JPWO2015147096A1 - シート状封止材、封止シートおよび電子デバイス封止体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、1又は2以上の封止樹脂層からなるシート状封止材であって、少なくとも1の封止樹脂層が、紫外光を吸収して可視光を放出する波長変換材料を含有する層であることを特徴とするシート状封止材、このシート状封止材とガスバリア層またはガスバリアフィルムとを有する封止シート、および、これらのシート状封止材または封止シートを封止材として用いて得られる電子デバイス封止体である。本発明によれば、水分遮断性、耐光性および無色透明性に優れるシート状封止材、このシート状封止材とガスバリア層またはガスバリアフィルムとを有する封止シート、および、これらのシート状封止材または封止シートを封止材として用いて得られる電子デバイス封止体が提供される。

Description

本発明は、水分遮断性、耐光性および無色透明性のすべてに優れるシート状封止材、このシート状封止材とガスバリア層またはガスバリアフィルムとを有する封止シート、および、これらのシート状封止材または封止シートを封止材として用いて得られる電子デバイス封止体に関する。
近年、有機EL素子は、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な発光素子として注目されている。
しかし、有機EL素子には、時間の経過とともに、発光輝度、発光効率、発光均一性等の発光特性が低下し易いという問題があった。
この発光特性の低下の問題の原因として、酸素や水分等が有機EL素子の内部に浸入し、電極や有機層を劣化させることが考えられる。そして、この問題を解決すべく、封止材を用いる方法がいくつか提案されている。
例えば、特許文献1には、ガラス基板上に薄膜状の透明電極及び背面電極によって挟持された有機EL層を、耐湿性を有する光硬化性樹脂層(封止材)で被覆した有機EL素子が開示されている。また、特許文献2には、防湿性高分子フィルムと接着層により形成された封止フィルムを用いて、有機EL素子を封止する方法が開示されている。
有機EL素子の封止材料である接着剤や粘着剤としては、透明性等の光学特性の観点から、アクリル系の接着剤や粘着剤(以下、「アクリル系接着剤等」という。)が提案されている。
例えば、特許文献3には、有機ELディスプレイ用の封止材料として、紫外線硬化機能と室温硬化機能を有するアクリル系接着剤が開示されている。
また、特許文献4には、熱履歴を受けた後であっても、有機EL表示素子による光を、優れた伝播効率でディスプレイ表面に伝播することができる粘着剤層を形成し得る粘着剤として、アクリル系粘着剤が開示されている。
さらに、近年においては、良好な水分遮断性を有する封止用接着剤として、ポリイソブチレン系樹脂を含有する接着剤が提案されている。例えば、特許文献5には、有機EL素子の封入剤として用いられる、特定の水素添加環状オレフィン系ポリマーとポリイソブチレン樹脂を含有する接着性組成物が開示されている。
また、有機EL素子の発光層等の有機層は、紫外線により劣化し易いという問題があった。この問題を解決すべく、特許文献6には、有機EL層を、紫外線吸収剤を含有する樹脂層で被覆した有機EL素子が提案されている。
特開平5−182759号公報 特開平5−101884号公報 特開2004−87153号公報 特開2004−224991号公報 特表2009−524705号公報(WO2007/087281号パンフレット) 特開2009−37809号公報(US2010244073 A1)
特許文献6に記載されるように、紫外線吸収剤を含有する樹脂層を用いて有機EL層を封止する場合、耐光性をより向上させるために紫外線吸収剤の含有量を増やすと、樹脂層が黄みを帯び、有機EL素子から放出される光の色相を変化させたり、樹脂層の透明性が低下して、有機EL素子の輝度を低下させたりすることがあった。
本発明は、かかる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、水分遮断性、耐光性および無色透明性のすべてに優れるシート状封止材、このシート状封止材とガスバリア層またはガスバリアフィルムとを有する封止シート、および、これらのシート状封止材または封止シートを封止材として用いて得られる電子デバイス封止体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、紫外光を吸収して可視光を放出する波長変換材料を含有する樹脂層を有するシート状封止材は、水分遮断性、耐光性および無色透明性のすべてに優れるものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記(1)〜(8)のシート状封止材、(9)〜(11)の封止シート、(12)の電子デバイス封止体が提供される。
(1)1又は2以上の封止樹脂層からなるシート状封止材であって、少なくとも1の封止樹脂層が、紫外光を吸収して可視光を放出する波長変換材料を含有する層であることを特徴とするシート状封止材。
(2)前記波長変換材料が、有機蛍光体、高分子蛍光体、金属錯体系蛍光体、無機蛍光体、量子ドットからなる群より選ばれる少なくとも1種である、(1)に記載のシート状封止材。
(3)前記波長変換材料が、有機蛍光体である、(1)に記載のシート状封止材。
(4)前記シート状封止材の、温度23℃、相対湿度50%の環境下での、ガラスに対する接着力が、3N/25mm以上である、(1)に記載のシート状封止材。
(5)前記シート状封止材の、波長550nmにおける光線透過率は85%以上である、(1)に記載のシート状封止材。
(6)前記シート状封止材の、温度40℃、相対湿度90%における、50μm厚に換算したときの水蒸気透過率が、30g/(m・day)以下である、(1)に記載のシート状封止材。
(7)電子デバイスの封止に用いられる、(1)に記載のシート状封止材。
(8)有機EL素子の封止に用いられる、(1)に記載のシート状封止材。
(9)1又は2以上の封止樹脂層からなるシート状封止材とガスバリア層とを有する封止シートであって、前記シート状封止材が、(1)に記載のシート状封止材であることを特徴とする封止シート。
(10)1又は2以上の封止樹脂層からなるシート状封止材とガスバリアフィルムとを有する封止シートであって、前記シート状封止材が、(1)に記載のシート状封止材であることを特徴とする封止シート。
(11)電子デバイスの封止に用いられる、(9)または(10)に記載の封止シート。
(12)前記(1)に記載のシート状封止材、または(9)若しくは(10)に記載の封止シートによって、電子デバイスが封止されてなる電子デバイス封止体。
本発明によれば、水分遮断性、耐光性および無色透明性のすべてに優れるシート状封止材、このシート状封止材とガスバリア層またはガスバリアフィルムとを有する封止シート、および、これらのシート状封止材または封止シートを封止材として用いて得られる電子デバイス封止体が提供される。
以下、本発明を、1)シート状封止材、2)封止シート、および、3)電子デバイス封止体、に項分けして詳細に説明する。
1)シート状封止材
本発明のシート状封止材は、1又は2以上の封止樹脂層からなるシート状封止材であって、少なくとも1の封止樹脂層が、紫外光を吸収して可視光を放出する波長変換材料を含有する層であることを特徴とする。
本発明のシート状封止材の封止樹脂層は、封止樹脂を含有する層である。
封止樹脂は、本発明の効果が得られるものである限り、特に限定されない。
封止樹脂としては、ゴム系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
ゴム系ポリマーは、天然ゴム又は合成ゴム等のゴム弾性を有するものである。例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンの単独重合体(ブタジエンゴム、BR)、クロロプレンの単独重合体(クロロプレンゴム、CR)、イソプレンの単独重合体、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体(ニトリルゴム)、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体、イソブチレン系重合体、又はこれらを変性したもの等が挙げられる。ゴム系ポリマーのなかでも、イソブチレン系重合体がより好ましい。
イソブチレン系重合体は、主鎖及び/又は側鎖に、イソブチレン由来の繰り返し単位を有する重合体をいう。イソブチレン由来の繰り返し単位の量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70〜99質量%がさらに好ましい。
イソブチレン系重合体としては、イソブチレンの単独重合体(ポリイソブチレン)、イソブチレンとイソプレンの共重合体(ブチルゴム)、イソブチレンとn−ブテンの共重合体、イソブチレンとブタジエンの共重合体、及びこれら重合体を臭素化又は塩素化して得られるハロゲン化重合体等のイソブチレン系重合体、等が挙げられる。これらの中でも、イソブチレンとイソプレンの共重合体(ブチルゴム)が好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーは、主鎖及び/又は側鎖に、(メタ)アクリル系モノマー由来の繰り返し単位を有する重合体である。例えば、(メタ)アクリル系モノマーの単独重合体若しくは共重合体、又はこれらを変性したもの等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する(以下にて同じである。)。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける(メタ)アクリル系モノマー由来の繰り返し単位の量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70〜99質量%がさらに好ましい。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のアルキル基の炭素数が1から20の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル等の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸系モノマー;等が挙げられる。
ポリオレフィン系ポリマーは、主鎖及び/又は側鎖に、オレフィン系モノマー由来の繰り返し単位を有する重合体である。例えば、オレフィン系モノマーの単独重合体若しくは共重合体、又はこれらを変性したもの等が挙げられる。
オレフィン系モノマーとしては、エチレン;プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数3〜20のα−オレフィン;シクロブテン、テトラシクロドデセン、ノルボルネン等の炭素数4〜20の環状オレフィン;又はこれらを変性したもの等が挙げられる。
ポリエステル系ポリマーは、多価カルボン酸とポリオールとの重縮合により得られる重合体、又はこれを変性したものである。
多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸等が挙げられる。ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族アルコールや、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールが挙げられる。
シリコーン系ポリマーは、主鎖及び/又は側鎖に、(ポリ)シロキサン構造を有する重合体、又はこれを変性したものである。
シリコーン系ポリマーとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレン由来の繰り返し単位を有する重合体又はこれらを変性したものである。例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、SBSの水素添加物であるスチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、SISの水素添加物であるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレンとブタジエンの共重合体(スチレンブタジエンゴム、SBR)、スチレンとイソプレンの共重合体、スチレン−イソブチレンジブロック共重合体(SIB)、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS)等が挙げられる。
これらの封止樹脂は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、水蒸気透過率が低いシート状封止材が得られ易いことから、封止樹脂としては、ゴム系ポリマーまたはポリオレフィン系ポリマーが好ましい。
ゴム系ポリマーの数平均分子量(Mn)は、100,000〜2,000,000が好ましく、100,000〜1,500,000がより好ましく、100,000〜1,000,000がさらに好ましい。
ゴム系ポリマーの数平均分子量(Mn)が上記範囲内であることで、水蒸気透過率が低いシート状封止材が得られ易くなる。
ゴム系ポリマーの数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶媒として用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィーを行い、標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
封止樹脂層は、架橋構造が形成されていてもよい。架橋構造が形成されることで、封止樹脂層は、十分な凝集力を有するものとなり、接着性により優れ、かつ、水蒸気透過率がより低いものとなる。
封止樹脂層中に架橋構造を形成する際は、接着剤等における公知の架橋構造形成方法を利用することができる。
例えば、水酸基やカルボキシル基を有する封止樹脂を用いる場合、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等の架橋剤を用いることで、架橋構造を形成することができる。
イソシアネート系架橋剤は、架橋性基としてイソシアネート基を有する化合物である。
イソシアネート系架橋剤としては、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;これらの化合物のビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体;等が挙げられる。
エポキシ系架橋剤は、架橋性基としてエポキシ基を有する化合物である。
エポキシ系架橋剤としては、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。
アジリジン系架橋剤は、架橋性基としてアジリジン基を有する化合物である。
アジリジン系架橋剤はとしては、ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカーボキサミド)、トリメチロールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ−β−アジリジニルプロピオネート、トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカーボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリス−1−(2−メチルアジリジン)フォスフィン、トリメチロールプロパントリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネート等が挙げられる。
金属キレート系架橋剤としては、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズ等であるキレート化合物が挙げられ、なかでも、アルミニウムキレート化合物が好ましい。
アルミニウムキレート化合物としては、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート等が挙げられる。
これらの架橋剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの架橋剤を用いて架橋構造を形成する場合、その使用量は、架橋剤の架橋性基(金属キレート系架橋剤の場合は、金属キレート系架橋剤)が、封止樹脂の水酸基及びカルボキシル基に対して、0.1〜5当量となる量が好ましく、0.2〜3当量となる量がより好ましい。
また、(メタ)アクリロイル基等の重合性官能基を有する封止樹脂を用いる場合、光重合開始剤や熱重合開始剤等を用いることで、架橋構造を形成することができる。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、2−クロールアンスラキノン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−ホスフィンオキサイドが挙げられる。
熱重合開始剤としては、過酸化水素;ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等のペルオキソ二硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、過コハク酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドなどの有機過酸化物;等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの重合開始剤を用いて架橋構造を形成する場合、その使用量は、封止樹脂100質量部に対して、0.1〜100質量部が好ましく、1〜100質量部がより好ましい。
封止樹脂層中の封止樹脂の含有量(架橋構造を形成しているときは、架橋構造部を含む)は、封止樹脂層全体に対して、50.0〜99.9質量%が好ましく、70.0〜99.8質量%がより好ましく、90.0〜99.7質量%がさらに好ましい。
本発明のシート状封止材は、後述するように、1の封止樹脂層からなるものであってもよく、2以上の封止樹脂層からなるものであってもよいが、少なくとも1の封止樹脂層は、紫外光を吸収して可視光を放出する波長変換材料を含有する層である。
紫外光とは、波長が200nm以上380nm未満の光をいい、可視光とは、波長が380nm以上780nm未満の光をいう。
封止樹脂層が、波長変換材料を含有することで、本発明のシート状封止材は、紫外線を十分に遮断することができ、耐光性に優れるものとなる。このようなシート状封止材は、有機EL層等のように紫外線により劣化し易いものを封止する際に好適に用いられる。
また、紫外線吸収剤とは異なり、波長変換材料は、封止樹脂層の黄みが強くなり難い。したがって、本発明のシート状封止材は、無色透明性に優れるものとなる。
波長変換材料は、330〜380nmの範囲内に最大吸収波長を有するものが好ましく、340〜370nmの範囲内に最大吸収波長を有するものがより好ましい。また、400〜700nmの範囲内に、最大放出波長を有するものが好ましく、420〜600nmの範囲内に最大放出波長を有するものがより好ましい。
波長変換材料としては、有機蛍光体、高分子蛍光体、金属錯体系蛍光体、無機蛍光体、量子ドット等の蛍光体が挙げられる。
有機蛍光体とは、分子量が5000以下の蛍光性を有する有機化合物をいう。有機蛍光体としては、アリールアミン誘導体、アントラセン誘導体(フェニルアントラセン誘導体)、ペンタセン誘導体、アゾール誘導体(オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾアザトリアゾール誘導体)、チオフェン誘導体(オリゴチオフェン誘導体)、カルバゾール誘導体、ジエン系(シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体)、スチリル誘導体、(ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、スチルベン誘導体)、シロール誘導体、スピロ化合物、トリフェニルアミン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、ピラゾール誘導体(ピラゾリン誘導体)、ピリジン環化合物、ピロール誘導体(ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体)、フルオレン誘導体、フェナントロリン誘導体、ピレン誘導体(フェナントレン誘導体)、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、フェニレン化合物、ローダミン類、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、ベンゾオキサジノン誘導体、キナゾリノン誘導体、キノフタロン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体等が挙げられる。
高分子蛍光体とは、分子量が5000を超える蛍光性を有する有機化合物をいう。高分子蛍光体としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレノン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、ポリチオフェン誘導体及びそれらの共重合体等が挙げられる。
金属錯体系蛍光体とは、発光性イオンに、配位子が配位して形成された蛍光性化合物をいう。
発光性イオンとしては、Al3+、Zn2+、Fe2+、Fe3+、Cu2+、Y3+、Ru3+、Re、Os2+、Ir3+、Pt2+、Au3+、Ce3+、Nd3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Er3+、Yb3+等のイオンが挙げられる。
配位子としては、特に限定はなく、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、4,4−ジフェニル−2,2’−ビピリジル、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン等が挙げられる。
無機蛍光体とは、母結晶に賦活剤として発光性イオンがドープされて形成された蛍光性化合物をいう。
母結晶としては、Mg、K、Ca、Sr、Y、Ba、Zn、Ga、In、Al、La、Gd、V、B、P、Si等の元素を含む、酸化物、複合酸化物、窒化物、硫化物が挙げられる。
発光性イオンとしては、上記の発光性イオンと同様のものが挙げられる。
量子ドットとは、数nm〜数十nmの寸法の化合物半導体粒子で強い蛍光をもつ蛍光体をいう。
量子ドットとしては、例えば、ZnSe、CdS、CdSe、CdSeTe、PbS、PbSe等の材料からなるものが挙げられる。また、これらの材料からなるコア粒子の表面を被覆層(シェル)が被覆しているコアシェル型量子ドットであってもよい。
これらの波長変換材料の中でも、耐光性および無色透明性に優れるシート状封止材が得られ易いことから、有機蛍光体が好ましく、アゾール誘導体がより好ましく、オキサゾール誘導体(例えば、BASF社製の「TINOPAL OB」(商品名)2,5−チオフェンジイルビス−(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)が特に好ましい。
波長変換材料は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
封止樹脂層中の波長変換材料の含有量は、封止樹脂層全体に対して、0.1〜50.0質量%が好ましく、0.2〜30.0質量%がより好ましく、0.3〜10.0質量%がさらに好ましい。
封止樹脂層は、さらに、粘着付与剤を含有してもよい。
封止樹脂層に粘着付与剤を含有させることで、水分遮断性により優れ、かつ、粘着力により優れるシート状封止材が得られ易くなる。
粘着付与剤は、シート状封止材の粘着性を向上させるものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、脂環族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、テルペン樹脂、エステル系樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、オレフィン樹脂、塩素化オレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、及びこれらの変性樹脂又は水素添加された樹脂等が挙げられる。これらの中でも、脂肪族系石油樹脂、テルペン樹脂、ロジンエステル系樹脂、ロジン系樹脂等が好ましい。
粘着付与剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘着付与剤の重量平均分子量は、好ましくは、100〜10,000、より好ましくは500〜5,000である。
粘着付与剤の軟化点は、好ましくは、50〜160℃、より好ましくは60〜140℃、さらに好ましくは70〜130℃である。
また、粘着付与剤として、市販品をそのまま使用することもできる。例えば、市販品としては、エスコレッツ1000シリーズ(エクソン化学社製)、クイントンA、B、R、CXシリーズ(日本ゼオン社製)等の脂肪族系石油樹脂;アルコンP、Mシリーズ(荒川化学社製)、ESCOREZシリーズ(エクソン・ケミカル社製)、EASTOTACシリーズ(イーストマン・ケミカル社製)、IMARVシリーズ(出光興産社製)等の脂環族系石油樹脂;YSレジンP、Aシリーズ(安原油脂社製)、クリアロンPシリーズ(ヤスハラ・ケミカル製)、ピコライトA、Cシリーズ(ハーキュレス社製)等のテルペン系樹脂;フォーラルシリーズ(ハーキュレス社製)、ペンセルAシリーズ、エステルガム、スーパー・エステル、パインクリスタル(荒川化学工業社製)等のエステル系樹脂;等が挙げられる。
封止樹脂層が粘着付与剤を含有する場合、封止樹脂層中の粘着付与剤の含有量は、封止樹脂層全体に対して、0.1〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。
封止樹脂層は、本発明の効果を妨げない範囲で、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、シランカップリング剤、帯電防止剤、光安定剤、酸化防止剤、樹脂安定剤、充填剤、顔料、増量剤、軟化剤等の添加剤が挙げられる。
これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
封止樹脂層がその他の成分を含有する場合、その含有量は、それぞれ、封止樹脂層全体に対して、0.01〜5質量%が好ましく、0.01〜2質量%がより好ましい。
封止樹脂層の厚みは、特に限定されず、目的のシート状封止材の厚みに合わせて適宜決定することができる。封止樹脂層の厚みは、通常、0.1〜100μmであり、1.0〜80μmが好ましく、5.0〜50μmがより好ましい。
本発明のシート状封止材は、1又は2以上の封止樹脂層からなるものである。封止樹脂層数の上限は特にないが、通常、10層以下である。
本発明のシート状封止材が、2以上の封止樹脂層からなるものである場合、そのようなシート状封止材としては、同じ封止樹脂層を2層以上積層させたものであってもよく、異なる封止樹脂層を2層以上積層させたものであってもよい。
異なる封止樹脂層としては、封止樹脂が異なる層、封止樹脂以外の成分や、その含有量が異なる層等が挙げられる。
また、封止樹脂層中に波長変換材料等を過剰に含有させると、接着力が低下することがある。このような場合、シート状封止材を、2以上の封止樹脂層からなる積層体にすることで、接着性の低下を抑制することができる。例えば、両最外層と中間層からなる3層構造のシート状封止材において、中間層のみに波長変換材料を含有させることで、波長変換材料の添加による接着性の低下を防ぐことができる。
上記のように、封止樹脂層を2層以上積層することで、接着性を低下させることなく、耐光性および無色透明性に優れるシート状封止材を効率よく得ることができる。
本発明のシート状封止材は、1又は2以上の封止樹脂層からなるものであるが、これは、封止材として機能している状態を表したものである。すなわち、本発明のシート状封止材は、剥離シート等の、使用前に剥離される層を有するものであってもよい。本発明のシート状封止材が剥離シートを有するものである場合、後述する水蒸気透過率やシート状封止材の厚みは、剥離シートを除いたもの(封止樹脂層)の値である。
剥離シートとしては、従来公知のものを利用することができる。例えば、基材上に、剥離剤により剥離処理された剥離層を有するものが挙げられる。
剥離シート用の基材としては、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のプラスチックフィルム;等が挙げられる。
剥離剤としては、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
本発明のシート状封止材の厚みは、特に限定されないが、好ましくは、0.1〜100μm、より好ましくは、5〜90μm、さらに好ましくは、10〜80μmである。
シート状封止材の厚みが上記範囲内であることで、水分遮断性、耐光性および無色透明性のバランスが取れた封止材が得られ易くなる。
本発明のシート状封止材の、温度40℃、相対湿度90%における、50μm厚に換算したときの水蒸気透過率は、好ましくは30g/(m・day)以下である。下限値は特になく、小さいほど好ましいが、通常は、0.1g/(m・day)以上である。
この水蒸気透過率が、このような範囲にあることで、水分の浸入を十分に抑制することができる。このようなシート状封止材は、電子デバイス用の封止材として好適に用いられる。
シート状封止材の水蒸気透過率の値は、シート状封止材の厚みに依存する。従って、シート状封止材の厚みが50μmでない場合には、その厚みから換算して、50μm厚における水蒸気透過率を求めることができる。例えば、厚みがAμmで、水蒸気透過率がB{g/(m・day)}のシート状封止材の場合、厚みが50μmの時の水蒸気透過率は、A×B/50という式に当てはめて換算して求めることができる。
上記水蒸気透過率は、用いる封止樹脂を適宜選択することで、制御することができる。例えば、封止樹脂層にゴム系ポリマーを多く含有させることで、水蒸気透過率が低いシート状封止材を得ることができる。
水蒸気透過率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明のシート状封止材の、波長370nmにおける光線透過率は1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。波長550nmにおける光線透過率は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
光線透過率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
波長370nmにおける光線透過率が1%以下のシート状封止材は、紫外線を十分に吸収することができ、耐光性に優れるものとなる。このようなシート状封止材は、有機EL層等のように紫外線により劣化し易いものを封止する際に好適に用いられる。
波長370nmにおける光線透過率は、波長変換材料の種類及び含有量や、シート状封止材の厚みを適宜決定することで、所望の値になるように制御することができる。
波長550nmにおける光線透過率が85%以上のシート状封止材は、無色透明性に優れるものとなる。
波長550nmにおける光線透過率は、波長変換材料の種類及び含有量や、シート状封止材の厚みを適宜決定することで、所望の値になるように制御することができる。
上記のように、本発明のシート状封止材は、耐光性に優れるものである。
本発明のシート状封止材が耐光性に優れることは、シート状封止材を介してポリエチレンテレフタレートフィルムに紫外線を照射し、紫外線照射後のポリエチレンテレフタレートフィルムの、CIE1976L表色系におけるb値を測定することで確認することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、2枚のガラス板でシート状封止材を挟んだ測定用サンプルを載置し、温度63℃、相対湿度70%の条件で、測定用サンプルを介してポリエチレンテレフタレートフィルムに紫外線(照度900W/m)を100時間照射し、照射後の、ポリエチレンテレフタレートフィルムの、CIE1976L表色系におけるb値が2以下であることが好ましい。
本発明のシート状封止材の接着性は、180°剥離試験を行うことで評価することができる。具体的には、引張試験機を用いて、300mm/分、剥離角度180°の条件で引張試験を行ったとき、接着力が、3N/25mm以上であるのが好ましい。
このようなシート状封止材であれば、封止したときに、被封止体との界面から水分等が浸入することを十分に防ぐことができる。
シート状封止材の接着性は、用いる封止樹脂や添加剤の種類の選択、封止樹脂層中の架橋構造の形成等により制御することができる。
本発明のシート状封止材の製造方法は特に限定されない。例えば、キャスト法又は押出成形法を用いて、本発明のシート状封止材を製造することができる。
本発明のシート状封止材を、キャスト法により製造する場合、例えば、封止樹脂、波長変換材料等の所定の成分を含有する樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物を、公知の方法により、剥離シートの剥離処理面に塗工し、得られた塗膜を乾燥することで、剥離シート付封止樹脂層(剥離シート付の本発明のシート状封止材)を形成することができる。
樹脂組成物は、所定の成分、溶媒等を、常法に従って適宜混合・攪拌することにより調製することができる。
溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
これらの溶媒は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂組成物の固形分濃度は、10〜60質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましく、15〜30質量%がさらに好ましい。
樹脂組成物を塗工する方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
塗膜を乾燥するときの乾燥条件としては、例えば80〜150℃で30秒〜5分間が挙げられる。
乾燥処理を行った後、そのまま1週間程度静置し、封止樹脂層を養生させてもよい。封止樹脂層を養生させることで、架橋構造を十分に形成することができる。
封止樹脂層の形成後に、封止樹脂層上にもう1枚の剥離シートを積層させることで、両最外層として、それぞれ剥離シートを有するシート状封止材を得ることができる。
また、2以上の封止樹脂層からなるシート状封止材は、複数の封止樹脂層を形成し、これを、その封止樹脂層同士が対向するように積層させることで、得ることができる。
また、封止樹脂層の形成後に、その封止樹脂層上に樹脂組成物を塗工し、得られた塗膜を乾燥する方法によっても、2以上の封止樹脂層からなるシート状封止材を得ることができる。
本発明のシート状封止材を、押出成形法により製造する場合、例えば、封止樹脂、波長変換材料、及びその他の成分をドライブレンドし、このものを原料として用いて、押出製膜法により製膜することで、シート状封止材を得ることができる。
このとき、多層押出製膜法により製膜することで、2以上の封止樹脂層からなるシート状封止材を得ることができる。
本発明のシート状封止材を、多層押出製膜法により製造する場合は、共押出多層フィルムを製造する際に用いられる公知の方法を利用することができる。
本発明のシート状封止材は、水分遮断性、耐光性および無色透明性のすべてに優れるものである。したがって、後述するように、本発明のシート状封止材は、電子デバイスを封止する際に好適に用いられ、特に、紫外線により劣化し易い有機EL素子を封止する封止材として好適に用いられる。
2)封止シート
本発明の封止シートは、1又は2以上の封止樹脂層からなるシート状封止材とガスバリア層とを有する封止シートであって、前記シート状封止材が、本発明のシート状封止材であるものである。
本発明の封止シートのガスバリア層としては特に制限はない。例えば、無機膜や高分子化合物を含む層に、イオン注入、プラズマ処理、紫外線照射処理等の改質処理を施して得られるガスバリア層等が挙げられる。「ガスバリア層」は、空気、酸素、水蒸気等の気体を通過させにくい性質を有する層である。
無機膜としては、特に制限されず、例えば、無機蒸着膜が挙げられる。
無機蒸着膜としては、無機化合物や金属の蒸着膜が挙げられる。
無機化合物の蒸着膜の原料としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等の無機酸化物;窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の無機窒化物;無機炭化物;無機硫化物;酸化窒化ケイ素等の無機酸化窒化物;無機酸化炭化物;無機窒化炭化物;無機酸化窒化炭化物等が挙げられる。
金属の蒸着膜の原料としては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及びスズ等が挙げられる。
これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、ガスバリア性の観点から、無機酸化物、無機窒化物又は金属を原料とする無機蒸着膜が好ましく、さらに、透明性の観点から、無機酸化物又は無機窒化物を原料とする無機蒸着膜が好ましい。
無機蒸着膜を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD(物理的蒸着)法や、熱CVD(化学的蒸着)法、プラズマCVD法、光CVD法等のCVD法が挙げられる。
高分子化合物を含む層(以下、「高分子層」ということがある)に用いる高分子化合物としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体、ケイ素含有高分子化合物等が挙げられる。これらの高分子化合物は1種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
これらの中でも、優れたガスバリア性を有するガスバリア層を形成できる観点から、ケイ素含有高分子化合物が好ましい。ケイ素含有高分子化合物としては、公知のものを用いることができる。例えば、ポリシラザン化合物、ポリカルボシラン化合物、ポリシラン化合物、及びポリオルガノシロキサン化合物等が挙げられる。これらの中でも、ポリシラザン化合物が好ましい。
ポリシラザン系化合物は、分子内に−Si−N−結合(シラザン結合)を含む繰り返し単位を有する高分子化合物である。具体的には、式(1)
Figure 2015147096
で表される繰り返し単位を有する化合物が好ましい。また、用いるポリシラザン系化合物の数平均分子量は、特に限定されないが、100〜50,000であるのが好ましい。
前記式(1)中、nは任意の自然数を表す。
Rx、Ry、Rzは、それぞれ独立して、水素原子、無置換若しくは置換基を有するアルキル基、無置換若しくは置換基を有するシクロアルキル基、無置換若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換若しくは置換基を有するアリール基又はアルキルシリル基等の非加水分解性基を表す。
前記無置換若しくは置換基を有するアルキル基のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
無置換若しくは置換基を有するシクロアルキル基のシクロアルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。
無置換若しくは置換基を有するアルケニル基のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
前記アルキル基、シクロアルキル基及びアルケニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;チオール基;エポキシ基;グリシドキシ基;(メタ)アクリロイルオキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するアリール基;等が挙げられる。
無置換又は置換基を有するアリール基のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。
前記アリール基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;ヒドロキシル基;チオール基;エポキシ基;グリシドキシ基;(メタ)アクリロイルオキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するアリール基;等が挙げられる。
アルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリt-ブチルシリル基、メチルジエチルシリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、メチルシリル基、エチルシリル基等が挙げられる。
これらの中でも、Rx、Ry、Rzとしては、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
前記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリシラザン系化合物としては、Rx、Ry、Rzが全て水素原子である無機ポリシラザン、Rx、Ry、Rzの少なくとも1つが水素原子ではない有機ポリシラザンのいずれであってもよい。
また、本発明においては、ポリシラザン系化合物として、ポリシラザン変性物を用いることもできる。ポリシラザン変性物としては、特開昭62−195024号公報、特開平2−84437号公報、特開昭63−81122号公報、特開平1−138108号公報等、特開平2−175726号公報、特開平5−238827号公報、特開平5−238827号公報、特開平6−122852号公報、特開平6−306329号公報、特開平6−299118号公報、特開平9−31333号公報、特開平5−345826号公報、特開平4−63833号公報等に記載されているものが挙げられる。
これらの中でも、ポリシラザン系化合物としては、入手容易性、及び優れたガスバリア性を有するイオン注入層を形成できる観点から、Rx、Ry、Rzが全て水素原子であるペルヒドロポリシラザンが好ましい。
また、ポリシラザン系化合物としては、ガラスコーティング材等として市販されている市販品をそのまま使用することもできる。
ポリシラザン系化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記高分子層は、上述した高分子化合物の他に、本発明の目的を阻害しない範囲で他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、硬化剤、他の高分子、老化防止剤、光安定剤、難燃剤等が挙げられる。
高分子層中の高分子化合物の含有量は、より優れたガスバリア性を有するガスバリア層が得られることから、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
高分子層の厚みは特に制限されないが、好ましくは50〜300nm、より好ましくは50〜200nmの範囲である。
本発明においては、高分子層の厚みがナノオーダーであっても、充分なガスバリア性を有する封止シートを得ることができる。
高分子層を形成する方法としては、例えば、高分子化合物の少なくとも一種、所望により他の成分、及び溶剤等を含有する層形成用溶液を、スピンコーター、ナイフコーター、グラビアコーター等の公知の装置を使用し、塗布し、得られた塗膜を適度に乾燥して形成する方法が挙げられる。
高分子層の改質処理としては、イオン注入処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。
イオン注入処理は、後述するように、高分子層にイオンを注入して、高分子層を改質する方法である。
プラズマ処理は、高分子層をプラズマ中に晒して、高分子層を改質する方法である。例えば、特開2012−106421号公報に記載の方法に従って、プラズマ処理を行うことができる。
紫外線照射処理は、高分子層に紫外線を照射して高分子層を改質する方法である。例えば、特開2013−226757号公報に記載の方法に従って、紫外線改質処理を行うことができる。
これらの中でも、高分子層の表面を荒らすことなく、その内部まで効率よく改質し、よりガスバリア性に優れるガスバリア層を形成できることから、イオン注入処理が好ましい。
高分子層に注入されるイオンとしては、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスのイオン;フルオロカーボン、水素、窒素、酸素、二酸化炭素、塩素、フッ素、硫黄等のイオン;
メタン、エタン等のアルカン系ガス類のイオン;エチレン、プロピレン等のアルケン系ガス類のイオン;ペンタジエン、ブタジエン等のアルカジエン系ガス類のイオン;アセチレン等のアルキン系ガス類のイオン;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系ガス類のイオン;シクロプロパン等のシクロアルカン系ガス類のイオン;シクロペンテン等のシクロアルケン系ガス類のイオン;金属のイオン;有機ケイ素化合物のイオン;等が挙げられる。
これらのイオンは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、より簡便にイオンを注入することができ、特に優れたガスバリア性を有するガスバリア層を形成することができることから、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスのイオンが好ましい。
イオンを注入する方法としては、特に限定されない。例えば、電界により加速されたイオン(イオンビーム)を照射する方法、プラズマ中のイオンを注入する方法等が挙げられ、簡便にガスバリア層を形成することができることから、後者のプラズマイオンを注入する方法が好ましい。
本発明の封止シートにおいて、ガスバリア層の厚みは特に制限されない。ガスバリア性と取り扱い性の観点から、通常、10〜2000nm、好ましくは20〜1000nm、より好ましくは30〜500nm、さらに好ましくは40〜200nmの範囲である。
また、ガスバリア層の配置位置は特に限定されず、封止樹脂層上に直接形成されていてもよいし、その他の層を介して形成されていてもよい。
本発明の封止シートは、1又は2以上の封止樹脂層からなるシート状封止材とガスバリアフィルムとを有する封止シートであって、前記シート状封止材が、本発明のシート状封止材であるものであってもよい。
1又は2以上の封止樹脂層からなるシート状封止材とガスバリアフィルムとを有する封止シートにおいては、ガスバリアフィルムのガスバリア層側の面にシート状封止材が積層されていることが好ましい。
ガスバリアフィルムは、基材フィルム上に、直接又はその他の層を介して、ガスバリア層が形成されてなるものである。
基材フィルムとしては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体、ポリウレタン系ポリマー等の樹脂製のフィルムを用いることができる。
基材フィルムの厚みは、特に制限はないが、取り扱い易さの観点から、好ましくは0.5〜500μm、より好ましくは1〜200μm、さらに好ましくは5〜100μmである。
ガスバリアフィルムのガスバリア層としては、先に説明したものと同様のものが挙げられる。
ガスバリア層は、単層であっても、複数層であってもよい。
ガスバリアフィルムは、保護層、導電体層、プライマー層等のその他の層をさらに有していてもよい。これらの層が積層される位置は、特に限定されない。
ガスバリアフィルムの、温度40℃、相対湿度90%における水蒸気透過率は、0.1g/(m・day)以下が好ましく、0.05g/(m・day)以下がより好ましく、0.005g/(m・day)以下がさらに好ましい。
水蒸気透過率が0.1g/(m・day)以下であることで、シート状封止材の上下面を通過する水分量を十分に低下させることができる。
ガスバリアフィルムの水蒸気の透過率は、公知のガス透過率測定装置を使用して測定することができる。
ガスバリアフィルムの全光線透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。
ガスバリアフィルムの全光線透過率が80%以上であることで、本発明の封止シートを、透明性が要求される、透明基板上に形成された素子の封止材として好適に用いることができる。
ガスバリアフィルムのガスバリア層の厚みは特に制限されない。ガスバリア性と取り扱い性の観点から、通常、10〜2000nm、好ましくは20〜1000nm、より好ましくは30〜500nm、さらに好ましくは40〜200nmの範囲である。
ガスバリアフィルムを用いて本発明の封止シートを製造する方法としては、例えば、以下の製造方法1や製造方法2が挙げられる。
(製造方法1)
先ず、剥離シートを用意し、該剥離シートの剥離処理面上に、封止樹脂層形成用の樹脂組成物を塗工し、得られた塗膜を乾燥して、シート状封止材を形成することで、剥離シート付シート状封止材(剥離シート付の、本発明のシート状封止材)を得る。次いで、得られた剥離シート付シート状封止材とガスバリアフィルムを、ガスバリアフィルムのガスバリア層とシート状封止材が対向するように積層させることで、剥離シート付の封止シートを得ることができる。
剥離シート付シート状封止材とガスバリアフィルムの積層方法は特に限定されない。例えば、剥離シート付シート状封止材とガスバリアフィルムとを重ね合わせ、ローラー等を用いて押圧することでこれらを積層することができる。押圧する際は、室温で行ってもよいし、加熱しながら行ってもよい。加熱しながら押圧する場合、温度は特に限定されないが、通常、150℃以下である。
(製造方法2)
先ず、ガスバリアフィルムを用意し、このガスバリアフィルムのガスバリア層上に、封止樹脂層形成用の樹脂組成物を公知の方法により塗工し、得られた塗膜を乾燥して、シート状封止材を形成することで、目的とする封止シートを得ることができる。また、封止シートを形成した後、得られた封止シートのシート状封止材を保護するために、該シート状封止材上に剥離シートを積層することにより、剥離シート付の封止シートを得ることができる。
製造方法1、2で用いる封止樹脂層形成用の樹脂組成物や、この樹脂組成物の塗工方法、乾燥条件等としては、先にシート状封止材の中で説明した樹脂組成物や、その塗工方法、乾燥条件等と同様のものが挙げられる。
また、本発明のシート状封止材の製造方法で示したものと同様の方法により、複数の封止樹脂層を有するシート状封止材を形成してもよい。
本発明の封止シートの、温度40℃、相対湿度90%における水蒸気透過率は、0.1g/(m・day)以下が好ましく、0.05g/(m・day)以下がより好ましく、0.005g/(m・day)以下がさらに好ましい。
本発明の封止シートの、JIS Z 8729−1994に規定されるCIE L表色系におけるb値が、−2〜+2の範囲であることが好ましく、−1〜+1の範囲であることがより好ましい。
本発明の封止シートは、水分遮断性、耐光性および無色透明性に優れるシート状封止材を有するものである。したがって、後述するように、本発明のシート状封止材は、電子デバイスを封止する際に好適に用いられ、特に、紫外線により劣化し易い有機EL素子を封止する封止材として好適に用いられる。
3)電子デバイス封止体
本発明の電子デバイス封止体は、本発明のシート状封止材、または、本発明の封止シートによって、電子デバイスが封止されてなるものである。
本発明の電子デバイス封止体としては、例えば、透明基板と、該透明基板上に形成された素子と、該素子を封止するための封止材とを備える電子デバイス封止体であって、前記封止材が、本発明のシート状封止材であるもの、又は、透明基板と、該透明基板上に形成された素子と、該素子を覆うように積層された封止シートとを備える電子デバイス封止体であって、前記封止シートが、本発明の封止シートであるものが挙げられる。
電子デバイスとしては、有機トランジスタ、有機メモリー、有機EL素子等の有機デバイス;液晶ディスプレイ;電子ペーパー;薄膜トランジスタ;エレクトロクロミックデバイス;電気化学発光デバイス;タッチパネル;太陽電池;熱電変換デバイス;圧電変換デバイス;蓄電デバイス;等が挙げられる。
素子としては、電気エネルギーを光に変換する素子(発光ダイオード、半導体レーザー等)や、逆に光を電気エネルギーに変換する素子(フォトダイオード、太陽電池等)である光電変換素子;有機EL素子等の発光素子;などが挙げられる。
透明基板上に形成される素子の、種類や大きさ、形状、個数等は、特に制限されない。
素子が形成される透明基板は、特に限定されるものではなく、種々の基板材料を用いることができる。特に可視光の透過率が高い基板材料を用いることが好ましい。また、素子外部から浸入しようとする水分やガスを阻止する遮断性能が高く、耐溶剤性や耐候性に優れている材料が好ましい。具体的には、石英やガラスなどの透明無機材料;ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、アセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリスルホン類、ポリオレフィン類などの透明プラスチック;が挙げられる。
透明基板の厚さは特に制限されず、光の透過率や、素子内外を遮断する性能を勘案して、適宜選択することができる。
また、透明基板上には、透明導電層が設けられていてもよい。透明電極層のシート抵抗は、500Ω/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であることがさらに好ましい。
透明導電層を形成する材料としては、公知の材料を用いることができる、具体的には、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)、フッ素がドープされた酸化スズ(IV)SnO2(FTO)、酸化スズ(IV)SnO、酸化亜鉛(II)ZnO、インジウム−亜鉛複合酸化物(IZO)などが挙げられる。
これらの材料は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のシート状封止材または封止シートを用いて電子デバイスを封止する方法としては、電子デバイス上に、本発明のシート状封止材または封止シートを載置し、その上に必要に応じて、ガスバリアフィルム等を載置し、これらを熱圧着して貼り合わせる方法が挙げられる。熱圧着する際の温度は特に限定されないが、通常、150℃以下である。
本発明の電子デバイス封止体は、本発明のシート状封止材または封止シートを用いて電子デバイスが封止されたものである。したがって、本発明の電子デバイス封止体は、水分の浸入や紫外線による性能低下が起こりにくいものである。
これらの特徴がより生かされることから、本発明の電子デバイス封止体としては、有機EL素子が好ましいものとして挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例になんら限定されるものではない。
各例中の部及び%は、特に断りのない限り、質量基準である。
(化合物)
各例で用いた化合物や材料を以下に示す。
封止樹脂(1):イソブチレンとイソプレンの共重合体(日本ブチル社製、商品名:Exxon Butyl 268、数平均分子量260,000、イソプレンの含有率1.7モル%)
封止樹脂(2):無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(三井化学社製、商品名:AdmerSE731)
なお、封止樹脂(1)の数平均分子量は、下記条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィーを行い、標準ポリスチレン換算値として求めた。
装置:東ソー社製、HLC−8020
カラム:東ソー社製、TSK guard column HXL−H、TSK gel GMHXL(×2)、TSK gel G2000HXL
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/min
波長変換材料(1):オキサゾール系波長変換材料(オキサゾール誘導体)(BASF社製、製品名:TINOPAL OB、最大吸収波長375nm、最大放出波長435nm)
剥離シート(1):シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、製品名:SP−PET381130、厚み38μm)
剥離シート(2):シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、製品名:SP−PET38T103−1、厚み38μm)
〔製造例1〕ガスバリアフィルム
基材フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製、製品名:コスモシャインA4100、厚さ50μm)を用い、この基材フィルム上に、ポリシラザン化合物(ペルヒドロポリシラザンを主成分とするコーティング材(クラリアントジャパン社製、製品名:アクアミカNL110−20)をスピンコート法により塗布し、得られた塗膜を120℃で1分間加熱して、厚さ150nmの、ペルヒドロポリシラザンを含むポリシラザン層を形成した。次に、プラズマイオン注入装置を用いてポリシラザン層の表面に、下記の条件にて、アルゴン(Ar)をプラズマイオン注入して、ガスバリア層を形成して、ガスバリアフィルムを作製した。
ガスバリア層を形成するために用いたプラズマイオン注入装置及びイオン注入条件は以下の通りである。
(プラズマイオン注入装置)
RF電源:日本電子社製、型番号「RF」56000
高電圧パルス電源:栗田製作所社製、「PV−3−HSHV−0835」
(プラズマイオン注入条件)
プラズマ生成ガス:Ar
ガス流量:100sccm
Duty比:0.5%
印加電圧:−15kV
RF電源:周波数 13.56MHz、印加電力 1000W
チャンバー内圧:0.2Pa
パルス幅:5μsec
処理時間(イオン注入時間):200秒
〔実施例1〕
封止樹脂(1)100部、波長変換材料(1)0.8部をトルエンに溶解し、固形分濃度20%の樹脂組成物Aを得た。
樹脂組成物Aを、剥離シート(1)の剥離処理面上に、乾燥後の厚みが20μmになるように塗工し、得られた塗膜を120℃で2分間乾燥し、封止樹脂層を形成した。次いで、得られた封止樹脂層上に、剥離シート(2)を、その剥離処理面で貼り合せて、剥離シート付シート状封止材を得た。
〔実施例2、比較例1〕
各成分とその配合量及び乾燥後の厚みを、第1表に記載のものに変更したことを除き、実施例1と同様にして、剥離シート付シート状封止材を得た。
〔実施例3〕
封止樹脂(2)100部、波長変換材料(1)0.4部をドライブレンドし、押出製膜法にて厚み40μmのシート状封止材を得た。
実施例1〜3及び比較例1で得たシート状封止材について、以下の測定を行った。
(水蒸気透過率測定)
剥離シートを剥離したシート状封止材(実施例3においては、得られたシート状封止材)を、2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製、厚さ6μm)で挟むことで、水蒸気透過率測定用のサンプルを得た。次いで、水蒸気透過率測定装置(LYSSY社製、L80−5000)を用いて、温度40℃、相対湿度90%における、封止材の水蒸気透過率を測定した。
測定結果に対して、下記の計算を行い、厚みが50μmのときの水蒸気透過率を算出した。得られた、厚みが50μmのときの水蒸気透過率を第1表に示す。
Figure 2015147096
(光線透過率)
剥離シートを剥離したシート状封止材(実施例3においては、得られたシート状封止材)を、ガラス板(エヌ・エス・ジー・プレシジョン社製、コーニングガラスイーグルXG、150mm×70mm×2mm)に加熱圧着させ、シート状封止材とガラス板からなる測定用サンプルを得た。
このサンプルの光線透過率を、可視光透過率測定装置(島津製作所社製、UV−3101PC)を用いて測定した。550nmにおける光線透過率を第1表に示す。
(接着力測定)
剥離シートを剥離したシート状封止材(実施例3においては、得られたシート状封止材)を、ポリエチレンテレフタレートシートに貼付し、次いで、これを25mm×300mmの大きさに裁断した。このものを、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、ガラス板(ソーダライムガラス、日本板硝子社製)に加熱圧着させて測定用サンプルを得た。
得られた測定用サンプルを、温度23℃、相対湿度50%の環境下に24時間静置した後、同環境下で、引張試験機(オリエンテック社製、テンシロン)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で剥離試験を行い、接着力(N/25mm)を測定した。測定結果を第1表に示す。
(耐光性評価)
剥離シートを剥離したシート状封止材(実施例3においては、得られたシート状封止材)を、2枚のガラス板で挟み、測定用サンプルを得た。このものを、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に載置し、ポリエチレンテレフタレートフィルム/ガラス板/シート状封止材/ガラス板、の順の層構造を有する積層体とした。
次いで、促進耐候性試験機(岩崎電気社製、アイ スーパーUVテスター SUV−13)を用いて、温度63℃、相対湿度70%の条件で、ガラス板側から、紫外線(照度900W/m)を100時間照射した。
紫外線照射後に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの、CIE1976L表色系におけるb値を、JIS Z 8729−1994に準拠し、分光光度計(島津製作所社製、MPC3100)を用いて測定し、以下の基準により耐候性を評価した。評価結果を第1表に示す。
○:b値が2以下
×:b値が2を超える
(有機EL素子の耐久性評価)
ガラス基板を溶媒で洗浄し、次いでUV/オゾン処理を行った後、その表面に、アルミニウム(Al)(高純度化学研究所社製)を0.1nm/sの速度で100nm蒸着させて陰極を形成した。
得られた陰極(Al膜)上に、(8−ヒドロキシ−キノリノレート)リチウム(Luminescence Technology社製)を10nm、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Luminescence Technology社製)を10nm、トリス(8−ヒドロキシ−キノリネート)アルミニウム(Luminescence Technology社製)を40nm、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジデン)(Luminescence Technology社製)を60nm、0.1〜0.2nm/sの速度で順次蒸着させ、発光層を形成した。
得られた発光層上に、酸化インジウムスズ(ITO)膜(厚さ:100nm、シート抵抗:50Ω/□)をスパッタリング法により形成して陽極を作製し、有機EL素子を得た。なお、蒸着時の真空度は、全て1×10−4Pa以下である。
次いで、剥離シートを剥離したシート状封止材(実施例3においては、得られたシート状封止材)を、窒素雰囲気下で、ホットプレートを用いて120℃で10分間加熱して乾燥させた後、そのまま放置して室温まで冷却した。
次いで、ガラス基板上に形成された有機EL素子を覆うように、シート状封止材を載置し、その上にガスバリアフィルムを載置し、100℃で圧着して、有機EL素子を封止し、トップエミッション型の電子デバイスを得た。
次いで、有機EL素子を、温度23℃、相対湿度50%の環境下で200時間放置した後、有機EL素子を起動させ、ダークスポット(非発光箇所)の有無を観察し、以下の基準で評価した。評価結果を第1表に示す。
〔評価基準〕
○:ダークスポットが発光面積の10%未満
×:ダークスポットが発光面積の10%以上
Figure 2015147096
第1表から、以下のことがわかる。
本願実施例1〜3のシート状封止材は、水分遮断性、耐光性および無色透明性のすべてに優れる。また、十分な接着力を有し、有機EL素子の耐久性にも優れている。
一方、比較例1のシート状封止材は、耐光性に劣っている。

Claims (12)

  1. 1又は2以上の封止樹脂層からなるシート状封止材であって、
    少なくとも1の封止樹脂層が、紫外光を吸収して可視光を放出する波長変換材料を含有する層であることを特徴とするシート状封止材。
  2. 前記波長変換材料が、有機蛍光体、高分子蛍光体、金属錯体系蛍光体、無機蛍光体、量子ドットからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のシート状封止材。
  3. 前記波長変換材料が、有機蛍光体である、請求項1に記載のシート状封止材。
  4. 前記シート状封止材の、温度23℃、相対湿度50%の環境下での、ガラスに対する接着力が、3N/25mm以上である、請求項1に記載のシート状封止材。
  5. 前記シート状封止材の、波長550nmにおける光線透過率は85%以上である、請求項1に記載のシート状封止材。
  6. 前記シート状封止材の、温度40℃、相対湿度90%における、50μm厚に換算したときの水蒸気透過率は、30g/(m・day)以下である、請求項1に記載のシート状封止材。
  7. 電子デバイスの封止に用いられる、請求項1に記載のシート状封止材。
  8. 有機EL素子の封止に用いられる、請求項1に記載のシート状封止材。
  9. 1又は2以上の封止樹脂層からなるシート状封止材とガスバリア層とを有する封止シートであって、
    前記シート状封止材が、請求項1に記載のシート状封止材であることを特徴とする封止シート。
  10. 1又は2以上の封止樹脂層からなるシート状封止材とガスバリアフィルムとを有する封止シートであって、
    前記シート状封止材が、請求項1に記載のシート状封止材であることを特徴とする封止シート。
  11. 電子デバイスの封止に用いられる、請求項9または10に記載の封止シート。
  12. 請求項1に記載のシート状封止材、または請求項9若しくは10に記載の封止シートによって、電子デバイスが封止されてなる電子デバイス封止体。
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