JPWO2016084835A1 - 切削加工装置 - Google Patents
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Abstract
Description
従来、クーラントを専用のノズルから工具あるいは被削材に向かって勢いよく供給することで冷却が行なわれているが、長尺の被削材では局所的なクーラント供給では全体が冷えないため、シャワー状にして供給し工具と被削材全体を冷やすようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
また、クーラントの供給が切削領域から外れないように、切屑飛散防止を含めたガードにクーラント吐出口を設けてシャワー状に供給し、工具と被削材全体を冷やすようにしたものがある(例えば特許文献2参照)。
一方、クーラントを供給せずに高速切削を行うと、被削材の熱膨張による変形で形状精度の悪化を招くこととなる。
保持部に保持され回転する被削材に対して切削工具の刃先を当てて切削を行いつつ、被削材をクーラントによって冷却するように設定している切削加工装置であって、前記クーラントを供給するクーラント供給ノズルの噴射口を、前記刃先に対して前記被削材の回転方向の後方側であって、該噴射口から流出したクーラントが前記刃先よりも前記切削工具の送り方向の前方側に供給される位置に配置していることを特徴とするものである。
図1は本発明の実施の形態1における切削加工装置の要部を概念的に示す上面図、図2は図1のII−II線に沿う断面における構成図である。図において、切削加工装置1は、ワークである被削材2の一端部を周方向の3か所で把持する把持部10aが取り付けられ、図示しない駆動用モータによって回転される保持部としてのチャック10と、チャック10と対向する位置に設けられ、被削材2の他端の回転中心を保持する芯押し台11と、切削加工を行う切削工具12が装着され、所望の方向に移動制御される刃物台13と、刃物台13に取付けられ、被削材2を冷却するための液状のクーラントを収容したタンク(図示省略)から送給されるクーラント14Cを被削材2に噴射するクーラント供給ノズル14と、を備えている。
また、被削材2の中心軸とクーラント供給ノズル14との角度θ1(図1参照)の範囲は、クーラント供給ノズル14と把持部10aの干渉防止および刃先に直接、クーラント14Cがかからないようにすることから、好ましくは0度から90度である。
なお、チャック10は被削材2をチャック10と芯押し台11で保持した状態で回転する。また、この例ではチャック10は図示しない駆動用モータの回転軸に設けられている。また、駆動用モータの制御装置など、その他の構成は従来の切削加工装置と同様であるので説明を省略する。
また、切削工具12の刃先が被削材の回転方向前方側(白抜きの矢印の前方側)に配置されているため、言い換えると前記クーラント供給ノズルの噴射口は、被削材の回転方向後方側(白抜きの矢印の後方側)の位置に配置され、飛び散ったクーラント14Cが直接刃先に衝突して刃先を冷却することはないため、この飛び散ったクーラントによる刃先温度への影響はほとんどない。すなわち図2において、クーラント14Cの噴射方向ベクトルと、クーラント供給ノズル14の中心軸と被削材2との交点における被削材の回転方向ベクトルとのなす角が、後者のベクトルを基準として、被削材の回転方向に0度から90度の範囲の角度となるようにクーラント供給ノズルの噴射口が配置されている。
つまり、前記クーラント供給ノズル14の中心軸(すなわちクーラント14Cの噴射方向)と被削材2との交点における(被削材の外径の)接線と、クーラント供給ノズル14の中心軸との角度θ2(前記接線を基準の0度とした場合の角度。図2参照)の範囲は、好ましくは0度から90度である。さらに好ましくは、効率的に冷却するためにクーラント14Cが被削材2からはみ出さないようにするため、例えば、被削材2の外径60mm、クーラント供給ノズル14の内径5mmの場合、角度θ2の範囲は5度から90度である。
そして、被削材の回転中心を中心位置として、クーラント供給ノズル14の中心軸と被削材2との交点と切削位置との回転方向後方側の角度θ3(前記刃先の取付角度位置を基準の0度とした場合の角度。図2参照)の範囲は、刃先に回り込むクーラントを削減するために、好ましくは0度から180度である。さらに好ましくは、クーラント14Cが直接刃先に当たらないようにするため、前記クーラント供給ノズルによりクーラントを供給する被削材上での角度位置は、前記被削材の回転中心を中心位置とし前記刃先の取付位置を起点として、前記被削材の回転方向の後方側であって、被削材の回転速度から定まる回転角度位置とする。被削材の回転速度、言い換えると周速によりクーラントに生じる遠心力が定まるからである。以上から、さらに好ましいθ3の範囲の例としては、例えば被削材2の外径が60mm、回転速度が2000rpm、クーラント供給ノズル14の内径が5mm、角度θ2が45度の場合、3度から180度が挙げられる。
なお、本実施の形態1では、切れ刃を高温維持した状態で切削を行うため、切屑も熱を持った状態で排出されることとなるので、クーラント14Cとしては引火の危険性の無い水溶性タイプを用いる方が望ましい。
その結果、加工精度の向上が図れるとともに、工具が急冷されないので境界摩耗を生じず被削材の表面粗さの悪化が発生しない。そして生産性が向上し、加工費用を安価にすることもできるという効果も得られる。
図3は本発明の実施の形態2における切削加工装置の要部を概念的に示す上面図、図4は図3のIV−IV線に沿う断面における構成図である。図において、被削材2の下方部には、被削材2の回転軸方向におけるクーラント供給ノズル14の噴射口に対応する位置に、被削材2に付着しているクーラント14Cを回収するためのクーラント吸引管15が設置されている。クーラント吸引管15はノズル状あるいはロート状に上部が末広がりに形成されており、広範囲にクーラント14Cの吸引を行う機能を有している。さらにエアブローノズル18をクーラント吸引管15の回転方向後方に取り付けることにより、クーラント14Cを空気のカーテンにより遮断できる。その他の構成は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
なお、クーラント吸引管15は、被削材2の下方に設置したが、切削工具12の切削領域の近傍に設置することにより、クーラントの回収と切屑の回収を同時に行うことが可能となる。この場合は、クーラントと切屑の分離、または長い切屑を分割もしくは切断する機構などを組み込む必要がある。さらに、エアブローノズル18を併用する場合は、クーラント吸引管15の回転方向前方に取り付けることで、空気による切削工具12の冷却を防止し、切屑を飛散させることなく、回収が可能となる。また、本実施の形態2も実施の形態1と同様に、切れ刃を高温維持した状態で切削を行うことができるため、切屑も熱を持った状態で排出されることとなり、クーラント14Cとしては、引火の危険性の無い水溶性タイプを用いる方が望ましい。
図5は本発明の実施の形態3における切削加工装置の要部を概念的に示す上面図、図6は図5に示された切削加工装置の要部の側面図である。図において、円筒内径加工を行う切削工具12Aは、刃物台13に固定されており、刃物台13が移動することで切削工具12Aは被削材2に対する切込と送りを与えられ、回転している被削材2の内径部2aの加工が行われる。この刃物台13には、被削材2を冷却するクーラント供給ノズル14も備えられており、刃物台13が移動することで、被削材2の外周面にクーラント供給ノズル14も移動し、クーラント14Cにより被削材2を外表面側から冷却することができる。
図7は本発明の実施の形態4における切削加工装置の要部を概念的に示す上面図、図8は図7のVIII−VIII線に沿う断面における構成図である。図において、刃物台13には、加工を行う断熱型クーラント供給孔付きホルダ12Bが固定されており、その断熱型クーラント供給孔付きホルダ12Bには、切削工具の刃物であるインサート121が取り付けられている。インサート121の逃げ面側には、クーラント噴射口14aが開口されている。
断熱型クーラント供給孔付きホルダ12Bには、内部を貫通した管路が設けられており、その管路はホルダを通じて刃先を冷却しないように断熱された状態でクーラント噴射口14aに連通している。刃物台13は、図示されていない工作機本体からクーラント14Cの供給を受け、供給されたクーラント14Cを断熱型クーラント供給孔付きホルダ12Bの前述の管路を経由して、クーラント噴射口14aから被削材2に供給する構成となっている。
また、刃物台13および断熱型クーラント供給孔付きホルダ12Bは、クーラント噴射口14aから噴射されるクーラント14C(の流れの中心)が、被削材2の刃先より回転方向後方側であって切削工具送り方向の前方側にくるように配置されている。その他の構成は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
そのため、被削材温度が安定し加工精度の向上が図れるとともに、工具が急冷しないので境界摩耗を生じず被削材の表面粗さの悪化が発生しない。また、クーラント噴射口14aを工具逃げ面側に設けることにより、被削材の回転によりクーラントを振り切る距離が延びるので、クーラントの飛沫による工具急冷を防止し境界摩耗を防ぐことで、被削材の表面粗さの悪化が、より生じにくい。
また、実施の形態1に示すクーラント供給ノズル14を設置して、そのクーラント供給ノズル14からクーラント14Cを同時に供給して加工を行うこと、あるいは実施の形態2に示すクーラント吸引管15あるいはエアブローノズル18を設置することも可能である。
図9は本発明の実施の形態5における切削加工装置の要部を概念的に示す上面図、図10は図9の一点鎖線で表された部分を含むX−X線に沿う断面における構成図である。図において、刃物台13には、加工前の切削工具12の刃先部分を昇温させる外部加熱手段16として、例えば加熱空気あるいは過熱水蒸気等の加熱流体16aを刃先部分に供給するための加熱流体供給ノズル16Aが設けられ、さらに加熱流体16aを生成するための加熱流体発生装置(図示省略)と、加熱流体16aの温度制御装置(図示省略)が設けられている。なお、加熱流体16aの温度は、被削材2に200℃を超える温度を加えると酸化を招く恐れがあるので、200℃程度までが望ましい。
刃先部分の加熱は加工中にも行うことが可能であるが、切削条件によっては切削工具12の切削領域が800℃以上となる場合があり、200℃の加熱は刃先の冷却を意味するので、加工直前までの加熱が妥当である。その他の構成は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
上記のように構成された変形例においては、レーザ加熱器16Bから照射されるレーザ光線Lの焦点に切削工具12を移動させて、工具刃先を昇温してから加工を行うことにより、切削開始時の急激な昇温の緩和が可能である。なおこの例では、刃物台が退避位置で仕上げ切削用の工具交換を行った直後に昇温することを想定しているが、切削中のインターバルで工具を退避させてから後の昇温も可能である。
上記のように構成された他の変形例においては、切削加工装置本体に設置された誘導加熱器16Cの近傍に切削工具12を移動させて、工具刃先を昇温してから加工を行うことにより、切削開始時の急激な昇温の緩和が可能である。この例でも、刃物台が退避位置で仕上げ切削用の工具交換を行った直後に昇温することを想定しているが、切削中のインターバルで工具を退避させてから後の昇温も可能である。
また、本実施の形態5の構成に実施の形態2に示すクーラント吸引管15あるいはエアブローノズル18を設置すること、あるいは実施の形態4に示す断熱型クーラント供給孔付きホルダ12Bを用いて加工を行うことも可能である。さらに実施の形態3に示す円筒内切削加工に本実施の形態5の工具昇温手法を用いて工具刃先の加熱を行うことも可能である。
なお、以上においては、外部加熱手段16としては上述の3種類の外部加熱手段のうち、何れか1種類のものを使用する前提で説明したが、これに限らず、複数種類のものを組み合わせて用いてもよい。
図13は本発明の実施の形態6における切削加工装置の要部を概念的に示す上面図、図14は図13のXIV−XIV線に沿う断面における構成図である。図において、刃物台13には加工中の切削工具12の保温を行うための保温装置17としての液状発泡断熱材噴射装置が備えられている。この液状発泡断熱材噴射装置は、液状発泡断熱材供給ノズル17Aを有し、切削加工中に液状発泡断熱材17aを切削工具12の刃先に供給し得るように構成されている。なお、液状発泡断熱材17aは、何れも図示省略している泡発生装置でバブリングなどによって生成され、ポンプによって泡送給管を介して、液状発泡断熱材供給ノズル17Aに、保温の仕方に応じて連続的にあるいは間欠的に、送られる。その他の構成は実施の形態1と同様である。
なお、泡は高温での安定性が悪いので、工具温度を保持するために、加熱媒体と泡を同時に使用する際には、別々のノズルを用いて供給することが望ましい。
なお、クーラント吸引管15は、被削材2の下方に設置したが、切削工具12の切削領域の近傍に設置することにより、クーラントの回収と切屑の回収を同時に行うことが可能となる。この場合は、クーラントと切屑の分離、または長い切屑を分割もしくは切断する機構などを組み込む必要がある。さらに、エアブローノズル18を併用する場合は、クーラント吸引管15の回転方向後方に取り付けることで、空気による切削工具12の冷却を防止し、切屑を飛散させることなく、回収が可能となる。また、本実施の形態2も実施の形態1と同様に、切れ刃を高温維持した状態で切削を行うことができるため、切屑も熱を持った状態で排出されることとなり、クーラント14Cとしては、引火の危険性の無い水溶性タイプを用いる方が望ましい。
Claims (10)
- 保持部に保持され回転する被削材に対して切削工具の刃先を当てて切削を行いつつ、被削材をクーラントによって冷却するように設定している切削加工装置であって、前記クーラントを供給するクーラント供給ノズルの噴射口を、前記刃先に対して前記被削材の回転方向の後方側であって、該噴射口から流出したクーラントが前記刃先よりも前記切削工具の送り方向の前方側に供給される位置に配置していることを特徴とする切削加工装置。
- 前記クーラント供給ノズルによりクーラントを供給する被削材上での角度位置は、前記被削材の回転中心を中心位置とし前記刃先の取付位置を起点として、前記被削材の回転方向の後方側であって、被削材の回転速度から定まる回転角度位置であることを特徴とする請求項1に記載の切削加工装置。
- 前記クーラント供給ノズルの噴射口は、前記切削工具とは断熱した状態で、前記切削工具の逃げ面側に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切削加工装置。
- 前記被削材の下側に、前記クーラント供給ノズルから流出され前記被削材の冷却に用いたクーラントの回り込みを防止するクーラント吸引管、またはエアブローノズルを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の切削加工装置。
- 前記切削工具の温度を保持する温度保持装置を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の切削加工装置。
- 前記温度保持装置は、前記切削工具を外部より加熱する加熱手段を用いたものであることを特徴とする請求項5に記載の切削加工装置。
- 前記加熱手段は、前記切削工具に対して、
加熱した流体を噴射する加熱流体噴射装置、
レーザビームを照射して加熱するレーザ加熱装置、
または、電磁誘導による誘導加熱装置、
を用いたものであることを特徴とする請求項6に記載の切削加工装置。 - 前記温度保持装置は、切削によって上昇した前記切削工具の温度の低下を抑制する保温装置からなることを特徴とする請求項5に記載の切削加工装置。
- 前記保温装置は多数の気泡からなる液状発泡断熱材を前記切削工具に噴射する液状発泡断熱材噴射装置を用いたものであることを特徴とする請求項8に記載の切削加工装置。
- 前記液状発泡断熱材噴射装置は水で希釈して用いるクーラント原液を発泡させる泡発生装置と、この泡発生装置で生成された液状発泡断熱材を前記切削工具に送給する泡送給管を備えることを特徴とする請求項9に記載の切削加工装置。
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2015
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