JPWO2016052720A1 - コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、サーモクロミック性及び耐久性に優れたコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子を提供することである。本発明のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子(1)は、コア層(2)には、二酸化バナジウムが主成分として含有され、シェル層(4)には、4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムが主成分として含有されていることを特徴とする。

Description

本発明は、コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子に関する。より詳しくは、サーモクロミック性及び耐久性に優れたコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子に関する。
二酸化バナジウム(VO)は、温度変化によって光吸収率や光反射率等の光学特性が可逆的に変化するサーモクロミック現象を示す材料として注目されている。
ここで、二酸化バナジウムの結晶構造には、A相、B相、C相及びR相(いわゆる「ルチル型の結晶相」のこと。)など、いくつかの結晶相の多形が存在する。この中でも、前述のようなサーモクロミック現象を示す結晶構造は、R相に限られる。このR相は、転移温度以下では、単斜晶系(monoclinic)の構造を有するため、M相とも呼ばれている。このような二酸化バナジウム含有粒子において、実質的に優良なサーモクロミック性を発現させるためには、二酸化バナジウム含有粒子が凝集していないこと、平均粒径がナノメートルオーダー(100nm以下)であること、粒子が等方的な形状を有していることが望ましい。
優れたサーモクロミック性と透明性とを得るためには、できるだけ粒径は均一で、かつ小さくする必要があるが、粒子の凝集を防ぐことは困難である。
また、合成された二酸化バナジウム粒子は優れたサーモクロミック性を有しているものの、構造上不安定であり、合成後に簡単に酸化されて五酸化二バナジウム(V)等に変化してしまい、サーモクロミック性を失ってしまう。
特許文献1及び2には、二酸化バナジウム粒子表面を表面修飾することで、粒子の劣化や凝集を防ぐ技術が開示されている。しかし、当該特許文献1及び2に開示されているような一般的な湿式の表面修飾方法では、粒子は乾燥工程を経た後に表面修飾されていることから二酸化バナジウムは非常に不安定で、その結果、表面修飾が行われる前に既に劣化が進行していたり、凝集が発生していたりと、十分な表面修飾が行えない。
また、特許文献3にも、表面修飾を行うことで粒子の劣化を防ぐ技術が開示されているが、二酸化バナジウム紛体を再度分散して表面修飾を行っているため、紛体時に粒子が凝集しており、分散が不十分であることが考えられる。
さらに、シランカップリング剤等による表面修飾では、二酸化バナジウム粒子とSiOとの屈折率差が大きいため、二酸化バナジウム粒子とSiOとの界面で光が反射されてしまい、サーモクロミック性を効率的に得ることができない。
特開2011−178825号公報 特開2010−31235号公報 特開2013−75806号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、サーモクロミック性及び耐久性に優れたコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、コア層には、二酸化バナジウムが主成分として含有され、シェル層には、4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムが主成分として含有されていることにより、サーモクロミック性及び耐久性に優れたコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子を提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.サーモクロミック性を有する、コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子であって、
コア層には、二酸化バナジウムが主成分として含有され、
シェル層には、4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムが主成分として含有されていることを特徴とするコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子。
2.前記4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムの含有量が、前記シェル層の全質量に対し、50質量%以上であることを特徴とする第1項に記載のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子。
3.前記4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムの含有量が、前記シェル層の全質量に対し、70質量%以上であることを特徴とする第2項に記載のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子。
4.前記シェル層の層厚が、前記コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子の平均粒径の2.5〜25%の範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子。
5.前記4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムが、V、V、V13、V又はVであることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子。
6.前記4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムが、V又はVであることを特徴とする第5項に記載のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子。
7.第1項から第6項までのいずれか一項に記載のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子が含有されていることを特徴とするフィルム。
本発明の上記手段により、サーモクロミック性及び耐久性に優れたコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子を提供することができる。
本発明の効果の発現機構・作用機構については明確になっていないが、以下のように推察している。
二酸化バナジウム含有粒子中の4価のバナジウムは非常に不安定であるため、酸化されて5価のバナジウムとなってしまい、サーモクロミック性を示さない五酸化二バナジウム(V)に変化してしまうといった問題があった。
本発明においては、二酸化バナジウム含有粒子表面を安定な酸化バナジウムで覆うことにより、二酸化バナジウム含有粒子を保護し、すなわち、既知の湿式法による表面修飾などを用いることなく、その耐久性を向上させることが可能となるものと考えられる。
一方で、このように価数の異なるバナジウムを含む酸化バナジウムが含有される層(シェル層)を設ければ、屈折率差も小さいため、二酸化バナジウム含有粒子(コア層)とシェル層との間で反射も生じにくく、効率的なサーモクロミック性を得ることができるものと考えられる。
本発明のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子の一例を示す概略断面図
本発明のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子は、コア層に二酸化バナジウムが主成分として含有され、シェル層に4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムが主成分として含有されていることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項6までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、劣化試験前のサーモクロミック性を向上させる観点から、4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムの含有量が、シェル層の全質量に対し、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、また、シェル層の層厚が、コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子の平均粒径の2.5〜25%の範囲内であることが好ましい。
また、サーモクロミック性及び耐久性を向上させる観点から、4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムが、V、V、V13、V又はVであることが好ましく、V又はVであることがより好ましい。
また、本発明のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子は、光学機能層等を有するフィルムに適用することができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
≪コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子≫
本発明のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子は、コア層に二酸化バナジウムが主成分として含有され、シェル層に4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムが主成分として含有されていることを特徴とする。
以下、図面を用いて詳細に説明する。
図1に示すように、本発明のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子1は、コア層2と、コア層2を被覆するシェル層4とから構成されており、コア層2に二酸化バナジウムが主成分として含有され、シェル層4に4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムが主成分として含有されている。コア層2に含有される二酸化バナジウムは、R相(M相)の結晶構造を有している。
ここで、本発明における「主成分」とは、コア層においては、二酸化バナジウムが、コア層の全質量に対し、70質量%以上含有されていることをいい、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上含有されており、シェル層においては、4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムが、シェル層の全質量に対し、50質量%以上含有されていることをいい、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上含有されている。
本発明のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子1は、光吸収性とサーモクロミック性とを有している。
コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子1が有するサーモクロミック性としては、温度変化によって光吸収率や光反射率等の光学特性が可逆的に変化すれば特に限定されるものではない。
例えば、本発明のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子を混合したフィルム(以下、酸化バナジウム混合フィルムともいう。)について、25℃/50%RH及び85℃/85%RHにおける光透過率の差が25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。
酸化バナジウム混合フィルムの光透過率は、例えば、分光光度計V−670(日本分光株式会社製)を用いて、波長2000nmにおける光透過率として測定することができる。
また、本発明のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子1の平均粒径としては、光の散乱を抑制することで、酸化バナジウム混合フィルムなどの光透過性を得ることと、サーモクロミック性とを得るため、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
シェル層4の層厚dは、コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子1の平均粒径の2.5〜25%の範囲内であることが好ましい。
本発明において、コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子1の平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真(TEM断面)の画像処理により測定することができる。
なお、本発明においては、酸化バナジウム含有粒子100個の粒径の平均値を、平均粒径とする。
以下、コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子1を構成する各層、及び製造方法について説明する。
<コア層>
本発明に係るコア層は、少なくとも二酸化バナジウムを主成分として含んでいる。コア層には、二酸化バナジウム以外の成分を含んでいてもよいし、二酸化バナジウムのみで構成されていてもよい。
コア層に含有されている二酸化バナジウムは、R相(M相)の結晶構造を有している。
<シェル層>
本発明に係るシェル層は、4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムを主成分として含んでいる。
ここで、4価以外の価数のバナジウムとは、4価を除く3〜5価の範囲内の価数のバナジウムをいう。
4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、V、V、V13、V、V等が挙げられ、中でも、V又はVが好ましい。
≪コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子の水分散液の調製≫
(1)二酸化バナジウム含有粒子の水分散液の準備
二酸化バナジウム含有粒子の形成方法としては、例えば、水熱反応を利用した形成方法が知られているが、二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を調製することができれば特に限定されるものではない。
以下に、二酸化バナジウム含有粒子の水分散液の調製方法の一例を示す。
35質量%の過酸化水素水(和光純薬社製)2mlと純水20mlとを混合した水溶液に、五酸化二バナジウム(V)(V、特級、和光純薬社製)0.5gを加え、30℃で4時間撹拌後、ヒドラジン一水和物(N・HO、特級、和光純薬社製)の5質量%水溶液をゆっくり滴下し、pH値(25℃)が4.2の溶液を調製する。
調製した混合液を高圧用反応分解容器 静置型HU 50mlセット(耐圧ステンレス製外筒、PTFE製試料容器 HUTc−50:三愛科学社製)に入れて、100℃で8時間加熱後、270℃48時間の水熱反応処理を行うことにより、二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を調製する。
(2)コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子の作製
上記で調製した二酸化バナジウム含有粒子の水分散液に対し、酸化反応又は還元反応を施すことにより、二酸化バナジウム含有粒子表面のみが酸化又は還元された層、すなわち、4価以外のバナジウムを含む酸化バナジウムを主成分とするシェル層と、酸化又は還元されていない二酸化バナジウムを主成分とするコア層とからなるコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子を作製することができる。
以下、酸化反応及び還元反応について、それぞれ説明する。
(2.1)酸化反応
まず、調製した二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を限外濾過を用いて洗浄を行い、5質量%の水分散液になるように濃縮する。
この溶液に、酸化剤を混合して、常温(25℃)で撹拌し、直ちに限外濾過を用いて洗浄することにより、4価以外のバナジウムを含む酸化バナジウム(例えば、V13、V、V等)を主成分とするシェル層を形成することができる。
酸化剤の濃度としては、全質量に対し、0.1〜3.0質量%の範囲内であることが好ましい。
酸化剤の添加量は、二酸化バナジウム含有粒子100質量部に対し、0.01〜0.3質量部の範囲内であることが好ましい。
撹拌時間は、30秒〜3分の範囲内であることが好ましい。
上記酸化反応においては、酸化剤濃度を調整することにより、シェル層を構成する酸化バナジウムの組成を制御することができる。また、酸化剤量を調整することにより、シェル層に含有される4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムの含有量を制御することができる。また、撹拌時間を調整することにより、シェル層の層厚を制御することができる。
酸化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、硝酸、過酸化水素、過塩素酸類等が挙げられる。酸化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
(2.2)還元反応
まず、調製した二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を限外濾過を用いて洗浄を行い、5質量%の水分散液になるように濃縮する。
この溶液に、還元剤を混合して、水熱反応を行うことにより、4価以外のバナジウムを含む酸化バナジウム(例えば、V、V等)を主成分とするシェル層を形成することができる。
還元剤の濃度としては、全質量に対し、5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
水熱反応の反応温度及び反応時間としては、230〜270℃の範囲内の反応温度で、3〜24時間水熱反応させることが好ましい。
上記還元反応においては、還元剤量を調整することにより、シェル層に含有される4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムの含有量を制御することができる。また、反応温度を調整することにより、シェル層の層厚を制御することができる。また、反応温度を調整することにより、シェル層を構成する酸化バナジウムの組成を制御することができる。
還元剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヒドラジン、シュウ酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸等が挙げられる。還元剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
≪その他の態様≫
本発明のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子をフィルム等の中に混合して使用する場合には、UV吸収剤や酸化防止剤を併用してもよい。
UV吸収剤を用いることで、フィルムの劣化を防止し、UV光を熱に変換することで、より効率的に二酸化バナジウムの相転移を発生させることができる。
また、酸化防止剤を用いることで、コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子の劣化をより防止することができる。
<UV吸収剤>
UV吸収剤としては、無機UV吸収剤や有機UV吸収剤が挙げられる。
(1)無機UV吸収剤
無機UV吸収剤としては、主には金属酸化物顔料であり、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウム又はこれらの混合物から選択されることが好ましい。
また、無機UV吸収剤は、屈折率が2.4以下であることが好ましい。屈折率が2.4よりも大きい無機UV吸収剤では乱反射が大きく、UV吸収剤含有フィルムの透明度の低下及び正光反射率の低下を引き起こすため、屈折率が1.5〜2.4の範囲内であることが好ましい。
ここで、屈折率とは、ナトリウムD線(波長589nm)の波長で25℃の温度で測定した数値を指す。
また、無機UV吸収剤含有フィルムの透明性を向上させる点から、無機UV吸収剤の平均粒径は、5〜500nmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは10〜100nmの範囲内であって、粒径分布の最大粒径が150nm以下の金属酸化物粒子である。
無機UV吸収剤の使用量は、フィルム中に含まれるバインダーの全質量に対し、1〜30質量%、好ましくは5〜25質量%、更に好ましくは15〜20質量%の範囲内である。30質量%よりも多いと密着性が悪くなり、1質量%より少ないと耐候性改良効果が小さい。
また、無機UV吸収剤を後述する有機UV吸収剤と併用して用いる場合、UV吸収剤含有フィルムの全質量に対し、無機UV吸収剤の使用量は3〜20質量%、好ましくは5〜10質量%の範囲内であり、有機UV吸収剤の使用量は0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%の範囲内である。上記使用量の範囲内で無機UV吸収剤と有機UV吸収剤とを併用すると、UV吸収剤含有フィルムの透明度が高く、耐侯性も良好となる。
(2)有機UV吸収剤
有機UV吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、ヒンダードアミン系、トリアジン系等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサルチレート、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ヒンダードアミン系紫外線吸収剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
有機UV吸収剤としては、上記以外に紫外線の保有するエネルギーを分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを熱エネルギー等として放出する機能を有する化合物が含まれる。
有機UV吸収剤の使用量は、UV吸収剤含有フィルムの全質量に対し、0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは3〜10質量%の範囲内である。20質量%よりも多いと密着性が悪くなり、0.1質量%より少ないと耐候性改良効果が小さい。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、硫黄系化合物の中から選ぶことができる。また、これらの選択可能な化合物を2種以上合わせて使用することもできる。
フェノール系としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤や、2,6−ジアルキルフェノールを有する、チバ・ジャパン株式会社、“Irganox1076”、“Irganox1010”や、(株)ADEKA製の商品名「AO−20」、「AO−30」、「AO−40」、「AO−50」、「AO−50F」、「AO−60」、「AO−70」、「AO−80」、「AO−330」等が挙げられる。
アミン系としては、ヒンダードアミン系化合物、例えば、チバ・ジャパン株式会社から、“Tinuvin144(AO2)”及び“Tinuvin770”、株式会社ADEKAから“ADK STAB LA−52”という商品名で市販されているものが好ましい。
リン系としては、例えば、住友化学株式会社から、“SumilizerGP”(AO2)、株式会社ADEKAから“ADK STAB PEP−24G”、“ADK STAB PEP−36”(AO1)及び“ADK STAB 3010”、チバ・ジャパン株式会社から“IRGAFOS P−EPQ”(AO4)、堺化学工業株式会社から“GSY−P101”(AO3)という商品名で市販されているものが好ましい。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。これら硫黄系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、“Sumilizer TPL−R”及び“Sumilizer TP−D”という商品名で市販されているものが好ましい。
その他にも、ベンゾトリアゾール系化合物(例えば、ベンゾトリアゾール等)、チアジアゾール系化合物(例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール等)、L−アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等も用いることができる。
酸化防止剤の使用量は、0.1〜10質量%の範囲内が好ましく、1〜5質量%の範囲内がより好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
≪二酸化バナジウム含有粒子の水分散液の調製≫
35質量%の過酸化水素水(和光純薬社製)2mlと純水20mlとを混合した水溶液に、五酸化二バナジウム(V)(V、特級、和光純薬社製)0.5gを加え、30℃で4時間撹拌後、ヒドラジン一水和物(N・H2O、特級、和光純薬社製)の5質量%水溶液をゆっくり滴下し、pH値(25℃)が4.2の溶液を調製した。
調製した混合液を高圧用反応分解容器 静置型HU 50mlセット(耐圧ステンレス製外筒、PTFE製試料容器 HUTc−50:三愛科学社製)に入れて、100℃で8時間加熱後、270℃48時間の水熱反応処理を行った。
得られた生成物について限外濾過を用いて洗浄を行い、二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を調製した。
≪コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子サンプルの作製≫
(1)サンプル101の作製
サンプル101は、上記で作製した二酸化バナジウム含有粒子の水分散液とした。
(2)サンプル102の作製
二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を、真空オーブン中で60℃、24時間乾燥を行い、二酸化バナジウム含有粒子を生成した。
次に、エタノール20mlと純水5mlとを混合した溶液にアンモニア水(28質量%、和光純薬社製)を加え、pH11.5(25℃)の溶液を作製した。この溶液に、作製した二酸化バナジウム含有粒子1gとメチルトリエトキシシラン(東京化成工業製)0.3gとを加え、30℃で4時間撹拌混合した。
得られた懸濁液に、ろ過、洗浄を順次行い、微粒子を回収した。
回収した微粒子を110℃で1時間乾燥処理し、表面修飾されたサンプル102を得た。
(3)サンプル103の作製
二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を、限外濾過を用いて洗浄を行い、5質量%の水分散液になるように濃縮した。
この水分散液20gに、ヒドラジン一水和物(N・HO、特級、和光純薬社製)の10質量%水溶液を2.0g混合し、250℃で3時間水熱反応を行い、サンプル103を得た。
(4)サンプル104の作製
二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を、限外濾過を用いて洗浄を行い、5質量%の水分散液になるように濃縮した。
この水分散液20gに、ヒドラジン一水和物(N・HO、特級、和光純薬社製)の10質量%水溶液を3.0g混合し、250℃で3時間水熱反応を行い、サンプル104を得た。
(5)サンプル105の作製
二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を、限外濾過を用いて洗浄を行い、5質量%の水分散液になるように濃縮した。
この水分散液20gに、ヒドラジン一水和物(N・HO、特級、和光純薬社製)の10質量%水溶液を3.0g混合し、250℃で24時間水熱反応を行い、サンプル105を得た。
(6)サンプル106の作製
二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を、限外濾過を用いて洗浄を行い、5質量%の水分散液になるように濃縮した。
この水分散液20gに、ヒドラジン一水和物(N・HO、特級、和光純薬社製)の10質量%水溶液を3.0g混合し、250℃で4時間水熱反応を行い、サンプル106を得た。
(7)サンプル107の作製
二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を、限外濾過を用いて洗浄を行い、5質量%の水分散液になるように濃縮した。
この水分散液20gに、ヒドラジン一水和物(N・HO、特級、和光純薬社製)の10質量%水溶液を3.0g混合し、250℃で8時間水熱反応を行い、サンプル107を得た。
(8)サンプル108の作製
二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を、限外濾過を用いて洗浄を行い、5質量%の水分散液になるように濃縮した。
この水分散液20gに、ヒドラジン一水和物(N・HO、特級、和光純薬社製)の10質量%水溶液を3.0g混合し、250℃で18時間水熱反応を行い、サンプル108を得た。
(9)サンプル109の作製
二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を、限外濾過を用いて洗浄を行い、5質量%の水分散液になるように濃縮した。
この水分散液20gに、ヒドラジン一水和物(N・HO、特級、和光純薬社製)の10質量%水溶液を4.5g混合し、250℃で8時間水熱反応を行い、サンプル109を得た。
(10)サンプル110の作製
二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を、限外濾過を用いて洗浄を行い、5質量%の水分散液になるように濃縮した。
この水分散液20gに、過酸化水素0.5質量%水溶液を10g混合して、常温(25℃)で1分間撹拌し、直ちに限外濾過を用いて洗浄し、サンプル110を得た。
(11)サンプル111の作製
二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を、限外濾過を用いて洗浄を行い、5質量%の水分散液になるように濃縮した。
この水分散液20gに、ヒドラジン一水和物(N・HO、特級、和光純薬社製)の10質量%水溶液を4.5g混合し、270℃で8時間水熱反応を行い、サンプル111を得た。
(12)サンプル112の作製
二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を、限外濾過を用いて洗浄を行い、5質量%の水分散液になるように濃縮した。
この水分散液20gに、過酸化水素1.0質量%水溶液を10g混合して、常温(25℃)で1分間撹拌し、直ちに限外濾過を用いて洗浄し、サンプル112を得た。
≪サンプルの評価≫
作製した各サンプルについて、下記の評価を行った。
評価結果を表1に示す。
(1)結晶構造
シェル層を形成する前の各二酸化バナジウム含有粒子について、X線回折装置(リガク社製)を用いて測定を行い、既知のルチル型結晶層からなる二酸化バナジウム結晶のプロファイルと比較し、主成分がルチル型の結晶層を有する二酸化バナジウム結晶であることを同定した。
(2)走査透過電子顕微鏡(STEM)像の撮影
得られた酸化バナジウムの各サンプルの粉末をニッケル箔に埋め込み、収束イオンビーム加工装置を用いて薄片化し、STEM分析用薄膜サンプルを得た。
上記分析用薄膜サンプルに対して、電界放出型電子顕微鏡(Hitachi High−Technologies社製、HD−2300)を用いて、加速電圧を200kV、試料吸収電流を1×10−9A、ビーム径を0.7nmφに設定し、STEM像を得た。
(3)電子エネルギー損失分光法におけるライン分析
分析用薄膜サンプルに対して、エネルギー損失分析装置(GATAN社製、GIF−Tridiem)を用いて、加速電圧200kV、ビーム径を0.7nmφに設定し、ビームを50秒照射することによって、電子エネルギー損失分光法におけるラインスペクトルを得た。なお、得られたラインスペクトルのエネルギー分解能の半値幅は約1.0eV、ライン分析取り込み時間は2秒/pixcelであった。得られたスペクトルから価数ごとのバナジウムの存在割合を求めた。
以上の測定から、各サンプルの平均粒径が、30nmであることを確認した。
(4)光透過率差の測定(劣化試験前)
作製した各サンプルをポリビニルアルコール中に10質量%となるように混合し、厚さ50μmの測定用フィルムを作製した。
各測定用フィルムを用いて、25℃/50%RH、85℃/50%RHにおける波長2000nmでのそれぞれの光透過率を測定し、算出される光透過率差を下記評価基準に従って評価した。測定は、分光光度計V−670(日本分光株式会社製)に温調ユニット(日本分光株式会社製)を取り付けて行った。
◎:30%以上 優れた性能
○:25%以上30%未満 実用上、十分な性能
×:25%未満 実用上、性能が不十分
(5)光透過率差の測定(劣化試験後)
上記で作製した各測定用フィルムを25℃/50%RHに24時間保存し、その後、85℃/85%RHに24時間保存した。これを10回繰り返し、サーモクロミック性の評価を行った。
その後、上記と同様に、25℃/50%RH、85℃/50%RHにおける波長2000nmでのそれぞれの光透過率を測定して光透過率差を算出し、劣化試験前の光透過率差からの耐劣化率(=(劣化試験後の光透過率差/劣化試験前の光透過率差)×100)(%)を下記評価基準に従って評価することにより、酸化バナジウム含有粒子の耐久性を評価した。
◎:85%以上 問題なし
○:60%以上85%未満 実用上、問題なし
×:60%未満 実用上、問題がある
Figure 2016052720
(6)まとめ
表1に示されるように、本発明のサンプル103〜112は、比較例のサンプル101及び102と比較して、サーモクロミック性及び耐久性に優れていることが確認された。
以上から、コア層に二酸化バナジウムが主成分として含有され、シェル層に4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムが主成分として含有されていることが有用であることがわかる。
本発明は、サーモクロミック性及び耐久性に優れたコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子を提供することに、特に好適に利用することができる。
1 コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子
2 コア層
4 シェル層
層厚

Claims (7)

  1. サーモクロミック性を有する、コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子であって、
    コア層には、二酸化バナジウムが主成分として含有され、
    シェル層には、4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムが主成分として含有されていることを特徴とするコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子。
  2. 前記4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムの含有量が、前記シェル層の全質量に対し、50質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子。
  3. 前記4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムの含有量が、前記シェル層の全質量に対し、70質量%以上であることを特徴とする請求項2に記載のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子。
  4. 前記シェル層の層厚が、前記コア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子の平均粒径の2.5〜25%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子。
  5. 前記4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムが、V、V、V13、V又はVであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子。
  6. 前記4価以外の価数のバナジウムを含む酸化バナジウムが、V又はVであることを特徴とする請求項5に記載のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のコア・シェル構造の酸化バナジウム含有粒子が含有されていることを特徴とするフィルム。
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