JPWO2016117582A1 - miRNAを用いた精神疾患判定マーカー - Google Patents

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Abstract

被験者における統合失調症、うつ病、又は双極性障害の有無を簡便かつ高精度に判定することができる精神疾患判定マーカーを開発し、提供することである。脳脊髄液中に含まれる配列番号1〜193で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群からな精神疾患判定マーカーを提供する。

Description

本発明は、被験者由来の試料を用いて精神疾患である統合失調症、双極性障害又はうつ病の有無を判定するためのバイオマーカー及びそれを用いた精神疾患判定方法に関する。
現代社会において、統合失調症、うつ病、及び双極性障害等の精神疾患(Mental Disorder)は、大きな社会問題となっている。例えば、日本の平成23年(2011年)厚生労働省患者調査によると、日本国内の前記精神疾患の入院患者数は、全疾患を合計した国内総入院患者数の約23%にものぼる。通院患者数や潜在的患者数を加えると、精神疾患患者数は、国内で膨大な数に達すると予想される。これらの精神疾患は生産年齢層に多く見られることから、医療費の負担増のみならず、経済的損失や自殺による社会的損失等、社会に与える影響は計り知れない。
一般に、精神疾患は、疾患間で近似する症状が多く、また各疾患において症状が多岐にわたることから各疾患の定義が明確でない。そのため専門家であっても正確な診断は、しばしば困難を極める。
現在、精神疾患の診断は、本人や家族等への問診で聴取した症状、兆候及び経過等の情報に基づいて、通常、米国精神医学会により規定されたDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM)の診断基準に従って行われている。ところが、この診断基準は、客観的な検査を用いるわけではないため、診断する医師によって診断結果が一致しないことも多い。米国の大規模調査によると、一般診療でDSM診断に基づいてうつ病と診断された5639人のうち、構造化診断面接でうつ病性障害と再診断された患者は、その38.4%に過ぎないことが報告されている(非特許文献4)。構造化診断面接とは、マニュアル化された面接法である。質問内容や再質問等の形式を予め設定することで、面接者による診断の違いを小さくすることができる。実際、構造化診断面接を用いれば、比較的高い一致度が得られる(非特許文献3)。しかし、1〜2時間以上の面接時間が必要であるのに対して、診療上の有益性がそれらに見合わないため、研究以外で行われることはほとんどない。
また、DSM診断は精神障害に対して判定されるため、生物学的な病態を必ずしも反映しているとは言えない。実際、脳以外に原因があることが明確な病態であっても、DSM診断では精神疾患と誤って診断されるケースがしばしばみられる。例えば、うつ病と診断された患者の少なくとも1割以上は、甲状腺機能低下症や抗炎症薬の副作用と言われている(非特許文献1)。また、統合失調症と診断された患者の中に、抗NMDA受容体抗体脳炎が含まれることも報告されている(非特許文献2)。
ところで、現行の抗うつ薬は、一部の重症症例を除いて十分な効果が認められていない(非特許文献5)。また、統合失調症治療薬の効果も幻聴・妄想等の一部の症状に対する効果に留まっている。このように、精神疾患に対する治療薬の効果が限定される原因の一つとして、精神疾患の分類が十分に確立していない点が挙げられる。例えば、うつ病と診断された精神疾患にも複数の病態が存在するが、現在処方されている抗うつ薬は一部の病態にしか治療効果がない、というものである。したがって、精神疾患の本質的な治療法の開発には、生物学的な根拠に基づく新たな分類とそれに応じた適切な診断技術の開発が必要となっている。
上記背景から、生物学的根拠に基づく新たな診断方法として、近年バイオマーカーが注目されている。バイオマーカーとは、特定の疾患の発症に応答して細胞が産生する核酸やタンパク質等の物質であって、体液や組織中における存在量又はその変動が対応する疾患の有無、重症度、又は予後を反映することから、疾患判定及び治療指針決定等の鑑別子となり得る。
精神疾患分野においても、これまで統合失調症、うつ病、又は双極性障害のバイオマーカー探索は行われており、サイトカインや神経栄養因子等、様々な候補分子が提案されてきた。ところが、その多くは十分な検出効果が得られておらず、精神疾患の実用的なバイオマーカーは、未だに開発されていないのが現状である(非特許文献6及び7)。
Kornstein SG and Schneider RK, 2001, Journal of clinical psychiatry, 62 Suppl 16:18-25. Epub 2001/08/02. Dalmau J, et al., 2008, Lancet neurology, 7(12):1091-8, Epub 2008/10/15. Harvey PD, et al., 2012, Schizophrenia research, 140(1-3):9-14, Epub 2012/04/17. Mojtabai R, 2013, Psychotherapy and psychosomatics, 82(3):161-9, Epub 2013/04/04. Fournier JC, et al., 2010, Journal of the American Medical Association, 303(1):47-53. Epub 2010/01/07. Singh I, and Rose N, 2009, Nature, 460(7252):202-7. Epub 2009/07/10. Enaw JO, and Smith, AK, 2013, Journal of Neurology and Psychology, 1(2):7.
従来の精神疾患の診断には診断基準そのものの問題や、探索に用いた試料に問題がある。
診断基準の問題として、バイオマーカー探索に際して、候補分子を患者群及び健常者群の平均値の有意差のみに基づいて選択している点が挙げられる。精神疾患は症候群であり、症候群には複数の病態が存在する可能性が高い。したがって、一部の病態については有用なバイオマーカーとなり得る物質であっても、全症例におけるその病態の割合が小さい場合には、有意差検定により埋没し、除外されてしまう可能性がある。
また、試料の問題として、バイオマーカー探索用の試料に血液や死後脳を用いていた点が挙げられる。血液は、脳をはじめ、腸、肝臓、筋肉等の様々な臓器と直接に接する。一方で、脳と他臓器の間には血液脳関門が存在し、血液中の物質の交換が制限されている。したがって、血液、特に末梢血を用いたバイオマーカー探索では、脳に特徴的な物質の変化の検出が他臓器の影響によって困難となる可能性が高い。つまり、血液は、ノイズが大きく、脳の状態を反映しにくいという問題がある。また死後脳は、精神疾患の原因と考えられる対象臓器そのものを用いる点や脳の立体構造が保たれている点では優れているものの、死後直ちに摘出可能な動物実験と異なり、ヒトの脳は死因や死後経過による変化等の影響を受けるため、神経伝達物質やシグナル分子等の重要候補分子の変化が検出困難となる可能性が高い。さらに、これまで神経病理学や脳画像研究では、各精神疾患に特異的な病巣は見出されておらず、パーキンソン病等と異なり、脳の立体構造が保たれることの優位性は乏しい。
そこで、本発明は、上記問題を解決し、被験者における統合失調症、うつ病、又は双極性障害等の精神疾患を簡便かつ高精度に判定することができる実用性の高い精神疾患判定マーカーを提供することを課題とする。
また、本発明は、被験者における統合失調症、うつ病、又は双極性障害等の亜型、及び/又は重症度をさらに判定できる精神疾患判定マーカーを提供することを課題とする。
さらに、本発明は、前記精神疾患判定マーカーを用いて被験者における各精神疾患の罹患の有無を高精度に検出する判定補助方法を提供することを課題とする。
上記問題点を鑑み、本発明者らはバイオマーカー探索に用いる試料として脳脊髄液(cerebrospinal fluid:CSF)を選択した。脳脊髄液は、脳と脊髄の周囲にのみ存在する無色透明の液体であって、他の臓器とは硬膜で、また血液とは血液脳関門や血液脳脊髄液関門で、隔てられている。脳脊髄液は、その大部分が脳の実質より滲出することや、脳細胞と脳脊髄液との間には障壁が事実上存在しないことが近年の研究から明らかとなっている(Wang C, et al., 2012, Cerebrospinal Fluid: Physiology, biomarker and methodology. In: V. S, Dolezal, T., editor. Cerebrospinal Fluid: Functions, Composition and Disorders. New York: Nova Science Publishers; pp.1-37.)。
ここで、従来、疾患判定マーカーにはタンパク質やmRNAが主に利用されてきた。タンパク質は、脳脊髄液でも測定可能であるが、創薬を行う場合には、同時にその機能を阻害する化合物を探索しなければならないという問題がある。また、mRNAマーカーは、脳脊髄液中には、ほとんど存在せず、中枢神経系の発現との相関が乏しいと考えられている。そこで、本発明者らは、精神疾患判定マーカーとして、タンパク質やmRNAではなく、miRNAを利用することにした。miRNAは、後述するように遺伝子発現の制御を介して病態に関わる可能性があり、また人工合成したアンチセンス核酸分子により、容易にその機能を阻害することができる(Weiler J et al., Gene Ther. 13:496-502, 2006)。
さらに、診断基準の問題を解決するためにバイオマーカーを選択する統計手法として、従来、頻用されていた健常群と疾患群との平均値の有意差に基づく方法のみならず、カットオフ値を定めて各疾患における異常値を示す症例を選択する方法、及び症例疾患群における重症度を診断する方法を新たに追加した。
その結果、本発明者らは、193種のmiRNAを精神疾患判定マーカーとして選択することができた。本発明は、上記結果に基づくものであって、以下を提供する。
(1)配列番号1〜193で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカー。
(2)配列番号1〜45で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、前記精神疾患が統合失調症である、(1)に記載の精神疾患判定マーカー。
(3)配列番号1〜34で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、統合失調症を亜型に細分類することのできる、(2)に記載の精神疾患判定マーカー。
(4)配列番号5及び40〜45で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、統合失調症の重症度を同定することのできる、(2)に記載の精神疾患判定マーカー。
(5)配列番号46〜142で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、精神疾患がうつ病である、(1)に記載の精神疾患判定マーカー。
(6)配列番号46〜113で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、うつ病を亜型に細分類することのできる、(5)に記載の精神疾患判定マーカー。
(7)配列番号49、80、81、83及び131〜142で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、うつ病の重症度を同定することのできる、(5)に記載の精神疾患判定マーカー。
(8)配列番号143〜176で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、精神疾患が双極性障害である、(1)に記載の精神疾患判定マーカー。
(9)配列番号143〜157で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、双極性障害を亜型に細分類することのできる、(8)に記載の精神疾患判定マーカー。
(10)配列番号177〜187で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、精神疾患が統合失調症又はうつ病である、(1)に記載の精神疾患判定マーカー。
(11)配列番号188〜191で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、精神疾患がうつ病又は双極性障害である、(1)に記載の精神疾患判定マーカー。
(12)配列番号192又は193で示す塩基配列を含むmiRNAであって、精神疾患が統合失調症、うつ病又は双極性障害である、(1)に記載の精神疾患判定マーカー。
(13)精神疾患判定方法であって、被験者及び健常者から採取された試料の単位量あたりに含まれる、配列番号1〜193で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーの量を測定してその測定値を得る測定工程、前記測定工程で得られた被験者及び健常者の測定値を比較して、その結果に基づいて被験者における精神疾患を判定する比較判定工程を含む前記方法。
(14)配列番号1〜45で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーにより統合失調症を判定する、(13)に記載の方法。
(15)配列番号1〜34で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーの測定値と所定のカットオフ値とに基づいて統合失調症の亜型を判定する、(14)に記載の方法。
(16)配列番号46〜142で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーによりうつ病を判定する、(13)に記載の方法。
(17)配列番号46〜113で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される測定値と所定のカットオフ値とに基づいてうつ病の亜型をさらに判定する、(16)に記載の方法。
(18)配列番号143〜176で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーにより双極性障害を判定する、(13)に記載の方法。
(19)配列番号143〜157で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーの測定値と所定のカットオフ値とに基づいて双極性障害の亜型をさらに判定する、(13)に記載の方法。
(20)配列番号177〜187で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーの測定値と所定のカットオフ値とに基づいて統合失調症又はうつ病を判定する、(13)に記載の方法。
(21)配列番号188〜191で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーの測定値と所定のカットオフ値とに基づいてうつ病又は双極性障害を判定する、(13)に記載の方法。
(22)配列番号192又は193で示す塩基配列を含むmiRNAからなる精神疾患判定マーカーから統合失調症、うつ病又は双極性障害を判定する、(13)に記載の方法。
(23)前記測定工程で得られた配列番号5及び40〜45で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカー量の測定値に基づいて統合失調症の重症度を判定する重症度判定工程をさらに含む、(14)に記載の方法。
(24)前記測定工程で得られた配列番号49、80、81、83及び131〜142で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカー量の測定値に基づいてうつ病の重症度を判定する重症度判定工程をさらに含む、(16)に記載の方法。
(25)前記測定工程において二以上の異なる精神疾患判定マーカー量を測定する、(13)〜(24)のいずれかに記載の方法。
(26)前記試料が脳脊髄液である、(13)〜(25)のいずれかに記載の方法。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2015-008710号の開示内容を包含する。
本発明の精神疾患判定マーカーによれば、被験者における統合失調症、うつ病、又は双極性障害等の精神疾患を簡便かつ高精度に判定可能なバイオマーカーを提供することができる。この精神疾患判定マーカーは、被験者における統合失調症、うつ病、又は双極性障害等の罹患鑑別、亜型の同定、及び/又は重症度の同定を行うことができる。
本発明の精神疾患判定方法によれば、前記精神疾患判定マーカーを用いて被験者における各精神疾患の罹患可能性、亜型の同定、及び/又は重症度の同定を高精度に判定する方法を提供することができる。
本発明の精神疾患判定マーカーの分類群を示す概念図である。 健常者と各精神疾患患者におけるうつ病用精神疾患判定マーカーhsa-miR-3620-5pの測定値分布図を示す。各プロット群における横直線は、そのプロット群における平均値を示す(他の図において、同様とする)。破線(95%)は、健常者群における95パーセンタイルに相当するカットオフ値である。 うつ病重症度判定用の精神疾患判定マーカーであるhsa-miR-1908の測定値とうつ病の評価尺度HAM-Dによる評価値との関係を示す。 健常者と各精神疾患患者におけるうつ病/双極性障害用精神疾患判定マーカーhsa-miR-3180の測定値分布図を示す。破線(95%)は、健常者群における95パーセンタイルに相当するカットオフ値である。 健常者と各精神疾患患者における統合失調症/うつ病/双極性障害用精神疾患判定マーカーhsa-miR-4749-5pの測定値分布を示す図である。カットオフ値は、健常者群における5パーセンタイルとした。
1.精神疾患判定マーカー
1−1.概要
本発明の第1の態様は精神疾患判定マーカーである。本発明の精神疾患判定マーカーは、miRNAであって、被験者由来の試料中に含まれる量を測定することで、該被験者における精神疾患を判定するバイオマーカーとして利用することができる。
1−2.定義
本明細書において使用する用語について、以下で定義する。
「精神疾患」とは、広義には外因性、心因性、又は内因性の脳の機能的又は器質的障害の総称をいう。しかしながら、本明細書において「精神疾患」とは、特に断りのない限り、従来の精神病理学の診断カテゴリーにおいて統合失調症、うつ病、又は双極性障害に分類される3つの症候群に属する図1に示す狭義の精神疾患を意味する。
本明細書において「精神疾患(を)判定(する)」とは、被験者における精神疾患の罹患鑑別、精神疾患の亜型の同定、及び/又は罹患している精神疾患の重症度の同定をいう。なお、本発明の精神疾患判定は、試料中の精神疾患判定マーカーの存在量に基づいて判断されることから、医師等の医療に直接携わる者を必要とせず、試料分析技術を有する当業者のみによって実施可能である。
本明細書において「精神疾患判定マーカー」は、miRNAで構成され、後述する表1〜6の各配列番号に示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される。
「miRNA(microRNA)」とは、細胞内に存在する長さ21〜23塩基長の一本鎖ノンコーディングRNAである。miRNAは、pri-miRNAと呼ばれる前々駆体状態でゲノムから転写された後、核内でDroshaと呼ばれるエンドヌクレアーゼによりpre-miRNAと呼ばれる前駆体にプロセシングされる。さらに核外でDicerと呼ばれるエンドヌクレアーゼの働きによって切断加工され、miRNA及びmiRNA*(miRNAスター)からなる中間体の二本鎖miRNA(miRNA/miRNA*)となる。miRNA/miRNA*は、タンパク質因子複合体であるRISC(RNA-induced silencing complex)に取り込まれ,最終的に一方のRNA鎖であるmiRNAが成熟体のmiRNA(成熟miRNA)として機能する(Bartel DP, 2004, Cell, 116:281-297、Kawamata T., et al., 2009, Nat Struct Mol Biol., 16(9):953-960)。成熟miRNAは、RISC内で標的遺伝子のmRNAと結合してその翻訳を阻害することによって、標的遺伝子の発現を抑制的に調節することが知られている。
したがって、細胞内には、pri-miRNA、pre-miRNA、miRNA/miRNA*、及び成熟miRNAが存在し得る。
1−3.構成
本発明の精神疾患判定マーカーは、配列番号1〜193で示すいずれかの塩基配列を含むmiRNAからなる。
本発明のmiRNAは、pri-miRNA、pre-miRNA、miRNA/miRNA*、及び成熟miRNAのいずれをも包含する広義のmiRNAである。特に好ましくは、成熟miRNAである。
「配列番号Xに示す塩基配列」(Xは1〜193の任意の整数)は、成熟miRNAを構成する塩基配列である。したがって、本明細書において「配列番号Xに示す塩基配列を含むmiRNA」とは、配列番号Xに示す塩基配列からなる成熟miRNAを含むmiRNAである。例えば、配列番号1に示す塩基配列を含むmiRNAには、配列番号1に示す塩基配列からなる成熟miRNA、及びその前々駆体であるpri-miRNA、その前駆体であるpre-miRNA、及びその中間体であるmiRNA/miRNA*が含まれる。
配列番号1〜193で示す塩基配列を含むmiRNAは、統合失調症、うつ病又は双極性障害のいずれか一以上の精神疾患を判定することができるバイオマーカー、すなわち精神疾患判定マーカーとなり得る。
統合失調症、うつ病又は双極性障害の精神疾患判定マーカーは、図1で示す1〜7群に大別することができる。すなわち、統合失調症を判定する第1群マーカー、うつ病を判定する第2群マーカー、双極性障害を判定する第3群マーカー、統合失調症又はうつ病を判定する第4群マーカー、統合失調症又は双極性障害を判定する第5群マーカー、うつ病又は双極性障害を判定する第6群マーカー、及び統合失調症、うつ病又は双極性障害を判定する第7群マーカーである。本発明の精神疾患判定マーカーは、このうち第5群マーカーを除く第1〜4群、6群及び7群マーカーのいずれかに分類することができる。以下、各群に属する精神疾患判定マーカーについて、具体的に説明をする。
(1)統合失調症を判定する群
1群に属する精神疾患判定マーカーを表1に示す。
Figure 2016117582
Figure 2016117582
この群に属する精神疾患判定マーカーは、統合失調症を判定するバイオマーカーである。具体的には、配列番号1〜45のいずれかで示す塩基配列を含むmiRNAからなり、図1において1群で示す区画に属する精神疾患判定マーカーである。本群の精神疾患判定マーカーを用いれば、被験者における統合失調症の罹患鑑別、統合失調症の亜型の同定、及び/又は統合失調症の重症度の同定ができる。
本群に属する精神疾患判定マーカーにおいて配列番号1〜39で示す塩基配列を含むmiRNAは、被験者における統合失調症の罹患を鑑別することができる。
本明細書において「罹患(を)鑑別(する)」とは、被験者における特定の精神疾患の罹患可能性の高さを判断することをいう。したがって、配列番号1〜39で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される統合失調症罹患鑑別マーカーを1以上用いることで、被験体が統合失調症に罹患している可能性が高いことを鑑別できる。
本明細書において「被験者」とは、後述する第2態様の方法に供され、精神疾患を判定すべき対象となるヒト個体をいう。
本群に属する精神疾患判定マーカーにおいて配列番号35〜39で示す塩基配列を含むmiRNAは、統合失調症患者と健常者間の脳脊髄液試料に含まれる当該miRNAの存在量の有意差に基づいて単離されたバイオマーカーである。
本明細書において「健常者」とは、健常状態にあるヒト個体をいう。「健常状態」とは、本明細書では、上記いずれの精神疾患にも罹患していない健全な精神状態を意味する。つまり、本明細書の健常者とは、精神疾患を有さないヒト個体、好ましくはいずれの疾患や異常も有さない健康なヒト個体である。本態様で用いる健常者は、性別、年齢、身長、体重等の身体的条件や、人数は特に制限はしないが、被験体と同性で、また年齢、身長、及び体重等の身体的条件が同一又は近似であることが好ましい。なお、本明細書では複数の健常者からなる集団を「健常者群」とする。
本明細書において「有意」とは、統計学的に有意であることをいう。具体的には、被験者と健常者の測定値の差異を統計学的に処理したときに、両者間に有意差があることをいう。例えば、危険率(有意水準)が5%、1%、0.3%、0.2%又は0.1%より小さい場合が挙げられる。統計学的処理の検定方法は、有意性の有無を判断可能な公知の検定方法を適宜使用すればよく、特に限定しない。例えば、スチューデントt検定法(t-test)、共変量分散分析等を用いることができる。
表1では、t-testで危険率5%より小(p<0.05)を示すmiRNAを、健常との差を有する精神疾患判定マーカーとして「○」印を付けて示している。
本群に属する精神疾患判定マーカーにおいて配列番号1〜34で示す塩基配列を含むmiRNAは、統合失調症の罹患鑑別に加えて、統合失調症を亜型に細分類することができる精神疾患判定マーカーである。
本明細書において「亜型」とは、本発明の精神疾患判定マーカーを用いた生物学的根拠に基づいて分類される、各精神疾患の下位の分類群である。例えば、1群に属する統合失調症の亜型、2群に属するうつ病の亜型、及び3群に属する双極性障害の亜型が挙げられる。このような亜型は、例えば、「(精神疾患名)の(判定マーカー分子名)亜型」として分類される。具体的には、配列番号1で示されるhsa-miR-6510-5pマーカーに基づき統合失調症と判定された被験者は、「統合失調症のhsa-miR-6510-5p亜型」として同定することができる。
本明細書において各精神疾患の亜型を同定可能な精神疾患判定マーカー(具体的には、統合失調症亜型用の配列番号1〜34で示す塩基配列を含むmiRNA、後述するうつ病亜型用の配列番号46〜113で示す塩基配列を含むmiRNA、及び双極性障害亜型用の配列番号143〜157で示す塩基配列を含むmiRNA)は、健常者群の脳脊髄液由来の試料に含まれる当該精神疾患判定マーカーの測定値に基づいて設定されたカットオフ値によって単離されたバイオマーカーである。
本明細書において「カットオフ値」とは、定量結果を陽性、陰性に分類するための境界値をいう。ここでいう陽性とは、精神疾患に罹患している可能性が高いことを、また陰性とは罹患していない可能性が高いことを、それぞれ示す。カットオフ値の設定法は特に限定しない。例えば、健常者群から得られた測定値をパーセンタイルで分類し、その分類に用いたパーセンタイル値をカットオフ値とすることができる。具体的には、健常者群から得られた測定値の95パーセンタイルで被験者の測定値の陽性又は陰性を分類した場合、95パーセンタイルがカットオフ値となる。他にも、Akobeng AKActa, 2007, Paediatr, 96:644-647に記載の算出方法に基づいて設定することができる。
本明細書でパーセンタイル値をカットオフ値として用いる場合、5パーセンタイル又は95パーセンタイルのいずれかを用い、5パーセンタイル未満、又は95パーセンタイルより大の場合を陽性、5パーセンタイル以上、又は95パーセンタイル以下の場合を陰性とする。例えば、被験者におけるhsa-miR-6510-5pマーカーの測定値が健常者群の測定値の5パーセンタイル未満の値を示した場合、その被検者は、統合失調症に罹患している可能性が高く、かつ統合失調症のhsa-miR-6510-5p亜型として細分類することができる。
前述のように、従来、一般的な精神疾患は、本人や家族等への問診結果や経過状況、構造化診断面接等により診断されていたが、同じ精神疾患内の個体間でも抗精神疾患薬(例えば、抗うつ薬等)による薬理効果に大きな差異が生じるという問題があった。この原因の一つとして、従来法では診断された精神疾患のカテゴリーが大き過ぎ、同一精神疾患内に複数の病態(本明細書でいうところの亜型)が存在していたために一部の病態にのみ薬理効果が認められた可能性が考えられる。各精神疾患を亜型に細分類可能な本発明の精神疾患判定マーカーを用いれば、従来の仮説的な精神疾患の診断基準に従うだけではなく、各精神疾患の分子病態を反映する、生物学的根拠に基づいた客観性のより高い分類が可能となる。
また本発明の精神疾患判定マーカーを用いれば、同一精神疾患内に存在し得る各亜型に応じた至適な治療が可能となる。亜型に細分類できる上記精神疾患判定マーカーは、精神疾患特異性が高く、統合失調症、双極性障害、又はうつ病を高精度に判定することができる他、従来法では分類し得ない新たな精神疾患群である統合失調症/うつ病(後述)、及びうつ病/双極性障害(後述)も高精度に判定することができる。
表1では、健常者の5パーセンタイルをカットオフ値とし、その値を外れて5パーセンタイル未満の異常値を示すmiRNAを亜型に細分類可能な精神疾患判定マーカーとして示している。具体的には、配列番号1〜34で示す塩基配列を含むmiRNAは、健常者の5パーセンタイルをカットオフ値とし、その値未満の場合には、統合失調症の罹患鑑別に加えて、統合失調症を亜型に細分類することができる。
また、本群に属する精神疾患判定マーカーにおいて配列番号5及び40〜45で示す塩基配列を含むmiRNAの測定値は、統合失調症の評価尺度と相関性を示す。そのため、統合失調症の重症度を同定することができる。
本明細書において「重症度」とは、各精神疾患の評価尺度に基づく症状の程度をいう。統合失調症の評価尺度には、PANSS(陽性・陰性症状評価尺度;Positive and Negative Syndrome Scale)、を利用すればよい。配列番号5及び40〜45で示す塩基配列を含むmiRNAは、PANSSを評価尺度としてピアソン相関分析においてr>0.5で相関する統合失調症の重症度を同定することができる精神疾患判定マーカーである。
統合失調症の重症度を同定可能な前記精神疾患判定マーカーにおいて、配列番号5で示す塩基配列を含むmiRNAは、統合失調症の重症度のみならず、統合失調症の罹患の鑑別及び亜型の同定も可能な精神疾患判定マーカーである。
(2)うつ病を判定する群
2群に属する精神疾患判定マーカーを表2に示す。
Figure 2016117582
Figure 2016117582
Figure 2016117582
この群に属する精神疾患判定マーカーは、うつ病を判定できるマーカーである。具体的には、図1において2群で示す区画に属するマーカーであって、配列番号46〜142のいずれかで示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択されるmiRNAをいう。本群の精神疾患判定マーカーを用いれば、被験者におけるうつ病の罹患鑑別、うつ病の亜型の同定、及び/又はうつ病の重症度の同定ができる。
表2では、t-testでp<0.05を示すmiRNAを、健常との差を有する精神疾患判定マーカーとして「○」印を付けて示している。
本群に属する精神疾患判定マーカーにおいて配列番号46〜130で示す塩基配列を含むmiRNAは、被験者におけるうつ病の罹患を鑑別することができる。このうち、配列番号46、48、50、56、62、79、82、85、94、及び114〜130で示す塩基配列を含むmiRNAは、うつ病患者と健常者間の脳脊髄液由来の試料に含まれる当該miRNAの存在量の有意差に基づいて単離されたバイオマーカーである。
また、配列番号46〜113で示す塩基配列を含むmiRNAは、うつ病を亜型に細分類することができるバイオマーカーである。表2では、健常者の95パーセンタイル及び5パーセンタイルをカットオフ値とし、95パーセンタイルより大、又は5パーセンタイル未満の異常値を示すmiRNAを亜型に細分類可能な精神疾患判定マーカーとして示している。
例えば、配列番号46〜111で示す塩基配列を含むmiRNAは、健常者の95パーセンタイルをカットオフ値とし、その値より大の場合には、うつ病の罹患鑑別に加えて、うつ病を亜型に細分類することができる。一方、配列番号112又は113で示す塩基配列を含むmiRNAは、健常者の5パーセンタイルをカットオフ値とし、その値未満の場合には、うつ病の罹患鑑別に加えて、うつ病を亜型に細分類することができる。
本群に属する精神疾患判定マーカーにおいて配列番号49、80、81、83及び131〜142で示す塩基配列を含むmiRNAの測定値は、うつ病の評価尺度HAM-Dと相関性を示すことから、うつ病の重症度を判定することができる。具体的には、前記miRNAは、HAM-Dを評価尺度としてピアソン相関関数においてr>0.5で相関する、うつ病の重症度を同定することができる精神疾患判定マーカーである。ここで、配列番号49、80、81、83で示す精神疾患判定マーカーは、うつ病の亜型同定用の精神疾患判定マーカーでもある。
(3)双極性障害を判定する群
3群に属する精神疾患判定マーカーを表3に示す。
Figure 2016117582
この群に属する精神疾患判定マーカーは、双極性障害であることを判定できるマーカーである。具体的には、図1において3群で示す区画に属するマーカーであって、配列番号143〜176のいずれかで示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択されるmiRNAをいう。本群の精神疾患判定マーカーを用いれば、被験者における双極性障害の罹患鑑別、及び/又は双極性障害の亜型の同定ができる。
本群に属する精神疾患判定マーカーにおいて配列番号143〜176で示す塩基配列を含むmiRNAは、被験者における双極性障害の罹患を鑑別することができる。このうち、配列番号158〜176で示す塩基配列を含むmiRNAは、双極性障害患者と健常者間の脳脊髄液由来の試料に含まれる当該miRNAの存在量の有意差に基づいて単離されたバイオマーカーである。
表3では、t-testでp<0.05を示すmiRNAを、健常との差を有する精神疾患判定マーカーとして「○」印を付けて示している。
また、配列番号143〜157で示す塩基配列を含むmiRNAは、双極性障害を亜型に細分類することができるバイオマーカーである。表3では、健常者の95パーセンタイル及び5パーセンタイルをカットオフ値とし、95パーセンタイルより大、又は5パーセンタイル未満の異常値を示すmiRNAを亜型に細分類可能な精神疾患判定マーカーとして示している。
例えば、配列番号143で示す塩基配列を含むmiRNAは、健常者の95パーセンタイルをカットオフ値とし、その値より大の場合には、双極性障害の罹患鑑別に加えて、双極性障害を亜型に細分類することができる。一方、配列番号144〜157で示す塩基配列を含むmiRNAは、健常者の5パーセンタイルをカットオフ値とし、その値未満の場合には、双極性障害の罹患鑑別に加えて、双極性障害を亜型に細分類することができる。
(4)統合失調症/うつ病を判定する群
4群に属する精神疾患判定マーカーを表4に示す。
Figure 2016117582
この群に属する精神疾患判定マーカーは、統合失調症又はうつ病を判定できるマーカーである。ここでいう「統合失調症又はうつ病」(本明細書では、しばしば「統合失調症/うつ病」と表記する)とは、従来の分類法では統合失調症又はうつ病のいずれかの精神疾患に分類されていた精神疾患であって、バイオマーカーを用いた生物学的根拠に基づく本発明の判定方法により、統合失調症とうつ病の両精神疾患の特徴を有し、厳密にはいずれか一方に分類し得ない新たな精神疾患群をいう。具体的には、図1において4群で示す区画に属するマーカーであって、配列番号177〜187のいずれかで示す塩基配列を含むmiRNAをいう。本群の精神疾患判定マーカーを用いれば、被験者が統合失調症/うつ病に罹患している可能性が高いことを鑑別できる。
配列番号177〜187で示す塩基配列を含むmiRNAは、統合失調症/うつ病を亜型に細分類することができるバイオマーカーでもある。これらは、健常者の5パーセンタイルをカットオフ値とし、5パーセンタイル未満の異常値を示す場合には、統合失調症/うつ病の罹患鑑別に加えて、亜型に細分類することができる。
(5)うつ病/双極性障害を判定する群
6群に属する精神疾患判定マーカーを表5に示す。
Figure 2016117582
この群に属する精神疾患判定マーカーは、うつ病又は双極性障害を判定できるマーカーである。ここでいう「うつ病又は双極性障害」(本明細書では、しばしば「うつ病/双極性障害」と表記する)とは、従来の分類法ではうつ病又は双極性障害のいずれかの精神疾患に分類されていた精神疾患であって、バイオマーカーを用いた生物学的根拠に基づく本発明の判定方法により、うつ病と双極性障害の両精神疾患の特徴を有し、厳密にはいずれか一方には分類し得ない新たな精神疾患群をいう。具体的には、図1において6群で示す区画に属するマーカーであって、配列番号188〜191で示す塩基配列を含むmiRNAをいう。本群の精神疾患判定マーカーを用いれば、被験者がうつ病/双極性障害に罹患している可能性が高いことを鑑別できる。
配列番号188〜191で示す塩基配列を含むmiRNAは、うつ病/双極性障害を亜型に細分類することができるバイオマーカーでもある。これらは、健常者の95パーセンタイルをカットオフ値とし、その値より大の異常値を示す場合には、うつ病/双極性障害の罹患鑑別に加えて、亜型に細分類することができる。
(6)統合失調症、うつ病又は双極性障害を判定する群
7群に属する精神疾患判定マーカーを表6に示す。
Figure 2016117582
この群に属する精神疾患判定マーカーは、統合失調症、うつ病又は双極性障害を判定できるマーカーである。ここでいう「統合失調症、うつ病又は双極性障害」(本明細書では、しばしば「統合失調症/うつ病/双極性障害」と表記する)とは、従来の分類法では統合失調症、うつ病、又は双極性障害のいずれかの精神疾患に分類されていた精神疾患であって、バイオマーカーを用いた生物学的根拠に基づく本発明の判定方法により、3つの精神疾患の特徴を有する精神疾患群をいう。具体的には、図1において7群で示す区画に属するマーカーであって、配列番号191又は192で示す塩基配列を含むmiRNAをいう。本群の精神疾患判定マーカーを用いれば、被験者が統合失調症/うつ病/双極性障害の精神疾患に罹患している可能性が高いことを判定できる。
配列番号191又は192で示す塩基配列を含むmiRNAは、統合失調症/うつ病/双極性障害を亜型に細分類することができるバイオマーカーでもある。これらは、健常者の5パーセンタイルをカットオフ値とし、5パーセンタイル未満の異常値を示す場合には、統合失調症/うつ病/双極性障害の罹患鑑別に加えて、亜型に細分類することができる。
2.精神疾患判定方法
2−1.概要
本発明の第2の態様は精神疾患判定を補助する方法である。本発明は、第1態様に記載の精神疾患判定マーカーを用いて医師を介することなく、被験者における精神疾患の有無を生物学的に判定することができる。
2−2.判定方法
2−2−1.工程
本判定方法は、必須の工程として測定工程及び比較判定工程を含む。また、選択工程として重症度判定工程を含む。以下、各工程について具体的に説明をする。
(1)測定工程
「測定工程」とは、被験者及び健常者から採取された試料の単位量あたりに含まれる第1態様に記載の精神疾患判定マーカーを定量するため、その量を測定して測定値を得る工程である。
本明細書において「試料」とは、精神疾患判定マーカーであるmiRNAを含み得る生物学的試料をいう。例えば、体液、細胞(細胞抽出液を含む)、又はそれから回収されたRNA、特にmiRNAが該当する。「体液」とは、被験者から直接採取される液体状の生体試料をいう。例えば、脳脊髄液、血液(血清、血漿及び間質液等の液体血液成分を含む)、又はリンパ液が該当する。本態様の方法において、好ましい試料は、脳脊髄液若しくは血液、又はそれから回収されたRNA、特にmiRNAである。
「採取された試料」とは、前記被験者及び健常者のそれぞれから採取された試料をいう。採取方法は、既知の方法であればよく、特に限定はしない。例えば、試料が脳脊髄液の場合、腰椎穿刺により採取すればよい。腰椎穿刺は、事前に市販の局所麻酔薬を用いることで、痛みを採血以下にすることが可能であり、また無外傷性針を用いることで、副作用を軽減できることから侵襲性が比較的低く、脳脊髄液を採取する場合には好適な方法である。また、試料が血液やリンパ液であれば、公知の採血方法に従えばよい。具体的には、末梢血であれば末梢部の静脈等に注射をして採取すればよい。試料は、採取後、速やかに本発明の判定方法で使用することもできるが、採取後、直ちに氷冷し、遠心により得られた上清を超低温槽で保存したものを解凍し使用してもよい。また、必要に応じて希釈若しくは濃縮、又はヘパリンのような血液凝固阻止剤を添加することもできる。
「単位量」は、容量又は重量の所定の単位であって、例えば、マイクロリットル、ミリリットル、マイクログラム、ミリグラム、グラム等が挙げられる。
本明細書において「測定値」とは、本工程で測定される精神疾患判定マーカーの量を示す値である。測定値は、容量又は重量のような絶対値であってもよく、また濃度、イオン強度、吸光度又は蛍光強度のような相対値であってもよい。
本工程では、被験者由来の試料(「被験者試料」という)と健常者試料由来の試料(「健常者試料」という)のそれぞれに含まれる精神疾患判定マーカーの量を測定する。
本方法で測定すべき精神疾患判定マーカーは、判定すべき精神疾患によって選択すればよい。例えば、被験者が統合失調症/うつ病/双極性障害に罹患しているか否かを判定する場合には、第1態様に記載の7群に属する精神疾患判定マーカーを選択すればよい。また、被験者が統合失調症/うつ病に罹患しているか否かを判定する場合には、第1態様に記載の4群に属する精神疾患判定マーカーを選択すればよい。被験者がうつ病/双極性障害に罹患しているか否かを判定する場合には、第1態様に記載の6群に属する精神疾患判定マーカーを選択すればよい。また、被験者が統合失調症に罹患しているか否かを判定する場合には、第1態様に記載の1群に属する精神疾患判定マーカーを選択すればよい。被験者がうつ病に罹患しているか否かを判定する場合には、第1態様に記載の2群に属する精神疾患判定マーカーを選択すればよい。そして、被験者が双極性障害に罹患しているか否かを判定する場合には、第1態様に記載の3群に属する精神疾患判定マーカーを選択すればよい。
精神疾患判定マーカーの測定方法は、公知の核酸定量方法であればよく、特に限定はしない。例えば、核酸増幅法、ハイブリダイゼーション法、又はRNaseプロテクション法が挙げられる。
「核酸増幅法」とは、フォワード/リバースプライマーセット用いて、標的核酸の特定の領域を核酸ポリメラーゼによって増幅させる方法をいう。例えば、PCR法(RT-PCR法を含む)、NASBA法、ICAN法、LAMP(登録商標)法(RT-LAMP法を含む)が挙げられる。好ましくはPCR法である。本発明では、精神疾患判定マーカーがmiRNAであることから、通常は、逆転写反応(RT反応)を介した核酸増幅法、例えば、RT-PCR法又はRT-LAMP法が採用される。特に本発明では、体液等の試料中に存在する精神疾患判定マーカー量を測定する必要があるため、リアルタイムRT-PCR法のような定量的核酸増幅法を用いることが好ましい。ただし、本発明で検出すべき核酸は、成熟体が20塩基程度のmiRNAである。それ故、通常の定量的核酸増幅法では標的核酸が短すぎて適当に増幅することができない。そこで、各メーカーから市販されているmiRNA増幅用のキットや特殊なプライマーを利用して増幅すればよい。一例として、Life Technologies(現Thermo Fisher Scientific)社から市販されているApplied Biosystems TaqMan MicroRNA Assays Kitが挙げられる。このキットに付属の各miRNA特異的なLooped RTプライマーを使用すれば、目的の成熟miRNAを効率的に逆転写させた後に増幅が可能となるため有用である。Looped RTプライマーは、3’末部分が標的成熟miRNAの3’末領域に相補的な配列を有する数塩基突出したヘアピン構造を自己形成する。その突出した3’末部分が標的miRNAの3’末領域とアニーリングした後、RTaseで標的miRNAを鋳型に伸長される。その後、伸長産物を鋳型に通常のリアルタイムPCRを行うことで、標的miRNAを特異的に増幅することが可能となる。
リアルタイムPCRの反応条件は、一般に、公知のPCR法を基礎として、増幅する核酸断片の塩基長及び鋳型用核酸の量、並びに使用するプライマーの塩基長及びTm値、使用する核酸ポリメラーゼの至適反応温度及び至適pH等により変動するため、これらの条件に応じて適宜定めればよい。一例として、通常、変性反応を94〜95℃で5秒〜1分間、アニーリング反応を50〜70℃で10秒〜1分間、伸長反応を68〜72℃で30秒〜3分間行い、これを1サイクルとして15〜40サイクルほど繰り返し、最後に68〜72℃で30秒〜10分間の伸長反応を行うことができる。前記メーカー市販のキットを使用する場合には、原則としてキットに添付のプロトコルに従って行えばよい。
リアルタイムPCRで用いられる核酸ポリメラーゼは、DNAポリメラーゼ、特に熱耐性DNAポリメラーゼである。このような核酸ポリメラーゼは、様々な種類のものが市販されており、それらを利用することもできる。例えば、前記Applied Biosystems TaqMan MicroRNA Assays Kit(Life Technologies(現Thermo Fisher Scientific)社)に添付のTaq DNAポリメラーゼが挙げられる。特にこのような市販のキットには、添付のDNAポリメラーゼの活性に最適化されたバッファ等が添付されているので有用である。
「ハイブリダイゼーション法」とは、検出すべき標的核酸の塩基配列の全部又は一部に相補的な塩基配列を有する核酸断片をプローブとして用い、その核酸と該プローブ間の塩基対合を利用して、標的核酸若しくはその断片を検出、定量する方法である。ハイブリダイゼーション法には、検出手段の異なるいくつかの方法が知られているが、本発明では、標的核酸がmiRNAであることから、例えば、ノザンハイブリダイゼーション法(ノザンブロットハイブリダイゼーション法)、RNAマイクロアレイ法、表面プラズモン共鳴法又は水晶振動子マイクロバランス法が好ましい。
「ノザンハイブリダイゼーション法」は、遺伝子の発現を解析する最も一般的な方法で、試料より調製したRNAを変性条件下でアガロースゲル若しくはポリアクリルアミドゲル等による電気泳動によって分離し、フィルターに転写(ブロッティング)した後に、標的RNAに特異的な塩基配列を有するプローブを用いて、そのRNAを検出する方法である。プローブを蛍光色素や放射性同位元素のような適当なマーカーで標識することで、例えば、ケミルミ(化学発光)撮影解析装置(例えば、ライトキャプチャー;アトー社)、シンチレーションカウンター、イメージングアナライザー(例えば、FUJIFILM社:BASシリーズ)等の測定装置を用いて標的RNAを定量することも可能である。ノザンハイブリダイゼーション法は、当該分野において周知著名な技術であり、例えば、Green, M.R. and Sambrook, J., 2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual Fourth Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkを参照すればよい。
「RNAマイクロアレイ法」は、DNAマイクロアレイ法をRNAに応用した方法である。基板上に標的とする核酸の塩基配列の全部若しくは一部に相補的な核酸断片をプローブとして小スポット状に高密度で配置、固相化し、これに標的核酸を含む試料を反応させて、基盤スポットにハイブリダイズした核酸を蛍光等によって検出、定量する方法である。検出、定量には、標的核酸等のハイブリダイゼーションに基づく蛍光等をマイクロプレートリーダーやスキャナーにより検出、測定することによって達成できる。RNAマイクロアレイ法も当該分野において周知の技術である。例えば、DNAマイクロアレイ法(DNAマイクロアレイと最新PCR法(2000年)村松正明、那波宏之監修、秀潤社)等を参照されたい。
「表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)法」とは、金属薄膜へ照射したレーザー光の入射角度を変化させると特定の入射角度(共鳴角)において反射光強度が著しく減衰するという表面プラズモン共鳴現象を利用して、金属薄膜表面上の吸着物を高感度に検出、定量する方法である。本発明においては、例えば、金属薄膜表面に標的miRNAの塩基配列に相補的な配列を有する核酸プローブを固定化し、その他の金属薄膜表面部分をブロッキング処理した後、サンプルである被験体から採取された血液を金属薄膜表面に流通させることによって標的miRNAと核酸プローブの塩基対合を形成させて、サンプル流通前後の測定値の差異から標的miRNAを検出、定量することができる。表面プラズモン共鳴法による検出、定量は、例えば、Biacore社で市販されるSPRセンサを利用して行なうことができる。本技術は、当該分野において周知である。例えば、永田和弘、及び半田宏, 生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法, シュプリンガー・フェアラーク東京, 東京, 2000を参照されたい。
「水晶振動子マイクロバランス(QCM: Quarts Crystal Microbalance)法」とは、水晶振動子に取り付けた電極表面に物質が吸着するとその質量に応じて水晶振動子の共振周波数が減少する現象を利用して、共振周波数の変化量によって極微量な吸着物を定量的に捕らえる質量測定法である。本方法による検出、定量も、SPR法と同様に市販のQCMセンサを利用して、例えば、電極表面に固定した標的miRNAの塩基配列に相補的な配列を有する核酸プローブと被験体から採取された血液中の標的miRNAとの塩基対合によって標的miRNAを検出、定量することができる。本技術は、当該分野において周知であり、例えば、J.Christopher Love,L.A.Estroff,J.K.Kriebel,R.G.Nuzzo,G.M.Whitesides(2005) Self-Assembled Monolayers of a Form of Nanotechnology, Chemical Review,105:1103-1169;森泉豊榮,中本高道,(1997) センサ工学,昭晃堂を参照されたい。
前記ハイブリダイゼーション法で用いるプローブは、配列番号1〜193で示す塩基配列の全部又は一部に相補的な塩基配列を有する核酸断片を用いればよい。プローブの塩基長は、8塩基以上、好ましくは10塩基以上、より好ましくは12塩基以上、さらに好ましくは15塩基以上、又は全長以下である。プローブを構成する核酸は、特に限定しない。通常、低コストで合成でき、かつ安定性高いDNAでよいが、必要に応じて全部又は一部にPNA(Peptide Nucleic Acid)、LNA(Locked Nucleic Acid;登録商標)、メチルホスホネート型DNA、ホスホロチオエート型DNA、2'-O-メチル型RNA等の化学修飾核酸や擬似核酸又はそれらの組み合わせを含むこともできる。また、ハイブリダイゼーション法で用いるプローブは、蛍光色素(例えば、フルオレサミン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、FITC、cy3、cy5、FAM、HEX、VIC)、クエンチャー物質(TAMRA、DABCYL、BHQ-1、BHQ-2、又はBHQ-3)、ビオチン若しくは(ストレプト)アビジン、又は磁気ビーズ等の修飾物質、あるいは放射性同位元素(例えば、32P、33P、35S)等を用いて修飾又は標識することができる。ハイブリダイゼーションは、非特異的にハイブリダイズする目的外の核酸を排除するためストリンジェントな条件で行うことが好ましい。低塩濃度かつ高温下の高ストリンジェントな条件がより好ましい。高ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件については、Green, M.R. and Sambrook, J., 2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual Fourth Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkに記載されているので参考にすることができる。
「RNAプロテクション法」とは、標的RNAに相補的な塩基配列を有するプローブを用いて、標的RNAとプローブとのハイブリダイゼーションを行い、その後のRNase処理による分解を免れたハイブリダイズしたRNAを電気泳動によって分離、検出することで、標的RNAを検出、定量する方法である。電気泳動による分離及び検出の方法については基本的に前記ハイブリダイゼーション法と同様である。
なお、前記測定工程における健常者の測定値は、予め健常者又は健常者群から得られた試料中の各精神疾患判定マーカー量を測定しておき、それをデータベース化したものを使用してもよい。
本工程では、被験者及び健常者の測定値を補正するために、単位量あたりの試料において量的差異のないことが期待される公知のmiRNAを内在性コントロールとして、さらに測定してもよい。このような内在性コントロール用miRNAとして、例えば、hsa-miR-93-5pが挙げられる。
(2)比較判定工程
「比較判定工程」とは、前記測定工程で得られた測定値に基づいて被験者における精神疾患の罹患可能性を判定する工程である。
測定値の比較は、前記測定工程で得られた被験者の測定値と健常者若しくは健常者群の測定値間で、又は被験者の測定値と健常者群の測定値に基づいて得られたカットオフ値で、行う。この時、前記内在性コントロール用miRNAの測定値を用いて、被験者及び健常者の測定値を補正することもできる。
判定は、被験者の測定値が健常者又は健常者群の測定値よりも有意に高い又は低い場合、又はカットオフ値により陽性に分類された場合、その被験者は、測定工程において選択した精神疾患判定マーカーで判定可能な精神疾患に罹患している可能性が高いと判定する。例えば、測定工程で第1態様に記載の1群に属する配列番号35〜39で示される塩基配列を含む精神疾患判定マーカーを選択した場合、被験者におけるその測定値が健常者群の測定値よりも有意に高いときには、その被験者は統合失調症に罹患している可能性が高いと判定できる。また、測定工程で第1態様に記載の1群に属する配列番号1〜34で示される塩基配列を含む精神疾患判定マーカーを選択した場合、その測定値が健常者群の測定値に基づいてあらかじめ定められたカットオフ値により陽性に分類されれば、その被験者は統合失調症に罹患している可能性が高いと判定することができる。一方、測定値が有意に高くない場合、又はカットオフ値により陰性に分類された場合、その被験者は統合失調症に罹患していない可能性が高いと判定する。
また、第1態様に記載の2群に属する配列番号46、48、50、56、62、79、82、85、94、及び114〜130で示される塩基配列を含む精神疾患判定マーカーを使用した場合、被験者の測定値が健常者の測定値よりも有意に高ければ、その被験者は、うつ病に罹患している可能性が高いと判定する。また、2群に属する配列番号46〜113で示される塩基配列を含む精神疾患判定マーカーを使用した場合、健常者群の測定値に基づいてあらかじめ定められたカットオフ値により陽性に分類された場合、その被験者は、うつ病に罹患している可能性が高いと判定する。
第1態様に記載の3群に属する配列番号158〜176で示される塩基配列を含む精神疾患判定マーカーを使用した場合、被験者の測定値が健常者の測定値よりも有意に高ければ、その被験者は、双極性障害に罹患している可能性が高いと判定する。また、3群に属する配列番号143〜157で示される塩基配列を含む精神疾患判定マーカーを使用した場合、健常者群の測定値に基づいてあらかじめ定められたカットオフ値により陽性に分類された場合、その被験者は、双極性障害に罹患している可能性が高いと判定する。
第1態様に記載の4群に属する配列番号177〜187で示される塩基配列を含む精神疾患判定マーカーとして使用した場合、健常者群の測定値に基づいてあらかじめ定められたカットオフ値(5パーセンタイル)により陽性に分類された場合、すなわち5パーセンタイル未満の異常値を示す場合、その被験者は、統合失調症/うつ病に罹患している可能性が高いと判定する。
第1態様に記載の6群に属する配列番号188〜191で示される塩基配列を含む精神疾患判定マーカーを使用した場合、健常者群の測定値に基づいてあらかじめ定められたカットオフ値(95パーセンタイル)により陽性に分類された場合、すなわち95パーセンタイルより大の異常値を示す場合、その被験者は、うつ病/双極性障害に罹患している可能性が高いと判定する。
第1態様に記載の7群に属する配列番号192又は193で示される塩基配列を含む精神疾患判定マーカーを使用した場合、被験者の測定値が健常者群の測定値に基づいてあらかじめ定められたカットオフ値(5パーセンタイル)により陽性に分類された場合、すなわち5パーセンタイル未満の異常値を示す場合、その被験者は、統合失調症/うつ病/双極性障害に罹患している可能性が高いと判定する。
(3)重症度判定工程
「重症度判定工程」は、精神疾患の重症度を同定する場合に、選択される工程である。
本工程では、比較判定工程において、精神疾患を鑑別し、特定していることを前提とする。つまり、重症度判定工程とは、被験者において統合失調症、双極性障害、又はうつ病の罹患を前提として、その精神疾患の重症度をさらに同定する補足的工程である。本工程は、原則として比較判定工程後に行うが、比較判定工程と同時に行うこともできる。
精神疾患の重症度を同定可能な精神疾患判定マーカー(重症度同定マーカー)は、当該マーカーの試料中の測定値が各精神疾患の所定の評価尺度と相関性を示す。したがって、各重症度同定マーカーの測定値と評価尺度との関係を示す検量線を予め作成しておけばよい。被験者における重症度同定マーカーの測定値と検量線から、その被検者における精神疾患の重症度を容易に同定することができる。例えば、精神疾患判定マーカーの測定値と評価尺度の値が正の比例関係にある場合、測定値が高ければ精神疾患の重症度が高いと判定することができる。
本工程において統合失調症の重症度を同定する場合には、精神疾患判定マーカーとして配列番号5、及び40〜45で示す塩基配列を含むmiRNAを用いる。当該マーカーの測定値はPANSSと相関性を示す。また、うつ病の重症度を同定する場合には、配列番号49、80、81、83、及び131〜142で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択されるmiRNAを用いる。これらの精神疾患判定マーカーの測定値は、HAM-Dと相関性を示す。
2−2−2.組み合わせ
本態様の判定方法では、前記測定工程において、第1態様に記載の精神疾患判定マーカーのいずれか1つを使用すればよいが、2つ以上を組み合わせて測定することもできる。複数の精神疾患判定マーカーを組み合わせて測定することによって、精神疾患の判定精度を一層高めることができる。
精神疾患判定マーカーの組み合わせは、異なる群間であってもよい。例えば、第1態様に記載の各群に属する精神疾患判定マーカーを1つずつ選択し、それらを組み合わせて測定することで、被験者が精神疾患に罹患しているか否かを選別すると共に、罹患している場合にはいずれの群に罹患しているのか分類することができる。
また、精神疾患判定マーカーの組み合わせは、同一群内からであってもよい。それによって、被験者がその群に属する精神疾患に罹患している精度を高め、また重症度を判定することが可能となる。例えば、1群から配列番号1のhsa-miR-6510-5p、配列番号35のhsa-miR-4753-5p及び配列番号40のhsa-miR-3925-5pを選択する場合が挙げられる。hsa-miR-6510-5pとhsa-miR-4753-5pを用いて被験体が統合失調症か否かを検証した上で、統合失調症であればhsa-miR-3925-5pによりその重症度を測定することができる。
<精神疾患判定マーカーの単離>
1.検体の収集と試料の採取
本発明の精神疾患判定マーカーを単離するための検体の提供者は、国立精神・神経医療研究センター(東京、日本)のホームページ、フリーペーパー上の広告、又はセンター病院内に掲示した募集ポスター等で募集した。その結果、300検体以上の提供者が得られた。表7にその一部である統合失調症患者30例、うつ病患者30例、及び双極性障害患者16例、並びに対照としての健常者30例、計106例についての検体情報を示す。
Figure 2016117582
表中、Nは各精神疾患及び健常者の総数を、DFは、薬剤を服用していない患者(薬剤フリー)の数を示す。これら106人の脳脊髄液を本実施例における検体とした。患者は、二人以上の精神科医による面接と病歴からDSM-IV(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 4th Ed.)に準拠した診断がなされた。健常者は、精神疾患簡易構造化面接法(MINI)にて精神疾患を除外した。被験者には、研究目的や検体の流れ、副作用の頻度などについて説明し、書面にて同意を得た。研究は国立精神・神経医療研究センター倫理委員会の承認が得られている。なお、被験者はいずれも血縁関係のない日本人である。
被験者からの脳脊髄液の採取方法は、従来法に準じて行った。まず、眼底検査を含む神経学的検査の後、第3〜4腰椎間乃至第4〜5腰椎間に局所麻酔を行い、無外傷性針(22G、ユニシス社、UNIEVER穿刺針)にて腰椎穿刺を行い、約10mLの脳脊髄液を採取した。採取開始後、最初の約2mLを一般検体検査用(細胞数、総タンパク量、糖等)に使用し、次の約8mLを精神疾患判定マーカー単離用としてタンパク質低吸着チューブ(住友ベークライト、プロテオセーブ15mL)に採取した。採取後、脳脊髄液を直ちに氷冷し、4000gで、15分間、4℃で遠心した。その後、上清を0.5mLずつタンパク質低吸着チューブに分注し、使用するまで-80℃の超低温槽で保存した。
2.脳脊髄液中のmiRNAの解析
脳脊髄液中のmiRNAの解析には、3D-Gene miRNA Oligo chipを用いた東レ株式会社の提供する受託解析サービスを用いた。3D-Geneは、同社が開発したマイクロアレイでmiRBase(http://www.mirbase.org/)に登録された2000種類以上のmiRNAを解析することができる(Konishi et al., 2012, British Journal of Cancer, 106: 740-747;Hisaoka et al., 2012, Genes Chromosomes Cancer, 50: 137-145)。
各症例の脳脊髄液500μLよりmiRNAを抽出した。検体は一旦250μLずつに分け、各々より東レ株式会社製の3D-Gene RNA extraction reagent from liquid sampleを用いてRNAを抽出し、混合して一症例のRNA検体とした。RNAはHy5で標識し、3D-Gene miRNA Oligo chipチップと32℃の条件下で16時間ハイブリダイズした。
解析には、バックグラウンドよりも2×標準偏差以上高い値を用いた。さらに、対照である健常者30例中27例以上で値が得られている分子について統計的解析を行った。統計的解析では、以下の3つの基準に基づいて本発明の精神疾患判定マーカーを単離した。
(1)各分子の測定値に関して、健常者30例のデータから正常値を5〜95パーセンタイルと定め、各疾患で概ね20%以上の症例で異常値を示す分子を精神疾患判定マーカーとして選択した。
(2)各分子の測定値に関して、各疾患群と健常者群において平均値の差が大きい(効果量Cohen's Dが概ね0.6以上)分子を精神疾患判定マーカーとして選択した。
(3)各分子の測定値に関して、各疾患群において症状評価との相関がPearsonの積率相関係数を用いて概ね0.5以上の分子を精神疾患判定マーカーとして選択した。
3.結果
上記の基準に従い、精神疾患判定用のバイオマーカーとしての有用性が極めて高い配列番号1〜193で示す塩基配列からなる193種の成熟miRNAを選択した。各miRNAをその属性について分類したものが表1〜6に示した群であり、これは図1の1〜4群、6群及び7群に相当する。各群に属する精神疾患判定用のバイオマーカーの特徴を示す代表的なデータを図2〜5に例示する。
図2は、2群に属する配列番号65で示すhsa-miR-3620-5pの測定値分布とカットオフ値を示す図である。カットオフ値は、健常者群における95パーセンタイルとした。うつ病患者30例中8例がカットオフ値より大きい陽性であった。一方、統合失調症患者群(30例中0例)や双極性障害患者群(16例中2例)では、そのほとんどがカットオフ値以下の陰性であった。したがって、hsa-miR-3620-5pのような2群に属する精神疾患判定マーカーの一部は、カットオフ値を設定することにより、うつ病用の精神疾患判定マーカーになると共に、うつ病の亜型を判定する精神疾患判定マーカーにもなることが示された。これと同様の特徴を示す精神疾患判定マーカーが、1群に属する統合失調症用の精神疾患判定マーカーや3群に属する双極性障害用の精神疾患判定マーカーの一部についても確認された。
図3は、2群に属する配列番号131で示すhsa-miR-1908によるうつ病の測定値と評価尺度HAM-Dによる評価値との関係を示す図である。この図で示すようにhsa-miR-1908濃度と症状評価尺度であるHAM-Dとの間には相関があり、hsa-miR-1908濃度が低いほど、症状が重かった。したがって、hsa-miR-1908をうつ病の精神疾患判定マーカーに用いることで、うつ病の重症度を判定することができる。これと同様の特徴を示す精神疾患判定マーカーが、1群に属する統合失調症用の精神疾患判定マーカーや3群に属する双極性障害用の精神疾患判定マーカーの一部についても確認された。
図4は、6群に属する配列番号190で示すhsa-miR-3180の測定値分布とカットオフ値を示す図である。カットオフ値は、健常者群における95パーセンタイルとした。うつ病患者30例中8例及び双極性障害16例中4例がカットオフ値より大きい陽性であった。一方、統合失調症患者群(30例中1例)では、そのほとんどがカットオフ値以下の陰性であった。したがってhsa-miR-3180のような6群に属する精神疾患判定マーカーは、カットオフ値を設定することにより、うつ病/双極性障害用の精神疾患判定マーカーになると共に、うつ病/双極性障害の亜型を判定する精神疾患判定マーカーにもなることが示された。これと同様の特徴を示す精神疾患判定マーカーが、4群に属する統合失調症/うつ病用の精神疾患判定マーカーについても確認された。
図5は、7群に属する配列番号193で示すhsa-miR-4749-5pの測定値分布とカットオフ値を示す図である。カットオフ値は、健常者群における5パーセンタイルとした。このマーカーでは、統合失調症患者30例中12例、うつ病患者30例中7例及び双極性障害16例中5例がカットオフ値未満の陽性であった。
したがってhsa-miR-4749-5pのような7群に属する精神疾患判定マーカーは、カットオフ値を設定することにより、統合失調症/うつ病/双極性障害用の精神疾患判定マーカーになると共に、統合失調症/うつ病/双極性障害の亜型を判定する精神疾患判定マーカーにもなることが示された。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (26)

  1. 配列番号1〜193で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカー。
  2. 配列番号1〜45で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、前記精神疾患が統合失調症である、請求項1に記載の精神疾患判定マーカー。
  3. 配列番号1〜34で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、統合失調症を亜型に細分類することのできる、請求項2に記載の精神疾患判定マーカー。
  4. 配列番号5及び40〜45で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、統合失調症の重症度を同定することのできる、請求項2に記載の精神疾患判定マーカー。
  5. 配列番号46〜142で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、精神疾患がうつ病である、請求項1に記載の精神疾患判定マーカー。
  6. 配列番号46〜113で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、うつ病を亜型に細分類することのできる、請求項5に記載の精神疾患判定マーカー。
  7. 配列番号49、80、81、83及び131〜142で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、うつ病の重症度を同定することのできる、請求項5に記載の精神疾患判定マーカー。
  8. 配列番号143〜176で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、精神疾患が双極性障害である、請求項1に記載の精神疾患判定マーカー。
  9. 配列番号143〜157で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、双極性障害を亜型に細分類することのできる、請求項8に記載の精神疾患判定マーカー。
  10. 配列番号177〜187で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、精神疾患が統合失調症又はうつ病である、請求項1に記載の精神疾患判定マーカー。
  11. 配列番号188〜191で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択され、精神疾患がうつ病又は双極性障害である、請求項1に記載の精神疾患判定マーカー。
  12. 配列番号192又は193で示す塩基配列を含むmiRNAであって、精神疾患が統合失調症、うつ病又は双極性障害である、請求項1に記載の精神疾患判定マーカー。
  13. 精神疾患判定方法であって、
    被験者及び健常者から採取された試料の単位量あたりに含まれる、配列番号1〜193で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーの量を測定してその測定値を得る測定工程、
    前記測定工程で得られた被験者及び健常者の測定値を比較して、その結果に基づいて被験者における精神疾患を判定する比較判定工程を含む前記方法。
  14. 配列番号1〜45で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーにより統合失調症を判定する、請求項13に記載の方法。
  15. 配列番号1〜34で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーの測定値と所定のカットオフ値とに基づいて統合失調症の亜型を判定する、請求項14に記載の方法。
  16. 配列番号46〜142で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーによりうつ病を判定する、請求項13に記載の方法。
  17. 配列番号46〜113で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される測定値と所定のカットオフ値とに基づいてうつ病の亜型をさらに判定する、請求項16に記載の方法。
  18. 配列番号143〜176で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーにより双極性障害を判定する、請求項13に記載の方法。
  19. 配列番号143〜157で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーの測定値と所定のカットオフ値とに基づいて双極性障害の亜型をさらに判定する、請求項18に記載の方法。
  20. 配列番号177〜187で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーの測定値と所定のカットオフ値とに基づいて統合失調症又はうつ病を判定する、請求項13に記載の方法。
  21. 配列番号188〜191で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカーの測定値と所定のカットオフ値とに基づいてうつ病又は双極性障害を判定する、請求項13に記載の方法。
  22. 配列番号192又は193で示す塩基配列を含むmiRNAからなる精神疾患判定マーカーから統合失調症、うつ病又は双極性障害を判定する、請求項13に記載の方法。
  23. 前記測定工程で得られた配列番号5及び40〜45で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカー量の測定値に基づいて統合失調症の重症度を判定する重症度判定工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
  24. 前記測定工程で得られた配列番号49、80、81、83及び131〜142で示す塩基配列を含むmiRNAからなる群から選択される精神疾患判定マーカー量の測定値に基づいてうつ病の重症度を判定する重症度判定工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
  25. 前記測定工程において二以上の異なる精神疾患判定マーカー量を測定する、請求項13〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記試料が脳脊髄液である、請求項13〜25のいずれか一項に記載の方法。
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