(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る局側装置を用いたPONシステムを示す図である。図1に示すように、PONシステム10は、局側装置(OLT)12に接続された1本の基幹光ファイバ18が光スプリッタ14により複数の分岐光ファイバ20−1〜20−nに分岐され、分岐光ファイバ20−1〜20−nの端部に複数の加入者側装置(ONU)16−1〜16−nが接続された構成となっている。
PONシステム10においては、OLT12から各ONU16−1〜16−nへの下り光信号は、時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)により多重化された連続的な光信号である。一方、各ONU16−1〜16−nからOLT12への上り光信号は、TDMA方式により多重化される。TDMAでは、各ONU16−1〜16−nからの光信号が衝突するのを防ぐため、各光信号間にガードタイムと呼ばれる無信号区間が挿入される。そのため、OLTから各ONUへの下り光信号が連続的な光信号となるのと異なり、ONU16−1〜16−nからOLT12への上り光信号は、信号の送出が間欠的に行われるバースト状の光信号となる。
図2は、PONシステム10における上り方向の信号伝送を説明するための図である。図2は、各ONU16−1〜16−nから送信されたバースト光信号♯1〜♯nが光スプリッタ14により多重化され、バースト光信号列としてOLT12に入力される様子が示されている。本実施形態において、ONU16−1〜16−nが送信する上りバースト光信号の伝送速度は、例えば10Gbpsである。
PONシステムにおいては、一般的に、OLTの動的帯域割当機能(DBA:Dynamic Bandwidth Allocation)により、各ONUのバースト光信号の送信順序および各ONUに割り当てる信号帯域が制御される。図2では、DBAにより、バースト光信号♯3、♯4、♯n・・・の順でバースト光信号列が構成されている。
PONシステム10においては、分岐光ファイバ20−1〜20−nの距離がONU16−1〜16−n毎に異なる。従って、OLT12には、バースト光信号毎に光レベルが異なるバースト光信号列が入力される。従って、PONシステム10のOLT12は、非常にダイナミックレンジの広い光受信特性が要求される。
図3は、従来のOLTにおける光受信部の構成例を示す図である。図3に示すように、OLT12は、受信した光信号を電気信号に変換するO/E変換部30と、変換された電気信号に所定のPON終端処理を施すフレーム処理部32を備える。O/E変換部30は、受光素子34と、振幅レベル調整部36と、CLK抽出部38とを備える。
図3に示すように、受光素子34には、バースト信号毎に光レベルが異なるバースト光信号列が入力される。受光素子34は、入力されたバースト光信号列を電気信号に変換する。この電気信号は、電流信号であってもよいし、電圧信号であってもよい。この電気信号は、振幅レベルの異なる複数のバースト信号が多重化されたバースト信号列である。
振幅レベル調整部36は、各バースト信号が一定の振幅レベルとなるよう調整する機能を有する。この振幅レベル調整部36は、例えば、入力される各バースト信号のピーク値または平均値を検出し、該ピーク値または平均値に応じて増幅器の利得を切り替えるフィードバック制御を行う。
CLK抽出部38は、一定の振幅レベルに調整されたバースト信号列からクロックを抽出した後、バースト信号列の識別再生を行う。CLK抽出部38により識別再生されたバースト信号列は、フレーム処理部32により所定のPON終端処理が施される。このように、従来のOLT12においては、振幅レベル調整部36により各バースト信号の振幅レベルを一定にすることにより、CLK抽出部38により適切に識別再生が行えるように構成されている。
上述のような振幅レベル調整部36においては、各バースト信号のピーク値または平均値を検出する際に、必ず所定の時間を要し、また、フィードバック制御の遅延時間が発生する。従って、PONシステムの伝送速度が10Gbps等に高速化した場合、10Gbpsのような高速の信号に追従して動作する振幅調整回路を開発することは容易ではない。振幅レベル調整部36の動作が入力されるバースト光信号列に追従できないと、CLK抽出部38において適切に識別再生ができず、符号誤り率などの伝送特性が劣化してしまう。
また、広いダイナミックレンジを確保するため、OLT12の受光素子34として、通常、アバランシェフォトダイオード(APD:Avalanche Photo Diode)が用いられる。一般に、APDは、大きなレベルのバースト光信号の受信後に放電に長い時間を要し、バースト光信号の消失後も無視できないレベルの電気信号が現れる特性を有する(「裾引き」とも呼ばれる)。このAPDの裾引きが後続の小さな振幅のバースト信号と重なると、この後続のバースト信号を正しく識別再生できなくなる。
図4は、第1の実施形態に係るOLTによって行われるバースト光信号の送信順序制御を説明するための図である。上述のような課題を解決するために、本実施形態に係るOLT12は、隣接するバースト光信号間の受信光レベル差ΔPに基づいて、ONU16−1〜16−nのバースト光信号の送信順序を制御する。具体的には、OLT12は、図4に示すように、隣接するバースト光信号間の受信光レベル差ΔPが所定の基準光レベル差ΔPst以下となるようにONU16−1〜16−nのバースト光信号の送信順序を制御する。ここで、「隣接するバースト光信号」とは、バースト光信号がTDMAにより多重化されたバースト光信号列において、時系列的に隣接するバースト光信号である。例えば、図4に示すバースト光信号列において、バースト光信号♯1に隣接するバースト光信号は、バースト光信号♯1の前後に位置するバースト光信号♯4および♯3である。
一般に、隣接するバースト光信号間の受信光レベル差が大きくなるほど、符号誤りが発生しやすくなる。従って、基準光レベル差ΔPstは、符号誤りが生じる臨界値よりも小さい値に設定すればよい。このようなバースト光信号の送信順序制御を行うことにより、隣接するバースト光信号間の受信光レベル差が符号誤りが生じない程度に小さくなるので、符号誤り率特性を向上することができる。なお、上述の「基準光レベル差ΔPst」は、OLT12の光受信部の回路構成や、その後段に接続される誤り訂正回路の性能などによって決まるので、実験やシミュレーションなどによって適宜設定すればよい。
図5は、第1の実施形態に係るOLTの構成を示す図である。図5に示すOLT12においては、図3に示すOLTと同様または対応する構成要素については同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
本実施形態に係るOLT12は、ONUからの上りバースト光信号列を電気信号に変換するO/E変換部30と、所定のPON終端処理を行うフレーム処理部32と、OLT12の後段に接続された上位ネットワークと通信を行う上位ネットワーク側信号処理部42と、ONUに下り光信号を送信するE/O変換部44と、フレーム処理部32および上位ネットワーク側信号処理部42の動作を制御・監視する制御監視部46とを備える。
図5に示すように、O/E変換部30は、受光素子34と、振幅レベル調整部36と、CLK抽出部38とを備える。受光素子34に入力されたバースト光信号列は、電気信号に変換された後、振幅レベル調整部36に入力される。振幅レベル調整部36は、入力される各バースト信号のピーク値または平均値を検出し、該ピーク値または平均値に応じて増幅器の利得を切り替えるフィードバック制御を行うことにより、各バースト信号が一定の振幅レベルとなるよう調整する。一定の振幅レベルに調整された各バースト信号は、CLK抽出部38により識別再生が行われる。また、振幅レベル調整部36は、検出したバースト信号毎のピーク値または平均値を光受信レベル情報として、フレーム処理部32に出力する。
本実施形態において、フレーム処理部32は、光レベル管理部33と、送信順序制御部35とを備える。
光レベル管理部33は、OLT12に接続されたONU毎に、バースト光信号の受信光レベルをテーブルに格納して管理する。図6は、光レベル管理部33の作成するテーブルの例を示す図である。図6に示すように、光レベル管理部33の作成するテーブルには、OLT12に接続されたONU毎に割り当てられたONU番号と、各ONUから送信されたバースト光信号の受信光レベルとが対応付けて格納されている。
送信順序制御部35は、光レベル管理部33により作成されたテーブルを参照して、隣接するバースト光信号間の受信光レベル差ΔPが所定の基準光レベル差ΔPst以下となるようにONUのバースト光信号の送信順序を決定し、各ONUに対してバースト光信号の送信時刻を指示する。なお、この指示は、フレーム処理部32により所定のデータフレームにセットされ、E/O変換部44により光信号に変換された後、各ONUに送信される。なお、上りバースト光信号列と下り光信号は、図示しない光カプラにより波長分割多重されて1本の基幹光ファイバで伝送される。
フレーム処理部32は、光レベル管理部33に代えて、上りバースト光信号に含まれるタイムスタンプから各ONUとOLT12との間の伝送距離を判断し、ONU番号と伝送距離とが対応づけられたテーブルを作成する伝送距離管理部(図示せず)を備えてもよい。隣接するバースト光信号間の伝送距離差が大きくなればなるほど、受信光レベル差も大きくなり、符号誤りが生じ易くなるので、送信順序制御部35は、隣接するバースト光信号間の伝送距離差が所定の基準伝送距離差以下となるようONUのバースト光信号の送信順序を制御する。この場合も、符号誤り率特性を改善できる。
上述したようにPONシステムにおいては、通常、DBAにより上りバースト光信号の送信順序および各ONUに割り当てる信号帯域が制御される。本実施形態では、予め受信光レベルからONUの送信順を決定しておき、DBAによる帯域計算後に、決めておいた送信順でONUへの送信指示時間を計算してもよいし、DBAによる帯域計算の度に受信光レベルを考慮して送信順を決定し、ONUへの送信指示時間を計算してもよい。
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係るOLTの構成を示す図である。図7に示すOLT12においては、図5に示す第1の実施形態に係るOLTと同様または対応する構成要素については同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
本実施形態に係るOLT12は、フレーム処理部32がバーストヘッダ制御部37を備える点が図5に示すOLTと異なる。このバーストヘッダ制御部37は、光レベル管理部33により作成されたテーブルを参照して、隣接するバースト光信号間の受信光レベル差ΔPを演算する。そして、演算した受信レベル差ΔPに応じて、隣接するバースト光信号のうち時間的に後のバースト光信号のバーストヘッダ長を制御する。
より具体的には、バーストヘッダ制御部37は、受信光レベル差ΔPが所定の基準光レベル差ΔPstより大きい隣接するバースト光信号が存在する場合、該隣接するバースト光信号のうち時間的に後のバースト光信号のバーストヘッダ長が所定の標準バーストヘッダ長よりも長くなるよう制御する。
図8(a)〜(c)は、バーストヘッダ長の調整方法を説明するための図である。図8(a)は、通常のバーストヘッダを示す。図8(a)に示すように、PONシステムの上りバースト光信号のフレームフォーマットにおいては、通常、データフレームの前にバーストヘッダが設けられている。このバーストヘッダは、ONUの光送信器が適切に光り始めるまでの時間であるTonの間に送信するパターン(Tonパターン)と、OLTの受信器の信号再生機能を同期するための同期パターンとを有している。通常、同期パターンの長さとバーストヘッダ長は固定値である。
図8(b)は、バーストヘッダ長を長くするための一つの方法を示している。この方法では、Tonパターンと本来の同期パターンとの間に新たに追加同期パターンを挿入することにより、バーストヘッダ長を通常よりも長くする。言い換えると、Tonを長くすることにより、バーストヘッダ長を長くする。この場合、Tonパターンは同期パターンとする。
Tonの変更方法についてより詳細に説明する。説明の前にOLTにONUが新たに接続または再接続されるときのシーケンスを簡単に説明する。まずOLTは、新たに接続または再接続するONUが接続要求を送信してよい時間をフレーム1にセットして全ONUに送信する。次に、新たに接続または再接続するONUは、希望するTon値および自身の通信速度をセットしたフレーム2を接続要求としてOLTに送信する。その後、OLTが決定したTon値および同期時間をフレーム3にセットし、新たに接続または再接続するONUに送信する。その後、OLTは、ONUが次に送信してよい時間をフレーム4にセットして新たに接続または再接続するONUに送信する。以上のようなシーケンスにより、ONUはOLTに接続または再接続される。
Tonを変更する場合、まずOLTよりTonを変更したいONUに再接続を指示するOAMフレームを送信する。OAMフレームとは、IEEE802.3で規定されたGE−PONの制御フレームである。そして、ONUの再接続時に、OLTより送信するフレーム3中のTon値を変更したいTon値にする。または、ONUより送信するフレーム2中の希望するTon値を変更したいTon値にする。これにより、再接続後のONUの送信するバーストフレームでは、変更したTonが使用される。
あるいは、Ton調整用にOAMフレームを作成してTonを変更してもよい。具体的には、まずOLTよりTonを変更したいONUにTon調整のための拡張OAMフレームを送信する。これにより、ONUは、次のバーストフレームからTonを変更して送信する。
図8(c)は、バーストヘッダ長を長くするための別の方法を示している。この方法では、本来の同期パターンの後に新たに追加同期パターンを挿入することにより、バーストヘッダ長を通常よりも長くする。この場合、Tonパターンは、アイドルパターン等の任意のコードであってよい。
このように、本実施形態においては、ONU毎に本来の同期パターンの前または後に新たに追加同期パターンを挿入することにより、バーストヘッダ長を調整することができる。
図9は、第2の実施形態に係るOLTによって行われるバーストヘッダ長制御を説明するための図である。図9に示すように、様々な光レベルのバースト光信号が多重化されて、OLT12に受信される。図9の例において、バースト光信号の配列は、DBAにより決定されている。ここで、隣接するバースト光信号♯1と♯2の間の受信光レベル差ΔPは、所定の基準光レベル差ΔPstよりも大きくなっている。従って、時間的に後のバースト光信号♯2は符号誤りが生じる可能性がある。そこで、本実施形態に係るOLT12のバーストヘッダ制御部37は、バースト光信号♯2のバーストヘッダ長を所定の標準バーストヘッダ長(バースト光信号♯1、♯3等のバーストヘッダ長)よりも長くするように、ONU16−2に対して指示する。なお、この指示は、フレーム処理部32により所定のデータフレームにセットされ、E/O変換部44により光信号に変換された後、各ONUに送信される。
OLT12より指示を受けたONU16−2は、バーストヘッダに同期パターンを挿入することにより、バーストヘッダ長が標準バーストヘッダ長よりも長く設定されたバースト光信号♯2を送信する。このようにしてバースト光信号♯2のバーストヘッダ長が長くなることにより、APDの裾引きによるデータフレームの符号誤りが発生し難くなる。また、バーストヘッダ長が長くなることにより、振幅レベル調整部36は、動作が安定してからデータフレームの信号を処理することができる。これにより、振幅レベル調整部36により適切な振幅調整がなされるので、符号誤りの発生を抑制できる。
必要なバーストヘッダ長は、OLT12の光受信部の回路構成、その後段に接続される誤り訂正回路の性能、バースト光信号の伝送速度などによって決まるので、実験やシミュレーションなどによって適宜設定すればよい。また、一般に受信光レベル差が大きくなるにつれて必要なバーストヘッダ長は長くなるので、バーストヘッダ長は、受信光レベル差ΔPの大きさに応じて可変に設定してもよい。この場合、余分なアイドルパターンが減るので、伝送帯域を有効に利用することができる。
本実施形態では、予め受信光レベルから各ONUのバーストヘッダ長を決定しておき、DBAによる帯域計算後に、決めておいたバーストヘッダ長でONUへの送信指示時間を計算してもよいし、DBAによる帯域計算の度に受信光レベルを考慮してバーストヘッダ長を決定し、ONUへの送信指示時間を計算してもよい。
上述の図5の第1の実施形態に係るOLTと図7の第2の実施形態に係るOLTとを組み合わせて、フレーム処理部32が光レベル管理部33と、送信順序制御部35と、バーストヘッダ制御部37とを有するOLTを構成してもよい。このOLTにおいては、まず、送信順序制御部35により、隣接するバースト光信号間の受信光レベル差に基づいてバースト光信号の送信順序の制御を行う。そして、バースト光信号の送信順序を制御するだけでは受信光レベル差ΔPを基準光レベル差ΔPst以下にできない隣接するバースト光信号が存在する場合、バーストヘッダ制御部37は、該隣接するバースト光信号うち時間的に後のバースト光信号のバーストヘッダ長が標準バーストヘッダ長よりも長くなるよう制御する。これにより、符号誤り率特性を改善できる。
(第3の実施形態)
図10は、本発明の第3の実施形態に係るOLTの構成を示す図である。本実施形態に係るOLT12は、1Gbpsと10Gbpsなど通信速度規格が異なるONUが混在するPONシステムにおいて用いられるものである。
図10に示すOLT12においては、図5に示す第1の実施形態に係るOLTと同様または対応する構成要素については同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。本実施形態に係るOLT12は、CLK抽出部38およびフレーム処理部32の構成が図5に示すOLTと異なる。
本実施形態のCLK抽出部38は、伝送速度が1Gbpsと10Gbpsのバースト光信号に対応するために、切替部43と、1G用クロック抽出部45と、10G用クロック抽出部47とを備える。
切替部43は、振幅レベル調整部36から入力されたバースト信号の伝送速度に応じて、1G用クロック抽出部45と10G用クロック抽出部47との間でバースト信号の出力先を切り替える。すなわち、切替部43は、バースト信号の伝送速度が1Gbpsの場合は該バースト信号を1G用クロック抽出部45に出力し、10Gbpsの場合は10G用クロック抽出部47に出力する。1G用クロック抽出部45は、1Gbpsのバースト信号のクロック抽出および識別再生ができるよう構成されており、10G用クロック抽出部47は、10Gbpsのバースト信号のクロック抽出および識別再生ができるよう構成されている。このように切替部43を設けて伝送速度に応じたクロック抽出部を選択することにより、クロック抽出および識別再生動作を安定化させることができる。
本実施形態のフレーム処理部32は、伝送速度管理部41と、送信順序制御部35とを備える。
伝送速度管理部41は、OLT12に接続されたONU毎に、バースト光信号の伝送速度をテーブルに格納して管理する。図11は、伝送速度管理部41の作成するテーブルの例を示す図である。図11に示すように、伝送速度管理部41の作成するテーブルには、OLT12に接続されたONU毎に割り当てられたONU番号と、各ONUから送信されたバースト光信号の伝送速度とが対応付けて格納されている。なお、各ONUの伝送速度は、OLT12に接続される際に、各ONUからOLT12に対して通知される。
送信順序制御部35は、伝送速度管理部41により作成されたテーブルを参照して、ONUのバースト光信号の送信順序を制御する。より具体的には、送信順序制御部35は、略同一の伝送速度のバースト光信号が連続するようにONUのバースト光信号の送信順序を決定し、各ONUに対してバースト光信号の送信時刻を指示する。なお、この指示は、フレーム処理部32により所定のデータフレームにセットされ、E/O変換部44により光信号に変換された後、各ONUに送信される。
図12は、第3の実施形態に係るOLTによって行われるバースト光信号の送信順序制御を説明するための図である。図12に示すように、ONU16−1、16−3、16−nは、伝送速度が10Gbpsの上りバースト光信号♯1、♯3、♯nを送信している。また、ONU16−2、16−4は、伝送速度が1Gbpsの上りバースト光信号♯2、♯4を送信している。このようなONUの接続状況において、OLT12の送信順序制御部35は、伝送速度管理部41により作成されたテーブルを参照しながら、伝送速度が1Gbpsのバースト光信号♯2および♯4が連続し、伝送速度10Gbpsのバースト光信号♯1、♯3および♯nが連続するようにバースト光信号の送信順序を制御する。なお、図12の例においては、各バースト光信号の光レベルが同一に図示されているが、異なっていてもよい。
一般的に、クロック抽出回路および識別再生回路は、伝送速度が切り替わってから動作が安定するまでにある程度の時間を要する。また、CLK抽出部38の前段の振幅レベル調整部36は、伝送速度に応じて回路を切り替えるものも存在する。従って、1G用クロック抽出部45と10G用クロック抽出部47の切替が頻繁に行われると、CLK抽出部38および/または振幅レベル調整部36の動作が伝送速度に追いつかず、正確な識別再生が行えない可能性がある。そこで、本実施形態のように略同一の伝送速度のバースト光信号が連続するようにバースト光信号の送信順序を制御することにより、伝送速度が切り替わる回数が減るので、CLK抽出部38および/または振幅レベル調整部36が安定して動作できるようになり、符号誤り率特性を改善できる。
また、動作が安定するまでの時間がそれほど高速でないクロック抽出部の使用が可能となるので、OLT12を安価にできる。
本実施形態では、予めONUの通信速度からONUの送信順を決定しておき、DBAによる帯域計算後に、決めておいた送信順でONUへの送信指示時間を計算してもよいし、DBAによる帯域計算の度にONUの通信速度を考慮して送信順を決定し、ONUへの送信指示時間を計算してもよい。
(第4の実施形態)
図13は、本発明の第4の実施形態に係るOLTの構成を示す図である。図13に示すOLT12においては、図10に示す第3の実施形態に係るOLTと同様または対応する構成要素については同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。本実施形態に係るOLT12もまた、1Gbpsと10Gbpsなど通信速度規格が異なるONUが混在するPONシステムにおいて用いられる。
本実施形態に係るOLT12は、フレーム処理部32がバーストヘッダ制御部37を備える点が図10に示すOLTと異なる。本実施形態において、ONUのバースト光信号の送信順序は、DBAにより決定される。バーストヘッダ制御部37は、伝送速度管理部41によって作成されたテーブルを参照して、互いの伝送速度が異なる隣接するバースト光信号を検出する。そして、そのような隣接するバースト光信号を検出した場合、該隣接するバースト光信号のうち時間的に後のバースト光信号のバーストヘッダ長が所定の標準バーストヘッダ長よりも長くなるよう制御する。なお、バーストヘッダ長の調整は、図8(b)および(c)で説明したのと同様に、同期パターンの前または後に新たに追加同期パターンを挿入することにより行うことができる。
図14は、第4の実施形態に係るOLTによって行われるバーストヘッダ長制御を説明するための図である。図14に示すように、ONU16−1、16−3、16−nは、伝送速度が10Gbpsの上りバースト光信号♯1、♯3、♯nをそれぞれ送信している。また、ONU16−2、16−4は、伝送速度が1Gbpsの上りバースト光信号♯2、♯4をそれぞれ送信している。各バースト光信号の光レベルは同一に図示されているが、異なっていてもよい。これらのバースト光信号♯1〜♯nは、DBAにより、時間的に前からバースト光信号♯4(1G)、♯n(10G)、♯1(10G)、♯2(1G)、♯3(10G)の順で配列されている。従って、図14の例においては、隣接するバースト光信号♯4と♯nの間、♯1と♯2の間、♯2と♯3の間で伝送速度が異なっている。従って、これらの隣接するバースト光信号のうち時間的に後のバースト光信号は符号誤りが生じる可能性がある。
そこで、本実施形態に係るOLT12のバーストヘッダ制御部37は、バースト光信号♯n、♯2、♯3のバーストヘッダ長が所定の標準バーストヘッダ長よりも長くなるように、ONU16−n、16−2、16−3に対して指示する。なお、この指示は、フレーム処理部32により所定のデータフレームにセットされ、E/O変換部44により光信号に変換された後、各ONUに送信される。
OLT12より指示を受けたONU16−n、16−2、16−3は、バーストヘッダに同期パターンを挿入することにより、バーストヘッダ長が標準バーストヘッダ長よりも長く設定されたバースト光信号♯n、♯2を、♯3を送信する。このようにしてバースト光信号♯n、♯2、♯3は、バーストヘッダ長が長くなったことにより、1G用クロック抽出部45および10G用クロック抽出部47の動作が安定してからデータフレームのクロック抽出および識別再生を行うことができる。その結果、符号誤り率特性を改善できる。
必要なバーストヘッダ長は、OLT12の光受信部の回路構成、その後段に接続される誤り訂正回路の性能、バースト光信号の伝送速度などによって決まるので、実験やシミュレーションなどによって適宜設定すればよい。また、一般に隣接するバースト光信号間の伝送速度差が大きくなるにつれて必要なバーストヘッダ長は長くなるので、バーストヘッダ長は、伝送速度差に応じて可変に設定してもよい。この場合、余分なアイドルパターンが減るので、伝送帯域を有効に利用することができる。
上述の図10の第3の実施形態に係るOLTと図13の第4の実施形態に係るOLTとを組み合わせて、フレーム処理部32が伝送速度管理部41と、送信順序制御部35と、バーストヘッダ制御部37とを有するOLTを構成してもよい。このOLTにおいては、まず、送信順序制御部35により、略同一の伝送速度のバースト光信号が連続するようバースト光信号の送信順序の制御を行う。そして、互いの伝送速度が異なる隣接するバースト光信号が存在する場合、該隣接するバースト光信号のうち時間的に後のバースト光信号のバーストヘッダ長が所定の標準バーストヘッダ長よりも長くなるよう制御する。これにより、通信速度規格が異なる複数のONUが混在する場合であっても、符号誤り率特性を改善できる。
(第5の実施形態)
図15は、本発明の第5の実施形態に係るOLTの構成を示す図である。図15に示すOLT12においては、図13に示す第4の実施形態に係るOLTと同様または対応する構成要素については同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。本実施形態に係るOLT12もまた、1Gbpsと10Gbpsなど通信速度規格が異なるONUが混在するPONシステムにおいて用いられる。
本実施形態に係るOLT12は、フレーム処理部32がガードタイム制御部49を備える点が図13に示すOLTと異なる。本実施形態において、ONUのバースト光信号の送信順序は、DBAにより決定される。ガードタイム制御部49は、伝送速度管理部41によって作成されたテーブルを参照して、互いの伝送速度が異なる隣接するバースト光信号を検出する。そして、そのような隣接するバースト光信号を検出した場合、該隣接するバースト光信号間のガードタイムが所定の標準ガードタイムよりも長くなるよう制御する。
図16は、第5の実施形態に係るOLTによって行われるガードタイム制御を説明するための図である。図16に示すように、ONU16−1、16−3、16−nは、伝送速度が10Gbpsの上りバースト光信号♯1、♯3、♯nをそれぞれ送信している。また、ONU16−2、16−4は、伝送速度が1Gbpsの上りバースト光信号♯2、♯4をそれぞれ送信している。各バースト光信号の光レベルが同一に図示されているが、異なっていてもよい。これらのバースト光信号♯1〜♯nは、DBAにより、時間的に前からバースト光信号♯4(1G)、♯n(10G)、♯1(10G)、♯2(1G)、♯3(10G)の順で配列されている。従って、図16の例においては、隣接するバースト光信号♯4と♯nの間、♯1と♯2の間、♯2と♯3の間で伝送速度が異なっている。従って、これらの隣接するバースト光信号のうち時間的に後のバースト光信号は符号誤りが生じる可能性がある。
そこで、本実施形態に係るOLT12のガードタイム制御部49は、隣接するバースト光信号♯4と♯nの間、♯1と♯2の間、♯2と♯3の間のガードタイムが標準ガードタイムよりも長くなるように、関係するONUの送信時間を調整し、各ONUに対して指示する。なお、この指示は、フレーム処理部32により所定のデータフレームにセットされ、E/O変換部44により光信号に変換された後、各ONUに送信される。
ONUがOLT12から指示された送信時刻で送信することで、バースト光信号♯4と♯nの間、♯1と♯2の間、♯2と♯3の間のガードタイムが標準ガードタイムよりも長くなる。上述したように、振幅レベル調整部36には、伝送速度に応じて回路を切り替えるものが存在する。このような振幅レベル調整部36の場合、伝送速度が異なるバースト光信号間のガードタイムが短いと回路の切替が間に合わず、動作が不安定になる虞がある。本実施形態に係るOLT12によれば、互いの伝送速度が異なる隣接するバースト光信号間のガードタイムが長くなるよう制御することにより、振幅レベル調整部36の動作を安定させることができるので、符号誤り率特性を改善できる。
必要なガードタイムは、OLT12の光受信部の回路構成、その後段に接続される誤り訂正回路の性能、バースト光信号の伝送速度などによって決まるので、実験やシミュレーションなどによって適宜設定すればよい。また、一般に隣接するバースト光信号間の伝送速度差が大きくなるにつれて必要なガードタイムは長くなるので、ガードタイムは、伝送速度差に応じて可変に設定してもよい。この場合、余分なガードタイムが減るので、伝送帯域を有効に利用することができる。
上述の図10の第3の実施形態に係るOLTと図15の第5の実施形態に係るOLTとを組み合わせて、フレーム処理部32が伝送速度管理部41と、送信順序制御部35と、ガードタイム制御部49とを有するOLTを構成してもよい。このOLTにおいては、まず、送信順序制御部35により、略同一の伝送速度のバースト光信号が連続するようバースト光信号の送信順序の制御を行う。そして、互いの伝送速度が異なる隣接するバースト光信号が存在する場合、該隣接するバースト光信号間のガードタイムが所定の標準ガードタイムよりも長くなるよう制御する。これにより、通信速度規格が異なる複数のONUが混在する場合であっても、符号誤り率特性を改善できる。
(第6の実施形態)
図17は、本発明の第6の実施形態に係るOLTの構成を示す図である。図17に示すOLT12においては、図10に示す第3の実施形態に係るOLTと同様または対応する構成要素については同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。本実施形態に係るOLT12もまた、1Gbpsと10Gbpsなど通信速度規格が異なるONUが混在するPONシステムにおいて用いられる。
本実施形態に係るOLT12は、フレーム処理部32が、光レベル管理部33と、伝送速度管理部41と、送信順序制御部35と、バーストヘッダ制御部37を備える点が図10に示すOLTと異なる。また、本実施形態においては、振幅レベル調整部36により検出されたバースト光信号毎の光受信レベル情報がフレーム処理部32に送られている。
本実施形態に係るOLT12においては、まず、送信順序制御部35が、伝送速度管理部41により作成されたテーブルを参照して、略同一の伝送速度のバースト光信号が連続するように送信順序の制御を行う。そして、バーストヘッダ制御部37は、互いの伝送速度が異なる隣接するバースト光信号のうち時間的に後のバースト光信号のバーストヘッダ長が所定の標準バーストヘッダ長よりも長くなるよう制御する。次に、送信順序制御部35は、光レベル管理部33によって作成されたテーブルを参照して、隣接するバースト光信号間の受信光レベル差ΔPが所定の基準光レベル差ΔPst以下となるようにバースト光信号の送信順序を制御する。この送信順序の制御は、略同一の伝送速度のバースト光信号の中だけで行う。すなわち、略同一の伝送速度のバースト光信号が連続する状態は維持する。その後、バーストヘッダ制御部37は、バースト光信号の送信順序を制御するだけでは受信光レベル差ΔPが基準光レベル差ΔPst以下にならない隣接するバースト光信号が存在する場合、該隣接するバースト光信号のうち時間的に後のバースト光信号のバーストヘッダ長が標準バーストヘッダ長より長くなるよう制御する。
本実施形態に係るOLT12によれば、通信速度規格が異なる複数のONUが混在し、さらにバースト光信号の受信光レベルが異なる場合であっても、好適に上りバースト光信号を受信できる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せによりいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。