JPWO2015025861A1 - 芳香族ポリエステル分解酵素及び該酵素を用いた芳香族ポリエステル分解方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(a) 配列表の配列番号2又は4に表されるアミノ酸配列からなる芳香族ポリエステル分解酵素;又は
(b) 配列表の配列番号2又は4に表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、芳香族ポリエステル分解活性を有する芳香族ポリエステル分解酵素。
(a) 配列表の配列番号2又は4に表されるアミノ酸配列からなる芳香族ポリエステル分解酵素;又は
(b) 配列表の配列番号2又は4に表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、芳香族ポリエステル分解活性を有する芳香族ポリエステル分解酵素。
(c) 配列表の配列番号1に表される塩基配列若しくは配列番号1に示す塩基配列の82番目〜873番目の塩基配列、又は配列番号3に表される塩基配列からなるDNA;又は
(d) 配列表の配列番号1に表される塩基配列若しくは配列番号1に示す塩基配列の82番目〜873番目の塩基配列、又は配列番号3に表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができ、かつ芳香族ポリエステル分解活性を有する芳香族ポリエステル分解酵素をコードするDNA。
(a) 配列表の配列番号10又は12に表されるアミノ酸配列からなるモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素;又は
(b) 配列表の配列番号10又は12に表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、モノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素活性を有するモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素。
(a) 配列表の配列番号10又は12に表されるアミノ酸配列からなるモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素;又は
(b) 配列表の配列番号10又は12に表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、モノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素活性を有するモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素。
(c) 配列表の配列番号9に表される塩基配列若しくは配列番号9に示す塩基配列の52番目〜1812番目の塩基配列、又は配列番号11に表される塩基配列からなるDNA;又は
(d) 配列表の配列番号9に表される塩基配列若しくは配列番号9に示す塩基配列の52番目〜1812番目の塩基配列、又は配列番号11に表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができ、かつモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素活性を有するモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素をコードするDNA。
さらに、本発明は芳香族ポリエステル分解産物である、モノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素を包含する。
本発明は、ORF2645タンパク質とORF3352タンパク質をPET等の芳香族ポリエステルに作用させることを含む、芳香族ポリエステルの分解方法を包含する。ここで、作用とは、PET等の芳香族ポリエステルをORF2645タンパク質及びORF3352タンパク質と接触させ、酵素反応を起こさせることをいう。ORF2645タンパク質によりPET又はその部分構造であるビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)がモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)に加水分解され、さらに、ORF3352タンパク質によりモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)がテレフタル酸(TPA)に加水分解される。
京都工芸繊維大学名誉教授 小田 耕平博士より非結晶PET資化菌ldeonella sp. No.201-F6株の供与を受けた。該菌株については、特開2008-199957号公報に記載されている。
1.ORF2645タンパク質発現ベクターの構築
Ideonella由来ORF2645は、Escherichia coli (E. coli)では使用頻度の低いレアコドンが多数含まれている。図1及び配列番号1にIdeonella由来ORF2645遺伝子の塩基配列を示す。配列番号2にIdeonella由来ORF2645タンパク質のアミノ酸配列を示す。また、ORF2645タンパク質のN末端には膜輸送するシグナル配列 (推定)が存在する。図中下線部はシグナル配列を示す。これまでにIdeonella由来ORF2645のNative配列からシグナルペプチド配列を除いた配列を用いたE. coli によるタンパク質の発現が試みられたが、SDS-PAGE上のバンドとして確認できなかった。そこでE. coliで目的タンパクを発現させるために本遺伝子のコドン使用頻度の至適化および全合成を行った。この遺伝子の配列をoptORF2645とした。図2及び配列番号3にoptORF2645遺伝子の塩基配列を示す。図2中、下線部は最適化したコドンを示す。さらに、配列番号4にoptORF2645遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列を示す。DNA PolymeraseにPrimeSTAR-GC (タカラバイオ社)を使用し、optORF2645をPCRで増幅した。プライマーは、optORF2645-f (5’- GGGAATTCCATATGCCAAACAAACCCGTATGCGCTG -3’)(配列番号5)、optORF2645-r (5’- GGGAATTCCATATGGGTGCCATTGCGATTGTTCCG -3)(配列番号6)を用いた。その後、脱塩精製した。
2.ORF2645タンパク質の発現
コンピテントセルBL21 Codon Plus (DE3) RIPL (Agilent社)にORF2645発現ベクターをヒートショック法で導入した。タンパク質発現誘導剤としてIPTGを用いタンパク質を発現させた。菌体を集め、超音波破砕機を使用し破砕し、4℃で14,000 rpm 20分間遠心し上清を粗酵素液とした。
3. ORF2645タンパク質の精製
COSMOGEL His-Accept (ナカライテスク社)を使用して、ニッケルアフィニティクロマトグラフィーを行った。各溶出液をSDS‐PAGEでバンドを確認し目的のタンパク質が精製されているかどうか確認を行った。
1.ORF2645タンパク質発現ベクターの構築
pET-21b(+) VectorのXho IとNde IサイトにoptORF2645を組み込み、サンガーシークエンスによりoptORF2645の塩基配列を確認した。作製した発現ベクターをpET21-b/optORF2645とした。
E. coli BL21 Codon Plus (DE3) RIPLに発現ベクター(pET21-b/optORF2645)を導入し、IPTGにより16℃で発現を誘導した。SDS-PAGEにより確認したところ、目的タンパク質の発現を確認することができた。
ORF2645タンパク質を発現させた大腸菌の粗酵素液からニッケルアフィニティクロマトグラフィーによりORF2645タンパク質を精製した。各溶出液をSDS‐PAGEでバンドを確認したところ、イミダゾール濃度が50 mM、100 mM、250 mMの溶出液にORF2645タンパク質と考えられる30 kDa付近のバンドを確認した(図3)。結果、100 mLの培養液から、20μgの精製ORF2645タンパク質を得た。
方法
1.tere-PETフィルムを使用した活性実験
精製タンパク質のPET樹脂に対する活性評価は、京都工芸繊維大学名誉教授 小田 耕平博士から提供された非結晶性tere-PETフィルムを使用して行った。tere-PETとは、ベンゼン環のパラ位に2つのカルボキシル基が結合したテレフタル酸とエチレングリコールの縮重合体である。固体の状態は結晶と非晶質固体(非結晶性)の2つある。結晶は、結晶を構成する分子が3次元にわたって規則正しく積み重なった状態である。
tere-PETフィルムを用いた活性評価実験において得られた各サンプル反応上清からPET分解産物を検出するため、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた。まず各サンプルを限外濾過膜(Amicon Ultra, cut off; 5 kDa)に通過させてタンパク質を取り除いた。リン酸Buffer(20 mM NaH2PO4, H3PO4, pH 2.5)で10倍希釈後、HPLCに各サンプルを20μLずつアプライした。展開溶媒はメタノール(A)と20 mMリン酸Buffer(pH 2.5) (B)を使用した。2つの溶媒の直線的濃度勾配により溶出を試みた。
より簡便、且つ定量的に加水分解活性を評価するために、人工基質であるpNP-butyrate (p-ニトロフェニル酪酸)(図4−1A)を用いた。pNP-butyrateは加水分解されるとp-nitrophenol(図4−1B)が遊離する。p-nitrophenolは黄色を呈し、吸光度計で濃度を測定することができる。120秒間吸光度計で波長415 nmで遊離したp-nitrophenol濃度を計測した。反応液組成を表2に示す。
PETの部分構造であるBHET(図4−2)に対する活性を調べた。反応時間30分後、60分後、180分後、1日後に反応液を氷上で急冷し、限外濾過膜(Amicon Ultra, cut off; 5 kDa)によってORF2645タンパク質を取り除くことで反応を停止させた。各サンプルを2つずつ用意した。HPLC条件は表1に示す条件と同様とした。BHETはDMSOに溶かし100 mMリン酸Buffer (pH 7.0)で希釈し10 mM溶液を調製した。調製したBHETの検量線BHET濃度を上記の3と同条件で測定し、検出されるピーク面積と対応させて検量線を作成した。BHET溶液は最初にDMSOに10 mMになるように溶かし、終濃度が1 mMになるように20 mMリン酸Buffer (pH 2.5)で希釈し調整した。反応液組成を表3に示す。
1.tere-PETフィルムを使用した活性実験
精製したORF2645タンパク質のtere-PETフィルムに対する活性を実体顕微鏡で観察した。
tere-PETフィルムを用いた活性実験の反応開始後29日後の各サンプル反応上清を用いて、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるPET分解産物の検出を試みた。まず、標準サンプルにより、TPAは7.5 min付近に、BHETは9.5 min付近に検出されピークが現れることがわかった。
ORF2645タンパク質のpNP-butyrate からのpNP 遊離活性を測定した。まず、pNPのpH 7.0における波長415 nmでの検量線を作成、活性を定量化した。検量線の傾きよりモル吸光係数ε=8.3 mM-1cm-1と算出された。
ORF2645タンパク質のBHETに対する活性をHPLCで測定した。HPLCの結果を、図6−1に示す(縦軸:検出強度μV、横軸:経過時間)より9.0 min付近のBHETのピークが反応時間が長くなるほど減少し、8.0 min付近に、それとともに増加するピークが確認できた。ORF2645タンパク質はPET樹脂の部分構造であるBHETに対して酵素活性があることがわかった。BHETの減少を定量するために、ピーク面積とBHET濃度が対応した検量線を作成した。算出したBHET濃度をもとに、反応開始から反応時間60分後を初速度として比活性を計算したところ、ORF2645タンパク質1μMあたり1秒間に6.3μMのBHETを分解していると算出された(図6−2)。
方法
実施例2の活性実験で使用したtere-PETフィルム表面の細部を観察するために、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用した。96穴プレートからtere-PETフィルムを取り出し70%アルコールで洗浄した。その後、ハサミでフィルムを半分に切りSEM試料台(日新EM社)にカーボン両面テープ(日新EM社)を使い固定した。これらの作業はゴミが付着しないようピンセットと手袋を着用して行った。各サンプルを固定した後、Osmium Plasma Coater(真空デバイス社)を使用して真空中でオスミウム(Wako社)コーティングをした。その後、SEM内にある試料ステージを引き出し、試料ホルダーにSEM試薬台をセットした。試料室を真空にし、SEM本体にいれ観察を行った。
実体顕微鏡観察の結果からtere-PETフィルム表面に亀裂が確認できた。より詳細にこれらの分解痕を観察するため、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた。実施例2の活性実験1回目の77日後のサンプルを使いSEMで観察を行った。まず、77日後のtere-PETフィルムの様子を実体顕微鏡で観察した(図7)。
方法
pH 3.5からpH 9.0まで0.5刻みでクエン酸Buffer(100 mM クエン酸, pH 3.5 - pH 6.0, 100 mM NaCl)、リン酸Buffer(100 mM Na2HPO4, pH 6.0 - pH 8.0, 100 mM NaCl)、ビシンBuffer(100 mM ビシン, pH 8.0 - pH 9.0, 100 mM NaCl)を作製、各Buffer条件における、pNP-butyrateに対する活性を測定した。
各pHにおけるpNPのモル吸光係数を実験により求め、ORF2645タンパク質のpNP-butyrate に対する比活性の定量化に用いた。ORF2645タンパク質の各pHにおける比活性を測定した。結果を図9に示す。比活性は、酵素1μMがpNP-butyrateから1秒間に遊離するpNP濃度(μM)と定義した。図9に示すように、ORF2645タンパク質の至適pHはpH 6.0付近であり、低pH(< pH 4.0)、高pH(< pH 7.5)条件下では活性がほとんど認められなかった。
ORF2645タンパク質の加水分解活性を測定した。
ORF2645タンパク質を用いてPETを分解した場合、PETの分解産物としてモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)とテレフタル酸(TPA)が生じた。また、PETの部分構造であるビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)に作用させるとTPAを生成せずMHETを生じた(図10)。このことから、No.201-F6株は、PETを分解、資化するためには、MHET加水分解酵素を備えていると考えられた。そこで、該酵素についての検討を行った。
1.ORF3352タンパク質発現ベクターの構築
Ideonella由来ORF3352は、Escherichia coli (E. coli)では使用頻度の低いレアコドンが多数含まれている。図11及び配列番号9にIdeonella由来ORF3352遺伝子の塩基配列を示す。配列番号10にIdeonella由来ORF3352タンパク質のアミノ酸配列を示す。また、ORF3352タンパク質のN末端には膜輸送するシグナル配列(推定)が存在する。図11中下線部はシグナル配列を示す。これまでにIdeonella由来ORF3352のNative配列からシグナルペプチド配列を除いた配列を用いたE. coliによるタンパク質の発現が試みられたが、SDS-PAGE上のバンドとして確認できなかった。そこでE. coliで目的タンパクを発現させるために本遺伝子のコドン使用頻度の至適化、及び全合成を行った。この遺伝子の配列をoptORF3352とした。図12及び配列番号11にoptORF3352遺伝子の塩基配列を示す。図12中、下線部は最適化したコドンを示す。さらに、配列番号12にoptORF3352遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列を示す。
コンピテントセルRosseta-gami B(DE3)にORF3352発現ベクターをヒートショック法で導入した。タンパク質発現誘導剤としてIPTGを用いタンパク質を発現させた。菌体を集め超音波破砕機を使用し破砕し、4℃で14,000 rpm、20分間遠心し上清を粗酵素液とした。
COSMOGEL His-Accept(ナカライテスク社)を使用して、ニッケルアフィニティクロマトグラフィーを行った。各溶出液をSDS‐PAGEにより目的のタンパク質が精製されているかどうか確認を行った。
1. ORF3352タンパク質発現ベクターの構築
pCold II VectorのNot IとNde IサイトにoptORF3352を組み込んだのち、サンガーシークエンスにより、optORF3352の塩基配列を確認した。本発現ベクターをpCold II/optORF3352とした。
2. ORF3352タンパク質の発現・精製
Rosetta-gami B(DE3)に発現ベクター(pCold II/optORF3352)を導入し、IPTGを加え発現を誘導した。SDS-PAGEにより61.4 kDaのORF3352タンパク質のIPTGによる発現の誘導を確認した。発現細胞の超音波破砕後、可溶画分をニッケルアフィニティークロマトグラフィーに供することで、ORF3352タンパク質を精製し、十分量の精製タンパク質を得た。
方法
1. ORF3352タンパク質によるモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)、および類縁基質の分解
1.5 mLチューブに、2 mM MHET基質溶液(終濃度0.5 mM)を加え、pH7、50 mMリン酸バッファー(100 mM NaCl含)とDMSOを加え、最終的に100μLとなるように調整した。精製酵素のタンパク量を0,50,500 ngになるようにそれぞれ調整し30℃でインキュベートした。反応時間3時間終了後、リン酸バッファー(pH 2.5)を20μL加えクエンチした後、遠心機で17400 gで20分間遠心し、逆相HPLCで分解産物の解析を行った。HPLCによる解析条件を表5に示す。また、同様の実験をEthyl gallate、 Ethyl ferulate、 Chlorogenic Acid Hydrateをそれぞれ基質として行った。
ORF3352タンパク質のMHETに対する活性をHPLCで測定した。その結果、MHETのピークが反応時間とともに減少しTPAのピークが増加した。この結果から、ORF3352タンパク質はMHETに対して酵素活性があることがわかった。MHETの減少を定量するために、ピーク面積とMHET濃度が対応した検量線を作成し、算出したMHET濃度をもとに、反応開始から反応時間60分後を初速度として比活性を計算したところ、ORF3352タンパク質1 ngあたり1秒間に21.7 nMのMHETを分解していると算出された(図13)。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
Claims (17)
- 以下の(a)又は(b)の芳香族ポリエステル分解酵素:
(a) 配列表の配列番号2又は4に表されるアミノ酸配列からなる芳香族ポリエステル分解酵素;又は
(b) 配列表の配列番号2又は4に表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、芳香族ポリエステル分解活性を有する芳香族ポリエステル分解酵素。 - 芳香族ポリエステルがポリエチレンテレフタレート(PET)である、請求項1記載の芳香族ポリエステル分解酵素。
- 以下の(a)または(b)の芳香族ポリエステル分解酵素をコードするDNA:
(a) 配列表の配列番号2又は4に表されるアミノ酸配列からなる芳香族ポリエステル分解酵素;又は
(b) 配列表の配列番号2又は4に表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、芳香族ポリエステル分解活性を有する芳香族ポリエステル分解酵素。 - 以下の(c)または(d)の芳香族ポリエステル分解酵素をコードするDNA:
(c) 配列表の配列番号1に表される塩基配列若しくは配列番号1に示す塩基配列の82番目〜873番目の塩基配列、又は配列番号3に表される塩基配列からなるDNA;又は
(d) 配列表の配列番号1に表される塩基配列若しくは配列番号1に示す塩基配列の82番目〜873番目の塩基配列、又は配列番号3に表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができ、かつ芳香族ポリエステル分解活性を有する芳香族ポリエステル分解酵素をコードするDNA。 - 芳香族ポリエステルがポリエチレンテレフタレート(PET)である、請求項3又は4に記載のDNA。
- 請求項3〜5のいずれか1項に記載のDNAを含有する発現ベクター。
- 請求項6記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
- 請求項7記載の宿主細胞をDNAの発現可能な条件下で培養して、芳香族ポリエステル分解酵素を産生させ、該芳香族ポリエステル分解酵素を回収することを含む芳香族ポリエステル分解酵素の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の芳香族ポリエステル分解酵素を芳香族ポリエステルに作用させることを含む、芳香族ポリエステル分解方法。
- 以下の(a)又は(b)のモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素:
(a) 配列表の配列番号10又は12に表されるアミノ酸配列からなるモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素;又は
(b) 配列表の配列番号10又は12に表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、モノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素活性を有するモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素。 - 以下の(a)または(b)のモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素をコードするDNA:
(a) 配列表の配列番号10又は12に表されるアミノ酸配列からなるモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素;又は
(b) 配列表の配列番号10又は12に表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、モノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素活性を有するモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素。 - 以下の(c)または(d)のモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素をコードするDNA:
(c) 配列表の配列番号9に表される塩基配列若しくは配列番号9に示す塩基配列の52番目〜1812番目の塩基配列、又は配列番号11に表される塩基配列からなるDNA;又は
(d) 配列表の配列番号9に表される塩基配列若しくは配列番号9に示す塩基配列の52番目〜1812番目の塩基配列、又は配列番号11に表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができ、かつモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素活性を有するモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素をコードするDNA。 - 請求項11又は12に記載のDNAを含有する発現ベクター。
- 請求項13記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
- 請求項14記載の宿主細胞をDNAの発現可能な条件下で培養して、モノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素を産生させ、該モノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素を回収することを含むモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素の製造方法。
- 請求項1若しくは2に記載の芳香族ポリエステル分解酵素、並びに請求項10に記載のモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)加水分解活性を有する酵素に作用させることを含む、芳香族ポリエステル分解方法。
- 芳香族ポリエステルがポリエチレンテレフタレート(PET)である、請求項16記載の分解方法。
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