNAに対して相同性が高いリバースプライマー)を用いたとしても、Oct4偽遺伝子の発現を検出せずに、Oct4遺伝子の発現(特に、Oct4遺伝子のA型の転写産物)のみを正確に検出できること;
(c)通常は転写開始点の直ぐ近くにプライマーを設定することはないが、Oct4遺伝子のA型の転写産物の場合、転写開始点の直ぐ近くにプライマーを設定すれば、当該プライマーが効果的に機能すること。
(d)新たに同定されたスプライシングバリアントの塩基配列に基づいてフォワードプライマーおよびリバースプライマーを設定すれば、Oct4遺伝子バリアント(特に、Oct4遺伝子のB型の転写産物)のすべてのタイプを正確に検出できること;
<1>本発明の癌検出キットは、上記課題を解決するために、下記(α)および(β)のプライマーセットの何れか1つ以上を備えていることを特徴としている:
(α)Oct4遺伝子のA型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号41にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーである、プライマーセット;
(β)Oct4遺伝子のB型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号33にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーであり、当該リバースプライマーは、配列番号34にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーである、プライマーセット。
<2>本発明の癌検出キットでは、上記(α)のプライマーセットのリバースプライマーは、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、または、配列番号26にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの一部であることが好ましい。
<3>本発明の癌検出キットは、更に、(i)オステオポンチン遺伝子の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセット、(ii)オステオポンチン遺伝子の転写産物とハイブリダイズするプローブ、または、(iii)抗オステオポンチン抗体、を備えていることが好ましい。
<4>本発明の癌診断のためのデータの取得方法は、上記課題を解決するために、生体から採取されたサンプルを鋳型として用い、かつ、下記(α)および(β)のプライマーセットの何れか1つ以上を用いてポリメラーゼ連鎖反応を行う工程を有することを特徴としている:
(α)Oct4遺伝子のA型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号41にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーである、プライマーセット;
(β)Oct4遺伝子のB型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号33にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーであり、当該リバースプライマーは、配列番号34にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーである、プライマーセット。
<5>本発明の癌診断のためのデータの取得方法では、上記(α)のプライマーセットのリバースプライマーは、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、または、配列番号26にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの一部であることが好ましい。
<6>本発明の癌診断のためのデータの取得方法は、更に、上記生体から採取されたサンプルにおける、オステオポンチン遺伝子の発現、または、オステオポンチンタンパク質の発現を検出する工程を有することが好ましい。
本発明は、Oct4偽遺伝子の発現を検出せず、正確にOct4遺伝子(より具体的には、ヒトOct4遺伝子)の発現のみを検出できるという効果を奏する。
本発明は、特定の塩基配列を有するフォワードプライマーおよびリバースプライマーと対になる、リバースプライマーおよびフォワードプライマーの塩基配列を所望の塩基配列に設計することによって、所望のスプライシングバリアントの発現を特異的に検出できるという効果を奏する。
本発明は、癌診断(例えば、癌の早期診断、癌の悪性度の診断、予後の判断、転移の診断)のための正確なデータを取得できるという効果を奏する。
本発明は、Oct4遺伝子の機能を標的とした、抗癌剤、癌の根治療法、および、癌の予防法、等の開発を可能にするという効果を奏する。
本発明は、体細胞におけるOct4遺伝子の未知の機能の解明のための正確なデータを取得できるという効果を奏する。
(a)および(b)は、本発明の実施例に用いた各プライマーセットのデザインを示す図である。 本発明の実施例において、各プライマーセットを用いて増幅された増幅産物の電気泳動の結果を示す図である。 Oct4遺伝子のA型のスプライシングバリアントの構造を示す図である。 Oct4遺伝子のB型のスプライシングバリアントの構造を示す図である。 本発明の実施例において、癌の悪性度とOct4遺伝子の発現とが相関していることを示す、電気泳動の結果を示す図である。 本発明の実施例における、Wound Healing Assayの結果を示す図である。 本発明の実施例における、Wound Healing Assayの結果を示す図である。 本発明の実施例における、スプライシングバリアントを細胞内で強制発現したときに細胞内に実在するスプライシングバリアントを示す、電気泳動の結果を示す図である。 本発明の実施例における、5’RACEにて特異的に増幅された増幅産物の電気泳動の結果を示す図である。 本発明の実施例において、各プライマーセットを用いて増幅された増幅産物の電気泳動の結果を示す図である。 本発明の実施例において、プライマーセットを用いて増幅された増幅産物の電気泳動の結果を示す図である。 本発明の実施例において、オステオポンチン遺伝子用のプライマーセットを用いて増幅された増幅産物の電気泳動の結果を示す図である。 (a)は、本発明の実施例において、オステオポンチン遺伝子用のプライマーセットを用いて増幅された増幅産物の電気泳動の結果を示す図であり、(b)は、当該プライマーセットの設計の概略を示す図である。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上B以下」を意図する。
〔1.癌検出キット〕
本実施の形態の癌検出キットの検出対象である癌は、特に限定されず、あらゆる癌であり得る。例えば、乳癌、子宮癌、肺癌、卵巣癌、精巣癌、大腸癌、腎臓癌、または、脳腫瘍を挙げることができる。本実施の形態の癌検出キットは、悪性度の高い癌を、高感度にて検出することが可能である。
本実施の形態の癌検出キットは、プライマーセット(α)およびプライマーセット(β)の何れか1つ以上を備えているものである。以下では、プライマーセット(α)およびプライマーセット(β)の各々について説明する。
〔1−1.プライマーセット(α)〕
プライマーセット(α)は、Oct4遺伝子のA型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号41にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチド(例えば、連続した任意の、17塩基(例えば、配列番号35または37にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチド)、18塩基、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、26塩基、27塩基(例えば、配列番号1)、28塩基、29塩基、30塩基、または、31塩基)からなるポリヌクレオチドを含むプライマーである。
プライマーセット(α)は、Oct4遺伝子のA型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号41にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチド(例えば、連続した任意の、17塩基(例えば、配列番号35または37にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチド)、18塩基、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、26塩基、27塩基(例えば、配列番号1)、28塩基、29塩基、30塩基、または、31塩基)からなるポリヌクレオチドからなるプライマーであってもよい。
配列番号41にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドは、Oct4遺伝子のmRNAの5’末端側の非翻訳領域に対応するポリヌクレオチドである。配列番号41にて示される塩基配列は、Oct4偽遺伝子のmRNAの非翻訳領域の塩基配列に対して相同性がない。それ故に、プライマーセット(α)のフォワードプライマーを用いれば、任意のリバースプライマーを用いたとしても、Oct4偽遺伝子の発現を検出せずに、Oct4遺伝子の発現(特に、Oct4遺伝子のA型の転写産物)のみを正確に検出できる。
プライマーセット(α)のフォワードプライマーは、配列番号41にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの一部分(例えば、連続した17塩基以上)を含むプライマーであってもよいし、配列番号41にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの一部分(例えば、連続した17塩基以上)からなるプライマーであってもよいし、配列番号41にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの全体を一部分として含むプライマーであってもよいし、配列番号41にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの全体からなるプライマーであってもよい。
当該フォワードプライマーが、配列番号41にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチド以外のヌクレオチドを含む場合、当該ヌクレオチドの数は特に限定されないが、より正確にOct4遺伝子の発現を検出するという観点から、5base以下が好ましく、4base以下がより好ましく、3base以下がより好ましく、2base以下がより好ましく、1base以下が最も好ましい。例えば、配列番号41にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの3’末端側に、「C」を連結してもよいし、当該「C」の3'末端側に更に「T」を連結してもよいし、当該「T」の3'末端側に更に「C」を連結してもよいし、当該「C」の3'末端側に更に「A」を連結してもよいし、当該「A」の3'末端側に更に「T」を連結してもよい。
プライマーセット(α)のリバースプライマーは、上述したフォワードプライマーと対になって、Oct4遺伝子のA型の転写産物を増幅するものであればよく、その具体的な構成は、特に限定されない。リバースプライマーの塩基配列を所望のデザインにすることによって(例えば、リバースプライマーの塩基配列を所望のエクソンに対応する塩基配列にすることによって)、A型の複数のスプライシングバリアントの中から、特定のスプライシングバリアントのみを検出することができる。また、リバースプライマーの塩基配列は、異なるエクソン間をまたぐ塩基配列であってもよい。この場合、genomicDNAのPCR反応系への混入に起因する擬陽性を排除できるので、より好ましい。
より正確にOct4遺伝子の発現を検出するという観点から、リバースプライマーは、フォワードプライマーと略同じ長さ、および/または、フォワードプライマーと略同じGC含量を有するものであることが好ましい。
例えば、リバースプライマーの長さをX(base)、フォワードプライマーの長さをY(base)とすると、これらは、「Y−5≦X≦Y+5」の関係式を満たすものであることが好ましく、「Y−4≦X≦Y+4」の関係式を満たすものであることがより好ましく、「Y−3≦X≦Y+3」の関係式を満たすものであることがより好ましく、「Y−2≦X≦Y+2」の関係式を満たすものであることがより好ましく、「Y−1≦X≦Y+1」の関係式を満たすものであることがより好ましい。
また、リバースプライマーのGC含量をA(%)、フォワードプライマーのGC含量をB(%)とすると、これらは、「B−15≦A≦B+15」の関係式を満たすものであることが好ましく、「B−10≦A≦B+10」の関係式を満たすものであることがより好ましく、「B−5≦A≦B+5」の関係式を満たすものであることがより好ましく、「B−3≦A≦B+3」の関係式を満たすものであることがより好ましく、「B−1≦A≦B+1」の関係式を満たすものであることがより好ましい。
より具体的に、上記プライマーセット(α)のリバースプライマーは、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、または、配列番号26にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの一部であってもよい。
更に具体的に、上記プライマーセット(α)のリバースプライマーは、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、または、配列番号26にて示される塩基配列内の、エクソン1、エクソン2、エクソン3、エクソン4、エクソン5、または、特定のエクソンの間に挿入される挿入配列、若しくは、特定のエクソンに隣接して挿入される挿入配列に対応する塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの一部であってもよい。
また、上記プライマーセット(α)のリバースプライマーは、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、または、配列番号26にて示される塩基配列内の、隣接する所望の領域の間をまたぐ塩基配列(例えば、エクソン1とエクソン2の間、エクソン2とエクソン3との間、エクソン3とエクソン3との間、またはエクソン4とエクソン5との間をまたぐ塩基配列;特定の2つのエクソンの間に挿入される挿入配列;若しくは、特定のエクソンに隣接して挿入される挿入配列)に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの一部であってもよい。この場合、genomicDNAのPCR反応系への混入に起因する擬陽性を排除できるので、より好ましい。
更に具体的に、上記プライマーセット(α)のリバースプライマーは、配列番号2、配列番号4、配列番号36、または、配列番号38にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドであってもよいし、配列番号2、配列番号4、配列番号36、または、配列番号38にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドであってもよい。
また、上記プライマーセット(α)のリバースプライマーは、配列番号34にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーであってもよい。
後述する実施例にて示すように、本発明者は、Oct4遺伝子のA型の転写産物として、公知のスプライシングバリアントであるhOct4A以外に、新規なスプライシングバリアントである、hOct4A1(配列番号21)、hOct4A2(配列番号22)、hOct4A3(配列番号23)、hOct4A4(配列番号24)、hOct4A5(配列番号25)、および、hOct4A6(配列番号26)を見出すことに成功した。
上記プライマーセット(α)のリバースプライマーが、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、または、配列番号26にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの一部であれば、各々、特定のスプライシングバリアント(hOct4A1、hOct4A2、hOct4A3、hOct4A4、hOct4A5、または、hOct4A6)を特異的に検出することができる。なお、PCRの増幅産物をゲル電気泳動装置にて更に解析すれば、ゲル中における増幅産物の移動度の差に基づいて、特定のスプライシングバリアントを更に特異的に検出することができる。
〔1−2.プライマーセット(β)〕
プライマーセット(β)は、Oct4遺伝子のB型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号33にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチド(例えば、連続した、17塩基以上135塩基以下の任意の塩基数)からなるポリヌクレオチドを含むプライマーであり、当該リバースプライマーは、配列番号34にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチド(例えば、連続した、17塩基以上531塩基以下の任意の塩基数)からなるポリヌクレオチドを含むプライマーである。
プライマーセット(β)は、Oct4遺伝子のB型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号33にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチド(例えば、連続した、17塩基以上135塩基以下の任意の塩基数)からなるポリヌクレオチドからなるプライマーであり、当該リバースプライマーは、配列番号34にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチド(例えば、連続した、17塩基以上531塩基以下の任意の塩基数)からなるポリヌクレオチドからなるプライマーであってもよい。
配列番号33にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドは、Oct4遺伝子のmRNAのエクソン2の5’末端よりも上流側の領域に対応するポリヌクレオチドである。一方、配列番号34にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドは、Oct4遺伝子のmRNAのエクソン5、および、エクソン5の3’末端の更に下流側の領域に対応するポリヌクレオチドである。
配列番号33にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドは、Oct4偽遺伝子の転写産物や、Oct4遺伝子のA型の転写産物の中には存在しない。それ故に、配列番号33にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含む(または、当該ポリヌクレオチドからなる)フォワードプライマーを用いることによって、Oct4遺伝子のB型の転写産物を特異的に検出することができる。
一方、配列番号34にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドは、Oct4遺伝子のB型の様々なスプライシングバリアントの中に、共通して存在する。それ故に、配列番号34にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含む(または、当該ポリヌクレオチドからなる)リバースプライマーを用いることによって、Oct4遺伝子のB型の様々なスプライシングバリアントを網羅的に検出することができる。
プライマーセット(β)のフォワードプライマーは、配列番号33にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの一部分(例えば、連続した、17塩基以上135塩基以下の任意の塩基数)を含むプライマーであってもよいし、配列番号33にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの一部分(連続した、17塩基以上135塩基以下の任意の塩基数)からなるプライマーであってもよいし、配列番号33にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの全体を一部分として含むプライマーであってもよいし、配列番号33にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの全体からなるプライマーであってもよい。
プライマーセット(β)のリバースプライマーは、配列番号34にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの一部分(連続した、17塩基以上531塩基以下の任意の塩基数)を含むプライマーであってもよいし、配列番号34にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの一部分(連続した、17塩基以上531塩基以下の任意の塩基数)からなるプライマーであってもよいし、配列番号34にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの全体を一部分として含むプライマーであってもよいし、配列番号34にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの全体からなるプライマーであってもよい。
より具体的に、プライマーセット(β)のフォワードプライマーは、配列番号5にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチド(例えば、連続した任意の、17塩基、18塩基、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、26塩基、または、27塩基)からなるポリヌクレオチドを含むプライマーであってもよいし、配列番号5にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチド(例えば、連続した任意の、17塩基、18塩基、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、26塩基、または、27塩基)からなるポリヌクレオチドからなるプライマーであってもよい。
一方、プライマーセット(β)のリバースプライマーは、配列番号6にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチド(例えば、連続した任意の、17塩基、18塩基、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、または、26塩基)からなるポリヌクレオチドを含むプライマーであってもよいし、配列番号6にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチド(例えば、連続した任意の、17塩基、18塩基、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、または、26塩基)からなるポリヌクレオチドからなるプライマーであってもよい。
より正確にOct4遺伝子のB型の転写産物を検出するという観点から、フォワードプライマーとリバースプライマーとは、略同じ長さ、および/または、略同じGC含量を有するものであることが好ましい。
例えば、フォワードプライマーの長さをX(base)、リバースプライマーの長さをY(base)とすると、これらは、「Y−5≦X≦Y+5」の関係式を満たすものであることが好ましく、「Y−4≦X≦Y+4」の関係式を満たすものであることがより好ましく、「Y−3≦X≦Y+3」の関係式を満たすものであることがより好ましく、「Y−2≦X≦Y+2」の関係式を満たすものであることがより好ましく、「Y−1≦X≦Y+1」の関係式を満たすものであることがより好ましい。
また、フォワードプライマーのGC含量をA(%)、リバースプライマーのGC含量をB(%)とすると、これらは、「B−15≦A≦B+15」の関係式を満たすものであることが好ましく、「B−10≦A≦B+10」の関係式を満たすものであることがより好ましく、「B−5≦A≦B+5」の関係式を満たすものであることがより好ましく、「B−3≦A≦B+3」の関係式を満たすものであることがより好ましく、「B−1≦A≦B+1」の関係式を満たすものであることがより好ましい。
後述する実施例にて示すように、本発明者は、Oct4遺伝子のB型の転写産物として、公知のスプライシングバリアントであるhOct4BおよびhOct4B1以外に、新規なスプライシングバリアントである、hOct4B2(配列番号27)、hOct4B3(配列番号28)、hOct4B4(配列番号29)、hOct4B5(配列番号30)、hOct4B6(配列番号31)、および、hOct4Bns(配列番号32)を見出すことに成功した。
上記プライマーセット(β)を用いれば、スプライシングバリアント(hOct4B2、hOct4B3、hOct4B4、hOct4B5、hOct4B6、または、hOct4Bns)を網羅的に検出することができる。なお、PCRの増幅産物をゲル電気泳動装置にて更に解析すれば、ゲル中における増幅産物の移動度の差に基づいて、特定のスプライシングバリアントを特異的に検出することができる。
〔1−3.その他の構成〕
本実施の形態の癌検出キットは、オステオポンチン(Osteopontin)遺伝子、または、オステオポンチンタンパク質の発現を検出するための構成を備えていてもよい。
後述する実施例に示すように、Oct4遺伝子の発現と、オステオポンチン遺伝子の発現とには、高い相関関係がある。それ故に、例えば、初めにオステオポンチン遺伝子を発現しているサンプルを特定して、試験対象のサンプルを絞り込み、当該サンプルについてのみOct4遺伝子の発現を確認すれば、極めて迅速な癌診断を実現することができる。また、サンプルに対して、Oct4遺伝子の発現の確認、および、オステオポンチン遺伝子の発現の確認の両方を行えば(例えば、同時に両方の確認を行えば)、極めて精度の高い癌診断を実現することができる。
オステオポンチン遺伝子の発現を検出する場合、オステオポンチンの、a型のスプライシングバリアントの発現、b型のスプライシングバリアントの発現、または、c型のスプライシングバリアントの発現の何れを検出してもよいが、より精度の高い癌診断を実現するという観点から、c型のスプライシングバリアントの発現を検出することが好ましい。
オステオポンチン遺伝子またはオステオポンチンタンパク質の発現を検出するための構成は、特に限定されないが、当該構成として、例えば、(i)オステオポンチン遺伝子の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセット、(ii)オステオポンチン遺伝子の転写産物とハイブリダイズするプローブ、または、(iii)抗オステオポンチン抗体を挙げることができる。本実施の形態の癌検出キットが、(i)のプライマーセットを備えていれば、例えばPCR法に基づいてオステオポンチン遺伝子の発現を検出することが可能であり、(ii)のプローブを備えていれば、例えばノーザンブロット法に基づいてオステオポンチン遺伝子の発現を検出することが可能であり、(iii)の抗オステオポンチン抗体を備えていれば、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)法に基づいてオステオポンチンタンパク質の発現を検出することが可能である。
(i)のプライマーセットとしては、特に限定されず、オステオポンチン遺伝子の発現を検出することができるものであればよい。例えば、フォワードプライマーとしては、オステオポンチン遺伝子のセンス鎖の一部分からなるポリヌクレオチドを用いることが可能であり、リバースプライマーとしては、オステオポンチン遺伝子のアンチセンス鎖の一部分からなるポリヌクレオチドを用いることが可能である。更に具体的に、a型、b型、およびc型のスプライシングバリアントの発現を特異的に検出する観点から、フォワードプライマーとしては、配列番号42に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドを用いることが可能であり、リバースプライマーとしては、配列番号43に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドを用いることが可能である。
3つのスプライシングバリアントのうちc型のスプライシングバリアントの発現を特異的に検出する観点から、フォワードプライマーとしては、エクソン3とエクソン5との間をまたぐ塩基配列を有するポリヌクレオチドを用いることが可能であり、リバースプライマーとしては、特に限定されず、オステオポンチン遺伝子のアンチセンス鎖の一部分からなるポリヌクレオチドを用いることが可能である。更に具体的に、フォワードプライマーとしては、配列番号44に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドを用いることが可能であり、リバースプライマーとしては、配列番号45に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドを用いることが可能である。
(ii)のプローブとしては、特に限定されず、オステオポンチン遺伝子の発現を検出することができるものであればよい。例えば、プローブとしては、オステオポンチン遺伝子由来のmRNAに対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドを用いることが可能である。
(iii)抗オステオポンチン抗体としては、特に限定されず、オステオポンチンタンパク質を検出することができるものであればよい。例えば、周知の方法によって作製された、ポリクローナル抗体、または、モノクローナル抗体を用いることが可能である。なお、これら抗体のエピトープは、オステオポンチンタンパク質内に含まれるペプチドであればよく、その具体的なアミノ酸配列は、特に限定されない。
〔2.癌診断のためのデータの取得方法〕
本実施の形態の癌診断のためのデータの取得方法は、生体から採取されたサンプルを鋳型として用い、かつ、下記(α)および(β)のプライマーセットの何れか1つ以上を用いてポリメラーゼ連鎖反応を行う工程を有することを特徴としている:
(α)Oct4遺伝子のA型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号41にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーである、プライマーセット;
(β)Oct4遺伝子のB型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号33にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーであり、当該リバースプライマーは、配列番号34にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーである、プライマーセット。
プライマーセット(α)および(β)の構成については、〔1.癌検出キット〕の欄で説明したので、ここでは、その説明を省略する。
生体から採取されたサンプルとしては、特に限定されず、適宜、所望のサンプルを用いることができる。
例えば、生体から採取されたサンプルは、血液、尿、皮膚、髪の毛、細胞、および、組織であってもよい。
また、生体から採取されたサンプルは、所望のサンプル(例えば、血液、尿、皮膚、髪の毛、細胞、および、組織など)からmRNAを精製し、当該mRNAを逆転写して得られるcDNAであってもよい。なお、mRNAの精製、および、mRNAの逆転写は、市販のキットを用いて行うことができる。
また、生体から採取されたサンプルは、所望のサンプル(例えば、血液、尿、皮膚、髪の毛、細胞、および、組織など)からmRNAを精製し、当該mRNAを逆転写してcDNAを得、当該cDNAをベクターに組み込んで作製されたcDNAライブラリーであってもよい。なお、cDNAのベクターへの組み込みは、市販のキットを用いて行うことができる。
ポリメラーゼ連鎖反応の反応サイクル(例えば、アニーリング反応、伸長反応、および、変性反応からなる、反応サイクル)の具体的な構成(例えば、反応温度、および、反応時間)は、特に限定されず、用いるフォワードプライマーおよびリバースプライマーの塩基配列に基づいて、適宜、設定すればよい。
本実施の形態の癌診断のためのデータの取得方法は、ポリメラーゼ連鎖反応の増幅産物を、電気泳動に供する工程を有していてもよい。当該構成であれば、生体から採取されたサンプル内に含まれるスプライシングバリアントに関する詳細な情報(例えば、スプライシングバリアントの有無、および、スプライシングバリアントの種類)を得ることができ、これによって、癌診断のためのより詳細なデータの取得が可能になる。
本実施の形態の癌診断のためのデータの取得方法は、更に、生体から採取されたサンプルにおける、オステオポンチン遺伝子の発現、または、オステオポンチンタンパク質の発現を検出する工程を有していてもよい。
後述する実施例に示すように、Oct4遺伝子の発現と、オステオポンチン遺伝子の発現とには、高い相関関係がある。それ故に、例えば、初めにオステオポンチン遺伝子を発現しているサンプルを特定し、当該サンプルについてのみOct4遺伝子の発現を確認すれば、極めて迅速な癌診断を実現することができる。また、サンプルに対して、Oct4遺伝子の発現の確認、および、オステオポンチン遺伝子の発現の確認の両方を行えば、極めて精度の高い癌診断を実現することができる。
当該工程は、〔1−3.その他の構成〕にて説明した構成を用い、PCR法、ノーザンブロット法、または、ELISA法に基づいて行うことが可能である。
PCR法、ノーザンブロット法、および、ELISA法の具体的な方法は、周知の方法に従えばよい。
本実施の形態の癌診断のためのデータの取得方法は、例えば、以下の<1>または<2>構成であってもよい。なお、以下の構成においてオステオポンチン遺伝子およびオステオポンチン蛋白質は、a型のスプライシングバリアント、b型のスプライシングバリアントの発現、または、c型のスプライシングバリアントの何れであってもよいが、より高い効果を得るという観点から、c型のスプライシングバリアントであることが好ましい。
<1>本実施の形態の癌診断のためのデータの取得方法は、最初に、生体から採取されたサンプルにおけるオステオポンチン遺伝子またはオステオポンチン蛋白質の発現を検出し、その後に、オステオポンチン遺伝子またはオステオポンチン蛋白質の発現が陽性であったサンプルにおけるOct4遺伝子の発現を検出する構成であってもよい。当該構成であれば、迅速にが癌診断をすることができる。
<2>本実施の形態の癌診断のためのデータの取得方法は、生体から採取されたサンプルにおけるオステオポンチン遺伝子またはオステオポンチン蛋白質の発現、および、当該生体から採取されたサンプルにおけるOct4遺伝子の発現を同時に検出する構成であってもよい。当該構成であれば、精度の高い癌診断をすることができる。
〔3.癌の診断方法〕
本実施の形態の癌の診断方法は、サンプルを鋳型として用い、かつ、下記(α)および(β)のプライマーセットの何れか1つ以上を用いてポリメラーゼ連鎖反応を行う工程を有することを特徴としている:
(α)Oct4遺伝子のA型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号41にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーである、プライマーセット;
(β)Oct4遺伝子のB型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号33にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーであり、当該リバースプライマーは、配列番号34にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーである、プライマーセット。
プライマーセット(α)および(β)の構成については、〔1.癌検出キット〕の欄で説明したので、ここでは、その説明を省略する。
サンプルとしては、特に限定されず、適宜、所望のサンプルを用いることができる。
例えば、サンプルは、血液、尿、皮膚、髪の毛、細胞、および、組織であってもよい。
また、サンプルは、所望のサンプル(例えば、血液、尿、皮膚、髪の毛、細胞、および、組織など)からmRNAを精製し、当該mRNAを逆転写して得られるcDNAであってもよい。なお、mRNAの精製、および、mRNAの逆転写は、市販のキットを用いて行うことができる。
また、サンプルは、所望のサンプル(例えば、血液、尿、皮膚、髪の毛、細胞、および、組織など)からmRNAを精製し、当該mRNAを逆転写してcDNAを得、当該cDNAをベクターに組み込んで作製されたcDNAライブラリーであってもよい。なお、cDNAのベクターへの組み込みは、市販のキットを用いて行うことができる。
ポリメラーゼ連鎖反応の反応サイクル(例えば、アニーリング反応、伸長反応、および、変性反応からなる、反応サイクル)の具体的な構成(例えば、反応温度、および、反応時間)は、特に限定されず、用いるフォワードプライマーおよびリバースプライマーの塩基配列に基づいて、適宜、設定すればよい。
本実施の形態の癌の診断方法は、ポリメラーゼ連鎖反応の増幅産物を電気泳動に供する工程を有していてもよい。当該構成であれば、サンプル内に含まれるスプライシングバリアントに関する詳細な情報(例えば、スプライシングバリアントの有無、および、スプライシングバリアントの種類)を得ることができ、これによって、癌診断のためのより詳細なデータの取得が可能になる。
本実施の形態の癌の診断方法は、ポリメラーゼ連鎖反応の反応産物を電気泳動に供する工程から得られた結果に基づき、癌のリスクを判定する工程を有していてもよい。
例えば、ポリメラーゼ連鎖反応の反応産物を電気泳動に供する工程にて、サンプル内にスプライシングバリアントの存在が確認されれば「癌の危険性がある」と判定することができ、サンプル内に複数種類のスプライシングバリアントが存在することが確認されれば「癌の危険性が高い」と判定することができる。
また、ポリメラーゼ連鎖反応の反応産物を電気泳動に供する工程にて、サンプル内に特定のスプライシングバリアント(例えば、Oct4A、Oct4A1、Oct4A2、Oct4A3、Oct4A4、Oct4A5、Oct4A6、または、Oct4B5)の存在が確認されれば「癌の危険性がある」と判定することができ、サンプル内に特定のスプライシングバリアント(例えば、Oct4A、Oct4A1、Oct4A2、Oct4A3、Oct4A4、Oct4A5、Oct4A6、または、Oct4B5)を含む複数種類のスプライシングバリアントが存在することが確認されれば「癌の危険性が高い」と判定することができる。
本実施の形態の癌の診断方法は、更に、生体から採取されたサンプルにおける、オステオポンチン遺伝子の発現、または、オステオポンチンタンパク質の発現を検出する工程を有していてもよい。
後述する実施例に示すように、Oct4遺伝子の発現と、オステオポンチン遺伝子の発現とには、高い相関関係がある。それ故に、例えば、初めにオステオポンチン遺伝子を発現しているサンプルを特定し、当該サンプルについてのみOct4遺伝子の発現を確認すれば、極めて迅速な癌診断を実現することができる。また、サンプルに対して、Oct4遺伝子の発現の確認、および、オステオポンチン遺伝子の発現の確認の両方を行えば、極めて精度の高い癌診断を実現することができる。
当該工程は、〔1−3.その他の構成〕にて説明した構成を用い、PCR法、ノーザンブロット法、または、ELISA法に基づいて行うことが可能である。
PCR法、ノーザンブロット法、および、ELISA法の具体的な方法は、周知の方法に従えばよい。
本実施の形態の癌の診断方法は、例えば、以下の<1>または<2>の構成であってもよい。なお、以下の構成においてオステオポンチン遺伝子およびオステオポンチン蛋白質は、a型のスプライシングバリアント、b型のスプライシングバリアントの発現、または、c型のスプライシングバリアントの何れであってもよいが、より高い効果を得るという観点から、c型のスプライシングバリアントであることが好ましい。
<1>本実施の形態の癌の診断方法は、最初に、生体から採取されたサンプルにおけるオステオポンチン遺伝子またはオステオポンチン蛋白質の発現を検出し、その後に、オステオポンチン遺伝子またはオステオポンチン蛋白質の発現が陽性であったサンプルにおけるOct4遺伝子の発現を検出する構成であってもよい。当該構成であれば、迅速に癌診断をすることができる。
<2>本実施の形態の癌の診断方法は、生体から採取されたサンプルにおけるオステオポンチン遺伝子またはオステオポンチン蛋白質の発現、および、当該生体から採取されたサンプルにおけるOct4遺伝子の発現を同時に検出する構成であってもよい。当該構成であれば、精度の高い癌診断をすることができる。
<1.Oct4遺伝子のmRNAの転写開始点の決定>
Trizol(Invitrogen社)を用いて、ヒトPA−1細胞から、Total RNAを精製した。GeneRacer kit(Invitrogen社)を用いて、1μgのTotal RNAを、逆転写反応にかけた。3種類のリバースプライマーを用いてPCR反応を行った。なお、PCR反応に用いた酵素は、primestar(Takara社)であった。
PCR反応の増幅産物の電気泳動の像を図9に示す。
PCR反応の増幅産物をTA−vector(Invitrogen社)に挿入した後、当該増幅産物の塩基配列をシークエンサーにて確認した。その結果、当該増幅産物は、配列番号1(配列番号3)にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドを含んでいた。
<2.プライマーセットの設計>
表1、および、図1に、各プライマーセットのフォワードプライマーおよびリバースプライマーの塩基配列に関する情報、および、各プライマーセットによって増幅されると考えられるDNAの情報を記載する。
下記プライマーセットのうち、Set A1およびSet A2は、上述したプライマーセット(α)に対応するプライマーセットであり、Set Bは、上述したプライマーセット(β)に対応するプライマーセットである。
<3.プライマーセットの増幅特異性>
上述した各プライマーセットと、鋳型としてOct4A遺伝子のA型の転写産物に由来するcDNA、または、Oct4偽遺伝子(具体的には、PG1、PG3およびPG4)と、を用いてPCR反応を行い、PCR増幅産物の有無を、電気泳動によって確認した。
PCR反応は、タカラバイオ株式会社製のプライム・スターまたはエメラルドアンプを用い、フォワードプライマー250μM、リバースプライマー250μM、鋳型10fgまたは10ag、その他の成分として、NTP、および緩衝液を含む、20μLの反応溶液を用いて行った。
PCR反応装置としては、ABI株式会社製のGeneAmp PCR system9700装置を用いた。
本実施例では、各プライマーセットについて、同一の反応サイクルにて、PCR反応を行った。つまり、68℃にて2分間のアニーリングおよび伸長反応、および、96℃にて30秒間の変性反応からなるサイクルを35回行う、反応サイクルを採用した。
電気泳動の結果を図2に示す。
プライマーセットとしてSet 1を用いた場合、Oct4A遺伝子のみならず、Oct4偽遺伝子も検出(増幅)されることが明らかになった。
プライマーセットとしてSet 2、Set 3、Liedtke−1、Liedtke−2、および、Atlasiを用いた場合、Oct4A遺伝子のみならず、Oct4偽遺伝子も検出(増幅)されることが明らかになった。
プライマーセットとしてSuoを用いた場合、Oct4偽遺伝子を検出せずにOct4A遺伝子のみを検出できるが、Genomic DNAとmRNAとを区別できないことが明らかになった。更に、プライマーセットとしてSuoを用いた場合、Oct4遺伝子のA型のスプライシングバリアント同士を区別できないことが明らかになった。
プライマーセットとしてSet A1、Set A2、および、Set Bを用いた場合、Oct4偽遺伝子を検出せずにOct4A遺伝子のみを検出できること、および、Genomic DNAとmRNAとを区別できることが明らかになった。更に、これらのプライマーセットであれば、スプライシングバリアントを網羅的に検出できることが明らかになった。
<4.スプライシングバリアントの解析>
プライマーセットとしてSet A1またはSet Bと、鋳型として、様々な細胞(癌細胞(具体的には、MCF7、HeLa、Ishikawa、HEC265、HEC1、HEC50B、TTA1、A549、S2、PA1、または、HEK293T)、正常細胞(具体的には、ARPE−19、HFF、HUVEC、または、HAoSMC))から精製したmRNAを逆転写して得られたcDNAと、を用いてPCR反応行った。なお、mRNAの精製、および、mRNAの逆転写は、市販のキットを用いて、当該キットに添付のプロトコールにしたがって行った。また、PCR反応は、上述した<2.プライマーセットの増幅特異性>に記載の条件にて行った。
PCR反応液を電気泳動に供し、電気泳動に用いたゲルからPCR増幅産物を切り出した。当該PCR増幅産物を周知の方法にしたがって市販のベクターに挿入し、当該ベクターを用いて大腸菌を形質転換した。大腸菌の形質転換体を培養および増殖させた後、当該大腸菌からベクターを精製し、当該ベクターに挿入されているPCR増幅産物の塩基配列を、市販のシークエンサーを用いて解析した。
Set A1を用いて増幅されたPCR増幅産物の塩基配列を解析した結果、公知のスプライシングバリアントであるhOct4A以外に、新規なスプライシングバリアントとして、hOct4A1(配列番号21)、hOct4A2(配列番号22)、hOct4A3(配列番号23)、hOct4A4(配列番号24)、hOct4A5(配列番号25)、および、hOct4A6(配列番号26)を見出すことに成功した。
Set Bを用いて増幅されたPCR増幅産物の塩基配列を解析した結果、公知のスプライシングバリアントであるhOct4BおよびhOct4B1以外に、新規なスプライシングバリアントとして、hOct4B2(配列番号27)、hOct4B3(配列番号28)、hOct4B4(配列番号29)、hOct4B5(配列番号30)、hOct4B6(配列番号31)、および、hOct4Bns(配列番号32)を見出すことに成功した。
上述したスプライシングバリアントの構造の概略を、図3および4に示す。
更に、表2および3に、各細胞で検出されたスプライシングバリアントの種類と検出されたクローンの数とを示す。得られたクローンの塩基配列を決定したところ、すべてOct4遺伝子の転写産物であることが判明し、偽遺伝子は一つも含まれていないことを確認した。表2および3から明らかなように、癌細胞では、様々なスプライシングバリアントが発現していることが明らかになった。一方、正常細胞では、Oct4 Bnsタイプ以外のOct4遺伝子の発現が、ほとんど観察されなかった。
<5.悪性度の高い癌細胞におけるOct4遺伝子の発現>
プライマーセットとしてSet A1またはSet Bと、鋳型として乳癌細胞であるMCF7または悪性度の高い乳癌細胞であるMDA−MB−231から精製したmRNAを逆転写して得られたcDNAと、を用いてPCR反応行った。なお、mRNAの精製、および、mRNAの逆転写は、市販のキットを用い、当該キットに添付のプロトコールに従って行った。また、PCR反応は、上述した<2.プライマーセットの増幅特異性>に記載の条件にて行った。その後、PCR増幅産物の有無を、電気泳動によって確認した。
電気泳動の結果を図5に示す。なお、図5において、「X」は、Set A1の試験結果を示しており、「Y」は、Set Bの試験結果を示している。
鋳型として乳癌細胞であるMCF7のcDNAを用いた場合、プライマーセットとしてSet A1またはSet Bの何れを用いても、PCR増幅産物の量が検出限界以下の量であった。一方、鋳型として悪性度の高い乳癌細胞であるMDA−MB−231のcDNAを用いた場合、プライマーセットとしてSet A1またはSet Bの何れを用いても、PCR増幅産物が検出された(図5の1.4kbpのバンド(hOct4A)、および、1kbpのバンド(hOct4B)を参照)。これらのことは、癌の悪性度と、Oct4遺伝子の発現強度とが、相関していることを示唆している。
<6.癌細胞の悪性度と癌細胞の遊走能との関係>
乳癌細胞であるMCF7と、悪性度の高い乳癌細胞であるMDA−MB−231とを、別々に、シャーレ上に同じ細胞濃度(8×10個cell/cm)にて捲き、DMEM培地(Invitrogen社製)中で培養した。培養を開始してから48時間後に、シャーレ上に傷をつけ、Wound Healing Assayを行った。
図6に、Wound Healing Assayの結果を示す。シャーレ上に傷をつけてから、18時間後、44時間後、64時間後、および、88時間後の癌細胞の様子を観察した結果、悪性度の高い乳癌細胞であるMDA−MB−231は遊走能が高いが、悪性度の低い乳癌細胞であるMCF7は遊走能がほとんど無いことが明らかになった。
<7.Oct4遺伝子の発現が遊走能に及ぼす影響>
周知の方法にしたがって、EGFP遺伝子を挿入した発現ベクターと、hOct4Aを挿入した発現ベクターとを作製した。なお、発現ベクターとしては、クローンテック株式会社製のpEGFP−N1ベクターを用いた。
MCF7を、シャーレ上に細胞濃度(6.6×10個cell/cm)にて捲き、DMEM培地(Invitrogen社製)中で培養した。培養を開始してから24時間後に、lipofectamine 2000を用いて常法に従い遺伝子導入を行い、さらに培養を続けた。遺伝子導入後36時間培養後にシャーレ上に傷をつけ、Wound Healing Assayを行った。
図7に、Wound Healing Assayの結果を示す。シャーレ上に傷をつけてから、24時間後、および、144時間後の様子を観察した結果、hOct4Aを挿入した発現ベクターが導入されたMCF7は遊走能が有意に促進されたが、EGFP遺伝子を挿入した発現ベクターが導入されたMCF7は、野生型MCF7と同様に遊走能がほとんど無いことが明らかになった。
<8.発現するタンパク質に関する考察>
各スプライシングバリアント(具体的には、Oct4A、Oct4A1、Oct4A2、Oct4B、Oct4B1、Oct4B2、Oct4B3、Oct4Bns)のcDNAを市販の発現ベクターに挿入し、当該発現ベクターをCOS7細胞に導入し、当該COS7細胞を培養した。
市販のキットを用いて培養後のCOS7細胞からmRNAを精製し、当該mRNAに含まれているスプライシングバリアントのタイプを5’RACE法により同定した。
A型スプライシングバリアント(具体的にはOct4A、Oct4A1、Oct4A2)のcDNAを挿入した発現ベクターをCOS7細胞に導入した場合、Oct4AおよびOct4A2の場合はともにOct4Aのみの1種類の転写産物が検出されたのに対し、Oct4A1の場合はOct4A1とその他サイズの小さいバンドが確認された。Oct4Aの翻訳産物は360個のアミノ酸をもつ公知の蛋白質であり、Oct4A1の翻訳産物はカルボキシル末端領域を大きく欠損した168個のアミノ酸を持つ新規蛋白質が生産されている可能性が明らかとなった。
スプライシングバリアント(具体的には、Oct4B、Oct4B1、Oct4B2、Oct4B3、Oct4Bns)のcDNAを挿入した発現ベクターをCOS7細胞に導入した場合、いずれの発現ベクターにおいても、Oct4BおよびOct4B5の2種類のスプライシングバリアントしか検出されなかった(図8のBand 1、および、Band 2参照)。
このことから、細胞内では、スプライシングバリアントは細胞内で更なる構造変化を受け、その結果、Oct4B型のタンパク質としては、Oct4B5の翻訳産物であるタンパク質が主として生産されている可能性があると考えられる。
Oct4BおよびOct4B5の2種類のスプライシングバリアントでは、翻訳開始点と考えられるコドン、および、翻訳終了点と考えられるコドンが異なっており、これらのコドンに基づいて予測される翻訳産物であるタンパク質の大きさが異なっている。そして、実際に観察されるタンパク質の大きさは、Oct4B5の翻訳産物であるタンパク質の大きさに近いので、Oct4B5の翻訳産物であるタンパク質が主として生産されている可能性があると考えられる。
<9.短いプライマーに関する考察>
下記表4に記載の各プライマーセット(Set A1−short、Set A2−short)と、鋳型としてOct4A遺伝子のA型の転写産物に由来するcDNA、または、Oct4偽遺伝子(具体的には、PG1、PG3およびPG4)と、を用いてPCR反応を行い、PCR増幅産物の有無を、電気泳動によって確認した。
PCR反応は、タカラバイオ株式会社製のプライム・スターまたはエメラルドアンプを用い、フォワードプライマー250μM、リバースプライマー250μM、鋳型10fgまたは10ag、その他の成分として、NTP、および緩衝液を含む、20μLの反応溶液を用いて行った。PCR反応に用いた酵素は、emerald amp(Takara社)であった。
PCR反応装置としては、ABI株式会社製のGeneAmp PCR system9700装置を用いた。
反応サイクルとしては、55℃にて15秒間のアニーリング反応、72℃にて2分間の伸長反応、および、96℃にて30秒間の変性反応からなるサイクルを35回行う、反応サイクルを採用した。
試験結果を図10に示す。図10に示すように、17baseというプライマーの長さは、Oct4遺伝子のA型の転写産物を特異的に検出する上で、十分な長さであることが明らかになった。
下記表4に記載の各プライマーセット(Set B−short)と、鋳型として、PA1細胞由来cDNA−1、PA1細胞由来cDNA−2、Oct4B cDNA 10fg、または、Oct4B cDNA 10agと、を用いてPCR反応を行い、PCR増幅産物の有無を、電気泳動によって確認した。
PCR反応装置としては、ABI株式会社製のGeneAmp PCR system9700装置を用いた。
反応サイクルとしては、55℃にて15秒間のアニーリング反応、72℃にて2分間の伸長反応、および、96℃にて30秒間の変性反応からなるサイクルを35回行う、反応サイクルを採用した。
試験結果を図11に示す。なお、図11において、レーン「1」、「2」、「3」および「4」の各々は、PA1細胞由来cDNA−1、PA1細胞由来cDNA−2、Oct4B cDNA 10fg、および、Oct4B cDNA 10agの各々を用いた場合の試験結果を示している。
図11に示すように、17baseというプライマーの長さは、Oct4遺伝子のB型の転写産物を特異的に検出する上で、十分な長さであることが明らかになった。
<10.Oct4遺伝子の発現と、オステオポンチン遺伝子の発現との相関関係>
様々な、カルシノーマの細胞株(MCF7、MDAMB231、PA1、A549)、正常な細胞株(ARPE−19、HFF、HUVEC、HAoSMC)、および、正常な組織(monocyte、bone marrow)におけるOct4遺伝子、および、オステオポンチン遺伝子の発現を、PCR法によって確認した。なお、上述した細胞株および組織からのRNA抽出およびcDNA合成は、市販のキットを用いて、周知の方法にしたがって行った。
Oct4遺伝子の発現の確認には、図1および表1に記載のプライマーセットのうちSet A1(配列番号1、配列番号2)を用いた。
一方、オステオポンチン遺伝子の発現の確認には、以下のフォワードプライマー(FO)およびリバースプライマー(RV)を用いた。
FO:5’−accatgagaattgcagtgatttgc−3’(配列番号42);
RV:5’−tcagtgaccagttcatcagattca−3’(配列番号43)。
オステオポンチンには、3種類のスプライシングバリアントが存在することが知られている(例えば、(a)J Gastrointest Surg(2015)19, 639−650、(b)Cancer Res; 75(6) March 15, 2015, 963−973、(c)Mol Cancer Res; 9(3) March 2011, 280−293、(d)Oncogene, 2006, 25, 2192−2202、参照)。
そこで、オステオポンチン遺伝子の発現の確認時には、PCRの増幅産物をアガロースゲル電気泳動に供して分離することにより、3つのスプライシングバリアントの何れが発現しているか確認した。なお、図12にアガロースゲル電気泳動の像の一例を示す。図12において、「SPP1a」はa型のスプライシングバリアントを示し、「SPP1b」はb型のスプライシングバリアントを示し、「SPP1c」はc型のスプライシングバリアントを示している。
下記の表5に、試験結果を示す。なお、表5において、「−」は、陰性(アガロースゲル電気泳動にて、バンドが検出されない)であることを示し、「±」は、弱陽性(アガロースゲル電気泳動にて、薄いバンドが検出される)であることを示し、「+」は、陽性(アガロースゲル電気泳動にて、濃いバンドが検出される)であることを示している。また、「a」は、a型のスプライシングバリアントの発現が確認されたことを示し、「b」は、b型のスプライシングバリアントの発現が確認されたことを示し、「c」は、c型のスプライシングバリアントの発現が確認されたことを示している。
表5に示すように、Oct4遺伝子の発現と、オステオポンチン遺伝子の発現とには、高い相関関係があることが明らかになった。
具体的に、Oct4遺伝子の発現が確認されなかった細胞株および組織では、オステオポンチン遺伝子の発現もほとんど確認されなかった。
Oct4遺伝子の発現が弱く確認されたHFFでは、オステオポンチン遺伝子の発現も確認されたが、c型のスプライシングバリアントの発現は確認されなかった。このことは、Oct4遺伝子の発現と、a型、b型およびc型のスプライシングバリアントの発現とには高い相関関係があり、Oct4遺伝子の発現と、c型のスプライシングバリアントの発現とには特に高い相関関係があることを示している。
<11.オステオポンチン遺伝子のc型のスプライシングバリアントの発現の特異的な検出>
オステオポンチン遺伝子の3つのスプライシングバリアントのうち、c型のみを特異的に検出することが可能であるか否か、検討した。
PA−1細胞由来のcDNAを鋳型として用い、プライマーとして後述するフォワードプライマー(SSP1c−FO)およびリバースプライマー(SSP1c−RV)を用いて、PCR反応を行った。なお、当該PCR反応では、96℃にて30秒間の変性反応、60℃にて15秒間のアニーリング反応、および、72℃にて60秒間の伸長反応からなる反応サイクルを35サイクル繰り返した。
SSP1c−FO:5’−AAGTTCTGAGGAAAAGCAGAATGCTGTGTC−3’(配列番号44);
SSP1c−RV:5’−TTTAATTGACCTCAGAAGATGCAC−3’(配列番号45)。
なお、オステオポンチン遺伝子のc型のスプライシングバリアントには、エクソン4が存在しない。そこで、SSP1c−FOの塩基配列として、エクソン3とエクソン5との間をまたぐ塩基配列を用いた(図13(b)を参照)。
試験結果を図13(a)に示す。図13(a)において、「RT+」は、逆転写酵素(Reverse Transcriptase)を用いた場合の試験結果を示し、「RT−」は、逆転写酵素を用いない場合の試験結果を示している。
図13(a)に示すように、エクソン3とエクソン5との間をまたぐ塩基配列を有するフォワードプライマーを用いれば、オステオポンチン遺伝子の3つのスプライシングバリアントのうちc型を特異的に検出し得ることが明らかになった。
本発明は、癌の検出に利用することができる。

Claims (6)

  1. 下記(α)および(β)のプライマーセットの何れか1つ以上を備えていることを特徴とする癌検出キット:
    (α)Oct4遺伝子のA型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号41にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーである、プライマーセット;
    (β)Oct4遺伝子のB型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号33にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーであり、当該リバースプライマーは、配列番号34にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーである、プライマーセット。
  2. 上記(α)のプライマーセットのリバースプライマーは、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、または、配列番号26にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの一部であることを特徴とする請求項1に記載の癌検出キット。
  3. 更に、(i)オステオポンチン遺伝子の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセット、(ii)オステオポンチン遺伝子の転写産物とハイブリダイズするプローブ、または、(iii)抗オステオポンチン抗体、を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の癌検出キット。
  4. 生体から採取されたサンプルを鋳型として用い、かつ、下記(α)および(β)のプライマーセットの何れか1つ以上を用いてポリメラーゼ連鎖反応を行う工程を有することを特徴とする、癌診断のためのデータの取得方法:
    (α)Oct4遺伝子のA型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号41にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーである、プライマーセット;
    (β)Oct4遺伝子のB型の転写産物を増幅するためのフォワードプライマーおよびリバースプライマーからなるプライマーセットであって、当該フォワードプライマーは、配列番号33にて示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーであり、当該リバースプライマーは、配列番号34にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの中の、連続した17塩基以上のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含むプライマーである、プライマーセット。
  5. 上記(α)のプライマーセットのリバースプライマーは、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、または、配列番号26にて示される塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドの一部であることを特徴とする請求項4に記載の癌診断のためのデータの取得方法。
  6. 更に、上記生体から採取されたサンプルにおける、オステオポンチン遺伝子の発現、または、オステオポンチンタンパク質の発現を検出する工程を有することを特徴とする請求項4または5に記載の癌診断のためのデータの取得方法。
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