JPWO2016031828A1 - ガラス板 - Google Patents
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Abstract
本発明は可視光域の透過性が高く、かつ、エッジライト方式の面状発光装置の導光板として使用した場合に輝度の均一性が高いガラス板を提供する。本発明は、第1主表面、前記第1主表面に対向する第2主表面、および、前記第1主表面および前記第2主表面を接続する端面からなり、前記第1主表面および前記第2主表面が実質的に矩形であるガラス板であって、前記ガラス板は、波長550nmの光の吸収係数が1m−1以下であり、波長400〜700nmの範囲の光の吸収係数の最大値αmax(m−1)と、最小値αmin(m−1)と、の比(αmax/αmin)が10以下であり、前記ガラス板内部に複数の泡が存在し、前記端面の任意の一つを基準端面とし、前記第1主表面と前記基準端面とが共有する辺を基準辺とするとき、前記基準辺に平行な方向における前記泡の長さの最大値が500μm以下であることを特徴とするガラス板。
Description
本発明は、エッジライト方式の面状発光装置の導光板として、好適に使用されるガラス板に関する。
従来、携帯電話機、PDA又は液晶テレビ等に液晶表示装置が用いられている。液晶表示装置は、バックライトとしての面状発光装置と、この面状発光装置の光出射面側に配置される液晶ユニットと、を基本構成とする。
面状発光装置としては、直下型とエッジライト型のものがある。直下型は光出射面に対して反対側となる背面に光源が配置されるため、光出射面と同程度の寸法の光源が必要になる。エッジライト型は光出射面に対して直交方向となる側面に光源が配置されるため、光出射面よりも寸法が小さい光源を使用できるため、液晶表示装置の大画面化に適している。
また、このような面状発光装置には、建築物の天井、床若しくは壁等の屋内又は屋外に配置される面状照明装置としての需要も存在する。
エッジライト方式の面状発光装置に使用される導光板ユニットの一構成例を図1に示す。図1に示す導光板ユニット100は、側面に配置された光源(図示せず)からの光を全反射により内部に伝播させるとともに面状に出射させるための導光板200と、この導光板200の主として光を出射する光出射面(図中、上面)に対して反対側となる光反射面(図中、下面)から出射する光を再び導光板200に戻すための反射部材300と、で構成されている。
導光板200の光反射面には、ドットパターン状の光散乱部材400が設けられている。この光散乱部材400は、その内部で全反射する光を散乱させて光出射面から出射させるとともに、光源が点光源である場合の光出射面における輝度の不均一、また光源からの距離の違いによる光出射面における輝度の不均一等を抑制する。
導光板ユニット100の導光板200としては、透過率が高いこと、比較的安価で入手が容易であること等の理由から、従来はアクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂といった透明な樹脂材料製が用いられていた(特許文献1参照)。
液晶表示装置の大画面化に対応するため、面状発光装置を大型化した場合、より高出力の光源が用いられる。これにより、光源の発熱量も多くなり、導光板にも耐熱性が要求されるようになる。上記した樹脂材料製の導光板は、ガラス転移点(Tg)が80〜100℃(アクリル樹脂)、145〜150℃(ポリカーボネート樹脂)と低いため耐熱性が不十分である。
上記した樹脂材料製の導光板よりも耐熱性に優れた導光板としては、ガラス材料製の導光板が提案されている(特許文献2参照)。ガラス材料の組成にもよるが、ガラス転移点(Tg)は530℃程度まで高めることができる。
エッジライト方式の面状発光装置の導光板として、ガラス板を使用する場合、ガラス板内部に存在する泡が問題となる。ガラス板を製造する場合、ガラス原料を溶解窯で溶解して溶融ガラスとした後、この溶融ガラスをガラス板に成形する。このガラス原料の溶解過程では、CO2、H2O、O2又はSO2などのガスが放出され、このガスの一部は溶融ガラス中に泡として存在する。その結果、成形後のガラス板も、内部に泡が存在するものとなる。
従来、ガラス板の内部に存在する泡の量を低減するため、溶解槽の構造若しくはその内部の攪拌機構の改良、泡の発生若しくは成長を抑制するガラス組成の選択、または泡の発生若しくは成長を抑制する微量添加物の添加などの方法が実施されている。しかしながら、これらの方法により、ガラス板の内部に存在する泡の量を低減させることはできても、泡の量を限りなく0にすることは困難であった。
導光板内部に存在する泡の影響については、樹脂材料製の導光板に関する特許文献1に記載されている。樹脂材料製の導光板内部に存在する泡は、その空孔径および空孔率が適切であれば、光路変更要素として作用することで、正面輝度の向上と輝度均一化の面で有効であるとされている。なお、樹脂材料製の導光板内部に存在する泡は、通常は球状である。
ガラス板に成形する際、ガラス20中に存在する泡30は、水平方向に引き伸ばされて、図2に示すように楕円形状となる。このような楕円形状の泡は、その向きと、光源から入射した光の進行方向と、の関係により、光路変更要素として作用が異なる。すなわち、正面輝度の向上と輝度均一化に寄与する場合もあるが、光源からの入射光により輝点となり、エッジライト方式の面状発光装置の発光品質を劣化させる場合もある。
また、溶融ガラス20中に存在する泡30の大きさは種々であり、また、上述したように、ガラス板製造時においては、ガラス板の内部に存在する泡の量を低減するための対策がなされているため、光路変更要素としての作用を期待するよりも、導光板として使用するガラス板内部に存在する泡は、光源からの入射光により輝点とならないほうが好ましい。
本発明は、上述した従来技術における問題点を解決するため、可視光域の透過性が高く、かつ、エッジライト方式の面状発光装置の導光板として使用した場合に、該面状発光装置の発光品質に優れたガラス板を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するため、本発明は、
第1主表面、前記第1主表面に対向する第2主表面、並びに、前記第1主表面および前記第2主表面を接続する端面からなり、前記第1主表面および前記第2主表面が実質的に矩形であるガラス板であって、
前記ガラス板は、波長550nmの光の吸収係数が1m−1以下であり、波長400〜700nmの範囲の光の吸収係数の最大値αmax(m−1)と、最小値αmin(m−1)と、の比(αmax/αmin)が10以下であり、
前記ガラス板内部に複数の泡が存在し、前記端面の任意の一つを基準端面とし、前記第1主表面と前記基準端面とが共有する辺を基準辺とするとき、前記基準辺に平行な方向における前記泡の長さの最大値が500μm以下であることを特徴とするガラス板を提供する。
第1主表面、前記第1主表面に対向する第2主表面、並びに、前記第1主表面および前記第2主表面を接続する端面からなり、前記第1主表面および前記第2主表面が実質的に矩形であるガラス板であって、
前記ガラス板は、波長550nmの光の吸収係数が1m−1以下であり、波長400〜700nmの範囲の光の吸収係数の最大値αmax(m−1)と、最小値αmin(m−1)と、の比(αmax/αmin)が10以下であり、
前記ガラス板内部に複数の泡が存在し、前記端面の任意の一つを基準端面とし、前記第1主表面と前記基準端面とが共有する辺を基準辺とするとき、前記基準辺に平行な方向における前記泡の長さの最大値が500μm以下であることを特徴とするガラス板を提供する。
本発明のガラス板において、波長400〜700nmの範囲の光の吸収係数の最大値αmaxが1m−1以下であることが好ましく、より好ましくは0.5m−1以下であり、さらに好ましくは0.2m−1以下である。αmaxが1m−1以下であることにより、導光板として使用した場合、正面輝度を向上できる。
本発明のガラス板において、前記泡の最大径となる位置を通過する仮想線を泡の長軸とするとき、前記ガラス板内部に存在する泡の70%以上が、前記基準端面と、前記長軸と、がなす角度が85〜95度であることが好ましい。
本発明のガラス板において、前記基準端面に垂直な方向における泡間最短距離が5mm以上であり、かつ、前記基準端面に平行な方向における泡間最短距離が1.5mm以上であることが好ましい。
本発明のガラス板において、前記第1主表面における長さが10〜130mmの範囲である線傷の数及び(最大径+最小径)/2が0.1〜0.3mmの範囲である付着異物の数の和をI1とし、前記第2主表面における長さが10〜130mmの範囲である線傷の数及び(最大径+最小径)/2が0.1〜0.3mmの範囲である付着異物の数の和をI2とするとき、2<│I1−I2│であることが好ましい。
本発明のガラス板において、前記第1主表面および前記第2主表面の少なくとも1辺の長さが200mm以上であり、前記ガラス板の板厚が0.5〜10mmであることが好ましい。
本発明のガラス板において、前記泡の最大径を長径とし、前記泡の最小径を短径とするとき、前記長径と前記短径との比(長径/短径)が1.1以上であることが好ましい。
本発明のガラス板は、可視光域の透過性が高く、かつ、エッジライト方式の面状発光装置の導光板として使用した場合に、該面状発光装置の発光品質に優れている。
以下、本発明のガラス板について説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
図3は、本発明のガラス板の一構成例を示した斜視図である。図3に示すガラス板10は、第1主表面11、第1主表面11に対向する第2主表面12、並びに、第1主表面11および第2主表面12を接続する端面13からなり、第1主表面11および第2主表面12が実質的に矩形である。
本発明のガラス板における第1主表面11、および、第2主表面12は、輝度測定の際、反射部材及び散乱部材を配置する側を特定するため、ガラス板の2つの主表面を、便宜的に第1主表面11、および、第2主表面12と定めたものである。したがって、ガラス板の2つの主表面のうち、どちらの面を第1主表面(第2主表面)としてもよい。
但し、本発明のガラス板を、エッジライト方式の面状発光装置の導光板として使用する場合に、ガラス板の2つの主表面のうち、どちらの面を導光板の光出射面(光反射面)とするか、あらかじめ決まっている場合、光反射面を第1主表面とし、光出射面を第2主表面とすることが好ましい。
また、図3に示すガラス板10は、第1主表面11、および、第2主表面12の形状が長方形であるが、第1主表面11、および、第2主表面12の形状は正方形でもよい。
本発明のガラス板10の寸法のうち、ガラス板の主表面(第1主表面11、第2主表面12)の一辺の長さは、本発明のガラス板を導光板として使用する面状発光装置の寸法により異なる。
たとえば、面状発光装置がエッジライト方式の液晶テレビの場合、ガラス板の主表面(第1主表面11、第2主表面12)の一辺の長さは、200mm以上であることが好ましく、250mm以上であることがより好ましく、400nm以上であることがさらに好ましい。
一方、本発明のガラス板10の寸法のうち、ガラス板の板厚(端面13の厚さ)は、0.5〜10mmであることが好ましい。導光板として使用されるガラス板の内部透過率は、ガラス部材の厚さにより影響される。
ガラス板の板厚が0.5mm以上であると、導光板としての使用時において、ガラス表面で反射する回数が増加するのを防ぎ、反射による減衰が大きくなり有効光路長での内部透過率が低下するのを抑制することができる。より好ましくは1mm以上であり、さらに好ましくは1.5mm以上である。
一方、ガラス板の板厚が10mm以下であると、図1に示す導光板ユニット100の導光板200として使用する際、散乱部材400に散乱される回数が減少するのを防ぎ、外に取り出される光量が減少するのを抑制することができ、内部透過率が向上する。より好ましくは5mm以下であり、さらに好ましくは2.5mm以下である。また、ガラス板の板厚の公差が±0.1mm以内であることが好ましい。
本発明のガラス板10は、エッジライト方式の面状発光装置の導光板として使用されるため、面状発光装置の光源の波長域で光の吸収係数が低いことが好ましい。面状発光装置がエッジライト方式の液晶テレビの場合、光源としては、発光ダイオード(LED)、具体的には、R(赤)、G(緑)及びB(青)の三色のLEDが使用される。そのため、これら三色の光の吸収係数が低いことが好ましい。
本発明のガラス板10は、波長550nmの光の吸収係数が1m−1以下であり、波長400〜700nmの範囲の光の吸収係数の最大値αmax(m−1)と、最小値αmin(m−1)と、の比(αmax/αmin)が10以下である。
波長550nmの光の吸収係数は、好ましくは0.5m−1以下であり、より好ましくは0.2m−1以下であり、さらに好ましくは0.1m−1以下である。また、前記(αmax/αmin)は、好ましくは7以下であり、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは4以下である。
ここで、波長400〜700nmの範囲の光の吸収係数を判断指標とするのは、R(赤)、G(緑)及びB(青)の三色の光の波長を包含するからである。また、波長550nmの光の吸収係数を判断指標とするのは、波長400〜700nmの範囲の光のうち、波長550nmの光の吸収係数が最も低くなるからである。
波長550nmの光の吸収係数、および、波長400〜700nmの範囲の光の吸収係数の最大値αmax(m−1)と、最小値αmin(m−1)と、の比(αmax/αmin)が前記の条件を満たしていれば、面状発光装置がエッジライト方式の液晶テレビの光源として使用される、R(赤)、G(緑)及びB(青)の三色の光の吸収が軽微である。また、αmax/αminが前記の条件を満たしていれば、波長400〜700nmの範囲において、波長による光の吸収の差が軽微である。
本発明のガラス板10は、波長400〜700nmの範囲の光の吸収係数の最大値αmaxが1m−1以下であることが好ましく、より好ましくは0.5m−1以下であり、さらに好ましくは0.2m−1以下である。αmaxが1m−1以下であることにより、導光板として使用した場合、正面輝度を向上できる。
ガラス板10として用いられるガラスの鉄の含有量の総量Aは、100質量ppm以下であることが、上述した50mm長での波長400〜700nmにおける平均内部透過率を満たすうえで好ましく、40質量ppm以下であることがより好ましく、20質量ppm以下であることがさらに好ましい。
一方、ガラス板10として用いられるガラスの鉄の含有量の総量Aは、5質量ppm以上であることが、多成分系の酸化物ガラス製造時において、ガラスの熔解性を向上させるうえで好ましく、8質量ppm以上であることがより好ましく、10質量ppm以上であることがさらに好ましい。なお、ガラス板10として用いられるガラスの鉄の含有量の総量Aは、ガラス製造時に添加する鉄の量により調節できる。
本明細書においては、ガラスの鉄の含有量の総量Aを、Fe2O3の含有量として表しているが、ガラス中に存在する鉄がすべてFe3+(3価の鉄)として存在しているわけではない。通常、ガラス中にはFe3+とFe2+(2価の鉄)が同時に存在している。
Fe2+およびFe3+は、波長400〜700nmの範囲に吸収が存在するが、Fe2+の吸収係数(11cm−1Mol−1)はFe3+の吸収係数(0.96cm−1Mol−1)よりも1桁大きいため、波長400〜700nmにおける内部透過率をより低下させる。そのため、Fe2+の含有量が少ないことが、波長400〜700nmにおける内部透過率を高めるうえで好ましい。
ガラス板10として用いられるガラスのFe2+の含有量Bは、20質量ppm以下であることが、有効光路長で上述した可視光域の平均内部透過率を満たすうえで好ましく、10質量ppm以下であることがより好ましく、5質量ppm以下であることがさらに好ましい。
一方、ガラス板10として用いられるガラスのFe2+の含有量Bは、0.01質量ppm以上であることが、多成分系の酸化物ガラス製造時において、ガラスの熔解性を向上させるうえで好ましく、0.05質量ppm以上であることがより好ましく、0.1質量ppm以上であることがさらに好ましい。
なお、ガラス板10として用いられるガラスのFe2+の含有量は、ガラス製造時に添加する酸化剤の量、または溶解温度等により調節できる。ガラス製造時に添加する酸化剤の具体的な種類とそれらの添加量については後述する。
Fe2O3の含有量Aは、蛍光X線測定によって求めた、Fe2O3に換算した全鉄の含有量(質量ppm)である。Fe2+の含有量BはASTM C169−92(2011年)に準じて測定する。なお、測定されるFe2+の含有量はFe2O3に換算して表記する。
ガラス板10として用いられるガラスの組成の具体例を以下に示す。但し、ガラス板10として用いられるガラスの組成はこれらに限定されない。
ガラス板10として用いられるガラスの一構成例(構成例A)は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2を60〜80%、Al2O3を0〜7%、MgOを0〜10%、CaOを0〜20%、SrOを0〜15%、BaOを0〜15%、Na2Oを3〜20%、K2Oを0〜10%、Fe2O3を5〜100質量ppm含む。
ガラス板10として用いられるガラスの別の一構成例(構成例B)は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2を45〜80%、Al2O3を7%超30%以下、B2O3を0〜15%、MgOを0〜15%、CaOを0〜6%、SrOを0〜5%、BaOを0〜5%、Na2Oを7〜20%、K2Oを0〜10%、ZrO2を0〜10%、Fe2O3を5〜100質量ppm含む。
ガラス板10として用いられるガラスのさらに別の一構成例(構成例C)は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2を45〜70%、Al2O3を10〜30%、B2O3を0〜15%、MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で5〜30%、Li2O、Na2OおよびK2Oを合計で0%以上、3%未満、Fe2O3を5〜100質量ppm含む。
しかしながら、ガラス板10として用いられるガラスはこれらに限定されるものではない。
上記した成分を有する本実施形態のガラス板10のガラスの組成の各成分の組成範囲について、以下に説明する。なお、各組成の含有量の単位はいずれも酸化物基準の質量百分率表示または質量ppm表示であり、それぞれ単に「%」「ppm」と表す。
SiO2は、ガラスの主成分である。SiO2の含有量は、ガラスの耐候性及び失透特性を保つため、酸化物基準の質量百分率表示で、構成例Aにおいては、好ましくは60%以上、より好ましくは63%以上であり、構成例Bにおいては、好ましくは45%以上、より好ましくは50%以上であり、構成例Cにおいては、好ましくは45%以上、より好ましくは50%以上である。
一方、SiO2の含有量は、溶解を容易にし、泡品質を良好なものとするために、またガラス中の二価鉄(Fe2+)の含有量を低く抑え、光学特性を良好なものとするため、構成例Aにおいては、好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下であり、構成例Bにおいては、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下であり、構成例Cにおいては、好ましくは70%以下、より好ましくは65%以下である。
Al2O3は、構成例B及びCにおいてはガラスの耐候性を向上させる必須成分である。本実施形態のガラスにおいて実用上必要な耐候性を維持するためには、Al2O3の含有量は、構成例Aにおいては、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上であり、構成例Bにおいては、好ましくは7%超、より好ましくは10%以上であり、構成例Cにおいては、好ましくは10%以上、より好ましくは13%以上である。
但し、二価鉄(Fe2+)の含有量を低く抑え、光学特性を良好なものとし、泡品質を良好なものとするため、Al2O3の含有量は、構成例Aにおいては、好ましくは7%以下、より好ましくは5%以下であり、構成例Bにおいては、好ましくは30%以下、より好ましくは23%以下であり、構成例Cにおいては、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。
B2O3は、ガラス原料の溶融を促進し、機械的特性又は耐候性を向上させる成分であるが、揮発による脈理(ream)の生成又は炉壁の侵食等の不都合が生じないために、B2O3の含有量は、ガラスAにおいては、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下であり、構成例B及びCにおいては、好ましくは15%以下、より好ましくは、12%以下である。
Li2O、Na2O、及び、K2Oといったアルカリ金属酸化物は、ガラス原料の溶融を促進し、熱膨張又は粘性等を調整するのに有用な成分である。
そのため、Na2Oの含有量は、構成例Aにおいては、好ましくは3%以上、より好ましくは、8%以上である。Na2Oの含有量は、構成例Bにおいては、好ましくは7%以上、より好ましくは、10%以上である。但し、溶解時の清澄性を保持し、製造されるガラスの泡品質を保つために、Na2Oの含有量は、構成例A及びBにおいては、20%以下とするのが好ましく、15%以下とするのがさらに好ましく、構成例Cにおいては、3%以下とするのが好ましく、1%以下とするのがより好ましい。
また、K2Oの含有量は、構成例A及びBにおいては、好ましくは10%以下、より好ましくは、7%以下であり、構成例Cにおいては、好ましくは2%以下、より好ましくは、1%以下である。
また、Li2Oは、任意成分であるが、ガラス化を容易にし、原料に由来する不純物として含まれる鉄含有量を低く抑え、バッチコストを低く抑えるために、構成例A、B及びCにおいて、Li2Oを2%以下含有させることができる。
また、これらアルカリ金属酸化物の合計含有量(Li2O+Na2O+K2O)は、溶解時の清澄性を保持し、製造されるガラスの泡品質を保つために、構成例A及びBにおいては、好ましくは5%〜20%、より好ましくは8%〜15%であり、構成例Cにおいては、好ましくは0%〜2%、より好ましくは、0%〜1%である。
MgO、CaO、SrO、及びBaOといったアルカリ土類金属酸化物は、ガラス原料の溶融を促進し、熱膨張又は粘性等を調整するのに有用な成分である。
MgOは、ガラス溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する作用がある。また、比重を低減させ、ガラス板に疵をつきにくくする作用があるために、構成例A、B及びCにおいて、含有させることができる。また、ガラスの熱膨張係数を低く、失透特性を良好なものとするために、MgOの含有量は、構成例Aにおいては、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下であり、構成例Bにおいては、好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下であり、構成例Cにおいては、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
CaOは、ガラス原料の溶融を促進し、また粘性又は熱膨張等を調整する成分であるので、構成例A、B及びCにおいて含有させることができる。上記の作用を得るためには、構成例Aにおいては、CaOの含有量は、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上である。また、失透を良好にするためには、構成例Aにおいては、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下であり、構成例Bにおいては、好ましくは6%以下であり、より好ましくは4%以下である。
SrOは、熱膨張係数の増大及びガラスの高温粘度を下げる効果がある。かかる効果を得るために、構成例A、B及びCにおいて、SrOを含有させることができる。但し、ガラスの熱膨張係数を低く抑えるため、SrOの含有量は、構成例A及びCにおいては、15%以下とするのが好ましく、10%以下とするのがより好ましく、構成例Bにおいては、5%以下とするのが好ましく、3%以下とするのがより好ましい。
BaOは、SrO同様に熱膨張係数の増大及びガラスの高温粘度を下げる効果がある。上記の効果を得るためにBaOを含有させることができる。但し、ガラスの熱膨張係数を低く抑えるため、構成例A及びCにおいては、15%以下とするのが好ましく、10%以下とするのがより好ましく、構成例Bにおいては、5%以下とするのが好ましく、3%以下とするのがより好ましい。
また、これらアルカリ土類金属酸化物の合計含有量(MgO+CaO+SrO+BaO)は、熱膨張係数を低く抑え、失透特性を良好なものとし、強度を維持するために、構成例Aにおいては、好ましくは10%〜30%、より好ましくは13%〜27%であり、構成例Bにおいては、好ましくは1%〜15%、より好ましくは3%〜10%であり、構成例Cにおいては、好ましくは5%〜30%、より好ましくは10%〜20%である。
本実施形態のガラス板10のガラスのガラス組成においては、ガラスの耐熱性及び表面硬度の向上のために、任意成分としてZrO2を、構成例A、B及びCにおいて、10%以下、好ましくは5%以下含有させてもよい。10%以下とすることでガラスが失透しにくくなる。
本実施形態のガラス板10のガラスのガラス組成においては、ガラスの熔解性向上のため、Fe2O3を、構成例A、B及びCにおいて、5〜100ppm含有させてもよい。なお、Fe2O3量の好ましい範囲は上述のとおりである。
また、本実施形態のガラス板10のガラスは、清澄剤としてSO3を含有してもよい。この場合、SO3含有量は、質量百分率表示で0%超、0.5%以下が好ましい。0.4%以下がより好ましく、0.3%以下がさらに好ましく、0.25%以下であることがさらに好ましい。
また、本実施形態のガラス板10のガラスは、酸化剤及び清澄剤としてSb2O3、SnO2及びAs2O3のうちの一つ以上を含有してもよい。この場合、Sb2O3、SnO2またはAs2O3の含有量は、質量百分率表示で0〜0.5%が好ましい。0.2%以下がより好ましく、0.1%以下がさらに好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
ただし、Sb2O3、SnO2及びAs2O3は、ガラスの酸化剤として作用するため、ガラスのFe2+の量を調節する目的により上記範囲内で添加してもよい。ただし、環境面からはAs2O3を実質的に含有しないことが好ましい。
また、本実施形態のガラス板10のガラスは、NiOを含有してもよい。NiOを含有する場合、NiOは、着色成分としても機能するので、NiOの含有量は、上記したガラス組成の合量に対し、10ppm以下とするのが好ましい。特に、NiOは、波長400〜700nmにおけるガラス板の内部透過率を低下させないという観点から、1.0ppm以下とするのがより好ましく、0.5ppm以下とすることがさらに好ましい。
本実施形態のガラス板10のガラスは、Cr2O3を含有してもよい。Cr2O3を含有する場合、Cr2O3は、着色成分としても機能するので、Cr2O3の含有量は、上記したガラス組成の合量に対し、10ppm以下とするのが好ましい。特に、Cr2O3は、波長400〜700nmにおけるガラス板の内部透過率を低下させないという観点から、1.0ppm以下とするのが好ましく、0.5ppm以下とすることがより好ましい。
本実施形態のガラス板10のガラスは、MnO2を含有してもよい。MnO2を含有する場合、MnO2は、可視光を吸収する成分としても機能するので、MnO2の含有量は、上記したガラス組成の合量に対し、50ppm以下とするのが好ましい。特に、MnO2は、波長400〜700nmにおけるガラス板の内部透過率を低下させないという観点から、10ppm以下とするのがより好ましい。
本実施形態のガラス板10のガラスは、TiO2を含んでいてもよい。TiO2を含有する場合、TiO2は、可視光を吸収する成分としても機能するので、TiO2の含有量は、上記したガラス組成の合量に対し、1000ppm以下とするのが好ましい。TiO2は、波長400〜700nmにおけるガラス板の内部透過率を低下させないという観点から、含有量を500ppm以下とすることがより好ましく、100ppm以下とすることが特に好ましい。
本実施形態のガラス板10のガラスは、CeO2を含んでいてもよい。CeO2には鉄のレドックスを下げる効果があり、全鉄量に対するFe2+量の比率を小さくすることができる。一方で、鉄のレドックスを3%未満に下がることを抑制するためにも、CeO2の含有量は、上記したガラス組成の合量に対し、1000ppm以下とするのが好ましい。
また、CeO2の含有量は、500ppm以下とするのがより好ましく、400ppm以下とするのがさらに好ましく、300ppm以下とするのが特に好ましく、250ppm以下とするのが最も好ましい。
本実施形態のガラス板10のガラスは、CoO、V2O5及びCuOからなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含んでいてもよい。これらの成分を含有する場合、可視光を吸収する成分としても機能するので、前記成分の含有量は、上記したガラス組成の合量に対し、10ppm以下とするのが好ましい。特に、これら成分は、波長400〜700nmにおけるガラス板の内部透過率を低下させないように、実質的に含有しないことが好ましい。
本発明のガラス板10の内部には複数の泡が存在する。上述したように、ガラス板に成形する際、ガラス20中に存在する泡30は、水平方向に引き伸ばされて、図2に示すように楕円形状となる。本発明のガラス板10の内部に存在する泡も楕円形状をしており、泡の最大径を長径とし、泡の最小径を短径とするとき、長径と短径との比(長径/短径)が1.1以上であることが好ましい。長径と短径との比(長径/短径)は1.2以上がより好ましく、1.3以上がさらに好ましく、1.4以上がいっそう好ましい。
本発明のガラス板10は、4つの端面13のうち、任意の一つの端面を基準端面13aとし、第1主表面11と基準端面13aが共有する辺を基準辺14とするとき、基準辺14に平行な方向における泡の長さDxの最大値が500μm以下である。
図4は、本発明のガラス板10における基準辺14と、泡の長さDxとの関係を説明するための図であり、本発明のガラス板10を第1主表面11側から見た図である。図4において、ガラス板10内部の泡30は、上記で定義した長径d1と短径d2との比(長径d1/短径d2)が1.1以上の楕円形状である。
図4では、このような楕円形状の泡30が、異なる向きで示されている。図4中、左側の泡30は、長径d1の方向が、基準辺14に対し垂直方向である。図4中、真ん中の泡30は、長径d1の方向が、基準辺14に対し平行方向である。図4中、右側の泡30は、長径d1の方向が、基準辺14に対し斜め方向である。
いずれの場合においても、基準辺14に平行な方向における泡の長さDxが500μm以下であればよい。また、ガラス板10内部に複数存在する泡30のうち、基準辺14に平行な方向における泡の長さDxの最大値が500μmであればよい。したがって、図4中、真ん中の泡30は、および、右側の泡30の場合、その長径d1が500μmより大きくてもよい。
なお、本発明のガラス10をエッジライト方式の面状発光装置の導光板として使用する場合、基準端面13a、または、該基準端面13aに対向する端面に、光源が配置され、基準端面13a、または、該基準端面13aに対向する端面が、光源からの光の入射面となり、光源からの入射光は、基準端面13aに対し垂直方向に、ガラス板10内部を移動する。
以下、本明細書において、基準端面13aが、光源からの光の入射面となる場合を前提として記載するが、基準端面13aに対向する端面が、光源からの光の入射面となる場合も同様である。
ここで、基準辺14に平行な方向における泡の長さDxに着目する理由は、基準辺14に平行な方向における泡の長さDxが大きいと、本発明のガラス10をエッジライト方式の面状発光装置の導光板として使用する際に、ガラス板10の端面13に配置された光源からの入射光が、泡30により遮られ輝点を生じさせる。このような輝点が生じると、エッジライト方式の面状発光装置の発光品質が劣化する。
基準辺14に平行な方向における泡の長さDxの最大値が500μm以下であれば、本発明のガラス10をエッジライト方式の面状発光装置の導光板として使用する際に、入射光により輝点を生じにくく、エッジライト方式の面状発光装置の発光品質を劣化させるおそれが少ない。
本発明のガラス板10は、基準辺14に平行な方向における泡の長さDxの最大値が400μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましい。
また、図4では、ガラス板10の基準辺14に対して、長径d1の向きが異なる複数の泡30を示したが、ガラス板10の基準辺14に対する、泡30の長径d1の向きも、本発明のガラス板10を、エッジライト方式の面状発光装置の導光板として使用する際の輝度の均一性に影響を及ぼす。
図4中、長径d1の方向が基準辺14に対し平行方向である真ん中の泡30や、長径d1の方向が基準辺14に対し斜め方向である右側の泡30に比べて、長径d1の方向が基準辺14に対し垂直方向である左側の泡30のほうが、本発明のガラス10をエッジライト方式の面状発光装置の導光板として使用する際に、光源からの入射光により輝点を生じにくく、エッジライト方式の面状発光装置の発光品質を劣化させるおそれが少ない。
なお、図4に示す3つの泡30は、長径d1が全て同一であるため、基準辺14に平行な方向における泡の長さDxが異なっているが、基準辺14に平行な方向における泡の長さDxが全て同一の場合も、図4中、長径d1の方向が基準辺14に対し平行方向である真ん中の泡30、又は長径d1の方向が基準辺14に対し斜め方向である右側の泡30に比べて、長径d1の方向が基準辺14に対し垂直方向である左側の泡30のほうが、エッジライト方式の面状発光装置の導光板として使用する際に、光源からの入射光により輝点を生じにくい。
図5は、本発明のガラス板10の基準端面13aと泡30の長軸との角度を説明するための図である。なお、ガラス板10の基準辺14と、泡30の長軸と、の角度ではなく、基準端面13aと、泡30の長軸と、の角度とするのは、ガラス板10内部における泡30の位置による影響を排除するためである。
本発明のガラス板10は、ガラス板10内部に存在する泡30の最大径となる位置を通過する仮想線を泡の長軸とするとき、ガラス板10の基準端面13aと、泡30の長軸と、がなす角度αが85〜95度であることが好ましい。該角度αが85〜95度であることにより、本発明のガラス10をエッジライト方式の面状発光装置の導光板として使用する際に、入射光により輝点を生じにくく、エッジライト方式の面状発光装置の発光品質を劣化させるおそれが少ない。
但し、本発明のガラス板10内部に存在する全ての泡30が、上記の角度αを満たしていない場合でも、上記の角度αを満たしていない泡30が少ない場合は、エッジライト方式の面状発光装置の発光品質を劣化させるおそれが少ない。
本発明のガラス板10の内部に存在する泡30の70%以上が、上記の角度αを満たしていることが好ましく、80%以上が上記の角度αを満たしていることがより好ましく、90%以上が上記の角度αを満たしていることさらに好ましい。
本発明のガラス板10の内部に存在する複数の泡間の距離も、本発明のガラス10をエッジライト方式の面状発光装置の導光板として使用する際に、その表示品質に影響を及ぼす。本発明のガラス板10の内部に存在する複数の泡間の距離が小さい部分が存在する場合、一つの泡に散乱された光が、近くに存在する他の泡により散乱されるため、その部分においては、散乱輝度が局所的に増加する。このため、導光板からの出射光における輝度の均一性が低下する。
但し、光源からの光の入射面となる基準端面13aと、第1主表面11と、が共有する基準端面13aに垂直な方向における泡間距離と、該基準端面13aに平行な方向における泡間距離では、散乱輝度への影響が異なる。
上述したように、光源からの入射光は、基準端面13aに対し垂直方向に、ガラス板10内部を移動する。そのため、光源からの入射光の移動方向に対し垂直方向となる基準端面13aに平行な方向に比べて、光源からの入射光の移動方向と同一の方向となる基準端面13aに垂直な方向は、上述した機構による散乱輝度の局所的な増加が起こりやすい。
図6は、本発明のガラス板における泡間最短距離を説明するための図である。本発明のガラス板10において、基準端面13aに垂直な方向における泡間最短距離d1は5mm以上であることが好ましく、7mm以上であることがより好ましく、10mm以上であることがさらに好ましい。
一方、基準端面13aに平行な方向における泡間最短距離d2は1.5mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましく、5mm以上であることがさらに好ましい。
本発明のガラス板の第1主表面および第2主表面には線傷や付着異物が存在する場合がある。これらの線傷や付着異物のサイズが小さい場合は、本発明のガラス板をエッジライト方式の面状発光装置の導光板として使用した場合に、輝点となることがなく、存在していても問題とならない。
具体的には、線傷の場合は、長さが130mm以下であれば、輝点となることがなく、存在していても問題とならない。付着異物の場合は、その平均直径、すなわち、(最大径+最小径)/2が0.3mm以下である場合であれば、輝点となることがなく、存在していても問題とならない。
しかしながら、このような線傷や付着異物が多く存在する主表面を、エッジライト方式の面状発光装置の導光板として使用する際に、図1に示す導光板ユニット100の光反射面として使用すると、その表面に散乱部材400が形成されるため、使用時にガラス板が破損するおそれがある。
そのため、本発明のガラス板の第1主表面および第2主表面のうち、長さが10〜130mmの範囲の線傷や、平均直径、すなわち、(最大径+最小径)/2が0.1〜0.3mmの付着異物が多く存在する側の面を、図1に示す導光板ユニット100の光出射面として使用することが好ましい。
本発明のガラス板の第1主表面11における長さが10〜130mmである線傷の数及び(最大径+最小径)/2が0.1〜0.3mmの範囲である付着異物の数の和をI1とし、第2主表面12における長さが10〜130mmの範囲である線傷の数及び(最大径+最小径)/2が0.1〜0.3mmの範囲である付着異物の数の和をI2とするとき、2<│I1−I2│の関係になる場合は、より多くの線傷又は付着異物が存在する側の面を図1に示す導光板ユニット100の光出射面として使用することが好ましい。
実施例では、以下の手順でガラス板の輝度測定を実施した。
(目視判定)
複数の泡が存在するガラス板の一方の主表面に、拡散インキをドットパターン状に印刷して、一方の主表面に散乱部材を形成されたガラス導光板を作成した。このガラス板の寸法は、485mm×284mm×t2mmであった。
(目視判定)
複数の泡が存在するガラス板の一方の主表面に、拡散インキをドットパターン状に印刷して、一方の主表面に散乱部材を形成されたガラス導光板を作成した。このガラス板の寸法は、485mm×284mm×t2mmであった。
また、波長400〜700nmの範囲の光の吸収係数を紫外可視近赤外分光光度計 UH4150 日立ハイテクサイエンス社製を用いて測定したところ、波長550nmの光の吸収係数は0.04m−1であった。また、波長400〜700nmの範囲の光の吸収係数の最大値αmaxは0.24m−1、最小値αminは0.04m−1であり、(αmax/αmin)は6であった。
上記の手順で得られたガラス導光板を、液晶ディスプレイ(LG社製 型番 22EN43VB)に、同液晶ディスプレイのガラス導光板と入れ替えて配置し、暗室で白画面を表示し、ガラス板内部の泡が輝点として視認されるか、測定距離0.5mで目視により判定した。また、ガラス導光板内部に存在する泡の径を透過型光学顕微鏡(キーエンス社製 デジタルマイクロスコープ VHX−5000)により測定した。
液晶ディスプレイのガラス導光板と入れ替えて配置する際、液晶ディスプレイの光源が配置される側のガラス導光板の端面を基準端面とし、ガラス導光板の光反射面となる主表面を第1主表面とし、該基準端面と第1主表面が共有する辺を基準辺とするとき、該基準辺に平行な方向における泡の長さDxの最大値を下記表1に示す。
表1に示す結果から、泡の長さDxの最大値が500μm以下であると、泡が輝点として視認できないことがわかった。
(泡間最短距離)
泡間最短距離による影響について、シミュレーション解析により評価した。このシミュレーション解析には、光線追跡ソフト(LightTools:サイバーネットシステム社製)を用いた。
泡間最短距離による影響について、シミュレーション解析により評価した。このシミュレーション解析には、光線追跡ソフト(LightTools:サイバーネットシステム社製)を用いた。
このシミュレーション解析では、図1に示す導光板ユニット100についてモデル化したものである。このモデルでは、10mm×630mmの互いに平行な2つの主表面を有する、幅10mm×奥行き630mm×厚み2mmの導光板200に対し、10mm×2mmの互いに平行な端面のうち一方の端面(図中左側の端面)を基準端面とし、該基準端面から1mm離れた位置に端面と平行な面光源を設け、導光板200に光を入射した。
また、ガラス板の一方の主表面(図中、下面)にはドットパターン状の光散乱部材400が設けられており、導光板200の光散乱部材400が設けられた主表面(図中、下面)から0.1mm離れた位置に、該主表面と平行な反射部材300を設けられており、面光源からガラス板に入射した光は、泡がない場合に、導光板200の一方の主表面(図中、上面)から均一に光が放射されるようにした。基準端面と、光の出射面をなすガラス板の主表面(図中、上面)が共有する辺を基準辺と呼ぶ。
面光源の光スペクトルとしては、青色LEDと赤色蛍光体と緑色蛍光体とで構成され、400〜700nmの波長範囲で発光する白色LEDの光スペクトル(図7参照)を用いた。面光源から導光板200の基準端面に入射する光線の本数は100万本とした。
導光板200の内部に、2つの泡が存在するとして、シミュレーションした。泡はいずれも、長径0.5mm、短径0.4mmの楕円を、長軸を軸として回転させた回転楕円体とし、長軸が導光板200の基準端面に対して垂直であるとした。
2つの泡は導光板200の中央点を挟んで対称な位置にあるとし、基準端面13aに対して垂直方向に距離d1離れている場合と、基準端面13aに対して平行方向に距離d2離れている場合をシミュレーションし、導光板200の一方の主表面(図中、上面)から放射される光の輝度について、最大輝度Lmax(cd/mm2)と、全面の平均輝度Lave(cd/mm2)と、の比Lmax/Laveを評価した。ここで、泡の直上における輝度を最大輝度Lmaxとした。シミュレーションの結果を下記表2および3並びに図8および9に示す。
表2および図8から明らかなように、基準端面13aに垂直な方向における泡間最短距離d1が5mmより小さい場合、輝度の均一性の指標となる、最大輝度Lmax(cd/mm2)と、平均輝度Lave(cd/mm2)と、の比Lmax/Laveの値が大きくなった。
また、表3および図9から明らかなように、基準端面13aに垂直な方向における泡間最短距離d2が1.5mmより小さい場合、輝度の均一性の指標となる、最大輝度Lmax(cd/mm2)と、平均輝度Lave(cd/mm2)と、の比Lmax/Laveの値が大きくなった。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2014年8月28日付で出願された日本特許出願(特願2014−173957)に基づいており、その全体が引用により援用される。
10:ガラス板
11:第1主表面
12:第2主表面
13:端面
13a:基準端面
14:基準辺
20:ガラス
30:泡
100:導光板ユニット
200:導光板
300:反射部材
400:散乱部材
11:第1主表面
12:第2主表面
13:端面
13a:基準端面
14:基準辺
20:ガラス
30:泡
100:導光板ユニット
200:導光板
300:反射部材
400:散乱部材
Claims (7)
- 第1主表面、前記第1主表面に対向する第2主表面、並びに、前記第1主表面および前記第2主表面を接続する端面からなり、前記第1主表面および前記第2主表面が実質的に矩形であるガラス板であって、
前記ガラス板は、波長550nmの光の吸収係数が1m−1以下であり、波長400〜700nmの範囲の光の吸収係数の最大値αmax(m−1)と、最小値αmin(m−1)と、の比(αmax/αmin)が10以下であり、
前記ガラス板内部に複数の泡が存在し、前記端面の任意の一つを基準端面とし、前記第1主表面と前記基準端面とが共有する辺を基準辺とするとき、前記基準辺に平行な方向における前記泡の長さの最大値が500μm以下であることを特徴とするガラス板。 - 波長400〜700nmの範囲の光の吸収係数の最大値αmaxが1m−1以下である請求項1に記載のガラス板。
- 前記泡の最大径となる位置を通過する仮想線を泡の長軸とするとき、
前記ガラス板内部に存在する泡の70%以上が、前記基準端面と、前記長軸と、がなす角度が85〜95度である、請求項1または2に記載のガラス板。 - 前記基準端面に垂直な方向における泡間最短距離が5mm以上であり、かつ、
前記基準端面に平行な方向における泡間最短距離が1.5mm以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス板。 - 前記第1主表面における長さが10〜130mmの範囲である線傷の数及び(最大径+最小径)/2が0.1〜0.3mmの範囲である付着異物の数の和をI1とし、前記第2主表面における長さが10〜130mmの範囲である線傷の数及び(最大径+最小径)/2が0.1〜0.3mmの範囲である付着異物の数の和をI2とするとき、2<│I1−I2│である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス板。
- 前記第1主表面および前記第2主表面の少なくとも1辺の長さが200mm以上であり、前記ガラス板の厚さが0.5〜10mmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス板。
- 前記泡の最大径を長径とし、前記泡の最小径を短径とするとき、前記長径と前記短径との比(長径/短径)が1.1以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス板。
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