JPWO2015111726A1 - ガラスの腐食抑制方法 - Google Patents

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Abstract

アルカリ性物質を添加する必要なく、かつ温度、pH、フッ化物イオンの濃度、水分の含有量等の制約を加えることなく、フッ化物イオンを含む液状物またはそれから気化したガスの凝縮物に接触するガラスの腐食を抑制できる方法の提供。フッ化物イオンを含む液状物および該液状物から気化したガスの凝縮物のいずれか一方または両方と接触するガラスの腐食を抑制する方法であって、前記液状物が、二酸化ケイ素を含む粉体を含み、前記二酸化ケイ素の量が、前記フッ化物イオンに対してモル比で1倍以上である。

Description

本発明は、フッ化物イオン(F)を含む液状物および該液状物から気化したガスの凝縮物のいずれか一方または両方と接触するガラスの腐食を抑制する方法に関する。
フッ素系化合物(フッ素系樹脂、フッ素系ゴム、フッ素系界面活性剤等)を製造する際に取り扱われる液状物(フッ素系樹脂を含む分散液、フッ素系ゴムを含む分散液、フッ素系界面活性剤を含む溶液、製造過程で排出さる排液等)には、わずかであるがフッ化物イオンが含まれる。
フッ化物イオンを含む液状物を取り扱う設備または機器においては、フッ化物イオンを含む液状物および該液状物から気化したガスの凝縮物のいずれか一方または両方と接触する部分の金属が、フッ化物イオンによって腐食する。また、ある種のフッ素系化合物を製造する際に取り扱われる液状物は、塩酸酸性下で取り扱われることがある。そのため、フッ化物イオンを含む液状物を、特に塩酸酸性下で取り扱う場合は、液状物または凝縮物と接触する部分の金属の表面にライニング(ガラスライニング、樹脂ライニング等)を施す、または、金属の代わりに炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRPと記す。)を用いる、のいずれかを採用する必要がある。
樹脂ライニングには、フッ化物イオンを含む液状物が有機溶媒をさらに含む場合、樹脂同士の間または樹脂と金属との間に有機溶媒が浸透し、樹脂の剥離(以下、ブリスタと記す。)が発生する問題がある。特に、重合槽、熱交換器等において、フッ化物イオンを含む液状物との温度差が大きい熱媒を、重合槽のジャケット側や熱交換器のシェル側に流通させた場合には、ブリスタが発生しやすい。そのため、有機溶媒を含む液状物を樹脂ライニングが施された設備または機器で取り扱う場合、運転条件に大きく制限が加わる。
CFRPには、これを用いた設備または機器が高価になるという問題がある。また、フッ化物イオンを含む液状物の種類によっては、CFRPに用いたエポキシ樹脂に由来するフェノールが液状物に溶出することがある。液状物に含まれる目的のフッ素系化合物と、液状物に溶出したフェノールとの沸点差が小さい場合、フェノールを蒸留によって分離することが困難となる。
ガラスライニングは、フッ化物イオンによって腐食されるため、フッ化物イオンを含む液状物を取り扱う設備または機器には不向きとされる。しかし、樹脂ライニングおよびCFRPには、上述した問題点があるため、フッ化物イオンを含む液状物を取り扱う場合であっても、ガラスライニングを採用せざるを得ないことが多い。
ガラスライニングの腐食を抑制する方法としては、下記の方法がよく知られている。
(1)フッ化物イオンを含む液状物の温度、および設備または機器の温度を極力下げる方法。
(2)フッ化物イオンを含む液状物への水分の混入を防止する方法。
(3)液状物中のフッ化物イオンの濃度を2質量ppm以下にする方法。
(4)フッ化物イオンを含む液状物のpHを4超から7未満の間で管理する方法。
(5)液状物に含まれる固体成分を減らし、スラリー状流体の取り扱いを避ける方法。
しかし、(1)〜(5)の方法のいずれも、運転条件に大きく制約が加わることに他ならない。
ガラスライニングの腐食を抑制する他の方法としては、下記の方法が考えられる。
(6)フッ化物イオンを含む液状物に、アルカリ性物質(CaCl、NaOH等)を加えて、フッ化物イオンを塩(CaF、NaF等)として析出させ、液状物から塩を分離した後に、該液状物を設備または機器にて取り扱う方法。
しかし、(6)の方法では、液状物に含まれる目的のフッ素系化合物がアルカリ性物質と反応する場合や、酸性下で液状物を取り扱っている場合には、目的のフッ素系化合物の収率が低下するだけでなく、回収することが困難となる場合もある。
ガラスライニングの腐食を抑制する他の方法としては、下記の方法が提案されている。
(7)フッ化物イオンを含む液状物のpH、および液状物や熱媒の温度に応じて、フッ化物イオンの濃度の上限値を管理する方法(特許文献1参照)。
しかし、(7)の方法では、運転条件に大きく制約が加わる。具体的には、pHが1以下で、温度が20℃の場合、フッ化物イオンの濃度が7質量ppm以下でないと適用できない。また、pHが3で、温度が20℃の場合、フッ化物イオンの濃度が290質量ppm未満でないと適用できない。さらに、pHが1未満の場合におけるフッ化物イオンの濃度の条件が規定されていない。
特開2001−233797号公報
本発明は、アルカリ性物質を添加する必要なく、かつ温度、pH、フッ化物イオンの濃度、水分の含有量、固体成分の含有量等の制約を加えることなく、フッ化物イオンを含む液状物を取り扱っても、フッ化物イオンを含む液状物または該液状物から気化したガスの凝縮物に接触するガラスの腐食を抑制できる方法の提供を目的とする。
本発明のガラスの腐食抑制方法は、フッ化物イオンを含む液状物および該液状物から気化したガスの凝縮物のいずれか一方または両方と接触するガラスの腐食を抑制する方法であって、前記液状物が、二酸化ケイ素を含む粉体を含み、前記二酸化ケイ素の量が、前記フッ化物イオンに対してモル比で1倍以上であることを特徴とする。
前記ガラスは、前記液状物を取り扱う設備または機器において、前記液状物および前記凝縮物のいずれか一方または両方と接触する部分に設けられたものであることが好ましい。
前記二酸化ケイ素の含有量は、前記粉体100質量%のうち60質量%以上であることが好ましい。
前記粉体の平均粒子径は、0.5mm以下であることが好ましい。
前記フッ化物イオンの濃度は、0.1質量ppm以上であることが好ましい。
前記液状物の媒体が水性媒体であり、かつ前記液状物のpHが13以下であることが好ましく、前記液状物が塩酸を含み、かつ前記液状物のpHが7未満であることがより好ましい。
前記液状物がフッ素系界面活性剤を含む場合に、本発明は好適であり、前記フッ素系界面活性剤が、ペルフルオロオクタン酸アンモニウムおよびペルフルオロ−3,6−ジオキサ−オクタン酸アンモニウムのいずれか一方または両方である場合に、本発明は特に好適である。
前記二酸化ケイ素を含む粉体がシリカゲルであることが好ましい。
前記二酸化ケイ素の量が、前記フッ化物イオンに対してモル比で120倍以下であることが好ましい。
本発明のガラスの腐食抑制方法によれば、アルカリ性物質を添加する必要なく、かつ温度、pH、フッ化物イオンの濃度、水分の含有量、固体成分の含有量等の制約を加えるおとなく、フッ化物イオンを含む液状物を取り扱っても、フッ化物イオンを含む液状物または該液状物から気化したガスの凝縮物に接触するガラスの腐食を抑制できる。
粉体に含まれる二酸化ケイ素(SiO)と液状物に含まれるフッ化水素(HF)とのモル比(SiO/HF)に対する、ガラスに含まれるNaOの腐食率の依存性を示すグラフである。 実施例における、液状物に含まれるフッ化物イオン(F)の濃度と、該液状物から気化したガスの凝縮物に接触するガラスの腐食速度との関係を示すグラフである。 実施例における、液状物に含まれるフッ化物イオン(F)の濃度と、該液状物に接触するガラスの腐食速度との関係を示すグラフである。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「液状物」とは、液状物を取り扱う温度において液体である化合物(媒体(水、有機溶媒等)、フッ素系化合物(フッ素系界面活性剤等)等)を含み、液状物を取り扱う温度において液状流体またはスラリー状流体として取り扱うことができるもの(組成物、混合物等)を意味する。
「凝縮物」とは、液状物から気化したガスが凝縮して液状となったものを意味する。フッ化物イオンを含む液状物から気化したガスには、通常、フッ化水素が含まれるため、フッ化物イオンを含む液状物から気化したガスの凝縮物には、フッ化物イオンが含まれている。
「液状物を取り扱う設備または機器」とは、液状物を取り扱う機器、配管、部品等またはこれらを備え付けた建造物を意味する。
「液状物のpH」は、市販のpHメータを用いて測定した値である。
「液状物中のフッ化物イオンの濃度」は、市販のフッ化物イオンメータを用いて測定した値である。
「粉体の平均粒子径」は、粒子径が10μm以上のものについては篩分け法で測定した値である。粒子径が10μm未満のものについては市販のコールターカウンターを用いて測定した値である。
<ガラスの腐食抑制方法>
本発明のガラスの腐食抑制方法は、フッ化物イオンを含む液状物および該液状物から気化したガスの凝縮物のいずれか一方または両方と接触するガラスの腐食を抑制する方法である。
(ガラス)
ガラスの種類としては、公知のガラス(たとえば、ガラスライニング、ガラス機器、実験器具、ガラス繊維、電気・光学用途等に用いられるガラス)であればよく、特に限定はされず、石英ガラス、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸系ガラス、リン酸塩系ガラスのいずれにも適用できる。なかでも、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸系ガラス又はリン酸塩系ガラスに適用した場合に効果的である。
ガラスとしては、本発明の効果が充分に発揮される点から、フッ化物イオンを含む液状物を取り扱う設備または機器において、液状物および凝縮物のいずれか一方または両方と接触する部分に設けられたものであることが好ましい。
液状物を取り扱う設備または機器としては、たとえば、ガラス反応缶、ガラス撹拌槽、ガラス槽、ガラス配管、ガラス撹拌翼、ガラス熱交換器、ガラス蒸留塔、ガラス充填物、ガラスライニング反応缶、ガラスライニング撹拌槽、ガラスライニング槽、ガラスライニング配管、ガラスライニング撹拌翼、ガラスライニング熱交換器、ガラスライニング蒸留塔、ガラスライニング、ガラスライニングバッフル、ガラスライニング弁等が挙げられる。
(液状物)
フッ化物イオンを含む液状物としては、フッ素系化合物を製造する際に取り扱われる液状物、および該液状物から気化したガスの凝縮物等が挙げられる。
フッ素系化合物を製造する際に取り扱われる液状物としては、目的のフッ素系化合物(以下、目的物とも記す。)またはその原料を含む分散液または溶液、製造過程で排出さる排液等が挙げられる。フッ素系化合物を製造する際に取り扱われる液状物には、目的物(フッ素系樹脂、フッ素系ゴム、フッ素系界面活性剤、フッ素系溶媒、フッ化水素、フッ化物塩等)、その原料、媒体、添加剤、これらの分解物等が含まれる。
目的物がフッ素系樹脂の場合、原料としてはフッ素系単量体、非フッ素系単量体等が挙げられ、媒体としては水、フッ素系有機溶媒、非フッ素系有機溶媒等が挙げられる。また、添加剤としては、フッ素系界面活性剤、非フッ素系界面活性剤、フッ素系重合開始剤、非フッ素系重合開始剤等が挙げられ、分解物としては、フッ化水素、フッ化物イオンが挙げられる。
フッ素系化合物を製造する際に取り扱われる液状物には、目的物そのものに由来するフッ化物イオン(フッ化水素、フッ化物塩であってもよい)、または、目的物、フッ素系原料、フッ素系媒体、フッ素系添加剤等の分解物に由来するフッ化物イオンが含まれる。
フッ化物イオンを含む液状物中のフッ化物イオンの濃度は、本発明の効果が充分に発揮される点から、0.1質量ppm以上が好ましく、2質量ppm以上がより好ましく、100質量ppm以上がさらに好ましい。フッ化物イオンの濃度が0.1質量ppm未満であると、ガラスの腐食はほとんど進行しない。フッ化物イオンを含む液状物中のフッ化物イオンの濃度は、二酸化ケイ素を系内に均一に分散させる点から、1,000質量ppm以下が好ましい。
液状物の媒体(分散媒、溶媒)としては、水性媒体、または非水性媒体が挙げられる。二酸化ケイ素を含む粉体を均一に分散できる点から、水性媒体が好ましい。
水性媒体は、水を50質量%超含む媒体であり、有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒は、水溶性有機溶媒であってもよく、非水溶性有機溶媒であってもよい。
非水性媒体は、有機溶媒を50質量%以上含む媒体であり、水を含んでいてもよい。水の含有量は、非水性媒体100質量%のうち、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。水の含有量が少ないほど、ガラスの腐食は進行しにくい。
媒体が水性媒体である場合、液状物のpHは、13以下が好ましく、10以下がより好ましく、7未満がさらに好ましく、6以下が特に好ましい。媒体が水性媒体である場合、液状物のpHは、0以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上が特に好ましい。媒体が水性媒体である場合、液状物のpHが前記範囲内にあれば、ガラスの腐食が充分に抑制され、ガラスの機械的性能の低下が抑制される。
媒体が水性媒体である液状物としては、酸を含み、かつpHが7未満である液状物が好ましい。酸を含み、かつpH7が未満であれば、二酸化ケイ素による腐食抑制効果が充分に発揮される。酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられ、金属設備を用いることが比較的難しいことから、塩酸が特に好ましい。
液状物は、炭化水素系化合物を含んでいてもよく、フッ素系化合物(フッ素系界面活性剤等)を含んでいてもよく、両者を含んでいてもよい。フッ素系化合物を含まず、炭化水素系化合物を含む液状物は、フッ素系化合物を含む液状物よりもガラスの腐食が生じにくい。これは、フッ素系化合物が、条件によってはフッ化物イオンの発生源になり得ることを示唆している。
フッ素系化合物のうち、フッ素系界面活性剤が、フッ化物イオンの発生源になりやすい。したがって、液状物がフッ素系界面活性剤を含む場合に、本発明は好適である。
フッ素系界面活性剤としては、エーテル結合を有するペルフルオロアルカン酸、ペルフルオロヘキサン酸、ペルフルオロヘプタン酸、ペルフルオロオクタン酸、ペルフルオロノナン酸、それらの塩(アンモニウム塩等)等が挙げられる。
エーテル結合を有するペルフルオロアルカン酸としては、下記の化合物が挙げられる。
CFOCFCFOCFCOOH、
OCFCFOCFCOOH、
OCFCFOCFCOOH、
OCFCFOCFCOOH、
11OCFCFOCFCOOH、
13OCFCFOCFCOOH、
CFO(CFCFO)CFCOOH、
O(CFCFO)CFCOOH、
O(CFCFO)CFCOOH、
O(CFCFO)CFCOOH、
CFO(CFCFO)CFCOOH、
O(CFCFO)CFCOOH、等。
フッ素系界面活性剤のうち、ペルフルオロオクタン酸アンモニウムおよびペルフルオロ−3,6−ジオキサ−オクタン酸アンモニウムが、フッ化物イオンの発生源になりやすい。したがって、液状物がペルフルオロオクタン酸アンモニウムおよびペルフルオロ−3,6−ジオキサ−オクタン酸アンモニウムのいずれか一方または両方のフッ素系界面活性剤を含む場合に、本発明は特に好適である。
二酸化ケイ素を含む粉体を含ませる前の液状物は、固体成分(二酸化ケイ素を含む粉体を除く。)を含むスラリー状流体であってもよい。
固体成分としては、炭化水素系化合物、フッ素系化合物、無機化合物等が挙げられる。固体成分として、イオン交換樹脂等の比較的粒子径の大きい粒子を含んでいてもよい。
(二酸化ケイ素を含む粉体)
本発明においては、フッ化物イオンを含む液状物に、二酸化ケイ素を含む粉体をさらに含ませることに特徴がある。液状物が二酸化ケイ素を含む粉体を含むことによって、二酸化ケイ素による腐食抑制効果が発揮され、ガラスの腐食が抑制される。
二酸化ケイ素を含む粉体としては、シリカ粉体(シリカゲル等)、ソーダライムガラスの粉体、ホウケイ酸ガラスの粉体等が挙げられ、二酸化ケイ素の純度が高く、ガラスの腐食を充分に抑制する点から、シリカゲルが好ましい。
粉体中の二酸化ケイ素の含有量は、ガラスの腐食を充分に抑制する点から、粉体100質量%のうち、60質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。
粉体に由来する二酸化ケイ素の量は、ガラスの腐食を抑制する点から、液状物中のフッ化物イオンに対して、モル比で1倍以上であり、30倍以上がより好ましく、100倍以上がさらに好ましい。
粉体に由来する二酸化ケイ素の量が、液状物中のフッ化物イオンに対して、モル比で1倍以上である根拠の一例を以下に示す。
ガラスの腐食形態として、下式(1)を1つのモデルとして考える。
SiO+NaO+6HF→NaSiF+3HO ・・・(1)
式(1)のギブスエネルギーを、下式(2)、および(3)に基づいて算出する。
SiO+4HF→SiF+2HO ・・・(2)
NaO+2HF→2NaF+HO ・・・(3)
式(2)のギブスエネルギーは、−1,615kJ/mol、式(3)のギブスエネルギーは、−573kJ/molであるため、式(1)のギブスエネルギーは、−2,188kJ/molとなる。
なお、ガラスとフッ化水素との実際の反応においては、Na成分以外の他アルカリ成分とフッ化水素との反応も起こるが、ここでは、1つのモデルとしてNa成分とフッ化水素との反応のみを考慮する。
一方、二酸化ケイ素(100質量%)の粉体とフッ化水素との反応のギブスエネルギーは、式(2)を1つのモデルとして考えた場合、−1,615kJ/molとなる。
なお、粉体とフッ化水素との実際の反応においては、下式(4)の反応も起こるが、ここでは、1つのモデルとして式(2)のみを考慮する。
SiO+6HF→HSiF+2HO ・・・(4)
ギブスエネルギーから、式(1)のガラスの腐食の方が、式(2)の粉体とフッ化水素との反応よりも反応が進みやすいことが分かる。
具体的に、容量2,000Lのガラス容器に、平均粒子径50μmの二酸化ケイ素の粉体を含む、フッ化水素濃度が100質量ppmの水溶液(液状物)を入れる場合について検討する。該検討では、反応系内に存在するNaOの量が常に一定であり、フッ化水素とガラス容器や二酸化ケイ素の粉体との反応は表面のみで起こり、フッ化水素はガラス容器の二酸化ケイ素に作用しないと仮定している。
該場合における、粉体に含まれる二酸化ケイ素(SiO)と液状物に含まれるフッ化水素(HF)とのモル比(SiO/HF)に対する、ガラスに含まれるNaOの腐食率の依存性を、図1に示す。
図1から、ガラス(NaO)の腐食率は、実験値より近似式を描いたとき、二酸化ケイ素の粉体の量が増大するにしたがって指数関数的に低下することがわかる。つまり、粉体に由来する二酸化ケイ素の量が、液状物中のフッ化水素に対して、モル比で0倍のときのガラス(NaO)の腐食率は100%であり、モル比で1倍のときのガラス(NaO)の腐食率は50%であり、モル比で30倍のときのガラス(NaO)の腐食率は4.3%であり、モル比で100倍のときのガラス(NaO)の腐食率は1.3%である。
ガラスの種類にもよるが、後述する実施例においても、同様な結果が得られたことから、二酸化ケイ素によるガラスの腐食抑制効果は、式(1)、(2)のギブスエネルギーで整理できることが示唆される。
粉体に由来する二酸化ケイ素の量は、液状物中のフッ化物イオンに対して、モル比で200倍以下が好ましく、150倍以下がより好ましく、120倍以下がさらに好ましい。二酸化ケイ素を含む粉体の量が多いほど、ガラスの腐食は抑制されるものの、二酸化ケイ素を含む粉体の量が多すぎると、液状物がスラリー状流体となり、液状物の撹拌等が困難となる場合がある。上記の場合、フッ化物イオンを含まない液を、二酸化ケイ素を含む粉体が液状物に均一に分散されるまで追加する必要がある。
二酸化ケイ素を含む粉体の平均粒子径は、ガラスの腐食を充分に抑制する点から、0.5mm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。
二酸化ケイ素を含む粉体の平均粒子径が0.5mm以下であることが好ましい根拠の一例を以下に示す。
二酸化ケイ素の粉体の平均粒子径を50μm、真比重を2.1g/mL、二酸化ケイ素の粉体の形状を球状と仮定した場合、二酸化ケイ素1モル当たりの粉体の表面積は1,371mとなる。一方、容量2,000Lのガラス容器の表面積は、7.3mとなる。二酸化ケイ素の粉体の量を、水溶液(液状物)中のフッ化物イオンに対して、モル比で100倍としたときの、二酸化ケイ素の粉体とガラス容器との表面積比(粉体の表面積/ガラス容器の表面積)は、モル比で30倍としたときの表面積比の30.0倍となる。これは、上述したガラスの腐食率の比(=4.3/1.3=30.9)とほぼ一致する。すなわち、極力小さい平均粒子径の粉体を選択し、粉体の表面積を大きくすることによって、ガラスの腐食を抑制できると考えられる。
二酸化ケイ素を含む粉体の平均粒子径は、粉体の取り扱いやすさ点から、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。
なお、後工程で二酸化ケイ素を含む粉体を分離する必要がある場合、粉体を捕捉するためのフィルタの目開きを考慮して、粉体の平均粒子径を選定する必要がある。
二酸化ケイ素を含む粉体は、液状物がガラスに接触する前に、液状物に均一に分散させることが好ましい。粉体を分散させる方法としては、撹拌機によって混合する方法が挙げられる。
液状物がガラスに接触する前に、二酸化ケイ素を含む粉体を液状物に分散させる設備がない場合、液状物がガラスに接触している間に粉体を分散させてもよい。ただし、粉体を分散させるまでの時間が長時間に及ぶと、ガラスの腐食が進行するため、液状物がガラスと接触した直後、速やかに粉体を分散させる必要がある。
(作用機序)
以上説明した本発明のガラスの腐食抑制方法にあっては、フッ化物イオンを含む液状物が、二酸化ケイ素を含む粉体をさらに含むため、フッ化物イオンは、液状物を取り扱う設備または機器において液状物と接触する部分に設けられたガラスよりも表面積がはるかに大きい粉体と反応しやすい。そのため、粉体に含まれる二酸化ケイ素による腐食抑制効果が発揮され、液状物中のフッ化物イオンが低減される。結果として、アルカリ性物質を添加することなく、かつ温度、pH、フッ化物イオンの濃度、水分の含有量、固体成分の含有量等の制約を加えることなく、フッ化物イオンを含む液状物を取り扱っても、フッ化物イオンを含む液状物または該液状物から気化したガスの凝縮物に接触するガラスの腐食を抑制できる。
具体的には、粉体に由来する二酸化ケイ素の量が、液状物中のフッ化物イオンに対してモル比で1倍以上であれば、ガラスの腐食を抑制する効果が充分に発揮される。粉体に由来する二酸化ケイ素の量が、液状物中のフッ化物イオンに対してモル比で30倍以上であれば、ガラスの腐食速度は、ガラスライニングの耐用年数5年以上の完全耐食範囲となる。本発明の腐食抑制方法によれば、塩酸酸性下の液状物や、スラリー状流体の液状物であっても、接触部分にガラスが設けられた設備または機器で取り扱うことができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。
フッ化物イオンの濃度、フッ素系界面活性剤の濃度、粉体の平均粒子径は、以下のように測定した。
(フッ化物イオンの濃度)
フッ化物イオンを含む液状物の媒体が水の場合:
ポリエチレン製の容器に、液状物の50mLを採取し、リン酸緩衝溶液(濃度;0.05M)の1mLを添加し、微加圧下(約125kPaA)、105℃で30分間熱処理した。冷却した後、サンプルの5mLを純水で100mLに定容し、フッ化物イオンメータを用いてフッ化物イオンの濃度を測定した。
フッ化物イオンを含む液状物の媒体が非水溶性有機溶媒の場合:
液状物に、これと等量の純水を加え、5分程度激しく振とうした後、30分以上静置し、分離した水層を採取した。採取した水層について、媒体が水性媒体の場合と同様にしてフッ化物イオンの濃度を測定した。
(フッ素系界面活性剤の濃度)
メチレンブルーを用いた比色分析によってフッ素系界面活性剤の濃度を測定した。
水の約500mLに硫酸(濃度;98質量%以上)の12gを徐々に加えた。冷却した後、これにメチレンブルーの0.03g、無水硫酸ナトリウムの50gを溶解し、水を加えて1Lとし、メチレンブルー試薬を得た。
スクリュー管瓶に、メチレンブルー試薬の5mL、およびクロロホルムの5mLを入れ、試料の0.1gを加えて激しく振とうし、静置して、分離させた。下層のクロロホルム層をスポイトで吸光度測定用のセルに回収し、分光光度計により波長630nmの吸光度を測定した。あらかじめ測定しておいた既知濃度の試料から得られた検量線を参照することによって、フッ素系界面活性剤の濃度を求めた。
(粉体の平均粒子径)
粉体の平均粒子径(D50)は、篩分け法で測定し、更に、平均粒子径が10μm未満のものについてはコールターカウンター(ベックマン・コールター社製、multisizer3)を用いて再度測定し、採用値とした。
(試験液1)
フッ素系界面活性剤として、COCOCFCOONH(以下、EEAと記す。)およびCF(CFCOONH(以下、APFOと記す。)を用い、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと記す。)を乳化重合して、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す。)の水性分散液を製造した。
得られた水性分散液に含まれるPTFEを凝集させ、PTFEを分離し、凝集排水1を得た。凝集排水1には、未凝集の固形分(以下、SS分と記す。)が2300質量ppm含まれていた。凝集廃水1中のフッ素系界面活性剤の濃度は400質量ppmであり、EEAとAPFOの濃度は、それぞれ、360質量ppmと40質量ppmであった。
凝集廃水1に35質量%の工業用塩酸を、pHが2になるまで加え、該凝集廃水1に対して120質量ppmの塩化アルミニウム六水和物を添加し、5分間撹拌して、凝集廃水1中のSS分を凝集させた。20質量%水酸化ナトリウム水溶液を、凝集廃水1のpHが10となるまで添加し、5分間撹拌した。1時間静置し、凝集廃水1の上澄み液を界面活性剤水溶液Aとして回収した。界面活性剤水溶液Aは無色透明であり、SS分は40質量ppmであり、フッ素系界面活性剤の濃度(EEAとAPFOの合計。以下、同じ。)は400質量ppmであった。
界面活性剤水溶液Aを、ヒートポンプを備えた加熱管面蒸発型濃縮装置(ササクラ社製、商品名:VVCC濃縮装置)を用いて減圧濃縮した。VVCC濃縮装置への界面活性剤水溶液Aの供給量は4000L/時とし、VVCC濃縮装置の内部の圧力は、20kPaAに保った。また、VVCC濃縮装置の内部の循環液の温度は55±2℃に保った。30時間かけて界面活性剤水溶液Aの120,000Lを60倍に濃縮して、フッ素系界面活性剤の濃度が2.4質量%の界面活性剤水溶液Bの2,000Lを得た。ここで、フッ素系界面活性剤の濃度はメチレンブルーによる比色分析によって測定した。
エジェクタを備えたフラッシュ型濃縮装置(ササクラ社製、商品名:FTC濃縮装置)を用いて、界面活性剤水溶液Bをさらに濃縮した。該装置は、蒸発缶内で発生した蒸気を回収するエジェクタを備え、回収した蒸気を蒸発缶から抜き出した界面活性剤水溶液の過熱に利用している。また、該装置は、過熱した界面活性剤水溶液Bを蒸発缶内に噴霧し、フラッシュさせることで界面活性剤を濃縮している。
運転初期は、蒸発缶内での水溶液の発泡を抑制する目的で、工業用水を用いて運転を開始した。具体的には、FTC濃縮装置における蒸発缶に、蒸発缶の容量に対して40%まで工業用水を仕込んだ後、蒸発缶内を17kPaAまで減圧し、かつ蒸発缶内の工業用水の温度が55℃となるように循環液量を調節した。その後、蒸発缶内の圧力が17kPaAで、液相温度が55℃であり、かつ気相温度が65℃となったところで、蒸発缶内の工業用水の量を、蒸発缶の容量に対して20%に下げ、界面活性剤水溶液Bの供給を開始した。濃縮操作中は蒸発缶内の圧力を17kPaAに保った。また、蒸発缶内の液相温度は55℃に保った。なお、圧力17kPaAにおける水の沸点は57℃である。
蒸発缶から抜き出した界面活性剤水溶液Bを過熱し、ノズルから蒸発缶内に噴霧してフラッシュ蒸発させ、発生した蒸気を除去し、6時間かけて1,000Lの界面活性剤水溶液Bを250Lまで濃縮した試験液1を得た。試験液1が回収されるタイミングの違いにより、試験液1−1、試験液1−2、試験液1−3、試験液1−4の4種類の試験液1を得た。4種類の試験液1中のフッ素系界面活性剤の濃度は約10質量%であり、フッ化物イオンの濃度は77〜200質量ppmであった。フッ化物イオンの濃度が変動する理由は、熱負荷により分解しやすいEEAの分解よって生じたフッ化水素によると推定される。
(試験液2)
フッ素系界面活性剤としてEEAまたはAPFOを用い、TFEを乳化重合して、PTFEの水性分散液を製造した。
得られた水性分散液に含まれるPTFEを凝集し、PTFEを分離し、遊離水が残存したPTFEを180〜220℃の熱風雰囲気で乾燥させた。乾燥ガス中にはEEAまたはAPFOが同伴されるため、48質量%(初期仕込み時)の炭酸カリウム水溶液に吸収させて回収した液を試験液2とした。試験液2が回収されるタイミングの違いにより、試験液2−1、試験液2−2、試験液2−3の3種類の試験液2を得た。3種類の試験液2中のフッ化物イオンの濃度は460〜9,000質量ppmであった。フッ化物イオンの濃度が試験液1よりも遥かに高い理由は、乾燥時にPTFE、またはEEAもしくはAPFOが熱分解したことで生じたフッ化水素によると推定される。
(試験液3)
フッ素系界面活性剤としてEEAまたはAPFOを用い、TFEを乳化重合して、PTFEの水性分散液を製造した。
得られた水性分散液にノニオン系界面活性剤を添加した後、強塩基型(I型)イオン交換樹脂でEEAまたはAPFOを吸着回収した。得られたスラリーを試験液3とした。試験液3が回収されるタイミングの違いにより、試験液3−1、試験液3−2の2種類の試験液3を得た。2種類の試験液3中のフッ化物イオンの濃度は2〜18質量ppmであった。
(フッ素系界面活性剤の回収および再生)
以下の操作によって、試験液1または試験液2からフッ素系界面活性剤を回収した。
試験液に35質量%の塩酸をpHが0.2以下になるまで添加し、フッ素系界面活性剤を塩型から酸型に変換し、酸型フッ素系界面活性剤を含む水溶液を得た。該水溶液にフッ素系溶媒であるHCFC−225ca(3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン)、HCFC−225cb(1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン)、HFE−347pc−f(1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン)またはこれらの混合液を、酸型フッ素系界面活性剤と等量以上添加し、酸型フッ素系界面活性剤を選択的にフッ素系溶媒層に抽出し、抽出後に2層分離して得られるフッ素系溶媒層を蒸留精製して酸型フッ素系界面活性剤を回収した。得られた酸型フッ素系界面活性剤を、アンモニア水またはアンモニアガスでアンモニウム塩化することで、フッ素系界面活性剤を再生できる。
以下の操作によって、試験液3からフッ素系界面活性剤を回収した。
試験液3に35質量%の塩酸を、フッ素系界面活性剤を吸着したイオン交換樹脂に対して1質量倍添加した後、HCFC−225ca、HCFC−225cb、HFE−347pc−fまたはこれらの混合液を、イオン交換樹脂に対して1質量倍添加し、かつアセトニトリルをイオン交換樹脂に対して1質量倍添加し、5時間以上混合することによって酸型フッ素系界面活性剤を選択的に溶媒層に抽出し、抽出後に2層分離して得られる溶媒層を蒸留精製して酸型フッ素系界面活性剤を回収した。得られた酸型フッ素系界面活性剤を、アンモニア水またはアンモニアガスでアンモニウム塩化することで、フッ素系界面活性剤を再生できる。
上記工程の中で、蒸留精製以降の工程は、フッ化物イオンが除去された溶媒層を取り扱うことから、ガラスの腐食は少ない。よって、ガラスの腐食が最も大きいと推定される、塩酸により酸性化して得た液を、以下の腐食試験に用いる試験液として採用した。4種類の試験液1からは、それぞれpHが0.1の試験液11−1、試験液11−2、試験液11−3、試験液11−4が得られた。3種類の試験液2からは、それぞれpHが0.1の試験液21−1、試験液21−2、試験液21−3が得られた。2種類の試験液3からは、それぞれpHが0以下の試験液31−1、試験液31−2が得られた。
(ガラスの腐食試験)
実際の設備または機器(攪拌機付き反応槽や蒸留塔、多管式熱交換器)に施されているガラスライニングと同一のガラスライニングが施された試験片(八光産業社製、きね型試験片#Octa88−200B)を用意した。
容量1,000mLのフッ素系樹脂製容器に、試験液の500mLを仕込み、真球状シリカゲル(AGCエスアイテック社製、M.S.GEL、平均粒子径:50μm、二酸化ケイ素の含有量:99.9質量%)を所定量添加した後、試験片を液相と気相に各々1本づつセットした。気相の試験片はPTFEのシールテープをきね型試験片のくびれ部分に巻き付けて容器の上部から吊るす形で設置した。内温を95℃とし、200時間経過後のガラスライニング試験片の質量変化から腐食速度(mm/年)を算出した。なお、フッ素樹脂容器は密閉し、気相の試験片には、試験液から気化したガスの凝縮物が接触する状態とした。また、腐食速度の算出は以下に従って行った。
(1)試験前後のガラスライニング試験片の質量を測定する。
(2)腐食度(単位:mg/dm/day)を計算する。
(3)最後に換算係数を乗じて(×0.0365/d)腐食速度(単位:mm/年)を得る。
真球状シリカゲルに含まれる二酸化ケイ素(SiO)と試験液に含まれるフッ化物イオン(F)とのモル比(SiO/F)(初期仕込み時)は、0、30および100とした。
試験液に含まれるフッ化物イオン(F)の濃度と、該試験液から気化したガスの凝縮物に接触する試験片の腐食速度との関係を図2および表1に示す。
試験液に含まれるフッ化物イオン(F)の濃度と、該試験液に接触する試験片の腐食速度との関係を図3および表2に示す。
Figure 2015111726
Figure 2015111726
八光産業社の評価基準によると、腐食速度が0.1mm/年以下では耐用年数が5年以上の完全耐食性を示す。腐食速度が0.1〜0.2mm/年では耐用年数が2〜5年である。腐食速度が0.2mm/年以上では耐用年数が1〜2年またはそれ以下である。
該基準に基づくと、粉体に由来する二酸化ケイ素の量が、液状物中のフッ化物イオンに対して、モル比で30倍である場合、液状物および凝縮物のいずれかに接触するガラスは、完全耐食範囲に入ることがわかる。
また、粉体に由来する二酸化ケイ素の量が、液状物中のフッ化物イオンに対して、モル比で100倍である場合、さらに腐食速度が低下し、実質的にガラスの腐食が進まないことがわかる。
本発明のガラスの腐食抑制方法は、フッ化物イオンを含む液状物を取り扱う設備または機器において、フッ化物イオンを含む液状物および該液状物から気化したガスの凝縮物のいずれか一方または両方と接触する部分に設けられたガラスの腐食を抑制する方法として有用であり、フッ素系化合物の製造等、産業上、好ましく利用される。
なお、2014年1月27日に出願された日本特許出願2014−012759号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (11)

  1. フッ化物イオンを含む液状物および該液状物から気化したガスの凝縮物のいずれか一方、または両方と接触するガラスの腐食を抑制する方法であって、
    前記液状物が、二酸化ケイ素を含む粉体を含み、
    前記二酸化ケイ素の量が、前記フッ化物イオンに対してモル比で1倍以上である、ガラスの腐食抑制方法。
  2. 前記ガラスが、前記液状物を取り扱う設備または機器において、前記液状物および前記凝縮物のいずれか一方または両方と接触する部分に設けられたものである、請求項1に記載のガラスの腐食抑制方法。
  3. 前記二酸化ケイ素の含有量が、前記粉体100質量%のうち60質量%以上である、請求項1または2に記載のガラスの腐食抑制方法。
  4. 前記粉体の平均粒子径が、0.5mm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラスの腐食抑制方法。
  5. 前記フッ化物イオンの濃度が、0.1質量ppm以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラスの腐食抑制方法。
  6. 前記液状物の媒体が水性媒体であり、かつ前記液状物のpHが13以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラスの腐食抑制方法。
  7. 前記液状物が塩酸を含み、かつ前記液状物のpHが7未満である、請求項6に記載のガラスの腐食抑制方法。
  8. 前記液状物が、フッ素系界面活性剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のガラスの腐食抑制方法。
  9. 前記フッ素系界面活性剤が、ペルフルオロオクタン酸アンモニウムおよびペルフルオロ−3,6−ジオキサ−オクタン酸アンモニウムのいずれか一方または両方である、請求項8に記載のガラスの腐食抑制方法。
  10. 前記二酸化ケイ素を含む粉体がシリカゲルである、請求項1〜9のいずれか一項に記載のガラスの腐食抑制方法。
  11. 前記二酸化ケイ素の量が、前記フッ化物イオンに対してモル比で120倍以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のガラスの腐食抑制方法。
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