JPWO2016104621A1 - フェニル変性ハイブリッドプレポリマー、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー及びフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマー並びにそれらの製造方法 - Google Patents
フェニル変性ハイブリッドプレポリマー、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー及びフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマー並びにそれらの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
〔両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−1)〕
表面粘着性を発現する効果を有するフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)のPDMS原料は、両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−1)であり、一般式(1)で表されるものであることが好ましい。
表面離型性を発現するフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)のPDMS原料は、両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−2)であり、一般式(2)で表されるものであることが好ましい。
PDMS−1及びPDMS−2の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC法)により測定し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比を分子量分布指数とした。標準試料としてポリスチレンを用い、ポリスチレン換算分子量を測定した。
なおGPC(ゲル浸透クロマトグラフ)法によるポリスチレン換算分子量測定は、以下の測定条件で行うものとする。
a)測定機器:SIC Autosampler Model 09
Sugai U−620 COLUMN HEATER
Uniflows UF−3005S2B2
b)検出器 :MILLIPORE Waters 410
Differential Refractometer
c)カラム :Shodex KF806M×2本
d)オーブン温度:40℃
e)溶離液 :テトラヒドロフラン(THF) 1.0mL/min
f)標準試料:ポリスチレン
g)注入量 :100μL
h)濃度 :0.020g/10mL
i)試料調製:2,6−ジ−tert−ブチル−p−フェノール(BHT)が0.2重量%添加されたTHFを溶媒として、室温で攪拌して溶解させた。
j)補正 :検量線測定時と試料測定時とのBHTのピークのずれを補正して、分子量計算を行った。
本発明においてフェニル変性を行うための原材料として使用するフェニルアルコキシシランとは、フェニル基を分子内に一つもしくは二つ有するアルコキシシランであり、アルコキシ基の加水分解によって、シラノール基を生成し、脱アルコール反応または脱水反応によってPDMSまたは変性されたPDMSと縮合する。アルコキシ基に制約は無いが、炭素数1〜3のものが一般的に用いられ、特にメトキシ基、エトキシ基が望ましい。
〔フェニル変性ハイブリッドプレポリマーゾルの製造〕
本発明において、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)及び(B)は、それぞれ上記PDMS−1とフェニルトリアルコキシシランとの縮合反応、PDMS−2、フェニルトリアルコキシシラン及びジフェニルジアルコキシシランの部分的または完全加水分解・縮合反応によって調製される。縮合反応には、通常有機金属触媒、あるいは金属アルコキシド系触媒が用いられる。有機金属触媒には、ジブチル錫ジラウレートやジブチル錫ジ−2−エチルヘキソエート等の有機錫化合物やビスマス、亜鉛、ジルコニウム系の有機金属化合物を用いることも多い。またテトラ(2−エチルヘキシル)チタネート等の有機チタン化合物などといった有機金属アルコキシド縮合触媒や加水分解を目的に塩酸等の酸触媒、アンモニア等のアルカリ触媒などが使用されることもある。しかし耐熱環境、特に250℃以上の使用環境では、有機金属触媒の多くは負触媒となることがあり、ポリマー分子骨格の切断といった耐熱特性を悪化させる効果を発現しやすい。このため、ハイブリッドプレポリマーの合成やハイブリッドプレポリマーから固化体を得るための固化触媒に、安易に上記触媒を使用することは難しい。
両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−1)と、フェニルトリアルコキシシラン(Ph−1)との配合比は、(PDMS−1)1molに対し、(Ph−1)が0.5〜5molのモル比であることが好ましい。モル比が上記の範囲であれば、縮合反応が円滑に行われ、(Ph−1)が多い場合、柔軟性が損なわれるおそれがある。逆に(Ph−1)が少ない場合は、耐熱維持性が悪くなり最終的に固化しにくくなる。配合比は、(PDMS−1)1molに対し、(Ph−1)が1〜4molのモル比であることがより好ましい。
フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)の調製(合成)には、攪拌装置、温度計、滴下ラインを取り付けた反応容器(挿入口が複数個あるフラスコ)を用いる。合成をより精密に実施する場合には、還流装置を付随させることも望ましい。撹拌には、撹拌羽の付随した回転式撹拌機、マグネチックスターラー、二軸遊星式撹拌装置、超音波洗浄装置など、反応に寄与する高粘度液状原料を均質に混ぜる効果があれば特に制限はない。しかし温度制御、雰囲気制御、成分滴下ラインなどを付随させることから、回転式撹拌機、マグネチックスターラーなどが望ましい。合成温度は均一性が重要であり、合成容量が小さい場合には、ホットプレートなど簡易的な手法で十分であるが、5Lを超えるような量産ラインでは、マントルヒーターなど保温性や均質性の高い加温方法が望ましい。合成温度は60〜100℃の間で適宜設定される。低温で長期間反応させる場合や高温で短時間に合成される場合など、原料の種別、配合比率、合成設備などによって個別に設定される。合成雰囲気は、不活性ガスとして例えば窒素ガスを使用し、該反応容器内に含有水分量を一定にした窒素ガスを十分に充満させる。このとき、窒素ガスには、窒素ガス製造装置を用いることが望ましい。窒素供給にはボンベや液体窒素からの供給も当然可能であるが、合成が長時間に及ぶ場合などもあり、供給圧力の変動も少ない製造装置を用いる方が望ましい。
〔有機金属化合物〕
本発明においては、耐熱特性の観点から金属化合物触媒を使用することは望ましくない。しかし用途が耐熱性でない場合、あるいは180〜200℃での使用であり、大気暴露でない場合など、用途によっては金属化合物触媒を使用することもできる。金属化合物触媒の多くは有機金属化合物であるが、固化触媒として使用すれば、低温短時間での処理が可能となる。通常PDMS系材料の固化剤として使用されるもの、例えばSn系、Ti系、Al系、Zn系、Zr系、Bi系等の有機金属化合物、金属アルコキシド、金属キレート化合物のうち少なくとも1種類以上が選択される。
尚、実施例における「部」、「%」は特記のない限りいずれも質量基準(質量部、質量%)である。
また、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
[フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−1)ゾルの調製]
攪拌装置、温度計、滴下ラインを取り付けた反応容器に、窒素ガスを十分に充満させた。このとき、窒素ガスとして、窒素ガス製造装置(ジャパンユニックス社製UNX−200)によって製造したものを用いた。
[フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−2)ゾルの調製]
合成例1と同様にして、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−2)ゾルを調製した。用いた原料は下記の通りである。
[フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−3)ゾルの調製]
合成例1と同様にして、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−3)ゾルを調製した。用いた原料は下記の通りである。
[フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−4)ゾルの調製]
合成例1と同様にして、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−4)ゾルを調製した。用いた原料は下記の通りである。
[フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−1)ゾルの調製]
攪拌装置、温度計、滴下ラインを取り付けた反応容器に、窒素ガスを十分に充満させた。このとき、窒素ガスとして、窒素ガス製造装置(ジャパンユニックス社製UNX−200)によって製造したものを用いた。
[フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−2)ゾルの調製]
合成例5と同様にして、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−2)ゾルを調製した。用いた原料は下記の通りである。
[フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−3)ゾルの調製]
合成例5と同様にして、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−3)ゾルを調製した。用いた原料は下記の通りである。
[フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−1−1〜1−4)ゾルの調製]
調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−1)ゾルとフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−1)ゾルを(A−1)ゾル/(B−1)ゾル=75/25、50/50、25/75、0/100の質量比で配合し、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−1−1〜1−4)ゾルを調製した。調製されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−1−1〜1−4)ゾルは、80℃で1時間、引き続き180℃で5時間加熱処理することによって固化させた。
[フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−2−1〜2−5)ゾルの調製]
調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−2)ゾルとフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−1)ゾルを(A−2)ゾル/(B−1)ゾル=99/1、75/25、50/50、25/75、0/100の質量比で配合し、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−2−1〜2−5)ゾルを調製した。調製されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−2−1〜2−5)ゾルは、80℃で1時間、引き続き180℃で5時間加熱処理することによって固化させた。
[フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−3−1〜3−4)ゾルの調製]
調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−4)ゾルとフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−1)ゾルを(A−4)ゾル/(B−1)ゾル=75/25、50/50、25/75、0/100の質量比で配合し、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−3−1〜3−4)ゾルを調製した。調製されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−3−1〜3−4)ゾルは、80℃で1時間、引き続き180℃で5時間加熱処理することによって固化させた。
[フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−4−1〜4−4)ゾルの調製]
調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−2)ゾルとフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−2)ゾルを(A−2)ゾル/(B−2)ゾル=75/25、50/50、25/75、0/100の質量比で配合し、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−4−1〜4−4)ゾルを調製した。調製されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−4−1〜4−4)ゾルは、80℃で1時間、引き続き180℃で5時間加熱処理することによって固化させた。
[フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−5−1〜5−4)ゾルの調製]
調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−2)ゾルとフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−3)ゾルを(A−2)ゾル/(B−3)ゾル=75/25、50/50、25/75、0/100の質量比で配合し、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−5−1〜5−4)ゾルを調製した。調製されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−5−1〜5−4)ゾルは、80℃で1時間、引き続き180℃で5時間加熱処理することによって固化させた。
[フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−6−1〜6−4)ゾルの調製]
調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A−3)ゾルとフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B−1)ゾルを(A−3)ゾル/(B−1)ゾル=75/25、50/50、25/75、0/100の質量比で配合し、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌混合することにより、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−6−1〜6−4)ゾルを調製した。調製されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C−6−1〜6−4)ゾルは、80℃で1時間、引き続き180℃で5時間加熱処理することによって固化させた。
攪拌装置、温度計、滴下ラインを取り付けた反応容器に、窒素ガスを十分に充満させた。このとき、窒素ガスとして、窒素ガス製造装置(ジャパンユニックス社製UNX−200)によって製造したものを用いた。
比較例1と同様の条件で、反応容器内に、両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−1´)として、モメンティブ社製XF3905(数平均分子量Mn=20,000、分子量分布指数(Mw/Mn)=1.5)226.2gと、多摩化学工業株式会社製シリケート40(テトラエトキシシランの直鎖状4〜6量体であるオリゴマー;精製により、オリゴマー純度:90質量%、平均分子量=745)18.7gを投入し、室温で30分間攪拌した。
比較例1と同様の条件で、反応容器内に、両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS−2)として、JNC社製FM8826(数平均分子量(Mn)=20,000、分子量分布指数(Mw/Mn=1.06)495.8gとジブチル錫ジラウレート(分子量=631.56)1.5g(1:0.1モル)を投入し、室温で15分間撹拌混合して(b−1)ゾルを得た。
耐熱性の評価方法としては、直径50mmのアルミニウム製カップに膜厚8mmとなるように、実施例1〜6のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の各ゾル及び比較例1〜3の各ゾルをそれぞれ充填し、熱処理工程を経て固化体を作製し、そのアルミニウム製カップをそれぞれ対流式の乾燥炉にて大気中で250℃の環境下に1,000時間まで保管し、100時間後、500時間後及び1,000時間後における各サンプルの質量を電子天秤で測定して質量減少率を計算した(ただし、実施例3は、24時間後及び100時間後)。本発明品の応用として検討されているSiC、GaNといった次世代パワーモジュールでは、モジュール回路での凹凸を埋める目的で1cm程度の封止を要求されることが多い。そのことを考慮し、評価での膜厚を8mmとした。評価結果をまとめて表1〜表3に示す。
硬度測定評価は、実施例1〜6の試料と、比較例1〜3の試料(膜厚8mm)を、それぞれ対流式の乾燥炉にて大気中で250℃の環境下に1,000時間まで保管し、100時間後、500時間後及び1,000時間後における各サンプルの硬度をJIS K 6253、ISO 7619に準じて、軟質ゴム(低硬度)用のタイプEデュロメータを用い測定した(n=5)(ただし、実施例3は、24時間後及び100時間後)。評価結果をまとめて表1〜表3に示す。
測定サンプル作成方法:
サンプル:直径50mmのアルミニウム製カップに、実施例1〜6のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の各ゾル及び比較例1〜3の各ゾルをそれぞれ10g充填し、加熱処理工程を経て固化体を作製した。各アルミニウム製カップを対流式の乾燥炉にて大気中で250℃の環境下に1,000時間まで保管し、100時間後、500時間後及び1,000時間後における各サンプルとした(ただし、実施例3は、24時間後及び100時間後)。
測定用フォースゲージの準備:
フォースゲージ(エーアンドディー社製 AD−4932A−50N)を使用し、測定に使うプローブは、先端にカバーガラス(□18mm)を粘着テープで固定したものを使用する。
測定方法は次の通りであった。まず、フォースゲージの表示を確認しながらカバーガラスを固定したプローブを、平らなサンプル面に20Nの力で押し付けた(S1)。次に、力を除去してカバーガラスのプローブがサンプル面に付着した状態に戻して、ゼロにリセットした(S2)。次に、アルミカップを固定し、カバーガラスのプローブをサンプル面から引きはがすようにフォースゲージを持ち上げ、サンプル面の粘着強度が最も大きくなった値を読み取った(S3)。S1〜S3の操作を5回繰り返して測定し、上限値と下限値を除いた3回分の値の平均をとって測定値とした。結果を表1〜表3に示す。
表1〜表3から、本発明のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)から得たポリマー(実施例1〜6)及び比較例1及び3のポリマーは、いずれのサンプルにおいても重量減少率は小さく、十分な耐熱性を有することが分かる。一方、比較例2のポリマーは分子量分布指数が1.4超える1.5の両末端にシラノール基を有するPDMSを使用していることから、重量減少率が大きい。
表1〜表3から、本発明のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)から得たポリマー(実施例1〜6)においては、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)の組成や(A)/(B)の混合比率を変更することで、E30以下の低硬度品から、E40程度のものまで用途に応じて幅広い製品を得ることができる。一方、比較例1〜3のポリマーは、比較例3のc−3−1以外は硬度がE50を超え硬すぎる。
表1〜表3から、本発明のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)から得たポリマー(実施例1〜6)においては、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)の組成や(A)/(B)の混合比率を変更することで、粘着性を用途に応じて調整することができる。一方、比較例1〜3のポリマーは、比較例3のc−3−1以外は粘着性が低すぎる。
以上の結果から、本発明のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)から得たポリマー(実施例1〜6)は、耐熱性に優れると共に、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)の組成や(A)/(B)の混合比率を変更することで、広い範囲で硬度や粘着性を調整できる。一方、比較例1〜3のポリマーは、高耐熱性かつ硬度、粘着性を自由に調整するという本発明の目的を達成することができない。
本発明は上記実施例のみに限定されるものではなく、請求の範囲および明細書の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更、削除および付加が可能である。
PDMS−1及びPDMS−2の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC法)により測定し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比を分子量分布指数とした。標準試料としてポリスチレンを用い、ポリスチレン換算分子量を測定した。
なおGPC法によるポリスチレン換算分子量測定は、以下の測定条件で行うものとする。
a)測定機器:SIC Autosampler Model 09
Sugai U−620 COLUMN HEATER
Uniflows UF−3005S2B2
b)検出器 :MILLIPORE Waters 410
Differential Refractometer
c)カラム :Shodex KF806M×2本
d)オーブン温度:40℃
e)溶離液 :テトラヒドロフラン(THF) 1.0mL/min
f)標準試料:ポリスチレン
g)注入量 :100μL
h)濃度 :0.020g/10mL
i)試料調製:2,6−ジ−tert−ブチル−p−フェノール(BHT)が0.2重量%添加されたTHFを溶媒として、室温で攪拌して溶解させた。
j)補正 :検量線測定時と試料測定時とのBHTのピークのずれを補正して、分子量計算を行った。
フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)、(B)の調製(合成)には、攪拌装置、温度計、滴下ラインを取り付けた反応容器(挿入口が複数個あるフラスコ)を用いる。合成をより精密に実施する場合には、還流装置を付随させることも望ましい。撹拌には、撹拌羽の付随した回転式撹拌機、マグネチックスターラー、二軸遊星式撹拌装置、超音波洗浄装置など、反応に寄与する高粘度液状原料を均質に混ぜる効果があれば特に制限はない。しかし温度制御、雰囲気制御、成分滴下ラインなどを付随させることから、回転式撹拌機、マグネチックスターラーなどが望ましい。合成温度は均一性が重要であり、合成容量が小さい場合には、ホットプレートなど簡易的な手法で十分であるが、5Lを超えるような量産ラインでは、マントルヒーターなど保温性や均質性の高い加温方法が望ましい。合成温度は60〜100℃の間で適宜設定される。低温で長期間反応させる場合や高温で短時間に合成される場合など、原料の種別、配合比率、合成設備などによって個別に設定される。合成雰囲気は、不活性ガスとして例えば窒素ガスを使用し、該反応容器内に含有水分量を一定にした窒素ガスを十分に充満させる。このとき、窒素ガスには、窒素ガス製造装置を用いることが望ましい。窒素供給にはボンベや液体窒素からの供給も当然可能であるが、合成が長時間に及ぶ場合などもあり、供給圧力の変動も少ない製造装置を用いる方が望ましい。
Claims (28)
- 両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン、フェニルトリアルコキシシラン及びジフェニルジアルコキシシランを加水分解・縮合反応させることによって調製されたプレポリマーである、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)。
- 前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が3,000〜30,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.3以下である、請求項1に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)。
- 前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、前記フェニルトリアルコキシシラン0.5〜3mol、前記ジフェニルジアルコキシシラン0.5〜3molのモル比で加水分解・縮合反応させることによって調製されたものである、請求項1または請求項2に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)。
- チタンのアルコキシド類を縮合触媒として調製されたものである、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)。
- 少なくとも、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)を含む、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
- 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、
両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンとフェニルトリアルコキシシランとを縮合反応させることによって調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合することによって調製された、請求項5に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。 - 前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が18,000〜60,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.4以下である、請求項6に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
- 前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)の調製に用いる前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が、前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の調製に用いる前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)よりも大きい、請求項6または請求項7に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
- 前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が、前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、フェニルトリアルコキシシラン0.5〜5molのモル比で縮合反応させることによって調製されたものである、請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
- 前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が、チタンのアルコキシド類を縮合触媒として調製されたものである、請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
- 請求項5から請求項10までのいずれか1項に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)を加熱固化させて得られる、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマー。
- 両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン、フェニルトリアルコキシシラン及びジフェニルジアルコキシシランを加水分解・縮合反応させる工程を含む、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の製造方法。
- 前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が3,000〜30,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.3以下である、請求項12に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の製造方法。
- 前記加水分解・縮合反応させる工程は、前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、前記フェニルトリアルコキシシラン0.5〜3mol、前記ジフェニルジアルコキシシラン0.5〜3molのモル比で加水分解・縮合反応させる、請求項12または請求項13に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の製造方法。
- 前記加水分解・縮合反応させる工程において、チタンのアルコキシド類を縮合触媒として用いる、請求項12から請求項14までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の製造方法。
- 請求項12から請求項15までのいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、
両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンとフェニルトリアルコキシシランとを縮合反応させることによって調製されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合する工程を含む、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の製造方法。 - 前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が18,000〜60,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.4以下である、請求項16に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の製造方法。
- 前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)の調製に用いる前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)が、前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)の調製に用いる前記両末端にトリアルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンの数平均分子量(Mn)よりも大きい、請求項16または請求項17に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の製造方法。
- 前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が、前記両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン1molに対し、フェニルトリアルコキシシラン0.5〜5molのモル比で縮合反応させることによって調製されたものである、請求項16から請求項18までのいずれか1項に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の製造方法。
- 前記フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)が、チタンのアルコキシド類を縮合触媒として調製されたものである、請求項16から請求項19までのいずれか1項に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)の製造方法。
- 請求項12から請求項15までのいずれか1項に記載の製造方法で製造されたフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)を含むフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)、または、請求項16から請求項20までのいずれか1項に記載の製造方法で製造されたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)を加熱固化させる工程を含む、フェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマーの製造方法。
- 式(Ia)または(Ib)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)であって、
式中、R1,R2は炭素数が1〜3のアルキル基またはH(R1,R2は同じでも異なっていてもよく、複数のR1がすべて同一でも互いに異なっていてもよく、複数のR2がすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基であって、
nは正の整数、p1=0,1,2、p2=0,1,2、ただし、p1+p2≧1、q1=0,1,2、q2=0,1,2、ただし、q1+q2≧1、p3=0,1、p4=0,1、ただし、p1≧p3、p2≧p4、q3=0,1,2、q4=0,1,2である、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)。
- 式(Ic),(Id),(Ie),(Ic’),(Id’)または(Ie’)のいずれかで表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)であって、
式中、R1,R2は炭素数が1〜3のアルキル基またはH(R1,R2は同じでも異なっていてもよく、複数のR1がすべて同一でも互いに異なっていてもよく、複数のR2がすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、M1はTiまたはZrであって、
nは正の整数、p1=0,1,2、p2=0,1,2、ただし、p1+p2≧1、q1=0,1,2、q2=0,1,2、ただし、q1+q2≧1、p3=0,1、p4=0,1、ただし、p1≧p3、p2≧p4、q3=0,1,2、q4=0,1,2、r1=0,1、r2=0,1、r3=0,1、r4=0,1、ただし、r1+r2+r3+r4≦2である、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)。
- 式(If),(Ig),(Ih),(If’),(Ig’)または(Ih’)のいずれかで表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)であって、
式中、R1,R2は炭素数が1〜3のアルキル基またはH(R1,R2は同じでも異なっていてもよく、複数のR1がすべて同一でも互いに異なっていてもよく、複数のR2がすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、M2はAlであって、
nは正の整数、p1=0,1,2、p2=0,1,2、ただし、p1+p2≧1、q1=0,1,2、q2=0,1,2、ただし、q1+q2≧1、p3=0,1、p4=0,1、ただし、p1≧p3、p2≧p4、q3=0,1,2、q4=0,1,2、s1=0,1、s2=0,1、s3=0,1、s4=0,1、ただし、s1+s2+s3+s4≦2である、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)。
- 請求項22から請求項24までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、
式(IIa)または(IIb)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)であって、
式中、R2は炭素数が1〜3のアルキル基またはH(複数のR2がすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基であり、
mは正の整数、x1=0,1,2,3、x2=0,1,2,3、x3=0,1,2、x4=0,1,2、x5=0,1,2、x6=0,1,2、ただし、x1+x2≧1、x3+x4≧1、x3≧x5、x4≧x6である、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合して得られたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
- 請求項22から請求項24までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、
式(IIc),(IId),(IIc’)または(IId’)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)であって、
式中、R2は炭素数が1〜3のアルキル基またはH(複数のR2がすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、M1はTiまたはZrであり、
mは正の整数、x1=0,1,2,3、x2=0,1,2,3、x3=0,1,2、x4=0,1,2、x5=0,1,2、x6=0,1,2、ただし、x1+x2≧1、x3+x4≧1、x3≧x5、x4≧x6、y1=0,1、y2=0,1、y3=0,1、y4=0,1、ただし、y1+y2+y3+y4≦2である、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合して得られたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
- 請求項22から請求項24までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)と、
式(IIe),(IIf),(IIe’)または(IIf’)で表わされる構造単位を含むフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)であって、
式中、R2は炭素数が1〜3のアルキル基またはH(複数のR2がすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Rは炭素数が3〜8のアルキル基またはH(複数のRがすべて同一でも互いに異なっていてもよい)、Phはフェニル基、Xは酸素または炭素数2以下のアルキレン基、M2はAlであり、
mは正の整数、x1=0,1,2,3、x2=0,1,2,3、x3=0,1,2、x4=0,1,2、x5=0,1,2、x6=0,1,2、ただし、x1+x2≧1、x3+x4≧1、x3≧x5、x4≧x6、z1=0,1、z2=0,1、z3=0,1、z4=0,1、ただし、z1+z2+z3+z4≦2である、フェニル変性ハイブリッドプレポリマー(A)とを混合して得られたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)。
- 請求項22から請求項24までのいずれか1項に記載のフェニル変性ハイブリッドプレポリマー(B)を含むフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)、または、請求項25から請求項27までのいずれか1項に記載のフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドプレポリマー(C)を加熱固化させたフェニル変性ポリジメチルシロキサン系ハイブリッドポリマー。
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