図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態では、デジタルカメラ(撮像装置)に本発明を適用した例について説明する。ただし、デジタルカメラ以外の画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体にも本発明を適用することが可能である。
以下の説明及び図面において、「WB」の表記は「ホワイトバランス(White Balance)」を意味する。
図1はデジタルカメラ2の正面斜視図であり、図2はデジタルカメラ2の背面斜視図である。
デジタルカメラ2は、カメラ本体3と、カメラ本体3の前面に取り付けられるレンズ鏡筒4とを備える。レンズ鏡筒4及びカメラ本体3は、一体的に設けられてもよいし、レンズ交換式カメラとして着脱自在に設けられてもよい。
カメラ本体3の前面には、レンズ鏡筒4に加えてフラッシュ発光部5が設けられ、カメラ本体3の上面にはシャッタボタン6及び電源スイッチ7が設けられている。シャッタボタン6は、ユーザからの撮影指示を受け付ける撮影指示部であり、電源スイッチ7は、デジタルカメラ2の電源のオン及びオフの切り換え指示をユーザから受け付ける電源切換部である。
カメラ本体3の背面には表示部8及び操作部9が設けられている。表示部8は、撮影待機状態ではライブビュー画像(スルー画)を表示して電子ビューファインダとして機能し、撮影画像やメモリ記録画像の再生時には再生画像表示部として機能する。
操作部9は、モード切換スイッチ、十字キー及び実行キーなどの任意の操作デバイスによって構成される。例えばモード切換スイッチは、デジタルカメラ2の動作モードを切り換える際にユーザによって操作される。デジタルカメラ2の動作モードとして、被写体を撮像して撮影画像を得るための撮影モード及び画像を再生表示する再生モード等がある。また他の撮影モードとして、オートフォーカスを行うAF(Auto Focus)モード及びマニュアルフォーカス操作を行うMF(Manual Focus)モードがある。一方、十字キー及び実行キーは、表示部8にメニュー画面や設定画面を表示したり、メニュー画面や設定画面内に表示されるカーソルを移動したり、デジタルカメラ2の各種設定を確定したりする場合に、ユーザによって操作される。またユーザは操作部9を操作して、後述のホワイトバランスブラケッティングモードと、通常のホワイトバランスモードとを切り換えることもできる。
カメラ本体3の底部(図示省略)には、メインメモリ10が装填されるメモリスロットと、このメモリスロットの開口を開閉する装填蓋とが設けられている。メインメモリ10は、カメラ本体3に着脱自在に設けられており、カメラ本体3に装着されると、カメラ本体3に設けられる記憶制御部33と電気的に接続される。メインメモリ10は、一般にカード型フラッシュメモリ等の半導体メモリにより構成可能であるが、特に限定されるものではなく、磁気媒体等の任意の記録方式の記録媒体をメインメモリ10として用いることが可能である。
図3は、デジタルカメラ2の制御処理系を示すブロック図である。
被写体光は、レンズ鏡筒4に設けられるレンズ部12とカメラ本体3に設けられるメカニカルシャッタ20とを通過し、撮像素子21によって受光される。撮像素子21は、被写体像を受光して画像データを生成する素子であり、RGB(赤緑青)等のカラーフィルタと、光学像を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサとを有する。撮像素子21から出力される画像データは、プロセス処理部22でAGC(Automatic Gain Control)回路等によってプロセス処理が施され、その後AD変換部23によってアナログ形式の画像データがデジタル形式の画像データに変換される。デジタル化された画像データはバッファメモリ24に保存される。
バッファメモリ24は、画像データを一時的に記憶する領域であり、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等によって構成される。AD変換部23から送られてきてバッファメモリ24に蓄えられた画像データは、システム制御部25により制御される画像処理部(画像処理装置)31によって読み出される。画像処理部31は、撮像素子21が生成する画像データを入力画像データとして使用し、ホワイトバランス処理、ガンマ補正処理及びデモザイク処理等の各種の画像処理を行い、画像処理後の画像データを再びバッファメモリ24に保存する。
画像処理部31において画像処理が施されてバッファメモリ24に保存された画像データは、表示制御部35及び圧縮伸張部32によって読み出される。表示制御部35は表示部8を制御し、バッファメモリ24から読み出した画像データを表示部8に表示させる。このように、撮像素子21から出力され画像処理部31において画像処理を受けた画像データは、撮影確認画像として表示部8にポストビュー画像として表示される。
一方、圧縮伸張部32は、バッファメモリ24から読み出した画像データの圧縮処理を行って、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やTIFF(Tagged Image File Format)等の任意の圧縮形式の画像データを作成する。圧縮処理後の画像データは、メインメモリ10へのデータ記録処理及びメインメモリ10からのデータ読み出し処理をコントロールする記憶制御部33によって、メインメモリ10に記録される。なおメインメモリ10に画像データ等のデータ類を記録する場合、記憶制御部33は、後述のクロックデバイス34から取得される日時情報に基づいて、そのデータ類に編集日時情報(更新日時情報)等の撮影情報やその他の関連情報を付加する。この撮影情報は任意のフォーマットで画像データに付加され、例えばExif(Exchangeable image file format)形式を採用可能である。
メインメモリ10に保存されている画像データを再生する再生モードにおいて、メインメモリ10に保存されている画像データは、システム制御部25により制御される記憶制御部33によって読み出され、圧縮伸張部32によって伸張処理が施された後にバッファメモリ24に保存される。そして撮影画像の確認表示と同様の手順で、表示制御部35によってバッファメモリ24から画像データが読み出され、表示部8において画像データが再生表示される。
システム制御部25は、上述のようにバッファメモリ24、画像処理部31及び記憶制御部33をコントロールするが、デジタルカメラ2における他の各部もコントロールする。例えば、システム制御部25は、レンズ駆動部27を制御してレンズ部12の駆動をコントロールし、シャッタ駆動部26を制御してメカニカルシャッタ20の駆動をコントロールする。またシステム制御部25は、フラッシュ発光部5を制御してフラッシュの発光及び非発光をコントロールし、電源制御部28を制御して電源29における電池装着の有無、電池の種類及び電池残量の検出等を行う。またシステム制御部25は、クロックデバイス34においてカウントされる日時情報を取得して各種の処理に利用する。またシステム制御部25は、画像処理部31を構成する各種の処理部を制御する。
さらにシステム制御部25は、シャッタボタン6、電源スイッチ7及び操作部9を含むユーザインタフェース36からの操作信号を取得し、操作信号に応じた各種の処理及びデバイス制御を行う。例えば、システム制御部25は、シャッタボタン6から受信したレリーズ信号に応じてシャッタ駆動部26を制御し、メカニカルシャッタ20の開閉をコントロールする。またシステム制御部25は、電源スイッチ7から受信した電源オンオフ信号に応じて電源制御部28を制御し、電源29のオン及びオフをコントロールする。
システム制御部25で行われる各種の処理及びデバイス制御に必要なプログラムやデータ類は、制御メモリ30に記憶されている。システム制御部25は、必要に応じて、制御メモリ30に記憶されているプログラムやデータ類を読み出すことができ、また新たなプログラムやデータ類を制御メモリ30に保存することができる。例えば設定されたホワイトバランスモードの種類やホワイトバランスゲイン等の条件データを、システム制御部25は制御メモリ30に書き込むことができる。またシステム制御部25は、表示制御部35を制御して、各部から取得した各種情報を表示部8に表示させることができる。なおシステム制御部25は、ユーザがユーザインタフェース36を介して入力する操作信号に応じて、表示部8に表示させる各種情報を変更することができる。
次に、画像処理部31におけるホワイトバランス処理について説明する。
図4は、L*a*b*表色系の色度図である。
L*a*b*表色系において、アンバー・ブルー方向は図4の矢印「A−B」で表され、グリーン・マゼンタ方向は図4の矢印「G−M」で表される。したがって色相がアンバー・ブルー方向に偏った画像の代表色は、図4の座標の原点から矢印「A−B」方向に関してずれた位置にプロットされる。一方、色相がグリーン・マゼンタ方向に偏った画像の代表色は、図4の座標の中心から矢印「G−M」方向に関してずれた位置にプロットされる。
「画像の代表色」は任意の手法で定められる。例えば画像の色度分布の統計量に基づいて代表色を決定してもよく、色空間において画像の色が分布している領域だけを線分に分割して代表色を決定する色空間線形分割法等を用いて代表色を決定してもよい。なお画像データの「色分布情報」及び「光源色」は、この「画像の代表色」に基づいて定められてもよい。
通常のホワイトバランス処理は、画像の色相の偏りを解消し、画像の代表色を図4の色度図の原点に戻すための処理となる。
以下、ホワイトバランス処理の具体的な実施形態について説明する。
以下の各実施形態のホワイトバランス処理は画像処理部31(図3参照)において行われるが、画像処理部31ではホワイトバランス処理以外の画像処理(例えばガンマ補正処理及びデモザイク処理等)も行われる。したがって各実施形態のホワイトバランス処理の前及び/又は後において、他の画像処理が行われてもよい。またホワイトバランスブラケティングによって作成されるブラケット画像の数は、1以上であればよい。以下の各実施形態では、1つのベース画像に加えて2つのブラケット画像を作成するホワイトバランスブラケティングの例について説明する。
<第1実施形態>
本実施形態では、シャッタボタン6を介した1度のレリーズ操作によって、ホワイトバランスが異なる複数の画像(ベース画像及びブラケット画像)を取得するホワイトバランスブラケティングにおいて、入力画像データの色分布に応じてブラケット画像用ホワイトバランスゲインが自動的に算出される。
図5は、第1実施形態に係るホワイトバランス画像処理部40(画像処理装置)の機能構成例を示すブロック図である。
画像処理部31におけるホワイトバランス画像処理部40は、画像データ取得部44と、色分布取得部46と、第1ゲイン取得部41と、第2ゲイン取得部42と、ホワイトバランス処理部(以下「WB処理部」と称する)54とを有する。このホワイトバランス画像処理部40は、ベース画像及びブラケット画像を得るために原画像データ(処理対象画像データ)に適用されるホワイトバランスゲインを取得し、原画像データ(処理対象画像データ)にホワイトバランスゲインを適用する画像処理装置である。
画像データ取得部44は、ホワイトバランス画像処理部40に送られてくる入力画像データを受信し、受信した入力画像データを色分布取得部46及びWB処理部54に送信する。
色分布取得部46は、画像データ取得部44から送られてくる入力画像データを解析し、入力画像データの色分布情報を取得する。この色分布情報は、入力画像データに基づくものであれば任意の手法で定められる。例えば、入力画像データの代表色を色分布情報としてもよく、シャッタボタン6を介したレリーズ操作によって撮像素子21から送られてくる画像データを構成する画素値の積算値に基づくデータを色分布情報としてもよい。
第1ゲイン取得部41は、ホワイトバランス設定判別部(以下「WB設定判別部」と称する)48及びベースホワイトバランスゲイン設定部(以下「ベースWBゲイン設定部」と称する)50を有し、ベース画像を得るためのベース画像用ホワイトバランスゲインをホワイトバランスの設定モードに応じて取得する。
WB設定判別部48は、ホワイトバランスの設定モードに関する情報データがシステム制御部25によって入力され、ホワイトバランスの設定モードを認定する。このホワイトバランスの設定モードに関する情報データは、制御メモリ30に記憶されており、システム制御部25によって読み出し及び書き換え可能となっている。ホワイトバランスの設定モードは予め定められていてもよいし、ユーザインタフェース36(図3参照)を介してユーザがホワイトバランスの設定モードを任意のモードに設定可能であってもよい。
例えばプリセットホワイトバランスモード、オートホワイトバランスモード及びカスタムホワイトバランスモードのうちのいずれかを、ホワイトバランスの設定モードとしてユーザが任意に選択可能であってもよい。プリセットホワイトバランスモードでは、ベース画像用ホワイトバランスゲインが予め定められており、このベース画像用ホワイトバランスゲインは制御メモリ30に記憶されている。オートホワイトバランスモードでは、入力画像データの色分布情報に基づいて、この入力画像データに適用されるベース画像用ホワイトバランスゲインが決定される。カスタムホワイトバランスモードでは、入力画像データの色分布情報に基づいて、この入力画像データとは異なる処理対象画像データに適用されるベース画像用ホワイトバランスゲインが決定される。
すなわちカスタムホワイトバランスモードでは、ユーザが無彩色(白又はグレー)の被写体を撮影して撮像素子21から出力される画像データが、入力画像データとして取得される。そして、この被写体が適切な無彩色を示すために必要とされるホワイトバランスゲインが算出されてベース画像用ホワイトバランスゲインに設定される。そのためカスタムホワイトバランスモードでは、入力画像データの色分布情報に基づいて決定されたベース画像用ホワイトバランスゲインが制御メモリ30に記憶される。そして、ベース画像を作成するホワイトバランス処理において制御メモリ30から読み出されたベース画像用ホワイトバランスゲインが処理対象画像データに適用される。したがってカスタムホワイトバランスモードでは、「ベース画像用ホワイトバランスゲインを決定するために使用される入力画像データ」と「ベース画像を得るためにベース画像用ホワイトバランスゲインが適用される処理対象画像データ」とは異なるデータとなる。なおオートホワイトバランスモードでは、「ベース画像用ホワイトバランスゲインを決定するために使用される入力画像データ」と、「ベース画像を得るためにベース画像用ホワイトバランスゲインが適用される処理対象画像データ」とを、同じデータとすることができる。
プリセットホワイトバランスモード及びカスタムホワイトバランスモードでは、制御メモリ30に記憶されているベース画像用ホワイトバランスゲインが、ホワイトバランスの設定モードに関する情報データと共に、システム制御部25によってWB設定判別部48に送信される。
なお図5には、ホワイトバランス画像処理部40にWB設定判別部48が設けられる例が示されているが、WB設定判別部48をシステム制御部25の一部として設けてもよいし、WB設定判別部48の処理をシステム制御部25が行ってWB設定判別部48が省略されてもよい。
ベースWBゲイン設定部50は、WB設定判別部48によって認定されたホワイトバランスの設定モードに関する情報データを取得し、ホワイトバランスの設定モードに応じてベース画像用ホワイトバランスゲインを取得する。
プリセットホワイトバランスモードやカスタムホワイトバランスモードのように予めベース画像用ホワイトバランスゲインが定められているモードを設定モードとする場合には、制御メモリ30に記憶されているベース画像用ホワイトバランスゲインがシステム制御部25及びWB設定判別部48を介してベースWBゲイン設定部50に供給される。
一方、オートホワイトバランスモードのようにベース画像用ホワイトバランスゲインが予め定められていないモードを設定モードとする場合には、ベースWBゲイン設定部50は、色分布取得部46から送られてくる入力画像データの色分布情報に基づいてベース画像用ホワイトバランスゲインを取得する。ベース画像用ホワイトバランスゲインの具体的な算出手法は特に限定されない。例えば、入力画像データの代表色を、図4に示すL*a*b*表色系の色度図の座標原点によって示される無彩色とするためのホワイトバランスゲインを、ベース画像用ホワイトバランスゲインとして採用してもよい。
そしてベースWBゲイン設定部50は、取得したベース画像用ホワイトバランスゲインを、システム制御部25、WB処理部54及び第2ゲイン取得部42(ブラケットWBゲイン設定部52)に送信する。
一方、第2ゲイン取得部42は、ブラケットホワイトバランスゲイン設定部(以下「ブラケットWBゲイン設定部」と称する)52を有し、ブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。ブラケット画像用ホワイトバランスゲインはブラケットWBゲイン設定部52からWB処理部54に送信されると共に、ブラケットWBゲイン設定部52からシステム制御部25に送信される。
ブラケット画像用ホワイトバランスゲインは、ベース画像に対するブラケット画像の色空間上の方向(補正方向:ブラケット方向)と、ベース画像に対するブラケット画像の色空間上における絶対距離(補正量:ブラケット量)とを規定する。
ブラケットWBゲイン設定部52(第2ゲイン取得部42)は、色分布取得部46から送られてくる入力画像データの色分布情報に基づいて色空間上でのブラケット方向を決定し、ベース画像用ホワイトバランスゲインを基準にそのブラケット方向に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。ブラケット方向は、ブラケット画像用ホワイトバランスゲインの色間の比率によって定まるため、ブラケットWBゲイン設定部52は、入力画像データの色分布情報に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインの色間の比率を定めることによって、ブラケット方向を決定することができる。
またブラケットWBゲイン設定部52(第2ゲイン取得部42)は、入力画像データの色分布情報に基づいてブラケット量の絶対値を決定し、ベース画像用ホワイトバランスゲインを基準にそのブラケット量の絶対値に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。したがってブラケットWBゲイン設定部52は、色分布情報に基づいて色毎にブラケット量の絶対値を決定し、ベース画像用ホワイトバランスゲインを基準にその色毎のブラケット量の絶対値に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを算出することができる。
ブラケットWBゲイン設定部52におけるブラケット方向及びブラケット量の決定は別個に行われてもよいし、同時的に行われてもよい。例えば入力画像データの色分布情報に応じて色毎のブラケット量が予め定められている場合、ブラケットWBゲイン設定部52は、色分布取得部46からの色分布情報に対応する予め定められた「色毎のブラケット量」を取得することで、実質的にブラケット方向及びブラケット量を同時的に決定することができる。
上述のようにブラケットWBゲイン設定部52は、入力画像データの色分布情報に基づいて、ベース画像用ホワイトバランスゲインを基準に、ブラケット画像を得るためのブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。したがってオートホワイトバランスモードの場合、第2ゲイン取得部42(ブラケットWBゲイン設定部52)は、第1ゲイン取得部41(WB設定判別部48及びベースWBゲイン設定部50)がベース画像用ホワイトバランスゲインの取得の基礎に用いた色分布情報と同じ情報に基づいて、ブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。
なお、ブラケット画像用ホワイトバランスゲインの取得手法の具体例については、後述の他の実施形態において詳述する。
WB処理部54は、画像データ取得部44から送られてくる入力画像データ(原画像データ)にベース画像用ホワイトバランスゲインを適用して、ベース画像を得る。またWB処理部54は、画像データ取得部44から送られてくる入力画像データ(原画像データ)にブラケット画像用ホワイトバランスゲインを適用して、ブラケット画像を得る。WB処理部54で作成されたベース画像及びブラケット画像の画像データは、後段の処理部に送信される。
なおシステム制御部25に送られたベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインは、システム制御部25によって制御メモリ30に保存される。
図5において図示が省略されているが、ホワイトバランス画像処理部40のうち、第1ゲイン取得部41(WB設定判別部48及びベースWBゲイン設定部50)及び第2ゲイン取得部42(ブラケットWBゲイン設定部52)以外の各部(画像データ取得部44、色分布取得部46、WB処理部54等)もシステム制御部25によって制御される。
図6は、第1実施形態に係るホワイトバランス処理のフローチャートである。
本例の画像処理方法では、入力画像データの色分布情報が取得され、設定モードに応じてベース画像用ホワイトバランスゲインが取得され、ベース画像用ホワイトバランスゲインを基準に色分布情報に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインが取得される。
すなわち、まず画像データ取得部44によって入力画像データが取得され(図6のS10)、その入力画像データの色分布情報が色分布取得部46によって取得される(S11)。
そしてWB設定判別部48によって、制御メモリ30及びシステム制御部25を介して送られてくる「ホワイトバランスの設定モードに関する情報データ」から、ホワイトバランスの設定モードが判別される。図6に示す例では、カスタムホワイトバランスモード、オートホワイトバランスモード及びプリセットホワイトバランスモードの3種類のモードの中からホワイトバランスの設定モードが選ばれる。
WB設定判別部48によって設定モードがカスタムホワイトバランスモードであると判別される場合(S12のYes)、制御メモリ30、システム制御部25及びWB設定判別部48を介して送られてくるカスタムホワイトバランスモード用のベース画像用ホワイトバランスゲインがベースWBゲイン設定部50によって取得される(S13)。
一方、設定モードがカスタムホワイトバランスモードではなくオートホワイトバランスモードであると判別される場合(S12のNo、S16のYes)、ベースWBゲイン設定部50では、色分布取得部46から送られてくる色分布情報に基づいてオートホワイトバランスモード用のホワイトバランスゲインが算出される(S17)。そして、そのオートホワイトバランスモード用のホワイトバランスゲインがベース画像用ホワイトバランスゲインとされる(S18)。
設定モードがカスタムホワイトバランスモードでもオートホワイトバランスモードでもないと判別される場合(S16のNo)、ホワイトバランスの設定モードはプリセットホワイトバランスモードであると推定される。この場合、制御メモリ30、システム制御部25及びWB設定判別部48を介して送られてくるプリセットホワイトバランスモード用のベース画像用ホワイトバランスゲインがベースWBゲイン設定部50によって取得される(S19)。
その後、ブラケットWBゲイン設定部52によって、ベースWBゲイン設定部50から送られてくるベース画像用ホワイトバランスゲインと色分布取得部46から送られてくる色分布情報に応じてブラケット画像用ホワイトバランスゲインが取得される(S14)。
そしてWB処理部54では、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてベース画像が取得され、またブラケット画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてブラケット画像が取得される(S15)。
WB処理部54から出力されるベース画像データ及びブラケット画像データは、必要に応じて他の画像処理(ガンマ補正処理及びデモザイク処理等)を受けた後に、バッファメモリ24及び圧縮伸張部32を介して記憶制御部33に送信され、メインメモリ10に保存される。メインメモリ10におけるベース画像及びブラケット画像の保存手法の具体例は、後述の第10実施形態及び第11実施形態において説明する。
上述のように本例のデジタルカメラ2では、シャッタボタン6が受け付ける1回の撮影指示によって、第1ゲイン取得部41はベース画像用ホワイトバランスゲインを取得し、第2ゲイン取得部42はブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得し、WB処理部54はベース画像及びブラケット画像を作成する。
以上説明したように本実施形態によれば、入力画像データの色分布情報に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインが設定されるため、ベース画像のホワイトバランスがずれやすい色空間上の方向及びずれ量を加味したブラケット画像を作成することができる。したがって本実施形態のホワイトバランス画像処理部40では、入力画像データの色分布情報に基づいて、ベース画像のホワイトバランスがずれやすい色空間上の方向が判別され、ブラケット画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像が取得される。したがって例えば「アンバー・ブルー方向にホワイトバランスがずれやすい撮影シーン」や「グリーン・マゼンタ方向にホワイトバランスがずれやすい撮影シーン」の画像データであっても、撮影シーンに応じた適切なブラケット方向及びブラケット量のブラケット画像を得ることができる。
また本実施形態では、入力画像データの色分布情報に基づいて自動的に、適切なブラケット方向及び適切なブラケット量が定められてブラケット画像用ホワイトバランスゲインが取得される。したがってユーザはブラケット方向の指定などの操作を行う必要がなくなり、ブラケット方向やブラケット量の設定に迷うことなく、簡便にベース画像及びブラケット画像を作成することができる。また、ブラケット方向が適切に定められるため、入力画像データの色分布情報とは無関係にブラケット方向を多方向としてブラケット画像を作成する場合に比べ、画像記録枚数を低減してメモリ容量の浪費を防ぐことができる。またユーザは、少ない画像(ベース画像及びブラケット画像)の中から適切なホワイトバランス処理が施された画像を簡便に選択することできる。
またオートホワイトバランスモードでは、「ベース画像用ホワイトバランスゲイン」及び「ブラケット画像用ホワイトバランスゲイン」が、同じ入力画像データの色分布情報に基づいて取得される。この場合、入力画像データの撮影取得タイミングの相違に起因する画角ハンチング(画角の不安定化)の影響が排除され、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインを精度良く求めることができる。
なおオートホワイトバランスモードであっても、「ベース画像用ホワイトバランスゲイン」の取得の基礎に用いられる画像データの色分布情報と、「ブラケット画像用ホワイトバランスゲイン」の取得の基礎に用いられる画像データの色分布情報とは異なっていてもよい。すなわちオートホワイトバランスモードにおいて、ベースWBゲイン設定部50は、入力画像データとは異なる画像データに基づいてベース画像用ホワイトバランスゲインを算出してもよい。例えば、ベースWBゲイン設定部50は、撮影画像(入力画像データ)の取得前(取得直前)に取得されたライブビュー用の画像データの色分布情報に基づいてベース画像用ホワイトバランスゲインを取得してもよい。一方、ブラケットWBゲイン設定部52は撮影画像(入力画像データ)の色分布情報に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得してもよい。この場合、ベース画像用ホワイトバランスゲインの取得処理が迅速化され、ホワイトバランスブラケティング処理全体の処理時間を短縮化できる。
<第2実施形態>
本実施形態において、上述の実施形態と同一又は類似の構成及び作用については、詳細な説明を省略する。
本実施形態では上述の第1実施形態の処理構成が具体化されており、入力画像データの色分布情報から入力画像データの光源色が推定され、推定された光源色に応じてブラケット画像用ホワイトバランスゲインが取得される。ここでいう「光源色」は入力画像データを取得する際に被写体を照らす光源及び/又は被写体から発せられる光を、撮像素子が受光(感光)した時の色比(カラーバランス:Color Balance)である。色比は例えばRGB比やCrCb比(色差比)などで表すことができる。
図7は、第2実施形態に係るホワイトバランス画像処理部40の機能構成例を示すブロック図である。
本実施形態のホワイトバランス画像処理部40は光源色推定部56を更に有する。光源色推定部56は、色分布取得部46から送られてくる色分布情報に基づいて入力画像データの光源色を推定する。光源色の推定手法は特に限定されず、例えば入力画像データの色分布の平均に基づいて光源色が推定されてもよい。推定された光源色を示す光源色データは、光源色推定部56からベースWBゲイン設定部50及びブラケットWBゲイン設定部52に送信される。
ベースWBゲイン設定部50は、ホワイトバランスの設定モードがオートホワイトバランスモードの場合、光源色推定部56から送られてくる光源色データに基づいてベース画像用ホワイトバランスゲインを取得する。「色分布情報から推定される光源色に基づいてホワイトバランスゲインを取得する手法」は特に限定されず、公知の手法に基づいて、推定される光源色の影響を低減するためのホワイトバランスゲインをベース画像用ホワイトバランスゲインとしうる。
第2ゲイン取得部42(光源色推定部56及びブラケットWBゲイン設定部52)は、入力画像データの色分布情報から光源色を推定し、その色分布情報から推定される光源色に応じてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。すなわちブラケットWBゲイン設定部52は、ベースWBゲイン設定部50から送られてくるベース画像用ホワイトバランスゲインを基準に、光源色推定部56から送られてくる光源色データに基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。この「色分布情報から推定される光源色に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する手法」の具体例については、後述の第3実施形態〜第7実施形態において詳述する。
このように光源色推定部56は、ベース画像用ホワイトバランスゲインを取得する第1ゲイン取得部41の一部として機能するだけではなく、ブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する第2ゲイン取得部42の一部としても機能する。
図7に示すホワイトバランス画像処理部40の他の機能構成は、上述の第1実施形態と同様である。
図8は、第2実施形態に係るホワイトバランス処理のフローチャートである。
本実施形態では、第1実施形態(図6のS10及びS11参照)と同様の手順で、入力画像データが取得され(図8のS20)、この入力画像データの色分布情報が取得される(S21)。ただし本実施形態では、光源色推定部56によって、入力画像データの色分布情報から入力画像データの光源色が推定される(S22)。
そしてホワイトバランスの設定モードがカスタムホワイトバランスモードの場合(S23のYes)及びプリセットホワイトバランスモードの場合(S27のNo)には、第1実施形態(図6のS12〜S13及びS19参照)と同様の手順で、カスタムホワイトバランスモード用のベース画像用ホワイトバランスゲインが取得され(S24)、プリセットホワイトバランスモード用のベース画像用ホワイトバランスゲインが取得される(S30)。
一方、ホワイトバランスの設定モードがオートホワイトバランスモードの場合(S27のYes)、ベースWBゲイン設定部50では、光源色推定部56から送られてくる光源色データに基づいてオートホワイトバランスモード用のホワイトバランスゲインが算出される(S28)。そして、そのオートホワイトバランスモード用のホワイトバランスゲインがベース画像用ホワイトバランスゲインとされる(S29)。
上述の各ステップ(S24、S29及びS30)でベース画像用ホワイトバランスゲインが取得されると、ブラケットWBゲイン設定部52では、ベースWBゲイン設定部50から送られてくるベース画像用ホワイトバランスゲインと、光源色推定部56から送られてくる光源色データとに基づいて、ブラケット画像用ホワイトバランスゲインが取得される(S25)。
そしてWB処理部54では、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてベース画像が取得され、またブラケット画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてブラケット画像が取得される(S26)。
以上説明したように本実施形態によれば、入力画像データの色分布情報から推定される光源色に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインが取得される。したがって、簡便且つ高精度にベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得することができ、光源色による影響を低減したベース画像及びブラケット画像を得ることが可能である。
特にオートホワイトバランスモードにおける光源色データは、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインの算出処理においても使用される情報であり、ブラケット方向及びブラケット量を決める要素である。そのためブラケットWBゲイン設定部52は、オートホワイトバランスモードのベース画像において「光源色に起因してホワイトバランス処理で過補正や補正不足が生じ易い色空間上における方向」を判別し、その「過補正や補正不足が生じ易い色空間上における方向」が反映されたブラケット画像を作成することができる。
<第3実施形態>
本実施形態において、上述の実施形態と同一又は類似の構成及び作用については、詳細な説明を省略する。
本実施形態では、上述の第2実施形態の処理構成が具体化されており、光源色(光源色特性)と黒体放射軌跡(黒体放射特性)との距離が算出され、この距離に応じてブラケット画像用ホワイトバランスゲインが算出される。
図9A〜図9Cは、黒体放射軌跡(黒体放射曲線)が表されたRGB表色系の2次元色空間座標系を示し、原点を「0」として、縦軸は「B/G(青/緑)」を表し、横軸は「R/G(赤/緑)」を表す。図9Aは光源色と黒体放射軌跡との関係を示し、図9Bは黒体放射軌跡と相関色温度との関係を示し、図9Cは黒体放射軌跡とブルー、マゼンタ、アンバー及びグリーンの方向との関係を示す。図9A〜図9Cにおいて、黒体放射軌跡が符号「B」で表され、光源色が符号「I」で表され、黒体放射軌跡Bと光源色Iとの距離が符号「L」で表されている。
黒体放射軌跡Bは黒体(完全放射体)の放射軌跡を示し、色空間上における黒体放射軌跡Bと光源色Iとの距離Lは、光源色Iを通過する黒体放射軌跡Bの法線上での「光源色Iと黒体放射軌跡Bとの間の長さ(距離)」に相当する。
光源色と最も近い黒体放射軌跡上の位置(図9Aの符号「C」参照)の示す色温度が、その光源色の相関色温度と呼ばれる。相関色温度は光源色と最も近い色に見える黒体放射の色(温度)を表すため、黒体放射軌跡上に存在しない光源色であって黒体放射軌跡の同一法線上に位置する光源色は、同一の相関色温度を持つ。例えば図9Bに示す10000K(ケルビン)の法線上の光源色、5000Kの法線上の光源色及び2500Kの法線上の光源色の各々は同一の相関色温度を持つ。
図4のL*a*b*表色系の色度図に示した「アンバー・ブルー方向」及び「グリーン・マゼンタ方向」は、「B/G」及び「R/G」で表される色空間座標系では図9Cに示す方向となる。図9Cからも明らかなように、黒体放射軌跡Bはアンバー・ブルー方向に沿った曲線となり、アンバー・ブルー方向と直交するグリーン・マゼンタ方向は、黒体放射軌跡Bの法線方向と一致する。
なお黒体放射軌跡と光源色との距離を表すための色空間は、特に限定されない。例えばxyY表色系空間、XYZ表色系色空間、L*u*v*表色系色空間、L*a*b*表色系色空間、或いはYCrCb色空間などに基づいて、黒体放射軌跡と光源色との距離が表されてもよい。
図10は、第3実施形態に係るホワイトバランス画像処理部40の機能構成例を示すブロック図である。
本実施形態のホワイトバランス画像処理部40は、光源色推定部56に加え、光源色特性取得部58及び黒体特性記憶部60を更に有する。黒体特性記憶部60は、色温度に関する黒体放射特性を記憶し、具体的には図9A〜図9Cに示す黒体放射軌跡を記憶し、この黒体放射特性(黒体放射軌跡)は光源色特性取得部58によって適宜読み出される。光源色特性取得部58は、光源色推定部56から送られてくる光源色データと黒体特性記憶部60から読み出した黒体放射特性データとに基づいて、黒体放射軌跡Bと光源色Iとの距離L(図9A参照)を取得する。
本実施形態の第2ゲイン取得部42は、色空間上における「黒体放射特性(黒体放射軌跡)B」と「入力画像データの色分布情報から推定される光源色I」との距離Lに応じてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。すなわちブラケットWBゲイン設定部52は、ベースWBゲイン設定部50から送られてくる「ベース画像用ホワイトバランスゲイン」と光源色特性取得部58にから送られてくる「黒体放射軌跡Bと光源色Iとの距離L」とに基づいて、ブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。ブラケット画像用ホワイトバランスゲインの取得手法の具体例については、後述の第4実施形態において説明する。
図10に示すホワイトバランス画像処理部40の他の機能構成は、上述の第2実施形態と同様である。
上述のように、ブラケット画像用ホワイトバランスゲインの取得の基礎となる「黒体放射軌跡Bと光源色Iとの距離L」を色分布情報及び光源色から取得する光源色特性取得部58及び黒体特性記憶部60は、第2ゲイン取得部42の一部として機能する。
図11は、第3実施形態に係るホワイトバランス処理のフローチャートである。
本実施形態では、第2実施形態(図8のS20〜S24及びS27〜S30参照)と同様の手順で、入力画像データが取得され(図11のS40)、この入力画像データの色分布情報が取得され(S41)、この色分布情報から光源色が取得され(S42)、設定モードに応じてベース画像用ホワイトバランスゲインが取得される(S43〜S44及びS48〜S51)。
そして光源色特性取得部58によって、光源色推定部56から送られてくる光源色データと黒体特性記憶部60から読み出した黒体放射特性データとから「黒体放射軌跡Bと光源色Iとの距離L」が取得される(S45)。ブラケットWBゲイン設定部52では、「ベース画像用ホワイトバランスゲイン」と「黒体放射軌跡Bと光源色Iとの距離L」とに応じてブラケット画像用ホワイトバランスゲインが取得される(S46)。
そしてWB処理部54では、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてベース画像が取得され、またブラケット画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてブラケット画像が取得される(S47)。
以上説明したように本実施形態では、入力画像データの色分布情報から推定される光源色と黒体放射軌跡との距離に応じてブラケット画像用ホワイトバランスゲインが定められる。
黒体放射軌跡はアンバー・ブルー方向に延在する曲線である(図9C参照)ため、例えば光源色が黒体放射軌跡上に存在して光源色と黒体放射軌跡との距離が0の場合、ブラケットWBゲイン設定部52は、ブラケット画像用ホワイトバランスゲインによる補正方向(ブラケット方向)を「アンバー・ブルー方向」に設定することが好ましい。一方、光源色と黒体放射軌跡との距離が大きい場合、ブラケットWBゲイン設定部52は、ブラケット画像用ホワイトバランスゲインによる補正方向(ブラケット方向)を「グリーン・マゼンタ方向」に設定することが好ましい。ブラケット画像用ホワイトバランスゲインによる補正方向(ブラケット方向)の設定に関する詳細は、後述の第4実施形態において説明する。
このようにベース画像に対するブラケット方向を「光源色と黒体放射軌跡との距離」に応じて決定してブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得することにより、「ホワイトバランス処理で過補正や補正不足が生じ易い色空間上における方向」をブラケット方向とするブラケット画像を作成することができる。
なお「ホワイトバランス処理で過補正や補正不足が生じ易い色空間上における方向」をブラケット方向とするブラケット画像の作成は、ホワイトバランスの設定モードによらずに行われる。例えば電球色のプリセットホワイトバランスゲインは、一般に、黒体放射軌跡上において2800K〜3400K程度に設定されることが多い。ところが電球色の光源として実際に使用される「LED(Light Emitting Diode)」や「蛍光灯」の光源色は、黒体放射軌跡からやや離れた位置にある。黒体放射軌跡から離れた位置の光源色下で撮影された画像データのホワイトバランスブラケティングにおいて、ブラケット方向をアンバー・ブルー方向としても、ベース画像及びブラケット画像の中に適切なホワイトバランス処理が施された画像が存在しない場合が多い。しかしながら本実施形態によれば、プリセットホワイトバランスモードであっても、ブラケット方向が「光源色と黒体放射軌跡との距離」に応じて定められ、「ホワイトバランス処理で過補正や補正不足が生じ易い色空間上における方向」をブラケット方向とするベース画像を作成することができる。
<第4実施形態>
本実施形態において、上述の実施形態と同一又は類似の構成及び作用については、詳細な説明を省略する。
本実施形態では、上述の第3実施形態の処理構成が具体化されている。
本実施形態のホワイトバランス画像処理部40の機能構成は、上述の第3実施形態(図10参照)と同じである。ただしブラケットWBゲイン設定部52(第2ゲイン取得部42)は、「黒体放射軌跡(黒体放射特性)」と「入力画像データの色分布情報から推定される光源色」との距離が小さいほど、色空間上でのブラケット方向をアンバー・ブルー方向に近づけてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。一方、「黒体放射軌跡(黒体放射特性)」と「入力画像データの色分布情報から推定される光源色」との距離が大きいほど、色空間上でのブラケット方向をグリーン・マゼンタ方向に近づけてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。
図12は、第4実施形態における「光源色と黒体放射軌跡との距離L」と「ブラケット方向」との関係例を示す図である。図12の横軸は「光源色と黒体放射軌跡との距離L」を表し、この横軸の原点は「距離L=0」を表す。図12の縦軸は「ブラケット方向」を表し、縦軸の原点は「ブラケット方向=アンバー・ブルー方向」を表し、原点から離れるに従ってブラケット方向がグリーン・マゼンタ方向に近づくことを表す。
図12に示す例において、入力画像データの色分布情報から推定される光源色と黒体放射軌跡との距離Lが第1の閾値(図12の符号「th1」参照)と比べて小さい場合、ブラケットWBゲイン設定部52は、ブラケット方向がアンバー・ブルー方向となるブラケット画像用ホワイトバランスゲインを算出する(図12の符号「A」参照)。また光源色と黒体放射軌跡との距離Lが第1の閾値(th1)よりも大きい第2の閾値(図12のth2)と比べて大きい場合、ブラケットWBゲイン設定部52は、ブラケット方向がグリーン・マゼンタ方向となるブラケット画像用ホワイトバランスゲインを算出する(図12の符号「C」参照)。そして光源色と黒体放射軌跡との距離Lが第1の閾値(th1)以上であって第2の閾値(th2)以下の場合、ブラケットWBゲイン設定部52は、ブラケット方向がアンバー・ブルー方向とグリーン・マゼンタ方向との中間方向となるブラケット画像用ホワイトバランスゲインを算出する(図12の符号「B」参照)。
図12に示す例では、光源色と黒体放射軌跡との距離Lが第1の閾値(th1)以上であって第2の閾値(th2)以下の場合、ブラケット方向はアンバー・ブルー方向とグリーン・マゼンタ方向との間で距離Lに応じて連続的(比例的)に変えられるが、これに限定されない。例えば任意のメンバシップ関数に基づいて「光源色と黒体放射軌跡との距離L」からブラケット方向が定められてもよい。ブラケット方向がメンバシップ関数に基づく場合、光源色推定部56により推定される光源色の相関色温度に応じて、使用されるメンバシップ関数が決められることが望ましい。またブラケット方向を定める上記の「第1の閾値(th1)」及び「第2の閾値(th2)」は、光源色推定部56により推定される光源色の相関色温度に応じて決められることが望ましい。
なおブラケットWBゲイン設定部52は、「第1の閾値(th1)」及び「第2の閾値(th2)」に基づく上述の手法に代えて、光源色と黒体放射軌跡との距離Lが第3の閾値以下の場合にはブラケット方向をアンバー・ブルー方向とし、第3の閾値よりも大きい場合にはブラケット方向をグリーン・マゼンタ方向としてもよい。ただしこの場合、ショットハンチング等のために、作成されるブラケット画像の色相が必ずしも適切にはならない。より適切な色相のブラケット画像を得る観点からは、メンバシップ関数等を用いて「アンバー・ブルー方向とグリーン・マゼンタ方向との中間方向」をブラケット方向として採用しうる手法の方が好ましい。
図13は、第4実施形態に係るホワイトバランス処理のフローチャートである。
本実施形態では、第3実施形態(図11のS40〜S45及びS48〜S51)と同様の手順で「ベース画像用ホワイトバランスゲイン」及び「黒体放射軌跡Bと光源色Iとの距離L」が取得される(図13のS40〜S45及びS48〜S51)。
そしてブラケットWBゲイン設定部52では、「黒体放射軌跡Bと光源色Iとの距離L」に応じたブラケット方向(図12参照)のブラケット画像用ホワイトバランスゲインが、ベース画像用ホワイトバランスゲインを基準に求められる(S46a)。
そしてWB処理部54では、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてベース画像が取得され、またブラケット画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてブラケット画像が取得される(S47)。
以上説明したように本実施形態によれば、「黒体放射軌跡Bと光源色Iとの距離L」に応じて、適切なブラケット方向のブラケット画像を得られる。
<第5実施形態>
本実施形態において、上述の実施形態と同一又は類似の構成及び作用については、詳細な説明を省略する。
本実施形態では、第2ゲイン取得部42が、入力画像データの色分布情報から推定される光源色の「黒体放射特性に基づく相関色温度」に応じてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。
本実施形態のホワイトバランス画像処理部40の機能構成は、上述の第3実施形態(図10参照)と同じである。ただしブラケットWBゲイン設定部52(第2ゲイン取得部42)は、入力画像データの色分布情報から推定される光源色の相関色温度に応じてブラケット量の絶対値を決定し、このブラケット量の絶対値に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。
図9Cに示すように、同じアンバー・ブルー方向(又はグリーン・マゼンタ方向)であっても、光源色の色温度によって、アンバー・ブルー方向(又はグリーン・マゼンタ方向)の示す色空間上での具体的な方向が異なる。したがって、入力画像データの光源色の相関色温度に応じて、ブラケット量(絶対値)が変えられることが好ましい。
例えば、光源色の相関色温度が10000Kのシーンと2500Kのシーンとでは、ブラケット方向が同じアンバー・ブルー方向であっても、色空間上での具体的な方向は異なり、「R/G」及び「B/G」の変化率も変わる。したがってブラケットWBゲイン設定部52は、色分布情報から推定される光源色の相関色温度に応じてブラケット量の絶対値を決定し、相関色温度に応じてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを変える。例えば、RGB画素値によって構成される画像データのうちR画素値及びB画素値にのみホワイトバランスゲインを適用するホワイトバランス処理の場合、ブラケットWBゲイン設定部52は、R画素値やB画素値に適用するブラケット画像用ホワイトバランスゲインを、光源色の相関色温度に応じて調整する。
ブラケットWBゲイン設定部52は、色分布情報から推定される光源色の相関色温度が高くなるに従って、徐々にブラケット量の絶対値が大きくなるようにブラケット画像用ホワイトバランスゲインを定めることが好ましい。
図14は、第5実施形態に係るホワイトバランス処理のフローチャートである。
本実施形態では、第3実施形態(図11のS40〜S44及びS48〜S51)と同様の手順でベース画像用ホワイトバランスゲインが取得される(図14のS60〜S64及びS68〜S71)。
そして光源色特性取得部58は、光源色推定部56によって推定された光源色の光源色データと黒体特性記憶部60から読み出した黒体放射特性データとに基づいて、この光源色の相関色温度を取得する(S65)。
そしてベースWBゲイン設定部50が取得した「ベース画像用ホワイトバランスゲイン」と、光源色特性取得部58が取得した「光源色の相関色温度」とに基づいて、ブラケットWBゲイン設定部52によりブラケット画像用ホワイトバランスゲインが取得される(S66)。
そしてWB処理部54では、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてベース画像が取得され、またブラケット画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてブラケット画像が取得される(S67)。
以上説明したように本実施形態によれば、入力画像データの光源色の相関色温度に応じてブラケット画像用ホワイトバランスゲインが取得されるため、精度良く適切なブラケット画像を作成することができる。
なお本実施形態は、上述の第3実施形態又は第4実施形態と組み合わされてもよい。図15は、第4実施形態のホワイトバランス処理と第5実施形態のホワイトバランス処理とを組み合わせた処理の一例を示すフローチャートである。
本例では、第4実施形態(図13のS40〜S44及びS48〜S51)及び第5実施形態(図14のS60〜S64及びS68〜S71)と同様の手順でベース画像用ホワイトバランスゲインが取得される(図15のS40〜S44及びS48〜S51)。そして光源色特性取得部58によって、「黒体放射軌跡と光源色との距離L」及び「光源色の相関色温度」が取得される(図15のS45及びS65)。そしてブラケットWBゲイン設定部52によって、「黒体放射軌跡と光源色との距離Lに応じたブラケット方向」及び「光源色の相関色温度に応じたブラケット量」に基づくブラケット画像用ホワイトバランスゲインが、ベース画像用ホワイトバランスゲインを基準に取得される(図15のS46b)。そしてWB処理部54では、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてベース画像が取得され、またブラケット画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてブラケット画像が取得される(図15のS47)。
このように第3実施形態及び第4実施形態の各々のホワイトバランス処理と第5実施形態のホワイトバランス処理とを組み合わせることによって、適切なブラケット方向及びブラケット量のブラケット画像を作成することができる。
<第6実施形態>
本実施形態において、上述の第2実施形態と同一又は類似の構成及び作用については、詳細な説明を省略する。
本実施形態では、光源色にベース画像用ホワイトバランスゲインを適用することでベース画像の彩度情報が算出され、このベース画像の彩度情報に応じてブラケット画像用ホワイトバランスゲインが算出される。
図16は、第6実施形態に係るホワイトバランス画像処理部40の機能構成例を示すブロック図である。
本実施形態のホワイトバランス画像処理部40の第2ゲイン取得部42は、ベース画像の彩度情報を取得する彩度特定部62を更に有する。
彩度特定部62(第2ゲイン取得部42)は、光源色推定部56から送られてくる「色分布情報から推定される光源色の光源色データ」とベースWBゲイン設定部50から送られてくる「ベース画像用ホワイトバランスゲイン」とに基づいて、ベース画像の彩度情報を取得する。ブラケットWBゲイン設定部52は、彩度特定部62から送られてくる「ベース画像の彩度情報」に基づいて、ブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。
より具体的には、彩度特定部62は、無彩色に対する「ベース画像の相対的な彩度」に基づいて彩度情報を取得する。ブラケットWBゲイン設定部52は、この彩度情報に基づいてブラケット量の絶対値を決定し、ベース画像用ホワイトバランスゲインを基準に、このブラケット量の絶対値に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。
例えば、入力画像データの光源色をRGB値(RL,GL,BL)によって(RL/GL,BL/GL)により表し、またR画素値、G画素値及びB画素値のそれぞれに適用されるホワイトバランスゲインをBaseWBR、BaseWBG、BaseWBBによって表す。この場合、ベース画像の色比(カラーバランス:Color Balance)をRGB値(RB,GB,BB)によって(RB/GB,BB/GB)と表すと、このベース画像の色比(RB/GB,BB/GB)は下記式によって表される。
このベース画像の色比(RB/GB,BB/GB)が(1,1)となる場合、ベース画像のRGB値は相互に等しくベース画像の彩度は無彩色になり、ベース画像には適切なホワイトバランス処理が施されている。すなわち、適切なベース画像用ホワイトバランスゲインによるホワイトバランス処理によって得られるベース画像の色比(RB/GB,BB/GB)は(1,1)となり、無彩色となる。そのためオートホワイトバランスモードによって得られるベース画像の色比(RB/GB,BB/GB)は通常(1,1)となり、無彩色となる。
しかしながら、プリセットホワイトバランスモードやカスタムホワイトバランスモードにおいて予め記憶されているベース画像用ホワイトバランスゲインが適切に設定されていない場合、ベース画像の色比(RB/GB,BB/GB)は(1,1)にはならない。したがって、上記式に基づいて求められるベース画像の色比(RB/GB,BB/GB)と(1,1)との距離は、無彩色に対する相対的な彩度を表す。
本実施形態では、無彩色に対する「ベース画像の相対的な彩度」を表す彩度情報が彩度特定部62により特定されてブラケットWBゲイン設定部52に送信され、ブラケットWBゲイン設定部52がその彩度情報に基づいてブラケット量の絶対値を決定する。なおこのブラケット量の絶対値の決定手法の具体例については、後述の第7実施形態において説明する。
図17は、第6実施形態に係るホワイトバランス処理のフローチャートである。
本実施形態では、第2実施形態(図8のS20〜S24及びS27〜S30)と同様の手順でベース画像用ホワイトバランスゲインが取得される(図17のS80〜S84及びS88〜S91)。
そして彩度特定部62によってベース画像の彩度情報が取得され(S85)、ブラケットWBゲイン設定部52によって、ベース画像の彩度情報及びベース画像用ホワイトバランスゲインからブラケット画像用ホワイトバランスゲインが取得される(S86)。
そしてWB処理部54では、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてベース画像が取得され、またブラケット画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてブラケット画像が取得される(S87)。
以上説明したように本実施形態によれば、「ベース画像の彩度情報」に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインが調整される。これにより、ホワイトバランスの設定モードにかかわらず、また入力画像データの光源色にかかわらず、「視覚的に」ほぼ均等なブラケット量のブラケット画像を得ることが可能である。
<第7実施形態>
本実施形態において、上述の第6実施形態と同一又は類似の構成及び作用については、詳細な説明を省略する。
本実施形態では上述の第6実施形態の処理構成が具体化されており、人間の視覚特性が反映されたブラケット画像用ホワイトバランスゲインが取得される。
人間の視覚的印象は、画像の彩度、特に白い物の彩度に依存して変動する。またマクアダムの法則によれば、人間は視覚的に、画像の彩度が完全グレー(無彩色)に近い場合には彩度(ホワイトバランス)の違いに敏感になるが、画像の彩度が完全グレーから遠ざかると彩度(ホワイトバランス)の違いに鈍感になる。
したがってベース画像の彩度が低く、彩度の変化が視覚的に敏感に感じられる場合には、ブラケット量を相対的に小さく設定し、またベース画像の彩度が高く、彩度の変化が視覚的に鈍感に感じられる場合には、ブラケット量を相対的に大きく設定することが好ましい。
本実施形態ではこの視覚特性が考慮されており、ベース画像の彩度が高く完全グレーから離れるほど、ベース画像に対してホワイトバランスを大きくずらしたブラケット画像が作成される。より具体的には、ブラケットWBゲイン設定部52(第2ゲイン取得部42)は、ベース画像の彩度情報に基づいて、無彩色とベース画像との彩度の差が大きいほどブラケット量の絶対値を大きくしてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。ベース画像の彩度に応じてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを調整することで、ベース画像の彩度によらず、ベース画像とブラケット画像との間のホワイトバランスの「視覚上」の相違を均一にすることが可能である。
なお、ここでいう「無彩色」は、絶対的な無彩色であってもよいし、表示部8の表示特性を考慮して表示部8上で無彩色を再現するための色(以下、「表示無彩色」とも称する)であってもよい。すなわち、画像を表示するデバイスの表示特性によってユーザが視覚的に無彩色に感じる色は異なり、例えば6500Kの色温度を有する液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)は5000Kの色温度を有する液晶ディスプレイよりも全体的に表示が青く見える。
したがってブラケットWBゲイン設定部52(第2ゲイン取得部42)は、表示部8の表示特性を示す表示特性情報を表示特性取得部から取得し、その表示特性情報に基づいて表示無彩色情報を取得してもよい。この場合、ブラケットWBゲイン設定部52は、表示無彩色情報から表示無彩色を推定し、その表示無彩色に対するベース画像の相対的な彩度に基づいて彩度情報を取得してもよい。そしてブラケットWBゲイン設定部52は、この彩度情報に基づいてブラケット量の絶対値を決定し、ベース画像用ホワイトバランスゲインを基準にこのブラケット量の絶対値に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得してもよい。
本実施形態のホワイトバランス画像処理部40の機能構成は、上述の第6実施形態(図16参照)と基本的に同じである。
なお表示部の表示特性情報を取得してブラケットWBゲイン設定部52にその表示特性情報を供給する「表示特性取得部」は特に限定されず、例えば図16に示す例では彩度特定部62が表示特性取得部として機能してもよいし、独立した表示特性取得部(図示省略)が設けられてもよい。
図18は、第7実施形態に係るホワイトバランス処理のフローチャートである。
本実施形態では、第6実施形態(図17のS80〜S85及びS88〜S91)と同様の手順で「ベース画像用ホワイトバランスゲイン」及び「ベース画像の彩度情報」が取得される(図18のS80〜S85及びS88〜S91)。
そしてブラケットWBゲイン設定部52は、彩度特定部62から送られてくる「ベース画像の彩度情報」が示すベース画像の彩度に応じてブラケット量(絶対値)が調整されたベース画像用ホワイトバランスゲインを取得する(S86a)。具体的には、ベース画像の彩度が低い場合にはブラケット量を小さくし、ベース画像の彩度が高い場合にはブラケット量が大きくしたベース画像用ホワイトバランスゲインが取得される。なおブラケットWBゲイン設定部52は、任意の手法で「ベース画像の彩度」に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得することができ、例えばメンバシップ関数や参照テーブルを利用してもよい。
そしてWB処理部54では、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてベース画像が取得され、またブラケット画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてブラケット画像が取得される(S87)。
以上説明したように本実施形態によれば、視覚特性が考慮されて「ベース画像の彩度」に応じて「ブラケット量」が調整されるため、ベース画像の彩度によらず、ベース画像とブラケット画像との間のホワイトバランスの「視覚上」の相違を、均一にすることが可能である。
<第8実施形態>
本実施形態において、上述の第1実施形態と同一又は類似の構成及び作用については、詳細な説明を省略する。
本実施形態では、オートホワイトバランスモードにおいてフラッシュが発光されて撮影取得された入力画像データのホワイトバランス処理において、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインが、相互に異なるフラッシュ影響度に基づいて取得される。
フラッシュが発光されて撮影が行われる場合、被写体は環境光に加えてフラッシュの影響を受けるため、フラッシュの影響を考慮したホワイトバランス処理が行われることが好ましい。ただしフラッシュの発光は必ずしも安定的には行われず、撮影毎にフラッシュ発光量(フラッシュ到達量)がばらつくことがある。また被写体の光学特性に応じて、撮影画像におけるフラッシュの影響度は異なる。そのため「推定したフラッシュ影響度」と「入力画像データにおける実際のフラッシュ影響度」とが一致せず、適切なホワイトバランス処理を行うことができない場合がある。
本実施形態では、撮影画像のフラッシュ影響度のばらつきを補償するため、ホワイトバランスブラケティングにおいて相互に異なるフラッシュの影響度に基づき、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインが取得される。
図19は、第8実施形態に係るホワイトバランス画像処理部40の機能構成例を示すブロック図である。
本実施形態のホワイトバランス画像処理部40(画像処理装置)は、画像データ取得部44、ベースWBゲイン設定部50(第1ゲイン取得部41)及びブラケットWBゲイン設定部52(第2ゲイン取得部42)に接続されるフラッシュ特定部64を更に有する。フラッシュ特定部64は、画像データ取得部44から入力画像データを受信し、その入力画像データにおけるフラッシュの影響度を示すフラッシュ影響度を取得する。取得されたフラッシュ影響度は、フラッシュ特定部64からベースWBゲイン設定部50及びブラケットWBゲイン設定部52に送信される。
フラッシュ特定部64におけるフラッシュ影響度の取得手法は特に限定されず、任意の手法によってフラッシュ影響度を取得可能である。例えば、フラッシュを発光して入力画像データが撮影取得される場合、フラッシュ特定部64は、その入力画像データ(フラッシュ発光画像)と、フラッシュを発光せずに撮影取得された参照画像データ(フラッシュ非発光画像)とからフラッシュ影響度を算出することができる。フラッシュ特定部64は、入力画像データ(フラッシュ発光画像)と参照画像データ(フラッシュ非発光画像)との差分データを算出する。この差分データは、環境光の影響が取り除かれた「フラッシュのみの影響を受けた画像データ」となる。したがってフラッシュ特定部64は、この「フラッシュのみの影響を受けた画像データ」に基づいてフラッシュ影響度を取得することができる。
ベースWBゲイン設定部50(第1ゲイン取得部41)は、フラッシュ影響度に基づいてベース画像用ホワイトバランスゲインを取得する。そしてブラケットWBゲイン設定部52(第2ゲイン取得部42)は、ベース画像用ホワイトバランスゲインの取得に用いるフラッシュ影響度とは異なるフラッシュの影響度に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。特に本実施形態では、設定モードがオートホワイトバランスモードの場合に、異なるフラッシュ影響度に基づいてベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインが算出される。
ベースWBゲイン設定部50及びブラケットWBゲイン設定部52における「フラッシュ影響度に基づくベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインの取得」は任意の手法で行うことができる。例えば、入力画像データにおけるフラッシュと環境光との影響の比率がフラッシュ影響度に基づいて算出されてもよい。その比率に応じて「環境光の色温度に応じたホワイトバランスゲイン(環境光の影響をキャンセルするホワイトバランスゲイン)」と「フラッシュの色温度に応じたホワイトバランスゲイン(フラッシュの影響をキャンセルするホワイトバランスゲイン)」とを加重平均することで、「フラッシュ影響度に基づくベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインの取得」が可能である。
なおブラケットWBゲイン設定部52、WB処理部54及びフラッシュ特定部64は、WB設定判別部48からホワイトバランスの設定モードに関する情報データが送られ、この情報データに基づいてホワイトバランスの設定モードを判定して処理を行う。
撮影時のフラッシュの発光及び非発光は、システム制御部25がフラッシュ発光部5を制御することで切り換え自在となっている。システム制御部25は、ユーザインタフェース36を介したユーザの指示に応じてフラッシュの発光及び非発光を切り換えてもよいし、図示しない測光センサによって測定された被写体の明るさに応じてフラッシュの発光及び非発光を自動的に切り換えてもよい。
図20は、第8実施形態に係るホワイトバランス処理のフローチャートである。
本実施形態では、上述の第1実施形態(図6のS10及びS11)と同様の手順で、入力画像データが取得され(図20のS100)、入力画像データの色分布情報が取得される(S101)。
そしてシステム制御部25及びWB設定判別部48によって、ホワイトバランスの設定モード及びフラッシュ発光の有無が判定される。オートホワイトバランスモードであって(S102のYes)、フラッシュの発光有りと判定される場合(S103のYes)、フラッシュ特定部64はシステム制御部25により制御されて入力画像データのフラッシュ影響度を取得する(S104)。そしてベースWBゲイン設定部50では、色分布情報及びフラッシュ影響度に基づいてベース画像用ホワイトバランスゲインが取得される(S105)。またブラケットWBゲイン設定部52では、ベース画像用ホワイトバランスゲインとはフラッシュの影響度が異なるブラケット画像用ホワイトバランスゲインが取得される(S106)。
一方、オートホワイトバランスモードであって(S102のYes)、フラッシュが非発光であると判定される場合(S103のNo)、ベースWBゲイン設定部50は、入力画像データの色分布情報に基づいてベース画像用ホワイトバランスゲインを取得する(S108)。またブラケットWBゲイン設定部52は、入力画像データの色分布情報に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する(S109)。
一方、オートホワイトバランスモードではない場合(S102のNo)、ベースWBゲイン設定部50は、制御メモリ30に予め保存されているベース画像用ホワイトバランスゲインを、システム制御部25及びWB設定判別部48を介して取得する。またブラケットWBゲイン設定部52は、入力画像データの色分布情報に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する(S109)。
なおベースWBゲイン設定部50及びブラケットWBゲイン設定部52は、上述の各実施形態のホワイトバランス画像処理部40と同様の手法で、入力画像データの色分布情報に基づいてベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得することができる。
そしてWB処理部54では、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてベース画像が取得され、またブラケット画像用ホワイトバランスゲイン及び入力画像データに基づいてブラケット画像が取得される(S107)。
以上説明したように本実施形態によれば、オートホワイトバランスモードにおいてフラッシュ発光状態で入力画像データが撮影された場合、フラッシュ影響度の異なるホワイトバランスゲインに基づいてベース画像及びブラケット画像が作成される。そのためベース画像用ホワイトバランスゲインの取得時に考慮したフラッシュ影響度が適切でなかったとしても、ブラケット画像用ホワイトバランスゲインが適切なフラッシュ影響度に基づいている可能性がある。したがってユーザは、より確実に、適切なフラッシュ影響度に基づくホワイトバランス処理が施された画像を得ることができる。
なお上述の説明では、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインが入力画像データの色分布情報に基づいて取得される例が示されているが、これに限定されない。すなわち、任意の手法でベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得可能である。ベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインは、異なるフラッシュ影響度に基づけばよく、必ずしも入力画像データの色分布情報に基づかなくてもよい。
<第9実施形態>
本実施形態において、上述の第1実施形態と同一又は類似の構成及び作用については、詳細な説明を省略する。
本実施形態では、ブラケット画像の作成の要否が、ユーザによる設定に基づくのではなく、自動的に決定される。すなわち入力画像データの色分布情報に基づいて、オートホワイトバランスモードでのホワイトバランス処理が不適切になる可能性が高いか否かが判別される。ホワイトバランス処理が不適切になる可能性が高い入力画像データのホワイトバランス処理では、ブラケット画像が自動的に作成される。
図21は、第9実施形態に係るホワイトバランス画像処理部40の機能構成例を示すブロック図である。
本実施形態の第2ゲイン取得部42は、ブラケット判定部66及びブラケットデータ記憶部68を更に有する。ブラケットデータ記憶部68は、色分布情報とブラケット画像作成の要否との関係を定めるブラケティング要否データを記憶する。
図22は、色分布情報とブラケット画像作成の要否との関係例を示す図である。図22において、原点を「0」として、縦軸は「B/G(青/緑)」を表し、横軸は「R/G(赤/緑)」を表す。
ブラケティング要否データは、ベース画像用ホワイトバランスゲインが不適切になる可能性が高い色分布情報を持つ入力画像データに対して「ブラケット画像の作成が必要である」と定める。
一般に、木々の緑等のデータを多く含む画像データと、緑成分の占める割合が高い光を発する人工光源(蛍光灯等)下で撮影された画像データとは、両者共に緑成分の占める割合が高くなるため、色空間上では同一又は近接した位置に配置されることが多い(図22の符号「A1」参照)。同様に、夕焼けを撮影シーンとする画像データと赤成分の占める割合が高い光を発する人工光源(電球及びLED等)下で撮影された画像データとは、両者共に赤成分の占める割合が高くなるため、色空間上では同一又は近接した位置に配置されることが多い(図22の符号「A2」参照)。このように、撮影シーンの異なる画像データが同一又は近接した位置に配置される傾向が高い色空間上の領域(以下「ホワイトバランスエラー領域」とも称する;図22の「A1」及び「A2」参照)に位置する画像データは、ホワイトバランス処理が不適切になる可能性が高い。
したがってブラケティング要否データは、ホワイトバランスエラー領域(A1、A2)内に存在する画像データ(色分布情報)に対しては「ブラケット画像の作成が必要とされる」ことを定める。またブラケティング要否データは、ホワイトバランスエラー領域(A1、A2)外に存在する画像データ(色分布情報)に対しては「ブラケット画像の作成が不要とされる」ことを定める。特にブラケティング要否データは、少なくとも緑及び赤の色分布情報を持つ入力画像データに対してブラケット画像の作成が必要であると定めることが好ましい。
ブラケット判定部66(第2ゲイン取得部42)は、色分布取得部46が取得する入力画像データの色分布情報に基づき、ブラケットデータ記憶部68から読み出したブラケティング要否データを参照して、ブラケット画像の作成の要否を決定する。ブラケット判定部66によって決定されるブラケット画像作成の要否情報は、ブラケットWBゲイン設定部52及びWB処理部54に送信される。
ブラケット画像の作成が必要であると決定された場合、ブラケットWBゲイン設定部52(第2ゲイン取得部42)は色分布情報及びベース画像用ホワイトバランスゲインに基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。そしてWB処理部54は、このブラケット画像用ホワイトバランスゲインに基づいてブラケット画像を作成する。
特に本実施形態では、ホワイトバランスの設定モードがオートホワイトバランスモードであって、ブラケット判定部66によってブラケット画像の作成が必要であると決定された場合に、ブラケット画像用ホワイトバランスゲインが取得されてブラケット画像が作成される。
ブラケット判定部66によってブラケット画像の作成が必要であると決定された場合は、可能性があると想定される光源色に応じて、ブラケット画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像が作成されることが好ましい。例えば入力画像データの色分布情報が緑に偏っている場合(図22のA1参照)、ブラケットWBゲイン設定部52は、光源色が自然光(太陽光)であると仮定した場合の第1のブラケット画像用ホワイトバランスゲインと、光源色が人工光源(蛍光灯等)であると仮定した場合の第2のブラケット画像用ホワイトバランスゲインとを取得することが望ましい。またWB処理部54は、第1のブラケット画像用ホワイトバランスゲインに基づく第1のブラケット画像と、第2のブラケット画像用ホワイトバランスゲインに基づく第2のブラケット画像とを作成することが好ましい。これによりユーザは、より確実に、適切なホワイトバランス処理が施された画像をベース画像及びブラケット画像の中から得ることができる。
一方、ブラケット判定部66においてブラケット画像の作成が不要であると決定された場合、ブラケットWBゲイン設定部52はブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得せず、WB処理部54はブラケット画像を作成せずにベース画像のみを作成する。
ブラケットWBゲイン設定部52及びWB処理部54は、WB設定判別部48から送られてくるホワイトバランスの設定モードがオートホワイトバランスモードであり、且つブラケット判定部66から送られてくるブラケット画像作成の要否情報がブラケット画像の作成が必要であることを示す場合にのみ、ブラケット画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像を取得する。一方、WB設定判別部48から送られてくるホワイトバランスの設定モードがオートホワイトバランスモードではない場合、又はブラケット判定部66から送られてくるブラケット画像作成の要否情報がブラケット画像の作成が不要であることを示す場合には、ブラケットWBゲイン設定部52及びWB処理部54はブラケット画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像を取得しない。
他の構成は、第1実施形態のホワイトバランス画像処理部40(図5参照)と同一である。
図23は、第9実施形態に係るホワイトバランス処理のフローチャートである。
本実施形態では、上述の第1実施形態(図6のS10及びS11)と同様の手順で、入力画像データが取得され(図23のS120)、入力画像データの色分布情報が取得される(S121)。
そして、WB設定判別部48によってホワイトバランスの設定モードが判定される。
オートホワイトバランスモードの場合(S122のYes)、ベースWBゲイン設定部50は、色分布取得部46からの色分布情報に基づいてベース画像用ホワイトバランスゲインを取得する(S123)。そしてブラケット判定部66によって、入力画像データの色分布情報がホワイトバランスエラー領域内(図22のA1及びA2参照)に存在するか否かが判定される(S124)。入力画像データの色分布情報がホワイトバランスエラー領域内に存在する場合(S124のYes)、ブラケットWBゲイン設定部52は色分布情報に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する(S125)。そしてWB処理部54によって、ベース画像及びブラケット画像が作成される(S126)。一方、入力画像データの色分布情報がホワイトバランスエラー領域内に存在しない場合(S124のNo)、ブラケット画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像は取得されず、WB処理部54ではベース画像のみが作成される(S128)。
なおホワイトバランスの設定モードがオートホワイトバランスモードではない場合(S122のNo)、ベースWBゲイン設定部50は、制御メモリ30に記憶されているベース画像用ホワイトバランスゲインを、システム制御部25及びWB設定判別部48を介して取得する(S127)。そして、ブラケット画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像は取得されず、WB処理部54ではベース画像のみが作成される(S128)。
以上説明したように本実施形態によれば、オートホワイトバランスモードにおいてホワイトバランス処理が不適切になる可能性が高い色分布情報を持つ入力画像データに関しては、ベース画像に加えてブラケット画像が自動的に作成される。したがって、入力画像データの色分布情報が光源色の判定ミスを起こしやすく、ホワイトバランス処理によってカラーフェリアが発生しうる場合であっても、ユーザは再撮影をすることなく、ブラケット画像から適切なホワイトバランス処理が施された画像を取得しうる。
<第10実施形態>
本実施形態において、上述の実施形態と同一又は類似の構成及び作用については、詳細な説明を省略する。
本実施形態は、ホワイトバランスブラケティングにより1つの入力画像データに関して作成されたベース画像及びブラケット画像の記録手法及び表示手法に関する。以下に説明する記録手法及び表示手法は、上述の実施形態で作成されるベース画像及びブラケット画像だけではなく、他のホワイトバランスブラケティング手法に基づいて作成されるベース画像及びブラケット画像にも適用可能である。
本実施形態では、ベース画像及びブラケット画像の各々にメイン画又はサブ画であることを示す分類情報が付加され、その分類情報はユーザの指示に応じて書き換え可能となっている。また本実施形態では表示部8に色空間表示がなされ、ベース画像及びブラケット画像の対応位置がその色空間表示上に表示され、ユーザはベース画像及びブラケット画像の色空間上における関係を容易に把握することができる。
図24は、第10実施形態に係るWB処理部54の機能構成例を示すブロック図である。本実施形態のWB処理部54は、ホワイトバランス演算処理部(以下「WB演算処理部」と称する)55及び情報付加部57を有する。
WB演算処理部55は、ベース画像用ホワイトバランスゲインを入力画像データに適用してベース画像データを算出し、またブラケット画像用ホワイトバランスゲインを入力画像データに適用してブラケット画像データを算出する。情報付加部57は、このWB演算処理部55で作成されたベース画像及びブラケット画像に分類情報を付加する。
図25は、ベース画像及びブラケット画像の各々に関するデータ構造例を示す図である。
ベース画像及びブラケット画像の各々に関する画像情報データ83は、WB演算処理部55で作成されるホワイトバランス処理後の画像に関する画像データ部84と、情報付加部57で付加される分類情報に関する分類情報部85とを含む。
情報付加部57で付加される分類情報は、メイン画及びサブ画に関する情報である。1つの入力画像データに関して作成されたベース画像及びブラケット画像のうちの1つにメイン画の分類情報が割り当てられ、他に対してはサブ画の分類情報が割り当てられる。本例の情報付加部57(WB処理部54)は、ベース画像にメイン画であることを示す分類情報を付加し、ブラケット画像にサブ画であることを示す分類情報を付加する。なお情報付加部57は、いずれか1つのブラケット画像にメイン画であることを示す分類情報を付加し、ベース画像及び他のブラケット画像にサブ画であることを示す分類情報を付加してもよい。
1つの入力画像データに関して作成されたベース画像及びブラケット画像のファイル形態として、ベース画像及びブラケット画像の各々を別ファイルとする方式と、ベース画像及びブラケット画像を1つのファイルとする方式とがある。
図26は、1つの入力画像データに関して作成されたベース画像及びブラケット画像の各々を別ファイルデータとする場合のデータ構造例を示す。ベース画像及びブラケット画像の各々を別々のファイルデータ87とする場合、各ファイルデータ87は、画像データ部84及び分類情報部85に加えてグループ情報部86を含む。
グループ情報部86は、いずれの入力画像データに関するものであるかを示すグループ情報データを表す部分である。グループ情報データは、同一の入力画像データに基づいて作成されたベース画像及びブラケット画像同士を関連付けてグループ化する。したがってベース画像及びブラケット画像によって構成されるグループが入力画像データ毎に形成され、同じ入力画像データから作られたベース画像及びブラケット画像は同一グループを構成する。本例では、画像データ部84及び分類情報部85に対するグループ情報部86の付加が、情報付加部57で行われるが、他の処理部で行われてもよく、例えば記憶制御部33において行われてもよい。
図27は、1つの入力画像データに関して作成されたベース画像及びブラケット画像を1つのファイルとする場合のデータ構造例を示す。ベース画像及びブラケット画像を1つのファイルとする場合、これらの画像(画像データ部84)及び分類情報(分類情報部85)を含む1つのファイルデータ87が作成される。したがって1つのファイルデータ87内に、ベース画像に関する画像情報データ83と、ブラケット画像に関する画像情報データ83とが存在する。この場合、グループ情報部86(図26参照)は付加されなくてもよい。
上述のファイルデータ87の作成は、図24に示す情報付加部57において行われてもよいし、図3に示す記憶制御部33において行われてもよい。情報付加部57でファイルデータ87の作成を行う場合、作成されたファイルデータ87は圧縮伸張部32において圧縮処理が施されて、記憶制御部33のコントロール下でメインメモリ10に保存される。一方、記憶制御部33でファイルデータ87の作成を行う場合、分類情報部85及びグループ情報部86を構成するデータ類がシステム制御部25から記憶制御部33に送信され、また圧縮処理を受けた画像データ(ベース画像及びブラケット画像)が圧縮伸張部32から記憶制御部33に送信される。記憶制御部33は、システム制御部25から送られてくるデータ類及び圧縮伸張部32から送られてくる画像データに基づいて、ファイルデータ87を作成してメインメモリ10に保存する。
なお記憶制御部33は、ベース画像及びブラケット画像のデータ(ファイルデータ87)に、更に撮影日時情報や編集日時情報等のメタデータを付加し、その後、ベース画像とブラケット画像とを相互に関連付けてメインメモリ10に保存する。記憶制御部33におけるメタデータの付加処理は、例えばExif形式に則って行われうる。
メインメモリ10には、画像データ部84及び分類情報部85(及びグループ情報部86)を含む画像情報データ83が記憶制御部33によって保存され、ベース画像とブラケット画像とが相互に関連付けられて記憶される。
図28は、第10実施形態におけるホワイトバランス処理に関するフローチャートである。本実施形態では、WB演算処理部55によってベース画像及びブラケット画像が作成され(図28のS130)、情報付加部57によって、WB演算処理部55により作成されたベース画像及びブラケット画像の各々に分類情報が付加される(S131)。
次に、分類情報の書き換えについて説明する。
図29は、デジタルカメラ2の機能ブロックのうち、主として画像表示処理に関連する処理部を示す。
表示制御部35は、表示部8を制御し、ベース画像及びブラケット画像のうち少なくとも1つの画像を表示部8に表示させる。特に本実施形態の表示制御部35は、ベース画像及びブラケット画像のうち少なくともメイン画の分類情報が付加されている画像を表示部8に表示させる。
また、本実施形態の画像処理部31は分類情報書換部72を有する。分類情報書換部72は、システム制御部25に制御され、バッファメモリ24に保存されている画像データを取得して分類情報を書き換える。
すなわちユーザインタフェース36(操作部9:指示受付部)には、ユーザによって、ベース画像及びブラケット画像に付加されている分類情報の決定指示が入力される。分類情報書換部72は、このユーザインタフェース36に入力された分類情報の決定指示に基づいて、ベース画像及びブラケット画像に付加されている分類情報を書き換える。具体的には、ユーザインタフェース36を介して分類情報の決定指示が入力されると、システム制御部25は分類情報書換部72を制御し、ベース画像及びブラケット画像の分類情報を分類情報書換部72に書き換えさせる。
なお本実施形態において、1つの入力画像データから作成されるベース画像及びブラケット画像において、メイン画の分類情報が付加される画像は1つである。したがって「メイン画の画像を変更する」という決定指示がユーザによってユーザインタフェース36に入力されると、分類情報書換部72は、1つの入力画像データから作成されるベース画像及びブラケット画像のうち、新たにメイン画として選択及び決定された画像に付加されている分類情報をサブ画からメイン画に変更すると共に、決定指示の入力までメイン画の分類情報が付加されていた画像の分類情報をメイン画からサブ画に変更する。
次に、画像表示例について説明する。
撮影直後に撮影画像の確認のための画像再生を行う場合、撮像素子21から出力されてプロセス処理部22、AD変換部23及び画像処理部31で処理を受けた画像データは、バッファメモリ24に一時的に記憶される。表示制御部35は、バッファメモリ24に記憶されたその画像データを読み出して、表示部8に表示させる。一方、記録画像の再生を行う場合、記憶制御部33によってメインメモリ10から画像データが読み出されて圧縮伸張部32で伸張処理を受けた画像データは、バッファメモリ24に一時的に記憶される。表示制御部35は、バッファメモリ24に記憶されたその画像データを読み出して、表示部8に表示させる。
図30は、表示部8における画像再生表示の一例を示す図である。なお図30には一例が示されているに過ぎず、表示部8に表示される各部の大きさや配置は特に限定されない。また「画像再生」とは、撮影直後に撮影画像を確認するための撮影画像再生であってもよいし、メインメモリ10に記録された画像の確認のための記録画像再生であってもよい。
本例の画像再生時の表示部8には、選択画像表示部74、選択カーソル75、縮小画像76、分類表示部77及び色空間表示部78が表示される。選択カーソル75は、ベース画像及びブラケット画像の縮小画像76のうちのいずれかを選択するための表示であり、ユーザがユーザインタフェース36(操作部9)を操作することで、選択カーソル75によって選択される縮小画像76を切り換えることができる。
縮小画像76は、ベース画像及びブラケット画像を縮小した画像である。分類表示部77には、各縮小画像76の分類情報(メイン画又はサブ画)が示される。図30に示す分類表示部77は、メイン画(ベース画像)の縮小画像76に対して「M」を表示し、サブ画(ブラケット画像)の縮小画像76に対しては「S1」又は「S2」の表示をする。
なお縮小画像76及び分類表示部77のうちいずれか一方の表示は省略されてもよい。縮小画像76が省略される場合、選択カーソル75によって分類表示部77のいずれかの表示が選択され、選択された画像が選択画像表示部74に表示されてもよい。
選択画像表示部74には、ベース画像及びブラケット画像のうち選択カーソル75によって選択されている1つの画像のみが表示され、ユーザが関心を示す画像が表示される。特に再生モードに切り換わった後、選択画像表示部74に最初に表示される画像は、ベース画像及びブラケット画像のうちメイン画の分類情報が付された画像である。
表示制御部35は、色空間座標(図30に示す例ではL*a*b*表色系の色度図)を表示部8の色空間表示部78に表示させて、ベース画像及びブラケット画像のうち表示部8に表示させる画像の少なくともいずれかの色分布情報を、表示部8に表示される色空間座標上に表す。本例の表示制御部35は、ベース画像及びブラケット画像のうちメイン画の分類情報が付加された画像の色分布情報及びサブ画の分類情報が付加された画像の色分布情報の両方の位置を、表示部8に表示される色空間座標上に表す。図30に示す例では、色空間表示部78において、メイン画の分類情報が付加される画像の色分布情報(代表色)が「M」の表示によって示され、サブ画の分類情報が付加される画像の色分布情報(代表色)が「S1」及び「S2」の表示によって示される。
図30に示す例ではベース画像(メイン画)の色分布情報が色空間座標の原点上に表されているが、ベース画像の色分布情報に従って色空間座標の原点以外の位置に、ベース画像(メイン画)の色分布情報が表されてもよい。
ベース画像にメイン画の分類情報が付加されている状態(図30参照)から、ユーザがユーザインタフェース36(操作部9)を操作して選択カーソル75を移動させ、選択カーソル75による縮小画像76の選択対象を変えることができる。この場合、表示制御部35は表示部8を制御して、選択カーソル75によって新たに選択された画像を選択画像表示部74に表示させる。このようにユーザインタフェース36(操作部9)は、表示部8に表示させる画像の切り換え指示がユーザによって入力される画像切換受付部としても機能する。表示制御部35は、ユーザインタフェース36に入力される画像の切り換え指示に応じて、ベース画像及びブラケット画像のうち、表示部8の同じ領域である選択画像表示部74に表示させる画像を切り換える。
図31は、ブラケット画像がメイン画として選択及び決定された場合の表示部8の表示例を示す図である。
ベース画像にメイン画の分類情報が付加されている状態(図30参照)から、ユーザがユーザインタフェース36(操作部9)を操作して選択カーソル75を移動させ、ユーザインタフェース36を操作してブラケット画像をメイン画として選択及び決定すると、表示部8は例えば図31に示す表示となる。図31において、選択カーソル75を使ってユーザによりブラケット画像がメイン画として選択されると、選択された縮小画像76に対する分類表示部77にはメイン画を示す「M」が表示され、他の縮小画像76に対する分類表示部77にはサブ画を示す「S1」又は「S2」が表示される。そして色空間表示部78では、ユーザによる選択決定後のメイン画及びサブ画の分類に従って、ベース画像及びブラケット画像の色分布情報が色空間座標上に表示される。
このようにユーザは、ユーザインタフェース36(操作部9)を介し、表示部8に表示される複数の画像(ベース画像及びブラケット画像)の中から1つの画像を関心画像として選択することができる。この場合、ユーザが関心画像を選択したことを示す決定指示がユーザインタフェース36(操作部9)に入力される。関心画像の選択に関する決定指示がユーザインタフェース36に入力されると、システム制御部25は分類情報書換部72を制御してその関心画像の分類情報をメイン画とする。すなわち分類情報書換部72は、1つの入力画像データに基づいて作成されたベース画像及びブラケット画像のうち、ユーザインタフェース36(操作部9)に入力された決定指示によって指定される関心画像の分類情報をメイン画とし、他の画像の分類情報をサブ画とする。
分類情報書換部72によって分類情報が書き換えられた場合、表示制御部35は表示部8を制御して、書き換え後の分類情報に従ってベース画像及びブラケット画像のうち1又は複数の画像を表示部8に表示させる。
図32は、表示部8(選択画像表示部74)における画像の切り換えに関するフローチャートである。
まずシステム制御部25によって、再生モードか否かが判定され(図32のS140)、再生モードになるまでこの判定が続行される(S140のNo)。「再生モードか否かの判定」は任意の手法で行うことができる。例えば、システム制御部25は、ユーザインタフェース36(操作部9)を介してユーザが再生モードを選択したか否かを判定したり、撮影画像の確認用の再生を行うモードに設定されているか否かを判定したりすることで「再生モードか否かの判定」を行うことができる。
再生モードであると判定される場合(S140のYes)、システム制御部25の制御下で表示制御部35が表示部8をコントロールし、表示部8の選択画像表示部74にはメイン画の分類情報が付加された画像が表示される(S141;図30参照)。
ベース画像及びブラケット画像のうちメイン画の分類情報が付加された画像を選択画像表示部74に表示した後、ユーザによってサブ画の分類情報が付加された画像の表示指示があるか否かがシステム制御部25によって判定され、ユーザからその表示指示があるまでこの判定が続行される(S142のNo)。本例では、ユーザがユーザインタフェース36を介して選択カーソル75をメイン画の画像から移動させた場合に「サブ画の分類情報が付加された画像の表示指示がある」と判定される。「サブ画の分類情報が付加された画像の表示指示がある」と判定される場合(S142のYes)、システム制御部25の制御下で表示制御部35が表示部8をコントロールして、表示部8の選択画像表示部74には選択カーソル75によって新たに選択された画像が表示される(S143)。
図33は、分類情報の書き換え処理のフローチャートである。
まずシステム制御部25によって、メイン画の切り換え指示があるか否かが判定され(図33のS150)、メイン画の切り換え指示があるまでこの判定が続行される(S150のNo)。本例では、ユーザがユーザインタフェース36(操作部9)を介して選択カーソル75を移動させて、サブ画の分類情報が付加された縮小画像76を新たなメイン画として決定する指示がユーザインタフェース36(操作部9)に入力された場合が「メイン画の切り換え指示がある」場合となる。
メイン画の切り換え指示があると判定された場合(S150のYes)、切り換え指示の対象となっているグループのベース画像及びブラケット画像の分類情報の書き換えが、システム制御部25の制御下で分類情報書換部72によって行われる(S151)。これによりベース画像及びブラケット画像のうち、ユーザがメイン画として決定した画像に付加される分類情報が「メイン画」となるように、また他の画像に付加される分類情報が「サブ画」となるように、分類情報(図25の「分類情報部85」参照)の書き換え処理が行われる。
分類情報書換部72によって分類情報の書き換えが行われた場合、ベース画像及びブラケット画像は、圧縮伸張部32を介して記憶制御部33に送られ、記憶制御部33によって書き換え後の分類情報と共にメインメモリ10に保存される(S152)。
以上説明したように本実施形態によれば、表示部8の選択画像表示部74にはベース画像及びブラケット画像のうちの1つの画像のみが表示され、ユーザインタフェース36を介したユーザの表示指示に応じて選択画像表示部74に表示する画像を切り換えることができる。したがって、同じ入力画像データに基づいて作成されるベース画像及びブラケット画像の数が増えても、ユーザは選択画像表示部74に表示される画像を切り換えながら確認することで、これらのベース画像及びブラケット画像を簡便に把握することができ、ユーザの画像管理の手間を軽減することができる。
ベース画像及びブラケット画像が同時に表示部8(選択画像表示部74)に表示され、各画像が表示部8の異なる場所に表示される場合、表示部8の色むら等の影響で表示画像同士の比較が難しく、表示画像間のホワイトバランスの相違をユーザが認識し難い場合がある。しかしながら本実施形態では、選択カーソル75を介したユーザの選択によって、ベース画像及びブラケット画像は表示部8の同じ領域である選択画像表示部74に表示される。ベース画像及びブラケット画像の表示は同一位置で切り換わるため、画像同士の比較が容易になり、画像間のホワイトバランスの相違をユーザは認識し易くなる。
また表示部8の色空間表示部78において、色空間座標上におけるベース画像及びブラケット画像の対応位置が示されるので、ユーザは、ブラケット方向及びブラケット量を一目で直感的に確認することができる。
なお上述の実施形態では、ユーザインタフェース36を介したユーザの操作に応じて選択画像表示部74に表示される画像が切り換えられるが、これに限定されない。例えば表示制御部35は、ベース画像及びブラケット画像の各々を自動的に且つ経時的に、表示部8の同じ領域である選択画像表示部74に順次表示させてもよい。すなわち選択画像表示部74に表示される画像の切り換えが表示制御部35によって行われ、ユーザ操作によらずに、時間経過と共に自動的に選択画像表示部74に表示される画像が切り換えられる。選択画像表示部74に表示される画像の切り換えタイミングは、ユーザがベース画像及びブラケット画像のホワイトバランスの相違を認識することが可能なタイミングであることが好ましい。
また表示部8の表示は図30及び図31に示す例に限定されず、例えば縮小画像76及び分類表示部77が表示部8に表示されなくてもよい。図34A〜図34Dは、表示部8の他の表示例を示す。図34A〜図34Dに示すように、表示部8に選択画像表示部74及び色空間表示部78は表示されるが、縮小画像76及び分類表示部77(図30及び図31参照)は表示されなくてもよい。また図34A〜図34Cに示すように、選択画像表示部74の一部に色空間表示部78が設けられてもよい。また図34A〜図34Cに示すように、色空間表示部78に表示される選択カーソル75によって対応位置が選択された画像(ベース画像又はブラケット画像)のみが選択画像表示部74に表示されてもよい。また図34A〜図34Bに示すようにメイン画又はサブ画の分類情報が付されたベース画像及びブラケット画像のすべての色分布情報が色空間表示部78に表示されてもよいし、図34Cに示すようにベース画像及びブラケット画像のうち選択画像表示部74に表示されている画像の色分布情報のみが色空間表示部78に表示されてもよい。また図34Dに示すように、表示部8に複数の選択画像表示部74を設けて、ベース画像及びブラケット画像のうち複数の画像(すべての画像)が複数の選択画像表示部74の各々に表示されてもよい。この場合、選択カーソル75によって選択された画像(図34Dの「M」参照)に対応する選択画像表示部74の画像が、強調カーソル79等によって強調表示されてもよい。
上述の表示部8における表示内容は、システム制御部25によって制御される表示制御部35が表示部8をコントロールすることで適宜切り換えられる。したがってシステム制御部25は、予め設定されたモードに応じて表示制御部35を制御し、表示部8の表示内容を適宜切り換えてもよい。またシステム制御部25は、ユーザによってユーザインタフェース36を介して入力される操作信号に応じて表示制御部35を制御し、表示部8上の表示(選択カーソル75等)を移動させたり切り換えたりできる。
<第11実施形態>
本実施形態において、上述の実施形態と同一又は類似の構成及び作用については、詳細な説明を省略する。
本実施形態は、ベース画像及びブラケット画像のデータ保存手法及びデータ削除手法に関する。以下に説明する本実施形態のデータ保存手法及びデータ削除手法は、ベース画像及びブラケット画像にメイン画又はサブ画の分類情報を付加することによってベース画像とブラケット画像とが相互に関連付けられてメインメモリ(画像記憶部)10に記憶される場合に適用される。以下のデータ保存手法及びデータ削除手法は、上述の実施形態によってメイン画及びサブ画の分類情報がベース画像及びブラケット画像に割り当てられる場合だけではなく、他のホワイトバランスブラケティング手法に基づいてメイン画及びサブ画の分類情報がベース画像及びブラケット画像に割り当てられる場合にも適用可能である。
本実施形態では、ベース画像及びブラケット画像のうちサブ画の分類情報が付加された画像データが、撮影時から或いは分類情報の変更時から、ある時間(例えば1週間)以上経過した後に記録媒体(メインメモリ10)から自動的に消去される。
本実施形態のシステム構成は、上述の第10実施形態(図29参照)とほぼ同じである。ただし本実施形態の記憶制御部33は、ベース画像及び/又はブラケット画像の作成時からの時間が第1の時間よりも長い場合に、ベース画像及びブラケット画像のうちサブ画の分類情報が付加された画像をメインメモリ(画像記憶部)10から削除する。また記憶制御部33は、分類情報書換部72によってベース画像及びブラケット画像のうち少なくともいずれか1つの分類情報が書き換えられた場合には、その分類情報の書き換え時からの時間が第2の時間よりも長い場合に、ベース画像及びブラケット画像のうちサブ画の分類情報が付加された画像をメインメモリ10から削除する。
本実施形態の記憶制御部33は、クロックデバイス34から得られる日時情報と、メインメモリ10に記憶されているベース画像及びブラケット画像のうちメイン画の分類情報が付加された画像の編集日時情報(更新日時情報)とに基づいて、サブ画の分類情報が付加された画像をメインメモリ10から削除する。クロックデバイス34から得られる日時情報と、メインメモリ10に記憶されているベース画像及びブラケット画像のうちメイン画の分類情報が付加された画像の編集日時情報とは、システム制御部25によって取得される。ここでいう編集日時情報は、分類情報の書き換えが行われていない場合にはベース画像及びブラケット画像の作成日時を示し、分類情報の書き換えが行われた場合には分類情報の最新の書き換え日時を示す。
なお「ベース画像及びブラケット画像の作成時に関する日時情報」と「分類情報の書き換え時に関する日時情報」とは、別々のデータとして保存されてもよいし、両日時情報が「更新日時情報」という単一のデータとして保存されてもよい。また上述の「第1の時間」及び「第2の時間」は任意の時間であり、第1の時間及び第2の時間は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態のシステム制御部25及び記憶制御部33は、ユーザが電源スイッチ7を操作して電源がオンにされた場合に、上述の画像削除に関する一連の処理を行う。
図35は、ベース画像及びブラケット画像の作成時からの時間に基づいて画像を削除する処理の一例を示すフローチャートである。
本例では、まず電源スイッチ7(ユーザインタフェース36)を介して電源オンにされたか否かが、システム制御部25によって判定される(図35のS160)。
電源がオンである場合(S160のYes)、サブ画の分類情報が付加された画像データ(画像情報データ83;図25〜図27参照)がメインメモリ10に保存されているか否かが、記憶制御部33を介してシステム制御部25により判定される(S161)。この判定は任意の手法で行われ、例えば記憶制御部33は、メインメモリ10に記憶されている画像データのメタデータのみを読み出して、システム制御部25はメインメモリ10にサブ画の分類情報が付加された画像データが保存されているか否かを判定してもよい。
サブ画の分類情報が付加された画像データがメインメモリ10に保存されていると判定される場合(S161のYes)、システム制御部25によって、そのサブ画の分類情報を持つ画像データの作成日時に関する日時情報が記憶制御部33を介して取得され(S162)、またクロックデバイス34から現在日時に関する日時情報が取得される(S163)。
そして、現在日時が、そのサブ画の分類情報が付加された画像データの作成日時から第1の時間以上経過しているか否かが、システム制御部25によって判定される(S164)。現在日時がその作成日時より第1の時間以上経過していると判定される場合(S164のYes)、記憶制御部33はシステム制御部25の制御下で、そのサブ画の分類情報が付加された画像データをメインメモリ10から削除する(S165)。
なお電源がオフの場合(S160のNo)、サブ画の分類情報が付加された画像がメインメモリ10に保存されていない場合(S161のNo)及び現在日時が画像データの作成日時より第1の時間以上経過していない場合(S164のNo)は、メインメモリ10に記憶されている画像の削除処理は行われない。
図36は、分類情報の書き換え時からの時間に基づいて画像を削除する処理の一例を示すフローチャートである。
図36に示す例では、図35に示す例(図35のS160及びS161)と同様の手順で、電源のオン及びオフが判定され(図36のS170)、メインメモリ10にサブ画の分類情報が付加された画像が保存されているか否かが判定される(S171)。
電源がオンであり(S170のYes)、サブ画の分類情報が付加された画像がメインメモリ10に保存されていると判定される場合(S171のYes)、システム制御部25によって、そのサブ画の分類情報を持つ画像データの分類情報の書き換え最新日時に関する日時情報が記憶制御部33を介して取得され(S172)、またクロックデバイス34から現在日時に関する日時情報が取得される(S173)。
そして、現在日時が「そのサブ画の分類情報を持つ画像データの分類情報の書き換え最新日時」より第2の時間以上経過しているか否かが、システム制御部25によって判定される(S174)。現在日時がその書き換え最新日時より第2の時間以上経過していると判定される場合(S174のYes)、記憶制御部33はシステム制御部25の制御下で、そのサブ画の分類情報が付加された画像データをメインメモリ10から削除する(S175)。
なお電源がオフの場合(S170のNo)、サブ画の分類情報が付加された画像がメインメモリ10に保存されていない場合(S171のNo)及び現在日時が画像データの書き換え最新日時より第2の時間以上経過していない場合(S174のNo)は、メインメモリ10に記憶されている画像の削除処理は行われない。
図37は、「ベース画像及びブラケット画像の作成時からの時間」及び「分類情報の書き換え時からの時間」に基づいて画像を削除する処理の一例を示すフローチャートである。
本例では、図35及び図36に示す例と同様に、電源のオン及びオフが判定され(図37のS180)、メインメモリ10にサブ画の分類情報が付加された画像が保存されているか否かが判定される(S181)。
電源がオンであり(S180のYes)、メインメモリ10にサブ画の分類情報が付加された画像が保存されていると判定される場合(S181のYes)、システム制御部25は、そのサブ画の分類情報の書き換えがあったか否かを、記憶制御部33を介して判定する(S182)。
サブ画の分類情報の書き換えがあったと判定される場合(S182のYes)、図36に示す例(図36のS172〜S175)と同様の手順で処理が行われる。すなわち、分類情報の書き換え最新日時が取得され(S183)、現在日時が取得され(S184)、現在日時がその書き換え最新日時より第2の時間以上経過していると判定される場合(S185のYes)、記憶制御部33はシステム制御部25の制御下で、そのサブ画の分類情報が付加された画像データを削除する(S186)。
一方、サブ画の分類情報の書き換えがなかったと判定される場合も(S182のNo)、図35に示す例(図35のS162〜S165)と同様の手順で処理が行われる。すなわち、そのサブ画の分類情報が付加された画像データの作成日時に関する日時情報が取得され(S187)、現在日時が取得され(S188)、現在日時がその作成日時より第1の時間以上経過していると判定される場合(S189のYes)、記憶制御部33はシステム制御部25の制御下で、そのサブ画の分類情報が付加された画像データを削除する(S186)。
なお電源がオフの場合(S180のNo)、サブ画の分類情報が付加された画像がメインメモリ10に保存されていない場合(S181のNo)、現在日時が画像データの作成日時より第1の時間以上経過していない場合(S189のNo)及び現在日時が画像データの書き換え最新日時より第2の時間以上経過していない場合(S185のNo)は、メインメモリ10に記憶されている画像の削除処理は行われない。
以上説明したように本実施形態によれば、メインメモリ10の記憶容量の浪費を効果的に防ぐことができる。
例えば上述の各実施形態で作成された「同一の入力画像データから作成される複数の画像(ベース画像及びブラケット画像)」のすべてをメインメモリ10に記録すると、撮影シーン毎の記録枚数及び記録データ量が増え、記録媒体の記憶可能容量が浪費される。
しかしながら本実施形態によれば、画像作成日時又は分類情報の書き換え日時から時間(第1の時間又は第2の時間)が経過すると、サブ画の分類情報が付加された画像データがメインメモリ10から削除される。すなわち、1つの入力画像データに基づいて作成されたベース画像及びブラケット画像のうちメイン画の分類情報が割り当てられた1つの画像以外は、時間経過に伴って削除される。これによりメインメモリ10の記憶容量の浪費が防がれ、より多くの撮影シーンの画像をメインメモリ10に保存することが可能になる。
<他の変形例>
なお上述の実施形態及び変形例のうち任意の形態同士が組み合わされてもよい。また上述の実施形態は例示に過ぎず、他の構成に対しても本発明を適用することが可能である。
<カスタムホワイトバランスモード>
例えば上述の実施形態では、カスタムホワイトバランスモードにおいて、ベース画像用ホワイトバランスゲインのみが事前に取得されて制御メモリ30に記憶されているが、ブラケット画像用ホワイトバランスゲインも事前に取得されて制御メモリ30に記憶されていてもよい。
図38は、カスタムホワイトバランスモードにおけるベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインの取得例を示すフローチャートである。
ホワイトバランスの設定モードとしてカスタムホワイトバランスモードが設定された場合、所望画像の撮影に先立って、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得するための前処理がホワイトバランス画像処理部40(図5参照)において行われてもよい。
この前処理では、ユーザが無彩色(白又はグレー)の被写体を撮影して撮像素子21から出力される画像データが、画像データ取得部44によって入力画像データとして取得される(図38のS190)。この入力画像データの色分布情報が色分布取得部46によって取得され(S191)、この色分布情報に基づいてベース画像用ホワイトバランスゲインがベースWBゲイン設定部50によって取得される(S192)。そして、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及び色分布情報に基づいてブラケット画像用ホワイトバランスゲインがブラケットWBゲイン設定部52によって取得される(S193)。取得されたベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインは、ベースWBゲイン設定部50及びブラケットWBゲイン設定部52の各々からシステム制御部25に送られ、システム制御部25によって制御メモリ30に記憶される(S194)。
なお、本例における「ブラケットWBゲイン設定部52によるブラケット画像用ホワイトバランスゲイン」の取得は、上述の各実施形態におけるブラケットWBゲイン設定部52と同様の手順で実行しうる。また上述の第8実施形態と同様に、「フラッシュ影響度」に基づいて、制御メモリ30に予め保存しておくベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインが取得されてもよい。
<サーバ又はコンピュータにおけるホワイトバランス処理>
上述の実施形態ではデジタルカメラ2においてホワイトバランス処理が行われる例について説明したが、サーバやコンピュータにおいて上述の各実施形態と同様の処理が行われてもよい。
図39は、RAW形式の画像データを出力するデジタルカメラ2の機能構成例のブロック図である。例えば図3に示すシステム構成を有するデジタルカメラ2において、撮像素子21から出力されてプロセス処理部22及びAD変換部23を経た入力画像データ(RAWデータ)は、画像処理部31のホワイトバランス画像処理部40においてホワイトバランスゲインが取得される。ただし本例では、この取得されたホワイトバランスゲインは、入力画像データ(RAWデータ)に適用されず、入力画像データに付加される。
すなわちベースWBゲイン設定部50及びブラケットWBゲイン設定部52は、上述の各実施形態と同様の処理を行い、入力画像データの色分布情報及び/又は入力画像データのフラッシュ影響度に基づいて、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインを取得する。ただしWB処理部54は、ホワイトバランスゲインを入力画像データに適用するホワイトバランス処理は行わず、取得した「ベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲイン」を「入力画像データ(RAWデータ)」に付加してRAWファイルデータ80を作成する。このRAWファイルデータ80は、入力画像データ(RAWデータ)に関するRAW画像部81と、ベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインに関するWBゲイン情報部82とを含む。
画像処理部31から出力されるRAWファイルデータ80はバッファメモリ24に保存され、バッファメモリ24に保存されたRAWファイルデータ80は圧縮伸張部32によって圧縮処理が行われて、記憶制御部33によってメインメモリ10に記憶される。
なお上述の例ではWB処理部54によってRAWファイルデータ80が作成されるが、他の処理部においてRAWファイルデータ80が作成されてもよく、例えばシステム制御部25によって制御される記憶制御部33によってRAWファイルデータ80が作成されてもよい。この場合、RAW画像部81を構成するRAW画像データは圧縮伸張部32から記憶制御部33に送信される。またWBゲイン情報部82を構成するベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインは、制御メモリ30に記憶されており、システム制御部25から記憶制御部33に送信される。
図40は、デジタルカメラ2に接続されるサーバ90及びコンピュータ94を示すブロック図である。デジタルカメラ2は、デジタルカメラ接続部89及びサーバ接続部91を介してサーバ90に接続可能であってもよいし、デジタルカメラ接続部89及びコンピュータ接続部95を介してコンピュータ94に接続可能であってもよい。これらの接続態様は特に限定されず、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。
システム制御部25は、メインメモリ10に記憶されている上述のRAWファイルデータ80を、記憶制御部33を介して読み出して、デジタルカメラ接続部89から出力する。デジタルカメラ接続部89から出力されたRAWファイルデータ80は、サーバ接続部91を介してサーバ90によって受信されてサーバコントロールシステム92に送られ、或いはコンピュータ接続部95を介してコンピュータ94によって受信されてコンピュータコントロールシステム96に送られる。サーバコントロールシステム92及びコンピュータコントロールシステム96は、RAWファイルデータ80に含まれるWBゲイン情報部82が示すベース画像用ホワイトバランスゲイン及びブラケット画像用ホワイトバランスゲインをRAW画像部81が示す画像データに適用することで、ベース画像及びブラケット画像を取得することが可能である。
なお上述の各機能構成は、任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは両者の組み合わせによって実現可能である。例えば、上述の各装置及び処理部(ホワイトバランス画像処理部40等)における画像処理方法(画像処理手順)をコンピュータに実行させるプログラム、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(非一時的記録媒体)、或いはそのプログラムをインストール可能なコンピュータに対しても本発明を適用することができる。
また、本発明を適用可能な態様はデジタルカメラ及びコンピュータ(サーバ)には限定されず、撮像を主たる機能とするカメラ類の他に、撮像機能に加えて撮像以外の他の機能(通話機能、通信機能、その他のコンピュータ機能)を備えるモバイル機器類に対しても本発明を適用することが可能である。本発明を適用可能な他の態様としては、例えば、カメラ機能を有する携帯電話機やスマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯型ゲーム機が挙げられる。以下、本発明を適用可能なスマートフォンの一例について説明する。
<スマートフォンの構成>
図41は、スマートフォン101の外観を示す図である。図41に示すスマートフォン101は、平板状の筐体102を有し、筐体102の一方の面に表示部としての表示パネル121と、入力部としての操作パネル122とが一体となった表示入力部120を備える。また、係る筐体102は、スピーカ131と、マイクロホン132、操作部140と、カメラ部141とを備える。なお、筐体102の構成はこれに限定されず、例えば、表示部と入力部とが独立した構成が採用されてもよいし、折り畳み構造やスライド機構を有する構成が採用されてもよい。
図42は、図41に示すスマートフォン101の構成を示すブロック図である。図42に示すように、スマートフォンの主たる構成要素として、無線通信部110と、表示入力部120と、通話部130と、操作部140と、カメラ部141と、記憶部150と、外部入出力部160と、GPS(Global Positioning System)受信部170と、モーションセンサ部180と、電源部190と、主制御部100とを備える。また、スマートフォン101の主たる機能として、基地局装置と移動通信網とを介した移動無線通信を行う無線通信機能を備える。
無線通信部110は、主制御部100の指示に従って、移動通信網に収容された基地局装置に対し無線通信を行うものである。係る無線通信を使用して、音声データ、画像データ等の各種ファイルデータ、電子メールデータなどの送受信や、Webデータやストリーミングデータなどの受信を行う。
表示入力部120は、主制御部100の制御により、画像(静止画像及び動画像)や文字情報などを表示して視覚的にユーザに情報を伝達し、表示した情報に対するユーザ操作を検出する、いわゆるタッチパネルであって、表示パネル121と、操作パネル122とを備える。
表示パネル121は、LCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic Electro−Luminescence Display)などを表示デバイスとして用いたものである。操作パネル122は、表示パネル121の表示面上に表示される画像を視認可能に載置され、ユーザの指や尖筆によって操作される座標を検出するデバイスである。係るデバイスをユーザの指や尖筆によって操作すると、操作に起因して発生する検出信号を主制御部100に出力する。次いで、主制御部100は、受信した検出信号に基づいて、表示パネル121上の操作位置(座標)を検出する。
図41に示すように、本発明の撮像装置の一実施形態として例示しているスマートフォン101の表示パネル121と操作パネル122とは一体となって表示入力部120を構成しているが、操作パネル122が表示パネル121を完全に覆うような配置となっている。係る配置を採用した場合、操作パネル122は、表示パネル121外の領域についても、ユーザ操作を検出する機能を備えてもよい。換言すると、操作パネル122は、表示パネル121に重なる重畳部分についての検出領域(以下、表示領域と称する)と、それ以外の表示パネル121に重ならない外縁部分についての検出領域(以下、非表示領域と称する)とを備えていてもよい。
なお、表示領域の大きさと表示パネル121の大きさとを完全に一致させてもよいが、両者を必ずしも一致させる必要はない。また、操作パネル122が、外縁部分と、それ以外の内側部分の2つの感応領域を備えていてもよい。さらに、外縁部分の幅は、筐体102の大きさなどに応じて適宜設計されるものである。更にまた、操作パネル122で採用される位置検出方式としては、マトリクススイッチ方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式などが挙げられ、いずれの方式を採用することもできる。
通話部130は、スピーカ131やマイクロホン132を備え、マイクロホン132を通じて入力されたユーザの音声を主制御部100にて処理可能な音声データに変換して主制御部100に出力し、無線通信部110或いは外部入出力部160により受信された音声データを復号してスピーカ131から出力するものである。また、図41に示すように、例えば、スピーカ131を表示入力部120が設けられた面と同じ面に搭載し、マイクロホン132を筐体102の側面に搭載することができる。
操作部140は、キースイッチなどを用いたハードウェアキーであって、ユーザからの指示を受け付けるものである。例えば、図41に示すように、操作部140は、スマートフォン101の筐体102の側面に搭載され、指などで押下されるとオンとなり、指を離すとバネなどの復元力によってオフ状態となる押しボタン式のスイッチである。
記憶部150は、主制御部100の制御プログラムや制御データ、アプリケーションソフトウェア、通信相手の名称や電話番号などを対応づけたアドレスデータ、送受信した電子メールのデータ、WebブラウジングによりダウンロードしたWebデータや、ダウンロードしたコンテンツデータを記憶し、またストリーミングデータなどを一時的に記憶するものである。また、記憶部150は、スマートフォン内蔵の内部記憶部151と着脱自在な外部メモリスロットを有する外部記憶部152により構成される。なお、記憶部150を構成するそれぞれの内部記憶部151と外部記憶部152は、フラッシュメモリタイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリ(例えば、MicroSD(登録商標)メモリ等)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの格納媒体を用いて実現される。
外部入出力部160は、スマートフォン101に連結されるすべての外部機器とのインタフェースの役割を果たすものであり、他の外部機器に通信等(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、IEEE1394など)又はネットワーク(例えば、インターネット、無線LAN、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、RFID(Radio Frequency Identification)、赤外線通信(Infrared Data Association:IrDA)(登録商標)、UWB(Ultra Wideband)(登録商標)、ジグビー(ZigBee)(登録商標)など)により直接的又は間接的に接続するためのものである。
スマートフォン101に連結される外部機器としては、例えば、有/無線ヘッドセット、有/無線外部充電器、有/無線データポート、カードソケットを介して接続されるメモリカード(Memory card)やSIM(Subscriber Identity Module Card)/UIM(User Identity Module Card)カード、オーディオ・ビデオI/O(Input/Output)端子を介して接続される外部オーディオ・ビデオ機器、無線接続される外部オーディオ・ビデオ機器、有/無線接続されるスマートフォン、有/無線接続されるパーソナルコンピュータ、有/無線接続されるPDA及び有/無線接続されるイヤホンなどがある。外部入出力部は、このような外部機器から伝送を受けたデータをスマートフォン101の内部の各構成要素に伝達することや、スマートフォン101の内部のデータが外部機器に伝送されるようにしてもよい。
GPS受信部170は、主制御部100の指示に従って、GPS衛星ST1〜STnから送信されるGPS信号を受信し、受信した複数のGPS信号に基づく測位演算処理を実行し、スマートフォン101の緯度、経度、高度からなる位置を検出する。GPS受信部170は、無線通信部110や外部入出力部160(例えば、無線LAN)から位置情報を取得できる場合には、その位置情報を用いて位置を検出することもできる。
モーションセンサ部180は、例えば、3軸の加速度センサなどを備え、主制御部100の指示に従って、スマートフォン101の物理的な動きを検出する。スマートフォン101の物理的な動きを検出することにより、スマートフォン101の動く方向や加速度が検出される。係る検出結果は、主制御部100に出力されるものである。
電源部190は、主制御部100の指示に従って、スマートフォン101の各部に、バッテリ(図示しない)に蓄えられる電力を供給するものである。
主制御部100は、マイクロプロセッサを備え、記憶部150が記憶する制御プログラムや制御データに従って動作し、スマートフォン101の各部を統括して制御するものである。また、主制御部100は、無線通信部110を通じて、音声通信やデータ通信を行うために、通信系の各部を制御する移動通信制御機能と、アプリケーション処理機能を備える。
アプリケーション処理機能は、記憶部150が記憶するアプリケーションソフトウェアに従って主制御部100が動作することにより実現するものである。アプリケーション処理機能としては、例えば、外部入出力部160を制御して対向機器とデータ通信を行う赤外線通信機能や、電子メールの送受信を行う電子メール機能、Webページを閲覧するWebブラウジング機能などがある。
また、主制御部100は、受信データやダウンロードしたストリーミングデータなどの画像データ(静止画像や動画像のデータ)に基づいて、映像を表示入力部120に表示する等の画像処理機能を備える。画像処理機能とは、主制御部100が、上記画像データを復号し、係る復号結果に画像処理を施して、画像を表示入力部120に表示する機能のことをいう。
さらに、主制御部100は、表示パネル121に対する表示制御と、操作部140、操作パネル122を通じたユーザ操作を検出する操作検出制御を実行する。
表示制御の実行により、主制御部100は、アプリケーションソフトウェアを起動するためのアイコンや、スクロールバーなどのソフトウェアキーを表示し、或いは電子メールを作成するためのウィンドウを表示する。なお、スクロールバーとは、表示パネル121の表示領域に収まりきれない大きな画像などについて、画像の表示部分を移動する指示を受け付けるためのソフトウェアキーのことをいう。
また、操作検出制御の実行により、主制御部100は、操作部140を通じたユーザ操作を検出したり、操作パネル122を通じて、上記アイコンに対する操作や、上記ウィンドウの入力欄に対する文字列の入力を受け付けたり、或いは、スクロールバーを通じた表示画像のスクロール要求を受け付ける。
さらに、操作検出制御の実行により主制御部100は、操作パネル122に対する操作位置が、表示パネル121に重なる重畳部分(表示領域)か、それ以外の表示パネル121に重ならない外縁部分(非表示領域)かを判定し、操作パネル122の感応領域や、ソフトウェアキーの表示位置を制御するタッチパネル制御機能を備える。
また、主制御部100は、操作パネル122に対するジェスチャ操作を検出し、検出したジェスチャ操作に応じて、予め設定された機能を実行することもできる。ジェスチャ操作とは、従来の単純なタッチ操作ではなく、指などによって軌跡を描いたり、複数の位置を同時に指定したり、或いはこれらを組み合わせて、複数の位置から少なくとも1つについて軌跡を描く操作を意味する。
カメラ部141は、CMOSなどの撮像素子を用いて電子撮影するデジタルカメラである。また、カメラ部141は、主制御部100の制御により、撮像によって得た画像データを例えばJPEGなどの圧縮した画像データに変換し、記憶部150に記録し、外部入出力部160や無線通信部110を通じて出力することができる。図41に示すようにスマートフォン101において、カメラ部141は表示入力部120と同じ面に搭載されているが、カメラ部141の搭載位置はこれに限らず、表示入力部120の背面に搭載されてもよいし、或いは、複数のカメラ部141が搭載されてもよい。なお、複数のカメラ部141が搭載されている場合には、撮影に供するカメラ部141を切り換えて単独にて撮影してもよいし、或いは、複数のカメラ部141を同時に使用して撮影してもよい。
また、カメラ部141はスマートフォン101の各種機能に利用することができる。例えば、表示パネル121にカメラ部141で取得した画像を表示することや、操作パネル122の操作入力の1つとして、カメラ部141の画像を利用することができる。また、GPS受信部170が位置を検出する際に、カメラ部141からの画像を参照して位置を検出することもできる。さらには、カメラ部141からの画像を参照して、3軸の加速度センサを用いずに、或いは、3軸の加速度センサと併用して、スマートフォン101のカメラ部141の光軸方向を判断することや、現在の使用環境を判断することもできる。勿論、カメラ部141からの画像をアプリケーションソフトウェア内で利用することもできる。
その他、静止画又は動画の画像データにGPS受信部170により取得した位置情報、マイクロホン132により取得した音声情報(主制御部等により、音声テキスト変換を行ってテキスト情報となっていてもよい)、モーションセンサ部180により取得した姿勢情報等などを付加して記憶部150に記録し、外部入出力部160や無線通信部110を通じて出力することもできる。
上述の画像処理部31(ホワイトバランス画像処理部40;図3参照)は、例えば主制御部100によって実現可能である。