[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。以下の説明において、「第1」および「第2」との用語は、複数の同一または類似の要素を区別するために用いられるものであり、それらの要素の順序を規定するものではない。
(1)本発明の一態様に係る光信号中継装置は、時間的に分離されて送られた、複数の光バースト信号を受信して、複数の光バースト信号にそれぞれ対応する複数の電気信号を生成する光受信器と、各々が、複数の電気信号のうちの対応する伝送レートの電気信号を受けて、データを再生する、複数の再生回路と、複数の再生回路からそれぞれ出力された複数のデータを時分割多重する時分割多重化部と、発光素子を含み、時分割多重された複数のデータに対応した光信号を生成して出力する光送信器とを備える。光送信器から出力された対応した光信号において、複数のデータに対応する信号のレベルが等しくなるように、複数の光バースト信号から対応した光信号を生成する。
上記の構成によれば、強度の異なり得る複数の光信号を、強度を揃えた状態で中継することができる。光バースト信号は、たとえば伝送距離や分岐数の違いにより、ONUごとに強度あるいは位相が異なりうる状態で光信号中継装置に届く。小さな強度の光信号を、そのまま中継した場合、OLTにおいて光信号の強度がさらに小さくなり得る。したがって、OLTにおいては、複数の光信号の間での強度の違いが顕著になり得る。光信号中継装置において複数の光信号のレベルを等しくすることによって、それらの光信号が伝送する間に生じうる強度の差を小さくすることができる。
(2)好ましくは、光信号中継装置は、複数の光バースト信号の伝送レートを利用してアイドルパターンを生成して、複数のデータの間にアイドルパターンを挿入するアイドルパターン発生部をさらに備える。
上記の構成によれば、発光素子(典型的にはレーザダイオード)が連続駆動されるため、発光素子の温度を安定させることができる。発光素子の温度が安定することにより、発光素子の発光波長を安定させることができる。
複数の光バースト信号の伝送レートは、同一でもよく、異なっていてもよい。さらに、複数の光バースト信号の伝送レートが異なる場合、それらの伝送レートは、必ずしも逓倍の関係になくてもよい。
(3)好ましくは、アイドルパターン発生部は、挿入されるべきアイドルパターンの前のデータの伝送レートに基づいて、アイドルパターンを生成する。
上記の構成によれば、アイドルパターンの生成を容易にすることができる。
(4)好ましくは、アイドルパターン発生部は、局側装置からの指示に基づいて、アイドルパターンを生成する。
上記の構成によれば、光信号中継装置において、データ信号の開始および終了を管理しなくとも、OLTからの指示に従って、アイドルパターンを生成するとともに、信号の発生しない区間にアイドルパターンを挿入することができる。
(5)好ましくは、アイドルパターン発生部は、アイドルパターンを生成するためのクロック周波数を固定する。
上記の構成によれば、アイドルパターンを生成するための構成が複雑になることが抑えられる。
(6)好ましくは、アイドルパターン発生部は、複数のバースト光信号のうち最も短いプリアンブルを有する光バースト信号の伝送レートに基づいて、アイドルパターンを生成する。
上記の構成によれば、たとえば、局側装置の受信器がプリアンブルに対応したクロック周波数をトレーニングするための時間として、アイドルパターンの区間を利用することができる。プリアンブルでは、受信信号を再生して、クロックをデータ信号の各ビットに同期させるための処理が実行される。プリアンブルが短いほど、同期処理を実行できる時間は短い。最も短いプリアンブルを有する光バースト信号の伝送レートに基づくアイドルパターンを用いてクロック周波数を予めトレーニングすることによって、短いプリアンブルであっても、同期処理のための時間に対する余裕を作ることができる。
(7)好ましくは、複数の光バースト信号は、IEEE802.3標準に準拠するGE−PONの光バースト信号と、IEEE802.3標準に準拠する10G−EPONの光バースト信号とを含む。アイドルパターン発生部は、10G−EPONの上り光バースト信号の伝送レートに基づいて、アイドルパターンを生成する。上り光バースト信号は、同期パターンと、バーストデリミタパターンとを含む。アイドルパターンは、固定長のビットパターンの繰り返しパターンであり、繰り返しパターンのうちの任意の連続する66ビット区間は、同期パターンおよびバーストデリミタパターンの両方から、15以上のハミング距離で離れたビットパターンである。
上記の構成によれば、たとえば局側装置による10G信号の受信処理において、光信号中継装置で挿入されたアイドルパターンに対して、パターン同期が誤って行なわれることを防ぐことができる。
(8)好ましくは、光信号中継装置は、複数の光バースト信号の伝送レートを判定するためのレート判定部をさらに備える。
上記構成によれば、伝送レートに応じたアイドルパターンを生成することが可能になる。
(9)好ましくは、複数の再生回路のうちの少なくとも1つは、時分割多重化部の前に、光バースト信号の1波長以下の距離で配置されたクロック・データ再生部を含む。
上記構成によれば、光信号中継装置から正確な波形を有する光信号を出力することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
図1は、本発明の一実施形態に係る光通信システム1の構成例を示す概略図である。図1を参照して、光通信システム1は、局側装置2と、複数の宅側装置3a,3b,3c,...と、幹線光ファイバ4aと、複数の支線光ファイバ4bと、光カプラ5と、光信号中継装置7とを備える。局側装置を以下「OLT」と称し、宅側装置を以下「ONU」と称する。ONU3a,3b,3cの各々は、加入者宅に設置される。幹線光ファイバ4aは、OLT2に接続される。各々の支線光ファイバ4bは、対応するONUに接続される。光カプラ5は、幹線光ファイバ4aと、複数の支線光ファイバ4bとを接続する。光信号中継装置7は、幹線光ファイバ4aの途中に設けられる。
IEEE802.3標準は、PONの規格として、GE(Gigabit Ethernet(登録商標)))−PONと、10G−EPON(Ethernet PON)とを定める。GE−PONと10G−EPONとの違いの1つは、データの伝送レートである。GE−PONの通信速度(伝送レート)は、1.25Gbps(bit per second)である。10G−EPONの伝送レートは、10.3125Gbpsである。光通信システム1は、GE−PONと、10G−EPONとを含むシステムを構築する。伝送レートが1.25Gbpsの信号を以下「1G信号」とも称する。これに対して、伝送レートが10.3125Gbpsの信号を以下「10G信号」とも称する。
OLT2は、GE−PONの上り信号および10G−EPONの上り信号の両方を受信可能である。つまり、OLT2は、異なる複数のレートで送られたデータを受信可能に構成される。さらに、OLT2は、GE−PONの下り信号および10G−EPONの下り信号の両方を送信可能である。
各ONU3a,3b,3cは、加入者が光ネットワークサービスを享受するための装置である。各ONUは上り信号を送信する。上り信号の通信速度は、1.25Gbpsおよび10.3125Gbpsのいずれかである。各ONUは下り信号を受信する。下り信号の通信速度は、1.25Gbpsおよび10.3125Gbpsのいずれかである。図1に示されるように、各ONUの上り信号の通信速度および下り信号の通信速度は、4種類の組合せのうちのいずれか1つである。
光カプラ5は、幹線光ファイバ4aおよび複数の支線光ファイバ4bに接続される。光カプラ5は、幹線光ファイバ4aを通じて送られた光信号を、複数の支線光ファイバ4bに分配する。一方、光カプラ5は、複数の支線光ファイバ4bから送られた光信号を多重化して幹線光ファイバ4aに送出する。光カプラ5は、たとえば光スターカプラを含むことができる。
OLT2と各ONU3a,3b,3cとは、可変長のフレームを単位として相互に通信する。
各ONUによる上り信号の送信について説明する。各加入者宅の端末装置は、データを送信する。そのデータはONUによって、光バースト信号に変換される。光バースト信号はビットによって構成される。そのONUの送信レートがGE−PONに準じている場合、ビットの伝送レートは1.25Gbpsである。一方、そのONUの送信レートが10G−EPONに準じる場合、ビットの転送レートは10.3125Gbpsである。
ONU3aは、光バースト信号6aを送信する。ONU3bは光バースト信号6bを送信する。ONU3cは光バースト信号6cを送信する。光バースト信号6a,6bの伝送レートは、ともに1.25Gbpsである。光バースト信号6cの伝送レートは、10.3125Gbpsである。
光カプラ5は、光バースト信号6a,6b,6cを多重化して幹線光ファイバ4aに光信号を出力する。光カプラ5からの光信号は、光信号中継装置7を通じて、OLT2に送られる。
OLT2が各ONU3a,3b,3cに対して、制御フレームを送信する。この制御フレームは、各ONU3a,3b,3cに対して、上り光信号を送信するための時間ウィンドウを割り当てる。したがって、光バースト信号6a〜6cは、時間軸上で互いに衝突しない。OLT2は、各ONU3a,3b,3cに対して時間ウィンドウを割り当てることによって、受信すべき光バースト信号の伝送レートおよび受信タイミングを把握する。
光信号中継装置7は、光信号を中継する装置である。光信号中継装置7は、光信号の伝送される距離、すなわちOLTとONUとの間の距離を延ばすことを可能にする。
光信号中継装置7は、光信号を受けると、その光信号を電気信号に変換する。光信号中継装置7は、その電気信号に対して各種の処理を施す。次に、光信号中継装置7は、その電気信号を光信号に変換して、その光信号を送出する。
光信号中継装置7は、光信号を受けて、その信号の波形を整形する。さらに、光信号中継装置7は、出力される複数の光信号の強度を等しくする。光バースト信号6′a,6′b,6′cの強度は実質的に互いに等しい。光信号中継装置7は、複数のデータに対応する信号のレベルが等しくなるように、複数の光バースト信号から、出力される光信号を生成する。これにより、強度の異なり得る複数の光信号を、強度を揃えた状態で中継することができる。
さらに、光信号中継装置7は、光バースト信号6′a,6′b,6′cの間にアイドルパターンIDLEを挿入する。したがって光信号中継装置7からは連続的な光信号が出力される。
図2は、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置7の内部の構成例を示したブロック図である。図2を参照して、受信信号処理装置70は光信号中継装置7に実装される。受信信号処理装置70は、ONUから送信された光バースト信号を受ける。
受信信号処理装置70は、光カプラ71と、遅延ファイバ74と、1G/10G受信器75と、レート判定/信号検出部72と、レート/タイミング制御部73と、1Gクロック・データ再生部76aと、10Gクロック・データ再生部76bと、1G同期部77aと、10G同期部77bと、1G/10G切替部78と、1G/10G送信器79とを備える。光カプラ71は、光バースト信号を「モニタ光」と「信号光」とに分岐する。1G/10G受信器75は、信号光を受信する。
レート判定/信号検出部72は、モニタ光を受ける。レート判定/信号検出部72は、そのモニタ光の信号パターンを検出する。レート判定/信号検出部72は、信号パターンの検出結果に基づいて、モニタ光の伝送レートが比較的低速の伝送レートか否かを判定する。この実施の形態では、低速の伝送レートとは、1.25Gbpsである。
レート/タイミング制御部73は、切替信号を1G/10G受信器75に供給する。切替信号は、1G/10G受信器75の中のプリアンプの利得及び帯域幅を切替えるための信号である。レート/タイミング制御部73は、レート判定/信号検出部72による判定の結果に基づいて、切替信号を生成する。
図3は、図2に示されたレート判定/信号検出部72の構成の一例を示すブロック図である。図3に示されるように、レート判定/信号検出部72は、光電変換素子APDと、プリアンプ31と、ポストアンプ32と、1Gクロック・データ再生部33と、パターン判定部(8B/10B)34と、強度モニタ回路36と、比較器37とを備える。光電変換素子APDはモニタ光を受けて、そのモニタ光を電気信号に変換する。プリアンプ31は、光電変換素子APDから出力された電気信号を増幅する。ポストアンプ32は、プリアンプ31から出力された電気信号を増幅する。ポストアンプ32は、0または1の値を有する2値信号を出力する。
強度モニタ回路36は、入力信号の強度をモニタして、その強度を示す信号を出力する。強度モニタ回路は、ピーク検出回路あるいは平均値回路などの公知の回路によって実現可能である。
比較器37は、強度モニタ回路36によって検出された強度を閾値と比較して、その比較結果を示す信号を出力する。比較器37から出力された信号を、「信号有無検出信号」と呼ぶ。
バースト信号が強度モニタ回路36に入力された場合、強度モニタ回路36によって検出された強度は閾値を上回る。比較器37は、信号有無検出信号を発生させる。信号有無検出信号が生じることによってバースト信号を検出できる。バースト信号の伝送レートが1.25Gbpsおよび10.3125Gbpsのいずれであっても、バースト信号が存在すると判定することができる。一方、信号有無検出信号が存在しない期間は、バースト信号が存在しないと判定することができる。
プリアンプ31とポストアンプ32との増幅帯域幅は、1G信号の帯域幅に適合されている。一方、10G信号が光電変換素子APDにも入力される。10G−EPONでは、低周波成分を含む同期パターンが10G信号のプリアンブル部に含まれている。レート判定/信号検出部72は、1G信号の検出と同様に、10G信号の有無を検出できる。
1Gクロック・データ再生部33は、クロック信号を、ポストアンプ32から出力された電気信号から抽出する。1Gクロック・データ再生部33は、そのクロック信号によって、データ信号をサンプリングする。サンプリングされたデータ信号は、パターン判定部(8B/10B)34に入力される。
パターン判定部(8B/10B)34は、1G信号のビットに基づいて8B/10Bパターンを判定する。パターン判定部(8B/10B)34は、その判定結果を示すレート判定信号を出力する。
1Gクロック・データ再生部33が受信した信号に同期し、かつパターン判定部(8B/10B)34が8B/10Bパターンを検出する。この場合、パターン判定部(8B/10B)34は、レート判定信号を出力する。レート判定/信号検出部72が1G信号を受信する間、パターン判定部(8B/10B)34はレート判定信号を出力する。
プリアンプ31に、1G信号に対応した帯域幅と利得とを持つプリアンプが適用される。これにより弱い光レベルを検出することができる。しかしプリアンプ31に、10G信号に対応した帯域幅と利得とを持つプリアンプを適用することもできる。
図2に戻り、レート/タイミング制御部73は、レート判定信号と信号有無検出信号との組み合わせにより、1G信号の受信および10G信号の受信を判定する。信号検出有無信号およびレート判定信号の両方が検出された場合、レート/タイミング制御部73は、受信信号処理装置70が1G信号を受信していると判定する。信号検出有無信号が検出されたものの、レート判定信号が検出されていない場合、レート/タイミング制御部73は、受信信号処理装置70が10G信号を受信していると判定する。信号検出有無信号およびレート判定信号の両方が検出されない期間は、レート/タイミング制御部73は、受信信号処理装置70が1G信号および10G信号のいずれも受信していないと判定する。
上記の判定結果に基づいて、レート/タイミング制御部73は、1G開始/終了信号と、10G開始/終了信号と、1G/10G切替信号とを出力する。1G開始/終了信号は、受信信号処理装置70が1G信号を受信し始めた時点と1G信号が終了した時点とを示す信号である。10G開始/終了信号は、受信信号処理装置70が10G信号を受信し始めた時点と10G信号が終了した時点とを示す信号である。1G/10G切替信号は、受信信号処理装置70が1G信号および10G信号のいずれを受信しているかを示すための信号である。
遅延ファイバ74は、信号光を遅延させる素子である。遅延時間は、たとえば、マイクロ秒のオーダーである。例えば、約200mの遅延ファイバで1μ秒の遅延時間となる。遅延時間は、レート判定/信号検出部72がモニタ光に基づいて1G信号または10G信号の判定をするための時間を確保するために設けられる。
図4は、図2に示された1G/10G受信器75の内部構成を示すブロック図である。図4を参照して、1G/10G受信器75は、光電変換素子APDと、プリアンプ41と、ポストアンプ42とを含む。光電変換素子APDは、信号光を電気信号に変換する。プリアンプ41は、光電変換素子APDから出力された電気信号を増幅する。プリアンプ41は、1G/10G切替信号に応じて、利得および帯域幅の各々を少なくとも2通りに切り換えることができるように構成される。1G/10G受信器75が1G信号を受信している場合には、プリアンプ41の帯域幅が狭くされるとともに利得が高くされる。1G/10G受信器75が10G信号を受信している場合には、プリアンプ41の帯域幅が広くされるとともに利得が低くされる。たとえば、プリアンプ41の帰還ループに入っている抵抗の値を切り替えることにより、帯域幅および利得を変更できる。
帰還抵抗R1,R2は互いに並列にプリアンプ41に接続される。FETは、帰還抵抗R2に直列に接続されたスイッチング素子である。FETのゲートは、1G/10G切替信号を受ける。1G/10G受信器75が1G信号を受信しているときには、FETはオフされる。帰還抵抗値は、帰還抵抗R1の抵抗値に等しい。一方、1G/10G受信器75が10G信号を受信しているときにはFETはオンされる。帰還抵抗値は、帰還抵抗R1と帰還抵抗R2との並列抵抗の値に等しい。
ポストアンプ42は、プリアンプ41から出力される電気信号を増幅して出力する。ポストアンプ42は、たとえば二段接続される。2つのポストアンプが、1段目のアンプの出力に並列に接続される。並列な2つのアンプのうちの一方の出力を、増幅された10G信号として用いることができる。並列な2つのアンプのうちの他方の出力を、増幅された1G信号として用いることができる。1G/10G受信器75の内部において、増幅された1G信号の強度と、増幅された10G信号の強度とが等しくされる。
再び図2に戻り、1Gクロック・データ再生部76aと、10Gクロック・データ再生部76bと、1G同期部77aと、10G同期部77bとは、複数の再生回路を構成する。1Gクロック・データ再生部76aと、1G同期部77aとが1Gデータを再生するための再生回路を構成する。10Gクロック・データ再生部76bと、1G同期部77bとが10Gデータを再生するための再生回路を構成する。
1Gクロック・データ再生部76aは、1G/10G受信器75から出力された電気信号(1Gデータ)を受ける。10Gクロック・データ再生部76bは、1G/10G受信器75から出力された電気信号(10Gデータ)を受ける。各クロック・データ再生部76a,76bは、入力された信号から、光バースト信号の各ビットに同期した再生クロックを抽出して、その再生クロックによって受信信号の各ビットをサンプリングする。これにより各クロック・データ再生部76a,76bは、シリアルデータをパラレル信号に変換する。IEEE系の10G−EPONシステムとGE−PONシステムとでは、伝送レートが互いに逓倍の関係にない。したがって、この実施の形態では、複数の伝送レートにそれぞれ対応したクロック・データ再生部(CDR回路)が設けられる。
1G同期部77aは、1Gの再生クロックと、1Gデータと、参照クロックとを受ける。10G同期部77bは、10Gの再生クロックと、10Gデータと、参照クロックとを受ける。参照クロックとは、光信号中継装置7の内部で作られるクロックであり、再生クロックの周波数と同一の周波数を有する。参照クロックは、発振器により生成されてもよく、OLT2からの下り信号を抽出して生成されてもよい。OLT2からの下り信号を抽出して参照クロックを生成することにより、上り信号と下り信号とを同期させることができる。後述するように、参照クロックは、また、アイドルパターン発生部81にも供給される。
1G同期部77aは、参照クロックに基づき1Gのデータを出力する。10G同期部77bは、参照クロックに基づき10Gのデータを出力する。1G同期部77aは、および10G同期部77bは、光バースト信号の受信開始時にクリアされる。これにより、再生クロックと参照クロックとの間で周波数がずれていても、そのずれの時間範囲が1バースト信号区間内に限定される。少ないバッファ容量でクロックのずれを吸収して、再生クロックから基準クロックに変換することができる。
上述の通り、1G/10G受信器75が、1Gデータ信号の強度と、10Gデータ信号の強度とを揃えることができる。しかしながら、1Gクロック・データ再生部76aおよび1Gクロック・データ再生部76bが、1Gデータ信号の強度と、10Gデータ信号の強度とを揃えてもよい。代わりに、1G同期部77aと10G同期部77bとが1Gデータ信号の強度と、10Gデータ信号の強度とを揃えてもよい。
アイドルパターン発生部81は、1と0が混合した状態で続くアイドルパターンを発生させることができる。アイドルパターンは、1と0とが交互に繰り返されるパターンであってもよい。アイドルパターンは、「1」がNビット続き、次に「0」がMビット続くパターンでもよい。N,Mは、任意の整数である。GE−PONの場合には、このアイドルパターンは、8B10Bのアイドル信号(固定パターン)であってもよい。
1G/10G切替部78は、1G/10G切替信号に基づいて、1G同期部77aの出力か、10G同期部77bの出力かのいずれかを選択する。1G/10G切替部78は、時分割多重により、1G同期部77aの出力と10G同期部77bの出力とを合成する。なお、1G/10G切替部78は、1G同期部77aの出力と10G同期部77bの出力とを時分割多重する際に、それぞれの出力(複数のレートのフレーム)が重ならないように、タイミングを調整する。したがって、1G/10G切替部78は、1G同期部77aから出力される1Gデータと10G同期部77bから出力される10Gデータとを時分割多重する時分割多重化部を実現できる。
1G同期部77aから出力される1Gデータと、10G同期部77bから出力される10Gデータとの両方が存在しない期間には、アイドルパターンが発生する。これにより連続信号が得られる。1G/10G送信器79は、1G/10G切替部78から出力された電気信号すなわち連続信号を光信号に変換する。1G/10G送信器79は、光信号を出力する。このために1G/10G送信器79は、レーザダイオード(LD)79aを発光素子として含む。
(第1の実施形態)
図5は、本発明の第1の実施の形態に従う、アイドルパターンIDLEの挿入のための構成を示した図である。図6は、本発明の第1の実施の形態に従う、アイドルパターンIDLEの挿入を説明するための図である。図5および図6を参照して、アイドルパターン発生部81は、1G開始/終了信号と、1G参照クロックと、10G開始/終了信号と、10G参照クロックとを受ける。
アイドルパターン発生部81は、1G参照クロックに基づいて、1G信号用のアイドルパターンを発生させる。1G信号用のアイドルパターンの発生は、1G開始/終了信号によって制御される。
アイドルパターン発生部81は、1G開始/終了信号に応じて1G信号の終了を検出する。次に、アイドルパターン発生部81は、1G参照クロックに基づいて、1G信号用のアイドルパターンを発生させる。
アイドルパターン発生部81は、1G開始/終了信号に応じて1G信号の開始を検出する。この場合には、アイドルパターン発生部81は、1G信号用のアイドルパターンの発生を停止する。
同じく、アイドルパターン発生部81は、10G参照クロックに基づいて、10G信号用のアイドルパターンを発生させる。10G信号用のアイドルパターンの発生は、10G開始/終了信号によって制御される。
アイドルパターン発生部81は、10G開始/終了信号に応じて10G信号の終了を検出する。次に、アイドルパターン発生部81は、10G参照クロックに基づいて、10G信号用のアイドルパターンを発生させる。
アイドルパターン発生部81は、10G開始/終了信号に応じて10G信号の開始を検出する。この場合には、アイドルパターン発生部81は、10G信号用のアイドルパターンの発生を停止する。10G信号用のアイドルパターンは、10Gバースト信号の発生しない区間に挿入される。アイドルパターン発生部81には、10G参照クロックも入力される。10G参照クロックに同期して、アイドルパターン発生部81は、10G信号が発生しない区間に10G用のアイドルパターンを挿入する。これにより、1G信号および10G信号の各々について、アイドルパターンの挿入による周波数変動、あるいは位相変動の発生を防ぐことができる。このように、レート判定/信号検出部72が判定した伝送レートに基づき、アイドルパターン発生部81は、伝送レートに応じたアイドルパターンを生成することができる。
1G同期部77aからの1G信号とアイドルパターン発生部81からのアイドルパターン(1G信号用)とが合成されて、合成された信号が10G/1G切替部78に入力される。同じく、10G同期部77bからの信号とアイドルパターン発生部81からのアイドルパターン(10G信号用)が合成されて、合成された信号が10G/1G切替部78に入力される。
図6に示された例によれば、時刻t1において、10G信号が終了する。10G信号用のアイドルパターンが発生する。時刻t2において、10G/1G切替部78は、10G/1G切替信号に応じて、1G信号を選択する。これにより、10G信号用のアイドルパターンの発生が終了する。さらに1G信号の発生が開始される。
時刻t3において、1G信号の発生が終了する。1G信号用のアイドルパターンの発生が開始される。時刻t4において、10G/1G切替部78は、10G/1G切替信号に応じて、10G信号を選択する。これにより、1G信号用のアイドルパターンが終了する。さらに10G信号の発生が開始される。
時刻t1から時刻t2までの期間におけるアイドルパターンIDLEは、10G用のアイドルパターンである。時刻t3から時刻t4までの期間におけるアイドルパターンIDLEは、1G用のアイドルパターンである。挿入されるべきアイドルパターンIDLEは、その直前のデータの伝送レートに基づいて生成される。これにより、アイドルパターンの生成を容易にすることができる。時刻t5,t6,t7における、10G/1G切替部78およびアイドルパターン発生部81の動作は、時刻t1,t2,t3のそれぞれにおける動作と同様である。
10G/1G送信器79からの送信信号は、1と0が混合した状態で続けられる。したがって光バースト信号が発生しない区間であっても、10G/1G送信器79内のレーザダイオード79aが発光する。レーザダイオード79aが連続的に駆動されるので、レーザダイオード79aの温度が安定する。したがって、レーザダイオード79aの発光波長を安定させることができる。
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施の形態に従う、アイドルパターンIDLEの挿入のための構成の一例を示した図である。図7を参照して、アイドルパターン発生部81は、OLT2からの指示に従って、アイドルパターンを1G用パターンと10G用パターンとの間で切替える。上述のように、OLT2はONUから上り光信号を送信するタイミングを把握している。したがって、OLT2は光信号中継装置7にONUの送信タイミングを伝えるための信号を送ることができる。
OLT2から送られた光信号は、たとえばWDMフィルタなどのフィルタ80によって受信器83に送られる。受信器83は、光信号を電気信号に変換する。タイミング制御部85は、受信器83からの電気信号に基づいて、切替信号を発生する。切替信号は、OLT2によって指示された、1G信号および10G信号の送信タイミングを反映する。アイドルパターン発生部81は、タイミング制御部85からの切替信号に応じて、1G用アイドルパターンと10G用アイドルパターンとを切替える。この構成によれば、光信号中継装置7において、データ信号の開始および終了を管理することは必須ではなくてもよい。光信号中継装置7は、OLT2からの指示に従って、アイドルパターンを生成するとともに、信号の発生しない区間にアイドルパターンを挿入することができる。さらに、OLT2に適したパターンを挿入することも可能である。
(第3の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施の形態に従う、アイドルパターンIDLEの挿入のための構成を示した図である。図8を参照して、アイドルパターン発生部81は、単一のレート(1つのクロック周波数)に基づいてアイドルパターンを発生させる。一実施形態では、このレートは10.3125Gbpsである。すなわち10G参照クロックに基づいて、アイドルパターン発生部81は、アイドルパターンを発生させる。このクロック周波数をアイドルパターン発生のための「固定されたクロック周波数」と呼ぶことができる。
10G信号と1G信号との間では、位相がずれていると考えられる。さらに、10G信号の周波数は、1G信号の周波数の逓倍ではない。高い伝送レートの参照クロックに基づいてアイドルパターンを生成することによって、10G信号と1G信号との間にアイドルパターンを密に挿入することができる。ただしアイドルパターンを生成するための固定されたレートは1.25Gbpsでもよい。この場合には、1G参照クロックに基づいて、アイドルパターン発生部81は、アイドルパターンを発生させる。このような構成によれば、アイドルパターンを生成するための構成が複雑になることが抑えられる。
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施の形態に従う、アイドルパターンIDLEの挿入のための構成を示した図である。図9を参照して、アイドルパターン発生部81は、単一のレート(1つのクロック周波数)に基づいてアイドルパターンを発生させる。具体的には、アイドルパターン発生部81は、複数のバースト光信号のうち最も短いプリアンブルを有する光バースト信号の伝送レートに基づいて、アイドルパターンを生成する。
図10は、IEEE802.3標準に準拠した1G信号のプリアンブルおよび10G信号のプリアンブルの各々の最大長を説明するための図である。図10における各数値は対応する項目の最大長であり、数値の単位はnsである。図10に示されるように、IEEE802.3標準によれば、1G信号のプリアンブルの長さは最大1312nsであり、10G信号のプリアンブルの長さは最大1712nsである。アイドルパターン発生部81は、1G信号のレートに基づいてアイドルパターンを生成する。
図11は、1G信号のプリアンブルと10G信号のプリアンブルとを比較する図である。図11に示されるように、1G信号のプリアンブルは、10G信号のプリアンブルに比べて短い。図11に示された例において、アイドルパターンは、10G信号のレートに基づいて生成されたパターンである。
プリアンブルは、OLT2における受信回路の動作安定化のための時間である。プリアンブルにおいて、OLT2は、クロックを光バースト信号の各ビットに同期させる処理を実行する。図11に示された例によれば、10G信号のプリアンブルは長い。したがって10G信号のプリアンブルは、10G信号のための同期処理の時間に対する余裕を生じやすい。一方、1G信号をOLT2が受信する際には、プリアンブルが短いために、プリアンブルの間に同期処理が完了しない可能性がある。この点で1G信号の受信は、10G信号の受信に比べて不利である。
図12は、本発明の第4の実施の形態に従う、アイドルパターンIDLEの挿入処理を説明するための図である。図12に示されるように、第4の実施の形態によれば、1G信号の伝送レートに基づくアイドルパターンIDLEが1G信号の前に挿入される。OLTは、アイドルパターンIDLEを利用して、1G信号の受信のためにクロック周波数をトレーニングすることができる。クロック周波数を予めトレーニングすることによって、短いプリアンブルであっても、同期処理のための時間に対する余裕を作ることができる。すなわち、最も短いプリアンブルを有する光バースト信号の受信であっても、プリアンブルの間に同期処理が完了する可能性を高めることができる。
なお、光信号中継装置7による中継処理において、光バースト信号の先頭が欠損する可能性がある。この場合、同期処理のための時間が、より短くなる可能性が高い。本発明の第4の実施の形態によれば、このような場合にもアイドルパターンを利用して周波数をトレーニングすることが可能であるので、プリアンブルの間に同期処理が完了する可能性を高めることができる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施の形態に係るアイドルパターン発生部81の構成は、図5に示された構成あるいは図8に示された構成と同じであってもよい。第5の実施の形態において、アイドルパターン発生部81は、10G信号の伝送レートに基づいて、アイドルパターンを生成する。第5の実施形態において、アイドルパターンは、固定長のビットパターンの繰り返しパターンである。以下に説明される例において、アイドルパターンは、66ビットで表現されるビットパターンが繰り返される繰り返しパターンである。
図13は、IEEE802.3標準に準拠した10G上り光バースト光信号を示す図である。図13を参照して、上り光バースト信号は、同期(Sync)パターン、バーストデリミタ、ペイロード(データ)、およびEOB(End Of Burst)を含む。なおデータ信号によって表現されるデータは、複数のデータブロックを含む。
OLT2は、10G上り光バースト信号を受信して、同期パターンおよびバーストデリミタパターンに対して、パターン同期を行う。10G−EPONでは、受信されたデータが、前方誤り訂正(FEC:Forward Error Correction)によって訂正される。なお、前方誤り訂正は、ブロック単位で実行される。
10G−EPONでは、1×10-3のビットエラーレートという高い条件での動作が要求される。このため、同期パターンあるいはバーストデリミタパターンの一部のビットが誤っていてもパターン同期ができるように、同期パターンあるいはバーストデリミタパターンには、ある程度のビット誤りが許容される。一方、光バースト信号の先頭以外の部分で誤ってパターン同期が起こらないように、66ビットからなる同期パターンとバーストデリミタパターンとが予め選定されている。
アイドルパターン発生部81は、上り光バースト信号にアイドルパターンIDLEを挿入する。アイドルパターンIDLEが同期パターンあるいはバーストデリミタパターンに類似する場合、OLT2がアイドルパターンIDLEに誤ってパターン同期を実行する可能性がある。さらに、OLT2が10G信号の受信処理に際して、1G信号を受信した場合には、予期しないパターン同期が発生する可能性がある。
第5の実施の形態では、アイドルパターンとして生成された繰り返しパターンのうちの任意の連続する66ビット区間は、同期パターンおよびバーストデリミタパターンの両方から、15以上のハミング距離で離れたビットパターンである。ハミング距離が十分に大きいパターンをアイドルパターンとして用いることにより、同期パターンあるいはバーストデリミタパターンにビット誤りが生じたとしても、アイドルパターンを同期パターンあるいはバーストデリミタパターンとしてOLT2が誤って認識する可能性を低くすることができる。バーストデリミタパターンに対するハミング距離は、大きいほどよい。好ましくは、バーストデリミタパターンに対するハミング距離は、12以上であり、より好ましくは15以上であり、さらに好ましくは、20以上である。
図14は、本発明の第5の実施の形態に適用可能なアイドルパターンを例示した図である。図14に示されるように、アイドルパターンは、EOBデリミタパターンに使用される「1」と「0」の繰り返しパターンであってもよい。このパターンの場合、同期パターンおよびバーストデリミタパターンのいずれに対しても、ハミング距離は28以上である。なお、同期パターンは、「1」,「0」を繰り返すパターンに対するハミング距離が大きくなるように定められたパターンである。したがって「1」と「0」の繰り返しパターンをアイドルパターンに用いることができる。
一方、「1」と「0」が繰り返すパターンを発生させると、電気信号の周波数が高くなるため、光信号中継装置7の内部では、放射ノイズの問題が起こり得る。電気信号の高周波成分を下げるために、以下のアイドルパターンを採用することができる。
アイドルパターンは、先頭の2ビットが(10)であり、続いて(10101100)の8ビットパターンが8回繰り返されるパターンでもよい。このパターンの場合、同期パターンおよびバーストデリミタパターンのいずれに対しても、ハミング距離は24以上である。
なお、アイドルパターンの長さは同期パターンの長さと同じ66ビットであってもよい。アイドルパターンの長さを同期パターンの長さに合わせることによって、構成が複雑になることが抑えられる。
アイドルパターンは、先頭の2ビットが(10)であり、続いて(1010110011110000)の16ビットパターンが4回繰り返されるパターンでもよい。このパターンの場合、同期パターンおよびバーストデリミタパターンのいずれに対しても、ハミング距離は22以上である。
以上のように、アイドルパターンは、「0」と「1」とが交互に繰り返される信号であってもよい。この場合、アイドルパターン発生部81の処理を簡素化することができる。さらにマーク率を良好とすることができる。上記のように所定の8ビットパターンあるいは16ビットパターンが繰り返されたアイドルパターンの場合には、高周波成分が小さくなるためEMIの影響を小さくすることができる。また、アイドルパターンの生成は、所定の8ビットパターンあるいは16ビットパターンが繰り返された複数のアイドルパターンを組み合わせて、その組み合わせを繰り返してもよい。
第5の実施の形態によれば、局側装置による10G信号の受信処理において、光信号中継装置で挿入されたアイドルパターンに対してパターン同期が誤って行なわれることを防ぐことができる。
なお、図7の構成において、アイドルパターンを生成するための伝送レートを固定してもよい。たとえば上り信号として10G信号を送信するONUのみがPON回線に接続されている場合、光信号中継装置は1G信号用の回路をオフにすることができる。
図5の構成において、伝送レートごとに決められたアイドルパターンを無信号区間に挿入してもよい。このような決められたパターンの例として、たとえば10G信号に対しては、Syncパターンを採用できる。一方、1G信号に対しては、プリアンブルを用いることができる。あるいは、無信号区間にPRBS(Pseudo−Random Bit Sequence)を挿入してもよい。いずれのパターンも用いた場合も、マーク率を比較的良好とすることができる。
図5の構成において、10G信号の後のアイドルパターンとして、10G信号の分周パターンを生成し、1G信号の後のアイドルパターンとして、1G信号の分周パターンを生成してもよい。分周比は、たとえば1/2,1/4,1/8等である。10G信号および1G信号の各々の分周パターンが無信号区間に挿入されることにより、たとえばOLT側リンクでのクロストークが小さいという利点が得られる。
図5の構成において、たとえばアイドルパターンを、その直前の信号の伝送レートとは異なるレートで生成してもよい。すなわち10G信号の後には1G参照クロックに基づくアイドルパターンが挿入される。1G信号の後には10G参照クロックに基づくアイドルパターンが挿入される。これにより、多重中継の場合において、バースト信号と無信号区間(アイドルパターンが挿入された区間)との区切りの判定を容易にすることができる。
さらに別の構成として、アイドルパターン発生部81は、312.5Mbpsの信号をアイドルパターンとして生成してもよい。312.5Mbpsは、10.3125Gpsの1/33であり、1.25Gpsの1/4である。したがって、10G用のクロック、1G用のクロックの双方にロックすることができる。たとえば図5に示される構成によって、312.5Mbpsのアイドルパターンを生成することができる。たとえばアイドルパターン発生部81は、1G参照クロックまたは10G参照クロックを分周して、312.5MHzのクロックを発生させる分周器を備えることができる。1G参照クロックから312.5MHzのクロックを発生させる場合には、アイドルパターン発生部81は、分周比が4である分周器を含むことができる。10G参照クロックから312.5MHzのクロックを発生させる場合には、アイドルパターン発生部81は、分周比が1/33である分周器を含むことができる。312.5MHzのクロックは、上述の「固定されたクロック周波数」に包含される。
クロック・データ再生部76a,76bあるいは同期部77a,77bから出力された電気信号の伝送距離は、短いほど好ましい。図15は、本発明の実施の形態に従う、CDR(クロック・データ再生)回路の配置の一例を示した図である。図15に示されるように、CDR回路90は、10G/1G切替部78の近傍に配置される。長さLは、CDR90と10G/1G切替部78との間の距離(経路長)である。長さLは、できるだけ小さいことが好ましい。一実施形態では、長さLは、10Gbpsに対応する1波長(約3cm)以下であり、好ましくは、1波長の1/2以下であり、さらに好ましくは1波長の1/10以下である。CDR回路90は、1Gクロック・データ再生部76a、10Gクロック・データ再生部76b、1G同期部77a、および10G同期部77bのうちの少なくとも1つに含まれうる。これにより、光信号中継装置7から正確な波形を有する光信号を出力することができる。
図16は、本発明の一実施形態に従う、WDM(波長多重)光通信システムの構成を示した図である。以下では、ONUからOLTへの方向の信号の伝送に関する構成および手法が記述される。図16に示されるように、各ONU3に接続された複数の支線光ファイバが光カプラ5によって集約される。各ONU3′に接続された複数の支線光ファイバが光カプラ5′によって集約される。光カプラ5は、幹線光ファイバによって光信号中継装置7に接続される。光カプラ5′は、別の幹線光ファイバによって光信号中継装置7′に接続される。
光信号中継装置7,7′は、波長多重光合分波器11を介して1本の光ファイバ4cに接続され、波長多重光合分波器12を介して光信号中継装置13,13′にそれぞれ接続される。光信号中継装置13,13′は、それぞれOLT2,2′に接続される。
光信号中継装置7は、ONU3から送信された上り光信号を受けて、波長λ1の光信号を出力する。光信号中継装置7′は、ONU3′から送信された上り光信号を受けて、波長λ2の光信号を出力する。波長多重光合分波器11は、波長λ1の光信号および波長λ2の光信号を、波長多重により光ファイバ4cに送信する。波長多重光合分波器12は、波長多重された光信号を、波長λ1の光信号および波長λ2の光信号に分ける。波長λ1の光信号は光信号中継装置13に送られる。波長λ2の光信号は光信号中継装置13′に送られる。光信号中継装置13,13′は、入力された光信号を中継する。光信号中継装置13,13′は、波長多重光合分波器12のWDM波長を、10GE−PONの上り方向伝送の波長に変換する。OLT2,2′は、光信号中継装置13,13′からそれぞれ送られた光信号を受信する。OLT2,2′の光送受信器に、波長多重伝送用光送受信器を装着してもよい。これにより、OLT2,2′は、波長多重光合分波器12から出力される波長λ1、λ2の光信号を、それぞれ直接受信することができるので、構成を簡略にすることができる。波長λ1の光信号、波長λ2の光信号の各々が、10G信号と1G信号との一方または両方を含み得る。
このようなWDM(波長多重)光通信システムでは、発光波長の間隔が狭く発光波長が変動しないように安定させる必要がある。そのため、レーザダイオードの温度制御が重要になる。レーザダイオードを連続駆動することにより、レーザダイオードの温度を安定させることができる。レーザダイオードの温度が安定することにより、発光波長を安定させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。