JPWO2015105123A1 - 共鳴トンネルダイオード素子及び不揮発性メモリ - Google Patents

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Abstract

超高速動作が可能で、生産性が高く、低損失で低消費電力な共鳴トンネルダイオード素子及びこれを用いた不揮発性メモリを提供する。共鳴トンネルダイオード素子において、複数のバリア層と該バリア層間の井戸層とからなる量子井戸の井戸層に、分極または組成傾斜によるポテンシャル傾斜を備え、サブバンド間遷移によって前記量子井戸内に電子を蓄積することが可能な量子準位を前記量子井戸に設ける。または、井戸層とバリア層間に、井戸層及びバリア層のいずれともバンドギャップの異なる中間層を備え、サブバンド間遷移によって前記量子井戸内に電子を蓄積することが可能な量子準位を前記量子井戸に設ける。サブバンド遷移が可能な共鳴トンネルダイオード素子により、電子蓄積及び電子放出により双安定状態を記憶する不揮発性メモリを実現する。

Description

本発明は、共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunneling Diode、以下、「RTD」ともいう。)素子及びこれを用いた不揮発性メモリに関する。
従来から、半導体技術分野においてトンネルデバイスの研究開発が進められている。トンネルダイオードの中で、共鳴トンネル現象を利用したトンネルダイオードは、共鳴トンネルダイオード(RTD)と呼ばれる。ここで、共鳴トンネル現象とは、ポテンシャル障壁に挟まれた量子井戸の量子準位に等しいエネルギーを持つ電子又は正孔のキャリアがその量子井戸をトンネルする現象をいう。共鳴トンネルダイオードは、負性抵抗素子や発振器として期待されている。
ところで、近年の情報通信技術の飛躍的進歩により、情報通信機器の消費電力増大が懸念されている。現在のコンピュータシステムでは、システム動作中は、動作すべき構成要素以外も稼働させている。これに対して、システム動作中であっても、真に動作すべき構成要素以外の電源を積極的に遮断することにより、大幅な省電力を実現する新たな技術「ノーマリーオフコンピューティング」が提案されている。この技術を用いることで、コンピューティングシステムにおける大幅な低消費電力化が期待されている。
現在、不揮発性メモリは、消費電力が小さく、高集積化が可能、読み出し速度が高速という優れた特徴を持ち、すでに実用化されている。Si半導体を利用したフラッシュメモリなどがある。
ノーマリーオフコンピューティング技術では、現在実用化されているフラッシュメモリなどの不揮発性メモリに加えて、異なる速度領域で動作し、消費電力を低減できる新たな不揮発性メモリが不可欠である。現在よりもさらに低消費電力、高集積化、超高速動作が可能な新たな不揮発性メモリが求められている。その候補として、磁気抵抗メモリ(MRAM)、強誘電体メモリ(FeRAM)、抵抗変化型メモリ(ReRAM)、相変化メモリ(PRAM)などの新たな不揮発性メモリが開発されている。特に、磁気抵抗メモリ(MRAM)、強誘電体メモリ(FeRAM)は、高性能化、および、低コスト化が可能であることから注目されている。
また、それらに代わる新たな不揮発性メモリとして、共鳴トンネルダイオード(RTD)とサブバンド間遷移を用いた抵抗変化型メモリが提案されている(非特許文献1参照)。RTDによる微分負性抵抗と高速LOフォノン散乱(散乱時間:0.02〜0.2ps程度)を利用するため、ピコ秒オーダーの超高速動作が可能であり、また、低損失であるため、低消費電力な不揮発メモリを期待できる。MRAMやFeRAMと同等、あるいは、それ以上の高速動作を実現できる可能性がある。
提案されたRTD抵抗変化型メモリは、Si/CaF2/CdF2系RTDにおける抵抗値の双安定状態(高抵抗状態および低抵抗状態)を利用するものである。
本発明者らは、サブバンド間遷移を利用した半導体素子について研究開発を進めてきた(特許文献1参照)。
先行文献調査をしたところ、GaAs/AlAs多重量子井戸構造を有する、高周波域でのノイズ特性を改善したRTD構造の超高速フォノンデバイスが、提案されている(特許文献2参照)。また、RTDを用いた不揮発性メモリが提案されている(特許文献3参照)。また、GaNベースのRTD構造の電圧電流特性が報告され、結晶欠陥による電子トラップによってトンネル電流が流れなくなり高抵抗状態となる問題があるので結晶欠陥を減少させる改善法が提案されている(非特許文献2参照)。また、デバイス特性向上のために、RTD構造の量子井戸層に電極を追加した三端子型素子も提案されている(非特許文献3参照)。
特許5207381号 特開2004−153167号公報 特開平8−213561号公報
J.Denda他,Jpn.J.Appl.Phys.52,04CJ07(2013). Leconte他、Phys.Stat.Sol.(c)5,No.2,431−434(2008) T.Waho他、Jpn.J.Appl.Phys.30,L2018(1991). J.Lie他、Appl.Phys.Lett.81,No.18,3365−3367(2002) K.Ooyama他、Jpn.J.Appl.Phys.49,No.10,101001(2010)
従来技術のRTD抵抗変化型メモリは、Si/CaF2/CdF2系RTDであり、Si基板上へのMBE結晶成長によって実現できるという特徴を持つが、MOVPE結晶成長などを用いた大量生産技術は現在では確立されていない。
図18に、従来型の、RTD抵抗変化型メモリを実現しているSi/CaF2/CdF2系RTDを示す。Si/CaF2/CdF系RTD素子は、図18に示すように、2層のi(intrinsic)−CaF2バリア層(67、69)と、該2つのバリア層で囲まれたi−CdF2井戸層68とを備え、さらに、一方のバリア層67に隣接して、i−Si層66、Al層65、Au層64、の順にエミッタ側の積層構造を備え、他方のバリア層69に隣接して、n−Si層610、CoSi層611、の順にコレクタ側の積層構造を備えている。エミッタ電極の伝導帯の上のエネルギー準位(フェルミ準位)を61Ef、エミッタ電極の伝導帯の底のエネルギー準位を62Ec、コレクタ電極の伝導帯の上のエネルギー準位(フェルミ準位)を613Ef’、コレクタ電極の伝導帯の底のエネルギー準位を614Ec’と表す。介在層であるi−Si層66は、Al層65及びAu層64からなる電極層であるエミッタ層63と、バリア層67との間に位置し、介在層であるn−Si層610は、CoSi層611からなる電極層であるコレクタ層612と、バリア層69との間に位置している。図18に示すように、介在層によって、エミッタ層およびコレクタ層の伝導帯底に、バンド不連続量(ΔEc615及びΔEc’616)を設け、これを用いた電子の閉じ込めによって抵抗変化(高抵抗状態および低抵抗状態)を実現している。図18は無バイアス時を示す。
従来のRTD抵抗変化型メモリでは、図18に示すようなSi/CaF2/CdF2系RTDにおいて、順バイアス(エミッタ層63を接地し、コレクタ層612に正電圧)を印加し、第2量子準位(ER2617)に電子を通過させてトンネル電流を流す。この時、第2量子準位(ER2617)を通過する電子(トンネル電流を寄与する電子619)をサブバンド間遷移620によって、第1量子準位(ER1618)に遷移させる。また、ER1618を伝導帯底でのバンド不連続量(ΔEc615及びΔEc’616)よりも低くなるように設計することで、サブバンド間遷移された電子が量子井戸内に閉じ込められ蓄積される。この蓄積された電子621によって、RTDが低抵抗状態から高抵抗状態に変化する。また、逆バイアス(エミッタ層63を接地し、コレクタ層612に負電圧)をかけることで、量子井戸内に蓄積した電子621が放出されるため、高抵抗状態から低抵抗状態に戻すことができる。即ち、抵抗変化型メモリのリセット動作を実現できる。
RTD抵抗変化型メモリを実用化するには、MRAMやFeRAMと同じような大量生産技術を実現する必要がある。且つ、従来の不揮発メモリや電子回路素子との集積化が可能で、Si基板上へ結晶成長を可能とすることが望まれる。また、サファイア、GaN、SiC、ダイヤモンド基板などへも成長できる方が望ましい。
従来のSi/CaF2/CdF2系以外の半導体材料を用いて、抵抗変化型メモリを実現しようとすると、次のような問題がある。サブバンド間遷移によって、量子井戸内に蓄積した電子を閉じ込めるには、図18に示すような、伝導帯底でのバンド不連続量(ΔEc615及びΔEc’616)や、電子蓄積のための第1量子準位(ER1618)を実現することが必要である。Si/CaF2/CdF2系RTDのように、Al層65、Au層64、CoSi層611等のAlやCoの金属バンドギャップと半導体バンドギャップを利用して、バンド不連続量を形成することは極めて特殊な組み合わせであり、GaNあるいはGaAsなどの代表的な半導体材料では困難である。
また一方で、非特許文献1のSi/CaF2/CdF2系RTDでは、CaF2やCdF2と格子定数がほぼ等しいSi基板上のみに成長可能であり、サファイア、SiC、ダイヤモンド、GaNなどの高耐電圧や高熱伝導性などの耐環境性に優れた基板上に成長することができないという問題がある。
特許文献3の従来RTD素子を用いた不揮発性メモリでは、RTD素子以外にもピラー構造を必須とするために、高密度化が困難であるという問題がある。
非特許文献4および5では、GaNおよびAlNなどの窒化物半導体では、結晶欠陥に起因したエネルギー準位(Deep level、あるいは、EDLとも呼ぶ。)が存在することが明らかにされている。そして、それらがデバイス動作を不安定にするという問題がある。
本発明は、これらの問題を解決しようとするものであり、低消費電力化、高集積化、超高速動作、高耐環境性に優れたRTD素子を提供すること、及び該RTD素子による不揮発性抵抗変化型メモリを提供することを目的とする。従来のSi/CaF2/CdF2系RTD素子とは異なる半導体材料を用いて、RTD素子を提供すること、及び該RTD素子による不揮発性抵抗変化型メモリを提供することを目的とする。また、窒化物半導体等のRTD素子を提供することを目的とし、また、設計性および生産性に優れたRTD素子及び抵抗変化型メモリを提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、以下の特徴を有する。
本発明の共鳴トンネルダイオード素子は、複数のバリア層と該バリア層間の井戸層とからなる量子井戸の井戸層に、分極または組成傾斜によるポテンシャル傾斜を備え、サブバンド間遷移によって前記量子井戸内に電子を蓄積することが可能な量子準位を前記量子井戸に有することを特徴とする。
本発明の共鳴トンネルダイオード素子は、複数のバリア層と該バリア層間の井戸層とからなる量子井戸の、該井戸層と該バリア層間に、該井戸層及び該バリア層のいずれともバンドギャップの異なる中間層を備え、サブバンド間遷移によって前記量子井戸内に電子を蓄積することが可能な量子準位を前記量子井戸に有することを特徴とする。井戸層とバリア層のいずれともバンドギャプの異なる中間層とは、例えば、井戸層とバリア層のいずれとも異なる組成を持つ中間層である。中間層は、バリア層よりも低いバンドギャップを有し、井戸層よりも高いバンドギャップを有する層であることが好ましい。中間層は、量子井戸内に蓄積した電子が、バリア層の結晶欠陥を介して放出されることを防ぐ層である。中間層は、複数あるバリア層と井戸層の間のうちのいずれか1つ以上に設ける。中間層を複数の互いにバンドギャップ構造の異なる積層構造で構成することも可能である。複数の積層構造で構成する場合は、バリア層に近い側から、第1の中間層、第2の中間層、・・第nの中間層と呼び、各層のバンドギャップは、第1の中間層、第2の中間層・・・第nの中間層の順で、バンドギャップが低くなるように構成することが好ましい。組成変化あるいはバンドギャップの変化に伴い、Deep levelも変化するため、バンドギャップの異なる中間層をバリア層の隣に形成することで結晶欠陥に起因するリーク電流を抑制することができる。また、この効果は、中間層を複数の互いにバンドギャップ構造の異なる積層構造で構成することで強化できる。中間層を第1及び第2の中間層で構成する場合、第1の中間層は、結晶欠陥に起因するリーク電流抑制、及び蓄積電子の閉じ込めのための層であり、第2の中間層は、主として蓄積された電子を井戸層に強く閉じ込めるための層である。中間層は、これらの複数の積層構造からなる中間層は、組成傾斜により実現することもできる。
前記サブバンド間遷移によって前記量子井戸内に電子を蓄積することが可能な量子準位は、トンネルに寄与する電子よりも低いエネルギーを持つ量子準位であることを特徴とする。前記量子井戸の両側に隣接して設けられるエミッタ及びコレクタの伝導帯の底に形成されたポテンシャル傾斜が、電子の閉じ込め構造として機能することが好ましい。また、本発明の共鳴トンネルダイオード素子は、代表的には、GaN、InGaN、AlGaN、及びAlNのいずれか1以上の層を含む窒化物半導体からなる。
本発明の共鳴トンネルダイオード素子を備える不揮発性メモリは、サブバンド遷移による電子蓄積及び電子放出により双安定状態を記憶することを特徴とする。
本発明では、半導体の持つピエゾ分極および自発分極、又は混晶材料での組成傾斜を用いて、RTD素子において量子井戸に三角形状等の緩やかなポテンシャル変化を形成することにより、エミッタ層の伝導帯底よりも低いエネルギーの量子準位を形成し、サブバンド間遷移による量子準位への蓄積を可能とする。
量子井戸の両隣のエミッタ及びコレクタの伝導帯底に、分極あるいは組成傾斜等によって発生するポテンシャル傾斜変化を形成することで、蓄積した電子の閉じ込め構造を形成することができる。その結果、金属や半導体などの複数の異種材料を組み合わせることなく、RTD抵抗変化型メモリを実現することができる。
また、前記量子井戸の井戸層とバリア層の間に、井戸層とバリア層とは異なるバンドギャップを持つ中間層を、混晶材料の組成変化などを用いて形成することにより、前記量子井戸内に蓄積した電子が、バリア層の結晶欠陥を介して放出されることを防ぐことが可能となるので、安定性に優れたRTD抵抗変化型メモリを実現することができる。
また、本発明では、半導体の自発分極やピエゾ分極、混晶材料の組成変化によりRTD素子の各層を形成することで、結晶構造あるいは格子定数が異なる半導体基板への成長が可能になるため、サファイア、SiC、ダイヤモンド、GaNなどの高熱伝導性に優れた基板上への成長も可能になる。これにより、不揮発性メモリの高温動作化や高密度化が可能となる。また、Si基板上へのMOVPEによって結晶成長することも可能であるため、従来Siベースのメモリ素子や電子回路とのハイブリット集積化による高機能化も可能になる。
本発明の実施の形態に係る窒化物半導体によるRTDを示す模式図である。 第1の実施の形態にかかるRTDを用いた抵抗変化型メモリの無バイアス時の模式図である。 第1の実施の形態にかかるRTDを用いた抵抗変化型メモリの順バイアス時の模式図である。 第1の実施の形態にかかるRTDを用いた抵抗変化型メモリの逆バイアス時の模式図である。 第1の実施の形態にかかるRTDの電流電圧特性における抵抗変化型メモリ効果を示す図である。 第1の実施の形態にかかるRTDの結晶構造を示す模式図である。 第2の実施の形態にかかるRTDの結晶構造を示す模式図である。 バリア層に結晶欠陥によるエネルギー準位EDLが存在する場合のRTDを用いた抵抗変化型メモリの順バイアス時の模式図である。 図8にかかるRTDの電流電圧特性における不安定性を示す図である。 図8にかかるRTDの電流電圧特性における安定性を示す図である。 第3の実施の形態にかかるRTDを用いた抵抗変化型メモリの順バイアス時の模式図である。 第4の実施の形態にかかるRTDを用いた抵抗変化型メモリの無バイアス時の模式図である。 第4の実施の形態にかかるRTDを用いた抵抗変化型メモリの順バイアス時の模式図である。 第4の実施の形態にかかるRTDにおいて第1及び第2の中間層をコレクタ側のみに挿入した抵抗変化型メモリの順バイアス時の模式図である。 第4の実施の形態にかかるRTDにおいて第1の中間層をエミッタ側に挿入しない抵抗変化型メモリの順バイアス時の模式図である。 第4の実施の形態にかかるRTDにおいて中間層に組成傾斜を用いた抵抗変化型メモリの順バイアス時の模式図である。 本発明の2端子金属電極を示す模式図である。 従来技術のRTD素子による抵抗変化型メモリを示す模式図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。
本発明は、新しい構造の共鳴トンネルダイオード素子を提供するものである。本発明者らは、上記課題を解決するために、ピエゾ分極や自発分極等あるいは混晶材料の組成変化を利用することにより、新規なエネルギー準位構造を備える共鳴トンネルダイオード素子を提供するものである。また、本願の共鳴トンネルダイオード素子の抵抗の双安定状態を利用した不揮発抵抗変化型メモリを提供するものである。
本発明では、半導体の分極効果あるいは混晶材料の組成変化を用いて、RTDの量子井戸の井戸層の底にほぼ三角形状に類似する緩やかなポテンシャルの傾斜変化を形成する。これにより、RTDのトンネル電流を形成している電子をサブバンド間遷移によって、量子準位に電子を蓄積することを可能にする。電子蓄積による低抵抗状態から高抵抗状態への変化を利用することで、超高速な抵抗変化型メモリを実現するものである。また、従来の金属や半導体の異種材料の組み合わせを用いることなく、また、MOVPEを用いたSi基板をはじめとする半導体基板上への結晶成長も可能となるため、大量生産および低コスト化、従来素子とのハイブリット集積化による高性能化を実現できるものである。
より具体的には、本発明では、代表的な構造として、窒化物半導体の持つピエゾ分極若しくは自発分極又は組成傾斜により、RTDに量子井戸の井戸層、さらに好ましくは、量子井戸両隣のエミッタとコレクタ伝導帯底に三角形状の緩やかなポテンシャルの傾斜変化を形成することにより、電子蓄積のための量子準位を設ける。本発明では、窒化物半導体等のRTDの量子井戸でのトンネル電流用の量子準位を通過する一部の電子をサブバンド間遷移させ、量子井戸への電子蓄積をすることで、低抵抗状態から高抵抗状態にさせ、抵抗変化型メモリを実現する。なお、量子井戸両隣のエミッタとコレクタ伝導帯底に三角形状の緩やかなポテンシャルの傾斜変化を形成しない場合でも、サブバンド間遷移のような弾性散乱によって、トンネル電子の波数が変化することで、トンネル電流としては寄与しなくなるので、電子蓄積のための量子準位を設けることが可能である。また、量子井戸両隣のエミッタコレクタでのポテンシャル傾斜は、蓄積した電子の閉じ込めを増強するのに有効である。
本発明のRTD素子の構造及び動作原理について、窒化物半導体を例にして、図1を参照して説明する。図1は、本発明のRTD素子の構造及び順バイアス時のエネルギーコンダクションバンド構造である。図1のRTD素子は、エミッタ層13、スペーサー層14、バリア層15、井戸層16、バリア層17、スペーサー層18、コレクタ層19の順に積層された積層構造を備える。バリア層15と井戸層16とバリア層17とからなる量子井戸構造は、例えば、u(undoped、以下アンドープを表す。)−AlNバリア層15、u−GaN井戸層16、u−AlNバリア層17で形成する。量子井戸の一方の外側のエミッタ電極側に、バリア層15に隣接し、スペーサー層14を介してエミッタ層13を設ける。例えば、スペーサー層14としてu−GaNスペーサー層、エミッタ層13としてn−GaNエミッタ層13を用いることができる。量子井戸の他方の外側のコレクタ電極側に、バリア層17に隣接し、スペーサー層18を介してコレクタ層19を設ける。例えば、スペーサー層18としてu−GaNスペーサー層、コレクタ層19としてn−GaNコレクタ層19を用いることができる。
本発明のRTD素子は、例えば、分極によって発生する量子井戸での三角形状の緩やかなポテンシャルの傾斜変化120を利用することで、トンネル電流116、即ち、トンネルに寄与する電子117よりも低いエネルギーを持つ量子準位(ER1115あるいはER2115’)を量子井戸内に形成する。この量子準位(ER1115あるいはER2115’)を、電子を蓄積させるための量子準位とする(図18の第1量子準位ER1618に対応)。また、本発明のRTD素子は、量子井戸構造両隣のエミッタ及びコレクタの伝導帯底に、分極によって発生する三角形状の緩やかなポテンシャルの傾斜変化(ΔEc112あるいはΔEc’113)を電子の閉じ込め構造として備える。そして、本発明のRTD素子は、電子の蓄積に用いる量子準位(ER1115あるいはER2115’)よりも高いエネルギー位置にある量子準位(ER3114あるいはER4114’)を、トンネル電流116を流すための量子準位として備える(図18の第2量子準位ER2617に対応)。これにより、量子準位(ER3114あるいはER4114’)を通過するトンネルに寄与する電子117の一部が、サブバンド間遷移118によって、量子準位(ER1115あるいはER2115’)へ遷移する。遷移した電子は、伝導帯の底での緩やかなポテンシャルの傾斜変化(ΔEc112あるいはΔEc’113)と2つのバリア層(15、17)によって、強い量子力学的反射を受けるために、量子準位(ER1115あるいはER2115’)に蓄積される。また、この量子準位(ER1115あるいはER2115’)は、エミッタ伝導帯の底(Ec12)よりも低いエネルギー位置にあるため(順バイアス時)、量子準位(ER1115あるいはER2115’)に蓄積された電子119は、トンネル電流として寄与しないので、バイアス電圧が印加されても量子井戸外部へ移動することはない。しかし、量子井戸内に蓄積した電子119は、逆バイアスの電圧を印加し、量子準位(ER1115あるいはER2115’)を介して、逆方向のトンネル電流を流すことで量子井戸外部へ放出できる。
図1中、エミッタ電極の伝導帯の電子フェルミ準位をEf11、エミッタ電極の伝導帯の底のエネルギー準位をEc12、コレクタ電極の伝導帯の電子フェルミ準位をEf’110、コレクタ電極の伝導帯の底のエネルギー準位をEc’111と表す。
図1に120として示した、分極によって形成される三角状ポテンシャルは、井戸層に位置している。エミッタ層がバリア層15と隣接する部分に形成される三角状ポテンシャル(エミッタ層の伝導帯の底での緩やかなポテンシャルの傾斜変化(図中、112ΔEcと表示))や、コレクタ層がバリア層17と隣接する部分に形成される伝導帯の底での緩やかなポテンシャルの傾斜変化(コレクタ層の伝導帯の底でのバンド不連続、113ΔEc’と表示)も、分極によって形成される三角状ポテンシャルである。
本願発明では、上述のように、窒化物半導体等におけるピエゾ分極や自発分極あるいは組成傾斜等を積極的に利用することにより、複数の異種材料を用いることなく、Si/CaF2/CdF2系RTDと同性能なRTD型抵抗変化メモリを作製する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について、図1乃至6を参照して以下説明する。図2乃至4は、本発明の実施の形態に係る窒化物半導体によるRTDを用いた抵抗変化型メモリの動作原理を示す模式図である。図2は無バイアス時、図3は順バイアス時での電子蓄積、図4は逆バイアスでの電子放出時のエネルギーバンド構造を示している。図2乃至4は、図1と同様のRTD素子であり、説明を簡素化するために、図2乃至4では、図1とは異なり、電子蓄積のための量子準位、およびトンネル電子のための量子準位を、最小の数にして示している。
図2乃至4のRTD素子は、図1と同様、エミッタ層(23a、b、c)、スペーサー層(24a、b、c)、バリア層(25a、b、c)、井戸層(26a、b、c)、バリア層(27a、b、c)、スペーサー層(28a、b、c)、コレクタ層(29a、b、c)の順に積層された積層構造を備える。図2乃至4のRTD素子は、分極等によって発生する量子井戸での三角形状の緩やかなポテンシャルの傾斜変化(220a、b、c)を利用することで、トンネル電流216b、即ち、トンネルに寄与する電子217bよりも低いエネルギーを持つ量子準位ER1215を量子井戸内に形成する。この量子準位ER1215を電子を蓄積させるための量子準位とする。また、図2乃至4のRTD素子は、量子井戸構造両隣のエミッタ及びコレクタの伝導帯底に、分極等によって発生する三角形状の緩やかなポテンシャルの傾斜変化((ΔEc212a、b、c)あるいは(ΔEc’213a、b、c))を電子の閉じ込め構造として備える。そして、電子の蓄積に用いる量子準位(ER1215a、b、c)よりも高いエネルギー位置にある量子準位(ER2214a、b、c)を、トンネル電流216bを流すための量子準位として備える。これにより、量子準位ER2214を通過するトンネルに寄与する電子217bの一部が、サブバンド間遷移218bによって、量子準位ER1215へ遷移する。
図5は、窒化物半導体のRTDによる抵抗変化型メモリ効果を示す電流電圧特性である。量子井戸内に電子蓄積がない低抵抗状態31での順方向特性、量子井戸内に電子蓄積時の高抵抗状態32での順方向特性、及び蓄積した電子が放出している逆方向特性33をそれぞれ示している。
低抵抗状態31、高抵抗状態32、逆方向特性33について説明する。図3に示すように、順バイアスを印加すると、量子準位ER2214bがフェルミ準位Ef21bよりも低くなるため、トンネル電流216bが流れる。即ち、低抵抗状態(メモリONの状態)となる。さらに電圧を印加し、サブバンド間遷移によって量子準位ER1215bに蓄積される電子219bが増加していくと、RTD内の電界分布、即ち、バンド構造が大きく変化する。このバンド構造の変化によって、量子準位ER2214bがフェルミ準位Ef21bよりも高くなるため、トンネル電流が流れなくなる。即ち、高抵抗状態32(メモリOFF状態)になる。次に、図4に示すように、逆バイアスを印加することで、量子準位ER1215cは、フェルミ準位Ef’210cと伝導帯の底Ec’211cとの間に位置させることができるので、逆方向のトンネル電流216cが流れる。この逆方向のトンネル電流216cによって、蓄積した電子219cが、エミッタ層23cに放出される。即ち、電子放出33(メモリリセット)が可能となる。上述の原理で、RTDでのサブバンド間遷移によって、抵抗変化型メモリが実現できる。
図6は、本実施の形態のRTDの積層構造の模式図である。本実施の形態のRTDは、基本的に窒化物半導体のヘテロ接合を用いたRTDである。窒化物半導体によるRTDには、バンドギャップの大きいAlNバリア層(46a、48a)と、バンドギャップの小さいu−GaN井戸層47aと、u−GaNスペーサー層(45a、49a)とが、結晶成長によってヘテロ接合されている。具体的には、u−AlNバリア層(46a、48a)が2nm、u−GaN井戸層47aが2.5nm、u−GaNスペーサー層(45a、49a)が3nmとなるような膜厚を結晶成長した。その結果、分極効果によって、図2乃至4に示すような、量子井戸、及び量子井戸両隣のエミッタとコレクタ伝導帯底に、三角形状の緩やかなポテンシャル傾斜変化を形成することができる。量子準位(ER1、ER2)及びポテンシャル傾斜変化(ΔEc、ΔEc’)の値は、AlNバリア層(46a、48a)、GaN井戸層47a、GaNスペーサー層(45a、49a)の厚さ、及びAlN層とGaN層の各々で発生する自発分極とAlN層とGaN層の界面で発生するピエゾ分極等の複数パラメータによって決定される。上述のような膜厚を用いた場合には、ER1=0.3eV、ER2=0.7eV、ΔEc=0.6eV、ΔEc’=0.6eV程度を実現できる。
本実施の形態に係る窒化物半導体によるRTDを用いた抵抗変化型メモリの動作を、図2乃至5を参照して詳しく説明する。本実施の形態の窒化物半導体によるRTDの電流電圧特性は、上述の膜厚のRTD構造とフェルミ準位Ef21a(=50meV)、Ef’210a(=50meV)を用いることにより、図5に示すような、ピーク電圧Vpeak34が1.5V程度、ピーク電流Ipeak35が0.5mA程度となるように、微分負性抵抗を持つ電流電圧特性を実現できる。
図3に示すように、窒化物半導体によるRTDに順バイアスを印加している場合に、ER2(=0.7eV)214bを通過している電子216bがサブバンド間遷移218bによって、ER1(=0.3eV)215bに遷移する。これにより、量子井戸内に電子が蓄積することで、低抵抗状態31から高抵抗状態32へ変化する。低抵抗状態31で得られていた電流の最大値Ipeak35と、高抵抗状態32で得られる電流の最小値Ivalley37(図5参照)によって、メモリON/OFF(=Ipeak/Ivalley)比が決められる。例えば、図6のような上述のRTD構造を用いることで、ON/OFF比10以上を実現できる。ON/OFF比は、メモリ動作としては、一般的に高いほうが望ましい。また、メモリ動作電圧の調整、及び低消費電力化のために、電流の最大値に対応する電圧値Vpeak34を調整できることが望ましい。例えば、RTD構造のu−GaN井戸層47a、u−AlNバリア層(46a、48a)の膜厚や、n−GaNエミッタ層44a、n−GaNコレクタ層410aへのSiドーピング量などのRTD構造を変化することによって、ER1215b、ER2214b、ΔEc212b、ΔEc’213b、Ef21b、Ef’210bが変化するため、Vpeak34も調整できる。
図4に示すように、窒化物半導体によるRTDに逆バイアスを印加することにより、量子井戸から蓄積電子219cが放出され、電子放出216c(トンネル電流(逆方向電流))が生じる。これにより、高抵抗状態32から低抵抗状態31に変化する(図5参照)ため、メモリがリセットされる。蓄積電子の放出電圧(Vrelease38)は、ER1215c、ER2214c、ΔEc212c、ΔEc’213c、Ef21c、Ef’210cに依存する。上述の図6のRTD構造の場合、約−1.5V付近となる。メモリのリセット電圧となるVrelease38も調整できることが望ましい。RTD構造変化によるER1、ER2、ΔEc、ΔEc’、Ef、Ef’の変化によって、Vrelease38も調整できる。
本実施の形態のRTDは、上述のRTDの基本構造(u−AlNバリア層(46a、48a)、u−GaN井戸層47a、u−GaNスペーサー層(45a、49a))を備え、その他の層からなる。図6のように、本実施の形態のRTDは、Si基板41a、u−GaNバッファ層42a(1μm)、n+−GaNコンタクト層43a(400nm、Si(3×1018cm-3)ドープ)、n−GaNエミッタ層44a(50nm、Si(1.5×1018cm-3)ドープ)、u−GaNスペーサー層45a(3nm)、u−AlNバリア層46a(2nm)、u−GaN井戸層47a(2.5nm)、u−AlNバリア層48a(2nm)、u−GaNスペーサー層49a(3nm)、n−GaNコレクタ層410a(50nm、Si(1.5×1018cm-3)ドープ)、n+−GaNコンタクト層411a(30nm、Si(3×1018cm-3)ドープ)の順に積層された積層構造を備える。
本実施の形態において、結晶成長に用いる基板は、GaNあるいはAlNが成長可能なSi基板やサファイア基板等である。Si基板41aと窒化物半導体結晶成長膜(43a〜411a)の格子定数、結晶構造の違いを緩和するために、Si基板上に、アンドープで、1μm以上の膜厚を持つu−GaNバッファ層42aを400℃程度の低温にて成長する。前記電子蓄積のための量子準位(図1のER1115及びER2115’、図3のER1215b)及びトンネル電流用の量子準位(図1のER3114及びER4114’、図3のER2214b)を形成する量子井戸の井戸層(図1の16、図2乃至図4の26a、b、c)は、アンドープのu−GaN層である。量子井戸の井戸層の両隣にあるu−AlNバリア層(46a、48a)は、アンドープのAlNである。u−AlNバリア層の両隣にあるu−GaNスペーサー層(45a、49a)は、n−GaNエミッタ層44aおよびn−GaNコレクタ層410aへの1.5×1018cm-3以上の高濃度のSiドーピングの際に、u−AlNバリア層(46a、48a)へのSi原子の拡散を抑制するために形成してあり、アンドープのu−GaN層である。結晶成長基板に金属オーミック電極を形成するために、エミッタおよびコレクタの両側には、さらに高濃度の3×1018cm-3以上をSiドーピングしたコンタクト層43a、411aが形成されている。
トンネル電流用の量子準位(図1のER3114又はER4114’、図3のER2214b)を介したトンネル電流(図1の116、図3の216b)によって、電流電圧特性に微分負性抵抗を実現し、トンネル電流を構成する一部が、電子蓄積のための量子準位(図1のER1115あるいはER2115’、図3のER1215b)へサブバンド間遷移することで、量子井戸内に電子を蓄積する。この電子蓄積によって、RTD素子が低抵抗状態から高抵抗状態へ変化し、また、蓄積した電子を放出することにより高抵抗状態から低抵抗状態に変化する抵抗変化(双安定性)が可能となった。RTD素子を、本実施の形態の窒化物半導体の結晶成長層により作製することにより、該抵抗変化(双安定性)を実現でき、抵抗変化型の不揮発性メモリを作製できた。
本実施の形態における半導体結晶成長層は、MOVPE法(有機金属気層成長法)による結晶成長が可能である。また、MBE法(分子線エピタキシー法)、HVPE(ハイドライド気相成長)などによって、Si基板等の上に連続成長によって形成することができる。
Si基板以外にもサファイア基板、SiC基板、ダイヤモンド基板、GaNやAlN単結晶などの窒化物半導体が成長可能な基板を用いることができる。
RTD素子を形成する材料の種類には、特に制限はないが、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、InNが代表的である。NをAsやSbで一部置換した、GaNAs、GaNSb、AlNAs、AlNSb、AlGaNAs、AlGaNSb、InGaNAs、InGaNSb、InNAs、InNSbなどでも同様な効果を得ることができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について、図7を参照して以下説明する。図7は、本実施の形態のRTDの積層構造の模式図である。
第1の実地の形態のRTDでは、メモリ動作電圧Vpeak34及び放出電圧Vrelease38を変化するには、図3のER1215b、ER2214b、ΔEc212b、ΔEc’213b、Ef21b、Ef’210b(図4では、ER1215c、ER2214c、ΔEc212c、ΔEc’213c、Ef21c、Ef’210c)を変化することが有効であることを述べ、それらは、u−GaN井戸層47a、u−AlNバリア層46a、48aの膜厚や、n−GaNエミッタ層44a、n−GaNコレクタ層410aへのSiドーピング量などのRTD構造の変化に対応することを述べた。本実施の形態では、GaN基板またはAlN基板の無極性・半極性面上に成長することで、RTDに分極を抑制し、混晶材料の組成を変化させることにより、図2乃至4に示すエネルギー構造を実現したものである。
本実施の形態のRTDは、バンドギャップの大きいu−Al1-yGayNバリア層(46b、48b)と、バンドギャップの小さいu−InxGa1-xN井戸層47bと、u−Ga1-zAlzNスペーサー層(45b、49b)とが、結晶成長によって接合されている。具体的には、u−Al1-yGayNバリア層(46b、48b)が2nm、u−InxGa1-xN井戸層47bが2.5nm、u−Ga1-zAlzNスペーサー層(45b、49b)が3nmとなるような膜厚を結晶成長した。その結果、図2乃至4に示すような、量子井戸、及び量子井戸両隣のエミッタとコレクタ伝導帯底に、三角形状のポテンシャルを形成することができる。
本実施の形態のRTDは、上述のRTDの基本構造(u−Al1-yGayNバリア層(46b、48b)と、u−InxGa1-xN井戸層47bと、u−Ga1-zAlzNスペーサー層(45b、49b))を備え、その他の層からなる。図7のように、本実施の形態のRTDは、無極性あるいは半極性面を持つGaN基板41b、u−GaNバッファ層42b(1μm)、n+−Ga1-zAlzNコンタクト層43b(400nm、Si(3×1018cm-3)ドープ)、n−Ga1-zAlzNエミッタ層44b(50nm、Si(1.5×1018cm-3)ドープ)、u−Ga1-zAlzNスペーサー層45b(3nm)、u−Al1-yGayNバリア層46b(2nm)、u−InxGa1-xN井戸層47b(2.5nm)、u−Al1-yGayNバリア層48b(2nm)、u−Ga1-zAlzNスペーサー層49b(3nm)、n−Ga1-zAlzNコレクタ層410b(50nm、Si(1.5×1018cm-3)ドープ)、n+−Ga1-zAlzNコンタクト層411b(30nm、Si(3×1018cm-3)ドープ)の順に積層された積層構造を備える。
図7の43bから411bのように、GaNやAlN層へInやAlを添加し、InxGa1-xN、Al1-yGayN、Ga1-zAlzNのように組成を変化することにより、図3のER1215b、ER2214b、ΔEc212b、ΔEc’213b、Ef21b、Ef’210b、図4のER1215c、ER2214c、ΔEc212c、ΔEc’213c、Ef21c、Ef’210cを変化することができる。さらに、GaNへInやAlを添加した場合、伝導帯底EとEc’(22b、211b)を独立に変化させることもできるため、メモリ動作電圧Vpeak34や放出電圧Vrelease38の制御範囲を広げることが可能となる。
図7の組成傾斜については、例えば次のように組成傾斜させるとよい。
(1)n+−Ga1-zAlzNコンタクト層43bとして、基板側から、Alの組成がz=0.1から0.5の範囲である層を形成し、
(2)n−Ga1-zAlzNエミッタ層44bとして、コンタクト層43b側から、Alの組成がz=0.1から0.5範囲である層を形成し、
(3)u−Ga1-zAlzNスペーサー層45bとして、エミッタ層44b側から、Alの組成をz=0.5(あるいは0.1)から0へ変化させる層を形成し、
(4)u−Al1-yGayNバリア層46bとして、スペーサー層45b側から、Gaの組成をy=0.2から0へ変化させる層を形成し、
(5)u−InxGa1-xN井戸層47bとして、バリア層46b側から、Inの組成をx=0.3から0.6へ変化させる層を形成し、
(6)u−Al1-yGayNバリア層48bとして、井戸層47b側から、Gaの組成をz=0.2から0へ変化させる層を形成し、
(7)u−Ga1-zAlzNスペーサー層49bとして、バリア層48b側から、Alの組成をz=0.6から0.5(あるいは0.1)へ変化させる層を形成し、
(8)n−Ga1-zAlzNコレクタ層410bとして、スペーサー層49b側から、Alの組成をz=0.1から0.5である層を形成し、
(9)n+−Ga1-zAlzNコンタクト層411bとして、コレクタ層410b側から、Alの組成をz=0.1から0.5の範囲である層を形成する。
本実施の形態における半導体結晶成長層は、MOVPE法(有機金属気層成長法)による結晶成長が可能である。また、MBE法(分子線エピタキシー法)、HVPE(ハイドライド気相成長)などによって、基板の上に連続成長によって形成することができる。
GaN基板またはAlN基板以外にも、サファイア基板、SiC基板、ダイヤモンド基板、GaNやAlN単結晶などの窒化物半導体が成長可能な基板を用いることができる。
RTD素子を形成する材料の種類には、特に制限はないが、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、InNが代表的である。また、NをAsやSbで一部置換した、GaNAs、GaNSb、AlNAs、AlNSb、AlGaNAs、AlGaNSb、InGaNAs、InGaNSb、InNAs、InNSbなどがある。上記の窒化物半導体およびそれらの混晶材料の他に、Si、GeなどのIV系半導体、GaAs、InGaAs、AlGaAs、AlAsなどのIII−V族半導体、ZnOやCdTe、ZnSeなどのII−VI族半導体などによる混晶材料がある。この場合、前記基板以外に、GaAs、InP、Ge基板などへも成長することができる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について、図8乃至図11を参照して以下説明する。図8乃至10は、本実施の形態で解決しようとする課題について説明するための図である。図8は、バリア層に結晶欠陥が存在する場合のRTDのエネルギーバンド構造であり、図9、10は、その電流電圧特性を示している。また、図11は、本実施の形態のRTDのエネルギーバンド構造である。
図8のRTD素子は、図2乃至図4と同様、エミッタ層73b、スペーサー層74b、バリア層75b、井戸層76b、バリア層77b、スペーサー層78b、コレクタ層79bの順に積層された積層構造を備える。また、バリア層(75b、77b)には結晶欠陥に起因するエネルギー準位EDL(721b、722b)が存在している。結晶欠陥の影響以外のRTDの基本的動作原理は、図2乃至図4と同等であるため、図2乃至図4も参照して説明する。図8に、図2乃至4のRTD素子と同様、フェルミ準位(Ef71b、Ef’710b)と伝導帯の底(Ec72b、Ec’711b)、分極等によって発生する三角形状の緩やかなポテンシャルの傾斜変化(ΔEc712b、ΔEc’713b)、電子の蓄積に用いる量子準位ER1715bよりも高いエネルギー位置にある量子準位ER2714b、トンネル電流716b、トンネルに寄与する電子717b、サブバンド間遷移718b、蓄積された電子719b、分極等によって発生する量子井戸での三角形状の緩やかなポテンシャルの傾斜変化720bを図示した。
図8のRTD素子は、順バイアスの電圧を印加しているため、図3の場合と同様に、量子準位ER2714bを通過するトンネルに寄与する電子717bの一部が、サブバンド間遷移718bによって、量子準位ER1715bへ遷移する。しかし、結晶欠陥に起因するエネルギー準位EDL721bと量子準位ER1715bのエネルギー差(EDL−ER1)が、熱によって発生する電子のエネルギー増加分(熱励起エネルギー)よりも小さい場合、量子準位ER1715bに蓄積した電子719bは、結晶欠陥に起因するエネルギー準位EDL721bを介して、量子井戸の外部へ放出される。したがって、高温の方が、蓄積電子の放出が起こりやすくなる。この様子を、EDLを介して放出される電子(リーク電流)(723b)として図8中に太い矢印で示している。このような放出によって、RTD素子の抵抗は、高抵抗から低抵抗に変化する。図9は、その場合の電流電圧特性を示している。このような、EDLを介して放出される電子723bを伴う電流電圧特性の変化は、メモリ不安定動作の要因になり、長期安定動作の障害となる。EDL721bを電子が通過する際に、電子がバリア層77bに不規則に捕獲されるためである。
結晶欠陥に起因するエネルギー準位EDL721bと量子準位ER1715bのエネルギー差(EDL−ER1)は、順バイアスの電圧増加に伴い減少していく。そのため、順バイアスの印加電圧を下げることができるRTD素子の構造を設計することで、メモリ不安定動作を防止することは可能である。図10では、順バイアスの最大電圧を2.5Vと低くすることで、EDLを介して放出される電子(723b)を抑制している。一方、逆バイアスを1.6V程度印加することで、トンネル電流を用いた電子放出(84a)によって、メモリReset動作(高抵抗状態83aから低抵抗状態85aへの変化)が実現される。このようなトンネル電流を用いた電子放出(84a)は、電子がバリア層77bに不規則に捕獲される要因とはならないので、メモリ不安定動作の要因とはならない。このように、印加電圧を下げるようなデバイス設計を行うことで、メモリ不安定動作を抑制することは可能であるが、限界がある。また。デバイス連続動作などにより、環境温度が上昇し、蓄積電子の熱励起エネルギーが増大することで、メモリ不安定動作を引き起こすことも懸念される。
図11の本実施の形態のRTD素子では、上述のような、結晶欠陥に起因するエネルギー準位EDLを介して放出される電子(723b)を抑制するために、井戸層96b、バリア層(95b、97b)の間に、中間層(924b、925b)を設けた。図中、結晶欠陥に起因するエネルギー準位EDLを921b、922bで示した。例えば、バリア層(95b、97b)に用いるAlN層よりも低いバンドギャップを持つAlxGa1-xN層の挿入が有効である。バンドギャップの低下に伴い、結晶欠陥に起因するエネルギー準位が低下することが知られている(非特許文献5参照)。そのため、AlxGa1-xN層などの中間層では、ER1(915b)に近いエネルギーを持つEDLは存在しにくい。そのため、中間層(924b、925b)の挿入によって、EDL(921b)を介した蓄積電子(919b)の放出は生じにくくなる。この様子を、図中に、中間層によって阻止されるリーク電流(923b)として示している。上述のような原理によって、井戸層96b、バリア層(95b、97b)の間に、中間層(924b、925b)を挿入することで、メモリの長期安定動作が可能になる。
なお、図11におけるその他の構成は、図8と同様であり、フェルミ準位(Ef91b、Ef’910b)と伝導帯の底(Ec92b、Ec’911b)、分極等によって発生する三角形状の緩やかなポテンシャルの傾斜変化(ΔEc912b、ΔEc’913b)、電子の蓄積に用いる量子準位ER1915bよりも高いエネルギー位置にある量子準位ER2914b、トンネル電流916b(順方向電流)、トンネルに寄与する電子917b、サブバンド間遷移918b、蓄積された電子919b、分極等によって発生する量子井戸での三角形状の緩やかなポテンシャルの傾斜変化920bで示される。
本実施の形態の結晶成長構造も図6と類似の積層構造で作製することができる。結晶成長に用いる基板は、GaNあるいはAlNあるいはAlGaNが成長可能なSi基板やサファイア基板等である。基板と窒化物半導体結晶成長膜の格子定数、結晶構造の違いを緩和するために、基板上に、アンドープで、1μm以上の膜厚を持つu−GaNバッファ層を400℃程度の低温にて成長する。前記電子蓄積のための量子準位(図11のER1915b)及びトンネル電流用の量子準位(図11のER2914b)を形成する量子井戸の井戸層(図11の96b)は、アンドープのu−GaN層である。量子井戸の井戸層の両隣にあるバリア層(95b、97b)は、アンドープのAlN層である。バリア層の両隣にあるスペーサー層(94b、98b)は、n−GaNエミッタ層93bおよびn−GaNコレクタ層99bへの1.5×1018cm-3以上の高濃度のSiドーピングの際に、u−AlNバリア層(95b、97b)へのSi原子の拡散を抑制するために形成してあり、アンドープのu−GaN層である。結晶成長基板に金属オーミック電極を形成するために、エミッタおよびコレクタの両側には、さらに高濃度の3×1018cm-3以上をSiドーピングしたコンタクト層が形成されている。
また、結晶欠陥に起因するリーク電流を抑制するために、井戸層96bとバリア層(95b、97b)との間に挿入する中間層(924b、925b)は、GaNとAlNとの混晶であるAlxGa1-xN層であり、例えば、組成xとして0.8〜0.2程度の範囲で形成し、厚みは0.5〜2nmで形成している。
本実施の形態の積層構造は、例えば、次の構造を有する。積層順に述べると、Si基板又はサファイア基板又はGaN基板、u−GaNバッファ層、n+−Ga1-zAlzNコンタクト層、n−Ga1-zAlzNエミッタ層、u−Ga1-zAlzNスペーサー層、u−Al1-yGayNバリア層、u−Al1-yGayN中間層、u−InxGa1-xN井戸層、u−Al1-yGayN中間層、u−Al1-yGayNバリア層、u−Ga1-zAlzNスペーサー層、n−Ga1-zAlzNコレクタ層、n+−Ga1-zAlzNコンタクト層からなる。なお、ここで各組成の割合は適宜選択でき、x、y、zで代表的に記載した。
本実施の形態における半導体結晶成長層は、第1のおよび第2の実施例と同様に、MOVPE法(有機金属気層成長法)による結晶成長が可能である。また、MBE法(分子線エピタキシー法)、HVPE(ハイドライド気相成長)などによって、基板の上に連続成長によって形成することができる。
また第1のおよび第2の実施例と同様に、Si基板、サファイア基板、GaN基板またはAlN基板以外にも、SiC基板、ダイヤモンド基板、GaNやAlN単結晶などの窒化物半導体が成長可能な基板を用いることができる。
RTD素子を形成する材料の種類には、特に制限はないが、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、InNが代表的である。また、NをAsやSbで一部置換した、GaNAs、GaNSb、AlNAs、AlNSb、AlGaNAs、AlGaNSb、InGaNAs、InGaNSb、InNAs、InNSbなどがある。上記の窒化物半導体およびそれらの混晶材料の他に、Si、GeなどのIV系半導体、GaAs、InGaAs、AlGaAs、AlAsなどのIII−V族半導体、ZnOやCdTe、ZnSeなどのII−VI族半導体などによる混晶材料がある。この場合、前記基板以外に、GaAs、InP、Ge基板などへも成長することができる。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施形態について、図12乃至図16を参照して説明する。図12乃至図16は、本実施の形態にかかるRTD素子のエネルギーバンド構造である。
本実施の形態である図12のRTD素子は、エミッタ層123a、スペーサー層124a、バリア層125a、第1の中間層1213a、第2の中間層1215a、井戸層126a、第2の中間層1216a、第1の中間層1214a、バリア層127a、スペーサー層128a、コレクタ層129aの順に積層された積層構造を備える。図12は、無バイアス時のエネルギーバンド構造を示している。
第1の実施の形態で示した図2および図4のRTD素子は、分極等によって発生するスペーサー層による三角状のポテンシャル傾斜(212aおよび213a、212bおよび213b、212cおよび213c)を用いることで、蓄積した電子の閉じ込めを強化させている。Si基板上などへ窒化物半導体のヘテロエピタキシャル成長を行った場合は、分極は大きくなるため閉じ込めは強い。しかし、GaN単結晶基板の無極性面に窒化物半導体を成長した場合、分極は小さくなるため蓄積電子の閉じ込めが弱くなる。この対策として、混晶材料のよる組成傾斜を用いて、スペーサー層による三角状のポテンシャル傾斜を形成することを第2の実施形態として示した。また、第3の実施の形態では、また、結晶欠陥に起因するリーク電流を抑制のために、井戸層とバリア層との間に中間層を挿入することを述べた。
本実施の形態では、量子井戸の井戸層及びバリア層の間に、第1の中間層及び第2の中間層の2種類の中間層を導入することにより、RTDおよび不揮発性メモリの設計の自由度を向上させる。分極および組成傾斜による量子井戸および量子井戸両隣の三角状のポテンシャル傾斜が小さい場合でも、閉じ込めを増強することができ、結晶欠陥に起因するリーク電流を抑制でき、さらにトンネル電流の増加を可能にする。
本実施の形態である図12のRTD素子は、二つの中間層、すなわち、第1の中間層(1213a、1214a)、および第2の中間層(1215a、1216a)を用いた場合のエネルギーバンド構造を示している。また、図中、バリア層には結晶欠陥に起因するエネルギー準位EDL(1222a、1223a)が存在していることを、模式的に示している。不揮発性メモリを実現するRTD素子では、量子準位ER21217aを用いてトンネル電流を流し、量子準位ER11218aを用いて電子を蓄積させる。不揮発性メモリの集積度を向上するためには、RTD素子を微細化することが有効であり、このためにはトンネル電流を増加する必要がある。トンネル電流を増加させる場合には、中間層をできるだけ薄くし、量子準位ER21217aでのトンネル確率を増大させることが有効である。一方で、電子の蓄積を増強させるには、中間層をできるだけ厚くし、量子準位ER11218aでのトンネル確率を減少させることが有効である。図11に示したような、一種類の中間層(924b、925b)のみを用いたRTD素子では、量子準位ER1およびER2でのトンネル確率を独立に制御することが困難である。図12のように、第1の中間層(1213a、1214a)、および第2の中間層(1215a、1216a)の2種類を用いた場合、量子準位ER2でのトンネル確率、量子準位ER1でのトンネル確率を独立に制御することが可能になる。
図12のRTD素子において、量子準位ER21217aにおける電子のトンネル確率を増大させる方法としては、第1の中間層(1213a、1214a)を薄くする以外にも、バリア層(125a、127a)自体を薄くする方法もあるが、第1の中間層(1213a、1214a)とバリア層(125a、127a)の両方を利用することで、トンネル電流を制御しやすくなる。
また、バンドギャップあるいはEDLの異なる第1の中間層および第2の中間層を積層することで、EDLを介した量子井戸からの電子放出を抑制しやすくなるという利点もある。しかし、EDLを介した量子井戸からの電子放出を抑制することができるのなら、トンネル電流を増加させるために、第1の中間層(1213a、1214a)をなくしたRTD構造を用いても良い。このようなRTD構造は、第3の実施形態の、Al組成が比較的低いu−Al1-yGayN中間層を用いたRTD構造に相当する。
なお、図12におけるその他の構成は、図のように、フェルミ準位(Ef121a、Ef’1210a)と伝導帯の底(Ec122a、Ec’1212a)、トンネルに寄与する電子1219a、サブバンド間遷移1220a、蓄積された電子1221aで示される。
図13は、本実施の形態のRTD素子に順バイアスを印加した場合のエネルギーバンド構造を示している。RTD素子では、量子準位ER21316bを用いてトンネル電流を流し、量子準位ER11317bを用いて電子を蓄積させる。量子準位ER21316bを通過する電子のトンネル確率は比較的高く、大きなトンネル電流(順方向電流)(1318b)を流すことができる。また、第2の中間層(1314bおよび1315b)は、蓄積電子の強い閉じ込めを実現するが、量子準位ER21316bを通過する電子のトンネル確率にはほとんど影響しない。図中、結晶欠陥に起因するエネルギー準位EDLを、1322b、1323bで示した。中間層の挿入によって、EDLを介した蓄積電子の放出は生じにくくなる。この様子を、図中に、第1の中間層によって阻止されるリーク電流1324bとして示している。
図13におけるその他の構成は、図12と同様であり、エミッタ層133b、スペーサー層134b、バリア層135b、第1の中間層1312b、第2の中間層1314b、井戸層136b、第2の中間層1315b、第1の中間層1313b、バリア層137b、スペーサー層138b、コレクタ層139bの順に積層されている。また、図13において、フェルミ準位(Ef131b、Ef’1310b)と伝導帯の底(Ec132b、Ec’1311b)、トンネルに寄与する電子1319b、サブバンド間遷移1320b、蓄積された電子1321b(第2の中間層による強い閉じ込め)、で示される。
また、図14乃至16に本実施の形態の変形例を示す。
図14に示すように、図13の量子準位ER21316bに対応する量子順位ER21414bにおける電子のトンネル確率を増大させるために、コレクタ側のみに、第1および第2中間層を用いるような非対称な量子井戸構造を用いてもよい。量子準位ER11415bに蓄積された電子1419bは、第2の中間層1413bによる閉じ込めの増強により、蓄積電子の放出は生じにくくなる。また、第1及び第2の中間層の挿入によって、結晶欠陥に起因するエネルギー準位EDL(1420b、1421b)を介した蓄積電子の放出は生じにくくなる。この様子を、図中に、第1の中間層によって阻止されるリーク電流1422bとして示している。その結果、図10の82aのような、高抵抗状態(サブバンド間遷移による電子蓄積)を維持することができる。
なお、図14のRTD素子は、エミッタ層143b、スペーサー層144b、バリア層145b、井戸層146b、第2の中間層1413b、第1の中間層1412b、バリア層147b、スペーサー層148b、コレクタ層149bの順に積層されている。また、図14のRTD素子のその他のエネルギー構造は、図13と同様であり、フェルミ準位(Ef141b、Ef’1410b)と伝導帯の底(Ec142b、Ec’1411b)、トンネル電流に寄与する電子1417b、サブバンド間遷移1418bで、示される。
また、図15に示すように、エミッタ側には第2の中間層1514bのみを形成し、コレクタ側には第1の中間層1512bおよび第2の中間層1513bを形成するような非対称な量子井戸構造を用いても良い。量子準位ER11516bに蓄積された電子1520bは、第2の中間層(1513b、1514b)による閉じ込め増強により、蓄積電子の放出は生じにくくなる。また、第1及び第2の中間層の挿入によって、結晶欠陥に起因するエネルギー準位EDL(1521b、1522b)を介した蓄積電子の放出は生じにくくなる。この様子を、図中に、第1の中間層によって阻止されるリーク電流1523bとして示している。その結果、高抵抗状態(サブバンド間遷移による電子蓄積)を維持することができる。
なお、図15のRTD素子は、エミッタ層153b、スペーサー層154b、バリア層155b、第2の中間層1514b、井戸層156b、第2の中間層1513b、第1の中間層1512b、バリア層157b、スペーサー層158b、コレクタ層159bの順に積層されている。また、図15のRTD素子のその他のエネルギー構造は、図13と同様であり、フェルミ準位(Ef151b、Ef’1510b)と伝導帯の底(Ec152b、Ec’1511b)、トンネル電流に寄与する電子1518b、サブバンド間遷移1519bで、示される。
また、図16に示すように、混晶材料の組成傾斜を用いることにより、図13乃至図15のRTD素子と同等なエネルギー構造を実現することができる。混晶材料の組成傾斜を用いることにより、図13乃至図15のRTD素子と同様に、量子準位ER21615bでのトンネル確率と、量子準位ER11616bでのトンネル確率を、独立に制御することが可能になる。特に、図13乃至図15のRTD素子において、第1の中間層および第2の中間層を非常に薄く形成する必要があり、それらが困難な場合には、混晶材料の組成傾斜を用いることが有効になる。
量子準位ER11616bに蓄積された電子1620bは、組成傾斜を有する中間層(1613b、1614b)による強い閉じ込めにより、蓄積電子の放出は生じにくくなる。また、組成傾斜を有する中間層の挿入によって、結晶欠陥に起因するエネルギー準位EDL(1621b、1622b)を介した蓄積電子の放出は生じにくくなる。この様子を、図中に、組成傾斜を用いた中間層によって阻止されるリーク電流1623bとして示している。その結果、高抵抗状態(サブバンド間遷移による電子蓄積)を維持することができる。
また、図16では、トンネル電流1617bが、中間層1613bを通過するように図示しているが、EDLを介した量子井戸からの電子放出を抑制することができるのなら、トンネル電流を増加させるために、Al組成が低いu−AlGaNの組成傾斜を用いることで、トンネル電流1617bが、中間層1613bを通過しないようなRTD構造を用いてもよい。
なお、図16のRTD素子は、エミッタ層163b、スペーサー層164b、バリア層165b、組成傾斜を用いた中間層1614b、井戸層166b、組成傾斜を用いた中間層1613b、バリア層167b、スペーサー層168b、コレクタ層169bの順に積層されている。また、図16のRTD素子のその他のエネルギー構造は、図13と同様であり、フェルミ準位(Ef161b、Ef’1610b)と伝導帯の底(Ec162b、Ec’1611b)、トンネル電流に寄与する電子1618b、サブバンド間遷移1619bで、示される。
本実施の形態のRTDは、窒化物半導体での組成変化を用いることにより、MOVPE法などを用いた連続的な結晶成長にて実現できる。
本実施の形態の結晶成長構造も図6と類似の積層構造により作製できる。結晶成長に用いる基板は、窒化物半導体を成長可能なSi基板やサファイア基板あるいはGaN基板等である。基板と窒化物半導体結晶成長膜の格子定数、結晶構造の違いなどを緩和するために、基板上に、アンドープで、1μm以上の膜厚を持つu−GaNバッファ層を400℃程度の低温にて成長する。
電子蓄積のための量子準位(図12ではER11218aに対応)及びトンネル電流用の量子準位(図12ではER21217aに対応)を形成する量子井戸の井戸層は、アンドープのu−GaN層である。量子井戸の井戸層の両隣にあるバリア層(図12では125a及び127aに対応)は、アンドープのu−AlN層である。u−AlNバリア層の両隣にあるスペーサー層(図12では124aと128aに対応)は、n−GaNエミッタ層(図12では123aに対応)およびn−GaNコレクタ層(図12では129aに対応)への1.5×1018cm-3以上の高濃度のSiドーピングの際に、u−AlNバリア層(図12の125a及び127aに対応)へのSi原子の拡散を抑制するために形成してあり、アンドープのu−GaN層である。
結晶成長基板に金属オーミック電極を形成するために、エミッタおよびコレクタの両側には、さらに高濃度の3×1018cm-3以上をSiドーピングしたコンタクト層が形成される。
また、結晶欠陥に起因するリーク電流抑制、及び蓄積電子の閉じ込めを目的に、第1の中間層としてAlxGa1-xN層が形成され、例えばx=0.9〜0.5の範囲であり、厚みは0.5〜2nm程度である。
また、蓄積電子の閉じ込め増強を目的に、第2の中間層としてAlyGa1-yN層が形成され、例えばy=0.5〜0.2の範囲であり、厚みは0.5〜2nm程度である。
図12及び13に示したような、本実施の形態の、第1及び第2の中間層を、一方のバリア層と井戸層との間、及び井戸層と他方のバリア層との間の、両方に設けた積層構造は、例えば、次の構造を有する。積層順に述べると、Si基板又はサファイア基板又はGaN基板などの基板、u−GaNバッファ層、n+−GaNコンタクト層、n−GaNエミッタ層、u−GaNスペーサー層、u−AlNバリア層、u−AlxGa1-xNによる第1の中間層、u−AlyGa1-yNによる第2の中間層、u−GaN井戸層、u−AlyGa1-yNによる第2の中間層、u−AlxGa1-xNによる第1の中間層、u−AlNバリア層、u−GaNスペーサー層、n−GaNコレクタ層、n+−GaNコンタクト層からなる。
図14に示したような、本実施の形態の、第1及び第2の中間層を、一方のバリア層と井戸層との間には設けずに、井戸層と他方のバリア層との間に設けた積層構造は、例えば、次の構造を有する。積層順に述べると、Si基板又はサファイア基板又はGaN基板などの基板、u−GaNバッファ層、n+−GaNコンタクト層、n−GaNエミッタ層、u−GaNスペーサー層、u−AlNバリア層、u−GaN井戸層、u−AlyGa1-yNによる第2の中間層、u−AlxGa1-xNによる第1の中間層、u−AlNバリア層、u−GaNスペーサー層、n−GaNコレクタ層、n+−GaNコンタクト層からなる。
図15に示したような、本実施の形態の、一方のバリア層と井戸層との間には、第2の中間層のみを設けて、第1及び第2の中間層を、井戸層と他方のバリア層との間に設けた積層構造は、例えば、次の構造を有する。積層順に述べると、Si基板又はサファイア基板又はGaN基板などの基板、u−GaNバッファ層、n+−GaNコンタクト層、n−GaNエミッタ層、u−GaNスペーサー層、u−AlNバリア層、u−AlyGa1-yNによる第2の中間層、u−GaN井戸層、u−AlyGa1-yNによる第2の中間層、u−AlxGa1-xNによる第1の中間層、u−AlNバリア層、u−GaNスペーサー層、n−GaNコレクタ層、n+−GaNコンタクト層からなる。
図16に示したような、本実施の形態の、バリア層と井戸層との間に、組成傾斜と利用した中間層を設ける場合は、例えば、次のような層を用いる。第1の中間層および第2の中間層と合わせた効果を持つAlzGa1-zN層の組成傾斜を用いた中間層は、厚みは1〜4nm程度である。例えば、エミッタ側の中間層は、バリア層から井戸層の方向へ、組成zが0.25から0に減少するような組成傾斜にし、コレクタ側の中間層は、バリア層から井戸層の方向へ、組成zが0.75から0に減少するような傾斜にすることで、図16に示したようなエネルギーバンド構造を実現できる。
図16に示したような、本実施の形態の場合は、例えば、次の構造を有する。積層順に述べると、Si基板又はサファイア基板又はGaN基板などの基板、u−GaNバッファ層、n+−GaNコンタクト層、n−GaNエミッタ層、u−GaNスペーサー層、u−AlNバリア層、u−AlzGa1-zNでの組成傾斜を用いた中間層、u−GaN井戸層、u−AlzGa1-zNでの組成傾斜を用いた中間層、u−AlNバリア層、u−GaNスペーサー層、n−GaNコレクタ層、n+−GaNコンタクト層からなる。
RTD素子を形成する材料の種類には、特に制限はないが、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、InNが代表的である。また、NをAsやSbで一部置換した、GaNAs、GaNSb、AlNAs、AlNSb、AlGaNAs、AlGaNSb、InGaNAs、InGaNSb、InNAs、InNSbなどがある。上記の窒化物半導体およびそれらの混晶材料の他に、Si、GeなどのIV系半導体、GaAs、InGaAs、AlGaAs、AlAsなどのIII−V族半導体、ZnOやCdTe、ZnSeなどのII−VI族半導体などによる混晶材料がある。この場合、前記基板以外に、GaAs、InP、Ge基板などへも成長することができる。
第1乃至第4の実施の形態のRTD素子の電極構造、及び、その作製について以下説明する。二端子素子であるRTDを動作させるためには、エミッタおよびコレクタ側の両側に位置するコンタクト層に、Al、Au、Cr、Ti、Niなどの単体金属、又はそれらを合金化した金属電極を形成するとよい。
図17に、本願のRTD素子の電極構造について図示する。図17の左図に示すように、成長に用いる基板がn型などの導電性基板53であれば、基板裏面に直接金属を蒸着することにより、下部エミッタ電極52を作製する。基板の上に、バッファ層54、エミッタ側コンタクト層(n+−GaN層)55a、結晶成長層55bを順に積層形成する。ここで結晶成長層55bは、図6、7等において、基板、バッファ層、エミッタ側コンタクト層を除いた結晶成長層を示している。結晶成長層55bの最上部に電極を蒸着することにより、上部コレクタ電極51を作製し、RTDを動作させるための二端子素子を作製する。
一方、図17の右図に示すように、成長に用いる基板が、導電性の小さい半絶縁性基板又は絶縁性基板58である場合は、エミッタ側コンタクト層55aの上面を露出させて、露出部にAlなどの金属を蒸着することにより、下部エミッタ電極57を作製する。図17の右図は、エッチング又は選択成長によって形成されたメサ構造59を有し、その上に上部コレクタ電極56を有する。
エミッタ側コンタクト層55aの上面を露出させる方法としては、SiO2などのエッチングマスクなどを用いて、コンタクト層55aより上部にある結晶成長層を部分的エッチングする方法などがある。または、Si基板上に、u−GaNのバッファ層54及びエミッタ側コンタクト層(n+−GaN層)55aを結晶成長した後に、GaNやAlNを含む結晶成長層55bの高温成長条件(1000℃程度)に耐えうる選択成長用マスクを形成し、その選択成長マスク以外の領域に、残りのRTD構造である結晶成長層55bを選択的に結晶成長する。選択成長後に、選択成長用マスクを剥離することによりコンタクト層55の上面を露出させ、その上面に下部エミッタ電極57を形成する。
また、選択成長によって得られた残りのRTD構造である結晶成長層55bの上面に、上部コレクタ電極56を形成して、RTDを動作させるための二端子素子を作製する。
実施の形態では、GaN/AlN系RTDを例にとって説明したが、分極効果、あるいは組成傾斜などによって、RTDの量子井戸、及び量子井戸両隣のエミッタとコレクタ伝導帯底に三角形状の緩やかなポテンシャル傾斜変化を形成することができる半導体材料において、同様なエネルギー構造を実現できるので、同様の効果を期待できる。GaN、InGaN、AlGaN、AlN、InNなどの窒化物半導体の他に、Si、GeなどのIV系半導体、GaAs、InGaAs、AlGaAs、AlAs、InGaAsP、AlAsSb、GaNAsなどのIII−V族半導体、ZnOやCdTe、ZnSeなどのII−VI族半導体にも適用できる。
RTD素子を構成する各層(バリア層、井戸層、スペーサー層、エミッタ層、コレクタ層等)の厚さは、0.2nm以上100nm以下程度である。
また、量子井戸内の蓄積電子の引き抜きによるリセット動作あるいはバンド構造制御性向上のために、量子井戸層に電極構造を追加した三端子構造を用いても良い。
上記実施の形態で示した例は、発明を理解しやすくするために記載したものであり、この形態に限定されるものではない。
本発明によれば、サブピコ秒の超高速動作が可能であり、低損失で低消費電力な不揮発メモリを期待できる。MRAMやFeRAMと同等、あるいは、それ以上の高速動作を実現できる可能性があり、産業上有用である。
11、21a、b、c、61、71b、91b、121a、131b、141b、151b、161b エミッタ電極の伝導帯の電子フェルミ準位
12、22a、b、c、62、72b、92b、122a、132b、142b、152b、162b エミッタ電極の伝導帯の底のエネルギー準位
13、23a、b、c、63、73b、93b、123a、133b、143b、153b、163b エミッタ層
14、24a、b、c、74b、94b、124a、134b、144b、154b、164b スペーサー層
15、25a、b、c、75b、95b、125a、135b、145b、155b、165b バリア層
16、26a、b、c、76b、96b、126a、136b、156b、166b 井戸層
17、27a、b、c、77b、97b、127a、137b、146b、147b、157b、167b バリア層
18、28a、b、c、78b、98b、128a、138b、148b、158b、168b スペーサー層
19、29a、b、c、612、79b、99b、129a、139b、149b、159b、169b コレクタ層
31、81a、b、84b、85a 低抵抗状態
32、82a、b、83a 高抵抗状態
33、84a 電子放出
41a Si基板又はサファイア基板
41b GaN基板
42a、42b u−GaNバッファ層
43a n+−GaNコンタクト層
43b n+−Ga1-zAlzNコンタクト層
44a n−GaNエミッタ層
44b n−Ga1-zAlzNエミッタ層
45a u−GaNスペーサー層
45b u−Ga1-zAlzNスペーサー層
46a u−AlNバリア層
46b u−Al1-yGayNバリア層
47a u−GaN井戸層
47b u−InxGa1-xN井戸層
48a u−AlNバリア層
48b u−Al1-yGayNバリア層
49a u−GaNスペーサー層
49b u−Ga1-zAlzNスペーサー層
51、56 上部コレクタ電極
52、57 下部エミッタ電極
53 導電性基板
54 バッファ層
55a エミッタ側コンタクト層
55b 結晶成長層
58 絶縁性又は半絶縁性基板
59 メサ構造
64 Au層
65 Al層
66 i−Si層
67、69 i−CaF2バリア層
68 i−CdF2井戸層
83b EDLを介した不規則な電子放出
110、210a、b、c、613Ef’、710b、910b、1210a、1310b、1410b、1510b、1610b コレクタ電極の伝導帯の電子フェルミ準位
111、211a、b、c、614Ec’、711b、911b、1212a、1311b、1411b、1511b、1611b コレクタ電極の伝導帯の底のエネルギー準位
112、212a、b、c、ΔEc、712b、912b ポテンシャルの傾斜
113、213a、b、c、ΔEc’、713b、913b ポテンシャルの傾斜
114ER3、114’ER4、ER2214a、b、c 高いエネルギー位置にある量子準位
115ER1、115’ER2、ER1215a、b、c 低いエネルギーを持つ量子準位、電子の蓄積に用いる量子準位
116、216b、216c、716b、916b、1318b、1416b、1517b、1617b トンネル電流
117、217b、619、717b、917b、1219a、1319b、1417b、1518b、1618b トンネルに寄与する電子
118、218b、620、718b、918b、1220a、1320b、1418b、1519b、1619b サブバンド間遷移
119、219b、621、719b、919b、1221a、1321b、1419b、1520b、1620b 蓄積された電子
120、220a、b、c、720b、920b 分極によって形成される三角状ポテンシャル
410a n−GaNコレクタ層
410b n−Ga1-zAlzNコレクタ層
411a n+−GaNコンタクト層
411b n+−Ga1-zAlzNコンタクト層
610 n−Si層
611 CoSi層
ΔEc615、ΔEc’616 バンド不連続量
R2617 第2量子準位
R1618 第1量子準位
714bER2、914bER2、715bER1、915bER1、1217aER2、1218aER1、1316bER2、1317bER1、1414bER2、1415bER1、1515bER2、1516bER1、1615bER2、1616bER1、 量子準位
721b、722b、921b、922b、1222a、1223a、1322b、1323b、1420b、1421b、1521b、1522b、1621b、1622b 結晶欠陥によるエネルギー準位EDL
723b EDLを介して放出される電子(リーク電流)
923b、1623b 中間層によって阻止されるリーク電流
924b、925b 中間層
1213a、1214a、1312b、1313b、1412b、1512b 第1の中間層
1215a、1216a、1314b、1315b、1413b、1513b、1514b 第2の中間層
1324b、1422b、1523b 第1の中間層によって阻止されるリーク電流
1613b、1614b 組成傾斜を用いた中間層

Claims (6)

  1. 複数のバリア層と該バリア層間の井戸層とからなる量子井戸の井戸層に、分極または組成傾斜によるポテンシャル傾斜を備え、サブバンド間遷移によって前記量子井戸内に電子を蓄積することが可能な量子準位を前記量子井戸に有することを特徴とする共鳴トンネルダイオード素子。
  2. 複数のバリア層と該バリア層間の井戸層とからなる量子井戸の、該井戸層と該バリア層間に、該井戸層及び該バリア層のいずれともバンドギャップの異なる中間層を備え、サブバンド間遷移によって前記量子井戸内に電子を蓄積することが可能な量子準位を前記量子井戸に有することを特徴とする共鳴トンネルダイオード素子。
  3. サブバンド間遷移によって前記量子井戸内に電子を蓄積することが可能な量子準位は、トンネルに寄与する電子よりも低いエネルギーを持つ量子準位であることを特徴とする請求項1又は2記載の共鳴トンネルダイオード素子。
  4. 前記量子井戸の両側に隣接して設けられるエミッタ及びコレクタの伝導帯の底に形成されたポテンシャル傾斜が、電子の閉じ込め構造として機能することを特徴とする請求項1又は2記載の共鳴トンネルダイオード素子。
  5. 前記共鳴トンネルダイオード素子は、GaN、InGaN、AlGaN、及びAlNのいずれか1以上の層を含む窒化物半導体からなることを特徴とする請求項1又は2記載の共鳴トンネルダイオード素子。
  6. サブバンド遷移による電子蓄積及び電子放出により双安定状態を記憶することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項記載の共鳴トンネルダイオード素子を有する不揮発性メモリ。

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