JPWO2014163127A1 - 薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液の製造方法、並びに薄片化黒鉛、薄片化黒鉛分散液及び薄片化黒鉛−樹脂複合材料 - Google Patents

薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液の製造方法、並びに薄片化黒鉛、薄片化黒鉛分散液及び薄片化黒鉛−樹脂複合材料 Download PDF

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Abstract

還元処理を必要とせずに、薄片化黒鉛を容易にかつ確実に得ることを可能とする薄片化黒鉛の製造方法を提供する。グラフェン積層構造を有する炭素材料を、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液体に浸漬させる工程と、前記液体に浸漬されている炭素材料に電磁波を照射して該炭素材料を加熱する工程とを備え、前記電磁波の照射により炭素材料を加熱する工程において、炭素材料に接触している前記液体を気化させることにより前記炭素材料を薄片化する、薄片化黒鉛の製造方法。

Description

本発明は、黒鉛や膨張黒鉛のようなグラフェン積層構造を有する炭素材料から薄片化黒鉛を得る薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液の製造方法に関する。
また、上記薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液の製造方法により得られた薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液、並びに上記薄片化黒鉛又は上記薄片化黒鉛分散液と、樹脂とを混合して得られる薄片化黒鉛−樹脂複合材料に関する。
従来、少ない添加量で樹脂の機械的物性等を効果的に改善し得るため、薄片化黒鉛が注目されている。このような薄片化黒鉛の製造方法の一例が下記の特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の薄片化黒鉛の製造方法では、黒鉛を硝酸などの強酸性の水溶液中に浸漬し、加熱する。硝酸イオンなどの酸性イオンを黒鉛のグラフェン間にインターカレートさせる。この硝酸イオンがインターカレートされた黒鉛を加熱することにより、黒鉛を剥離し、グラフェン積層数がより少ない薄片化黒鉛を得ることができる。
特表2009−511415号公報
しかしながら、特許文献1に記載の薄片化黒鉛の製造方法では、強酸に黒鉛が晒される。従って、得られた薄片化黒鉛ではグラフェンが酸化されている。よって、還元処理を行わなければ、十分な導電性等を発現させることができなかった。
また、強酸に浸漬し、加熱する煩雑な処理を必要としていた。
本発明の目的は、還元処理を必要とすることなく、薄片化黒鉛を容易にかつ確実に得ることを可能とする薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液の製造方法を提供することにある。また、上記薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液の製造方法により得られた薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液、並びに上記薄片化黒鉛又は上記薄片化黒鉛分散液と、樹脂とを混合して得られる薄片化黒鉛−樹脂複合材料を提供することにある。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法は、グラフェン積層構造を有する炭素材料を、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液体に浸漬させる工程と、上記液体に浸漬されている炭素材料に電磁波を照射して該炭素材料を加熱する工程とを備え、上記電磁波の照射により炭素材料を加熱する工程において、炭素材料に接触している上記液体を気化させることにより上記炭素材料を薄片化する。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、好ましくは、上記液体として、沸点が50℃〜250℃の範囲にある液体が用いられる。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、好ましくは、上記グラフェン積層構造を有する炭素材料が、黒鉛、膨張黒鉛又は一次薄片化黒鉛である。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法のある特定の局面では、上記液体として反応性化合物が用いられる。好ましくは、上記炭素材料を薄片化する工程において、上記炭素材料に上記反応性化合物を化学結合させる。上記反応性化合物としては、好ましくは、Diels−Alder反応性化合物が用いられる。好ましくは、Fiedel−Crafts反応性化合物が用いられてもよい。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法のある特定の局面では、上記液体として溶媒を用いてもよい。好ましくは、上記溶媒が、炭素数8以下のアルコール類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン、ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、N−メチルピロリドン及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群から選択された少なくとも1種の溶媒を含むことが望ましい。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、好ましくは、上記炭素材料を薄片化する工程において、上記炭素材料に化合物を化学結合させる。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法のある特定の局面では、上記化合物として、ラジカル反応性化合物を用いる。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法のある特定の局面では、上記化学結合が、可逆的となる化合物を用いてもよい。
好ましくは、上記可逆的化学結合を形成する化学結合が、Diels−Alder反応性化合物を用いた化学結合である。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、好ましくは、上記化学結合を形成する化学結合が、Fiedel−Crafts反応性化合物を用いた化学結合である。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、好ましくは、上記可逆的化学結合を形成する化学結合が、シクロペンンタジエニル錯体化合物を用いた配位結合が用いられてもよい。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、上記電磁波照射工程の後に、上記炭素材料と上記液体との混合物を冷却する冷却工程がさらに備えられていてもよく、その場合、上記薄片化黒鉛を得るために、電磁波照射工程と冷却工程とを複数回行ってもよい。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法の他の特定の局面では、上記電磁波を照射するに際し、上記炭素材料と上記液体との混合物が部分的に冷却されてもよい。
本発明に係る薄片化黒鉛は、本発明の薄片化黒鉛の製造方法に従って得られる。好ましくは、上記薄片化黒鉛に化学結合した化合物又は反応性化合物の含有量が、薄片化黒鉛100重量%に対し、0.5〜100重量%である。
本発明に係る薄片化黒鉛分散液の製造方法では、グラフェン積層構造を有する炭素材料を、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液体に浸漬させる工程と、上記液体に浸漬されている炭素材料に電磁波を照射して該炭素材料を加熱する工程とを備え、上記電磁波の照射により炭素材料を加熱する工程において炭素材料に接触している上記液体の一部を気化させることにより、上記炭素材料を薄片化し、上記液体中に薄片化黒鉛が分散された薄片化黒鉛分散液を得る。
本発明に係る薄片化黒鉛分散液は、上記薄片化黒鉛分散液の製造方法に従って得られる。好ましくは、薄片化黒鉛分散液中の薄片化黒鉛に化合物が化学結合しており、上記化合物の含有量が、薄片化黒鉛100重量%に対し、0.5〜100重量%である。
本発明に係る薄片化黒鉛−樹脂複合材料は、本発明に係る薄片化黒鉛又は薄片化黒鉛分散液と、樹脂とを混合することにより得られる。
本発明に係る薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液の製造方法によれば、液体に炭素材料を浸漬した後に電磁波を照射するだけで、炭素材料を薄片化し、薄片化黒鉛を得ることができる。従って、容易にかつ確実に薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液を得ることができる。しかも、酸化される工程を必須としないため、還元処理を必要ともしない。
また、上記薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液は樹脂中に均一に分散されるため、樹脂の機械的物性が飛躍的に向上した、薄片化黒鉛−樹脂複合材料を得ることができる。
図1は、実施例1で得た薄片化黒鉛のAFM測定により測定した幅及び厚みを示す図である。 図2は、実施例2で得た薄片化黒鉛のAFM測定により測定した幅及び厚みを示す図である。 図3は、実施例3で得た薄片化黒鉛のAFM測定により測定した幅及び厚みを示す図である。 図4は、実施例4で得た薄片化黒鉛のAFM測定により測定した幅及び厚みを示す図である。 図5は、実施例5で得た薄片化黒鉛のAFM測定により測定した幅及び厚みを示す図である。 図6は、実施例6で得た薄片化黒鉛のAFM測定により測定した幅及び厚みを示す図である。 図7は、実施例6で得たろ液のH−NMRスペクトルを示す図である。 図8は、実施例7で得た薄片化黒鉛のAFM測定により測定した幅及び厚みを示す図である。 図9は、実施例8で得た薄片化黒鉛のAFM測定により測定した幅及び厚みを示す図である。 図10は、実施例9で得た薄片化黒鉛のAFM測定により測定した幅及び厚みを示す図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液の製造方法では、まず、グラフェン積層構造を有する炭素材料を、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液体に浸漬させる。しかる後、電磁波を照射し炭素材料を加熱する。それによって、炭素材料に接触している液体の一部又は全部を気化させ、炭素材料を薄片化し、薄片化黒鉛又は該薄片化黒鉛が液体中に分散した薄片化黒鉛分散液を得る。
(グラフェン積層構造を有する炭素材料)
本発明において用いられるグラフェン積層構造を有する炭素材料としては、黒鉛などの複数のグラフェンが積層されている構造を有する炭素材料を用いることができる。また、黒鉛原料として黒鉛に酸処理を施した熱膨張性黒鉛や、その熱膨張性黒鉛を加熱膨張化させた膨張黒鉛を用いてもよい。その場合には、本発明の製造方法に従って黒鉛への液体の浸透が容易となるため、より効果的に薄片化黒鉛を得ることができる。なお、天然黒鉛よりもグラフェン積層数が少ない、一次薄片化黒鉛を原料としての炭素材料として用いてもよい。その場合には、本発明の製造方法に従って、より一層積層数が少ない薄片化黒鉛を得ることができる。
なお、本発明において、薄片化黒鉛とは、元の黒鉛を剥離処理して得られるものであり、元の黒鉛よりも薄いグラフェンシート積層体をいう。薄片化黒鉛におけるグラフェンシート積層数は、元の黒鉛より少なければよいが、通常、数層〜200層程度である。
(液体)
本発明における薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液の製造方法では、グラフェン積層構造を有する炭素材料を、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液体に浸漬させた状態で、電磁波の照射により、炭素材料を薄片化し、薄片化黒鉛又は該薄片化黒鉛が液体中に分散した薄片化黒鉛分散液を得る。
液体に炭素材料を浸漬させるに際しては、炭素材料が電磁波の照射により加熱される限り、適宜の量の炭素材料を液体に浸漬すればよい。
本明細書において、液体とは、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物、あるいは少なくとも一種の20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液状物の混合物のことをいう。上記液状物の混合物については、混合物そのものの表面張力が50mN/m以下であってもよいし、少なくとも一種の20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含んでいれば、混合物そのものの表面張力は50mN/m以下でなくともよい。
このように、本発明においては、液体が少なくとも1種の20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含んでいる。従って、薄片化をより一層進めることができる。
また、上記液体の沸点は50℃〜250℃の範囲内であることが望ましい。その場合には電磁波の照射により、液体を容易に気化させることができ、薄片化をより効果的に進めることができる。
本発明において、上記グラフェン積層構造を有する炭素材料を浸漬させる上記液体として、溶媒を用いることができる。用いる溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの炭素数8以下のアルコール類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン、ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、N−メチルピロリドン及びN,N−ジメチルホルムアミドなどを挙げることができる。好ましくは、炭素数8以下のアルコール類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン、ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、N−メチルピロリドン及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群から選択された少なくとも1種を含む。溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上の混合溶媒であってもよい。また、上記好ましい溶媒に加えて、さらに水等の他の溶媒を加えて用いてもよい。
また、本発明においては、上記液体として、溶媒の代わりに反応性化合物を用いてもよい。この場合、溶媒を使用しないので、溶媒の回収や単離が必要なく製造工程の簡略化が可能である。上記反応性化合物は、上記炭素材料を薄片化する工程において、上記炭素材料に化学結合させることが好ましい。この場合、得られた薄片化黒鉛を樹脂中により一層均一に分散させることができる。上記化学結合をした反応性化合物の含有量は、得られた薄片化黒鉛100重量%に対し、0.5〜100重量%であることが好ましい。
上記反応性化合物としては、Diels−Alder反応性化合物又はFiedel−Crafts反応性化合物であることが好ましい。Diels−Alder反応性化合物又はFiedel−Crafts反応性化合物を用いた場合、後述するように、薄片化をより一層進めることができる。
液体の上記Diels−Alder反応性化合物としては、フルフラール、フルフリルアルコール、フルフリルアミン、5−メチル−2−フルアルデヒド、フルフリルメルカプタン、2−フロイルクロリド等のフルフラール誘導体、2−メチルフラン、2−エチルフラン、2−メトキシフラン、2−フロニトリル等のフラン誘導体、p−クロロスチレン、N−ビニル−2ピロリドン等のビニル変性溶媒又はフェニルイミダゾリン等のイミン類などが挙げられる。これらの化合物は単体で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
フルフリルアルコールやN−ビニル−2ピロリドン等を用いた場合、後述の電磁波照射による薄片化黒鉛製造工程を経ても、反応副生成物が殆ど生成しないため、フルフリルアルコールやN−ビニル−2ピロリドンを用いることが好ましい。この場合、用いたフルフリルアルコールを容易に回収し、再利用することができる。
液体のFiedel−Crafts反応性化合物としては、一般的なハロゲン化物やカルボン酸ハロゲン化物、酸無水物等であればいずれも用いることができ、例えばN−クロロオクタンやN−オクタノイルクロリド等のアルキルハロゲンや脂肪族酸ハロゲン化物、ベンゾイルクロライド等の安息香酸ハロゲン化物、無水コハク酸や無水フタル酸、無水プロピオン酸等の酸無水物などを用いることができる。これらの化合物は単体で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
また、上記液体中には、さらに、触媒を添加してもよい。触媒を添加した場合、化学反応が容易になることから電磁波の照射量や反応時間をより一層短縮し、用いる反応性化合物の添加量をより一層低減できる等の効果が得られる。
触媒としては、特に限定されないが、例えば、以下の(1)MXnで表される金属ハロゲン化物(ただし、Mは周期律表2〜7族の金属、Xはハロゲン、nは2〜5の整数)、(2)MAXで表わされる複合塩、(3)MLもしくはMLXで表わされる錯化合物、(4)3価のリン化合物などが用いられる。
(1)MXnで表される金属ハロゲン化物:
Mは、周期律表の2〜7族の金属である。このような金属としては、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カゴミウム、インジウム、錫、アンチモン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスニウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマスなどが挙げられる。上記Xは、ハロゲンであり、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。上記nは、金属のもつ原子価に応じた2〜5の整数である。
上記MXnの中で、好ましい金属ハロゲン化物としては、Xが塩素である、塩化銅、塩化鉄、塩化亜鉛及び塩化アルミニウムを挙げることができる。上記金属塩化物は安価であり、毒性が比較的低いため好ましい。
また、MXnで表される金属ハロゲン化物としては、MXのように複数のハロゲンを含む金属ハロゲン化物であってもよい。この場合、XとXとは異なるハロゲン元素である。
(2)MAXで表わされる複合塩:
Aを酸とした場合、MAXで表される、酸とハロゲンと金属との複合塩である。Mは上述した通り、周期律表2族〜7族の金属元素である。Aは酸である。酸としては、硫酸、硝酸、リン酸またはホウ酸などの無機酸であってもよく、有機酸であってもよい。
(3)MLもしくはMLXで表わされる錯化合物
Mは2族〜7族の金属元素である。Lは、アセチルアセトン、エチレンジアミン、フタロシアニン、アンモニア、一酸化炭素またはシアンなどの配位子として働く化合物である。Xは上述した通りである。
(4)3価のリン化合物
3価のリン化合物としては、トリフェニルフォスファイト、トリアルキルフォスファイトなどを挙げることができる。
(電磁波照射)
本発明においては、液体に浸漬されている上記炭素材料に電磁波を照射する。この場合の電磁波としては、特に限定されず、5kHz〜100GHz程度の波長の電磁波を用いることができる。従って、上記電磁波はマイクロ波であってもよい。
上記電磁波を照射する装置については、上記電磁波を照射し得る限り適宜の電磁波発生装置を用いることができる。また、市販の調理用電子レンジを電磁波照射装置として用いてもよい。その場合には、調理用電子レンジ内に上記液体に浸漬されている炭素材料を配置し、電磁波を照射すればよい。
電磁波の照射量については、上記炭素材料を加熱して薄片化黒鉛を得ることができる限り、特に限定されない。
電磁波の照射により、液体に浸漬されている炭素材料が加熱される。その結果、炭素材料に接触している部分において液体の一部又は全部が気化する。この液体が気化する際の応力により、グラフェン積層構造を有する炭素材料が薄片化する。これは、グラフェン同士が積層されている部分に入り込んでいる液体の一部又は全部がガスとなって気化し、そのときの体積膨張による力により、グラフェン間が剥離することによると考えられる。
電磁波照射による昇温速度については、特に限定されないが、昇温速度が高いほど気化するガスの体積膨張速度が大きいため、薄片化黒鉛を得やすい。従って、電磁波の照射により加熱される炭素材料の昇温速度は直接測定することが困難であるが、炭素材料が浸漬されている液体の温度としての昇温速度は、15℃/分以上が好ましく、より好ましくは100℃/分以上であり、さらに好ましくは500℃/分以上である。昇温速度が高すぎると、電磁波の照射量が膨大になることがある。
本発明においては、電磁波の照射による加熱以外にも、ヒーター等による加熱を併用してもよい。例えば、ヒーター等を用いて液体の沸点以下に予備加熱しておくことで、電磁波の照射量を低減できる。これによって、電磁波エネルギーや装置の負荷を下げることができる。
本願発明者らは、上記のように、液体に浸漬した状態で、加熱すれば、液体がグラフェン間で気化し、炭素材料を薄片化し、薄片化黒鉛が得られることを初めて見出したものである。本発明は、このような本願発明者らの初めて見出した知見に基づきなされたものである。
(炭素材料濃度)
上記炭素材料は、電磁波の照射による薄片化によって表面積が増大するため、分散液粘度が剥離の進行に従って高くなる。そのため、分散液の分散均一性を保つためには、炭素材料濃度が低い方が好ましい。他方、炭素材料濃度が低すぎると、分散液の加熱気化に要する電磁波エネルギーが膨大になる。従って、炭素材料濃度は、初期を高く設定し、薄片化が進行するに従って低濃度化させることが好ましい。このような炭素材料濃度調整は、電磁波の照射による薄片化の進行に従って液体を随時添加し、濃度を低下させていく方法や、十分薄片化が進行した薄片化黒鉛を部分的に分離回収する方法等により行うことが好ましい。
(化学結合)
本発明においては、好ましくは、上記電磁波の照射により炭素材料を加熱して薄片化黒鉛を得るにあたり、炭素材料に化合物を化学結合させることが望ましい。それによって、より積層数の少ない薄片化黒鉛を得ることができる。これは、化合物が化学結合によりグラフェンに結合し、この結合反応の結果、グラフェン間のπ結合が弱まることで、薄片化がより一層進むためと考えられる。また、好ましくは、上記反応が結合及び解離を可逆的に行い得る化学結合であることが望ましい。その場合には、結合と解離とを繰り返させることにより、薄片化をより一層進めることができる。
上記炭素材料に化学結合を生じさせる化合物としては、特に限定されないが、黒鉛がラジカル吸着性を有するため、ラジカル反応性化合物やFiedel−Crafts反応性化合物を用いることが望ましい。ラジカル反応性の化合物としては、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、グリシジル基、チオール基、ハロゲン基など有する化合物を挙げることができる。またFiedel−Crafts反応性化合物としては、一般的なハロゲン化物やカルボン酸ハロゲン化物、酸無水物等であればいずれも用いることができ、例えばN−クロロオクタンやN−オクタノイルクロリド等のアルキルハロゲンや脂肪族酸ハロゲン化物、ベンゾイルクロライド等の安息香酸ハロゲン化物、又は無水コハク酸や無水フタル酸、無水プロピオン酸等の酸無水物などを用いることができる。
上記のように、可逆的化学結合を形成する化合物としては、特に限定されないが、好ましくは、Diels−Alder反応性化合物を用いた化学結合であることが望ましく、その場合には、薄片化をより一層進めることができる。
Diels−Alder反応性化合物としては、一般的なジエン、および親ジエン体であればいずれも用いることができ、例えば無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイミド等のマレイン酸類、テトラシアノエチレン、フマル酸ジメチル、アクロレイン等のアルケン類、アセチレンジカルボン酸ジメチル等のアルキン類、ベンゾキノン、アントラキノン、キノジメタン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン等の環状ジエン、親ジエン体、アントラセン等のアセン類、フルフリルアルコール、フルフラール等のフラン類、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のブタジエン類、ベンザイン等のアライン類、ベンジリデンアニリン等のイミン類、スチレンやそれらの誘導体などが挙げられる。
また、上記可逆的化学結合を形成する化合物としては、シクロペンンタジエニル錯体化合物を用いてもよい。このようなシクロペンンタジエニル錯体化合物としては、フェロセン、ニッケロセン、チタノセン、ジルコノセンやそれらの誘導体が挙げられる。すなわち、薄片化黒鉛に他の化合物が化学結合する限り化学結合の形態は特に限定されず、シクロペンンタジエニル錯体化合物を用いた配位結合により化合物が薄片化黒鉛に結合されてもよい。
上記シクロペンンタジエニル錯体化合物を用いた化学結合である場合には、薄片化後の洗浄等により化合物を除去することができ、好ましい。
上記化学結合をした化合物は、一度剥離したグラフェンの再積層化や凝集を妨げる効果があり、溶媒や樹脂分散性に優れる。従って、上記化学結合をした化合物の含有量は、得られた薄片化黒鉛100重量%に対し、0.5〜100重量%であることが好ましい。
上記化学結合した化合物の検出は、NMRやIR等の既知の分析法により検出することができる。検出方法としては、特定の分析法に限定されないが、簡便さと定量性の観点から通常、熱重量測定が用いられる。この熱重量測定では、化合物が炭素材料に化学結合している場合、一般的にその分解温度が通常の分解温度よりも高温側で検出される。また、この熱分解物の構造解析の目的で、MS測定などを組み合わせてもよい。
(圧力制御)
本発明の化合物の化学結合反応を伴った電磁波照射と、炭素材料の加熱、剥離にあたっては、その反応系中の圧力を1気圧以上に設定してもよい。これは化合物の化学結合反応が系の体積を減少させる方向に進行することから、圧力を高めることで化合物の化学結合をより進行させる効果が得られるためである。このときの圧力は1気圧以上であれば特に限定されないが、好ましくは1.5気圧以上である。また、この圧力制御は、電磁波照射による液体や化合物の加熱、気化による圧力上昇に限定されず、外部からのガス注入や機械的な圧力付加により行ってもよい。圧力は高いと化学結合反応をより一層促進する効果があるが、高すぎると液体の気化が困難になることがあるため、50気圧以下が好ましく、より好ましくは10気圧以下である。
(冷却工程)
本発明に係る薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液の製造方法では、上記電磁波を照射して加熱する工程の後に、冷却工程を実施してもよい。好ましくは、上記電磁波の照射により加熱と、上記冷却工程とを、複数回実施してもよく、それによって、炭素材料の液体への浸漬と加熱によって液体が気化する際の応力による剥離を繰り返し、一層積層数の少ない薄片化黒鉛を得ることができる。なお、冷却工程における冷却方法は特に限定されず、冷風を吹き付ける方法、自然放冷、水冷などの適宜の方法を用いることができる。
また、炭素材料と液体との混合物を部分的に冷却してもよい。それによって、電磁波照射を連続的に行う連続、または半連続プロセスとすることができる。この部分的な冷却方法については、例えば上記炭素材料と上記液体との混合物を電磁波照射部と冷却部を循環させることにより達成し得る。
(薄片化黒鉛)
本発明の薄片化黒鉛の製造方法では、上記のように、液体に浸漬された炭素材料に電磁波を照射するだけで薄片化黒鉛が得られる。従って、得られた薄片化黒鉛は、酸化履歴を有していないので、煩雑な還元処理を必要としない。また、このようにして得られた薄片化黒鉛では、酸化されていないため、高い導電性を発現する。
(薄片化黒鉛分散液)
本発明においては、上記のように電磁波の照射により炭素材料を加熱する工程において、炭素材料に接触している液体の全てを気化させることにより薄片化黒鉛を得ることができる。なお、電磁波の照射により炭素材料を加熱する工程において、炭素材料に接触している液体の一部を気化させることにより、薄片化黒鉛が液体中に分散している薄片化黒鉛分散液を得てもよい。この場合、薄片化黒鉛分散液から液体を除去することにより、薄片化黒鉛を回収できる。
薄片化黒鉛分散液からの薄片化黒鉛の回収に当たっては、濾過、遠心分離、重力沈降、溶媒分離、凝集剤又は吸着剤等の既知の手法を用いることができる。なお、得られた薄片化黒鉛分散液をそのまま用いることもできる。その場合は、未反応化合物等の不純物を溶媒等を用いて分離することが望ましい。
(薄片化黒鉛−樹脂複合材料)
上記薄片化黒鉛又は薄片化黒鉛分散液と、樹脂とを複合化することで、薄片化黒鉛−樹脂複合材料が得られる。得られた複合材料は、導電、熱電、誘電、電磁波吸収又はセンサ材料等の電気化学的素材や、剛性、耐熱性、寸法安定性等の力学的強度素材等に用いることができる。
樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂など所望の樹脂を適宜用いることができる。上述したように、本発明においては、薄片化黒鉛に化合物を化学結合させることが好ましい。従って、所望の樹脂と親和性の高い化合物を用いることで、樹脂中での薄片化黒鉛の分散性をより一層高めることができる。
特に化合物を化学的に結合させた薄片化黒鉛や薄片化黒鉛分散液は、薄片化黒鉛の再凝集が起こりにくく、分散性に優れていることから、これら複合材料に用いることが容易である。また、化合物を化学的に結合させた薄片化黒鉛においては、薄片化黒鉛表面に官能基を導入することができる。この場合、樹脂との相互作用が設計できることから、得られた複合材料の電気化学的、力学的素材としての性質が特に優れている。
(実施例及び比較例)
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
200mlのガラス瓶に、グラフェン構造を有する炭素材料(東洋炭素社製、品番:PFパウダー8F)0.3gと、エタノール(沸点=78℃、20℃における表面張力=22mN/m)10gとを入れ、炭素材料をエタノールに浸漬させた。このようにして、炭素材料がエタノールに浸漬された分散液が入っているガラス瓶の開口部を開放した状態で、市販の電子レンジにセットした。出力750Wで20秒間電子レンジにより加熱処理を行った。エタノールがほぼ全て気化し、ガラス瓶中には、炭素材料のみが残存していた。この電磁波処理後の炭素材料に、再度エタノール10gを加え、エタノールを炭素材料に浸透させ、上記電子レンジで20秒間750Wで加熱処理を行った。この工程を15回繰り返した。このようにして薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛の寸法をAFM測定により評価した。結果を下記の図1に示す。
なお、上記AFM測定による薄片化黒鉛の測定方法は以下の通りである。
薄片化黒鉛の寸法の評価:得られた薄片化黒鉛にエタノールを加え、薄片化黒鉛濃度を0.05重量%とした。しかる後、超音波洗浄機により、超音波を与え、薄片化黒鉛をエタノール中に十分分散させた。次に、原子力顕微鏡(AFM)測定用試料台に上記薄片化黒鉛エタノール分散液をキャスティングし、エタノールを自然乾燥させた。AFMとしては、キーエンス社製、ナノスケールハイブリッド顕微鏡、品番:VN−8000を用いた。このAFMにより薄片化黒鉛を観察し、その幅と厚みを求めた。
(実施例2)
エタノールに代えてN−メチルピロリドン(沸点=202℃、20℃における表面張力=41mN/m)を用いたこと、電子レンジ加熱後も十分量のN−メチルピロリドンがガラス瓶中に残存していたため溶媒の追加を行わなかったこと、最終的にろ過により薄片化黒鉛を回収したことを除いては、実施例1と同様にして薄片化黒鉛を得た。また、実施例1と同様にして、エタノールにより希釈して超音波を加えて分散させてAFMにより薄片化黒鉛の寸法を測定した。結果を図2に示す。
(実施例3)
200mlのガラス瓶に炭素材料(東洋炭素社製、品番:PFパウダー8F)0.3gと、N−メチルピロリドン(沸点=202℃、20℃における表面張力=41mN/m)10gとを入れ、炭素材料にN−メチルピロリドンを十分浸透させてなる分散液を得た。この分散液に、グリシジルメタクリレート0.2gを添加し、十分に撹拌した。しかる後ガラス瓶の開口部を開放した状態で、市販の電子レンジを用い、750Wの出力で20秒加熱処理した。しかる後分散液が常温になるまで冷却する工程を実施した。この加熱及び冷却工程を3回繰り返した。このグリシジルメタクリレートの添加、電子レンジによる加熱及び冷却からなる工程を3回繰り返すステージを1セットとし、計5セット繰り返した。得られた分散液をろ過し、アセトンを用いて十分洗浄し、乾燥し、薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛について、実施例1と同様にしてAFM測定により評価した。結果を図3に示す。
(実施例4)
グリシジルメタクリレートの代わりに無水マレイン酸を用いたこと以外は実施例3と同様にして薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛について、実施例1と同様にして薄片化黒鉛の厚みと大きさをAFM測定により求めた。結果を図4に示す。
(実施例5)
グリシジルメタクリレートの代わりにフェロセンを用いたこと以外は実施例3と同様にして薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛について、実施例1と同様にして薄片化黒鉛の厚みと大きさをAFM測定により求めた。結果を図5に示す。
(実施例6)
200mlのガラス瓶に炭素材料(SECカーボン社製、品番:ファインパウダーSNO15)0.5gと、フルフリルアルコール(東京化成工業社製、融点=−29℃、沸点=170℃、20℃における表面張力=38mN/m)20gとを入れ、炭素材料にフルフリルアルコールに十分浸透させてなる分散液を得た。この分散液のガラス瓶の開口部を開放した状態で、市販の電子レンジを用い、750Wの出力で20秒加熱処理した。しかる後分散液が常温になるまで冷却する工程を実施し、この加熱及び冷却工程を15回繰り返した。得られた分散液をろ過し、アセトンを用いて十分洗浄し、乾燥し、薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛について、実施例1と同様にしてAFM測定により評価した。結果を図6に示す。また、分散液のろ過により得られたろ液については、別途回収しH−NMRを用いた構造解析を行った。結果を図7に示す。
(実施例7)
フルフリルアルコールの代わりに、N−ビニル−2−ピロリドン(沸点=204℃、20℃における表面張力=41mN/m)を用いたこと以外は実施例6と同様にして、薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛について、実施例1と同様にして薄片化黒鉛の厚みと大きさをAFM測定により求めた。結果を図8に示す。
(実施例8)
N−メチルピロリドンの代わりにN,N−ジメチルホルムアミド(沸点=153℃、20℃における表面張力=36mN/m)を用い、グリシジルメタクリレートの代わりにアゾジカルボンアミド(大塚化学社製、ビニホールAC#K3)を用いたこと以外は実施例3と同様にして薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛について、実施例1と同様にして薄片化黒鉛の厚みと大きさをAFM測定により求めた。結果を図9に示す。
(実施例9)
200mlのガラス瓶に炭素材料(東洋炭素社製、品番:PFパウダー8F)0.3gと、ベンゾイルクロライド(沸点=198℃、20℃における表面張力=39mN/m)10gと、触媒として塩化アルミニウム0.03gとを入れ、炭素材料にベンゾイルクロライドを十分浸透させてなる分散液を得た。この分散液のガラス瓶の開口部を開放した状態で、市販の電子レンジを用い、750Wの出力で20秒加熱処理した。しかる後分散液が常温になるまで冷却する工程を実施し、この加熱及び冷却工程を15回繰り返した。得られた分散液をろ過し、アセトンを用いて十分洗浄し、乾燥し、薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛について、実施例1と同様にして、薄片化黒鉛の厚みと大きさをAFM測定により求めた。結果を図10に示す。
(比較例1)
N−メチルピロリドンの代わりに水(沸点=100℃、20℃における表面張力=73mN/m)のみからなる液体を用いたこと以外は実施例2と同様にして、薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛について実施例1と同様にしてAFM測定により評価した。しかしながら、黒鉛の厚みが大きいため、AFMでは測定できなかった。
図1〜図5から明らかなように、実施例1〜5によれば、厚みが約60nm以下の薄片化黒鉛を安定に得られることがわかる。特に、図3〜図5のように、グラフト反応の生じさせる化合物を添加した場合には、薄片化がより一層進むことがわかる。特に、図4及び図5に示したように、無水マレイン酸やフェロセンを用いてグラフト化を進めた場合、薄片化をより一層進め得ることがわかる。
また、図6から明らかなように、実施例6によれば、室温で液体のDiels−Alder反応性化合物であるフルフリルアルコールを用いることで、他の溶媒を用いることなく、厚みが約60nm以下の薄片化黒鉛を安定に得られることがわかる。
さらに、図7のH−NMRスペクトルから、フルフリルアルコールを用いた場合、電磁波の照射による薄片化黒鉛製造工程を経ても、フルフリルアルコールの縮合物のような反応副生成物が殆ど生成していないことがわかる。従って、フルフリルアルコールを用いた場合、薄片化黒鉛と化学結合していないフルフリルアルコールを容易に回収、再利用できる。
また、図8〜図10から明らかなように、実施例7〜9においても、厚みが約60nm以下の薄片化黒鉛を安定に得られることがわかる。

Claims (24)

  1. グラフェン積層構造を有する炭素材料を、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液体に浸漬させる工程と、
    前記液体に浸漬されている炭素材料に電磁波を照射して該炭素材料を加熱する工程とを備え、前記電磁波の照射により炭素材料を加熱する工程において、炭素材料に接触している前記液体を気化させることにより前記炭素材料を薄片化する、薄片化黒鉛の製造方法。
  2. 前記液体の沸点が50℃〜250℃の範囲にある、請求項1に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  3. 前記グラフェン積層構造を有する炭素材料が、黒鉛、膨張黒鉛又は一次薄片化黒鉛である、請求項1又は2に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  4. 前記液体が、反応性化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  5. 前記炭素材料を薄片化する工程において、前記炭素材料に前記反応性化合物を化学結合させる、請求項4に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  6. 前記反応性化合物が、Diels−Alder反応性化合物である、請求項4又は5に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  7. 前記反応性化合物が、Fridel−Crafts反応性化合物である、請求項4又は5に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  8. 前記液体が溶媒である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  9. 前記溶媒が、炭素数8以下のアルコール類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン、ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、N−メチルピロリドン及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群から選択された少なくとも1種の溶媒を含む、請求項8に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  10. 前記炭素材料を薄片化する工程において、前記炭素材料に化合物を化学結合させる、請求項1〜3、8及び9のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  11. 前記化合物として、ラジカル反応性化合物を用いる、請求項10に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  12. 前記化合物として、前記化学結合が可逆的となる化合物を用いる、請求項10に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  13. 前記可逆的化学結合を形成する化学結合が、Diels−Alder反応性化合物を用いてなされる、請求項12に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  14. 前記化学結合が、Fridel−Crafts反応性化合物を用いてなされる、請求項10に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  15. 前記可逆的化学結合を形成する化学結合が、シクロペンンタジエニル錯体化合物を用いてなされる配位結合である、請求項12に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  16. 前記電磁波照射工程の後に、前記炭素材料と前記液体との混合物を冷却する冷却工程をさらに備え、前記薄片化黒鉛を得るために前記電磁波照射工程と、前記冷却工程とを複数回行う、請求項1〜15のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  17. 前記電磁波を照射するに際し、前記炭素材料と前記液体との混合物を部分的に冷却する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法により得られた、薄片化黒鉛。
  19. 請求項5〜7及び10〜15のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法により得られた薄片化黒鉛であって、
    前記薄片化黒鉛に化学結合した前記化合物又は前記反応性化合物の含有量が、薄片化黒鉛100重量%に対し、0.5〜100重量%である、薄片化黒鉛。
  20. 請求項18又は19に記載の薄片化黒鉛と、樹脂とを混合することにより得られた、薄片化黒鉛−樹脂複合材料。
  21. グラフェン積層構造を有する炭素材料を、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液体に浸漬させる工程と、
    前記液体に浸漬されている炭素材料に電磁波を照射して該炭素材料を加熱する工程とを備え、
    前記電磁波の照射により炭素材料を加熱する工程において炭素材料に接触している前記液体の一部を気化させることにより、前記炭素材料を薄片化し、前記液体中に薄片化黒鉛が分散された薄片化黒鉛分散液を得る、薄片化黒鉛分散液の製造方法。
  22. 請求項21に記載の薄片化黒鉛分散液の製造方法により得られた、薄片化黒鉛分散液。
  23. 前記薄片化黒鉛分散液中の薄片化黒鉛に化合物が化学結合しており、前記化合物の含有量が、薄片化黒鉛100重量%に対し、0.5〜100重量%である、請求項22に記載の薄片化黒鉛分散液。
  24. 請求項22又は23に記載の薄片化黒鉛分散液と、樹脂とを混合することにより得られた、薄片化黒鉛−樹脂複合材料。
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