JPWO2015076252A1 - 組織接着性多孔質膜、その製造方法及び組織接着性多孔質膜テープ - Google Patents

組織接着性多孔質膜、その製造方法及び組織接着性多孔質膜テープ Download PDF

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Abstract

本発明の組織接着性多孔質膜1は、疎水化ゼラチン10が架橋され、多孔質構造を有する膜であって、疎水化ゼラチン10が、Lysのアミノ基12の一部が疎水性官能基11で置換されているゼラチン13であることを特徴としている。本発明の組織接着性多孔質膜1を用いることによって、湿潤組織に対する接着強度が高く適度な強度を持つ組織接着膜及びその製造方法を提供することができる。

Description

本発明は、組織接着性多孔質膜、その製造方法及び組織接着性多孔質膜テープに関する。
組織接着膜は、消化器外科、心臓血管外科等の手術の際、腸、血管、皮膚等の生体組織(以下、「組織」ともいう。)に接着が可能な高分子膜である。これを腸、血管等の吻合部に適用することにより、内容物の漏出等を防止でき、手術の安全性を高めることができる。
組織を接着する生体材料には、大きく分けて、シアノアクリレート系組織接着剤、バイオポリマーとアルデヒド系架橋剤からなる組織接着剤及びフィブリン系の組織接着剤および組織接着膜の3種類がある。
これらの組織接着剤および組織接着膜はいずれも、接着強度と生体親和性のいずれかの特性が十分ではなかった。
フィブリン系の組織接着剤および組織接着膜においては、ヒト血液を原料とした血液製剤であるため、医薬品の分類となり、承認認可の面で多大な労力を必要とする。また、医薬品分類となった場合には、認可後も、使用履歴を20年間継続して残さねばならず、多大な労力を必要とするという課題があった。
一方、非血液製剤であるゼラチン(gelatin)をスクシンイミド化ポリ−L−グルタミン酸により架橋して調製する医用材料(特許文献1)及びゼラチン又はコラーゲン(Collagen)から作成される組織接着フィルム(特許文献2)や、粒子形態の重合性および/または架橋性の材料と、粒子状材料とが混合された組織接着構成物(特許文献3)並びに側鎖にアルキル基を導入したゼラチンが報告されている。しかし、これらはいずれも、湿潤組織に対する接着力が十分でないという課題がある。
このような状況下、湿潤組織に対して接着強度が高く適度な強度を持つ組織接着膜が求められている。これまで、疎水化ゼラチンを用いた医療用フィルムが湿潤組織に対し接着性を示すことが明らかとなっているが、湿潤組織から十分に水分を吸収できず、医療用フィルム自身が膨潤してしまい、短時間で剥離してしまう場合があることが懸念されていた(非特許文献2)。
特開平9―103479号公報 特開2008−284256号公報 特表2006−523113号公報
J.Bioact.Compat.Polym.,27,481−498(2012) Polymer Preprints,Japan,Vol.62,No.1,1781(2013)
本発明は、湿潤組織に対する接着強度が高く適度な強度を持つ組織接着膜及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、ゼラチンのアミノ基に疎水基を導入した疎水化ゼラチンを含み、多孔質である組織接着性多孔質膜を調製することで、湿潤組織から十分に水分を吸収し、湿潤組織に対して接着強度が高く、かつ、適度な強度を持つ組織接着膜及びその製造方法を提供することができることを発見し、本発明を完成した。
本発明は、以下の構成を有する。
(1)疎水化ゼラチンが架橋され、多孔質構造を有する膜であって、前記疎水化ゼラチンが、Lysのアミノ基の一部が疎水性官能基で置換されているゼラチンであることを特徴とする組織接着性多孔質膜。
(2)前記多孔質構造が、前記疎水化ゼラチンの架橋構造に設けられた複数の疎水化ゼラチン間の空隙孔からなることを特徴とする(1)に記載の組織接着性多孔質膜。
(3)前記多孔質構造が、前記疎水化ゼラチンの架橋構造に設けられた複数の疎水化ゼラチン間の空隙孔と、前記架橋構造にポロゲンを鋳型として設けられたポロゲン孔とからなることを特徴とする(1)に記載の組織接着性多孔質膜。
(4)前記ポロゲン孔が、粒径が50〜100μmであるポロゲンを鋳型として設けられたものであることを特徴とする(3)に記載の組織接着性多孔質膜。
(5)前記疎水化ゼラチンが、架橋剤又は縮合剤により架橋されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の組織接着性多孔質膜。
(6)前記架橋剤又は縮合剤が、トリスクシンイミジルシトレート、ジスクシンイミジルタータレート、ジスクシンイミジルマレート、ジスクシンイミジルスクシネート、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ゲニピン、水溶性カルボジイミドの1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする(5)に記載の組織接着性多孔質膜。
(7)前記疎水化ゼラチンが、熱架橋により架橋されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の組織接着性多孔質膜。
(8)前記疎水性官能基が、飽和脂肪酸であるエチル基(炭素数2)、プロピル基(炭素数3)、ブチル基(炭素数4)、ペンチル基(炭素数5)、ヘキサノイル基(炭素数6)、ヘプタノイル基(炭素数7)、オクタノイル基(炭素数8)、ノナノイル基(炭素数9)、デカノイル基(炭素数10)、ウンデカノイル基(炭素数11)、ドデカノイル基(炭素数12)、トリデカノイル基(炭素数13)、テトラデカノイル基(炭素数14)、ペンタデカノイル基(炭素数15)、ヘキサデカノイル基(炭素数16)、ヘプタデカノイル基(炭素数17)、ステアロイル基(炭素数18)、分岐型飽和脂肪酸であるイソプロピル基(炭素数3)、イソブチル基(炭素数4)、イソペンチル基(炭素数5)、イソヘキサノイル基(炭素数6)、イソヘプタノイル基(炭素数7)、イソオクタノイル基(炭素数8)、イソノナノイル基(炭素数9)、イソデカノイル基(炭素数10)、イソウンデカノイル基(炭素数11)、イソドデカノイル基(炭素数12)、イソトリデカノイル基(炭素数13)、イソテトラデカノイル基(炭素数14)、イソペンタデカノイル基(炭素数15)、イソヘキサデカノイル基(炭素数16)、イソパルミチル基(炭素数16)、イソヘプタデカノイル基(炭素数17)、イソステアロイル基(炭素数18)、不飽和脂肪酸であるオレイル基(炭素数18、不飽和炭素1個)、リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素2個)、α−リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素3個)、細胞膜成分であるコレステリル基の1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする(1)に記載の組織接着性多孔質膜。
(9)前記ゼラチンが、ヒト、ブタ、ウシ、ティラピア、タラ由来のゼラチン又は遺伝子組換えゼラチンの1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする(1)に記載の組織接着性多孔質膜。
(10)前記組織接着性多孔質膜が薬剤を含むことを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の組織接着性多孔質膜。
(11)前記薬剤が、細胞分化誘導剤、抗ガン剤、免疫抑制剤、細胞成長因子、サイトカイン、トロンビン阻害薬、抗血栓薬、血栓溶解剤、線維素溶解薬、血管痙攣阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬、高血圧治療薬、抗菌薬、抗生物質、表面糖タンパク質受容体阻害薬、抗血小板薬、細胞分裂抑制薬、微小管阻害薬、抗分泌薬、アクチン阻害薬、リモデリング阻害薬、アンチセンス・ヌクレオチド、代謝拮抗剤、抗増殖性物質、抗癌化学治療薬、抗炎症性ステロイドまたは非ステロイド抗炎症薬、免疫抑制剤、成長ホルモン・アンタゴニスト、ドーパミン・アゴニスト、放射線治療薬、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外マトリックス成分、阻害薬、フリーラジカル・スカベンジャー、キレート剤、抗酸化剤、抗ポリメラーゼ、抗ウィルス薬、光力学治療薬、および遺伝子治療薬から選ばれる1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする(10)に記載の組織接着性多孔質膜。
(12)疎水化ゼラチンを水溶性有機溶媒に溶解させて、疎水化ゼラチン含有溶液を調製する工程と、前記疎水化ゼラチン含有溶液に架橋剤又は縮合剤を入れて疎水化ゼラチンを架橋して水溶性有機溶媒含有疎水化ゼラチン架橋体を形成する工程と、前記水溶性有機溶媒含有疎水化ゼラチン架橋体を水中に入れて、水溶性有機溶媒を水に置換して、水含有疎水化ゼラチン架橋体を形成する工程と、前記水含有疎水化ゼラチン架橋体を凍結乾燥して組織接着性多孔質膜を形成する工程と、を有することを特徴とする組織接着性多孔質膜の製造方法。
(13)疎水化ゼラチンを水溶性有機溶媒に溶解させて、疎水化ゼラチン含有溶液を調製する工程と、前記疎水化ゼラチン含有溶液にポロゲンを分散させて、ポロゲン分散疎水化ゼラチン含有溶液を調製する工程と、前記ポロゲン分散疎水化ゼラチン含有溶液に架橋剤又は縮合剤を入れて疎水化ゼラチンを架橋して水溶性有機溶媒とポロゲンとを含有する疎水化ゼラチン架橋体を形成する工程と、前記水溶性有機溶媒とポロゲンとを含有する疎水化ゼラチン架橋体を水中に入れて、水溶性有機溶媒を水に置換し、かつポロゲンを溶解、除去して、ポロゲン孔が形成された水含有疎水化ゼラチン架橋体を形成する工程と、前記ポロゲン孔が形成された水含有疎水化ゼラチン架橋体を凍結乾燥して組織接着性多孔質膜を形成する工程と、を有することを特徴とする組織接着性多孔質膜の製造方法。
(14)前記ポロゲンがNaCl、KCl、MgCl、氷、ポリエチレングリコールのいずれかの材料からなる粒子であることを特徴とする(13)に記載の組織接着性多孔質膜の製造方法。
(15)前記水溶性有機溶媒がジメチルスルホキシドであることを特徴とする(12)又は(13)に記載の組織接着性多孔質膜の製造方法。
(16)(1)〜(11)のいずれかに記載の組織接着性多孔質膜を帯状としたことを特徴とする組織接着性多孔質膜テープ。
本発明の組織接着性多孔質膜は、疎水化ゼラチンが架橋され、多孔質構造を有する膜であって、前記疎水化ゼラチンが、Lysのアミノ基の一部が疎水性官能基で置換されているゼラチンである構成なので、組織に含まれる水分の吸収と同時にゼラチンに導入した疎水性官能基を組織および細胞膜に打ち込んで(アンカーリングして)物理的に強固な結合を形成させることができ、湿潤環境下でも接着強度を高くすることができる。また、ポロゲンを鋳型として設けられた物理的多孔構造を持っているため組織に含まれる水分をより効果的に吸収することにより接着強度を高くすることができる。更に、生体組織への適用後は、多孔質構造が組織再生への足場となるという特徴がある。また、前記ゼラチンは創傷治癒過程において酵素(コラゲナーゼ)により容易に分解されるため、多孔質膜の生体親和性を高くすることができる。
本発明の組織接着性多孔質膜の製造方法は、疎水化ゼラチンを水溶性有機溶媒に溶解させて、疎水化ゼラチン含有溶液を調製する工程と、前記疎水化ゼラチン含有溶液に架橋剤又は縮合剤を入れて疎水化ゼラチンを架橋して水溶性有機溶媒含有疎水化ゼラチン架橋体を形成する工程と、前記水溶性有機溶媒含有疎水化ゼラチン架橋体を水中に入れて、水溶性有機溶媒を水に置換して、水含有疎水化ゼラチン架橋体を形成する工程と、前記水含有疎水化ゼラチン架橋体を凍結乾燥して組織接着性多孔質膜を形成する工程と、を有する構成なので、湿潤環境下でも接着強度が高く適度な強度を持つ組織接着性多孔質膜を容易に製造できる。
本発明の組織接着性多孔質膜の製造方法は、疎水化ゼラチンを水溶性有機溶媒に溶解させて、疎水化ゼラチン含有溶液を調製する工程と、前記疎水化ゼラチン含有溶液にポロゲンを分散させて、ポロゲン分散疎水化ゼラチン含有溶液を調製する工程と、前記ポロゲン分散疎水化ゼラチン含有溶液に架橋剤又は縮合剤を入れて疎水化ゼラチンを架橋して水溶性有機溶媒とポロゲンとを含有する疎水化ゼラチン架橋体を形成する工程と、前記水溶性有機溶媒とポロゲンとを含有する疎水化ゼラチン架橋体を水中に入れて、水溶性有機溶媒を水に置換し、かつポロゲンを溶解、除去して、ポロゲン孔が形成された水含有疎水化ゼラチン架橋体を形成する工程と、前記ポロゲン孔が形成された水含有疎水化ゼラチン架橋体を凍結乾燥して組織接着性多孔質膜を形成する工程と、を有する構成なので、ポロゲンを鋳型として設けられた物理的多孔構造を持っているため組織に含まれる水分を吸収することにより接着強度を高くすることができ、湿潤環境下でも接着強度が高く適度な強度を持つ組織接着性多孔質膜を容易に製造できる。
本発明の組織接着性多孔質膜テープは、先に記載の組織接着性多孔質膜を帯状とした構成なので、腸の切断部などを容易に巻くことができ、そのまま放置することにより、組織接着させることができる。
本発明の第1の実施形態である組織接着性多孔質膜を示す概略図である。 本発明の第1の実施形態である組織接着性多孔質膜を生体組織に適用した際の組織接着性多孔質膜の接着を示す概略図である。 本発明の第1の実施形態である組織接着性多孔質膜の製造方法の一例を説明する工程図である。 本発明の第2の実施形態である組織接着性多孔質膜を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態である組織接着性多孔質膜を生体組織に適用した際の組織接着性多孔質膜の接着を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態である組織接着性多孔質膜の製造方法の一例を説明する工程図である。 組織接着性多孔質膜とブタ大腸表皮との接着試験の概略図である。 実施例1の組織接着性多孔質膜の断面の電子顕微鏡写真である。 実施例2の組織接着性多孔質膜の表面の電子顕微鏡写真である。 実施例3の組織接着性多孔質膜の表面の電子顕微鏡写真である。 実施例4の組織接着性多孔質膜の表面の電子顕微鏡写真である。 実施例5の組織接着性多孔質膜の表面の電子顕微鏡写真である。 実施例6の組織接着性多孔質膜の表面の電子顕微鏡写真である。 比較例1の多孔質膜の断面の電子顕微鏡写真である。 比較例2の多孔質膜の表面の電子顕微鏡写真である。 比較例3の多孔質膜の表面の電子顕微鏡写真である。 比較例4の多孔質膜の表面の電子顕微鏡写真である。 比較例5の多孔質膜の表面の電子顕微鏡写真である。 比較例6の多孔質膜の表面の電子顕微鏡写真である。 実施例13〜17の組織接着性多孔質膜の断面の電子顕微鏡写真である。 実施例13〜17の組織接着性多孔質膜の表面の電子顕微鏡写真である。 疎水化ゼラチンにおける疎水性官能基の鎖長に関して、実施例7〜12の組織接着性多孔質膜及び比較例11の多孔質膜とブタ大腸表皮との接着試験の結果を示すグラフである。 ポロゲンであるNaClの粒径に関して、実施例13〜17の組織接着性多孔質膜及び比較例7〜11の多孔質膜とブタ大腸表皮との接着試験の結果を示すグラフである。 実施例13〜17の組織接着性多孔質膜及び比較例7〜11の多孔質膜の吸水速度試験の結果を示すグラフである。 実施例1〜6の組織接着性多孔質膜及び比較例1〜6の多孔質膜のL929細胞培養試験の結果を示すグラフである。 実施例1〜6の組織接着性多孔質膜及び比較例1〜6の多孔質膜上でのL929細胞の伸展の様子を示す顕微鏡写真である。 実施例2、5の組織接着性多孔質膜及び比較例2、5の多孔質膜を用いた血管新生評価の結果を示すグラフである。
(本発明の実施形態)
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜、その製造方法及び組織接着性多孔質膜テープについて説明する。
(本発明の第1の実施形態)
<組織接着性多孔質膜>
まず、本発明の第1の実施形態である組織接着性多孔質膜について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態である組織接着性多孔質膜を示す概略図である。
図1に示すように、組織接着性多孔質膜1は、疎水化ゼラチン10が架橋され、複数の孔10c1からなる多孔質構造を有する膜である。組織接着性多孔質膜1は、疎水化ゼラチン10のみが膜状に集積されてなる。
組織接着性多孔質膜1の形状は、例えば、平面視略矩形状である。膜の一面と他面はそれぞれ平坦な面とされている。組織接着性多孔質膜1の大きさは特に限られるものではないが、例えば、一辺の長さが8mm、厚さが100μmの膜とすることができる。
しかし、組織接着性多孔質膜1の形状はこれに限られるものではなく、平面視略円形状であってもよく、平面視略楕円形状であってもよい。
疎水化ゼラチン10は、ゼラチンからなる主鎖13と、その側鎖にアミノ基12と疎水性官能基11とを備えている。ゼラチン骨格を用いることにより、創傷治癒過程において酵素により容易に分解させることができ、多孔質膜の生体親和性を高くできる。
疎水化ゼラチン10は、アミノ酸として含まれるLysのアミノ基12の一部が疎水性官能基11で置換されているゼラチンである。
Lysは、タンパク質を構成するα−アミノ酸の一つであり、必須アミノ酸である。Lysは、側鎖にε−アミノ基を持つアミノ酸である。
Lysのアミノ基の一部は、公知の方法により、疎水性官能基11で容易に置換できる。本実施形態では、一般に公知の方法を利用して、疎水化ゼラチン10のLysのアミノ基12の一部は疎水性官能基11で置換されている。
主鎖13となるゼラチンとしては、例えば、ヒト、ブタ、ウシ、ティラピア、タラ由来のゼラチン及び遺伝子組換えゼラチンを挙げることができる。これらのゼラチンの1種または2種以上の組み合わせを用いてもよい。
疎水化ゼラチン10の分子量は、50000超100000以下であることが好ましく、60000超100000以下がより好ましく、70000超100000以下が更に好ましい。疎水化ゼラチン10の分子量をこの範囲とすることによって、多孔質膜の強度を実用に耐え得る程度に保持することができるとともに、ゼラチンからなる主鎖の移動の自由度を高め、後述する疎水性官能基11の組織へのアンカーリングの自由度も高めることができ、組織に対する多孔質膜の接着強度を向上させることができる。
疎水化ゼラチン10の分子量が50000以下の場合には、多孔質膜としての強度が低く、形状を維持することが難しい。
組織接着性多孔質膜1は、複数の孔10c1からなる多孔質構造を有している。孔10c1の形状は特に限定されず、様々な形状の孔を含む。また、孔径は、組織に含まれる水分を効率よく吸収するために、30μm以上500μm以下が好ましく、50μm以上100μm以下がより好ましい。多孔質構造は、疎水化ゼラチン10の架橋構造に設けられた複数の疎水化ゼラチン10間の空隙孔10c1からなる。
本実施形態では、疎水化ゼラチン10が、架橋剤又は縮合剤により架橋されていることが好ましい。
架橋剤又は縮合剤としては、トリスクシンイミジルシトレート、ジスクシンイミジルタータレート、ジスクシンイミジルマレート、ジスクシンイミジルスクシネート、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ゲニピン、水溶性カルボジイミドの1種または2種以上の組み合わせを挙げることができる。
疎水性官能基11としては、飽和脂肪酸であるエチル基(炭素数2)、プロピル基(炭素数3)、ブチル基(炭素数4)、ペンチル基(炭素数5)、ヘキサノイル基(炭素数6)、ヘプタノイル基(炭素数7)、オクタノイル基(炭素数8)、ノナノイル基(炭素数9)、デカノイル基(炭素数10)、ウンデカノイル基(炭素数11)、ドデカノイル基(炭素数12)、トリデカノイル基(炭素数13)、テトラデカノイル基(炭素数14)、ペンタデカノイル基(炭素数15)、ヘキサデカノイル基(炭素数16)、ヘプタデカノイル基(炭素数17)、ステアロイル基(炭素数18)、分岐型飽和脂肪酸であるイソプロピル基(炭素数3)、イソブチル基(炭素数4)、イソペンチル基(炭素数5)、イソヘキサノイル基(炭素数6)、イソヘプタノイル基(炭素数7)、イソオクタノイル基(炭素数8)、イソノナノイル基(炭素数9)、イソデカノイル基(炭素数10)、イソウンデカノイル基(炭素数11)、イソドデカノイル基(炭素数12)、イソトリデカノイル基(炭素数13)、イソテトラデカノイル基(炭素数14)、イソペンタデカノイル基(炭素数15)、イソヘキサデカノイル基(炭素数16)、イソパルミチル基(炭素数16)、イソヘプタデカノイル基(炭素数17)、イソステアロイル基(炭素数18)、不飽和脂肪酸であるオレイル基(炭素数18、不飽和炭素1個)、リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素2個)、α−リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素3個)、細胞膜成分であるコレステリル基の1種または2種以上の組み合わせを挙げることができる。
本実施形態では、疎水化ゼラチン10は、熱架橋14により架橋されていることが好ましい。疎水化ゼラチン10を熱架橋すると、疎水化ゼラチン10内に、直鎖状の高分子間を連結するペプチド結合が形成される。これにより、水に対して不溶化でき、膜の強度が高められ、湿潤環境下でも接着強度が高く適度な強度を持つ組織接着性多孔質膜とすることができる。
組織接着性多孔質膜1を生体組織に貼付すると、疎水化ゼラチン10に導入した疎水性官能基11が、組織中に含まれる細胞外マトリックスの疎水性ドメインおよび細胞の脂質二分子膜にアンカーリングすることにより、組織接着性多孔質膜1が組織に強固に固定される。
また、組織接着性多孔質膜1は多孔質構造を有しているので、生体組織中の水分を吸収することができる。これにより、組織接着性多孔質膜1と生体組織との接着面において水分が除去されることにより、組織接着性多孔質膜1の組織への接着がより強固なものとなる。
疎水性官能基11の鎖長が短い場合(炭素数1以下)、疎水化ゼラチン10の疎水性度が低いため、疎水性官能基11のアンカーリング効果が十分に得られず、組織接着性多孔質膜1を組織に強固に固定することはできない。
<本実施形態の組織接着性多孔質膜を用いた組織への接着性について>
次に、本発明の第1の実施形態の組織接着性多孔質膜を用いた組織への接着性について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態である組織接着性多孔質膜を生体組織に適用した際の組織接着性多孔質膜の接着を示す概略図である。
図2に示すように、疎水的な相互作用により、一定の分子量及び大きさを有する疎水性官能基11が組織21に突き刺さっている(これをアンカーリングという)。これにより、組織接着性多孔質膜1は、強固に組織21に固定される。
また、多孔質構造を有する組織接着性多孔質膜1の孔10c内に生体組織中の水分を吸収することで、組織接着性多孔質膜1と組織21との接着部位の水分が除去される。これにより、組織接着性多孔質膜1は、物理的に強固に組織21に接着することができる。
なお、アンカーリングしていない疎水性官能基11も存在する。
組織接着性多孔質膜1の両面を利用して2つの組織を接着する場合には、接着操作は、組織21の一面に、組織接着性多孔質膜1の一面を貼り付けてから、組織接着性多孔質膜1の他面に別の組織を貼り付けて、室温で放置するだけである。
放置時間は、組織接着性多孔質膜1が組織21内の水分を吸収するのに十分な時間であり、組織接着性多孔質膜1中の疎水化ゼラチン10の主鎖13となるゼラチンの種類、疎水性官能基11の種類等によって適宜設定する。例えば、3分程度とすることができる。
<本発明の第1の実施形態である組織接着性多孔質膜の製造方法>
次に、本発明の第1の実施形態である組織接着性多孔質膜の製造方法について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態である組織接着性多孔質膜の製造方法の一例を説明する工程図である。
本発明の第1の実施形態である組織接着性多孔質膜の製造方法は、疎水化ゼラチン含有溶液調製工程S1と、水溶性有機溶媒含有疎水化ゼラチン架橋体形成工程S2と、水含有疎水化ゼラチン架橋体形成工程S3と、組織接着性多孔質膜形成工程S4とを有する。なお、疎水化ゼラチンは次の疎水化ゼラチン合成工程S21により作成することが好ましい。
(疎水化ゼラチン合成工程S21)
疎水化ゼラチン合成工程S21は、ゼラチンを溶解させた溶液にトリエチルアミン存在下で疎水性官能基を有する有機分子を添加し、前記ゼラチンの側鎖のアミノ基の一部を前記疎水性官能基で置換して、疎水化ゼラチンを合成する工程である。
なお、前記ゼラチンとしては、疎水化ゼラチンの分子量が50000超100000以下となるものを選択する。
まず、有機溶媒に溶解したゼラチンにトリエチルアミン存在下で、アミノ基に反応性を有する疎水性官能基を有する有機分子を混合して、混合溶液を容器に調製する。
有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)を用いる。
アミノ基に反応性を有する疎水性官能基を有する有機分子としては、例えば、下記化学式(1)に示すヘキサノイルクロライドを挙げることができる。
次に、前記混合溶液を、不活性ガス雰囲気下、加熱し、攪拌する。例えば、窒素雰囲気下、加熱温度は80℃とし、攪拌時間は一昼夜とする。
次に、この混合溶液を、氷冷したエタノール溶媒中に滴下する。次に、この溶液をガラスフィルター等で濾過する。
更に、濾過物を有機溶媒で洗浄する。これにより、濾過物中の不純物を除去することができ、疎水化ゼラチンの純度を向上させることができる。この洗浄用の有機溶媒としては、例えば、エタノールを用いる。
以上の工程により、ゼラチンの側鎖のアミノ基の一部を疎水性官能基で置換した疎水化ゼラチンを合成できる。
(疎水化ゼラチン含有溶液調製工程S1)
前記疎水化ゼラチンを水溶性有機溶媒に溶解させて、図3(a)に示すように、容器50中で、疎水化ゼラチン含有溶液51を調製する。水溶性有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)を挙げることができる。
(水溶性有機溶媒含有疎水化ゼラチン架橋体形成工程S2)
疎水化ゼラチン含有溶液51に架橋剤又は縮合剤を入れて架橋する。これにより、図3(b)に示すように、疎水化ゼラチン10を架橋して水溶性有機溶媒含有疎水化ゼラチン架橋体53を形成する。水溶性有機溶媒含有疎水化ゼラチン架橋体53は、疎水化ゼラチン10が網の目状にネットワーク化されてなり、水溶性有機溶媒55を含有している。疎水化ゼラチン10は疎水化ゼラチン分子鎖であり、ゼラチンからなる主鎖と、その側鎖にアミノ基と疎水性官能基とを備えている。
(水含有疎水化ゼラチン架橋体形成工程S3)
水溶性有機溶媒含有疎水化ゼラチン架橋体53を大過剰の水へ浸漬する。例えば、水中に入れる。これにより、図3(c)に示すように、水溶性有機溶媒含有疎水化ゼラチン架橋体53の水溶性有機溶媒55を水20に置換して、水含有疎水化ゼラチン架橋体58を形成する。このとき、水溶性有機溶媒55の他、未反応の架橋剤や、架橋副生成物が除去される。
(組織接着性多孔質膜形成工程S4)
水含有疎水化ゼラチン架橋体58を凍結乾燥する。これにより、図3(d)に示すように、水分子が除去され、疎水化ゼラチン10の架橋構造に設けられた複数の疎水化ゼラチン10間の空隙孔10c1からなる多孔質構造が形成され、組織接着性多孔質膜1が形成される。
(本発明の第2の実施形態)
<本発明の第2の実施形態である組織接着性多孔質膜>
まず、本発明の第2の実施形態である組織接着性多孔質膜について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態である組織接着性多孔質膜を示す概略図である。
本発明の第2の実施形態である組織接着性多孔質膜2は、空隙孔10c1に加えて、ポロゲン孔10c2が設けられている他は、本発明の第1の実施形態である組織接着性多孔質膜1と同様の構成である。
ポロゲン(progen)とは、孔の鋳型となる粒子のことであり、ポロゲンの材料としては、NaCl、KCl、MgCl、氷、ポリエチレングリコールを挙げることができる。
ポロゲン孔とは、ポロゲンを鋳型として架橋構造に設けられた孔である。
上記で例示したポロゲン材料は水溶性なので、例えば、これらのポロゲン材料を用いる場合には、後述する製造方法において、水溶性有機溶媒とポロゲンとを含有する疎水化ゼラチン架橋体の水溶性有機溶媒を水に置換する際に、ポロゲンが水中に溶解することで、疎水化ゼラチン架橋体からポロゲンが容易に除去される。これにより、組織接着性多孔質膜2にポロゲン孔10c2が形成される。
ポロゲン孔10c2は、ポロゲンを鋳型として設けられた孔であるので、用いたポロゲンの形状とほぼ同一の形状、大きさに規定されている。また、各ポロゲンの形状、大きさを同一とすることにより、ポロゲン孔の形状及び大きさを同一にできる。図4では、球状のポロゲン孔を例示している。しかし、ポロゲン孔の形状はこれに限られるものではない。
ポロゲンの大きさは、作製する組織接着性多孔質膜の形状や大きさ、疎水化ゼラチンの主鎖となるゼラチンの種類、疎水性官能基の種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、粒径が50〜100μmであるポロゲンを用いることができる。
<本実施形態の組織接着性多孔質膜を用いた組織への接着性について>
次に、本発明の第2の実施形態の組織接着性多孔質膜を用いた組織への接着性について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態である組織接着性多孔質膜を生体組織に適用した際の組織接着性多孔質膜の接着を示す概略図である。
組織接着性多孔質膜2は、ポロゲン孔10c2が設けられている他は、本発明の第1の実施形態である組織接着性多孔質膜1と同様の構成である。
組織接着性多孔質膜2は、ポロゲン孔10c2が設けられていることにより、組織接着性多孔質膜1に比べて、生体組織中の水分をより効果的に吸収して、組織接着性多孔質膜2と組織21との接着部位の水分をより効果的に除去することができ、組織接着性多孔質膜2は物理的により強固に組織21に接着することができる。
<本発明の第2の実施形態である組織接着性多孔質膜の製造方法>
次に、本発明の第2の実施形態である組織接着性多孔質膜の製造方法について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態である組織接着性多孔質膜の製造方法の一例を説明する工程図である。
本発明の第2の実施形態である組織接着性多孔質膜の製造方法は、疎水化ゼラチン含有溶液調製工程S11と、ポロゲン分散疎水化ゼラチン含有溶液調製工程S12と、水溶性有機溶媒とポロゲンとを含有する疎水化ゼラチン架橋体形成工程S13と、ポロゲン孔が形成された水含有疎水化ゼラチン架橋体形成工程S14と、組織接着性多孔質膜形成工程S15とを有する。
(疎水化ゼラチン含有溶液調製工程S11)
疎水化ゼラチンを水溶性有機溶媒に溶解させて、図6(a)に示すように、容器50中に、疎水化ゼラチン含有溶液51を調製する。水溶性有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)を挙げることができる。
(ポロゲン分散疎水化ゼラチン含有溶液調製工程S12)
疎水化ゼラチン含有溶液51にポロゲン62を分散させて、図6(b)に示すように、容器50中に、ポロゲン分散疎水化ゼラチン含有溶液60を調製する。
(水溶性有機溶媒とポロゲンとを含有する疎水化ゼラチン架橋体形成工程S13)
ポロゲン分散疎水化ゼラチン含有溶液60に架橋剤又は縮合剤を入れて架橋する。これにより、図6(c)に示すように、水溶性有機溶媒とポロゲンとを含有する疎水化ゼラチン架橋体63を形成する。水溶性有機溶媒とポロゲンとを含有する疎水化ゼラチン架橋体63は、疎水化ゼラチン10が網の目状にネットワーク化されてなり、水溶性有機溶媒55及びポロゲン62を含有している。疎水化ゼラチン10は疎水化ゼラチン分子鎖であり、ゼラチンからなる主鎖と、その側鎖にアミノ基と疎水性官能基とを備えている。
(ポロゲン孔が形成された水含有疎水化ゼラチン架橋体形成工程S14)
水溶性有機溶媒とポロゲンとを含有する疎水化ゼラチン架橋体63を大過剰の水に浸漬する。例えば、水中に入れる。これにより、図6(d)に示すように、水溶性有機溶媒55を水20に置換することができ、未反応の架橋剤、架橋副生成物およびポロゲン62を溶解・除去することができる。ポロゲン62の溶解・除去により、物理的に、ポロゲン孔10c2が設けられる。これにより、ポロゲン孔10c2が形成された水含有疎水化ゼラチン架橋体68が形成される。ポロゲン孔10c2が形成された水含有疎水化ゼラチン架橋体68は、疎水化ゼラチン10の疎水化ゼラチン分子鎖の間に水20を含有するとともに、ポロゲン孔10c2内に水20を含有している。
(組織接着性多孔質膜形成工程S15)
水含有疎水化ゼラチン架橋体68を凍結乾燥する。これにより、架橋構造の孔から水が除去され、疎水化ゼラチン10の架橋構造に設けられた複数の疎水化ゼラチン10間の空隙孔10c1とポロゲン孔10c2とからなる多孔質構造を有する組織接着性多孔質膜2を得ることができる。
なお、本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜1、2には、更に、薬剤を含ませても良い。これにより、組織接着に用いたときに、多孔質膜が組織に強固に接着するだけでなく、薬剤による治療を行うことができる。
前記薬剤としては、細胞分化誘導剤、抗ガン剤、免疫抑制剤、細胞成長因子、サイトカイン、トロンビン阻害薬、抗血栓薬、血栓溶解剤、線維素溶解薬、血管痙攣阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬、高血圧治療薬、抗菌薬、抗生物質、表面糖タンパク質受容体阻害薬、抗血小板薬、細胞分裂抑制薬、微小管阻害薬、抗分泌薬、アクチン阻害薬、リモデリング阻害薬、アンチセンス・ヌクレオチド、代謝拮抗剤、抗増殖性物質、抗癌化学治療薬、抗炎症性ステロイドまたは非ステロイド抗炎症薬、免疫抑制剤、成長ホルモン・アンタゴニスト、ドーパミン・アゴニスト、放射線治療薬、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外マトリックス成分、阻害薬、フリーラジカル・スカベンジャー、キレート剤、抗酸化剤、抗ポリメラーゼ、抗ウィルス薬、光力学治療薬、および遺伝子治療薬から選ばれる1種または2種以上の組み合わせを挙げることができる。これらの薬剤を用いることにより、組織に対して適切に治療することができる。
<組織接着性多孔質膜テープ>
次に、本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜テープについて説明する。
組織接着性多孔質膜テープは、組織接着性多孔質膜1、2が帯状とされてなる。これにより、組織の切断部分の大きさ、形状に合わせて、テープ片を作成することができ、容易に組織接着することができる。例えば、腸であれば、切断面に合わせて巻いて接合することができる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜1、2は、疎水化ゼラチン10が架橋され、多孔質構造を有する膜であって、疎水化ゼラチン10が、Lysのアミノ基12の一部が疎水性官能基11で置換されているゼラチン13である構成なので、組織に含まれる水分の吸収と同時にゼラチンに導入した疎水性官能基11を組織および細胞膜に打ち込んで(アンカーリングして)物理的に強固な結合を形成させることができ、湿潤環境下でも接着強度を高くすることができる。また、組織接着性多孔質膜2は、ポロゲンを鋳型として設けられた物理的多孔構造を持っているため組織に含まれる水分をより効果的に吸収することにより接着強度を高くすることができる。更に、組織接着性多孔質膜1、2は、生体組織への適用後は、多孔質構造が組織再生への足場となるという特徴がある。また、ゼラチン13は創傷治癒過程において酵素(コラゲナーゼ)により容易に分解されるため、組織接着性多孔質膜1、2の生体親和性を高くすることができる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜1は、前記多孔質構造が、疎水化ゼラチン10の架橋構造に設けられた複数の疎水化ゼラチン10間の空隙孔10c1からなる構成なので、空隙孔10c1により、組織に含まれる水を吸収して、湿潤環境下でも接着強度が高く適度な強度を持つことができるとともに、組織の侵入を容易にして、組織再生に優れた足場として利用できる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜2は、前記多孔質構造が、空隙孔10c1と、前記架橋構造にポロゲンを鋳型として設けられたポロゲン孔10c2とからなる構成なので、空隙孔10c1だけでなくポロゲン孔10c2により、組織に含まれる水をより効果的に吸収して、湿潤環境下でも接着強度が高く適度な強度を持つ膜として利用できるとともに、組織の侵入をより容易にして、組織再生に優れた足場として利用できる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜2は、ポロゲン孔10c2が、粒径が50〜100μmであるポロゲンを鋳型として設けられた構成なので、水分の吸収率を適切に制御でき、組織の侵入率も適切に制御することができ、湿潤環境下でも接着強度が高く適度な強度を持つ膜として利用できるとともに、接着強度が高く適度な強度を持つ膜及び組織再生に優れた足場として利用できる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜1、2は、疎水化ゼラチン10が、架橋剤又は縮合剤により架橋されている構成なので、水に対して不溶化でき、膜の強度が高められ、湿潤環境下でも接着強度が高く適度な強度を持つ組織接着性多孔質膜とすることができる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜1、2は、前記架橋剤又は縮合剤が、トリスクシンイミジルシトレート、ジスクシンイミジルタータレート、ジスクシンイミジルマレート、ジスクシンイミジルスクシネート、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ゲニピン、水溶性カルボジイミドの1種または2種以上の組み合わせである構成なので、水に対して不溶化でき、膜の強度が高められ、湿潤環境下でも接着強度が高く適度な強度を持つ組織接着性多孔質膜とすることができる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜1、2は、疎水化ゼラチン10が、熱架橋14により架橋されている構成なので、水に対して不溶化でき、膜の強度が高められ、湿潤環境下でも接着強度が高く適度な強度を持つ組織接着性多孔質膜とすることができる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜1、2は、疎水性官能基11が、飽和脂肪酸であるエチル基(炭素数2)、プロピル基(炭素数3)、ブチル基(炭素数4)、ペンチル基(炭素数5)、ヘキサノイル基(炭素数6)、ヘプタノイル基(炭素数7)、オクタノイル基(炭素数8)、ノナノイル基(炭素数9)、デカノイル基(炭素数10)、ウンデカノイル基(炭素数11)、ドデカノイル基(炭素数12)、トリデカノイル基(炭素数13)、テトラデカノイル基(炭素数14)、ペンタデカノイル基(炭素数15)、ヘキサデカノイル基(炭素数16)、ヘプタデカノイル基(炭素数17)、ステアロイル基(炭素数18)、分岐型飽和脂肪酸であるイソプロピル基(炭素数3)、イソブチル基(炭素数4)、イソペンチル基(炭素数5)、イソヘキサノイル基(炭素数6)、イソヘプタノイル基(炭素数7)、イソオクタノイル基(炭素数8)、イソノナノイル基(炭素数9)、イソデカノイル基(炭素数10)、イソウンデカノイル基(炭素数11)、イソドデカノイル基(炭素数12)、イソトリデカノイル基(炭素数13)、イソテトラデカノイル基(炭素数14)、イソペンタデカノイル基(炭素数15)、イソヘキサデカノイル基(炭素数16)、イソパルミチル基(炭素数16)、イソヘプタデカノイル基(炭素数17)、イソステアロイル基(炭素数18)、不飽和脂肪酸であるオレイル基(炭素数18、不飽和炭素1個)、リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素2個)、α−リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素3個)、細胞膜成分であるコレステリル基の1種または2種以上の組み合わせである構成なので、疎水性官能基11を組織に打ち込んで(アンカーリングして)物理的に強固な結合を形成して、接着強度を高くすることができる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜1、2は、ゼラチン13が、ヒト、ブタ、ウシ、ティラピア、タラ由来のゼラチン又は遺伝子組換えゼラチンの1種または2種以上の組み合わせである構成なので、膜の強度を高めることができる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜1、2は、薬剤を含む構成なので、組織の治療効果を高めることができる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜1、2は、前記薬剤が、細胞分化誘導剤、抗ガン剤、免疫抑制剤、細胞成長因子、サイトカイン、トロンビン阻害薬、抗血栓薬、血栓溶解剤、線維素溶解薬、血管痙攣阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬、高血圧治療薬、抗菌薬、抗生物質、表面糖タンパク質受容体阻害薬、抗血小板薬、細胞分裂抑制薬、微小管阻害薬、抗分泌薬、アクチン阻害薬、リモデリング阻害薬、アンチセンス・ヌクレオチド、代謝拮抗剤、抗増殖性物質、抗癌化学治療薬、抗炎症性ステロイドまたは非ステロイド抗炎症薬、免疫抑制剤、成長ホルモン・アンタゴニスト、ドーパミン・アゴニスト、放射線治療薬、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外マトリックス成分、阻害薬、フリーラジカル・スカベンジャー、キレート剤、抗酸化剤、抗ポリメラーゼ、抗ウィルス薬、光力学治療薬、および遺伝子治療薬から選ばれる1種または2種以上の組み合わせである構成なので、組織の上記薬剤による特定の治療効果を適切に高めることができる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜1の製造方法は、疎水化ゼラチンを水溶性有機溶媒に溶解させて、疎水化ゼラチン含有溶液51を調製する工程と、疎水化ゼラチン含有溶液51に架橋剤又は縮合剤を入れて疎水化ゼラチンを架橋して水溶性有機溶媒含有疎水化ゼラチン架橋体53を形成する工程と、水溶性有機溶媒含有疎水化ゼラチン架橋体53を水中に入れて、水溶性有機溶媒を水に置換して、水含有疎水化ゼラチン架橋体58を形成する工程と、水含有疎水化ゼラチン架橋体58を凍結乾燥して組織接着性多孔質膜1を形成する工程と、を有する構成なので、疎水化ゼラチン10の架橋構造に設けられた複数の疎水化ゼラチン間に複数の空隙孔10c1を形成して、多孔質構造を容易に形成でき、湿潤環境下でも接着強度を高く適度な強度を持つ組織接着性多孔質膜を容易に製造できる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜2の製造方法は、疎水化ゼラチンを水溶性有機溶媒に溶解させて、疎水化ゼラチン含有溶液51を調製する工程と、疎水化ゼラチン含有溶液51にポロゲン62を分散させて、ポロゲン分散疎水化ゼラチン含有溶液60を調製する工程と、ポロゲン分散疎水化ゼラチン含有溶液60に架橋剤又は縮合剤を入れて疎水化ゼラチンを架橋して水溶性有機溶媒とポロゲンとを含有する疎水化ゼラチン架橋体63を形成する工程と、水溶性有機溶媒とポロゲンとを含有する疎水化ゼラチン架橋体63を水中に入れて、水溶性有機溶媒を水に置換し、かつポロゲンを溶解、除去して、ポロゲン孔が形成された水含有疎水化ゼラチン架橋体68を形成する工程と、ポロゲン孔が形成された水含有疎水化ゼラチン架橋体68を凍結乾燥して組織接着性多孔質膜2を形成する工程と、を有する構成なので、空隙孔10c1だけでなく、ポロゲン孔10c2からなる多孔質構造により組織中に含まれる水分をより効果的に吸収して、湿潤環境下でも接着強度を高く適度な強度を持つ組織接着性多孔質膜を容易に製造できる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜2の製造方法は、前記ポロゲンがNaCl、KCl、MgCl、氷、ポリエチレングリコールのいずれかの材料からなる粒子である構成なので、架橋構造にポロゲンを鋳型として設けられたポロゲン孔を容易に形成できる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜1、2の製造方法は、前記水溶性有機溶媒がジメチルスルホキシドである構成なので、安定した架橋構造体を形成できるとともに、容易に水に置換できる。
本発明の実施形態である組織接着性テープは、先に記載の組織接着性多孔質膜1、2を帯状とした構成なので、腸の切断部などを容易に巻くことができ、そのまま放置することにより、組織接着させることができる。
本発明の実施形態である組織接着性多孔質膜、その製造方法及び組織接着性多孔質膜テープは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(組織接着性多孔質膜の作製)
<疎水化AlGltnの合成と導入率の確認>
まず、アルカリ処理ゼラチン(以下、AlGltnとも表記する。)を用意した。アルカリ処理ゼラチンとは、ゼラチンに存在するアスパラギン、グルタミンを脱アミド化によりアスパラギン酸、グルタミン酸に変換したゼラチンである。
次に、Matsudaらの方法(非特許文献1)に従って、Hexanoyl chlorideを用いて、アルカリ処理ゼラチン(AlGltn)の疎水化処理をして、ヘキサノイル基(Hx:C)を導入した疎水化AlGltn(HxAlGltn)を調製した。
TNBS法(DMSO溶媒)を用いた吸光度測定を行った。これにより、HxAlGltnにおけるヘキサノイル基の導入率が27%となったことを確認した。以下、これを27HxAlGltnと表記する。
<製膜>
HxAlGltn含有溶液の流動性を高めるために、前記27HxAlGltnをAlGltnと混合して、相対的に25HxAlGltnとしたものを調製した(以下、これを25’(27)HxAlGltnと表記する。)。25’(27)HxAlGltnは、25w/v%の含有割合で10%乳酸−DMSO混合溶媒に溶解させると、製膜に適した流動性があった。
そこで、25w/v%の25’(27)HxAlGltn/10%乳酸−DMSOを用いて、多孔質膜を作製した。
架橋剤としては、トリスクシンイミジルシトレート(TSC)を用い、HxAlGltnのアミノ基と、TSC中に含まれるスクシンイミジル基とのモル比が1:1となるように、25w/v%の25’(27)HxAlGltn/10%乳酸−DMSO 8mLとTSC/10%乳酸−DMSO 2mLとをハンドスターラーで十分混合撹拌して、20w/w%のHxAlGltn溶液を得た。
次に、ポロゲンとしてNaCl(粒径250〜500μm:平均粒径375μm)を用いて、HxAlGltn溶液とNaClとの重量比が1:0となるように混合した。
次に、ユニパックに得られた混合物を詰めて、ガラス板に1mmのシリコーンシートと共にクリップで留めて挟み、一晩静置して、HxAlGltnのアミノ基をTSCにより架橋した。
架橋後、得られたゲル状のDMSO・NaCl含有HxAlGltn架橋体を4℃に冷却した超純水中に放ち、超純水を大過剰量で交換しながら3日間浸漬して、DMSOを水に置換するとともに、NaCl、乳酸、DMSO、架橋副生成物であるN−ヒドロキシスクシンイミドを除去した。
得られた水含有HxAlGltn架橋体を−80℃で凍結させた後に減圧乾燥を行い、組織接着性多孔質膜を得た。
(実施例2)
HxAlGltn溶液とNaCl(粒径250〜500μm:平均粒径375μm)との重量比が1:1となるようにした他は実施例1と同様にして、組織接着性多孔質膜を作製した。
(実施例3)
HxAlGltn溶液とNaCl(粒径250〜500μm:平均粒径375μm)との重量比が1:2となるようにした他は実施例1と同様にして、組織接着性多孔質膜を作製した。
(実施例4)
HxAlGltn溶液とNaCl(粒径250〜500μm:平均粒径375μm)との重量比が1:3となるようにした他は実施例1と同様にして、組織接着性多孔質膜を作製した。
(実施例5)
HxAlGltn溶液とNaCl(粒径250〜500μm:平均粒径375μm)との重量比が1:4となるようにした他は実施例1と同様にして、組織接着性多孔質膜を作製した。
(実施例6)
HxAlGltn溶液とNaCl(粒径250〜500μm:平均粒径375μm)との重量比が1:5となるようにした他は実施例1と同様にして、組織接着性多孔質膜を作製した。
図8〜13は、実施例1〜6の組織接着性多孔質膜の電子顕微鏡写真である。
これらの電子顕微鏡写真より、多孔質構造が形成されており、作製時におけるNaClの混合量が増えるにつれ、孔が多く存在しているのが分かる。
(比較例1)
疎水化していないAlGltnを用いて、25w/v%のAlGltn/10%乳酸−DMSO 8mLとTSC/10%乳酸−DMSO 2mLとをハンドスターラーで十分混合撹拌して、20w/w%のAlGltn溶液を得た。
次に、ポロゲンとしてNaCl(粒径250〜500μm:平均粒径375μm)を用いて、AlGltn溶液とNaClとの重量比が1:0となるように混合した。
次に、ユニパックに得られた混合物を詰めて、ガラス板に1mmのシリコーンシートと共にクリップで留めて挟み、一晩静置して、AlGltnのアミノ基をTSCにより架橋した。
架橋後、得られたゲル状のDMSO・NaCl含有AlGltn架橋体を4℃に冷却した超純水中に放ち、超純水を大過剰量で交換しながら3日間浸漬して、DMSOを水に置換するとともに、NaCl、乳酸、DMSO、架橋副生成物であるN−ヒドロキシスクシンイミドを除去した。
得られた水含有AlGltn架橋体を−80℃で凍結させた後に減圧乾燥を行い、非疎水化アルカリ処理ゼラチン製の多孔質膜を得た。
(比較例2〜6)
AlGltn溶液とNaCl(粒径250〜500μm:平均粒径375μm)との重量比が1:1(比較例2)、1:2(比較例3)、1:3(比較例4)、1:4(比較例5)、1:5(比較例6)となるようにした他は比較例1と同様にして、非疎水化アルカリ処理ゼラチン製の多孔質膜を作製した。
図14〜19は、比較例1〜6の多孔質膜の電子顕微鏡写真である。
これらの電子顕微鏡写真より、多孔質構造が形成されており、作製時におけるNaClの混合量が増えるにつれ、孔が多く存在しているのが分かる。
以下のようにして、組織接着性多孔質膜(実施例1〜6)及び非疎水化アルカリ処理ゼラチン製の多孔質膜(比較例1〜6)の特性(多孔率および含水率、膜強度、接着強度)測定を行った。
<多孔率および含水率測定>
多孔率および含水率は、水に所定時間浸漬することで膨潤させた多孔質膜をφ1cmに打ち抜き、W:孔内含水時(膨潤後の多孔質膜)の重量、W:孔内非含水時(膨潤前の多孔質膜)の重量、W:乾燥時(膨潤後に真空乾燥させた多孔質膜)の重量として測量し、下記の式(1)および(2)を用いて算出した。
<膜強度測定>
まず、組織接着性多孔質膜を5mm×10mmに成型し、両端の2.5mm×5mmをシアノアクリレート系接着剤にて、5mm×10mmのプラスチック片に接着した。
次に、プラスチック片をTexture Analyzerの治具に挟み、10mm/minの条件にて破断強度を比較した。3回測定の平均値を測定値とした。
<組織接着性多孔質膜とブタ大腸表皮との接着強度測定>
図7は、組織接着性多孔質膜とブタ大腸表皮との接着試験の概略図である。
図7に示すように、まず、37℃に設定したプレートの上に、直径7mmに打ち抜いた実施例1〜6の組織接着性多孔質膜または比較例1〜6の多孔質膜を載せ、直径4mmに打ち抜いたセロテープ(登録商標)で固定した。
次に、湿潤生体組織であるブタ大腸表皮を直径4mmに打ち抜き、治具(プローブ)にシアノアクリレート系接着剤で固定した。
次に、プローブに固定したブタ大腸表皮表面とプレート上に固定した組織接着性多孔質膜とを接触させ、40g/mmで3分間加圧した後、10mm/secで引っ張り試験を行った。実験は、3回行い平均値を測定値とした。
表1に、ヘキサノイル化アルカリ処理ゼラチン製の組織接着性多孔質膜(以下、「(P)25’(27)HxAlGltn」ともいう。」)の作製条件及び特性評価結果を示す。
表2に、非疎水化アルカリ処理ゼラチン(AlGltn)製の多孔質膜(以下、「(P)AlGltn」ともいう。」)の作製条件及び特性評価結果を示す。
(組織接着性多孔質膜の特性測定結果について)
<多孔率および含水率測定結果について>
表1、2より、NaCl混合比の増加に伴い多孔率が増加し、約64%まで上昇し、NaCl混合量により、多孔率が制御されることが確認できた。また、含水率は、NaCl混合比または多孔率の増加に伴い、微増する傾向が確認された。
<膜強度測定結果について>
表1、2より、同一のNaCl混合比においては、ヘキサノイル化アルカリ処理ゼラチンを用いた組織接着性多孔質膜が、非疎水化アルカリ処理ゼラチンを用いた多孔質膜よりも膜強度が低い傾向が見られた。また、非疎水化アルカリ処理ゼラチン製の多孔質膜では、NaCl混合量が多くなるほど膜強度が低くなった。なお、組織接着膜としては、0.1MPa以上の膜強度を有していれば、実用上問題なく使用することができると考えられる。
<接着強度測定結果について>
表1、2から理解されるように、ヘキサノイル化アルカリ処理ゼラチンを用いて作製した組織接着性多孔質膜は、非疎水化アルカリ処理ゼラチンを用いて作製した多孔質膜と比較して約10倍の高い接着強度を示した。
また、表1のようにヘキサノイル化アルカリ処理ゼラチンを用いて調製した組織接着性多孔質膜は、多孔率が約60%でブタ大腸に対する接着強度が最大となった。
(種々の疎水性官能基を導入した組織接着性多孔質膜の作製)
(実施例7)
<疎水化AlGltnの合成と導入率の確認>
Decanoyl chlorideを用いて、実施例1と同様にしてAlGltnの疎水化処理をして、デカノイル基(Dec:C10)を導入した疎水化AlGltn(DecAlGltn)を調製した。
TNBS法(DMSO溶媒)を用いた吸光度測定により、DecAlGltnにおけるデカノイル基の導入率が25%となったことを確認した。以下、これを25DecAlGltnと表記する。
<製膜>
25w/v%の25DecAlGltn/10%乳酸−DMSOを用いて、多孔質膜を作製した。
架橋剤としては、トリスクシンイミジルシトレート(TSC)を用い、DecAlGltnのアミノ基と、TSC中に含まれるスクシンイミジル基とのモル比が1:1となるように、25w/v%の25DecAlGltn/10%乳酸−DMSO 8mLとTSC/10%乳酸−DMSO 2mLとをハンドスターラーで十分混合撹拌して、20w/w%のDecAlGltn溶液を得た。
次に、ポロゲンとしてNaCl(粒径250〜500μm:平均粒径375μm)を用いて、DecAlGltn溶液とNaClとの重量比が1:4となるように混合した。
次に、ユニパックに得られた混合物を詰めて、ガラス板に1mmのシリコーンシートと共にクリップで留めて挟み、一晩静置して、DecAlGltnのアミノ基をTSCにより架橋した。
架橋後、得られたゲル状のDMSO・NaCl含有DecAlGltn架橋体を4℃に冷却した超純水中に放ち、超純水を大過剰量で交換しながら3日間浸漬して、DMSOを水に置換するとともに、NaCl、乳酸、DMSO、架橋副生成物であるN−ヒドロキシスクシンイミドを除去した。
得られた水含有DecAlGltn架橋体を−80℃で凍結させた後に減圧乾燥を行い、組織接着性多孔質膜を得た。
(実施例8)
Stearoyl chlorideを用いて、実施例7と同様にしてAlGltnの疎水化処理をして、ステアロイル基(Ste:C18)を導入した疎水化AlGltn(SteAlGltn)を調製した。
SteAlGltnにおけるステアロイル基の導入率は22%であった。以下、これを22SteAlGltnと表記する。
25w/v%の22SteAlGltn/10%乳酸−DMSOを用いて、実施例7と同様にして組織接着性多孔質膜を作製した。
(実施例9)
Oleyl chlorideを用いて、実施例7と同様にしてAlGltnの疎水化処理をして、オレイル基(Ole:C18、不飽和炭素1個)を導入した疎水化AlGltn(OleAlGltn)を調製した。
OleAlGltnにおけるオレイル基の導入率は34%であった。以下、これを34OleAlGltnと表記する。
製膜にあたっては、OleAlGltn含有溶液の流動性を高めるために、34OleAlGltnをAlGltnと混合して、相対的に25OleAlGltnとしたものを調製した。以下、これを25’(34)OleAlGltnと表記する。
25w/v%の25’(34)OleAlGltn/10%乳酸−DMSOを用いて、実施例7と同様にして組織接着性多孔質膜を作製した。
(実施例10)
Cholesteryl chloroformateを用いて、実施例7と同様にしてAlGltnの疎水化処理をして、コレステリル基(Chol:細胞膜成分)を導入した疎水化AlGltn(CholAlGltn)を調製した。
CholAlGltnにおけるコレステリル基の導入率は27%であった。以下、これを27CholAlGltnと表記する。
製膜にあたっては、CholAlGltn含有溶液の流動性を高めるために、27CholAlGltnをAlGltnと混合して、相対的に25CholAlGltnとしたものを調製した。以下、これを25’(27)CholAlGltnと表記する。
25w/v%の25’(27)CholAlGltn/10%乳酸−DMSOを用いて、実施例7と同様にして組織接着性多孔質膜を作製した。
(実施例11)
Propyl chlorideを用いて、実施例7と同様にしてAlGltnの疎水化処理をして、プロピル基(Pro:C)を導入した疎水化AlGltn(ProAlGltn)を調製した。
ProAlGltnにおけるプロピル基の導入率は30%であった。以下、これを30ProAlGltnと表記する。
製膜にあたっては、ProAlGltn含有溶液の流動性を高めるために、30ProAlGltnをAlGltnと混合して、相対的に25ProAlGltnとしたものを調製した。以下、これを25’(30)ProAlGltnという。
25w/v%の25’(30)ProAlGltn/10%乳酸−DMSOを用いて、実施例7と同様にして組織接着性多孔質膜を作製した。
(実施例12)
Hexanoyl chlorideを用いて、実施例7と同様にしてAlGltnの疎水化処理をして、ヘキサノイル基(Hx:C)を導入した疎水化AlGltn(HxAlGltn)を調製した。
HxAlGltnにおけるヘキサノイル基の導入率は28%であった。以下、これを28HxAlGltnと表記する。
製膜にあたっては、HxAlGltn含有溶液の流動性を高めるために、28HxAlGltnをAlGltnと混合して、相対的に25HxAlGltnとしたものを調製した。以下、これを25’(28)HxAlGltnと表記する。
25w/v%の25’(28)HxAlGltn/10%乳酸−DMSOを用いて、実施例7と同様にして組織接着性多孔質膜を作製した。
(種々の粒径を有するポロゲンを用いた組織接着性多孔質膜の作製)
(実施例13)
<疎水化AlGltnの合成と導入率の確認>
Hexanoyl chlorideを用いて、実施例1と同様にしてAlGltnの疎水化処理をして、ヘキサノイル基(Hx:C)を導入した疎水化AlGltn(HxAlGltn)を調製した。
HxAlGltnにおけるヘキサノイル基の導入率は34%であった。以下、これを34HxAlGltnと表記する。
<製膜>
HxAlGltn含有溶液の流動性を高めるために、34HxAlGltnをAlGltnと混合して、相対的に25HxAlGltnとしたものを調製した。以下、これを25’(34)HxAlGltnと表記する。
架橋剤としては、トリスクシンイミジルシトレート(TSC)を用い、HxAlGltnのアミノ基と、TSC中に含まれるスクシンイミジル基とのモル比が1:1となるように、25w/v%の25’(34)HxAlGltn/10%乳酸−DMSO 4.5mLとTSC/10%乳酸−DMSO 0.5mLとをハンドスターラーで十分混合撹拌して、20w/w%のHxAlGltn溶液を得た。
次に、ポロゲンとしてNaCl(粒径32〜53μm:平均粒径43μm)を用いて、HxAlGltn溶液とNaClとの重量比が1:4となるように混合した。
次に、ユニパックに混合物を詰めて、ガラス板に1mmのシリコーンシートと共にクリップで留めて挟み、一晩静置して、HxAlGltnのアミノ基をTSCにより架橋した。
架橋後、得られたゲル状のDMSO・NaCl含有HxAlGltn架橋体を4℃に冷却した超純水中に放ち、超純水を大過剰量で交換しながら3日間浸漬して、DMSOを水に置換するとともに、NaCl、乳酸、DMSO、架橋副生成物であるN−ヒドロキシスクシンイミドを除去した。
得られた水含有HxAlGltn架橋体を−80℃で凍結させた後に減圧乾燥を行い、組織接着性多孔質膜を得た。
(実施例14)
ポロゲンとしてNaCl(粒径53〜100μm:平均粒径77μm)を用いた他は実施例13と同様にして、組織接着性多孔質膜を作製した。
(実施例15)
ポロゲンとしてNaCl(粒径100〜212μm:平均粒径156μm)を用いた他は実施例13と同様にして、組織接着性多孔質膜を作製した。
(実施例16)
ポロゲンとしてNaCl(粒径212〜250μm:平均粒径231μm)を用いた他は実施例13と同様にして、組織接着性多孔質膜を作製した。
(実施例17)
ポロゲンとしてNaCl(粒径250〜500μm:平均粒径375μm)を用いた他は実施例13と同様にして、組織接着性多孔質膜を作製した。
図20は、実施例13〜17の組織接着性多孔質膜の断面の電子顕微鏡写真である。図21は、実施例13〜17の組織接着性多孔質膜の表面の電子顕微鏡写真である。
これらの電子顕微鏡写真より、多孔質構造が形成されており、作製時におけるNaClの粒径に応じたポロゲン孔を有する組織接着性多孔質膜であることが分かる。
(比較例7)
疎水化していないAlGltnを用いて、25w/v%のAlGltn/10%乳酸−DMSO 4.5mLとTSC/10%乳酸−DMSO 0.5mLとをハンドスターラーで十分混合撹拌して、20w/w%のAlGltn溶液を得た。
次に、ポロゲンとしてNaCl(粒径32〜53μm:平均粒径43μm)を用いて、AlGltn溶液とNaClとの重量比が1:4となるように混合した。
次に、ユニパックに得られた混合物を詰めて、ガラス板に1mmのシリコーンシートと共にクリップで留めて挟み、一晩静置して、AlGltnのアミノ基をTSCにより架橋した。
架橋後、得られたゲル状のDMSO・NaCl含有AlGltn架橋体を4℃に冷却した超純水中に放ち、超純水を大過剰量で交換しながら3日間浸漬して、DMSOを水に置換するとともに、NaCl、乳酸、DMSO、架橋副生成物であるN−ヒドロキシスクシンイミドを除去した。
得られた水含有疎水化AlGltn架橋体を−80℃で凍結させた後に減圧乾燥を行い、非疎水化アルカリ処理ゼラチン製の多孔質膜を得た。
(比較例8)
ポロゲンとしてNaCl(粒径53〜100μm:平均粒径77μm)を用いた他は比較例7と同様にして、非疎水化アルカリ処理ゼラチン製の多孔質膜を作製した。
(比較例9)
ポロゲンとしてNaCl(粒径100〜212μm:平均粒径156μm)を用いた他は比較例7と同様にして、非疎水化アルカリ処理ゼラチン製の多孔質膜を作製した。
(比較例10)
ポロゲンとしてNaCl(粒径212〜250μm:平均粒径231μm)を用いた他は比較例7と同様にして、非疎水化アルカリ処理ゼラチン製の多孔質膜を作製した。
(比較例11)
ポロゲンとしてNaCl(粒径250〜500μm:平均粒径375μm)を用いた他は比較例7と同様にして、非疎水化アルカリ処理ゼラチン製の多孔質膜を作製した。
<種々の疎水性官能基を導入した組織接着性多孔質膜とブタ大腸表皮との接着強度測定>
まず、37℃に設定したプレートの上に、直径7mmに打ち抜いた実施例7〜実施例12の組織接着性多孔質膜または比較例11の多孔質膜を載せ、直径4mmに打ち抜いたセロテープ(登録商標)で固定した。
次に、ブタ大腸表皮を直径4mmに打ち抜き、治具(プローブ)にシアノアクリレート系接着剤で固定した。
次に、プローブに固定したブタ大腸表皮表面とプレート上に固定した組織接着性多孔質膜(または多孔質膜)とを接触させ、500gで3分間加圧した後、10mm/minで引っ張り試験を行った。実験は、3回行い平均値を測定値とした。
結果を図22に示す。
図22より、疎水性官能基を導入した疎水化アルカリ処理ゼラチン製の組織接着性多孔質膜(実施例7〜実施例12)は、いずれの疎水性官能基の場合でも、非疎水化アルカリ処理ゼラチン製の多孔質膜(比較例11)と比較して、ブタ大腸表皮への接着性が少なくとも約6倍高かった。
<種々のポロゲン孔を有する組織接着性多孔質膜とブタ大腸表皮との接着強度測定>
まず、37℃に設定したプレートの上に、直径7mmに打ち抜いた実施例13〜17の組織接着性多孔質膜または比較例7〜11の多孔質膜を載せ、直径4mmに打ち抜いたセロテープ(登録商標)で固定した。
次に、ブタ大腸表皮を直径4mmに打ち抜き、治具(プローブ)にシアノアクリレート系接着剤で固定した。
次に、プローブに固定したブタ大腸表皮表面とプレート上に固定した組織接着性多孔質膜(または多孔質膜)とを接触させ、40g/mmで3分間加圧した後、10mm/minで引っ張り試験を行った。実験は、3回行い平均値を測定値とした。
結果を図23に示す。
図23に示すように、比較例7〜11の非疎水化アルカリ処理ゼラチン製の多孔質膜では、ポロゲンであるNaClの平均粒径が増加するにつれて、ブタ大腸表皮表面に対する接着強度が低下したのに対して、実施例13〜17の組織接着性多孔質膜では、NaClの粒径が50〜100μm(平均粒径77μm)の場合に、ブタ大腸表皮表面に対する接着強度が極大値を示した。
従って、ゼラチンのアミノ基への疎水性官能基の導入に加えて、多孔質構造における孔径を制御することによって、ブタ大腸表皮表面に対してより高い接着強度を有する組織接着性多孔質膜とすることができることが明らかとなった。
(種々のポロゲン孔を有する組織接着性多孔質膜の吸水速度試験)
滴下法による吸水性試験方法(JIS L 1907:2010)を基に、以下のように系を縮小して、実施例13〜17の組織接着性多孔質膜及び比較例7〜11の多孔質膜の吸水速度試験を行った。
具体的には、2μLの超純水を各々のサンプル上に滴下し、100msごとにサンプル側面を接触角測定機で撮影して、膜の表面から水滴の凸面が観察されなくなるまでの時間を計測した。実験は、3回行い平均値を測定値とした。
結果を図24に示す。
図24より、実施例13〜17の組織接着性多孔質膜では、比較例7〜11の非疎水化アルカリ処理ゼラチン製の多孔質膜と比較して、いずれも吸水速度が速かった。これは、実施例13〜17の組織接着性多孔質膜ではヘキサノイル基が存在することにより、ゼラチン分子の極性が変化したことによるものであると推測される。
また、比較例7〜11の多孔質膜では、ポロゲンであるNaClの平均粒径が増加するにつれて、吸水速度は単純降下を示したのに対して、実施例13〜17の組織接着性多孔質膜では、NaClの粒径が50〜100μm(平均粒径77μm)の場合に、吸水速度が極大値を示した。
一般に、孔径が小さくなる程毛細管現象が起きやすく、吸水速度が高くなることが考えられるが、本発明の組織接着性多孔質膜では、多孔質構造における孔径と多孔質膜における疎水性官能基(例えば、ヘキサノイル基)の分布との相乗的効果が生じることによって、特定の粒径を有するポロゲンを鋳型としてポロゲン孔を設けた場合に、組織接着性多孔質膜の吸水速度の顕著な増加が見られたものと考えられる。
(L929細胞を用いた組織接着性多孔質膜の細胞増殖性試験)
実施例1〜6の組織接着性多孔質膜及び比較例1〜6の多孔質膜上で、L929細胞を無血清条件下で24時間培養した。
その後、各々の多孔質膜上にWST−8を10μLずつ添加して、吸光度(450nm)を測定して、細胞数を計数した。
結果を図25及び図26に示す。
図25より、実施例1〜6の組織接着性多孔質膜上で培養したL929細胞は、比較例1〜6の多孔質膜上で培養した場合と比較して、いずれの多孔率でも細胞数が約4倍であることが分かる。
これは、本発明の組織接着性多孔質膜がヘキサノイル基(疎水性官能基)を有することによりL929細胞との親和性が高くなったことに加えて、多孔質構造を有することにより液性因子等の通過性が向上したためであると考えられる。
また、図26より、実施例1〜6の組織接着性多孔質膜上で培養したL929細胞では伸展が見られ、一方で、比較例1〜6の多孔質膜上で培養したL929細胞では伸展が見れらないことが分かる。
この結果から、疎水化アルカリ処理ゼラチン製の組織接着性多孔質膜とL929細胞表面との間で相互作用が生じている可能性が示唆された。
(CD34、α−SMAの免疫染色による組織接着性多孔質膜の血管新生評価)
実施例2、5の組織接着性多孔質膜及び比較例2、5の多孔質膜を、ラット皮下に7日間埋入した後、各々の多孔質膜を含む組織切片を、CD34およびα−SMA(α平滑筋アクチン)により免疫染色し、Image Jを用いて評価を行った。評価に際しては、褐色に免疫染色された部分の総面積を「Vessel-Area」とし、視野を「Area」と定義した。
結果を図27に示す。
図27より、非疎水化アルカリ処理ゼラチン(AlGltn)製の多孔質膜((P)AlGltn)と比較して、ヘキサノイル化アルカリ処理ゼラチン(25’(27)HxAlGltn)製の組織接着性多孔質膜((P)HxAlGltn)をラット皮下に埋入することにより、血管新生を優位に促進していることが分かる。さらに、多孔率のより高い(P)HxAlGltnでは、血管新生の促進効果がさらに向上していることが明らかである。
本発明の組織接着性多孔質膜、その製造方法及び組織接着性多孔質膜テープは、湿潤環境下でも接着力(接着強度)が高く適度な強度を持つ組織接着性多孔質膜、その製造方法及び組織接着性多孔質膜テープに関するものであり、組織接着剤、組織封止剤(Sealant)、止血剤等の製造産業において利用可能性がある。
1、2…組織接着性多孔質膜、10…疎水化ゼラチン(疎水化ゼラチン分子鎖)、10c1…空隙孔(孔)、10c2…ポロゲン孔(孔)、11…疎水性官能基、12…アミノ基(−NH)、13…(ゼラチンからなる)主鎖、14…熱架橋(ペプチド結合)、20…水、21…生体組織(組織)、50…容器、51…疎水化ゼラチン含有溶液、53…水溶性有機溶媒含有疎水化ゼラチン架橋体、55…水溶性有機溶媒、58…水含有疎水化ゼラチン架橋体、60…ポロゲン分散疎水化ゼラチン含有溶液、62…ポロゲン、63…水溶性有機溶媒とポロゲンとを含有する疎水化ゼラチン架橋体、68…ポロゲン孔が形成された水含有疎水化ゼラチン架橋体。

Claims (16)

  1. 疎水化ゼラチンが架橋され、多孔質構造を有する膜であって、
    前記疎水化ゼラチンが、Lysのアミノ基の一部が疎水性官能基で置換されているゼラチンであることを特徴とする組織接着性多孔質膜。
  2. 前記多孔質構造が、前記疎水化ゼラチンの架橋構造に設けられた複数の疎水化ゼラチン間の空隙孔からなることを特徴とする請求項1に記載の組織接着性多孔質膜。
  3. 前記多孔質構造が、前記疎水化ゼラチンの架橋構造に設けられた複数の疎水化ゼラチン間の空隙孔と、前記架橋構造にポロゲンを鋳型として設けられたポロゲン孔とからなることを特徴とする請求項1に記載の組織接着性多孔質膜。
  4. 前記ポロゲン孔が、粒径が50〜100μmであるポロゲンを鋳型として設けられたものであることを特徴とする請求項3に記載の組織接着性多孔質膜。
  5. 前記疎水化ゼラチンが、架橋剤又は縮合剤により架橋されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の組織接着性多孔質膜。
  6. 前記架橋剤又は縮合剤が、トリスクシンイミジルシトレート、ジスクシンイミジルタータレート、ジスクシンイミジルマレート、ジスクシンイミジルスクシネート、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ゲニピン、水溶性カルボジイミドの1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項5に記載の組織接着性多孔質膜。
  7. 前記疎水化ゼラチンが、熱架橋により架橋されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の組織接着性多孔質膜。
  8. 前記疎水性官能基が、飽和脂肪酸であるエチル基(炭素数2)、プロピル基(炭素数3)、ブチル基(炭素数4)、ペンチル基(炭素数5)、ヘキサノイル基(炭素数6)、ヘプタノイル基(炭素数7)、オクタノイル基(炭素数8)、ノナノイル基(炭素数9)、デカノイル基(炭素数10)、ウンデカノイル基(炭素数11)、ドデカノイル基(炭素数12)、トリデカノイル基(炭素数13)、テトラデカノイル基(炭素数14)、ペンタデカノイル基(炭素数15)、ヘキサデカノイル基(炭素数16)、ヘプタデカノイル基(炭素数17)、ステアロイル基(炭素数18)、分岐型飽和脂肪酸であるイソプロピル基(炭素数3)、イソブチル基(炭素数4)、イソペンチル基(炭素数5)、イソヘキサノイル基(炭素数6)、イソヘプタノイル基(炭素数7)、イソオクタノイル基(炭素数8)、イソノナノイル基(炭素数9)、イソデカノイル基(炭素数10)、イソウンデカノイル基(炭素数11)、イソドデカノイル基(炭素数12)、イソトリデカノイル基(炭素数13)、イソテトラデカノイル基(炭素数14)、イソペンタデカノイル基(炭素数15)、イソヘキサデカノイル基(炭素数16)、イソパルミチル基(炭素数16)、イソヘプタデカノイル基(炭素数17)、イソステアロイル基(炭素数18)、不飽和脂肪酸であるオレイル基(炭素数18、不飽和炭素1個)、リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素2個)、α−リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素3個)、細胞膜成分であるコレステリル基の1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の組織接着性多孔質膜。
  9. 前記ゼラチンが、ヒト、ブタ、ウシ、ティラピア、タラ由来のゼラチン又は遺伝子組換えゼラチンの1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の組織接着性多孔質膜。
  10. 薬剤を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の組織接着性多孔質膜。
  11. 前記薬剤が、細胞分化誘導剤、抗ガン剤、免疫抑制剤、細胞成長因子、サイトカイン、トロンビン阻害薬、抗血栓薬、血栓溶解剤、線維素溶解薬、血管痙攣阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬、高血圧治療薬、抗菌薬、抗生物質、表面糖タンパク質受容体阻害薬、抗血小板薬、細胞分裂抑制薬、微小管阻害薬、抗分泌薬、アクチン阻害薬、リモデリング阻害薬、アンチセンス・ヌクレオチド、代謝拮抗剤、抗増殖性物質、抗癌化学治療薬、抗炎症性ステロイドまたは非ステロイド抗炎症薬、免疫抑制剤、成長ホルモン・アンタゴニスト、ドーパミン・アゴニスト、放射線治療薬、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外マトリックス成分、阻害薬、フリーラジカル・スカベンジャー、キレート剤、抗酸化剤、抗ポリメラーゼ、抗ウィルス薬、光力学治療薬、および遺伝子治療薬から選ばれる1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項10に記載の組織接着性多孔質膜。
  12. 疎水化ゼラチンを水溶性有機溶媒に溶解させて、疎水化ゼラチン含有溶液を調製する工程と、前記疎水化ゼラチン含有溶液に架橋剤又は縮合剤を入れて疎水化ゼラチンを架橋して水溶性有機溶媒含有疎水化ゼラチン架橋体を形成する工程と、前記水溶性有機溶媒含有疎水化ゼラチン架橋体を水中に入れて、水溶性有機溶媒を水に置換して、水含有疎水化ゼラチン架橋体を形成する工程と、前記水含有疎水化ゼラチン架橋体を凍結乾燥して組織接着性多孔質膜を形成する工程と、を有することを特徴とする組織接着性多孔質膜の製造方法。
  13. 疎水化ゼラチンを水溶性有機溶媒に溶解させて、疎水化ゼラチン含有溶液を調製する工程と、前記疎水化ゼラチン含有溶液にポロゲンを分散させて、ポロゲン分散疎水化ゼラチン含有溶液を調製する工程と、前記ポロゲン分散疎水化ゼラチン含有溶液に架橋剤又は縮合剤を入れて疎水化ゼラチンを架橋して水溶性有機溶媒とポロゲンとを含有する疎水化ゼラチン架橋体を形成する工程と、前記水溶性有機溶媒とポロゲンとを含有する疎水化ゼラチン架橋体を水中に入れて、水溶性有機溶媒を水に置換し、かつポロゲンを溶解、除去して、ポロゲン孔が形成された水含有疎水化ゼラチン架橋体を形成する工程と、前記ポロゲン孔が形成された水含有疎水化ゼラチン架橋体を凍結乾燥して組織接着性多孔質膜を形成する工程と、を有することを特徴とする組織接着性多孔質膜の製造方法。
  14. 前記ポロゲンがNaCl、KCl、MgCl、氷、ポリエチレングリコールのいずれかの材料からなる粒子であることを特徴とする請求項13に記載の組織接着性多孔質膜の製造方法。
  15. 前記水溶性有機溶媒がジメチルスルホキシドであることを特徴とする請求項12又は13に記載の組織接着性多孔質膜の製造方法。
  16. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の組織接着性多孔質膜を帯状としたことを特徴とする組織接着性多孔質膜テープ。
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