JPWO2016075932A1 - モデル集約装置、避難予測システム、集約モデル生成装置、集約方法及びコンピュータ読み取り可能記録媒体 - Google Patents

モデル集約装置、避難予測システム、集約モデル生成装置、集約方法及びコンピュータ読み取り可能記録媒体 Download PDF

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Abstract

避難者が避難を終えるまでに要する時間の予測を容易にするモデル集約装置等を提供する。本発明の一態様におけるモデル集約装置は、避難者の避難経路に関する避難情報、避難経路において障害が発生した個所の復旧時期に関する復旧情報及び避難情報と避難情報との関係を含む避難モデルを受付けるモデル受付手段と、避難情報又は復旧情報に関する所定の条件に基づいて、避難モデルを集約する集約手段とを備える。

Description

本発明は、モデル集約装置、避難予測システム、集約モデル生成装置、集約方法及びコンピュータ読み取り可能記録媒体に関する。
災害が発生した場合には、災害が発生した地域から当該災害により被災した被災者が避難する必要が生じる可能性がある。この場合において、避難を必要とする被災者等(以下「避難者」とする)が避難を完了するまでに要する時間は、できるだけ短いことが望まれる。
一方、災害が生じた場合には、避難経路となる道路網等が被災して障害が発生することがある。この場合には、当該避難通路が通行できない可能性がある。したがって、避難者に対する避難計画が立案される際には、避難経路に関する被災状況や復旧計画が考慮される必要が生じる場合がある。また、避難経路となる道路網等が被災した場合、当該道路網等に発生した障害の復旧計画は、被災者の避難に要する時間が短くなるように立案される必要が生じる場合がある。そして、当該道路網等に発生した障害の復旧計画は、避難者を速やかに避難させる必要があることから、迅速に立案されることが望まれる。
特許文献1には、避難計画評価システム等が記載されている。特許文献1に記載の避難計画評価システムにおいては、要援護者人数算出部が、移動機のユーザの属性情報に基づいて避難時における要援護者の人数を算出する。また、避難先別人数算出部が、帰宅先及び避難所へ避難する避難者の人数を算出する。更に、シミュレーション部が、各ポリゴン領域から、帰宅先及び避難所へ避難者が避難する場合のシミュレーションを行う。そして、点数算出部が、要援護者数、避難者の人数、及びシミュレーション結果に基づいて避難計画のための点数を算出する。
また、特許文献2には、リアルタイムに取得される現在地のデータに欠落があった場合でも、目的地の予測ができるデータ処理装置が記載されている。
また、特許文献3には、階段を有する複数階層の建物からの避難時間を予測する避難時間予測装置が記載されている。
特開2012−83908号公報 特開2012−108748号公報 特開2012−27560号公報
特許文献1に記載の避難計画評価システム等では、シミュレーションにて用いられるモデルの規模が必ずしも考慮されていない。したがって、避難経路の距離が長い場合や、複数の避難経路が想定される場合等、避難経路が複雑な場合に、特許文献1に記載の避難計画評価システムでは、避難に要する時刻の予測が難しい場合がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、避難者が避難を終えるまでに要する時間の予測を容易にするモデル集約装置等を提供することを主たる目的とする。
本発明の一態様におけるモデル集約装置は、避難者の避難経路に関する避難情報、避難経路において障害が発生した個所の復旧時期に関する復旧情報及び避難情報と避難情報との関係を含む避難モデルを受付けるモデル受付手段と、避難情報又は復旧情報に関する所定の条件に基づいて、避難モデルに含まれる情報を集約する集約手段とを備える。
また、本発明の一態様における集約方法は、避難者の避難経路に関する避難情報、避難経路において障害が発生した個所の復旧時期に関する復旧情報及びに避難情報と避難情報との関係を含む避難モデルを受付け、避難情報又は復旧情報に関する所定の条件に基づいて、避難モデルに含まれる情報を集約する。
また、本発明の一態様におけるコンピュータ読み取り可能記録媒体は、コンピュータに、避難者の避難経路に関する避難情報、避難経路において障害が発生した個所の復旧時期に関する復旧情報及び避難情報と避難情報との関係を含む避難モデルを受付ける処理と、避難情報又は復旧情報に関する所定の条件に基づいて、避難モデルに含まれる情報を集約する処理とを実行させるプログラムを非一時的に格納する。
本発明によると、避難者が避難を終えるまでに要する時間の予測を容易にするモデル集約装置等を提供することができる。
本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置の構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置を含む避難予測システムの構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置が受付ける避難モデルの一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置が受付ける避難モデルにて表される避難経路等の例を示す図である。 本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置が受付ける避難モデルにて表される避難経路等の例を示す図である。 本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置が受付ける避難モデルの関係情報に関する一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置が受付ける避難モデルの別の例を示す図である。 本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置において集約される避難モデルの一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置において集約される避難モデルの別の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置において集約される避難モデルの別の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態における避難予測システムの変形例の構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態における避難予測システムの変形例及び集約モデル生成装置の構成を示す図である。 本発明の各実施形態におけるモデル集約装置等を実現する情報処理装置の一例を示す図である。
本発明の各実施形態について、添付の図面を参照して説明する。なお、本発明の各実施形態において、各装置の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。各装置の各構成要素は、例えば図14に示すような情報処理装置500とソフトウェアとの任意の組み合わせにより実現することができる。情報処理装置500は、一例として、以下のような構成を含む。
・CPU(Central Processing Unit)501
・ROM(Read Only Memory)502
・RAM(Random Access Memory)503
・RAM503にロードされるプログラム504
・プログラム504を格納する記憶装置505
・記憶媒体506の読み書きを行うドライブ装置507
・ネットワーク509と接続する通信インターフェース508
・データの入出力を行う入出力インターフェース510
・各構成要素を接続するバス511
各装置の実現方法には様々な変形例がある。例えば、各装置は、専用の装置として実現することができる。各装置は、複数の装置の組み合わせにより実現することができる。
また、各装置や各システム等の構成を示す図において、図面中の矢印の方向は一例を示すものであり、構成要素間の信号の向きを限定するものではない。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置の構成を示す図である。図2は、本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置を含む避難予測システムの構成を示す図である。図3は、本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置が受付ける避難モデルの一例を示す図である。図4は、本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置が受付ける避難モデルにて表される避難経路等の例を示す図である。図5は、本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置が受付ける避難モデルにて表される避難経路等の例を示す図である。図6は、本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置が受付ける避難モデルの関係情報に関する一例を示す図である。図7は、本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置が受付ける避難モデルの別の例を示す図である。図8は、本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置において集約される避難モデルの一例を示す図である。図9は、本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置において集約される避難モデルの別の一例を示す図である。図10は、本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置において集約される避難モデルの別の一例を示す図である。図11は、本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置の動作を示すフローチャートである。図12は、本発明の第1の実施形態における避難予測システムの変形例の構成を示す図である。図13は、本発明の第1の実施形態における避難予測システムの変形例及び集約モデル生成装置の構成を示す図である。
図1に示すとおり、本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置100は、モデル受付部110と、集約部120とを備える。モデル受付部110は、避難者の避難経路に関する避難情報、避難経路において障害が発生した個所の復旧時期に関する復旧情報及び避難情報と避難情報との関係を含む避難モデルを受付ける。集約部120は、避難情報又は復旧情報に関する所定の条件に基づいて、避難モデルを集約する。
また、図2に示すとおり、本実施形態においては、モデル生成部20と、上述したモデル集約装置100と、解析部30とを備える避難予測システム10が構成される。モデル生成部20は、上述した避難情報及び復旧情報に基づいて、避難モデルを生成する。解析部30は、モデル集約装置100にて集約された避難モデルを用いて、避難者の避難に要する時間を予測する。
次に、本実施形態におけるモデル集約装置100の構成について説明する。最初に、モデル受付部110に関して説明する。モデル受付部110は、上述のとおり、避難情報、復旧情報及びこれらの関係を含む避難モデルを受付ける。避難モデルは、一例として、避難予測システム10に含まれるモデル生成部20にて生成される。ただし、避難モデルは、避難者の避難に要する時間を求めようとする者が直接に作成する等、モデル生成部20以外にて生成されてもよい。
モデル受付部110は、避難情報、復旧情報及びこれらの関係を、一つのモデルとして表した避難モデルを受付けることができる。また、モデル受付部110は、避難情報、復旧情報及びこれらの関係を、複数のサブモデル等に分けて表した避難モデルを受付けることができる。一例として、避難モデルは、避難情報を表す避難サブモデル、復旧情報を表す復旧サブモデル及び避難サブモデルと復旧サブモデルとの関係を表す関係情報として表される。
本実施形態のモデル集約装置100において、モデル受付部110は、例えば、確率時間ペトリネット(stochastic time Petri net、以下「sTPN」とする)にて記載されたモデルを受付ける。
sTPNは、一例として、<P,T,A−,A+,A・,m0,EFT,LFT,F,C,E,L>という組として表される。これらの各要素は、所定の図(不図示)によって表される。Pはプレースの集合である。sTPNを表す図においては、プレースは白い丸にて表される。Tはトランジションの集合である。sTPNを表す図においては、トランジションは白い四角または棒にて表される。A−は、プレースとトランジションとを、プレースからトランジションへの方向に向かって接続する入力アークである。A+は、プレースとトランジションとを、トランジションからプレースへの方向に向かって接続する出力アークである。以下の説明においては、入力アーク及び出力アークを併せて単にアークと呼ぶ場合がある。sTPNを表す図においては、アークは矢印にて表される。A・は、プレースとトランジションとを、プレースからトランジションへの方向に向かって接続するインヒビター・アークである。sTPNを表す図においては、インヒビター・アークは、先端が丸印である矢印にて表される。
m0は各々のプレースにおける非負のトークンの数を表す初期マーキングである。sTPNを表す図においては、トークンは、プレースの内部に配置される黒丸にて表される。EFT及びLFTは、Tに含まれる各々のトランジションにおける最小及び最大発火時間である。EFTは、零を含む非負の実数である。また、LFTは、零及び無限大を含む非負の実数である。また、LFTの値はEFTの値と等しいか、又はEFTより大きい。Fは、Tに含まれる各々のトランジションに対するEFTからLFTの間における発火時刻に関する累積分布関数である。
Cは、複数のトランジションが同時発火可能となった場合に、当該発火可能となった複数のトランジションの各々に関する発火のしやすさを表す重みである。Cは、同時に発火可能になる可能性があるトランジションに対して割り当てられる。Eは、Tに含まれる各々のトランジションに対するマーキングと関連付けられたエネーブリングファンクションである。L(flushing function)は、トランジションに割り当てられる。Lが割り当てられたトランジションが発火した場合に、Lにて関係付けられたプレース上のトークンを、当該トランジションとのアークによる接続関係に関わらず消去する。
また、トランジションは、以下の場合に発火可能であるとされる。トランジションが発火すると、入力アークを介して接続されたプレースからトークンが1つ減り、出力アークを介して接続されたプレースにトークンが一つ増える。
・入力アークを介して接続されるプレースの全てに1つ以上のトークンが存在する。
・インヒビタ―・アークを介して接続されるプレースの全てにトークンが存在しない。
・時刻がEFTの値より大きく、LFTの値より小さい。
・エネーブリングファンクションが真となる。
なお、sTPNの詳細は、例えば「Vicario, E., Sassoli, L., and Carnevali, L. (2009) ‘Using stochastic state classes in quantitative evaluation of dense−time reactive systems’, IEEE Transactions on Software Engineering, Vol. 35, No. 5, pp. 703-719.」等に記載されている。
図3を用いて、モデル受付部110が受付ける避難モデルの例を以下に示す。この例において、避難モデルは、避難サブモデル、復旧サブモデル及び関係情報に分けてsTPNにて表されている。
図3(A)は、避難サブモデルの一例を示す。図3(A)に示す避難サブモデルは、図4に示す避難者E1に関する避難情報に基づいて生成されている。避難情報には、例えば、避難者が避難の際に通過する可能性がある道路網等である避難経路等に関連する地理情報、避難元や避難先、避難経路の復旧状況に応じて避難者が通過するルートである避難ルートに関する情報が含まれる。
避難情報のうち、地理情報は、例えば図4(A)に示す有向グラフのような形で表される。このグラフにおいては、避難者が滞留する可能性のある地域や場所がノードとして表される。例えば、番号1又は2が付されたノードにて示されるエリアが被災地である。また、番号6又は7が付されたノードにて示されるエリアが避難先の候補となる地域である。
また、このグラフにおいては、避難者が滞留する可能性のある地域を接続し、避難経路となり得る道路網がリンクとして矢印として表される。この矢印は、避難者が避難する方向等に応じて向きが定められている。また、道路網に障害が発生している個所(以下、「障害発生個所」とする)がある場合には、その旨を表す情報が必要に応じて矢印の当該障害発生個所に対応する位置に付される。図4(A)に示す例では、f1及びf2の2か所において道路網に障害が発生し、通行ができない状態であるとする。
また、避難情報のうち、避難元や避難先、避難ルートに関する情報は、図4(B)のように表される。図4(B)は、避難者E1に関して、避難元や避難先、避難ルートに関する情報を表す。この例において、避難者E1は、図4(A)の番号1が付されたノードに対応する地域から、番号6が付されたノードに対応する地域へ避難することが想定されている。そして、障害発生個所であるf1及びf2の復旧状況に応じて、図4(B)の(i)から(iv)にて示される避難ルートにて避難することが想定されている。
そして、図3(A)に示す避難サブモデルでは、プレースp1からp7は、図4に示される同じ番号のノード1から7にそれぞれ対応する。また、図3(A)に示す避難サブモデルにおいて、トランジションt0からt3、t5からt8及び当該トランジションに接続されるアークは、図4(A)に示される矢印に対応する。
図3(B)は、避難サブモデルの別の一例を示す。図3(B)に示す避難サブモデルは、図5に示す避難者E2に関する避難情報に基づいて生成されている。この例において、地理情報は避難者E1に関する例と同様である。また、図5(B)に示されるように、避難者E2は、図5(A)の番号3が付されたノードに対応する地域から、番号7が付されたノードに対応する地域へ避難することが想定されている。そして、障害発生個所であるf1及びf2の復旧状況に応じて、図5(B)の(i)から(iv)にて示される避難ルートにて避難することが想定されている。
なお、図3(B)に示す避難サブモデルにおいても、図3(A)に示す避難サブモデルと同様に、プレースp1からp7は、図5に示される同じ番号のノード1から7にそれぞれ対応する。また、図3(B)に示す避難サブモデルにおいて、トランジションt2からt4、t6、t7及び当該トランジションに接続されるアークは、図5(A)に示される矢印に対応する。
この他に、避難情報には、避難経路を通過する際の通過時間や、各々の地域における収容人数、避難経路の容量(例えば、単位時間あたりに通行可能な人数)等、図示しない避難に要する時間に関する情報が含まれる。
図3(C)は、復旧サブモデルの一例を示す。図3(C)に示す復旧サブモデルは、図4における避難者E1及び図5に示す避難者E2の避難経路に関して生成されている。図3(C)に示す避難サブモデルにおいては、図4又は図5に示される障害発生個所f1及びf2について、f2が先に復旧され、続いてf1が復旧されるとして避難サブモデルが生成されている。
本実施形態において、復旧サブモデルは、一般に、避難者の避難経路に関する復旧情報に基づいて生成されている。復旧情報には、例えば、復旧のための操作とその順序が含まれる。復旧のための操作には、例えば、障害発生個所における復旧作業そのものや、復旧を行う復旧リソースの移動が含まれる。また、復旧の順序は、一つの復旧リソースが順番に復旧を行う場合や、複数の復旧リソースが並行して復旧を行う場合が含まれる。また、復旧情報には、障害の情報に応じて、避難経路を通過する際に要する時間の変化や、避難経路の容量の変化等、図示しない避難に要する時間の変化に関する情報が含まれる。
また、図6は、避難サブモデル及び復旧サブモデルにsTPNを用いる場合における関係情報の一例を示す。図6に示す関係情報は、図4における避難者E1及び図5に示す避難者E2に関して生成されている。この関係情報は、避難者E1に関して、障害発生個所であるf1及びf2の復旧状況に応じて、復旧サブモデルにて発火可能になるトランジションが変わるようにsTPNのエネーブリングファンクションとして生成されている。また、この関係情報は、避難者E2に関して、障害発生個所であるf1の復旧状況に応じて、復旧サブモデルにて発火可能になるトランジションが変わるようにsTPNのエネーブリングファンクションとして生成されている。
なお、モデル受付部110は、先に説明したとおり、避難情報、復旧情報及びこれらの関係を、一つのモデルとして表した避難モデルを受付けることができる。上述した例において、各々の情報を一つのsTPNにて表した場合、例えば図7のようになる。モデル受付部110は、このようなモデルを受付けることもできる。
次に、集約部120に関して説明する。集約部120は、上述のとおり、モデル受付部110にて受付けた避難モデルを所定の条件に基づいて集約する。本実施形態において、避難モデルを集約するとは、避難者の避難に要する時間を求める場合に不要である情報等を避難モデルから除外するように避難モデルに変更を加えることである。集約部120は、上述する不要な情報を避難モデルから削除することができる。集約対象となる情報は、後述する所定の条件にて定められる。
また、集約部120は、上述する不要な情報を避難モデルから集約した際に、別の情報に関して避難者の避難に要する時間を求める場合に不要であることが判明した場合には当該別の情報を避難モデルから集約することができる。
本実施形態において、集約部120は、例えば避難モデルに含まれている避難情報に関連する地理情報を集約することができる。この場合において、集約の対象となる地理情報は、避難者が滞在する可能性がある地域や、避難者が通過する可能性のある経路が含まれる。集約部120は、上述した地理情報のうち、例えば避難経路との関係が少ない要素等(避難経路にならない場所や道路等)を集約することができる。
避難モデルがsTPNにて表される場合、集約部120は、例えば、集約対象とされた地域に対応するプレースを削除することができる。また、集約部120は、例えば、集約対象とされた経路に対応するトランジション、入力アーク、出力アークを削除することができる。
図8は、上述した避難者E1に関する避難サブモデルを集約する例を示す。図8(A)は、避難者E1に対する避難サブモデルの一例である。この避難モデルは、図3(A)にて示した避難サブモデルと同様である。そして、図2における障害発生個所f2に関して集約した避難サブモデルが図8(B)に示されている。図8(B)に示す避難サブモデルでは、障害発生個所f2に相当するトランジションt5と、トランジションt5に接続されるアークが削除されている。
図9は、上述した避難者E2に関する避難モデルを集約する例を示す。図9(A)は、避難者E2に対する避難サブモデルの一例である。この避難モデルは、図3(B)にて示した避難サブモデルと同様である。そして、図5における地域2から地域4への経路に関して集約した避難サブモデルが、図9(B)に示されている。図9(B)に示す避難サブモデルでは、当該経路に相当するトランジションt2と、トランジションt2に接続されるアークが削除されている。
また、図9(B)に示す避難サブモデルでは、トランジションt4及びt7、プレースp2及びp4、並びにこれらを接続するアークに対応する経路は、冗長となる。すなわち、避難者は、この場合において避難する際に当該経路を通行することはない。従って、図9(C)に示すサブモデルのように、これらの要素は削除されてもよい。
また、本実施形態において、集約部120は、例えば避難モデルに含まれている復旧情報に関連する情報を集約することができる。この場合において、集約の対象となる情報は、障害発生個所の復旧のための操作、復旧の順番等が含まれる。避難モデルにおいて復旧サブモデルがsTPNにて表される場合、集約部120は、それぞれに対応するプレースやトランジションなどのsTPNの要素を削除することができる。
なお、避難モデルを集約する場合に、集約部120は、集約の対象となる要素を避難モデルから削除しなくてもよい。集約部120は、避難モデルを解析する場合に上述した集約の対象となる要素が解析対象とならないように追加情報を避難モデルに付加してもよい。この場合に、集約の対象となる要素は、避難モデルに残されていてもよい。一例として、避難モデルがsTPNにて表される場合、集約部120は、例えば、集約の対象となるトランジションが発火しないように、適宜プレースと当該トランジションに接続される入力アークを追加してもよい。
図10は、上述した避難者E1及びE2に関連する復旧サブモデルを集約する例を示す。図10(A)は、復旧サブモデルの一例である。この避難モデルは、図3(C)にて示した避難サブモデルと同様である。
図10(A)に示す避難サブモデルは、図4又は図5における障害発生個所f1及びf2について、f2が先に復旧され、続いてf1が復旧されるとして生成されている。この場合において、障害発生個所f2が復旧されないとして、関連する情報が集約された復旧サブモデルが図10(B)に示されている。図10(B)に示される復旧サブモデルでは、f2の復旧及びその状態を表すトランジションt11並びにプレースp19及びp15が削除されている。また、これらに関連するトランジション、プレース、アークが併せて削除されている。
また、本実施形態において、集約部120は、任意の所定の条件に基づいて避難モデルを集約することができる。一例として、集約部120は、避難情報に関連する条件に基づいて、避難モデルを集約することができる。
この場合において、集約部120は、例えば、避難者の避難経路から離れた地域や経路等、すなわち、避難者が避難時に通らない可能性がある地域や経路に関する情報を集約することができる。避難者の避難ルートに含まれない可能性がある地域や経路には、避難者の避難元、避難先、避難ルートから一定以上の距離がある地域や経路、避難者の数に対して通行できる容量の小さい地域や経路などが含まれる。この場合に、集約部120は、避難者の避難元から避難先までの距離に応じて、集約の対象となる地域や経路の範囲を変えることができる。
例えば、避難者の避難元から避難先までの距離が短い場合には、迂回するような避難ルートは、避難元から避難先までを直接的に接続する避難ルートと比較して、例えば避難に要する時間が大幅に長くなる等の可能性が想定される。一方、避難元の近くの道路等であれば、その道路等の容量が小さい(例えば、道幅が狭い)場合であっても、避難者は、その道路等の状況を理解しており、避難に際して問題が生じる可能性が小さいことが想定される。
したがって、集約部120は、この場合には、避難元や避難先から相対的に近い距離にある地域や経路も集約の対象とするように所定の条件を定めて、避難モデルを集約することができる。また、集約部120は、容量の小さい経路を集約の対象としないように所定の条件を定めて、避難モデルを集約することができる。すなわち、集約部120は、避難経路を、避難元や避難先から相対的に近い距離にある地域や経路に限定するが、容量の小さい経路を避難経路に含めるように所定の条件を定める。
一方、避難者の避難元から避難先までの距離が長い場合には、迂回するような避難ルートを用いた場合でも、避難元から避難先までを直接的に接続する避難経路と比較して、避難に要する時間の増加の程度が小さい可能性がある。また、避難元から離れた細い道路等は、避難者がその経路に詳しくない等、避難経路としては相対的に危険である可能性がある。
したがって、集約部120は、この場合には、避難元や避難先から相対的に遠い距離にある地域や経路に関して集約の対象とするように所定の条件を定めて、避難モデルを集約することができる。また、集約部120は、容量の小さい経路を集約の対象とするように所定の条件を定めて、避難モデルを集約することができる。すなわち、集約部120は、避難経路に避難元や避難先から相対的に遠い距離にある地域や経路を含めるが、容量の大きい経路に避難経路を限定するように所定の条件を定める。
また、集約部120は、別の一例として、復旧情報に関連する条件に基づいて、避難モデルを集約することができる。例えば、集約部120は、避難者の避難に関係の小さい障害発生個所に関する情報を集約することができる。避難者の避難に関係の小さい障害発生個所には、例えば、避難者の避難経路に含まれない障害発生個所がある。
また、復旧に長い時間を要することが見込まれ、避難者が避難を終えるまでに復旧が完了しない可能性がある障害発生個所を、避難者の避難に関係の小さい障害発生個所とすることができる。すなわち、集約部120は、障害発生個所の各々における復旧に要する時間に基づいて、障害発生個所に関する情報を集約することができる。
なお、避難モデルがsTPNにて表される場合には、集約部120は、障害復旧に関連するトランジションの時間に関する情報に基づいて、対象となる障害発生個所を特定することができる。トランジションの時間に関する情報には、トランジションの最小発火時間や最大発火時間の値や、累積分布関数にて表された発火の確率がある。
続いて、図11を用いて、本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置100の動作の一例を説明する。
最初に、モデル集約装置100のモデル受付部110は、集約の対象となる避難モデルを受付ける(ステップS101)。モデル受付部110は、任意の入力手段等を介してこれらの情報を受付けることができる。また、モデル受付部110は、予めメモリやディスク等の任意の記憶手段に記憶された情報を用いてもよい。モデル受付部110は、ネットワークを介してこれらの情報を受付けてもよい。また、モデル受付部110は、後に集約部120にて用いられる所定の条件を併せて受付けることができる。受付けた避難モデル等は、図示しないメモリや記憶装置等に記憶される。
次に、モデル集約装置100の集約部120は、避難モデルを集約する(ステップS102)。集約部120にて集約された避難モデルは、任意の形態で出力される。また、集約部120にて集約された避難モデルは、図示しないメモリや記憶装置等に記憶される。
出力された避難モデルは、例えば避難予測システム10の解析部30にて用いられる。解析部30は、当該避難モデルを用いて、避難者の避難に要する時間を予測する。モデルとしてsTPNを用いたモデルが生成された場合には、解析部30は、例えば、避難サブモデルにおけるトークンが初期状態から避難先を表すプレースへ達するまでの時間を避難者の避難に要する時間とすることができる。この時間を求める際に、解析部120は、公知の手法を含むsTPNの任意の状態探索アルゴリズムを用いることができる。
また、この場合において、解析部30にて予測された結果は、任意の方法や形式で出力される。モデルとしてsTPNを用いた場合には、避難者の避難に要する時間は、例えば、避難が完了する時間の累積分布関数にて表される。避難者の避難に要する時間と併せて、集約部120にて集約された情報に対応する箇所を、避難経路に当てはめて表されてもよい。
以上のとおり、本発明の第1の実施形態におけるモデル集約装置100は、所定の条件に基づいて、避難者の避難に要する時間を予測するために用いられる避難モデルを集約する。避難モデルが集約されて規模の小さな避難モデルとなることで、当該避難モデルを用いて避難者の避難に要する時間を求める場合に、当該避難モデルの解析に要する時間が短くなる。また、当該避難モデルを用いて避難者の避難に要する時間を求める場合に、当該避難モデルが複雑であっても解析が可能になる。したがって、本実施形態におけるモデル集約装置100は、避難者が避難を終えるまでに要する時間の予測を容易にすることができる。また、本実施形態におけるモデル集約装置100を含む避難予測システム10は、例えば、避難者が避難を終えるまでに要する時間の予測を短い時間で容易に行うことができる。
(第1の実施形態の変形例)
本実施形態におけるモデル集約装置100及び避難予測システム10には、変形例が考えられる。
例えば、本実施形態におけるモデル集約装置100及び避難予測システム10は、モデルとしてsTPNを用いた。しかしながら、モデル集約装置100及び避難予測システム10にて扱われるモデルは、sTPNに限られない。モデル集約装置100及び避難予測システム10は、上述した避難情報や復旧情報等を表すことができるsTPN以外の形式のモデルを扱うことができる。
また、避難予測システム10における各構成要素は、図2に示す例と異なっていてもよい。例えば、図12に示す避難予測システム11のように、図2におけるモデル生成部20及びモデル集約装置のモデル受付部110をまとめたモデル生成部21を備える構成としてもよい。この場合において、モデル生成部21は、集約部120にて避難モデルを集約できるように避難モデルが生成される。
また、この場合には、図13に示す避難予測システム12のように、モデル生成部21及び集約部120を含む集約モデル生成装置101が構成されてもよい。この場合には、集約モデル生成装置101及び集約部120は、一つのシステムとして実現されていてもよいし、それぞれ単体の装置として実現されてもよい。集約モデル生成装置101及び集約部120がそれぞれ単体の装置として実現される場合には、集約モデル生成装置101と集約部120との間は、例えば有線や無線の通信ネットワークを介して接続される。また、モデル集約装置101と集約部120との間は、ファイルを介して各サブモデル等を表すデータがやり取りされてもよい。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、各実施形態における構成は、本発明のスコープを逸脱しない限りにおいて、互いに組み合わせることが可能である。
この出願は、2014年11月14日に出願された日本出願特願2014−231391を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
10、11、12 避難予測システム
20、21 モデル生成部
30 解析部
100 モデル集約装置
101 集約モデル生成装置
110 モデル受付部
120 集約部
500 情報処理装置
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 プログラム
505 記憶装置
506 記憶媒体
507 ドライブ装置
508 通信インターフェース
509 ネットワーク
510 入出力インターフェース
511 バス

Claims (11)

  1. 避難者の避難経路に関する避難情報、前記避難経路において障害が発生した個所の復旧時期に関する復旧情報及び前記避難情報と前記避難情報との関係を含む避難モデルを受付けるモデル受付手段と、
    前記避難情報又は前記復旧情報に関する所定の条件に基づいて、前記避難モデルに含まれる情報を集約する集約手段とを備える、モデル集約装置。
  2. 前記集約手段は、前記避難経路に関連する地理情報を集約する、請求項1に記載のモデル集約装置。
  3. 前記集約手段は、避難経路からの距離に基づいて、前記避難経路に関連する地理情報を集約する、請求項2に記載のモデル集約装置。
  4. 前記集約手段は、前記障害が発生した個所の復旧の操作に関する情報を集約する、請求項1から3のいずれか一項に記載のモデル集約装置。
  5. 前記集約手段は、前記障害が発生した個所に対する復旧の操作に関する時期に基づいて、前記復旧の操作に関する情報を集約する、請求項4に記載のモデル集約装置。
  6. 前記集約手段は、前記集約するとされた情報を、前記避難モデルから削除する、請求項1から5のいずれか一項に記載のモデル集約装置。
  7. 前記モデル受付手段は、確率時間ペトリネットにて表されている前記避難モデルを受付ける、請求項1から6のいずれか一項に記載のモデル集約装置。
  8. 前記避難情報、前記復旧情報及び前記避難情報と前記復旧情報との関係に基づいて、前記避難モデルを生成するモデル生成手段と、
    請求項1から7のいずれか一項に記載のモデル集約装置と、
    前記モデル集約装置にて集約された前記避難モデルを用いて、前記避難者の避難に要する時間を予測する解析手段とを備える、避難予測システム。
  9. 避難者の避難経路に関する避難情報、前記避難経路において障害が発生した個所の復旧時期に関する復旧情報及び前記避難情報と前記復旧情報との関係に基づいて、避難モデルを生成するモデル生成手段と、
    前記避難情報又は前記復旧情報に関する所定の条件に基づいて、前記避難モデルに含まれる情報を集約する集約手段とを備える、避難モデル生成装置。
  10. 避難者の避難経路に関する避難情報、前記避難経路において障害が発生した個所の復旧時期に関する復旧情報及びに前記避難情報と前記避難情報との関係を含む避難モデルを受付け、
    前記避難情報又は前記復旧情報に関する所定の条件に基づいて、前記避難モデルに含まれる情報を集約する、集約方法。
  11. コンピュータに、
    避難者の避難経路に関する避難情報、前記避難経路において障害が発生した個所の復旧時期に関する復旧情報及び前記避難情報と前記避難情報との関係を含む避難モデルを受付ける処理と、
    前記避難情報又は前記復旧情報に関する所定の条件に基づいて、前記避難モデルに含まれる情報を集約する処理とを実行させるプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能記録媒体。
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