JPWO2014185277A1 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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昭彦 竹田
小林 康伸
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Abstract

本発明の課題は、光取出し層を備えながらも、有機機能層及び電極の劣化を防止する有機EL素子を提供することである。本発明の有機EL素子(10)は、可撓性を有する透明樹脂基板(13)上に、光触媒機能を有する微粒子が含有された光取出し層(2)、透明金属電極(1)、有機機能層(3)、対向電極(5a)が順次積層され、光取出し層(2)の透明金属電極(1)とは反対側に、紫外線吸収手段を有することを特徴とする。

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。より詳しくは、光取出し層を備えながらも、有機機能層及び電極の劣化を防止する有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
現在、薄型の発光材料として有機EL素子が注目されている。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)を利用した有機EL素子は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度、高発光効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有している。このため、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明光源等の面発光体として近年注目されている。
このような有機EL素子は、2枚の電極間に有機材料からなる発光層が配置された構成であり、発光層で生じた発光光は電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明電極として構成され、この透明電極側から発光光が取り出される。
有機EL素子は、低電力で高い輝度を得ることができ、視認性、応答速度、寿命、消費電力の点で優れている。一方で、有機EL素子の光の利用効率は20%程度であり、素子内での損失が大きいという問題も有している。
図18は、従来の有機EL素子の概略断面図である。
有機EL素子100は、図中の下層から順に、金属電極101、屈折率が約1.8の有機機能層102、屈折率が約1.8の透明電極103、屈折率が約1.5の透明基板104が積層されて構成されている。なお、図中の符号110a〜110eで表される矢印は、有機機能層102から発生した光のうち特徴的なものを示している。
光110aは、有機機能層102の発光面に対して垂直方向の光であり、透明基板104を透過して光取出し側(空気側)に取り出される。
光110bは、透明基板104と空気との界面に臨界角以下の浅い角度で入射した光であり、透明基板104と空気との界面で屈折して光取出し側に取り出される。
光110cは、透明基板104と空気との界面に臨界角より深い角度で入射した光であり、透明基板104と空気との界面で全反射して光取出し側に取り出せない光である。これによる損失を「基板損失」と呼び、通常20%程度の損失がある。
光110dは、透明電極103と透明基板104との界面に臨界角より深い角度で入射した光のうち共振条件を満たした光であり、透明電極103と透明基板104との界面で全反射して導波モードが発生し、有機機能層102及び透明電極103内に閉じ込められる光である。これによる損失を「導波損失」と呼び、通常20〜25%程度の損失がある。
光110eは、金属電極101へ入射して金属電極101内の自由電子と作用し、導波モードの一種であるプラズモンモードが発生して金属電極101の表面近傍に閉じ込められる光である。これによる損失を「プラズモン損失」と呼び、通常30〜40%程度の損失がある。
このように、従来の有機EL素子においては、基板損失、導波損失及びプラズモン損失がある。これに対し、基板損失等による損失を抑え、より多くの光を取り出す技術として、光散乱・高屈折率層を用いた光取出し技術が知られている。
例えば、特許文献1には、透明基板と透明電極との間に、光散乱層及び緩衝層を有する光取出し層を備えた有機EL発光素子について開示されている。
また、特許文献2には、屈折率が1.6以上である高屈折率粒子を含有する光散乱層を有する有機EL表示装置について開示されている。
上記特許文献2に開示されているように、光取出し層には高屈折率が求められることから、金属酸化物粒子が用いられる。しかし、酸化チタン等の金属酸化物粒子は高い光触媒機能を有しており、この光触媒機能により有機機能層が劣化し、素子寿命が低下する問題がある。
また、発光効率を向上させる点から、従来のITO(Indium Tin Oxide:SnO−In)電極に変えて、より高透明、高導電性の銀又は銀を含む合金からなる薄膜を用いた電極が提案されている。しかし、有機機能層同様に、金属酸化物粒子の光触媒機能により、電極が著しく劣化し、素子寿命が低下するため、光取出し層との併設は困難である。
特開2009−054424号公報 特開2009−259792号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、光取出し層を備えながらも、有機機能層及び電極の劣化を防止する有機EL素子を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、可撓性を有する透明樹脂基板上に、光触媒機能を有する微粒子が含有された光取出し層、透明金属電極、有機機能層、対向電極が順次積層され、光取出し層の透明金属電極とは反対側に、紫外線吸収手段を有する有機EL素子が、有機機能層及び電極の劣化を防止できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.可撓性を有する透明樹脂基板上に、光触媒機能を有する微粒子が含有された光取出し層、透明金属電極、有機機能層、対向電極が順次積層された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記光取出し層の前記透明金属電極とは反対側に、紫外線吸収手段を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
2.前記紫外線吸収手段が、紫外線吸収剤が含有された前記透明樹脂基板であることを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.前記紫外線吸収手段が、前記透明樹脂基板と前記光取出し層との間に配置される、紫外線吸収剤が含有された紫外線吸収層であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記有機エレクトロルミネッセンス素子を被覆する筐体を備え、
前記紫外線吸収手段が、紫外線吸収剤が含有された前記筐体であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.前記有機エレクトロルミネッセンス素子を被覆する筐体を備え、
前記紫外線吸収手段が、前記筐体の外面に設けられる、紫外線吸収剤が含有された紫外線吸収層であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.前記透明金属電極が、
銀又は銀を主成分とする合金を含む金属導電層と、
含窒素化合物を含む非導電性の下地層と、
を有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の有機EL素子。
本発明の上記手段により、光取出し層を備えながらも、有機機能層及び電極の劣化を防止した有機EL素子を提供することができる。
本発明の効果の発現機構・作用機構については明確になっていないが、以下のように推察している。
すなわち、従来の有機EL素子においては、ガラス基板等の透明基板を透過した紫外線が、光取出し層の金属酸化物粒子の光触媒機能を発現させ、有機機能層や電極を劣化させ、結果として、有機EL素子の発光寿命等を低下させる原因となっていた。
本発明においては、少なくとも光取出し層の紫外線入射側に対して、紫外線吸収手段が設けられているから、光取出し層に含有されている金属酸化物粒子の光触媒機能の発現を抑え、結果として、有機EL素子の性能低下を防止することができるものと考えられる。
第1の実施形態に係る有機EL素子の概略断面図 光散乱層と平滑層との積層体の断面の顕微鏡写真であって、光散乱層の層厚Tと光散乱粒子の平均粒径DとのT/Dの値が0.6であるときの一例を示す顕微鏡写真 光散乱層と平滑層との積層体の断面の顕微鏡写真であって、光散乱層の層厚Tと光散乱粒子の平均粒径DとのT/Dの値が4であるときの一例を示す顕微鏡写真 光散乱層と平滑層との積層体の断面の顕微鏡写真であって、光散乱層の層厚Tと光散乱粒子の平均粒径DとのT/Dの値が0.8であるときの一例を示す顕微鏡写真 光散乱層と平滑層との積層体の断面の顕微鏡写真であって、光散乱層の層厚Tと光散乱粒子の平均粒径DとのT/Dの値が1.2であるときの一例を示す顕微鏡写真 光散乱層と平滑層との積層体の断面の顕微鏡写真であって、光散乱層の層厚Tと光散乱粒子の平均粒径DとのT/Dの値が2であるときの一例を示す顕微鏡写真 光散乱層を平面視・透視した状態を示す顕微鏡写真であって、光散乱粒子の光散乱層における面内占有率が30%未満であるときの一例を示す顕微鏡写真 光散乱層を平面視・透視した状態を示す顕微鏡写真であって、光散乱粒子の光散乱層における面内占有率が30%であるときの一例を示す顕微鏡写真 光散乱層を平面視・透視した状態を示す顕微鏡写真であって、光散乱粒子の光散乱層における面内占有率が50%であるときの一例を示す顕微鏡写真 光散乱層を平面視・透視した状態を示す顕微鏡写真であって、光散乱粒子の光散乱層における面内占有率が70%であるときの一例を示す顕微鏡写真 AFMにて測定された散乱層と平滑層との積層体の平均粗さの測定結果の一例を示す図 内部光取出し層の製造装置の概略構成を示す図 波長制御赤外線ヒーターの概略構成を示す断面図 図13の波長制御赤外線ヒーターの変形例を示す断面図 変形例1に係る有機EL素子の概略断面図 第2の実施形態に係る有機EL素子の概略断面図 変形例2に係る有機EL素子の概略断面図 従来の有機EL素子の概略断面図
本発明の有機EL素子は、可撓性を有する透明樹脂基板上に、光触媒機能を有する微粒子が含有された光取出し層、透明金属電極、有機機能層、対向電極が順次積層され、光取出し層の透明金属電極とは反対側に、紫外線吸収手段を有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項6までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、紫外線吸収手段が、紫外線吸収剤が含有された透明樹脂基板、若しくは透明樹脂基板上に設けられる、紫外線吸収剤が含有された紫外線吸収層、又は有機EL素子を被覆する、紫外線吸収剤が含有された筐体、若しくは有機EL素子を被覆する筐体の外面に設けられる、紫外線吸収剤が含有された紫外線吸収層であることが好ましい。
また、本発明の実施態様としては、透明金属電極が、銀又は銀を主成分とする合金を含む金属導電層と、含窒素化合物を含む非導電性の下地層と、を有することが、ITO(Indium Tin Oxide:SnO−In)よりも抵抗値が低く非常に高い導電性を有すること、レアメタルを含有しないためコストが安いこと、及び酸化物でないために加工しやすいことから好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
[第1の実施形態]
≪有機EL素子(10)の構成≫
図1に示すとおり、本発明の有機EL素子10は、透明樹脂基板13側から順に、光取出し層2、透明金属電極1、有機材料等を用いて構成された有機機能層3、及び対向電極5aをこの順に積層して構成されている。なお、図1では、透明金属電極1の構成として、後述する、金属導電層1bと下地層1aとの2層構造からなる例を示している。
透明樹脂基板13には、紫外線吸収手段として、紫外線吸収剤が含有されている(練り込まれている。)。透明金属電極1(金属導電層1b)の端部には、取出し電極16が設けられている。透明金属電極1と外部電源(図示略)とは、取出し電極16を介して、電気的に接続される。有機EL素子10は、発生させた光(発光光h)を、少なくとも透明樹脂基板13側から取り出すように構成されている。
また、有機EL素子10の層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であってもよい。ここでは、透明金属電極1がアノード(すなわち陽極)として機能し、対向電極5aがカソード(すなわち陰極)として機能することとする。この場合、例えば、有機機能層3としては、アノードである透明金属電極1側から順に正孔注入層3a/正孔輸送層3b/発光層3c/電子輸送層3d/電子注入層3eを積層した構成が例示されるが、このうち、少なくとも有機材料を用いて構成された発光層3cを有することが必須である。正孔注入層3a及び正孔輸送層3bは、正孔輸送注入層として設けられてもよい。電子輸送層3d及び電子注入層3eは、電子輸送注入層として設けられてもよい。また、これらの有機機能層3のうち、例えば、電子注入層3eが無機材料で構成されている場合もある。
また、有機機能層3は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていてもよい。さらに、発光層3cは、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の中間層を介して積層させた構成としてもよい。中間層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。さらに、カソードである対向電極5aも、必要に応じた積層構造であってもよい。このような構成において、透明金属電極1と対向電極5aとで有機機能層3が挟持された部分のみが、有機EL素子10における発光領域となる。
また、以上のような層構成においては、透明金属電極1の低抵抗化を図ることを目的として、透明金属電極1の金属導電層1bに接して補助電極15が設けられていてもよい。
以上のような構成の有機EL素子10は、有機材料等を用いて構成された有機機能層3を水分や酸素による劣化から防止することを目的として、透明樹脂基板13上において封止材17で封止されている。この封止材17は、接着剤19を介して透明樹脂基板13側に固定されている。ただし、透明金属電極1(取出し電極16)及び対向電極5aの端子部分は、透明樹脂基板13上において有機機能層3によって互いに絶縁性を保った状態で封止材17から露出させた状態で設けられていることとする。
以下、上述した有機EL素子10を構成するための主要各層の詳細とその製造方法について説明する。
≪透明樹脂基板(13)≫
本発明に係る透明樹脂基板は、紫外線吸収機能を有している。より詳しくは、透明樹脂基板に紫外線吸収剤が含有された構成となっている。
本発明で好ましく用いられる透明樹脂基板としては、有機EL素子に必要な耐湿性/耐気体透過性等のガスバリアー性能を有することが好ましく、フィルム基材においては、ガスバリアー性能向上の層を設けることが好ましい。
なお、本発明の「透明樹脂基板」とは、透過率70%以上の基板をいい、その透過率が好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
また、透明樹脂基板は、可撓性を有することが好ましい。ここでいう「可撓性」とは、φ(直径)50mmロールに巻き付け、一定の張力で巻き取る前後で割れ等が生じることのない基板をいい、より好ましくはφ30mmロールに巻き付け可能な基板をいう。
上記のようなロールに巻き付け可能な透明樹脂基板としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、セルローストリアセテート(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の各樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、更には樹脂を2層以上積層してなる樹脂フィルム等を挙げることができる。
コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等が好ましく用いられ、また光学的透明性、耐熱性、無機層、ガスバリアー性層との密着性の点においては、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルムを好ましく用いることができる。
中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムがより好ましい。
さらに、熱膨張時の収縮を最大限抑えるため、熱アニール等の処理を行った低熱収処理品が最も好ましい。
透明樹脂基板の厚さは、10〜500μmの範囲内が好ましく、より好ましくは20〜250μmの範囲内であり、更に好ましくは30〜150μmの範囲内である。透明樹脂基板の厚さが10〜500μmの範囲内にあることで、安定したガスバリアー性を得られ、また、ロール・トゥ・ロール方式の搬送に適したものになる。
(1)紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、有機EL素子の有機機能層や透明金属電極の紫外線に対する劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ有機EL素子の光取出しの観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
特に、塩化メチレン溶媒中で290〜400nmの波長領域の分光吸収を測定したときに、最大吸収波長が340〜360nmの範囲内にあることが好ましい。これにより、380nm以下の紫外線をより高く遮断する効果が得られる。最大吸収波長が340nm未満である紫外線吸収性剤では、380nm付近の吸収が少なく、所望の紫外線吸収性能を得るためには多量の添加を必要とし、光学フィルムの透明性が劣化する。また、360nmより長い最大吸収波長を有する紫外線吸収剤では、400nm以上の領域に吸収を有し、有機EL素子の光取出し効率が低下する。
本発明に用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンズオキサジン系化合物、マロン酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物等を挙げることができる。中でも、ベンゾフェノン系化合物や着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物が好ましい。
オキシベンゾフェノン系化合物としては、具体的には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸(無水及び三水塩)、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、具体例には、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(1−メチル−1−フェニルエチル)−5′−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェニル)ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
ベンゾフェノン系化合物としては、具体例には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等が挙げられる。
サリチル酸エステル系化合物としては、具体的には、p−t−ブチルフェニルサリチル酸エステル、フェニル−2−アクリロイルオキシベンゾエ−ト、フェニル−2−アクロリイルオキシ−3−メチルベンゾエ−ト、フェニル−2−アクリロイルオキシ−4−メチルベンゾエ−ト、フェニル−2−アクリロイルオキシ−5−メチルベンゾエ−ト、フェニル−2−アクリロイルオキシ−3−メトキシベンゾエ−ト、フェニル−2−ヒドロキシベンゾエ−ト、フェニル−2−ヒドロキシ−3−メチルベンゾエ−ト、フェニル−2−ヒドロキシ−4−メチルベンゾエ−ト、フェニル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンゾエ−ト、フェニル−2−ヒドロキシ−3−メトキシベンゾエ−ト等が挙げられる。
ベンズオキサジン系化合物としては、具体的には、2,2′−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンズオキサジン−4−オン]等を挙げることができる。
マロン酸エステル系化合物としては、具体的には、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]マロン酸ジメチル等を挙げられる。
シアノアクリレート系化合物としては、具体的には、アルキル−2−シアノアクリレート、シクロアルキル−2−シアノアクリレート、アルコキシアルキル−2−シアノアクリレート、アルケニル−2−シアノアクリレート、アルキニル−2−シアノアクリレート等が挙げられる
ニッケル錯塩系化合物としては、特開2013−23461号公報に記載の金属錯体等が挙げられる。
トリアジン系化合物としては、具体的には、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシ)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
また、市販品としては、チヌビン(TINUVIN)−109、171、234、360(いずれもチバスペシャルティケミカルズ社製)、LA31(旭電化社製)、Sumisorb250(住友化学社製)が挙げられる。
また、これらのベンゾトリアゾール構造やベンゾフェノン構造が、ポリマーの一部、あるいは規則的にポリマーへペンダントされていてもよいし、可塑剤、酸化防止剤、酸掃去剤等の他の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
ポリマー型紫外線吸収剤としては、例えば、RUVA−93(大塚化学製)を単独重合させたポリマー及びRUVA−93と他のモノマーとを共重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、RUVA−93とメチルメタクリレートを3:7の比(質量比)で共重合させたPUVA−30M、5:5の比(質量比)で共重合させたPUVA−50M等が挙げられる。
さらには、特開2003−113317号公報に記載のポリマー等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、単独で用いてもよいし、複数種を併用して用いてもよい。
透明樹脂基板中における紫外線吸収剤の含有量としては、透明樹脂基板材料に対し、0.1〜20質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜10質量%の範囲内であることがより好ましく、1.0〜5.0質量%の範囲内であることが特に好ましい。
このような紫外線吸収剤を、透明樹脂基板中に含有させる(練り込む)方法としては、従来公知の方法を特に制限なく用いることができるが、例えば、基板材料と紫外線吸収剤とを有機溶媒中で混合、溶解させ、これをガラス板上に流延して剥離後、乾燥させることで紫外線吸収剤が含有された透明樹脂基板を得ることができる。
(2)ガスバリアー層
(2.1)特性及び形成方法
本発明においては、透明樹脂基板に対し、屈折率が1.4〜1.7の範囲内である1層以上のガスバリアー層(低屈折率層)を設けることが好ましい。このようなガスバリアー層としては、公知の素材を特に制限なく使用できるが、例えば、以下のような素材を好ましく使用できる。
ガスバリアー層は、無機前駆体化合物を含有する層であって、透明樹脂基板上に少なくとも1層の無機前駆体化合物を含有する塗布液を塗布することにより形成される。
塗布方法としては、任意の適切な方法が採用することができる。
具体例としては、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗布厚さは、目的に応じて適切に設定することができる。例えば、塗布厚さは、乾燥後の厚さが好ましくは1nm〜10μm程度、更に好ましくは10nm〜10μm程度、最も好ましくは30nm〜1μm程度となるように設定される。
(2.2)無機前駆体化合物
本発明に用いられる無機前駆体化合物とは、特定の雰囲気下で真空紫外線照射によって、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸化窒化物を形成する化合物であれば特に限定されないが、本発明の製造方法に適する化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されているように比較的低温で改質処理される化合物であることが好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む。)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン、Si−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用してもよい。また、異なる化合物を逐次積層したり、同時積層したりしても使用可能である。
(2.2.1)ポリシロキサン
本発明で用いられるポリシロキサンとしては、一般構造単位としての〔RSiO1/2〕、〔RSiO〕、〔RSiO3/2〕及び〔SiO〕を含むことができる。ここで、Rは、水素原子、1〜20の炭素原子を含むアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アリール基(例えば、フェニル基等)及び不飽和アルキル基(例えば、ビニル基(Vi)等)からなる群より独立して選択される。特定のポリシロキサン基の例には、〔PhSiO3/2〕、〔MeSiO3/2〕、〔HSiO3/2〕、〔MePhSiO〕、〔PhSiO〕、〔PhViSiO〕、〔ViSiO3/2〕、〔MeHSiO〕、〔MeViSiO〕、〔MeSiO〕、〔MeSiO1/2〕等が挙げられる。また、ポリシロキサンの混合物やコポリマーも使用可能である。
(2.2.2)ポリシルセスキオキサン
本発明においては、上述のポリシロキサンの中でもポリシルセスキオキサンを用いることが好ましい。ポリシルセスキオキサンは、シルセスキオキサンを構造単位に含む化合物である。「シルセスキオキサン」とは、[RSiO3/2]で表される化合物であり、通常、RSiX(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラアルキル基等であり、Xは、ハロゲン、アルコキシ基等である。)型化合物が加水分解−重縮合して合成されるポリシロキサンである。シスセスオキサンの分子配列の形状としては、代表的には無定形構造、ラダー状構造、籠型構造又はその部分開裂構造体(籠型構造からケイ素原子が1原子欠けた構造や籠状構造のケイ素−酸素結合が一部切断された構造)等が知られている。
これらのポリシルセスキオキサンの中でも、いわゆる水素シルセスキオキサンポリマーを用いることが好ましい。水素シルセスキオキサンポリマーには、式:HSi(OH)(OR)z/2のヒドリドシロキサンポリマーが挙げられ、各々のRは有機基又は置換された有機基であり、酸素原子によってケイ素に結合した場合、加水分解性置換基を形成し、x=0〜2、y=0〜2、z=1〜3、x+y+z=3である。Rの例には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、ビニル基等)が挙げられる。
これらの樹脂は、完全に縮合され(HSiO3/2、あるいは部分的にのみ加水分解され(すなわち、一部のSi−ORを含む。)及び/又は部分的に縮合される(すなわち、一部のSi−OHを含む。)ことができる。
籠型シルセスキオキサンの例としては、[RSiO3/2の化学式で表される下記一般式(I)のシルセスキオキサン、[RSiO3/210の化学式で表される下記一般式(II)のシルセスキオキサン、[RSiO3/212の化学式で表される下記一般式(III)のシルセスキオキサン、[RSiO3/214の化学式で表される下記一般式(IV)のシルセスキオキサン及び[RSiO3/216の化学式で表される下記一般式(V)のシルセスキオキサンが挙げられる。
Figure 2014185277
[RSiO3/2で表される籠型シルセスキオキサンにおけるnの値としては、6〜20の整数であり、好ましくは8、10又は12であり、特に好ましくは8又は8、10及び12の混合物である。また、籠型シルセスキオキサンの一部のケイ素−酸素結合が部分的に開裂した[RSiO3/2n−m(O1/2H)2+m(nは6〜20の整数であり、mは0又は1である。)で表される籠型シルセスキオキサンの好ましい例としては、一般式(I)の一部が開裂したトリシラノール体、[RSiO3/2(O1/2H)で表される下記一般式(VI)のシルセスキオキサン、[RSiO3/2(O1/2H)の化学式で表される下記一般式(VII)のシルセスキオキサン及び[RSiO3/2(O1/2H)の化学式で表される下記一般式(VIII)のシルセスキオキサンが挙げられる。
Figure 2014185277
上記一般式(I)〜(VIII)におけるRとしては、水素原子、炭素数1〜20の飽和炭化水素基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアラアルキル基及び炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。中でも、Rは重合反応が可能な重合性官能基であることが好ましい。
炭素数1〜20の飽和炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基(n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、sec−ブチル基等)、ペンチル基(n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基等)、ヘキシル基(n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、ヘプチル基(n−ヘプチル基、i−ヘプチル基等)、オクチル基(n−オクチル基、i−オクチル基、t−オクチル基等)、ノニル基(n−ノニル基、i−ノニル基等)、デシル基(n−デシル基、i−デシル基等)、ウンデシル基(n−ウンデシル基、i−ウンデシル基等)、ドデシル基(n−ドデシル基、i−ドデシル基等)等が挙げられる。成形時の溶融流動性、難燃性及び操作性のバランスを考慮すると、好ましくは炭素数1〜16の飽和炭化水素であり、特に好ましくは炭素数1〜12の飽和炭化水素である。
炭素数2〜20のアルケニル基としては、非環式アルケニル基及び環式アルケニル基が挙げられる。その例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキセニルエチル基、ノルボルネニルエチル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等が挙げられる。成形時の溶融流動性、難燃性及び操作性のバランスを考慮すると、好ましくは炭素数2〜16のアルケニル基であり、特に好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基である。
炭素数7〜20のアラアルキル基の例としては、ベンジル基、フェネチル基、炭素数1〜13、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基のうち1置換又は複数置換されたベンジル基又はフェネチル基等が挙げられる。
炭素数6〜20のアリール基の例としては、フェニル基、トリル基、炭素数1〜14、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基で置換されたフェニル基又はトリル基、キシリル基等が挙げられる。
上記の籠型シルセスキオキサン類は、Aldrich社、Hybrid Plastic社、チッソ株式会社、アヅマックス社等から市販されている化合物をそのまま用いてもよく、また、Journal of American Chemical Society誌、第111巻、1741頁(1989年)等に基づいて合成された化合物を用いてもよい。
ポリシルセスキオキサンの籠型構造の部分開裂構造体とは、[RSiO3/2の化学式で表される一つの籠型ユニットからSi−O−Si結合が開裂して生成したSi−OHが3個以下の化合物、又は[RSiO3/2の化学式で表される閉じた籠型構造の中からSi原子の欠損が1個以下の化合物を示す。
籠型シルセスキオキサンにおいても、[HSiO3/2等の水素シルセスキオキサンを好ましく用いることができる。
(2.2.3)ポリシラザン
本発明で用いられるポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Si及び両方の中間固溶体SiO(x:0.1〜1.9、y:0.1〜1.3)等の無機前駆体ポリマーである。
本発明に好ましく用いられるポリシラザンとしては、下記一般式(A)で表される。
一般式(A)
−[Si(R)(R)−N(R)]−
一般式(A)中、R、R及びRは、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。
本発明では、得られるガスバリアー層としての緻密性の観点からは、R、R及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
一方、そのSiと結合する水素部分が一部アルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより、透明樹脂基板との接着性が改善され、かつ硬くてもろいポリシラザンによるセラミック層に靭性を持たせることができるため、より層厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンやオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と、6及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は、数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)であり、分子量により異なるが液体又は固体の物質である。これらは、有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。
低温でセラミック化するポリシラザンの別の例としては、上記ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等が挙げられる。
ポリシラザンを含有する液体を調製する有機溶媒としては、ポリシラザンと容易に反応するようなアルコール系や水分を含有するものを用いることは好ましくない。好ましく用いられる有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が挙げられる。具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリコロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等がある。これらの溶剤は、ポリシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速度等、目的にあわせて選択し、複数の溶剤を混合してもよい。
ポリシラザン含有塗布液中のポリシラザン濃度は、目的とするシリカ層厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、0.2〜35質量%程度である。
有機ポリシラザンは、そのSiと結合する水素部分が一部アルキル基等で置換された誘導体であってもよい。アルキル基、特に最も分子量の少ないメチル基を有することにより透明樹脂基板との接着性が改善され、かつ硬くてもろいシリカ層に靭性を持たせることができ、より層厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる。
また、酸化ケイ素化合物への改質処理を促進するために、アミンや金属の触媒を添加することもできる。具体的には、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 アクアミカ NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
(2.2.4)ポリシロキサザン
ポリシロキサザンは、主たる繰り返し単位が−[(SiH(NH)]−と−[(SiHO]−(式中n、m及びrは、1、2又は3を表す。)で示される化合物である。
(2.2.5)触媒
本発明に係る無機前駆体を含有する溶液(塗布液ともいう。)中には、必要に応じて、触媒を添加することができる。
具体的には、1−メチルピペラジン、1−メチルピペリジン、4,4′−トリメチレンジピペリジン、4,4′−トリメチレンビス(1−メチルピペリジン)、ジアザビシクロ−[2,2,2]オクタン、シス−2,6−ジメチルピペラジン、4−(4−メチルピペリジン)ピリジン、ピリジン、ジピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン、ルチジン、ピリミジン、ピリダジン、4,4′−トリメチレンジピリジン、2−(メチルアミノ)ピリジン、ピラジン、キノリン、キノクサリン、トリアジン、ピロール、3−ピロリン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、1−メチルピロリジン等のN−ヘテロ環状化合物、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン等のアミン類、更にDBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]5−ノネン)、1,5,9−トリアザシクロドデカン、1,4,7−トリアザシクロノナン等が挙げられる。
また、有機酸、無機酸、金属カルボン酸塩、アセチルアセトナ錯体及び金属微粒子も好ましい触媒として挙げられる。
有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、マレイン酸及びステアリン酸等が挙げられ、無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、過酸化水素、塩素酸及び次亜塩素酸等が挙げられる。
金属カルボン酸塩としては、式:(RCOO)M〔式中、Rは脂肪族基又は脂環族基で、炭素数1〜22のものを表し、MはNi、Ti、Pt、Rh、Co、Fe、Ru、Os、Pd、Ir及びAlからなる群より選択される少なくとも1種の金属を表し、nはMの原子価と同値である。〕で表される化合物である。金属カルボン酸塩は、無水物でも水和物でもよい。
アセチルアセトナ錯体としては、アセチルアセトン(2,4−ペンタジオン)から酸解離により生じた陰イオンacacが金属原子に配位した錯体であり、一般的には、式(CHCOCHCOCHM〔式中、Mはイオン価nの金属を表す。〕で表される。好適な金属Mとしては、例えば、ニッケル、白金、パラジウム、アルミニウム、ロジウム等が挙げられる。また、金属微粒子も好適に用いることができ、具体的には、Au、Ag、Pd又はNiが好ましく、特にAgが好ましい。金属微粒子の粒径は、0.5μmより小さいことが好ましく、0.1μm以下がより好ましく、0.05μmより小さいことが更に好ましい。
これら以外にも、過酸化物、メタルクロライド、フェロセン、ジルコノセン等の有機金属化合物等も用いることができる。また、シリコーンポリマーの硬化剤として用いられる白金ビニルシロキサンも用いることができる。
これら触媒は、無機前駆体化合物に対して、0.01〜10質量%の範囲内で配合することが好ましく、0.05〜2質量%の範囲内で配合することがより好ましい。
≪光取出し層(2)≫
(1)構成及び特性
光取出し層2は、透明樹脂基板13と透明金属電極1との間に配設されており、透明樹脂基板13側から順に、光散乱層2aと平滑層2bとが積層され、構成されている(図1参照)。
光取出し層の波長550nmにおける屈折率は、1.7以上2.5未満の範囲内である。
有機EL素子の発光層内に閉じ込められる導波モード光や陰極から反射されるプラズモンモード光は特異な光学モードの光であり、これらの光を取り出すためには少なくとも1.7以上の屈折率が必要である。一方、最も高次側のモードであっても屈折率2.5以上の領域の光はほぼ存在せず、これ以上の屈折率としても取り出せる光の量が増えることはない。
実際には、光散乱層及び平滑層の屈折率が、それぞれ1.7以上2.5未満の範囲内であることが好ましいが、各層の屈折率を個別に測定することは困難である場合が多いことから、光取出し層全体として、屈折率が上記範囲を満たしていればよい。
なお、屈折率の測定は、25℃の雰囲気下で発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGA社製、DR−M2)を用いて行う(光散乱層及び平滑層の屈折率の測定も同様である。)。
また、光取出し層のヘイズ値(全光線透過率に対する散乱透過率の割合)は、30%以上であることが好ましい。ヘイズ値が30%以上であれば、発光効率を向上させることができる。
なお、ヘイズ値とは、(i)層中の組成物の屈折率差による影響と、(ii)表面形状による影響とを受けて算出される物性値である。本発明においては、光散乱層上に平滑層を積層した光取出し層としてのヘイズ値を測定する。すなわち、表面粗さを一定程度未満に抑えてヘイズ値を測定することにより、上記(ii)による影響を排除したヘイズ値が測定されることとなる。
また、本発明の光取出し層は、透過率が50%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましく、60%以上であることが特に好ましい。
光取出し層の透過率は高いことが好ましいが、実際上は80%未満の数値にとどまると想定される。光取出し層の透過率は、より好ましくは85%未満であり、特に好ましくは90%未満である。
(2)光散乱層(2a)
(2.1)屈折率
光散乱層は、屈折率が1.7以上3.0未満の範囲内である高屈折率層であることが好ましい。この場合、光散乱層は、屈折率1.7以上3.0未満を有する単独の素材で層を形成してもよいし、2種類以上の化合物を混合して屈折率1.7以上3.0未満の層を形成してもよい。このような混合系の場合、光散乱層の屈折率は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率でも代用可能である。また、この場合、各々の素材の屈折率は、1.7未満若しくは3.0以上であってもよく、混合した層の屈折率として1.7以上3.0未満を満たしていればよい。
また、本発明の光散乱層は、層媒体と光散乱粒子との混合物による屈折率差を利用した混合光散乱層(散乱膜)である。
光散乱層は、光取出し効率を向上させる層であり、透明樹脂基板の透明金属電極側の最表面に形成される。
光散乱層は、層媒体と該層媒体に含有される光散乱粒子とから構成されている。
層媒体である後述の樹脂材料(モノマー又はポリマー)と含有される光散乱粒子との屈折率差は、0.03以上であり、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上であり、特に好ましくは0.3以上である。層媒体と光散乱粒子との屈折率差が0.03以上であれば、層媒体と光散乱粒子との界面で散乱効果が発生する。屈折率差が大きいほど、界面での屈折が大きくなり、散乱効果が向上するため好ましい。
(2.2)光散乱粒子の平均粒径
光散乱層は、上記のように、層媒体と光散乱粒子との屈折率の違いにより光を散乱させる層である。そのため、含有される光散乱粒子としては、可視光域のMie散乱を生じさせる領域以上の粒径を有する透明な粒子であることが好ましく、その平均粒径は0.2μm以上である。
一方、平均粒径の上限としては、粒径がより大きい場合、光散乱粒子を含有した光散乱層の粗さを平坦化する平滑層の層厚も厚くする必要があり、また、工程の負荷、層の吸収の観点で不利な点があることから、1μm未満である。
ここで、高屈折率粒子(光散乱粒子)の平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真(TEM断面)の画像処理により測定することができる。
(2.3)光散乱粒子の種類等
光散乱粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよいが、中でも高屈折率を有する無機微粒子であることが好ましい。
高屈折率を有する有機微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンビーズ、ポリカーボネートビーズ、スチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ及びベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ等が挙げられる。
高屈折率を有する無機微粒子としては、例えば、ジルコニウム、チタン、インジウム、亜鉛、アンチモン、セリウム、ニオブ及びタングステン等の中から選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる無機酸化物粒子が挙げられる。無機酸化物粒子としては、具体的には、ZrO、TiO、BaTiO、In、ZnO、Sb、ITO、CeO、Nb、WO等が挙げられ、中でも、TiO、BaTiO、ZrO、CeO又はNbが好ましく、TiOが最も好ましい。また、TiOの中でも、アナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いため高屈折率層や隣接した層の耐候性が高くなり、更に屈折率が高いことから好ましい。
また、これらの粒子は、高屈折率の光散乱層に含有させるために、後述の分散液とした場合の分散性や安定性向上の観点から、表面処理を施したものを用いるか、あるいは表面処理を施さないものを用いるかを選択することができる。
表面処理を行う場合、表面処理の具体的な材料としては、酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の異種無機酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、オルガノシロキサン、ステアリン酸等の有機酸等が挙げられる。これら表面処理材は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、分散液の安定性の観点から、表面処理材としては、異種無機酸化物及び/又は金属水酸化物が好ましく、金属水酸化物がより好ましい。
無機酸化物粒子が、表面処理材で表面被覆処理されている場合、その被覆量(一般的に、この被覆量は、粒子の質量に対する当該粒子の表面に用いた表面処理材の質量割合で示される。)は、0.01〜99質量%の範囲内であることが好ましい。表面処理材の被覆量が0.01質量%以上であると、表面処理による分散性や安定性の向上効果を十分に得ることができ、また、99質量%以内であると高屈折率の光散乱層の屈折率が低下するのを抑制することができる。
その他、高屈折率材料として、国際公開第2009/014707号や米国特許第6608439号明細書等に記載の量子ドットも好適に用いることができる。
上記高屈折率粒子は、その屈折率が1.7以上であり、1.85以上が好ましく、2.0以上が特に好ましい。屈折率が1.7以上であると、バインダーとの屈折率差が大きくなるため散乱量が増大し、光取出し効率の向上効果が得られる。
一方で、高屈折率粒子の屈折率の上限は3.0未満である。バインダーとの屈折率差が大きければ十分な散乱量を得ることができ、光取出し効率の向上効果が得られる。
上記高屈折率粒子の配置は、光散乱粒子が光散乱層と平滑層との界面に接触又は近接するように平均粒径の厚さ程度で配置されるのが好ましい。これにより、平滑層内で全反射が起きたとき、光散乱層に染み出してくるエバネッセント光を粒子で散乱させることができ、光取出し効率が向上する。
高屈折率粒子の光散乱層における含有量は、体積充填率で、1.0〜70%の範囲内であることが好ましく、5〜50%の範囲内であることがより好ましい。これにより、光散乱層と平滑層との界面に屈折率分布の粗密を作ることができ、光散乱量を増加させて光取出し効率を向上させることができる。
(2.4)層厚と粒子の平均粒径との関係
光散乱層の層厚をTと、光散乱層に含有される光散乱粒子の平均粒径をDとしたとき、T/Dの値が0.75〜3.0の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.0〜2.5の範囲内であり、更に好ましくは1.25〜2.0の範囲内である。
図2〜6は、光散乱層(大粒子部)と平滑層との積層体の断面の顕微鏡写真であって、光散乱層(大粒子部)の層厚と光散乱粒子の平均粒径との関係の一例を示すものである。
T/Dの値が0.75未満であると、光散乱粒子に光が衝突する確率が低くなり好ましくなく(図2参照)、T/Dの値が3.0を超えると、光散乱粒子による吸収が大きくなり、光の吸収損が大きく好ましくない(図3参照)。これに対し、T/Dの値が0.75以上3.0以下であって、その値が良好であるときは、図4〜6のような形態を有している。
(2.5)光散乱層における光散乱粒子の面内占有率
光散乱層に含有される光散乱粒子の当該光散乱層における面内占有率は、30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上であり、特に好ましくは70%以上である。
「光散乱粒子の光散乱層における面内占有率」とは、光散乱層を平面視してこれを透視したときに、その面内における光散乱粒子の面積占有率をいう。
図7〜10は、光散乱層を平面視・透視した状態を示す顕微鏡写真であって、面内占有率を変動させたときの状態を示すものである。
面内占有率が30%未満であると、光散乱粒子間の空隙が多く、図7のような形態を有する。これに対し、面内占有率が30%であると図8のような形態を、面内占有率が50%であると図9のような形態を、面内占有率が70%以上であると図10のような形態をそれぞれ有しており、光散乱層における光の散乱が最適なものとなる。
(3)平滑層(2b)
本発明に係る平滑層は、屈折率が1.7以上2.5未満の高屈折率層であることが好ましい。屈折率が1.7以上2.5未満であれば、単独の素材で形成されていてもよいし、混合物で形成されていてもよい。混合物で形成する際の屈折率の考え方は、上記光散乱層の場合と同様である。
平滑層は、この上に透明金属電極を良好に形成させる平坦性を有することが重要であり、その表面性は平均面粗さRaが100nm未満、好ましくは30nm未満、特に好ましくは10nm未満、最も好ましくは5nm未満である。図11に、本発明に係る平滑層の平均面粗さRaの測定結果の一例を示す。
なお、ここでいう「平均面粗さRa」とは、JIS B 0601−2001に準拠した算術平均粗さを表している。
平均面粗さRaは、原子間力顕微鏡法(Atomic Force Microscopy:AFM)を用い、極小の先端半径の触針をもつ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が10μmの区間内を3回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さから求める。
平滑層に用いられる樹脂(バインダー)としては、光散乱層と同様の樹脂(後述参照)が挙げられる。
平滑層に含有される高屈折材料としては、微粒子ゾルが好ましく、特に金属酸化物微粒子ゾルが好ましい。
高屈折率の平滑層に含まれる金属酸化物微粒子の屈折率の下限としては、バルクの状態で1.7以上であることが好ましく、1.85以上であることがより好ましく、2.0以上であることが更に好ましく、2.5以上であることが特に好ましい。また、金属酸化物微粒子の屈折率の上限としては、3.0以下であることが好ましい。金属酸化物微粒子の屈折率が1.7以上であると本願の目的効果が向上し好ましい。金属酸化物微粒子の屈折率が3.0以下であると平滑層中での多重散乱が減少し、透明性が向上するため好ましい。
高屈折率の平滑層に含まれる金属酸化物微粒子(無機粒子)の粒径の下限としては、通常5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、15nm以上であることが更に好ましい。また、金属酸化物微粒子の粒径の上限としては、70nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。金属酸化物微粒子の粒径が5nm以上であると、金属酸化物微粒子の凝集を抑えられ、透明性が向上するため好ましい。また、粒径が大きいと表面積が小さくなり、触媒活性が低下し、平滑層や隣接した層の劣化が遅延する可能性があり好ましい。金属酸化物微粒子の粒径が70nm以下であると、平滑層の透明性が向上し好ましい。本発明の効果を損なわない限り、粒径の分布は制限されず、広くても狭くても複数の分布を持っていてもよい。
平滑層における金属酸化物微粒子の含有量の下限としては、全体質量に対して、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることが更に好ましい。また、金属酸化物微粒子の含有量の上限としては、97質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。平滑層の金属酸化物微粒子の含有量が70質量%以上であると、平滑層の屈折率を1.80以上とすることが実質的に容易になる。平滑層の金属酸化物微粒子の含有量が95質量%以下であると平滑層の塗布が容易となり、乾燥後の層の脆性も小さくなって、耐屈曲性が向上し好ましい。
平滑層に含有される金属酸化物微粒子としては、安定性の観点から、TiO(二酸化チタンゾル)であることがより好ましい。また、TiOの中でも、特にアナターゼ型よりルチル型の方が触媒活性が低いため、平滑層や隣接した層の耐候性が高くなり、更に屈折率が高いことから好ましい。
本発明で用いることのできる二酸化チタンゾルの調製方法としては、例えば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等を参照することができる。
二酸化チタン微粒子の特に好ましい1次粒子径は、5〜15nmの範囲内であり、最も好ましくは6〜10nmの範囲内である。
(4)光散乱層(2a)/平滑層(2b)
上記の光散乱層と平滑層とを積層した光取出し層は、屈折率が1.7以上2.5未満である。
光取出し層は、波長450〜700nmの範囲内の光に対する吸収率が15%未満であることが好ましく、より好ましくは12%未満、更に好ましくは10%未満、特に好ましくは8%未満である。吸収率が15%未満であると、発光効率の観点で好ましい。吸収率は少ない側に制約はなく、工業上使用可能な範囲で透明性の高い素材を適時使用することが好ましい。
また、波長450〜700nmの範囲内の光に対する吸収率は、各波長の吸収最大値(max値)と吸収最小値(min値)の変動が小さい方が好ましく、min値/max値の比が0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましく、0.7以上であることが更に好ましく、0.8以上であることが特に好ましい。min値/max値の比が0.5以上であると、光取出し層が着色し、有機EL素子本来の発光スペクトルと異なる発色となり、極端には白色の光を取り出すことができなくなる、といった現象を回避することができる。min値/max値の比は1であることが理想であり、1に近い程好ましいが、工業上使用可能な範囲で可視光透明性の素材を適時使用することが好ましい。
上記のようにして形成される光散乱層/平滑層の積層体としての光取出し層において、ヘイズ値が30%以上90%未満であることが好ましい。ヘイズ値は、より好ましくは35%以上85%未満、更に好ましくは40%以上80%未満、特に好ましくは45%以上75%未満である。上記のヘイズ値は、表面形状によっても変動するものであり、ここでいう「ヘイズ値」は、AFM(原子間力顕微鏡)で測定される1μmのRaが5nm未満の層に対して測定した値である。
≪光取出し層(2)の製造装置と製造方法≫
(1)製造装置
図12に示すとおり、製造装置200は、いわゆるロール・トゥ・ロール方式により、ロール状に巻かれた透明樹脂基板を、元巻きローラー202から巻取りローラー204で巻き取り、その巻取り搬送の途中で、透明樹脂基板上に光取出し層を形成する装置である。
製造装置200は、主に、搬送部210、IJ塗布部220、IR乾燥部230、光硬化部240、IJ塗布部250、IR乾燥部260、光硬化部270、搬送部280から構成されている。
搬送部210には、複数の搬送ローラー212が設置されている。搬送部210では、搬送ローラー212により、元巻きローラー202から透明樹脂基板が引き出されながら、透明樹脂基板の張力調整等が行われる。
搬送部210には、アキュムレーターを設置することが可能である。搬送部210にアキュムレーターを設置した場合には、連続搬送、間欠搬送の選択が可能となることから、搬送部210にアキュムレーターを設置することは好ましい態様である。
IJ塗布部220には、搬送ローラー222、プラテン224、IJヘッド226が設置されている。IJ塗布部220では、搬送ローラー222により透明樹脂基板が搬送され、その途中で透明樹脂基板がプラテン224により支持されながら、透明樹脂基板に対しIJヘッド226から塗布液が塗布・パターニングされる。
IR乾燥部230には、搬送ローラー232、波長制御赤外線ヒーター20が設置されている。IR乾燥部230では、搬送ローラー232により透明樹脂基板が搬送され、その途中で塗布・パターニング後の塗布液に対し、波長制御赤外線ヒーター20により赤外線が照射され、塗布液が乾燥させられる。
波長制御赤外線ヒーター20は、波長3.5μm以上の赤外線の吸収機構を有するもので、外観が円柱状を有しており、図13に示すとおり、主に、フィラメント22、保護管24及びフィルター26,28がこの順に同心円状に配置された構成を有している。
ここで、「波長3.5μm以上の赤外線を吸収する」とは、波長3.5μm以上の遠赤外線領域において、赤外線透過率が50%以下であることをいい、好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下であることをいう。
詳しくは、フィルター26,28自体は、フィラメント22により加熱され高温となるため、自身が赤外線の放射体となり、フィラメント22が発する赤外線より、長波長の赤外線を放射する。しかし、波長制御赤外線ヒーター20では、フィルター26,28の間の中空部30に冷媒(例えば、冷却空気)が流通するようになっており、その冷却機能によりフィルター26,28の表面温度を低下させ、フィルター26,28が発する2次放射を抑制することができるようになっている。その結果、主に透明樹脂基板に吸収領域のある波長3.5μm以上の遠赤外線をカットできる。そして、被乾燥物には、溶媒の吸収領域である波長3.5μm以下の近赤外線を選択的に照射することで、透明樹脂基板を変形させることなく塗布液を乾燥させることができる。
フィルター26,28の材質としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス等があり、耐熱性、耐熱衝撃性の点から石英ガラスが好ましい。
フィルター26,28の厚さ及び枚数は、必要な赤外線スペクトルにより、適宜選択・変更することができる。
冷却機能としては、上記のとおり、波長制御用のフィルターを中空で二重又は多重積層し、間の中空部分に空気を流すことで冷却できる。
フィルター26,28の形状は、上記のとおり、円柱状のフィラメント22全体を同心円状に覆ってもよいし、図14に示すとおり、フィラメント22(及び保護管24)の3方向を反射板32で被覆し、赤外線の放射面側にフィルター26,28を平行板状に配置してもよい。
フィルター26,28に加えて、更に別のフィルターを配置する多重構造とする場合、冷却用の空気を、フィルター間の中空部同士で互いに逆方向に流すことが冷却効率の点から好ましい。また、排出側の冷却用空気は、系外に排出してもよいし、乾燥工程で使用する熱風の一部として利用してもよい。
ウィーンの変位則によれば、フィラメント温度を昇温させると、放射される赤外線スペクトルの主波長が溶媒の吸収に相当する3.5μm以下となるため、波長制御赤外線ヒーター20のフィラメント22の温度は600℃以上が好ましく、フィラメント22の耐熱性の点から3000℃以下とすることが好ましい。フィラメント温度に応じて、これら溶媒の吸収に相当する波長域の輻射エネルギーを増加させることができ、フィラメント温度は所望の塗布、乾燥条件によって、適宜選択・変更することができる。
被乾燥物側に配置される最外側のフィルター28の表面温度は、自身の赤外線吸収による2次放射を抑制する観点から、200℃以下とすることが好ましく、150℃以下とすることが更に好ましい。フィルター28の表面温度は、二重又は多重に積層されたフィルター間に空気を流すことで調整できる。
また、IR乾燥部230では、その乾燥ゾーンを赤外線反射性の高い材料で構成(被覆)することにより、被乾燥物に吸収されなかった赤外線を高効率で利用できる。
なお、図13及び図14に示すとおり、波長制御赤外線ヒーター20には中空部30で冷媒を流通(循環)させるための冷却機構40が接続され、更に冷却機構40とフィラメント22とには制御装置50が接続されている。このような制御回路では、制御装置50により、冷却機構40による中空部30への冷媒の流通量やフィラメント22の発熱温度等が制御される。
図12に示すとおり、光硬化部240には、搬送ローラー242、紫外線照射装置244が設置されている。光硬化部240では、搬送ローラー242により透明樹脂基板が搬送され、その途中で赤外線照射後の塗布液に対し、紫外線照射装置244により紫外線が照射され、塗布液が硬化させられる。
光硬化部240では、紫外線照射装置244に代えて、電子線照射装置も好ましく使用できる。
紫外線には、波長150〜230nmの紫外線(UV光)が特に好ましく用いられる。
紫外線の照射は、照射される塗布物を担持している基板がダメージを受けない範囲で照射強度及び/又は照射時間を設定する。基板としてプラスチックフィルムを用いた場合を例にとると、基板表面の強度が10〜300mW/cmの範囲内となるように基板−ランプ間距離を設定し、0.1秒〜10分間、好ましくは0.5秒〜3分間の範囲内で照射することが好ましい。
紫外線照射装置は、市販のランプ(例えば、ウシオ電機製)を使用することが可能である。
紫外線は、ほとんどの物質の原子間結合力より大きいため、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみによる作用により、直接切断することが可能である。この作用を用いることにより、加水分解を必要とせず低温で、かつ効率的に改質処理が可能となる。
これに必要な紫外線照射装置244の紫外線光源としては、具体的には、100〜230nmの範囲内の紫外線を発する希ガスエキシマランプが挙げられる。
Xe、Kr、Ar、Ne等の希ガスの原子は、化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電などによりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は、他の原子と結合して分子を作ることができる。
例えば、希ガスがXe(キセノン)の場合には、下記反応式で示されるように、励起されたエキシマ分子であるXe が基底状態に遷移するときに、172nmのエキシマ光を発光する。
e+Xe→Xe
Xe+2Xe→Xe +Xe
Xe →Xe+Xe+hν(172nm)
エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。また、余分な光が放射されないので、対象物の温度を比較的低く保つことができる。さらには、始動・再始動に時間を要さないので、瞬時の点灯点滅が可能である。
エキシマ光を効率よく照射する光源としては、誘電体バリア放電ランプが挙げられる。
誘電体バリア放電ランプの構成としては、電極間に誘電体を介して放電を起こすものであり、一般的には、誘電体からなる放電容器とその外部とに少なくとも一方の電極が配置されていればよい。誘電体バリア放電ランプとして、例えば、石英ガラスで構成された太い管と細い管とからなる二重円筒状の放電容器中にキセノン等の希ガスが封入され、該放電容器の外部に網状の第1の電極を設け、内管の内側に他の電極を設けたものがある。誘電体バリア放電ランプは、電極間に高周波電圧等を加えることによって放電容器内部に誘電体バリア放電を発生させ、該放電により生成されたキセノン等のエキシマ分子が解離する際にエキシマ光を発生させる。
エキシマランプは、光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域の単一波長でエネルギーを照射するため、照射光自体による照射対象物の温度上昇を抑えられる特徴を持っている。
上記のように、エキシマ発光を得る方法として、誘電体バリア放電を用いる方法が知られている。誘電体バリア放電とは両電極間に誘電体(エキシマランプの場合は透明石英)を介してガス空間を配し、電極に数10kHzの高周波高電圧を印加することによりガス空間に生じる、雷に似た非常に細いmicro dischargeと呼ばれる放電で、micro dischargeのストリーマが管壁(誘電体)に達すると誘電体表面に電荷が溜まるため、micro dischargeは消滅する。
誘電体バリア放電は、このmicro dischargeが管壁全体に広がり、生成・消滅を繰り返している放電である。このため、肉眼でも分かる光のチラツキを生じる。また、非常に温度の高いストリーマが局所的に直接管壁に達するため、管壁の劣化を早める可能性もある。
効率よくエキシマ発光を得る方法としては、誘電体バリア放電以外に無電極電界放電が挙げられる。容量性結合による無電極電界放電で、別名RF放電とも呼ばれる。ランプと電極、及びその配置は、基本的には誘電体バリア放電と同じでよいが、両極間に印加される高周波は数MHzで点灯される。無電極電界放電は、このように空間的・時間的に一様な放電が得られるため、チラツキがない長寿命のランプが得られる。
誘電体バリア放電の場合は、micro dischargeが電極間のみで生じるため、放電空間全体で放電を行わせるには外側の電極は外表面全体を覆い、かつ外部に光を取り出すために光を透過するものでなければならない。
このため細い金属線を網状にした電極が用いられる。この電極は、光を遮らないようにできるだけ細い線が用いられるため、酸素雰囲気中では紫外線により発生するオゾン等により損傷しやすい。
これを防ぐためには、ランプの周囲、すなわち照射装置内を窒素等の不活性ガスの雰囲気にし、合成石英の窓を設けて照射光を取り出す必要が生じる。合成石英の窓は、高価な消耗品であるばかりでなく、光の損失も生じる。
二重円筒型ランプは、外径が25mm程度であるため、ランプ軸の直下とランプ側面では照射面までの距離の差が無視できず、照度に大きな差を生じる。したがって、仮にランプを密着して並設しても、一様な照度分布が得られない。合成石英の窓を設けた照射装置にすれば、酸素雰囲気中の距離を一様にでき、一様な照度分布が得られる。
無電極電界放電を用いた場合には、外部電極を網状にする必要はない。ランプ外面の一部に外部電極を設けるだけで、グロー放電は放電空間全体に広がる。外部電極には、通常アルミのブロックで作られた光の反射板を兼ねた電極がランプ背面に使用される。しかし、ランプの外径は誘電体バリア放電の場合と同様に大きいため、一様な照度分布にするためには合成石英が必要となる。
細管エキシマランプの最大の特徴は、構造がシンプルなことである。石英管の両端を閉じ、内部にエキシマ発光を行うためのガスを封入しているだけである。
細管ランプの管の外径は、6〜12mm程度で、あまり太いと始動に高い電圧が必要になる。
放電の形態は、誘電体バリア放電でも無電極電界放電のいずれでも使用できる。電極の形状は、ランプに接する面が平面であってもよいが、ランプの曲面に合わせた形状にすればランプをしっかり固定できるとともに、電極がランプに密着することにより放電がより安定する。また、アルミで曲面を鏡面にすれば光の反射板にもなる。
Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。
また、有機物の結合を解離させる波長の短い172nmの光のエネルギーは、能力が高いことが知られている。
この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーとによって、短時間での反応を実現できる。
したがって、波長185nm、254nmの光を発する低圧水銀ランプやプラズマと比べて高スループットに伴うプロセス時間の短縮や設備面積の縮小、熱によるダメージを受けやすい有機材料やプラスチック基板等への照射を可能としている。
エキシマランプは、光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で単一波長でエネルギーを照射するため、照射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を持っている。このため、熱の影響を受けやすいとされるPET等のフレシキブルフィルム材料に適している。
照射強度が高ければ、光子と塗布液内の化学結合が衝突する確率が増え、改質反応を短時間化することができる。また、内部まで侵入する光子の数も増加するため、改質層厚も増加及び/又は層質の良化(高密度化)が可能である。
ただし、照射時間を長くしすぎると、平面性の劣化や他の材料にダメージを与える場合がある。一般的には、照射強度と照射時間の積で表される積算光量で反応進行具合を考えるが、酸化シリコンのように組成は同一でも、様々な構造形態をとる材料においては、照射強度の絶対値が重要になる場合もある。
(紫外線の照射強度)
したがって、光硬化部240では、基板のダメージ、ランプやランプユニットの部材のダメージを抑制する観点から、少なくとも1回は100〜200mW/cmの最大照射強度を与える改質処理を行うことが好ましい。
(外線の照射時間)
紫外線の照射時間は、任意に設定可能であるが、基板ダメージや層欠陥生成の観点から高照度工程での照射時間は0.1秒〜3分間が好ましく、更に好ましくは、0.5秒〜1分間である。
(紫外線照射時の酸素濃度)
紫外線として真空紫外線(VUV)を使用するとき、真空紫外線照射時の酸素濃度は、500〜10000ppm(1%)の範囲内とすることが好ましく、更に好ましくは、1000〜5000ppmの範囲内である。
上記の酸素濃度の範囲に調整することにより、大気との置換時間が不必要に長くなるのを防ぎ、同時に、ロール・トゥ・ロールのような連続生産を行う場合にウェブ搬送によって真空紫外線(VUV)照射庫内に巻き込む空気量(酸素を含む。)の増大を防ぎ、酸素濃度の調整不能になることを防ぐことができる。
また、本発明者らの検討によると、塗布液中には、塗布時に酸素及び微量の水分が混入し、更には塗布液以外の透明樹脂基板にも吸着酸素や吸着水があり、照射庫内にあえて酸素を導入しなくとも改質反応に要する酸素を供給する酸素源は十分にあることが分かった。
むしろ、酸素ガスが多く(数%レベル)含まれる雰囲気でVUV光を照射した場合、塗布液が酸素過多の構造となる。
また、前述したように172nmの真空紫外線(VUV)が、酸素により吸収され塗布液の表面に到達する172nmの光量が減少してしまい、光による処理の効率が低下しやすい。
すなわち、真空紫外線(VUV)照射時には、できるだけ酸素濃度の低い状態で、VUV光が効率よく塗布物まで到達する状態で処理することが好ましい。
この点は、CVD等の原子堆積法のように、あらかじめ制御された組成比の層を堆積して作製する方法と、塗布による前駆体層作製及び改質処理という方法との大きく異なる点であり、大気圧下の塗布法に独特な点である。
真空紫外線(VUV)照射時、酸素以外のガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスとすることがより好ましい。酸素濃度の調整は、照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
図12に示すとおり、IJ塗布部250も、IJ塗布部220と同様の構成・作用を有しており、搬送ローラー252により透明樹脂基板が搬送され、その途中で透明樹脂基板がプラテン254により支持されながら透明樹脂基板に対し、IJヘッド256から塗布液が塗布・パターニングされる。
IR乾燥部260も、IR乾燥部230と同様の構成・作用を有しており、搬送ローラー262により透明樹脂基板が搬送され、その途中で塗布・パターニング後の塗布液に対し、波長制御赤外線ヒーター264により赤外線が照射され、塗布液が乾燥させられる。波長制御赤外線ヒーター264は、波長制御赤外線ヒーター20と同様のものである。
光硬化部270も、光硬化部240と同様の構成・作用を有しており、搬送ローラー272により透明樹脂基板が搬送され、その途中で赤外線照射後の塗布液に対し、紫外線照射装置274により紫外線が照射され、塗布液が硬化させられる。紫外線照射装置274は、紫外線照射装置244と同様のものである。
搬送部280も、搬送部210と同様の構成・作用を有しており、搬送ローラー282により透明樹脂基板が搬送されながら透明樹脂基板の張力調整などが行われ、透明樹脂基板が元巻きローラー204に巻き取られる。
(2)製造方法
まず、透明樹脂基板13上に光散乱層2aを形成し、続けて光散乱層2a上に平滑層2bを形成する。
(2.1)光散乱層
光散乱層2aを形成する工程では、主に、下記(i)〜(iii)の工程を経て、光散乱層2aを形成する。
(i)一定の塗布液を透明樹脂基板13上に塗布・パターニングする
(ii)塗布・パターニング後の塗布液を乾燥させる
(iii)乾燥後の塗布液を硬化させる
(i)の塗布・パターニング工程では、平均粒径が0.2μm以上1μm未満で、かつ屈折率が1.7以上3.0未満の光散乱粒子を溶媒に分散させた樹脂材料溶液を調製し、これを塗布液として透明樹脂基板13上に塗布する。
かかる場合に、IJ塗布部220において、一定のパターン形状を形成しながら塗布液をIJ塗布しパターニングする。
(塗布液)
媒体となる樹脂材料溶液(溶媒としては、光散乱粒子の溶解しないものを用いる。)に上記光散乱粒子を分散させ、これを塗布液とする。
光散乱粒子は、実際には、多分散粒子であることや規則的に配置することが難しいことから、局部的には回折効果を有するものの、多くは散乱により光の方向を変化させ光取出し効率を向上させる。
本発明のバインダーとしては、公知の樹脂が特に制限なく使用可能であり、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド及びポリエーテルイミド等の樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体等が挙げられる。これら樹脂は、2種以上混合して使用することができる。これらの中でも、有機無機ハイブリッド構造を有するものが好ましい。
また、以下の親水性樹脂を使うことも可能である。親水性樹脂としては水溶性の樹脂、水分散性の樹脂、コロイド分散樹脂又はそれらの混合物が挙げられる。親水性樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系及びフッ素系等の樹脂が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、デンプン、寒天、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、セルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン及び水溶性ポリビニルブチラール等のポリマーを挙げることができるが、これらの中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
バインダーとして用いられる樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。
また、同様に、従来公知の樹脂粒子(エマルジョン)等も好適に使用可能である。
また、バインダーとしては、主として紫外線・電子線によって硬化する樹脂、すなわち、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶媒とを混合したものや熱硬化型樹脂も好適に使用できる。
このような樹脂としては、飽和炭化水素又はポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがより好ましい。
また、上記樹脂は、架橋していることが好ましい。例えば、飽和炭化水素を主鎖として有する樹脂は、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋している樹脂を得るためには、二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
また、本発明では、特定の雰囲気下で紫外線照射によって、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸化窒化物を形成する化合物が特に好適に使用される。本発明に適する化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されている比較的低温で改質処理され得る化合物が好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む。)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン、Si−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用することができる。また、異なる化合物を逐次積層したり、同時積層したりしても使用可能である。
これらポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む。)、ポリシラザン及びポリシロキサザンは、前述の透明樹脂基板のガスバリアー層において説明したものと同様である。
塗布液に使用される溶媒は、ヒドロキシ基(−OH基)を含有することが好ましい。
−OH基を含有する溶媒により、光散乱粒子(高屈折率粒子)の分散性が非常に良好となり、上述の透明樹脂基板との密着性、塗れ性も良好となる。さらには、光取出し効率も向上する。
また、本発明では、可撓性の透明樹脂基板の吸収が低い赤外波長域を効率よく吸収する溶媒により、可撓性の透明樹脂基板上での高速乾燥をも実現できる。
本発明では、−OH基含有溶媒を少なくとも10%以上含有することが好ましく、−OH基含有の溶媒を50%以上含有することがより好ましく、更に好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上含有する。
また、本発明では、沸点120〜250℃の範囲内の溶媒を少なくとも1種以上含有することが好ましく、より好ましくは、沸点150〜200℃の範囲内の溶媒を少なくとも1種以上含有することが好ましい。特に、沸点が150〜200℃の範囲内であって、かつ−OH基を含有する溶媒であることが非常に好ましい。沸点150℃以上において、−OH基を有しない溶媒は含有しない方が好ましく、このような溶媒は30%未満、より好ましくは20%未満、特に好ましくは10%未満に抑えることが重要である。
−OH基を含有する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、n−アミルアルコール、sec−アミルアルコール:CHCHCHCH(OH)CH、3−ペンタノール:CHCHCH(OH)CHCH、2−メチル−1−ブタノール:CHCHCH(CH)CHOH、3−メチル−1−ブタノール(イソアミルアルコール):CHCH(CH)CHCHOH、2−メチル−2−ブタノール(tert−アミルアルコール):CHCHC(CHOH、3−メチル−2−ブタノール:CHCH(CH)CH(OH)CH、2,2−ジメチル−1−プロパノール等が挙げられ、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチセロ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチセロ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセロ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール誘導体等を挙げることができる。
また、溶媒として、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、モノアセチン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及び2−フェノキシエタノールを用いることもできる。
さらに、溶媒として、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−ペンタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、n−ノニルアルコール、トリデシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、ジアセトンアルコール、モノエタノールアミン、2−アミノエタノール、N−メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、2−ジブチルアミノエタノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール、N−メチル−ジエタノールアミン、ジエタノールアミン、2,2′−(n−エチル)イミノジエタノール、2,2′−(n−ブチル)イミノジエタノール、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール及び3−アミノ−1−プロパノールを用いることもできる。
なお、(i)の塗布・パターニング工程では、パターニング方法として、公知の印刷方法を広く用いることができる。例えば、グラビア、フレキソ、スクリーン、マイクロコンタクト、インクジェット等各種方式が好適に使用できるが、版を用いないインクジェットが最も好ましい方法である。
(ii)の乾燥工程では、IR乾燥部230において、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する波長制御赤外線ヒーター20を用いて、塗布・パターニング後の塗布液に対し、赤外線を照射して塗布液を乾燥させる。
赤外線として、中心波長が1μm以上3.5μm未満の領域に存在し、かつ全出力の積算値の70%以上がその領域に存在する赤外線を照射する。
赤外線の「中心波長が1μm以上3.5μm未満の領域に存在する」とは、フィラメント温度が450〜2600℃の範囲内にあることをいい、かかる温度範囲はウィーンの変位則によって導き出される。
乾燥処理の条件として特に制限はないが、赤外線フィラメント及び波長制御フィルターの表面温度により、照射時間を調節することができる。例えば、フィラメント温度が450〜2600℃(好ましくは600〜1200℃。)で、波長制御フィルター表面温度が200℃未満(好ましくは150℃未満。)で、照射時間が10秒〜30分間の乾燥処理をすることができる。これにより、層厚分布の高い均一性、高いパターニング精度を有する光散乱層2aを得ることができる。
(iii)の硬化工程では、光硬化部240において、乾燥後の塗布液に対し、光を照射して塗布液を硬化させる。
塗布液中のバインダーとしての電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、電離放射線硬化型樹脂組成物の通常の硬化方法、すなわち、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。
電子線硬化の場合には、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される10〜1000keVの範囲内、好ましくは30〜300keVの範囲内のエネルギーを有する電子線等が使用される。これらの中でも特に電子線強度の弱いものが好ましく、浜松ホトニクス社製の電子線光源『EBエンジン』等が特に好ましく適用できる。
紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用でき、好ましくは上記のとおりエキシマランプによる紫外線が使用される。
(2.2)平滑層
平滑層2bを形成する工程でも、光散乱層2aを形成する場合と同様に、下記(iv)〜(vi)の工程を経て、平滑層2bを形成する。
(iv)IJ塗布部250において、一定の塗布液を透明樹脂基板13上に塗布・パターニングする
(v)IR乾燥部260において、塗布・パターニング後の塗布液を乾燥させる
(vi)光硬化部270において、乾燥後の塗布液を硬化させる
なお、(iv)の塗布・パターニング工程では、塗布液として、(i)の塗布・パターニング工程で説明したものと同様のものを使用することができ、(i)と(iv)との各工程で同じ組成の塗布液を使用してもよいし、異なる組成の塗布液を使用してもよい。
また、光取出し層の製造方法においては、(iii)の硬化工程と(vi)の硬化工程とは必ずしも必須ではなく、(iii)と(vi)との工程のうち、いずれか一方の工程が省略されてもよいし、双方の工程が省略されてもよい。
≪透明金属電極(1)≫
本発明に係る透明電極としては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。電極材料として、例えば、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料を用いることができる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
なお、透明金属電極の透明とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
本発明においては、図1に示すとおり、透明金属電極1が、透明樹脂基板13側から、銀又は銀を主成分とする合金を含む金属導電層1bと、含窒素化合物を含む非導電性の下地層1aとの2層構造から構成されていることが好ましい態様である。
なお、主成分とは、透明金属電極1を構成する成分のうち、構成比率が最も高い成分をいう。その構成比率としては、60質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることが特に好ましい。
(1)下地層(1a)
下地層は、後述する金属導電層に隣接して設けられる層であり、窒素原子(N)を含有する化合物を用いて構成されている。下地層の層厚は、1μm以下、好ましくは100nm以下である。
窒素原子を含有する化合物としては、例えば、当該化合物に含有される窒素原子のうち、特に金属導電層を構成する主材料である銀と安定的に結合する窒素原子の非共有電子対を[有効非共有電子対]とし、この[有効非共有電子対]の含有率が所定範囲となる化合物であることが好ましい。
ここで、[有効非共有電子対]とは、化合物に含有される窒素原子が有する非共有電子対のうち、芳香族性に関与せず、かつ金属に配位していない非共有電子対であることとする。
ここでの芳香族性とは、π電子を持つ原子が環状に並んだ不飽和環状構造をいい、いわゆる「ヒュッケル則」に従う芳香族性であって、環上のπ電子系に含まれる電子の数が「4n+2」(n=0又は自然数)個であることを条件としている。
以上のような[有効非共有電子対]は、その非共有電子対を備えた窒素原子自体が、芳香環を構成するヘテロ原子であるか否かにかかわらず、窒素原子が有する非共有電子対が芳香族性と関与しているか否かによって選択される。例えば、ある窒素原子が芳香環を構成するヘテロ原子であっても、その窒素原子が芳香族性に関与しない非共有電子対を有していれば、その非共有電子対は[有効非共有電子対]の一つとしてカウントされる。これに対して、ある窒素原子が芳香環を構成するヘテロ原子でない場合であっても、その窒素原子の非共有電子対の全てが芳香族性に関与していれば、その窒素原子の非共有電子対は[有効非共有電子対]としてカウントされることはない。なお、各化合物において、上述した[有効非共有電子対]の数nは、[有効非共有電子対]を有する窒素原子の数と一致する。
特に本実施形態においては、このような化合物の分子量Mに対する[有効非共有電子対]の数nを、例えば、有効非共有電子対含有率[n/M]と定義する。そして、下地層1aは、この[n/M]が2.0×10−3以上となるように選択された化合物を用いて構成されることが好ましい。また、下地層1aは、以上のように定義される有効非共有電子対含有率[n/M]が3.9×10−3以上であることがより好ましい。
また、下地層は、少なくとも有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した所定範囲である化合物を用いて構成されていればよく、このような化合物のみで構成されていてもよいし、このような化合物と他の化合物とを混合して用いて構成されていてもよい。他の化合物は、窒素原子が含有されていてもいなくてもよく、更に有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した所定範囲でなくてもよい。
下地層が、複数の化合物を用いて構成されている場合、例えば、化合物の混合比に基づき、これらの化合物を混合した混合化合物の分子量Mを求め、この分子量Mに対しての[有効非共有電子対]の合計の数nを、有効非共有電子対含有率[n/M]の平均値として求め、この値が上述した所定範囲であることが好ましい。すなわち、下地層自体の有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲であることが好ましい。
なお、下地層が、複数の化合物を用いて構成されている場合であって、層厚方向に化合物の混合比(含有比)が異なる構成であれば、金属導電層と接する側の下地層の表面における有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲であればよい。
[化合物−1]
以下に、下地層を構成する化合物として、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]が2.0×10−3以上である化合物の具体例(No.1〜45)を示す。No.33の銅フタロシアニンにおいては、窒素原子が有する非共有電子対のうち、銅に配位していない非共有電子対が[有効非共有電子対]としてカウントされる。
Figure 2014185277
Figure 2014185277
Figure 2014185277
Figure 2014185277
Figure 2014185277
Figure 2014185277
上記例示化合物No.1〜45について、有効非共有電子対の数n、分子量M及び有効非共有電子対含有率[n/M]を表1に示す。
Figure 2014185277
[化合物−2]
また、下地層を構成する化合物としては、以上のような有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した所定範囲である化合物の他、この下地層を備えた透明金属電極が適用される電子デバイスごとに必要とされる性質を有する化合物が用いられる。例えば、成膜性の観点から、下地層を構成する化合物としては、以下で説明する一般式(1)〜(6)で表される化合物が用いられる。
これらの一般式(1)〜(6)で示される化合物の中には、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]の範囲に当てはまる化合物も含まれ、このような化合物であれば単独で下地層を構成する化合物として用いることができる。一方、下記一般式(1)〜(6)他で示される化合物が、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]の範囲に当てはまらない化合物であれば、有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した範囲である化合物と混合することで下地層を構成する化合物として用いることが好ましい。
Figure 2014185277
一般式(1)中、X11は、−N(R11)−又は−O−を表す。E101〜E108は、各々−C(R12)=又は−N=を表すが、少なくとも一つは−N=である。R11及びR12は、各々水素原子又は置換基を表す。
一般式(1)において、R11及びR12で表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリ基)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す。)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう。)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えば、ジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基の一部は、上記の置換基によって更に置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
上記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(1a)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014185277
一般式(1a)中、E101〜E108は、各々−C(R12)=又は−N=を表すが、少なくとも一つは−N=である。R11及びR12は、各々水素原子又は置換基を表す。
一般式(1a)において、R11及びR12で表される置換基は、一般式(1)におけるR11及びR12で表される置換基と同義である。
上記一般式(1a)で表される化合物は、下記一般式(1a−1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014185277
一般式(1a−1)中、E101〜E103及びE105〜E108は、各々−C(R12)=又は−N=を表す。R11及びR12は、各々水素原子又は置換基を表す。
一般式(1a−1)において、R11及びR12で表される置換基は、一般式(1)におけるR11及びR12で表される置換基と同義である。
上記一般式(1a)で表される化合物は、下記一般式(1a−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014185277
一般式(1a−2)中、E101、E102、E104、E105、E107及びE108は、各々−C(R12)=又は−N=を表す。R11及びR12は、各々水素原子又は置換基を表す。
一般式(1a−2)において、R11及びR12で表される置換基は、一般式(1)におけるR11及びR12で表される置換基と同義である。
上記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(1b)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014185277
一般式(1b)中、E101〜E103及びE105〜E108は、各々−C(R12)=又は−N=を表す。R12は、水素原子又は置換基を表す。
一般式(1b)において、R12で表される置換基は、一般式(1)におけるR11及びR12で表される置換基と同義である。
Figure 2014185277
一般式(2)中、Y21は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。E201〜E216は、各々−C(R21)=又は−N=を表す。E221〜E238は、各々−C(R21)=又は−N=を表すが、E221〜E229の少なくとも一つ、及びE230〜E238の少なくとも一つは−N=を表す。R21は、水素原子又は置換基を表す。k21及びk22は、各々0〜4の整数を表すが、k21+k22は2以上の整数である。
一般式(2)において、Y21で表されるアリーレン基としては、例えば、o−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジイル基、3,3′−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等が挙げられる。
一般式(2)において、Y21で表されるヘテロアリーレン基としては、例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す。)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環及びインドール環からなる群から導出される2価の基等が挙げられる。
Y21で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基の好ましい態様としては、ヘテロアリーレン基の中でも、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基を含むことが好ましい。3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基としては、ジベンゾフラン環から導出される基又はジベンゾチオフェン環から導出される基が好ましい。
一般式(2)において、R21で表される置換基は、一般式(1)におけるR11及びR12で表される置換基と同義である。
一般式(2)において、E201〜E208のうちの六つ以上、及びE209〜E216のうちの六つ以上が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい。
一般式(2)において、E225〜E229の少なくとも一つ、及びE234〜E238の少なくとも一つが−N=を表すことが好ましい。
さらには、一般式(2)において、E225〜E229のいずれか一つ、及びE234〜E238のいずれか一つが−N=を表すことが好ましい。
また、一般式(2)において、E221〜E224及びE230〜E233が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい。
一般式(2)において、E203が−C(R21)=で表され、かつ該R21が連結部位を表すことが好ましく、更に、E211も同時に−C(R21)=で表され、かつ該R21が連結部位を表すことが好ましい。
一般式(2)において、E225及びE234が−N=で表されることが好ましく、E221〜E224及びE230〜E233が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい。
上記一般式(1a−2)で表される化合物は、下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014185277
一般式(3)中、E301〜E312は、各々−C(R31)=を表す。R31は、水素原子又は置換基を表す。Y31は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。
一般式(3)において、R31で表される置換基は、一般式(1)におけるR11及びR12で表される置換基と同義である。
一般式(3)において、Y31で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基は、一般式(2)におけるY21と同義である。
上記一般式(1a−1)で表される化合物は、下記一般式(4)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014185277
一般式(4)中、E401〜E414は、各々−C(R41)=を表す。R41は、水素原子又は置換基を表す。Ar41は、置換若しくは無置換の、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。k41は、3以上の整数を表す。
一般式(4)において、R41で表される置換基は、一般式(1)におけるR11及びR12で表される置換基と同義である。
一般式(4)において、Ar41で表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環は、更に一般式(1)におけるR11及びR12で表される置換基を有してもよい。
一般式(4)において、Ar41で表される芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環(カルバゾール環を構成するベンゼン環の炭素原子が一つ以上窒素原子で置き換わったものを示す。)等が挙げられる。これらの環は、更に一般式(1)におけるR11及びR12で表される置換基を有してもよい。
Figure 2014185277
一般式(5)中、R51は、置換基を表す。E501、E502、E511〜E515及びE521〜E525は、各々−C(R52)=又は−N=を表すが、E501及びE502のうちの少なくとも一つ、E511〜E515のうちの少なくとも一つ、並びにE521〜E525のうちの少なくとも一つは−N=である。E503〜E505は、各々−C(R52)=を表す。R52は、水素原子又は置換基を表す。
一般式(5)において、R51及びR52で表される置換基は、一般式(1)におけるR11及びR12で表される置換基と同義である。
Figure 2014185277
一般式(6)中、E601〜E612は、各々−C(R61)=又は−N=を表す。R61は、水素原子又は置換基を表す。Ar61は、置換若しくは無置換の、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。
一般式(6)において、R61で表される置換基は、一般式(1)におけるR11及びR12で表される置換基と同義である。
一般式(6)において、Ar61で表される置換若しくは無置換の、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環は、一般式(4)におけるAr41と同義である。
以下に、下地層を構成する化合物として、上記一般式(1)〜(6)で表される化合物及びその他の化合物の具体例(化合物1〜134)を示すが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、電子輸送性又は電子注入性を備えた材料である。
なお、化合物1〜134の中には、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]の範囲に当てはまる化合物も含まれており、このような化合物であれば単独で下地層を構成する化合物として用いることができる。
Figure 2014185277
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[化合物の合成例]
以下に代表的な化合物の合成例として、化合物5の具体的な合成例を示すが、これに限定されない。
Figure 2014185277
工程1:(中間体1の合成)
窒素雰囲気下、2,8−ジブロモジベンゾフラン(1.0モル)、カルバゾール(2.0モル)、銅粉末(3.0モル)、炭酸カリウム(1.5モル)を、DMAc(ジメチルアセトアミド)300ml中で混合し、130℃で24時間撹拌した。これによって得た反応液を室温(25℃)まで冷却後、トルエン1Lを加え、蒸留水で3回洗浄し、減圧雰囲気下において洗浄物から溶媒を留去し、その残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(n−ヘプタン:トルエン=4:1〜3:1)にて精製し、中間体1を収率85%で得た。
工程2:(中間体2の合成)
室温(25℃)、大気下で中間体1(0.5モル)をDMF(ジメチルホルムアミド)100mlに溶解し、NBS(N−ブロモコハク酸イミド)(2.0モル)を加え、一晩室温(25℃)で撹拌した。得られた沈殿を濾過し、メタノールで洗浄し、中間体2を収率92%で得た。
工程3:(化合物5の合成)
窒素雰囲気下、中間体2(0.25モル)、2−フェニルピリジン(1.0モル)、ルテニウム錯体[(η−C)RuCl(0.05モル)、トリフェニルホスフィン(0.2モル)、炭酸カリウム(12モル)を、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)3L中で混合し、140℃で一晩撹拌した。
反応液を室温(25℃)まで冷却後、ジクロロメタン5Lを加え、反応液を濾過した。
次いで、減圧雰囲気下(800Pa、80℃)において濾液から溶媒を留去し、その残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CHCl:EtN=20:1〜10:1)にて精製した。
減圧雰囲気下において、精製物から溶媒を留去した後、その残渣をジクロロメタンに再び溶解し、水で3回洗浄した。洗浄によって得られた物質を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧雰囲気下において乾燥後の物質から溶媒を留去することにより、化合物5を収率68%で得た。
[下地層(1a)の成膜方法]
以上のような下地層の成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。中でも、蒸着法が好ましく適用される。
特に、複数の化合物を用いて下地層を成膜する場合であれば、複数の蒸着源から複数の化合物を同時に供給する共蒸着が適用される。また、化合物として高分子材料を用いる場合であれば、塗布法が好ましく適用される。この場合、化合物を溶媒に溶解させた塗布液を用いる。化合物を溶解させる溶媒としては、特に限定されることはない。さらに、複数の化合物を用いて下地層を成膜する場合であれば、複数の化合物を溶解させることが可能な溶媒を用いて塗布液を作製すればよい。
(2)金属導電層(1b)
金属導電層は、銀又は銀を主成分とする合金(銀を主成分とし添加元素を含有した合金)を含む層であって、下地層に隣接して成膜された層である。
金属導電層を構成する添加元素としては、銀(Ag)と均一に溶け合って固溶体を構成する元素のうち、特に金属元素が用いられる。このような添加元素は、アルミニウム(Al)、金(Au)、インジウム(In)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)である。金属導電層は、このうちの少なくとも1種を含有していることが好ましい。
また、金属導電層における、上述した添加元素の濃度は、0.01〜10.0原子%の範囲内であることが好ましい。
以上のような金属導電層は、銀を主成分として添加元素を含有する合金層が、必要に応じて、複数の層に分けて積層された構成であってもよい。また、1層の金属導電層又は複数層からなる金属導電層の各層に、複数種類の添加元素が添加されていてもよい。
さらに、この金属導電層は、層厚が4〜12nmの範囲内であることが好ましい。層厚が12nm以下であることにより、層の吸収成分又は反射成分が低く抑えられ、透明バリアー膜の光透過率が維持されるため好ましい。また、層厚が4nm以上であることにより、層の導電性も確保される。
[金属導電層(1b)の成膜方法]
以上のような金属導電層の成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法等)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。
例えば、スパッタ法を適用した金属導電層の成膜であれば、主材料である銀(Ag)に対して、添加元素の濃度があらかじめ調整されたスパッタターゲット用意し、このスパッタターゲットを用いたスパッタ成膜を行う。上述した添加元素を用いる全ての場合において、スパッタ法を適用した金属導電層の成膜が行われるが、特に添加元素として銅(Cu)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)のいずれかを用いる場合には、スパッタ法を適用した金属導電層の成膜が行われる。
また、特に、添加元素としてアルミニウム(Al)、金(Au)、インジウム(In)を用いる場合であれば、蒸着法を適用した金属導電層の成膜が行われる。この場合、これらの添加元素と銀(Ag)とを共蒸着する。この際、添加元素の蒸着速度と銀(Ag)の蒸着速度とをそれぞれ調整することにより、主材料である銀(Ag)に対する添加元素の添加濃度を調整した蒸着成膜を行う。
また、金属導電層は、下地層上に成膜されることにより、成膜後の高温アニール処理等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を行ったものであってもよい。
≪透明金属電極(1)の効果≫
含窒素化合物を含む非導電性の下地層に隣接させて、銀又は銀を主成分とする合金を含む金属導電層とから構成された透明金属電極は、下地層に隣接させて金属導電層を成膜する際に、金属導電層を構成する銀原子が下地層を構成する含窒素化合物と相互作用し、銀原子の下地層表面での拡散距離が減少し、銀の凝集が抑えられる。
このため、一般的には核成長型(Volumer−Weber:VW型)での膜成長により島状に孤立しやすい銀薄膜が、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。したがって、薄い膜厚でありながらも、均一な膜厚の金属導電層が得られるようになる。
また、銀(Ag)を主成分とする金属導電層の場合には、銀(Ag)に対する固溶元素であるアルミニウム(Al)、金(Au)、インジウム(In)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)のうちの少なくとも1種を含有させている。これにより、金属導電層は、銀(Ag)とこれらの添加元素とが均一に溶け合った固溶体で構成されたものとなり、金属導電層内においての銀(Ag)のマイグレーションが抑制される。このため、金属導電層においての銀(Ag)のマイグレーションによる膜質の劣化が防止される。さらには、銀(Ag)にこれらの固溶元素を添加して金属導電層とすることにより、金属導電層の酸化や硫化が防止される。
したがって、この透明金属電極においては、薄い膜厚であることで光透過性を確保しつつも、均一な膜厚であることで導電性が確保された金属導電層を確実に得ることができ、更にマイグレーションの発生が抑えられたことにより、このような光透過性及び導電性を維持することができる。これにより、銀を用いた透明電極における導電性の向上と光透過性の向上との両立とともに、信頼性の向上を図ることが可能になる。
またこのような透明電極は、レアメタルであるインジウム(In)を用いていないため低コストであり、また、ZnOのような化学的に不安定な材料を用いていないことからも長期信頼性に優れたものとなる。
≪有機機能層(3)≫
有機機能層には、少なくとも発光層が含まれる。
本発明に用いられる発光層には、発光材料としてリン光発光化合物が含有されている。発光材料として、蛍光材料が使用されてもよいし、リン光発光化合物と蛍光材料とを併用してもよい。
この発光層は、電極又は電子輸送層から注入された電子と、正孔輸送層から注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接する層との界面であってもよい。
このような発光層としては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層間には、非発光性の中間層(図示略)を有していることが好ましい。
発光層の層厚の総和は、1〜100nmの範囲内にあることが好ましく、より低い駆動電圧を得ることができることから1〜30nmの範囲内であることがより好ましい。
なお、発光層の層厚の総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む層厚である。
複数層を積層した構成の発光層の場合、個々の発光層の層厚としては、1〜50nmの範囲内に調整することが好ましく、更に好ましくは1〜20nmの範囲内に調整することがより好ましい。積層された複数の発光層が、青、緑、赤のそれぞれの発光色に対応する場合、青、緑、赤の各発光層の層厚の関係については、特に制限はない。
以上のような発光層は、公知の発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜形成方法により成膜して形成することができる。
また、発光層は、複数の発光材料を混合してもよく、またリン光発光材料と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう)とを同一発光層中に混合して用いてもよい。
発光層の構成として、ホスト化合物(発光ホスト等ともいう。)、発光材料(発光ドーパントともいう。)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
≪対向電極(5a)≫
対向電極は、有機機能層に電子を供給するカソードとして機能する電極膜であり、金属、合金、有機又は無機の導電性化合物、及びこれらの混合物が用いられる。具体的には、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体等が挙げられる。
対向電極は、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより作製することができる。また、対向電極としてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常5nm〜5μmの範囲内、好ましくは5〜200nmの範囲内で選ばれる。
なお、この有機EL素子が、対向電極側からも発光光を取り出すものである場合であれば、上述した導電性材料のうち光透過性の良好な導電性材料を選択して対向電極を構成すればよい。
≪取出し電極(16)≫
取出し電極は、透明金属電極と外部電源とを電気的に接続するものであって、その材料としては特に限定されるものではなく公知の素材を好適に使用できるが、例えば、3層構造からなるMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等の金属膜を用いることができる。
≪補助電極(15)≫
補助電極は、透明金属電極の抵抗を下げる目的で設けるものであって、透明金属電極の金属導電層に接して設けられる。補助電極を形成する材料は、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、光取出し面からの発光光の取出しに影響のない範囲でパターン形成される。
このような補助電極の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法等が挙げられる。補助電極の線幅は、光を取り出す開口率の観点から、50μm以下であることが好ましく、補助電極の厚さは、導電性の観点から、1μ以上であることが好ましい。
≪封止材(17)≫
封止材は、有機EL素子を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材で接着剤19によって透明樹脂基板側に固定されるものであってもよく、また、封止膜であってもよい。このような封止材は、有機EL素子における透明金属電極及び対向電極の端子部分を露出させ、少なくとも有機機能層を覆う状態で設けられている。また、封止材に電極を設け、有機EL素子の透明金属電極及び対向電極の端子部分と、この電極とを導通させるように構成されていてもよい。
板状(フィルム状)の封止材としては、具体的には、ガラス基板、ポリマー基板、金属基板等が挙げられ、これらの基板材料を更に薄型のフィルム状にして用いてもよい。ガラス基板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属基板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
中でも、素子を薄膜化できるということから、封止材としてポリマー基板や金属基板を薄型のフィルム状にしたものを好ましく使用することができる。
さらには、フィルム状としたポリマー基板は、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、及びJIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
また、以上のような基板材料は、凹板状に加工して封止材として用いてもよい。この場合、上述した基板部材に対して、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状が形成される。
また、このような板状の封止材を透明樹脂基板側に固定するための接着剤19は、封止材と透明樹脂基板との間に挟持された有機EL素子を封止するためのシール剤として用いられる。このような接着剤19は、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
また、このような接着剤19としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、接着剤19は、室温(25℃)から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤19中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
封止材と透明樹脂基板との接着部分への接着剤19の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、板状の封止材と透明樹脂基板と接着剤19との間に隙間が形成される場合、この間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体や、フッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
一方、封止材として封止膜を用いる場合、有機EL素子における有機機能層を完全に覆い、かつ有機EL素子における透明金属電極及び対向電極の端子部分を露出させる状態で、透明樹脂基板上に封止膜が設けられる。
このような封止膜は、無機材料や有機材料を用いて構成される。特に、水分や酸素等、有機EL素子における有機機能層の劣化をもたらす物質の浸入を抑制する機能を有する材料で構成されることとする。このような材料として、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等の無機材料が用いられる。さらに、封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる膜とともに、有機材料からなる膜を用いて積層構造としてもよい。
これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
≪保護膜、保護板≫
なお、ここでの図示は省略したが、透明樹脂基板との間に有機EL素子及び封止材を挟んで保護膜若しくは保護板を設けてもよい。この保護膜若しくは保護板は、有機EL素子を機械的に保護するためのものであり、特に封止材が封止膜である場合には、有機EL素子に対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護膜若しくは保護板を設けることが好ましい。
以上のような保護膜若しくは保護板は、ガラス板、ポリマー板、これよりも薄型のポリマーフィルム、金属板、これよりも薄型の金属フィルム、又はポリマー材料膜や金属材料膜が適用される。このうち、特に、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
≪有機EL素子(10)の製造方法≫
ここでは、一例として、図1に示す有機EL素子10の製造方法を説明する。
まず、紫外線吸収剤が含有された透明樹脂基板13を準備し、その上に塗布法により光取出し層2を形成する。
次いで、例えば、含窒素化合物を含む下地層1aを、1μm以下、好ましくは10〜100nmの範囲内の層厚になるように蒸着法等の適宜の方法により形成する。
次いで、銀(又は銀を主成分とする合金)からなる金属導電層1bを、12nm以下、好ましくは4〜9nmの層厚になるように、蒸着法等の適宜の方法により下地層1a上に形成し、アノードとなる透明金属電極1を作製する。同時に、透明金属電極1端部に、外部電源と接続される取出し電極16を蒸着法等の適宜の方法に形成する。
次いで、この上に、正孔注入層3a、正孔輸送層3b、発光層3c、電子輸送層3d、電子注入層3eの順に積層し、有機機能層3を形成する。
これらの各層の形成は、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な層が得られやすく、かつ、ピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。さらに、層ごとに異なる形成法を適用してもよい。これらの各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが望ましい。
好ましくは、有機機能層3の形成では、その形成領域を、断面視した場合に、光取出し層2が形成された位置(領域)とほぼ完全に重ならせ、有機機能層3で生じた発光光hが光取出し層2で有効に取り出されるようにするのがよい。
以上のようにして有機機能層3を形成した後、この上部にカソードとなる対向電極5aを、蒸着法やスパッタ法などの適宜の形成法によって形成する。この際、対向電極5aは、有機機能層3によって透明金属電極1に対して絶縁状態を保ちつつ、有機機能層3の上方から透明樹脂基板13の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。これにより、有機EL素子10が得られる。また、その後には、有機EL素子10における透明金属電極1(取出し電極16)及び対向電極5aの端子部分を露出させた状態で、少なくとも有機機能層3を覆う封止材17を設ける。
以上により、透明樹脂基板13上に所望の有機EL素子10が得られる。このような有機EL素子10の作製においては、1回の真空引きで一貫して有機機能層3から対向電極5aまで作製するのが好ましいが、途中で真空雰囲気から透明樹脂基板13を取り出して異なる形成法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
このようにして得られた有機EL素子10に直流電圧を印加する場合には、アノードである透明金属電極1を+の極性とし、カソードである対向電極5aを−の極性として、電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
≪有機EL素子(10)の効果≫
以上説明した本発明の有機EL素子は、透明樹脂基板に紫外線吸収剤が含有された構成である。すなわち、外部からの紫外線が光取出し層(光散乱層)に到達する前に透明樹脂基板で紫外線を吸収(遮蔽)し、光取出し層に含有される金属酸化物粒子の光触媒機能の発現を抑制するものである。その結果、透明金属電極や有機機能層の劣化を防ぐことができる。
また、本発明の有機EL素子は、導電性と光透過性とを兼ね備えた透明金属電極と透明樹脂基板との間に、光取出し層を設けた構成である。これにより、透明金属電極と透明樹脂基板との間の全反射ロスを低減し、発光効率を向上させることができる。
さらに、有機EL素子は、透明金属電極をアノードとして用い、この上部に有機機能層とカソードとなる対向電極とを設けた構成である。このため、透明金属電極と対向電極との間に十分な電圧を印加して有機EL素子での高輝度発光を実現しつつ、透明金属電極側からの発光光の取出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。加えて、所定輝度を得るための駆動電圧の低減による発光寿命の向上を図ることも可能になる。
さらに、紫外線吸収手段は、図15に示すような態様としてもよい(変形例1参照)。
[変形例1]
紫外線吸収手段は、図15に示すように、紫外線吸収剤が含有された紫外線吸収層60として、透明樹脂基板13上に設けられている。図15では、紫外線吸収層60を透明樹脂基板13上にベタ一面に設けた場合を示しているが、少なくとも光取出し層2への紫外線の入射を防止することができれば、特にこれに限定されるものではない。
紫外線吸収剤は、第1の実施形態における紫外線吸収剤と同様のものが挙げられる。
紫外線吸収層60における紫外線吸収剤の含有量は、0.1〜20g/mの範囲内であることが好ましく、0.5〜10g/mの範囲内であることがより好ましく、1.0〜5.0g/mの範囲内であることが特に好ましい。
紫外線吸収層60の形成方法としては、例えば、紫外線吸収剤を有機溶媒に溶解させ、これを塗布法により透明樹脂基板13上に塗布し、乾燥することによって作製することができる。
なお、紫外線吸収手段は、本変形例における紫外線吸収手段を単独で用いてもよいし、その他の紫外線吸収手段を組み合わせて用いてもよい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、主に、下記の点で第1の実施形態と異なっている。
図16に示すとおり、有機EL素子10は、筐体70に収納され、有機EL素子10全体が被覆された状態となっている。有機EL素子10は、接着剤を介して、筐体70に固定されていてもよい。筐体70には、紫外線吸収手段として、第1の実施形態と同様の紫外線吸収剤が含有されている。
筐体70中における紫外線吸収剤の含有量としては、筐体材料に対し、0.1〜20質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜10質量%の範囲内であることがより好ましく、1.0〜5.0質量%の範囲内であることが特に好ましい。
このような筐体70の作製方法としては、例えば、筐体材料と紫外線吸収剤とを溶融混練した後、これを所望の形状に成形することで得ることができる。成形法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む。)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法等が挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることもできる。
なお、紫外線吸収手段は、本実施形態における紫外線吸収手段を単独で用いてもよいし、その他の紫外線吸収手段を組み合わせて用いてもよい。
さらに、紫外線吸収手段は、図17に示すような態様としてもよい(変形例2参照)。
[変形例2]
紫外線吸収手段は、図17に示すように、紫外線吸収剤が含有された紫外線吸収層62として、筐体70の外表面に透明樹脂基板13と対向するように設けられている。
紫外線吸収層62の材料、作製方法等は、変形例1における紫外線吸収層60と同様である。
なお、紫外線吸収手段は、本変形例における紫外線吸収手段を単独で用いてもよいし、その他の紫外線吸収手段を組み合わせて用いてもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
≪有機EL素子の作製≫
(1)有機EL素子101の作製
(1.1)透明樹脂基板の準備
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(コスモシャインA4100、東洋紡績株式会社製)の下引き加工していない面に、JSR株式会社製UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材:OPSTAR Z7501を、塗布、乾燥後の平均層厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、80℃で3分間乾燥させ、その後、空気雰囲気下において高圧水銀ランプ使用して硬化条件1.0J/cmで硬化を行い、平坦層を形成した。
次いで、上記平坦層を設けた基板上に、パーヒドロポリシラザン(PHPS、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NN320)の20質量%ジブチルエーテル溶液をワイヤーバーにて、乾燥後の(平均)層厚が、0.30μmとなるように塗布し、塗布試料を得た。
得られた塗布試料を、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分処理し、乾燥試料を得た。さらに、乾燥試料を温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行った。
除湿処理を行った試料を、下記の装置を用いて、下記の条件で改質処理を行い、ガスバリアー層を形成した。改質処理時の露点温度は、−8℃で実施した。
(改質処理装置)
株式会社エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長172nm、ランプ封入ガス Xe
(改質処理条件)
エキシマ光強度 60mW/cm(172nm)
試料と光源の距離 1mm
ステージ加熱温度 70℃
照射装置内の酸素濃度 1%
エキシマ照射時間 3秒
上記のようにして、ガスバリアー性を有する透明電極用のフィルム基板を作製した。
(1.2)透明電極の作製
準備したガスバリアー性のフィルム基板上に、厚さ120nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、透明電極を形成した。
なお、ITO電極の表面抵抗は、120Ω/□であった。
(1.3)有機機能層の作製
透明金属電極が形成された透明樹脂基板を、中央部に幅30mm×30mmの開口部があるマスクと重ねて市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。また、真空蒸着装置内の加熱ボートの各々に、有機機能層を構成する各材料を、それぞれの層の形成に最適な量で充填した。
なお、加熱ボートはタングステン製抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空蒸着装置の蒸着室内を真空度4×10−4Paまで減圧し、各材料が入った加熱ボートを順次通電して加熱することにより、以下のように各層を形成した。
まず、正孔輸送注入材料として下記構造式に示すα−NPDが入った加熱ボートに通電して加熱し、α−NPDよりなる正孔注入層と正孔輸送層とを兼ねた正孔輸送注入層を透明金属電極上に形成した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、層厚140nmとした。
Figure 2014185277
次に、下記構造式に示すホスト材料H4の入った加熱ボートと、下記構造式に示すリン光発光性化合物Ir−4の入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、ホスト材料H4とリン光発光性化合物Ir−4とよりなる発光層を正孔輸送注入層上に形成した。この際、蒸着速度がホスト材料H4:リン光発光性化合物Ir−4=100:6となるように、加熱ボートの通電を調節した。発光層の層厚は、30nmとした。
Figure 2014185277
次いで、正孔阻止材料として下記構造式に示すBAlqが入った加熱ボートに通電して加熱し、BAlqよりなる正孔阻止層を発光層上に形成した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、層厚10nmとした。
Figure 2014185277
その後、電子輸送材料として例示化合物No.7の入った加熱ボートと、フッ化カリウムの入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、例示化合物No.7とフッ化カリウムとよりなる電子輸送層を、正孔阻止層上に形成した。この際、蒸着速度が化合物10:フッ化カリウム=75:25になるように、加熱ボートの通電を調節した。電子輸送層の層厚は、30nmとした。
次に、電子注入材料としてフッ化カリウムの入った加熱ボートに通電して加熱し、フッ化カリウムよりなる電子注入層を、電子輸送層上に形成した。この際、蒸着速度0.01〜0.02nm/秒、層厚1nmとした。
(1.4)対向電極の作製及び封止
その後、電子注入層まで形成した透明基板を、アルミニウム(Al)を入れたタングステン製の抵抗加熱ボートが取り付けられた第2真空槽へ真空状態を保持したまま移送した。透明金属電極(アノード)と直交するように配置された幅20mm×50mmの開口部があるマスクと重ねて固定した。
次いで、処理室内において、成膜速度0.3〜0.5nm/秒で、膜厚100nmのAlからなる反射性の対向電極をカソードとして成膜した。
その後、かかる有機発光体を、大きさ40mm×40mm、厚さ700μmのガラス基板であって、中央部34mm×34mmを深さ350μmで削ったガラス基板からなる封止材で覆い、有機発光体を囲む状態で、封止材と透明基板との間に接着剤(シール材)を充填した。接着剤としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。
その後、封止材と透明基板との間に充填した接着剤に対して、ガラス基板(封止材)側からUV光を照射し、接着剤を硬化させて有機発光体を封止した。
なお、有機発光体の形成においては、各層の形成に蒸着マスクを使用し、5cm×5cmの透明基板における中央の2.0cm×2.0cmの領域を発光領域とし、発光領域の全周に幅1.5cmの非発光領域を設けた。
また、アノードである透明金属電極とカソードである対向電極とに関し、正孔輸送注入層〜電子輸送層までの有機機能層によって絶縁された状態で、透明基板の周縁に端子部分を引き出した。
以上のようにして、有機EL素子101を作製した。
(2)有機EL素子102の作製
有機EL素子101の作製において、下記のようにして、透明樹脂基板と透明金属電極との間に、光取出し層を作製した以外は同様にして、有機EL素子102を作製した。
光散乱層調液として、屈折率2.4、平均粒径0.25μmのTiO粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が70体積%/30体積%、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとの溶媒比が10質量%/90質量%、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記TiO粒子と溶媒とを混合し、常温(25℃)で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散を加え、TiOの分散液を作製した。
次いで、TiO分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、光散乱層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の分散液を得た。
上記分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にて透明樹脂基板上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、更に、ホットプレートによる乾燥(120℃、60分)を行い、層厚0.5μmの光散乱層を形成した。
次いで、平滑層調液として、屈折率2.4、平均粒径0.02μmのナノTiO分散液(テイカ(株)製 HDT−760T)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が45体積%/55体積%、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとトルエンとの溶媒比が20質量%/30質量%/50質量%、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記ナノTiO分散液と溶媒を混合し、100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、平滑層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の分散液を得た。
上記分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にて光散乱層上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、更に、ホットプレートによる乾燥(120℃、30分)を行い、層厚0.7μmの平滑層を形成し、光取出し層を作製した。
なお、平滑層単層での屈折率は1.85であった。
上記のようにして作製した光取出し層の透過率Tは67%、ヘイズ値Hzは50%であった。
また、D542に基づきソプラ社のエリプソメーターを用いて、光取出し層全体の波長550nmにおける屈折率を測定したところ、1.85であった。
(3)有機EL素子103の作製
有機EL素子102の作製において、透明樹脂基板におけるポリエチレンテレフタレートをポリカーボネート(PC)に変更した以外は同様にして、有機EL素子103を作製した。
(4)有機EL素子104の作製
有機EL素子101の作製において、透明金属電極を下記のようにして作製した以外は同様にして、有機EL素子104を作製した。
PET基板を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、例示化合物No.7をタンタル製抵抗加熱ボートに入れ、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
この状態で、まず、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、例示化合物No.7の入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で基板上に層厚25nmの例示化合物No.7からなる下地層を設けた。
次いで、下地層まで形成した基板を真空のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で、下地層上に層厚8nmの銀からなる金属導電層を形成し、下地層と金属導電層との積層構造からなる透明金属電極を作製した。
以上のようにして作製した積層構造からなる銀電極の表面抵抗は、8Ω/□であった。
(5)有機EL素子105の作製
有機EL素子104の作製において、透明樹脂基板におけるポリエチレンテレフタレートをセルローストリアセテート(TAC)に変更した以外は同様にして、有機EL素子105を作製した。
(6)有機EL素子106の作製
有機EL素子104の作製において、透明樹脂基板と透明金属電極との間に、有機EL素子102と同様の光取出し層を作製した以外は同様にして、有機EL素子106を作製した。
(7)有機EL素子107の作製
有機EL素子106の作製において、透明樹脂基板におけるポリエチレンテレフタレートをポリカーボネートに変更した以外は同様にして、有機EL素子107を作製した。
(8)有機EL素子108の作製
有機EL素子102の作製において、透明樹脂基板を下記のようにして作製した以外は同様にして、有機EL素子108を作製した。
セルローストリアセテート10g、可塑剤としてトリフェニルフォスフェート1.0g、紫外線吸収剤としてチヌビン(TINUVIN)360(チバスペシャルティケミカルズ社製)0.2gを、ジクロロメタン36g及びエタノール9gからなる混合溶媒に添加し、溶解させた。これを乾燥後のフィルム厚が100μmとなるようにガラス板上に流延し、剥離後、80〜130℃で乾燥してTACフィルムを作製した。
(9)有機EL素子109の作製
有機EL素子102の作製において、透明樹脂基板を下記のようにして作製した以外は同様にして、有機EL素子109を作製した。
ビスフェノールA型の芳香族ポリカーボネート樹脂33g、紫外線吸収剤チヌビン234(チバスペシャルティケミカルズ社製)1gを、ジクロロメタン120g及びエタノール15gの混合溶媒に添加、溶解させた。これを乾燥後のフィルム厚が100μmとなるようにガラス板上に流延し、剥離後、80〜130℃で乾燥してPCフィルムを作製した。
(10)有機EL素子110の作製
有機EL素子102の作製において、PETフィルムの片面(有機機能層とは反対側の面)に、下記紫外線吸収層塗布液を、乾燥層厚が10μmとなるように塗布した後、80〜120℃で乾燥し、紫外線吸収層付PETフィルムを作製した。
(紫外線吸収層塗布液)
紫外線吸収性アクリル樹脂(PUVA−50MBA−30T:樹脂固形分30%:大塚化学社) 80g
ポリエステル樹脂(アクリットER20:樹脂固形分40%:大成化工社) 5g
メチルエチルケトン 25g
シクロヘキサノン 60g
(11)有機EL素子111の作製
有機EL素子103の作製において、PCフィルムの片面に有機EL素子110と同様の紫外線吸収層を形成した以外は同様にして、有機EL素子111を作製した。
(12)有機EL素子112の作製
有機EL素子102の作製において、下記のようにして作製した筐体中に有機発光体を設置した以外は同様にして、有機EL素子112を作製した。
ビスフェノールA型の芳香族ポリカーボネート樹脂ユーピロンS−3000(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)67質量部、紫外線吸収剤シーソーブ709(シプロ化成社製)1.0質量部、リン化合物アデカスタブ2112(ADEKA社製)0.1質量部とを、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
このペレットを120℃で5時間乾燥させた後、名機製作所製のM150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行い、厚さ3mmの紫外線吸収剤含有のPC平板を成形した。
このPC平板を箱型に形成し、屋外設置用の筐体を作製した。
(13)有機EL素子113の作製
有機EL素子112の作製において、透明樹脂基板におけるポリエチレンテレフタレートをセルローストリアセテートに変更した以外は同様にして、有機EL素子113を作製した。
(14)有機EL素子114の作製
有機EL素子102の作製において、下記のようにして作製した筐体中に有機発光体を設置した以外は同様にして、有機EL素子114を作製した。
市販のポリカーボネート製透明板(3mm厚)上に、有機EL素子110と同様の紫外線吸収層塗布液を塗設し、表面に紫外線吸収層を作製した。
この透明板を箱型に形成し、屋外設置用の筐体を作製した。
(15)有機EL素子115の作製
有機EL素子114の作製において、透明樹脂基板におけるポリエチレンテレフタレートをポリカーボネートに変更した以外は同様にして、有機EL素子115を作製した。
(16)有機EL素子116〜123の作製
有機EL素子108〜115の作製において、透明金属電極をITOから有機EL素子104と同様の積層構造からなる銀電極に変更した以外は同様にして、有機EL素子116〜123を作製した。
≪透明電極及び有機EL素子の評価≫
(1)透明電極の評価
有機EL素子101〜123と同様にして、透明樹脂基板上に透明電極まで作製したサンプルを別途準備し、安定性評価として、下記のようにして評価した。
(1.1)強制劣化試験
作製した各透明金属電極について、強制劣化試験として、25℃窒素雰囲気下で高圧水銀ランプ(電源 HP100A−1、ランプユニット HLR100T−2、セン特殊光源(株)製)を用い、透明電極に対し透明樹脂基板側より紫外線(照射強度20mW/cm)を24時間照射し、透明性及び導電性の劣化度を評価した。
なお、有機EL素子112〜115及び120〜123については、透明金属電極まで作製した基板を筐体中に設置した後、筐体を通して、透明基板側から紫外線を照射した。
(1.1.1)透明性
JIS K 7361−1:1997に準拠して、東京電色社製 HAZE METER NDH5000を用いて、全光線透過率を測定し、強制劣化試験前後の全光線透過率の低下率を、下記基準で評価した。
評価結果を表2に示す。
全光線透過率の低下率は、有機電子デバイスに用いるため、5%未満であることが好ましい。
◎:0%以上2%未満
○:2%以上5%未満
△:5%以上10%未満
×:10%以上20%未満
××:20%以上100%以下
(1.1.2)導電性
JIS K 7194:1994に準拠して、抵抗率計(ロレスタGP(MCP−T610型):ダイヤインスツルメンツ社製)を用いて表面抵抗を測定し、強制劣化試験前後の表面抵抗の増加率を下記基準で評価した。
評価結果を表2に示す。
表面抵抗の増加率は、有機電子デバイスに用いるため、100%未満であることが好ましい。
◎:0%以上50%未満
○:50%以上100%未満
△:100%以上500%未満
×:500%以上1000%未満
××:1000%以上
(2)有機EL素子の評価
作製した各有機EL素子について、透明電極と同様の強制劣化試験を行い、試験前後での電力効率、発光均一性及び発光寿命を下記のように評価した。
(2.1)電力効率
分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ社製)を用いて、正面輝度及び輝度角度依存性を測定し、正面輝度が1000cd/mとなる駆動電圧、電流から、電力効率(lm/w)を測定した。
次いで、強制劣化試験前の有機EL素子101の電力効率を100%とする相対電力効率を求め、下記の基準に従って、電力効率の評価を行った。
評価結果を表2に示す。
◎:150%以上
○:100%以上150%未満
△:80%以上100%未満
×:50%以上80%未満
××:50%未満
(2.2)発光均一性
KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を各有機EL素子に印加し、1000cd/mで発光させた。倍率50倍の顕微鏡で各々の発光輝度ムラを観察し、下記の基準で評価した。
評価結果を表2に示す。
◎:完全に均一発光している
○:ほとんど均一発光しており、実用上問題ない
△:部分的に若干発光ムラが見られるが、許容できる
×:全面にわたって発光ムラが見られ、許容できない
(2.3)発光寿命
初期の輝度を5000cd/mで連続発光させて、電圧を固定して、輝度が半減するまでの時間を求めた。強制劣化試験前の有機EL素子101に対する比率を求め、以下の基準で評価した。
評価結果を表2に示す。
発光寿命の比率は、100%以上が好ましく、150%以上であることがより好ましい。
◎:150%以上
○:100%以上150%未満
△:80%以上100%未満
×:50%以上80%未満
××:50%未満
なお、表2中、I〜IVは、紫外線吸収手段の態様として、紫外線吸収剤含有基板を用いたものをI、紫外線吸収層付基板を用いたものをII、紫外線吸収剤含有筐体を用いたものをIII、紫外線吸収層付筐体を用いたものをIVとして示している。
Figure 2014185277
(3)まとめ
表2から明らかなように、本発明の有機EL素子108〜123は、比較例の有機EL素子101〜107と比較して、透明金属電極としての透明性及び導電性、並びに有機EL素子としての、特に強制劣化試験後の電力効率、発光均一性及び発光寿命の点において優れている。
具体的には、有機EL素子101と102及び有機EL素子104と106との比較からわかるように、強制劣化試験前(素子作製直後)においては、素子評価の結果として、TiO粒子を含む光取出し層を有する有機EL素子102及び106が優位な結果となっている。しかし、強制劣化試験後においては、特に銀電極の場合に、電極評価、素子評価ともに性能低下が見られた。
これに対し、紫外線吸収手段を有する本発明の有機EL素子108〜123は、強制劣化試験後においても、ITO電極及び銀電極のいずれにおいても、電極性能及び素子性能の劣化は、観測されなかった。
以上から、光取出し層の有機機能層とは反対側に、紫外線吸収手段を有する有機EL素子が、有機機能層及び電極の劣化を防止することに有用であることがわかる。
本発明は、光取出し層を備えながらも、有機機能層及び電極の劣化を防止する有機EL素子を提供することに、特に好適に利用することができる。
1 透明金属電極
1a 下地層
1b 金属導電層
2 光取出し層
2a 光散乱層
2b 平滑層
3 有機機能層
3a 正孔注入層
3b 正孔輸送層
3c 発光層
3d 電子輸送層
3e 電子注入層
5a 対向電極
10 有機EL素子
13 透明樹脂基板
13a 光取出し面
15 補助電極
16 取出し電極
17 封止材
19 接着剤
20 波長制御赤外線ヒーター
22 フィラメント
24 保護管
26,28 フィルター
30 中空部
32 反射板
40 冷却機構
50 制御装置
60,62 紫外線吸収層
70 筐体
h 発光光
100 有機EL素子
101 金属電極
102 有機発光層
103 透明電極
104 透明基板
110a〜110e 光
200 製造装置
202 元巻きローラー
204 巻取りローラー
210 搬送部
212 搬送ローラー
220 IJ塗布部
222 搬送ローラー
224 プラテン
226 IJヘッド
230 IR乾燥部
232 搬送ローラー
240 光硬化部
242 搬送ローラー
244 紫外線照射装置
250 IJ塗布部
252 搬送ローラー
254 プラテン
256 IJヘッド
260 IR乾燥部
262 搬送ローラー
264 波長制御赤外線ヒーター
270 光硬化部
272 搬送ローラー
274 紫外線照射装置
280 搬送部
282 搬送ローラー

Claims (6)

  1. 可撓性を有する透明樹脂基板上に、光触媒機能を有する微粒子が含有された光取出し層、透明金属電極、有機機能層、対向電極が順次積層された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記光取出し層の前記透明金属電極とは反対側に、紫外線吸収手段を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記紫外線吸収手段が、紫外線吸収剤が含有された前記透明樹脂基板であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記紫外線吸収手段が、前記透明樹脂基板と前記光取出し層との間に配置される、紫外線吸収剤が含有された紫外線吸収層であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記有機エレクトロルミネッセンス素子を被覆する筐体を備え、
    前記紫外線吸収手段が、紫外線吸収剤が含有された前記筐体であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記有機エレクトロルミネッセンス素子を被覆する筐体を備え、
    前記紫外線吸収手段が、前記筐体の外面に設けられる、紫外線吸収剤が含有された紫外線吸収層であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記透明金属電極が、
    銀又は銀を主成分とする合金を含む金属導電層と、
    含窒素化合物を含む非導電性の下地層と、
    を有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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