JPWO2016035830A1 - 含フッ素高分岐ポリマー及び生体分子吸着抑制表面 - Google Patents

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Abstract

【課題】スピンコーティングなどの短時間で薄膜を作製可能な塗布方法により、プラスチックをはじめとする各種基材上に、簡便にタンパク質などの生体分子の吸着を抑制可能な表面を形成可能な材料を提供すること。【解決手段】分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを少なくとも含む重合性化合物を、該モノマーAのモル数に対して5〜200モル%の重合開始剤Cの存在下で重合させることにより得られる含フッ素高分岐ポリマーであって、その分子末端にオキシアルキレン部位を有する、含フッ素高分岐ポリマー。【選択図】図18

Description

本発明は新規な含フッ素高分岐ポリマー並びに該含フッ素高分岐ポリマーを用いて形成される生体分子吸着抑制表面(膜)に関する。
ポリマー(高分子)材料は、近年、多分野にわたってますます利用が進んでいる。それに伴い、それぞれの分野に応じて、マトリクスとしてのポリマー性状とともに、その表面や界面の特性がポリマー材料において重要となっている。特に、近年、各種の高分子材料を利用した医療材料の検討が進められており、血液フィルタ、人工腎臓用膜、血漿分離用膜、カテーテル、人工肺用膜、人工血管、癒着防止膜、人工皮膚等への利用が期待されている。この場合、生体にとって異物である合成材料を生体内組織や血液と接触させて使用することとなるため、医療材料が生体適合性を有していることが要求される。
一方、タンパク質や細胞をはじめとする生体成分が、使用する器具、材料等の基材表面に吸着することが問題となっている。例えば、主に医療分野において、プロテオーム解析など微量のタンパク質を測定・分析する場合に吸着成分が多いと、タンパク質の分析を正確に行うことが出来ないだけでなく、タンパク質が実質的に消失してしまう虞がある。また、人工腎臓などの体外循環の際の有用タンパク質の減少や、血小板の粘着・凝集による血栓の形成、フィブリノーゲンなどの凝固関連タンパク質の吸着による血液の凝固、といった問題が発生する。食品分野においても、製品容器への生体成分の吸着による品質低下といった問題や、生産工程中のパイプラインなどへの生体成分の吸着によるパイプラインの閉塞や劣化といった問題が発生する。
一般的に、親水性を有する高分子は、生体分子に対する生体親和性を有し、生体分子の非特異吸着を抑制する効果があることが知られている。細胞やタンパク質成分の非特異吸着を抑制する生体親和性高分子としては、ポリエチレングリコール(PEG)又はポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)、ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)(PMEA)などのノニオン性高分子、及びホスホベタイン、スルホベタイン、カルボキシベタインなどの1分子中にプラス荷電とマイナス荷電の双方の官能基を有する両性高分子が挙げられる。
例えば、特許文献1では、片方の末端にチオール基を有するPEOを希釈した溶液を金蒸着ガラス基材上にコーティングし、バイオチップにおけるDNAの非特異吸着をする表面の高分子材料として用いる技術が開示されている。
また、非特許文献1では、PMEA及びポリメチルメタクリレート(PMMA)の高分子ブレンド溶液を基材上へスピンコーティングし、溶媒乾燥及び熱処理を施すことにより、PMEAが表面へ偏析されたPMMAブレンド膜を作製する技術が開示されている。
特開2004−279204号公報
Phys.Chem.Chem.Phys.,13,4928−4934(2011)
特許文献1に記載の片方の末端にチオール基を有するPEOは、金蒸着ガラス基材にコーティングする際、基材をその溶液に長時間浸漬する必要があり、吸着抑制表面を作製するのに非効率的な製造方法が課題であった。
また、非特許文献1に記載の方法では、PMEA及びPMMAの高分子ブレンド溶液を基材上へスピンコーティング後、熱処理に数時間から一日を要するため、特許文献1同様に非効率的な製造方法が課題であった。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、フルオロアルキル基及び分子末端にオキシアルキレン部位を有する含フッ素高分岐ポリマー、並びに熱可塑性樹脂を含む樹脂ブレンドが、スピンコーティングなどの短時間で薄膜を作製可能な塗布方法により、プラスチックをはじめとする各種基材上に、簡便にタンパク質などの生体分子の吸着を抑制可能な表面を形成可能となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、第1観点として、分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを少なくとも含む重合性化合物を、該モノマーAのモル数に対して5〜200モル%の重合開始剤Cの存在下で重合させることにより得られる含フッ素高分岐ポリマーであって、その分子末端に式[1]で表されるオキシアルキレン部位を有する、含フッ素高分岐ポリマーに関する。
(式中、Rは炭素原子数1乃至6のアルキル基を表し、Lは炭素原子数2乃至6のアルキレン基を表し、nは1乃至60の整数を表す。)
第2観点として、前記nが1乃至30の整数である、第1観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第3観点として、前記オキシアルキレン部位が、重合開始剤Cの断片を介してその分子末端に結合している、第1観点又は第2観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第4観点として、前記モノマーAが、ビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有する化合物である、第1観点乃至第3観点のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第5観点として、前記モノマーAが、ジビニル化合物又はジ(メタ)アクリレート化合物である、第4観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第6観点として、前記モノマーAがジビニルベンゼンである、第5観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第7観点として、前記モノマーBが、ビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方を少なくとも1つ有する化合物である、第1観点乃至第6観点のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第8観点として、前記モノマーBが式[2]で表される化合物である、第7観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rはヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素原子数2乃至12のフルオロアルキル基を表す。)
第9観点として、前記重合開始剤Cがアゾ系重合開始剤である、第1観点乃至第8観点のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第10観点として、第1観点乃至第9観点のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーを含有するワニスに関する。
第11観点として、第1観点乃至第9観点のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーより作製される生体分子吸着抑制能を有する薄膜に関する。
第12観点として、(a)第1観点乃至第9観点のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマー、及び(b)熱可塑性樹脂を含む樹脂ブレンドに関する。
第13観点として、第12観点に記載の樹脂ブレンドより作製される生体分子吸着抑制膜に関する。
第14観点として、分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを少なくとも含む重合性化合物を、該モノマーAのモル数に対して5〜200モル%の分子内にカルボキシ基を有する重合開始剤の存在下で重合させることにより得られるカルボキシ基含有含フッ素高分岐ポリマー、又はそのカルボキシ基活性化体と、式[3]で表される化合物とを反応させることを特徴とする、第1観点乃至第9観点のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーの製造方法に関する。
(式中、Rは炭素原子数1乃至6のアルキル基を表し、Lは炭素原子数2乃至6のアルキレン基を表し、nは1乃至60の整数を表す。)
第15観点として、前記nが1乃至30の整数である、第14観点に記載の製造方法に関する。
第16観点として、第1観点乃至第9観点のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーより作製される生体分子吸着抑制能を有する薄膜の製造方法であって、
該含フッ素高分岐ポリマーを溶媒中に含む液をスピンコート法により基材上に塗布し、塗膜を形成する工程、及び
該塗膜を乾燥し溶媒を除去する工程
を含む、生体分子吸着抑制能を有する薄膜の製造方法に関する。
第17観点として、第12観点に記載の樹脂ブレンドより作製される生体分子吸着抑制膜の製造方法であって、
該樹脂ブレンドを溶媒中に含む液をスピンコート法により基材上に塗布し、塗膜を形成する工程、及び
該塗膜を乾燥し溶媒を除去する工程
を含む、生体分子吸着抑制膜の製造方法に関する。
本発明の、分子末端に、生体分子の吸着を抑制する効果を有するオキシアルキレン部位を有する含フッ素高分岐ポリマーは、該ポリマーを含有するワニスや該ポリマーを含有する樹脂ブレンド等を用いて、スピンコーティングにより容易に膜を形成でき、短時間で基材上にタンパク質などの生体分子の吸着を抑制可能な表面を作製することが可能となる。
また本発明の分子末端にオキシアルキレン部位を有する含フッ素高分岐ポリマーは、積極的に枝分かれ構造を導入しているため、線状高分子と比較して分子間の絡み合いが少なく微粒子的挙動を示す。さらにフルオロアルキル基により低表面エネルギー化された含フッ素高分岐ポリマーは、マトリクスとなる熱可塑性樹脂中においては、空気などの自由界面である表面側への移動が容易となり、樹脂表面に活性を付与しやすい。従って、本発明の分子末端にオキシアルキレン部位を有する含フッ素高分岐ポリマーと上記熱可塑性樹脂等を含む樹脂ブレンドから膜などの成形体を作製する際、微粒子状の該含フッ素高分岐ポリマーは界面(膜表面)に容易に移動することができ、その表面において該含フッ素高分岐ポリマーの存在量が高められた成形体(膜)を形成可能である。すなわち、本発明の分子末端にオキシアルキレン部位を有する含フッ素高分岐ポリマーに熱可塑性樹脂等を配合した樹脂ブレンドから、その表面がタンパク質などの生体分子の吸着を抑制可能な表面である成形体(膜)等を形成できる。
図1は、末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1のH NMRスペクトルを示す図である。 図2は、末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1の13C NMRスペクトルを示す図である。 図3は、末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1、並びに、末端にトリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー2のIRスペクトルを示す図である。 図4は、末端にトリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー2のH NMRスペクトルを示す図である。 図5は、末端にトリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー2/PMMAブレンド膜の角度分解X線光電子分光(XPS)測定による表面組成分析結果(光電子放出角θに対するフッ素原子と炭素原子の光電子強度比IF1s/IC1s)を示す図である(熱処理温度;(a)室温、(b)150℃)。 図6は、末端にトリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー2/PMMAブレンド膜及び末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1/PMMAブレンド膜における水接触角の経時変化を示す図である。 図7は、末端にトリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー2/PMMAブレンド膜及びPMMA膜へのフルオレセインイソシアネート標識ウシ血清アルブミン(BSA)吸着の蛍光顕微鏡による観察結果を示す図である(BSA/リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液濃度:10μg/mL、50μg/mL、100μg/mL。) 図8は、実施例4及び比較例2において得られた蛍光顕微鏡写真(図7)において、該写真の輝度を数値化処理して得られた値を、BSA濃度に対してプロットした図である。 図9は、末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー3、4、及び末端にポリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー5のIRスペクトルを示す図である。 図10は、末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー3のH NMRスペクトルを示す図である。 図11は、末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー4のH NMRスペクトルを示す図である。 図12は、末端にポリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー5のH NMRスペクトルを示す図である。 図13は、含フッ素高分岐ポリマー3/PMMAブレンド膜、含フッ素高分岐ポリマー4/PMMAブレンド膜、及び含フッ素高分岐ポリマー5/PMMAブレンド膜の角度分解XPS測定による表面組成分析結果(光電子放出角θに対するフッ素原子と炭素原子の光電子強度比IF1s/IC1s)を示す図である。 図14は、含フッ素高分岐ポリマー3/PMMAブレンド膜、含フッ素高分岐ポリマー4/PMMAブレンド膜、及び含フッ素高分岐ポリマー5/PMMAブレンド膜における水接触角の経時変化を示す図である。 図15は、含フッ素高分岐ポリマー3/PMMAブレンド膜、含フッ素高分岐ポリマー4/PMMAブレンド膜、含フッ素高分岐ポリマー5/PMMAブレンド膜、及びPMMA膜へのフルオレセインイソシアネート標識BSA吸着の蛍光顕微鏡による観察結果を示す図である(BSA/PBS溶液濃度:5μg/mL、20μg/mL、50μg/mL。) 図16は、実施例14乃至16、及び比較例3において得られた蛍光顕微鏡写真(図15)において、該写真の輝度を数値化処理して得られた値を、BSA濃度に対してプロットした図である。 図17は、含フッ素高分岐ポリマー3/PMMAブレンド膜、含フッ素高分岐ポリマー4/PMMAブレンド膜、含フッ素高分岐ポリマー5/PMMAブレンド膜、含フッ素高分岐ポリマー1/PMMAブレンド膜、PMMA膜及びPET膜上に粘着した血小板の走査電子顕微鏡(SEM)像である。 図18は、実施例17乃至19、及び比較例4乃至6における、各膜に粘着した血小板数とその活性化度の分類をプロットした図である。
<含フッ素高分岐ポリマー>
本発明の含フッ素高分岐ポリマーは、分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを少なくとも含む重合性化合物を、該モノマーAのモル数に対して5〜200モル%の重合開始剤Cの存在下で重合させることにより得られる含フッ素高分岐ポリマーであって、その分子末端に前記式[1]で表されるオキシアルキレン部位を有するポリマーである。
なお、前記含フッ素高分岐ポリマーは、いわゆる開始剤断片組込み(IFIRP)型高分岐ポリマーであり、その末端に重合に使用した重合開始剤Cの断片を有している。そして好ましくは、前記式[1]で表されるオキシアルキレン部位は、前記重合開始剤Cの断片を介してその分子末端に結合している。
さらに、上記含フッ素高分岐ポリマーは、本発明の効果を損なわない限り、後述のモノマーA及びモノマーBに属さない多官能モノマー及び/又は単官能モノマーを、必要に応じて共重合させてもよい。
[モノマーA]
本発明において、分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAは、ビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方を少なくとも1つ有することが好ましく、特にジビニル化合物又はジ(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
なお、本発明では(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方をいう。例えば(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸をいう。
前記分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAとしては、例えば、以下の(A1)乃至(A5)に示した化合物が挙げられる。
(A1)ビニル系炭化水素類:
(A1−1)脂肪族ビニル系炭化水素類;イソプレン、ブタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン等。
(A1−2)脂環式ビニル系炭化水素類;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン等。
(A1−3)芳香族ビニル系炭化水素類;ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ジビニルフルオレン、ジビニルカルバゾール、ジビニルピリジン等。
(A2)ビニルエステル、アリルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル及びビニルケトン:
(A2−1)ビニルエステル;アジピン酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、イタコン酸ジビニル、ビニル(メタ)アクリレート等。
(A2−2)アリルエステル;マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、アリル(メタ)アクリレート等。
(A2−3)ビニルエーテル;ジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等。
(A2−4)アリルエーテル;ジアリルエーテル、ジアリルオキシエタン、トリアリルオキシエタン、テトラアリルオキシエタン、テトラアリルオキシプロパン、テトラアリルオキシブタン、テトラメタリルオキシエタン等。
(A2−5)ビニルケトン;ジビニルケトン、ジアリルケトン等。
(A3)(メタ)アクリル酸エステル:
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、グリセリン=トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ビス[2−(メタ)アクリロイルチオエチル]スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルチオフェニル]スルフィド、アルコキシチタントリ(メタ)アクリレート、イソホロンウレタンジ(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタンジ(メタ)アクリレート、芳香族ウレタンジ(メタ)アクリレート等。
(A4)ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系化合物:
ポリエチレングリコール(分子量:200,300,400,600,1000など)ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量:400,500,700など)ジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(分子量:650など)ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ポリプロピレングリコール(分子量:700など)ジ(メタ)アクリレート等。
(A5)含窒素ビニル系化合物:
ジアリルアミン、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルシアヌレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビスマレイミド等。
これらモノマーAは単独で使用してもよいし、2種類以上を併用しても構わない。
これらのうち好ましいものは、上記(A1−3)群の芳香族ビニル系炭化水素類、(A2)群のビニルエステル、アリルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル及びビニルケトン、(A3)群の(メタ)アクリル酸エステル、(A4)群のポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系化合物、並びに(A5)群の含窒素ビニル系化合物であり、より好ましくは上記(A1−3)群の芳香族ビニル系炭化水素類、(A3)群の(メタ)アクリル酸エステルである。これらの中でも後述する熱可塑性樹脂への分散性の観点から、特にジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
[モノマーB]
本発明において、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBは、好ましくはビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方を少なくとも1つ有することが望ましい。
例えばモノマーBとしては、上記式[2]で表される化合物が挙げられ、より好ましい具体例として下記式[4]で表される化合物を挙げることができる。
(式中、Rは前記式[2]における定義と同じ意味を表し、Xは水素原子又はフッ素原子を表し、mは1又は2を表し、pは0乃至5の整数を表す。)
このようなモノマーBとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明において、モノマーBの使用量は、反応性や表面改質効果の観点から、前記モノマーAの使用モル数に対して5〜300モル%、特に10〜150モル%の量で、より好ましくは20〜100モル%の量で使用することが好ましい。
[重合開始剤C]
上記重合開始剤Cとしては、好ましくはアゾ系重合開始剤が用いられる。アゾ系重合開始剤としては、例えば以下の(1)〜(5)に示す化合物を挙げることができる。
(1)アゾニトリル化合物:
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等;
(2)アゾアミド化合物:
2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等;
(3)環状アゾアミジン化合物:
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェートジヒドレート、2,2’−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジヒドロクロリド等;
(4)アゾアミジン化合物:
2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラヒドレート等;
(5)その他:
2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)等。
上記アゾ系重合開始剤は一種を単独で、或いは二種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらアゾ系重合開始剤の中でも、後述する本発明の含フッ素高分岐ポリマーにおける前記式[1]で表されるオキシアルキレン部位の導入のしやすさの観点から4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラヒドレート等が好ましい。
前記重合開始剤Cは、前記モノマーAのモル数に対して、5〜200モル%の量で使用され、好ましくは20〜200モル%の量で、より好ましくは20〜100モル%の量で使用される。
[その他のモノマー]
本発明で用いる重合性化合物は、本発明の効果を損なわない限り、前記モノマーA、モノマーBに属さない、その他のモノマーを含んでもいてもよい。
その他のモノマーとしては、分子内に1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーであれば特に制限はないが、ビニル化合物又は(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
[オキシアルキレン部位]
前記式[1]におけるRが表す炭素原子数1乃至6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、tert−アミル基、sec−イソアミル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1乃至4のアルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
また、Lが表す炭素原子数2乃至6のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、ペンタメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。これらの中でも、生体分子吸着抑制効果の観点から、エチレン基が好ましい。
[重合性化合物の重合方法]
前述のモノマーAと、モノマーBとを少なくとも含む重合性化合物を、該モノマーAに対して所定量の重合開始剤Cの存在下で重合させる重合方法としては公知の方法、例えば溶液重合、分散重合、沈殿重合、及び塊状重合等が挙げられ、中でも溶液重合又は沈殿重合が好ましい。特に分子量制御の点から、有機溶媒中での溶液重合によって反応を実施することが好ましい。
このとき用いられる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素類;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、オルトジクロロベンゼン等のハロゲン化物類;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類又はエステルエーテル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、並びにこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、芳香族炭化水素類、ハロゲン化物類、エステル類、エステルエーテル類、エーテル類、ケトン類、アルコール類、アミド類等であり、特に好ましいものはベンゼン、トルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブチルアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等である。
上記重合反応を有機溶媒の存在下で行う場合、前記モノマーAの1質量部に対する前記有機溶媒の質量は、通常5〜120質量部であり、好ましくは10〜110質量部である。
重合反応は常圧、加圧密閉下、又は減圧下で行われ、装置及び操作の簡便さから常圧下で行うのが好ましい。また、N等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
重合温度は、反応混合物の沸点以下であれば任意であるが、重合効率と分子量調節の点から、好ましくは50〜200℃であり、さらに好ましくは80〜150℃であり、80〜130℃がより好ましい。
反応時間は、反応温度や、モノマーA、モノマーB及び重合開始剤Cの種類及び割合、重合溶媒種等によって変動するものであるため一概には規定できないが、好ましくは30〜720分、より好ましくは40〜540分である。
重合反応の終了後、得られた含フッ素高分岐ポリマーを任意の方法で回収し、必要に応じて洗浄等の後処理を行う。反応溶液から高分子を回収する方法としては、再沈殿等の方法が挙げられる。
なお本発明の含フッ素高分岐ポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量(Mw)は、1,000〜400,000、好ましくは2,000〜200,000、より好ましくは2,000〜100,000、ことさら好ましくは2,000〜50,000である。
<含フッ素高分岐ポリマーの製造方法>
本発明の含フッ素高分岐ポリマーは、その分子末端に前記式[1]で表されるオキシアルキレン部位を有する。
オキシアルキレン部位の導入は、上記含フッ素高分岐ポリマーの前駆体といえるカルボキシ基含有含フッ素高分岐ポリマー又はそのカルボキシ基活性化体と、上記式[3]で表される化合物(ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル)とを反応させることにより得られる。
なお本製造方法もまた本発明の対象である。
前記カルボキシ基含有含フッ素高分岐ポリマーは、分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを少なくとも含む重合性化合物を、該モノマーAのモル数に対して5〜200モル%の分子内にカルボキシ基を有する重合開始剤の存在下で重合させることにより得られるポリマーである。
また、そのカルボキシ基活性化体とは、前記カルボキシ基含有含フッ素高分岐ポリマーを、公知の活性エステル化剤と反応させることにより、該カルボキシ基の一部又は全部を活性エステル化させてなるポリマーである。前記公知の活性エステル化剤としては、ニトロフェノール、ペンタフルオロフェノール、N−ヒドロキシコハク酸イミド等が挙げられる。
上記カルボキシ基含有含フッ素高分岐ポリマーは、前述の[重合性化合物の重合方法]に記載の方法を用いて製造可能であり、上記モノマーA及びモノマーBとしては、前述の[モノマーA][モノマーB]に記載のモノマーA、モノマーBを、また上記重合開始剤としては、前述の[重合開始剤C]のうち、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)等のカルボキシ基を有する重合開始剤を好適に使用可能である。また、モノマーA及びモノマーBの他に、前述の[その他モノマー]を重合性化合物として併用してもよい。
上記カルボキシ基含有含フッ素高分岐ポリマーのカルボキシ基活性化体を用いる場合、前記カルボキシ基含有含フッ素高分岐ポリマーと、前記公知の活性エステル化剤とを、これら化合物を溶解可能な溶媒中で反応させて、該含フッ素高分岐ポリマーのカルボキシ基の一部又は全部に活性エステル化剤を結合させ、カルボキシ基活性化体を得る。前記溶媒としては、例えば前述の[重合性化合物の重合方法]に用いる溶媒を挙げることができる。
上記反応において、活性エステル化剤の使用量は、該カルボキシ基含有含フッ素高分岐ポリマーのカルボキシ基量に対して、例えば、0.1〜10モル倍量である。活性エステル化剤の使用量を変更することで、全カルボキシ基に対する活性化カルボキシ基の割合を調節することができる。
上記反応は常圧、加圧密閉下、又は減圧下で行われ、装置及び操作の簡便さから常圧下で行うのが好ましい。また、N等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
このとき、反応温度は−80〜200℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜50℃にて行うことが望ましく、反応時間は0.1〜48時間、好ましくは0.2〜40時間にて行うことが望ましい。
反応終了後、得られたカルボキシ基活性体を任意の方法で回収し、必要に応じて洗浄等の後処理を行い、続く工程に使用する。反応溶液から回収する方法としては、再沈殿等の方法が挙げられる。
上記カルボキシ基含有含フッ素高分岐ポリマー又はそのカルボキシ基活性化体と、上記式[3]で表される化合物との反応は、公知の縮合剤の存在下で、これら化合物を溶解可能な溶媒中で実施される。前記溶媒としては、例えば前述の[重合性化合物の重合方法]に用いる溶媒を用いることができる。
上記式[3]で表される化合物において、式中のR及びLとしては、前述の[オキシアルキレン部位]に示す基を挙げることができる。
上記式[3]で表される化合物としては特に限定されないが、中でも式中、nが3以上の整数を表す化合物であることが好ましい。また、得られる含フッ素高分岐ポリマーの特性の観点から、nが45以下の整数を表す化合物であることが好ましい。さらに、nが5以上45以下の整数を表す化合物、nが10以上45以下の整数を表す化合物、nが5以上30以下の整数を表す化合物、又はnが10以上30以下の整数を表す化合物であることが好ましい。
式[3]で表される化合物としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘプタエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル、ノナエチレングリコールモノメチルエーテル、ドデカエチレングリコールモノエチルエーテル、トリデカエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラデカエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ヘプタプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリ(テトラメチレングリコール)モノメチルエーテル、ノナ(テトラメチレングリコール)モノメチルエーテル、ポリ(テトラメチレングリコール)モノメチルエーテル等が挙げられる。中でも、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル、ドデカエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル等を好適に使用可能である。
上記の公知の縮合剤としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩等のカルボジイミド類、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート等が挙げられる。なお、DCC等のカルボジイミド類を用いる場合、触媒量の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を併用することが好ましい。
上記反応は常圧、加圧密閉下、又は減圧下で行われ、装置及び操作の簡便さから常圧下で行うのが好ましい。また、N等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
このとき、反応温度は−80〜200℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜50℃にて行うことが望ましく、反応時間は0.1〜48時間、好ましくは0.2〜40時間にて行うことが望ましい。
上記反応の終了後、得られた高分岐ポリマー(分子末端に前記式[1]で表されるオキシアルキレン部位を有する含フッ素高分岐ポリマー)を任意の方法で回収し、必要に応じて洗浄等の後処理を行う。反応溶液から高分子を回収する方法としては、再沈殿等の方法が挙げられる。
<含フッ素高分岐ポリマーを含有するワニス及び薄膜の製造方法>
本発明の含フッ素高分岐ポリマーより作製される薄膜(生体分子吸着抑制作用を有する薄膜)を形成する具体的な方法としては、まず、含フッ素高分岐ポリマーを溶媒に溶解又は分散してワニスの形態(膜形成材料)とし、該ワニスを基材上にキャストコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等によって塗布し、その後、ホットプレート又はオーブン等で乾燥して製膜する。
これらの塗布方法の中でもスピンコート法が好ましい。スピンコート法を用いる場合には、単時間で塗布することができるために、揮発性の高い溶液であっても利用でき、また、均一性の高い塗布を行うことができるという利点がある。
上記ワニスの形態において使用する溶媒としては、上記含フッ素高分岐ポリマーを溶解するものであればよく、例えば、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ブチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これら溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の溶媒を混合してもよい。
また上記溶媒に溶解又は分散させる濃度は任意であるが、含フッ素高分岐ポリマーと溶媒の総質量(合計質量)に対して、含フッ素高分岐ポリマーの濃度は0.01〜90質量%であり、好ましくは0.05〜50質量%であり、より好ましくは0.1〜20質量%である。
形成された含フッ素高分岐ポリマーからなる薄膜の厚さは特に限定されないが、通常0.005〜50μm、好ましくは0.01〜20μmである。
<含フッ素高分岐ポリマーを含有する樹脂ブレンド>
本発明はまた、前述の(a)含フッ素高分岐ポリマー、及び(b)熱可塑性樹脂を含む樹脂ブレンドに関する。
[熱可塑性樹脂]
本発明の樹脂ブレンドに含まれる熱可塑性樹脂は特に限定されないが、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、EEA(エチレン−アクリル酸エチル共重合体)などのポリオレフィン系樹脂;PS(ポリスチレン)、HIPS(ハイインパクトポリスチレン)、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、MS(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体)などのポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;PMMA(ポリメタクリル酸メチル)などの(メタ)アクリル樹脂;PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、PLA(ポリ乳酸)、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート/アジペートなどのポリエステル樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;変性ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ポリグルコール酸;変性でんぷん;酢酸セルロース、三酢酸セルロース;キチン、キトサン;リグニン等が挙げられる。
中でも、ポリスチレン系樹脂又は(メタ)アクリル樹脂であることが好ましく、特にポリスチレン樹脂又はポリメタクリル酸メチル樹脂であることが好ましい。
上記樹脂ブレンドにおいて、熱可塑性樹脂に対する含フッ素高分岐ポリマーの配合量は、好ましくは0.01〜50質量%であり、特に0.1〜40質量%であることが好ましい。
<樹脂ブレンドより作製される生体分子吸着抑制膜及びその形成法>
本発明の樹脂ブレンドは、該樹脂ブレンドを溶媒に溶解又は分散してワニスの形態(膜形成材料)とし、該ワニスを基材上に塗布(コーティング)することにより、生体分子吸着抑制膜、さらには成形体を形成できる。
前記基材上への塗布方法は、キャストコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等を適宜選択し得、中でも短時間で塗布できることから揮発性の高い溶液であっても利用でき、また、均一性の高い塗布を行うことができるという利点より、スピンコート法を用いることが望ましい。なお事前に孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて樹脂ブレンドを濾過した後、塗布に供することが好ましい。
上記ワニスの形態において使用する溶媒としては、上記樹脂ブレンドを溶解するものであればよく、これら溶媒の具体例としては、前記<含フッ素高分岐ポリマーを含有するワニス及び薄膜の製造方法>に挙げた溶媒と同じものが挙げられる。
上記ワニスにおける固形分は、例えば0.01〜50質量%、0.05〜30質量%、又は0.1〜20質量%である。ここで固形分とはワニスの全成分から溶媒成分を除いたものである。
前記基材としては、例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンウエハ、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、ITO基板、プラスチック基板(ポリイミド、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよい。
塗布後、必要であれば続いてホットプレート又はオーブン等で乾燥し、溶媒を除去する。この時の乾燥温度及び乾燥時間は、使用する溶媒にもよるが、室温(およそ25℃)〜400℃、10秒間〜48時間の間で適宜選択可能である。
溶媒を除去した塗膜は、続いて極性媒体の雰囲気下で、得られた塗膜のアニーリングを行うこと、所謂“溶媒アニーリング”を行ってもよい。
ここで用語「溶媒アニーリング(solvent annealing)」は、溶媒蒸気処理を指し、密閉容器中、室温又はさらに高い温度において、溶媒蒸気を含む空気に曝すことを指す。溶媒アニーリングは、一般に膜の表面状態を変化せしめることができ、本発明においては、膜表面の含フッ素高分岐ポリマーの存在量をより一層高めることができる。
本発明において、上記極性媒体(溶媒アニーリングに使用する溶媒)としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類等が挙げられ、中でもメタノールが好ましい。
また、アニーリング時の温度及びアニーリング時間(溶媒蒸気に曝す時間)は特に限定されないが、例えば室温(およそ25℃)乃至使用溶媒の沸点、10秒間〜48時間の間で適宜選択可能である。
なお、塗布による膜の厚さは、乾燥後、必要に応じてその後の溶媒アニーリング後において、通常0.005〜50μm、好ましくは0.01〜20μmである。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下の通りである。
(1)H NMRスペクトル
装置:日本電子(株)製 JNM−ECA700(製造例1)
日本電子(株)製 JNM−ECP400(実施例1、5〜7)
溶媒:CDCl(製造例1、実施例1)
(CDC(=O)(実施例5〜7)
基準:CHCl(7.26ppm)(製造例1)
テトラメチルシラン(0.00ppm)(実施例1)
(CHC(=O)(2.10ppm)(実施例5〜7)
(2)13C NMRスペクトル
装置:BRUKER社製 AVANCE(登録商標)III 600
溶媒:CDCl
基準ピーク:CDCl(77.0ppm)
(3)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
装置:東ソー(株)製 HLC−8220GPC
カラム:昭和電工(株)製 Shodex(登録商標)GPC KF−804L、同KF−805L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:RI
(4)IRスペクトル
装置:日本分光(株)製 FT/IR−620
測定条件:KBr錠法、室温、大気下
分解能:4cm−1
(5)スピンコーター
装置:ミカサ(株)製 1H−D7
(6)乾燥器
装置:(株)いすゞ製作所製 ISUZU−SVK−10S
(7)X線光電子分光測定(XPS)
装置:アルバック・ファイ(株)製 ESCA 5800
測定条件:14.0kV、14mA
中和条件:bias(V)6.00
Extractor(V)30
X=24.5
Y;角度により変更
(8)接触角
装置:協和界面科学(株)製 DropMaster 500
(9)蛍光顕微鏡
装置:株式会社キーエンス製 標準タイプBiozero蛍光顕微鏡BZ−8100シリーズ
フィルタ:BZフィルタTRITC
露光時間:2.5秒
励起波長:494nm
吸収波長:520nm
(10)走査電子顕微鏡(SEM)観察
装置:(株)島津製作所製 SS−550
加速電圧:15kV
倍率:×1500
また、略記号は以下の意味を表す。
DVB:ジビニルベンゼン[新日鉄住金化学(株)製 DVB−960]
C6FA:2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート[ユニマテック(株)製 FAAC−6]
ACVA:4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)[和光純薬工業(株) V−501]
TEGMEE:トリエチレングリコールモノエチルエーテル[東京化成工業(株)製]
HEGMME:ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル[東京化成工業(株)製]
12EGME:ポリエチレングリコールモノメチルエーテル[Aldrich社製 製品番号:202487 数平均分子量:550]
45EGME:ポリエチレングリコールモノメチルエーテル[Aldrich社製 製品番号:202509 数平均分子量:〜2,000]
DCC:N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド[東京化成工業(株)製]
DIC:N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド[東京化成工業(株)製]
DMAP:4−(ジメチルアミノ)ピリジン[関東化学(株)製]
PMMA:ポリメタクリル酸メチル[Polymer Source社製 重量平均分子量:315,000]
EGME:エチレングリコールモノメチルエーテル
IPE:ジイソプロピルエーテル
THF:テトラヒドロフラン
[製造例1]末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1の製造
1Lの反応フラスコに、EGME325gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、内液が還流するまで(およそ125℃)加熱した。
別の500mLの反応フラスコに、モノマーAとしてDVB6.5g(50mmol)、モノマーBとしてC6FA10.5g(25mmol)、開始剤としてACVA14.0g(50mmol)、及びEGME325gを仕込み、撹拌しながら5間窒素を流し込み窒素置換を行った。
前述の1Lの反応フラスコ中の還流してあるEGME中に、DVB、C6FA及びACVAが仕込まれた前述の500mLの反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。
次に、この反応液からロータリーエバポレーターを用いてEGME553gを留去後、その残渣をIPE650gに添加してポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧ろ過し、白色粉末の粗物を得た。この粗物をTHF50gに再溶解させ、再度IPE650gに添加してポリマーを再沈殿した。さらに上記一連の操作(減圧ろ過−THFに再溶解−IPEで再沈殿)をもう一度繰返し精製した。最後に得られた沈殿物を減圧ろ過、真空乾燥して、白色粉末の目的物(末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1)13.8gを得た。
得られた末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1のH NMRスペクトルを図1に、13C NMRスペクトルを図2にそれぞれ示す。13C NMRスペクトルから算出した、下記構造式に示す末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1の単位構造組成(モル比)は、DVBユニット[A]:C6FAユニット[B]:ACVAユニット[C]=1.0:0.7:0.5であった。また、該ポリマーのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは9,500、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は2.4であった。
式中、黒点は結合端を表す。
[実施例1]末端にトリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー2の製造
25mLの三口フラスコ、に製造例1で得られた末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1 38mg(5.1μmol)、TEGMEE16mg(97μmol)、触媒としてDMAP7mg(57μmol)、縮合剤としてDCC21mg(100μmol)、及び予めCaHで脱水したTHF2.7mgを仕込んだ。この溶液を窒素雰囲気下、室温(およそ20℃)で24時間撹拌し反応させた。析出したジシクロへキシルウレア(DCU)をろ過により除去した。THFを減圧留去し、得られた残渣をクロロホルムに溶解した。次に、この溶液をpH5の塩酸水溶液で3回洗浄しDMAPを除去した。さらに蒸留水で2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、クロロホルムを減圧留去した。残渣をジエチルエーテルで3回洗浄することで白色粘稠体の目的物(末端にトリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー2)9mgを得た。
得られた末端にトリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー2のIRスペクトルを図3に、H NMRスペクトルを図4にそれぞれ示す。また図3には、末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1のIRスペクトルも合わせて示す。IRスペクトルにおいて、2800〜2500cm−1付近にカルボン酸のOH伸縮振動由来のブロードなピークが観測されなかったことから、含フッ素高分岐ポリマー1のほぼ全ての末端カルボキシ基に、トリ(エチレンオキシド)部位が導入されていることが確認された。
[実施例5]末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー3(エチレンオキシドの繰返し単位数n=6)の製造
25mLの三口フラスコに、製造例1で得られた末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1 200mg(21μmol)、HEGMME120mg(0.40mmol)、触媒としてDMAP27mg(0.22mmol)、縮合剤としてDIC60mg(0.48mmol)、及び予めCaHで脱水したTHF1.3gを仕込んだ。この溶液を窒素雰囲気下、室温(およそ20℃)で120時間撹拌し反応させた。析出したジイソプロピルウレア(DIU)をろ過により除去した。THFを減圧留去し、得られた残渣をクロロホルムに溶解した。次に、この溶液をpH5の塩酸水溶液で3回洗浄しDMAPを除去した。さらに蒸留水で2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、クロロホルムを減圧留去した。残渣をエタノールに溶解し、エタノールに対して透析を行うことで残った未反応のHEGMMEを除去し、白色粘稠体の目的物(末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー3(n=6))99mgを得た。
得られた末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー3(n=6)のIRスペクトルを図9に、H NMRスペクトルを図10に示す。IRスペクトルにおいて、2800〜2500cm−1付近にカルボン酸のOH伸縮振動由来のブロードなピークがほぼ観測されなかったことから、含フッ素高分岐ポリマー1の末端カルボキシ基に、オリゴ(エチレンオキシド)部位が導入されていることが確認された。
[実施例6]末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー4(エチレンオキシドの繰返し単位数n=12)の製造
25mLの三口フラスコに、製造例1で得られた末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1 500mg(53μmol)、12EGME870mg(1.6mmol)、触媒としてDMAP91mg(0.75mmol)、縮合剤としてDIC200mg(1.6mmol)、及び予めNa/ベンゾフェノン存在下で蒸留したTHF6.2gを仕込んだ。この溶液を窒素雰囲気下、室温(およそ20℃)で24時間撹拌し反応させた。析出したジイソプロピルウレア(DIU)をろ過により除去し、THFを減圧留去した。得られた残渣をエタノールに溶解し、エタノールに対して透析を行うことでDMAP及び残った未反応の12EGMEを除去し、白色粘稠体の目的物(末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー4(n=12))570mgを得た。
得られた末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー4(n=12)のIRスペクトルを図9に、H NMRスペクトルを図11に示す。IRスペクトルにおいて、2800〜2500cm−1付近にカルボン酸のOH伸縮振動由来のブロードなピークがほぼ観測されなかったことから、含フッ素高分岐ポリマー1の末端カルボキシ基に、オリゴ(エチレンオキシド)部位が導入されていることが確認された。
[実施例7]末端にポリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー5(エチレンオキシドの繰返し単位数n=45)の製造
25mLの三口フラスコに、製造例1で得られた末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1 350mg(37μmol)、45EGME2.2g(1.1mmol)、触媒としてDMAP70mg(0.57mmol)、縮合剤としてDIC150mg(1.2mmol)、及び予めNa/ベンゾフェノン存在下で蒸留したTHF9.5gを仕込んだ。この溶液を窒素雰囲気下、室温(およそ20℃)で120時間撹拌し反応させた。析出したジイソプロピルウレア(DIU)をろ過により除去し、THFを減圧留去した。得られた残渣をエタノールに溶解し、エタノールに対して透析を行うことでDMAP及び残った未反応の45EGMEを除去し、白色粉末体の目的物(末端にポリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー5(n=45))740mgを得た。
得られた末端にポリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー5(n=45)のIRスペクトルを図9に、H NMRスペクトルを図12に示す。IRスペクトルにおいて、2800〜2500cm−1付近にカルボン酸のOH伸縮振動由来のブロードなピークがほぼ観測されなかったことから、含フッ素高分岐ポリマー1の末端カルボキシ基に、ポリ(エチレンオキシド)部位が導入されていることが確認された。
[実施例2]末端にトリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー2/PMMAブレンド膜の作製
実施例1で得られた末端にトリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー2及びPMMAを質量比5:95で混合した。この混合物を、濃度が2質量%となるようにTHFに溶解させ、フィルタろ過し、ワニスを調製した。このワニスを、シリコンウエハ上にスピンコーティング(3,000rpm、60秒間)し、ブレンド膜を製膜した。
製膜後、真空下、室温(およそ20℃)又は150℃で24時間熱処理を施した。偏光解析測定より見積もった膜厚は100nmであった。
得られたそれぞれの膜に対して角度分解XPS測定を実施し、膜の表面組成を評価した。各ブレンド膜における、光電子放出角の正弦(sinθ)に対する、フッ素と炭素の光電子強度比(IF1s/IC1s)を図5に示す(熱処理温度;図5(a)室温、(b)150℃)。何れの膜においても、IF1s/IC1sはsinθが小さくなるとともに増加した。sinθの値が小さくなるほど、分析深さが浅い、つまり表面近傍であることを示している。すなわち、含フッ素高分岐ポリマー2は、末端に親水性のトリ(エチレンオキシド)部を有していても、表面自由エネルギーの低いフッ素を有するため、PMMAとのブレンド膜の表面近傍に濃縮することが確認された。
[実施例8]末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー3(n=6)/PMMAブレンド膜の作製
含フッ素高分岐ポリマー2に替えて実施例5で得られた末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー3(n=6)を使用した以外は、実施例2と同様にブレンド膜を作製した。製膜後、真空下、150℃で24時間熱処理を施し、同様に評価した。
得られたブレンド膜の偏光解析測定より見積もった膜厚は200nmであった。また、光電子放出角の正弦(sinθ)に対する、フッ素と炭素の光電子強度比(IF1s/IC1s)を図13に示す。
[実施例9]末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー4(n=12)/PMMAブレンド膜の作製
含フッ素高分岐ポリマー2に替えて実施例6で得られた末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー4(n=12)を使用した以外は、実施例2と同様にブレンド膜を作製した。製膜後、真空下、150℃で24時間熱処理を施し、同様に評価した。
得られたブレンド膜の偏光解析測定より見積もった膜厚は200nmであった。また、光電子放出角の正弦(sinθ)に対する、フッ素と炭素の光電子強度比(IF1s/IC1s)を図13に併せて示す。
[実施例10]末端にポリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー5(n=45)/PMMAブレンド膜の作製
含フッ素高分岐ポリマー2に替えて実施例7で得られた末端にポリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー5(n=45)を使用した以外は、実施例2と同様にブレンド膜を作製した。製膜後、真空下、150℃で24時間熱処理を施し、同様に評価した。
得られたブレンド膜の偏光解析測定より見積もった膜厚は200nmであった。また、光電子放出角の正弦(sinθ)に対する、フッ素と炭素の光電子強度比(IF1s/IC1s)を図13に併せて示す。
図13に示すように、何れの膜においても、IF1s/IC1sはsinθが小さくなるとともに増加した。すなわち、含フッ素高分岐ポリマー3、4、5の末端親水性部位(オリゴ(エチレンオキシド)部又はポリ(エチレンオキシド)部)の鎖長(n=6、12、45)によらず、表面近傍のフッ素分率はほぼ同程度であることが確認された。これより、表面自由エネルギーの低いフッ素を有する高分岐ポリマー3、4、5は、末端に親水性部位を有していても、PMMAとのブレンド膜の表面近傍に濃縮することが確認された。
[実施例3]末端にトリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー2/PMMAブレンド膜の表面構造再編成
実施例2で作製した末端にトリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー2/PMMAブレンド膜に対し、真空下、150℃で24時間熱処理を施した。
この膜が水と接触した際の表面構造変化を評価するため、大気下、室温(およそ20℃)で1μLの超純水(millQ水)をプローブとした対水接触角の経時変化測定(60秒間)を行った。結果を図6に示す。
[比較例1]末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1/PMMAブレンド膜の表面構造再編成
製造例1で得られた末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1を用いた以外は実施例2と同様に操作し、含フッ素高分岐ポリマー1/PMMAブレンド膜を作製した。この膜を実施例3と同様に熱処理し、評価した。結果を図6に併せて示す。
図6に示すように、末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1/PMMAブレンド膜においては、水滴の蒸発に由来する対水接触角の単調な減少のみが観測された。一方、末端にトリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー2とPMMAのブレンド膜上では、水滴滴下後数秒で接触角の指数関数的な減少が観測された。これは水の接触に伴う表面構造再編成に起因することが知られている。この結果より、ブレンド膜において表面に濃縮している含フッ素高分岐ポリマー2の末端トリ(エチレンオキシド)部が、水との接触に伴い水界面に現れたことが確認された。
[実施例11]末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー3(n=6)/PMMAブレンド膜の表面構造再編成
実施例8で得られたブレンド膜に対し、実施例3と同様に熱処理し、評価した。結果を図14に示す。
[実施例12]末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー4(n=12)/PMMAブレンド膜の表面構造再編成
実施例9で得られたブレンド膜に対し、実施例3と同様に熱処理し、評価した。結果を図14に併せて示す。
[実施例13]末端にポリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー5(n=45)/PMMAブレンド膜の表面構造再編成
実施例10で得られたブレンド膜に対し、実施例3と同様に熱処理し、評価した。結果を図14に併せて示す。
図14に示すように、末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー4(n=12)/PMMAブレンド膜においては、水滴滴下後数秒で膜の表面構造再編成に由来する接触角の指数関数的な減少が僅かではあるが観測され、その後水滴の蒸発に由来する対水接触角の単調な減少が観測された。一方、末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー3(n=6)/PMMAブレンド膜においては、前者はあまり明確には観測されず、ほぼ水滴の蒸発に由来する対水接触角の単調減少のみが観測された。さらに、末端にポリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー5(n=45)/PMMAブレンド膜においては、水滴滴下後の時間経過とともに、対水接触角は著しく減少した。この結果より、ブレンド膜において表面に濃縮している含フッ素高分岐ポリマーの末端オリゴ(エチレンオキシド)部又はポリ(エチレンオキシド)部が、水との接触に伴い水界面に現れること、その程度はエチレンオキシドの鎖長(繰返し単位数n)に依存して異なることが確認された。
[実施例4]含フッ素高分岐ポリマー2/PMMAブレンド膜のタンパク質吸着挙動
シリコンウエハをカバーガラスに変更した以外は実施例2と同様に操作し、含フッ素高分岐ポリマー2/PMMAブレンド膜を作製した。製膜後、真空下、150℃で24時間熱処理を施した。
この膜を、超純水で洗浄し、24ウェルプレートの底に配置した。次に、該膜を超純水に24時間浸漬させた後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した。この膜を、10μg/mL、50μg/mL、100μg/mLに調製したフルオレセインイソシアネート標識ウシ血清アルブミン(BSA)[ELASTIN PRODUCTS COMPANY社製]/PBS溶液に37℃で1時間浸漬した。その後、各膜をPBSで洗浄し、PBS中で蛍光顕微鏡観察することで、当該膜へのウシ血清アルブミンの吸着挙動を評価した。得られた蛍光顕微鏡写真を図7に、この画像の輝度をハイブリッドセルカウント機能[株式会社キーエンス製ソフトウェア]を用いて数値化し、ウシ血清アルブミンの濃度に対してプロットしたグラフを図8に示す。
[比較例2]PMMA膜のタンパク質吸着挙動
含フッ素高分岐ポリマー2を添加せず、シリコンウエハをカバーガラスに変更した以外は実施例2と同様に操作し、PMMA膜を作製した。製膜後、真空下、150℃で24時間熱処理を施した。
この膜を使用した以外は実施例4と同様に操作し、評価した。結果を図7及び図8に併せて示す。
図7及び図8に示すように、本発明のブレンド膜におけるアルブミンの吸着に起因する蛍光強度は、PMMA膜におけるそれと比較して弱いことが明らかとなった。これより、本発明のブレンド膜表面においてアルブミンの吸着が抑制されることが確認された。
[実施例14]末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー3(n=6)/PMMAブレンド膜のタンパク質吸着挙動
含フッ素高分岐ポリマー2に替えて実施例5で得られた末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー3(n=6)を使用し、シリコンウエハをカバーガラスに変更した以外は、実施例2と同様にブレンド膜を作製した。製膜後、真空下、150℃で24時間熱処理を施した。
この膜を、超純水で洗浄し、24ウェルプレートの底に配置した。次に、該膜を超純水に24時間浸漬させた後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した。この膜を、5μg/mL、20μg/mL、50μg/mLに調製したフルオレセインイソシアネート標識ウシ血清アルブミン(BSA)[ELASTIN PRODUCTS COMPANY社製]/PBS溶液に37℃で1時間浸漬した。その後、各膜をPBSで洗浄し、PBS中で蛍光顕微鏡観察することで、当該膜へのウシ血清アルブミンの吸着挙動を評価した。得られた蛍光顕微鏡写真を図15に、この画像の輝度をハイブリッドセルカウント機能[株式会社キーエンス製ソフトウェア]を用いて数値化し、ウシ血清アルブミンの濃度に対してプロットしたグラフを図16に示す。
[実施例15]末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー4(n=12)/PMMAブレンド膜のタンパク質吸着挙動
含フッ素高分岐ポリマー2に替えて実施例6で得られた末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー4(n=12)を使用し、シリコンウエハをカバーガラスに変更した以外は、実施例2と同様にブレンド膜を作製した。製膜後、真空下、150℃で24時間熱処理を施した。
この膜を使用した以外は実施例14と同様に操作し、評価した。結果を図15及び図16に併せて示す。
[実施例16]末端にポリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー5(n=45)/PMMAブレンド膜のタンパク質吸着挙動
含フッ素高分岐ポリマー2に替えて実施例7で得られた末端にポリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー5(n=45)を使用し、シリコンウエハをカバーガラスに変更した以外は、実施例2と同様にブレンド膜を作製した。製膜後、真空下、150℃で24時間熱処理を施した。
この膜を使用した以外は実施例14と同様に操作し、評価した。結果を図15及び図16に併せて示す。
[比較例3]PMMA膜のタンパク質吸着挙動
含フッ素高分岐ポリマー2を添加せず、シリコンウエハをカバーガラスに変更した以外は実施例2と同様に操作し、PMMA膜を作製した。製膜後、真空下、150℃で24時間熱処理を施した。
この膜を使用した以外は実施例14と同様に操作し、評価した。結果を図15及び図16に併せて示す。
図15及び図16に示すように、本発明のブレンド膜におけるアルブミンの吸着に起因する蛍光強度は、PMMA膜におけるそれと比較して弱く、本発明のブレンド膜表面においてアルブミンの吸着が抑制されることが確認された。特に、含フッ素高分岐ポリマー4(n=12)/PMMAブレンド膜において最も顕著であることが明らかとなった。含フッ素高分岐ポリマー3(n=6)/PMMAブレンド膜と含フッ素高分岐ポリマー4(n=12)/PMMAブレンド膜との結果を比較すると、オリゴ(エチレンオキシド)の鎖長が長くなるにつれ膜表面におけるアルブミンの吸着が抑制され、さらにその鎖長が長くなり、n=45となると、膜表面においてアルブミンが吸着した。これは、長時間の水への浸漬により、一部の含フッ素高分岐ポリマー5が溶け出したためであると推察される。
[実施例17]末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー3(n=6)/PMMAブレンド膜の血小板粘着挙動
含フッ素高分岐ポリマー2に替えて実施例5で得られた末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー3(n=6)を使用した以外は、実施例2と同様にブレンド膜を作製した。製膜後、真空下、150℃で24時間熱処理を施した。
この膜を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に室温(およそ20℃)で12時間浸漬させた。この膜上に、正常ヒト全血より調製した多血小板血漿を貧血小板血漿で希釈した多血小板血漿をマウントし、37℃で1時間静置した。この膜をPBSで洗浄した後、1質量%グルタルアルデヒド/PBS溶液に37℃で2時間浸漬させることで、粘着した血小板を膜上に固定化した。この膜をPBS及び滅菌水で洗浄し、乾燥後、SEM観察により当該膜への血小板粘着挙動を評価した。得られたSEM像を図17に、粘着した血小板数とその活性化度を分類した結果を図18に、それぞれ示す。なお、活性化度は以下の基準に従った。
[活性化度分類基準]
分類I:円形の血小板
分類II:偽足形成や扁平化が一部進行した血小板
分類III:偽足形成や扁平化が進行した(完全に活性化した)血小板
[実施例18]末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー4(n=12)/PMMAブレンド膜の血小板粘着挙動
含フッ素高分岐ポリマー2に替えて実施例6で得られた末端にオリゴ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー4(n=12)を使用した以外は、実施例2と同様にブレンド膜を作製した。製膜後、真空下、150℃で24時間熱処理を施した。
この膜を使用した以外は実施例17と同様に操作し、評価した。結果を図17及び図18に併せて示す。
[実施例19]末端にポリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー5(n=45)/PMMAブレンド膜の血小板粘着挙動
含フッ素高分岐ポリマー2に替えて実施例7で得られた末端にポリ(エチレンオキシド)部を有する含フッ素高分岐ポリマー5(n=45)を使用した以外は、実施例2と同様にブレンド膜を作製した。製膜後、真空下、150℃で24時間熱処理を施した。
この膜を使用した以外は実施例17と同様に操作し、評価した。結果を図17及び図18に併せて示す。
[比較例4]末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1/PMMAブレンド膜の血小板粘着挙動
含フッ素高分岐ポリマー2に替えて製造例1で得られた末端にカルボキシ基を有する含フッ素高分岐ポリマー1を使用した以外は、実施例2と同様にブレンド膜を作製した。製膜後、真空下、150℃で24時間熱処理を施した。
この膜を使用した以外は実施例17と同様に操作し、評価した。結果を図17及び図18に併せて示す。
[比較例5]PMMA膜の血小板粘着挙動
含フッ素高分岐ポリマー2を添加しなかった以外は実施例2と同様に操作し、PMMA膜を作製した。製膜後、真空下、150℃で24時間熱処理を施した。
この膜を使用した以外は実施例17と同様に操作し、評価した。結果を図17及び図18に併せて示す。
[比較例6]PET膜の血小板粘着挙動
PETフィルム[帝人デュポンフィルム(株)製]を使用した以外は実施例17と同様に操作し、評価した。結果を図17及び図18に併せて示す。
図17及び図18に示すように、含フッ素高分岐ポリマー1/PMMAブレンド膜においては、PET膜と同等、あるいは、それ以上に血小板が粘着し活性化していた一方で、本発明のブレンド膜における血小板粘着数が著しく少なくいことが確認された。これより、オリゴ(エチレンオキシド)部を導入した効果により血小板粘着が抑制されたことが明らかである。特に、含フッ素高分岐ポリマー4(n=12)/PMMAブレンド膜、及び含フッ素高分岐ポリマー5(n=45)においては、血小板粘着数が著しく少ないだけでなく、その偽足形成や扁平化があまり進行しなかった。

Claims (17)

  1. 分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを少なくとも含む重合性化合物を、該モノマーAのモル数に対して5〜200モル%の重合開始剤Cの存在下で重合させることにより得られる含フッ素高分岐ポリマーであって、その分子末端に式[1]で表されるオキシアルキレン部位を有する、含フッ素高分岐ポリマー。
    (式中、Rは炭素原子数1乃至6のアルキル基を表し、Lは炭素原子数2乃至6のアルキレン基を表し、nは1乃至60の整数を表す。)
  2. 前記nが1乃至30の整数である、請求項1に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  3. 前記オキシアルキレン部位が、重合開始剤Cの断片を介してその分子末端に結合している、請求項1又は請求項2に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  4. 前記モノマーAが、ビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有する化合物である、請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  5. 前記モノマーAが、ジビニル化合物又はジ(メタ)アクリレート化合物である、請求項4に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  6. 前記モノマーAがジビニルベンゼンである、請求項5に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  7. 前記モノマーBが、ビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方を少なくとも1つ有する化合物である、請求項1乃至請求項6のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  8. 前記モノマーBが式[2]で表される化合物である、請求項7に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rはヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素原子数2乃至12のフルオロアルキル基を表す。)
  9. 前記重合開始剤Cがアゾ系重合開始剤である、請求項1乃至請求項8のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  10. 請求項1乃至請求項9のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーを含有するワニス。
  11. 請求項1乃至請求項9のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーより作製される生体分子吸着抑制能を有する薄膜。
  12. (a)請求項1乃至請求項9のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマー、及び
    (b)熱可塑性樹脂
    を含む樹脂ブレンド。
  13. 請求項12に記載の樹脂ブレンドより作製される生体分子吸着抑制膜。
  14. 分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを少なくとも含む重合性化合物を、該モノマーAのモル数に対して5〜200モル%の分子内にカルボキシ基を有する重合開始剤の存在下で重合させることにより得られるカルボキシ基含有含フッ素高分岐ポリマー、又はそのカルボキシ基活性化体と、式[3]で表される化合物とを反応させることを特徴とする、請求項1乃至請求項9のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーの製造方法。
    (式中、Rは炭素原子数1乃至6のアルキル基を表し、Lは炭素原子数2乃至6のアルキレン基を表し、nは1乃至60の整数を表す。)
  15. 前記nが1乃至30の整数である、請求項14に記載の製造方法。
  16. 請求項1乃至請求項9のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーより作製される生体分子吸着抑制能を有する薄膜の製造方法であって、
    該含フッ素高分岐ポリマーを溶媒中に含む液をスピンコート法により基材上に塗布し、塗膜を形成する工程、及び
    該塗膜を乾燥し溶媒を除去する工程
    を含む、生体分子吸着抑制能を有する薄膜の製造方法。
  17. 請求項12に記載の樹脂ブレンドより作製される生体分子吸着抑制膜の製造方法であって、
    該樹脂ブレンドを溶媒中に含む液をスピンコート法により基材上に塗布し、塗膜を形成する工程、及び
    該塗膜を乾燥し溶媒を除去する工程
    を含む、生体分子吸着抑制膜の製造方法。
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