JPWO2016031949A1 - 慢性腎不全の治療薬 - Google Patents
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Abstract
[要約]猫を始めとした哺乳動物の慢性腎不全の治療薬とその処置方法を提供する。下記一般式(I)で表される化合物を、一回あたり55μg投与するか、または一回あたり6〜26.4μg/kg投与し、好ましくは1日2回、30日間以上経口にて連日投与することで、腎機能マーカーであるBUN、SCre等の上昇を抑制、安定化し、慢性腎不全を改善することができる。[化1]
Description
本発明は慢性腎不全の治療薬とその処置方法に関する。
腎不全における本願一般式(I)で表される化合物の効果については、糸球体基底膜の抗体を投与して作成した腎炎を原疾患とするラット腎不全モデルでの報告が知られている(特許文献1)。本報告で、腎機能マーカーである血清クレアチニン(SCre)や血中尿素窒素(BUN)といった腎機能マーカーの値が正常値よりも高値をとることで規定される腎不全を認めてから、一般式(I)の化合物を投与すると、腎不全の進行に伴って上昇する尿中タンパク排泄量、SCre、BUNといった数値の上昇が、対照群に比べて抑制されることが示されている。さらに臨床においても、慢性腎不全患者のクレアチニンクリアランスやSCreの逆数の低下で示される保存期腎不全の腎機能低下をベラプロストナトリウムの投与によって抑制されたことが知られている(非特許文献1)。一方、近年、人医学に限らず獣医学領域においても慢性腎不全患者の増加が大きな問題となっている。犬や猫などの愛玩動物は、より栄養価の高い食餌やより高度の獣医療サービスを享受できるようになった。その結果、人と同様に愛玩動物も長命となり、老化関連疾患や治療が困難な慢性疾患を患う動物が急速に増加している。多種類の愛玩動物で慢性腎不全は見られるが、猫では特に高率に慢性腎不全を発症する。慢性腎不全は15歳以上の猫では全疾患の約30%にも達し、猫の主要な死因となる。さらに患者猫が動物病院に持ち込まれた時点では、相当に進行した慢性腎不全状態であり、尿毒症を併発しているケースが非常に多い。
本願一般式(I)の化合物を含有する尿毒症治療薬は、こうした慢性腎不全患者に併発した尿毒症の治療に有効であることが知られている(特許文献2)。尿毒症判定の好適なモデルである猫において、低下した食欲の回復、活動性の改善、体重の増加等が副作用無く速やかに達成されるが、それらはあくまでも尿毒症症状の改善であり、必ずしも腎不全状態すなわち腎機能の低下に効果を示すものではなかった。つまり腎機能の改善と尿毒症の改善は直結しないことを示しており、慢性腎不全そのものの治療に課題を残していた。また、一般式(I)で表される化合物を30μg/kg体重以上投与した場合に下痢、嘔吐、鎮静、心拍数の増加等の副作用が生じる場合があることが開示されている。
Fujita,T. et al., Prostaglandins Leukot. Essent. Fatty Acids, Oct; 65(4): 223-227. 2001
本発明は解決しようとする課題は、猫を始めとした哺乳動物の慢性腎不全の治療薬及び処置方法を提供することである。
本発明者らは猫を始めとした哺乳動物の慢性腎不全の治療方法を見出すため、本願一般式(I)で表される化合物を有効成分とした慢性腎不全治療薬の最適な用法、用量を鋭意検討した結果、一般式(I)で表される化合物を、一回あたり55μg投与するか、または一回あたり6〜26.4μg/kg投与し、好ましくは30日間以上連続投与することで、有害な副作用を生じさせることなく、SCre、BUN等の腎機能マーカーの数値の上昇を抑制し、安定的に維持されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
1.一般式(I)
すなわち本発明は、
1.一般式(I)
R1は、
(A)COOR2、ここでR2は、
1)水素または薬理学的に受け入れられる陽イオン、
2)炭素数1〜12の直鎖アルキルまたは炭素数3〜14の分岐アルキル
3)−Z−R3、ここでZは原子価結合、またはCtH2tで表される直鎖もしくは分岐アルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、R3は炭素数3〜12のシクロアルキルまたはR4の1〜3個で置換された炭素数3〜12の置換シクロアルキルであり、R4は水素または炭素数1〜5のアルキル、
4)−(CH2CH2O)nCH3、ここで、nは1〜5の整数、
5)−Z−Ar1、ここでZは前記定義に同じ、Ar1はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、α−フリル、β−フリル、α−チエニル、β−チエニルまたは置換フェニル(ここで置換基は少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル、フェノキシ、p−アセトアミドベンズアミド、−CH=N−NH−C(=O)NH2、−NH−C(=O)−Ph、−NH−C(=O)−CH3及び−NH−C(=O)―NH2からなる群より選ばれる少なくとも1種)、
6)−CtH2tCOOR4、ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
7)CtH2tN(R4)2、ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
8)−CH(R5)−C−(=O)−R6、ここでR5は水素またはベンゾイル、R6はフェニル、p−ブロモフェニル、p−クロロフェニル、p−ビフェニル、p−ニトロフェニル、p−ベンズアミドフェニル、2−ナフチル、
9)−CpH2p−W−R7、ここでWは−CH=CH−、−CH=CR7−または−C≡C−である、R7は水素、炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐アルキルまたは炭素数7〜30のアラルキルであり、pは1〜5の整数、または、
10)−CH(CH2OR8)2、ここでR8は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアシル、
(B)−CH2OH、
(C)−C(=O)N(R9)2、
ここでR9は水素、炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜12の分岐アルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数4〜13のシクロアルキルアルキレン、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルまたは−SO2R10を表し、R10は炭素数1〜10のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルを表し、2つのR9は同一でも異なっていてもよいが、一方が−SO2R10を表す場合は他のR9は−SO2R10ではないものとする、または、
(D)−CH2OTHP(THPはテトラヒドロピラニル基)であり、
Aは、
1)−(CH2)m−
2)−CH=CH−CH2−、
3)−CH2−CH=CH−、
4)−CH2−O−CH2−、
5)−CH=CH−、
6)−O−CH2−または
7)−C≡C−であり、ここでmは1から3の整数を示し、
Yは、水素、炭素数1〜4のアルキル、塩素、臭素、フッ素、ホルミル、メトキシまたはニトロであり、
Bは、−X−C(R11)(R12)OR13、ここで、R11は水素または炭素数1〜4のアルキルであり、R13は水素、炭素数1〜14のアシル、炭素数6〜15のアロイル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチルまたはt−ブチルであり、
Xは、
1)−CH2−CH2−、
2)−CH=CH−、または
3)−C≡C−であり、
R12は、
1)炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜14の分岐アルキル、
2)−Z−Ar2ここでZは前記定義に同じ、Ar2はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル及びフェノキシからなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基で置換したフェニル、
3)−CtH2tOR14、ここでCtH2tは前記定義に同じ、R14は炭素数1〜6の直鎖アルキル、炭素数3〜6の分岐アルキル、フェニル、少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル及びフェノキシから成る群より選ばれる少なくとも1種の置換基で置換されたフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または、炭素数1〜4の直鎖アルキルの1〜4個で置換されたシクロペンチルまたはシクロヘキシル、
4)−Z−R3、ここでZ、R3は前記定義に同じ、
5)−CtH2t−CH=C(R15)R16、ここでCtH2tは前記定義に同じ、R15及びR16は互いに独立に水素、メチル、エチル、プロピル若しくはブチル、または
6)−CuH2u−C≡C−R17、ここでuは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表し、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表し、
Eは、水素または−OR18、ここでR18は炭素数1〜12のアシル、炭素数1〜15のアロイル若しくはR2(ここでR2は前記定義に同じ)を表し、
一般式(I)はd体、l体またはdl体を表す]、
で表される化合物を、哺乳動物に一回あたり55μg投与することを特徴とする慢性腎不全治療薬、
2.一般式(I)
R1は、
(A)COOR2、ここでR2は、
1)水素または薬理学的に受け入れられる陽イオン、
2)炭素数1〜12の直鎖アルキルまたは炭素数3〜14の分岐アルキル
3)−Z−R3、ここでZは原子価結合、またはCtH2tで表される直鎖もしくは分岐アルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、R3は炭素数3〜12のシクロアルキルまたはR4の1〜3個で置換された炭素数3〜12の置換シクロアルキルであり、R4は水素または炭素数1〜5のアルキル、
4)−(CH2CH2O)nCH3、ここで、nは1〜5の整数、
5)−Z−Ar1、ここでZは前記定義に同じ、Ar1はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、α−フリル、β−フリル、α−チエニル、β−チエニルまたは置換フェニル(ここで置換基は少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル、フェノキシ、p−アセトアミドベンズアミド、−CH=N−NH−C(=O)NH2、−NH−C(=O)−Ph、−NH−C(=O)−CH3及び−NH−C(=O)―NH2からなる群より選ばれる少なくとも1種)、
6)−CtH2tCOOR4、ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
7)CtH2tN(R4)2、ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
8)−CH(R5)−C−(=O)−R6、ここでR5は水素またはベンゾイル、R6はフェニル、p−ブロモフェニル、p−クロロフェニル、p−ビフェニル、p−ニトロフェニル、p−ベンズアミドフェニル、2−ナフチル、
9)−CpH2p−W−R7、ここでWは−CH=CH−、−CH=CR7−または−C≡C−である、R7は水素、炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐アルキルまたは炭素数7〜30のアラルキルであり、pは1〜5の整数、または、
10)−CH(CH2OR8)2、ここでR8は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアシル、
(B)−CH2OH、
(C)−C(=O)N(R9)2、
ここでR9は水素、炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜12の分岐アルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数4〜13のシクロアルキルアルキレン、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルまたは−SO2R10を表し、R10は炭素数1〜10のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルを表し、2つのR9は同一でも異なっていてもよいが、一方が−SO2R10を表す場合は他のR9は−SO2R10ではないものとする、または、
(D)−CH2OTHP(THPはテトラヒドロピラニル基)であり、
Aは、
1)−(CH2)m−
2)−CH=CH−CH2−、
3)−CH2−CH=CH−、
4)−CH2−O−CH2−、
5)−CH=CH−、
6)−O−CH2−または
7)−C≡C−であり、ここでmは1から3の整数を示し、
Yは、水素、炭素数1〜4のアルキル、塩素、臭素、フッ素、ホルミル、メトキシまたはニトロであり、
Bは、−X−C(R11)(R12)OR13、ここで、R11は水素または炭素数1〜4のアルキルであり、R13は水素、炭素数1〜14のアシル、炭素数6〜15のアロイル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチルまたはt−ブチルであり、
Xは、
1)−CH2−CH2−、
2)−CH=CH−、または
3)−C≡C−であり、
R12は、
1)炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜14の分岐アルキル、
2)−Z−Ar2ここでZは前記定義に同じ、Ar2はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル及びフェノキシからなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基で置換したフェニル、
3)−CtH2tOR14、ここでCtH2tは前記定義に同じ、R14は炭素数1〜6の直鎖アルキル、炭素数3〜6の分岐アルキル、フェニル、少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル及びフェノキシから成る群より選ばれる少なくとも1種の置換基で置換されたフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または、炭素数1〜4の直鎖アルキルの1〜4個で置換されたシクロペンチルまたはシクロヘキシル、
4)−Z−R3、ここでZ、R3は前記定義に同じ、
5)−CtH2t−CH=C(R15)R16、ここでCtH2tは前記定義に同じ、R15及びR16は互いに独立に水素、メチル、エチル、プロピル若しくはブチル、または
6)−CuH2u−C≡C−R17、ここでuは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表し、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表し、
Eは、水素または−OR18、ここでR18は炭素数1〜12のアシル、炭素数1〜15のアロイル若しくはR2(ここでR2は前記定義に同じ)を表し、
一般式(I)はd体、l体またはdl体を表す]、
で表される化合物を、哺乳動物に対して1回あたり6〜26.4μg/kg投与することを特徴とする慢性腎不全治療薬、
3.一般式(I)に於いて、
R1がCOOR2、ここでR2は、水素または薬理学的に受け入れられる陽イオンであり、Aが−(CH2)m−、ここでmは1から3の整数であり、
Yが水素、
Bが−X−C(R11)(R12)OR13、ここでR11、およびR13は水素であり、
Xが−CH=CH−、であり、
R12が−CuH2u−C≡C−R17、ここでuは1〜7の整数、CuH2uは直鎖または分岐アルキレン、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキル、
Eは水素または−OR2(ここでR2は前記定義に同じ)である、1項または2項記載の慢性腎不全治療薬、
4.一般式(I)に於いて
R1がCOOR2、ここでR2は、水素またはナトリウムイオンであり、
Aが−(CH2)m−、ここでmは3であり、
Yが水素、
Bが−X−C(R11)(R12)OR13、ここでR11、およびR13は水素であり、
Xが−CH=CH−、であり、
R12が−CuH2u−C≡C−R17、ここでuは2、CuH2uは分岐アルキレン、R17はメチル、
Eは、−OHである、1項または2項記載の慢性腎不全治療薬、
5.一般式(I)で表される化合物がベラプロストナトリウムである1項または2項記載の慢性腎不全治療薬、
6.前記慢性腎不全治療薬を前記哺乳動物に30日間以上連日投与することを特徴とする、1から5いずれか1項記載の慢性腎不全治療薬、
7.前記慢性腎不全治療薬を前記哺乳動物に60日間以上連日投与することを特徴とする、1から5いずれか1項記載の慢性腎不全治療薬、
8.前記慢性腎不全治療薬を前記哺乳動物に120日間以上連日投与することを特徴とする、1から5いずれか1項記載の慢性腎不全治療薬、
9.前記慢性腎不全治療薬を前記哺乳動物に180日間連続投与することを特徴とする、1から5いずれか1項記載の慢性腎不全治療薬、
10.前記慢性腎不全治療薬を前記哺乳動物に1日2回経口投与することを特徴とした1から9いずれか1項記載の慢性腎不全治療薬、
11.前記哺乳動物が猫であることを特徴とする1から10いずれか1項記載の慢性腎不全治療薬、
12.慢性腎不全による血清クレアチニンもしくは血中尿素窒素値の上昇を抑制、またはその抑制の維持をもたらすことを特徴とする1から11いずれか1項に記載の慢性腎不全治療薬、
13.1から12のいずれか1項に記載の治療薬を、哺乳動物に対して投与することを含む慢性腎不全の治療方法、
14.一回あたり55μg投与するか、または一回あたり6〜26.4μg/kg投与することによる慢性腎不全の治療に用いるための、一般式(I)
R1は、
(A)COOR2、ここでR2は、
1)水素または薬理学的に受け入れられる陽イオン、
2)炭素数1〜12の直鎖アルキルまたは炭素数3〜14の分岐アルキル
3)−Z−R3、ここでZは原子価結合、またはCtH2tで表される直鎖もしくは分岐アルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、R3は炭素数3〜12のシクロアルキルまたはR4の1〜3個で置換された炭素数3〜12の置換シクロアルキルであり、R4は水素または炭素数1〜5のアルキル、
4)−(CH2CH2O)nCH3、ここで、nは1〜5の整数、
5)−Z−Ar1、ここでZは前記定義に同じ、Ar1はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、α−フリル、β−フリル、α−チエニル、β−チエニルまたは置換フェニル(ここで置換基は少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル、フェノキシ、p−アセトアミドベンズアミド、−CH=N−NH−C(=O)NH2、−NH−C(=O)−Ph、−NH−C(=O)−CH3及び−NH−C(=O)―NH2からなる群より選ばれる少なくとも1種)、
6)−CtH2tCOOR4、ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
7)CtH2tN(R4)2、ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
8)−CH(R5)−C−(=O)−R6、ここでR5は水素またはベンゾイル、R6はフェニル、p−ブロモフェニル、p−クロロフェニル、p−ビフェニル、p−ニトロフェニル、p−ベンズアミドフェニル、2−ナフチル、
9)−CpH2p−W−R7、ここでWは−CH=CH−、−CH=CR7−または−C≡C−である、R7は水素、炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐アルキルまたは炭素数7〜30のアラルキルであり、pは1〜5の整数、または、
10)−CH(CH2OR8)2、ここでR8は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアシル、
(B)−CH2OH、
(C)−C(=O)N(R9)2、
ここでR9は水素、炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜12の分岐アルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数4〜13のシクロアルキルアルキレン、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルまたは−SO2R10を表し、R10は炭素数1〜10のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルを表し、2つのR9は同一でも異なっていてもよいが、一方が−SO2R10を表す場合は他のR9は−SO2R10ではないものとする、または、
(D)−CH2OTHP(THPはテトラヒドロピラニル基)であり、
Aは、
1)−(CH2)m−
2)−CH=CH−CH2−、
3)−CH2−CH=CH−、
4)−CH2−O−CH2−、
5)−CH=CH−、
6)−O−CH2−または
7)−C≡C−であり、ここでmは1から3の整数を示し、
Yは、水素、炭素数1〜4のアルキル、塩素、臭素、フッ素、ホルミル、メトキシまたはニトロであり、
Bは、−X−C(R11)(R12)OR13、ここで、R11は水素または炭素数1〜4のアルキルであり、R13は水素、炭素数1〜14のアシル、炭素数6〜15のアロイル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチルまたはt−ブチルであり、
Xは、
1)−CH2−CH2−、
2)−CH=CH−、または
3)−C≡C−であり、
R12は、
1)炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜14の分岐アルキル、
2)−Z−Ar2ここでZは前記定義に同じ、Ar2はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル及びフェノキシからなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基で置換したフェニル、
3)−CtH2tOR14、ここでCtH2tは前記定義に同じ、R14は炭素数1〜6の直鎖アルキル、炭素数3〜6の分岐アルキル、フェニル、少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル及びフェノキシから成る群より選ばれる少なくとも1種の置換基で置換されたフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または、炭素数1〜4の直鎖アルキルの1〜4個で置換されたシクロペンチルまたはシクロヘキシル、
4)−Z−R3、ここでZ、R3は前記定義に同じ、
5)−CtH2t−CH=C(R15)R16、ここでCtH2tは前記定義に同じ、R15及びR16は互いに独立に水素、メチル、エチル、プロピル若しくはブチル、または
6)−CuH2u−C≡C−R17、ここでuは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表し、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表し、
Eは、水素または−OR18、ここでR18は炭素数1〜12のアシル、炭素数1〜15のアロイル若しくはR2(ここでR2は前記定義に同じ)を表し、
一般式(I)はd体、l体またはdl体を表す]、
で表される化合物、
である。
本発明の一般式(I)で表される化合物を、一回あたり55μg投与するか、または一回あたり6〜26.4μg/kg投与し、好ましくは1日2回、30日間以上連日投与することで、有害な副作用を生じさせることなく、SCre、BUN等の腎機能マーカーの数値の上昇を抑制し、安定化をもたらし、慢性腎不全を改善することができる。
本発明の治療薬の有効成分となる一般式(I)で表される化合物のなかでも、
R1としては、COOH、COONa、COOMeが好ましく、特にCOONaが好ましく、
Aとしては、−(CH2)2−、−(CH2)3−、−CH=CH−、−O−CH2−が好ましく、特に−(CH2)3)−が好ましく、
Yとしては、特に水素が好ましく、
Bは、−X−C(R11)(R12)OR13で表され、ここでR11、R13としては特に水素が好ましく、Xとしては、−CH=CH−が好ましく、特にトランス型の−CH=CH−が好ましく、R12としては、ヘキシル、ペンチル、1−メチルプロピル、2−クロロフェニル、プロピルオキシメチル、シクロヘキシル、4−ヘキシン−2−イル、2−メチル−4−ヘキシン−2−イルが好ましく、特に4−ヘキシン−2−イルが好ましく、
Eとしては、特に−OHが好ましい。
R1としては、COOH、COONa、COOMeが好ましく、特にCOONaが好ましく、
Aとしては、−(CH2)2−、−(CH2)3−、−CH=CH−、−O−CH2−が好ましく、特に−(CH2)3)−が好ましく、
Yとしては、特に水素が好ましく、
Bは、−X−C(R11)(R12)OR13で表され、ここでR11、R13としては特に水素が好ましく、Xとしては、−CH=CH−が好ましく、特にトランス型の−CH=CH−が好ましく、R12としては、ヘキシル、ペンチル、1−メチルプロピル、2−クロロフェニル、プロピルオキシメチル、シクロヘキシル、4−ヘキシン−2−イル、2−メチル−4−ヘキシン−2−イルが好ましく、特に4−ヘキシン−2−イルが好ましく、
Eとしては、特に−OHが好ましい。
一般式(I)で表される化合物の好ましい具体的な化合物としては、16−メチル−18,18,19,19−テトラデヒドロ−5,6,7−トリノル−4,8−インタ−m−フェニレンPGI2(一般名 ベラプロスト)、16−メチル−18,18,19,19−テトラデヒドロ−5,6、7−トリノル−4,8−インタ−m−フェニレン PGI2 ナトリウム塩(Sodium rac−(1R,2R,3aS,8bS)−2,3,3a,8b−tetrahydro−2−hydroxy[(E)−(3S,4RS)−3−hydroxy−4−methyloct−1−en−6−]−1H−cyclopenta[b][1]benzofuran−5−butanoate:一般名 ベラプロストナトリウム)などが挙げられるが、中でも好ましくはベラプロストナトリウムである。ただし、これらはあくまでも具体例を示したに過ぎず、これらに限られるものではない。
本発明において、一般式(I)で表される化合物、特にベラプロストナトリウムは、長期間安定であるほか、経口投与でのバイオアベイラビリティが高い。このため腎疾患患者、特に慢性腎疾患患者では、長期にわたる服用が求められるため、特に好ましく用いることができる。
本発明に用いられる上記一般式(I)で表される化合物は公知であり、例えば特公平1−53672号公報、特公平7−5582公報、特開平3−7275号公報、特公平6−62599号公報等に記載されている公知の方法で製造することができる。
本発明の一般式(I)で表される化合物は単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明における慢性腎不全とは、機能するネフロン数が減少して、窒素代謝産物の排泄が不十分になり、生体内部環境の恒常性を維持できなくなった腎の異常機能状態が長期にわたって持続することをいう。具体的には、血液中のSCreやBUN等の腎機能マーカーの数値が持続的な上昇を示す状態あるいは症候群ということができる。
前記慢性腎不全の原疾患として、たとえば腎結石、尿路閉塞症、糖尿病性腎症、急性糸球体腎炎および慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎、感染による腎症、ループス腎炎、間質性腎炎、急性尿細管間質性腎炎、慢性尿細管間質性腎炎、肝硬変、肝性浮腫、うっ血性心不全が挙げられる。また、慢性糸球体腎炎である微小糸球体変化性腎炎、巣状/分節状糸球体腎炎、びまん性糸球体腎炎、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、びまん性管内性増殖性腎炎、半月体形成性腎炎、びまん性硬化性糸球体腎炎、IgA腎症を原疾患とする尿毒症にも有効である。
本発明における治療薬が有効な患者は特に限定されず、前記定義において慢性腎不全と判断されるほ乳類であれば良いが、好ましくは猫、犬または人である。中でも、慢性腎不全に罹患した猫に対して本発明の一般式(I)に含まれるベラプロストナトリウムを治療薬として投与した場合、SCre、BUN等の腎機能マーカーの数値の上昇が抑制、その抑制が維持され、また長期の投与期間中に下痢、嘔吐等の副作用も生じなかったこと、また尿毒症の臨床症状にも改善がみられたことから、本発明の治療薬は猫において顕著な効果を示すといえる。
本発明の治療薬の有効成分である一般式(I)で表される化合物の投与量としては、1回あたり55μgであるか、または一回あたり6〜26.4μg/kgである。本用量を、好ましくは1日2回投与し、30日間以上、好ましくは60日間以上、より好ましくは120日間以上、さらに好ましくは180日間に渡って連続投与することがよいが、これに限定されるものではない。なお、一般式(I)で表される化合物を30μg/kg体重を超えて投与した場合に下痢、嘔吐、鎮静、心拍数の増加等の副作用が生じる場合があることが知られている(特許文献2)ことから、一定用量以上の投与は避けることが好ましい。
本発明の医薬品組成物の投与形態としては、各種剤形を使用できるが、具体的には経口投与の場合、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤、カプセル剤、丸剤、スプレー剤とすることができる。さらに成形品をフィルムコーティングしたり、糖衣掛けしたり、カプセル充填したりすることもできる。好ましくは錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤、カプセル剤、が挙げられる。また、殺菌溶液等の形で非経口的に投与してもよく、また他の溶質、例えば液を等張にするに十分な塩化ナトリウムまたはグルコース等を用いることもできる。
本発明の治療および予防薬としては上記製剤の他、各種注射剤、坐剤として用いることができる。また、各薬剤の特性によっては、個別に徐放化、放出遅延化等の放出制御させることも可能である。例えば、本薬剤は既存の方法で徐放化機能を付与することも可能であり体内埋め込み型の徐放性ポンプ(例えばアルザミニポンプ)など非経口的にも幅広い投与法を応用できる。さらに、腎疾患は長期治療が必要な慢性疾患であり、医師あるいは獣医師の指導のもとに腎疾患患者用の処方食に本発明の治療薬を予め添加しておくこともできる。また、既存の尿毒症治療剤の活性炭製剤と連動して、あるいは同時に、あるいは間隔をおいて経口投与することができる。連続して使用する場合、本発明の治療薬を先行してある一定期間与える場合は、本発明の治療薬からの活性炭製剤の切り替えはほぼ同時に可能である。一方、活性炭製剤から本発明の治療薬に切り替える場合は、一般式(I)で表される化合物が活性炭に吸着され、薬効に影響を及ぼす可能性があるため、適切な休薬期間を設けることが望ましい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づき、より具体的に説明するが、下記実施例に限定されるものではない。
実施例1:ベラプロストナトリウム錠の作製
本願実施例及び比較例における猫への投与薬物は、一般式(I)で表される化合物として、いずれもベラプロストナトリウム(BPS)を用いて、20μg/錠、40μg/錠、55μg/錠及び150μg/錠のフィルムコーティング錠を以下の方法で作製した。
基剤粉末(乳糖、デンプン)を攪拌造粒機に投入し、予め調製したBPSと結合剤(ヒプロメロース)の溶液を加えながら攪拌造粒した。造粒物を破砕、乾燥、整粒した乾燥顆粒に滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)を添加し、混合機で混合後、ロータリー型打錠機にて6mm、8Rの杵臼を用いて素錠を得た。得られた素錠をコーティング装置に投入し、予め調製したコーティング液(ポリエチレングリコール、ヒプロメロース)を噴霧しながらコーティングを行った後、カルナウバロウを添加して、フィルムコーティング錠を得た。
本願実施例及び比較例における猫への投与薬物は、一般式(I)で表される化合物として、いずれもベラプロストナトリウム(BPS)を用いて、20μg/錠、40μg/錠、55μg/錠及び150μg/錠のフィルムコーティング錠を以下の方法で作製した。
基剤粉末(乳糖、デンプン)を攪拌造粒機に投入し、予め調製したBPSと結合剤(ヒプロメロース)の溶液を加えながら攪拌造粒した。造粒物を破砕、乾燥、整粒した乾燥顆粒に滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)を添加し、混合機で混合後、ロータリー型打錠機にて6mm、8Rの杵臼を用いて素錠を得た。得られた素錠をコーティング装置に投入し、予め調製したコーティング液(ポリエチレングリコール、ヒプロメロース)を噴霧しながらコーティングを行った後、カルナウバロウを添加して、フィルムコーティング錠を得た。
実施例2:慢性腎不全猫へのベラプロストナトリウム55μg、180日間投与(図1、2、3)
試験に用いた慢性腎不全に罹患している猫は、試験開始前のSCreが1.6mg/dL以上5.0mg/dL以下、血清総サイロキシン(T4)が0.9μg/dL以上3.8μg/dL以下、UPCが2以下、尿比重が1.008以上1.030未満、他薬剤の休薬期間が一定の基準以上であり、飼い主の同意を得たものを選択した。なお、有効症例選択にあたっては、急性腎不全、慢性腎不全の急性憎悪期、慢性心不全(New York Heart Association分類:クラスII、III又はIV)、糖尿病、副腎皮質機能亢進症、尿路感染症、猫白血病ウイルス感染症、猫免疫不全ウイルス感染症、猫伝染性腹膜炎、悪性腫瘍、著しい肝機能低下、妊娠、明らかな出血傾向のある猫は除外した。
試験に用いた慢性腎不全に罹患している猫は、試験開始前のSCreが1.6mg/dL以上5.0mg/dL以下、血清総サイロキシン(T4)が0.9μg/dL以上3.8μg/dL以下、UPCが2以下、尿比重が1.008以上1.030未満、他薬剤の休薬期間が一定の基準以上であり、飼い主の同意を得たものを選択した。なお、有効症例選択にあたっては、急性腎不全、慢性腎不全の急性憎悪期、慢性心不全(New York Heart Association分類:クラスII、III又はIV)、糖尿病、副腎皮質機能亢進症、尿路感染症、猫白血病ウイルス感染症、猫免疫不全ウイルス感染症、猫伝染性腹膜炎、悪性腫瘍、著しい肝機能低下、妊娠、明らかな出血傾向のある猫は除外した。
BPSの投与は、実施例1で作製したBPS錠を1回1錠、1日2回、朝夕の食後に経口投与した。試験前に休薬を義務づけた薬剤は試験期間中も使用を禁止し、輸液も禁止した。また、試験を通して食事療法の開始または内容変更をしないこととした。
試験2週間前、投与0、30、60、90、120、150、180日目に体温及び体重を測定し、さらに一般状態(活動性、食欲、脱水)を、以下の基準に従って予め0〜4のスコア化し、獣医師が判断した。活動性は0:活発、1:正常、2:軽度低下、3:中等度低下、4:重度低下とし、食欲は0:亢進、1:正常、2:1日の食事量が1/4程度減少、3:1日の食事量が1/2以上減少、週に1日は食べない日あり、4:食べない日が1週間に2〜3日以上ありとし、脱水は0:5%未満、1:5%(皮膚のわずかな弾力性低下、粘膜の乾燥)、2:7〜8%(皮膚の弾力性の明らかな低下、毛細血管再充填時間(CRT)2〜3秒、眼球の僅かな陥没、四肢の冷感、3:10〜12%(皮膚の弾力性の消失、CRT3秒以上、著明な眼球陥没、ショック、不随意筋の攣縮、皮膚冷感)、4:12〜15%(明らかなショック状態、瀕死状態)とした。
血液検査では、試験2週間前、投与0、30、60、90、120、150、180日目に血液学的検査(赤血球数(RBC)、白血球数(WBC)、血球容積比率(PCV)、ヘモグロビン(Hb))、血液生化学的検査(総蛋白(TP)、アルブミン(Alb)、グロブリン(Glob)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスフェラーゼ(AST)、アルカリフォスファターゼ(ALP)、総コレステロール(Tcho)、総ビリルビン(Tbil)、グルコース(Glu)、BUN、SCre、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、クロル(Cl)、カルシウム(Ca)、リン(P))の測定を実施した。また試験2週間前、投与0、90、180日目には尿毒素の指標として血中インドキシル硫酸及び血中フェノール検査(HPLC法)を実施した。
尿検査では、試験2週間前、投与0、30、60、90、120、150、180日目に、試験紙法による尿潜血、尿沈渣による尿細菌、屈折法によるUPC(ピロガロールレッド/ザルコシンオキシダーゼ色素法)、尿中NAG(PNP−NAG method)、尿中TGF−β/クレアチニン比(Multispecies ELISA kit,Invitrogen)検査を実施した。
腎機能の評価に用いたBUN、SCre、P/Ca、UPCは糸球体機能のマーカーとして採用した。BUNおよびSCreは、いずれも腎機能の低下により腎臓から排出されずに血中濃度が上昇、P/ Caは腎機能の低下でリンが排出されず濃度が上昇、カルシウムは吸収されにくくなり濃度が低下するため数値は上昇、UPCは腎機能の低下により尿中のタンパク質が増えることにより値が上昇する。インドキシル硫酸とフェノールは尿毒素の指標として採用した。インドキシル硫酸は腎機能の低下により血中濃度が上昇、フェノールは腎不全、尿毒症により血中に蓄積して濃度が上昇することが知られている。尿比重、尿中NAGは尿細管のマーカーとして、尿中TGF−βは繊維化及び炎症のマーカーとして採用した。尿比重は腎不全により尿の濃縮能が低下することにより低下し、尿中NAGは尿細管上皮細胞に異常がある場合に上昇する。また尿中TGF−βも腎不全により上昇することが知られている。
また、BPS錠を投与した全ての症例について、死亡例、体温及び体重、一般状態(活動性、食欲、脱水)、血液学的検査、血液生化学的検査、尿検査の結果等、試験中に発現した全ての有害事象についてBPSの投与との因果関係を検証し、安全性を評価した。
前記選別基準を満たし、また除外対象を除いた有効症例の慢性腎不全猫11頭について、BPS 55μg錠を1回1錠(55μg/head)、1日2回経口投与(110μg/head/day)、180日間継続した。
図1において、55μg投与群では体重は低下することなく、投与0日目の平均4.26kgから180日目に4.42kgに増加した。一般状態において、活動性は120日目〜180日目にスコアが投与0日目の1.30から0.72となり有意に改善した(p=0.0141)。食欲は120〜180日目にスコアが投与0日目の1.27から0.72となり有意に改善した(p=0.0427)。脱水はスコアが投与0日目の0.63から30日目に0.45に改善し180日目まで維持された。
図2において、腎機能の評価においては、BUNは55μg投与群で投与0日目の平均28.63mg/dLから30日目に31.27mg/dLに増加したが、150日目まで変動は認められず180日目に31.63mg/dLとなった。180日目の増加率は10.5%であった。SCreは、投与0日目の平均2.10mg/dLから180日目に僅かに増加し2.32mg/dLに至った。180日目の増加率は11.0%であった。P/Caは投与0日目の平均0.50から60日目に0.53に増加したが90日目には0.48に低下し、その後の変動は少なく180日目には0.49になった。血中インドキシル硫酸は、投与0日目の平均2.57μg/mLから90日目には2.80μg/mLに微増したが、180日目に2.65μg/mLに低下した。血中フェノールは投与0日目の平均0.030μg/mLから90日目に0.010μg/mLに低下し、180日目には0.009μg/mLに低下した。
図3において、尿比重は投与0日目の平均1.024から毎月増加し180日目に1.027となった。UPCは投与0日目の平均0.136から30日目に0.060に低下し60日目に0.149に増加したが90日目に0.088に低下、その後変動は少なく180日目には0.070に低下した。尿中NAGは投与0日目の平均4.38から30日目に3.165に低下し90日目に6.436に増加した。120日目に3.933に低下し、その後変動は少なかったが180日目に4.65に増加した。尿中TGF−βは投与0日目の平均966.77から90日目の942.738まで変動は少なく120日目に1190.959と増加したが150日目に945.592に低下し、180日目には668.23に低下した。
本実施例のBPS 55μg投与群は猫の体重あたりの用量に換算すると8.6〜21.2μg/kg(17.2〜42.4μg/kg/day)であり、臨床症状の改善および腎機能マーカーの上昇抑制、安定維持に効果が認められた。
試験期間中の安全性評価について一般状態、血球検査、血液化学検査、尿検査、尿毒物質等にBPSの投与による有害的な変動は認められず、獣医師及び飼い主による観察においてもBPSの関与が疑われる有害事象は認められなかった。
比較例1:慢性腎不全猫へのベラプロストナトリウム20μg、180日間投与(図1、2、3)
試験方法は、実施例2に記載の方法に従った。前記選別基準を満たし、また除外対象を除いた有効症例の慢性腎不全猫10頭について、BPS 20μg錠を1回1錠(20μg/head)、1日2回経口投与(40μg/head/day)、180日間継続し、実施例2の試験結果と比較検証した。
試験方法は、実施例2に記載の方法に従った。前記選別基準を満たし、また除外対象を除いた有効症例の慢性腎不全猫10頭について、BPS 20μg錠を1回1錠(20μg/head)、1日2回経口投与(40μg/head/day)、180日間継続し、実施例2の試験結果と比較検証した。
図1において、20μg投与群では体重は、投与0日目の平均3.46kgから60日目には3.31kgに低下し、180日目には元の体重に戻った。30、60、180日目で実施例2の55μg投与群との間に有意差が認められた(各々p=0.0474、p=0.0350、p=0.0491)。一般状態において、活動性は30日目にスコアが投与0日目の1.30から1.10に改善したが、その後は変動がみられなかった。食欲は90日目にスコアが投与0日目の1.30から1.00に改善したが、その後悪化し1.20に戻った。脱水はスコアが投与0日目の0.70から60日目に0.80に悪化し、その後180日目に0.60に改善した。以上のように体重および一般状態ではすべてにおいて55μg投与群が20μg投与群に比較して改善効果が高かった。
図2において、20μg投与群の腎機能の評価では、BUNが投与0日目の平均44.90mg/dLから30日目に38.60mg/dLに低下したが、60日目に40.1mg/dLに増加し150日目まで変動は認められなかったが、180日目に49.40mg/dLに増加した。0日目及び180日目ともに実施例2の55μg錠投与群より高値であり、群間に有意差が認められた(各々p=0.0413、p=0.0266)。また180日目の増加率は16.1%であった。SCreは、投与0日目の平均2.58mg/dLから150日目まで2.65mg/dLと変動は少なかったが180日目には3.14mg/dLに増加した。180日目の増加率は21.7%であった。P/Caは投与0日目の平均0.54から150日目まで0.56と変動は少なかったが180日目に0.64まで増加した。実施例2の55μg錠投与群と比較して180日目に群間に有意差が認められた(p=0.0396)。血中インドキシル硫酸は、投与0日目の平均4.80μg/mLから90日目は4.70μg/mLと変動は少なかったが、180日目に10.33μg/mLに増加した。血中フェノールは投与0日目の平均0.008μg/mLから90日目に0.030μg/mLに増加し、180日目には0.046μg/mLに増加した。
図3において、20μg投与群の尿比重は投与0日目の平均1.021から120日目までに1.023に増加したが、その後低下し180日目に1.021となり元に戻った。UPCは投与0日目の平均0.135から90日目に0.103に低下し120日目に0.128に増加した。150日目に0.086に低下したが180日目に0.160に増加した。尿中NAGは投与0日目の平均7.555から90日目に9.751に増加したが120日目から一転低下傾向となり180日目には2.697に低下した。尿中TGF−βは投与0日目の平均391.69から毎月増加し、150日目には1216.284まで増加し180日目に880.37に低下した。
本比較例のBPS20μg投与群と実施例2の55μg投与群を比較すると、20μg投与群ではBUN及びSCreは各々上昇したのに対し、55μg投与群では変動がわずかであり安定的に維持された。これは、55μg投与群の糸球体濾過量(GFR)が試験期間を通じて維持されていた可能性を示唆するものである。またGFRの低下に伴いリンの排せつは減少するためP/Caは上昇するが、20μg投与群でPの上昇によりP/Caが上昇したのに対し55μg投与群では低下し、180日目には有意差が認められたことからも、糸球体に対してBPSが保護的に作用したものと推察された。また、55μg投与群においてはインドキシル硫酸は維持されフェノールは低下したが、20μg投与群ではいずれも上昇したことからBPS 55μgの投与により尿毒物質の蓄積が抑制された可能性が示唆された。
本比較例で投与されたBPSは猫の体重あたりの用量に換算すると3.8〜11.1μg/kg(7.6〜22.2μg/kg/day)であったが、実施例2の8.6〜21.2μg/kg(17.2〜42.4μg/kg/day)投与と比較した場合、各臨床症状の改善効果や腎機能マーカーの上昇抑制、安定化について、いずれも実施例2の用量で高い効果を示した。
実施例3:慢性腎不全猫での臨床試験(プラセボ投与群およびBPS 55μg投与群の二重盲検比較試験、180日間投与、図5)
試験に用いた慢性腎不全猫は、急性憎悪期を除くInternational Renal Interest Society(IRIS)のステージII中期〜ステージIII中期であり、SCre値が2.0〜4.0mg/dL、UPCが1.5未満、尿比重が1.008〜1.030、T4が0.9〜3.8μg/dL、利尿剤、強心剤、活性炭製剤、プロスタグランディン製剤等の薬剤を使用している場合は一定期間前に投与を停止したものを選択した。また、急性腎不全、慢性心不全(New York Heart Associaton分類:クラスII、IIIまたはIV)、糖尿病、副腎皮質機能亢進症、尿路感染症:尿細菌陽性、猫白血病ウイルス感染症、猫免疫不全ウイルス感染症、猫伝染性腹膜炎、悪性腫瘍、肝機能低下、妊娠ないし妊娠の可能性、出血傾向が認められる猫は除外した。
試験に用いた慢性腎不全猫は、急性憎悪期を除くInternational Renal Interest Society(IRIS)のステージII中期〜ステージIII中期であり、SCre値が2.0〜4.0mg/dL、UPCが1.5未満、尿比重が1.008〜1.030、T4が0.9〜3.8μg/dL、利尿剤、強心剤、活性炭製剤、プロスタグランディン製剤等の薬剤を使用している場合は一定期間前に投与を停止したものを選択した。また、急性腎不全、慢性心不全(New York Heart Associaton分類:クラスII、IIIまたはIV)、糖尿病、副腎皮質機能亢進症、尿路感染症:尿細菌陽性、猫白血病ウイルス感染症、猫免疫不全ウイルス感染症、猫伝染性腹膜炎、悪性腫瘍、肝機能低下、妊娠ないし妊娠の可能性、出血傾向が認められる猫は除外した。
臨床試験に用いたBPS錠は、実施例1と同様の方法で作製したBPSが55μg含有した錠剤であり、これに対してプラセボ錠はBPSを含まない以外は実施例1と同様の方法で作製したBPS不含の錠剤である。
BPSおよびプラセボ錠の投与は1回1錠、1日2回、朝晩の食後に経口投与した。試験期間中は利尿剤、強心剤、球形吸着炭および活性炭、血液製剤、ヨード造影剤、プロスタグランディン製剤、副腎皮質ホルモン剤、非ステロイド系抗炎症薬の投与を禁止とし、また血圧降下剤の用法用量変更並びに新規投与は不可とした。また、原則として輸液は禁止、食事療法については新たに開始または変更をしないこととした。
試験2週間前、0、30、60、90、120、150、180日目に体温および体重を測定し、一般状態について予め設定した0〜4のスコアに基づいて判断した。なお、スコア基準は実施例2に記載する内容と同様である。
血液検査は試験2週間前、1週間前、0、30、60、90、120、150、180日目に血液学検査(RBC、WBC、PCV、Hb、TP、Alb、Glob、ALT、AST、ALP、Tcho、Tbil、Glu、BUN、SCre、Na、K、Cl、Ca、P)を実施した。
尿検査は試験2週間前、0、30、60、90、120、150、180日目に尿潜血、尿細菌、尿比重、UPC、NAGの検査を実施した。
有効性の評価では、前述の選択基準および除外基準を満たす症例で、90日以上試験を継続した症例を有効性評価の対象とし解析を行った。但し、90日に満たず試験を中止した悪化中止または無効中止例は解析対象とした。試験期間中に併用禁止薬を使用した又は併用制限薬および併用制限療法の規定に従わなかった症例については、遵守違反前までのデータを、途中中止症例については中止前までのデータを、Last Observation Carried forward(最終の観測値を最後まで引き延ばす)法を用いて採用した。また、試験中に禁止、制限事項から逸脱した症例については、その内容が試験結果に影響がないと考えられる症例ついては有効解析対象とした。結果的に、有効解析対象はBPS 55μg投与群31例、プラセボ群30例、計61例となった。
図4において、体重はプラセボ群で180日目に有意な減少(p<0.0001)がみられたが、55μg投与群では安定に維持された。一般状態の評価において、活動性のスコアはプラセボ群で180日目に有意な増加(p=0.0010)が認められたが、55μg投与群では180日目に有意に減少(p=0.0417)し、群間に有意差(p=0.0360)が認められた。食欲のスコアは55μg投与群で180日目に有意な改善(p=0.0062)がみられ、90〜180日目まで群間に有意差が認められた(各々p=0.0430、p=0.0484、p=0.0057、p=0.0032)。脱水のスコアは両群とも有意な変動はなかったが、30〜180日目に群間に有意差が認められた(各々p=0.0202、p=0.0213、p=0.0132、p=0.0396、p=0.0104)。
図5の腎機能の評価においては、BUNでプラセボ群に180日目で有意な増加(p<0.0001)が見られ、60〜180日目まで群間に有意差が認められた(各々p=0.0237、p=0.0027、p=0.0034、p=0.0043、p=0.0037)。SCreでは、プラセボ群で180日目に有意な増加(p=0.0010)がみられ、30〜180日目まで群間に有意差が認められた(各々p=0.0256、p=0.0310、p=0.0263、p=0.0249、p=0.0130、p=0.0110)。UPCでは、プラセボ群に180日目に有意な増加(p=0.0165)が見られ、60〜150日目に群間に有意差が認められた(各々p=0.0414、p=0.0093、p=0.0257、p=0.0267)。P/Caにおいては、プラセボ群で180日目に有意な増加が認められた(p=0.0067)。
本実施例のBPS 55μg投与群に投与されたBPSは体重あたりの用量に換算すると、6.0〜26.4μg/kg(12.0〜52.9μg/kg/day)であり、実施例2とほぼ同様の用量において、慢性腎不全猫の一般状態の改善および腎機能マーカーの上昇抑制、安定化に高い効果を示した。
実施例4:健常猫による安全性検討
臨床的および血液検査にて異常のみられない3〜6歳齢の猫にBPS 0、10、30、70、100μg/kgの投与量で1日2回、7日間連続で経口投与した。各投与群は雌雄各4頭で計8頭、0μg/kg(コントロール群)は4頭使用した。投与期間中に臨床症状、血液(RBC、WBC、PCV、Hb、Plat)および血液生化学検査(AST、ALT、TP、BUN、SCre、Na、K,Cl、Ca、IP)、血圧および心拍数を測定した。検査値の解析はStat View J−4.5(Abacus Concepts)を用いて対応のあるt検定で両側5%未満を有意差ありとした。
臨床的および血液検査にて異常のみられない3〜6歳齢の猫にBPS 0、10、30、70、100μg/kgの投与量で1日2回、7日間連続で経口投与した。各投与群は雌雄各4頭で計8頭、0μg/kg(コントロール群)は4頭使用した。投与期間中に臨床症状、血液(RBC、WBC、PCV、Hb、Plat)および血液生化学検査(AST、ALT、TP、BUN、SCre、Na、K,Cl、Ca、IP)、血圧および心拍数を測定した。検査値の解析はStat View J−4.5(Abacus Concepts)を用いて対応のあるt検定で両側5%未満を有意差ありとした。
試験の結果、臨床症状においては10、30μg/kg投与群で有害事象は認められなかった。70μg/kg群では3/8例に投与2〜6日目において下痢、嘔吐、鎮静などが散発的に認められた。また100μg/kg群では投与開始および2日目から嘔吐、下痢、鎮静が全ての猫に出現し投与期間中継続した。これらの有害事象は投与終了とともに速やかに回復した。血液検査の各項目ではいずれの投与群においてもBPSの投与前後で著明な変動は認められなかった。血液化学検査においては、 TPおよび電解質の変動は認められなかったが、BUN、SCre、AST、ALT値で変動が認められた。BUNはBPSの投与で低下する傾向が認められ、SCreにおいては30〜100μg/kg投与時に有意な低下が認められた。ASTは30μg/kg以上の投与で低下する傾向が認められ、ALTにおいてもBPSの投与で低下、特に70μg/kg群で低下する傾向が認められた。血圧、心拍数では、反復投与による有意な変動が認められなかったため、7日間の平均値を個体値として解析した。収縮期血圧および拡張期血圧でいずれもBPSの投与で低下する傾向が認められたが統計的な有意差は認められなかった。心拍数は用量依存的に増加が認められ、30μg/kg以上の投与群でコントロール群との有意差が認められた。
以上の結果から、健常な猫において臨床症状が安定し血行動態に影響を及ぼさずに連続投与可能なBPSの最大投与量は30μg/kg程度であると推定された。
比較例2:慢性腎不全猫の体重あたりの投与量および投与期間による効果の検証
慢性腎不全の猫にBPSを1日2回、連日経口投与した場合の効果について、投与量を猫の体重kgあたりに換算した場合とその投与期間で比較検証した結果を表2に示す。
慢性腎不全の猫にBPSを1日2回、連日経口投与した場合の効果について、投与量を猫の体重kgあたりに換算した場合とその投与期間で比較検証した結果を表2に示す。
BPSの1回の投与量が体重kgあたり3.8〜11.1μg/kgで180日間連続投与した場合には[試験B:比較例1]、投与180日目のBUNの増減率が16.1%、SCreの増減率は21.7%であり、BPS非投与[試験A:実施例3]に比較して腎機能腎機能の低下が抑制されている。また体重や臨床症状(活動性、食欲、脱水)の改善も認められた。BPSの1回の投与量が体重kgあたり6.0〜26.4μg/kgで180日間連続投与した場合には[実施例2(試験E)、実施例3(試験D)]、投与180日目のBUNの増減率が5.3〜10.5%、SCreの増減率が2.9〜11.0%と腎機能の低下抑制の効果がより高く、また体重や臨床症状の改善も顕著であることから、BPSは慢性腎不全に対して用量依存的な効果を示していることが示唆されている。一方で同用量で56日間の短期間投与した場合には、臨床症状に改善を認めたものの、腎機能マーカーはいずれも高値維持、または上昇を示したことから、BPSは長期間の連続投与によってより高い効果を示す傾向があると考えられる。
BPSの投与量が28.8〜42.9μg/kgで180日間連続投与した場合(試験F〜J)には、いずれも体重、臨床症状の改善は認められたが、BUNの増減率が−45.0〜43.0%、SCreの増減率が−45.9〜11.8%と腎機能マーカーが大きく改善している例がある一方で悪化している例があるなどばらつきが大きい。また、体重あたり55.6μg/kgで90日間の連続投与の場合(試験K)にはBUNの増減率が55.2%と高値を示し、腎機能の改善が認められなかった。
以上の結果より、猫の体重を2〜9kgと仮定した場合、BPSの1回の投与量55μgで体重あたりの用量は6〜27.5μg/kgとなり、さらに長期間連続投与することにより、慢性腎不全の猫に対する臨床症状の改善、腎機能の低下抑制の効果が最も安定して得られると推定された。
本発明により、猫を始めとした哺乳動物の慢性腎不全の治療薬とその処置方法を提供することができる。
Claims (14)
- 一般式(I)
R1は、
(A)COOR2、ここでR2は、
1)水素または薬理学的に受け入れられる陽イオン、
2)炭素数1〜12の直鎖アルキルまたは炭素数3〜14の分岐アルキル
3)−Z−R3、ここでZは原子価結合、またはCtH2tで表される直鎖もしくは分岐アルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、R3は炭素数3〜12のシクロアルキルまたはR4の1〜3個で置換された炭素数3〜12の置換シクロアルキルであり、R4は水素または炭素数1〜5のアルキル、
4)−(CH2CH2O)nCH3、ここで、nは1〜5の整数、
5)−Z−Ar1、ここでZは前記定義に同じ、Ar1はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、α−フリル、β−フリル、α−チエニル、β−チエニルまたは置換フェニル(ここで置換基は少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル、フェノキシ、p−アセトアミドベンズアミド、−CH=N−NH−C(=O)NH2、−NH−C(=O)−Ph、−NH−C(=O)−CH3及び−NH−C(=O)―NH2からなる群より選ばれる少なくとも1種)、
6)−CtH2tCOOR4、ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
7)CtH2tN(R4)2、ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
8)−CH(R5)−C−(=O)−R6、ここでR5は水素またはベンゾイル、R6はフェニル、p−ブロモフェニル、p−クロロフェニル、p−ビフェニル、p−ニトロフェニル、p−ベンズアミドフェニル、2−ナフチル、
9)−CpH2p−W−R7、ここでWは−CH=CH−、−CH=CR7−または−C≡C−である、R7は水素、炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐アルキルまたは炭素数7〜30のアラルキルであり、pは1〜5の整数、または、
10)−CH(CH2OR8)2、ここでR8は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアシル、
(B)−CH2OH、
(C)−C(=O)N(R9)2、
ここでR9は水素、炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜12の分岐アルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数4〜13のシクロアルキルアルキレン、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルまたは−SO2R10を表し、R10は炭素数1〜10のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルを表し、2つのR9は同一でも異なっていてもよいが、一方が−SO2R10を表す場合は他のR9は−SO2R10ではないものとする、または、
(D)−CH2OTHP(THPはテトラヒドロピラニル基)であり、
Aは、
1)−(CH2)m−
2)−CH=CH−CH2−、
3)−CH2−CH=CH−、
4)−CH2−O−CH2−、
5)−CH=CH−、
6)−O−CH2−または
7)−C≡C−であり、ここでmは1から3の整数を示し、
Yは、水素、炭素数1〜4のアルキル、塩素、臭素、フッ素、ホルミル、メトキシまたはニトロであり、
Bは、−X−C(R11)(R12)OR13、ここで、R11は水素または炭素数1〜4のアルキルであり、R13は水素、炭素数1〜14のアシル、炭素数6〜15のアロイル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチルまたはt−ブチルであり、
Xは、
1)−CH2−CH2−、
2)−CH=CH−、または
3)−C≡C−であり、
R12は、
1)炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜14の分岐アルキル、
2)−Z−Ar2ここでZは前記定義に同じ、Ar2はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル及びフェノキシからなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基で置換したフェニル、
3)−CtH2tOR14、ここでCtH2tは前記定義に同じ、R14は炭素数1〜6の直鎖アルキル、炭素数3〜6の分岐アルキル、フェニル、少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル及びフェノキシから成る群より選ばれる少なくとも1種の置換基で置換されたフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または、炭素数1〜4の直鎖アルキルの1〜4個で置換されたシクロペンチルまたはシクロヘキシル、
4)−Z−R3、ここでZ、R3は前記定義に同じ、
5)−CtH2t−CH=C(R15)R16、ここでCtH2tは前記定義に同じ、R15及びR16は互いに独立に水素、メチル、エチル、プロピル若しくはブチル、または
6)−CuH2u−C≡C−R17、ここでuは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表し、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表し、
Eは、水素または−OR18、ここでR18は炭素数1〜12のアシル、炭素数1〜15のアロイル若しくはR2(ここでR2は前記定義に同じ)を表し、
一般式(I)はd体、l体またはdl体を表す]、
で表される化合物を、哺乳動物に一回あたり55μg投与することを特徴とする慢性腎不全治療薬。 - 一般式(I)
R1は、
(A)COOR2、ここでR2は、
1)水素または薬理学的に受け入れられる陽イオン、
2)炭素数1〜12の直鎖アルキルまたは炭素数3〜14の分岐アルキル
3)−Z−R3、ここでZは原子価結合、またはCtH2tで表される直鎖もしくは分岐アルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、R3は炭素数3〜12のシクロアルキルまたはR4の1〜3個で置換された炭素数3〜12の置換シクロアルキルであり、R4は水素または炭素数1〜5のアルキル、
4)−(CH2CH2O)nCH3、ここで、nは1〜5の整数、
5)−Z−Ar1、ここでZは前記定義に同じ、Ar1はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、α−フリル、β−フリル、α−チエニル、β−チエニルまたは置換フェニル(ここで置換基は少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル、フェノキシ、p−アセトアミドベンズアミド、−CH=N−NH−C(=O)NH2、−NH−C(=O)−Ph、−NH−C(=O)−CH3及び−NH−C(=O)―NH2からなる群より選ばれる少なくとも1種)、
6)−CtH2tCOOR4、ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
7)CtH2tN(R4)2、ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
8)−CH(R5)−C−(=O)−R6、ここでR5は水素またはベンゾイル、R6はフェニル、p−ブロモフェニル、p−クロロフェニル、p−ビフェニル、p−ニトロフェニル、p−ベンズアミドフェニル、2−ナフチル、
9)−CpH2p−W−R7、ここでWは−CH=CH−、−CH=CR7−または−C≡C−である、R7は水素、炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐アルキルまたは炭素数7〜30のアラルキルであり、pは1〜5の整数、または、
10)−CH(CH2OR8)2、ここでR8は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアシル、
(B)−CH2OH、
(C)−C(=O)N(R9)2、
ここでR9は水素、炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜12の分岐アルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数4〜13のシクロアルキルアルキレン、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルまたは−SO2R10を表し、R10は炭素数1〜10のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルを表し、2つのR9は同一でも異なっていてもよいが、一方が−SO2R10を表す場合は他のR9は−SO2R10ではないものとする、または、
(D)−CH2OTHP(THPはテトラヒドロピラニル基)であり、
Aは、
1)−(CH2)m−
2)−CH=CH−CH2−、
3)−CH2−CH=CH−、
4)−CH2−O−CH2−、
5)−CH=CH−、
6)−O−CH2−または
7)−C≡C−であり、ここでmは1から3の整数を示し、
Yは、水素、炭素数1〜4のアルキル、塩素、臭素、フッ素、ホルミル、メトキシまたはニトロであり、
Bは、−X−C(R11)(R12)OR13、ここで、R11は水素または炭素数1〜4のアルキルであり、R13は水素、炭素数1〜14のアシル、炭素数6〜15のアロイル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチルまたはt−ブチルであり、
Xは、
1)−CH2−CH2−、
2)−CH=CH−、または
3)−C≡C−であり、
R12は、
1)炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜14の分岐アルキル、
2)−Z−Ar2ここでZは前記定義に同じ、Ar2はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル及びフェノキシからなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基で置換したフェニル、
3)−CtH2tOR14、ここでCtH2tは前記定義に同じ、R14は炭素数1〜6の直鎖アルキル、炭素数3〜6の分岐アルキル、フェニル、少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル及びフェノキシから成る群より選ばれる少なくとも1種の置換基で置換されたフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または、炭素数1〜4の直鎖アルキルの1〜4個で置換されたシクロペンチルまたはシクロヘキシル、
4)−Z−R3、ここでZ、R3は前記定義に同じ、
5)−CtH2t−CH=C(R15)R16、ここでCtH2tは前記定義に同じ、R15及びR16は互いに独立に水素、メチル、エチル、プロピル若しくはブチル、または
6)−CuH2u−C≡C−R17、ここでuは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表し、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表し、
Eは、水素または−OR18、ここでR18は炭素数1〜12のアシル、炭素数1〜15のアロイル若しくはR2(ここでR2は前記定義に同じ)を表し、
一般式(I)はd体、l体またはdl体を表す]、
で表される化合物を、哺乳動物に対して1回あたり6〜26.4μg/kg投与することを特徴とする慢性腎不全治療薬。 - 一般式(I)に於いて、
R1がCOOR2、ここでR2は、水素または薬理学的に受け入れられる陽イオンであり、Aが−(CH2)m−、ここでmは1から3の整数であり、
Yが水素、
Bが−X−C(R11)(R12)OR13、ここでR11、およびR13は水素であり、
Xが−CH=CH−、であり、
R12が−CuH2u−C≡C−R17、ここでuは1〜7の整数、CuH2uは直鎖または分岐アルキレン、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキル、
Eは水素または−OR2(ここでR2は前記定義に同じ)である、請求項1または2記載の慢性腎不全治療薬。 - 一般式(I)に於いて
R1がCOOR2、ここでR2は、水素またはナトリウムイオンであり、
Aが−(CH2)m−、ここでmは3であり、
Yが水素、
Bが−X−C(R11)(R12)OR13、ここでR11、およびR13は水素であり、
Xが−CH=CH−、であり、
R12が−CuH2u−C≡C−R17、ここでuは2、CuH2uは分岐アルキレン、R17はメチル、
Eは、−OHである、請求項1または2記載の慢性腎不全治療薬。 - 一般式(I)で表される化合物がベラプロストナトリウムであることを特徴とする請求項1または2記載の慢性腎不全治療薬。
- 前記慢性腎不全治療薬を前記哺乳動物に30日間以上連日投与することを特徴とする、請求項1から5いずれか1項記載の慢性腎不全治療薬。
- 前記慢性腎不全治療薬を前記哺乳動物に60日間以上連日投与することを特徴とする、請求項1から5いずれか1項記載の慢性腎不全治療薬。
- 前記慢性腎不全治療薬を前記哺乳動物に120日間以上連日投与することを特徴とする、請求項1から5いずれか1項記載の慢性腎不全治療薬。
- 前記慢性腎不全治療薬を前記哺乳動物に180日間連続投与することを特徴とする、請求項1から5いずれか1項記載の慢性腎不全治療薬。
- 前記慢性腎不全治療薬を前記哺乳動物に1日2回経口投与することを特徴とした請求項1から9いずれか1項記載の慢性腎不全治療薬。
- 前記哺乳動物が猫であることを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の慢性腎不全治療薬。
- 慢性腎不全による血清クレアチニンもしくは血中尿素窒素値の上昇を抑制、またはその抑制の維持をもたらすことを特徴とする請求項1から11いずれか1項に記載の慢性腎不全治療薬。
- 請求項1から12のいずれか1項に記載の治療薬を、哺乳動物に対して投与することを含む慢性腎不全の治療方法。
- 一回あたり55μg投与するか、または一回あたり6〜26.4μg/kg投与することによる慢性腎不全の治療に用いるための、一般式(I)
R1は、
(A)COOR2、ここでR2は、
1)水素または薬理学的に受け入れられる陽イオン、
2)炭素数1〜12の直鎖アルキルまたは炭素数3〜14の分岐アルキル
3)−Z−R3、ここでZは原子価結合、またはCtH2tで表される直鎖もしくは分岐アルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、R3は炭素数3〜12のシクロアルキルまたはR4の1〜3個で置換された炭素数3〜12の置換シクロアルキルであり、R4は水素または炭素数1〜5のアルキル、
4)−(CH2CH2O)nCH3、ここで、nは1〜5の整数、
5)−Z−Ar1、ここでZは前記定義に同じ、Ar1はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、α−フリル、β−フリル、α−チエニル、β−チエニルまたは置換フェニル(ここで置換基は少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル、フェノキシ、p−アセトアミドベンズアミド、−CH=N−NH−C(=O)NH2、−NH−C(=O)−Ph、−NH−C(=O)−CH3及び−NH−C(=O)―NH2からなる群より選ばれる少なくとも1種)、
6)−CtH2tCOOR4、ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
7)CtH2tN(R4)2、ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
8)−CH(R5)−C−(=O)−R6、ここでR5は水素またはベンゾイル、R6はフェニル、p−ブロモフェニル、p−クロロフェニル、p−ビフェニル、p−ニトロフェニル、p−ベンズアミドフェニル、2−ナフチル、
9)−CpH2p−W−R7、ここでWは−CH=CH−、−CH=CR7−または−C≡C−である、R7は水素、炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐アルキルまたは炭素数7〜30のアラルキルであり、pは1〜5の整数、または、
10)−CH(CH2OR8)2、ここでR8は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアシル、
(B)−CH2OH、
(C)−C(=O)N(R9)2、
ここでR9は水素、炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜12の分岐アルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数4〜13のシクロアルキルアルキレン、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルまたは−SO2R10を表し、R10は炭素数1〜10のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルを表し、2つのR9は同一でも異なっていてもよいが、一方が−SO2R10を表す場合は他のR9は−SO2R10ではないものとする、または、
(D)−CH2OTHP(THPはテトラヒドロピラニル基)であり、
Aは、
1)−(CH2)m−
2)−CH=CH−CH2−、
3)−CH2−CH=CH−、
4)−CH2−O−CH2−、
5)−CH=CH−、
6)−O−CH2−または
7)−C≡C−であり、ここでmは1から3の整数を示し、
Yは、水素、炭素数1〜4のアルキル、塩素、臭素、フッ素、ホルミル、メトキシまたはニトロであり、
Bは、−X−C(R11)(R12)OR13、ここで、R11は水素または炭素数1〜4のアルキルであり、R13は水素、炭素数1〜14のアシル、炭素数6〜15のアロイル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチルまたはt−ブチルであり、
Xは、
1)−CH2−CH2−、
2)−CH=CH−、または
3)−C≡C−であり、
R12は、
1)炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜14の分岐アルキル、
2)−Z−Ar2ここでZは前記定義に同じ、Ar2はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル及びフェノキシからなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基で置換したフェニル、
3)−CtH2tOR14、ここでCtH2tは前記定義に同じ、R14は炭素数1〜6の直鎖アルキル、炭素数3〜6の分岐アルキル、フェニル、少なくとも1個の、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル及びフェノキシから成る群より選ばれる少なくとも1種の置換基で置換されたフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または、炭素数1〜4の直鎖アルキルの1〜4個で置換されたシクロペンチルまたはシクロヘキシル、
4)−Z−R3、ここでZ、R3は前記定義に同じ、
5)−CtH2t−CH=C(R15)R16、ここでCtH2tは前記定義に同じ、R15及びR16は互いに独立に水素、メチル、エチル、プロピル若しくはブチル、または
6)−CuH2u−C≡C−R17、ここでuは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表し、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表し、
Eは、水素または−OR18、ここでR18は炭素数1〜12のアシル、炭素数1〜15のアロイル若しくはR2(ここでR2は前記定義に同じ)を表し、
一般式(I)はd体、l体またはdl体を表す]、
で表される化合物。
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