JP6683129B2 - 避難予測システム、モデル生成装置、予測装置、避難予測方法及びコンピュータ読み取り可能記録媒体 - Google Patents

避難予測システム、モデル生成装置、予測装置、避難予測方法及びコンピュータ読み取り可能記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、避難予測システム、モデル生成装置、予測装置、避難予測方法及びコンピュータ読み取り可能記録媒体に関する。
災害が発生した場合には、災害が発生した地域から当該災害により被災した被災者が避難する必要が生じる可能性がある。この場合において、避難を必要とする被災者(以下「避難者」とする)が避難を完了するまでに要する時間は、できるだけ短いことが望まれる。
一方、災害が生じた場合には、避難経路となる道路網等が被災して障害が発生することがある。この場合には、当該避難通路が通行できない可能性がある。したがって、避難者に対する避難計画が立案される際には、避難経路に関する被災状況や復旧計画が考慮される必要が生じる場合がある。また、避難経路となる道路網等が被災した場合、当該道路網等に発生した障害の復旧計画は、被災者の避難に要する時間が短くなるように立案される必要が生じる場合がある。
特許文献1には、避難計画評価システム等が記載されている。特許文献1に記載の避難計画評価システムにおいては、要援護者人数算出部が、移動機のユーザの属性情報に基づいて避難時における要援護者の人数を算出する。また、避難先別人数算出部が、帰宅先及び避難所へ避難する避難者の人数を算出する。更に、シミュレーション部が、各ポリゴン領域から、帰宅先及び避難所へ避難者が避難する場合のシミュレーションを行う。そして、点数算出部が、要援護者数、避難者の人数、及びシミュレーション結果に基づいて避難計画のための点数を算出する。
また、特許文献2には、リアルタイムに取得される現在地のデータに欠落があった場合でも、目的地の予測ができるデータ処理装置が記載されている。
また、特許文献3には、階段を有する複数階層の建物からの避難時間を予測する避難時間予測装置が記載されている。
特開2012−83908号公報 特開2012−108748号公報 特開2012−27560号公報
特許文献1に記載の避難計画評価システム等では、避難経路となる道路網等が被災した場合における復旧計画が必ずしも考慮されていない。すなわち、特許文献1に記載の避難計画評価システムでは、避難経路となる道路網等の状況に即して被災者の避難に要する時間を推定することが困難な場合がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、避難経路となる道路網等の状況等に応じて被災者の避難に要する時間を推定することができる避難予測システム等を提供することを主たる目的とする。
本発明の一態様における避難予測システムは、避難者の避難経路に関する避難情報及び避難経路において障害が発生した個所である障害発生個所の復旧時期に関する復旧情報に基づいて、避難者の避難に要する時間を予測する予測手段を備える。
また、本発明の一態様における避難予測方法は、避難者の避難経路に関する避難情報及び避難経路において障害が発生した個所である障害発生個所の復旧時期に関する復旧情報に基づいて、避難者の避難に要する時間を予測する。
また、本発明の一態様におけるコンピュータ読み取り可能記録媒体は、コンピュータに、避難者の避難経路に関する避難情報及び避難経路において障害が発生した個所である障害発生個所の復旧時期に関する復旧情報に基づいて、避難者の避難に要する時間を予測する処理を実行させるプログラムを非一時的に格納する。
本発明によると、避難経路となる道路網等の復旧状況等に応じて被災者の避難に要する時間を推定することができる避難予測システム等を提供することができる。
本発明の第1の実施形態における避難予測システムの構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態における避難予測システムが対象とする避難経路等の例を示す図である。 本発明の第1の実施形態における避難予測システムが受付ける避難情報及び復旧情報の例を示す図である。 本発明の第1の実施形態における避難予測システムの動作を表すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態における避難予測システムの構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態における避難予測システムにてモデルを生成する場合に用いられる生成規則の例を示す図である。 本発明の第2の実施形態における避難予測システムにて生成されるモデルの例を示す図である。 本発明の第2の実施形態における避難予測システムにて予測された避難者の避難に要する時間を表す累積分布関数の一例を示す図である。 本発明の各実施形態における避難予測システム等を実現する情報処理装置の一例を示す図である。
本発明の各実施形態について、添付の図面を参照して説明する。なお、本発明の各実施形態において、各装置の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。各装置の各構成要素は、例えば図9に示すような情報処理装置500とソフトウェアとの任意の組み合わせにより実現することができる。情報処理装置500は、一例として、以下のような構成を含む。
・CPU(Central Processing Unit)501
・ROM(Read Only Memory)502
・RAM(Random Access Memory)503
・RAM503にロードされるプログラム504
・プログラム504を格納する記憶装置505
・記憶媒体506の読み書きを行うドライブ装置507
・通信ネットワーク509と接続する通信インターフェース508
・データの入出力を行う入出力インターフェース510
・各構成要素を接続するバス511
各装置の実現方法には様々な変形例がある。例えば、各装置は、専用の装置として実現することができる。各装置は、複数の装置の組み合わせにより実現することができる。
また、各装置や各システム等の構成を示す図において、図面中の矢印の方向は一例を示すものであり、構成要素間の信号の向きを限定するものではない。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における避難予測システムを示す図である。図2は、本発明の第1の実施形態における避難予測システムが対象とする避難経路等の例を示す図である。図3は、本発明の第1の実施形態における避難予測システムが受付ける避難情報及び復旧情報の例を示す図である。図4は、本発明の第1の実施形態における避難予測システムの動作を表すフローチャートである。
図1に示すとおり、本発明の第1の実施形態における避難予測システム100は、避難者の避難経路に関する避難情報及び避難経路において障害が発生した個所の復旧時期に関する復旧情報に基づいて、避難者の避難に要する時間を予測する予測部110を備える。
災害が発生した際には、避難者は、状況に応じて被災地から避難する。避難の際に、避難経路に障害が生じていると、その障害に応じて避難に要する時間が変わる場合がある。本実施形態において、避難予測システム100に含まれる予測部110は、避難情報だけではなく、復旧情報を用いることで、障害の復旧状況に応じて避難者が避難に要する時間を予測することができる。
本実施形態における避難予測システム100は、一例として、避難を必要とする個人を単位として、避難に要する時間を予測することができる。ただし、本実施形態における避難予測システム100は、これとは異なる避難者を単位として避難に要する時間を予測することができる。例えば、ある地域において避難を必要とする者のグループが、本実施形態における避難予測システム100にて避難に要する時間を予測する際の単位となる場合がある。また、本実施形態における避難予測システム100は、負傷者、病人、特定の職業に従事する者など任意の属性を有する避難者のグループ毎に、避難に要する時間を予測することができる。
本実施形態において、避難経路は、例えば、避難元から避難先までの経路である。避難元及び避難先は、実際の避難の状況などに応じて適宜定められる。また、この避難経路は、障害の発生やその復旧の状況に応じて変わる場合がある。
図2は、避難経路と災害の復旧状況に応じた避難経路の例を示す。図2において、ノードとなる丸で囲まれた1から6の数字は、避難者が滞留する可能性がある地理的位置を表す。丸で囲まれた数字の間で道路網等がある場合には、図中において両地域間が矢印であるリンクによって接続される。
図2に示す例において、まず枠で囲っている凡例を参照すると、避難者が番号1が付されたノードに対応する地域に滞在していて、番号6が付されたノードに対応する地域へ避難する場合が想定されている。番号3が付されたノードに対応する地域と、番号5が付されたノードに対応する地域との間には障害f1が存在し、通行ができないと想定する。また、番号4が付されたノードに対応する地域と、番号6が付されたノードに対応する地域との間には障害f2が存在し、通行ができないと想定する。
この場合において、避難者の避難経路は、図2の(i)から(iv)までのそれぞれに太線で示されるように、障害の復旧状況に応じて、例えば次のように変化する。当初の避難経路は、(i)に示されるように、1→2→4→5→7→6となる。f1の復旧が完了すると、避難経路は、(ii)に示されるように、1→3→5→7→6となる。f2の復旧が完了すると、避難経路は、(iii)に示されるように、1→2→4→6となる。f1及びf2の復旧が完了すると、避難経路は、(iv)に示されるように、1→2→4→6となる。本実施形態における避難予測システム100は、このような避難経路の変化に基づいて、避難者の避難に要する時間を予測する。
また、本実施形態において、復旧情報は、例えば、避難者の避難経路に通行が不可能となるような障害が発生した個所(以下「障害発生個所」とする)が存在する場合に、当該障害発生個所が復旧する時期に関する情報である。復旧情報には、例えば、避難経路において複数の障害発生個所が存在する場合には、当該障害発生個所の各々における復旧時期や、各々の障害発生個所の復旧の順番が含まれる。また、復旧情報には、復旧を行うリソースの初期位置等が含まれていてもよい。
また、本実施形態において、予測対象である避難に要する時間は、一例として、すべての避難者が避難を完了するまでに要する時間である。避難が完了するとは、例えば、避難者が避難先へ到達することである。ただし、予測対象である避難に要する時間は、上述のような時間に限られず、例えば、所定の避難者が避難を完了するまでに要する時間や、避難者が避難先までの経路中にある所定の地域に達するまでの時間であってもよい。
なお、復旧情報に含まれる障害の復旧時期、避難者の移動時間は、任意の形にて表される。一例として、これらの時間は、任意の分布の形で表されてもよい。また、これらの時間は、何時間後、何日の何時、等のように、特定の時期に即して表される。また、避難者の避難に要する時間等は、例えば、累積分布関数にて表される。
本実施形態において、避難予測システム100は、一例として、図3に示される情報を受付けて、避難者の避難に要する時間を予測する。図3は、図3(A)に避難情報が、図3(B)に復旧情報が示されている。
図3(A)に示される避難情報には、避難に要する時間の予測対象となる避難者や、当該避難者の避難元や避難先に関する情報、避難経路の復旧状況に応じて避難者が通過する避難ルート(中継ルート)が含まれる。また、避難情報には、避難経路を通過する際の通過時間や、各々の地域における収容人数、避難経路の容量(例えば、単位時間あたりに通行可能な人数)等、図示しない避難に要する時間に関する情報が含まれる。また、図3(B)に示される復旧情報には、復旧リソースの初期位置、障害が発生していて通行できない箇所、当該障害の復旧順序が含まれる。また、復旧情報には、障害の情報に応じて、避難経路を通過する際に要する時間の変化や、避難経路の容量の変化等、図示しない避難に要する時間の変化に関する情報が含まれる。
続いて、図4を用いて、本実施形態における避難予測システム100の動作の一例を説明する。予測部110は、まず、避難情報及び復旧情報を受付ける(ステップS101)。予測部110は、避難情報及び復旧情報を、例えば上述した図3のような形式にて受付ける。また、予測部110は、任意の入力手段等を介してこれらの情報を受付けることができる。また、予測部110は、予めメモリやディスク等の任意の記憶手段に記憶された情報を用いてもよい。予測部110は、通信ネットワークを介してこれらの情報を受付けてもよい。
続いて、予測部110は、避難に要する時間を予測する(ステップS102)。予測部110は、例えば、ステップS101にて取得した情報に基づいて解析モデルを生成し、その解析モデルを解析することで予測することができる。予測部110にて予測された結果は、例えば、表示装置等や通信ネットワークを含む任意の出力手段から出力される。また、予測部110にて予測された結果は、必要とされる時点で参照されるように、任意の記憶手段に保存されてもよい。
以上のとおり、本実施形態における避難予測システム100は、避難者の避難経路に関する避難情報及び避難経路において障害が発生した個所の復旧時期に関する復旧情報に基づいて、避難者の避難に要する時間を予測する。避難者の避難に要する時間は、避難経路の状況に応じて変化する場合がある。本実施形態においては本実施形態における避難予測システム100は、復旧情報を用いることで、避難経路の復旧状況に応じて避難者の避難に要する時間を予測することができる。したがって、本実施形態における避難予測システム100は、避難経路となる道路網等の状況等に即して被災者の避難に要する時間を推定することができる。
なお、災害が発生した際には、障害発生個所に対する復旧の順番や、同時に複数の障害発生個所の復旧作業を行う等、様々な復旧計画が想定される。本実施形態における避難予測システム100は、異なる復旧計画の各々に対して、それぞれの場合における避難者の避難に要する時間を予測することができる。そのため、本実施形態における避難予測システム100は、異なる復旧計画の各々の場合における避難者の避難に要する時間を予測することで、避難者の避難に要する時間が所定の条件を満たす復旧計画を求めることができる。この場合における所定の条件は例えば、所定の時間内に避難を終える、実行可能な復旧計画の中で避難に要する時間が最短となる、等がある。すなわち、本実施形態における避難予測システム100は、復旧計画を決定するシステムとしても用いられる。
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態における避難予測システムの構成を示す図である。図6は、本発明の第2の実施形態における避難予測システムにてモデルを生成する場合に用いられる生成規則の例を示す図である。図7は、本発明の第2の実施形態における避難予測システムにて生成されるモデルの例を示す図である。図8は、本発明の第2の実施形態における避難予測システムにて予測された避難者の避難に要する時間を表す累積分布関数の一例を示す図である。
図5に示す通り、本発明の第2の実施形態における避難予測システム200の予測部210は、モデル生成部211と、解析部212とを備える。モデル生成部211は、避難情報及び復旧情報に基づいて、避難経路と復旧時期との関係を含むモデルを生成する。解析部212は、モデル生成部211にて生成されたモデルを用いて、避難者の避難に要する時間を予測する。本実施形態における避難予測システム200は、上述の点が、本発明の第1の実施形態における避難予測システム100と異なる。これ以外については、本実施形態における避難予測システム200は、本発明の第1の実施形態における避難予測システム100と同様の構成とすることができる。
モデル生成部211は、上述のように、避難情報及び復旧情報に基づいて、避難経路と復旧時期との関係を含むモデルを生成する。モデル生成部211にて生成されるモデルは、例えば、避難者の位置、避難経路やその容量、避難経路毎の通過に要する時間、避難者の移動に要する時間、避難経路に発生した障害やその復旧状況、障害の復旧に要する時間等を表す。モデル生成部211にて生成されるモデルは、避難者や障害の状況などに応じて、適宜これ以外の情報を含んでもよい。
本実施形態の避難予測システム200では、モデル生成部211において生成されるモデルの一例として、確率時間ペトリネット(stochastic time Petri net、以下「sTPN」とする)が用いられる。
sTPNは、一例として、<P,T,A−,A+,A・,m0,EFT,LFT,F,C,E,L>という組として表される。これらの各要素は、所定の図(不図示)によって表される。Pはプレースの集合である。sTPNを表す図においては、プレースは白い丸にて表される。Tはトランジションの集合である。sTPNを表す図においては、トランジションは白い四角または棒にて表される。A−は、プレースとトランジションとを、プレースからトランジションへの方向に向かって接続する入力アークである。A+は、プレースとトランジションとを、トランジションからプレースへの方向に向かって接続する出力アークである。以下の説明においては、入力アーク及び出力アークを併せて単にアークと呼ぶ場合がある。sTPNを表す図においては、アークは矢印にて表される。A・は、プレースとトランジションとを、プレースからトランジションへの方向に向かって接続するインヒビター・アークである。sTPNを表す図においては、インヒビター・アークは、先端が丸印である矢印にて表される。
m0は各々のプレースにおける非負のトークンの数を表す初期マーキングである。sTPNを表す図においては、トークンは、プレースの内部に配置される黒丸にて表される。EFT及びLFTは、Tに含まれる各々のトランジションにおける最小及び最大発火時間である。EFTは、零を含む非負の実数である。また、LFTは、零及び無限大を含む非負の実数である。また、LFTの値はEFTの値と等しいか、又はEFTより大きい。Fは、Tに含まれる各々のトランジションに対するEFTからLFTの間における発火時刻に関する累積分布関数である。
Cは、複数のトランジションが同時発火可能となった場合に、当該発火可能となった複数のトランジションの各々に関する発火のしやすさを表す重みである。Cは、同時に発火可能になる可能性があるトランジションに対して割り当てられる。Eは、Tに含まれる各々のトランジションに対するマーキングと関連付けられたエネーブリングファンクションである。L(flushing function)は、トランジションに割り当てられる。Lが割り当てられたトランジションが発火した場合に、Lにて関係付けられたプレース上のトークンを、当該トランジションとのアークによる接続関係に関わらず消去する。
また、トランジションは、以下の場合に発火可能であるとされる。トランジションが発火すると、入力アークを介して接続されたプレースからトークンが1つ減り、出力アークを介して接続されたプレースにトークンが一つ増える。
・入力アークを介して接続されるプレースの全てに1つ以上のトークンが存在する。
・インヒビタ―・アークを介して接続されるプレースの全てにトークンが存在しない。
・時刻がEFTの値より大きく、LFTの値より小さい。
・エネーブリングファンクションが真となる。
なお、sTPNの詳細は、例えば「Vicario, E., Sassoli, L., and Carnevali, L. (2009) ‘Using stochastic state classes in quantitative evaluation of dense−time reactive systems’, IEEE Transactions on Software Engineering, Vol. 35, No. 5, pp. 703-719.」等に記載されている。
モデル生成部211は、一例として、sTPNを用いて、図6に示す生成規則の例に基づいて、避難情報、復旧情報、避難情報と復旧情報との関係等をモデルとして表す。モデル生成部211は、避難者が滞留する可能性がある地理的位置や、復旧対象の道路の状態、復旧の進捗状態等を表すようにモデルを生成する。sTPNを用いる場合、モデル生成部211は、図6(A)に示されるように、これらをプレースとして表す。
また、モデル生成部211は、上述した地理的位置間にある道路等の接続関係や、復旧対象の道路等の状態が通行に与える状況の有無、複数の障害発生個所に関する復旧の進捗状態の関係等を表すようにモデルを生成する。sTPNを用いる場合、モデル生成部211は、図6(B)に示されるように、これらを上述したプレースに適宜接続されるアークとして表す。
また、モデル生成部211は、避難者の移動時間や、障害発生個所を復旧させる時間、障害発生個所を復旧させる復旧リソースの移動時間等を表すようにモデルを生成する。モデル生成部211は、上述した各々の時間に関する確率分布を表すようにモデルを生成することができる。sTPNを用いる場合、モデル生成部211は、図6(C)に示されるように、これらをトランジションとして表す。また、上述した各々の時間は、トランジションに関係付けられる最小発火時間、最大発火時間、累積分布関数等にて表される。
また、モデル生成部211は、所望の時点での避難者の位置、復旧の進捗段階、避難経路となる道路等の通行可否等を表すようにモデルを生成する。sTPNを用いる場合、モデル生成部211は、図6(D)に示されるように、これらを各々の位置や状況に応じたプレースにトークンを追加することで表す。
また、モデル生成部211は、障害発生個所に関する復旧の進捗段階に応じた避難経路となる道路の通行可能性やその容量の変化を表すようにモデルを生成する。sTPNを用いる場合、モデル生成部211は、図6(E)に示されるように、これらを復旧の進捗状況を表すトランジションへのインヒビター・アークを追加することで表す。また、別の例として、複数の避難者が同時に通行できない避難経路が存在する場合、モデル生成部211は、ある避難者が当該避難経路を通行している場合に、他の避難者が当該避難経路を通行できないことを表すモデルを生成する。sTPNを用いる場合、モデル生成部211は、一例として、このような情報を、避難経路の入口に対応するプレースに対して適宜インヒビタ―・アークを追加し、他の避難者の移動を表すトランジションを発火不可能にすることで表すことができる。また、sTPNを用いる場合、モデル生成部211は、このような情報をエネーブリングファンクションにて表すことができる。
なお、モデル生成部211は、上述した生成規則を、図示しない記憶部に予め格納しておき、モデルの生成時に当該生成規則を参照してモデルを生成することができる。また、モデル生成部211は、モデルを生成する際に、必要に応じて外部から当該生成規則を取得してモデルを生成してもよい。
上述のような生成規則を用いることで、モデル生成部211は、避難情報や復旧情報、避難経路と復旧時期との関係を含むモデルを生成することができる。
図7は、モデル生成部211にて生成されるモデルの例である。図7にて示すモデルは、図2で示した避難経路等をsTPNにて表している。また、図7に示す例では、障害発生個所は、f1が復旧されるとする。図7に示すモデルでは、被災地や避難先を含む避難者が滞留する可能性のある地域等が、p1からp7までのプレースにて表されている。また、復旧の進捗段階及び道路状態が、p8からp19までのプレースにて表される。
また、図7に示すモデルでは、被災地や避難先等の地域を接続する道路との接続関係が、t0からt8までのトランジションと、これらのトランジションとp1からp7までのプレースとを接続するアークによって表されている。すなわち、p1からp7までのプレースと、t0からt8までのトランジションと、これらを接続するアークによって、図2に示す避難経路が示されている。また、t0からt8のトランジションの各々は、当該トランジションに対応する道路が通行可能である場合に発火可能となり、通行できないか、又は避難経路として用いられない場合には発火不可能となるようにsTPNが構成されている。そして、避難者の移動に要する時間やその確率分布が、t0からt8までのトランジションにおける最小発火時間、最大発火時間、累積分布関数等にて適宜表されている。
また、復旧作業に要する時間や、復旧のためのリソースの移動に要する時間やその確率分布等が、t9からt12のトランジションにおける最小発火時間、最大発火時間、累積分布関数等にて適宜表されている。図7に示すモデルでは、t10が障害発生個所であるf1に関連付けられている。
また、避難者の位置や復旧の状態がトークンにて表される。初期状態(初期マーキング)においては、避難者は被災地に留まっているとして、被災地に対応するプレースp1にトークンが置かれる。また、障害発生個所の復旧が着手されていないとして、プレースp8にトークンが置かれる。その他、上述の状態に対応するプレースにトークンが置かれる。図7に示すsTPNは、初期状態を表している。
また、p13からp19までのプレースと、t0からt8までのトランジションとを接続するアークによって、復旧の進捗段階に復旧対象の道路等の状態が通行に与える状況や復旧の進捗段階に応じた道路の通行可能性が表されている。この場合において、アークはインヒビタ―・アークを含む。
図7に示すモデルは、障害発生個所の復旧状況に応じて、図2に示す避難経路に応じて避難するように生成されている。具体的には、f1が復旧する前(トランジションt10が発火する前)の時点においては、図2の1→2→4→5との経路が選択されるよう、トランジションt0が発火可能となるようにモデルが生成されている。また、f1が復旧した後(トランジションt10が発火した後)の時点においては、図2の1→3→5との経路が選択されるよう、トランジションt1が発火可能となるようにモデルが生成されている。また、図2の2→3との経路が選択されないよう、トランジションt4が発火可能となるようにモデルが生成されている。すなわち、モデル生成部211は、障害発生個所の復旧状況に応じて一つの避難経路が選択されるようにモデルを生成する。このように、災害発生個所の復旧状況に応じて避難経路が選択されるモデルを生成することで、後述する解析部212において、避難経路の復旧状況に応じて避難者の避難に要する時間を予測することが可能となる。
なお、モデル生成部211は、避難経路に関して、上述のモデルと異なるモデルを生成することができる。すなわち、モデル生成部211は、通行可能な複数の経路が存在する場合に、各々の経路が通行可能となるようなモデルを生成することができる。モデル生成部211は、避難の状況に応じて通行可能な避難経路が選択されるように適宜モデルを生成することができる。
解析部212は、モデルを用いて避難者の避難に要する時間を予測する。解析部212は、モデル生成部211にて生成されたモデルについて、初期状態から避難者が避難先に到達するまでを状態探索すること等によって、避難者の避難に要する時間を予測する。モデルとしてsTPNを用いたモデルが生成された場合には、解析部212は、例えば、トークンが初期状態(避難元を表すプレースにトークンがある)から避難先を表すプレースへ達するまでの時間を避難者の避難に要する時間とする。この時間を求める際に、解析部212は、公知の手法を含むsTPNの任意の状態探索アルゴリズムを用いることができる。
また、避難者の避難に要する時間は、任意の様々な形式によって表される。モデルとしてsTPNを用いた場合には、避難者の避難に要する時間は、例えば、避難が完了する時間の確率分布として累積分布関数にて表される。図8は、避難者の避難に要する時間を表す累積分布関数の一例を示す。図8に示す例では、横軸は避難開始からの時間、縦軸は累積分布関数の値を表す。この例では、避難開始から24時間後に概ね7割を超える避難者の避難が完了し、避難開始から48時間後以降に避難がほぼ完了することが分かる。
以上のとおり、本実施形態における避難予測システム200は、モデル生成部211が、避難経路と復旧時期との関係を含むモデルを生成する。そして、解析部212が、当該モデルを用いて、避難者の避難に要する時間を予測する。災害が発生した場合には、避難に要する時間は、避難経路に応じて変わる場合がある。避難経路と復旧時期との関係を含むモデルは、例えば、障害発生個所の復旧状況に応じて避難経路が変化する状況を表すことができる。そして、そのようなモデルを解析することによって、避難経路の復旧状況に応じて避難者の避難に要する時間を予測することができる。したがって、本実施形態における避難予測システム200は、本発明の第1の実施形態における避難予測システム100と同様に、避難経路となる道路網等の状況等に即して被災者の避難に要する時間を推定することができる。
なお、本実施形態において、予測部210は、モデルとしてsTPNを用いた。しかしながら、予測部210にて用いられるモデルは、sTPNに限られない。上述した生成規則に基づいてモデルを生成することが可能であれば、モデル生成部211は、sTPN以外の形式にてモデルを生成することができる。また、モデル生成部211は、例えば避難経路の容量等を含む避難情報や復旧情報を、用いられるモデルに応じて、上述した方法と異なる方法にて適宜モデルを生成することができる。そして、解析部212は、sTPN以外の形式にて生成されたモデルをそれぞれのモデルに適した手法にて解析することで、避難者の避難に要する時間を予測することができる。
また、本実施形態において、モデルとしてsTPNが用いられる場合であっても、モデル生成部211は、上記の生成規則と異なる規則にてモデルを生成することができる。一例として、モデル生成部211は、障害発生個所に関する復旧の進捗段階に応じた道路の通行可能性を表す場合に、インヒビタ―・アークを用いないなど、上記の生成規則と異なる規則にてモデルを生成してもよい。
また、本実施形態において、予測部210に含まれるモデル生成部211及び解析部212は、それぞれ単体の装置としてもいい。この場合には、モデル生成部211と解析部212との間は、例えば有線や無線の通信ネットワークを介して接続される。また、モデル生成部211と解析部212との間は、ファイルを介してモデルを表すデータがやり取りされてもよい。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、各実施形態における構成は、本発明のスコープを逸脱しない限りにおいて、互いに組み合わせることが可能である。
この出願は、2014年11月14日に出願された日本出願特願2014−231389を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
100、200 避難予測システム
110、210 予測部
211 モデル生成部
212 解析部
500 情報処理装置
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 プログラム
505 記憶装置
506 記憶媒体
507 ドライブ装置
508 通信インターフェース
509 通信ネットワーク
510 入出力インターフェース
511 バス

Claims (8)

  1. 復旧情報と、確率時間ペトリネットモデルとに従い、避難者を表す避難者トークンが避難元を表す避難元プレースから避難先を表す避難先プレースに到達するまでに要する避難時間を求める予測手段
    を備え、
    前記確率時間ペトリネットモデルは、トークンと、プレースと、トランジションと、アークと、インヒビターアークとを含み、
    前記プレースは、複数の場所、前記複数の場所間の道路についての通行可否状態、及び、通行不能な前記道路を復旧する作業の進捗段階に対応して設定され、
    前記アークは、前記道路に接続している各場所に対応するプレース間、前記進捗段階に対応する各プレース間、及び、前記通行可否状態に対応するプレースと前記進捗段階に対応するプレースとの間に設定され、
    前記トランジションは、前記道路の移動に要する移動時間、及び、前記進捗段階に要する処理時間に対応して設定され、
    前記トークンは、前記避難者の場所に対応する前記プレースと、ある進捗段階に対応するプレースと、前記通行可否状態に応じたプレースとに設定され、
    前記インヒビターアークは、前記トランジションと、前記プレースとの間に設定され、
    前記復旧情報は、前記通行不能な前記道路を復旧する順序を表す情報を含む
    避難予測システム。
  2. 前記予測手段は、
    前記復旧情報に従い前記確率時間ペトリネットモデルを生成するモデル生成手段
    備える、請求項1に記載の避難予測システム。
  3. 前記モデル生成手段は、前記移動時間又は前記処理時間の少なくとも一方を確率分布にて表す前記確率時間ペトリネットモデルを生成する、
    請求項2に記載の避難予測システム。
  4. 前記予測手段は、前記避難時間の分布を予測する、
    請求項2または請求項3に記載の避難予測システム。
  5. 情報処理装置が
    復旧情報と、確率時間ペトリネットモデルとに従い、避難者を表す避難者トークンが避難元を表す避難元プレースから避難先を表す避難先プレースに到達するまでに要する避難時間を求める
    方法であって、
    前記確率時間ペトリネットモデルは、トークンと、プレースと、トランジションと、アークと、インヒビターアークとを含み、
    前記プレースは、複数の場所、前記複数の場所間の道路についての通行可否状態、及び、通行不能な前記道路を復旧する作業の進捗段階に対応して設定され、
    前記アークは、前記道路に接続している各場所に対応するプレース間、前記進捗段階に対応する各プレース間、及び、前記通行可否状態に対応するプレースと前記進捗段階に対応するプレースとの間に設定され、
    前記トランジションは、前記道路の移動に要する移動時間、及び、前記進捗段階に要する処理時間に対応して設定され、
    前記トークンは、前記避難者の場所に対応する前記プレースと、ある進捗段階に対応するプレースと、前記通行可否状態に応じたプレースとに設定され、
    前記インヒビターアークは、前記トランジションと、前記プレースとの間に設定され、
    前記復旧情報は、前記通行不能な前記道路を復旧する順序を表す情報を含む
    避難予測方法。
  6. 前記復旧情報に従い前記確率時間ペトリネットモデルを生成する、
    請求項5に記載の避難予測方法。
  7. コンピュータに、
    復旧情報と、確率時間ペトリネットモデルとに従い、避難者を表す避難者トークンが避難元を表す避難元プレースから避難先を表す避難先プレースに到達するまでに要する避難時間を求める処理を実行させ、
    前記確率時間ペトリネットモデルは、トークンと、プレースと、トランジションと、アークと、インヒビターアークとを含み、
    前記プレースは、複数の場所、前記複数の場所間の道路についての通行可否状態、及び、通行不能な前記道路を復旧する作業の進捗段階に対応して設定され、
    前記アークは、前記道路に接続している各場所に対応するプレース間、前記進捗段階に対応する各プレース間、及び、前記通行可否状態に対応するプレースと前記進捗段階に対応するプレースとの間に設定され、
    前記トランジションは、前記道路の移動に要する移動時間、及び、前記進捗段階に要する処理時間に対応して設定され、
    前記トークンは、前記避難者の場所に対応する前記プレースと、ある進捗段階に対応するプレースと、前記通行可否状態に応じたプレースとに設定され、
    前記インヒビターアークは、前記トランジションと、前記プレースとの間に設定され、
    前記復旧情報は、前記通行不能な前記道路を復旧する順序を表す情報を含む
    プログラム。
  8. 前記復旧情報に従い前記確率時間ペトリネットモデルを生成する処理
    、さらに、実行させる、
    請求項7に記載のプログラム。
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