JPWO2015151491A1 - エーテル化合物を用いるイソチアゾール化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】N,N−ジメチルホルムアミド等と塩素を同時に使用することを避けた、イソチアゾール化合物の工業的に好ましい製造方法を提供する。【解決手段】一般式(7)(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれアルキル基等を示す。)で表されるエーテル化合物の存在下、一般式(1)(式中、Rはシアノ基等を示す。)で表されるニトリル化合物及び硫黄へ、一般式(2)(式中、Xは塩素原子等を示す。)で表されるハロゲンを70℃以上で導入して、ニトリル化合物、硫黄及びハロゲンの反応を行うことを特徴とする、一般式(3)(式中、R及びXは前記で定義した通りである。)で表されるイソチアゾール化合物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、イソチアゾール化合物の製造方法に関する。イソチアゾール化合物は、そのイソチアゾールという構造の故に、例えば、種々の有機化合物(例えば、医薬及び農薬等の生理活性な有機化合物、及び、機能性色素、電子材料等)の合成中間体として有用である。
上記のように、イソチアゾール化合物は、医薬中間体及び農薬中間体、機能性色素、電子材料等の中間体として広く知られている。それ故、非特許文献1及び2に開示されているように、これまでイソチアゾール化合物の製造方法について種々検討がなされてきている。
イソチアゾール化合物の中でも、官能基の変換が容易に可能な3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールは、医薬中間体及び農薬中間体として知られている。又、特許文献4及び5に開示されるように、この化合物は実際に農薬の重要中間体として使用されている。
しかしながら、非特許文献1及び2に記載の製造方法では、農薬の重要中間体として有用な3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールを製造することが難しかったのである。
即ち、従来、3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールを製造する方法として、二硫化炭素(CS)、シアン化ナトリウム(NaCN)及び塩素(Cl)を用いる方法が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、使用する原料に特殊引火物である二硫化炭素を用いるという欠点を有する。しかも、この方法は、毒物であるシアン化ナトリウムを用いるという欠点をも有する。更に、この方法では、加熱しながら、溶媒としてのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を含む反応器へ塩素を導入するのである。しかしながら、N,N−ジメチルホルムアミドと塩素を同時に使用すると、反応の暴走や爆発の可能性があることは当業者にはよく知られている。これらの理由のため、この方法の実施は、安全を保つための細心の注意と十分な対策を必要とすると考えられる。加えて、上記の通り、場合によっては反応の暴走及び爆発が起こる可能性があるため、この方法は生産プラントの安全性を保障できない可能性がある。つまり、安全性の欠如の懸念があるため、N,N−ジメチルホルムアミドと塩素を同時に使用するこの方法は、工業生産に好ましくないのである。
3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールを製造する他の方法として、トリクロロアセトニトリルと硫黄を用いる方法が知られている(特許文献2参照)。しかしながら、この方法には、実施例に記載されているように、200〜300℃の高温での反応を必要とするという欠点がある。又、この方法には、トリクロロアセトニトリルのような特殊な原料を使用する必要があるという欠点がある。
更に、ジクロロフマロニトリルと硫黄を用いる方法が知られている(特許文献3参照)。しかしながら、この方法にも実施例において230〜300℃の高温での反応を必要とするという欠点がある。又、この方法にも、ジクロロフマロニトリルのような特殊な原料を使用する必要があるという欠点がある。
更に他の製造方法として、フマロニトリル、マレオニトリル若しくはこれらの塩素置換体、又はこれらの混合物を非プロトン性極性溶媒中で塩化硫黄と反応させることによる方法が知られている(特許文献6参照)。この方法で使用するフマロニトリル、マレオニトリル及びこれらの塩素置換体又はこれらの混合物は、スクシノニトリルから製造できる(特許文献6の実施例7及び8を参照)のである。しかしながら、スクシノニトリルから2工程を要するという点で、特許文献6に記載の製造方法は更に改善されることが望まれる。
加えて、フマロニトリル、マレオニトリル若しくはこれらの塩素置換体は、工業的に有意な昇華性を有すると考えられる。昇華性を有する化合物は一般に、その昇華により還流冷却器又はプラントのパイプラインの閉塞を起こす可能性がある。このため、特許文献6に記載の方法は、工業的な実施の操作において、注意と対策を必要とする可能性を有するという難点がある。
その上、この方法はN,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒を必須とする。そして水を用いて後処理を行うため、非プロトン性極性溶媒の再利用には困難が伴う。従って、使用された非プロトン性極性溶媒は廃棄物の一部となる可能性が高いという難点がある。加えて、この方法では、N,N−ジメチルホルムアミドと塩素化合物である塩化硫黄を同時に使用する例がある。従って、いかなる状況にも備えるために、この方法は注意と対策を必要とする可能性がある。従って、この方法には、未だ改善の余地がある。
一方、3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの製造方法として、スクシノニトリル、硫黄及び塩素を用いる方法が知られている(特許文献7を参照)。しかしながら、この方法も溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを必要としている。つまり、N,N−ジメチルホルムアミドと塩素を同時に使用することになるため、反応の暴走及び爆発の可能性がある。この理由のため、この方法の実施も、安全を保つための細心の注意と十分な対策を必要とすると考えられる。加えて、上記の通り、場合によっては、反応の暴走及び爆発が起こる可能性があるため、この方法は生産プラントの安全性を保障できない可能性がある。つまり、安全性の欠如の懸念があるため、N,N−ジメチルホルムアミドと塩素を同時に使用するこの方法は、工業生産に好ましくないのである。
その上、特許文献7に記載の方法では、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒を必須とする。そして水を用いて後処理を行うため、非プロトン性極性溶媒の再利用には困難が伴う。従って、使用された非プロトン性極性溶媒は廃棄物の一部となる可能性が高いという難点がある。つまり、この方法には、未だ改善の余地がある。
米国特許3341547号明細書 DE2231097(DT2231097)号公報 DE2231098(DT2231098)号公報 特開平5−59024号公報 特許第4088036号 国際公開第2010/126170号公報 特開2010−260805号公報
Tetrahedron Lett., No.42, 1970, pp.3719−3722 Chem.Commun., 2002, pp.1872−1873
本発明の目的は、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒と塩素を同時に使用することを避けることにより、イソチアゾール化合物、とりわけ3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールのより安全な工業的製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、廃棄物の一部となる可能性が高いN,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒を用いないために、経済的に好ましい、イソチアゾール化合物、とりわけ3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの製造方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、注意と対策を必要とする可能性がある原料及び特殊な原料を実質的に使用しないイソチアゾール化合物、とりわけ3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの製造方法を提供することにある。注意と対策を必要とする可能性がある原料の例は、青酸ガス及びシアン化物イオンの源である極めて毒性が高い無機シアン化物である。又、注意と対策を必要とする可能性がある原料の他の例は、特殊引火物である。又、注意と対策を必要とする可能性がある原料の更に他の例は、工業的に有意な昇華性を有する有機化合物である。
本発明の更に他の目的は、簡便な操作により工業化に適したイソチアゾール化合物、とりわけ3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの製造方法を提供することにある。
例えば、前記特許文献6に記載の製造方法は、3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールを製造するために、スクシノニトリルから2工程を必要とするが、スクシノニトリルから1工程のみで、例えば3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールを簡便に製造できる方法を提供することが本発明の目的の一つである。
要するに、本発明の目的は、イソチアゾール化合物、とりわけ3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの工業的に好ましい製造方法を提供することにある。
上記のような状況に鑑み、本発明者は、後記一般式(3)で表されるイソチアゾール化合物を製造する方法について鋭意研究した。その結果、本発明者は、意外にも、後記一般式(7)で表されるエーテル化合物の存在下、後記一般式(1)で表されるニトリル化合物及び硫黄へ、後記一般式(2)で表されるハロゲンを70℃以上で導入して、ニトリル化合物、硫黄及びハロゲンの反応を行うことにより、後記一般式(3)で表されるイソチアゾール化合物を製造できることを見出した。とりわけ、本発明者は、意外にも、後記一般式(7)で表されるエーテル化合物の存在下、後記式(4)で表されるスクシノニトリル及び硫黄へ、後記式(5)で表される塩素を70℃以上で導入して、スクシノニトリル、硫黄及び塩素の反応を行うことにより、後記式(6)で表される3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールを製造できることを見出した。これらの知見に基づき、本発明者は本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の通りである。
〔1〕一般式(7):


(式中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれアルキル基又はシクロアルキル基を示す。)
で表されるエーテル化合物の存在下、一般式(1):


(式中、Rはシアノ基、カルボキシ基又はアルコキシカルボニル基を示す。)
で表されるニトリル化合物及び硫黄へ、一般式(2):


(式中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)
で表されるハロゲンを70℃以上で導入して、ニトリル化合物、硫黄及びハロゲンの反応を行うことを特徴とする、一般式(3):


(式中、R及びXは前記で定義した通りである。)
で表されるイソチアゾール化合物の製造方法。
〔2〕エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、90℃以上で行われる、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、70〜180℃の範囲の温度で行われる、〔1〕に記載の製造方法。
〔4〕エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、90〜150℃の範囲の温度で行われる、〔1〕に記載の製造方法。
〔5〕エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、15時間以上で行われる、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔6〕エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、15〜75時間の範囲の時間で行われる、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔7〕エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、15〜50時間の範囲の時間で行われる、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔8〕エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、15〜30時間の範囲の時間で行われる、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔9〕エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、10時間以上で行われる、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔10〕エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、10〜75時間の範囲の時間で行われる、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔11〕エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、10〜50時間の範囲の時間で行われる、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔12〕エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、10〜30時間の範囲の時間で行われる、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔13〕エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、0.1秒〜100時間の範囲の時間で行われる、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔14〕エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、1秒〜100時間の範囲の時間で行われる、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔15〕エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、1秒〜50時間の範囲の時間で行われる、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔16〕ニトリル化合物、硫黄及びハロゲンの反応が、ニトリル化合物、硫黄及びエーテル化合物を仕込んだ後、そこへハロゲンを導入することにより行われる、〔1〕〜〔15〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔17〕Rがシアノ基であり、Xが塩素原子である、〔1〕〜〔16〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔18〕R及びRが、同一又は異なって、それぞれC1〜C8アルキル基又はC3〜C8シクロアルキル基である、〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔19〕R及びRが、同一又は異なって、それぞれC1〜C8アルキル基である、〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔20〕R及びRが、同一又は異なって、それぞれC2〜C8アルキル基である、〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔21〕R及びRが、同一又は異なって、それぞれC4〜C8アルキル基である、〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔22〕R及びRが、同一又は異なって、それぞれC4アルキル基である、〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔23〕R及びRがブチル基である、〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔24〕エーテル化合物の使用量が、ニトリル化合物1モルに対して0.01モル以上10モル以下である、〔1〕〜〔23〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔25〕エーテル化合物の使用量が、ニトリル化合物1モルに対して0.05モル以上2モル以下である、〔1〕〜〔23〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔26〕エーテル化合物の使用量が、ニトリル化合物1モルに対して0.3モル以上1モル以下である、〔1〕〜〔23〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔27〕硫黄の使用量が、ニトリル化合物1モルに対して硫黄原子として1モル以上10モル以下である、〔1〕〜〔26〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔28〕硫黄の使用量が、ニトリル化合物1モルに対して硫黄原子として2モル以上10モル以下である、〔1〕〜〔26〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔29〕硫黄の使用量が、ニトリル化合物1モルに対して硫黄原子として2モル以上4モル以下である、〔1〕〜〔26〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔30〕ハロゲンの使用量が、ニトリル化合物1モルに対して4モル以上15モル以下である、〔1〕〜〔29〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔31〕ハロゲンの使用量が、ニトリル化合物1モルに対して7モル以上15モル以下である、〔1〕〜〔29〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔32〕ハロゲンの使用量が、ニトリル化合物1モルに対して7モル以上10モル以下である、〔1〕〜〔29〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔33〕ニトリル化合物、硫黄及びハロゲンの反応が、非プロトン性極性溶媒を用いることなく行われる、〔1〕〜〔32〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔34〕ニトリル化合物、硫黄及びハロゲンの反応が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン又はそれらの混合物のいずれも用いることなく行われる、〔1〕〜〔32〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔35〕ニトリル化合物、硫黄及びハロゲンの反応が、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン又はそれらの混合物のいずれも用いることなく行われる、〔1〕〜〔32〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔36〕ニトリル化合物、硫黄及びハロゲンの反応が、N,N−ジメチルホルムアミドを用いることなく行われる、〔1〕〜〔32〕のいずれか1項に記載の製造方法。
本発明により、イソチアゾール化合物、とりわけ3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの新規な工業的製造方法が提供される。
本発明によれば、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒と塩素を同時に使用することを避けることにより、イソチアゾール化合物、とりわけ3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールのより安全な製造方法が提供される。即ち、本発明によれば、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒を溶媒として使用しないことにより、安全を保つための特別な注意も特別な対策も必要としない製造方法が提供される。
N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒の使用を避けることは、先行技術に比較して、本発明方法の有意に改善された安全性、即ち本発明方法の優位性を意味する。言い換えれば、それは工業的な生産中の危険な分解などのリスクを本質的に減らす。従って、本発明方法は、パイロットプラント又は工業的な生産のような大きなスケールでの製造に安全に適用することができる。
加えて、本発明方法によれば、反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒を用いることなく、目的のイソチアゾール化合物、とりわけ3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールを製造することができる。従って、本発明方法は、先行技術に比較して、経済的に好ましい。特に、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒は、水を用いた後処理により再利用に困難が伴う。従って、非プロトン性極性溶媒は廃棄物の一部となる可能性が高い。しかしながら、本発明方法では、非プロトン性極性溶媒を用いることなく、目的化合物を製造できる。従って、本発明方法は、廃棄物を低減できる。つまり、本発明方法は、環境負荷を低減することができるのである。
更に、本発明方法によれば、注意と対策を必要とする可能性がある原料及び特殊な原料を実質的に使用しないで、イソチアゾール化合物、とりわけ3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールを製造できる。注意と対策を必要とする可能性がある原料の例は、青酸ガス及びシアン化物イオンの源である極めて毒性が高い無機シアン化物である。又、注意と対策を必要とする可能性がある原料の他の例は、特殊引火物である。又、注意と対策を必要とする可能性がある原料の更に他の例は、工業的に有意な昇華性を有する有機化合物である。
その上、本発明方法によれば、ニトリル化合物、硫黄及びハロゲンを同時に反応させることにより、出発原料のニトリル化合物からわずか1工程だけで、簡便な操作により、目的のイソチアゾール化合物を製造できる。特に、本発明方法によれば、スクシノニトリル、硫黄及び塩素を同時に反応させることにより、出発原料のスクシノニトリルからわずか1工程だけで、簡便な操作により、目的の3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールを製造できる。
本発明方法における原料については、例えば、ニトリル化合物の中でもスクシノニトリル、硫黄、及びハロゲンの中でも塩素のいずれもが、化学工業において汎用されている原材料であり、入手が容易であるだけでなく、安価である。
更に、本発明方法によれば、著しい高温等を必要としない工業化に適した条件で、イソチアゾール化合物、とりわけ3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールを製造できる。具体的に、例えば、本発明方法は200℃以上の高温を必要としない。
更に、本発明方法は、特殊な反応装置を必要とせず、簡便に、工業的規模で実施することができる。
従って、本発明方法は高い工業的な利用価値を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、一般式(7):


(式中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれアルキル基又はシクロアルキル基を示す。)
で表されるエーテル化合物の存在下、一般式(1):


(式中、Rはシアノ基、カルボキシ基又はアルコキシカルボニル基を示す。)
で表されるニトリル化合物及び硫黄へ、一般式(2):


(式中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)
で表されるハロゲンを70℃以上で導入して、ニトリル化合物、硫黄及びハロゲンの反応を行うことを特徴とする、一般式(3):


(式中、R及びXは前記で定義した通りである。)
で表されるイソチアゾール化合物の製造方法に関する。
本発明方法は、とりわけ、一般式(7):


(式中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれアルキル基又はシクロアルキル基を示す。)
で表されるエーテル化合物の存在下、式(4):


で表されるスクシノニトリル及び硫黄へ、式(5):


で表される塩素を70℃以上で導入して、スクシノニトリル、硫黄及び塩素の反応を行うことを特徴とする、式(6):


で表される3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの製造方法に関する。
本明細書において用いられる用語及び記号について以下に説明する。
「Ca〜Cb」とは、炭素原子「C」の数がa〜b個であることを意味する。例えば、「C1〜C4アルキル」の「C1〜C4」とは、アルキルの炭素原子数が1〜4であることを意味する。
本明細書中、「アルキル」のような一般的用語は、例えば「ブチル」であればブチル及びtert−ブチルのような直鎖及び分枝鎖基の両方を含むと理解される。しかしながら、「ブチル基」のような具体的な用語が使用された場合は、これは「ノルマルブチル基」、すなわち「n−ブチル基」に対して特異的である。言い換えれば、具体的な用語「ブチル基」は直鎖基の「ノルマルブチル基」を意味し、そして「tert−ブチル」のような分枝鎖異性体は意図した場合に具体的に言及される。
接頭語「n−」、「s−」及び「sec−」、「i−」、「t−」及び「tert−」、[neo−]、並びに「c−」及び「cyc−」は、それらの以下の通常の意味を有する:ノルマル、セカンダリー(「s−」及び「sec−」)、イソ、ターシャリー(「t−」及び「tert−」)、ネオ、シクロ。
「アルキル基」は、例えば、C1〜C8アルキル基、C2〜C8アルキル基、C4〜C8アルキル基、C4アルキル基、C1〜C4アルキル基等を包含するが、これらに限定されるものではない。
「C1〜C8アルキル基」とは、1〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味する。
「C1〜C8アルキル基」の具体例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、ネオペンチル、ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、へプチル、1−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、1,1−ジメチルペンチル、2,2−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、1,1,3−トリメチルブチル、1,2,2−トリメチルブチル、1,3,3−トリメチルブチル、2,2,3−トリメチルブチル、2,3,3−トリメチルブチル、1−プロピルブチル、1,1,2,2−テトラメチルプロピル、オクチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、6−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、5,5−ジメチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、1−エチル−1−メチルペンチル、1−プロピルペンチル等を包含するが、これらに限定されるものではない。
「C2〜C8アルキル基」とは、2〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味する。
「C2〜C8アルキル基」の具体例は、上記のC1〜C8アルキル基の具体例のうちの該当する数の炭素原子を有するアルキル基を包含するが、これらに限定されるものではない。
「C4〜C8アルキル基」とは、4〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味する。
「C4〜C8アルキル基」の具体例は、上記のC1〜C8アルキル基の具体例のうちの該当する数の炭素原子を有するアルキル基を包含するが、これらに限定されるものではない。
「C4アルキル基」とは、4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルを意味する。
「C4アルキル基」の具体例は、上記のC1〜C8アルキル基の具体例のうちの該当する数の炭素原子を有するアルキル基を包含する。
「C1〜C4アルキル基」とは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味する。
「C1〜C4アルキル基」の具体例は、上記のC1〜C8アルキル基の具体例のうちの該当する数の炭素原子を有するアルキル基を包含する。
「シクロアルキル基」は、例えば、C3〜C8シクロアルキル基、好ましくはC5〜C6シクロアルキル基等を包含するが、これらに限定されるものではない。
「C3〜C8シクロアルキル基」とは、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する。
「C3〜C8シクロアルキル基」の具体例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルを包含する。
「C5〜C6シクロアルキル基」とは、シクロペンチル及びシクロヘキシルを意味する。
「アルコキシカルボニル基」は、例えば、C1〜C4アルコキシカルボニル基等を包含する。
「C1〜C4アルコキシカルボニル基」とは、(C1〜C4アルキル)−O−C(=O)−基を意味する(ここで、C1〜C4アルキル基は前記と同じ意味を有する。)。
「C1〜C4アルコキシカルボニル基」の具体例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、好ましくは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルを包含する。
「非プロトン性極性溶媒」は、例えば、アミド系非プロトン性極性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)等)、硫黄含有非プロトン性極性溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、ジメチルスルホン等)、炭酸エステル系非プロトン性極性溶媒(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)等を包含する。
(原料化合物)
本発明方法の原料について説明する。
(ニトリル化合物)
本発明方法の原料として、上記一般式(1)で表されるニトリル化合物を用いる。式(1)中、Rはシアノ基、カルボキシ基又はアルコキシカルボニル基を示すから、上記一般式(1)で表されるニトリル化合物としては、例えば、スクシノニトリル、3−シアノプロピオン酸、3−シアノプロピオン酸メチル、3−シアノプロピオン酸エチル、3−シアノプロピオン酸プロピル、3−シアノプロピオン酸イソプロピル、3−シアノプロピオン酸ブチル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
尚、入手性、価格及び生成物の有用性等の観点から、本発明方法に用いるニトリル化合物としては、上記式(4)で表されるスクシノニトリルが特に好ましい。スクシノニトリルは、現在、工業的に比較的安価に入手可能である。更に、スクシノニトリルは、取り扱い及び毒性の面からも工業的原材料として好ましい。
(硫黄)
本発明方法に用いる硫黄について説明する。本発明方法には、単体硫黄を用いる。本発明方法に用いる硫黄の形態は、特に制限されず、反応が進行する限りはいずれの形態でもよい。
本発明方法における硫黄の使用量は、反応が進行する限りはいずれの量でもよい。収率及び/又は副生成物の抑制、及び経済効率等の観点から、本発明方法における硫黄の使用量としては、一般式(1)で表されるニトリル化合物1モルに対して、硫黄原子として、0.9モル以上、好ましくは1モル以上、より好ましくは2モル以上を例示することができる。
収率及び/又は副生成物の抑制、及び経済効率等の観点から、本発明方法における硫黄の使用量としては、一般式(1)で表されるニトリル化合物1モルに対して、硫黄原子として、20モル以下、好ましくは10モル以下、より好ましくは4モル以下を例示することができる。
従って、本発明方法における硫黄の使用量の範囲としては、上記の下限と上限の適宜な且つ任意の組み合わせが例示することができる。一般式(1)で表されるニトリル化合物1モルに対して、硫黄原子として、0.9モル以上20モル以下、好ましくは1モル以上10モル以下、より好ましくは2モル以上10モル以下、更に好ましくは2モル以上4モル以下の範囲を例示することができる。しかしながら、本発明方法における硫黄の使用量は、目的と状況に応じて、当業者により適宜調整されることができる。
(ハロゲン)
本発明方法に用いるハロゲンについて説明する。本発明方法には、上記一般式(2)で表されるハロゲンを用いる。
本発明方法に用いることができるハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
尚、入手性、取り扱いの簡便さ、価格及び生成物の有用性等の観点から本発明方法に用いるハロゲンとしては、上記式(5)で表される塩素、又は、臭素が好ましく、上記式(5)で表される塩素が特に好ましい。
本発明方法に用いるハロゲンの形態は、特に制限されず、反応が進行する限りはいずれの形態でもよい。本発明方法に用いるハロゲンの形態は、例えば、ガス、液体、固体などが挙げられる。
とりわけ、本発明方法に用いる塩素の形態も、特に制限されず、反応が進行する限りはいずれの形態でもよい。本発明方法に用いる塩素の形態は、例えば、液体、ガス等が挙げられる。本発明方法に用いる塩素の形態の好ましい例としては、ガスが挙げられる。塩素ガスを導入する方法は限定されず、例えば、塩素ガスを導入する方法は、反応系の気相への吹き込み、又は反応系の液相中への吹き込み(例えばバブリング等)のいずれであってもよい。更に、塩素ガスを液相中へ吹き込む場合は、塩素ガスの微細な泡が発生する装置などを使用してもよい。例えば、反応系の液相へ塩素ガスを吹き込む場合、ノズルから吹き込んでもよく;ノズルの先端に備え付けられた多孔状の部材を通して、微細な泡状の塩素ガスを吹き込んでもよく;多数の穴を有するパイプを反応容器内に備え付けて、パイプ上の多数の小さな穴から適度に小さい大きさの泡となって塩素ガスが吹き出るようにしてもよく;その他にも様々な装置的な手段が取り得る。加えて、塩素ガスは、塩素ガス以外の気体により希釈されてもよい。塩素ガスの希釈に用いられる気体としては、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガス等が挙げられるが、これに限定されるものではない。入手性、取り扱いの簡便さ、安全性、又は価格等の観点から、窒素が好ましい。尚、塩素ガスの希釈に用いられる気体は、単独で又は任意の割合の混合物として用いることができる。
本発明方法におけるハロゲンの使用量は、反応が進行する限りはいずれの量でもよい。収率及び/又は副生成物の抑制、及び経済効率等の観点から、本発明方法における一般式(2)で表されるハロゲンの使用量としては、一般式(1)で表されるニトリル化合物1モルに対して、1モル以上60モル以下、好ましくは2モル以上20モル以下、より好ましくは4モル以上15モル以下、更に好ましくは7モル以上15モル以下、特に好ましくは7モル以上10モル以下の範囲を例示することができる。しかしながら、本発明方法におけるハロゲンの使用量は、目的と状況に応じて、当業者により適宜調整されることができる。
(操作:ハロゲンの導入)
本発明方法においては、エーテル化合物の存在下、ニトリル化合物、硫黄及びハロゲンを同時に反応させることが好ましい。とりわけ、本発明方法においては、エーテル化合物の存在下、スクシノニトリル、硫黄及び塩素を同時に反応させることが好ましい。従って、本発明方法においては、エーテル化合物の存在下でニトリル化合物と硫黄へハロゲンを導入することが好ましい。より具体的には、ニトリル化合物、硫黄及びエーテル化合物を仕込んだ後、そこへハロゲンを導入することが好ましい。言い換えれば、ニトリル化合物、硫黄及びエーテル化合物へハロゲンを導入することが好ましい。全量のニトリル化合物、全量の硫黄及び全量のエーテル化合物が仕込まれた後、全量のハロゲンが導入されてもよい。又は、一部のニトリル化合物、一部の硫黄及び一部のエーテル化合物が仕込まれた後、一部のハロゲンが導入され、その後、残りのニトリル化合物、残りの硫黄及び残りのエーテル化合物が仕込まれた後、残りのハロゲンが導入されてもよい。更には、ニトリル化合物、硫黄及びエーテル化合物を仕込むこと、並びにハロゲンの導入が繰り返されてもよい。更には、全量のエーテル化合物が仕込まれた後、ニトリル化合物及び硫黄が分割して仕込まれ、そしてハロゲンが分割して導入されてもよい。これらの全ての場合において、1回に仕込まれるニトリル化合物、硫黄及びエーテル化合物のそれぞれの量は、当業者が適宜調整することができる。1回に導入される塩素の量も当業者が適宜調整することができる。反応が進行する限りは、これらの仕込みと導入の方法は、当業者が適宜選択及び調整してよい。
(エーテル化合物)
本発明方法に用いるエーテル化合物について説明する。本発明方法には、上記一般式(7)で表されるエーテル化合物を用いる。
一般式(7)中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれアルキル基又はシクロアルキル基を示している。
尚、収率、取り扱いの容易さ、及び経済効率等の観点から、R及びRは、好ましくは、同一又は異なって、それぞれC1〜C8アルキル基又はC3〜C8シクロアルキル基である。R及びRは、より好ましくは、同一又は異なって、それぞれC1〜C8アルキル基である。R及びRは、更に好ましくは、同一又は異なって、それぞれC2〜C8アルキル基である。R及びRは、更に好ましくは、同一又は異なって、それぞれC4〜C8アルキル基である。R及びRは、更に好ましくは、同一又は異なって、それぞれC4アルキル基である。R及びRは特に好ましくはブチル基である。
本発明方法に用いることができるエーテル化合物は、例えば、
ジプロピルエーテル及びその異性体(例えば、ジイソプロピルエーテル等)、ジブチルエーテル及びその異性体(例えば、ジ−sec−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、ブチル(sec−ブチル)エーテル、ブチル(イソブチル)エーテル、ブチル(tert−ブチル)エーテル、(sec−ブチル)(イソブチル)エーテル等)、
ジペンチルエーテル及びその異性体(例えば、ジ(2−メチルブチル)エーテル、ジ(3−メチルブチル)エーテル、ペンチル(2−メチルブチル)エーテル、(2−メチルブチル)(3−メチルブチル)エーテル等)、
ジヘキシルエーテル及びその異性体、
ジヘプチルエーテル及びその異性体、
ジオクチルエーテル及びその異性体、
メチル(オクチル)エーテル及びその異性体、エチル(ヘキシル)エーテル及びその異性体、エチル(オクチル)エーテル及びその異性体、プロピル(ペンチル)エーテル及びその異性体、プロピル(ヘキシル)エーテル及びその異性体、
ジシクロペンチルエーテル、ジシクロヘキシルエーテル、
シクロペンチル(メチル)エーテル(CPME)、シクロペンチル(エチル)エーテル、シクロペンチル(プロピル)エーテル及びその異性体、ブチル(シクロペンチル)エーテル及びその異性体、
シクロヘキシル(メチル)エーテル、シクロヘキシル(エチル)エーテル、シクロヘキシル(プロピル)エーテル及びその異性体、ブチル(シクロヘキシル)エーテル及びその異性体等を包含するが、これらに限定されるものではない。
尚、収率、取り扱いの容易さ、及び経済効率等の観点から、本発明方法に用いる好ましいエーテル化合物の具体例は、ジブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル等、より好ましくはジブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、更に好ましくはジブチルエーテルを包含する。
本発明方法における一般式(7)で表されるエーテル化合物の使用量は、反応が進行する限りはいずれの量でもよい。収率及び/又は副生成物の抑制、及び経済効率等の観点から、本発明方法における一般式(7)で表されるエーテル化合物の使用量としては、下記を例示することができる。一態様においては、一般式(1)で表されるニトリル化合物1モルに対して、0.01モル以上10モル以下、0.01モル以上5モル以下、好ましくは0.05モル以上5モル以下、0.05モル以上2モル以下、0.05モル以上1モル以下、より好ましくは0.3モル以上2モル以下、0.3モル以上1モル以下の範囲を例示することができる。言い換えれば、一般式(1)で表されるニトリル化合物に対して、1モル%以上1000モル%以下、1モル%以上500モル%以下、好ましくは5モル%以上500モル%以下、5モル%以上200モル%以下、5モル%以上100モル%以下、より好ましくは30モル%以上200モル%以下、30モル%以上100モル%以下の範囲を例示することができる。別の態様においては、一般式(1)で表されるニトリル化合物1モルに対して、0.01L以上5L以下、0.01L以上1L以下、0.01L以上0.5L以下、0.01L以上0.2L以下、好ましくは0.05L以上2L以下、0.05L以上1L以下、0.05L以上0.5L以下、0.05L以上0.2L以下の範囲を例示することができる。言い換えれば、一般式(1)で表されるニトリル化合物に対して、0.01L/モル以上5L/モル以下、0.01L/モル以上1L/モル以下、0.01L/モル以上0.5L/モル以下、0.01L/モル以上0.2L/モル以下、好ましくは0.05L/モル以上2L/モル以下、0.05L/モル以上1L/モル以下、0.05L/モル以上0.5L/モル以下、0.05L/モル以上0.2L/モル以下の範囲を例示することができる。しかしながら、本発明方法におけるエーテル化合物の使用量は、目的と状況に応じて、当業者により適宜調整されることができる。
(温度)
本発明方法において、エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入の温度、並びにニトリル化合物、硫黄及びハロゲンの反応温度は、反応が進行する限りは、特に制限されない。収率及び/又は副生成物の抑制、及び操作性、経済効率等の観点から、当該導入の温度及び当該反応温度の下限としては、50℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上を例示することができる。同様の観点から、当該導入の温度及び当該反応温度の上限としては、200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは150℃以下を例示することができる。当該導入の温度及び当該反応温度の範囲としては、上記の下限と上限を任意に組み合わせた範囲を例示することができる。例えば、上記の好ましい下限と好ましい上限を組み合わせた範囲が好ましく、上記のより好ましい下限とより好ましい上限を組み合わせた範囲がより好ましく、上記の更に好ましい下限と更に好ましい上限を組み合わせた範囲が更に好ましい。具体的には、50〜200℃、好ましくは70〜180℃、より好ましくは80〜160℃、更に好ましくは90〜150℃の範囲を例示することができるが、これらに限定されるものではない。尚、本発明方法におけるハロゲン、とりわけ塩素の導入の温度と反応温度は、実質的に同じである。即ち、本発明方法におけるハロゲン、とりわけ塩素の導入の温度と反応温度は、同じとみなしてもよい。
(時間)
本発明方法において、エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入の時間、並びにニトリル化合物、硫黄及びハロゲンの反応時間は、反応が進行する限りは、特に制限されない。収率及び/又は副生成物の抑制、及び経済効率等の観点から、特に収率の向上の観点から、当該導入の時間の下限としては、5時間以上、好ましくは10時間以上、より好ましくは15時間以上、更に好ましくは20時間以上を例示することができる。加えて、当該導入の時間の上限としては、特に制限されないが、目的化合物の分解抑制などの観点及び一般的な経済的観点からも、100時間以下、好ましくは75時間以下、より好ましくは50時間以下、更に好ましくは30時間以下を例示することができる。当該導入の時間の範囲としては、上記の下限と上限の適宜な且つ任意の組み合わせが例示することができる。一態様においては、5〜100時間、好ましくは10〜100時間、より好ましくは10〜75時間、更に好ましくは10〜50時間、特に好ましくは10〜30時間の範囲を例示することができるが、これらに限定されるものではない。別の態様においては、5〜100時間、好ましくは15〜100時間、より好ましくは15〜75時間、更に好ましくは15〜50時間、特に好ましくは15〜30時間の範囲を例示することができるが、これらに限定されるものではない。更に別の態様においては0.1秒〜100時間、1秒〜100時間、1分〜100時間、加えて0.1秒〜50時間、1秒〜50時間、1分〜50時間の範囲を例示することができるが、これらに限定されるものではない。尚、本発明方法におけるハロゲン、とりわけ塩素の導入の時間と反応時間は、実質的に同じである。即ち、本発明方法におけるハロゲン、とりわけ塩素の導入の時間と反応時間は、同じとみなしてもよい。
(イソチアゾール化合物)
本発明方法で得られる、一般式(3)で表されるイソチアゾール化合物としては、具体的には例えば、
3,4−ジフルオロ−5−シアノイソチアゾール、
3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾール、
3,4−ジブロモ−5−シアノイソチアゾール、
3,4−ジヨード−5−シアノイソチアゾール、
3,4−ジフルオロ−5−カルボキシイソチアゾール、
3,4−ジクロロ−5−カルボキシイソチアゾール、
3,4−ジブロモ−5−カルボキシイソチアゾール、
3,4−ジヨード−5−カルボキシイソチアゾール、
3,4−ジフルオロ−5−メトキシカルボニルイソチアゾール、
3,4−ジクロロ−5−メトキシカルボニルイソチアゾール、
3,4−ジブロモ−5−メトキシカルボニルイソチアゾール、
3,4−ジヨード−5−メトキシカルボニルイソチアゾール、
3,4−ジクロロ−5−エトキシカルボニルイソチアゾール、
3,4−ジブロモ−5−エトキシカルボニルイソチアゾール、
3,4−ジクロロ−5−プロポキシカルボニルイソチアゾール、
3,4−ジクロロ−5−イソプロポキシカルボニルイソチアゾール、
3,4−ジクロロ−5−ブトキシカルボニルイソチアゾール
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
尚、化合物の有用性等の観点から、3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾール及び3,4−ジブロモ−5−シアノイソチアゾールが好ましく、3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールが特に好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明の製造方法を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
ジブチルエーテルを用いる方法
(3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの製造)
攪拌器、還流冷却器及び温度計を備えた300mLの四ツ口フラスコに、スクシノニトリル50.0g(0.62mol)、硫黄60.1g(1.9mol)及びジブチルエーテル40.5g(0.31mol;スクシノニトリル1モルに対して50mol%;スクシノニトリル1モルに対して0.08L/mol)を仕込んだ。100℃まで攪拌しながら昇温した。スクシノニトリルが融解していることが観察された。ほとんどの硫黄は固体として残存していることが観察された。一時的に撹拌を停止して観察すると、上層から順に、ジブチルエーテル層、スクシノニトリル層、及び硫黄が観察された。撹拌を再開し、そこに塩素385.9g(5.44mol)を100〜105℃で20時間かけて吹き込んだ。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル100mLで希釈した。濾過により不溶物を取り除き、生成物を褐色の酢酸エチル溶液として得た。得られた酢酸エチル溶液をHPLC絶対検量線法で分析した。その結果、3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの収率は、使用したスクシノニトリルから計算される理論量の83%であった。
実施例2
ジブチルエーテルを用いる方法
(3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの製造)
攪拌器、還流冷却器及び温度計を備えた500mLの四ツ口フラスコに、スクシノニトリル80.1g(1mol)、硫黄99.2g(3.1mol)及びジブチルエーテル19.0mL(0.112mol;スクシノニトリル1モルに対して11.2mol%;スクシノニトリル1モルに対して0.019L/mol)を仕込んだ。120℃まで攪拌しながら昇温した。スクシノニトリルが融解していることが観察された。硫黄も融解していることが観察された。一時的に撹拌を停止して観察すると、上層から順に、ジブチルエーテル層、スクシノニトリル層、及び硫黄層が観察された。撹拌を再開し、そこに塩素390.0g(5.50mol)を120〜125℃で27時間かけて吹き込んだ。反応混合物を室温まで冷却し、トルエン200mLで希釈した。濾過により不溶物を取り除き、生成物を褐色のトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をGC絶対検量線法で分析した。その結果、3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの収率は、使用したスクシノニトリルから計算される理論量の64%であった。
尚、国際公開第2010/126170号公報(特許文献6)の方法に従ってイソチアゾール化合物の製造を行ったとき、フマロニトリル、マレオニトリル及び/又はこれらの塩素置換体と推定される化合物の昇華が観察された。しかしながら、本明細書の実施例1及び2では、化合物の昇華は実質的に観察されなかった。
本発明における反応機構等は明らかではないが、上記の観察から、本発明における主な反応機構は、国際公開第2010/126170号公報(特許文献6)の方法における主な反応機構とは、異なると推定された。
比較例1
特開2010−260805(特許文献7)、実施例2に記載の方法
(3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの製造)
攪拌器、還流冷却器及び温度計を備えた300mLの四ツ口フラスコに、スクシノニトリル5.70g(71.0mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド35.5mL(スクシノニトリル1モルに対して0.5L/mol)及び硫黄36.5g(1.14mol)を仕込んだ。そこに攪拌しながら25℃以下で塩素40.4g(0.570mol)を吹き込んだ。その後100℃に昇温し、それを6時間攪拌した。反応混合物を25℃まで放冷した後、氷水に注いだ。トルエンにより反応生成物を抽出した。得られたトルエン溶液をHPLC絶対検量線法により分析した。その結果、3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの収率は、使用したスクシノニトリルから計算される理論量の64%であった。
特開2010−260805(特許文献7)の実施例2に記載の方法である上記比較例1では、塩素とN,N−ジメチルホルムアミドを使用する。従って、上述のように、比較例1の方法は、N,N−ジメチルホルムアミドを使用する必要のない本願発明と異なり、工業的に好ましくない。
上記比較例1では、特開2010−260805(特許文献7)の請求項1及び6、並びに段落0029に記載されているように、系内で25℃以下の低温で塩素と硫黄から塩化硫黄が生成し、その後、スクシノニトリルが系内で調整された当該塩化硫黄と反応していると推定された。
他方、すでに述べたように本発明における反応機構等は明らかではない。しかしながら、本発明が完成した後で本発明を考察したときに、本発明における主な反応機構は、上記比較例1における主な反応機構とは異なると推定された。このことは、後述の比較例2からも支持される。
比較例2
特開2010−260805(特許文献7)、実施例2に記載の方法で、N,N−ジメチルホルムアミドの代わりにジブチルエーテルを用いる方法
(3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの製造)
攪拌器、還流冷却器及び温度計を備えた50mLのナスフラスコに、スクシノニトリル5.0g(62.4mmol)、硫黄31.9g(1.0mol)及びジブチルエーテル31.0mL(183mmol;スクシノニトリル1モルに対して0.5L/mol)を仕込んだ。ほとんどのスクシノニトリルが融解していないことが観察された。硫黄が融解していないことが観察された。そこに攪拌しながら25℃以下で塩素35.4g(0.50mol)を22時間かけて吹き込んだ。その後100℃に昇温し、それを6時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、トルエン50mLで希釈した。濾過により不溶物を取り除き、生成物を褐色のトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をGC絶対検量線法により分析した。その結果、3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの収率は、使用したスクシノニトリルから計算される理論量のわずか5.3%であった。
上記比較例2では、非プロトン性極性溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミドの代わりにジブチルエーテルを用いて、特開2010−260805(特許文献7)、実施例2に記載の方法が行われた。その結果、収率が大幅に低下した。
比較例3
ジフェニルエーテルを用いる方法
(3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの製造)
攪拌器、還流冷却器及び温度計を備えた500mLの四ツ口フラスコに、スクシノニトリル80.1g(1mol)、硫黄96.0g(3.1mol)及びジフェニルエーテル80mL(0.51mol;スクシノニトリル1モルに対して51mol%;スクシノニトリル1モルに対して0.08L/mol)を仕込んだ。120℃まで攪拌しながら昇温した。一時的に撹拌を停止して観察すると、スクシノニトリルとジフェニルエーテルは融解してそして互いに溶け合い、一層を形成していた。硫黄も融解していることが観察された。混合物は2層を形成していた。上層はスクシノニトリルとジフェニルエーテルの層であった。下層は硫黄層であった。そこに攪拌しながら塩素628.2g(8.8mol)を120〜125℃で44時間かけて吹き込んだ。反応混合物を室温まで冷却し、トルエン200mLで希釈した。濾過により不溶物を取り除き、生成物を褐色のトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をGC絶対検量線法で分析した。その結果、3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの収率は、使用したスクシノニトリルから計算される理論量の39.0%であった。
比較例4
ブタノールを用いる方法
(3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの製造)
攪拌器、還流冷却器及び温度計を備えた300mLの四ツ口フラスコに、スクシノニトリル40.0g(0.5mol)、硫黄48.0g(1.5mol)及びブタノール7.4g(0.1mol;スクシノニトリル1モルに対して20mol%;スクシノニトリル1モルに対して0.018L/mol)を仕込んだ。100℃まで攪拌しながら昇温した。一時的に撹拌を停止して観察すると、スクシノニトリルとブタノールは互いに溶け合っていた。硫黄は固体として残存していることが確認された。撹拌を再開し、そこに塩素145.3g(2.05mol)を100〜105℃で18時間かけて吹き込んだ。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル100mLで希釈した。濾過により不溶物を取り除き、生成物を褐色の酢酸エチル溶液として得た。得られた酢酸エチル溶液をHPLC絶対検量線法で分析した。その結果、3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの収率は、使用したスクシノニトリルから計算される理論量の54%であった。
比較例5
ジグライムを用いる方法
(3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの製造)
攪拌器、還流冷却器及び温度計を備えた300mLの四ツ口フラスコに、スクシノニトリル80.1g(1.0mol)、硫黄32.1g(1.0mol)、ジグライム134.17g(1.0mol;スクシノニトリル1モルに対して100mol%;スクシノニトリル1モルに対して0.14L/mol)を仕込んだ。120℃まで攪拌しながら昇温した。スクシノニトリルが融解していることが観察された。硫黄も融解していることが観察された。一時的に撹拌を停止して観察すると、上層から順に、ジグライム層、スクシノニトリル層、及び硫黄層が観察された。撹拌を再開し、そこに塩素248.2g(3.5mol)を120〜125℃で24時間かけて吹き込んだ。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル300mLで希釈した。濾過により不溶物を取り除き、生成物を褐色の酢酸エチル溶液として得た。得られた酢酸エチル溶液をHPLC絶対検量線法で分析した。その結果、3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの収率は、使用したスクシノニトリルから計算される理論量の46%であった。
(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析方法)
上記したHPLC分析方法の詳細に関しては、必要に応じて、以下の文献を参照することができる。
(a):(社)日本化学会編、「新実験化学講座9 分析化学 II」、第86〜112頁(1977年)、発行者 飯泉新吾、丸善株式会社(例えば、カラムに使用可能な充填剤−移動相の組合せに関しては、第93〜96頁を参照することができる。)
(b):(社)日本化学会編、「実験化学講座20−1 分析化学」第5版、第130〜151頁(2007年)、発行者 村田誠四郎、丸善株式会社(例えば、逆相クロマトグラフィー分析の具体的な使用方法・条件に関しては、第135〜137頁を参照することができる。)
(ガスクロマトグラフィー(GC)分析方法)
上記したGC分析方法の詳細に関しては、必要に応じて、以下の文献を参照することができる。
(a):(社)日本化学会編「新実験化学講座9 分析化学 II」、第60〜86頁(1977年)、発行者 飯泉新吾、丸善株式会社(例えば、カラムに使用可能な固定相液体に関しては、第66頁を参照できる。)
(b):(社)日本化学会編、「実験化学講座20−1 分析化学」第5版、第121〜129頁(2007年)、発行者 村田誠四郎、丸善株式会社(例えば、中空キャピラリー分離カラムの具体的な使用方法に関しては、第124〜125頁を参照できる。)
本発明方法によれば、イソチアゾール化合物、とりわけ3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールの新規な工業的製造方法が提供される。本発明方法により製造できるイソチアゾール化合物は、医薬中間体及び農薬中間体、機能性色素、電子材料等の中間体として有用である。特に、3,4−ジクロロ−5−シアノイソチアゾールは、農薬の重要中間体として有用である。
本明細書において上述したように、本発明方法は工業的に好ましい。例えば、先行技術に比較して本発明方法は劇的に安全であり、そして本発明方法は効率的である。従って、本発明方法は、工業的規模で簡便に実施可能である。更に、本発明方法は経済的に好ましい。例えば、廃棄物の一部となる可能性が高いN,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒を用いないために、本発明方法は経済的に好ましい。
その上、本発明方法によれば、高価な触媒及び遷移金属を用いることなく目的化合物を製造できるため、それらに由来する有害な廃棄物を排出することもない。それ故、本発明方法では、廃棄物処理が容易であり環境にも優しい。
従って、本発明方法は工業的製造方法として極めて有用である。

Claims (12)

  1. 一般式(7):


    (式中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれアルキル基又はシクロアルキル基を示す。)
    で表されるエーテル化合物の存在下、一般式(1):


    (式中、Rはシアノ基、カルボキシ基又はアルコキシカルボニル基を示す。)
    で表されるニトリル化合物及び硫黄へ、一般式(2):


    (式中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)
    で表されるハロゲンを70℃以上で導入して、ニトリル化合物、硫黄及びハロゲンの反応を行うことを特徴とする、一般式(3):


    (式中、R及びXは前記で定義した通りである。)
    で表されるイソチアゾール化合物の製造方法。
  2. エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、90℃以上で行われる、請求項1に記載の製造方法。
  3. エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、70〜180℃の範囲の温度で行われる、請求項1に記載の製造方法。
  4. エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、90〜150℃の範囲の温度で行われる、請求項1に記載の製造方法。
  5. エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、15時間以上で行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、15〜75時間の範囲の時間で行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. エーテル化合物の存在下でのニトリル化合物及び硫黄へのハロゲンの導入が、15〜50時間の範囲の時間で行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. Rがシアノ基であり、Xが塩素原子である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 及びRが、同一又は異なって、それぞれC1〜C8アルキル基又はC3〜C8シクロアルキル基である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 及びRが、同一又は異なって、それぞれC1〜C8アルキル基である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 及びRが、同一又は異なって、それぞれC4〜C8アルキル基である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 及びRがブチル基である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
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