JPWO2015093579A1 - 糖尿病性腎症の予防又は治療剤 - Google Patents
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Abstract
糖尿病性腎症の予防又は治療に有効な新たな薬剤を提供する。糖尿病性腎症の予防又は治療剤は、一般式【化1】(式中、R1は炭素数4〜8のアルキル基を示し、R2は水素原子、炭素数2〜6のアルキルカルボニル基または炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基を示す。)で表されるハイドロキノン誘導体を有効成分として含む。
Description
本発明は特定のハイドロキノン誘導体を有効成分とする糖尿病性腎症の予防剤又は糖尿病性腎症の治療剤に関する。
近年、生活習慣や社会環境の変化とともに糖尿病の患者数は増加の一途をたどっている。国際糖尿病連合の発表によれば、世界における成人(20〜79歳)の糖尿病有病者数は、2013年11月時点で3億8200万人、有病率8.3%であり、有効な対策を施さなければ2030年までに5億9200万人に増加すると予測されている。また、2013年の糖尿病による経済的損失は、総支出の11%に相当する5480億ドルに達すると推計されている。
日本では、成人の約3割弱が糖尿病又はその予備群であり、そのうちの約4割は治療を受けていないといわれている。糖尿病を治療せずに放置したままにしていると、病状が進行して様々な合併症を併発し、早期に治療を開始した場合に比べて治療が困難な状態になっていく。したがって、早期の発見と治療が肝要である。
糖尿病性腎症とは、糖尿病の合併症である細小血管障害の一つである。糖尿病性腎症は、糖尿病を発病して慢性的な高血糖状態が長期間(たとえば10年以上)持続することにより発症し、腎糸球体が硬化して最終的には腎不全に至る。腎不全に至った場合の治療法は血液透析若しくは腹膜透析又は腎移植のいずれかとなるが、新規に透析療法を導入する患者は毎年約1万人にのぼり、1998年以降、糖尿病性腎症は我が国における透析導入原因疾患の第1位、透析導入患者の約45%を占めており、医療費増大の主要な原因の1つとなっている。
糖尿病性腎症の治療にあたっては、慢性的な高血糖状態による細胞や組織の障害が本疾病の根本原因であることから、まずは種々の経口血糖降下薬による厳格な血糖コントロールが行われる。
また、糖尿病性腎症には、高血糖による細胞や腎組織の障害に関連する様々な機序が関与しているといわれている。非特許文献1では、関与の可能性のある機序として、細胞内の代謝レベルにおいてはポリオール代謝経路、ヘキソサミン経路、プロテインキナーゼC経路、酸化ストレス及び終末糖化産物などが報告されており、腎組織内においてはレニンアンジオテンシン系(RAS)、TGF−β等が報告されている。このように、さまざまな機序や因子が関連して糖尿病性腎症の病態を形成していることから、糖尿病性腎症の治療にあたり、これらの機序又は因子が治療ターゲットとなる可能性があると考えられる。たとえば、特許文献1には、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が糖尿病性腎症に関与することが記載され、抗血管新生作用を有する組成物が糖尿病性腎症の治療に有効であることが記載されている。また、特許文献2には、活性酸素が糖尿病性腎症の増悪因子として関与することが記載され、活性酸素産生酵素であるキサンチンオキシダーゼを阻害する組成物が糖尿病性腎症の治療に有効であることが記載されている。同様に、特許文献3にはコレステロール低下作用を有する陰イオン交換樹脂が、特許文献4にはペルオキシソーム増殖活性化受容体(PPAR)γ作動作用を有する組成物が、それぞれ糖尿病性腎症の治療に有効であることが記載されている。
他方、特許文献5〜特許文献8には、下記一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体が記載されている。このハイドロキノン誘導体は、動脈硬化治療用組成物(特許文献6)、神経変性疾患治療薬(特許文献7)及び肝線維化抑制剤(特許文献8)として用いられることが記載されている。
小寺亮ほか、「糖尿病性腎症の最新治療戦略」、医学のあゆみ,医歯薬出版株式会社,2011年8月,第238巻,第9号,p.851−856
しかしながら、非特許文献1にも記載されているように、糖尿病性腎症に関与すると考えられる多様な機序又は因子を治療ターゲットとすることは、いまだ検討されている段階であり、現状ではRAS阻害薬以外には有効性が十分に証明された治療剤はない。
他方、特許文献5〜8に記載されたハイドロキノン誘導体については、各特許文献中に動脈硬化、神経変性疾患及び肝線維化疾患の治療剤として用いられることは記載されているが、糖尿病性腎症の予防や治療に関する検討はなされておらず、その有効性は不明であった。
本発明は上述した点に鑑み案出されたもので、その目的は、糖尿病性腎症の予防又は治療に有効な新たな薬剤を提供することにある。
本発明者らはかかる実情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、上述したハイドロキノン誘導体が、1型糖尿病モデル動物の腎障害を抑制する作用及び、2型糖尿病モデル動物の尿中アルブミン/クレアチニン比の上昇を抑制する作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
上記課題を解決するため、本発明の糖尿病性腎症の予防又は治療剤は、 一般式(1)
また、このハイドロキノン誘導体が、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテルまたは2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテル 4−アセテートであることも好ましい。これにより、薬理活性及び生体適合性に優れ、特に有効に用いることのできる組成物が選択される。
また、本発明の糖尿病性腎症の予防又は治療剤はさらに、アンジオテンシンII受容体拮抗薬を含むことが好ましい。これにより、糖尿病性腎症の予防又は治療にさらに有効な組成物を得ることができる。上述のハイドロキノン誘導体とアンジオテンシンII受容体拮抗薬との組合せにより、各構成成分が低濃度であっても、向上した糖尿病性腎症の予防又は治療効果が得られる。また、上述のハイドロキノン誘導体はアンジオテンシンII受容体拮抗薬による降圧作用を阻害しないため、降圧効果も有する。
また、本発明の糖尿病性腎症の予防又は治療剤は、このアンジオテンシンII受容体拮抗薬が、ロサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン及びアジルサルタンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることも好ましい。これにより、好適に用いられるアンジオテンシンII受容体拮抗薬が選択される。
本発明によれば、以下のような優れた効果を有する糖尿病性腎症の予防又は治療剤を提供することができる。
(1)高血糖状態の暴露による腎組織への障害を軽減し、アルブミン尿の発生を抑制することができるため、糖尿病性腎症の予防又は治療に有効である。
(2)安全性の高い物質から構成されているため、糖尿病性腎症の予防又は治療に有効に用いることができる。
(3)2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテルまたは2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテル 4−アセテートを選択することにより、薬理活性及び生体適合性に優れ、特に有効に用いることができる糖尿病性腎症の予防剤又は治療剤を得ることができる。
(4)アンジオテンシンII受容体拮抗薬と組合せることにより、各構成成分が低濃度であっても、より向上した糖尿病性腎症の予防又は治療効果が得られ、降圧作用も維持される。
(1)高血糖状態の暴露による腎組織への障害を軽減し、アルブミン尿の発生を抑制することができるため、糖尿病性腎症の予防又は治療に有効である。
(2)安全性の高い物質から構成されているため、糖尿病性腎症の予防又は治療に有効に用いることができる。
(3)2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテルまたは2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテル 4−アセテートを選択することにより、薬理活性及び生体適合性に優れ、特に有効に用いることができる糖尿病性腎症の予防剤又は治療剤を得ることができる。
(4)アンジオテンシンII受容体拮抗薬と組合せることにより、各構成成分が低濃度であっても、より向上した糖尿病性腎症の予防又は治療効果が得られ、降圧作用も維持される。
以下、本発明を詳細に説明する。
上述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体において、R1で示される炭素数4〜8のアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、その例としては各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。このアルキル基としては、薬理活性の面から、炭素数4〜7の直鎖状のものが好ましく、特にn−ヘキシル基が好適である。
また、R2のうちの炭素数2〜6のアルキルカルボニル基は直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基などが挙げられる。さらに、R2のうちの炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基は直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基などが挙げられる。
この一般式(1)で表わされる化合物のうち、特に薬理活性の点から好ましい化合物としては、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ブチルエーテル、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテルおよび2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテル 4−アセテートを挙げることができる。
上述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体はたとえば特許文献5又は特許文献6に記載の方法で製造することができる。
本発明の糖尿病性腎症の予防剤又は糖尿病性腎症の治療剤は、前述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体を有効成分として含むものであって、これにより、高血糖状態の暴露による腎組織への障害を軽減し、アルブミン尿の発生を抑制する作用を有する。本発明の糖尿病性腎症の予防又は治療剤の投与量は、目標とする治療効果、投与方法、年齢、体重などによって変化するので一概には規定できないが、通常一日の非経口的な投与量は、上述のハイドロキノン誘導体として約0.01〜100mg/kg体重であり、好ましくは約0.05〜50mg/kg体重である。経口的には約0.1〜500mg/kg体重であり、好ましくは約0.5〜200mg/kg体重であり、これを1〜3回に分割して投与すればよい。
さらに、本発明の糖尿病性腎症の予防剤又は糖尿病性腎症の治療剤には、前述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体に加えて、アンジオテンシンII受容体拮抗薬を含有させることができる。これにより、より向上した糖尿病性腎症の予防又は治療効果が得られる。アンジオテンシンII受容体拮抗薬としては、一例として、ロサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン又はアジルサルタン等が挙げられ、特にロサルタンが好ましい。これらのアンジオテンシンII受容体拮抗薬は降圧作用を有しているところ、上述のハイドロキノン誘導体はこの降圧作用を阻害しない。それゆえ、上述のハイドロキノン誘導体とアンジオテンシンII受容体拮抗薬とを組み合わせることにより、向上した糖尿病性腎症の予防又は治療効果だけでなく、降圧作用も得られる。
上述のハイドロキノン誘導体とアンジオテンシンII受容体拮抗薬とを組み合わせた際のアンジオテンシンII受容体拮抗薬としての投与量は、目標とする治療効果、投与方法、年齢、体重などによって変化するので一概には規定できないが、通常一日の非経口的な投与量は、約0.001〜20mg/kg体重であり、好ましくは約0.005〜10mg/kg体重である。経口的には約0.01〜100mg/kg体重であり、好ましくは約0.05〜50mg/kg体重であり、これを1〜3回に分割して投与すればよい。
上述のハイドロキノン誘導体と上述のアンジオテンシンII受容体拮抗薬とを組み合わせてなる本発明の糖尿病性腎症の予防・治療剤は、これらの有効成分を別々に、又は同時に、医薬組成物として経口的又は非経口的に投与することができる。なお、有効成分であるハイドロキノン誘導体とアンジオテンシンII受容体拮抗薬とを別々に製剤化した場合、別々に製剤化したものを使用時に混合して投与することができるほか、別々に製剤化したものを、別々に、あるいは同時に、または時間差をおいて同一対象に投与してもよい。
本発明の糖尿病性腎症の予防剤又は糖尿病性腎症の治療剤は、従来慣用されている方法により種々の形態に調製することができる。この場合、通常製剤用の担体や賦形剤など、医薬品の添加剤として許容されている添加剤を用いて製剤化することができる。また、本化合物のバイオアベイラビリティーや安定性を向上させるために、マイクロカプセル、微粉末化、シクロデキストリン等を用いた包接化などの製剤技術を含むドラッグデリバリーシステムを用いることもできる。
上記組成物を経口投与製剤として用いる場合には、錠剤、顆粒剤、カプセル剤又は内服用液剤等の形態で用いることができるが、消化管からの吸収に適した形態で用いることが好ましい。また、流通性、保存性などの理由により所望される形態での製剤を提供する場合にも従来の製剤技術を用いることができる。また、非経口投与剤として用いる場合には、注射剤、坐剤およびテープ、パップなどの経皮吸収剤等の形態とすることができるが、流通性、保存性などの理由から固形製剤を使用時に適当な溶剤で溶解してから用いることもでき、液剤および半固形剤の形態で提供することも従来の製剤技術により可能である。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1]
1.ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラット(1型糖尿病モデル)に対する作用の検討(1)
上述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体を1型糖尿病モデルであるストレプトゾトシン糖尿病誘発ラットに投与し、その作用効果を調べた。ストレプトゾトシン糖尿病誘発ラットは、7週齢のWistar系雄ラットに、生理食塩水に溶解させた6mg/mLのストレプトゾトシン溶液を10mL/kg体重ずつ腹腔内投与することにより作製した。作製した糖尿病誘発ラットを3匹ずつ4つの試験群と対照群とに分け、試験群に対し、3%のTween80水溶液に溶解させた本発明のハイドロキノン誘導体溶解液を経口投与した。投与は、ストレプトゾトシンを投与した翌日より5週間、剖検日前日まで1日1回行った。ハイドロキノン誘導体としては、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテルを用いた。各試験群の1日あたりの投与用量は3mg/kg体重、10mg/kg体重、30mg/kg体重及び100mg/kg体重であり、対照群には溶媒として使用した3%Tween80水溶液を投与した。いずれの試験群及び対照群とも、ラットへの経口投与量が10mL/kg体重となるように、ハイドロキノン誘導体の濃度を調整した。ストレプトゾトシンを投与して5週間後に採血、屠殺してGOT、GPT、尿素窒素、クレアチニン、総コレステロール及び空腹時の血糖値を測定した。
1.ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラット(1型糖尿病モデル)に対する作用の検討(1)
上述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体を1型糖尿病モデルであるストレプトゾトシン糖尿病誘発ラットに投与し、その作用効果を調べた。ストレプトゾトシン糖尿病誘発ラットは、7週齢のWistar系雄ラットに、生理食塩水に溶解させた6mg/mLのストレプトゾトシン溶液を10mL/kg体重ずつ腹腔内投与することにより作製した。作製した糖尿病誘発ラットを3匹ずつ4つの試験群と対照群とに分け、試験群に対し、3%のTween80水溶液に溶解させた本発明のハイドロキノン誘導体溶解液を経口投与した。投与は、ストレプトゾトシンを投与した翌日より5週間、剖検日前日まで1日1回行った。ハイドロキノン誘導体としては、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテルを用いた。各試験群の1日あたりの投与用量は3mg/kg体重、10mg/kg体重、30mg/kg体重及び100mg/kg体重であり、対照群には溶媒として使用した3%Tween80水溶液を投与した。いずれの試験群及び対照群とも、ラットへの経口投与量が10mL/kg体重となるように、ハイドロキノン誘導体の濃度を調整した。ストレプトゾトシンを投与して5週間後に採血、屠殺してGOT、GPT、尿素窒素、クレアチニン、総コレステロール及び空腹時の血糖値を測定した。
測定項目のうち、GOT、尿素窒素及び空腹時血糖値について、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテルによる、用量依存的な抑制効果が認められた。また、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテルを10mg/kg体重以上投与した試験群において、尿素窒素の有意な抑制作用が認められた。これらのことより、本発明の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体は、1型糖尿病モデル動物において腎障害を軽減する作用を有することがわかった。
[実施例2]
2.ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラット(1型糖尿病モデル)に対する作用の検討(2)
ストレプトゾトシン糖尿病誘発ラットは、5週齢のWistar系雄ラットに、生理食塩水に溶解させた6mg/mLのストレプトゾトシン溶液を10mL/kg体重ずつ腹腔内投与することにより作製した。作製した糖尿病誘発ラットは溶媒対照群3匹と、本発明のハイドロキノン誘導体試験群として、50mg/kg体重投与群3匹と、100mg/kg体重投与群6匹とに分け、無処置群としてストレプトゾトシンを投与しなかったWistar系雄ラットを2匹準備した。ストレプトゾトシンの投与から1週間後に、各試験群に対し、ハイドロキノン誘導体溶液を毎日1回21週間に亘り経口投与した。本実施例におけるハイドロキノン誘導体としては、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテル(HTHQ)を用い、3%のTween80に懸濁させて試験群に経口投与した。各試験群の1日あたりの投与用量は50mg/kg体重及び100mg/kg体重であり、溶媒対照群には溶媒として使用した3%Tween80水溶液を投与した。いずれの試験群及び溶媒対照群とも、ラットへの経口投与量が10mL/kg体重となるように行った。
2.ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラット(1型糖尿病モデル)に対する作用の検討(2)
ストレプトゾトシン糖尿病誘発ラットは、5週齢のWistar系雄ラットに、生理食塩水に溶解させた6mg/mLのストレプトゾトシン溶液を10mL/kg体重ずつ腹腔内投与することにより作製した。作製した糖尿病誘発ラットは溶媒対照群3匹と、本発明のハイドロキノン誘導体試験群として、50mg/kg体重投与群3匹と、100mg/kg体重投与群6匹とに分け、無処置群としてストレプトゾトシンを投与しなかったWistar系雄ラットを2匹準備した。ストレプトゾトシンの投与から1週間後に、各試験群に対し、ハイドロキノン誘導体溶液を毎日1回21週間に亘り経口投与した。本実施例におけるハイドロキノン誘導体としては、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテル(HTHQ)を用い、3%のTween80に懸濁させて試験群に経口投与した。各試験群の1日あたりの投与用量は50mg/kg体重及び100mg/kg体重であり、溶媒対照群には溶媒として使用した3%Tween80水溶液を投与した。いずれの試験群及び溶媒対照群とも、ラットへの経口投与量が10mL/kg体重となるように行った。
HTHQを投与して15週目及び21週目経過後に、試験群(HTHQ)、溶媒対照群(Vehicle)及び無処置群(Normal)の個体について随時尿にて尿中アルブミン及びクレアチニン濃度を測定し、尿中アルブミン/クレアチニン比を算出した。尿中アルブミンはラット尿中アルブミン定量用キットNephrat II(エクソセル社製品)を用いて、クレアチニンは尿中クレアチニン定量用キットCreatinine Companion(エクソセル社製品)を用いて測定した。
本実施例の結果を図1に示す。2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテル(HTHQ)の投与により、用量依存的な尿アルブミン/クレアチニン比の抑制効果が認められた。これらのことより、本発明の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体は、1型糖尿病モデル動物において糖尿病性腎障害の治療や予防に有効であることがわかった。
[実施例3]
3.KK−Ay雄マウス(2型糖尿病モデル)に対する作用の検討(1)
上述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体を2型糖尿病モデルマウスであるKK−Ayマウスに投与し、その作用効果を調べた。5週齢のKK−Ay雄マウスを30匹準備し、10匹ずつ対照群と2つの試験群とに分けた。全てのマウスに対し、13週間にわたり高脂肪食を給餌すると共に、試験群のマウスに対しては上述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体を投与した。ハイドロキノン誘導体としては、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテルを用いた。ハイドロキノン誘導体の投与にあたっては、1日あたりの投与用量がおよそ75mg/kg体重(試験群;低用量群)又は150mg/kg体重(試験群;高用量群)となるように、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテルを2%Tween80水溶液に溶解させた溶解液を給水ビンに入れ、マウスのケージに取り付けて自由に摂取させた。なお、対照群のマウスに対しては、2%Tween80水溶液を給水ビンに入れて同様に与えた。
3.KK−Ay雄マウス(2型糖尿病モデル)に対する作用の検討(1)
上述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体を2型糖尿病モデルマウスであるKK−Ayマウスに投与し、その作用効果を調べた。5週齢のKK−Ay雄マウスを30匹準備し、10匹ずつ対照群と2つの試験群とに分けた。全てのマウスに対し、13週間にわたり高脂肪食を給餌すると共に、試験群のマウスに対しては上述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体を投与した。ハイドロキノン誘導体としては、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテルを用いた。ハイドロキノン誘導体の投与にあたっては、1日あたりの投与用量がおよそ75mg/kg体重(試験群;低用量群)又は150mg/kg体重(試験群;高用量群)となるように、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテルを2%Tween80水溶液に溶解させた溶解液を給水ビンに入れ、マウスのケージに取り付けて自由に摂取させた。なお、対照群のマウスに対しては、2%Tween80水溶液を給水ビンに入れて同様に与えた。
試験(投与)開始から、4週間間隔で非絶食時のマウスの血糖値及び尿糖を測定した。血糖値はグルコース分析装置(株式会社アスター電機製品)を用いて、尿糖は、エームス尿検査試験紙(シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス製品)を用いて測定した。
また、投与10週から投与12週まで毎週、マウスの尿中アルブミン及びクレアチニン濃度を測定し、尿中アルブミン/クレアチニン比を算出した。尿中アルブミンはマウス尿中アルブミン定量用キットAlbuwell M(エクソセル社製品)を用いて、クレアチニンは尿中クレアチニン定量用キットCreatinine Companion(エクソセル社製品)を用いて測定した。
尿糖の測定結果を以下表1に示す。また、非絶食時の血糖値を図2に、尿中アルブミン/クレアチニン比を図3に示す。
図2に示すように、本発明のハイドロキノン誘導体の投与により、非絶食時の血糖値が低減される傾向が見られたものの、統計学的な有意差は投与4週における高用量群において認められたのみであった。しかしながら、尿糖に関しては、表1に示すように、低用量群では投与4週に対照群と比較して有意な低下が認められ、高用量群では投与開始後すべての検査時期において、対照群と比べて有意に低下した値を示した。さらに、図3に示すように、尿中アルブミン/クレアチニン比については、低用量群、高用量群ともに対照群の約40〜60%まで低下することがわかった。したがって、本発明の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体の投与により、持続的な高血糖状態に起因する腎組織の障害が抑制されることがわかった。
[実施例4]
4.KK−Ay雄マウス(2型糖尿病モデル)に対する作用の検討(2)
実施例3における対照群マウス6匹とHTHQの投与用量が75mg/kg体重(低用量群)の試験群マウス6匹について、投与12週後(生後17週齢)に屠殺し、腎臓を摘出して組織標本を作成した。この組織標本について以下表2に示す所見に関する病理検査を行った。結果を表2に示す。なお、病理検査の内容及び判定基準は以下の通りである。
4.KK−Ay雄マウス(2型糖尿病モデル)に対する作用の検討(2)
実施例3における対照群マウス6匹とHTHQの投与用量が75mg/kg体重(低用量群)の試験群マウス6匹について、投与12週後(生後17週齢)に屠殺し、腎臓を摘出して組織標本を作成した。この組織標本について以下表2に示す所見に関する病理検査を行った。結果を表2に示す。なお、病理検査の内容及び判定基準は以下の通りである。
(1)皮質尿細管上皮の退行変性:着色の変化、空胞形成、膿胞形成、細胞脱落及び修復を含むその他の変化による生存率の減少の有無を観察する。「軽度」:病変は容易に確認されるが、限定的である。
(2)皮質尿細管拡張:尿細管に、比較的正常であるか僅かに平坦化された上皮による内側を覆う内腔の拡張の有無、尿細管腔のサイズの拡大の有無を観察する。「軽度」:病変は、確認されるが、限定的である。
(3)糸球体間質の硬化:外側皮質内における小好酸性硬化糸球体の有無を観察する。通常はほとんどみつかることがない。「軽微」:硬化糸球体の発生頻度は低い。
(4)皮質尿細管の好塩基性化:好塩基性細胞質を有する尿細管上皮細胞の有無を観察する。「軽微」:細管に2、3の病変を有する。「軽度」:病変は容易に確認されるが、限定的である。「中等度」:病変が明瞭だが、さらに拡大する可能性がある。
(5)皮質尿細管の硝子円柱:同種の好酸球内容物を含む尿細管腔の有無を観察する。「軽度」:病変は容易に確認されるが、限定的である。
(2)皮質尿細管拡張:尿細管に、比較的正常であるか僅かに平坦化された上皮による内側を覆う内腔の拡張の有無、尿細管腔のサイズの拡大の有無を観察する。「軽度」:病変は、確認されるが、限定的である。
(3)糸球体間質の硬化:外側皮質内における小好酸性硬化糸球体の有無を観察する。通常はほとんどみつかることがない。「軽微」:硬化糸球体の発生頻度は低い。
(4)皮質尿細管の好塩基性化:好塩基性細胞質を有する尿細管上皮細胞の有無を観察する。「軽微」:細管に2、3の病変を有する。「軽度」:病変は容易に確認されるが、限定的である。「中等度」:病変が明瞭だが、さらに拡大する可能性がある。
(5)皮質尿細管の硝子円柱:同種の好酸球内容物を含む尿細管腔の有無を観察する。「軽度」:病変は容易に確認されるが、限定的である。
病理検査を行った個体は週齢が低く、糖尿病性腎症に特徴的な病態形成が不完全であったが、「特記すべき異常なし」と判断された個体が、試験群では6匹中3匹であったのに対し、対照群は6匹中1匹であった。また、「皮質尿細管の好塩基性化」が軽微〜軽度に認められた個体が試験群では2匹であったのに対し、対照群では5匹であった。これらのことから、本発明の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体は、糖尿病性腎症の病態形成を有意に抑制することが示された。
[実施例5]
5.OLETFラット(2型糖尿病モデル)に対する作用の検討
上述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体を2型糖尿病モデルラットであるOLETFラットに投与し、その作用効果を調べた。6週齢のOLETFラットを16匹、6週齢のLETOラット(対照ラット)を4匹準備した。OLETFラットは8匹ずつ試験群と対照群に分けた。全てのラットに対し、実験動物用飼料(CLEA Rodent Diet CE-2粉末状、日本クレア株式会社製品)を自由摂取させて飼育した。試験群のラットに対しては上述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体を投与し、ハイドロキノン誘導体としては、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテル(HTHQ)を用いた。ハイドロキノン誘導体の投与にあたっては、1日あたりの投与用量がおよそ100mg/kg体重となるように、HTHQを上述の実験動物用飼料に混合した。なお、HTHQの飼料中の混合比率は、0.167%であり、試験期間中の各個体の予想平均飼料摂取量(30g)及び予想平均体重(500g)より算出した。
5.OLETFラット(2型糖尿病モデル)に対する作用の検討
上述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体を2型糖尿病モデルラットであるOLETFラットに投与し、その作用効果を調べた。6週齢のOLETFラットを16匹、6週齢のLETOラット(対照ラット)を4匹準備した。OLETFラットは8匹ずつ試験群と対照群に分けた。全てのラットに対し、実験動物用飼料(CLEA Rodent Diet CE-2粉末状、日本クレア株式会社製品)を自由摂取させて飼育した。試験群のラットに対しては上述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体を投与し、ハイドロキノン誘導体としては、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテル(HTHQ)を用いた。ハイドロキノン誘導体の投与にあたっては、1日あたりの投与用量がおよそ100mg/kg体重となるように、HTHQを上述の実験動物用飼料に混合した。なお、HTHQの飼料中の混合比率は、0.167%であり、試験期間中の各個体の予想平均飼料摂取量(30g)及び予想平均体重(500g)より算出した。
ラットの週齢が24週齢になってから投与を開始し、投与開始から4週間目に代謝ケージにより3時間採尿し、尿中アルブミン及びクレアチニン濃度を測定し、尿中アルブミン/クレアチニン比を算出した。尿中アルブミンはラット尿中アルブミン定量用キットNephrat II(エクソセル社製品)を用いて、クレアチニンは尿中クレアチニン定量用キットCreatinine Companion(エクソセル社製品)を用いて測定した。
本実施例の結果を図4に示す。2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテル(HTHQ)の投与により、尿アルブミン/クレアチニン比の抑制効果が認められた。これらのことより、2型糖尿病モデル動物に対しても、本発明の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体は、糖尿病性腎障害の治療や予防に有効であることがわかった。
上述した実施例の結果より、本発明の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体は、1型糖尿病又は2型糖尿病のいずれにおいても、持続的な高血糖状態により引き起こされる腎組織の障害を抑制することができることがわかった。この結果により、本発明の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体は、糖尿病性腎症における腎障害の予防又は治療のために有用であることが示された。
[実施例6]
6.ハイドロキノン誘導体とアンジオテンシンII受容体拮抗薬との組合せによる作用の検討
上述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体及びアンジオテンシンII受容体拮抗薬を2型糖尿病モデルマウスであるKK−Ayマウスに投与し、その作用効果を調べた。4週齢のKK−Ay雄マウスを50匹準備し、10匹ずつ対照群と4つの試験群とに分け、1週間高脂肪食を給餌させて馴化させた。その後、全てのマウスに対して高脂肪食を給餌すると共に、以下表3に示すように、給水ビンに各種成分を含有させた試験組成物を入れ、試験期間中自由摂取させた。ハイドロキノン誘導体としては、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテル(HTHQ)を用い、アンジオテンシンII受容体拮抗薬としてはロサルタンカリウム(LK)を用いた。なお、ロサルタンカリウムは、優れた降圧効果を有する物質であり、主に降圧剤として使用されるが、近年、高血圧とタンパク尿を伴った2型糖尿病性腎症の治療薬としても用いられている。
6.ハイドロキノン誘導体とアンジオテンシンII受容体拮抗薬との組合せによる作用の検討
上述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体及びアンジオテンシンII受容体拮抗薬を2型糖尿病モデルマウスであるKK−Ayマウスに投与し、その作用効果を調べた。4週齢のKK−Ay雄マウスを50匹準備し、10匹ずつ対照群と4つの試験群とに分け、1週間高脂肪食を給餌させて馴化させた。その後、全てのマウスに対して高脂肪食を給餌すると共に、以下表3に示すように、給水ビンに各種成分を含有させた試験組成物を入れ、試験期間中自由摂取させた。ハイドロキノン誘導体としては、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテル(HTHQ)を用い、アンジオテンシンII受容体拮抗薬としてはロサルタンカリウム(LK)を用いた。なお、ロサルタンカリウムは、優れた降圧効果を有する物質であり、主に降圧剤として使用されるが、近年、高血圧とタンパク尿を伴った2型糖尿病性腎症の治療薬としても用いられている。
投与開始から、試験個体の給水ビンからの飲水量を毎週測定し、対照群及び各試験群における各種試験成分の平均摂取量を求めた。また、2週間間隔で投与12週まで随時尿にて尿中アルブミン及びクレアチニン濃度を測定し、尿中アルブミン/クレアチニン比を算出した。尿中アルブミンはマウス尿中アルブミン定量用キットAlbuwell M(エクソセル社製品)を用いて、クレアチニンは尿中クレアチニン定量用キットCreatinine Companion(エクソセル社製品)を用いて測定した。さらに、投与1週目から4週間間隔で投与13週まで、実験動物用非観血式自動血圧測定装置(株式会社ソフトロン社製品、型番:BP−98A−L)を用いて試験個体の血圧を測定した。
対照群及び各試験群の平均飲水量、各種試験成分の平均投与用量を以下表4に示す。また、尿中アルブミン/クレアチニン比を図5に、収縮期血圧を図6に示す。
図5のグラフで明らかなように、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテル(HTHQ)又はロサルタンカリウム(LK)の単独投与群では、尿アルブミン/クレアチニン比の有意な抑制効果が認められた。さらに、これらの併用投与群(HTHQ+LK)では、投与初期から顕著な尿アルブミン/クレアチニン比の上昇抑制効果があることがわかった。また、表4に示されるように、併用投与群では単独投与群よりも飲水量が少なくなる傾向があり、それゆえ、併用投与群の各構成成分であるHTHQ及びロサルタンカリウムの一日投与量は単独投与群の投与量よりも少なかった。特に併用投与群のロサルタンカリウムの一日投与量は、単独投与群の約56%であった。これらのことから、併用投与群(HTHQ+LK)では、各構成成分が低濃度であっても、投与初期から顕著な尿アルブミン/クレアチニン比の上昇抑制効果があることがわかった。
また、図6のグラフに示されるように、ロサルタンカリウムは優れた降圧効果を示すところ、ロサルタンカリウムと2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテルとの併用投与群(HTHQ+LK)では、この降圧効果は維持されており、HTHQはロサルタンカリウムの降圧効果を阻害しないことが示された。また、上述したように、併用投与群のロサルタンカリウムの一日投与量は、単独投与群の約56%と少ないところ、単独投与群と同程度〜それ以上の降圧効果がみられていることから、併用投与群(HTHQ+LK)では、各構成成分が低濃度であっても、優れた降圧効果も示すことが示された。
このことより、糖尿病性腎症に対し、上述の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体とアンジオテンシンII受容体拮抗薬とを併用することにより、より有効な治療又は予防効果が得られることが示された。
本発明は、上記の実施形態又は実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態も技術的範囲に含まれるものである。
本発明は、糖尿病の合併症として引き起こされる糖尿病性腎症による腎障害を抑制することができ、糖尿病性腎症の予防又は治療のために有用である。
Claims (4)
- 前記ハイドロキノン誘導体が、2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテルまたは2,3,5−トリメチルハイドロキノン−1−ヘキシルエーテル 4−アセテートであることを特徴とする請求項1に記載の糖尿病性腎症の予防又は治療剤。
- さらに、アンジオテンシンII受容体拮抗薬を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の糖尿病性腎症の予防又は治療剤。
- 前記アンジオテンシンII受容体拮抗薬が、ロサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン及びアジルサルタンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の糖尿病性腎症の予防又は治療剤。
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Title |
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HANG L. ET AL.: "Attenuation of Glomerular Injury in Diabetic Mice with Tert-Butylhydroquinone through Nuclear Factor", AMERICAN JOURNAL OF NEPHROLOGY, vol. Vol.33, JPN6015013054, 2011, pages 289 - 297 * |
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