JPWO2016147722A1 - 推定装置、推定方法およびプログラム - Google Patents

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Abstract

推定装置は、蓄電池の物理量の推移を計測する計測手段と、推移の計測結果を基に蓄電池の基準内部インピーダンスを推定し、基準内部インピーダンスと計測結果とを基に蓄電池の内部インピーダンスの変動成分を推定し、基準内部インピーダンスと変動成分とを基に蓄電池の内部インピーダンスを推定する推定手段と、を含む。

Description

本発明は、蓄電池の内部インピーダンスを推定する推定装置、推定方法およびプログラムに関する。
家庭や電気自動車で使用可能な蓄電池(例えば、大容量かつ長寿命の蓄電池)を効率的に運用するには、SOC(Stateof Charge)などの蓄電池状態量をリアルタイムに管理する必要がある。
蓄電池状態量をリアルタイムに推定する方法の一つとして、例えば、カルマンフィルタを用いた状態量推定器を利用する方法がある。このカルマンフィルタを使用する際には、適用対象をモデル化する必要がある。適用対象が蓄電池である場合、電気等価回路を用いて蓄電池をモデル化する方法が一般的である。
蓄電池の電気等価回路モデルに含まれるモデル係数値には、通常、蓄電池の内部インピーダンスの値およびSOH(Stateof Health)が含まれる。SOHとは、蓄電池出荷時の満充電容量を基準とした現満充電容量を百分率で表した蓄電池の劣化指標値である。
実際の蓄電池のSOHおよび内部インピーダンスの値は、刻一刻と変化する。
したがって、蓄電池の電気等価回路モデルのモデル係数値に含まれる内部インピーダンスの値およびSOHを時変パラメータとして扱うことで、蓄電池本来の挙動に即したモデル化が可能になる。
内部インピーダンスは、経年劣化に起因する長期的な変化分と、瞬時的な運用環境に起因する短期的な変化分とに分離できる。
経年劣化は、充放電の繰り返しによって経年的に蓄電池の電極に不純物が蓄積することで生じる物理的な劣化であり、通常、内部インピーダンスを増加させる。なお、SOHは、この経年劣化によって生じる内部インピーダンス変化分と強い相関がある。
一方、瞬時的な運用環境に起因する短期的な内部インピーダンス変化分は、環境温度や充放電レートおよびSOCなどの瞬時的な運用環境の違いから生じる化学的な内部インピーダンス変動に相当する。
以上の蓄電池特性に鑑みると、蓄電池(例えば、大容量かつ長寿命の蓄電池)を効率的に運用するには、蓄電池の電気等価回路モデルにおける内部インピーダンスを、経年劣化に起因する長期変化分と瞬時的な運用環境に起因する短期変化分とに分けて逐次推定する手法が必要となる。
特許文献1には、蓄電池の内部インピーダンスを算出し、その内部インピーダンスを物理的な内部インピーダンスと化学的な内部インピーダンスとに分離する手法が記載されている。
特許第5496612号公報
蓄電池の内部インピーダンスの運用環境依存性は、経年劣化とともに変化していく。
しかしながら、特許文献1に記載の手法では、経年劣化に伴う運用環境の依存性を補正していない。したがって、特許文献1に記載の手法では、経年劣化が進行した際に内部インピーダンスを精度良く推定できないという課題がある。
本発明の目的は、上記課題を解決可能な推定装置、推定方法およびプログラムを提供することである。
本発明の推定装置は、蓄電池の物理量の推移を計測する計測手段と、前記推移の計測結果を基に前記蓄電池の基準内部インピーダンスを推定し、前記基準内部インピーダンスと前記計測結果とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスの変動成分を推定し、前記基準内部インピーダンスと前記変動成分とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスを推定する推定手段と、を含む。
本発明の推定方法は、蓄電池の物理量の推移を計測し、前記推移の計測結果を基に前記蓄電池の基準内部インピーダンスを推定し、前記基準内部インピーダンスと前記計測結果とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスの変動成分を推定し、前記基準内部インピーダンスと前記変動成分とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスを推定する。
本発明のプログラムは、コンピュータに、蓄電池の物理量の推移を計測する計測手順と、前記推移の計測結果を基に前記蓄電池の基準内部インピーダンスを推定し、前記基準内部インピーダンスと前記計測結果とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスの変動成分を推定し、前記基準内部インピーダンスと前記変動成分とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスを推定する推定手順と、を実行させる。
本発明によれば、経年劣化が進行しても蓄電池の内部インピーダンスを精度良く推定可能になる。
図1Aは、経年Z0と環境ΔZと逐次Zseqの概念を表したグラフである。 図1Bは、本発明の第1実施形態の構成を示すブロック図である。 図1Cは、第1実施形態における推定装置1の動作を説明するためのフローチャートである。 図2は、本発明の第2実施形態の構成を示すブロック図である。 図3は、逐次Zseq推定部の構成を示すブロック図である。 図4は、Z0推定部の構成を示すブロック図である。 図5は、第2実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。 図6は、経年Z0を更新する処理のフローチャートである。 図7は、経年Z0を最適化する処理のフローチャートである。 図8は、経年Z0とSOHの関係を示すグラフである。 図9は、蓄電池状態量を推定する割り込み処理のフローチャートである。 図10は、環境ΔZを導く補正関数の経年的変化を示すグラフである。 図11は、複数の特定入力パターンに対応したZ0−SOHの関係を示すグラフである。 図12は、本発明の実施例における蓄電池の構成である。 図13は、蓄電池におけるSOCとVocの相関関係を示すSOC−Vocデータテーブルである。 図14は、蓄電池の挙動を電気等価回路(R−RC)で表現したモデルである。 図15は、本発明の実施例における特定入力パターンのひとつであるパルス充電電流である。 図16は、本発明の実施例におけるZ最適化に用いるデータログの概念図である。 図17は、本発明の実施例をシミュレーションした結果図である。
(用語の定義)
まず、以下の説明で用いるいくつかの用語を定義する。
蓄電池の電気等価回路モデルにおける内部インピーダンスを「内部インピーダンスZ」で表す。
経年劣化によって決まる内部インピーダンスを「経年Z0」(以後の数式では、単に「Z0」と表記する)で表す。経年Z0は、基準内部インピーダンスの一例である。
瞬時的な蓄電池運用環境によって決まる内部インピーダンスを「環境ΔZ」(以後の数式では、単に「ΔZ」と表記する)で表す。環境ΔZは、内部インピーダンスの変動成分の一例である。
経年Z0と環境ΔZの合計値で逐次的に求まる内部インピーダンスを「逐次Zseq」(以降の数式では、単に「Zseq」と表記する)で表す。
図1Aは、逐次Zseqで表される内部インピーダンスの挙動モデルの一例を示した図である。
図1に示すように、経年Z0は、その更新タイミングで、例えば不連続に更新される。逐次Zseqは、経年Z0に環境ΔZを逐次加えることで表される。
後述する各図面は、本発明の実施形態を説明するために用いる。ただし、本発明は、各図面に記載された形態に限られるわけではない。また、各図面において同様の構成には同じ符号を付与してある。また、以下では、同様の構成についての繰り返しの説明を省略する場合がある。また、本発明の説明に関係しない部分の構成については、記載を省略して図示しない場合もある。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1Bは、本発明の第1実施形態の推定装置1を示した図である。
推定装置1は、計測部1aと推定部1bとを含む。
計測部1aは、計測手段の一例である。計測部1aは、蓄電池の物理量(例えば、電圧や電流)の推移を計測する。なお、蓄電池の物理量は、電圧や電流に限らず適宜変更可能である。例えば、蓄電池の物理量は、蓄電池の電圧、電流および温度の少なくとも1つでもよい。
推定部1bは、推定手段の一例である。推定部1bは、計測部1aの計測結果に基づいてZseqを逐次推定する。
次に、推定装置1の動作を説明する。
図1Cは、推定装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
計測部1aは、蓄電池の物理量の推移を計測する。計測部1aは、計測結果を推定部1bに出力する(S1)。
推定部1bは、まず、計測部1aの計測結果に基づいて蓄電池の経年Z0を推定する。続いて、推定部1bは、経年Z0と計測部1aの計測結果とに基づいて環境ΔZを推定する。例えば、推定部1bは、経年Z0に応じた情報と計測部1aの計測結果とに基づいて環境ΔZを推定する。続いて、推定部1bは、経年Z0と環境ΔZとに基づいてZseqを逐次推定する(S2)。
次に、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態では、推定部1bは、計測部1aの計測結果に基づいて経年Z0を推定し、経年Z0と計測部1aの計測結果とに基づいて環境ΔZを推定する。このため、環境ΔZに経年Z0が反映される。よって、環境ΔZを経年Z0の変化に応じて更新可能になる。そして、推定部1bは、環境ΔZと経年Z0とに基づいてZseqを逐次推定する。
したがって、本実施形態では、経年Z0が反映された環境ΔZを用いて内部インピーダンスが推定されるため、内部インピーダンスを精度よく推定できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
[構成の説明]
図2は、本発明の第2実施形態の蓄電池状態推定装置2を含む蓄電池システム2Aを示した図である。蓄電池状態推定装置2は、推定装置の一例である。
蓄電池システム2Aは、充放電指令部100と、蓄電池200と、計測部300と、逐次Zseq推定部400と、状態量推定部500と、を含む。
充放電指令部100は、指令手段の一例である。計測部300は、計測手段の一例である。逐次Zseq推定部400は、推定手段の一例である。状態量推定部500は、状態量推定手段の一例である。なお、計測部300は、第1実施形態の計測部1aとして用いてもよい。また、逐次Zseq推定部400は、第1実施形態の推定部1bとして用いてもよい。
これらの構成要素は、概略つぎのように動作する。
充放電指令部100は、蓄電池200に対して、充放電の指示を出力する。本実施形態では、充放電指令部100は、蓄電池200に対して、特定の電流波形パターンを用いた充放電を行う旨の指示を出力する。
蓄電池200は、経年劣化推定運用時においては、充放電指令部100から指示された電流波形パターンにしたがって充放電を行う。一方、通常運用時においては、蓄電池200は、負荷10に対して放電する。
計測部300は、蓄電池200の物理量(以下、「蓄電池物理量」と称す)を規定の周期で計測する。蓄電池物理量の一例としては、蓄電池の電気的状態などがある。なお、蓄電池物理量は、蓄電池の電気的状態に限らず適宜変更可能である。例えば、蓄電池物理量の一例として、蓄電池の電気的状態と蓄電池の温度を用いてもよい。計測部300は、規定の周期の蓄電池物理量の計測値(計測結果)を、計測時刻とともに、逐次Zseq推定部400および状態量推定部500へ出力する。
逐次Zseq推定部400は、計測部300から受け取った蓄電池物理量の計測値および計測時刻等を用いて、逐次的な内部インピーダンス推定値である逐次Zseq(蓄電池200の内部インピーダンス)を推定する。逐次Zseq推定部400は、推定した逐次Zseqを状態量推定部500へ出力する。
また、逐次Zseq推定部400は、計測部300から受け取った蓄電池物理量の計測値および計測時刻を用いて、蓄電池200のSOH(以下、単に「SOH」と称す)を推定する。SOHは蓄電池200の状態量の一例である。逐次Zseq推定部400は、SOHを状態量推定部500へ出力する。
状態量推定部500は、逐次Zseq推定部400から受け取った逐次ZseqやSOH、並びに計測部300から受け取った蓄電池物理量の計測値を用いて、蓄電池状態量を推定する。状態量推定部500が推定する蓄電池状態量の一例としては、SOCがある。なお、状態量推定部500が推定する蓄電池状態量は、SOCに限らず適宜変更可能である。
次に、逐次Zseq推定部400の詳細構成について説明する。
図3は、逐次Zseq推定部400の一例を示した図である。
逐次Zseq推定部400は、経年劣化に起因する経年Z0に瞬時的な運用環境に起因する短期的なZ変化分である環境ΔZを加えた逐次Zseqを推定する。
また、逐次Zseq推定部400は、経年劣化に起因する経年Z0に基づいてSOHを推定する。例えば、逐次Zseq推定部400は、蓄電池200と同種の蓄電池を用いて事前に測定した劣化特性に対応するデータ(経年Z0とSOHとの相関関係を示したZ0−SOHデータ)を用いて、経年Z0に応じたSOHを推定する。
逐次Zseq推定部400は、経年Z0推定部410と、係数更新部420と、環境ΔZ推定部430と、逐次Zseq決定部440と、を含む。
経年Z0推定部410は、計測部300の出力(計測時刻と蓄電池物理量の計測値)に基づいて経年Z0を推定する。
また、経年Z0推定部410は、経年Z0の推定結果に応じた情報と計測部300の出力に基づいて、逐次Zseqの算出に用いる補正関数の係数更新に必要となる係数パラメータ参照値も算出する。係数パラメータ参照値は、経年Z0に応じて変化する。経年Z0推定部410は、経年Z0を逐次Zseq推定部440へ出力し、係数パラメータ参照値を係数更新部420へ出力する。
また、経年Z0推定部410は、経年Z0に基づいてSOHを推定する。例えば、経年Z0推定部410は、Z0−SOHデータにおいて経年Z0に対応するSOHを決定する。経年Z0推定部410は、経年Z0を逐次Zseq推定部440へ出力する。
係数更新部420は、係数パラメータ参照値に基づいて、環境ΔZを求める際に必要となる補正関数の係数を決定する。係数更新部420は、補正関数の係数を環境ΔZ推定部430へ出力する。
環境ΔZ推定部430は、計測部300の出力(計測時刻と蓄電池物理量の計測値)と、補正関数の係数とに基づいて、環境ΔZを推定する。環境ΔZ推定部430は、環境ΔZを逐次Zseq決定部440へ出力する。
逐次Zseq決定部440は、経年Z0と環境ΔZとに基づいて、逐次Zseqを推定する。なお、逐次Zseq決定部440は、蓄電池の物理量と経年Z0と環境ΔZとに基づいて、逐次Zseqを推定してもよい。逐次Zseq推定部400は、推定した逐次Zseqを状態量推定部500(図2参照)に出力する。
図4は、経年Z0推定部410の一例を示した図である。
経年Z0推定部410は、記憶部411と、最適化部412と、を含む。
記憶部411は、計測部300で計測された蓄電池物理量および計測時刻を時系列に記憶する。この時系列に記憶された蓄電池物理量および計測時刻を「データログ」と呼ぶ。
最適化部412は、記憶部411から出力されたデータログを受け取り、そのデータログの区間における内部インピーダンスZを最適化する。最適化部412は、その最適化された内部インピーダンスZを「経年Z0」として出力する。また、最適化部412は、その経年ZOに応じた係数パラメータ参照値を生成し、その係数パラメータ参照値を出力する。
[動作の説明]
次に、第2実施形態の動作について説明する。
図5は、本実施形態の全体動作(最上位フロー)を説明するためのフローチャートである。なお、以降の文中における括弧内の符号は、その符号に対応するフローチャートにおける処理番号と文中の説明内容が対応していることを示している。
まず、逐次Zseq推定部400は、経年劣化更新タイミングであるか否かを判断する(S100)。
ここで、経年劣化更新タイミングの判定条件を満たす場合(S100でYes)、逐次Zseq推定部400は、経年劣化更新運用(S200)を行う。
経年劣化更新運用が完了、もしくは先の経年劣化更新タイミングの判定条件を満たさなかった場合(S100でNo)、逐次Zseq推定部400は、通常運用の割り込みを許可する(S300)。
次に、図5に示した各処理の詳細を別のフローチャートも参照しながら詳細に説明する。
まず、経年劣化更新タイミングであるか否かを判断する処理(S100)について説明する。
経年劣化更新タイミングの判定条件(以下、単に「判定条件」と称す)としては、種々の判定条件を用いることができる。
以下、2つの判定条件(第一の判定条件と第二の判定条件)を用いた例を説明する。なお、判定条件の数は2つに限らず1以上であればよい。
第一の判定条件として、特定の運用環境条件を満たすという判定条件を用いる。
特定の運用環境条件は、事前に取得した蓄電池200と同種の蓄電池(以下、「同種蓄電池」と称す)の劣化特性データ「Z0−SOHデータ」)の取得環境によって規定される。例えば、特定の運用環境条件として、蓄電池200の温度やSOCと、劣化特性データを測定したときの同種蓄電池の温度やSOCとの差が、予め設定された範囲内であるという条件を用いる。特定の運用環境条件を劣化特性データ取得時の環境と合わせることで、より精度の高い経年劣化の推定が可能になる。
第二の判定条件として、特定の運用パターン実行時という判定条件を用いる。
特定の運用パターンとしては、例えば、充電モードにおける定電流充電の運用パターンを用いる。
この場合、例えば、蓄電池200が充電モードに入り、そのSOCが規定のSOC範囲内に到達したとき、充放電指令部100が経年劣化判定用の充放電パターンを蓄電池200に入力することで、経年劣化推定を実施できる。
これら経年劣化更新タイミングと入力する充放電パターンに関する詳細の一例は、後述する実施例で示す。
次に、経年劣化更新運用(S200)について説明する。
図6は、経年劣化更新運用の一例を説明するためのフローチャートである。以下、処理内容と機能部とを対応づけるため、図2、図3および図4も適宜参照する。
まず、充放電指令部100(図2)は、蓄電池200に対して特定のパターンで充放電を行うよう指示する(S210)。
次に、計測部300(図2)は、特定のパターンで充放電している蓄電池200の蓄電池物理量を計測する(S220)。計測部300は、計測された蓄電池物理量を計測時刻とともに逐次Zseq推定部400(図2)へ出力する。
逐次Zseq推定部400内の経年Z0推定部410(図3、図4)は、蓄電池物理量と計測時刻とを受け取ると、記憶部411(図4)により、その蓄電池物理量と計測時刻とを時系列で記憶する。経年Z0推定部410は、蓄電池物理量を時系列で記憶部411(図4)に記憶させることでデータログを生成(更新)する(S230)。
次に、充放電指令部100(図2)が、通常運用の割り込みを許可すると(S240)、蓄次Zseq推定部400による逐次Zseqの演算(S320)と、状態量推定部500による蓄電池状態量の推定(S330)とが適宜実行される。なお、S320やS330については、図9を用いて後述する。
以後、データログが所定のデータログ幅(所定のデータログ長)に到達したと最適化部412(図4)が判断するまで、充放電指令部100(図2)による特定パターンの充放電指示(S210)から通常運用の割り込み許可(S240)までの処理が繰り返される。
なお、S240の割り込み許可はS300の割り込み許可と同じ処理であり、その手順については後ほど詳細に説明する。
データログが所定のデータログ幅(所定のデータログ長)に到達したら(S250でYes)、次に最適化部412(図4)は最適化手法を用いて経年Z0を推定する(S260)。
Z最適化(経年Z0の推定)の次は、係数更新部420により逐次Zseq演算関数(補正関数)に含まれる係数パラメータを更新する(S270)。この係数パラメータとは、後述する数24〜27で示す逐次補正関数に含まれる係数値のことである。補正方法は複数ある。具体的な補正方法については、実施例で示す。
最適化の手法は複数ある。第一の最適化手法例として、蓄電池の電気等価回路モデルにおける内部インピーダンスZを最適推定する(S260)手法がある。
ここで、図7の経年Z0最適化のフローチャートを参照しながら最適化の手順を説明する。
まず、最適化部412は、Z探索の初期値を設定する(S261)。このZ探索初期値としては、例えば、出荷時における内部インピーダンスZを用いてもよい。また、例えば、前回のZ最適化時の結果(前回の経年Z0)を、Z探索初期値として用いてもよい。
次に、最適化部412は、Z探索初期値を入力として目的関数値を演算する(S262)。この目的関数の具体例は、実施例で示す。
次に、最適化部412は、充放電指定部100に通常運用の割り込みを許可させる(S263)。この割り込み処理の内容は、S263と同じである。なお、図2では、最適化部412と充放電指定部100との接続線を省略している。
次に、最適化部412は、目的関数値の演算(S262)結果が、最適化の収束条件に適合しているか否かを判定する(S264)。ここで、最適化の収束条件に適合している場合(S264でYes)、最適化部412は、その内部インピーダンスZが最適値であると判断し、その内部インピーダンスZを経年Z0として設定する。ここで、最適化部412は、その更新された経年Z0に基づいてSOHを決定する。
一方、最適化の収束条件に適合していない場合(S264でNo)、最適化部412は、Z探索値を更新し、再度、目的関数値を演算する。
最適化部412は、Z探索値を、既存の最適化手法(例えば、準ニュートンラプソン法やシンプレックス法)を用いて更新する(S265)。
以後、最適化の収束条件が適合するまで、S262〜S265の処理を繰り返す。
最適化部412が経年Z0からSOHを得る手法としては、例えば、以下の手法を用いる。最適化部412は、同種蓄電池を用いて事前に測定された経年Z0とSOHとの関係を示す劣化特性に対応したデータ(経年Z0とSOHとの相関関係を示したZ0−SOHデータテーブル)を用いて、経年Z0に応じたSOHを推定する。
図8は、Z0−SOHデータテーブルにて示される経年Z0とSOHとの関係を示した図である。
次に、通常運用の割り込み許可(S300)について説明する。
図9は、通常運用の割り込み許可の一例を説明するためのフローチャートである。
まず、前回の通常運用時から設定時間以上経過していない場合(S310でNo)、充放電指令部100は、通常運用を終了する。
一方、前回の通常運用時から設定時間以上経過している場合(S310でYes)、逐次Zseq演算部440は逐次Zseq演算(S320)を実行し、続いて、この逐次Zseqを用いて状態量推定部500が蓄電池状態量推定(S330)を実行する。
逐次Zseqは、以下の数1で示す関数(逐次Zseq演算関数)を用いて算出される。数1中のθは、蓄電池物理量を要素とするベクトルである。
Figure 2016147722
蓄電池状態量の推定は、例えば、カルマンフィルタを用いて行う。具体的な推定手順については、実施例で示す。
以上の手順を繰り返すことで、本実施形態は機能する。
[効果の説明]
次に、第2実施形態の効果について説明する。
本実施形態では、特定条件が満たされている場合にのみ、経年劣化に起因した蓄電池内部インピーダンス(経年Z0)を推定することで、繰り返し使用により生じる内部インピーダンスの経年的な変化推移を精度よく得ることができる。
さらに、その特定条件下で内部インピーダンスを推定する際に得られる中間変数を蓄電池状態の最適指標値に用いて、内部インピーダンスの逐次推定に用いる関数の係数パラメータを学習補正する。これにより、逐次Zseqの補正関数が経年劣化の進行度合いに合わせて補正される(図10参照)。
以上の機能を組み合わせると、蓄電池の経年劣化を正確に反映した蓄電池の状態量をリアルタイムに推定できる。
また、本実施形態によれば、逐次Zseq推定部400が、物理量の計測結果に基づいて経年Z0を推定し、経年Z0に応じた係数と物理量の計測結果とに基づいて環境ΔZを推定する。そのため、環境ΔZに経年Z0が反映される。よって、環境ΔZを経年Z0の変化に応じて更新することが可能になる。
そして、逐次Zseq推定部400は、環境ΔZと経年Z0とに基づいて逐次Zseqを推定する。状態量推定部500は、逐次Zseqと物理量の計測結果とに基づいて蓄電池200の状態量を推定する。
よって、蓄電池200の状態量の推定時に、経年Z0が反映された環境ΔZを用いることができるため、蓄電池200の状態量を精度よく推定することが可能になる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態については、第2実施形態と比較して異なっている点のみを記す。
[構成の説明]
第3実施形態の構成について説明する。
第3実施形態の基本的な構成は第1実施形態と同様である。第1実施形態との違いは、経年Z0推定部が複数の運用環境条件パターンに対応してZ0−SOHデータテーブルを有する点にある。
[動作の説明]
最適化部412は、図5のS100において経年劣化の更新タイミングであるか否かを判定する際、予め登録された特定の運用環境条件に適合するか否かを判定する。
この特定の運用条件とは、例えば、温度や充放電パターンの組み合わせを指す。例えば、図11に示すように、温度と充放電パターンに対して複数のZ0−SOHデータテーブルを用意しておく。適合する特定の運用環境条件があれば、該当するZ0−SOHデータテーブルを用いて次のステップへ進む。
他の動作は第2実施形態と同様である。
[効果の説明]
次に、第3実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、特定の運用環境条件が複数になることで、多様な運用パターンに対応できる。したがって、例えば、四季の変化と様々な運用モードに合わせた適切なZ0−SOHデータテーブルを用いてSOHを推定できる。
[実施例]
次に、本発明の第2、第3実施形態の実施例について説明する。
ここでは、家庭用蓄電システムを対象とした本実施例の適用例を示す。なお、本家庭用蓄電システムに内蔵されている蓄電池は、リチウムイオン二次電池であるものとする。
具体的な適用例を示す前に、ここで対象としている家庭用蓄電システムの使用環境および稼働スケジュールの一例を示す。
本家庭用蓄電システムは、一戸建て家庭で使用することを想定している。
初期蓄電容量は、10kWhとする。
本家庭用蓄電システムの用途は主に需給調整用であり、平常時の充放電に決まったパターンはない。
夜間に満充電を行う仕様である。一般家庭における平均的な電力使用を繰り返せば、約10年でSOHは半減する。
本家庭用蓄電システムは、四季を有する地域に設置される。したがって、一年を通じて大きな寒暖差がある。
次に、以上の仕様を想定した家庭用蓄電システムにおける本実施例の適用例を示す。以降の文中における括弧内の符号は、その符号に対応するフローチャートにおける処理番号と文中の説明内容とが対応していることを示している。なお、説明の順番は、運用処理順と必ずしも一致はしない。また、本家庭用蓄電システムを、単に「蓄電システム」と称す。
図12は、本実施例が適用される蓄電システムの構成を示した図である。
本実施例における蓄電システムは、負荷10と、充放電指令部100と、蓄電池200と、電圧センサ210と、電流センサ220と、温度センサ230と、を含む。電圧センサ210と電流センサ220と温度センサ230は、図2に示した計測部300として機能する。
まず、出荷時に取得すべき蓄電池の特性テーブルおよび初期設定すべき初期変数について説明する。
特性テーブルとしては、SOC−VOCデータテーブル(図13参照)およびZ0−SOHデータテーブル(図3参照)を用いる。SOC−VOCデータテーブルは、SOCとVOC(開放電圧)との相関関係を示す。SOC−VOCデータテーブルとZ0−SOHデータテーブルとは、記憶部411で記憶される。
次に、蓄電池状態値の推定手順を示す。
本実施例では、状態量推定部500は、カルマンフィルタを用いてSOCを推定する(S330)。SOCは、蓄電池状態量の一例である。
蓄電池の近似モデル(電気等価回路モデル)であるR−RC回路は、数2で示す状態方程式によって定義される。
ここで、Rは図14に示したR−RC回路モデルにおけるモデルパラメータRの値を示し、Rctは図14に示したR−RC回路モデルにおけるモデルパラメータRctの値を示し、Cdlは図14に示したR−RC回路モデルにおけるモデルパラメータCdlの値を示している。また、Vccは閉電圧(閉回路電圧)を示し、Vocは開電圧(開放電圧)を示している。
Figure 2016147722
数2を内部状態量も含めた離散状態方程式にすると、数3のように表すことができる。
SOCは、満充電時の充電容量を基準とした充電容量を示しており、百分率[%]で定義される。
Fullcapは、蓄電池出荷時における満充電時の電流積算容量を示している。Fullcapは電流積分で定義される。したがって、Fullcapの単位は[A・sec]となる。
SOHは、蓄電池出荷時の満充電容量を基準とした現満充電容量を百分率[%]で表した劣化指標値である。
RCは、R−RC回路モデル(図14参照)におけるRC並列間にかかる電圧を示している。
数4は、R−RC回路モデルの出力方程式を示している。
また、以降の(k)は、電圧センサ210と電流センサ220と温度センサ230にて離散的に計測されるデータを時系列に並べたときの識別番号に対応する。
Δt(k)は、識別番号k番のデータ計測時刻t(k)と識別番号k+1番のデータ計測時刻t(k+1)の差分を示している。
1(k)およびw2(k)はシステムノイズを示し、v(k)は観測ノイズを示している。これらのノイズは、平均値0の白色ガウスノイズと仮定できる。
OC(SOC)は、SOCを変数とした蓄電池端子間の開放電圧VOCを示す関数である。VOC(SOC)は、通常、非線形関数であり、蓄電池の特性試験結果から作図される図13のようなマッピングテーブルを用いて定義できる。
添え字は、添え字が付与された状態量が直接観測可能であることを示している。添え字が付与された状態量は、計測部300(電圧センサ210と電流センサ220と温度センサ230)で計測される。
Figure 2016147722
Figure 2016147722
状態量推定部500は、この蓄電池モデルであるR−RC回路モデルの状態方程式に拡張カルマンフィルタを適用することで、内部状態量SOCの挙動を推定する。
拡張カルマンフィルタを用いるには、数4で示した非線形状態方程式を線形化する必要がある。数4を線形化した状態方程式が数5である。ここで、記号上部の^は、推定された状態量であることを示している。なお、^が上部に付された記号と、^が右側上部に付された記号とは同じ意味を示す。また、(k|k−1)は、識別番号k−1番までの観測データおよび推定された状態量を用いて推定される識別番号kにおける状態量の予測推定値である。
Figure 2016147722
状態量推定部500は、上記数3および数5によって定義される状態方程式に拡張カルマンフィルタを適用する。
以後、式の記述を簡単にするため、内部状態量SOC(k)およびVRC(k)を数6で示すように状態量ベクトルx(k)と定義する。
Figure 2016147722
次に、拡張カルマンフィルタが動作する手順を示す。
まず、状態量推定部500は、数7で示す式を用いて、一段予測誤差x(k|k−1)−x^(k|k−1)の共分散行列を求める。
記号右上の添え字Tは転置行列であることを示す。
Figure 2016147722
ここで、各記号は、数8で示す値である。E[・]は平均を示す式である。ここで、w(k)はシステムノイズである。本実施例では、w(k)は、入力として与えられる電流値と実際に流れる電流との差を表す、平均値0の白色ガウスノイズと仮定できる。
Figure 2016147722
(k−1|k−1)は、推定状態量ベクトルx^(k)の推定誤差に対する共分散である。初期値には、次に示す数9を用いる。数9において、Iは単位行列とする。αは、0以上1未満の任意のスカラー値とする。
Figure 2016147722
以降、P(k−1|k−1)として後に示す数12を利用する。
次に、カルマンゲインを算出する。
状態量推定部500は、カルマンゲインK(k)を、数10を用いて算出する。
Figure 2016147722
ここで、C(k)は次に示す数11とする。
Figure 2016147722
次に、状態量推定部500は、数12を用いてP(k−1|k−1)を算出する。
Figure 2016147722
次に、状態量推定部500は、数13および数14で示すように、計測したVCC(k)から推定V^CC(k)を減算した確率変数e(k)を算出する。
Figure 2016147722
Figure 2016147722
状態量推定部500は、カルマンゲインK(k)と確率変数e(k)を用いて、識別番号k番における推定状態量x^(k|k)を数15で示す式を用いて算出する。
Figure 2016147722
以上、推定状態量ベクトルx^(k)の推定誤差に対する共分散を求めることから始まり、識別番号k番における推定状態量x^(k|k)を算出するまでの処理を繰り返すことで、状態量推定部500は、蓄電池200の内部状態量SOC(k)およびVRC(k)を推定できる。
次に、経年Z0の更新手順(S200)を示す。
経年Z0推定部410は、経年Z0の更新(経年劣化の更新)を夜間充電時に行う。
このとき、経年Z0推定部410は、次の2つの条件を満たす場合に、経年Z0の更新を実施する。
「条件1」:温度(温度センサ230が測定した温度)が数16で示す規定範囲内にある。数16において、Tmeaは測定温度[℃]を示し、Tlowは設定下限温度[℃]を示し、Thighは設定上限温度[℃]を示す。
Figure 2016147722
「条件2」:SOC推定値が数17で示す規定範囲内にある。数17において、SOC^はSOC推定値[%]を示し、SOClowは設定下限SOC[%]を示し、SOChighは設定上限SOC[%]を示す。
Figure 2016147722
以上の条件を満たす場合(S100)、まず、最適化部412は、充放電指令部100を用いて、蓄電池200に図15で示すパルス充電電流(特定パターン)が流れるよう指示する(S210)。
このパルス充電電流が流れている時の電圧、電流および温度を、電圧センサ210と電流センサ220と温度センサ230が計測し(S220)、記憶部411が、その計測結果を計測時刻とともにデータログとして記憶する(S230)。
次に、Z最適化を用いて経年Z0を求める手順(S260)を示す。
まず、最適化部412は、Z探索の初期値を設定する(S261)。このZ探索初期値としては、上述したように、例えば、出荷時におけるZを用いてもよい。また、例えば、前回のZ最適化時の結果を、Z探索初期値として用いてもよい。
続いて、最適化部412は、数18で示す多目的関数Fの値が最小となるZを経年Z0とする。
ここで、−が上部に付された記号と、−が右側上部に付された記号は同じ意味を示す。
数18におけるrは目的関数の数であり、fは目的関数であり、f は目的関数水準値(モデルパラメータが最適値に至った際の目的関数値の目安値)であり、wはそれぞれの目的関数に対する重みである。
Figure 2016147722
最適化部412は、各目的関数に対する重みとなるwを、数19で示すように定める。
Figure 2016147722
本実施例では、最適化部412は、4つの目的関数を組み合わせた多目的関数を用いる。
最適化部412は、第一の目的関数を数20で示すように定める。V[・]は分散を示す式である。第一の目的関数は、推定V^CC(k)の分散値を表す。
Figure 2016147722
最適化部412は、目的関数の変数となる状態量として、データログ区間における識別番号k以降に対応するデータのみを用いる。
ここで、kは、モデルパラメータが最適値である状態で内部状態量推定を行った際に、内部状態量が収束するのに必要な収束長さである。
このkの適正値は二次電池の個体ごとに異なるため、二次電池の出荷前に実験的に求める必要がある。
これより、実験の手順を示す。
まず、データログ長の初期値N_largeを設定し、続いて収束長さ初期値ke_largeを設定する。このとき、N_largeはke_largeより大きくすることに注意する。これらN_largeおよびke_largeの初期値はできる限り大きな値に設定するとよい。
N_largeおよびke_large設定値の模式図を図16に示す。
これらの初期値のもとで本手法を用いれば、データログ区間におけるVCC推定値が収束する様子が確認できる。この収束長さがkの適正値となる。
もしデータログ区間内でVCC推定値の収束が完了しなければ、N_largeおよびke_large設定値をさらに大きくしたうえで、同様の実験を行う。
ここで、N_largeは、図6に示したS250の処理における「所定のデータログ幅(所定のデータログ長)」に対応する。
なお、最適部412は、記憶部411から供給されるデータログの長さが「N_large」に到達してから(S250でYes)、Z最適化を用いて経年Z0を求める。
最適化部412は、第二の目的関数を、数21で示すように定める。数21は、推定V^CC(k)平均値と計測VCC(k)平均値との差分絶対値を表している。
Figure 2016147722
最適化部412は、第三および第四の目的関数を、数22で示すように定める。Kはカルマンゲインの第一要素を表し、Kはカルマンゲインの第二要素を表す。
Figure 2016147722
以上、4つの目的関数を用いることでモデル化誤差を数値化した多目的関数ができる。この多目的関数は、大域的な解が存在する形状をしている。したがって、最適部412は、任意のZ初期値から最適化手法を用いて解(目的関数値)を得ることができる。最適化手法には、例えば、準ニュートンラプソンやシンプレックス法が適用できる(S262)。
次に、データログ内の最終推定結果(経年Z0)を基に逐次Zseq推定に用いる演算関数の係数パラメータを補正する手順(S270)を示す。
係数更新部420は、数23で示すように、データログを用いたZ最適化の過程で得られるSOC推定値(経年Z0に対応する情報)を係数パラメータ参照値として、逐次Zseq推定によって求まるSOC推定値と比較し、その差分に補正係数Kを掛けたものを、更新前の逐次Zseq推定用の演算関数の係数パラメータに加えることで、係数パラメータ(モデル係数)を更新する。
数23中のtlog_endは、データログにおける最終計測点の計測時刻である。k oldは更新前のモデル係数であり、k newは更新後のモデル係数である。SOC^logはデータログを用いた最終推定結果である。Kは定数である。
Figure 2016147722
これらのモデル係数は、環境ΔZ推定部430が環境ΔZ成分を算出する際に用いる。
次に、逐次Zseqの推定手順(S320)を示す。
逐次Zseq決定部440は、逐次Zseqを数24にしたがって算出する。
数24において、Z(T(t))は温度に依存した環境ΔZ成分を示し、ZSOC(SOC(t))はSOCに依存した環境ΔZ成分を示し、Z(I(t))は電流に依存した環境ΔZ成分を示す。
これらの環境ΔZ成分は、環境ΔZ推定部430によって算出される。
Figure 2016147722
環境ΔZの各成分の具体的な関数を、数25〜27で示す。
Figure 2016147722
Figure 2016147722
Figure 2016147722
以上の手順を繰り返すことで、家庭用蓄電システムにおいて、リアルタイムに蓄電池電気等価回路モデルの内部インピーダンス、SOHおよびSOCを推定できる。
最後に、本実施例に蓄電池充放電の実データを入力としたシミュレーション結果を図17に示す。本シミュレーションでは、内部インピーダンス成分であるRと、Rctと、Cdlが運用環境によって変化し、SOCが次第に収束する結果が得られた。なお、SOCの参照値(図17上では点線で表示)はクーロンカウンタによって求めた値を用いた。
上記各実施形態(実施例含む)において、推定装置1や蓄電池状態推定装置2は、コンピュータで実現してもよい。その場合、コンピュータは、コンピュータで読み取り可能なCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)のような記録媒体に記録されたプログラムを読込み実行することで、推定装置1、蓄電池状態推定装置2が備える機能を実現する。記録媒体は、CD−ROMに限らず適宜変更可能である。
以上説明した各実施形態(実施例含む)において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
また、本願発明について実施形態を参照して説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されものではない。本願発明の構成や詳細は本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更が可能である。
この出願は、2015年3月19日に出願された特願2015−056192号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載されうるが、以下の構成には限られない。
(付記1)
蓄電池の物理量の推移を計測する計測手段と、
前記推移の計測結果を基に前記蓄電池の基準内部インピーダンスを推定し、前記基準内部インピーダンスと前記計測結果とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスの変動成分を推定し、前記基準内部インピーダンスと前記変動成分とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスを推定する推定手段と、を含む推定装置。
(付記2)
付記1に記載の推定装置において、
前記蓄電池に充放電の指示を出力する指令手段を含み、
前記計測手段は、前記指示に従って充放電を実行している前記蓄電池の物理量の推移を計測する、推定装置。
(付記3)
付記1または2に記載の推定装置において、
前記蓄電池の内部インピーダンスと前記物理量の計測結果とを基に前記蓄電池の状態量を推定する状態量推定手段を含む推定装置。
(付記4)
付記1から3のいずれか1項に記載の推定装置において、
前記推定手段は、最適化手法を用いて前記基準内部インピーダンスを推定することを特徴とする推定装置。
(付記5)
付記1から4のいずれか1項に記載の推定装置において、
前記変動成分は、前記蓄電池の運用環境に依存して変動する変動成分であることを特徴とする推定装置。
(付記6)
付記2に記載の推定装置において、
前記指令手段は、前記蓄電池の温度が所定温度範囲内にありかつ前記蓄電池の残存容量が所定残存容量範囲内にある場合に前記指示を出力することを特徴とする推定装置。
(付記7)
付記2または6に記載の推定装置において、
前記指示は、パルス波を用いる充放電の指示であることを特徴とする推定装置。
(付記8)
付記1から7のいずれか1項に記載の推定装置において、
前記物理量は、前記蓄電池の電圧、電流および温度の少なくとも1つであることを特徴とする推定装置。
(付記9)
付記1から8のいずれか1項に記載の推定装置において、
前記推定手段は、前記変動成分を関数を用いて推定することを特徴とする推定装置。
(付記10)
付記3に記載の推定装置において、
前記状態量定手段は、カルマンフィルタであることを特徴とする推定装置。
(付記11)
付記3または10に記載の推定装置において、
前記推定手段および前記状態量推定手段は、前記蓄電池の化学的挙動をモデル化した電気等価回路モデルを用いて前記推定を実行する、推定装置。
(付記12)
付記11に記載の推定装置において、
前記電気等価回路モデルは、コンデンサと固定抵抗の並列回路と、固定抵抗とが直列に接続された等価回路モデルであることを特徴とする推定装置。
(付記13)
蓄電池の物理量の推移を計測し、
前記推移の計測結果を基に前記蓄電池の基準内部インピーダンスを推定し、前記基準内部インピーダンスと前記計測結果とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスの変動成分を推定し、前記基準内部インピーダンスと前記変動成分とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスを推定する、推定方法。
(付記14)
コンピュータに、
蓄電池の物理量の推移を計測する計測手順と、
前記推移の計測結果を基に前記蓄電池の基準内部インピーダンスを推定し、前記基準内部インピーダンスと前記計測結果とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスの変動成分を推定し、前記基準内部インピーダンスと前記変動成分とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスを推定する推定手順と、を実行させるためのプログラム。
1 推定装置
1a 計測部
1b 推定部
10 負荷
100 充放電指令部
200 蓄電池
210 電圧センサ
220 電流センサ
230 温度センサ
300 計測部
400 逐次Zseq推定部
410 経年Z0推定部
411 記憶部
412 最適化部
420 係数更新部
430 環境ΔZ推定部
440 逐次Zseq決定部
500 状態量推定部

Claims (10)

  1. 蓄電池の物理量の推移を計測する計測手段と、
    前記推移の計測結果を基に前記蓄電池の基準内部インピーダンスを推定し、前記基準内部インピーダンスと前記計測結果とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスの変動成分を推定し、前記基準内部インピーダンスと前記変動成分とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスを推定する推定手段と、を含む推定装置。
  2. 請求項1に記載の推定装置において、
    前記蓄電池に充放電の指示を出力する指令手段を含み、
    前記計測手段は、前記指示に従って充放電を実行している前記蓄電池の物理量の推移を計測する、推定装置。
  3. 請求項1または2に記載の推定装置において、
    前記蓄電池の内部インピーダンスと前記物理量の計測結果とを基に前記蓄電池の状態量を推定する状態量推定手段を含む推定装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の推定装置において、
    前記推定手段は、最適化手法を用いて前記基準内部インピーダンスを推定することを特徴とする推定装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の推定装置において、
    前記変動成分は、前記蓄電池の運用環境に依存して変動する変動成分であることを特徴とする推定装置。
  6. 請求項2に記載の推定装置において、
    前記指令手段は、前記蓄電池の温度が所定温度範囲内にありかつ前記蓄電池の残存容量が所定残存容量範囲内にある場合に前記指示を出力することを特徴とする推定装置。
  7. 請求項2または6に記載の推定装置において、
    前記指示は、パルス波を用いる充放電の指示であることを特徴とする推定装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の推定装置において、
    前記物理量は、前記蓄電池の電圧、電流および温度の少なくとも1つであることを特徴とする推定装置。
  9. 蓄電池の物理量の推移を計測し、
    前記推移の計測結果を基に前記蓄電池の基準内部インピーダンスを推定し、前記基準内部インピーダンスと前記計測結果とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスの変動成分を推定し、前記基準内部インピーダンスと前記変動成分とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスを推定する、推定方法。
  10. コンピュータに、
    蓄電池の物理量の推移を計測する計測手順と、
    前記推移の計測結果を基に前記蓄電池の基準内部インピーダンスを推定し、前記基準内部インピーダンスと前記計測結果とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスの変動成分を推定し、前記基準内部インピーダンスと前記変動成分とを基に前記蓄電池の内部インピーダンスを推定する推定手順と、を実行させるためのプログラム。
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