JPWO2015060212A1 - コンタクトレンズおよびコンタクトレンズセット - Google Patents

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裕也 本山
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貴志 後藤
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征宏 小島
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圭介 山本
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    • G02CSPECTACLES; SUNGLASSES OR GOGGLES INSOFAR AS THEY HAVE THE SAME FEATURES AS SPECTACLES; CONTACT LENSES
    • G02C7/00Optical parts
    • G02C7/02Lenses; Lens systems ; Methods of designing lenses
    • G02C7/04Contact lenses for the eyes

Abstract

装用に際する恐怖心の軽減を設計段階で考慮することで、装用性の向上などの客観的な技術的効果を達成し得る、新規な構造のコンタクトレンズおよびコンタクトレンズセットを提供すること。コンタクトレンズ10を、3カ月以内の短期間の使用期限が設定された使い捨てのソフトタイプとして、レンズ外径寸法を10〜13.5mmの範囲内に設定すると共に、平衡膨潤状態で平坦な水平支持面22にレンズ前面18を接触させて載置せしめた状態でのレンズ前面18の水平支持面22に対する接触面積の、レンズ前面18の全体に占める割合を70%以下に設定した。そのようなコンタクトレンズ32a〜32cでコンタクトレンズセット30を構成し、水平支持面22に対する接触面積の割合に関して、最大となるコンタクトレンズ32aの割合と、最小となるコンタクトレンズ32cの割合との差を17%以内に設定した。

Description

本発明は、コンタクトレンズ、および複数種類のコンタクトレンズを組み合わせたコンタクトレンズセットに関し、特に、コンタクトレンズを初めて使用する、或いは使用して間もない初心者でも容易に装用することができると共に、衛生面を確保することのできるコンタクトレンズおよびコンタクトレンズセットに関するものである。
従来から、近視や遠視、乱視等の視力矯正として、例えば特開平10−161070号公報(特許文献1)等に記載のコンタクトレンズが用いられている。コンタクトレンズを装用する際には、一般に、片方の手で上下の両眼瞼を押さえて目を大きく見開いた状態に保ちつつ、他方の手の指に乗せたレンズを目に近づけて、コンタクトレンズを角膜表面に重ね合わせることで表面張力等により角膜上に被着保持させるようにされる。また、片方の手の指の先にレンズを乗せ、他の指で下眼瞼を引き下げると共に、他方の手の指で上瞼眼を引き上げて、レンズを目に近づけて装用する方法も、広く採用されている。
ところで、コンタクトレンズを初めて使用する人や、使用を始めて間もない初心者にとって、目に異物を入れることに対して恐怖心を抱くことは、予想できる。
そこで、コンタクトレンズを初めて使用する人には、コンタクトレンズの販売店などで担当者がアドバイスを与えつつ指導して練習することが行われている。
しかしながら、コンタクトレンズを初めて使用する人への配慮は、あくまでも販売段階での対応に過ぎず、それ以上の配慮は為されていなかったのであり、特にコンタクトレンズの設計段階において、コンタクトレンズを初めて使用する人の恐怖心に配慮することは行われていなかったのである。
特開平10−161070号公報
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、従来では全く考えられていなかった、コンタクトレンズを初めて使用する人への配慮を設計段階において初めて採り入れることで、従来にない新規なコンタクトレンズおよびコンタクトレンズセットを提供することを、解決課題とするものである。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
先ず、本発明者は、コンタクトレンズを初めて使用する人が抱く恐怖心だけでなく、その客観的な影響について検討を加えた。その結果、コンタクトレンズ初心者が抱く恐怖心は、眼に異物を入れることに慣れていないことが専らの原因である主観的且つ精神的なものに過ぎないからコンタクトレンズを使用するに際して容易に慣れるはずであるという、従来の考え方そのものが正しくないとの知見を得るに至った。
勿論、コンタクトレンズ初心者にとって、目に異物を入れること自体に恐怖心を持つことは間違いないが、それに止まらない問題を内在しているのである。即ち、コンタクトレンズに対して抱く恐怖心は、単に精神的な面に止まらず、恐怖心に起因して眼を閉じようとする生理的現象が発生することとなり、その結果、十分な大きさにまで眼を開くことができずに、コンタクトレンズを眼に装用することが一層困難になってしまうという問題があったのである。
加えて、コンタクトレンズの装用が巧くできないと、それが一層の恐怖心をあおることとなり、恐怖心から過度に神経質となってしまう傾向も認められた。即ち、通常の精神状態よりも過度に神経質となることで、コンタクトレンズ装用時の異物感に対して必要以上に過敏になってしまう傾向があった。
そして、このような主観的な恐怖心や神経質さは、単に主観的な問題に止まらず、例えば恐怖心故にコンタクトレンズがスムーズに装用できずにコンタクトレンズの装用に際して眼瞼や結膜へ手指が触れる機会が通常よりも多くなることで充血などの客観的な不具合を発生したり、過度の異物感に起因して手指による眼瞼への圧迫や瞬目の増加などが生ずることで充血や角膜への傷の発生しやすくなるおそれもあったのである。
特に近年では、コンタクトレンズ使用者の低年齢化が進んで、コンタクトレンズを始めて使用する年齢が、10歳〜15歳程度の子供である場合も多い。そのような子供にとっては、より大きな恐怖心を抱きやすく、コンタクトレンズの使用に抵抗を抱く場合も多いことから、上述の如き問題が一層大きくなってしまう。
さらに、コンタクトレンズ初心者や子供の場合には、精神的な恐怖心や神経質さという問題だけでなく、コンタクトレンズの取り扱いに不慣れであることに起因する問題も重畳することで、上述の如き問題が更に増大していたのである。即ち、コンタクトレンズは、装用に際して、レンズ前面が指先に吸着された状態で角膜に近づけられて、レンズ後面が角膜に接触されることで指先から離されて角膜表面に移行される。ところが、レンズの装用に不慣れな初心者の場合には、レンズ後面を角膜表面に接触させても、レンズが指先から離れずに、移行に苦労することがあった。特に、柔軟で含水したソフトコンタクトレンズの場合には、ケースから取り出して指先に乗せる際に折れ曲がったり、レンズ前面の外周領域までが指先に張り付いたりして、装用がより困難になる場合があった。
しかも、コンタクトレンズは、角膜細胞に直接に接して装用されるものであって、雑菌の繁殖が眼疾患の原因となりやすい。また、コンタクトレンズは、装用状態で涙液に晒されることで脂質やタンパク質等の汚れが付着して蓄積し易い。そこで、定期的な擦り洗いなどにより、衛生的に管理されることが重要である。ところが、コンタクトレンズ初心者や子供の場合には、不慣れや雑な取り扱いにより、擦り洗い等のメンテナンスが不十分となり易い。そのために、汚れの付着や雑菌の繁殖が発生しやすく、衛生面が確保できないおそれが高くなるという問題もあったのである。
このように、コンタクトレンズを初めて使用する人や子供などが抱く恐怖心を含めて、従来では単に慣れの問題として販売段階で対応していたに過ぎず、コンタクトレンズ自体には何等の対策もされていなかったのであり、かかる状況下、本発明では、恐怖心などがコンタクトレンズの使用に際して客観的且つ具体的な障害にもなるなどといった本発明者が新たに得た知見のもと、設計段階において対処することで、上述の如き問題に対して効果的な解決策を与え得る新規な構造のコンタクトレンズを提供し得るものである。即ち、本発明は、以下に記載するように、装用に際する恐怖心や装用時の異物感等が軽減されると共に、取り扱いが容易とされ、更に衛生面の確保も容易とされて、例えばコンタクトレンズ初心者や子供なども利用し易く配慮された、新規な構造のコンタクトレンズおよびコンタクトレンズセットを提供するものである。
コンタクトレンズに関する本発明の第一の態様は、中央領域の光学部の外周領域に周辺部が設けられており、眼に重ね合わされて装用されるコンタクトレンズであって、柔軟材からなるソフトタイプであると共に、3カ月以内の短期間の使用期限が設定された使い捨てタイプであり、レンズ外径寸法が10〜13.5mmの範囲内に設定されていると共に、平衡膨潤状態で平坦な水平支持面にレンズ前面を接触させて載置せしめた状態での該レンズ前面の該水平支持面に対する接触面積の、前記レンズ前面の全体に占める割合が70%以下であることを、特徴とする。
本発明に従う構造とされたコンタクトレンズにおいては、レンズ外径寸法が、10〜13.5mmの小径に設定されている。これにより、例えばコンタクトレンズの使用を開始して間もない初心者や子供でも、装用に際して抱く恐怖心や装用時の異物感を軽減することができる。
すなわち、本発明者は、コンタクトレンズ初心者等が抱く恐怖心と、それに伴う過度な神経質さ故の異物感とを、軽減することについて多くの実験と研究を重ねた結果、レンズ外径寸法を小さくすることが有効であろうとの知見を得るに至った。蓋し、レンズ外径が小さいことで、先ず第一印象での恐怖心を軽減できることは勿論であるし、レンズ外径を小さくすることで装用時の角膜上でのレンズの動きが積極的に許容されることとなり、レンズの動きに伴う涙液交換が促進されて、レンズ表面の乾燥やレンズの角膜表面への吸着が防止されることにより異物感の軽減も図られるからである。
そして、レンズ外径寸法を小さくしつつ、平衡膨潤状態で水平支持面に載置した状態でのレンズ前面の水平支持面に対する接触面積の、レンズ前面の全体に占める割合を70%以下にした。なお、平衡膨潤状態とは、浸透圧を調節した処理水中で平衡状態(飽和状態)となるまで含水して完全膨潤した状態をいう。このように、レンズ外径寸法を小さくしつつ、且つレンズ前面において水平支持面に接触する面積も小さくしたことにより、コンタクトレンズを指先に乗せた際に、指先と接触する面積を小さくすることができる。その結果、コンタクトレンズを装用するに際して、指先から角膜へのレンズの移行を容易にすることができ、レンズの取り扱いに不慣れな使用者でも、容易に装用することができる。
また、コンタクトレンズを装用するためには、少なくともそのレンズ外径寸法よりも大きく目を開く必要があるが、コンタクトレンズ初心者等は、恐怖心から、十分な大きさまで目を開けることができないことも多い。ここにおいて、本発明に係るコンタクトレンズでは、レンズ外径寸法を小さくすることにより、最低限開かなくてはならない目の大きさが小さくなり、コンタクトレンズ初心者等にとって装用しやすくなる。そして、コンタクトレンズを容易に装用可能となることで、恐怖心の増長が回避されると共に、神経質さの増長による装用感の低下も緩和され得、コンタクトレンズ使用に際しての精神的な慣れも効果的に促進され得る。
さらに、本発明に従う構造とされたコンタクトレンズでは、使用に際しての汚れの付着や雑菌の繁殖も抑えられて、衛生面の確保も容易となる。即ち、本発明のコンタクトレンズでは、上述のようにレンズ外径寸法が小さくされることで装用状態における角膜上での動き量が大きく確保されて涙液交換が促進されることから、涙液交換による眼内の老廃物の排出が促進され得るのである。
しかも、本発明のコンタクトレンズでは、小径とされるが故に、慣れない初心者や手指の小さい子供でも、レンズ外周縁部の洗い残しも軽減されてレンズ全面を効率的に擦り洗いすることができることから、衛生管理のメンテナンスの向上も期待できる。加えて、本発明のコンタクトレンズは、3カ月以内の短期間の使用期限が設定された使い捨てタイプであることから、使用期限で廃棄して新しいレンズと交換することによって、擦り洗いや衛生管理に不慣れなレンズ初心者でも、衛生面において著しい不具合の発生が回避され得る。
コンタクトレンズに関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、平衡膨潤状態で平坦な水平支持面に前記レンズ前面を接触させて載置せしめた状態での該レンズ前面の該水平支持面に対する接触面積の、前記レンズ前面の全体に占める割合が30%以上であるものである。
本態様によれば、指先との接触面積を適度に確保することにより、コンタクトレンズを指先に安定して密着保持することができる。これにより、例えば指先を略鉛直に立ててレンズを目に近づける際に、レンズが指先上で傾いたり指先から脱落するおそれを低減することができ、より優れた取扱性を得ることができる。
コンタクトレンズに関する本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、平衡膨潤状態で平坦な水平支持面に前記レンズ前面を接触させて載置せしめた状態での該レンズ前面の該水平支持面に対する接触面積の、前記レンズ前面の全体に占める割合が50%以下であるものである。
本態様によれば、レンズ前面の指先に対する接触面積をより小さくすることにより、コンタクトレンズを、レンズの外周領域が指先に張り付いたり、レンズが折れ曲がったりしていない正しい状態で指先に乗せ易くすることができる。これにより、指上でレンズの傾斜や折れ曲がりを修正する機会を少なくすることができて、レンズの装用をより速やか且つ容易に行なうことができる。
コンタクトレンズに関する本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れか1つの態様に記載のものにおいて、引張弾性率が0.2MPa以上且つ2.1MPa以下であるものである。
本態様によれば、装用時の取扱性を向上することができる。即ち、コンタクトレンズの引張弾性率を0.2MPa以上としたことによって、指先に乗せた時にレンズ形状を安定して維持することができて、装用時の取扱性を向上することができる。また、コンタクトレンズの引張弾性率を2.1MPa以下としたことによって、装用時にレンズを角膜に接触させた際に、レンズ形状を角膜の表面形状に追従し易くして、指先から角膜への移行をより確実に行なうことができる。
コンタクトレンズセットに関する本発明は、異なるレンズ度数が設定された複数種類のコンタクトレンズを組み合わせたコンタクトレンズセットであって、かかるコンタクトレンズが前記コンタクトレンズに関する本発明の第一〜第四の何れか1つの態様に記載のコンタクトレンズからなり、異なるレンズ度数が設定された前記複数種類のコンタクトレンズにおける、それぞれ平衡膨潤状態で平坦な水平支持面にレンズ前面を接触させて載置せしめた状態での該レンズ前面の該水平支持面に対する接触面積の、前記レンズ前面の全体に占める割合に関して、最大となる該コンタクトレンズにおける割合と最小となる該コンタクトレンズにおける割合との差が17%以内とされていることを、特徴とする。
本発明に従うコンタクトレンズセットにおいては、異なる度数が設定されたコンタクトレンズの間で、指先に対する接触面積の違いを所定範囲内に抑えることにより、異なる度数のコンタクトレンズ間で、装用時における取扱性を略同様に確保することができる。これにより、例えば子供のように、同一の使用者で成長により視力が変化して、コンタクトレンズの度数が変更されてレンズが変わった場合でも、装用の容易性を同等に保つことができる。
また、本態様に係るコンタクトレンズセットでは、異なるレンズ度数を設定するに際してレンズ厚さ寸法も異ならされたコンタクトレンズを含む場合にも、適用可能である。その場合には、互いに異なる厚さ寸法をもって形成されて異なるレンズ度数が設定された複数種類のコンタクトレンズを含んで組み合わされたコンタクトレンズセットであって、かかるコンタクトレンズが前記コンタクトレンズに関する本発明の第一〜第四の何れか1つの態様に記載のコンタクトレンズからなり、レンズ中心の厚さ寸法が最も大きい最大屈折度数の設定されたコンタクトレンズと、レンズ中心の厚さ寸法が最も小さい最小屈折度数の設定されたコンタクトレンズとにおける、それぞれ平衡膨潤状態で平坦な水平支持面にレンズ前面を接触させて載置せしめた状態での該レンズ前面の該水平支持面に対する接触面積の、前記レンズ前面の全体に占める割合の差が17%以内とされていることを特徴とするコンタクトレンズセットとして構成され得る。
コンタクトレンズに関する本発明においては、レンズ外径寸法を10〜13.5mmの範囲内に設定してレンズを小さくすることにより、例えば初めてコンタクトレンズを装用したり、使用開始から間もないレンズ初心者でも、装用時の恐怖心を軽減することができる。そして、レンズ外径寸法を小さくしつつ、水平支持面との接触面積も小さくしたことによって、例えば指先との接触面積を小さくすることができて、指先から角膜への移行を円滑に行なうことができる。その結果、コンタクトレンズの装用に不慣れな使用者でも、装用をより容易にすることができる。更に、レンズを小径とすることで動き量を大きく確保して、涙液交換の促進による老廃物の排出作用が向上され得ると共に、3カ月以内の短い使用期限が設定された使い捨てタイプとすることによって、擦り洗い等のレンズの衛生管理に不慣れな使用者でも、レンズの衛生面を確保することができる。
また、コンタクトレンズセットに関する本発明においては、最大屈折度数のレンズと最小屈折度数のレンズとの水平支持面に対する接触面積の、レンズ前面の全体に占める割合の差を17%以内にした。これにより、度数が異なるレンズでも装用の容易性を略同様に提供することができて、例えば子供の成長などによりレンズの度数が変更された場合でも、装用の容易性を保つことができる。
本発明の一実施形態としてのコンタクトレンズの正面図。 図1のII−II断面図。 図1に示したコンタクトレンズの、水平支持面への載置状態を示す図2に対応する断面図。 本発明の一実施形態としてのコンタクトレンズセットを示す、図2に対応する断面図。 成形型の例を示す断面図。 水平支持面への載置状態を説明するための写真。 水平支持面との接触面積の測定方法を説明するための写真。 指先に乗せた状態を説明するための写真。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1および図2に、コンタクトレンズに関する本発明の一実施形態としてのコンタクトレンズ10を示す。コンタクトレンズ10は全体として球冠形状を有しており、良く知られているように、眼球の角膜の表面に重ね合わされて装用されるようになっている。なお、装用とは、コンタクトレンズを人眼の角膜上に重ね合わせて使用することをいう。
より詳細には、本実施形態のコンタクトレンズ10は、ソフトタイプのコンタクトレンズであり、高含水性の柔軟材から形成されている。柔軟材としては、従来から公知の各種のソフトコンタクトレンズ用の素材が採用可能であり、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、グリセリンモノメタクリレート(GMA)、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸(AA)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリジノン(MMP)、N−ビニルピロリドン(N−VP)等の親水性モノマー、トリス(トリメチルシロキン)シリルプロピルメタクリレート(TRIS)、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、モノ[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルエチルテトラメチルジシロキシプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、ビス(3−(トリメチルシリル)プロピル)フマレート、ビス(3−(ペンタメチルジシロキサニル)プロピル)フマレート、ビス(トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル)フマレート等のシリコーン化合物を含有し、架橋剤として例えばエチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、アリルメタクリレート(AMA)、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等、重合開始剤として例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(HMPPO)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(TPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等を用いたもの等が好適に採用され得る。
そして、かかるコンタクトレンズ10は、レンズ中心軸12が光軸とされており、レンズ中心軸12回りの略回転対称形状とされている。また、コンタクトレンズ10は、図1に示す正面視(軸方向視)でレンズ中心軸12を中心とする略円形状を有している。
ここにおいて、コンタクトレンズ10のレンズ外径寸法(DIA)は、10.0〜13.5mmの範囲内に設定されている。レンズ外径寸法(DIA)が10.0mmよりも小さいと、装用時の角膜に対する動き量が大きくなり過ぎたり、後述する光学部14の面積を十分に確保できないおそれや、コンタクトレンズ10が小さくなり過ぎて取扱性が低下するおそれがあるからである。
一方、レンズ外径寸法(DIA)が13.5mmよりも大きいと、コンタクトレンズ10が大きくなって、コンタクトレンズの初心者に装用時の恐怖心を与え易くなる。即ち、本発明に従うコンタクトレンズ10のレンズ外径寸法(DIA)は、一般的に広く用いられている使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズの最小のレンズ外径寸法(DIA)である13.8mmよりも小さく設定されている。
また、コンタクトレンズ10の中央領域には、視力矯正のための適当なレンズ度数が設定された光学部(optical zone)14が形成されている。光学部14は、図1に示す正面視(軸方向視)において、レンズ中心軸12を中心とする円形状とされている。更に、コンタクトレンズ10において、光学部14を全周に亘って囲む外周領域には、略円環形状の周辺部(peripheral zone)16が形成されている。なお、周辺部16には、必要に応じて、従来公知の各種の形状を付与することが可能であり、例えばエッジリフト等が形成されていても良い。また、周辺部16の外周縁部には、レンズ前後面をつなぐエッジ部17が設けられている。
なお、光学部14は、装用状態で人眼の光学系に対して光学作用を及ぼす領域であって、その外周縁部、換言すると周辺部16との境界は、一般に、角膜と反対側に位置するレンズ前面18および角膜側に位置するレンズ後面20においてそれぞれ縦断面上での曲率の変化点としてとらえることができる。しかし、例えば、光学部14のレンズ面が半径方向で漸変するような縦断面形状で設計される場合や、境界が径方向に所定幅をもって形成されてレンズ前面18とレンズ後面20の間で光学部14と周辺部16を滑らかに繋ぐ接続領域等によって形成される場合等において、レンズ前面18およびレンズ後面20における光学部14と周辺部16の境界は、形状的に線(line)として必ずしも明確である必要はない。
また、平衡膨潤状態におけるコンタクトレンズ10の引張弾性率:Eは、0.2MPa≦E≦2.1MPaに設定されることが好ましい。コンタクトレンズ10の引張弾性率:Eを0.2MPa以上とすることで、コンタクトレンズ10を指に乗せたときの形状を安定させて、装用を容易にすることができる。また、コンタクトレンズ10の引張弾性率:Eを2.1MPa以下に抑えることにより、角膜に接触した際に、レンズ形状を角膜形状に追従させ易くすることができて、装用の成功率を高めることができる。
さらに、コンタクトレンズ10は、図3に示すように、平衡膨潤状態で、平坦な水平支持面22にレンズ前面18を接触させて載置することにより、レンズ前面18に、水平支持面22と接触する接触領域24が形成される。なお、水平支持面22は、装用時にコンタクトレンズ10が乗せられる指先に対応するものであり、コンタクトレンズ10は、図3に示すように、外周部分が全周に亘って水平支持面22から離隔して、中央部分において接触領域24が形成された状態が、指先上に正しく乗せられた状態である。この状態で、接触領域24は、略円形乃至は略楕円形状となる。
そして、本実施形態のコンタクトレンズ10は、レンズ前面18の水平支持面22に対する接触面積となる接触領域24の面積が、レンズ前面18の全体の面積の30%以上、且つ70%以下に設定されている。レンズ前面18の水平支持面22との接触面積の、レンズ前面18の全体の面積に占める割合を30%以上確保することにより、コンタクトレンズ10を指先に乗せた場合の指先との接触面積を適度に確保して、指先で安定して密着保持することができ、装用に際して指先から脱落するなどのおそれを軽減することができる。また、レンズ前面18の水平支持面22との接触面積の、レンズ前面18の全体の面積に占める割合を70%以下に抑えることにより、レンズ外径寸法を小さくしつつ、指先との接触面積も小さくして、指先から離れ易くすることができ、装用に際する角膜への移行をより容易にすることができる。
さらに、より好ましくは、レンズ前面18における接触領域24の、レンズ前面18の全体の面積に占める割合は、50%以下に設定される。コンタクトレンズ10の指先に対する接触面積をレンズ前面の半分以下に抑えることにより、コンタクトレンズ10の指先上での傾斜や折れ曲がりのおそれを低減すると共に、外周部分が指先に接触するおそれをより軽減して、前述の如き外周部分が全周に亘って指先から離隔した、正しい状態で指先に乗せ易くすることができる。
このようなコンタクトレンズ10は、例えば3カ月や1カ月、2週間、1週間や1日など、3カ月以内の短期間の使用期限が設定されており、使用期限の経過後は廃棄される使い捨てタイプとされている。
なお、コンタクトレンズ10は、従来からコンタクトレンズの製造に用いられている、切削研磨法やスピンキャスト法で製造することも可能であるが、好適には、従来から使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズの製造に広く用いられている、モールド重合法で製造される。モールド重合法は、目的とするレンズ形状に対応する成形キャビティを備える成形型内に重合性モノマー混合液を充填し重合することで、目的とするコンタクトレンズを製造する製法であり、レンズ種類が少なく、用意する成形型の種類が少なくて済むソフトコンタクトレンズを、安価に大量生産することができる。
このようなコンタクトレンズ10は、従来のコンタクトレンズと同様に、装用する眼の上下の両眼瞼を片方の手で広げた状態に保ちつつ、他方の手の指に乗せたコンタクトレンズ10を眼に接近させて角膜表面に張り付けたり、片方の手の指にコンタクトレンズ10を乗せて、他の指で下眼瞼を引き下げると共に、他方の手の指で上眼瞼を引き上げつつ、コンタクトレンズ10を眼に接近させて角膜表面に張り付けることにより装用される。そして、本実施形態のコンタクトレンズ10によれば、レンズ外径寸法(DIA)が、一般的に用いられている使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズに比して、小さくされている。これにより、眼に装用する際に、使用者に与える恐怖心を軽減することができ、例えばコンタクトレンズを初めて使用する人や、使用を開始して間もない初心者、恐怖心を抱き易い子供でも、レンズの装用を円滑に行なうことができる。
さらに、コンタクトレンズ10は、小径とされていることから、装用時のレンズ動き量を大きく確保することができ、涙液交換の促進による眼内の老廃物の排出作用が発揮され得る。それと共に、コンタクトレンズの取り扱いに不慣れな使用者でも、レンズ全面を効率的に擦り洗いすることができる。加えて、3カ月以内の短期間の使用期限が設定された、使い捨てタイプとされていることから、レンズの取り扱いに不慣れであったり、取り扱いが雑な使用者でも、コンタクトレンズ10に脂質やタンパク質等の汚れが眼に悪影響を与える程度に蓄積する前に、新しいレンズと交換することによって、衛生面を確保することができる。
そして、コンタクトレンズ10は、平衡膨潤状態でレンズ前面18の水平支持面22に対する接触面積の、レンズ前面18の全体に占める割合が、70%以下とされている。このように、レンズ外径寸法を小さくしつつ、且つ指先との接触面積を小さくすることで、コンタクトレンズ10の指先から角膜への移行を容易に行なうことができる。加えて、レンズ前面18の水平支持面22に対する接触面積の、レンズ前面18の全体に占める割合を30%以上確保することにより、指先への吸着力も適度に確保することができて、装用に際して、コンタクトレンズ10を乗せた指を鉛直に立てた時にコンタクトレンズ10が脱落するおそれも軽減することができる。これにより、レンズの取り扱いに不慣れな使用者でも、装用を容易にすることができる。
次に、図4に、コンタクトレンズセットに関する本発明の一実施形態としてのコンタクトレンズセット30を示す。コンタクトレンズセット30は、複数種類(本実施形態では、3種類)のコンタクトレンズ32a〜32cが組み合わされて構成されている。なお、コンタクトレンズセットを構成するコンタクトレンズの種類は2以上であれば何等限定されない。これらコンタクトレンズ32a〜32cは、前述したコンタクトレンズに関する本発明に従う構造とされたものであり、前記実施形態で示したコンタクトレンズ10と略同様の構造とされている。
コンタクトレンズ32a〜32cには、異なるレンズ度数(P)が設定されている。例えば、コンタクトレンズ32aはP=+6.00、コンタクトレンズ32bはP=−3.00、コンタクトレンズ32cはP=−13.00に設定されている。これにより、本実施形態では、コンタクトレンズ32aが、最大屈折度数の設定されたコンタクトレンズとされている一方、コンタクトレンズ32cが、最小屈折度数の設定されたコンタクトレンズとされている。なお、本実施形態のコンタクトレンズ32a〜32cは、レンズ中心の厚さ寸法:tが互いに異ならされており、最大屈折度数の設定されたコンタクトレンズ32aのレンズ中心の厚さ寸法:tが最も大きく、最小屈折度数の設定されたコンタクトレンズ32cレンズ中心の厚さ寸法:tが最も小さくされている。但し、異なるレンズ度数(P)の設定されたコンタクトレンズ間で、同一のレンズ中心厚みが設定されていても良い。また、コンタクトレンズ32a〜32cは、レンズ外径寸法(DIA)が例えば13.5mm等、何れも等しい大きさに設定されていても良いし、各コンタクトレンズ32a〜32cの間で、レンズ外径寸法が、前述の範囲内で異ならされていても良い。更に、ベースカーブ(BC)についても同様であり、例えば8.6mm等の互いに等しい大きさに設定されていても良いし、互いに異ならされていても良い。
そして、コンタクトレンズ32a〜32cは、最大屈折度数の設定されたコンタクトレンズ32aと、最小屈折度数の設定されたコンタクトレンズ32cとの間で、平衡膨潤状態でレンズ前面18の水平支持面22に対する接触面積の、前記レンズ前面の全体に占める割合の差が17%以内に設定されている。これにより、各コンタクトレンズ32a〜32cにおける装用時の取扱性を略同等にすることができる。その結果、例えば子供の成長により視力が変化して、コンタクトレンズの度数が変更されてレンズが変わった場合でも、変更前と略同等の取扱性を得ることができ、装用の容易性を確保することができる。
先ず、試験体として、本発明に従う構造とされた実施例1〜13と、従来構造に従う比較例1,2の計15の試験体を用意した。なお、理解を容易とするために、以下に示す図面において、前記実施形態で示したものと同様の部材および部位については、図中に前記実施形態と同一の符号を付している。表1〜表3に、各試験体のレンズ材となるモノマー組成物の混合比を示す。なお、表中のマクロモノマーAは、下式(1)で表されるシリコーン化合物である。
このような各モノマー組成物を、図5に示す成形型40の成形キャビティ42内に充填する。成形型40は、コンタクトレンズのレンズ前面に対応する凹面部44を有する雌型46と、レンズ後面20に対応する凸面部48を有する雄型50とを備えており、雌型46と雄型50を型合わせすることによって、凹面部44と凸面部48の間に、目的とするレンズ形状に対応する成形キャビティ42が画成されるようになっている。なお、雌型46および雄型50はポリプロピレン製であり、成形キャビティ42は、レンズ外径寸法(DIA)が上記表中に示す寸法、屈折度数が−3.00D、レンズ中心の厚さ寸法が0.08mmのコンタクトレンズに対応する形状とされている。なお、上記表に示したように、表1に示す実施例1〜6、および表3に示す比較例1,2のレンズ外径寸法は何れも13.5mmに設定されている一方、表2に示す実施例7〜13については、実施例10を除いて、何れもレンズ外径寸法が10.0mmより大きく、且つ13.5mmよりも小さい大きさに設定されている。
そして、表1〜表3に示した各モノマー組成物のそれぞれについて、雌型46の凹面部44に注入した後に雄型50を型合わせして、成形キャビティ42内に充填した。そして、出力2kWの高圧水銀ランプで紫外線を20分照射して光重合を行なった。なお、紫外線の照射は、レンズ前面に相当する側(図5中、下側)からのみ行った。その後、成形型40を型開きして、モノマー組成物が重合されてなるコンタクトレンズ形状を有するポリマー材料を取り出して、該ポリマー材料に炭酸ガス雰囲気下でRF出力50W、処理圧力100Paのプラズマ処理を2分間施した後、蒸留水に浸漬して水和処理を行い、平衡となるまで膨潤させた。続いて、ポリマー材料を蒸留水中で濯ぐことにより溶出処理を行なった後に、リン酸緩衝液中にて121℃の高圧蒸気滅菌処理を20分行なうことにより、試験体としての実施例1〜13および比較例1,2の各コンタクトレンズを得た。
[接触面積の占める割合(%)]
このようにして得られた実施例1〜13および比較例1,2の各コンタクトレンズについて、レンズ前面の水平支持面との接触面積の、レンズ前面の全体に占める割合を、以下の手順に従って測定した。
(1)生理食塩水で満たしたバイアル瓶等にコンタクトレンズを浸漬する。
(2)ピンセット等でコンタクトレンズを取り出し、水分を切ったり、拭き取る等の作業をせずに、滴下する過剰の水分を振り落としただけで、図6(a)に示すように、水平に載置されたシャーレ等の平坦な水平支持面(符号22)に、レンズ後面(符号20)側を上向きにして載置する。この際、図6(b)に示すように、外周部分が水平支持面に接触することの無いように載置する。なお、水平支持面との接触部分は、略円又は略楕円となる。
(3)図7に示すように、レンズ後面(符号20)側から、水平支持面と接触している部分の最も長い箇所(Lmax )と最も短い箇所(Lmin )の長さを測定する。
(4)下記式に基づいて、接触面積(S)を算出する。
S=Lmax ×Lmin ×π×0.25
(5)コンタクトレンズを、再度生理食塩水に浸漬する。
(6)水平支持面に付着した水分を拭き取る。
(7)上記(2)〜(6)を少なくとも5回繰り返し、得られた接触面積の測定値を平均し、得られた平均値がレンズ前面の全体に占める割合を算出する。
上記手順により得られた各コンタクトレンズの水平支持面との接触面積の、レンズ前面の全体に占める割合を、下記の表4に示す。表4から明らかなように、本発明に従う実施例1〜13については、水平支持面との接触面積がレンズ前面の70%以下に設定されている。一方、従来構造に従う比較例1,2については、水平支持面との接触面積がレンズ前面の70%以上に設定されている。
[引張弾性率]
また、実施例1〜13および比較例1,2の各コンタクトレンズについて、引張部分の幅が1.8mmのダンベル形状に打ち抜いて、測定片を作成した。得られた測定片について、株式会社島津製作所製の精密万能試験機(AG−IS MS型)により引張弾性率を測定した。測定は、20℃の生理食塩水中で引張速度100mm/分にて行い、得られた応力−伸び曲線から引張弾性率(ヤング率)を算出した。得られた引張弾性率を、表4に併せ示す。表4から明らかなように、本発明に従う実施例1〜13については、何れも0.2MPa以上の引張弾性率を有する一方、従来構造に従う比較例1,2については、何れも0.2MPa以下の引張弾性率を有している。
[正しく指に乗るまでに要した時間]
これら実施例1〜13および比較例1,2の各コンタクトレンズについて、以下の手順に従って、コンタクトレンズをケースから取り出してから、正しく指に乗るまでに要した時間を測定した。
(1)レンズケース(エピカコールド(商品名)に付属しているレンズケース)に2.0mLの生理食塩水を満たし、コンタクトレンズを浸漬する。
(2)作業者がケースから指でコンタクトレンズを取り出すと同時に、作業者とは別の計測者が時間計測を開始する。
(3)作業者が、図8(a)に示すように、レンズ後面(符号20)が上側となるように、コンタクトレンズを人差し指の上に乗せる。この際、図8(b)に示すように、外周部分が指に接触したり、図8(c)に示すように、折れ曲がったりしないように、正しく乗せる。
(4)コンタクトレンズが正しく指に乗った時点で、計測者は時間計測を終了する。
(5)コンタクトレンズを再度生理食塩水に浸漬する。
(6)上記(2)〜(5)を少なくとも5回繰り返し、さらに最低3人の作業者で同様の試験を実施して、全測定時間を平均する。
上記手順により得られた、各コンタクトレンズを正しく指に乗せるまでに要した時間を、表4に併せ示す。なお、4秒未満をA、4秒以上10秒未満をB、10秒以上をCとして示している。
表4から明らかなように、本発明に従う実施例1〜実施例13のコンタクトレンズについては、従来構造に従う比較例1,2に比して、より速やかに正しい状態で指先に乗せられることが確認された。特に、レンズ外径寸法(DIA)が13.5mmに設定された実施例1〜6および実施例10については、接触面積のレンズ前面に占める割合を50%以下に設定した実施例1〜3と実施例10について、指先に乗せるまでの時間がより短くなっており、より容易に装用可能であることが確認された。また、実施例7〜9および実施例11の試験結果から、接触面積の占める割合が50%をやや超える程度であれば、レンズ外径寸法を13.5mmから更に小さくすることによって、良好な取扱性を維持できることも確認された。
[レンズ度数違いによる取り扱い易さの差]
また、下記の表5に示すように、実施例3,4,6および比較例1,2のコンタクトレンズのそれぞれについて、最大屈折度数として+6.00D、最小屈折度数として−13.00Dのレンズ度数を有する2種類のコンタクトレンズを用意した。表5に示すように、本発明に従う実施例3,4,6については、+6.00Dと−13.00Dのレンズについて、水平支持面に対する接触面積の、レンズ前面の全体に占める割合の差が17%以内に設定されている一方、従来構造に従う比較例1,2については、接触面積の占める割合の差が17%以上に設定されている。
そして、実施例3,4,6および比較例1,2のそれぞれについて、以下の手順に従って、2種類のコンタクトレンズを指の上に乗せる際の取り扱い易さを比較した。
(1)レンズケース(エピカコールド(商品名)に付属しているレンズケース)に2.0mLの生理食塩水を満たし、コンタクトレンズを浸漬する。
(2)−13.00Dのコンタクトレンズを、前記試験の図8(a)で示したのと同様に、レンズ後面(符号20)が上側となるように、コンタクトレンズを人差し指の上に正しく乗せる。
(3)+6.00Dのコンタクトレンズについて、上記(1),(2)と同様の作業を実施する。
(4)−13.00Dのコンタクトレンズを指の上に乗せる容易さと、+6.00Dのコンタクトレンズを指の上に乗せる容易さを比較した。表5に示すように、−13.00Dのレンズの接触面積の割合の方が、+6.00Dのレンズに比して小さいことから、取り扱い易さは、−13.00Dのレンズの方が容易になると想定される。しかし、−13.00Dのレンズの取り扱い易さが、+6.00Dのレンズからかなり容易になることは好ましいものではない。そこで、取り扱い易さが変わらないときをA、−13.00Dのレンズの方が容易であるときをB、−13.00Dのレンズの方がかなり容易であるときをCと評価した。
上記手順による取り扱い易さの差の評価結果を、表5に併せ示す。表5から明らかなように、水平支持面に対する接触面積の、レンズ前面の全体に占める割合の差が17%以内に設定された実施例3,4,6については、レンズ度数が異なる場合でも、割合の差が17%を超える比較例1,2に比して、取り扱い易さの差をより小さくできることが確認された。
なお、レンズ材およびベースカーブが同じで、従来構造に従うレンズ外径寸法を有するコンタクトレンズと、それよりも小さな、本発明に従うレンズ外径寸法を有するコンタクトレンズとを用意して、水平支持面との接触面積を調査した結果、接触面積は略同等であった。このことから、元々接触面積が大きいレンズは、レンズ外径寸法を小さくしても接触面積がそれ程変化せず、レンズ前面に占める割合としては更に大きくなる可能性が認められた。したがって、単にレンズ外径寸法を小さくするのみでは、取扱性の向上を図ることはできず、本発明の如き、レンズ外径寸法を小さくし、且つ水平支持面との接触面積がレンズ前面の全体に占める割合を小さくすることで初めて取扱性の向上効果が発揮されるものと推考される。
[レンズ外径寸法と装用し易さの関係]
従来構造に従う使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズである、2ウィークメニコン プレミオ(株式会社メニコン製、以下、「通常プレミオ」)及び、本発明に従う使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズである、小径化した2ウィークメニコン プレミオ(株式会社メニコン製、以下、「小径化プレミオ」)を用い、装用し易さを比較した。具体的には、コンタクトレンズ装用経験のある大人(18歳以上)18名、及び、コンタクトレンズ装用経験の無い子供(10〜15歳)22名を用い、通常プレミオと小径化プレミオをそれぞれ2週間ずつ使用させ、装用し易さを比較した。
評価基準としては、「小径化プレミオの方が明らかに装用し易い」「小径化プレミオの方が装用し易い」「変わらない」「通常プレミオの方が装用し易い」「通常プレミオの方が明らかに装用し易い」の5段階とした。なお、通常プレミオにはベースカーブが8.60mm、レンズ外径寸法が14.0mmのものを用い、小径化プレミオにはベースカーブが8.30mm、レンズ外径寸法が13.2mmのものを用い、いずれも屈折度数は−0.50D〜−6.00Dの中で使用者の目に適合するレンズをそれぞれ選択した。また、複数種類のコンタクトレンズを評価するに際しては、装用順序による評価結果への影響を考慮して、対象者を無作為に2群に分け、一方の群は「(i)小径化プレミオ、(ii)通常プレミオ」の順で装用し、もう一方の群は「(i)通常プレミオ、(ii)小径化プレミオ」の順で装用した。評価試験の結果を以下[表6]に示す。
以上の結果より、レンズ外径寸法を10〜13.5mmに設定することで、装用し易くなることが確認された。また、コンタクトレンズ装用経験のある大人に比べ、コンタクトレンズ装用経験の無い子供の方が、小径化による装用し易さの効果を感じる程度が大きいことも確認された。
一方、小径化プレミオと通常プレミオにおける、−0.50Dと−6.00Dそれぞれのレンズの接触面積の占める割合(%)を、前記[0063]段落に記載の方法に従って測定した。また、−0.50Dの小径化プレミオの引張弾性率を、前記[0065]段落に記載の方法に従って測定した。なお、引張弾性率は、レンズ外径寸法及び屈折度数によって異ならないことも確認した。各測定結果を以下[表7]に示す。
以上の結果より、装用し易さの比較に使用した小径化プレミオの接触面積の占める割合(%)は32.3%〜42.7%の範囲内であると考えられ、通常プレミオの接触面積の占める割合(%)は39.5%〜51.1%の範囲内であると考えられる。いずれも、接触面積の占める割合は70%以下であり、かつ引張弾性率は0.2MPa以上2.1MPa以下である。
したがって、単に接触面積の占める割合(%)を70%以下にし、引張弾性率を0.2MPa以上2.1MPa以下にするのみでは、取扱性の向上を図ることはできず、本発明の如き、レンズ外径寸法を小さくし、且つ接触面積の占める割合(%)を70%以下にし、引張弾性率を0.2MPa以上2.1MPa以下にすることで初めて取扱性の向上効果が発揮されるものと推考される。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態に例示したコンタクトレンズは、単焦点のコンタクトレンズであるが、老視矯正用のバイフォーカルや累進多焦点(プログレッシブ)のコンタクトレンズ、乱視矯正用のトーリックコンタクトレンズなどにも、本発明は好適に適用され得る。
また、コンタクトレンズの外周や光学部等の形状として、例えば楕円形などの円形以外の形状を採用することも可能であり、その場合には、円柱レンズ度数を設定する場合と同様に、スラブオフやプリズムバラスト等の公知の周方向位置決め手段が採用可能である。
10:コンタクトレンズ、12:レンズ中心軸、14:光学部、16:周辺部、17:エッジ部、18:レンズ前面、20:レンズ後面、22:水平支持面、24:接触領域、30:コンタクトレンズセット、32a〜c:コンタクトレンズ、40:成形型、42:成形キャビティ、44:凹面部、46:雌型、48:凸面部、50:雄型

Claims (5)

  1. 中央領域の光学部の外周領域に周辺部が設けられており、眼に重ね合わされて装用されるコンタクトレンズであって、
    柔軟材からなるソフトタイプであると共に、3カ月以内の短期間の使用期限が設定された使い捨てタイプであり、
    レンズ外径寸法が10〜13.5mmの範囲内に設定されていると共に、平衡膨潤状態で平坦な水平支持面にレンズ前面を接触させて載置せしめた状態での該レンズ前面の該水平支持面に対する接触面積の、前記レンズ前面の全体に占める割合が70%以下であることを特徴とするコンタクトレンズ。
  2. 平衡膨潤状態で平坦な水平支持面に前記レンズ前面を接触させて載置せしめた状態での該レンズ前面の該水平支持面に対する接触面積の、前記レンズ前面の全体に占める割合が30%以上である請求項1に記載のコンタクトレンズ。
  3. 平衡膨潤状態で平坦な水平支持面に前記レンズ前面を接触させて載置せしめた状態での該レンズ前面の該水平支持面に対する接触面積の、前記レンズ前面の全体に占める割合が50%以下である請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。
  4. 引張弾性率が0.2MPa以上且つ2.1MPa以下である請求項1〜3の何れか一項に記載のコンタクトレンズ。
  5. 異なるレンズ度数が設定された複数種類のコンタクトレンズを組み合わせたコンタクトレンズセットであって、
    かかるコンタクトレンズが請求項1〜4の何れか一項に記載のコンタクトレンズからなり、
    異なるレンズ度数が設定された前記複数種類のコンタクトレンズにおける、それぞれ平衡膨潤状態で平坦な水平支持面にレンズ前面を接触させて載置せしめた状態での該レンズ前面の該水平支持面に対する接触面積の、前記レンズ前面の全体に占める割合に関して、最大となる該コンタクトレンズにおける割合と最小となる該コンタクトレンズにおける割合との差が17%以内とされていることを特徴とするコンタクトレンズセット。
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