JPWO2016104621A1 - フェニル変性ハイブリッドプレポリマー、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー及びフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマー並びにそれらの製造方法 - Google Patents

フェニル変性ハイブリッドプレポリマー、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー及びフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマー並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

材料硬度や表面粘着性を用途、目的に合わせて制御することが可能なフェニル変性ハイブリッドプレポリマー、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマーを提供する。フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)は、両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンとフェニルトリアルコキシシラン及びジフェニルジアルコキシシランを加水分解・縮合反応させて調製される。フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)は(B)を含み、好ましくは両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンとフェニルトリアルコキシシランとを縮合反応させて調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合して調製される。フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマーは(C)を加熱固化させて得られる。

Description

本発明は、フェニル変性ハイブリッドプレポリマーと、これを含むフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー、これを他のフェニル変性ハイブリッドプレポリマーと混合して調製されるフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー、並びに、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマーを加熱固化させて得られるフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマー並びにそれらの製造方法に関する。
耐熱弾性材料の要望は、接着剤、粘着剤、封止材をはじめ、放熱、絶縁、保護、搬送シートやフィルム、グリスや塗膜など多岐に亘っている。これらの応用分野では、固化後の材料硬度、表面特性に関して様々な要望がある。例えば、LEDの封止材では、保護ガラスや拡散板を接着や粘着する要望もあれば、搬送時や梱包に使われるカバーフィルムが付着しないようタックフリーの離型面の形成が求められる場合もある。FPC(Flexible printed circuits)の搬送を目的とする耐熱キャリアと呼ばれる部材では、搬送するFPCの種類によって、種々の表面タック力が求められている。
このような表面制御の要望においては、基材となるポリマーの種別を選択する他に、粘着性の高い基材に無機フィラーを配合させて粘着性を低下させ制御するといった手法が取られることもある。しかし一般的に粘着性を発現する配合では耐熱性が低下する傾向があり、タックフリーを求めると硬度が高く硬い材料になる傾向がある。フィラーの添加では、分散性の課題、接着力の低下なども発生する。さらに耐熱性が必要な環境にて、表面性を制御する技術は容易ではない。前記のように、粘着性を有する材料は耐熱性に欠けるのが一般的である上、タックを制御する目的でフィラーを配合すると材料硬度が上がり、冷熱衝撃の耐久性が低下する。
これまで耐熱を要求される場合に用いられてきた材料にシリコーン樹脂がある。低硬度で比較的耐熱性の高いシリコーン樹脂は、長きに亘り実用化され続け、様々な改良が加えられている。その結果として、大きな課題であった環状シロキサン成分の低減、耐油性の向上、耐熱性の向上といった進歩が見られる。しかし一方で、基材等との接着性、電気絶縁性、ガス遮断性といった課題は未解決となっている。多くの要求特性は相反する性質上、要求特性の両立が困難なためである。
これら多くの要求特性の発現を可能とするため、有機成分と無機成分の特性のシナジー効果によるハイブリッド材料が研究されている。特にポリジメチルシロキサンを主体とするシロキサンポリマーとアルコキシド類を原料とするフェニル変性ハイブリッドは、本発明者をはじめ多くの研究成果や特許が報告されている(特許文献1〜4)。このハイブリッドは、ポリジメチルシロキサンの有する耐熱特性と柔軟性から、電気部材や光学部材のブレークスルーとしての期待も大きい。
WO2013/125714号公報 特開2007−116139号公報 特開2013−129733号公報 WO2014/098189号公報
しかしこのようなハイブリッド材料の課題に材料硬度や表面粘着性の制御がある。ハイブリッド材料で形成される共有結合は脱水や脱アルコール反応によるが、反応速度が遅く膜厚が厚い場合、表層の反応に比べ下層の反応が遅く未反応部位の存在濃度が膜厚依存となり、熱処理時生焼け状態となることも多い。また柔軟性が高く、かつ耐熱性の高いシロキサンポリマーは、未反応部位やシロキサン構造本来の特性から、表面にタック感(粘着性)を発現させることもある。粘着性や接着性、あるいは放熱シートの一部で要求される密着性などには、このようなタック感は優位に働くが、光学部材などで表面保護に用いるフィルムとの離型性や、作業時に用いられる搬送ユニットとの離型性、成形体を作製する際の型からの脱離性などには大きな課題となってしまう。また、水分による影響を受けやすいハイブリッド材は、大気中の湿度によって、その粘着性が若干変化するといった特性上の課題もあった。
また一方で、低硬度化で発現する表面粘着性(タック感)に関しては、表面粘着性を上げる要求も存在する。前記した放熱部材などがそれである。発熱体の熱を放熱する技術は多くの分野で利用されている。パソコンやゲーム機で、演算素子が熱によって停止する現象(フリーズと呼称される。)は誰しも経験しているし、LED照明などで逸熱の必要性が求められもしている。このような用途では、発熱体と放熱体(ヒートシンクや外装体)とをいかに密着させ空気層を排除するかが求められる。この用途では、金属やセラミックスで出来ている放熱体の微細な表面凹凸を埋めるために低硬度密着性が必要である。
表面粘着性に関しては、放熱シートなどの製品として供給される場合、発熱体に取り付ける工程で材料に仮止め出来る程度に粘着性の制御を望まれることもある。連続ラインで生産する工程では、貼り付けたシートが固定する次工程まで粘着して落下しないといった特性によって、製造コスト低減に大きな効果が表れる。
このような粘着性に関しては、上記のような密着性を要求される場合においても、半永久的に固着する用途と、部品交換などを目的に繰り返し脱着が求められる用途があり、熱伝導層に求められる表面性状は異なってくる。
以上のような理由から、放熱シートなどに要求される表面特性は、離型性から強固な粘着性まで幅広く存在し、その要望のためには表面特性を自由に制御できる技術が求められる。制御技術が確立できない場合、要求される表面特性に合わせた材料設計が都度求められることとなる。特許文献1〜4には、耐熱性に優れた材料が開示されているが、上記のような表面特性を自由に制御できる技術についての示唆はない。
固化体の柔軟性(低硬度)と硬質化、表面粘着性と表面離型性を調整するには、特性の異なる複数種のプレポリマーを任意の配合にてブレンドする方法が考えられる。しかしながら、ブレンドの際、相溶性が欠如していれば混合物は失透し、固化後分相やどちらかの成分で固化不良などが生じ所望の固化体を得ることは難しい。固化開始温度、終了温度などの条件や固化後の耐熱特性などで差があれば、固化体は均質性や物性が安定しない。逆に相溶性や諸特性を合わせれば、得られた固化体の物性も近いものになり、粘着性が高いものと離型性が高いものといった極端な物性に区分けすることは難しい。また、いずれのプレポリマーも耐熱特性を有している必要がある。仮にどちらか一方でも耐熱性が低いと、ブレンド後の耐熱特性が低下し、特性変化を来す。
また、表面の離型性を制御する処方には、フィラーや表面改質剤の添加、固化後のUV照射やプラズマ処理などの改質処理があるが、前者は透明度の低下や耐熱特性の低下、後者は設備の必要性や加工工程の増加、表面の粗面化といった課題がある。
そこで、本発明は、上記従来の問題点を解決し、材料硬度や表面粘着性を用途、目的に合わせて制御することが可能なフェニル変性ハイブリッドプレポリマー、これを含むフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー、これを他のフェニル変性ハイブリッドプレポリマーと混合して調製されるフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー、並びに、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマーを加熱固化させて得られるフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマーを提供することを目的としてなされたものである。
本発明の第1の局面に従ったフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)は、両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン、フェニルトリアルコキシシラン及びジフェニルジアルコキシシランを加水分解・縮合反応させることによって調製されたプレポリマー(部分的または完全加水分解・縮合物)である。
また、本発明の第1の局面に従ったフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)においては、数平均分子量(Mn)が3,000〜30,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.3以下である両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンを用いて調製されたものであることが好ましい。
なお、本明細書中において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC法)により測定した分子量を示す。
また、本発明の第1の局面に従ったフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)は、両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、前記フェニルトリアルコキシシラン0.5〜3mol、前記ジフェニルジアルコキシシラン0.5〜3molのモル比で加水分解・縮合反応させることによって調製されたもの(部分的または完全加水分解・縮合物)であることが好ましい。
また、本発明の第1の局面に従ったフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)は、チタンのアルコキシド類を縮合触媒として調製されたものであることが好ましい。
また、本発明者らの検討の結果、構造の異なる相溶性の良好な2種類のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)を適宜混合し、フェニル基含有ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)を調製して加熱固化、または、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)のみを加熱固化させることで、用途に応じて硬度及び表面粘着性(タック力)が制御された固化体(ゲル化体)を得ることが可能となることが見出された。
本願発明者らのこのような見地に基づいて、本願発明は以下のように構成される。すなわち、本発明の第1の局面に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)は、少なくとも、上記のいずれかのフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)を含むものである。また、本発明に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)は、上記のいずれかのフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンとフェニルトリアルコキシシランとを縮合反応させることによって調製された(縮合物である)フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合することによって調製されたものであることが好ましい。
また、本発明の第1の局面に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)においては、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が、数平均分子量(Mn)が18,000〜60,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.4以下である両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンを用いて調製されたものであることが好ましい。
また、本発明の第1の局面に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)においては、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)の調製に用いる両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の調製に用いる両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)よりも大きいことが好ましい。
また、本発明の第1の局面に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)においては、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が、前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、フェニルトリアルコキシシラン0.5〜5molのモル比で縮合反応させることによって調製されたもの(縮合物)であることが好ましい。
また、本発明の第1の局面に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)においては、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が、チタンのアルコキシド類を縮合触媒として調製されたものであることが好ましい。
本発明の第1の局面に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマーは、上記のいずれかのフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)を加熱固化させて得られるものである。
フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の配合比率によって、表面特性を制御することで、用途や要望により都度プレポリマーの材料設計を見直し再検討することなしに、様々な用途にフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマーを応用することが可能となる。したがって本発明においては、放熱シートなどの熱伝導部材や絶縁部材など耐熱特性が要求される分野で幅広くフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマーが提供される。
粘着力評価方法の各ステップを模式的に示す図である。
以下に本発明を詳細に説明する。
〔両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−1)〕
表面粘着性を発現する効果を有するフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)のPDMS原料は、両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−1)であり、一般式(1)で表されるものであることが好ましい。
Figure 2016104621
一般的なポリジメチルシロキサンは、比較的広い分子量分布を有し、そのため反応時間や反応温度に幅がある。このため、明確な特性を発現しにくいのが通常である。本発明の原材料で使用される両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンは、アルキルリチウムを開始剤として使用し、リビングアニオン重合などで製造された分子量分布の狭い均質なものであることが好ましい。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率で算出される分子量分布指数(Mw/Mn)は、1.4以下であることが好ましく、より好ましくは1.3以下、さらに好ましくは1.2以下、最も好ましくは1.1以下のものを用いる。両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンの分子量分布指数(Mw/Mn)が1.4以下、さらには1.3以下であれば、フェニル変性反応が進みやすく、固化不良のおそれもない。またフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)と後述のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)とを混合し加熱固化させて得られる後述のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の固化体(ゲル体)が長期にわたって耐熱性を維持することが可能となる。さらに、両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンの分子量分布指数(Mw/Mn)が1.2以下、さらには1.1以下であると、200℃以上の高温下における耐熱維持特性に特に優れたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)固化体(ゲル体)が得られる。この分子量分布指数(Mw/Mn)が1.4より大きなものでは、低分子成分や高分子成分の比率が高く、フェニル変性反応が進みにくい、あるいは固化時に未反応成分が多くなり固化不良となるおそれがあり、本発明の用途である耐熱環境においては好ましくない場合がある。
さらに、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)の原料となるポリジメチルシロキサン(PDMS−1)の数平均分子量(Mn)は、18,000〜60,000であることが好ましい。数平均分子量(Mn)が18,000以上であれば、固化体の耐熱性を高めることができるとともに粘着性を発現させることができる。また、数平均分子量が60,000未満であれば、容易に合成することができる。数平均分子量(Mn)が18,000未満であると、固化体の耐熱性が低下するとともに粘着性が発現しにくくなる場合があり、逆に60,000を超えると合成が困難となる場合がある。耐熱維持特性、粘着性、粘度、合成の容易性等を考慮すると、より好ましい数平均分子量は、概ね20,000〜48,000であり、さらに好ましくは25,000〜45,000であり、最も好ましくは30,000〜40,000である。
耐熱性と柔軟性が特に望まれる場合、例えばSiCなど250℃以上の高温下で使用されるゲル状物質を望まれる場合などでは、数平均分子量(Mn)が30,000以上のPDMSが必要となる。しかし一般的には、分子量を上げると分子量分布指数が大きくなるため、PDMSを作製する反応容器内の温度均一性、撹拌の均質性など、合成条件が厳しくなる。
アニオンリビング重合を用いて合成された両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンとしては、JNC株式会社製FM9926(代表値:Mn=20,000、Mw/Mn=1.10;ロット間ばらつきがあり、Mn=18,000〜23,000、Mw/Mn=1.05〜1.18)、FM9927(代表値:Mn=32,000、Mw/Mn=1.09;ロット間ばらつきがあり、Mn=29,000〜37,000、Mw/Mn=1.06〜1.25)、FM9928(代表値:Mn=47,000、Mw/Mn=1.11;ロット間ばらつきがあり、Mn=45,000〜48,000、Mw/Mn=1.10〜1.35)等が挙げられる。特に250℃以上の高温下での用途には、FM9927が好ましい。FM9926、FM9927及びFM9928のMn及びMw/Mnについては、それぞれ概ね上記範囲のロット間ばらつきがあるが、この範囲内のばらつきにより、得られるフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、さらにはフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)及び固化体の物性等に大きな差を生じることはない。
なお、分子量分布指数1.4を超えるPDMSであっても、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)を調製することは可能である。耐熱性の低下、固化温度の上昇等、特性は劣る結果となるおそれはあるが、分子量分布指数の制約がないPDMSであれば、汎用的で入手性に優れており供給性は向上する。このようなPDMSとしては、モメンティブ社製XF3905,YF3057等がある。
〔両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−2)〕
表面離型性を発現するフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)のPDMS原料は、両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−2)であり、一般式(2)で表されるものであることが好ましい。
Figure 2016104621
ここで、Rは炭素数が1〜3のアルキル基であって、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基から選択されるが、全て同一のものでも、部分的にあるいは全て異なっていてもよい。Rは、反応性、安全面および反応制御の観点から、エチル基であることが最も好ましい。Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基であって、同一のものでも、異なっていてもよい。
両末端にトリアルコキシシリル基を持たせることにより、立体障害により反応性に劣るジフェニルジアルコキシシランまたはその部分加水分解物や縮合物との反応点を増やし、所望の縮合反応速度を高めることができる。この原料に関しても上記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン同様、分子量分布が狭いことが望ましい。分子量分布が狭いこの種のPDMSも、リビングアニオン重合の応用で合成することが可能である。両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンに関しては、分子量分布指数(Mw/Mn)は、1.3以下であることが好ましく、より好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1.1以下のものを用いる。両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンの分子量分布指数(Mw/Mn)が1.3以下、さらには1.2以下であれば、フェニル変性反応が進みやすく、固化不良のおそれもない。また、後述のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の固化体(ゲル体)が長期にわたって耐熱性を維持することが可能となる。さらに、両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンの分子量分布指数(Mw/Mn)が1.1以下であると、200℃以上の高温下における耐熱維持特性に特に優れた固化体(ゲル体)が得られる。この分子量分布指数(Mw/Mn)が1.3より大きなものでは、低分子成分や高分子成分の比率が高く、フェニル変性反応が進みにくい、あるいは固化時に未反応成分が多くなり固化不良となるおそれがある。なお、反応時、両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンのアルコキシ基の一部または全部が加水分解されて、シラノール基が生成していてもよい。
さらに、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の原料となるポリジメチルシロキサン(PDMS−2)の数平均分子量(Mn)は、3,000〜30,000であることが好ましい。数平均分子量(Mn)が3,000以上であれば、固化体の耐熱性を高めることができるとともに固化体の収縮を抑え、成形を容易にすることができる。また、数平均分子量(Mn)が30,000未満であれば、硬度を高め、粘着性を抑えることができる。数平均分子量(Mn)が3,000未満であると、固化体の耐熱性が低下するとともに固化体の収縮も大きく成形が困難となるおそれがある。逆に30,000を超えるとポリマー特有の低硬度化によってフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)にも粘着性が生じ、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)及び固化体の粘着性を制御できなくなるおそれがある。耐熱維持特性、収縮率、粘着性等を考慮すると、より好ましい数平均分子量は、概ね5,000〜28,000であり、さらに好ましくは12,000〜25,000であり、最も好ましくは18,000〜23,000である。
アニオンリビング重合法を用いて合成された末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンとしては、JNC株式会社製FM8813(代表値:Mn=3,000、Mw/Mn:1.10;ロット間ばらつきがあり、Mn=2,950〜3,100、Mw/Mn=1.05〜1.15)、FM8821(代表値:Mn=6,000、Mw/Mn:1.10;ロット間ばらつきがあり、Mn=5,900〜6,200、Mw/Mn=1.06〜1.16)、FM8825(代表値:Mn=10,000、Mw/Mn:1.10;ロット間ばらつきがあり、Mn=10,000〜13,500、Mw/Mn=1.06〜1.18)、FM8826(代表値:Mn=20,000、Mw/Mn=1.06;ロット間ばらつきがあり、Mn=19,000〜23,000、Mw/Mn=1.06〜1.18)等が挙げられる。特に250℃以上の高温下での用途には、FM8826が好ましい。FM8813、FM8821、FM8825、FM8826のMn及びMw/Mnについては、それぞれ概ね上記範囲のロット間ばらつきがあるが、この範囲内のばらつきにより、得られるフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)、さらにはフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)及び固化体の物性等に大きな差を生じることはない。
<平均分子量の測定>
PDMS−1及びPDMS−2の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC法)により測定し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比を分子量分布指数とした。標準試料としてポリスチレンを用い、ポリスチレン換算分子量を測定した。
なおGPC(ゲル浸透クロマトグラフ)法によるポリスチレン換算分子量測定は、以下の測定条件で行うものとする。
a)測定機器:SIC Autosampler Model 09
Sugai U−620 COLUMN HEATER
Uniflows UF−3005S2B2
b)検出器 :MILLIPORE Waters 410
Differential Refractometer
c)カラム :Shodex KF806M×2本
d)オーブン温度:40℃
e)溶離液 :テトラヒドロフラン(THF) 1.0mL/min
f)標準試料:ポリスチレン
g)注入量 :100μL
h)濃度 :0.020g/10mL
i)試料調製:2,6−ジ−tert−ブチル−p−フェノール(BHT)が0.2重量%添加されたTHFを溶媒として、室温で攪拌して溶解させた。
j)補正 :検量線測定時と試料測定時とのBHTのピークのずれを補正して、分子量計算を行った。
<フェニルアルコキシシラン>
本発明においてフェニル変性を行うための原材料として使用するフェニルアルコキシシランとは、フェニル基を分子内に一つもしくは二つ有するアルコキシシランであり、アルコキシ基の加水分解によって、シラノール基を生成し、脱アルコール反応または脱水反応によってPDMSまたは変性されたPDMSと縮合する。アルコキシ基に制約は無いが、炭素数1〜3のものが一般的に用いられ、特にメトキシ基、エトキシ基が望ましい。
フェニル基を分子内に一つ有するものはフェニルトリアルコキシシランであり、反応性の面からは、反応性の高いフェニルトリメトキシシランを用いることが望ましいが、安定性や安全面(メタノールの発生を避ける)などからエトキシ基を有するフェニルトリエトキシシランを用いることが望ましい。もちろん、排気環境等に問題が無ければ、フェニルトリメトキシシランを用いればよい。なお、一般的に販売されておらず入手が困難であるが、フェニルトリアルコキシシランオリゴマーを用いても同様の効果、あるいはそれ以上の効果が得られる。
一方、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の調製に使用されるフェニル基を分子内に二つ有するジフェニルジアルコキシシランは、一般的に反応性が低く、メトキシ基を有するジフェニルジメトキシシランを用いる方が、フェニル基の立体障害受けにくく反応性に優れているため好ましい。ジフェニルジエトキシシランを用いることも可能であるが、立体障害などから反応性が著しく悪いため、安全性には課題はあるが反応性のより高いジフェニルジメトキシシランを用いる方が望ましい。なお、一般的に販売されておらず入手が困難であるが、ジフェニルジアルコキシシランオリゴマーを用いても同様の効果、あるいはそれ以上の効果が得られる。
本発明においては、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)及び(B)を合成するとき、フェニル基がPDMS−1及びPDMS−2のSiに直接結合しているメチル基を置換して存在するのではなく、フェニルアルコキシシラン構造中に存在していることが重要である。一般的にフェニル基を含有する化合物、特に、ケイ素系化合物は耐熱性に優れているが、本発明ではフェニルアルコキシシラン由来部分の耐熱性のみではなく、主骨格であるPDMS由来部分の熱劣化を抑制し耐熱性を向上させる効果があり、耐熱特性が求められる熱伝導シートでは必須の構造である。しかしこの効果は、フェニル基がPDMS−1及びPDMS−2の主骨格にある場合には固化後の硬度上昇に繋がり、弾性体としての特性が著しく阻害されてしまう。そのため、アルコキシシランにフェニル基を持たせ、主骨格であるPDMSの末端に結合させる。それにより、最終的に柔軟性と耐熱性を併せ持つフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマーの作製が可能となる。
<フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)>
〔フェニル変性ハイブリッドプレポリマーゾルの製造〕
本発明において、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)及び(B)は、それぞれ上記PDMS−1とフェニルトリアルコキシシランとの縮合反応、PDMS−2、フェニルトリアルコキシシラン及びジフェニルジアルコキシシランの部分的または完全加水分解・縮合反応によって調製される。縮合反応には、通常有機金属触媒、あるいは金属アルコキシド系触媒が用いられる。有機金属触媒には、ジブチル錫ジラウレートやジブチル錫ジ−2−エチルヘキソエート等の有機錫化合物やビスマス、亜鉛、ジルコニウム系の有機金属化合物を用いることも多い。またテトラ(2−エチルヘキシル)チタネート等の有機チタン化合物などといった有機金属アルコキシド縮合触媒や加水分解を目的に塩酸等の酸触媒、アンモニア等のアルカリ触媒などが使用されることもある。しかし耐熱環境、特に250℃以上の使用環境では、有機金属触媒の多くは負触媒となることがあり、ポリマー分子骨格の切断といった耐熱特性を悪化させる効果を発現しやすい。このため、ハイブリッドプレポリマーの合成やハイブリッドプレポリマーから固化体を得るための固化触媒に、安易に上記触媒を使用することは難しい。
しかしながら、Ti系のアルコキシド類を用いた場合には、固化後に上述のような熱劣化を加速させるような触媒効果を発現しないことから、耐熱特性上優位である。その他、Zr系触媒やAl系触媒を使用することもできる。
上記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−1)とフェニルトリアルコキシシランの反応には、チタンアルコキシド類化合物を触媒として用いることが好ましい。前記有機金属化合物を用いることも可能であるが、耐熱用途を考慮した場合、負触媒効果の低いTi系触媒が望ましい。Ti系(Tiアルコキシド類)触媒としては、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンニウムジ−2−エチルへキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)等が挙げられる。Ti系触媒を用いた場合は、反応中のゾルが黄色や黄褐色に着色しやすい。製品に応用する際、黄色系は劣化色として敬遠されやすいため、中でも特にゾルが発色しにくいテトラ(2−エチルヘキシル)チタネートを使用することが好ましい。
チタンアルコキシド類は、両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、0.08〜0.2mol量を用いることが好ましい。0.08mol未満では、固化しなくなるおそれがあり、0.2molを超えても効果は変わらない。チタンアルコキシド類の添加量は、両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、0.09〜0.15molであることがより好ましい。
上記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−2)、フェニルトリアルコキシシラン及びジフェニルジアルコキシシランの反応に際しても、上記同様、チタンアルコキシド類化合物を触媒として用いることが好ましい。前記有機金属化合物を用いることも可能であるが、上記同様耐熱用途を考慮した場合、負触媒効果の低いTi系触媒が望ましい。Ti系(Tiアルコキシド類)触媒としては、上記同様のものが挙げられ、上記と同様の理由で、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネートを使用することが好ましい。
チタンアルコキシド類は、両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、0.08〜0.2mol量を用いることが好ましい。0.08mol未満では、固化しなくなるおそれがあり、0.2molを超えても効果は変わらない。チタンアルコキシド類の添加量は、両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、0.09〜0.15molであることがより好ましい。
上記縮合反応を行う際には、PDMSやフェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジアルコキシシランなどの安定的な加水分解、脱水、脱アルコール反応を行うために、反応に使用する容器内に不活性ガスを充満させた雰囲気とすることが望ましい。不活性ガスとしては、窒素ガスや希ガス類である第18族元素(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等)が挙げられる。また、これらガスを混合して用いてもよい。加水分解の方法としては、適量の水の滴下、噴霧をはじめ、水蒸気の導入など種々の手法が考えられる。導入する水の量は、使用するアルコキシシランモノマーの種類による反応性の違いを考慮し、適宜調整すればよい。加水分解を受けた上記フェニルアルコキシシランまたはジフェニルジアルコキシシランのアルコキシ基はシラノール基になり、不活性ガスの存在下にて加熱することによって、一部残存するアルコキシ基とともにPDMS両末端のシラノール基と縮合反応を起こす。例えば、分子量分布指数(Mw/Mn)が十分小さいPDMSとフェニル基を有するアルコキシシランとの縮合反応は、反応温度と不活性ガス雰囲気中の水分量を一定にして安定化させることで、比較的低温で迅速に完了することができる。なお、より反応を安定化させるためには、合成初期において還流管等を取り付け、一定時間反応させることも望ましい。
〔配合比〕
両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−1)と、フェニルトリアルコキシシラン(Ph−1)との配合比は、(PDMS−1)1molに対し、(Ph−1)が0.5〜5molのモル比であることが好ましい。モル比が上記の範囲であれば、縮合反応が円滑に行われ、(Ph−1)が多い場合、柔軟性が損なわれるおそれがある。逆に(Ph−1)が少ない場合は、耐熱維持性が悪くなり最終的に固化しにくくなる。配合比は、(PDMS−1)1molに対し、(Ph−1)が1〜4molのモル比であることがより好ましい。
また、両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−2)と、フェニルトリアルコキシシラン(Ph−1)及びジフェニルジアルコキシシラン(Ph−2)との配合比は、(PDMS−2)1molに対し、(Ph−1)が0.5〜3mol、(Ph−2)が0.5〜3molのモル比であることが好ましい。モル比が上記の範囲であれば、縮合反応が円滑に行われ、(Ph−1)及び(Ph−2)が多い場合、柔軟性が損なわれるおそれがある。逆に(Ph−1)及び(Ph−2)が少ない場合は、耐熱維持性が悪くなり最終的に固化しにくくなる。配合比は、(PDMS−2)1molに対し、(Ph−1)が1〜2mol、(Ph−2)が1〜2molのモル比であることがより好ましい。
なお、ここで言うモル比とは、ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC法)により測定したPDMS(PDMS−1及びPDMS−2)の数平均分子量(Mn)と、フェニルトリアルコキシシラン(Ph−1)及びジフェニルジアルコキシシラン(Ph−2)の分子量に基づいて計算したモル比である。
〔フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)の調製方法〕
フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)の調製(合成)には、攪拌装置、温度計、滴下ラインを取り付けた反応容器(挿入口が複数個あるフラスコ)を用いる。合成をより精密に実施する場合には、還流装置を付随させることも望ましい。撹拌には、撹拌羽の付随した回転式撹拌機、マグネチックスターラー、二軸遊星式撹拌装置、超音波洗浄装置など、反応に寄与する高粘度液状原料を均質に混ぜる効果があれば特に制限はない。しかし温度制御、雰囲気制御、成分滴下ラインなどを付随させることから、回転式撹拌機、マグネチックスターラーなどが望ましい。合成温度は均一性が重要であり、合成容量が小さい場合には、ホットプレートなど簡易的な手法で十分であるが、5Lを超えるような量産ラインでは、マントルヒーターなど保温性や均質性の高い加温方法が望ましい。合成温度は60〜100℃の間で適宜設定される。低温で長期間反応させる場合や高温で短時間に合成される場合など、原料の種別、配合比率、合成設備などによって個別に設定される。合成雰囲気は、不活性ガスとして例えば窒素ガスを使用し、該反応容器内に含有水分量を一定にした窒素ガスを十分に充満させる。このとき、窒素ガスには、窒素ガス製造装置を用いることが望ましい。窒素供給にはボンベや液体窒素からの供給も当然可能であるが、合成が長時間に及ぶ場合などもあり、供給圧力の変動も少ない製造装置を用いる方が望ましい。
以上のようにして調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)は、少なくとも次のいずれかの構造単位を含む。以下、ある構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマーとは、複数のある構造単位が脱水または脱アルコールを伴って縮合したフェニル変性ハイブリッドプレポリマーを含むものとする。より具体的には、複数の構造単位同士、または、構造単位と原料化合物であるポリジメチルシロキサンとが脱水または脱アルコール縮合により結合している場合は、各構造単位末端のSi−OR、Si−OR、M−ORまたはM−ORは、Si−O−Si、Si−O−M、Si−O−M、M−O−M等に変化しているが、それらも以下の構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)に含まれるものとする。なお、縮合触媒由来のM,Mは分子構造中に取り込まれる場合があるが、取り込まれない場合もある。
フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)は、例えば、式(Ia)または(Ib)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)であって、式中、R,Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(R,Rは同じでも異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基であって、nは正の整数、p=0,1,2、p=0,1,2、ただし、p+p≧1、q=0,1,2、q=0,1,2、ただし、q+q≧1、p=0,1、p=0,1、ただし、p≧p、p≧p、q=0,1,2、q=0,1,2である。なお、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)は、式(Ia)で表わされる構造単位を含むことが好ましい。
Figure 2016104621
また例えば、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)は、式(Ic),(Id),(Ie),(Ic’),(Id’)または(Ie’)のいずれかで表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)であって、式中、R,Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(R,Rは同じでも異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、MはTiまたはZrであって、nは正の整数、p=0,1,2、p=0,1,2、ただし、p+p≧1、q=0,1,2、q=0,1,2、ただし、q+q≧1、p=0,1、p=0,1、ただし、p≧p、p≧p、q=0,1,2、q=0,1,2、r=0,1、r=0,1、r=0,1、r=0,1、ただし、r+r+r+r≦2である。
Figure 2016104621
Figure 2016104621
また例えば、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)は、式(If),(Ig),(Ih),(If’),(Ig’)または(Ih’)のいずれかで表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)であって、式中、R,Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(R,Rは同じでも異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、MはAlであって、nは正の整数、p=0,1,2、p=0,1,2、ただし、p+p≧1、q=0,1,2、q=0,1,2、ただし、q+q≧1、p=0,1、p=0,1、ただし、p≧p、p≧p、q=0,1,2、q=0,1,2、s=0,1、s=0,1、s=0,1、s=0,1、ただし、s+s+s+s≦2である。
Figure 2016104621
Figure 2016104621
また、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)は、例えば、式(IIa)または(IIb)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)であって、式中、Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基であり、mは正の整数、x=0,1,2,3、x=0,1,2,3、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、ただし、x+x≧1、x+x≧1、x≧x、x≧xである。なお、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)は、式(IIa)で表わされる構造単位を含むことが好ましい。
Figure 2016104621
また例えば、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)は、式(IIc),(IId),(IIc’)または(IId’)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)であって、式中、Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、MはTiまたはZrであり、mは正の整数、x=0,1,2,3、x=0,1,2,3、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、ただし、x+x≧1、x+x≧1、x≧x、x≧x、y=0,1、y=0,1、y=0,1、y=0,1、ただし、y+y+y+y≦2である。
Figure 2016104621
Figure 2016104621
また例えば、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)は、式(IIe),(IIf),(IIe’)または(IIf’)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)であって、式中、Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、MはAlであり、mは正の整数、x=0,1,2,3、x=0,1,2,3、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、ただし、x+x≧1、x+x≧1、x≧x、x≧x、z=0,1、z=0,1、z=0,1、z=0,1、ただし、z+z+z+z≦2である。
Figure 2016104621
Figure 2016104621
フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)を任意の割合で混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)を調製ことができる。混合方法は限定的ではないが、二軸遊星式撹拌装置など、外気の影響を受けにくい装置が望ましい。得られたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)は、加熱工程を経て固化体となる。加熱方法としては、送風式、循環式などの電気炉、雰囲気炉など制約はない。
<フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の固化>
〔有機金属化合物〕
本発明においては、耐熱特性の観点から金属化合物触媒を使用することは望ましくない。しかし用途が耐熱性でない場合、あるいは180〜200℃での使用であり、大気暴露でない場合など、用途によっては金属化合物触媒を使用することもできる。金属化合物触媒の多くは有機金属化合物であるが、固化触媒として使用すれば、低温短時間での処理が可能となる。通常PDMS系材料の固化剤として使用されるもの、例えばSn系、Ti系、Al系、Zn系、Zr系、Bi系等の有機金属化合物、金属アルコキシド、金属キレート化合物のうち少なくとも1種類以上が選択される。
上記有機金属化合物としては、上記金属の有機酸塩(特にカルボン酸塩)、アルコキシド、アルキル化金属化合物、アセチルアセトナート錯体、エチルアセトアセテート錯体、金属アルコキシドのアルコキシ基の一部がアセチルアセトナートまたはエチルアセトアセテートで置換されたアルコキシド類金属錯体等があり、具体的には、例えばオクチル酸亜鉛(2−エチルヘキサン酸亜鉛)、オクチル酸ジルコニウム(2−エチルヘキサン酸ジルコニウム)、オクチル酸ジルコニル(2―エチルヘキサン酸ジルコニル)、ジブチル錫ジウラレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトナート、チタニウムジ−2−エチルへキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトナート、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)等が例示される。
上記有機金属化合物触媒と上記フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)との混合比率は、通常(C)1molに対し、0.01〜0.1mol程度とすることが好ましい。上記有機金属化合物触媒の比率が少ない場合には、固化温度が下がらず、固化時間も短縮できない。適正配合より多い場合には、固化後に活性金属化合物触媒となって熱安定性が欠如するおそれがある。
実施例を用いて、本発明を更に具体的に説明する。
尚、実施例における「部」、「%」は特記のない限りいずれも質量基準(質量部、質量%)である。
また、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
合成例1
[フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−1)ゾルの調製]
攪拌装置、温度計、滴下ラインを取り付けた反応容器に、窒素ガスを十分に充満させた。このとき、窒素ガスとして、窒素ガス製造装置(ジャパンユニックス社製UNX−200)によって製造したものを用いた。
両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−1)として、JNC社製FM9927(数平均分子量(Mn=32,000、分子量分布指数(Mw/Mn)=1.09)226.2g、フェニルトリエトキシシラン(Ph−1;東京化成工業社製、分子量=240.37)1.7g及びマツモトファインケミカル社製テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート(オルガチックスTA−30;分子量=564.75)0.40gをそれぞれ秤量し、窒素ガスを十分に充満させた反応容器内に上記記載順に投入した。マグネチックスターラー付ホットプレートにて撹拌しつつ加熱し、液温80℃で3時間撹拌を継続し、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−1)ゾルを調製した。上記反応の間、窒素ガスは流し続けた。
PDMS−1(FM9927)とPh−1(フェニルトリエトキシシラン)のモル比は、PDMS−1:Ph−1=1:1、PDMS−1(FM9927)とオルガチックスTA−30のモル比は、PDMS−1:TA−30=1:0.1である。
合成例2
[フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−2)ゾルの調製]
合成例1と同様にして、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−2)ゾルを調製した。用いた原料は下記の通りである。
両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−1)として、JNC社製FM9927(数平均分子量Mn=32,000、分子量分布指数(Mw/Mn)=1.09)226.2g、フェニルトリエトキシシラン(Ph−1;東京化成工業社製、分子量=240.37)3.4g及びマツモトファインケミカル社製テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート(オルガチックスTA−30;分子量=564.75)0.40g。
PDMS−1(FM9927)とPh−1(フェニルトリエトキシシラン)のモル比は、PDMS−1:Ph−1=1:2、PDMS−1(FM9927)とオルガチックスTA−30のモル比は、PDMS−1:TA−30=1:0.1である。
合成例3
[フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−3)ゾルの調製]
合成例1と同様にして、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−3)ゾルを調製した。用いた原料は下記の通りである。
両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−1)として、JNC社製FM9927(数平均分子量(Mn=32,000、分子量分布指数(Mw/Mn)=1.09)226.2g、フェニルトリエトキシシラン(Ph−1;東京化成工業社製、分子量=240.37)6.8g及びマツモトファインケミカル社製テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート(オルガチックスTA−30;分子量=564.75)0.40g。
PDMS−1(FM9927)とPh−1(フェニルトリエトキシシラン)のモル比は、PDMS−1:Ph−1=1:4、PDMS−1(FM9927)とオルガチックスTA−30のモル比は、PDMS−1:TA−30=1:0.1である。
合成例4
[フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−4)ゾルの調製]
合成例1と同様にして、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−4)ゾルを調製した。用いた原料は下記の通りである。
両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−1)として、JNC社製FM9927(エバポレータ―処理品、数平均分子量Mn=44,000、分子量分布指数(Mw/Mn)=1.37)226.2g、フェニルトリエトキシシラン(Ph−1;東京化成工業社製、分子量=240.37)3.4g及びマツモトファインケミカル社製テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート(オルガチックスTA−30;分子量=564.75)0.40g。
PDMS−1(FM9927)とPh−1(フェニルトリエトキシシラン)のモル比は、PDMS−1:Ph−1=1:2.8、PDMS−1(FM9927)とオルガチックスTA−30のモル比は、PDMS−1:TA−30=1:0.14である。
合成例5
[フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−1)ゾルの調製]
攪拌装置、温度計、滴下ラインを取り付けた反応容器に、窒素ガスを十分に充満させた。このとき、窒素ガスとして、窒素ガス製造装置(ジャパンユニックス社製UNX−200)によって製造したものを用いた。
両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−2)として、JNC社製FM8826(数平均分子量(Mn)=20,000、分子量分布指数(Mw/Mn=1.06)495.8g、ジフェニルジメトキシシラン(Ph−2;信越化学工業社製KBM−202SS、分子量=244.36)12.1g、エタノールで20倍希釈した水を35g、フェニルトリエトキシシラン(Ph−1;東京化成工業社製、分子量=240.37)11.9g、マツモトファインケミカル社製 テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート(オルガチックスTA−30;分子量=564.75)1.4gをそれぞれ秤量し、窒素ガスを十分に充満させた反応容器内に上記記載順に投入した。マグネチックスターラー付ホットプレートにて撹拌しつつ加熱し、液温80℃で10時間撹拌を継続し、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−1)ゾルを調製した。上記反応の間、窒素ガスは流し続けた。
PDMS−2(FM8826)とPh−1(フェニルトリエトキシシラン)のモル比は、PDMS−2:Ph−1=1:2、PDMS−2(FM8826)とPh−2(ジフェニルジメトキシシラン)のモル比は1:2、PDMS−2(FM8826)とオルガチックスTA−30のモル比は、PDMS−2:TA−30=1:0.1である。
合成例6
[フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−2)ゾルの調製]
合成例5と同様にして、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−2)ゾルを調製した。用いた原料は下記の通りである。
両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−2)として、JNC社製FM8826(数平均分子量(Mn)=20,000、分子量分布指数(Mw/Mn=1.06)495.8g、ジフェニルジメトキシシラン(Ph−2;信越化学工業社製KBM−202SS、分子量=244.36)6.1g、エタノールで20倍希釈した水を35g、フェニルトリエトキシシラン(Ph−1;東京化成工業社製、分子量=240.37)11.9g、マツモトファインケミカル社製 テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート(オルガチックスTA−30;分子量=564.75)1.4g。
PDMS−2(FM8826)とPh−1(フェニルトリエトキシシラン)のモル比は、PDMS−2:Ph−1=1:2、PDMS−2(FM8826)とPh−2(ジフェニルジメトキシシラン)のモル比は1:1、PDMS−2(FM8826)とオルガチックスTA−30のモル比は、PDMS−2:TA−30=1:0.1である。
合成例7
[フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−3)ゾルの調製]
合成例5と同様にして、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−3)ゾルを調製した。用いた原料は下記の通りである。
両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−2)として、JNC社製FM8826(数平均分子量(Mn)=20,000、分子量分布指数(Mw/Mn=1.06)495.8g、ジフェニルジメトキシシラン(Ph−2;信越化学工業社製KBM−202SS、分子量=244.36)12.1g、エタノールで20倍希釈した水を35g、フェニルトリエトキシシラン(Ph−1;東京化成工業社製、分子量=240.37)6.0g、マツモトファインケミカル社製 テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート(オルガチックスTA−30;分子量=564.75)1.4g。
PDMS−2(FM8826)とPh−1(フェニルトリエトキシシラン)のモル比は、PDMS−2:Ph−1=1:1、PDMS−2(FM8826)とPh−2(ジフェニルジメトキシシラン)のモル比は1:2、PDMS−2(FM8826)とオルガチックスTA−30のモル比は、PDMS−2:TA−30=1:0.1である。
実施例1
[フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−1−1〜1−4)ゾルの調製]
調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−1)ゾルとフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−1)ゾルを(A−1)ゾル/(B−1)ゾル=75/25、50/50、25/75、0/100の質量比で配合し、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−1−1〜1−4)ゾルを調製した。調製されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−1−1〜1−4)ゾルは、80℃で1時間、引き続き180℃で5時間加熱処理することによって固化させた。
実施例2
[フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−2−1〜2−5)ゾルの調製]
調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−2)ゾルとフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−1)ゾルを(A−2)ゾル/(B−1)ゾル=99/1、75/25、50/50、25/75、0/100の質量比で配合し、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−2−1〜2−5)ゾルを調製した。調製されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−2−1〜2−5)ゾルは、80℃で1時間、引き続き180℃で5時間加熱処理することによって固化させた。
実施例3
[フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−3−1〜3−4)ゾルの調製]
調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−4)ゾルとフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−1)ゾルを(A−4)ゾル/(B−1)ゾル=75/25、50/50、25/75、0/100の質量比で配合し、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−3−1〜3−4)ゾルを調製した。調製されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−3−1〜3−4)ゾルは、80℃で1時間、引き続き180℃で5時間加熱処理することによって固化させた。
実施例4
[フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−4−1〜4−4)ゾルの調製]
調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−2)ゾルとフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−2)ゾルを(A−2)ゾル/(B−2)ゾル=75/25、50/50、25/75、0/100の質量比で配合し、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−4−1〜4−4)ゾルを調製した。調製されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−4−1〜4−4)ゾルは、80℃で1時間、引き続き180℃で5時間加熱処理することによって固化させた。
実施例5
[フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−5−1〜5−4)ゾルの調製]
調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−2)ゾルとフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−3)ゾルを(A−2)ゾル/(B−3)ゾル=75/25、50/50、25/75、0/100の質量比で配合し、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−5−1〜5−4)ゾルを調製した。調製されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−5−1〜5−4)ゾルは、80℃で1時間、引き続き180℃で5時間加熱処理することによって固化させた。
実施例6
[フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−6−1〜6−4)ゾルの調製]
調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−3)ゾルとフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−1)ゾルを(A−3)ゾル/(B−1)ゾル=75/25、50/50、25/75、0/100の質量比で配合し、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−6−1〜6−4)ゾルを調製した。調製されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−6−1〜6−4)ゾルは、80℃で1時間、引き続き180℃で5時間加熱処理することによって固化させた。
比較例1
攪拌装置、温度計、滴下ラインを取り付けた反応容器に、窒素ガスを十分に充満させた。このとき、窒素ガスとして、窒素ガス製造装置(ジャパンユニックス社製UNX−200)によって製造したものを用いた。
次に、上記窒素ガスを十分に充満させた上記反応容器内に、両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−1)として、JNC社製FM9927(数平均分子量Mn=32,000、分子量分布指数(Mw/Mn)=1.09)226.2gと、多摩化学工業株式会社製シリケート40(テトラエトキシシランの直鎖状4〜6量体であるオリゴマー;精製により、オリゴマー純度:90質量%、平均分子量=745)23.4gを投入し、室温で30分間攪拌した。
次いで縮合触媒としてジブチル錫ジラウレート 0.02gを投入した後、室温から100℃まで10℃/分の速度で昇温し、さらに100℃で1時間反応させた。その後室温まで自然放冷し、プレポリマー(a−1)のゾルを得た。FM9927に対するシリケート40のオリゴマー純分のモル比は1:4である。
得られた(a−1)ゾルと合成例5で得たフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−1)ゾルを(a−1)ゾル/(B−1)ゾル=75/25、50/50、25/75の質量比で配合し、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(c−1−1〜1−3)ゾルを調製した。調製されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(c−1−1〜1−3)ゾルは、80℃で1時間、引き続き180℃で5時間加熱処理することによって固化させた。
比較例2
比較例1と同様の条件で、反応容器内に、両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−1´)として、モメンティブ社製XF3905(数平均分子量Mn=20,000、分子量分布指数(Mw/Mn)=1.5)226.2gと、多摩化学工業株式会社製シリケート40(テトラエトキシシランの直鎖状4〜6量体であるオリゴマー;精製により、オリゴマー純度:90質量%、平均分子量=745)18.7gを投入し、室温で30分間攪拌した。
次いで縮合触媒としてジブチル錫ジラウレート 0.02gを投入した後、室温から100℃まで10℃/分の速度で昇温し、さらに100℃で1時間反応させた。その後室温まで自然放冷し、プレポリマー(a−2)のゾルを得た。XF3905に対するシリケート40のオリゴマー純分のモル比は1:2である。
得られた(a−2)ゾルと合成例5で得たフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−1)ゾルを(a−2)ゾル/(B−1)ゾル=75/25、50/50、25/75の質量比で配合し、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(c−2−1〜2−3)ゾルを調製した。調製されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(c−2−1〜2−3)ゾルは、80℃で1時間、引き続き200℃で5時間加熱処理することによって固化させた。
比較例3
比較例1と同様の条件で、反応容器内に、両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−2)として、JNC社製FM8826(数平均分子量(Mn)=20,000、分子量分布指数(Mw/Mn=1.06)495.8gとジブチル錫ジラウレート(分子量=631.56)1.5g(1:0.1モル)を投入し、室温で15分間撹拌混合して(b−1)ゾルを得た。
合成例2で得たフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−2)ゾルと(b−1)ゾルを(A−2)ゾル/(b−1)ゾル==75/25、50/50、25/75、0/100の質量比で配合し、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(c−3−1〜3−4)ゾルを調製した。調製されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(c−3−1〜3−4)ゾルは、80℃で1時間、引き続き200℃で5時間加熱処理することによって固化させた。この固化物は表面のうねりが大きく、用途によっては使用上問題となる。
<耐熱性評価方法>
耐熱性の評価方法としては、直径50mmのアルミニウム製カップに膜厚8mmとなるように、実施例1〜6のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の各ゾル及び比較例1〜3の各ゾルをそれぞれ充填し、熱処理工程を経て固化体を作製し、そのアルミニウム製カップをそれぞれ対流式の乾燥炉にて大気中で250℃の環境下に1,000時間まで保管し、100時間後、500時間後及び1,000時間後における各サンプルの質量を電子天秤で測定して質量減少率を計算した(ただし、実施例3は、24時間後及び100時間後)。本発明品の応用として検討されているSiC、GaNといった次世代パワーモジュールでは、モジュール回路での凹凸を埋める目的で1cm程度の封止を要求されることが多い。そのことを考慮し、評価での膜厚を8mmとした。評価結果をまとめて表1〜表3に示す。
<硬度評価方法>
硬度測定評価は、実施例1〜6の試料と、比較例1〜3の試料(膜厚8mm)を、それぞれ対流式の乾燥炉にて大気中で250℃の環境下に1,000時間まで保管し、100時間後、500時間後及び1,000時間後における各サンプルの硬度をJIS K 6253、ISO 7619に準じて、軟質ゴム(低硬度)用のタイプEデュロメータを用い測定した(n=5)(ただし、実施例3は、24時間後及び100時間後)。評価結果をまとめて表1〜表3に示す。
<粘着力評価方法>
測定サンプル作成方法:
サンプル:直径50mmのアルミニウム製カップに、実施例1〜6のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の各ゾル及び比較例1〜3の各ゾルをそれぞれ10g充填し、加熱処理工程を経て固化体を作製した。各アルミニウム製カップを対流式の乾燥炉にて大気中で250℃の環境下に1,000時間まで保管し、100時間後、500時間後及び1,000時間後における各サンプルとした(ただし、実施例3は、24時間後及び100時間後)。
測定用フォースゲージの準備:
フォースゲージ(エーアンドディー社製 AD−4932A−50N)を使用し、測定に使うプローブは、先端にカバーガラス(□18mm)を粘着テープで固定したものを使用する。
測定方法は次の通りであった。まず、フォースゲージの表示を確認しながらカバーガラスを固定したプローブを、平らなサンプル面に20Nの力で押し付けた(S1)。次に、力を除去してカバーガラスのプローブがサンプル面に付着した状態に戻して、ゼロにリセットした(S2)。次に、アルミカップを固定し、カバーガラスのプローブをサンプル面から引きはがすようにフォースゲージを持ち上げ、サンプル面の粘着強度が最も大きくなった値を読み取った(S3)。S1〜S3の操作を5回繰り返して測定し、上限値と下限値を除いた3回分の値の平均をとって測定値とした。結果を表1〜表3に示す。
Figure 2016104621
Figure 2016104621
Figure 2016104621
<耐熱性評価結果>
表1〜表3から、本発明のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)から得たポリマー(実施例1〜6)及び比較例1及び3のポリマーは、いずれのサンプルにおいても重量減少率は小さく、十分な耐熱性を有することが分かる。一方、比較例2のポリマーは分子量分布指数が1.4超える1.5の両末端にシラノール基を有するPDMSを使用していることから、重量減少率が大きい。
<硬度評価結果>
表1〜表3から、本発明のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)から得たポリマー(実施例1〜6)においては、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)の組成や(A)/(B)の混合比率を変更することで、E30以下の低硬度品から、E40程度のものまで用途に応じて幅広い製品を得ることができる。一方、比較例1〜3のポリマーは、比較例3のc−3−1以外は硬度がE50を超え硬すぎる。
<粘着力評価結果>
表1〜表3から、本発明のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)から得たポリマー(実施例1〜6)においては、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)の組成や(A)/(B)の混合比率を変更することで、粘着性を用途に応じて調整することができる。一方、比較例1〜3のポリマーは、比較例3のc−3−1以外は粘着性が低すぎる。
<まとめ>
以上の結果から、本発明のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)から得たポリマー(実施例1〜6)は、耐熱性に優れると共に、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)の組成や(A)/(B)の混合比率を変更することで、広い範囲で硬度や粘着性を調整できる。一方、比較例1〜3のポリマーは、高耐熱性かつ硬度、粘着性を自由に調整するという本発明の目的を達成することができない。
以上のように、本発明において、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)は、要求される材料硬度や表面特性(粘着性)によって適宜配合され、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)を与える。その後ハイブリッドプレポリマー(C)は、加熱処理され固化体を与える。放熱シートなどでは、ハイブリッドプレポリマー(C)に、熱伝導性を付与する目的からセラミックス粒子などが配合され、混練、加工処理が施されシートなどの形状に成形され、加熱処理を経て固化体となる。固化体表面の粘着性を必要とする場合には、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)の配合比率を上げ、逆に固化体表面の離型性が要求される場合は、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の配合比率を上げる。
フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)は、ゾルの質量比として、(A)含有ゾル/(B)含有ゾル=100/0(ただし、100/0を除く)〜0:100の混合比で配合することが可能である。100:0(ただし、100/0を除く)、即ち、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が極めて多いプレポリマーを熱硬化させて得られた固化体は、200℃以上でも粘着性に富むゲル状の固化体を長時間に亘って維持する。一方0:100、即ち、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)のみを熱硬化させて得られた固化体は、表面の離型性に優れた高硬度の硬質膜を得ることが可能である。配合比率に関しては質量比で、(A)含有ゾル/(B)含有ゾル=100/0(ただし、100/0を除く)〜0/100と広く設定が可能である。質量比は、(A)含有ゾル/(B)含有ゾル=99/1〜20/80であることがより好ましい。なお、放熱シートのような部材に関しては、柔軟性を必要とすることから、配合比は、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)を過多にすることが望ましく、(A)含有ゾル/(B)含有ゾルは99/1〜65/35程度にすることで、柔軟性が要求される放熱シートのような部材のマトリックス材として好適な材料を得ることができる。
[変更例]
本発明は上記実施例のみに限定されるものではなく、請求の範囲および明細書の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更、削除および付加が可能である。
上記実施例において、上記フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)は、ゾルであるので、熱処理して固体または半固体(ゲル)である成形物を得るには、上記フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマーゾルを金型等のトレイに塗布または充填し、乾燥焼成処理することによって、固化(ゲル化)させる。成形形状は特に限定されないが、一般的にはシート状、板状に成形され、接着性を利用し被接合体に介在させる用途に応用することも可能である。本発明のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマーゾルの固化物(ゲル化物)は、高温雰囲気下における弾性特性に特徴があり、冷熱衝撃による被接着材料の熱膨張緩和能力に優れている。そのために、異なった材質の被接着材料間に介在させ、熱応力を緩和する接着層として使用することができる。
以上のように、本発明は、耐熱性が要求される弾性体において、材料硬度を制御し、かつ接着力、耐熱性を維持することを目的とする。耐熱弾性材料の応用においては、ゲルに近い低硬度を要求される場合もあれば、タックフリーの硬質表面を要望される場合もある。本発明によれば、組成を再検討する必要なく、2液の混合比率を変更することで容易に材料硬度を制御し、なおかつ接着特性、200℃以上の耐熱特性を維持することが可能となる。
本発明を要約すると以下の通りである。
(1)本発明の第1の局面に従ったフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)は、両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン、フェニルトリアルコキシシラン及びジフェニルジアルコキシシランを加水分解・縮合反応させることによって調製されたプレポリマーである。
(2)本発明の第1の局面に従った(1)のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)は、前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が3,000〜30,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.3以下であることが好ましい。
(3)本発明の第1の局面に従った(1)または(2)のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)は、前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、前記フェニルトリアルコキシシラン0.5〜3mol、前記ジフェニルジアルコキシシラン0.5〜3molのモル比で加水分解・縮合反応させることによって調製されたものであることが好ましい。
(4)本発明の第1の局面に従った(1)から(3)のいずれかのフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)は、チタンのアルコキシド類を縮合触媒として調製されたものであることが好ましい。
(5)本発明の第1の局面に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)は、少なくとも、(1)から(4)までのいずれかに記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)を含む。
(6)本発明の第1の局面に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)は、(1)から(4)までのいずれかに記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンとフェニルトリアルコキシシランとを縮合反応させることによって調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合することによって調製されたものであることが好ましい。
(7)本発明の第1の局面に従った(6)のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)は、前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が18,000〜60,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.4以下であることが好ましい。
(8)本発明の第1の局面に従った(6)または(7)のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)は、前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)の調製に用いる前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が、前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の調製に用いる前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)よりも大きいことが好ましい。
(9)本発明の第1の局面に従った(6)から(8)のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)は、前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が、前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、フェニルトリアルコキシシラン0.5〜5molのモル比で縮合反応させることによって調製されたものであることが好ましい。
(10)本発明の第1の局面に従った(6)から(9)のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)は、前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が、チタンのアルコキシド類を縮合触媒として調製されたものであることが好ましい。
(11)本発明の第1の局面に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマーは、(5)から(10)までのいずれかに記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)を加熱固化させて得られる。
(12)本発明の第2の局面に従ったフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の製造方法は、両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン、フェニルトリアルコキシシラン及びジフェニルジアルコキシシランを加水分解・縮合反応させる工程を含む。
(13)本発明の第2の局面に従った(12)のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の製造方法は、前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が3,000〜30,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.3以下であることが好ましい。
(14)本発明の第2の局面に従った(12)または(13)のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の製造方法は、前記加水分解・縮合反応させる工程は、前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、前記フェニルトリアルコキシシラン0.5〜3mol、前記ジフェニルジアルコキシシラン0.5〜3molのモル比で加水分解・縮合反応させることが好ましい。
(15)本発明の第2の局面に従った(12)から(14)のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の製造方法は、前記加水分解・縮合反応させる工程において、チタンのアルコキシド類を縮合触媒として用いることが好ましい。
(16)本発明の第2の局面に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の製造方法は、(12)から(15)のいずれかの製造方法によって製造されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンとフェニルトリアルコキシシランとを縮合反応させることによって調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合する工程を含む。
(17)本発明の第2の局面に従った(16)のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の製造方法は、前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が18,000〜60,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.4以下であることが好ましい。
(18)本発明の第2の局面に従った(16)または(17)のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の製造方法は、前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)の調製に用いる前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が、前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の調製に用いる前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)よりも大きいことが好ましい。
(19)本発明の第2の局面に従った(16)から(18)のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の製造方法は、前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が、前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、フェニルトリアルコキシシラン0.5〜5molのモル比で縮合反応させることによって調製されたものであることが好ましい。
(20)本発明の第2の局面に従った(16)から(19)のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の製造方法は、前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が、チタンのアルコキシド類を縮合触媒として調製されたものであることが好ましい。
(21)本発明の第2の局面に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマーの製造方法は、(12)から(15)までのいずれかの製造方法で製造されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)を含むフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)、または、(16)から(20)までのいずれかの製造方法で製造されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)を加熱固化させる工程を含む。
(22)本発明の第3の局面に従ったフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)は、式(Ia)または(Ib)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)であって、式中、R,Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(R,Rは同じでも異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基であって、nは正の整数、p=0,1,2、p=0,1,2、ただし、p+p≧1、q=0,1,2、q=0,1,2、ただし、q+q≧1、p=0,1、p=0,1、ただし、p≧p、p≧p、q=0,1,2、q=0,1,2である。
Figure 2016104621
(23)本発明の第4の局面に従ったフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)は、式(Ic),(Id),(Ie),(Ic’),(Id’)または(Ie’)のいずれかで表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)であって、式中、R,Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(R,Rは同じでも異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、MはTiまたはZrであって、nは正の整数、p=0,1,2、p=0,1,2、ただし、p+p≧1、q=0,1,2、q=0,1,2、ただし、q+q≧1、p=0,1、p=0,1、ただし、p≧p、p≧p、q=0,1,2、q=0,1,2、r=0,1、r=0,1、r=0,1、r=0,1、ただし、r+r+r+r≦2である。
Figure 2016104621
Figure 2016104621
(24)本発明の第5の局面に従ったフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)は、式(If),(Ig),(Ih),(If’),(Ig’)または(Ih’)のいずれかで表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)であって、式中、R,Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(R,Rは同じでも異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、MはAlであって、nは正の整数、p=0,1,2、p=0,1,2、ただし、p+p≧1、q=0,1,2、q=0,1,2、ただし、q+q≧1、p=0,1、p=0,1、ただし、p≧p、p≧p、q=0,1,2、q=0,1,2、s=0,1、s=0,1、s=0,1、s=0,1、ただし、s+s+s+s≦2である。
Figure 2016104621
Figure 2016104621
(25)本発明の第6の局面に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)は、(22)から(24)までのいずれかのフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、式(IIa)または(IIb)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)であって、式中、Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基であり、mは正の整数、x=0,1,2,3、x=0,1,2,3、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、ただし、x+x≧1、x+x≧1、x≧x、x≧xである、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合して得られたものである。
Figure 2016104621
(26)本発明の第7の局面に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)は、(22)から(24)までのいずれかのフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、式(IIc),(IId),(IIc’)または(IId’)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)であって、式中、Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、MはTiまたはZrであり、mは正の整数、x=0,1,2,3、x=0,1,2,3、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、ただし、x+x≧1、x+x≧1、x≧x、x≧x、y=0,1、y=0,1、y=0,1、y=0,1、ただし、y+y+y+y≦2である、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合して得られたものである。
Figure 2016104621
Figure 2016104621
(27)本発明の第8の局面に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)は、(22)から(24)までのいずれかのフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、式(IIe),(IIf),(IIe’)または(IIf’)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)であって、式中、Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、MはAlであり、mは正の整数、x=0,1,2,3、x=0,1,2,3、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、ただし、x+x≧1、x+x≧1、x≧x、x≧x、z=0,1、z=0,1、z=0,1、z=0,1、ただし、z+z+z+z≦2である、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合して得られたものである。
Figure 2016104621
Figure 2016104621
(28)本発明の第9の局面に従ったフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマーは、(22)から(24)までのいずれかのフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)を含むフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)、または、(25)から(27)のいずれかのフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)を加熱固化させたものである。
本発明のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマーは、耐熱性のある固化物を与え、表面特性を制御することによって、該固化物は、柔軟性が要求される放熱シートのような部材のマトリックス材、発熱性素子の封止材、あるいは接着剤や電子部品、電機部品等の絶縁用または固定用等のフィルムやテープとして幅広い耐熱部材として産業上の利用が可能である。
さらに、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)の原料となるポリジメチルシロキサン(PDMS−1)の数平均分子量(Mn)は、18,000〜60,000であることが好ましい。数平均分子量(Mn)が18,000以上であれば、固化体の耐熱性を高めることができるとともに粘着性を発現させることができる。また、数平均分子量が60,000以下であれば、容易に合成することができる。数平均分子量(Mn)が18,000未満であると、固化体の耐熱性が低下するとともに粘着性が発現しにくくなる場合があり、逆に60,000を超えると合成が困難となる場合がある。耐熱維持特性、粘着性、粘度、合成の容易性等を考慮すると、より好ましい数平均分子量は、概ね20,000〜48,000であり、さらに好ましくは25,000〜45,000であり、最も好ましくは30,000〜40,000である。
さらに、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の原料となるポリジメチルシロキサン(PDMS−2)の数平均分子量(Mn)は、3,000〜30,000であることが好ましい。数平均分子量(Mn)が3,000以上であれば、固化体の耐熱性を高めることができるとともに固化体の収縮を抑え、成形を容易にすることができる。また、数平均分子量(Mn)が30,000以下であれば、硬度を高め、粘着性を抑えることができる。数平均分子量(Mn)が3,000未満であると、固化体の耐熱性が低下するとともに固化体の収縮も大きく成形が困難となるおそれがある。逆に30,000を超えるとポリマー特有の低硬度化によってフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)にも粘着性が生じ、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)及び固化体の粘着性を制御できなくなるおそれがある。耐熱維持特性、収縮率、粘着性等を考慮すると、より好ましい数平均分子量は、概ね5,000〜28,000であり、さらに好ましくは12,000〜25,000であり、最も好ましくは18,000〜23,000である。
アニオンリビング重合法を用いて合成された末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンとしては、JNC株式会社製FM8813(代表値:Mn=3,000、Mw/Mn:1.10;ロット間ばらつきがあり、Mn=2,950〜3,100、Mw/Mn=1.05〜1.15)、FM8821(代表値:Mn=6,000、Mw/Mn:1.10;ロット間ばらつきがあり、Mn=5,900〜6,200、Mw/Mn=1.06〜1.16)、FM8825(代表値:Mn=10,000、Mw/Mn:1.10;ロット間ばらつきがあり、Mn=10,000〜13,500、Mw/Mn=1.06〜1.18)、FM8826(代表値:Mn=20,000、Mw/Mn=1.06;ロット間ばらつきがあり、Mn=19,000〜23,000、Mw/Mn=1.06〜1.18)等が挙げられる。特に250℃以上の高温下での用途には、FM8826が好ましい。FM8813、FM8821、FM8825、FM8826のMn及びMw/Mnについては、それぞれ概ね上記範囲のロット間ばらつきがあるが、この範囲内のばらつきにより、得られるフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)、さらにはフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)及び固化体の物性等に大きな差を生じることはない。
<平均分子量の測定>
PDMS−1及びPDMS−2の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC法)により測定し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比を分子量分布指数とした。標準試料としてポリスチレンを用い、ポリスチレン換算分子量を測定した。
なおGPC法によるポリスチレン換算分子量測定は、以下の測定条件で行うものとする。
a)測定機器:SIC Autosampler Model 09
Sugai U−620 COLUMN HEATER
Uniflows UF−3005S2B2
b)検出器 :MILLIPORE Waters 410
Differential Refractometer
c)カラム :Shodex KF806M×2本
d)オーブン温度:40℃
e)溶離液 :テトラヒドロフラン(THF) 1.0mL/min
f)標準試料:ポリスチレン
g)注入量 :100μL
h)濃度 :0.020g/10mL
i)試料調製:2,6−ジ−tert−ブチル−p−フェノール(BHT)が0.2重量%添加されたTHFを溶媒として、室温で攪拌して溶解させた。
j)補正 :検量線測定時と試料測定時とのBHTのピークのずれを補正して、分子量計算を行った。
上記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−1)とフェニルトリアルコキシシランの反応には、チタンアルコキシド類化合物を触媒として用いることが好ましい。前記有機金属化合物を用いることも可能であるが、耐熱用途を考慮した場合、負触媒効果の低いTi系触媒が望ましい。Ti系(Tiアルコキシド類)触媒としては、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンジ−2−エチルへキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)等が挙げられる。Ti系触媒を用いた場合は、反応中のゾルが黄色や黄褐色に着色しやすい。製品に応用する際、黄色系は劣化色として敬遠されやすいため、中でも特にゾルが発色しにくいテトラ(2−エチルヘキシル)チタネートを使用することが好ましい。
上記縮合反応を行う際には、PDMSやフェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジアルコキシシランなどの安定的な加水分解、脱水、脱アルコール反応を行うために、反応に使用する容器内に不活性ガスを充満させた雰囲気とすることが望ましい。不活性ガスとしては、窒素ガスや希ガス類である第18族元素(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等)が挙げられる。また、これらガスを混合して用いてもよい。加水分解の方法としては、適量の水の滴下、噴霧をはじめ、水蒸気の導入など種々の手法が考えられる。導入する水の量は、使用するアルコキシシランモノマーの種類による反応性の違いを考慮し、適宜調整すればよい。加水分解を受けた上記フェニルアルコキシシランまたはジフェニルジアルコキシシランのアルコキシ基はシラノール基になり、不活性ガスの存在下にて加熱することによって、一部残存するアルコキシ基とともにPDMS両末端のシラノール基またはトリアルコキシシリル基と縮合反応を起こす。例えば、分子量分布指数(Mw/Mn)が十分小さいPDMSとフェニル基を有するアルコキシシランとの縮合反応は、反応温度と不活性ガス雰囲気中の水分量を一定にして安定化させることで、比較的低温で迅速に完了することができる。なお、より反応を安定化させるためには、合成初期において還流管等を取り付け、一定時間反応させることも望ましい。
〔フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)の調製方法〕
フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)の調製(合成)には、攪拌装置、温度計、滴下ラインを取り付けた反応容器(挿入口が複数個あるフラスコ)を用いる。合成をより精密に実施する場合には、還流装置を付随させることも望ましい。撹拌には、撹拌羽の付随した回転式撹拌機、マグネチックスターラー、二軸遊星式撹拌装置、超音波洗浄装置など、反応に寄与する高粘度液状原料を均質に混ぜる効果があれば特に制限はない。しかし温度制御、雰囲気制御、成分滴下ラインなどを付随させることから、回転式撹拌機、マグネチックスターラーなどが望ましい。合成温度は均一性が重要であり、合成容量が小さい場合には、ホットプレートなど簡易的な手法で十分であるが、5Lを超えるような量産ラインでは、マントルヒーターなど保温性や均質性の高い加温方法が望ましい。合成温度は60〜100℃の間で適宜設定される。低温で長期間反応させる場合や高温で短時間に合成される場合など、原料の種別、配合比率、合成設備などによって個別に設定される。合成雰囲気は、不活性ガスとして例えば窒素ガスを使用し、該反応容器内に含有水分量を一定にした窒素ガスを十分に充満させる。このとき、窒素ガスには、窒素ガス製造装置を用いることが望ましい。窒素供給にはボンベや液体窒素からの供給も当然可能であるが、合成が長時間に及ぶ場合などもあり、供給圧力の変動も少ない製造装置を用いる方が望ましい。
フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)を任意の割合で混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)を調製することができる。混合方法は限定的ではないが、二軸遊星式撹拌装置など、外気の影響を受けにくい装置が望ましい。得られたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)は、加熱工程を経て固化体となる。加熱方法としては、送風式、循環式などの電気炉、雰囲気炉など制約はない。

Claims (28)

  1. 両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン、フェニルトリアルコキシシラン及びジフェニルジアルコキシシランを加水分解・縮合反応させることによって調製されたプレポリマーである、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)。
  2. 前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が3,000〜30,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.3以下である、請求項1に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)。
  3. 前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、前記フェニルトリアルコキシシラン0.5〜3mol、前記ジフェニルジアルコキシシラン0.5〜3molのモル比で加水分解・縮合反応させることによって調製されたものである、請求項1または請求項2に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)。
  4. チタンのアルコキシド類を縮合触媒として調製されたものである、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)。
  5. 少なくとも、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)を含む、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、
    両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンとフェニルトリアルコキシシランとを縮合反応させることによって調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合することによって調製された、請求項5に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
  7. 前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が18,000〜60,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.4以下である、請求項6に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
  8. 前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)の調製に用いる前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が、前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の調製に用いる前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)よりも大きい、請求項6または請求項7に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
  9. 前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が、前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、フェニルトリアルコキシシラン0.5〜5molのモル比で縮合反応させることによって調製されたものである、請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
  10. 前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が、チタンのアルコキシド類を縮合触媒として調製されたものである、請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
  11. 請求項5から請求項10までのいずれか1項に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)を加熱固化させて得られる、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマー。
  12. 両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン、フェニルトリアルコキシシラン及びジフェニルジアルコキシシランを加水分解・縮合反応させる工程を含む、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の製造方法。
  13. 前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が3,000〜30,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.3以下である、請求項12に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の製造方法。
  14. 前記加水分解・縮合反応させる工程は、前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、前記フェニルトリアルコキシシラン0.5〜3mol、前記ジフェニルジアルコキシシラン0.5〜3molのモル比で加水分解・縮合反応させる、請求項12または請求項13に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の製造方法。
  15. 前記加水分解・縮合反応させる工程において、チタンのアルコキシド類を縮合触媒として用いる、請求項12から請求項14までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の製造方法。
  16. 請求項12から請求項15までのいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、
    両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンとフェニルトリアルコキシシランとを縮合反応させることによって調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合する工程を含む、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の製造方法。
  17. 前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が18,000〜60,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.4以下である、請求項16に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の製造方法。
  18. 前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)の調製に用いる前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が、前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の調製に用いる前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)よりも大きい、請求項16または請求項17に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の製造方法。
  19. 前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が、前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、フェニルトリアルコキシシラン0.5〜5molのモル比で縮合反応させることによって調製されたものである、請求項16から請求項18までのいずれか1項に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の製造方法。
  20. 前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が、チタンのアルコキシド類を縮合触媒として調製されたものである、請求項16から請求項19までのいずれか1項に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の製造方法。
  21. 請求項12から請求項15までのいずれか1項に記載の製造方法で製造されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)を含むフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)、または、請求項16から請求項20までのいずれか1項に記載の製造方法で製造されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)を加熱固化させる工程を含む、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマーの製造方法。
  22. 式(Ia)または(Ib)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)であって、
    式中、R,Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(R,Rは同じでも異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基であって、
    nは正の整数、p=0,1,2、p=0,1,2、ただし、p+p≧1、q=0,1,2、q=0,1,2、ただし、q+q≧1、p=0,1、p=0,1、ただし、p≧p、p≧p、q=0,1,2、q=0,1,2である、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)。
    Figure 2016104621
  23. 式(Ic),(Id),(Ie),(Ic’),(Id’)または(Ie’)のいずれかで表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)であって、
    式中、R,Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(R,Rは同じでも異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、MはTiまたはZrであって、
    nは正の整数、p=0,1,2、p=0,1,2、ただし、p+p≧1、q=0,1,2、q=0,1,2、ただし、q+q≧1、p=0,1、p=0,1、ただし、p≧p、p≧p、q=0,1,2、q=0,1,2、r=0,1、r=0,1、r=0,1、r=0,1、ただし、r+r+r+r≦2である、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)。
    Figure 2016104621
    Figure 2016104621
  24. 式(If),(Ig),(Ih),(If’),(Ig’)または(Ih’)のいずれかで表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)であって、
    式中、R,Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(R,Rは同じでも異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよく、複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、MはAlであって、
    nは正の整数、p=0,1,2、p=0,1,2、ただし、p+p≧1、q=0,1,2、q=0,1,2、ただし、q+q≧1、p=0,1、p=0,1、ただし、p≧p、p≧p、q=0,1,2、q=0,1,2、s=0,1、s=0,1、s=0,1、s=0,1、ただし、s+s+s+s≦2である、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)。
    Figure 2016104621
    Figure 2016104621
  25. 請求項22から請求項24までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、
    式(IIa)または(IIb)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)であって、
    式中、Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基であり、
    mは正の整数、x=0,1,2,3、x=0,1,2,3、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、ただし、x+x≧1、x+x≧1、x≧x、x≧xである、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合して得られたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
    Figure 2016104621
  26. 請求項22から請求項24までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、
    式(IIc),(IId),(IIc’)または(IId’)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)であって、
    式中、Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、MはTiまたはZrであり、
    mは正の整数、x=0,1,2,3、x=0,1,2,3、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、ただし、x+x≧1、x+x≧1、x≧x、x≧x、y=0,1、y=0,1、y=0,1、y=0,1、ただし、y+y+y+y≦2である、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合して得られたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
    Figure 2016104621
    Figure 2016104621
  27. 請求項22から請求項24までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、
    式(IIe),(IIf),(IIe’)または(IIf’)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)であって、
    式中、Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、MはAlであり、
    mは正の整数、x=0,1,2,3、x=0,1,2,3、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、x=0,1,2、ただし、x+x≧1、x+x≧1、x≧x、x≧x、z=0,1、z=0,1、z=0,1、z=0,1、ただし、z+z+z+z≦2である、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合して得られたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
    Figure 2016104621
    Figure 2016104621
  28. 請求項22から請求項24までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)を含むフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)、または、請求項25から請求項27までのいずれか1項に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)を加熱固化させたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマー。

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