JPWO2014136437A1 - 無線送信装置および無線送信方法 - Google Patents

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Abstract

複数の帯域のRF信号を送信する無線送信装置においては、複数の経路における遅延時間の差によって出力信号の歪量が増大するため、本発明の無線送信装置は、複数の入力ベースバンド信号をそれぞれ異なる周波数の搬送波に搬送させ、無線周波数信号として出力するマルチバンドRF信号発生器と、無線周波数信号を増幅して出力する電力増幅器と、複数の入力ベースバンド信号に、電力増幅器の歪特性を補償する歪補償関数をそれぞれ施す歪補償制御信号生成部と、マルチバンドRF信号発生器において複数の入力ベースバンド信号がそれぞれ受ける遅延時間の差を補正する送信機遅延補正部、とを有する。

Description

本発明は、無線送信装置および無線送信方法に関し、特に、複数の周波数帯域を用いる無線送信装置および無線送信方法に関する。
無線送信装置においては、無線周波数(Radio Frequency:RF)信号を増幅する電力増幅器(Power Amplifier:PA)の非線形性が、送信するRF信号を歪ませる大きな要因となっている。RF信号の歪は、送信に用いる所望周波数帯域の外部へ漏洩する漏洩電力を発生させる。また、近年の無線通信規格ではスペクトル効率を改善するため、線形変調を行うことが主流になっている。この線形変調においては、RF信号の歪により発生する所望帯域外への漏洩電力に対して厳しい制限が設定されている。したがって、送信するRF信号の歪を抑制することが無線送信装置における重要な技術的課題である。
一方、近年、さらなる高速無線通信の実現に向けて、断片化した複数の周波数帯域を集めて利用するキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)技術が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。このCA技術においては、複数の帯域を束ねることによって広帯域を確保し、伝送速度を高速化することができる。また、CA技術を適用することによって、複数の事業者の帯域割当が断続的な場合や、帯域共用する場合にも対応した通信を行うことが可能になる。
CA技術は各キャリアの周波数配置により分類される。そのうちの一つに、各キャリア周波数の差Δfが各キャリアのRF信号の変調帯域幅fBBよりも十分大きくなるように各キャリア周波数が配置されたInter−band Non−contiguous CAモードがある。このCAモードにおいては、伝播特性の異なる複数のキャリア周波数で同時に通信することによって、通信の安定性を向上させることができる。
このようなCA技術を用いた無線通信システムにおいては、複数の帯域(バンド)のRF信号を送信する無線送信装置および無線送信方法が必要となる。このような無線送信装置においても、RF信号の歪を抑制することが求められる。また、装置の小型化および低コスト化の観点から、CA技術に対応した無線送信装置は、複数のバンドのRF信号を単一の電力増幅器で増幅し、かつ送信できることが望ましい。
このような複数の帯域(バンド)のRF信号を送信する無線送信装置の一例が、特許文献2に記載されている。図16に、特許文献2に記載された関連する無線送信装置の構成を示す。関連する無線送信装置100は、デュアル・バンド送信機130およびプリディストーション部120の2つのブロックから構成されている。
デュアル・バンド送信機130は、キャリア周波数fc1(バンド1)のRF信号と、キャリア周波数fc2(バンド2)のRF信号を同時に送信する機能を持つ。バンド1のベースバンド信号115Aはローパスフィルタ135Aを経由し、局部発振(LO)信号発生器140Aとミキサ145Aで構成される周波数変換器においてキャリア周波数fc1のRF信号に変換される。また、バンド2のベースバンド信号115Bはローパスフィルタ135Bを経由し、LO信号発生器140Bとミキサ145Bで構成される周波数変換器においてキャリア周波数fc2のRF信号に変換される。キャリア周波数fc1およびfc2のRF信号は電力合成器150において合成された後に、電力増幅器160に入力される。電力増幅器160はキャリア周波数fc1およびfc2のRF信号を同時に増幅し、RF信号170として出力する。
プリディストーション部120は、デュアル・バンド送信機130で発生するバンド1およびバンド2からなるRF出力信号170の歪を補償する機能を有する。すなわち、プリディストーション部120は、デュアル・バンド送信機130の入出力特性と逆の非線形な入出力特性を備えることによって、デュアル・バンド送信機130の非線形性を打ち消している。
デュアル・バンドの信号を同時に送信する場合、デュアル・バンド送信機130の非線形性による周波数ミキシング効果が生じる。これにより、RF出力信号170のバンド1における成分は、デュアル・バンド送信機130に入力されるバンド1のベースバンド信号115Aとバンド2のベースバンド信号115Bの両者に依存するようになる。同様の理由により、RF出力信号170のバンド2における成分は、デュアル・バンド送信機130に入力されるバンド1のベースバンド信号115Aとバンド2のベースバンド信号115Bの両者に依存する。このような周波数ミキシング効果を補正するために、プリディストータ125Aは、バンド1の入力ベースバンド信号110Aとバンド2の入力ベースバンド信号110Bの両者から、バンド1のベースバンド信号115Aを生成し出力する。同様に、プリディストータ125Bは、バンド1の入力ベースバンド信号110Aとバンド2の入力ベースバンド信号110Bの両者から、バンド2のベースバンド信号115Bを生成し出力する。
特開2012−216969号公報(段落[0005]) 米国特許出願公開第2010/0316157号明細書(段落[0042]、FIG.10)
しかしながら上述した関連する無線送信装置100には、下記に示すような問題点がある。
関連する無線送信装置100が備える電力増幅器160に入力されるバンド1のRF信号をx(t)、バンド2のRF信号をx(t)とする。また、RF信号x(t)とx(t)の複素振幅(RF信号に搬送されているベースバンド信号)をそれぞれbx1(t)、bx2(t)とする。電力増幅器160が2個のバンドの信号を同時に増幅する場合、電力増幅器160の非線形特性は2つの入力信号の複素振幅の組[bx1(t),bx2(t)]に依存する。ここで、プリディストーションによる歪補償を適用した複素振幅[bxPD1(t),bxPD2(t)]を有するRF入力信号が電力増幅器160に入力される時に、電力増幅器160からのRF出力信号170の歪が補償されるものとする。
プリディストーション部120から、プリディストーションによる歪補償を適用したバンド1とバンド2のベースバンド信号[bxPD1(t),bxPD2(t)]が出力される。そして、プリディストーション部120の出力から電力増幅器160の入力に至る経路における遅延により、電力増幅器160に入力されるバンド1とバンド2のRF信号の複素振幅が[bxPD1(t−(τ+τ)),bxPD2(t−τ)]になったとする。このとき、バンド1とバンド2の同期ずれτにより、RF出力信号170の歪が劣化するという問題が生じる。
これは以下の理由による。すなわち、電力増幅器160の非線形特性は2つの入力信号の組[bx1(t),bx2(t)]に依存する。そのため、入力信号が[bxPD1(t),bxPD2(t)]である場合と、[bxPD1(t−(τ+τ)),bxPD2(t−τ)]の場合とでは、電力増幅器160は異なる特性を示す。したがって、[bxPD1(t),bxPD2(t)]に対しては歪補償が施されたとしても、[bxPD1(t−(τ+τ)),bxPD2(t−τ)]に対しては歪補償が施されたことにはならないからである。なお、各バンドで同じ時間τだけ遅延し、入力信号が[bxPD1(t),bxPD2(t)]から[bxPD1(t−τ),bxPD2(t−τ)]になった場合は、前者に比べ後者の出力信号がτcだけ遅れるだけであるから、非線形特性への影響は生じ無い。
上述した関連する無線送信装置100においては、各バンドの歪補償回路であるプリディストーション部120の入力から電力増幅器160の入力までの経路における遅延時間の差によって、2個のバンドのRF入力信号の同期ずれτが生じる。そのため、関連する無線送信装置100には、この同期ずれτの影響によるRF出力信号170の歪量の増大が避けられないという問題があった。
このように、複数の帯域のRF信号を送信する無線送信装置においては、複数の経路における遅延時間の差によって出力信号の歪量が増大する、という問題があった。
本発明の目的は、上述した課題である、複数の帯域のRF信号を送信する無線送信装置においては、複数の経路における遅延時間の差によって出力信号の歪量が増大する、という課題を解決する無線送信装置および無線送信方法を提供することにある。
本発明の無線送信装置は、複数の入力ベースバンド信号をそれぞれ異なる周波数の搬送波に搬送させ、無線周波数信号として出力するマルチバンドRF信号発生器と、無線周波数信号を増幅して出力する電力増幅器と、複数の入力ベースバンド信号に、電力増幅器の歪特性を補償する歪補償関数をそれぞれ施す歪補償制御信号生成部と、マルチバンドRF信号発生器において複数の入力ベースバンド信号がそれぞれ受ける遅延時間の差を補正する送信機遅延補正部、とを有する。
本発明の無線送信方法は、複数の入力ベースバンド信号をそれぞれ異なる周波数の搬送波に搬送させた無線周波数信号を生成する際に、複数の入力ベースバンド信号がそれぞれ受ける遅延時間の差を補正し、遅延時間の差を補正された複数の入力ベースバンド信号に、無線周波数信号を増幅する際における歪特性を補償する歪補償関数をそれぞれ施す。
本発明の無線送信装置および無線送信方法によれば、複数の経路における遅延時間の差に起因して生じる出力信号における歪量の増大を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態に係る無線送信装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る無線送信装置が備える電力増幅器から出力されるRF信号の歪量をバンド1について測定した結果を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る無線送信装置が備える電力増幅器から出力されるRF信号の歪量をバンド2について測定した結果を示す図である。 関連する無線送信装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る無線送信装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る無線送信装置が備えるマルチバンドRF信号発生器の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る無線送信装置が備える復調器の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る無線送信装置が備える復調器の別の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る無線送信装置が備える歪補償制御信号生成部の別の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る無線送信装置が備えるマルチバンドRF信号発生器の別の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る無線送信装置が備える遅延検出器の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係る無線送信装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係る無線送信装置が備えるマルチバンド送信ブロックの構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係る無線送信装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係る無線送信装置が備えるマルチバンド送信機ベースバンド部の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係る無線送信装置が備えるマルチバンド送信機RF部の構成を示すブロック図である。 関連する無線送信装置の構成を示すブロック図である。
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一または対応する部分については同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
はじめに本発明の実施形態の概要を説明する。本発明の実施形態による無線送信装置は、信号発生器により発生された複数の周波数の信号を同時に増幅することが可能なキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)技術に対応した電力増幅器を備えたことを主要な特徴としている。
すなわち、本発明の実施形態による無線送信装置は、マルチバンドRF信号発生器、電力増幅器、歪補償制御信号生成部、および送信機遅延補正部を有する。マルチバンドRF信号発生器は、複数の入力ベースバンド信号をそれぞれ異なる周波数の搬送波(キャリア)に搬送させ、無線周波数(Radio Frequency:RF)信号として出力する。電力増幅器は、マルチバンドRF信号発生器から出力される複数の周波数の搬送波からなるRF信号を同時に増幅して出力する。
歪補償制御信号生成部は、複数の入力ベースバンド信号に電力増幅器の歪特性を補償する歪補償関数をそれぞれ施して出力する。すなわち、歪補償制御信号生成部は送信機遅延補正部から入力された複数の入力ベースバンド信号に歪補償関数を適用する。ここで歪補償関数は、複数の入力ベースバンド信号と、電力増幅器から出力される複数のキャリア周波数のRF信号で搬送される出力ベースバンド信号とに基づいて決定される。歪補償制御信号生成部はこの歪補償関数を用いて、電力増幅器から出力される各キャリア周波数帯のRF信号の歪を除去するための補正ベースバンド信号を生成する。
送信機遅延補正部は、マルチバンドRF信号発生器において複数の入力ベースバンド信号がそれぞれ受ける遅延の差を補正する。すなわち、送信機遅延補正部は、RF信号発生器で生じる各バンドの遅延時間差を補正するように、複数の入力ベースバンド信号間の同期を補正した上で歪補償制御信号生成部へ出力する。
このように、本発明の実施形態による無線送信装置では、歪補償制御信号生成部から電力増幅器に至る経路における遅延時間に起因して生じる同期ずれ、つまり電力増幅器の入力信号の各バンド間の同期ずれを、送信機遅延補正部によって補正することが可能となる。これにより、同期ずれに起因して生じる、電力増幅器のRF出力信号の歪特性が劣化するという問題を解決することができる。その結果、本発明の実施形態による無線送信装置によれば、非線形の入出力特性を持つ電力増幅器を用いた場合であっても、信号を歪ませることなく送信することが可能となる。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線送信装置の構成を示すブロック図である。本実施形態による無線送信装置1000は、送信機遅延補正部1101、歪補償制御信号生成部1102、マルチバンドRF信号発生器1002、および電力増幅器1003を少なくとも有する。上記構成において、特に、送信機遅延補正部1101が本実施形態による無線送信装置1000の特徴的な構成である。
無線送信装置1000は複数の搬送波(キャリア)の周波数帯域(バンド)のRF信号を同時に送信する機能を有する。ここで、送信するバンドの数を「n」とする。無線送信装置1000は、電力増幅器1003の非線形特性を特定するトレーニング期間と情報信号を送信する送信期間において、それぞれ異なる動作を行う。すなわち、無線送信装置1000はトレーニング期間において電力増幅器1003の非線形特性を特定する。そして送信期間においては、この特定した非線形特性に基づいて、電力増幅器1003のRF出力信号の歪補償を行う。
まず、電力増幅器1003の非線形特性を特定するトレーニング期間における、無線送信装置1000の動作について説明する。以下の説明では簡略化のため、特に言及しない限り全ての信号の振幅の最大値は全て同じ値(例えば、「1」)に規格化してあるものとする。
送信機遅延補正部1101には、n個のベースバンド信号z(t)=[z1(t),・・・,zn(t)]が端子1011,・・・,1011を介して入力される。zj(t)はバンドj (j=1,・・・,n)を用いて送信されるベースバンド信号を表す。トレーニング期間中は、送信機遅延補正部1101と、歪補償制御信号生成部1102における処理は施されない。したがって、送信機遅延補正部1101に入力されたベースバンド信号z(t)=[z1(t),・・・,zn(t)]が、そのまま歪補償制御信号生成部1102の出力信号w(t)=[w1(t),・・・,wn(t)]として端子1012,・・・,1012に出力される。
マルチバンドRF信号発生器1002は、端子1012,・・・,1012から入力されたベースバンド信号w(t)の各成分w1(t),・・・,wn(t)を、それぞれバンド1,・・・,バンドnのキャリア周波数に周波数変換したRF信号x(t)=[x1(t),・・・,xn(t)]を生成し、端子1013から出力する。
マルチバンドRF信号発生器1002は、バンド1,・・・,nにおいて遅延時間τTX1,・・・,τTXnをそれぞれ有するとする。この遅延時間τTX1,・・・,τTXnは、例えば、マルチバンドRF信号発生器1002の入力信号w(t)=[w1(t),・・・,wn(t)]および出力信号x(t)=[x1(t),・・・,xn(t)]をオシロスコープなどの外部の測定器で測定し、入力信号w(t)と出力信号x(t)の各成分を比較することにより決定することができる。
ここで、電力増幅器1003に入力されるRF信号x(t)=[x1(t),・・・,xn(t)]の複素振幅、すなわちRF信号で搬送されているベースバンド信号をbx(t)=[bx1(t),・・・,bxn(t)]とする。そうすると、電力増幅器1003に入力されるRF信号の複素振幅bx(t)=[bx1(t),・・・,bxn(t)]は、元のベースバンド信号z(t)=[z1(t),・・・,zn(t)]が遅延した波形となり、下記の式(1)で表される。
bx(t)=[bx1(t),・・・,bxn(t)]=[z1(t−τTX1),・・・, zn(t−τTXn)] (1)
ここで、式(1)の右辺をzin(t)=[z1(t−τTX1),・・・,zn(t−τTXn)]と定義する。
端子1013から電力増幅器1003に同時に入力されたRF信号x(t)の各バンド成分x1(t),・・・,xn(t)はそれぞれ増幅され、端子1014にRF信号y(t)=[y1(t),・・・,yn(t)]として出力される。
電力増幅器1003から出力されるRF信号y(t)=[y1(t),・・・,yn(t)]の複素振幅をそれぞれby(t)=[by1(t),・・・,byn(t)]とする。このとき、電力増幅器1003における入力信号の複素振幅bx(t)=[bx1(t),・・・,bxn(t)]と出力信号の複素振幅by(t)=[by1(t),・・・,byn(t)]の関係は、以下の式(2)によって表わされる。
by1(t)=g1[bx1(t),・・・,bxn(t)],
・・・, (2)
byn(t)=gn[bx1(t),・・・,bxn(t)],
これは背景技術で説明したように、複数のバンドの信号を同時に送信する場合、送信機の非線形性による周波数ミキシング効果が生じるため、RF出力信号の各バンドにおける成分は送信機に入力される全てのバンドのベースバンド信号に依存するからである。ここでg1,・・・,gnはn個の変数bx1(t),・・・,bxn(t)を引数とした非線形の関数であり、電力増幅器1003の各バンドにおける入出力特性の非線形性を表している。
式(2)と同じ内容は、以下の式(3)によって表わすこともできる。
by(t)=g[bx(t)] (3)
ここでgは非線形写像であり、関数g1,・・・,gnをまとめて表記したものである。
また、電力増幅器1003の入出力信号の関係は、式(2)と入出力の関係を逆にした下記の式(4)によっても記述することができる。
bx1(t)=h1[by1(t),・・・,byn(t)],
・・・, (4)
bxn(t)=hn[by1(t),・・・,byn(t)],
ここで、h1,・・・,hnはn個の変数by1(t),・・・,byn(t)を引数とした非線形の関数である。式(4)と同じ内容は下記の式(5)によっても表わすことができる。
bx(t)=h[by(t)] (5)
ここでhは非線形写像であり、関数h1,・・・,hnをまとめて表記したものである。式(3)の非線形写像gと式(5)の非線形写像hはお互いに逆写像の関係にある。
トレーニング期間において、電力増幅器1003の入出力における複素振幅bx(t)=[bx1(t),・・・,bxn(t)]とby(t)=[by1(t),・・・,byn(t)]が測定される。式(4)で表現される関数h1,・・・,hnは、トレーニング期間の測定で得られた電力増幅器1003のRF出力信号の複素振幅by(t)=[by1(t),・・・,byn(t)]を独立変数とし、同じく測定で得られた電力増幅器1003のRF入力信号の複素振幅bx(t)=[bx1(t),・・・,bxn(t)]を従属変数として求められる。例えば、ルックアップテーブル(LUT)もしくは多項式フィッティングで数値的に決定される。
次に、図1に示す無線送信装置1000が情報信号を送信する送信期間の動作について説明する。
送信期間においては、送信機遅延補正部1101にバンド1,・・・,nに対応したベースバンド信号z(t)=[z1(t),・・・,zn(t)]が入力される。バンドj (j=1,・・・,n)のベースバンド信号成分zj(t)は分岐してそれぞれn個の可変遅延手段1101kj(k=1,・・・,n)に入力される。その後、可変遅延手段1101kj において遅延τkjを受け、端子1021kjにvkj(t)=zj(t−τkj)が出力される。可変遅延手段1101kj における遅延時間τkjは自由に設定できる。例えば、下記の式(6)に示すように遅延時間τkjを設定することができる。
τkj = τTXj−τTXkC (k,j=1,・・・,n) (6)
ここでτCは定数の遅延時間であり、任意の値に取ることができる。ただし、実装する遅延時間τkj (k,j=1,・・・,n)は非負でなければならないという条件から、τC=Max(|τTXj−τTXk|)とするのが望ましい。ここで、「Max」は最大値を表わす。
端子1021kjに出力されたベースバンド信号vjk(t)は、歪補償制御信号生成部1102に入力される。歪補償制御信号生成部1102は、バンドj (j=1,・・・,n)に対応した歪補償制御信号生成部1102を備えている。歪補償制御信号生成部1102は、送信機遅延補正部1101から入力されたn個のベースバンド信号vjk(t) (k=1,・・・,n)を受け取り、トレーニング期間で得た関数hjに代入して、ベースバンド信号wj(t)として端子1012に出力する。すなわち歪補償制御信号生成部1102から出力されるベースバンド信号w(t)=[w1(t),・・・,wn(t)]は、下記の式(7)によって与えられる。
w1(t) = h1[v11(t),・・・,v1n(t)] = h1[z1(t−τ11),・・・,zn(t−τ1n)],
・・・, (7)
wn(t) = hn[vn1(t),・・・,vnn(t)] = hn[z1(t−τn1),・・・,zn(t−τnn)],
マルチバンドRF信号発生器1002は、トレーニング期間と同様に送信期間においても、端子1012,・・・,1012から入力されたベースバンド信号w(t)の各成分w1(t),・・・,wn(t)を、それぞれバンド1,・・・,バンドnのキャリア周波数に周波数変換する。そしてRF信号x(t)=[x1(t),・・・,xn(t)]を生成し、端子1013に出力する。
端子1013を経由して電力増幅器1003に入力されたRF信号x(t)の複素振幅bx(t)=[bx1(t),・・・,bxn(t)]は、マルチバンドRF信号発生器1002における各バンド1,・・・,nの遅延時間τTX1,・・・,τTXnの影響をそれぞれ受ける。すなわち、式(7)においてt = t−τTXjとし、式(6)を用いると、複素振幅bx(t)は下記の式(8)で表される波形となる。
bx1(t) = w1(t−τTX1) = h1[z1(t−(τTX1C)),・・・,zn(t−(τTXnC))],
・・・, (8)
bxn(t) = wn(t−τTXn) = hn[z1(t−(τTX1C)),・・・,zn(t−(τTXnC))],
ここで、式(1)の右辺で定義したトレーニング時の電力増幅器1003のRF入力信号の複素振幅zin(t)= [z1(t−τTX1),・・・,zn(t−τTXn)]を用いると、式(8)は下記の式(9)のようにまとめることができる。
bx(t)=h[zin(t−τC)] (9)
式(9)の複素振幅bx(t)を持つRF信号x(t)が電力増幅器1003に入力され、複素振幅by(t)を有するRF信号y(t)が電力増幅器1003から端子1014に出力される。この端子1014に出力されたマルチバンドのRF信号y(t)が送信に用いられる。
式(9)で表わされる複素振幅bx(t)を有するRF信号が電力増幅器1003に入力される場合、式(3)で示した電力増幅器1003の入出力特性により、電力増幅器1003から出力されるRF信号の複素振幅by(t)は下記の式(10)のようになる。
by(t) = g[bx(t)] = g・h[zin(t−τC)] = zin(t−τC) (10)
式(10)において、非線形写像gとhは互いに逆写像であるため打ち消しあっている。すなわち式(10)から、本実施形態による無線送信装置1000においては、電力増幅器1003から出力されるRF信号の複素振幅by(t)から電力増幅器1003の非線形性gの影響が取り除かれていることがわかる。その結果、無線送信装置1000に入力された元のベースバンド信号z(t)は歪むことなく電力増幅器1003のRF出力信号に搬送されて送信される。つまり、本実施形態の無線送信装置によれば、複数の経路における遅延時間の差に起因して生じる出力信号における歪量の増大を抑制することができる。
図2A、2Bに、図1に示した無線送信装置1000において、電力増幅器1003から出力されるRF信号y(t)の歪量を測定した結果を示す。ここでは、2バンドのRF入力信号を送信する場合について示す。図2Aはバンド1について、図2Bはバンド2について測定した結果である。それぞれ、歪補償(Dual Pre−Distotion:DPD)を適用した前後の結果を示す。また、歪量としては、隣接チャネル漏洩電力比(Adjacent Channel leakage Power Ratio:ACPR)を用いた。なお図2A、2Bに示した測定結果においては、送信するベースバンド信号z(t)として、バンド1およびバンド2ともにWCDMA(Wideband Code Division Multiple Access(登録商標))信号の変調波を用いている。
図2A、2Bに示す測定結果において、横軸は2バンドのRF入力信号の同期ずれ時間τdである。送信機遅延補正部1101内の遅延時間を式(6)で与えられる値に設定した場合が、図2A、2Bにおけるτ=0の場合に相当する。τ=0である場合の電力増幅器1003のRF入力信号の複素振幅を[bxPD1(t),bxPD2(t)]とした場合、τ≠0の場合の複素振幅は[bxPD1(t−τd),bxPD2(t)]となる。τ=0の場合、歪補償後において良好な歪改善効果が得られることが図2A、2Bの結果から確認できる。一方、バンド1とバンド2の同期ずれ時間τdを増やしていくと、図2A、2Bの測定結果が示すように歪補償後の歪特性が劣化していく。したがって、マルチバンドの同時増幅においては、送信機遅延補正部1101内の遅延時間を式(6)で与えられる値に設定することが望ましい。すなわち、電力増幅器1003に入力されるRF信号のバンド間の同期を取ること、つまり同期ずれ時間τdを0に設定することが、歪補償能力を高く維持するためには望ましい。
次に、本実施形態の特徴である送信機遅延補正部1101の動作についてさらに詳細に説明する。比較のために、送信機遅延補正部1101が設置されていない構成の無線送信装置の動作について説明する。図3に、送信機遅延補正部1101が設置されていない関連する無線送信装置200の構成を示す。これは、図16に示した関連する無線送信装置100の構成に相当する。
関連する無線送信装置200のトレーニング期間における動作は、図1に示した本実施形態による無線送信装置1000の動作と同一であるので、その説明は省略する。
送信期間においては、歪補償制御信号生成部1102内の各歪補償制御信号生成部1102(j=1,・・・,n)にそれぞれベースバンド信号z(t)=[z1(t),・・・,zn(t)]が入力される。歪補償制御信号生成部1102は、入力されたベースバンド信号z(t)=[z1(t),・・・,zn(t)]をトレーニング期間に取得した関数hjに代入し、ベースバンド信号wj(t)として端子1012に出力する。すなわち歪補償制御信号生成部1102から出力されるベースバンド信号w(t)=[w1(t),・・・,wn(t)]は、下記の式(11)で与えられる。
w1(t) = h1[z1(t),・・・,zn(t)],
・・・, (11)
wn(t) = hn[z1(t),・・・,zn(t)],
マルチバンドRF信号発生器1002は、端子1012,・・・,1012から入力されたベースバンド信号w(t)の各成分w1(t),・・・,wn(t)を、それぞれバンド1,・・・,バンドnのキャリア周波数に周波数変換したRF信号x(t)=[x1(t),・・・,xn(t)]を生成し、端子1013に出力する。電力増幅器1003に入力されるRF信号の複素振幅bx(t)=[bx1(t),・・・,bxn(t)]は、マルチバンドRF信号発生器1002におけるバンド1,・・・,nの遅延時間τTX1,・・・,τTXnによって、下記の式(12)で表される波形になる。
bx1(t) = w1(t−τTX1) = h1[z1(t−τTX1),・・・,zn(t−τTX1)],
・・・, (12)
bxn(t) = wn(t−τTXn) = hn[z1(t−τTXn),・・・,zn(t−τTXn)],
この場合、関数h1の引数はz(t−τTX1)=[z1(t−τTX1),・・・,zn(t−τTX1)],・・・,であり、関数hnの引数はz(t−τTXn)=[z1(t−τTXn),・・・,zn(t−τTXn)]となる。式(12)のように関数h1,・・・, hnに異なる引数を代入して生成される複素振幅bx(t)を持つRF信号を電力増幅器1003に入力した場合、電力増幅器1003のRF出力信号から電力増幅器1003の非線形性gの影響を除くことはできない。その理由は以下の通りである。
図1に示した本実施形態による無線送信装置1000の場合、式(8)で示されるように、関数h1,・・・, hnに同じ引数zin(t−τC)=[z1(t−(τTX1C)),・・・,zn(t−(τTXnC))]を代入することによって、電力増幅器1003の入力における複素振幅bx(t)が生成される。このように、関数h1,・・・, hnの引数が同じ場合は、式(9)に示したように写像hを用いた一つの式にまとめて複素振幅bx(t)を表現することができる。さらにこのとき、式(10)に示したように、電力増幅器1003のRF出力信号は、複素振幅の持つ写像hと電力増幅器の非線形性gが打ち消される。そのため、ベースバンド信号z(t)が歪むことがない状態で、電力増幅器1003のRF出力信号に搬送して送信することが可能となる。
一方、図3に示した関連する無線送信装置200においては、電力増幅器1003の入力における各バンドの複素振幅が、関数h1,・・・, hnに同じ引数を代入することによって生成されるという条件が満たされていない。このような場合、上述したような電力増幅器の非線形性gを打ち消すことはできない。
すなわち、本実施形態による無線送信装置1000の特徴的な構成である送信機遅延補正部1101は、一の搬送波によって搬送される入力ベースバンド信号を異なる周波数(バンド)の個数分に分岐し、分岐した入力ベースバンド信号にそれぞれ遅延時間を付与する構成としている。この遅延時間はそれぞれ、一の搬送波によって搬送される入力ベースバンド信号がマルチバンドRF信号発生器において受ける遅延と、他の搬送波によって搬送される入力ベースバンド信号がマルチバンドRF信号発生器において受ける遅延との差とすることができる。
このような構成とすることにより、送信機遅延補正部1101は上述した条件が満たされるように、元のベースバンド信号z(t)の各成分[z1(t),・・・,zn(t)]に対して同期制御を掛ける動作を行うことが可能となる。この条件は、「電力増幅器1003の入力におけるRF信号の複素振幅bx(t)の各バンド成分[bx1(t),・・・,bxn(t)]が、歪補償関数h1,・・・, hnに同じ引数を代入して生成される波形になる」という条件である。なお、式(6)で示した送信機遅延補正部1101内の遅延時間τkj (k,j=1,・・・,n)は、上記条件を満たす。
このように本実施形態の無線送信装置1000によれば、マルチバンド同時送信において、非線形の入出力特性を持つ電力増幅器を用いる場合であっても、ベースバンド信号z(t)を歪ませることなく電力増幅器のRF出力信号y(t)に搬送させて送信を行うことができる。
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図4は、本実施形態に係る無線送信装置2000の構成を示すブロック図である。無線送信装置2000は、プリディストーション部1001、マルチバンドRF信号発生器1002、電力増幅器1003、および復調器1004を有する。ここでプリディストーション部1001は、送信機遅延補正部1101、歪補償制御信号生成部1102、全体経路遅延補正部1103、および歪特性演算部1104を備える。
無線送信装置2000は、第1の実施形態による無線送信装置1000と同様に、複数のバンドのRF信号を同時に送信する機能を有する。そして、トレーニング期間に特定した電力増幅器1003の非線形特性に基づき、送信期間において電力増幅器1003のRF出力信号の歪補償を行う。
まず、トレーニング期間において、無線送信装置2000が電力増幅器1003の非線形特性を特定する動作について説明する。トレーニング期間中は、送信機遅延補正部1101と歪補償制御信号生成部1102における処理は施されない。したがって、送信機遅延補正部1101に入力されたベースバンド信号z(t)=[z1(t),・・・,zn(t)]が、そのまま歪補償制御信号生成部1102の出力信号w(t)=[w1(t),・・・,wn(t)]として端子1012,・・・,1012に出力される。
マルチバンドRF信号発生器1002は、端子1012,・・・,1012から入力されたベースバンド信号w(t)の各成分w1(t),・・・,wn(t)を、それぞれバンド1,・・・, バンドnのキャリア周波数に周波数変換したRF信号x(t)=[x1(t),・・・,xn(t)]を生成し、端子1013に出力する。このとき、電力増幅器1003に入力されるRF信号の複素振幅bx(t)=[bx1(t),・・・,bxn(t)]と送信機遅延補正部1101に入力されたベースバンド信号z(t)=[z1(t),・・・,zn(t)]の関係は、第1の実施形態と同様に上述の式(1)で与えられる。
図5に、マルチバンドRF信号発生器1002の構成の一例を示す。マルチバンドRF信号発生器1002は、各バンドの送信ブロック1221,・・・,1221と、RF信号合成器1204を有する。各バンドj (j=1,・・・,n)に対応した送信ブロック1221jは、ディジタル−アナログ変換器1201j、ローパスフィルタ1202j、および周波数変換器1203jを備える。ここで、周波数変換器1203jは、ミキサ1211jと局部発振(LO)信号発生器1212jを少なくとも有する。
端子1012jに入力されたバンドjのディジタルベースバンド信号w j(t)は、ディジタル−アナログ変換器1201jにおいてアナログベースバンド信号に変換され、ローパスフィルタ1202jへ出力される。ローパスフィルタ1202jは入力されたアナログベースバンド信号から不要な高周波成分を除去し、周波数変換器1203jへ出力する。周波数変換器1203jでは、LO信号発生器1212jがバンドjのキャリア周波数fcjからなるLO信号を出力する。そして、ミキサ1211jは入力されたアナログベースバンド信号とLO信号をミキシングしてRF信号xj(t)を生成し出力する。
各バンドの送信ブロック1221,・・・,1221からそれぞれ出力されたRF信号x1(t),・・・,xn(t)は、RF信号合成器1204において合成され、端子1013へ同時に出力される。
図4に示すように、端子1013から電力増幅器1003に同時に入力されたRF信号x(t)の各バンド成分x1(t),・・・,xn(t)はそれぞれ増幅され、端子1014にRF信号y(t)=[y1(t),・・・,yn(t)]として出力される。
端子1014に出力されたRF信号y(t)は、復調器1004においてベースバンド信号u(t)=[u1(t),・・・,un(t)]に変換され、端子1015に出力される。端子1015に出力されたベースバンド信号u(t)は、プリディストーション部1001に入力される。
図6に、復調器1004の構成の一例を示す。復調器1004は、可変バンドパスフィルタ1301、可変周波数変換器1302、可変ローパスフィルタ1303、およびアナログ−ディジタル変換器1304を少なくとも備える。復調器1004の入力端子1014には、電力増幅器1003から出力される各バンドのRF信号y1(t),・・・,yn(t)が同時に入力される。復調器1004は、バンド1,・・・,nの中から一つのバンドjを選択して、バンドjのRF信号yj(t)のみを復調する。
可変バンドパスフィルタ1301は通過帯域を自由に変化させることが可能である。例えば、可変バンドパスフィルタ1301は通過帯域をバンドjに設定し、バンドjのRF信号yj(t)のみを通過させて可変周波数変換器1302へ出力する。可変周波数変換器1302は、ミキサ1311と周波数可変LO信号発生器1312を少なくとも有する。周波数可変LO信号発生器1312は出力するLO信号の周波数を自由に変化させることができる。ここで、周波数可変LO信号発生器1312は、バンドj(周波数fcj)のLO信号をミキサ1311に出力する。ミキサ1311は、入力されたバンドjのRF信号yj(t)およびLO信号(周波数fcj)をミキシングし、RF信号yj(t)をアナログベースバンド信号に変換して可変ローパスフィルタ1303に出力する。
可変ローパスフィルタ1303はカットオフ周波数を自由に変化させることが可能である。ここで、可変ローパスフィルタ1303のカットオフ周波数は、各バンドのアナログベースバンド信号の帯域幅に応じて設定される。可変ローパスフィルタ1303は、入力されたアナログベースバンド信号の不要な高周波成分を除去して、アナログ−ディジタル変換器1304へ出力する。アナログ−ディジタル変換器1304は、入力されたアナログベースバンド信号をバンドjのディジタルベースバンド信号uj(t)に変換して、端子1015へ出力する。端子1015へ出力されたディジタルベースバンド信号uj(t)はプリディストーション部1001に入力される。
以上の手順により、復調器1004によるバンドjのRF信号yj(t)の復調、およびディジタルベースバンド信号uj(t)のプリディストーション部1001への入力が完了する。続いて同じ手順に従い、バンドjと異なるバンドkのRF信号yk(t)の復調、およびディジタルベースバンド信号uk(t)のプリディストーション部1001への入力を行う。この手順を全てのバンドk=1,・・・,nについて行うことにより、ディジタルベースバンド信号u(t)=[u1(t),・・・,un(t)]を取得する。
図7に、復調器1004の別の構成の例を示す。図7に示した復調器1004は、各バンドの復調ブロック1321,・・・, 1321から構成されている。バンドj=1,・・・,nに対する復調ブロック1321jは、バンドパスフィルタ1301j、周波数変換器1302j、ローパスフィルタ1303j、およびアナログ−ディジタル変換器1304jを少なくとも備える。復調器1004の入力端子1014には、電力増幅器1003から出力される各バンドのRF信号y1(t),・・・,yn(t)が同時に入力される。
バンドjの復調ブロック1321jが備えるバンドパスフィルタ1301jの通過帯域は、バンドjのRF信号yj(t)のみを通過させるように構成されている。バンドパスフィルタ1301jを通過したRF信号yj(t)は、周波数変換器1302jに入力される。周波数変換器1302jは、ミキサ1311jとLO信号発生器1312jとを少なくとも含む。LO信号発生器1312jは、バンドj(周波数fcj)のLO信号をミキサ1311に出力する。ミキサ1311は、入力されたバンドjのRF信号yj(t)およびLO信号(周波数fcj)をミキシングし、RF信号yj(t)をアナログベースバンド信号に変換してローパスフィルタ1303jに出力する。
ローパスフィルタ1303jのカットオフ周波数は、各バンドのアナログベースバンド信号の帯域幅に応じて設計されている。ローパスフィルタ1303jは、入力されたアナログベースバンド信号の不要な高周波成分を除去し、アナログ−ディジタル変換器1304jへ出力する。アナログ−ディジタル変換器1304jは、入力されたアナログベースバンド信号をバンドjのディジタルベースバンド信号uj(t)に変換し、端子1015jへ出力する。端子1015jへ出力されたディジタルベースバンド信号uj(t)はプリディストーション部1001に入力される。端子1015,・・・, 1015にはそれぞれベースバンド信号u1(t),・・・,un(t)が出力される。
上述した手順によりプリディストーション部1001はベースバンド信号u(t)=[u1(t),・・・,un(t)]を取得する。このように、図7に示した復調器1004によれば、全てのバンドk=1,・・・,nについて復調処理を同時に行うことが可能である。
図4に示した電力増幅器1003から出力されるRF信号y(t)=[y1(t),・・・,yn(t)]の複素振幅by(t)=[by1(t),・・・,byn(t)]と、復調器1004から出力されるベースバンド信号u(t)=[u1(t),・・・,un(t)]との間には、下記の式(13)に示す関係がある。
u(t)=[u1(t),・・・,un(t)]=[by1(t−τDM1),・・・, byn(t−τDMn)] (13)
ここで、遅延時間τDM1,・・・,τDMnは、復調器1004でそれぞれ生じるバンド1,・・・,nにおける遅延時間である。
全体経路遅延補正部1103は可変遅延手段1103,・・・,1103を備える。可変遅延手段1103,・・・,1103における遅延時間は、それぞれマルチバンドRF信号発生器1002の入力端子1012,・・・,1012から復調器1004の出力端子1015までの経路における各バンドの遅延量τ1と同じに設定されている。ここで、遅延量τ1はマルチバンドRF信号発生器1002および復調器1004における遅延の和であり、以下のように表わすことができる。
遅延量τ1TX1DM1,・・・,τnTXnDMn
送信機遅延補正部1101に入力されたベースバンド信号z(t)=[z1(t),・・・,zn(t)]の各成分は、全体経路遅延補正部1103が備える可変遅延手段1103,・・・,1103によって遅延を受ける。その結果、遅延を受けたベースバンド信号zd(t)=[z1(t−τ1),・・・,zn(t−τn)]が全体経路遅延補正部1103から出力される。ここで、可変遅延手段1103,・・・,1103は、例えばディジタルフィルタによって実装することができる。
マルチバンドRF信号発生器1002の入力端子1012,・・・,1012から復調器1004の出力端子1015までの経路における各バンドの遅延量τ1,・・・,τnは、以下の手順により取得することができる。
まず、プリディストーション部1001が備える歪特性演算部1104に、全体経路遅延補正部1103から出力されたベースバンド信号zd(t)と、復調器1004から出力されたベースバンド信号u(t)が入力される。歪特性演算部1104は、各バンドi=1,・・・,nにおける全体経路遅延補正部1103の出力信号zi(t−τi)と、復調器1004の出力信号ui(t)の相関関数からzi(t−τi)とui(t)の遅延量を算出する。そして、歪特性演算部1104はzi(t−τi)とui(t)の遅延差が最小となるように、全体経路遅延補正部1103内の可変遅延手段1103iの遅延量τiを設定する。
全体経路遅延補正部1103から歪特性演算部1104に入力されるベースバンド信号zi(t−τi)は、上述の式(1)よりbxi(t) = zi(t−τTXi)であるから、bxi(t−τDMi)と同一であることがわかる。また、復調器1004から歪特性演算部1104に入力されるベースバンド信号ui (t)は、上述の式(13)からby(t−τDMi)と同一である。したがって、歪特性演算部1104には、電力増幅器1003の各バンドi=1,・・・,nにおける入力複素振幅bxi(t−τDMi)と出力複素振幅byi(t−τDMi)の測定データが入力されていることになる。
歪特性演算部1104は、上述の式(4)または式(5)と、入力された電力増幅器1003の各バンドにおける入出力の複素振幅[bx1(t−τDM1),・・・,bxn(t−τDMn)]、[by1(t−τDM1),・・・,byn(t−τDMn)]の測定データに基づいて、歪補償に必要な関数h1,・・・,hnを決定する。決定された関数h1,・・・,hnは、歪特性演算部1104から歪補償制御信号生成部1102に送出される。
歪特性演算部1104は、DSP(Digital Signal Processor:ディジタルシグナルプロセッサ)またはFPGA(Field Programmable Gate Array:フィールドプログラマブルゲートアレイ)により実装することができる。そして、関数h1,・・・,hnを決定するためのルックアップテーブル(Look−up Table:LUT)または多項式フィッティングの機能を備えた構成とすることができる。
本実施形態による無線送信装置2000の送信期間における動作は、第1の実施形態の無線送信装置1000(図1)の送信期間における動作と同様である。すなわち、無線送信装置2000に入力されたベースバンド信号z(t)=[z1(t),・・・,zn(t)]は、送信機遅延補正部1101において上述の式(6)で与えられる遅延時間τkj (k,j=1,・・・,n)による同期補正を受けた後に、歪補償制御信号生成部1102に出力される。歪補償制御信号生成部1102は、送信機遅延補正部1101から入力されたベースバンド信号を関数h1,・・・, hnに代入し、式(7)で与えられるベースバンド信号w(t)=[w1(t),・・・,wn(t)]の各成分を端子1012,・・・,1012に出力する。ここで送信機遅延補正部1101が備える可変遅延手段1101,・・・,1101は、例えばディジタルフィルタによって実装することができる。
本実施形態における歪補償制御信号生成部1102は、DSPまたはFPGAなどで実装されたディジタル回路で構成される。歪補償制御信号生成部1102は送信機遅延補正部1101から出力されたベースバンド信号を関数h1,・・・,hnに代入して得られるベースバンド信号w(t)=[w1(t),・・・,wn(t)]を生成する機能を備える。
マルチバンドRF信号発生器1002は、端子1012,・・・,1012から入力されたベースバンド信号w(t)の各成分w1(t),・・・,wn(t)を、それぞれバンド1,・・・,バンドnのキャリア周波数に周波数変換したRF信号x(t)=[x1(t),・・・,xn(t)]を生成する。そして、マルチバンドRF信号発生器1002はRF信号x(t)を端子1013を経由して電力増幅器1003に入力する。端子1013から電力増幅器1003に同時に入力されたRF信号x(t)の各バンド成分x1(t),・・・,xn(t)はそれぞれ増幅され、端子1014にRF信号y(t)=[y1(t),・・・,yn(t)]として出力される。端子1014に出力されたマルチバンドのRF信号y(t)が送信に用いられる。このとき、端子1014に出力されたRF信号y(t)の複素振幅by(t)は、第1の実施形態の場合と同様に式(10)で与えられる。そのため、送信機に入力された元のベースバンド信号z(t)が歪むことなく電力増幅器1003のRF出力信号y(t)に搬送されて送信される。
上述した説明では、本実施形態による無線送信装置2000はトレーニング期間と送信期間にそれぞれ分かれて動作するものとしたが、送信期間中にトレーニング動作を行うこととしてもよい。すなわち、電力増幅器1003からのRF出力信号y(t)を用いて他の通信装置と通信しながら同時に、無線送信装置2000内でトレーニング動作を行い歪補償関数h1,・・・,hnを決定することとしてもよい。
また、トレーニング動作を行わない期間は、全体経路遅延補正部1103、歪特性演算部1104、および復調器1004は使用しないので、これらのブロックは非動作(オフ)状態にすることができる。
本実施形態においても第1の実施形態における場合と同様に、送信機遅延補正部1101が電力増幅器1003に入力される各バンドの信号の同期を適切に設定する。これにより、マルチバンド信号を同時に送信する場合において、非線形の入出力特性を持つ電力増幅器1003を用いる場合であっても、ベースバンド信号z(t)を歪ませることなく電力増幅器1003のRF出力信号y(t)に搬送させて送信を行うことができる。
(第2の実施形態の第1の変形例)
上述の説明では、プリディストーション部1001はディジタル回路を用いて実装することとしたが、プリディストーション部1001の構成の一部をアナログ回路により実装することとしてもよい。
例えば、送信機遅延補正部1101が備える可変遅延手段1101,・・・,1101、および全体経路遅延補正部1103が備える可変遅延手段1103,・・・,1103nは、ディジタルフィルタの代わりにアナログフィルタを用いて実装することとしてもよい。
また、歪補償制御信号生成部1102が備える各バンドj (j=1,・・・,n)に対応した歪補償制御信号生成部1102jは、DSPまたはFPGAを用いて実装されたディジタル回路の代わりに、図8で示したようなアナログ回路を用いて実装することとしてもよい。図8に示したように、アナログ回路を用いた歪補償制御信号生成部1102jは、アナログ乗算器1601j、可変利得アンプ列1602j、ベースバンド信号加算器1603jとを少なくとも備える。
ここで、上述の式(11)で与えられたバンドj=1,・・・,nにおける歪補償関数hjが、下記の式(14)のように多項式で展開されるものとする。
Figure 2014136437
図8に示した歪補償制御信号生成部1102jの回路構成は、式(14)で示した内容をそのまま回路化したものである。すなわち、歪補償制御信号生成部1102jは、端子1021j1,・・・,1021jnに入力された信号[vj1(t),・・・,vjn(t)]に対し、式(14)で与えられる信号wj(t)を端子1012jに出力する。
端子1021j1,・・・,1021jnに入力された信号[vj1(t),・・・,vjn(t)]は、アナログ乗算器においてその各成分が掛け合わされてその冪信号{vj1(t)}k1・・・{vjn(t)}kn (k1,・・・,knは自然数)が生成され、可変利得アンプ列1602jへと出力される。可変利得アンプ列1602jは、入力された冪信号{vj1(t)}k1・・・{vjn(t)}knに対し、その係数ak1・・・knに相当する利得で増幅し、係数と冪信号を掛け合わせた信号ak1・・・kn{vj1(t)}k1・・・{vjn(t)}knをベースバンド信号加算器1603jへ出力する。可変利得アンプ列1602jの利得ak1・・・knは可変であり、歪特性演算部1104から出力される歪補償関数hjの情報、すなわち多項式係数により設定される。可変利得アンプ列1602jから出力された信号ak1・・・kn{vj1(t)}k1・・・{vjn(t)}kn (k1,・・・,knは自然数)は、ベースバンド信号加算器1603jにおいて全て足しあわされ、信号wj(t)として端子1012jへ出力される。ベースバンド信号加算器1603jは、例えばオペアンプを用いたアナログ回路によって構成することができる。
また、歪補償制御信号生成部1102jに入力されるベースバンド信号を同相成分(In−phase信号)と直交成分(Quadrature信号)に分けることとしてもよい。このとき歪補償制御信号生成部1102jには、図8に示したアナログ回路による構成を2個設け、それぞれを同相成分用および直交成分用として用いることとすればよい。この場合、マルチバンドRF信号発生器1002が備える周波数変換器1203jは、直交変調器を備えた構成とすることができる。
プリディストーション部1001が備える送信機遅延補正部1101、歪補償制御信号生成部1102、全体経路補正部1103を、アナログ回路を用いて実装してもよい。この場合、端子1011,・・・, 1011に入力されるベースバンド信号z(t)=[z1(t),・・・,zn(t)]はアナログ信号で良い。また、端子1011,・・・, 1011から電力増幅器1003の入力端子1013に至るまでの経路がアナログ回路で構成されることになる。そのため、マルチバンドRF信号発生器1002が備えるディジタル−アナログ変換器1201,・・・, 1201は不要となり、部品点数を削減することができる。
(第2の実施形態の第2の変形例)
図5で示したマルチバンドRF信号発生器1002における遅延時間τTX1,・・・,τTXnの主要な原因は、ローパスフィルタ1202,・・・,1202である。したがって、ローパスフィルタ1202,・・・,1202の遅延時間をマルチバンドRF信号発生器1002における遅延時間τTX1,・・・,τTXnと見なすことができる。このとき、図9に示したマルチバンドRF信号発生器1002のように、ローパスフィルタ1202,・・・,1202の遅延時間を検出する遅延検出器1701,・・・,1701を追加した構成とすることができる。そして、遅延検出器1701,・・・,1701で検出された遅延時間をマルチバンドRF信号発生器1002の遅延時間τTX1,・・・,τTXnとすればよい。
遅延検出器1701,・・・,1701は、ローパスフィルタ1202,・・・,1202の入力信号と出力信号からローパスフィルタの遅延時間τTX1,・・・,τTXnを検出する。ここで、ローパスフィルタ1202,・・・,1202の入力信号は端子1702,・・・,1702経由で遅延検出器1701,・・・,1701に入力され、出力信号は端子1703,・・・,1703経由で入力される。検出された遅延時間τTX1,・・・,τTXnを表す信号は、端子1704,・・・,1704を経由して送信機遅延補正部1101に送信され、送信機遅延補正部1101が備える可変遅延手段1101kj(k,j=1,・・・,n)における遅延時間の設定に用いられる。
図10に、バンドjに対する遅延検出器1701jの構成の一例を示す。遅延検出器1701jは、アナログ−ディジタル変換器1802jおよび1803jと相関関数計算機1801jとを少なくとも備える。アナログ−ディジタル変換器1802jおよび1803jは、端子1702jおよび1703jから入力されたローパスフィルタ1202jの入出力信号をディジタル信号に変換して、相関関数計算機1801jに出力する。相関関数計算機1801jは、入力されたローパスフィルタ1202jの入出力信号からその相関関数を計算し、このときの相関関数からローパスフィルタ1202jの遅延時間τTXjを算出する。相関関数計算機1801jは入力された二つの信号の相関関数を計算する機能を有し、DSPまたはFPGAを用いて実装されたディジタル回路により構成することができる。この場合には、オシロスコープなどの外部の測定装置を用いることなく、無線送信装置2000に内蔵された遅延検出器1701,・・・,1701によって遅延時間τTX1,・・・,τTXnを自動的に検出することが可能となる。
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図11は、本実施形態に係る無線送信装置3000の構成を示すブロック図である。無線送信装置3000は、プリディストーション部1001A、マルチバンドRF信号発生器1002D、電力増幅器1003、および復調器1004を少なくとも有する。
プリディストーション部1001Aは、送信機遅延補正部1101A、歪補償制御信号生成部1102A、全体経路遅延補正部1103、および歪特性演算部1104を少なくとも備える。また、マルチバンドRF信号発生器1002Dは、マルチバンド送信ブロック1002A、RF信号位相補正器1501、RF信号利得補正器1502、およびRF信号合成器1204を少なくとも備える。
本実施形態による無線送信装置3000は、上述した第1および第2の実施形態による無線送信装置1000、2000と同様に、複数のバンドのRF信号を同時に送信する。そして、トレーニング期間において特定した電力増幅器1003の非線形特性に基づき、送信期間において電力増幅器1003のRF出力信号の歪補償を行う。
以下ではまず、電力増幅器1003の非線形特性を特定するトレーニング期間における無線送信装置3000の動作について説明する。
無線送信装置3000には、n個のベースバンド信号z(t)=[z1(t),・・・,zn(t)]が端子1011,・・・,1011に入力される。入力されたベースバンド信号z(t)の各成分z1(t),・・・,zn(t)は、端子1012,・・・,1012を経由してマルチバンド送信ブロック1002Aに入力される。
図12に、マルチバンド送信ブロック1002Aの構成の一例を示す。マルチバンド送信ブロック1002Aは、図5に示したマルチバンドRF信号発生器1002からRF信号合成器1204を除いた構成と同じである。マルチバンド送信ブロック1002Aは、端子1012,・・・,1012から入力されたベースバンド信号z(t) の各成分z1(t),・・・,zn(t)を、それぞれバンド1,・・・,バンドnのキャリア周波数に周波数変換したRF信号q1(t),・・・,qn(t)を生成する。そして本実施形態においては、周波数変換したRF信号を合成することなく、それぞれ端子1503,・・・,1503に出力する。
図11に示すように、マルチバンド送信ブロック1002Aから出力されたバンド1,・・・,バンドnのRF信号q1(t),・・・,qn(t)は、それぞれRF信号位相補正器1501に入力される。RF信号位相補正器1501はn個のRF信号位相補正器1501,・・・,1501を備え、それぞれ入力されたバンド1,・・・,バンドnのRF信号q1(t),・・・,qn(t)に指定量の位相シフトを加えて出力する。なお、トレーニング期間中は入力されたRF信号に位相シフトを加えることなく、入力されたRF信号をそのままRF信号利得補正器1502に出力する。
RF信号利得補正器1502は、n個のRF信号利得補正器1502,・・・,1502を備え、それぞれ入力されたバンド1,・・・,バンドnのRF信号に指定量の利得変化を加えて出力する。なお、トレーニング期間中は入力されたRF信号に利得変化を加えることなく、入力されたRF信号をそのままRF信号合成器1204に出力する。
RF信号合成器1204は、RF信号利得補正器1502から出力されたバンド1,・・・,バンドnのRF信号x1(t),・・・,xn(t)を合成し、電力増幅器1003の入力端子1013へ同時に出力する。
電力増幅器1003に同時に入力されたRF信号x(t)の各バンド成分x1(t),・・・,xn(t)はそれぞれ増幅され、端子1014にRF信号y(t)=[y1(t),・・・,yn(t)]として出力される。RF信号y(t)は復調器1004においてベースバンド信号u(t)=[u1(t),・・・,un(t)]に変換され、端子1015に出力される。このベースバンド信号u(t)はプリディストーション部1001Aに入力される。
プリディストーション部1001Aが備える歪特性演算部1104は、遅延を受けたベースバンド信号zd(t)=[z1(t−τ1),・・・,zn(t−τn)]と、復調器1004から出力されたベースバンド信号u(t)=[u1(t),・・・,un(t)]から、歪補償に必要な関数h1,・・・,hnを算出する。ここで、遅延を受けたベースバンド信号zd(t)=[z1(t−τ1),・・・,zn(t−τn)]は、端子1011,・・・,1011から全体経路遅延補正部1103を経由して得られる。本実施形態において、歪特性演算部1104が歪補償関数h1,・・・,hnを算出する方法は、第2の実施形態における算出方法と同様であるため、その説明は省略する。なお、無線送信装置3000のトレーニング期間中においては、プリディストーション部1001Aが備える送信機遅延補正部1101Aおよび歪補償制御信号生成部1102Aは動作を行わない状態(オフ状態)としてもよい。
次に、本実施形態による無線送信装置3000が情報信号を送信する送信期間の動作について説明する。
送信期間において電力増幅器1003に入力されるべきRF信号の複素振幅bx(t)=[bx1(t),・・・,bxn(t)]は、第1の実施形態で説明したように式(8)で与えられる。式(8)で表わされる複素振幅を有するRF信号が電力増幅器1003に入力されると、電力増幅器1003から出力されるRF信号の複素振幅by(t)からは電力増幅器1003の非線形性gの影響が取り除かれる。その結果、無線送信装置3000に入力された元のベースバンド信号z(t)は歪むことなく電力増幅器1003のRF出力信号に搬送されて送信される。
第1の実施形態においては、送信器遅延補正部1101が備える可変遅延手段1101kj(k=1,・・・,n)における遅延時間τkjが非負であるという条件から、遅延時間τCが導入された。それに対して、本実施形態の無線送信装置3000では、τCを導入しなくても送信器遅延補正部1101Aが備える可変遅延手段1101Ak(k=1,・・・,n)の遅延時間を非負の値とすることができる。したがって、本実施形態ではτC=0とする。これにより、電力増幅器1003に入力されるべきRF信号の複素振幅bx(t)=[bx1(t),・・・,bxn(t)]は、式(8)においてτC=0とした以下の式(15)で与えられる。
bx1(t) = h1[z1(t−τTX1),・・・,zn(t−τTXn)],
・・・, (15)
bxn(t) = hn[z1(t−τTX1),・・・,zn(t−τTXn)],
このように、電力増幅器1003に入力されるべきRF信号の複素振幅bx(t)=[bx1(t),・・・,bxn(t)]が式(15)によって表わすことができる理由を以下に説明する。RF信号位相補正器1501およびRF信号利得補正器1502において位相シフトおよび利得変化を加えない場合、電力増幅器1003に入力されるRF信号の複素振幅bx(t)=[bx1(t),・・・,bxn(t)]は、下記の式(16)で与えられる。
bx1(t) = z1(t−τTX1),
・・・ (16)
bxn(t) = zn(t−τTXn)
ここで、RF信号利得補正器1502,・・・,1502における利得変化量ΔG,・・・, ΔGおよびRF信号位相補正器1501,・・・,1501における位相変化量Δθ,・・・, Δθを、式(15)および式(16)の複素振幅bx(t)の各成分の比に設定する。すなわち、利得変化量ΔG,・・・, ΔGについては、下記の式(17)に示すように設定する。
ΔG= |h1[z1(t−τTX1),・・・,zn(t−τTXn)]/z1(t−τTX1)|,
・・・, (17)
ΔGn = |hn[z1(t−τTX1),・・・,zn(t−τTXn)]/zn(t−τTXn)|,
また、位相変化量Δθ,・・・, Δθについては、下記の式(18)に示すように設定する。
Δθ= ∠(h1[z1(t−τTX1),・・・,zn(t−τTXn)]/z1(t−τTX1)),
・・・, (18)
Δθ= ∠(hn[z1(t−τTX1),・・・,zn(t−τTXn)]/zn(t−τTXn)),
RF信号位相補正器1501およびRF信号利得補正器1502をこのように設定することにより、電力増幅器1003に入力されるRF信号の複素振幅bx(t)を式(16)の状態から式(15)の状態に変化させることができる。すなわち、電力増幅器1003に入力されるRF信号の複素振幅が式(15)で表わされる値に設定され、電力増幅器1003の線形化が達成される。
このとき、RF信号位相補正器1501およびRF信号利得補正器1502は、式(17)および式(18)で示されるように、歪補償関数h1,・・・,hnと信号[z1(t−τTX1),・・・,zn(t−τTXn)]とに応じて動的に制御される必要がある。このような制御について以下に説明する。
歪補償制御信号生成部1102Aには、トレーニング時に生成された歪補償関数h1,・・・,hnの情報が格納されている。また、送信器遅延補正部1101Aが備える可変遅延手段1101Ak(k=1,・・・,n)の遅延時間は、マルチバンド送信ブロック1002Aと同じ遅延時間τTXk(k=1,・・・,n)に設定される。これにより、端子1011,・・・,1011から入力されたベースバンド信号z(t)=[z1(t),・・・,zn(t)]は、送信器遅延補正部1101Aで遅延を受けて信号[z1(t−τTX1),・・・,zn(t−τTXn)]となり、歪補償制御信号生成部1102Aへと出力される。歪補償制御信号生成部1102Aは、送信器遅延補正部1101Aから入力された信号[z1(t−τTX1),・・・,zn(t−τTXn)]と、トレーニング時に生成された歪補償関数h1,・・・,hnの情報を取得する。そして、これらの情報に基づいて、歪補償制御信号生成部1102Aは式(17)および式(18)で示した特性が得られるようにRF信号位相補正器1501およびRF信号利得補正器1502の制御を行う。このような制御により電力増幅器1003の線形化が達成される。
送信機遅延補正部1101Aが備える可変遅延手段1101A,・・・,1101Aは、ディジタルフィルタを用いて実装することができる。また、歪補償制御信号生成部1102Aは、DSPまたはFPGAを用いて実装されたディジタル回路である。そして上述したように、式(17)および式(18)に従い、送信機遅延補正部1101Aから出力されたベースバンド信号と関数h1,・・・,hnに基づいて、RF信号位相補正器1501およびRF信号利得補正器1502に対する制御信号を出力する。
なお、トレーニング動作を行わない期間は、無線送信装置3000が備える全体経路遅延補正部1103、歪特性演算部1104、および復調器1004は使用しないので、これらのブロックを動作させない状態(オフ状態)としてもよい。
上述の説明では、本実施形態の無線送信装置3000の動作を、トレーニング期間と送信期間に分けて説明したが、送信期間中にトレーニング動作を行うこととしてもよい。すなわち、電力増幅器1003からの出力信号y(t)を用いて他の通信装置と通信しながら、同時に無線送信装置3000内でトレーニング動作を行うことにより歪補償関数h1,・・・,hnを決定することとしてもよい。
以上説明したように、本実施形態による無線送信装置3000においても、送信機遅延補正部1101Aが電力増幅器1003に入力される各バンドの信号の同期を適切に設定する。これにより、マルチバンド同時送信において、非線形の入出力特性を持つ電力増幅器1003を用いる場合であっても、ベースバンド信号z(t)を歪ませることなく電力増幅器1003のRF出力信号y(t)に搬送させて送信することができる。
(第3の実施形態の第1の変形例)
第2の実施形態の第1の変形例と同様に、本実施形態による無線送信装置3000においても、プリディストーション部1001Aの構成の一部をアナログ回路で実装することとしてもよい。例えば、送信機遅延補正部1101Aが備える可変遅延手段1101A,・・・,1101Aおよび全体経路遅延補正部1103が備える可変遅延手段1103,・・・,1103nを、ディジタルフィルタに替えてアナログフィルタで実装してもよい。
また、歪補償制御信号生成部1102Aが備える各バンドj (j=1,・・・,n)に対応した歪補償制御信号生成部1102Ajを、DSPまたはFPGAを用いて実装されたディジタル回路に替えて、図8に示したアナログ回路により実装することとしてもよい。
(第3の実施形態の第2の変形例)
第2の実施形態の第2の変形例と同様に、図12に示したマルチバンド送信ブロック1002Aにおいても、ローパスフィルタ1202,・・・,1202の遅延時間を検出する遅延検出器1701,・・・,1701を追加した構成とすることができる。この場合は、遅延検出器1701,・・・,1701で検出された遅延時間をマルチバンドRF信号発生器1002Dにおける遅延時間τTX1,・・・,τTXnと見なすことができる。ここで検出された遅延時間τTX1,・・・,τTXnを表す信号は、図9の端子1704,・・・,1704を経由して送信機遅延補正部1101Aに送信され、送信機遅延補正部1101Aが備える可変遅延手段1101Ak(k=1,・・・,n)の遅延時間の設定に用いることができる。
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図13は、本実施形態に係る無線送信装置4000の構成を示すブロック図である。無線送信装置4000は、プリディストーション部1001A、マルチバンドRF信号発生器1002E、電力増幅器1003、および復調器1004を少なくとも有する。マルチバンドRF信号発生器1002Eは、マルチバンド送信機ベースバンド部1002B、ベースバンド信号位相補正器1501B、ベースバンド信号利得補正器1502B、およびマルチバンド送信機RF部1002Cを少なくとも備える。
図14に、マルチバンド送信機ベースバンド部1002Bの構成の一例を示す。マルチバンド送信機ベースバンド部1002Bは、各バンドの送信ブロックベースバンド部1221B,・・・,1221Bを備える。各バンド(j=1,・・・,n)の送信ブロックベースバンド部1221Bjは、ディジタル−アナログ変換器1201jとローパスフィルタ1202jを少なくとも含む。マルチバンド送信機ベースバンド部1002Bの端子1012,・・・, 1012にそれぞれベースバンド信号z(t)の各成分z1(t),・・・,zn(t)が入力される。端子1012jに入力されたバンドjのディジタルベースバンド信号z j(t)は、ディジタル−アナログ変換器1201jにおいてアナログベースバンド信号に変換された後に、ローパスフィルタ1202jへ出力される。ローパスフィルタ1202jは入力されたアナログベースバンド信号から不要な高周波成分を除去し、端子1511jにアナログベースバンド信号p j(t)として出力する。
図13に示すように、マルチバンド送信機ベースバンド部1002Bから出力されたバンド1,・・・,バンドnのアナログベースバンド信号p1(t),・・・,pn(t)は、それぞれベースバンド信号位相補正器1501Bに入力される。ベースバンド信号位相補正器1501Bは、n個のベースバンド信号位相補正器1501B,・・・,1501Bを備え、それぞれ入力されたバンド1,・・・,バンドnのアナログベースバンド信号p1(t),・・・,pn(t)に指定量の位相シフトを加えて出力する。ベースバンド信号利得補正器1502Bは、n個のベースバンド信号利得補正器1502B,・・・,1502Bを備える。そして、それぞれ入力されたバンド1,・・・,バンドnのベースバンド信号に指定量の利得変化を加えて、アナログベースバンド信号r1(t),・・・,rn(t)として端子1512,・・・,1512に出力する。
図15に、マルチバンド送信機RF部1002Cの構成の一例を示す。マルチバンド送信機RF部1002Cは、各バンドの周波数変換器1203,・・・,1203とRF信号合成器1204を少なくとも有する。ここで周波数変換器1203jは、LO信号発生器1212jとミキサ1211jを備える。LO信号発生器1212jはバンドjのキャリア周波数fcjのLO信号を出力する。ミキサ1211jは入力されたアナログベースバンド信号rj(t)とLO信号をミキシングすることによりRF信号xj(t)を生成し出力する。各バンドの周波数変換器1203,・・・,1203からそれぞれ出力されたRF信号x1(t),・・・,xn(t)は、RF信号合成器1204において合成され、端子1013へ同時に出力される。
第3の実施形態による無線送信装置3000においては、図11に示したように、RF信号位相補正器1501およびRF信号利得補正器1502がRF信号の利得および位相を補正する構成とした。これに対して、本実施形態による無線送信装置4000においては、図13に示すように、ベースバンド信号位相補正器1501Bおよびベースバンド信号利得補正器1502Bがベースバンド信号の利得および位相を補正する構成とした。すなわち、本実施形態による無線送信装置4000(図13)と第3の実施形態の無線送信装置3000(図11)との相違は、利得および位相の補正を行う信号が、RF信号であるか、またはベースバンド信号であるかという点のみである。その他の構成は、両者に共通である。
すなわち、本実施形態による無線送信装置4000は複数のバンドのRF信号を同時に送信し、かつトレーニング期間に特定した電力増幅器1003の非線形特性に基づき、送信期間において電力増幅器1003のRF出力信号の歪補償を行う。
無線送信装置4000は第3の実施形態の無線送信装置3000と同一の手順によって、トレーニング期間に電力増幅器1003の入出力特性を測定し、歪補償関数h1,・・・,hnを算出する。送信期間における無線送信装置4000の動作は、第3の実施形態の無線送信装置3000の動作と同様である。すなわち、ベースバンド信号位相補正器1501Bおよびベースバンド信号利得補正器1502Bは、入力されたベースバンド信号p1(t),・・・,pn(t)に対して式(17)および式(18)で与えられる利得補正量および位相補正量を与える。
無線送信装置4000においても、上述した実施形態における場合と同様に、送信機遅延補正部1101Aが電力増幅器1003に入力される各バンドの信号の同期を適切に設定する。これにより、マルチバンド同時送信において、非線形の入出力特性を持つ電力増幅器1003を用いる場合であっても、ベースバンド信号z(t)を歪ませることなく電力増幅器1003のRF出力信号y(t)に搬送させて送信することができる。
(第4の実施形態の第1の変形例)
第3の実施形態の第1の変形例と同様に、本実施形態による無線送信装置4000においても、プリディストーション部1001Aの構成の一部をアナログ回路で実装することとしてもよい。
(第4の実施形態の第2の変形例)
第2の実施形態の第2の変形例と同様に、図14に示した本実施形態によるマルチバンド送信機ベースバンド部1002Bにおいて、ローパスフィルタ1202,・・・,1202の遅延時間を検出する遅延検出器1701,・・・,1701を追加した構成としてもよい。このとき、遅延検出器1701,・・・,1701で検出された遅延時間をマルチバンドRF信号発生器1002Eの遅延時間τTX1,・・・,τTXnと見なすことができる。検出された遅延時間τTX1,・・・,τTXnを表す信号は、端子1704,・・・,1704を経由して送信機遅延補正部1101Aに送信され、送信機遅延補正部1101Aが備える可変遅延手段1101Ak(k=1,・・・,n)の遅延時間の設定に用いられる。
上述した各実施形態による無線送信装置は、背景技術で説明した特許文献2に記載された関連する無線送信装置に比べ、下記の利点を有する。
特許文献1に記載された関連する無線送信装置においては、プリディストーションによる歪補償を施した場合であっても、2バンドのRF入力信号の同期ずれにより、電力増幅器から出力されるRF信号の歪の増大が避けられないという問題があった。
これに対して、上述した各実施形態による無線送信装置は、送信機遅延補正部を備える。そのため、歪補償制御信号生成部から電力増幅器の入力端子に至る経路における遅延時間に起因して生じる、電力増幅器の入力信号の各バンド間の同期ずれの補正が可能となる。その結果、同期ずれに起因して生じる歪劣化の問題を解決し、非線形の入出力特性を持つ電力増幅器を用いる場合であっても、信号を歪ませることなく送信できるという効果が得られる。
本発明は上記実施形態に限定されることなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1) 複数の入力ベースバンド信号をそれぞれ異なる周波数の搬送波に搬送させ、無線周波数信号として出力するマルチバンドRF信号発生器と、
前記無線周波数信号を増幅して出力する電力増幅器と、
前記複数の入力ベースバンド信号に、前記電力増幅器の歪特性を補償する歪補償関数をそれぞれ施す歪補償制御信号生成部と、
前記マルチバンドRF信号発生器において前記複数の入力ベースバンド信号がそれぞれ受ける遅延時間の差を補正する送信機遅延補正部、とを有する
無線送信装置。
(付記2) 復調器と、全体経路遅延補正部と、歪特性演算部とをさらに有し、
前記復調器は、前記電力増幅器から出力される前記無線周波数信号を搬送波の周波数帯域ごとに出力ベースバンド信号に変換し、
前記全体経路遅延補正部は、前記歪補償制御信号生成部の出力から前記復調器の出力までの経路における前記搬送波の周波数帯域ごとの全体経路遅延時間に対応して、前記複数の入力ベースバンド信号ごとに遅延時間の補正を加え、
前記歪特性演算部は、前記全体経路遅延補正部から出力される遅延時間の補正を受けた前記複数の入力ベースバンド信号と、前記復調器から出力される複数の前記出力ベースバンド信号とに基づいて、前記歪補償関数を前記搬送波の周波数帯域ごとに算出し、前記歪補償関数を前記歪補償制御信号生成部に受け渡し、
さらに前記歪特性演算部は、前記入力ベースバンド信号と前記出力ベースバンド信号の相関関数を算出し、前記相関関数に基づいて前記全体経路遅延時間を算出し、算出した前記全体経路遅延時間に基づいて前記全体経路遅延補正部で加える遅延時間の補正量を決定する
付記1に記載した無線送信装置。
(付記3) 前記送信機遅延補正部は、一の前記搬送波によって搬送される入力ベースバンド信号を、前記異なる周波数の個数分に分岐し、前記分岐した入力ベースバンド信号にそれぞれ遅延時間を付与し、
前記遅延時間はそれぞれ、前記一の搬送波によって搬送される入力ベースバンド信号が前記マルチバンドRF信号発生器において受ける遅延と、他の搬送波によって搬送される入力ベースバンド信号が前記マルチバンドRF信号発生器において受ける遅延との差である
付記1または2に記載した無線送信装置。
(付記4) 前記マルチバンドRF信号発生器は、複数のローパスフィルタと、複数の周波数変換器と、RF信号合成器、とを少なくとも備え、
前記ローパスフィルタは、前記歪補償制御信号生成部から入力されたベースバンド信号の高周波成分を除去し、
前記周波数変換器は、前記ローパスフィルタから出力された前記ベースバンド信号を搬送波の周波数帯域の無線周波数信号に搬送させて出力し、
前記RF信号合成器は、複数の前記周波数変換器から出力された前記搬送波の周波数帯域の各無線周波数信号を合成して出力する
付記1から3のいずれか一項に記載した無線送信装置。
(付記5) 前記マルチバンドRF信号発生器は、
前記複数の入力ベースバンド信号の高周波成分を除去する複数のローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタから出力された前記複数の入力ベースバンド信号を搬送波の周波数帯域の無線周波数信号にそれぞれ搬送させて出力する複数の周波数変換器と、
前記周波数変換器から出力された前記無線周波数信号の位相をそれぞれ補正する複数のRF信号位相補正器と、
前記周波数変換器から出力された前記無線周波数信号の利得をそれぞれ補正する複数のRF信号利得補正器と、
前記利得補正器および位相補正器において利得と位相が補正された前記無線周波数信号を合成して出力するRF信号合成器、とを少なくとも備え、
前記歪補償制御信号生成部は、前記複数の入力ベースバンド信号に前記電力増幅器の歪特性を補償する歪補償関数をそれぞれ施した補正ベースバンド信号を生成し、前記補正ベースバンド信号を搬送する搬送波の周波数帯域の無線周波数信号が前記マルチバンドRF信号発生器から出力するように、前記RF信号利得補正器における利得補正量および前記RF信号位相補正器における位相補正量を制御する
付記1または2に記載した無線送信装置。
(付記6) 前記マルチバンドRF信号発生器は、
前記複数の入力ベースバンド信号の高周波成分を除去する複数のローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタから出力された前記複数の入力ベースバンド信号の位相をそれぞれ補正する複数のベースバンド信号位相補正器と、
前記ローパスフィルタから出力された前記複数の入力ベースバンド信号の利得をそれぞれ補正する複数のベースバンド信号利得補正器と、
前記ベースバンド信号位相補正器および前記ベースバンド信号利得補正器から出力された前記複数の入力ベースバンド信号を搬送波の周波数帯域の無線周波数信号にそれぞれ搬送させて出力する複数の周波数変換器と、
前記周波数変換器からそれぞれ出力された前記無線周波数信号を合成して出力するRF信号合成器、とを少なくとも備え、
前記歪補償制御信号生成部は、前記複数の入力ベースバンド信号に前記電力増幅器の歪特性を補償する歪補償関数をそれぞれ施した補正ベースバンド信号を生成し、前記補正ベースバンド信号を搬送する搬送波の周波数帯域の無線周波数信号が前記マルチバンドRF信号発生器から出力するように、前記ベースバンド信号利得補正器における利得補正量および前記ベースバンド信号位相補正器における位相補正量を制御する
付記1または2に記載した無線送信装置。
(付記7) 前記マルチバンドRF信号発生器は、前記ローパスフィルタの遅延時間を検出する遅延検出器をさらに有し、
前記遅延検出器は、検出した前記ローパスフィルタの遅延時間を前記送信機遅延補正部に送出し、
前記送信機遅延補正部は、前記ローパスフィルタの遅延時間を、前記マルチバンドRF信号発生器において前記複数の入力ベースバンド信号がそれぞれ受ける遅延の差として補正する
付記4から6のいずれか一項に記載した無線送信装置。
(付記8) 複数の入力ベースバンド信号をそれぞれ異なる周波数の搬送波に搬送させた無線周波数信号を生成する際に、前記複数の入力ベースバンド信号がそれぞれ受ける遅延時間の差を補正し、
前記遅延時間の差を補正された前記複数の入力ベースバンド信号に、前記無線周波数信号を増幅する際における歪特性を補償する歪補償関数をそれぞれ施す
無線送信方法。
(付記9) 増幅された前記無線周波数信号を搬送波の周波数帯域ごとに出力ベースバンド信号に変換し、
前記入力ベースバンド信号と前記出力ベースバンド信号の相関関数を算出し、
前記相関関数に基づいて、前記入力ベースバンド信号が前記歪補償関数を施されてから前記出力ベースバンド信号に変換されるまでに受ける遅延時間である全体経路遅延時間を算出し、
前記全体経路遅延時間に基づいて、前記入力ベースバンド信号ごとに遅延時間の差を補正し、
前記遅延時間の差の補正を受けた前記入力ベースバンド信号と、前記出力ベースバンド信号とに基づいて、前記歪補償関数を前記搬送波の周波数帯域ごとに算出する
付記8に記載した無線送信方法。
(付記10) 前記遅延時間の差を補正する際に、
一の前記搬送波によって搬送される入力ベースバンド信号を、前記異なる周波数の個数分に分岐し、前記分岐した入力ベースバンド信号にそれぞれ遅延時間を付与し、
前記遅延時間はそれぞれ、前記増幅する際に前記一の搬送波によって搬送される入力ベースバンド信号が受ける遅延と、前記増幅する際に他の搬送波によって搬送される入力ベースバンド信号が受ける遅延との差である
付記8または9に記載した無線送信方法。
(付記11) 前記復調器は、
通過帯域を変更でき、指定した搬送波の周波数帯域の無線周波数信号のみ通過させる可変バンドパスフィルタと、
前記指定した搬送波の周波数帯域の無線周波数信号をアナログベースバンド信号に変換する可変周波数変換器と、
カットオフ周波数を変更でき、前記可変周波数変換器から出力される前記アナログベースバンド信号から高周波を除去する可変ローパスフィルタと、
前記可変ローパスフィルタから出力されるアナログベースバンド信号をディジタル信号に変換するアナログ−ディジタル変換器、とを少なくとも備え、
前記電力増幅器から出力される複数の搬送波の周波数帯域の無線周波数信号のうち、指定した搬送波の周波数帯域の無線周波数信号のみをベースバンド信号に変換して前記歪特性演算部へと出力し、指定した搬送波の周波数帯域を切り替えて異なる搬送波の周波数帯域の無線周波数信号をそれぞれベースバンド信号に変換することによって、複数の搬送波の周波数帯域のベースバンド信号を前記歪特性演算部へ出力する
付記2に記載した無線送信装置。
(付記12) 前記復調器は、
各搬送波の周波数帯域の無線周波数信号のみをそれぞれ通過させる複数のバンドパスフィルタと、
各搬送波の周波数帯域の無線周波数信号をそれぞれアナログベースバンド信号に変換する複数の周波数変換器と、
各搬送波の周波数帯域の前記周波数変換器から出力されたアナログベースバンド信号から高周波を除去する複数のローパスフィルタと、
各搬送波の周波数帯域の前記ローパスフィルタから出力されたアナログベースバンド信号をディジタル信号に変換するアナログ-ディジタル変換器、とを少なくとも備え、
前記電力増幅器から出力される複数の搬送波の周波数帯域の無線周波数信号をそれぞれ各搬送波の周波数帯域のベースバンド信号に変換して前記歪特性演算部へ出力する
付記2に記載した無線送信装置。
(付記13) 前記遅延検出器は、
前記ローパスフィルタの入力信号および出力信号をそれぞれディジタル信号に変換するアナログ−ディジタル変換器と、
前記ローパスフィルタの前記入力信号と前記出力信号の相関関数を算出する相関関数計算機、を少なくとも備え、
前記相関関数計算機は、前記相関関数に基づいて前記ローパスフィルタにおける遅延時間を算出する
付記7に記載した無線送信装置。
(付記14) 前記無線周波数信号を生成する際に、
前記遅延時間の差を補正された入力ベースバンド信号の高周波成分を除去し、
前記高周波成分を除去されたベースバンド信号を搬送波の周波数帯域の無線周波数信号に搬送させて出力し、
複数の前記搬送波の周波数帯域の各無線周波数信号を合成して出力する
付記8から10のいずれか一項に記載した無線送信方法。
(付記15) 前記無線周波数信号を生成する際に、
前記複数の入力ベースバンド信号の高周波成分を除去し、
前記高周波成分を除去された前記複数の入力ベースバンド信号を搬送波の周波数帯域の無線周波数信号にそれぞれ搬送させて出力し、
前記無線周波数信号の位相をそれぞれ補正し、
前記無線周波数信号の利得をそれぞれ補正し、
前記利得と前記位相が補正された前記無線周波数信号を合成して出力し、
前記複数の入力ベースバンド信号に前記歪補償関数をそれぞれ施した補正ベースバンド信号を生成し、
前記補正ベースバンド信号を搬送する搬送波の周波数帯域の無線周波数信号を出力するように、前記利得の補正量および前記位相の補正量を制御する
付記8または9に記載した無線送信方法。
(付記16) 前記無線周波数信号を生成する際に、
前記複数の入力ベースバンド信号の高周波成分を除去し、
前記高周波成分を除去された前記複数の入力ベースバンド信号の位相をそれぞれ補正し、
前記高周波成分を除去された前記複数の入力ベースバンド信号の利得をそれぞれ補正し、
前記位相と前記利得が補正された前記複数の入力ベースバンド信号を搬送波の周波数帯域の無線周波数信号にそれぞれ搬送させて出力し、
前記位相と前記利得が補正された前記複数の入力ベースバンド信号を搬送する複数の無線周波数信号を合成して出力し、
前記位相と前記利得が補正された前記複数の入力ベースバンド信号に前記歪補償関数をそれぞれ施した補正ベースバンド信号を生成し、
前記補正ベースバンド信号を搬送する搬送波の周波数帯域の無線周波数信号を出力するように、前記利得の補正量および前記位相の補正量を制御する
付記8または9に記載した無線送信方法。
この出願は、2013年3月7日に出願された日本出願特願2013−045559を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1000、2000、3000、4000 無線送信装置
1001、1001A プリディストーション部
1002、1002D、1002E マルチバンドRF信号発生器
1002A マルチバンド送信ブロック
1002B マルチバンド送信機ベースバンド部
1002C マルチバンド送信機RF部
1003 電力増幅器
1004 復調器
1011、1012、1013、1014、1015、1021、1503、1511、1702、1703、1704 端子
1101、1101A 送信機遅延補正部
1101kj、1103 可変遅延手段
1102、1102A 歪補償制御信号生成部
1103 全体経路遅延補正部
1104 歪特性演算部
1201 ディジタル−アナログ変換器
1202 ローパスフィルタ
1203 周波数変換器
1204 RF信号合成器
1211 ミキサ
1212 局部発振(LO)信号発生器
1221 送信ブロック
1221B 送信ブロックベースバンド部
1301 可変バンドパスフィルタ
1302 可変周波数変換器
1303 可変ローパスフィルタ
1304、1802、1803 アナログ−ディジタル変換器
1311 ミキサ
1312 周波数可変LO信号発生器
1321 復調ブロック
1501 RF信号位相補正器
1501B ベースバンド信号位相補正器
1502 RF信号利得補正器
1502B ベースバンド信号利得補正器
1601 アナログ乗算器
1602 可変利得アンプ列
1603 ベースバンド信号加算器
1701 遅延検出器
1801 相関関数計算機
100、200 関連する無線送信装置
110A、110B 入力ベースバンド信号
115A、115B ベースバンド信号
120 プリディストーション部
125A、125B プリディストータ
130 デュアル・バンド送信機
135A、135B ローパスフィルタ
140A、140B 局部発振(LO)信号発生器
145A、145B ミキサ
150 電力合成器
160 電力増幅器
170 RF信号

Claims (10)

  1. 複数の入力ベースバンド信号をそれぞれ異なる周波数の搬送波に搬送させ、無線周波数信号として出力するマルチバンドRF信号発生手段と、
    前記無線周波数信号を増幅して出力する電力増幅手段と、
    前記複数の入力ベースバンド信号に、前記電力増幅手段の歪特性を補償する歪補償関数をそれぞれ施す歪補償制御信号生成手段と、
    前記マルチバンドRF信号発生手段において前記複数の入力ベースバンド信号がそれぞれ受ける遅延時間の差を補正する送信機遅延補正手段、とを有する
    無線送信装置。
  2. 請求項1に記載した無線送信装置において、
    復調手段と、全体経路遅延補正手段と、歪特性演算手段とをさらに有し、
    前記復調手段は、前記電力増幅手段から出力される前記無線周波数信号を搬送波の周波数帯域ごとに出力ベースバンド信号に変換し、
    前記全体経路遅延補正手段は、前記歪補償制御信号生成手段の出力から前記復調手段の出力までの経路における前記搬送波の周波数帯域ごとの全体経路遅延時間に対応して、前記複数の入力ベースバンド信号ごとに遅延時間の補正を加え、
    前記歪特性演算手段は、前記全体経路遅延補正手段から出力される遅延時間の補正を受けた前記複数の入力ベースバンド信号と、前記復調手段から出力される複数の前記出力ベースバンド信号とに基づいて、前記歪補償関数を前記搬送波の周波数帯域ごとに算出し、前記歪補償関数を前記歪補償制御信号生成手段に受け渡し、
    さらに前記歪特性演算手段は、前記入力ベースバンド信号と前記出力ベースバンド信号の相関関数を算出し、前記相関関数に基づいて前記全体経路遅延時間を算出し、算出した前記全体経路遅延時間に基づいて前記全体経路遅延補正手段で加える遅延時間の補正量を決定する
    無線送信装置。
  3. 請求項1または2に記載した無線送信装置において、
    前記送信機遅延補正手段は、一の前記搬送波によって搬送される入力ベースバンド信号を、前記異なる周波数の個数分に分岐し、前記分岐した入力ベースバンド信号にそれぞれ遅延時間を付与し、
    前記遅延時間はそれぞれ、前記一の搬送波によって搬送される入力ベースバンド信号が前記マルチバンドRF信号発生手段において受ける遅延と、他の搬送波によって搬送される入力ベースバンド信号が前記マルチバンドRF信号発生手段において受ける遅延との差である
    無線送信装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載した無線送信装置において、
    前記マルチバンドRF信号発生手段は、複数のローパスフィルタと、複数の周波数変換手段と、RF信号合成手段、とを少なくとも備え、
    前記ローパスフィルタは、前記歪補償制御信号生成手段から入力されたベースバンド信号の高周波成分を除去し、
    前記周波数変換手段は、前記ローパスフィルタから出力された前記ベースバンド信号を搬送波の周波数帯域の無線周波数信号に搬送させて出力し、
    前記RF信号合成手段は、複数の前記周波数変換手段から出力された前記搬送波の周波数帯域の各無線周波数信号を合成して出力する
    無線送信装置。
  5. 請求項1または2に記載した無線送信装置において、
    前記マルチバンドRF信号発生手段は、
    前記複数の入力ベースバンド信号の高周波成分を除去する複数のローパスフィルタと、
    前記ローパスフィルタから出力された前記複数の入力ベースバンド信号を搬送波の周波数帯域の無線周波数信号にそれぞれ搬送させて出力する複数の周波数変換手段と、
    前記周波数変換手段から出力された前記無線周波数信号の位相をそれぞれ補正する複数のRF信号位相補正手段と、
    前記周波数変換手段から出力された前記無線周波数信号の利得をそれぞれ補正する複数のRF信号利得補正手段と、
    前記RF信号利得補正手段および前記RF信号位相補正手段において利得と位相が補正された前記無線周波数信号を合成して出力するRF信号合成手段、とを少なくとも備え、
    前記歪補償制御信号生成手段は、前記複数の入力ベースバンド信号に前記電力増幅手段の歪特性を補償する歪補償関数をそれぞれ施した補正ベースバンド信号を生成し、前記補正ベースバンド信号を搬送する搬送波の周波数帯域の無線周波数信号が前記マルチバンドRF信号発生手段から出力するように、前記RF信号利得補正手段における利得補正量および前記RF信号位相補正手段における位相補正量を制御する
    無線送信装置。
  6. 請求項1または2に記載した無線送信装置において、
    前記マルチバンドRF信号発生手段は、
    前記複数の入力ベースバンド信号の高周波成分を除去する複数のローパスフィルタと、
    前記ローパスフィルタから出力された前記複数の入力ベースバンド信号の位相をそれぞれ補正する複数のベースバンド信号位相補正手段と、
    前記ローパスフィルタから出力された前記複数の入力ベースバンド信号の利得をそれぞれ補正する複数のベースバンド信号利得補正手段と、
    前記ベースバンド信号位相補正手段および前記ベースバンド信号利得補正手段から出力された前記複数の入力ベースバンド信号を搬送波の周波数帯域の無線周波数信号にそれぞれ搬送させて出力する複数の周波数変換手段と、
    前記周波数変換手段からそれぞれ出力された前記無線周波数信号を合成して出力するRF信号合成手段、とを少なくとも備え、
    前記歪補償制御信号生成手段は、前記複数の入力ベースバンド信号に前記電力増幅手段の歪特性を補償する歪補償関数をそれぞれ施した補正ベースバンド信号を生成し、前記補正ベースバンド信号を搬送する搬送波の周波数帯域の無線周波数信号が前記マルチバンドRF信号発生手段から出力するように、前記ベースバンド信号利得補正手段における利得補正量および前記ベースバンド信号位相補正手段における位相補正量を制御する
    無線送信装置。
  7. 請求項4から6のいずれか一項に記載した無線送信装置において、
    前記マルチバンドRF信号発生手段は、前記ローパスフィルタの遅延時間を検出する遅延検出手段をさらに有し、
    前記遅延検出手段は、検出した前記ローパスフィルタの遅延時間を前記送信機遅延補正手段に送出し、
    前記送信機遅延補正手段は、前記ローパスフィルタの遅延時間を、前記マルチバンドRF信号発生手段において前記複数の入力ベースバンド信号がそれぞれ受ける遅延の差として補正する
    無線送信装置。
  8. 複数の入力ベースバンド信号をそれぞれ異なる周波数の搬送波に搬送させた無線周波数信号を生成する際に、前記複数の入力ベースバンド信号がそれぞれ受ける遅延時間の差を補正し、
    前記遅延時間の差を補正された前記複数の入力ベースバンド信号に、前記無線周波数信号を増幅する際における歪特性を補償する歪補償関数をそれぞれ施す
    無線送信方法。
  9. 請求項8に記載した無線送信方法において、
    増幅された前記無線周波数信号を搬送波の周波数帯域ごとに出力ベースバンド信号に変換し、
    前記入力ベースバンド信号と前記出力ベースバンド信号の相関関数を算出し、
    前記相関関数に基づいて、前記入力ベースバンド信号が前記歪補償関数を施されてから前記出力ベースバンド信号に変換されるまでに受ける遅延時間である全体経路遅延時間を算出し、
    前記全体経路遅延時間に基づいて、前記入力ベースバンド信号ごとに遅延時間の差を補正し、
    前記遅延時間の差の補正を受けた前記入力ベースバンド信号と、前記出力ベースバンド信号とに基づいて、前記歪補償関数を前記搬送波の周波数帯域ごとに算出する
    無線送信方法。
  10. 請求項8または9に記載した無線送信方法において、
    前記遅延時間の差を補正する際に、
    一の前記搬送波によって搬送される入力ベースバンド信号を、前記異なる周波数の個数分に分岐し、前記分岐した入力ベースバンド信号にそれぞれ遅延時間を付与し、
    前記遅延時間はそれぞれ、前記増幅する際に前記一の搬送波によって搬送される入力ベースバンド信号が受ける遅延と、前記増幅する際に他の搬送波によって搬送される入力ベースバンド信号が受ける遅延との差である
    無線送信方法。
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