JP2016029004A - 薄片化黒鉛の製造方法、薄片化黒鉛、薄片化黒鉛分散液及び薄片化黒鉛−樹脂複合材料 - Google Patents
薄片化黒鉛の製造方法、薄片化黒鉛、薄片化黒鉛分散液及び薄片化黒鉛−樹脂複合材料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016029004A JP2016029004A JP2015142069A JP2015142069A JP2016029004A JP 2016029004 A JP2016029004 A JP 2016029004A JP 2015142069 A JP2015142069 A JP 2015142069A JP 2015142069 A JP2015142069 A JP 2015142069A JP 2016029004 A JP2016029004 A JP 2016029004A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- exfoliated graphite
- carbon material
- liquid
- compound
- producing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Carbon And Carbon Compounds (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
【課題】還元処理を必要とせずに、薄片化黒鉛を容易にかつ確実に得ることを可能とする薄片化黒鉛の製造方法を提供する。
【解決手段】グラフェン積層構造を有する炭素材料を、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液体に浸漬させる工程と、前記液体に浸漬されている炭素材料に電磁波を照射して該炭素材料を加熱する工程とを備え、前記電磁波の照射により炭素材料を加熱する工程において、前記液体の沸点より低い温度で前記炭素材料を加熱することにより、前記炭素材料に接触している前記液体を気化させることなく、前記炭素材料を薄片化する、薄片化黒鉛の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】グラフェン積層構造を有する炭素材料を、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液体に浸漬させる工程と、前記液体に浸漬されている炭素材料に電磁波を照射して該炭素材料を加熱する工程とを備え、前記電磁波の照射により炭素材料を加熱する工程において、前記液体の沸点より低い温度で前記炭素材料を加熱することにより、前記炭素材料に接触している前記液体を気化させることなく、前記炭素材料を薄片化する、薄片化黒鉛の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、黒鉛や膨張黒鉛のようなグラフェン積層構造を有する炭素材料から薄片化黒鉛を得る薄片化黒鉛の製造方法及び該薄片化黒鉛の製造方法により得られた薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液に関する。
また、本発明は、上記薄片化黒鉛と、樹脂とを含む薄片化黒鉛−樹脂複合材料に関する。
従来、少ない添加量で樹脂の機械的物性等を効果的に改善し得るため、薄片化黒鉛が注目されている。このような薄片化黒鉛の製造方法の一例が下記の特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の薄片化黒鉛の製造方法では、黒鉛を硝酸などの強酸性の水溶液中に浸漬し、加熱する。硝酸イオンなどの酸性イオンを黒鉛のグラフェン間にインターカレートさせる。この硝酸イオンがインターカレートされた黒鉛を加熱することにより、黒鉛を剥離し、グラフェン積層数がより少ない薄片化黒鉛を得ることができる。
しかしながら、特許文献1に記載の薄片化黒鉛の製造方法では、強酸に黒鉛が晒される。従って、得られた薄片化黒鉛ではグラフェンが酸化されている。よって、還元処理を行わなければ、十分な導電性等を発現させることができなかった。
また、強酸に浸漬し、加熱する煩雑な処理を必要としていた。
本発明の目的は、還元処理を必要とすることなく、薄片化黒鉛を容易にかつ確実に得ることを可能とする薄片化黒鉛の製造方法を提供することにある。また、上記薄片化黒鉛の製造方法により得られた薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液、並びに上記薄片化黒鉛又は薄片化黒鉛分散液と樹脂とを含む薄片化黒鉛−樹脂複合材料を提供することにある。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法は、グラフェン積層構造を有する炭素材料を、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液体に浸漬させる工程と、前記液体に浸漬されている炭素材料に電磁波を照射して該炭素材料を加熱する工程とを備え、前記電磁波の照射により炭素材料を加熱する工程において、前記液体の沸点より低い温度で前記炭素材料を加熱することにより、前記炭素材料に接触している前記液体を気化させることなく、前記炭素材料を薄片化する。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、好ましくは、前記液体として、沸点が50℃〜350℃の範囲にある液体が用いられる。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、好ましくは、前記グラフェン積層構造を有する炭素材料が、黒鉛、膨張黒鉛又は一次薄片化黒鉛である。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法のある特定の局面では、前記炭素材料の薄片化が、前記炭素材料に化合物を化学結合させることにより行われる。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、好ましくは、前記化合物が、前記グラフェン積層構造を有する炭素材料に化学結合し得る化合物である。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法の他の特定の局面では、上記液体が、上記炭素材料に化学結合し得る化合物である。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、好ましくは、上記液体として反応性化合物が用いられる。上記反応性化合物としては、好ましくは、Diels−Alder反応性化合物が用いられる。好ましくは、Friedel−Crafts反応性化合物が用いられてもよい。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法の別の特定の局面では、前記液体が、炭素数8以下のアルコール類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン、ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、N−メチルピロリドン及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群から選択された少なくとも1種の溶媒を含む。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法の他の特定の局面では、前記液体が、前記溶媒と、炭素材料に化学結合し得る化合物とを含む。好ましくは、前記液体が、前記溶媒と、反応性化合物とを含む。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、好ましくは、前記炭素材料に化学結合し得る化合物として、ラジカル反応性化合物を用いる。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、好ましくは、前記炭素材料に化学結合し得る化合物として、前記化学結合が可逆的となる化合物を用いる。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、好ましくは、前記可逆的化学結合を形成する化学結合が、Diels−Alder反応性化合物を用いてなされる。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、好ましくは、前記可逆的化学結合を形成する化学結合が、シクロペンタジエニル錯体化合物を用いてなされる配位結合である。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、好ましくは、前記炭素材料に化学結合し得る化合物として、Friedel−Crafts反応性化合物を用いる。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法のさらに他の特定の局面では、前記電磁波照射工程において、前記液体の沸点より低い温度にて化学結合を進行させるように、温度制御を行う。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法のさらに他の特定の局面では、前記電磁波を照射するに際し、前記炭素材料と前記液体との混合物が部分的に冷却される。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法のさらに他の特定の局面では、前記炭素材料と前記液体との混合物に、さらに超音波処理を施す工程を備える。
本発明に係る薄片化黒鉛は、本発明の薄片化黒鉛の製造方法に従って得られる。好ましくは、前記薄片化黒鉛に化学結合した前記炭素材料に化学結合し得る化合物の含有量が、薄片化黒鉛100重量%に対し、0.5〜100重量%である。
本発明に係る薄片化黒鉛分散液は、本発明の薄片化黒鉛の製造方法に従って得られる。
本発明に係る薄片化黒鉛−樹脂複合材料は、本発明に従って得られた薄片化黒鉛又は薄片化黒鉛分散液と、樹脂とを含む。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法によれば、液体に炭素材料を浸漬した後に電磁波を照射するだけで、炭素材料を薄片化し、薄片化黒鉛を得ることができる。従って、容易にかつ確実に薄片化黒鉛を得ることができる。しかも、酸化される工程を必須としないため、還元処理を必要ともしない。
また、上記薄片化黒鉛は樹脂中に均一に分散される。従って、機械的物性が飛躍的に向上した薄片化黒鉛−樹脂複合材料を得ることができる。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、まず、グラフェン積層構造を有する炭素材料を、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液体に浸漬させる。しかる後、電磁波を照射し炭素材料を液体の沸点より低い温度で加熱する。それによって、炭素材料に接触している液体を気化させることなく、炭素材料を薄片化し、薄片化黒鉛を得る。
本発明において、炭素材料の薄片化は、炭素材料に化合物を化学結合させることによって、より一層確実に行うことができる。従って、上記化合物は、グラフェン積層構造を有する炭素材料に化学結合をし得る化合物であることが望ましい。
(グラフェン積層構造を有する炭素材料)
グラフェン積層構造を有する炭素材料としては、黒鉛などの複数のグラフェンが積層されている構造を有する炭素材料を用いることができる。また、黒鉛原料として黒鉛に酸処理を施した熱膨張性黒鉛や、その熱膨張性黒鉛を加熱膨張化させた膨張黒鉛を用いてもよい。その場合には、黒鉛への液体の浸透が容易となるため、より効果的に薄片化黒鉛を得ることができる。なお、天然黒鉛よりもグラフェン積層数が少ない、一次薄片化黒鉛を原料としての炭素材料として用いてもよい。その場合には、本発明の製造方法に従って、より一層積層数が少ない薄片化黒鉛を得ることができる。
グラフェン積層構造を有する炭素材料としては、黒鉛などの複数のグラフェンが積層されている構造を有する炭素材料を用いることができる。また、黒鉛原料として黒鉛に酸処理を施した熱膨張性黒鉛や、その熱膨張性黒鉛を加熱膨張化させた膨張黒鉛を用いてもよい。その場合には、黒鉛への液体の浸透が容易となるため、より効果的に薄片化黒鉛を得ることができる。なお、天然黒鉛よりもグラフェン積層数が少ない、一次薄片化黒鉛を原料としての炭素材料として用いてもよい。その場合には、本発明の製造方法に従って、より一層積層数が少ない薄片化黒鉛を得ることができる。
なお、本発明において、薄片化黒鉛とは、黒鉛のような元のグラフェン積層構造を有する炭素材料を剥離処理して得られるものであり、元のグラフェン積層構造を有する炭素材料よりも薄いグラフェンシート積層体をいう。薄片化黒鉛におけるグラフェンシート積層数は、元の黒鉛より少なければよいが、通常、数層〜200層程度である。なお、本発明において、薄片化黒鉛とは、上記のように化合物が化学結合されている薄片化黒鉛も総称して、薄片化黒鉛と称する場合があるものとする。
(液体)
本発明における薄片化黒鉛の製造方法では、グラフェン積層構造を有する炭素材料を、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液体に浸漬させた状態で電磁波を照射して、炭素材料を薄片化し、薄片化黒鉛を得る。
本発明における薄片化黒鉛の製造方法では、グラフェン積層構造を有する炭素材料を、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液体に浸漬させた状態で電磁波を照射して、炭素材料を薄片化し、薄片化黒鉛を得る。
液体に炭素材料を浸漬させるに際しては、炭素材料が電磁波の照射により加熱される限り、適宜の量の炭素材料を液体に浸漬すればよい。
本明細書において、液体とは、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物、あるいは少なくとも1種の20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液状物の混合物のことをいう。上記液状物の混合物については、混合物そのものの表面張力が50mN/m以下であってもよいし、少なくとも1種の20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含んでいれば、混合物そのものの表面張力は50mN/m以下でなくともよい。
このように、本発明においては、液体が少なくとも1種の20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含んでいる。従って、薄片化をより一層進めることができる。
また、上記液体の沸点は50℃〜350℃の範囲内であることが望ましい。より好ましくは、80℃〜300℃の範囲内であり、さらに好ましくは100℃〜250℃の範囲内である。上記範囲内にある場合、電磁波の照射により、薄片化をより効果的に進めることができる。
本発明においては、グラフェン積層構造を有する炭素材料を浸漬させる液体そのものが、炭素材料に化学結合し得る化合物であってもよい。なかでも、グラフェン積層構造を有する炭素材料を浸漬させる液体として、反応性化合物を用いることが好ましい。この場合、溶媒を使用しないので、溶媒の回収や単離が必要なく製造工程の簡略化が可能となる。もっとも、後述するように、上記液体は、上記炭素材料に化学結合し得る化合物と、溶媒との混合物であってもよい。
反応性化合物は、上記炭素材料を薄片化する工程において、炭素材料に容易に化学結合する。それによって、炭素材料の薄片化をより一層進めることができる。また、このように、炭素材料に反応性化合物が化学結合している場合、得られた薄片化黒鉛を樹脂中により一層均一に分散させることができる。
上記化学結合される反応性化合物の含有量は、得られた薄片化黒鉛100重量%に対し、0.5〜100重量%であることが好ましい。
また、上記反応性化合物としては、Diels−Alder反応性化合物又はFriedel−Crafts反応性化合物であることが好ましい。Diels−Alder反応性化合物又はFriedel−Crafts反応性化合物を用いた場合、後述するように、薄片化をより一層進めることができる。
液体のDiels−Alder反応性化合物としては、フルフラール、フルフリルアルコール、フルフリルアミン、5−メチル−2−フルアルデヒド、フルフリルメルカプタン、2−フロイルクロリド等のフルフラール誘導体;2−メチルフラン、2−エチルフラン、2−メトキシフラン、2−フロニトリル等のフラン誘導体;p−クロロスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン等のビニル変性溶媒又はフェニルイミダゾリン等のイミン類などが挙げられる。これらの化合物は単体で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
フルフリルアルコールやN−ビニル−2−ピロリドン等を用いた場合、後述の電磁波照射による薄片化黒鉛製造工程を経ても、反応副生成物が殆ど生成しないため、フルフリルアルコールやN−ビニル−2−ピロリドンを用いることが好ましい。この場合、用いたフルフリルアルコールやN−ビニル−2−ピロリドンを容易に回収し、再利用することができる。
液体のFriedel−Crafts反応性化合物としては、一般的なハロゲン化物やカルボン酸ハロゲン化物、酸無水物等であればいずれも用いることができ、例えばN−クロロオクタンやN−オクタノイルクロリド等のアルキルハロゲンや脂肪族酸ハロゲン化物;ベンゾイルクロライド等の安息香酸ハロゲン化物;無水コハク酸や無水フタル酸、無水プロピオン酸等の酸無水物などを用いることができる。これらの化合物は単体で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
本発明においては、上記液体として、反応性化合物の代わりに溶媒を用いてもよい。溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの炭素数8以下のアルコール類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン、ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、N−メチルピロリドン及びN,N−ジメチルホルムアミドなどを挙げることができる。好ましくは、炭素数8以下のアルコール類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン、ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、N−メチルピロリドン及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群から選択された少なくとも1種を含む。溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上の混合溶媒であってもよい。また、上記好ましい溶媒に加えて、さらに水等の他の溶媒を加えて用いてもよい。
また、本発明においては、上述したように液体が、上記溶媒と、炭素材料と結合し得る化合物との混合物であってもよい。液体がこのような混合物である場合、炭素材料と結合し得る化合物を、炭素材料に化学結合させることで、炭素材料の薄片化をより一層進行させることができる。上記混合物中の炭素材料に化学結合し得る化合物は、固体であっても液体であってもよい。いずれの場合においても、炭素材料に化学結合し得る化合物が、上記炭素材料に化学結合することとなる。
なお、炭素材料と結合し得る化合物は、反応性化合物であることが好ましい。混合物中の反応性化合物としては、後述の化学結合の欄に示す化合物を用いることができる。また、溶媒としては、上記具体例に挙げた溶媒を用いることができる。
また、上記液体中には、さらに、触媒を添加してもよい。触媒を添加した場合、化学反応が容易になることから電磁波の照射量や反応時間をより一層短縮し、用いる反応性化合物の添加量をより一層低減できる等の効果が得られる。
触媒としては、特に限定されないが、例えば、以下の(1)MXnで表される金属ハロゲン化物(ただし、Mは周期律表2〜7族の金属、Xはハロゲン、nは2〜5の整数)、(2)MAXで表される複合塩(ただし、Aは酸である)、(3)MLもしくはMLXで表される錯化合物(ただし、Lは配位子として働く化合物である)、(4)3価のリン化合物などが用いられる。
(1)MXnで表される金属ハロゲン化物;
Mは、周期律表の2〜7族の金属である。このような金属としては、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カゴミウム、インジウム、錫、アンチモン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスニウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマスなどが挙げられる。上記Xは、ハロゲンであり、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。上記nは、金属のもつ原子価に応じた2〜5の整数である。
Mは、周期律表の2〜7族の金属である。このような金属としては、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カゴミウム、インジウム、錫、アンチモン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスニウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマスなどが挙げられる。上記Xは、ハロゲンであり、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。上記nは、金属のもつ原子価に応じた2〜5の整数である。
上記MXnの中で、好ましい金属ハロゲン化物としては、Xが塩素である、塩化銅、塩化鉄、塩化亜鉛及び塩化アルミニウムを挙げることができる。このような金属塩化物は安価であり、毒性が比較的低いため好ましい。
また、MXnで表される金属ハロゲン化物としては、MX1X2のように複数のハロゲンを含む金属ハロゲン化物であってもよい。この場合、X1とX2とは異なるハロゲン元素である。
(2)MAXで表される複合塩;
Aを酸とした場合、MAXで表される、酸とハロゲンと金属との複合塩である。Mは上述した通り、周期律表2族〜7族の金属元素である。Aは酸である。酸としては、硫酸、硝酸、リン酸またはホウ酸などの無機酸であってもよく、有機酸であってもよい。Xは、上述したハロゲンである。
Aを酸とした場合、MAXで表される、酸とハロゲンと金属との複合塩である。Mは上述した通り、周期律表2族〜7族の金属元素である。Aは酸である。酸としては、硫酸、硝酸、リン酸またはホウ酸などの無機酸であってもよく、有機酸であってもよい。Xは、上述したハロゲンである。
(3)MLもしくはMLXで表される錯化合物;
Mは2族〜7族の金属元素である。Lは、アセチルアセトン、エチレンジアミン、フタロシアニン、アンモニア、一酸化炭素またはシアンなどの配位子として働く化合物である。Xは上述したハロゲンである。
Mは2族〜7族の金属元素である。Lは、アセチルアセトン、エチレンジアミン、フタロシアニン、アンモニア、一酸化炭素またはシアンなどの配位子として働く化合物である。Xは上述したハロゲンである。
(4)3価のリン化合物;
3価のリン化合物としては、トリフェニルフォスファイト、トリアルキルフォスファイトなどを挙げることができる。
3価のリン化合物としては、トリフェニルフォスファイト、トリアルキルフォスファイトなどを挙げることができる。
(電磁波照射)
本発明においては、液体に浸漬されている上記炭素材料に電磁波を照射する。この場合の電磁波としては、特に限定されず、5kHz〜100GHz程度の波長の電磁波を用いることができる。従って、電磁波はマイクロ波であってもよい。
本発明においては、液体に浸漬されている上記炭素材料に電磁波を照射する。この場合の電磁波としては、特に限定されず、5kHz〜100GHz程度の波長の電磁波を用いることができる。従って、電磁波はマイクロ波であってもよい。
上記電磁波を照射する装置については、上記電磁波を照射し得る限り適宜の電磁波発生装置を用いることができる。また、市販の調理用電子レンジを電磁波照射装置として用いてもよい。その場合には、調理用電子レンジ内に上記液体に浸漬されている炭素材料を配置し、電磁波を照射すればよい。
より一層効率よくマイクロ波などの電磁波を照射するために、例えば、フロー式のリアクターと、電磁波を発生する電磁波発生器と、電磁波を伝送する導波管とを備える装置を用いてもよい。上記フロー式のリアクターとしては、直列に連続した複数の室を有する横型のリアクターを使用できる。
上記フロー式のリアクター内では、炭素材料と、液体との混合物が、上方に空間を残した状態で搬送される。また、電磁波は、上記導波管により上記空間に伝送される。このようなフロー式のリアクターを用いた場合、薄片化黒鉛を連続的に生産することができる。
また、上記フロー式のリアクターは、仕切り板によって複数の室に区切られていてもよく、リアクター内の内容物を撹拌するための撹拌手段を有していてもよい。導波管は、仕切り板の位置に設けられていてもよい。このような照射装置を用いた場合には、より一層確実に炭素材料に電磁波を照射することができる。
上記電磁波の照射量については、上記炭素材料を加熱して薄片化黒鉛を得ることができる限り、特に限定されない。
電磁波の照射により、液体に浸漬されている炭素材料が加熱される。上記炭素材料の加熱は、液体の沸点より低い温度で行われる。そのため、上記液体を気化させることなく、上記炭素材料に化合物が効率よく化学結合する。これにより、グラフェン間のπ結合が弱まり、化合物がグラフェン積層構造の端部だけでなく、内部にまで化学結合されることとなる。それによって、グラフェン間が剥離し、炭素材料が薄片化するものと考えられる。
また、本発明においては、上記のように、液体を気化させることなく、炭素材料を加熱できるため、気化に必要な過剰のエネルギーが必要なく、還流装置等の液体回収機構を必要としない。
電磁波の照射以外の加熱方法としては、ヒーター等を用いた全体加熱も可能であるが、この場合は、炭素材料の薄片化が十分に進行しない。この理由としては、以下のように考えられる。
ヒーター等による全体加熱による場合は副反応が生じやすく、炭素材料に対する化合物の結合反応の効率も低い。そのため、化合物の結合が炭素材料の端部のみで生じ、内部へと進行しないものと考えられる。他方、電磁波の照射による加熱は、炭素材料を直接加熱することから、局所的に炭素材料表面が高温となり、化合物の結合が生じやすくなるものと考えられる。
電磁波照射による昇温速度については、特に限定されないが、昇温速度が高いほど炭素材料の局所加熱が生じやすいことから、薄片化黒鉛を得やすい。従って、電磁波の照射により加熱される炭素材料の昇温速度は直接測定することが困難であるが、炭素材料が浸漬されている液体の温度としての昇温速度は、15℃/分以上が好ましく、より好ましくは40℃/分以上であり、さらに好ましくは100℃/分以上である。もっとも、昇温速度が高すぎると、電磁波の照射量が膨大になるため、炭素材料が浸漬されている液体の温度としての昇温速度は、500℃/分以下であることが好ましい。
本発明においては、電磁波の照射による加熱以外にも、ヒーター等による加熱を併用してもよい。例えば、ヒーター等を用いて液体の沸点以下に予備加熱しておくことで、電磁波の照射量を低減できる。これによって、電磁波エネルギーや装置の負荷を下げることができる。
(炭素材料濃度)
上記炭素材料は、電磁波の照射による薄片化によって表面積が増大するため、炭素材料が液体中に分散した分散液の粘度が剥離の進行に従って高くなる。そのため、分散液の分散均一性を保つためには、炭素材料濃度が低い方が好ましい。他方、炭素材料濃度が低すぎると、分散液の加熱に要する電磁波エネルギーが膨大になる。従って、炭素材料濃度は、初期を高く設定し、薄片化が進行するに従って低濃度化させることが好ましい。このような炭素材料濃度調整は、電磁波の照射による薄片化の進行に従って液体を随時添加し、濃度を低下させていく方法や、十分薄片化が進行した薄片化黒鉛を部分的に分離回収する方法等により行うことが好ましい。
上記炭素材料は、電磁波の照射による薄片化によって表面積が増大するため、炭素材料が液体中に分散した分散液の粘度が剥離の進行に従って高くなる。そのため、分散液の分散均一性を保つためには、炭素材料濃度が低い方が好ましい。他方、炭素材料濃度が低すぎると、分散液の加熱に要する電磁波エネルギーが膨大になる。従って、炭素材料濃度は、初期を高く設定し、薄片化が進行するに従って低濃度化させることが好ましい。このような炭素材料濃度調整は、電磁波の照射による薄片化の進行に従って液体を随時添加し、濃度を低下させていく方法や、十分薄片化が進行した薄片化黒鉛を部分的に分離回収する方法等により行うことが好ましい。
(化学結合)
上述したように、本発明においては、好ましくは、電磁波の照射により炭素材料を加熱して薄片化黒鉛を得るにあたり、炭素材料に反応性化合物を化学結合させることが望ましい。それによって、より積層数の少ない薄片化黒鉛を得ることができる。
上述したように、本発明においては、好ましくは、電磁波の照射により炭素材料を加熱して薄片化黒鉛を得るにあたり、炭素材料に反応性化合物を化学結合させることが望ましい。それによって、より積層数の少ない薄片化黒鉛を得ることができる。
また、好ましくは、上記化学結合が、結合及び解離を可逆的に行い得る化学結合であることが望ましい。その場合には、結合と解離とを繰り返させることにより、薄片化をより一層進めることができる。
可逆的化学結合を形成する化合物としては、特に限定されないが、好ましくは、Diels−Alder反応性化合物を用いた化学結合であることが望ましく、その場合には、薄片化をより一層進めることができる。
Diels−Alder反応性化合物としては、一般的なジエン、および親ジエン体であればいずれも用いることができ、例えば無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイミド等のマレイン酸類;テトラシアノエチレン、フマル酸ジメチル、アクロレイン等のアルケン類;アセチレンジカルボン酸ジメチル等のアルキン類;ベンゾキノン、アントラキノン、キノジメタン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン等の環状ジエン、親ジエン体、アントラセン等のアセン類;フルフリルアルコール、フルフラール等のフラン類;2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のブタジエン類;ベンザイン等のアライン類;ベンジリデンアニリン等のイミン類;スチレンやそれらの誘導体などが挙げられる。
また、上記可逆的化学結合を形成する化合物としては、シクロペンタジエニル錯体化合物を用いてもよい。このようなシクロペンタジエニル錯体化合物としては、フェロセン、ニッケロセン、チタノセン、ジルコノセンやそれらの誘導体が挙げられる。すなわち、薄片化黒鉛に他の化合物が化学結合する限り化学結合の形態は特に限定されず、シクロペンタジエニル錯体化合物を用いた配位結合により化合物が薄片化黒鉛に結合されていてもよい。
上記シクロペンタジエニル錯体化合物を用いた化学結合である場合には、薄片化後の洗浄等により化合物を除去することができ、好ましい。
また、黒鉛がラジカル吸着性を有するため、反応性化合物として、ラジカル反応性化合物やFriedel−Crafts反応性化合物を用いることが望ましい。ラジカル反応性の化合物としては、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、グリシジル基、チオール基、ハロゲン基など有する化合物を挙げることができる。またFriedel−Crafts反応性化合物としては、一般的なハロゲン化物やカルボン酸ハロゲン化物、酸無水物等であればいずれも用いることができ、例えばN−クロロオクタンやN−オクタノイルクロリド等のアルキルハロゲンや脂肪族酸ハロゲン化物、ベンゾイルクロライド等の安息香酸ハロゲン化物、又は無水コハク酸や無水フタル酸、無水プロピオン酸等の酸無水物などを用いることができる。
上記化学結合をした化合物は、一度剥離したグラフェンの再積層化や凝集を妨げる効果があり、溶媒や樹脂分散性に優れる。従って、上記化学結合をした化合物の含有量は、得られた薄片化黒鉛100重量%に対し、0.5〜100重量%であることが好ましい。
上記化学結合した化合物の検出は、NMRやIR、熱重量測定等の既知の分析法により検出することができる。検出方法としては、特定の分析法に限定されないが、簡便さと定量性の観点から通常、熱重量測定が用いられる。この熱重量測定では、化合物が炭素材料に化学結合している場合、一般的にその分解温度が通常の分解温度よりも高温側で検出される。また、この熱分解物の構造解析の目的で、MS測定などを組み合わせてもよい。
(圧力制御)
本発明の化合物の化学結合反応を伴った電磁波照射と、炭素材料の加熱、剥離にあたっては、その反応系中の圧力を1気圧以上に設定してもよい。これは化合物の化学結合反応が系の体積を減少させる方向に進行することから、圧力を高めることで化合物の化学結合をより進行させる効果が得られるためである。
本発明の化合物の化学結合反応を伴った電磁波照射と、炭素材料の加熱、剥離にあたっては、その反応系中の圧力を1気圧以上に設定してもよい。これは化合物の化学結合反応が系の体積を減少させる方向に進行することから、圧力を高めることで化合物の化学結合をより進行させる効果が得られるためである。
このときの圧力は1気圧以上であれば特に限定されないが、好ましくは1.5気圧以上である。また、この圧力制御は、電磁波照射による液体や化合物の加熱による圧力上昇に限定されず、外部からのガス注入や機械的な圧力付加により行ってもよい。圧力は高いと化学結合反応をより一層促進する効果があるが、高すぎると装置の耐圧化と電磁波導波路の設計が困難となることがある。
(温度制御)
本発明においては、上記電磁波照射工程において、上記液体の沸点以下にて化学結合を進行させるように、温度制御を行う。温度制御の方法としては、熱電対等を用いた直接温度測定や、赤外光やラマン光からの間接温度測定などが挙げられる。電磁波処理工程は、液体の沸点より低い温度で行われることが好ましい。具体的には、電磁波処理工程は、液体の沸点より、10℃以上低い温度で行われることが好ましく、30℃以上低い温度で行われることがより好ましい。
本発明においては、上記電磁波照射工程において、上記液体の沸点以下にて化学結合を進行させるように、温度制御を行う。温度制御の方法としては、熱電対等を用いた直接温度測定や、赤外光やラマン光からの間接温度測定などが挙げられる。電磁波処理工程は、液体の沸点より低い温度で行われることが好ましい。具体的には、電磁波処理工程は、液体の沸点より、10℃以上低い温度で行われることが好ましく、30℃以上低い温度で行われることがより好ましい。
(冷却工程)
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、上記電磁波を照射して加熱する工程の後に、冷却工程を実施してもよい。好ましくは、電磁波の照射による加熱と、冷却工程とを、複数回実施してもよく、それによって、より一層積層数の少ない薄片化黒鉛を得ることができる。なお、冷却工程における冷却方法は特に限定されず、冷風を吹き付ける方法、自然放冷、水冷などの適宜の方法を用いることができる。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法では、上記電磁波を照射して加熱する工程の後に、冷却工程を実施してもよい。好ましくは、電磁波の照射による加熱と、冷却工程とを、複数回実施してもよく、それによって、より一層積層数の少ない薄片化黒鉛を得ることができる。なお、冷却工程における冷却方法は特に限定されず、冷風を吹き付ける方法、自然放冷、水冷などの適宜の方法を用いることができる。
また、炭素材料と液体との混合物を部分的に冷却してもよい。それによって、電磁波照射を連続的に行う連続、または半連続プロセスとすることができる。この部分的な冷却方法については、例えば上記炭素材料と上記液体との混合物を電磁波照射部と冷却部を循環させることにより達成し得る。
(超音波処理)
本発明の薄片化黒鉛の製造方法では、炭素材料と液体との混合物に、さらに超音波処理を施す工程を備えていてもよい。超音波処理を施すことにより、より一層効果的に炭素材料の薄片化を進行させることができる。
本発明の薄片化黒鉛の製造方法では、炭素材料と液体との混合物に、さらに超音波処理を施す工程を備えていてもよい。超音波処理を施すことにより、より一層効果的に炭素材料の薄片化を進行させることができる。
(薄片化黒鉛)
本発明の薄片化黒鉛の製造方法では、上記のように、液体に浸漬された炭素材料に電磁波を照射するだけで薄片化黒鉛が得られる。従って、得られた薄片化黒鉛は、酸化履歴を有していないので、煩雑な還元処理を必要としない。また、このようにして得られた薄片化黒鉛では、酸化されていないため、高い導電性を発現する。
本発明の薄片化黒鉛の製造方法では、上記のように、液体に浸漬された炭素材料に電磁波を照射するだけで薄片化黒鉛が得られる。従って、得られた薄片化黒鉛は、酸化履歴を有していないので、煩雑な還元処理を必要としない。また、このようにして得られた薄片化黒鉛では、酸化されていないため、高い導電性を発現する。
なお、本発明においては、上記のように電磁波の照射により炭素材料を加熱する工程において、炭素材料に接触している液体を気化させることなく薄片化黒鉛を得る。従って、本発明の薄片化黒鉛の製造方法では、詳細には、薄片化黒鉛が液体中に分散している薄片化黒鉛分散液が得られる。薄片化黒鉛分散液から液体を除去することにより、薄片化黒鉛を回収できる。
薄片化黒鉛分散液からの薄片化黒鉛の回収に当たっては、濾過、遠心分離、重力沈降、溶媒分離、凝集剤又は吸着剤等の既知の手法を用いることができる。なお、得られた薄片化黒鉛分散液をそのまま用いることもできる。その場合は、未反応化合物等の不純物を溶媒等を用いて分離することが望ましい。
また、上記炭素材料に結合し得る化合物を含む液体を用いた場合、得られた薄片化黒鉛には、上記炭素材料に結合し得る化合物が化学結合されている。上記炭素材料に結合し得る化合物としては、例えば、上述の化学結合の欄に示される化合物が挙げられる。
(薄片化黒鉛−樹脂複合材料)
本発明に係る樹脂複合材料は、樹脂と、本発明に従って得られる薄片化黒鉛とを含む。上記薄片化黒鉛−樹脂複合材料は、薄片化黒鉛と、樹脂とを混合することで得ることができる。薄片化黒鉛は、上記薄片化黒鉛分散液のまま樹脂と混合してもよいし、薄片化黒鉛分散液から薄片化黒鉛を単離した状態で、樹脂と混合してもよい。
本発明に係る樹脂複合材料は、樹脂と、本発明に従って得られる薄片化黒鉛とを含む。上記薄片化黒鉛−樹脂複合材料は、薄片化黒鉛と、樹脂とを混合することで得ることができる。薄片化黒鉛は、上記薄片化黒鉛分散液のまま樹脂と混合してもよいし、薄片化黒鉛分散液から薄片化黒鉛を単離した状態で、樹脂と混合してもよい。
得られた薄片化黒鉛−樹脂複合材料は、導電、熱電、誘電、電磁波吸収又はセンサ材料等の電気化学的素材や、剛性、耐熱性、寸法安定性等の力学的強度素材等に用いることができる。
樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂など所望の樹脂を適宜用いることができる。本発明においては、炭素材料に結合させる化合物として、所望の樹脂と親和性の高い化合物を用いることで、樹脂中での薄片化黒鉛の分散性をより一層高めることができる。
特に化合物を化学的に結合させた薄片化黒鉛は、薄片化黒鉛の再凝集が起こりにくく、分散性に優れていることから、これら複合材料に用いることが容易である。また、化合物を化学的に結合させた薄片化黒鉛においては、薄片化黒鉛表面に官能基が導入される。この場合、樹脂との相互作用が設計できることから、得られた複合材料の電気化学的、力学的素材としての性質が特に優れている。
(実施例及び比較例)
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
200mlのガラス瓶に炭素材料(東洋炭素社製、品番:PFパウダー8F)0.3gと、N−メチルピロリドン(沸点=202℃、20℃における表面張力=41mN/m)10gとを入れ、炭素材料にN−メチルピロリドンを十分浸透させてなる分散液を得た。この分散液に、無水マレイン酸0.5gを添加し、十分に撹拌した。しかる後ガラス瓶の開口部を開放した状態で、マイクロ波発生装置(アクタック社製、品番:スピードウェーブ2)を用いて昇温速度10℃/分にて170℃まで加熱、5分間保持したのち常温まで自然冷却した。得られた分散液をろ過し、アセトンを用いて十分洗浄し、乾燥し、薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛中の化合物の結合量は、熱重量分析を用いて、昇温速度10℃/分にて重量減少を測定し、200℃の重量をWi、500℃の重量をWfとして下記式(1)により求めたところ、9重量%であった。なお、熱重量分析は、熱重量分析装置(SII社製、品番:TG/DTA6300)を用いて測定した。
200mlのガラス瓶に炭素材料(東洋炭素社製、品番:PFパウダー8F)0.3gと、N−メチルピロリドン(沸点=202℃、20℃における表面張力=41mN/m)10gとを入れ、炭素材料にN−メチルピロリドンを十分浸透させてなる分散液を得た。この分散液に、無水マレイン酸0.5gを添加し、十分に撹拌した。しかる後ガラス瓶の開口部を開放した状態で、マイクロ波発生装置(アクタック社製、品番:スピードウェーブ2)を用いて昇温速度10℃/分にて170℃まで加熱、5分間保持したのち常温まで自然冷却した。得られた分散液をろ過し、アセトンを用いて十分洗浄し、乾燥し、薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛中の化合物の結合量は、熱重量分析を用いて、昇温速度10℃/分にて重量減少を測定し、200℃の重量をWi、500℃の重量をWfとして下記式(1)により求めたところ、9重量%であった。なお、熱重量分析は、熱重量分析装置(SII社製、品番:TG/DTA6300)を用いて測定した。
化合物結合量(重量%)=(Wi−Wf)/Wf×100 …(1)
また、得られた薄片化黒鉛の寸法をAFM測定により評価した。結果を図1に示す。
なお、上記AFM測定による薄片化黒鉛の測定方法は、以下の通りである。
薄片化黒鉛の寸法の評価:得られた薄片化黒鉛にエタノールを加え、薄片化黒鉛濃度を0.05重量%とした。しかる後、超音波洗浄機により、超音波を与え、薄片化黒鉛をエタノール中に十分分散させた。次に、原子力顕微鏡(AFM)測定用試料台に上記薄片化黒鉛エタノール分散液をキャスティングし、エタノールを自然乾燥させた。AFMとしては、キーエンス社製、ナノスケールハイブリッド顕微鏡、品番:VN−8000を用いた。このAFMにより薄片化黒鉛を観察し、その幅と厚みを求めた。
(実施例2)
200mlのガラス瓶に炭素材料(SECカーボン社製、品番:ファインパウダー8FSNO15)0.5gと、N−メチルピロリドン(沸点=202℃、20℃における表面張力=41mN/m)20gとを入れ、炭素材料にN−メチルピロリドンを十分浸透させてなる分散液を得たこと以外は、実施例1と同様にして薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛中の化合物の結合量は熱重量分析を用いて、昇温速度10℃/分にて重量減少を測定し、200℃の重量をWi、500℃の重量をWfとして下記式(1)により求めたところ、3重量%であった。
200mlのガラス瓶に炭素材料(SECカーボン社製、品番:ファインパウダー8FSNO15)0.5gと、N−メチルピロリドン(沸点=202℃、20℃における表面張力=41mN/m)20gとを入れ、炭素材料にN−メチルピロリドンを十分浸透させてなる分散液を得たこと以外は、実施例1と同様にして薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛中の化合物の結合量は熱重量分析を用いて、昇温速度10℃/分にて重量減少を測定し、200℃の重量をWi、500℃の重量をWfとして下記式(1)により求めたところ、3重量%であった。
化合物結合量(重量%)=(Wi−Wf)/Wf×100 …(1)
また、得られた薄片化黒鉛の寸法を実施例1と同様にしてAFM測定により評価した。結果を図2に示す。
(比較例1)
N−メチルピロリドンの代わりに水(沸点=100℃、20℃における表面張力=73mN/m)のみからなる液体を用いたこと以外は実施例1と同様にして、薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛について実施例1と同様にしてAFM測定により評価した。しかしながら、黒鉛の厚みが大きいため、AFMでは測定できなかった。
N−メチルピロリドンの代わりに水(沸点=100℃、20℃における表面張力=73mN/m)のみからなる液体を用いたこと以外は実施例1と同様にして、薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛について実施例1と同様にしてAFM測定により評価した。しかしながら、黒鉛の厚みが大きいため、AFMでは測定できなかった。
(比較例2)
N−メチルピロリドンの代わりに水(沸点=100℃、20℃における表面張力=73mN/m)のみからなる液体を用いたこと以外は実施例2と同様にして、薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛について実施例2と同様にしてAFM測定により評価した。しかしながら、黒鉛の厚みが大きいため、AFMでは測定できなかった。
N−メチルピロリドンの代わりに水(沸点=100℃、20℃における表面張力=73mN/m)のみからなる液体を用いたこと以外は実施例2と同様にして、薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛について実施例2と同様にしてAFM測定により評価した。しかしながら、黒鉛の厚みが大きいため、AFMでは測定できなかった。
図1及び図2から明らかなように、実施例1〜2によれば、厚みの薄い薄片化黒鉛を安定に得られることがわかる。
Claims (25)
- グラフェン積層構造を有する炭素材料を、20℃における表面張力が50mN/m以下である液状物を含む液体に浸漬させる工程と、
前記液体に浸漬されている炭素材料に電磁波を照射して該炭素材料を加熱する工程とを備え、
前記電磁波の照射により炭素材料を加熱する工程において、前記液体の沸点より低い温度で前記炭素材料を加熱することにより、前記炭素材料に接触している前記液体を気化させることなく、前記炭素材料を薄片化する、薄片化黒鉛の製造方法。 - 前記液体の沸点が50℃〜350℃の範囲にある、請求項1に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記グラフェン積層構造を有する炭素材料が、黒鉛、膨張黒鉛又は一次薄片化黒鉛である、請求項1又は2に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記炭素材料の薄片化が、前記炭素材料に化合物を化学結合させることにより行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記化合物が、前記グラフェン積層構造を有する炭素材料に化学結合し得る化合物である、請求項4に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記液体が、前記炭素材料に化学結合し得る化合物である、請求項5に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記液体が、反応性化合物である、請求項6に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記反応性化合物が、Diels−Alder反応性化合物である、請求項7に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記反応性化合物が、Friedel−Crafts反応性化合物である、請求項7に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記液体が、炭素数8以下のアルコール類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン、ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、N−メチルピロリドン及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群から選択された少なくとも1種の溶媒を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記液体が、前記溶媒と、炭素材料に化学結合し得る化合物とを含む、請求項10に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記液体が、前記溶媒と、反応性化合物とを含む、請求項11に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記炭素材料に化学結合し得る化合物として、ラジカル反応性化合物を用いる、請求項11又は12に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記炭素材料に化学結合し得る化合物として、前記化学結合が可逆的となる化合物を用いる、請求項11又は12に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記可逆的化学結合を形成する化学結合が、Diels−Alder反応性化合物を用いてなされる、請求項14に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記可逆的化学結合を形成する化学結合が、シクロペンタジエニル錯体化合物を用いてなされる配位結合である、請求項14に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記炭素材料に化学結合し得る化合物として、Friedel−Crafts反応性化合物を用いる、請求項11又は12に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記電磁波照射工程において、前記液体の沸点より低い温度で化学結合を進行させるように、温度制御を行う、請求項4〜17のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記電磁波を照射するに際し、前記炭素材料と前記液体との混合物を部分的に冷却する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 前記炭素材料と前記液体との混合物に、さらに超音波処理を施す工程を備える、請求項1〜19のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
- 請求項1〜20のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法により得られた、薄片化黒鉛。
- 請求項1〜20のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法により得られた、薄片化黒鉛分散液。
- 請求項5〜20のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法により得られた、薄片化黒鉛であって、
前記薄片化黒鉛に化学結合した前記炭素材料に化学結合し得る化合物の含有量が、薄片化黒鉛100重量%に対し、0.5〜100重量%である、薄片化黒鉛。 - 請求項21又は23に記載の薄片化黒鉛と、樹脂とを含む、薄片化黒鉛−樹脂複合材料。
- 請求項22に記載の薄片化黒鉛分散液と、樹脂とを含む、薄片化黒鉛−樹脂複合材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015142069A JP2016029004A (ja) | 2014-07-18 | 2015-07-16 | 薄片化黒鉛の製造方法、薄片化黒鉛、薄片化黒鉛分散液及び薄片化黒鉛−樹脂複合材料 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014148097 | 2014-07-18 | ||
JP2014148097 | 2014-07-18 | ||
JP2015142069A JP2016029004A (ja) | 2014-07-18 | 2015-07-16 | 薄片化黒鉛の製造方法、薄片化黒鉛、薄片化黒鉛分散液及び薄片化黒鉛−樹脂複合材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016029004A true JP2016029004A (ja) | 2016-03-03 |
Family
ID=55435138
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015142069A Pending JP2016029004A (ja) | 2014-07-18 | 2015-07-16 | 薄片化黒鉛の製造方法、薄片化黒鉛、薄片化黒鉛分散液及び薄片化黒鉛−樹脂複合材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016029004A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107033732A (zh) * | 2016-12-07 | 2017-08-11 | 李光明 | 一种石墨烯涂料及其制备方法 |
US11066304B2 (en) | 2017-11-23 | 2021-07-20 | Lg Chem, Ltd. | Polymer grafted graphene and method for preparation thereof |
-
2015
- 2015-07-16 JP JP2015142069A patent/JP2016029004A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107033732A (zh) * | 2016-12-07 | 2017-08-11 | 李光明 | 一种石墨烯涂料及其制备方法 |
US11066304B2 (en) | 2017-11-23 | 2021-07-20 | Lg Chem, Ltd. | Polymer grafted graphene and method for preparation thereof |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5699252B1 (ja) | 薄片化黒鉛及び薄片化黒鉛分散液の製造方法、並びに薄片化黒鉛、薄片化黒鉛分散液及び薄片化黒鉛−樹脂複合材料 | |
Seo et al. | Supercritical alcohols as solvents and reducing agents for the synthesis of reduced graphene oxide | |
Mashtalir et al. | Kinetics of aluminum extraction from Ti3AlC2 in hydrofluoric acid | |
Krishnamoorthy et al. | Graphene nanosheets: Ultrasound assisted synthesis and characterization | |
Shinde et al. | Shear assisted electrochemical exfoliation of graphite to graphene | |
Hanifah et al. | Synthesis of graphene oxide nanosheets via modified Hummers’ method and its physicochemical properties | |
CN109562931B (zh) | 用富碳天然材料大量制备石墨烯和氧化石墨烯的低成本和快速方法及其应用 | |
Su et al. | A simple method for preparing graphene nano-sheets at low temperature | |
Soares et al. | Solvothermal reduction of graphite oxide using alcohols | |
Kaur et al. | Synthesis and characterization of graphene oxide using modified Hummer’s method | |
Wan et al. | Ternary composites of TiO2 nanotubes with reduced graphene oxide (rGO) and meso-tetra (4-carboxyphenyl) porphyrin for enhanced visible light photocatalysis | |
CN106660804B (zh) | 石墨烯制造工艺 | |
Sarvestani et al. | Palladium nanoparticles deposited on a graphene–benzimidazole support as an efficient and recyclable catalyst for aqueous‐phase Suzuki–Miyaura coupling reaction | |
Rao et al. | Graphite oxide-supported Karstedt catalyst for the hydrosilylation of olefins with triethoxysilane | |
Ding et al. | Ultrahigh performance heat spreader based on gas-liquid exfoliation boron nitride nanosheets | |
Fryczkowski et al. | The possibility of obtaining graphene/polymer composites from graphene oxide by a one step process | |
Zou et al. | One‐step synthesis of Pt@ three‐dimensional graphene composite hydrogel: an efficient recyclable catalyst for reduction of 4‐nitrophenol | |
Zhu et al. | Ultrafast intercalation enabled by strong solvent–host interactions: understanding solvent effect at the atomic level | |
Sahoo et al. | Industrial scale synthesis of few-layer graphene nanosheets (FLGNSs): an exploration of electrochemical exfoliation approach | |
JP2016029004A (ja) | 薄片化黒鉛の製造方法、薄片化黒鉛、薄片化黒鉛分散液及び薄片化黒鉛−樹脂複合材料 | |
EP3746401A1 (en) | A process for preparing graphene | |
Hou et al. | Reduction of graphene oxide and its effect on square resistance of reduced graphene oxide films | |
Das et al. | Fluorination of the tertiary carbon at the edge of graphene oxide | |
Hanifah et al. | Efficient reduction of graphene oxide nanosheets using Na 2 C 2 O 4 as a reducing agent | |
Bai et al. | Large-scale preparation of graphene by Red-Al reduction under high gravity technology for supercapacitor application |