JPWO2015194539A1 - ゴム架橋物 - Google Patents

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Abstract

α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(a)と、ポリアミン架橋剤(b)と、充填剤(c)とを含有する高飽和ニトリルゴム組成物を架橋してなる、二酸化炭素ガスシール用のゴム架橋物であって、前記高飽和ニトリルゴム組成物中における、前記高飽和ニトリルゴム(a)100重量部に対する、前記ポリアミン架橋剤(b)の含有量が0.5〜20重量部であり、前記充填剤(c)の含有量が10〜300重量部であり、150℃における貯蔵弾性率E’が5MPa以上である二酸化炭素シール用ゴム架橋物を提供する。

Description

本発明は、二酸化炭素シール用途に用いられるゴム架橋物に関する。
従来から、ニトリルゴム(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)のブタジエン部分を水素化して得られる高飽和ニトリルゴムは、フルオロ炭化水素などの耐液化ガス性に優れていることが知られ、冷凍機や空調機の冷媒の液化フルオロ炭化水素ガスシール材などに利用されている。一方で、環境保護の観点より、冷凍機や空調機の冷媒としてフルオロ炭化水素に代えて、二酸化炭素(炭酸ガス)が検討されており、これに伴い、高飽和ニトリルゴムについても、二酸化炭素シール材としての十分な特性を備えることが求められている。
たとえば、空調用冷凍機の二酸化炭素シール材として用いられる場合には、空調用冷凍機の最高温度は140〜150℃にまで至ることがあるので、これに用いられるゴム材料には150℃以上の耐熱性が要求される。また、冷凍機用シール材の重要な物性の一つとして、冷媒である二酸化炭素に接触(シール材が液化ガス状態の二酸化炭素と接触する)させた後に高温状態にしてもゴムにクラックが生じないことが要求される。
これに対し、たとえば、特許文献1では、0.1MPa〜15MPaの圧力での流体の密封に使用されるシール材を形成するためのゴム組成物であって、水素添加カルボキシルニトリルゴムを含有するゴム組成物が開示されている。しかしその一方で、この特許文献1に記載のゴム組成物を用いて得られたゴム架橋物は、耐圧縮永久歪み性が十分なものでなかった。特に、冷凍機用シール材用途に用いる際には、高い圧力を保持し、また、加圧、降圧を繰り返す必要があることから、従来にも増して引張強さ、伸びなどの機械的強度に優れ、かつ、圧縮永久歪みが小さいことが求められており、これに対し、特許文献1の技術は、このような要求に十分に応えられるものではなかった。加えて、特許文献1に記載のゴム組成物を用いて得られたゴム架橋物は硬さが過度に高く、そのため、シール材として用いる際における組み付け性や、シール性にも劣るものであった。
特開2003−313539号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、機械的強度、耐二酸化炭素性、耐圧縮永久歪み性、および耐冷凍機油性に優れた二酸化炭素シール用のゴム架橋物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴムに、所定量のポリアミン架橋剤および充填剤を配合してなるゴム組成物を架橋して得られ、かつ、150℃における貯蔵弾性率E’が5MPa以上であるゴム架橋物により、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(a)と、ポリアミン架橋剤(b)と、充填剤(c)とを含有する高飽和ニトリルゴム組成物を架橋してなる、二酸化炭素シール用のゴム架橋物であって、前記高飽和ニトリルゴム組成物中における、前記高飽和ニトリルゴム(a)100重量部に対する、前記ポリアミン架橋剤(b)の含有量が0.5〜20重量部であり、前記充填剤(c)の含有量が10〜300重量部であり、150℃における貯蔵弾性率E’が5MPa以上である二酸化炭素シール用ゴム架橋物が提供される。
本発明の二酸化炭素シール用ゴム架橋物において、前記高飽和ニトリルゴム(a)が、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位をさらに含有し、前記高飽和ニトリルゴム(a)中における、前記α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合が10〜60重量%、前記α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位の含有割合が0.1〜20重量%、前記ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位の含有割合が20〜89.9重量%であることが好ましい。
本発明の二酸化炭素シール用ゴム架橋物において、前記充填剤(c)が、カーボンブラックであることが好ましい。
本発明の二酸化炭素シール用ゴム架橋物において、前記カーボンブラックの平均粒子径が0.01〜5μmであることが好ましい。
本発明の二酸化炭素シール用ゴム架橋物において、前記高飽和ニトリルゴム組成物が塩基性架橋促進剤(d)をさらに含有することが好ましい。
また、本発明によれば、上記いずれかに記載のゴム架橋物からなる二酸化炭素シール材が提供される。
本発明によれば、機械的強度、耐二酸化炭素性、耐圧縮永久歪み性、および耐冷凍機油性に優れた二酸化炭素ガスシール用のゴム架橋物が提供される。
本発明の二酸化炭素シール用ゴム架橋物は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(a)と、ポリアミン架橋剤(b)と、充填剤(c)とを含有する高飽和ニトリルゴム組成物を架橋してなり、前記高飽和ニトリルゴム組成物中における、前記高飽和ニトリルゴム(a)100重量部に対する、前記ポリアミン架橋剤(b)の含有量が0.5〜20重量部であり、前記充填剤(c)の含有量が10〜300重量部であり、150℃における貯蔵弾性率E’が5MPa以上であることを特徴とするものである。
高飽和ニトリルゴム組成物
まず、本発明の二酸化炭素シール用ゴム架橋物を得るために用いられる高飽和ニトリルゴム組成物について説明する。
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム組成物は、上述した高飽和ニトリルゴム(a)と、ポリアミン架橋剤(b)と、充填剤(c)とを含有する。
高飽和ニトリルゴム(a)
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(a)は、少なくともα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を有する。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を形成する単量体(以下、「α,β−エチレン性不飽和ニトリル」と記すことがある。)としては、ニトリル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物であれば特に限定されず、たとえば、アクリロニトリル;α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどのα−ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリルなどのα−アルキルアクリロニトリルなどが挙げられる。これらのなかでも、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルが特に好ましい。α,β−エチレン性不飽和ニトリルはこれらの複数種を併用してもよい。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、高飽和ニトリルゴム(a)を構成する全単量体単位に対して、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜55重量%、さらに好ましくは20〜50重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の耐油性および耐寒性を良好なものとすることができる。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を形成する単量体としては、エステル化されていない無置換の(フリーの)カルボキシル基を1個有する、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル単量体であれば特に限定されない。無置換のカルボキシル基は、主として架橋のために用いられる。α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を有することにより、得られるゴム架橋物を引張応力や低発熱性に優れたものとすることができる。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体のエステル部の、酸素原子を介してカルボニル基と結合する有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基およびアルキルシクロアルキル基が好ましく、アルキル基が特に好ましい。このようなカルボニル基と結合する有機基としてのアルキル基は、炭素数が1〜12のものが好ましく、より好ましくは2〜6である。また、カルボニル基と結合する有機基としてのシクロアルキル基は、炭素数が5〜12のものが好ましく、より好ましくは6〜10である。さらに、カルボニル基と結合する有機基としてのアルキルシクロアルキル基は、炭素数が6〜12のものが好ましく、より好ましくは7〜10である。カルボニル基と結合する有機基の炭素数を上記範囲とすることにより、高飽和ニトリルゴム組成物の加工安定性、および架橋速度を良好なものとすることができるとともに、得られるゴム架橋物の機械的特性をより高めることができる。
このようなα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体の具体例としては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘプチルなどのマレイン酸モノシクロアルキルエステル;マレイン酸モノメチルシクロペンチル、マレイン酸モノエチルシクロヘキシルなどのマレイン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチルなどのフマル酸モノアルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘプチルなどのフマル酸モノシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチルシクロペンチル、フマル酸モノエチルシクロヘキシルなどのフマル酸モノアルキルシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノn−ブチルなどのシトラコン酸モノアルキルエステル;シトラコン酸モノシクロペンチル、シトラコン酸モノシクロヘキシル、シトラコン酸モノシクロヘプチルなどのシトラコン酸モノシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチルシクロペンチル、シトラコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのシトラコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノn−ブチルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノシクロペンチル、イタコン酸モノシクロヘキシル、イタコン酸モノシクロヘプチルなどのイタコン酸モノシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチルシクロペンチル、イタコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのイタコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;などが挙げられる。
これらの中でも、本発明の効果がより一層顕著になるという点より、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノn−ブチル;などのα,β−エチレン性不飽和結合を形成する二つの炭素原子の各々にカルボキシル基を有するジカルボン酸のモノエステルが好ましく、α,β−エチレン性不飽和結合を形成する二つの炭素原子の各々にカルボキシル基を有するジカルボン酸のモノアルキルエステルがより好ましく、マレイン酸モノn−ブチルが特に好ましい。なお、上記α,β−エチレン性不飽和結合を形成する二つの炭素原子の各々にカルボキシル基を有するジカルボン酸のモノアルキルエステルのアルキル基の炭素数は、2〜6が好ましい。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位の含有量は、高飽和ニトリルゴム(a)を構成する全単量体単位に対して、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.2〜15重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位の含有量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の機械特性および耐圧縮永久歪み性を良好なものとすることができる。
また、本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(a)は、上記α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位およびα,β−エチレン性ジカルボン酸モノエステル単量体単位の他に、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位を有していることが好ましい。これにより、得られるゴム架橋物のゴム弾性を向上させることができる。
ジエン単量体単位を形成するジエン単量体の具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの炭素数が4以上の共役ジエン単量体;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどの炭素数が5〜12の非共役ジエン単量体;などが挙げられる。これらの中では共役ジエン単量体が好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
α−オレフィン単量体単位を形成するα−オレフィン単量体としては、炭素数が2〜12のものが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。
高飽和ニトリルゴム(a)にジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位を含有させる場合における、これらの含有割合は、高飽和ニトリルゴム(a)を構成する全単量体単位に対して、好ましくは20〜89.9重量%、より好ましくは30〜84.8重量%、さらに好ましくは40〜79.5重量%である。ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位の含有量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物を、耐熱性や耐化学的安定性を良好に保ちながら、ゴム弾性に優れたものとすることができる。
また、本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(a)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体、並びに、ジエン単量体および/またはα−オレフィン単量体とともに、これらと共重合可能なその他の単量体を共重合したものであってもよい。このようなその他の単量体としては、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体以外のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸単量体、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物単量体、芳香族ビニル単量体、フッ素含有ビニル単量体、共重合性老化防止剤などが例示される。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体以外のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル〔アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルの意。以下同様。〕単量体であってアルキル基の炭素数が1〜18のもの;アクリル酸メトキシメチル、メタクリル酸エトキシメチルなどの (メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体であってアルコキシアルキル基の炭素数が2〜18でアルコキシ基の炭素数が1〜12のもの;アクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸アミノメチルなどのアミノ基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体であってアルキル基の炭素数が1〜16のもの;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体であってアルキル基の炭素数が1〜16のもの;アクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ジフルオロメチルなどのフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体であってアルキル基の炭素数が1〜16のもの;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジn−ブチルなどのマレイン酸ジアルキルエステルであってアルキル基の炭素数が1〜18のもの;フマル酸ジメチル、フマル酸ジn−ブチルなどのフマル酸ジアルキルエステルであってアルキル基の炭素数が1〜18のもの;マレイン酸ジシクロペンチル、マレイン酸ジシクロヘキシルなどのマレイン酸ジシクロアルキルエステルであってシクロアルキル基の炭素数が4〜16のもの;フマル酸ジシクロペンチル、フマル酸ジシクロヘキシルなどのフマル酸ジシクロアルキルエステルであってシクロアルキル基の炭素数が4〜16のもの;イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジn−ブチルなどのイタコン酸ジアルキルエステルであってアルキル基の炭素数が1〜18のもの:イタコン酸ジシクロヘキシルなどのイタコン酸ジシクロアルキルエステルであってシクロアルキル基の炭素数が4〜16のもの;などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸単量体としては、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物単量体としては、無水マレイン酸などが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
フッ素含有ビニル単量体としては、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
共重合性老化防止剤としては、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、 N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが例示される。
これらの共重合可能なその他の単量体は、複数種類を併用してもよい。その他の単量体単位の含有量は、高飽和ニトリルゴム(a)を構成する全単量体単位に対して、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(a)中におけるカルボキシル基の含有量、すなわち、高飽和ニトリルゴム(a)100g当たりのカルボキシル基のモル数は、好ましくは5×10−4〜5×10−1ephr、より好ましくは1×10−3〜1×10−1ephr、さらに好ましくは5×10−3〜6×10−2ephrである。高飽和ニトリルゴム(a)のカルボキシル基含有量を上記範囲とすることにより、高飽和ニトリルゴム組成物のスコーチ安定性を良好なものとしながら、得られるゴム架橋物の機械特性および耐圧縮永久歪み性をより高めることができる。
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(a)は、そのヨウ素価が120以下であり、好ましくは80以下、より好ましくは25以下、さらに好ましくは15以下のものである。高飽和ニトリルゴム(a)のヨウ素価が高すぎると、ゴム架橋物の耐熱性および耐オゾン性が低下するおそれがある。
高飽和ニトリルゴム(a)のポリマー・ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは15〜200、より好ましくは20〜150、さらに好ましくは30〜120である。高飽和ニトリルゴム(a)のポリマー・ムーニー粘度が低すぎると、得られるゴム架橋物の機械特性が低下するおそれがあり、逆に、高すぎると架橋性ニトリルゴム組成物の加工性が低下する可能性がある。
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(a)の製造方法は、特に限定されず、たとえば、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体、ジエン単量体および/またはα−オレフィン単量体、および、必要に応じて加えられるこれらと共重合可能なその他の単量体を共重合する方法が便利で好ましい。重合法としては、公知の乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法および溶液重合法のいずれをも用いることができるが、重合反応の制御が容易であることから乳化重合法が好ましい。なお、共重合して得られた共重合体のヨウ素価が120より高い場合には、共重合体の水素化(水素添加反応)を行うとよい。この場合における、水素化の方法は特に限定されず、公知の方法を採用すればよい。
ポリアミン架橋剤(b)
本発明で用いるポリアミン架橋剤(b)は、2つ以上のアミノ基を有する化合物、または、架橋時に2つ以上のアミノ基を有する化合物の形態になるもの、であれば特に限定されないが、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の複数の水素原子が、アミノ基またはヒドラジド構造(−CONHNHで表される構造、COはカルボニル基を表す。)で置換された化合物が好ましい。架橋剤として、ポリアミン架橋剤(b)を用いることにより、得られるゴム架橋物の耐二酸化炭素性、耐圧縮永久歪み性、および耐冷凍機油性を向上させることができる。
ポリアミン架橋剤(b)の具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、N,N−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、テトラメチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミンシンナムアルデヒド付加物などの脂肪族多価アミン類;4,4−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルエーテル、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、4,4−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4−ジアミノベンズアニリド、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミンなどの芳香族多価アミン類;イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジド、ナフタレン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタミン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ブラッシル酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、アセトンジカルボン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、トリメリット酸ジヒドラジド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸ジヒドラジド、アコニット酸ジヒドラジド、ピロメリット酸ジヒドラジドなどの多価ヒドラジド類;が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより一層顕著なものとすることができるという点より、脂肪族多価アミン類および芳香族多価アミン類が好ましく、ヘキサメチレンジアミンカルバメートおよび2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンがより好ましく、ヘキサメチレンジアミンカルバメートが特に好ましい。なお、上記ポリアミン架橋剤(b)は、1種単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム組成物中における、ポリアミン架橋剤(b)の配合量は、高飽和ニトリルゴム(a)100重量部に対して、0.5〜20重量部であり、好ましくは0.7〜18重量部、より好ましくは1.0〜15重量部である。ポリアミン架橋剤(b)の配合量が少なすぎると、得られるゴム架橋物が、耐二酸化炭素性、耐圧縮永久歪み性および耐冷凍機油性に劣るものとなってしまい、逆に、多すぎると、耐疲労性が悪化するおそれがある。
充填剤(c)
充填剤(c)としては、一般にゴム加工用配合剤として用いられる充填剤であればよく、補強性の充填剤も非補強性の充填剤もいずれも使用することができ、特に限定されないが、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、酸化亜鉛等の金属酸化物、グラファイト、珪藻土、瀝青質微粉末、マイカ等が挙げられるが、カーボンブラック、シリカ、または炭酸カルシウムが好ましく、カーボンブラックが特に好ましい。
カーボンブラックとしては、たとえば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラックなどが挙げられる。
また、充填剤(c)としては、平均粒子径が0.01〜50μmのものが好ましく、0.02〜10μmのものがより好ましく、0.03〜5μmのものが特に好ましい。充填剤(c)として、平均粒子径が上記範囲にあるものを用いることにより、得られるゴム架橋物を、硬さを低く保ちながら、耐二酸化炭素性、耐圧縮永久歪み性および耐冷凍機油性により優れたものとすることができる。
充填剤(c)としてカーボンブラックを用いる場合は、平均粒子径が0.01〜5μmのものが好ましく、0.02〜2.5μmのものがより好ましく、0.03〜1μmのものが特に好ましい。また粒子の凝集体であるアグリゲートの大きさおよび表面性状に限定はない。
なお、充填剤(c)は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。充填剤(c)を配合することにより、得られるゴム架橋物の耐二酸化炭素性および耐冷凍機油性を向上させることができる。
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム組成物中における、充填剤(c)の配合量は、高飽和ニトリルゴム(a)100重量部に対して、10〜300重量部であり、好ましくは15〜200重量部、より好ましくは20〜150重量部である。充填剤(c)の配合量が少なすぎると、得られるゴム架橋物が、耐二酸化炭素ガス性および耐冷凍機油性に劣るものとなってしまい、一方、多すぎると、硬さが高くなり過ぎたり、加工性が悪化するおそれがある。
塩基性架橋促進剤(d)
また、本発明で用いる高飽和ニトリルゴム組成物は、上記した各成分に加えて、塩基性架橋促進剤(d)をさらに含有していることが好ましい。塩基性架橋促進剤(d)をさらに含有させることにより、本発明の効果がより一層顕著になる。
塩基性架橋促進剤(d)の具体例としては、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(以下「DBU」と略す場合がある)、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5(以下「DBN」と略す場合がある)、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1−メトキシエチルイミダゾール、1−フェニル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−メチル−2−フェニルイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,5−ジメチルイミダゾール、1,2,4−トリメチルイミダゾール、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾール、1−メチル−2−メトキシイミダゾール、1−メチル−2−エトキシイミダゾール、1−メチル−4−メトキシイミダゾール、1−メチル−2−メトキシイミダゾール、1−エトキシメチル−2−メチルイミダゾール、1−メチル−4−ニトロイミダゾール、1,2−ジメチル−5−ニトロイミダゾール、1,2−ジメチル−5−アミノイミダゾール、1−メチル−4−(2−アミノエチル)イミダゾール、1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイミダゾール、1−メチル−5−ニトロベンゾイミダゾール、1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−フェニルイミダゾリン、1−メチル−2−ベンジルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシイミダゾリン、1−メチル−2−ヘプチルイミダゾリン、1−メチル−2−ウンデシルイミダゾリン、1−メチル−2−ヘプタデシルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシメチルイミダゾリン、1−エトキシメチル−2−メチルイミダゾリンなどの環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤;テトラメチルグアニジン、テトラエチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−オルト−トリルグアニジン、オルトトリルビグアニドなどのグアニジン系塩基性架橋促進剤;n−ブチルアルデヒドアニリン、アセトアルデヒドアンモニアなどのアルデヒドアミン系塩基性架橋促進剤;ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘプチルアミンなどのジシクロアルキルアミン;N−メチルシクロペンチルアミン、N−ブチルシクロペンチルアミン、N−ヘプチルシクロペンチルアミン、N−オクチルシクロペンチルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−ブチルシクロヘキシルアミン、N−ヘプチルシクロヘキシルアミン、N−オクチルシクロオクチルアミン、N−ヒドロキシメチルシクロペンチルアミン、N−ヒドロキシブチルシクロヘキシルアミン、N−メトキシエチルシクロペンチルアミン、N−エトキシブチルシクロヘキシルアミン、N−メトキシカルボニルブチルシクロペンチルアミン、N−メトキシカルボニルヘプチルシクロヘキシルアミン、N−アミノプロピルシクロペンチルアミン、N−アミノヘプチルシクロヘキシルアミン、ジ(2−クロロシクロペンチル)アミン、ジ(3−クロロシクロペンチル)アミンなどの二級アミン系塩基性架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、グアニジン系塩基性架橋促進剤、二級アミン系塩基性架橋促進剤および環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤が好ましく、環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤がより好ましく、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7および1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5がさらに好ましく、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7が特に好ましい。なお、上記環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤は、有機カルボン酸やアルキルリン酸などと塩を形成していてもよい。また、上記二級アミン系塩基性架橋促進剤は、アルキレングリコールや炭素数5〜20のアルキルアルコールなどのアルコール類が混合されたものであってもよく、さらに無機酸および/または有機酸を含んでいてもよい。そして、当該二級アミン系塩基性架橋促進剤と前記無機酸および/または有機酸とが塩を形成しさらに前記アルキレングリコールと複合体を形成していてもよい。
塩基性架橋促進剤(d)を配合する場合における、高飽和ニトリルゴム組成物中の配合量は、高飽和ニトリルゴム(a)100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、より好ましくは0.2〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。塩基性架橋促進剤(d)の配合量を上記範囲とすることにより、高飽和ニトリルゴム組成物の架橋性をより良好なものとすることができ、本発明の効果をより一層高めることができる。
また、本発明で用いる高飽和ニトリルゴム組成物は、上記した各成分以外に、ゴム加工分野において通常使用される配合剤、例えば、塩基性架橋促進剤(d)以外の架橋促進剤、架橋助剤、架橋遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、シランカップリング剤、一級アミンなどのスコーチ防止剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着付与剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、受酸剤、帯電防止剤、顔料等を配合することができる。これらの配合剤の配合量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に限定されず、目的に応じた量を適宜配合することができる。
さらに、本発明で用いる高飽和ニトリルゴム組成物には、本発明の効果が阻害されない範囲で上記高飽和ニトリルゴム(a)以外のゴムを配合してもよい。
このようなゴムとしては、アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴムなどが挙げられる。
高飽和ニトリルゴム(a)以外のゴムを配合する場合における、高飽和ニトリルゴム組成物中の配合量は、高飽和ニトリルゴム(a)100重量部に対して、好ましくは30重量部以下であり、より好ましくは20重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下である。
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム組成物は、上記各成分を好ましくは非水系で混合して調製される。高飽和ニトリルゴム組成物を調製する方法に限定はないが、通常、ポリアミン架橋剤(b)および熱に不安定な架橋促進剤などを除いた成分を、バンバリーミキサ、インターミキサ、ニーダなどの混合機で一次混練した後、オープンロールなどに移してポリアミン架橋剤(b)や熱に不安定な架橋促進剤などを加えて二次混練することにより調製できるし、また全ての成分をオープンロールで混練することによっても調整できる。
二酸化炭素シール用ゴム架橋物
本発明の二酸化炭素シール用ゴム架橋物(以下、適宜、「ゴム架橋物」と略記する。)は、上述した高飽和ニトリルゴム組成物を架橋して得られる二酸化炭素シール用のゴム架橋物である。
本発明のゴム架橋物は、150℃における貯蔵弾性率E’が5MPa以上であり、好ましくは6MPa以上、より好ましくは7MPa以上である。なお、150℃における貯蔵弾性率E’の上限は、特に限定されないが、通常、100MPa以下である。本発明においては、上述した高飽和ニトリルゴム組成物を用いるとともに、150℃における貯蔵弾性率E’を5MPa以上とすることにより、耐二酸化炭素ガス性および耐冷凍機油性の向上が可能となる。なお、150℃における貯蔵弾性率E’は、ゴム架橋物の内部に蓄えられた応力を保持する弾性成分を示す指標であり、たとえば、動的粘弾性測定装置を用いて、高飽和ニトリルゴム組成物をシート状に成形したゴム架橋物を150℃の雰囲気下で引張モードにて測定することができる。貯蔵弾性率E’が5MPa以下であると、耐二酸化炭素性および耐冷凍機油性に劣るものとなってしまう。
本発明のゴム架橋物は、上述した高飽和ニトリルゴム組成物を用い、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
なお、本発明において、ゴム架橋物の150℃における貯蔵弾性率E’を5MPa以上とする方法としては、特に限定されないが、用いる高飽和ニトリルゴム組成物に含有させるポリアミン架橋剤(b)の種類や配合量、充填剤(c)の種類や配合量、充填剤(c)の平均粒子径、高飽和ニトリルゴム組成物に含有させる可塑剤の種類や配合量、さらには、上述した高飽和ニトリルゴム組成物を架橋する際の架橋条件(架橋時間、架橋温度等)などを調整することにより、制御することができる。
たとえば、高飽和ニトリルゴム組成物に含有させる充填剤(c)として、平均粒子径が0.01〜5μmのカーボンブラックを用いる場合には、高飽和ニトリルゴム組成物中における充填剤(c)の配合量は、用いる可塑剤の種類や配合量、架橋条件などにもよるが、ゴム架橋物の150℃における貯蔵弾性率E’を5MPa以上とするという観点より、高飽和ニトリルゴム(a)100重量部に対して、好ましくは15〜200重量部、より好ましくは20〜150重量部の範囲で適宜調整することが好ましい。
また、ゴム架橋物の150℃における貯蔵弾性率E’を5MPa以上とするという観点からは、高飽和ニトリルゴム組成物中における可塑剤の配合量は、高飽和ニトリルゴム(a)100重量部に対して、25重量部以下とすることが好ましく、20重量部以下とすることがより好ましく、可塑剤を実質的に含有しないものであることがさらに好ましい。
さらに、上述した高飽和ニトリルゴム組成物を架橋する際の架橋条件としては、用いる充填剤(c)の種類や、平均粒子径および配合量、用いる可塑剤の種類や配合量などにもよるが、ゴム架橋物の150℃における貯蔵弾性率E’を5MPa以上とするという観点より、架橋温度は、好ましくは110〜200℃、より好ましくは120〜190℃であり、架橋時間は、好ましくは1分〜24時間、より好ましくは1.5分〜1時間である。また、ゴム架橋物の形状、大きさなどにより、さらに二次架橋が必要な場合には、二次架橋の架橋温度は、好ましくは110〜200℃、より好ましくは120〜190℃であり、二次架橋の架橋時間は、好ましくは10分〜24時間、より好ましくは30分〜8時間である。
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、機械的強度、耐二酸化炭素性、耐圧縮永久歪み性、および耐冷凍機油性に優れるものであり、二酸化炭素のシール材用途、より具体的には、エアコンディショナの冷却装置や空調装置の冷凍機用コンプレッサに使用される二酸化炭素の密封用シール用途として、特に適したものである。
特に、本発明のゴム架橋物は、耐二酸化炭素ガス性および耐冷凍機油性に優れていることに加え、機械的強度および耐圧縮永久歪み性に優れることから、冷凍機用シール材用途など高い圧力を保持し、また、加圧、降圧を繰り返す用途に用いた場合にも、優れたシール性を発揮することができるものである。加えて、本発明のゴム架橋物は、デュロメータ硬さ(タイプA)が、好ましくは90以下、より好ましくは85以下と低く抑えられたものであり、これにより、シール材として用いる際における組み付け性にも優れたものである。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限られるものではない。以下において、特記しない限り、「部」は重量基準である。物性および特性の試験または評価方法は以下のとおりである。
ヨウ素価
高飽和ニトリルゴムのヨウ素価は、JIS K6235に準じて測定した。
カルボキシル基含有量
2mm角の高飽和ニトリルゴム0.2gに、2−ブタノン100mLを加えて16時間攪拌した後、エタノール20mLおよび水10mLを加え、攪拌しながら水酸化カリウムの0.02N含水エタノール溶液を用いて、室温でチモールフタレインを指示薬とする滴定により、高飽和ニトリルゴム100gに対するカルボキシル基のモル数として求めた(単位はephr)。
高飽和ニトリルゴムを構成する各単量体単位の含有割合
マレイン酸モノn−ブチル単位の含有割合は、2mm角の高飽和ニトリルゴム0.2gに、2−ブタノン100mLを加えて16時間攪拌した後、エタノール20mLおよび水10mLを加え、攪拌しながら水酸化カリウムの0.02N含水エタノール溶液を用いて、室温でチモールフタレインを指示薬とする滴定により、高飽和ニトリルゴム100gに対するカルボキシル基のモル数を求め、求めたモル数をマレイン酸モノn−ブチル単位の量に換算することにより算出した。
1,3−ブタジエン単位および飽和化ブタジエン単位の含有割合は、高飽和ニトリルゴムを用いて、水素添加反応前と水素添加反応後のヨウ素価(JIS K6235による)を測定することにより算出した。
アクリロニトリル単位の含有割合は、JIS K6384に従い、ケルダール法により、高飽和ニトリルゴム中の窒素含量を測定することにより算出した。
ムーニー粘度(ポリマー・ムーニー)
高飽和ニトリルゴムのムーニー粘度(ポリマー・ムーニー)は、JIS K6300−1に従って測定した(単位は〔ML1+4、100℃〕)。
貯蔵弾性率E’
シート状のゴム架橋物を幅10mm、長さ50mmに列理方向に打ち抜いて動的粘弾性試験用のゴム架橋物を得た。そして、得られた動的粘弾性試験用のゴム架橋物について、動的粘弾性測定装置(商品名「Explexor 500N」、GABO QUALIMETER Testanlagen GmbH社製)を用いて、測定周波数:10Hz、静的歪:1.0%、動的歪:0.2%、温度:150℃、チャック間距離:30mm、測定モード:引張モード、の条件で貯蔵弾性率E’を測定した。
常態物性(引張強さ、伸び、100%引張応力、硬さ)
シート状のゴム架橋物を列理方向に3号形ダンベルで打ち抜いて試験片を作製した。そして、得られた試験片を用いて、JIS K6251に従い、引張強さ、伸び、100%引張応力を測定した。また、JIS K6253に準じ、デュロメータ硬さ試験機(タイプA)を用いて、加圧版を試験片に接触させた直後の硬さを測定した。
耐二酸化炭素ガス性
シート状のゴム架橋物を、縦2cm、横3cmの形状に打ち抜くことで、試験片を作製した。耐圧容器中にこの試験片と液化二酸化炭素を入れ、6.9MPaに加圧し、この状態(試験片が液化二酸化炭素に浸漬し、6.9MPaに加圧した状態)で23℃にて24時間静置した。24時間静置した後、耐圧容器から液化二酸化炭素を大気中に放出し、すばやく試験片を取り出し、予め150℃ に調整しておいた加温装置に入れ、試験片を1時間加熱した。その間、試験片を膨潤させていた液化二酸化炭素が急速に気化することにより加硫ゴム表面に発生するクラックを観察することで、耐二酸化炭素性を評価した。本実施例においては、試験片の表と裏を観察し、クラックが多い面のクラック発生数をカウントし、以下の基準にて評価した。クラック発生数が少ないほど、耐二酸化炭素性に優れるものと判断することができる。
1:クラック発生数が2個以下
2:クラック発生数が3〜10個
3:クラック発生数が11〜19個
4:クラック発生数が20個以上
圧縮永久歪み試験(O−リング圧縮永久歪み)
O−リング状のゴム架橋物を用いて、O−リング状のゴム架橋物を挟んだ二つの平面間の距離をリング厚み方向に25%圧縮した状態で150℃にて70時間保持する条件で、JIS K6262に従って、圧縮永久歪み(O−リング圧縮永久歪み)を測定した。この値が小さいほど、耐圧縮永久歪み性に優れる。
耐冷凍機油性
シート状のゴム架橋物を用いて、JIS K6258に従い、該ゴム架橋物を温度150℃、70時間の条件で冷凍機油(PAG油、商品名「SUNICE P−56」日本サン石油社製)に浸漬した。そして浸漬前後のゴム架橋物の体積を測定し、浸漬後の体積変化率△V(単位:%)を「体積変化率△V=([浸漬後の体積−浸漬前の体積]/浸漬前の体積)×100」にしたがって算出することで、耐冷凍機油の評価を行った。体積変化率△Vの値の絶対値が0に近いほど、冷凍機油による寸法変化が小さく、耐冷凍機油性に優れると判断できる。
合成例1(高飽和ニトリルゴム(a−1)の合成)
反応器に、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、アクリロニトリル37部、マレイン酸モノn−ブチル6部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.5部を、この順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン57部を仕込んだ。反応器を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、攪拌しながら16時間重合反応を継続した。次いで、濃度10重量%のハイドロキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止した後、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去し、マレイン酸モノn―ブチル単位を含有するニトリルゴムのラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスに、ラテックスに含有されるゴムの乾燥重量に対して、パラジウム量が1,000重量ppmになるように、オートクレーブ中に、ラテックスおよびパラジウム触媒(1重量%酢酸パラジウムアセトン溶液と等重量のイオン交換水を混合した溶液)を添加して、水素圧3.0MPa、温度50℃で6時間水素添加反応を行い、高飽和ニトリルゴム(a−1)のラテックスを得た。
そして、得られたラテックスに2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、濾過して固形物(クラム)を取り出し、これを60℃で12時間真空乾燥することにより、高飽和ニトリルゴム(a−1)を得た。得られた高飽和ニトリルゴム(a−1)の組成は、アクリロニトリル単位35.6重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)59.0重量%、マレイン酸モノn−ブチル単位5.4重量%であり、ヨウ素価は8、カルボキシル基含有量は3.1×10−2ephr、ポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は53であった。
合成例2(高飽和ニトリルゴム(a’−2)の合成)
反応器内でイオン交換水200部に、炭酸ナトリウム0.2部を溶解し、それに脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、この石鹸水溶液に、アクリロニトリル37部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.47部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン63部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、およびキレート剤適量を仕込み、温度を5℃に保ちながら16時間重合反応を行なった。次いで、濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.1部を加えて重合反応を停止し、水温60℃のロータリーエバポレ−タを用いて残留単量体を除去して、ニトリルゴムのラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスを、ラテックスに含有されるゴムの乾燥重量に対して、3重量%となる量の硫酸アルミニウムの水溶液に加えて攪拌してラテックスを凝固し、水で洗浄しつつ濾別した後、60℃で12時間真空乾燥してニトリルゴムを得た。そして、得られたニトリルゴムを、濃度12%となるようにアセトンに溶解し、これをオートクレーブに入れ、パラジウム・シリカ触媒をニトリルゴムに対して5000重量ppm加え、水素圧3.0MPaで水素添加反応を行なった。水素添加反応終了後、大量の水中に注いで凝固させ、濾別および乾燥を行なって高飽和ニトリルゴム(a’−2)を得た。得られた高飽和ニトリルゴム(a’−2)の組成は、アクリロニトリル単位36.2重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)63.8重量%であり、ヨウ素価は7、ポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は65であった。また、高飽和ニトリルゴム(a’−2)について、上記方法にしたがって、カルボキシル基含有量を測定したところ、検出限界以下であり、カルボキシル基を実質的に含有しないものであった。
実施例1
合成例1で得られた高飽和ニトリルゴム(a−1)100部、N990カーボンブラック(商品名「Thermax MT」、Cancarb社製、充填剤(c)としてのカーボンブラック、平均粒子径0.28μm)100部、4,4’−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名「ノクラックCD」、大内振興化学社製、老化防止剤)1.5部、ヘキサメチレンジアミンカルバメート(商品名「Diak#1」、デュポン社製、脂肪族多価アミン類に属するポリアミン架橋剤(b))2.4部、および1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン−7(DBU)(商品名「RHENOGRAN XLA−60(GE2014)」、RheinChemie社製、DBU60%(ジンクジアルキルジフォスフェイト塩になっている部分も含む)、塩基性架橋促進剤(d))4部を配合して、オープンロールにて50℃で混練することにより、高飽和ニトリルゴム組成物を得た。
次いで、得られた高飽和ニトリルゴム組成物のうち一部を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型を用いて、プレス圧10MPaで加圧しながら170℃で20分間プレス架橋してシート状の一次架橋物を得て、次いで、得られた一次架橋物をギヤー式オーブンに移して170℃で4時間二次架橋させることで、シート状のゴム架橋物を得た。また、これとは別に、得られた高飽和ニトリルゴム組成物のうち一部を、外径30mm、リング径3mmの金型を用いて、プレス圧5MPaで加圧しながら170℃で20分間プレス架橋してO−リング状の一次架橋物を得て、次いで、得られた一次架橋物をギヤー式オーブンに移して170℃で4時間二次架橋させることで、O−リング状のゴム架橋物を得た。
そして、得られたシート状のゴム架橋物、およびO−リング状のゴム架橋物を用いて、上述した方法に従って、貯蔵弾性率、常態物性、耐二酸化炭素ガス性、圧縮永久歪み、耐冷凍機油性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
N990カーボンブラックの配合量を100部から120部に変更した以外は実施例1と同様にして、高飽和ニトリルゴム組成物、シート状のゴム架橋物、およびO−リング状のゴム架橋物を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
高飽和ニトリルゴム(a−1)100部の代わりに、合成例2で得られた高飽和ニトリルゴム(a’−1)100部を使用するとともに、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、および1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン−7(DBU)を配合せず、2−メルカプトベンゾイミダゾール亜鉛塩(商品名「ノクラックMBZ」、大内振興化学社製、老化防止剤)1.5部、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン40%品(商品名「Vul Cup 40KE」、アルケマ社製、有機過酸化物架橋剤)8部、トリアリルイソシアヌネート(商品名「TAIC」、日本化成社製、共架橋剤)4部を配合した以外は、実施例1と同様にして、高飽和ニトリルゴム組成物、シート状のゴム架橋物、およびO−リング状のゴム架橋物を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
ヘキサメチレンジアミンカルバメート、および1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン−7(DBU)を配合せず、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン40%品(商品名「Vul Cup 40KE」、アルケマ社製、有機過酸化物架橋剤)8部、トリアリルイソシアヌネート(商品名「TAIC」、日本化成社製、共架橋剤)4部を配合した以外は、実施例1と同様にして、高飽和ニトリルゴム組成物、シート状のゴム架橋物、およびO−リング状のゴム架橋物を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
ヘキサメチレンジアミンカルバメートの配合量を2.4部から0.4部に変更した以外は、実施例1と同様にして、高飽和ニトリルゴム組成物、シート状のゴム架橋物、およびO−リング状のゴム架橋物を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例4
N990カーボンブラックの配合量を100部から5部に変更した以外は実施例1と同様にして、高飽和ニトリルゴム組成物、シート状のゴム架橋物、およびO−リング状のゴム架橋物を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例5
N990カーボンブラックの配合量を100部から40部に変更するとともに、アジピン酸エーテルエステエル系可塑剤(商品名「アデカサイザーRS−107」、ADEKA社製、可塑剤)30部をさらに配合したこと以外は、実施例1と同様にして、高飽和ニトリルゴム組成物、シート状のゴム架橋物、およびO−リング状のゴム架橋物を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2015194539
表1より、本発明所定の高飽和ニトリルゴム組成物を架橋することにより得られ、かつ、150℃における貯蔵弾性率E’が5MPa以上であるゴム架橋物は、引張強さ、耐二酸化炭素性、耐圧縮永久歪み性、および耐冷凍機油性に優れ、また硬さが高すぎることもなく優れるものであると同時に、伸び、および、100%引張応力も実用上十分なものであった(実施例1,2)。
一方、高飽和ニトリルゴムとして、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を含有しない高飽和ニトリルゴム(a’−1)を使用し、かつ、架橋剤として、有機過酸化物架橋剤を使用した場合は、得られるゴム架橋物は、耐二酸化炭素性、耐圧縮永久歪み性、および耐冷凍機油性に劣る結果となった(比較例1)。
また、ポリアミン架橋剤(b)の代わりに、有機過酸化物架橋剤を使用した場合や、ポリアミン架橋剤(b)の配合量が少なすぎる場合には、得られるゴム架橋物は、耐二酸化炭素性、耐圧縮永久歪み性、および耐冷凍機油性に劣る結果となった(比較例2,3)。
さらに、充填剤(c)の配合量が少なすぎるとともに、ゴム架橋物とした場合の150℃における貯蔵弾性率E’が5MPa未満である場合には、得られるゴム架橋物は、引張強さ、耐二酸化炭素性、および耐冷凍機油性に劣る結果となった(比較例4)。
また、本発明所定の高飽和ニトリルゴム組成物を用いた場合でも、ゴム架橋物とした場合の150℃における貯蔵弾性率E’が5MPa未満である場合には、得られるゴム架橋物は、引張強さ、耐二酸化炭素性、耐冷凍機油性に劣る結果となった(比較例5)。

Claims (6)

  1. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(a)と、ポリアミン架橋剤(b)と、充填剤(c)とを含有する高飽和ニトリルゴム組成物を架橋してなる、二酸化炭素シール用のゴム架橋物であって、
    前記高飽和ニトリルゴム組成物中における、前記高飽和ニトリルゴム(a)100重量部に対する、前記ポリアミン架橋剤(b)の含有量が0.5〜20重量部であり、前記充填剤(c)の含有量が10〜300重量部であり、
    150℃における貯蔵弾性率E’が5MPa以上である二酸化炭素シール用ゴム架橋物。
  2. 前記高飽和ニトリルゴム(a)が、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位をさらに含有し、
    前記高飽和ニトリルゴム(a)中における、前記α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合が10〜60重量%、前記α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位の含有割合が0.1〜20重量%、前記ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位の含有割合が20〜89.9重量%である請求項1に記載の二酸化炭素シール用ゴム架橋物。
  3. 前記充填剤(c)が、カーボンブラックである請求項1または2に記載の二酸化炭素シール用ゴム架橋物。
  4. 前記カーボンブラックの平均粒子径が0.01〜5μmである請求項3に記載の二酸化炭素シール用ゴム架橋物。
  5. 前記高飽和ニトリルゴム組成物が塩基性架橋促進剤(d)をさらに含有する請求項1〜4のいずれかに記載の二酸化炭素シール用ゴム架橋物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のゴム架橋物からなる二酸化炭素シール材。
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