JPWO2015125533A1 - 発光性薄膜積層体、発光性薄膜積層体の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

発光性薄膜積層体、発光性薄膜積層体の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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和博 及川
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Abstract

少なくとも1層以上の発光性有機半導体薄膜を含み、原子堆積法(Atomic Layer Deposition)により形成されたALD薄膜層と、ALD薄膜層よりも上層に湿式法で形成された、少なくとも1層以上の有機層とを備える発光性薄膜積層体を構成する。

Description

本発明は、1層以上の発光性有機半導体薄膜を含む発光性薄膜積層体、及び、発光性薄膜積層体の製造方法、並びに、この発光性薄膜積層体を備える有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に係わる。
発光型の電子ディスプレイデバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)が挙げられる。有機EL素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用して発光する素子である。数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、さらに自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、また、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。さらには、有機EL素子は面光源であるという特徴も有している。
有機EL素子の面発光及び高効率光源としての魅力が高まるにつれ、その商品用途としての機能から、高効率、高輝度及び長寿命の全てを満足させる必要が高まっている。これらの要求に対して、発光ユニットを電荷発生層により直列接続して複数段積層したマルチ・フォトン・エミッション(MPE)技術により、マルチユニット構造を有する有機EL素子が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
上述のMPE技術を用いた有機EL素子は、素子の長寿命化及び高輝度化等を目的として複数の発光層が設けられ、この発光層と発光層との間に電荷発生層が設けられる。電荷発生層は、例えば、電子注入特性を有する無機半導体材料からなる電子発生層と、正孔注入特性を有する正孔発生層とが積層されて構成される。これら電子発生層及び正孔発生層は、共蒸着又は単独で蒸着することにより形成される。
しかし、MPE技術を用いた有機EL素子は、性能がよい反面、電子発生層が共蒸着又は単独で蒸着することにより形成されるため、設備投資や材料利用効率、製造スピードの観点で製造コストが高くなる問題がある。
これに対して、製造コストを下げる方法として、イオン性ポリマーを用いた湿式法により、電荷発生層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−329748号公報 特開2012−38636号公報
しかしながら、湿式法を用いると、上層の溶媒が下層の有機膜中を浸透し、下層の溶解、下層表面の荒れ、下層を構成する材料の結晶化を促進する等により、素子全体の性能が低下する問題がある。このため、蒸着法を用いた場合と同様の発光層の積層構造を、湿式法を用いて形成することができない。つまり、湿式法の溶媒による機能低下を抑制することが可能な発光層の積層構造や、有機EL素子を実現することができていない。
上述した問題の解決のため、本発明においては、湿式法を用いても機能低下を抑制することが可能な構成の発光性薄膜積層体、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子を提供するものである。
本発明の発光性薄膜積層体は、少なくとも1層以上の発光性有機半導体薄膜を含み、原子堆積(Atomic Layer Deposition;ALD)法により形成されたALD薄膜層と、ALD薄膜層よりも上層に湿式法で形成された、少なくとも1層以上の有機層とを備える。
そして、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記発光性薄膜積層体を備える。
また、本発明の発光性薄膜積層体の製造方法は、第1有機層を形成する工程と、第1有機層を形成する工程の後に、原子堆積(Atomic Layer Deposition;ALD)法を用いてALD薄膜層を形成する工程と、ALD薄膜層を形成する工程の後に、湿式法を用いて第2有機層を形成する工程と、を含む。
そして、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、上記発光性薄膜積層体の製造工程を含む。
本発明の発光性薄膜積層体、有機エレクトロルミネッセンス素子、発光性薄膜積層体の製造方法、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法によれば、原子堆積(ALD)法を用いて緻密で欠陥の無いALD薄膜層が形成された後、このALD薄膜層上に湿式法により有機層が形成される。このため、緻密で欠陥の無いALD薄膜層が、湿式法で用いられる溶媒の下層への浸透を抑制することができる。この結果、湿式法を用いても、溶媒の浸透による下層の性能低下を抑制することが可能な、発光性薄膜積層体、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製することができる。
本発明によれば、湿式法を用いて作製が可能な発光性薄膜積層体、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
実施形態の発光性薄膜積層体の構成を示す図である。 ALD成膜用のロールツーロール装置の概略構成を示す図である。 ALD成膜用のロールツーロール装置の概略構成を示す図である。 ALD成膜用のロールツーロール装置に用いるコーティングヘッドの概略構成を示す図である。 実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.発光性薄膜積層体の実施形態
2.発光性薄膜積層体の製造方法
3.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態
4.有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
〈1.発光性薄膜積層体の実施形態〉
以下本発明の発光性薄膜積層体の具体的な実施の形態について説明する。
図1に、本実施形態の発光性薄膜積層体の構成を示す。
図1に示す発光性薄膜積層体10は、基材11、第1発光層12、中間層13、及び、第2発光層14からなる。具体的には、発光性薄膜積層体10は、基材11上に第1発光層12が形成されている。そして、第1発光層12上に、原子層堆積(Atomic Layer Deposition;ALD)法を用いて形成された中間層13を備える。さらに、中間層13上に、湿式法により形成された第2発光層14を備える。第1発光層12及び第2発光層14は、少なくとも1層以上の発光性有機半導体薄膜(有機層)を含んで構成されている。
以下、発光性薄膜積層体10の各構成について説明する。
[基材]
発光性薄膜積層体10に用いる基材11は、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、好ましくは、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましくは、発光性薄膜積層体10にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜等によるバリア膜が形成されていてもよい。バリア膜は、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましい。更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、10−3ml/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度が、10−5g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子等の浸入を抑制する機能を有する材料であればよい。例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に、バリア膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層との積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。例えば、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが好ましい。
[第1発光層]
第1発光層12は、電極又は隣接層から注入される電子と正孔とが再結合し、励起子を経由して発光する場を提供する、発光性有機半導体薄膜を含む層である。第1発光層12は、発光ドーパント(発光性ドーパント化合物、ドーパント化合物、単にドーパントともいう)と、ホスト化合物(マトリックス材料、発光ホスト化合物、単にホストともいう)とを含有することが好ましい。
第1発光層12の形成方法は特に制限はなく、従来公知の例えば真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセス)等により形成することができる。第1発光層12は、発光性薄膜積層体10の製造コストから湿式法で形成することが好ましい。
(1.発光ドーパント)
発光ドーパントとしては、蛍光発光性ドーパント(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう)、及び、リン光発光性ドーパント(リン光ドーパント、リン光性化合物ともいう)が好ましく用いられる。発光層中の発光ドーパントの濃度については、使用される特定のドーパント及びデバイスの必要条件に基づいて、任意に決定することができる。光ドーパントの濃度は、発光層の膜厚方向に対し、均一な濃度で含有されていてもよく、また任意の濃度分布を有していてもよい。
また、発光層は、複数種の発光ドーパントが含まれていてもよい。例えば、構造の異なるドーパント同士の組み合わせや、蛍光発光性ドーパントとリン光発光性ドーパントとを組み合わせて用いてもよい。これにより、任意の発光色を得ることができる。
発光性薄膜積層体10は、1層又は複数層の発光層が、発光色の異なる複数の発光ドーパントを含有し、白色発光を示すことが好ましい。白色を示す発光ドーパントの組み合わせについては特に限定はないが、例えば青と橙との組み合わせや、青と緑と赤との組み合わせ等が挙げられる。発光性薄膜積層体10における白色としては、2度視野角正面輝度を前述の方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がx=0.39±0.09、y=0.38±0.08の領域内にあることが好ましい。
(1−1.リン光発光性ドーパント)
リン光発光性ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、25℃においてリン光量子収率が0.01以上の化合物である。発光層に用いるリン光発光性ドーパントにおいて、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できる。発光層に用いるリン光発光性ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光発光性ドーパントの発光は、原理として二種挙げられる。
一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上で、キャリアの再結合によるホスト化合物の励起状態が生成される。このエネルギーをリン光発光性ドーパントに移動させることでリン光発光性ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型である。もう一つは、リン光発光性ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光発光性ドーパント上でキャリアの再結合が起こり、リン光発光性ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、リン光発光性ドーパントの励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
リン光発光性ドーパントは、有機EL素子の発光層に使用される公知の材料から適宜選択して用いることができる。
公知のリン光発光性ドーパントの具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。
リン光発光性化合物としては、特開2013−4245の段落[0185]〜[0235]に記載の一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)で表される化合物、及び、例示化合物(Pt−1〜Pt−3、Os−1、Ir−1〜Ir−45)を好ましく挙げることができる。また、その他の例示化合物として、Ir−46、Ir−47、Ir−48、を以下に示す。
Figure 2015125533
Nature 395,151 (1998)、Appl. Phys. Lett. 78, 1622 (2001)、Adv. Mater. 19, 739 (2007)、Chem. Mater. 17, 3532 (2005)、Adv. Mater. 17, 1059 (2005)、国際公開第2009100991号、国際公開第2008101842号、国際公開第2003040257号、米国特許公開第2006835469号、米国特許公開第20060202194号、米国特許公開第20070087321号、米国特許公開第20050244673号
Inorg. Chem. 40, 1704 (2001)、Chem. Mater. 16, 2480 (2004)、Adv. Mater. 16, 2003 (2004)、Angew. Chem. lnt. Ed. 2006, 45, 7800、Appl. Phys. Lett. 86, 153505 (2005)、Chem. Lett. 34, 592 (2005)、Chem. Commun. 2906 (2005)、Inorg. Chem. 42, 1248 (2003)、国際公開第2009050290号、国際公開第2002015645号、国際公開第2009000673号、米国特許公開第20020034656号、米国特許第7332232号、米国特許公開第20090108737号、米国特許公開第20090039776号、米国特許第6921915号、米国特許第6687266号、米国特許公開第20070190359号、米国特許公開第20060008670号、米国特許公開第20090165846号、米国特許公開第20080015355号、米国特許第7250226号、米国特許第7396598号、米国特許公開第20060263635号、米国特許公開第20030138657号、米国特許公開第20030152802号、米国特許第7090928号
Angew. Chem. lnt. Ed. 47, 1 (2008)、Chem. Mater. 18, 5119 (2006)、Inorg. Chem.46, 4308 (2007)、Organometallics 23, 3745 (2004)、Appl. Phys. Lett. 74, 1361 (1999)、国際公開第2002002714号、国際公開第2006009024号、国際公開第2006056418号、国際公開第2005019373号、国際公開第2005123873号、国際公開第2005123873号、国際公開第2007004380号、国際公開第2006082742号、米国特許公開第20060251923号、米国特許公開第20050260441号、米国特許第7393599号、米国特許第7534505号、米国特許第7445855号、米国特許公開第20070190359号、米国特許公開第20080297033号、米国特許第7338722号、米国特許公開第20020134984号、米国特許第7279704号、米国特許公開第2006098120号、米国特許公開第2006103874号
国際公開第2005076380号、国際公開第2010032663号、国際公開第第2008140115号、国際公開第2007052431号、国際公開第2011134013号、国際公開第2011157339号、国際公開第2010086089号、国際公開第2009113646号、国際公開第2012020327号、国際公開第2011051404号、国際公開第2011004639号、国際公開第2011073149号、米国特許公開第2012228583号、米国特許公開第2012212126号、特開2012−069737号公報、特開2012−195554号公報、特開2009−114086号公報、特開2003−81988号公報、特開2002−302671号公報、特開2002−363552号公報
中でも、好ましいリン光発光性ドーパントとしては、Irを中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。さらに好ましくは、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも1つの配位様式を含む錯体が好ましい。
(1−2.蛍光発光性ドーパント)
蛍光発光性ドーパントは、励起一重項からの発光が可能な化合物であり、励起一重項からの発光が観測される限り特に限定されない。
蛍光発光性ドーパントしては、例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、ペリレン誘導体、フルオレン誘導体、アリールアセチレン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、アリールアミン誘導体、ホウ素錯体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、シアニン誘導体、クロコニウム誘導体、スクアリウム誘導体、オキソベンツアントラセン誘導体、フルオレセイン誘導体、ローダミン誘導体、ピリリウム誘導体、ペリレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、又は希土類錯体系化合物等が挙げられる。
また、蛍光発光性ドーパントして、遅延蛍光を利用した発光ドーパント等を用いてもよい。
遅延蛍光を利用した発光ドーパントの具体例としては、例えば、国際公開第2011/156793号、特開2011−213643号公報、特開2010−93181号公報等に記載の化合物が挙げられる。
(2.ホスト化合物)
ホスト化合物は、発光層において主に電荷の注入及び輸送を担う化合物であり、有機EL素子においてそれ自体の発光は実質的に観測されない。
好ましくは室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物であり、さらに好ましくは、リン光量子収率が0.01未満の化合物である。また、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
また、ホスト化合物の励起状態エネルギーは、同一層内に含有される発光ドーパントの励起状態エネルギーよりも高いことが好ましい。
ホスト化合物は、単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子の高効率化が可能となる。
発光層に用いるホスト化合物としては、特に制限はなく、従来有機EL素子で用いられる化合物を用いることができる。例えば、低分子化合物や、繰り返し単位を有する高分子化合物でもよく、或いは、ビニル基やエポキシ基のような反応性基を有する化合物でもよい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能または電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、さらに、有機EL素子の高温駆動時や素子駆動中の発熱に対する安定性の観点から、高いガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。ホスト化合物としては、Tgが90℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上である。
ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
有機EL素子に用いられる、公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報、米国特許公開第20030175553号、米国特許公開第20060280965号、米国特許公開第20050112407号、米国特許公開第20090017330号、米国特許公開第20090030202号、米国特許公開第20050238919号、国際公開第2001039234号、国際公開第2009021126号、国際公開第2008056746号、国際公開第2004093207号、国際公開第2005089025号、国際公開第2007063796号、国際公開第2007063754号、国際公開第2004107822号、国際公開第2005030900号、国際公開第2006114966号、国際公開第2009086028号、国際公開第2009003898号、国際公開第2012023947号、特開2008−074939号公報、特開2007−254297号公報、EP2034538等である。
[中間層]
中間層13は、ALD法により形成されているALD薄膜層を含んで構成される。
ALD法は、下地となる成膜対象物の形状に追従した単分子、サブ分子膜厚の成膜制御が可能である。このため、サブナノオーダーの非常に薄い膜を簡単に再現性よく得ることができる。また、ALD法では、緻密で欠陥の無い薄膜層を形成することができる。
中間層13にALD法で形成されたALD薄膜層を含むことにより、薄く、欠陥の無い層を形成することができる。このような、緻密で欠陥の無い中間層13を、第1発光層12と第2発光層14との間に備えることにより、湿式法で第2発光層14を形成する際に、下層となる第1発光層12への溶媒の浸透を抑制することができる。このため、溶媒による、第1発光層12の溶解、表面の荒れ、第1発光層12を構成する材料の結晶化等を抑制することができ、第1発光層12の性能低下を抑制することができる。
ALD法と異なり、一般的な蒸着(真空プロセス)法では、蒸着時に分子が持つ熱エネルギーにより分子が凝集し、粒界が形成される。このため、欠陥の無い緻密な層を形成するためには十分な厚さが必要となり、薄膜では欠陥の無い緻密な層を形成することができない。従って、蒸着法により形成された層では、上層を湿式プロセスで形成する際に使用する塗布溶媒が粒界の間を通って蒸着層より下層の発光ユニットへ浸透し、素子全体の性能が低下する。
ALD法は、薄く、欠陥の無い層として形成することができるため、湿式法を用いて発光層の積層構造を形成した場合においても、ALD薄膜層が介在することにより、上層の溶媒による下層の有機層の損傷を抑制することができる。従って、ALD薄膜層を中間層13として有機層の間に介在させることにより、湿式法を用いて有機層の積層構造を実現することができる。
中間層13は、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層とすることができる。例えば、正孔を発生する正孔発生層と、電子を発生する電子発生層との組み合わせによる電荷発生層を構成することもできる。この場合には正孔発生層と電子発生層の少なくともいずれか一方がALD薄膜層により形成されていることが好ましい。さらに、中間層13は、例えば、中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、又は、中間絶縁層等により構成することができる。
また、中間層13は、複数の層から形成されていてもよい。中間層13は、複数の層で形成される場合は、少なくとも1層以上がALD法により形成されていればよく、ALD薄膜層以外の他の層の製法は特に問わない。また、ALD法により形成された層と他の製法で形成された層との積層順も特に問わない。但し、ALD法以外で形成される中間層が湿式法で形成される場合には、ALD薄膜層よりも上層に形成することが好ましい。
中間層13に用いられる材料としては、公知の材料のうちALD法により成膜可能な材料、例えば、J.Appl.Phys.97, 121301(2005)[Surface chemistry of atomic layer deposition : A case study for the trimethylaluminum/water process]に記載されている材料であれば、特に限定されずに用いることができる。また、中間層13に用いられる材料としては、例えば、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO、ZrO、Y、ZrN、HfN、TiO、VO、WOx、MoOx、CuI、InN、GaN、CuAlO、CuGaO、SrCu、LaB、RuO、Al、Ag等の導電性無機化合物層や、Au/Bi等の2層膜や、SnO/Ag/SnO、ZnO/Ag/ZnO、Bi/Au/Bi、TiO/TiN/TiO、TiO/ZrN/TiO等の多層膜、またC60等のフラーレン類、オリゴチオフェン等の導電性有機物層、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物層等が挙げられるが、これらに限定されない。
ALD薄膜層の緻密性、特に溶媒の浸透を抑制するためには、無機材料を用いることが好ましい。無機材料としては、金属、無機酸化物、無機窒化物を用いることが好ましく、特に、Zn、W、Zr、Y、及び、これらの酸化物や窒化物を用いることが好ましい。さらに、Zn、W、Zr及びYの酸化物を用いることが好ましい。
[第2発光層]
第2発光層14は、湿式法により形成された少なくとも1層以上の発光性有機半導体薄膜を含む。第2発光層14の材料は、上述の第1発光層12と同じであり、湿式法に適用可能な材料であれば特に限定することなく使用することができる。
湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)等がある。均質な薄膜が得られやすく、且つ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法等のロール・ツー・ロール方式に適性の高い方法が好ましい。
湿式法において、有機層の材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。
また、有機層の材料を、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
[効果]
発光性薄膜積層体では、ALD法を用いて中間層を形成することにより、上層(第2発光層側)を湿式法で形成する際に、中間層の下層(第1発光層側)への溶媒によるダメージを抑制することができる。このため、湿式法を用いて発光性薄膜積層体を作製することができる。
なお、発光性薄膜積層体は、第1発光層と中間層との間に、他の層が形成されていてもよい。また、第2発光層と中間層との間に、他の層が形成されていてもよい。
中間層よりも上層に湿式法により層が形成される場合には、湿式法による下層への損傷の抑制というALD薄膜層による効果を得ることができる。このため、例えば、第1発光層及び第2発光層と中間層との間に、湿式法により形成された他の層や、蒸着法により形成された層を有している場合にも、中間層で溶媒の浸透を抑制することができる。このように、第1発光層や第2発光層と中間層との間に他の層が形成されている場合にも、ALD薄膜層による効果を得ることができる。
また、上述の実施形態では、発光層を単層で形成した構成について説明しているが、発光層の上下に、発光層の機能を向上させるための他の有機層、無機層が形成されていてもよい。これらの層の製法も特に問わないが、製造コストの観点から、湿式法により形成されていることが好ましい。
さらに、発光層を2層備える構成について説明しているが、発光層を3層以上有する構成にも適用可能である。発光層を3層以上備える構成においても、湿式法で形成される発光層の下層にALD法により形成された中間層(ALD薄膜層)を設けることにより、溶媒の浸透による素子性能の低下を抑制し、発光性薄膜積層体を作製することができる。特に、それぞれの発光層を、ALD薄膜層を介して積層することにより、すべての発光層を湿式法により形成した発光性薄膜積層体を作製することができる。
〈2.発光性薄膜積層体の製造方法〉
次に、上述の実施形態で説明した発光性薄膜積層体の製造方法について説明する。製造する発光性薄膜積層体は、上述の図1で示す構成と同様であるため、図1で用いた符号を付して各構成の詳細な説明は省略する。
[第1発光層の形成]
まず、基材11上に第1発光層12を形成する。第1発光層12を作製する方法は、湿式法(ウェットプロセス)でも蒸着法(ドライプロセス)でもよい。第1発光層12は、発光性薄膜積層体10の製造コストから、湿式法で形成することが好ましい。
湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)等がある。均質な薄膜が得られやすく、且つ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法等のロール・ツー・ロール方式に適性の高い方法が好ましい。
湿式法において、有機層の材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。
また、有機層の材料を、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
また、有機層を構成する各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
[中間層の形成]
次に、第1発光層12上に、ALD法を用いて中間層13を形成する。
中間層13の厚さは、1〜100nmであることが好ましく、5〜50nmであることがより好ましい。中間層13の膜厚が1nm以上であると、電荷発生層としての機能だけでなく、微細欠陥からの溶剤の浸透抑制といったALD薄膜層の効果が適切に得られる。また、ALDの製膜速度を考慮すると生産性の観点から100nm以下であることが好ましい。
(材料)
ALD法により形成する層としては特に問わず、上述の中間層13を構成可能な材料を用いることができる。
ALD法を用いて形成する中間層13は、例えば、無機物、無機酸化物、無機窒化物、無機硫化物、無機塩であることが好ましく、無機物、無機酸化物であることが更に好ましい。
無機物としては、特に限定されず、アルミニウム、銀、金等の金属が導電性や仕事関数、薄膜にした際の透過率の観点で好ましい。
無機酸化物としては、特に限定されず、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、イットリウム、チタン、銅、タングステン、バナジウム、モリブデン等の酸化物及びITO、AZO等の複合酸化物が挙げられる。無機酸化物は、仕事関数及びイオン化ポテンシャル等の物性値の観点から、ZnO、ZrO、Y、WO、TiO、CuO、MoO、Vから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、各ガスの導入時間や、成膜温度、成膜時の圧力を調整することによりZnO、ZrO等の中間酸化物等も形成することができる。
ALD法とは、2種以上のガス(第1のガス及び第2のガス)を成膜対象物上に交互に導入することにより、原子層を1層ごとに堆積させる方法である。
より詳細には、はじめに第1のガス(原料ガス)を成膜対象物、例えば、基材等(本実施形態においては、第1発光層12を形成した基材11)の表面に導入して第1のガス分子層(単原子層)を形成する。次いで不活性ガス(パージガス)を導入することにより、第1のガスをパージ(除去)する。なお、形成した第1のガスによるガス分子層は、化学吸着により不活性ガスを導入してもパージされない。
次に、第2のガス(例えば、酸化性ガス)を導入し、形成した第1のガス分子層を酸化して無機膜を形成する。最後に、不活性ガスを導入することにより、第2のガスをパージし、ALD法の1サイクルが完了する。
上記サイクルを繰り返すことにより、原子層が1層ずつ堆積されて、所定の膜厚を有する中間層13を形成することができる。なお、ALD法は、成膜対象物の表面の凹凸によらず、陰影部分も含めて薄膜を形成することができる。
ALD法では、ガス分子の成膜対象物への吸着のために、成膜対象物表面の活性化が必要である。このため、製膜温度は、ある程度高温であることが好ましく、成膜対象物が樹脂材料の場合は、樹脂材料のガラス転移温度又は分解開始温度を超えない範囲で適宜調整する。成膜対象物として樹脂材料を用いる場合、通常反応器内の温度は、50〜200℃程度である。サイクル1回の堆積量は通常、0.01〜0.3nmであり、製膜サイクルを繰り返すことによって所望の膜厚とする。
例えば、中間層13が無機酸化物である場合、第1のガスは単体の金属又は金属化合物を気化して得られるガスであり、第2のガスは酸化性ガスを用いることができる。また、不活性ガスは、上記第1のガスや第2のガスと反応しないガスである。
第1のガスに用いる金属化合物としては、金属を含み、気化できる化合物であれば特に制限はない。金属化合物としては、ジクロロ亜鉛、テトラクロロジルコニウム、ヘキサクロロタングステンなどのハロゲン化物、トリメチルアルミニウム、ジエチル亜鉛、アセチルアセトナト銅、酢酸亜鉛、タングステンプロポキシド、バナジウムイソプロポキシド等の有機金属化合物が挙げられる。
より具体的には、形成する無機酸化物膜によって原料ガスを適宜選択すればよく、例えば、中間層13の無機酸化物が酸化亜鉛の場合、第1のガスとしてZn、ZnCl、ZnMe、ZnEt、Zn(OAc)等が挙げられる。
また、中間層13を構成する無機酸化物が酸化ジルコニウムの場合、第1のガスとしてジルコニウム化合物を気化して得られるガスを用いることができる。このようなジルコニウム化合物としては、ZrCl、ZrI、Zr(OtBu)、Zr(thd)等が挙げられる。
また、中間層13を構成する無機酸化物が酸化チタンの場合、第1のガスとしてチタン化合物を気化して得られるガスを用いることができる。このようなチタン化合物としては、四塩化チタン(TiCl4)、チタン(IV)イソプロポキシド(Ti[(OCH)(CH)、テトラキスジメチルアミノチタン([(CHN]Ti、TDMATi)、テトラキスジエチルアミノチタン(Ti[N(CHCH、TDEATi)等が挙げられる。
第2のガスに用いる酸化性ガスとしては、ガス分子層を酸化できるガスであれば特に制限はなく、例えば、酸素(O)オゾン(O)、水(HO)、過酸化水素(H)、メタノール(CHOH)、及びエタノール(COH)等が用いられる。また、酸素ラジカルを用いることも可能である。
また、ALD薄膜層として窒化物、又は、窒酸化物を形成する場合は、窒素ラジカルを用いることができる。窒素ラジカルは、上述の酸素ラジカル生成と同様にして生成することができる。
不活性ガスとしては、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン)、窒素ガス等を用いることができる。
(成膜装置)
ALD法による中間層13の形成は、例えば、基材を搬送せずにフィルムにALD薄膜層を積層させるバッチ式のALD成膜装置や、ロールツーロール方式の成膜装置を用いることができる。
(バッチ式成膜装置)
バッチ式のALD成膜装置を用いる場合、第1のガスの導入時間は、0.05〜10秒であることが好ましく、0.1〜3秒であることがより好ましく、0.5〜2秒であることがさらに好ましい。第1のガスの導入時間が上記範囲内(0.05秒)以上であると、ガス分子層を形成できる時間が十分に確保できることから好ましい。一方、第1のガスの導入時間が上記範囲内(10秒以下)であると、1サイクルに要する時間が低減できることから好ましい。
また、第1のガスをパージするための不活性ガスの導入時間は、0.05〜10秒であることが好ましく、0.5〜6秒であることがより好ましく、1〜4秒であることがさらに好ましい。不活性ガスの導入時間が上記範囲内(0.05秒以上)であると、第1のガスを十分にパージできることから好ましい。一方、不活性ガスの導入時間が上記範囲内(10秒以下)であると、1サイクルに要する時間を低減でき、形成されたガス分子層への影響が少なくなることから好ましい。
さらに、第2のガスの導入時間は、0.05〜10秒であることが好ましく、0.1〜3秒であることがより好ましい。第2のガスの導入時間が上記範囲内(0.05秒以上)であると、ガス分子層を酸化できる時間が十分に確保できることから好ましい。一方、第2のガスの導入時間が上記範囲内(10秒以下)であると、1サイクルに要する時間が低減でき、副反応が防止されることから好ましい。
また、第2のガスをパージするための不活性ガスの導入時間は、0.05〜10秒であることが好ましい。不活性ガスの導入時間が上記範囲内(0.05秒)以上であると、第2のガスを十分にパージできることから好ましい。一方、不活性ガスの導入時間が上記範囲内(10秒以下)であると、1サイクルに要する時間が低減でき、形成された原子層への影響が少ないことから好ましい。
(ロールツーロール方式成膜装置)
中間層13は、ロールツーロール方式の成膜装置を用いて形成してもよい。中間層13をロールツーロール方式で生産する場合、継続してロールツーロール方式で発光性薄膜積層体を製造できるため、中間層13をロールツーロール方式の成膜装置を用いて形成させると生産性が向上するため好ましい。
ロールツーロール方式により中間層13を形成する際に用いる装置としては、米国特許出願公開第2007/0224348号公報や米国特許出願公開第2008/0026162号公報に記載の装置を用いることができる。
更に、ロールツーロール方式による中間層13の形成方法としては、特表2010−541242号等に記載のように、図2や図3に示す装置を用いることもできる。
図2に示すALD成膜用のロールツーロール装置では、送り出しローラー30から、第1発光層や必要により他の層が積層形成された基材32が巻き出され、巻き取りローラー31にて巻き取られる。そして、送り出しローラー30から巻き取りローラー31に搬送される間に、コーティングヘッド33より供給されるガスにより中間層が形成される。
また、ロールツーロール装置では、巻き取りローラー31で巻き取りときの成膜面への傷を抑制するために、粘着性保護フィルムを成膜面に張り付ける、或いは、保護層を設けることにより、巻き取り時のダメージを抑制できる。図2に示すロールツーロール装置では、ALD薄膜層が形成された基材32を保護するための保護フィルムが、保護フィルムロール34から供給され、基材32と共に巻き取りローラー31に搬送される。
特に粘着性保護フィルムを備えることにより、第1発光層が形成されたフィルム表面を損傷から保護するのに役立ち、かつ、第1発光層が形成されたフィルムを適用する対象物に設置し易い。粘着性保護フィルムとしては、第1発光層が形成されたフィルムに適用できれば、特に制限はなく、従来公知のものを使用できる。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ケトン樹脂、ビニル樹脂、炭化水素樹脂等で形成された粘着性保護フィルムを使用できる。
また、図2に示すロールツーロール装置では、コーティングヘッド33には、第1のガス(原料ガス)を供給する原料ガス供給装置36、不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置35、及び、第2のガスを供給する第2のガス供給装置37、並びに、排気管38が接続されている。さらに、ロールツーロール方式の成膜装置の全体を排気するための排気管39が成膜装置に接続されている。
図3に示すALD成膜用のロールツーロール装置では、送り出しローラー41から、第1発光層や必要により他の層が積層形成された基材42が巻き出される。そして、基材42が、ガイドロール43を経て、メインロール44上に供給される。メインロール44上にはコーティングヘッド45が配置され、基材42がコーティングヘッド45から供給されるガスに暴露される。
ロールツーロール装置では、温度調節装置48により、基材42の温度がコーティングヘッド45に供給される前に適宜調整される。
ALD薄膜層が形成された基材42はガイドロール46を経て、巻き取りローラー47で巻き取られる。なお、ガイドロール46は成膜面(ALD薄膜層)と接触して溶媒のブロック機能の劣化がないように、特開2009−256709号のような段付きロールを用いてもよい。
また、ロールツーロール装置では、巻き取りローラー47で巻き取るときの成膜面への傷を抑制するために、ALD薄膜層が形成された基材42を保護するための保護フィルムが、保護フィルムロール49から供給され、基材42と共に巻き取りローラー47に搬送される。
図3に示すロールツーロール装置では、コーティングヘッド45には、第1のガス(原料ガス)を供給する原料ガス供給装置50、不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置54、及び、第2のガスを供給する第2のガス供給装置51、並びに、排気管52が接続されている。さらに、ロールツーロール方式の成膜装置の全体を排気するための排気管55が成膜装置に接続されている。
(コーティングヘッド)
次に、図2及び図3に記載の装置で用いられるALD成膜用のコーティングヘッドの一例を示す模式図を図4に示す。
図4に示すコーティングヘッド60は、第1のガス(原料ガス)を供給する原料ガス供給装置61、不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置62、第2のガスを供給する第2のガス供給装置63、ガス導入管64及び排気管65を有する。
第1発光層や必要により他の層が積層形成された基材66はAからB方向に搬送される。
初めに、ガス導入管64を通じて第1のガス(原料ガス)が原料ガス供給装置61から基材66に供給される。次に、供給されたガスが排気管65を通じて排気される。
次に、基材66に不活性ガス供給装置62から不活性ガスを導入し、原料ガスをパージ(除去)する。
次に、ガス導入管64を通じて第2のガス(例えば、酸化性ガス)を第2のガス供給装置63から導入し、ALD薄膜層が形成される。
最後に、不活性ガス供給装置62から不活性ガスを導入することにより、第2のガスをパージし、ALD法の1サイクルが完了する。
不活性ガス及び第2のガスは、次工程のガス供給前に排気管65を通じて排気される。なお、原料ガス及び第2のガスは、不活性ガス(キャリアガス)と混合されて供給されてもよい(図2及び図3参照)。コーティングヘッド内には、所望の膜厚を達成するために必要なサイクル数分のガス導入管及び排気管を設ければよく、また、複数のコーティングヘッドを用いて、所望のサイクル数としてもよい。
[第2発光層の形成]
次に、中間層13上に第2発光層14を形成する。第2発光層14は、湿式法により形成する。
湿式法としては、上述の第1発光層12の説明で挙げた湿式法の製造方法と、同様に行なうことができる。
[効果]
上述の発光性薄膜積層体の製造方法では、中間層をALD法で形成した後に、第2発光層を湿式法で形成する。このとき、第2発光層を形成する際に使用する溶媒を、中間層で遮断できるため、第1発光層への溶媒による損傷を抑制することができる。
このように、ALD法により緻密な薄膜層を形成することにより、これよりも後の工程に湿式法を適用しても、溶媒による影響を下層に与えない。このため、発光性薄膜積層体を、湿式法を用いて製造することができる。
なお、上述の発光性薄膜積層体の実施形態と同様に、第1発光層と中間層との間に、他の層を作製することもでき、第2発光層と中間層との間に、他の層を作製することもできる。また、上述の実施形態では、発光層の上下に、発光層の機能を向上させるための他の層を形成することもできるし、発光層を3層以上作製することも可能である。
中間層よりも上層に湿式法による層形成が行なわれる場合には、湿式法で用いる溶媒による下層への損傷の抑制というALD薄膜層による効果を得ることができる。
〈3.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態〉
次に、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子の実施形態について説明する。
図5に、本実施形態の有機EL素子の断面模式図を示す。図5に示すように有機EL素子20は、基材21、陽極22、第1発光ユニット23、中間層24、第2発光ユニット25、及び、陰極26を備える。
具体的には、基材21上に陽極22が形成されている。そして、陽極22上に第1発光ユニット23と第2発光ユニット25とが、中間層24を介して積層されている。さらに、第2発光ユニット25上に陰極26が設けられ、陽極22と対向する陰極26とに、第1発光ユニット23、中間層24及び第2発光ユニット25が挟持されている。
また、有機EL素子20において、第1発光ユニット23と第2発光ユニット25とが中間層24を介して積層されている構成は、上述の発光性薄膜積層体の実施形態と同様の構成とすることができる。このため、有機EL素子20は、上述の発光性薄膜積層体を発光素子として備える構成である。
以下、これらの基材21、陽極22、第1発光ユニット23、中間層24、第2発光ユニット25、及び、陰極26の各構成について説明する。
なお、基材21及び中間層24は、上述の発光性薄膜積層体の実施形態の基材及び中間層と同様の構成とすることができる。
また、第1発光ユニット23、及び、第2発光ユニット25には、少なくとも1層以上の発光層を有している。第1発光ユニット23に含まれる発光層は、上述の発光性薄膜積層体の実施形態の第1発光層と同様の構成とすることができる。そして、第2発光ユニット25に含まれる発光層は、上述の発光性薄膜積層体の実施形態の第2発光層と同様の構成とすることができる。
このため、基材21、中間層24、並びに、第1発光ユニット23及び第2発光ユニット25に含まれる発光層については、詳細な説明を省略する。
[陽極]
有機EL素子20における陽極22としては、仕事関数の大きい(4eV以上、好ましくは4.3V以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及び、これらの混合物からなる電極物質が用いられる。このような電極物質の具体例としては、AuやAg等の金属及びこれらの合金、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等の非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよい。また、パターン精度をあまり必要としない場合(100μm以上程度)は、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
或いは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。
陽極22側から発光光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましい。また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。また、陽極の厚さは、材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
[第1発光ユニット]
第1発光ユニット23は、陽極22と中間層24の間に設けられ、発光性を有する有機材料層を含む発光層を少なくとも一層以上備える。また、第1発光ユニット23は、発光層と陽極22や中間層24との間に他の層を備えていてもよい。
第1発光ユニット23の代表的な素子構成としては、以下の構成を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)発光層
(2)発光層/電子輸送層
(3)正孔輸送層/発光層
(4)正孔輸送層/発光層/電子輸送層
(5)正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層
(7)正孔注入層/正孔輸送層/(電子阻止層/)発光層/(正孔阻止層/)電子輸送層/電子注入層
上記の中で(7)の構成が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
上記構成において、発光層は、単層または複数層で構成される。また、必要に応じて、発光層と陰極との間に正孔阻止層(正孔障壁層)や電子注入層(陰極バッファー層)等を設けてもよく、また、発光層と陽極との間に電子阻止層(電子障壁層)や正孔注入層(陽極バッファー層)等を設けてもよい。
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する層である。電子輸送層には、広い意味で電子注入層、及び、正孔阻止層も含まれる。また、電子輸送層は、複数層で構成されていてもよい。
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する層である。正孔輸送層には、広い意味で正孔注入層、及び、電子阻止層も含まれる。また、正孔輸送層は、複数層で構成されていてもよい。
以下、第1発光ユニット23を構成する各層(発光層を除く)について説明する。
[電子輸送層]
有機EL素子20に用いる電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有する。
電子輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
電子輸送層の総厚については特に制限はないが、通常は2nm〜5μmの範囲であり、より好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
また、有機EL素子20においては、発光層で生じた光を取り出す際、発光層から陽極22を通じて直接取り出される光と、陽極22と対極に位置する陰極26で反射されてから取り出される光とが、干渉を起こすことが知られている。
従って、有機EL素子20では、第1発光ユニット23の総厚の調整を、電子輸送層の総膜厚を数nm〜数μmの間で適宜調整することで行なうことが好ましい。
一方で、電子輸送層の膜厚を厚くすると電圧が上昇しやすくなるため、特に膜厚が厚い場合においては、電子輸送層の電子移動度は10−5cm/Vs以上であることが好ましい。
電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)としては、電子の注入性若しくは輸送性、又は、正孔の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、含窒素芳香族複素環誘導体、芳香族炭化水素環誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、シロール誘導体等が挙げられる。
上記含窒素芳香族複素環誘導体としては、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体(カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子に置換)、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリダジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、アザトリフェニレン誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体等が挙げられる。
芳香族炭化水素環誘導体としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン等が挙げられる。
また、配位子にキノリノール骨格やジベンゾキノリノール骨格を有する金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及び、これらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又は、それらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
また、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
有機EL素子20では、ゲスト材料として電子輸送層にドープ材をドープして、n性の高い(電子リッチ)電子輸送層を形成してもよい。ドープ材としては、金属錯体及びハロゲン化金属等の金属化合物や、その他のn型ドーパントが挙げられる。このような構成の電子輸送層の具体例としては、例えば、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等の文献に記載されたものが挙げられる。
公知の好ましい電子輸送材料の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
米国特許第6528187号、米国特許第7230107号、米国特許公開第20050025993号、米国特許公開第20040036077号、米国特許公開第20090115316号、米国特許公開第20090101870号、米国特許公開第20090179554号、国際公開第2003060956号、国際公開第2008132085号、Appl. Phys. Lett. 75, 4 (1999)、Appl. Phys. Lett. 79, 449 (2001)、Appl. Phys. Lett. 81, 162 (2002)、Appl. Phys. Lett. 81, 162 (2002)、Appl. Phys. Lett. 79, 156 (2001)、米国特許第7964293号、米国特許公開第2009030202号、国際公開第2004080975号、国際公開第2004063159号、国際公開第2005085387号、国際公開第2006067931号、国際公開第2007086552号、国際公開第2008114690号、国際公開第2009069442号、国際公開第2009066779号、国際公開第2009054253号、国際公開第2011086935号、国際公開第2010150593号、国際公開第2010047707号、EP2311826号、特開2010−251675号公報、特開2009−209133号公報、特開2009−124114号公報、特開2008−277810号公報、特開2006−156445号公報、特開2005−340122号公報、特開2003−45662号公報、特開2003−31367号公報、特開2003−282270号公報、国際公開第2012115034号等
より好ましい電子輸送材料としては、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体が挙げられる。
[正孔阻止層]
正孔阻止層は、広い意味では電子輸送層の機能を有する層である。好ましくは、電子を輸送する機能を有しつつ、正孔を輸送する能力が小さい材料からなる。電子を輸送しつつ正孔を阻止することで、電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、上述の電子輸送層の構成を、必要に応じて正孔阻止層として用いることができる。
有機EL素子20に設ける正孔阻止層は、発光層の陰極側に隣接して設けられることが好ましい。
有機EL素子20において、正孔阻止層の厚さは、好ましくは3〜100nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜30nmの範囲である。
正孔阻止層に用いられる材料としては、上述の電子輸送層に用いられる材料が好ましく用いられ、また、上述のホスト化合物として用いられる材料も正孔阻止層に好ましく用いられる。
[電子注入層]
電子注入層(「陰極バッファー層」ともいう)は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陰極と発光層との間に設けられる層である。電子注入層の一例は、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に記載されている。
有機EL素子20において、電子注入層は必要に応じて設けられ、上述のように陰極と発光層との間、又は、陰極と電子輸送層との間に設けられる。
電子注入層はごく薄い膜であることが好ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5nmの範囲が好ましい。また構成材料が断続的に存在する不均一な膜であってもよい。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されている。電子注入層に好ましく用いられる材料の具体例としては、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等に代表されるアルカリ土類金属化合物、酸化アルミニウムに代表される金属酸化物、リチウム8−ヒドロキシキノレート(Liq)等に代表される金属錯体等が挙げられる。また、上述の電子輸送材料を用いることも可能である。
また、上記の電子注入層に用いられる材料は単独で用いてもよく、複数種を併用して用いてもよい。
[正孔輸送層]
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する材料からなる。正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有する層である。
有機EL素子20において、正孔輸送層の総膜厚に特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲であり、より好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
正孔輸送層に用いられる材料(以下、正孔輸送材料という)は、正孔の注入性または輸送性、電子の障壁性のいずれかを有していればよい。正孔輸送材料は、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。正孔輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
正孔輸送材料は、例えば、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、イソインドール誘導体、アントラセンやナフタレン等のアセン系誘導体、フルオレン誘導体、フルオレノン誘導体、ポリビニルカルバゾール、芳香族アミンを主鎖若しくは側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー、ポリシラン、導電性ポリマー又はオリゴマー(例えばPEDOT:PSS、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
トリアリールアミン誘導体としては、α−NPDに代表されるベンジジン型や、MTDATAに代表されるスターバースト型、トリアリールアミン連結コア部にフルオレンやアントラセンを有する化合物等が挙げられる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているヘキサアザトリフェニレン誘導体も正孔輸送材料として用いることができる。
さらに、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。例えば、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載された構成を正孔輸送層に適用することもできる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料やp型−Si、p型−SiC等の無機化合物を用いることもできる。さらにIr(ppy)に代表されるような中心金属にIrやPtを有するオルトメタル化有機金属錯体も好ましく用いられる。
正孔輸送材料としては、上記の材料を使用することができるが、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アザトリフェニレン誘導体、有機金属錯体、芳香族アミンを主鎖若しくは側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー等が好ましく用いられる。
正孔輸送材料の具体例としては、上記で挙げた文献の他、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
Appl. Phys. Lett. 69, 2160 (1996)、J. Lumin. 72-74, 985 (1997)、Appl. Phys. Lett. 78, 673 (2001)、Appl. Phys. Lett. 90, 183503 (2007)、Appl. Phys. Lett. 90, 183503 (2007)、Appl. Phys. Lett. 51, 913 (1987)、Synth. Met. 87, 171 (1997)、Synth. Met. 91, 209 (1997)、Synth. Met. 111,421 (2000)、SID Symposium Digest, 37, 923 (2006)、J. Mater. Chem. 3, 319 (1993)、Adv. Mater. 6, 677 (1994)、Chem. Mater.15,3148 (2003)、米国特許公開第20030162053号、米国特許公開第20020158242号、米国特許公開第20060240279号、米国特許公開第20080220265号、米国特許第5061569号、国際公開第2007002683号、国際公開第2009018009号、EP650955、米国特許公開第20080124572号、米国特許公開第20070278938号、米国特許公開第20080106190号、米国特許公開第20080018221号、国際公開第2012115034号、特表2003−519432号公報、特開2006−135145号公報、米国特許出願番号13/585981号
[電子阻止層]
電子阻止層は、広い意味では正孔輸送層の機能を有する層である。好ましくは、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料からなる。電子阻止層は、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで、電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、上述の正孔輸送層の構成を必要に応じて、有機EL素子20の電子阻止層として用いることができる。有機EL素子20に設ける電子阻止層は、発光層の陽極側に隣接して設けられることが好ましい。
電子阻止層の厚さとしては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲である。
電子阻止層に用いられる材料としては、上述の正孔輸送層に用いられる材料が好ましく用いることができる。また、上述のホスト化合物として用いられる材料も、電子阻止層として好ましく用いることができる。
[正孔注入層]
正孔注入層(「陽極バッファー層」ともいう)は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陽極と発光層との間に設けられる層である。正孔注入層の一例は、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に記載されている。
正孔注入層は必要に応じて設けられ、上述のように陽極と発光層との間、又は、陽極と正孔輸送層との間に設けられる。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されている。
正孔注入層に用いられる材料は、例えば上述の正孔輸送層に用いられる材料等が挙げられる。中でも、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン誘導体、特表2003−519432や特開2006−135145等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体、酸化バナジウムに代表される金属酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体、トリアリールアミン誘導体等が好ましい。
上述の正孔注入層に用いられる材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
[含有物]
有機EL素子20を構成する第1発光ユニット23は、更に他の含有物を含んでもよい。
含有物としては、例えば臭素、ヨウ素及び塩素等のハロゲン元素やハロゲン化化合物、Pd、Ca、Na等のアルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金属の化合物や錯体、塩等が挙げられる。
含有物の含有量は、任意に決定することができるが、含有される層の全質量%に対して1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。
ただし、電子や正孔の輸送性を向上させる目的や、励起子のエネルギー移動を有利にするための目的などによってはこの範囲内ではない。
[第2発光ユニット]
第2発光ユニット25は、少なくとも1層以上の層が、湿式法により形成されている。好ましくは、発光層が湿式法により形成されている。また、有機層は湿式法により形成されていることが好ましい。さらに、すべての有機層が湿式法によって形成されていることが好ましい。
第2発光ユニット25の構成は、湿式法により形成される層を有することを除き、上述の第1発光ユニット23と同様の構成とすることができる。このため、湿式法に適用可能な構成であれば、上述の第1発光ユニット23と同様の構成を、特に限定することなく使用することができる。
[陰極]
陰極26としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物、及び、これらの混合物からなる電極物質が用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム、銀、銀を主成分とする合金、アルミニウム/銀混合物、希土類金属等が挙げられる。
陰極26は、上記電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法を用いて、作製することができる。また、陰極26のシート抵抗は、数百Ω/sq.以下が好ましい。また、陰極26の厚さは通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。
〈4.有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法〉
次に、上述の実施形態で説明した有機EL素子の製造方法について説明する。製造する有機EL素子は、上述の図5で示す構成と同様であるため、図5で用いた符号を付して各構成の詳細な説明は省略する。
[陽極の形成]
まず、基材21上に、陽極22を形成する。
陽極22は、上述の陽極22に用いる電極物質を用いて蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンに形成する。或いは、パターン精度をあまり必要としない(100μm以上程度)場合は、上述の電極物質を蒸着法又はスパッタリング法で形成する際に、所望の形状のマスクを介してパターン形成してもよい。
有機導電性化合物のように塗布形成可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。
[第1発光ユニットの形成]
次に、陽極22上に第1発光ユニット23(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)を形成する。
第1発光ユニット23の形成方法は、特に制限はなく、従来公知の例えば真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセス)等により形成することができる。
湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)等がある。均質な薄膜が得られやすく、且つ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法等のロール・ツー・ロール方式に適性の高い方法が好ましい。
湿式法において、第1発光ユニット23の材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。また、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
第1発光ユニット23を構成する各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
[中間層の形成]
次に、第1発光ユニット23上に、ALD法を用いて中間層24を形成する。
中間層24は、上述の発光性薄膜積層体の実施形態において説明した中間層と同様の方法を用いて、ALD薄膜層を形成することができる。ALD法により形成する層としては特に問わず、上述の発光性薄膜積層体の実施形態において説明した中間層を構成可能な材料を用いることができる。
[第2発光ユニットの形成]
次に、中間層24上に第2発光ユニット25を形成する。第2発光ユニット25は、少なくとも1層以上を湿式法により形成する。
湿式法としては、上述の第1発光ユニット23の説明で挙げた湿式法の製造方法と、同様に行なうことができる。
[陰極の形成]
次に、第2発光ユニット25上に、陰極26を形成する。
陰極26は、上述の陰極26に用いる電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法を用いて、作製することができる。また、陰極26のシート抵抗は、数百Ω/sq.以下が好ましい。また、陰極の厚さは通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。
有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。
[封止]
最後に、作製した有機EL素子20を封止する。
有機EL素子の封止に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と、電極、支持基材とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に限定されない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板、ポリマーフィルム、金属板、金属フィルム等が挙げられる。
封止部材を凹状に加工するには、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
有機EL素子の薄膜化のためには、ポリマーフィルム、金属フィルムを使用することが好ましい。さらに、ポリマーフィルムはJIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m/24h)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%)が、1×10−3g/(m/24h)以下であることが好ましい。
接着剤としては、例えば、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化型及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
さらに、封止膜の脆弱性を改良するために、上述のバリア膜と同様に、無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
[用途]
上述した実施形態の有機EL素子は、面発光体であるため各種の発光光源として用いることができる。例えば、家庭用照明や車内照明などの照明装置、時計や液晶用のバックライト、看板広告用照明、信号機の光源、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これに限定するものではなく、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
また、有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。この場合、近年の照明装置及びディスプレイの大型化にともない、有機EL素子を設けた発光パネル同士を平面的に接合する、いわゆるタイリングによって発光面を大面積化してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。また異なる発光色を有する有機EL素子を2種以上使用することにより、カラーまたはフルカラー表示装置を作製することが可能である。
[照明装置]
照明装置に用いる有機EL素子は、上述の実施形態の構成の有機EL素子に共振器構造を持たせた設計としてもよい。共振器構造として構成された有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
なお、有機EL素子に用いられる材料は、実質的に白色の発光を生じる有機EL素子(白色有機EL素子ともいう)に適用できる。例えば、複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得ることもできる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させてもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有させてもよい。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光で発光する材料の組み合わせや、蛍光又はリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせでもよい。白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせて混合してもよい。
このような白色有機EL素子は、各色発光の有機EL素子をアレー状に個別に並列配置して白色発光を得る構成と異なり、有機EL素子自体が白色を発光する。このため、素子を構成するほとんどの層の形成にマスクを必要とせず、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば導電層を形成でき、生産性も向上する。
また、このような白色有機EL素子の発光層に用いる発光材料としては、特に制限はなく、例えば液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、上述の有機EL素子の実施形態に記載の金属錯体、また公知の発光材料の中から任意の材料を選択して組み合わせて白色化すればよい。
上記説明した白色有機EL素子を用いれば、実質的に白色の発光を生じる照明装置を作製することが可能である。
また、照明装置は、例えば有機EL素子を複数用いることにより、発光面を大面積化することもできる。この場合、基材上に有機EL素子を設けた複数の発光パネルを、支持基材上に複数配列する(すなわちタイリングする)ことによって発光面を大面積化する。支持基材は、封止材を兼ねるものであってもよく、この支持基材と、発光パネルの基材との間に有機EL素子を挟持する状態で各発光パネルをタイリングする。支持基材と基材との間には接着剤を充填し、これによって有機EL素子を封止してもよい。尚、発光パネルの周囲には、陽極及び陰極の端子を露出させておく。
このような構成の照明装置では、各発光パネルの中央が発光領域となり、発光パネル間には非発光領域が発生する。このため、非発光領域からの光取り出し量を増加させるための光取り出し部材を、光取り出し面の非発光領域に設けてもよい。光取り出し部材としては、集光シートや光拡散シートを用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[発光性薄膜積層体]
試料101〜107の各発光性薄膜積層体を、発光領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。以下に、試料101〜107の各発光性薄膜積層体の構成、及び、作製手順を示す。
[試料101の発光性薄膜積層体の作製手順]
以下のように、基材上に第1発光層、中間層、及び、第2発光層を形成し、これを封止した試料101の発光性薄膜積層体を得た。
(基材)
まず、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人・デユポン社製フィルム、以下、PENと略記する)の第1電極層を形成する側の全面に、特開2004−68143号に記載の構成の大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、SiOxからなる無機物のガスバリア膜を厚さ500nmとなるように形成し、酸素透過度0.001ml/m/day以下、水蒸気透過度0.001g/m/day以下のガスバリア性の可撓性フィルムを作製した。
(第1電極層の形成)
上記ガスバリア性の可撓性フィルム上に厚さ120nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、第1電極層を形成した。なお、発光面積が50mm×50mmになるようなパターンとした。
(第1発光層)
次に、第1電極層まで形成した基材上に、湿式法を用いて第1発光層を40nmの厚さで形成した。第1発光層は、下記発光層組成物を調整した後、第1電極層を形成した基材上に、ダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、120℃で30分間保持して形成した。
・発光層組成物
ホスト化合物S−57:11.79質量部
リン光発光ドーパントD−67:0.05質量部
酢酸イソプロピル:2000質量部
Figure 2015125533
(中間層)
次に、第1発光層上に、ALD法を用いてZnOの中間層を5nmの厚さで形成した。
中間層は、上述の有機EL素子の実施形態で説明した図2に示す構成のALD成膜装置を用いて形成した。
ALD成膜装置に第1発光層まで形成した基材を取り付け、150cycle分のコーティングヘッドを用意し、100Pa以下まで真空引きを行った。その後、下記成膜条件で各ガスをコーティングヘッドに流し、ZnOによる中間層を形成した後、保護フィルムを張り付けて巻き取りを行った。
・製膜条件
成膜材料 N+ZnEt(0.062mol/L):100sccm
酸化ガス N+HO(0.01mol/L):100sccm
パージガス N:1000sccm
基材の搬送速度:10m/min
基材温度:100℃
(第2発光層)
次に、中間層上に、湿式法を用いて第2発光層を40nmの厚さで形成した。第2発光層は、上述の第1発光層と同様の方法で形成した。
(封止)
以上の工程により形成した発光性薄膜積層体に、市販のロールラミネート装置を用いて封止基材を接着した。
封止基材として、可撓性の厚さ30μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)に、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いてラミネートしたものを用いた。ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムには、ドライラミネーション用の2液反応型のウレタン系接着剤層の厚みが1.5μmのものを用いた。
封止基材のアルミニウム面に、ディスペンサを使用してアルミ箔の接着面(つや面)に沿って厚み20μmで均一に、封止用接着剤として下記の熱硬化性接着剤を塗布した。これを100Pa以下の真空下で12時間乾燥させた。さらに露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppmの窒素雰囲気下へ移動し、12時間以上乾燥させ、封止用接着剤の含水率を100ppm以下となるように調整した。
熱硬化接着剤としては下記の(A)〜(C)を混合したエポキシ系接着剤を用いた。
(A)ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)
(B)ジシアンジアミド(DICY)
(C)エポキシアダクト系硬化促進剤
上記封止基材を密着配置した試料を、圧着ロールを用いて、圧着ロール温度120℃、圧力0.5MPa、装置速度0.3m/minの圧着条件で密着封止した。
以上のようにして、上述の図1に示す構成の発光性薄膜積層体と同様の形態の、試料101の発光性薄膜積層体を作製した。
[試料102の発光性薄膜積層体の作製手順]
中間層として、蒸着法を用いてZnOを形成した以外は、上述の試料101と同様の方法で、試料102の発光性薄膜積層体を作製した。
(中間層−蒸着)
第1発光層まで形成した基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。またタングステン製の抵抗加熱ボートにZnOを入れ、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、ZnOからなる中間層を4nmの厚さで形成した。
[試料103の発光性薄膜積層体の作製手順]
中間層として、以下のようにALD前駆体を塗布した後、この前駆体を酸化させてZnOを形成した以外は、上述の試料101と同様の方法で、試料103の発光性薄膜積層体を作製した。
(中間層−塗布・酸化)
塗布液の調製は窒素ガス雰囲気下で行い、溶媒は全て脱水及び脱気して使用した。ジイソプロピルエーテル200gにジエチル亜鉛0.54gを加え、十分撹拌した後ろ過することで塗布液を得た。次に、作製した塗布液を、ダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、100℃で30分間保持し5nmのZnOによる中間層を得た。
[試料104の発光性薄膜積層体の作製手順]
中間層を、以下のようにポリマー塗布した後、このポリマーを硬化して形成した以外は、上述の試料101と同様の方法で、試料104の発光性薄膜積層体を作製した。
(中間層−ポリマー)
第1発光層上に、DBp−6、AIp−4(各比率は50.0質量%:50.0質量%)のクロロベンゼン溶液をダイコート法により成膜し、成膜後、低圧水銀灯(15mW/cm)を用いて30秒、130℃でUV照射することで、DBp−6、AIp−4の重合基を光硬化し、膜厚20nmの不溶化n型の中間層(CGL)を設けた。
さらに、このn型の中間層(CGL)上に、DCp−3、DCp−2(各比率は85.0質量%:15.0質量%)のクロロベンゼン溶液をダイコート法により成膜し、成膜後、低圧水銀灯(15mW/cm)を用いて30秒、130℃でUV照射することで、DCp−3、DCp−2の重合基を光硬化し、膜厚20nmの不溶化p型の中間層(CGL)を設けた。
このときに用いたダイコート法では、基材を5m/minのスピードで送り、塗布を行った。
Figure 2015125533
[試料105の発光性薄膜積層体の作製手順]
中間層を、以下のようにZnO粒子を含む塗布膜を形成した後、この塗布膜を硬化して形成した以外は、上述の試料101と同様の方法で、試料105の発光性薄膜積層体を作製した。
(中間層−ZnO粒子)
シーアイ化成製のZnOナノ粒子(平均粒径20nm)の2−プロパノール分散液をダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、100℃で30分間保持し20nmのZnOによる中間層を得た。
[試料106の発光性薄膜積層体の作製手順]
中間層を作製しなかったこと以外は、上述の試料101と同様の方法で、試料106の発光性薄膜積層体を作製した。従って、試料106の発光性薄膜積層体は、中間層を有さずに、第1発光層と第2発光層とが直接積層された構成である。
[試料107の発光性薄膜積層体の作製手順]
参考として、単層の発光層を備える発光性薄膜を形成した。基材上に上述の試料101の第1発光層と同様の方法で単層の発光層を形成し、試料107の発光性薄膜を作製した。
[各試料の評価]
上記のように作製した試料101〜107について、発光強度を測定した。蛍光光度計F−4500(日立製作所製)を用いて、励起波長320nmで励起した際の発光スペクトルの極大波長の発光強度を測定し、発光量とした。そして、試料107の発光量を100とする相対値として、各試料の発光強度を求めた。
この結果を下記表1に示す。
Figure 2015125533
表1に示すように、ALD法を用いて中間層を形成した試料101は、他の試料よりも発光強度が大きく、単層に比べて190まで向上している。これは、2層積層の発光性薄膜積層体として、単層の発光体の2倍に近い値が得られ、発光層を2層積層した効果が十分に得られている。
これに対し、ALD法以外で中間層を形成した試料102〜106は、最大で単層の発光体の1.5倍程度の発光量しか得られず、発光層を2層積層した効果が十分には得られていない。
上述のように、発光性薄膜積層体においてALD法を用いて中間層を形成することにより、湿式法を用いて上層の発光層を形成した場合にも、中間層よりも下層の発光層に対する、溶媒による損傷を抑制することができる。このため、下層の発光層の性能を低下させずに、積層構造による発光量の向上の効果を得ることができる。
[有機エレクトロルミネッセンス素子の作製]
試料201〜205のボトムエミッション型の有機EL素子を作製した。以下に、各有機EL素子の構成、及び、作製手順を示す。
[試料201の有機EL素子の作製手順]
以下のように、基材上に、[陽極/第1発光ユニット(正孔注入層/正孔輸送層/第1発光層/電子輸送層/電子注入層)/中間層/第2発光ユニット(正孔輸送層/第2発光層/電子輸送層/電子注入層)/陰極]からなる有機EL素子を形成し、これを封止して試料201の有機EL素子を得た。
(基材)
支持基材として、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製、以下、PENと略記する)を準備した。そして、この支持基材の陽極を形成する側の全面に、特開2004−68143号公報に記載の構成の大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、厚さ500nmとなるようにSiOxからなる無機物のガスバリア層を連続して形成した。これにより、酸素透過度1×10−3cm/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度1×10−3g/(m・24h)以下のガスバリア性の可撓性フィルムによる基材を作製した。
(陽極)
上述のガスバリア性の可撓性フィルムからなる基材上に厚さ120nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法により製膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、陽極を形成した。
なお、発光面積が50mm×50mmになるようなパターンとした。
(第1発光ユニット−正孔注入層)
陽極を形成した基材をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。そして、陽極を形成した基材上に、特許4509787号の実施例16と同様に作製したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/Nafion(登録商標)の分散液をイソプロピルアルコールで希釈した2質量%溶液をダイコート法にて塗工、自然乾燥し、膜厚40nmの正孔注入層を設けた。
(第1発光ユニット−正孔輸送層)
次に、正孔注入層まで形成した基材を、窒素ガス(グレードG1)を用いた窒素雰囲気下に移し、下記組成の正孔輸送層組成物を用いて、ダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、130℃で30分間保持し、層厚30nmの正孔輸送層を設けた。
・正孔輸送層組成物
正孔輸送材料(化合物(60))(重量平均分子量Mw=80000):5質量部
クロロベンゼン:1000質量部
Figure 2015125533
(第1発光ユニット−第1発光層)
次に、正孔輸送層まで形成した基材を、下記組成の発光層組成物を用い、ダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、120℃で30分間保持し層厚50nmの発光層を設けた。
発光層組成物
ホスト化合物S−5:11.79質量部
リン光発光ドーパントD−67:0.05質量部
酢酸イソプロピル:2000質量部
Figure 2015125533
(第1発光ユニット−電子輸送層)
次に、発光層まで形成した基材上に、20mgの化合物ET−11を4mlのテトラフルオロプロパノール(TFPO)に溶解した溶液を用いて、ダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、120℃で30分間保持し、層厚30nmの電子輸送層を設けた。
Figure 2015125533
(第1発光ユニット−電子注入層)
続いて、基材を大気に曝露することなく真空蒸着装置へ取り付けた。また、フッ化ナトリウム及びフッ化カリウムをそれぞれ入れたモリブデン製抵抗加熱ボートを真空蒸着装置に取り付け、真空槽を4×10−5Paまで減圧した後、ボートに通電して加熱し、フッ化ナトリウムを0.02nm/秒で電子輸送層上に蒸着して層厚1nmの薄膜を形成し、続けて同様にフッ化カリウムを0.02nm/秒で当該薄膜上に蒸着して、層厚1.5nmの電子注入層を設けた。
(中間層)
第1発光ユニット上に、ALD法を用いてZnOからなるn型の中間層(正孔発生層)を形成し、さらに、n型の中間層上にp型の中間層(電子発生層)を積層形成した。
n型の中間層は、上述の試料101の発光性薄膜積層体の中間層と同様の方法により、ALD法を用いてZnOの中間層を5nmの厚さで形成した。
次に、ZnOの中間層上に、10nmのWO薄膜によりp型の中間層を形成した。WO薄膜は、タングステンイソプロポキシドを2−プロパノールと1:1で混合した混合液を、ダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、大気下に移して100℃で60分間保持して形成した。
(第2発光ユニット−正孔輸送層/第2発光層/電子輸送層/電子注入層)
中間層上に、上述の第1発光ユニットと同様の方法を用いて、正孔注入層を除く層構成の第2発光ユニットを作製した。
(陰極)
次に、第2発光ユニットの電子注入層上に、アルミニウムを蒸着して厚さ100nmの陰極を設けた。
以上の工程により、試料201の有機EL素子を作製した。
(封止)
以上の工程により形成した有機EL素子を、厚さ300μmのガラス基材からなる封止材で覆い、有機EL素子を囲む状態で、透明封止材と基材との間に接着剤(シール材)を充填した。接着剤としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。接着剤に対して、ガラス基材(透明封止材)側からUV光を照射し、接着剤を硬化させて有機EL素子を封止した。
[試料202の有機EL素子の作製手順]
n型の中間層として、蒸着法を用いてZnOを形成した以外は、上述の試料201と同様の方法で、試料202の有機EL素子を作製した。
(中間層−蒸着)
第1発光ユニットまで形成した基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。またタングステン製の抵抗加熱ボートにZnOを入れ、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、ZnOからなるn型の中間層を4nmの厚さで形成した。
[試料203の有機EL素子の作製手順]
n型の中間層として、ALD前駆体を塗布した後、この前駆体を酸化させてZnOを形成した以外は、上述の試料201と同様の方法で、試料203の有機EL素子を作製した。n型の中間層は、上述の試料103の発光性薄膜積層体の中間層と同様の方法で形成した。
[試料204の有機EL素子の作製手順]
下記の通り、第1発光ユニットの発光層上にポリマーを塗布及び硬化して電子輸送層を形成した後、この電子輸送層上にポリマーを塗布及び硬化して中間層を形成した以外は、上述の試料201と同様の方法で、試料204の有機EL素子を作製した。中間層は、上述の試料104の発光性薄膜積層体の中間層と同様の方法で形成した。
(電子輸送層)
発光層上に、OC−107の1,1,1−3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノールの溶液をスリットコート法により成膜し、成膜後、低圧水銀灯(15mW/cm)を用いて30秒、130℃でUV照射することで、下記のOC−107の重合基を光硬化し、膜厚20nmの不溶化した電子輸送層を設けた。
Figure 2015125533
[試料205の有機EL素子の作製手順]
参考として、単層の発光層を備える有機EL素子を形成した。上述の試料201と同様の方法で、基材上に陽極、及び、第1発光ユニットを形成し、第1発光ユニット上に陰極を形成して、単層の発光層を有する試料205の有機EL素子を作製した。
[各試料の評価]
上記のように作製した試料201〜205の各有機EL素子について、発光効率と寿命を測定した。
発光効率の測定は、室温(25℃)で、2.5mA/cmの定電流密度条件下による点灯を行い、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタオプティクス社製)を用いて、各素子の発光輝度を測定し、当該電流値における発光効率(外部取り出し効率)を求めた。そして、各素子の発光輝度を、試料205の単層の有機EL素子の発光効率を100とした場合の相対値により求めた。
また、寿命の測定は、有機EL素子を連続駆動させ、上記分光放射輝度計CS−2000を用いて輝度を測定し、測定した輝度が半減する時間(半減寿命)を寿命の尺度として求めた。駆動条件は、連続駆動開始時に4000cd/mとなる電流値とした。そして、各素子の寿命を、試料205の単層の有機EL素子の寿命を100とした場合の相対値により求めた。
この結果を下記表2に示す。
Figure 2015125533
表2に示すように、ALD法を用いて中間層を形成した試料201は、他の試料よりも発光効率及び寿命が高く、発光効率は単層に比べて190程度まで向上している。これは、発光層を2層積層した有機EL素子として、単層の有機EL素子の2倍に近い値が得られ、発光層を2層積層した効果が十分に得られている。また、寿命は他の試料よりも向上幅が大きく1.4倍程度になっており、上記発光効率向上の効果と、第2発光ユニットを形成する際の塗布溶媒による第1発光ユニットへの影響が低減された効果とが、十分に得られている。
これに対し、ALD法以外で中間層を形成した試料202〜204は、発光効率が最大で150まで高くなるものの、寿命が最大で単層の有機EL素子の1.1倍程度しか得られていない。従って、有機EL素子として発光層を2層積層した効果が十分には得られていない。
従って、上述の発光性薄膜積層体と同様に有機EL素子においても、ALD法を用いて中間層を形成することにより、湿式法を用いて上層の発光ユニットを形成した場合にも、中間層よりも下層の有機層に対する溶媒による損傷を抑制することができる。このため、下層の発光ユニットの性能を低下させずに、積層構造による発光量の向上の効果を得ることができる。
なお、上述の各実施形態、及び、実施例において、発光性薄膜積層体や有機エレクトロルミネッセンス素子の構成を説明するために用いる上層及び下層の表記は、基材を基準とした層構成及び積層順を示している。つまり、基材上に積層されている構成において、基材から近い方に形成されている層を下層と表記し、基材から遠い方に形成されている層を上層と表記している。
また、発光性薄膜積層体や有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法の説明では、基材上に順次積層する際の各層積層順を表している。つまり、基材上において、先に形成されている層を下層と表記し、後に形成される層を上層と表記している。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
11,21,32,42,66 基材、12 第1発光層、13,24 中間層、14 第2発光層、20 有機EL素子、22 陽極、23 第1発光ユニット、25 第2発光ユニット、26 陰極、30,41 送り出しローラー、31,47 巻き取りローラー、33,45,60 コーティングヘッド、34,49 保護フィルムロール、35,54,62 不活性ガス供給装置、36,50,61 原料ガス供給装置、37,51,63 第2のガス供給装置、38,39,52,55,65 排気管、43,46 ガイドロール、44 メインロール、48 温度調節装置、64 ガス導入管

Claims (11)

  1. 少なくとも1層以上の発光性有機半導体薄膜を含む薄膜積層体であって、
    原子堆積(Atomic Layer Deposition)法により形成されたALD薄膜層と、
    前記ALD薄膜層よりも上層に湿式法で形成された、少なくとも1層以上の有機層と、を備える
    発光性薄膜積層体。
  2. 前記ALD薄膜層よりも下層に、湿式法で形成された有機層を有する請求項1に記載の発光性薄膜積層体。
  3. 前記ALD薄膜層が、金属、無機酸化物、及び、無機窒化物から選ばれる少なくとも1種類以上を含む請求項1に記載の発光性薄膜積層体。
  4. 前記無機酸化物が、Zn、W、Zr、及び、Yから選ばれる少なくとも1種類以上を含む請求項3に記載の発光性薄膜積層体。
  5. 少なくとも1層以上の発光性有機半導体薄膜を含む薄膜積層体の製造方法であって、
    第1有機層を形成する工程と、
    前記第1有機層を形成する工程の後に、原子堆積(Atomic Layer Deposition)法を用いてALD薄膜層を形成する工程と、
    前記ALD薄膜層を形成する工程の後に、湿式法を用いて第2有機層を形成する工程と、を含む
    発光性薄膜積層体の製造方法。
  6. 湿式法により前記第1有機層を形成する請求項5に記載の発光性薄膜積層体の製造方法。
  7. 対となる電極と、
    前記電極間に形成された発光性薄膜積層体と、を備え、
    前記発光性薄膜積層体が、
    原子堆積(Atomic Layer Deposition)法により形成されたALD薄膜層と、
    前記ALD薄膜層よりも上層に湿式法で形成された、少なくとも1層以上の有機層と、を有する
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記発光性薄膜積層体が、第1発光層と第2発光層とを有し、
    前記第1発光層と前記第2発光層との間に形成される層のうち少なくとも1層が前記ALD薄膜層である
    請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 前記第1発光層と前記第2発光層との間に、正孔を発生する正孔発生層と電子を発生する電子発生層とを有し、前記正孔発生層と前記電子発生層の少なくともいずれか一方が前記ALD薄膜層により形成されている
    請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 前記ALD薄膜層が、金属、無機酸化物、及び、無機窒化物から選ばれる少なくとも1種類以上を含む
    請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  11. 少なくとも1層以上の発光性有機半導体薄膜を含む有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    第1有機層を形成する工程と、
    前記第1有機層を形成する工程の後に、原子堆積(Atomic Layer Deposition)法を用いてALD薄膜層を形成する工程と、
    前記ALD薄膜層を形成する工程の後に、湿式法を用いて第2有機層を形成する工程と、を含む
    有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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